(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係るペリクル101のデマウント方法を示す模式図(断面図)である。
図1(a)に、ペリクル101が配置されたフォトマスク105を示す。ペリクル101は、ペリクル膜102とペリクル枠103を有する。
【0021】
ペリクル101をフォトマスク105からデマウントする場合、本発明の一実施形態によれば、
図1(b)のように、ペリクル膜102にシート100を密着させる。
【0022】
図1(b)では、単にシート100をかぶせることで密着させる方法を記載しているが、シート100上にフォトマスク105に配置されたペリクル101のペリクル膜102を載置する方法で密着させてもよい。また、ペリクル膜102とシート100とを外力を加えて接続させてもよいし、外力を加えず、シート100の自重や、シート100とペリクル膜102との分子間力等の引力によってシート100とペリクル膜102を密着させてもよい。あるいは、ペリクル膜102とシート100を近接させた状態で減圧環境に置いたり、ペリクル枠103に開けられた孔を利用してペリクル101の内側に空気を送り込むと、ペリクル101の内側が陽圧になりペリクル膜102が外側に膨らむ。この力を利用してシート100にペリクル膜102を貼り付けてもよい。この場合、万一膜が破損しても膜断片はシート側に飛散するため、マスク汚染を低減できる。
【0023】
ここで、シート100は、フィルム層と、粘着層または接着層を含む。フィルム層には、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)を用いることができるが、これらに限定されるものではない。透明ないし半透明のフィルム層を用いることで、シート100の貼りあわせが容易となるため好ましい。本発明に係るシート100に用いるフィルム層は、必ずしも透明や半透明な材料に限られるものではない。
【0024】
フィルム層は、適度な強度があることが好ましく、厚さ50μm以上500μm以下であることが好ましい。より好ましくは100μm以上200μm以下である。
【0025】
粘着層又は接着層は、粘着に十分な厚みを有することが好ましく、厚さ1μm以上500μmである。より好ましくは、10μm以上200μm以下である。
【0026】
シート100に配置する粘着層に用いる材料としては、例えば、ゴム系、アクリル系、シリコン系、ウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、エチレン酢酸ビニル共重合体や、オレフィン系、ポリブタジエン系、スチレン系、イソプレン系等の各種熱可塑性エラストマー系等の材料があるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
また、シート100に配置する接着層に用いる材料としては、例えば、フェノール系、尿素系、メラミン系、エポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリイミド系、シアノアクリレート系、ジメタクリレート系等の硬化型材料があるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
シート100には、たとえば、膜厚180μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムと膜厚20μmの粘着層とを含むシートを用いてもよい。また、粘着層は、PETフィルムに塗工してから用いてもよい。
【0029】
そのほかの例として、シートとして、膜厚180μmのポリプロピレン(PP)と膜厚20μmの粘着層の共押出2層フィルムを用いてもよい。
【0030】
本実施形態においては、フォトマスク105に配置されたペリクル101の少なくともペリクル膜102をシート100と密着させ、フォトマスク105から、ペリクル膜102を剥離する(
図1(c))。
【0031】
続いて、ペリクル枠103をフォトマスク105から剥離する。本実施形態においては、シート100をペリクル膜102に密着させて、ペリクル膜102を補強することにより、剥離時でのペリクル膜102の破損防止および/または破損した破片の飛散防止し、フォトマスク105にダメージを与えることなく、ペリクル膜102とペリクル枠103をデマウントすることができる。
【0032】
(実施形態2)
図2は、本発明の一実施形態に係るペリクル201のデマウント方法を示す模式図(断面図)である。
図2(a)、ペリクル201が配置されたフォトマスク205を示す。ペリクル201は、ペリクル膜202と、ペリクル枠203を有する。
【0033】
実施形態2は、実施形態1とは異なり、ペリクル膜とペリクル枠とをまとめてデマウントする方法である。
【0034】
ペリクル201をフォトマスク205からデマウントする場合、本発明の一実施形態によれば、
図2(b)のように、ペリクル膜201にシート200を密着させる。
【0035】
図2(b)では、単にシート200をかぶせることで密着させる方法を記載しているが、シート200上にフォトマスク205に配置されたペリクル201のペリクル膜202を載置する方法で密着させてもよい。また、ペリクル膜202およびペリクル枠203とシート200とを外力を加えて接続させてもよいし、外力を加えず、シート200の自重や、シート200とペリクル膜202との分子間力等の引力によってシート200とペリクル膜202を密着させてもよい。
【0036】
ここで、本実施形態におけるシート200は、実施形態1と同様の構成、すなわち、シートの形状や材質については実施形態1と同様の構成を用いることができるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
本実施形態においては、フォトマスク205に配置されたペリクル201の少なくともペリクル膜202をシート200と密着させ、フォトマスク205から、ペリクル膜202とペリクル枠203ごとシート200をデマウントする。
【0038】
本実施形態は、ペリクル膜202とペリクル枠203の接着力が、シート200をペリクル膜202に密着させてデマウントするときにかかる力に耐えうる場合に、簡易にペリクル201のデマウントを実現することができる。
【0039】
これによって、
図2(c)のように、フォトマスク205からペリクル膜202とペリクル枠203を一挙にデマウントすることができ、作業工程が短縮される。
【0040】
(実施形態3)
図3は、本発明の一実施形態に係るペリクル301のデマウント方法を示す模式図(断面図)である。
図3(a)に、ペリクル301が配置されたフォトマスク305を示す。実施形態3は、実施形態1および実施形態2と、ペリクル枠の構造が異なる場合である。
【0041】
ペリクル301をフォトマスク305からデマウントする場合、本発明の一実施形態によれば、
図3(b)のように、ペリクル膜302にシート300を密着させる。
【0042】
図3(b)では、単にシート300をかぶせることで密着させる方法を記載しているが、シート300上にフォトマスク305に配置されたペリクル301のペリクル膜302を載置する方法で密着させてもよい。また、ペリクル膜302とシート300とを外力を加えて接続させてもよいし、外力を加えず、シート300とペリクル膜302との分子間力等の引力によってシート300とペリクル膜302を密着させてもよい。
【0043】
ここで、本実施形態におけるシートに関しては、シートの形状や材質については実施形態1と同様のものを用いることができるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態においては、フォトマスク305に配置されたペリクル301の少なくともペリクル膜302をシート300と密着させ、フォトマスク305から、ペリクル膜302を剥離する(
図3(c))。
【0045】
続いて、ペリクル枠303をフォトマスク305から剥離する。本実施形態においては、シート300をペリクル膜302に密着させて、ペリクル膜302を補強することにより、剥離時でのペリクル膜302の破損を防止し、フォトマスク305にダメージを与えることなく、ペリクル膜302とペリクル枠303をデマウントすることができる。
【0046】
(実施形態4)
実施形態4は、実施形態3とペリクルの構造は同じである。
【0047】
本実施形態に係るペリクルのデマウント方法は、実施形態2に類似し、ペリクル膜とペリクル枠とを一挙にデマウントする方法である。
【0048】
図4は、本発明の一実施形態に係るペリクル401のデマウント方法を示す模式図(断面図)である。
図4(a)に、ペリクル401が配置されたフォトマスク405を示す。ペリクル401は、ペリクル膜402とペリクル枠403を有する。
【0049】
ペリクル401をフォトマスク405からデマウントする場合、本発明の一実施形態によれば、
図4(b)のように、ペリクル膜402およびペリクル枠403にシート400を密着させる。
【0050】
図4(b)では、単にシート400をかぶせることで密着させる方法を記載しているが、シート400上にフォトマスク405に配置されたペリクル401のペリクル膜402を載置する方法で密着させてもよい。また、ペリクル膜402およびペリクル枠403とシート400とを外力を加えて接続させてもよいし、外力を加えず、シート400とペリクル膜402およびペリクル枠403との分子間力等の引力によってシート400とペリクル膜402およびペリクル枠403を密着させてもよい。
【0051】
ここで、本実施形態におけるシートは、実施形態1と同様のものを用いることができるため、詳細な説明は省略する。
【0052】
本実施形態においては、フォトマスク405に配置されたペリクル401のペリクル膜402およびペリクル枠403にシート400と密着させるため、フォトマスク405からペリクル膜402およびペリクル枠403を一挙に剥離することができる(
図4(c))。
【0053】
(実施形態5)
本発明に係るシートは、実施形態1に説明したものに限定されず、様々な態様が可能である。例えば、シートに孔を開けてもよい。フィルム張り合わせ時に、気体がペリクル膜とフィルムとの間に入り込み、貼りあわせ時のペリクル膜の破裂などが生じうる。しかし、本実施形態においては、孔が通気口の役割を果たすため、ペリクル膜の破裂を防ぐことができる。
【0054】
たとえば、孔としては、シートに、5mm間隔で直径100μmの孔を開けてもよい。
【0055】
そのほかの例として、シートの粘着層又は接着層に格子構造の溝を有するものとしてもよい。本実施形態においてはフィルム張り合わせ時に、ペリクル膜とフィルムとの間に入り込んだ気体が、格子構造から外部へ排出され、ペリクル膜の破裂を防ぐことができる。
【0056】
本実施形態に係るシートの態様は、上述した実施形態1乃至4の何れにも適用することができる。
【0057】
(実施形態6)
本発明に係るシートは、実施形態1に説明したものに限定されず、様々な態様が可能である。例えば、シート500の隅部にジグ穴509を設け、この部分に剥離ジグを接続し、荷重をかけてペリクル501ないしペリクル膜502をフォトマスク505からデマウントしてもよい。
【0058】
図5(a)に、本実施形態に係るペリクル501のデマウント方法を示す模式図(上面図)と、
図5(b)に、本実施形態に係るペリクル501のデマウント方法を示す模式図(断面図)を示す。本実施形態のペリクル枠は、ジグ穴が存在する以外は、実施形態1及び2と同様の構造である。
【0059】
ペリクル全体に均等に荷重をかけることができることから、好適な態様として、ジグ穴509は隅部に配置してもよい。図面において、ジグ穴509は隅部に配置されているが、ジグ穴509を設ける場所は特に限定されない。
【0060】
図6(a)に、本実施形態に係るペリクル601のデマウント方法を示す模式図(上面図)と、
図6(b)に、本実施形態に係るペリクル601のデマウント方法を示す模式図(断面図)を示す。ジグ穴は、
図5のようにペリクル面と垂直な方向に配置してもよいし、
図6に示すようにペリクル面と平行な方向に配置してもよい。
【0061】
また、
図5及び
図6では、ジグ穴は、4箇所に設けられているが、必ずしも4箇所設けなければならないものではなく、1または複数箇所であればよい。また、ジグ穴がすべて同じ大きさである必要はなく、形状はジグ穴ごとに異なっていてもよい。
【0062】
本実施形態に係るシートの態様は、上述した実施形態1、2又は5の何れにも適用することができる。
【0063】
(実施形態7)
本発明に係るシートは、実施形態1に説明したものに限定されず、様々な態様が可能である。例えば、シート700にジグ穴709を設け、この部分に剥離ジグを接続し、荷重をかけてペリクル701ないしペリクル膜702をフォトマスク705からデマウントしてもよい。
【0064】
図7(a)に、本実施形態に係るペリクル701のデマウント方法を示す模式図(上面図)と、
図7(b)に、本実施形態に係るペリクル701のデマウント方法を示す模式図(断面図)を示す。本実施形態のペリクル枠は、ジグ穴が存在する以外は、実施形態3及び4と同様の構造である。
【0065】
ペリクル全体に均等に荷重をかけることができることから、好適な態様として、ジグ穴709は隅部に配置してもよい。図面において、ジグ穴709は隅部に配置されているが、ジグ穴709を設ける場所は特に限定されない。
【0066】
図8(a)に、本実施形態に係るペリクル801のデマウント方法を示す模式図(上面図)と、
図8(b)に、本実施形態に係るペリクル801のデマウント方法を示す模式図(断面図)を示す。ジグ穴は、
図7のようにペリクル面と垂直な方向に配置してもよいし、
図8に示すようにペリクル面と平行な方向に配置してもよい。
【0067】
また、
図7及び
図8では、ジグ穴は4箇所に設けられているが、必ずしも4箇所設けなければならないものではなく、1または複数箇所設ければよい。また、ジグ穴がすべて同じ大きさである必要もなく、形状はジグ穴ごとに異なっていてもよい。
【0068】
本実施形態に係るシートの態様は、上述した実施形態3乃至5の何れにも適用することができる。
【0069】
(実施形態8)
本発明に係るシートは、実施形態1に説明したものに限定されず、様々な態様が可能である。たとえば、シートを密着させる前に硬化性樹脂でペリクル膜を含浸し、樹脂を硬化させることで、ペリクル膜を補強する方法をさらに含んでもよい。
【0070】
本実施形態に係る硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂のいずれであっても適用可能である。例えば、エポキシ樹脂等を用いてもよい。
【0071】
また、ペリクル膜を含浸する方法として、ペリクルフレームに開けられた孔を利用してペリクル内部に樹脂を送液してもよい。これにより、ペリクル膜は完全に樹脂内に包埋できペリクル膜の破損を防止することが可能である。
【0072】
さらに好適な態様として、硬化性樹脂は低粘度のものが好ましい。たとえば、粘度が0.1cm
2/s以上10000cm
2/s以下程度が好ましく、0.1cm
2/s以上300cm
2/s以下がより好ましい。
【0073】
本実施形態に係るシートの態様は、上述した実施形態1乃至7の何れにも適用することができる。
【0074】
(実施形態9)
本発明に係るシートは、実施形態1に説明したものに限定されず、様々な態様が可能である。たとえば、硬化性樹脂をシート上及びペリクル膜上に滴下し、シートとペリクル膜を近接させ、液の表面張力によりシートとペリクル膜を密着させ、熱や光で樹脂を硬化させ、シートにペリクル膜を接着する方法であってもよい。
【0075】
硬化性樹脂は、低粘度で表面張力の小さいものが好ましい。たとえば、粘度が0.1cm
2/s以上10000cm
2/s以下程度が好ましい。熱硬化性樹脂の濡れ性が悪い場合は、濡れ性を改善する表面改質剤を添加しても良い。
【0076】
本実施例では、ペリクル膜に亀裂や孔がある場合であっても、液の表面張力でシートを膜と密着固定できる効果も奏する。
【0077】
本実施形態に係るシートの態様は、上述した実施形態1乃至8の何れにも適用することができる。