(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473612
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】シングルレバー水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20190207BHJP
F16K 35/04 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
E03C1/042 C
F16K35/04
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-252267(P2014-252267)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-113789(P2016-113789A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 篤則
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−106005(JP,A)
【文献】
特開2014−145392(JP,A)
【文献】
特開平08−177093(JP,A)
【文献】
特開2005−265140(JP,A)
【文献】
実開平02−098508(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00− 1/10
F16K 35/00−35/16
F16K 11/00−11/24
F16K 31/44−31/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバーハンドルが操作されることにより、レバーを介して可動弁体が固定弁体に対して移動されて、吐止水が行なわれるように構成し、
前記レバーの両側面間に長孔を貫設し、その長孔内には係合ピンをその両端部がレバーの両側面から突出した状態で長孔の延長方向に移動可能に収容し、
レバーには前記係合ピンに対して水栓本体に形成された摺動面に向かう弾性力を付与するためのスプリングを設け、そのスプリングの弾性力により係合ピンと摺動面との間においてレバーハンドルの操作に対して摺動抵抗が付与されるようにしたシングルレバー水栓であって、
前記長孔に連続してレバーの両側面間に収容孔を貫設して、レバーの両側面にこの収容孔の開口であって、前記スプリングを挿入することができる開口をそれぞれ形成し、その収容孔内に前記スプリングを収容したシングルレバー水栓。
【請求項2】
前記収容孔の内側面の端部に突起を設け、その突起にスプリングの一端を係合した請求項1に記載のシングルレバー水栓。
【請求項3】
前記レバーを焼結加工で構成した請求項1または2に記載のシングルレバー水栓。
【請求項4】
前記収容孔の周縁を面取りした請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のシングルレバー水栓。
【請求項5】
前記スプリングを角筒状のコイルスプリングによって構成した請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のシングルレバー水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つのレバーハンドルにより水、湯及び湯水混合水(以下、単に混合水という)を吐出できるようにしたシングルレバー水栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のシングルレバー水栓が特許文献1に開示されている。
図9(a)、(b)に示すように、この特許文献1のシングルレバー水栓には、レバー101と、そのレバー101に連結されて、使用者によって操作されるレバーハンドル102とが設けられている。そして、レバーハンドル102が操作されることにより、吐止水が実行される。前記レバー101には長孔110が形成され、この長孔110には係合ピン104が上下動可能に挿通されている。その係合ピン104の両端部が水栓本体111側の円弧状の摺動面105にスプリング106の弾性力によって当接されている。
【0003】
このため、前記スプリング106の弾性力に基づいて係合ピン104と摺動面105との間の摩擦抵抗が生じる。これによってレバーハンドル102の操作に対して適度の抵抗力が与えられて、レバーハンドル102のガタ付きが抑えられ、高級な操作感が与えられるようになっている。また、レバーハンドル102が吐水状態の全開位置と中間位置との間を移行するときに、係合ピン104が前記摺動面105上の突部107を乗り越える。このことにより、操作者に対して吐水量が認識できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−106005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1のシングルレバー水栓においては、前記レバー101にはスプリング106用の孔103がレバー101の上端面から下向きに穿設され、その内部に前記スプリング106が挿入されている。そして、孔103の上端に形成された雌ねじ108に止めねじ109が螺合されて、スプリング106の孔103からの抜け出しが防止される。
【0006】
従って、特許文献1のシングルレバー水栓においては、レバー101の加工後に、スプリング106用の孔103の穿設と、その孔103の内周面に対する雌ねじ108のねじ切りと、雌ねじ108に対する止めねじ109の螺合とが必要になり、レバー101の製作や組付けに手間を要する。しかも、止めねじ109が必要になるため、部品点数が増える。
【0007】
本発明の目的は、製作、組付けが簡単で、部品点数が少ないシングルレバー水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明においては、レバーハンドルが操作されることにより、レバーを介して可動弁体が固定弁体に対して移動されて、吐止水が行なわれるように構成し、前記レバーの両側面間に長孔を貫設し、その長孔内には係合ピンをその両端部がレバーの両側面から突出した状態で長孔の延長方向に移動可能に収容し、レバーには前記係合ピンに対して水栓本体に形成された摺動面に向かう弾性力を付与するためのスプリングを設け、そのスプリングの弾性力により係合ピンと摺動面との間においてレバーハンドルの操作に対して摺動抵抗が付与されるようにしたシングルレバー水栓であって、前記長孔に連続してレバーの両側面間に収容孔を貫設して、レバーの両側面にこの収容孔の開口を形成し、その収容孔内に前記スプリングを収容したことを特徴とする。
【0009】
以上のように構成されたシングルレバー水栓においては、スプリングを保持するための収容孔をレバーの加工と同時に形成することができて、前記特許文献1の構成とは異なり、スプリングを収容する孔をレバーの加工後に形成したり、その孔に雌ねじをねじ加工をしたり、止めねじを取り付けたりする工程が不要になって、製作が容易になるとともに、止めねじが不要になる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、この発明によれば、シングルレバー水栓において、製作が容易になるとともに、部品点数が少なく構成が簡単になる効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1のシングルレバー水栓の一部切断分解斜視図。
【
図3】カートリッジケースの内部構造及びレバー関連の部品を示す分解斜視図。
【
図4】(a)〜(d)は固定弁体と可動弁体との関係を示す平面図。
【
図8】レバーの係合ピンとレバーガイドの摺動面との関係を示す断面図。
【
図9】(a)、(b)は従来例を示す断面図及び側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、この発明を具体化したシングルレバー水栓の実施形態を図面に従って説明する。
図1及び
図2に示すように、この実施形態のシングルレバー水栓の基部11には、給水源(図示しない)に接続された給水通路12と、給湯源(図示しない)に接続された給湯通路13と、吐水通路14とが形成されている。吐水通路14の外周側の開口部に対応するように、基部11の外周には筒状体201が水平面内で回転可能に取り付けられており、この筒状体201には吐水通路14と連通する吐水管20が突設されている。この吐水通路14からの水、湯及び混合水が吐水管20を経て外部に吐出される。
【0013】
図1〜
図3に示すように、前記基部11の上部のカバー10内にはカートリッジケース15が設置されている。カートリッジケース15は、下ケース17、中間ケース18及び上ケース19を組付けて構成されている。なお、
図3においては、中間ケース18の図示を省略している。下ケース17には前記給水通路12、給湯通路13、吐水通路14の上部を形成する開口16(給水通路12の開口16のみ図示)が形成されている。下ケース17内には固定弁体21と、その固定弁体21の上面を摺動可能にした可動弁体22が収容されている。固定弁体21には、前記給水通路12に連通する給水孔23と、給湯通路13に連通する給湯孔24と、吐水通路14に連通する吐水孔25とが形成されている。可動弁体22には前記吐水孔25に常時連通する混合室26が形成されている。
【0014】
そして、
図4(a)〜(d)に例示するように、可動弁体22の移動により、混合室26が前記給水孔23及び給湯孔24のいずれにも連通しない止水位置(
図4(a))と、給水孔23に連通する水吐水位置(
図4(b))と、給湯孔24に連通する湯吐水位置(
図4(c))と、給水孔23及び給湯孔24の双方に連通する混合水吐水位置(
図4(d))とに配置される。
【0015】
図4(b)に示すように、可動弁体22の水吐水位置においては、給水通路12からの水が給水孔23、混合室26、吐水孔25、吐水通路14を経て吐水管20から吐出される。
図4(c)に示す可動弁体22の湯吐水位置においては、給湯通路13からの湯が給湯孔24、混合室26、吐水孔25、吐水通路14を経て吐水管20から吐出される。さらに、
図4(d)に示す可動弁体22の混合水吐水位置においては、給水通路12からの水及び給湯通路13からの湯が給水孔23及び給湯孔24、混合室26、吐水孔25、吐水通路14を経て吐水管20から混合されて吐出される。
【0016】
これらの場合、可動弁体22の移動量に応じて給水孔23、給湯孔24に対する混合室26の連通度合いが変更されて、吐水量が調節される。また、混合水吐水位置における可動弁体22の位置に応じて給水孔23と給湯孔24とに対する対応割合が変更されて、混合水の温度が調節される。
【0017】
図1及び
図3に示すように、前記可動弁体22の上面には蓋部材30が固定されている。前記カートリッジケース15上部内側には軸支体31がカートリッジケース15の中心軸線を中心にして水平面内において回転可能に設けられている。
【0018】
前記軸支体31の内側には、レバー32が支軸33を介して鉛直面内において回転可能に支持されている。レバー32の下端は前記蓋部材30の上面の低い角筒状の連結部301に傾動可能に挿入連結されている。レバー32の上端には、レバーハンドル34が固定されている。このため、レバー32及びレバーハンドル34は、支軸33中心にして上下方向に回転操作可能であるとともに、軸支体31とともにカートリッジケース15の中心軸線を中心にして水平面内において左右方向へ回転操作可能である。
【0019】
従って、レバーハンドル34の操作により、レバー32及び蓋部材30を介して可動弁体22が固定弁体21上を前後左右に移動されるとともに、回転されて、可動弁体22が
図4(a)〜(d)に例示する位置等に移動される。
【0020】
図1、
図5及び
図8に示すように、前記上ケース19上にはレバーガイド35が水平面内において回転可能に設けられている。レバーガイド35には前記レバー32が上方へ突出するためのガイド溝36が形成されている。従って、レバーガイド35はレバー32とともに水平面内において回転される。このガイド溝36の両側上面には円弧状の摺動面37が形成され、この摺動面37には突部38が形成されるとともに、摺動面37の両側の外周部には壁状の規制部39が形成されている。
【0021】
図6及び
図7に示すように、前記レバー32の左右両側面間には幅狭で上下方向に延びる長孔40が貫設されるとともに、上部には幅広で上下方向に延びる収容孔41が長孔40と連続するように貫設され、収容孔41の上端内側面には突起411が形成されている。従って、長孔40及び収容孔41はレバー32の左右両側面に開口されている。
【0022】
長孔40内には係合ピン42が長孔40の延長方向に上下動可能に挿通され、その両端部が外部に突出して、その突出部が摺動面37上に位置している。前記収容孔41内にはコイルスプリング43が収容されており、その上端が前記突起411に外嵌されるとともに、下端が係合ピン42に圧接されている。このコイルスプリング43によって係合ピン42が前記摺動面37に適度な圧力で当接されている。
【0023】
レバー32の下部には前記支軸33が通る軸孔44が形成されている。レバー32の前後両側面にはストッパ45が形成されており、このストッパ45と軸支体31との当接により、レバー32の支軸33を中心とした回転範囲が規制される。
【0024】
前記レバー32はステンレス鋼の焼結によって成形加工されている。突起411の周縁や軸孔44の内周縁を含むレバー32全体のコーナ部には傾斜面よりなる面取り46が形成されている。
【0025】
前記コイルスプリング43は、全体として角筒状に形成されている。そして、コイルスプリング43の巻き径方向の外形寸法はレバー32の厚さより小さく形成され、コイルスプリング43が収容孔41の両側の開口から外部に突出しないようになっている。
【0026】
コイルスプリング43の組み付けに際して、コイルスプリング43はレバー32の収容孔41の側面開口から収容孔41内に挿入されて、その上端が突起411に外嵌係合されるとともに、下端が係合ピン42に圧接される。このようにすれば、収容孔41からのコイルスプリング43の抜け出しが防止できるとともに、コイルスプリング43の弾性力により係合ピン42が摺動面37に適度な圧力をもって当接される。
【0027】
そして、レバーハンドル34の上下方向の回転操作により係合ピン42が摺動面37上を規制部39によって案内されながらコイルスプリング43により適度な摩擦抵抗が付与された状態において摺動されて、ガタつきなく高級な操作感を得ることができる。また、レバーハンドル34が最大量の吐水位置と中間量の吐水位置との間を通過するとき、係合ピン42が前記突部38を乗り越えることによりクリック感が発生されて、使用者は吐水量を認識できる。
【0028】
以上の本実施形態では以下の効果がある。
(1)コイルスプリング43を収容するための収容孔41がレバー32の左右両側面間に貫設されている。そして、この収容孔41の上端にはコイルスプリング43の抜け出しを止めるための突起411が形成されている。従って、レバー32の焼結加工の成形型により、コイルスプリング43を保持するための収容孔41及び突起411をレバー32の加工と同時に形成することができる。よって、前記特許文献1の構成とは異なり、収容孔41をレバー32の加工後に形成したり、成形後にねじ加工をしたり、止めねじを取り付けたりする工程が不要になって、製作が容易になる。
【0029】
(2)コイルスプリング43の巻き径方向の外形寸法がレバー32の厚さより小さいため、コイルスプリング43がレバー32の側面から外側に突出しないようにできる。このため、レバー32に対するレバーハンドル34の組み付けにおいてコイルスプリング43とレバーハンドル34とが干渉したりすることを防止できて、コイルスプリング43がレバーハンドル34の組み付けの邪魔になることを回避できる。
【0030】
(3)収容孔41の開口縁に面取り46が加工されているため、収容孔41に対するコイルスプリング43の挿入を円滑に行なうことができて、コイルスプリング43の組み付けが容易になる。
【0031】
(4)コイルスプリング43が角筒状をなしているため、そのコイルスプリング43の外側面が収容孔41の内側面に沿って配置される。従って、コイルスプリング43が収容孔41内において安定保持される。
【0032】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、以下の態様で具体化してもよい。
・角筒状のコイルスプリング43に代えて、一般的な円筒状のコイルスプリングを用いること。
【0033】
・レバー32を断面円形状、すなわち円柱状に形成すること。
・レバー32の面取り46を円弧面によって形成すること。
【符号の説明】
【0034】
21…固定弁体、22…可動弁体、32…レバー、34…レバーハンドル、37…摺動面、40…長孔、41…収容孔、42…係合ピン、43…コイルスプリング、46…面取り、411…突起。