特許第6473651号(P6473651)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6473651空調システム、およびこれに用いるスマートデバイス、データ通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473651
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】空調システム、およびこれに用いるスマートデバイス、データ通信方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20190207BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20190207BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20190207BHJP
   F24F 1/22 20110101ALI20190207BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20190207BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   H02J7/00 301D
   H02J7/00 X
   H02J50/10
   H04Q9/00 301C
   H04Q9/00 301D
   F24F1/22
   F24F11/62
   H04M11/00 301
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-79871(P2015-79871)
(22)【出願日】2015年4月9日
(65)【公開番号】特開2016-201888(P2016-201888A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】北野 竜児
(72)【発明者】
【氏名】向井 貴彦
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−322086(JP,A)
【文献】 特開2011−019363(JP,A)
【文献】 特開2011−030404(JP,A)
【文献】 特開2002−228239(JP,A)
【文献】 特開2011−099622(JP,A)
【文献】 特開2007−150501(JP,A)
【文献】 特開2013−055875(JP,A)
【文献】 特開2010−193115(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0035236(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
H02J 50/00 −50/90
F24F 1/06 − 1/68
F24F 5/00
F24F 11/00 −11/89
H04M 11/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空調室内機に接続された空調室外機と、スマートデバイスとが無線接続された空調システムにおいて、
前記空調室外機は、
前記スマートデバイスから取得したデータ要求に応答して、空調制御に関するデータの処理を行うデータ処理部と、
商用電源に接続され、前記スマートデバイスからの給電要求に応答して、前記スマートデバイスに電力を無線供給する給電処理部と
を備え、
前記スマートデバイスは、
自スマートデバイスを稼動させる電力を供給する蓄電池と、
前記蓄電池の残容量を監視する残容量監視部と、
前記空調室外機と無線通信を行うためのデバイスアンテナと、
通常時は、前記デバイスアンテナを介して、前記空調室外機とのデータ通信可能な状態に設定し、前記残容量監視部において前記蓄電池の残容量が、予め設定された第1閾値以下になったことが検知されると、前記デバイスアンテナを介して前記空調室外機に給電要求を送信し、前記給電要求を送信したことに応答して前記デバイスアンテナから無線供給された電力を前記蓄電池に充電するように設定を切り替える切り替え制御部と
を備えることを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記空調室外機には、前記スマートデバイスを固定させる保持具が設置される
ことを特徴とする請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
複数の空調室内機に接続され、空調制御に関するデータの処理を行うデータ処理部と、電力を無線供給する給電処理部とを有する空調室外機に無線接続されたスマートデバイスにおいて、
自スマートデバイスを稼動させる電力を供給する蓄電池と、
前記蓄電池の残容量を監視する残容量監視部と、
前記空調室外機と無線通信を行うためのデバイスアンテナと、
通常時は、前記デバイスアンテナを介して、前記空調室外機とのデータ通信可能な状態に設定し、前記残容量監視部において前記蓄電池の残容量が、予め設定された第1閾値以下になったことが検知されると、前記空調室外機とのデータ通信を中断させて前記デバイスアンテナを介して前記空調室外機に給電要求を送信し、前記給電要求を送信したことに応答して前記デバイスアンテナから無線供給された電力を前記蓄電池に充電するように設定を切り替える切り替え制御部と
を備えることを特徴とするスマートデバイス。
【請求項4】
前記切り替え制御部は、前記蓄電池に電力を充電するように設定を切り替えた後、前記残容量監視部において前記蓄電池の残容量が前記第1閾値よりも高い、予め設定された第2閾値を超えたことが検知されると、前記デバイスアンテナを介して前記空調室外機に、中断したデータ通信処理による送信対象のデータの再送要求を送信し、前記蓄電池への充電を停止させて、前記デバイスアンテナを介してデータ通信を再開させるように切り替える
ことを特徴とする請求項3に記載のスマートデバイス。
【請求項5】
無線通信を行うためのデバイスアンテナを備え、複数の空調室内機に接続された空調室外機と、前記デバイスアンテナを介して空調制御に関するデータの無線通信を行うスマートデバイスが、
前記空調室外機とのデータ通信中に、自スマートデバイスを稼動させる電力を供給する蓄電池の残容量が、予め設定された第1閾値以下になったことを検知すると、前記空調室外機とのデータ通信を中断させて、前記デバイスアンテナを介して前記空調室外機に給電要求を送信し、前記給電要求を送信したことに応答して前記デバイスアンテナから無線供給された電力を前記蓄電池に充電するように設定を切り替え、その後、前記蓄電池の残容量が前記第1閾値よりも高い、予め設定された第2閾値を超えたことを検知すると、前記デバイスアンテナを介して前記空調室外機に、中断したデータ通信処理による送信対象のデータの再送要求を送信し、前記蓄電池への充電を停止させて、前記デバイスアンテナを介してデータ通信を再開させるように切り替える
ことを特徴とするデータ通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空調システム、およびこれに用いるスマートデバイス、データ通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、業務用の空調機として、1台の室外機に複数台の室内機が接続されて構成されたマルチエアコンがある。このようなマルチエアコンの室外機では、接続された各室内機に関する設定情報やセンサ情報等が逐次取得されており、管理者はリモート式のコントローラを用いて室外機と通信を行うことで、これらの情報の取得や室外機・各室内機に関する設定変更操作等を行い、空調機を管理している。
【0003】
空調機の管理を行うためのリモートコントローラとして、近年広く普及しているスマートデバイスを用いる場合がある。スマートデバイスを用いて空調機の管理を行うことにより、多様なアプリケーションを利用して効率よく処理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−155376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スマートデバイスを用いて空調機の管理を行う場合、上述したようなマルチエアコンでは、管理対象の室外機および室内機が複数台に及び、情報管理項目も多数あることから、室外機とスマートデバイスとの間で送受信される情報量も膨大であり、管理作業に多くの時間を要する。
【0006】
しかし、スマートデバイスを用いて長時間作業を行うとその途中で充電量が不足して作業に支障をきたすことがあるという問題があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、スマートデバイスを用いて空調システムの管理作業を行う際に、スマートデバイスの充電量不足による作業の中断を回避して、円滑に情報の送受信処理を行うことを可能にする空調システム、およびこれに用いるスマートデバイス、データ通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための実施形態によれば空調システムに用いるスマートデバイスは、蓄電池の残容量監視部と、デバイスアンテナと、切り替え制御部とを備える。残容量監視部は、スマートデバイスの蓄電池の残容量を監視する。デバイスアンテナは、空調システム内の室外機と無線通信を行う。切り替え制御部は、蓄電池の残容量が予め設定された第1閾値以下になったことが検知されると、室外機に給電要求を送信し、給電要求を送信したことに応答してデバイスアンテナを介して無線供給された電力を蓄電池に充電させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による空調システムを示す全体図である。
図2】本発明の一実施形態による空調システムの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による空調システムの動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態による空調システムの室外機にスマートデバイスを保持するホルダを設置した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〈一実施形態による空調システムの構成〉
本発明の一実施形態による空調システムの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態による空調システム1は、室外機10およびこの室外機10に通信線および冷媒配管により接続された室内機20−1、20−2、20−3と、室外機10とNFC(Near Field Communication)による無線通信可能な状態に構成されたスマートデバイス30とを備える。本実施形態においては室外機10に3台の室内機20−1〜20−3が接続されている場合について説明するが、これには限定されず、2台または4台以上の室内機が接続されていてもよい。
【0011】
室外機10およびスマートデバイス30の詳細な機能構成について、図2を参照して説明する。室外機10は、室外機制御部11と、NFCにより通信を行うための室外機アンテナ12とを有する。室外機制御部11は、データ処理部111と、給電処理部112とを有する。データ処理部111は、各室内機20−1〜20−3および自身の室外機10の空調制御に関するデータを保持し、スマートデバイス30からのデータ要求に応答してこれらのデータを提供する。またデータ処理部111は、スマートデバイス30からの指示に応答して、該当する室内機20または自室外機10の動作の制御や設定の変更等を行う。給電処理部112は商用電源40に接続され、スマートデバイス30からの給電要求に応答して無線給電処理を行う。
【0012】
スマートデバイス30は、タッチパネルで構成される入出力部31と、デバイス制御部32と、NFCにより通信を行うためのデバイスアンテナ33と、自スマートデバイス30に電力を供給する蓄電池34とを有する。
【0013】
デバイス制御部32は、残容量監視部321と、管理情報処理部322と、充電制御部323と、切り替え制御部324とを有する。残容量監視部321は、蓄電池34の残容量を所定時間間隔で監視する。管理情報処理部322は、入出力部31から入力された情報に基づいて空調制御に関する所定データを室外機10から取得する処理や、室内機20−1〜20−3や室外機10の動作の制御や設定の変更等を行うための指示を送信する処理を行う。充電制御部323は、室外機10から無線にて供給される電力を蓄電池34に充電する。切り替え制御部324は、通常時は、管理情報処理部322が、デバイスアンテナ33を介して室外機10とデータ通信可能な状態に設定し、残容量監視部321において蓄電池34の残容量が所定値以下になったことが検知されると、管理情報処理部322と室外機10とのデータ通信を中断させて、充電制御部323からデバイスアンテナ33を介して室外機10に給電要求を送信させ、当該給電要求を送信したことに応答して供給された電力を蓄電池34に充電させるように設定を切り替える。
【0014】
〈一実施形態による空調システムの動作〉
次に、本実施形態による空調システム1の動作として、空調システム1の管理者が、スマートデバイス30を用いて、空調システム1内の空調制御に関するデータを室外機10から取得する場合の処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0015】
本実施形態においては、デフォルト状態として、スマートデバイス30の切り替え制御部324により、管理情報処理部322がデバイスアンテナ33を介して室外機10と空調制御に関するデータ通信可能な状態に設定されている。また、スマートデバイス30の残容量監視部321において、蓄電池34の残容量が所定時間間隔で監視されている。
【0016】
このように設定された状態で、管理者の操作により、スマートデバイス30の入出力部31から空調制御に関する所定のデータ要求が入力されると(S1)、入力されたデータ要求が、管理情報処理部322によりデバイスアンテナ33から無線送信される(S2)。
【0017】
室外機10では、スマートデバイス30から送信されたデータ要求が室外機アンテナ12から受信され、データ処理部111において、当該データ要求に基づいて特定されるデータ、例えば、室内機20−1〜20−3に関する初期設定データや、各室内機20−1〜20−3内に設置されたセンサで取得された室温データ、室外機10による運転状態データ等が取得される。そしてデータ処理部111により、取得されたデータを室外機アンテナ12からスマートデバイス30に無線送信する処理が開始される(S3)。
【0018】
スマートデバイス30では、デバイスアンテナ33を介して管理情報処理部322において、室外機10からのデータ受信が開始される(S4)。
【0019】
室外機10からスマートデバイス30へのデータ送信が実行されている状態で、残容量監視部321において、蓄電池34の残容量が予め設定された第1閾値以下になったことが検知されると(S5の「YES」)、切り替え制御部324により、管理情報処理部322と室外機10との空調制御に関するデータ通信を中断させて、充電制御部323により充電制御を開始させるように設定が切り替えられる。ここで第1閾値は、スマートデバイス30により空調システム1の所定の管理作業を最後まで完了させるために必要な蓄電池34の蓄電量として予め設定される値である。
【0020】
設定が切り替えられると、充電制御部323からデバイスアンテナ33を介して室外機10に給電要求が送信される(S6)。
【0021】
室外機10では、スマートデバイス30から送信された給電要求が室外機アンテナ12から受信され、これに基づいてデータ処理部111で実行中の空調制御に関するデータ送信処理が中断されるとともに、給電処理部112において、当該給電要求に応答して無線給電処理が開始される(S7)。
【0022】
給電処理部112による無線給電処理が開始されると、室外機10から室外機アンテナ12を介して供給された電力が、スマートデバイス30のデバイスアンテナ33から受電され、充電制御部323により蓄電池34への充電が開始される(S8)。
【0023】
充電が実行されたことにより、残容量監視部321において蓄電池34の残容量が予め設定された第2閾値を超えたことが検知されると(S9の「YES」)、切り替え制御部324により、充電制御部323による充電処理を中断させて、ステップS7において実行中に中断されたデータの再送を開始させるように設定が切り替えられる。ここで第2閾値は、第1閾値よりも高い値であり、スマートデバイス30により空調システム1の所定の管理作業を最後まで完了させても、蓄電池34の残量が十分に確保される値で予め設定される。
【0024】
設定が切り替えられると、管理情報処理部322からデバイスアンテナ33を介してデータ再送要求が送信される(S10)。
【0025】
室外機10では、スマートデバイス30から送信されたデータ再送要求が室外機アンテナ12から受信され、これに基づいて給電処理部112で実行中の給電処理が停止されるとともに、データ処理部111において中断した処理による送信対象のデータの再送信処理が開始される(S11)。そして、スマートデバイス30では、デバイスアンテナ33を介して管理情報処理部322において、室外機10からのデータ受信が開始される(S12)。
【0026】
その後、室外機10のデータ処理部111において送信対象のデータの送信処理が完了すると(S13の「YES」)、室外機10における一連の処理が終了する。また、スマートデバイス30において受信処理が完了すると(S14の「YES」)、スマートデバイス30における一連の処理が終了する。
【0027】
以上の本実施形態によれば、スマートデバイスを用いた空調機の管理作業中に、スマートデバイスの充電量が低減し、一連の管理作業を完了させるまでの電力量が足りなくなったときには、一時的に充電処理に切り替え、管理作業に必要な分の充電処理が自動で実行されるため、電力不足による作業の中断を回避しつつ効率よく充電処理及び通信処理を行い、円滑に管理作業を行うことができる。
【0028】
上述した実施形態において、図4に示すように、室外機10の室外機アンテナ12の位置にデバイスアンテナ33が対応するように、スマートデバイス30を保持するホルダ50を設置してもよい。このようにホルダ50を設置することにより、充電処理中に管理者が当該ホルダ50にスマートデバイス30を固定させることができ、管理者の負担を軽減させて確実に充電処理を実行させることができる。
【0029】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1…空調システム、10…室外機、11…室外機制御部
12…室外機アンテナ、20,20−1,20−2,20−3…室内機
30…スマートデバイス、31…入出力部、32…デバイス制御部
33…デバイスアンテナ、34…蓄電池、40…商用電源、50…ホルダ
111…データ処理部、112…給電処理部、321…残容量監視部
322…管理情報処理部、323…充電制御部、324…切り替え制御部
図1
図2
図3
図4