特許第6473693号(P6473693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6473693可撓性を有する構成要素材料の属性を一時的に変えることにより商品の組み立ての円滑化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473693
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】可撓性を有する構成要素材料の属性を一時的に変えることにより商品の組み立ての円滑化
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/333 20060101AFI20190207BHJP
   A41H 43/00 20060101ALI20190207BHJP
   D06C 23/00 20060101ALI20190207BHJP
   D06C 23/04 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   D06M15/333
   A41H43/00 A
   D06C23/00
   D06C23/04 B
【請求項の数】18
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-548002(P2015-548002)
(86)(22)【出願日】2013年12月13日
(65)【公表番号】特表2016-507661(P2016-507661A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(86)【国際出願番号】US2013075085
(87)【国際公開番号】WO2014093863
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年12月7日
(31)【優先権主張番号】61/736,796
(32)【優先日】2012年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515161157
【氏名又は名称】ゾルナウ,ジョナソン
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ゾルナウ,ジョナソン
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−289104(JP,A)
【文献】 特開平09−170107(JP,A)
【文献】 特開平10−266073(JP,A)
【文献】 特表平05−508196(JP,A)
【文献】 特開昭60−151382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06B、C、G、H、J、M
A41H
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造プロセスにおける布地材料の使用を促進するために、布地材料の物理的な属性を一時的に変化させる方法であって、該方法は、
布地材料の一方の側または両方の側で処理剤のフィルムを薄層にすることによって、布地材料を一時的に硬化させる工程と、
化された布地材料をミシンに隣接する所定の位置に、ロボット的に位置付けする工程と、
ミシンを使用して、硬化された布地材料の一部を、別の一時的に硬化された布地材料に取り付ける工程と、および
布地材料から処理剤を除去するために溶媒を適用する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
可撓性材料上への処理剤の蒸気凝縮または堆積、可撓性材料の一方の側または両方の側での処理剤のフィルムの薄層化、処理剤の槽における可撓性材料の浸漬、処理剤による可撓性材料の粉末形態でのフロック加工、あるいは溶液堆積または電気めっき技術を介した処理剤による可撓性材料のコーティングによって可撓性材料を処理する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
硬化剤のマスクしたまたは部分的な適用を用いる硬化剤の選択的な適用、あるいは硬化剤の選択的な除去をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
温度、気圧、湿度、大気中の気体の構成、磁場または電場の存在、電磁エネルギー源の存在、音響エネルギー源の存在、あるいは触媒材料の存在を含む、製造プロセスの環境変数の変動によって堅くなるように可撓性材料を処理する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
このプロセスに晒される材料は、弾性と柔軟性が減少して堅くなるように作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
材料は、後の製造プロセスの機械視覚による識別、ロボットによる取り扱い、および組み立てを支援するために、マークの適用を介して増強される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
材料のマークは視覚的なものであり、付加的な印刷プロセスによって適用される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
材料のマークは物理的なものであり、材料の形態を定義するためのマークを形成することによって適用される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
材料のマークは、X線、赤外線、磁気、または他の非可視光線撮像化技術を用いて対照的に見えるように設計されたマーキング材料のような非視覚的な検出のために設計される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
材料のマークは非一時的なものであり、製造される製品の最終的な設計に組みこまれる、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
このプロセスに晒される材料は、請求項7に記載の付加的な印刷プロセスを介して、マークの適用に対してより受容力があるように作られ、
ここでマークは機械視覚のために構成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
このプロセスに晒される材料は、エンボス加工のために成型可能な表面を設けること、または物理的なマークを追加するために融合可能な表面を設けることによって、請求項8に記載の物理的な刻印プロセスを介して、マークの適用に対してより受容力があるように作られ、
ここでマークは機械視覚のために構成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
このプロセスに晒される材料は、処理剤に含まれる強磁性体の一時的な適用を介して磁場に対して反応するように作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
このプロセスに晒される材料は、空気または水に対する透過性が低くなるように作られ、その結果、材料は、空気圧または水圧によるロボットによる取扱いによって操作され得るまたはより効率的に操作され得る、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
視覚的な機械的操作を支援するマークは、柄、ブラケット、グロメット、留め金、スナップ、またはマジックテープ式ファスナー構成要素などの、処理された材料に加えられる物理的な構成要素である、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
材料に加えられる物理的な構成要素は、組み立てジグ、見当合わせ点、ガイドレール、レール、または歯の付いたラックの方法で、組み立て工具と機械的に連動する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
このプロセスに晒される材料は一時的に粘着的になるように作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
このプロセスに晒される材料は、請求項2に記載の方法と連動して圧縮または拡張によってその弾性または密度を変化させ、その結果、密度または弾性の変化がプロセスの残りの間、「変更されない」、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2012年12月13日に出願された米国仮特許出願61/736,796号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、可撓性を有する、弾性を有する、または密でない(loose)組成物を有しているため、機械的に操作するのが困難な構成要素から商品を製造する分野を対象としている。
【背景技術】
【0003】
可撓性材料は、布地のように、機械を使用した製造工程に課題を突きつけている。従って、衣服の製造などの主として可撓性材料を使用する任意の製品の工業生産は、特定の工程について機械の助けを借りて衣服を手動で組み立てる労働者が大勢を占めている。
【0004】
衣服の製造では構成要素の切断またはボタン、ボタン穴、ポケットなどの追加などの特定の工程を行う多くの自動的なプロセスがあるが、これらはすべて自動的なプロセスを促進するために途中の多くの工程で人間の介入を必要とする(例えば機械用のジグに衣服を置くこと)。これにより、製造時に一層の効率を求める機会は実現されることなく終わる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、現在の自動プロセス間の隙間を埋めることにより可撓性を有する製品の製造を支援し、可撓性を有する製品の自動的な製造におけるさらなる進展を促進することを目標とする。これは材料の物理的および視覚的な属性の一時的な変更によって得られ、その結果、材料は製造中により容易に操作され得る。
【0006】
このプロセスによって影響を受ける可能性のある属性は、材料の剛性、機械的または物理的なマークの存在、材料の密度、材料の通気性または流体透過性、磁場に対する材料の反応性、または材料の粘着特性である。
【0007】
このプロセスは製品の組み立ての前または最中に適用される。処理される材料の属性を変更させることで、可撓性を有する商品の製造に従来から使用される技術−裁縫、リベット留め、融合など−と協働して、ロボットによる把持と位置決め、スタンピング、ロール成形、圧着などの剛性材料を用いた作業のために開発された技術を駆使した製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】切れ目のない布地からの構成要素の、テクスチャード加工したローラーによる薄層状の熱軟化性のポージングエージェント(posing agent)の適用およびその後のエンボス加工と、ローリングカッターによる切断の一例である。
図2】溶解したポージングエージェントまたは溶液中のポージングエージェントのスプレーノズルの真下を通過する際の密でないかさばった材料を描いている。
図3】さまざまな機能表面特性に組み込まれ、該特性を付けたポージングエージェントを用いる布地の処理を描いている。
図4】様々な種類の表面指示薬を描く。
図5】熱軟化性のポージングエージェントで処理した材料に対して型を与える機構を描く。
図6】間接式の組み立てジグのエフェクターを描く。
図7】ステッチ長コンプライアンス機構(compliance mechanism)を描く。
図8】衣服の誘導された変形と衣服に対するミシンの配置を調整するために使用することができる機構を描く。
図9】折り畳み式の裏返しフレーム(eversion frame)を描く。
図10】裏返し機構(eversion mechanism)を描く。
図11】最終的な裏返しの一例を描く。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、可撓性を有する製品の製造を支援することと、可撓性を有する製品の自動製造のさらなる進展を促進することを目標としている。
【0010】
本方法は衣服の自律的な大量生産を目標として開発されたが、多種多様な商品―可撓性材料を含むものは何でも―衣服から帆船の帆、手荷物、キャンプ用テント、たこ、または覆いの付いた家具に至るすべての生産時の多くの他の応用例に役立つものでなければならない。
【0011】
樹脂含浸炭素繊維または繊維ガラス構成物のように、織られた基材/構成要素を要求する複合材料用の前駆体構成要素を製造するためにそうした技術を使用することができる。
【0012】
方法の要素は、手動による適用から、コンピューター制御したラピッドプロトタイピング、連続的で本格的な規模の完全に自律的な工業生産に至るまで、任意の生産規模で有用であり得る。
【0013】
最も容易な方法で可撓性材料を操作して変更することを目標として、このプロセスは、可撓性材料を用いて、これに一時的な属性を吹き込むことからなり、このようにして製造に役立つ作業用材料を構成する。
【0014】
材料の特性に対してなされた改良は、視覚的または機械的なマークを加えることを含むため、作業者またはカメラでガイドされたロボットは、磁場によって把持する際に役立つ磁気反応性材料を加え、空気圧、真空、または水圧を用いる方法による操作のために材料のガスまたは流体に対する透過性を弱めることによって、材料の密度を変更することによって、あるいは、――もっとも有用な適用では――材料を機械的に形成および操作することができるように材料の剛性を変更することによって、それを正確に位置決めすることができる。
【0015】
処理材料の追加、材料が処理される環境変数の警告、あるいはこの2つの任意の組み合わせによって、材料を一時的に堅くすることができる。
【0016】
本明細書でポージングエージェントと呼ばれる処理材料が布地に適用されることで、その後の組み立て工程が容易になる。ポージングエージェントは以下の基準を満たす必要がある:
・――熱や圧力下でさえ――布地に直接、長時間接触して置かれる際に化学的に不活性でなければならず、組み立てられている衣服、または組み立てを行う機械および/または作業者に悪影響を及ぼしてはならない。
・布地に一時的に接合可能でなければならず、さらに、布地の基材を破損することなく取り除かれなければならない。したがって、容易に機械的に分離可能であるか、あるいは布地の基材で影響を与えない/相互作用しない材料に溶けるものでなければならない。
・著しく過剰な垂直重力と十分な処理力の下、圧力を直接加えることによって、あるいは、熱、溶媒、電場、または磁場を加えてその後取り除くことによって、曲げやすく位置決め可能でなければならない。著しい劣化を伴うことなく組み立て工程が要求するのと同じ数の改良状態に耐えることができなければならない。
・――処分用に安全であるために可能な限りの少数の工程と可能な限りの少量のエネルギーしか必要しないことを除いて、回収可能かつ再利用可能でなければならない。
【0017】
(可能な剤)
こうした基準は表に多くのオプションを残すことになるため、ポージングエージェントの役割に関して多種多様な材料を考慮する価値がある。恐らく、最も簡単なシナリオは、水をポージングエージェントとして使用し、その剛性を制御する方法として温度を使用するというものである。布地を水に浸し、凍らせ、機械によって操作し、所望の曲げ線に沿って一部先端を切り取り、曲げ、再度凍らせることなどができる。水は最終的に蒸発によって製造工程の最後に取り除くことができる。
【0018】
食卓塩またはデンプンなどの一般的な水溶性材料を使用して同様に単純なシナリオの構想を描くことができる。布地はこうした材料のいずれかの高濃度溶液で処理し、乾燥させ、堅くすることができる。その後、布地は少量の適切な溶媒(この場合は水)を用いて曲げ線に沿って処理され、再度硬化させるまたは再度硬化させるよう促されることになる。ポージングエージェントは適切な溶媒(この場合も水)ですすぐことで組み立ての最後に除去されることになる。
【0019】
別のタイプのポージングエージェントは、室温または室温近くで溶ける熱可塑性材料であるだろう。この特性を有する多くの有機的または無機的なワックスや天然および合成のポリマーがある。これらを布地に適用し、若干加熱して、曲げ線に沿って軟化させることができる。組み立ての後、水および界面活性剤、適切な溶媒、または2つのいくつかの組み合わせを用いて、プラスチックを洗い流すことができる。
【0020】
ポージングエージェントの1つの望ましいが決定的でない特性は、室温での永久的なある程度の柔軟性――一片を変形させ、そのままの状態で留まらせる能力を与える――である。例えば、接着剤でコーティングされ、かつ布地に接合した金属箔の薄いシートがこの目的に役立つことになる。これを成型して操作し、組み立て後に電解溶解または化学溶解によって取り除くことができる。金属と布地を接合させる接着剤も溶媒によって取り除かれることになる。
【0021】
これまでに議論された実際のポージングエージェントに加えて、それほど実際的ではないが依然として適用可能であると考えられる材料も数多くあり、これらはこの役割:磁場に反応する磁性流体(Ferrofluids)が布地をコーティングするために使用することができることについて考慮される。代替的に、機械的応力を加えることでその粘性が劇的に増加するコーンスターチや水のようなレオペクチック(rheopectic)またはダイラタントの非ニュートン流体が適用され、機械的応力または音場の適用により型に閉じ込められ、形作られた衣服片に短時間その形状を保持させるか、あるいは短時間変形の度合いを少なくとも制限する。こうした例は過剰に複雑になることが多いか、あるいは使用されていることを見ないことが多いが、ポージングエージェントの役割について考慮され得る材料の範囲を実証するのには依然として役立つ。
【0022】
(ポリビニルアルコール)
ポージングエージェントの役割についてここまで考慮されてきた材料のうち、ポリビニルアルコールが最良の候補である−−これは適切な布地に適用されるとき前述の基準をすべて満たす。これは工業量において利用可能な水溶性の熱可塑性プラスチックであり、実際に、布地の製造工程においてのり剤(sizing agent)としてすでに幅広く使用されている。その役割に関する利点に付け加えると、これは製造工程の最後に完全に回収し、将来再利用することができる(Gupta,2009)。
【0023】
議論を単純化するために、本書類の残りはポリビニルアルコールが硬化剤として使用されていると仮定する。接合したポージングエージェントと布地が形成されることを必要とする工程に関して、ポリビニルアルコールは加熱され、形成され、冷やされるまたは冷やすことを促される。他の材料については、操作に関して対応するプロセスが代わりに使用されなければならない。
【0024】
(剤の適用)
剤はフィルムとしてローラーから適用され、布地の表面上で薄層にされるか、あるいは溶融状態の液体としてまたは溶液で布地上に直接置かれる。あらかじめ作られたフィルムを使用する利点は、その製造が後の組み立て工程から分けられるということであり、全体的な作業スケジュール、布地供給速度、または可変切断速度と同期させる必要はなく、適用することができ、溶融状態または溶媒の蒸発からの冷却のための遅れを回避して、ほぼ即座に使用することができる。
【0025】
薄層状の熱軟化性のポージングエージェントの適用の一例が図1に実証されている。ポージングエージェント(1)のフィルムは、柔らかな布地(2)がその真下を通過する際にその上に供給される。ポージングエージェントは熱源によって柔らかくされ、その後、柔らかくなったポージングエージェントは回転ドラムによって布地表面上に圧縮され、ドラムは平らで(3)均一な薄層をもたらすか、あるいは、テクスチャード加工(4)してエンボス加工した表面をもたらす。
【0026】
布地に直接ポージングエージェントを置く利点は、それが物流の面とエネルギーの面で効率的であり、製造工程で実施されるモニタリングされ、必要のある工程と機構の数を最小限に抑えるということにある。しかしながら、交換条件は、一貫した平らなコーティングを保証するために布地の供給速度と完全に同期しなければならないという点で技術的な複雑さを増加させるものである。
【0027】
ほとんどの適用について、1つ以上の層において布地上でプラスチックフィルムを薄層にすることは、好ましいオプションであることが多い。しかしながら、このことを要求する状況では、プラスチックはカーテンコーティング、スクリーン印刷、スプレー、または液浸によって、フィルム上に溶融状態または溶液で置かれ得る。プラスチックは粉末固形形態で加えられ、中程度の熱と圧力下で、その後布地に対してまとめて焼結された。
【0028】
プラスチックを用いた布地の処理の前およびその最中に、全面的な変形を防ぐために、布地基材中の引張りをモニタリングして制御しなければならない。布地は故意に意図した引張りまで伸ばすか、引張を静止させて中立のままにすることができ、布地とプラスチックの薄層が完全に冷えるまで、所望の引張は維持されなければならない。
【0029】
プラスチックの適用が材料の当初の審美的かつ触覚の特性(その手、光沢など)のいくつかを損なうこともあり得るため、可塑化された表面が完成した衣服の外部上にないように、組み立てプロセスを操作しなければならない。代替的に、ポージングエージェントが取り除かれると、これらの特徴のための織物の処理を組み立て後に適用することができる。
【0030】
この工程による処理後、製品の構成要素は材料のシートから形成される。その後、これらをともに組み立てて連結することができる。その後、組み立てられた、または部分的に組み立てられた衣服を、裁縫、縁曲げ、融合、リベット留め、固定、接着、ひだ付け、ダーツ付けなどの現存の布地の接合と形成の技術を用いながら処理することができる。
【0031】
(水平でない片に対する剤の適用)
先の例は布地がローラーから平らに製造工程に入っていくと仮定した。これは頻繁にあることだが、ポージングエージェントが平らではない片に適用される必要がある状況――とりわけ、シャツのカフス、シャツの首下、または襟付きシャツの特定の襟のような織られた構成要素に接合されることになる編まれた衣服の構成要素の場合――がある。
【0032】
このシナリオでは、ポージングエージェントは、これよりも先に記載されたものとは異なるやり方で三次元の構成要素に適用されなければならない。編まれた構成要素はその所望の形態に似たマンドレルに置かれ、その後、ポージングエージェントで包まれ、ポージングエージェントに浸され、またはポージングエージェントを吹きかけられ得る。ポージングエージェントは硬化し、その後、構成要素は組み立てプロセスを結合することができる。
【0033】
いったん構成要素が接合されると、完成品を残して一時的な属性は取り除かれる。
【0034】
(ポージングエージェントの回収)
可能であれば、ポージングエージェントは後に再利用するために回収されるべきである。ポージングエージェントが溶液中にある場合、溶液を最初にろ過して、組み立て中に衣服の布地の構成要素から抜け落ちるかもしれない任意の繊維を取り除かなければならない。
【0035】
いったん溶液から任意の固体の汚染物質が取り除かれると、溶媒を蒸発させてポージングエージェントを残すことによって、ポージングエージェントを回収させることができる。これは、真空蒸着(Gupta,2009)、噴霧、またはドラム式乾燥、あるいは従来の蒸留といった複数の一般に用いられている技術によって生じ得る。使用される技術は、ポージングエージェントの熱分解(pyrolyzation)温度を超えるまたは該温度に近い熱を使用してはならない。
【0036】
ポージングエージェントは回収後、汚染と劣化について−分光分析と標準的な材質化学試験によって−評価されなければならない。いったん基準となる汚染と低下の割合が決定されると、一回文のポージングエージェントが特別な組み立て工程と共に使用された回数を系統的にトラッキングすることで、それをいつ精製または処分しなければならないかを予測することができる。
【0037】
この方法の好ましい実施形態では、可撓性材料を、それを堅くさせる熱可塑性フィルムで薄層にすることができる。剛性材料をその後熱によって柔らかくし、構成要素の所望の形状に形作ることができる。その後、最終的な組み立てに向けた準備において、ロボットまたは人間による把持、スタンピング、ロール成形、圧着、ハイドロフォーミング、真空成形などの、板金または重いプラスチックのような剛性材料で処理するために開発された方法を用いながら、構成要素を処理することができる。
【0038】
(事前成形)
見返し芯(Interfacing)と裏張り(Linings)
多くの衣服は互いの上に敷き詰められた1つ以上の布地の層から組み立てられる。これはいくつかの理由で行われる:美的特徴の理由――衣服の剛性を制御する(したがってそれが着用者から取り外された状態で掛けられている方法)ため、構造上重要な位置(ボタン穴のような)で衣服を強化し、布地が永久変形点まで伸びるのを防ぐため、およびさらなる断熱をもたらすため。適用に依存して、見返し芯と裏張りは、それらの周囲で接合されるか、あるいはそれらの相互表面領域の一部またはすべてに沿って一緒に融合されてもよい。
【0039】
このプロセスの文脈では、先に記載された薄層化と切断の技術に似たやり方で追加の相を準備する。主要な片の頂上に配された後、それらの関係は、活性化された接着剤のような標準的な可溶性の見返し芯の縫い込み技術を用いて永久的に固定されるか、あるいは、可溶の接着剤を用いて、ポージングエージェントを柔らかくして柔らかくした場所で主要な片に見返し芯を押し付けることによるすることによるスポット溶接を用いて、または、ポージングエージェントと同じ除去可能な材料から作られた機械的なファスナーによって、一時的に固定される。
【0040】
一般に使用される見返し芯は熱で活性化された接着剤と融合する――なぜならこれがポージングエージェントに干渉することもあるため、ポージングエージェントの厚さを設定するプロセスの前に融合した層を適用するか、あるいは代替的に、UVまたは触媒で活性化された接着剤のような熱で活性化されない接着剤を使用することもある。
【0041】
可溶性の裏張りの場合には、布地と見返し芯の表面は互いに対して直接接触していなければならず、その間に硬化剤の層を有することはできない。このシナリオでは、見返し芯は柔らかな間に取り扱われ、位置決められ、および固定されなければならないが、いったん固定されると、それは主要な片に適用されたポージングエージェントから利益を得るであろう。
【0042】
見返し芯は衣服の構造の特性を決定するために使用されることが多いため、ポージングエージェントによって加えられる層状材料に対するかさばりを最小限に抑えることが重要である。これは、見返し芯にポージングエージェントを前述のように適用し、および、この段落で先に議論した固定する技術を使用するだけで行うことができるが、隣接する層上の対応するポージングエージェントの表面と連携してポージングエージェントの厚さを変えることによってこれを達成することもできる。ポージングエージェントを重ね合わせて適用することで、ポージングエージェントを用いる利点を完全に犠牲にすることなく、全体的なかさばりを最小限に抑えることができる。詰め綿(batting)または絶縁体といった密でない材料もこのプロセスで取り扱うことができる:これらを硬化剤で処理し、その後、薄いシートに圧縮して取り扱うことができる。
【0043】
(かさばる材料)
密でないまたはシート中の、詰め綿/絶縁体のようなかさばる布地は、ポージングエージェントを用いて処理し、ポージングエージェントが硬化する際にローラー間またはダイスで圧縮することにより、このプロセスで取り扱われるように準備可能である。材料はいったん処理されると不織布の布地に似るようになり、他の布地片のように切断されて取り扱われ得る。ポージングエージェントが除去された後に、衣服の層の間に収容スペースが残される場合、材料はその標準の容積に戻る。処理される材料が製造中に加えられる温度と圧力にさらされても永久的に変形しないように注意を払わなければならない。
【0044】
図2は密でないかさばった材料(5)を描いている。この材料が溶融状態のポージングエージェントまたは溶液中のポージングエージェント(6)のいずれかのスプレーノズルの真下を通過する際、密でない材料はポージングエージェントでコーティングされる。コーティングされた材料はその後ローラー(7)によって圧縮され、材料の密度を一時的に変化させる。このプロセスは、容積を最小限に抑えるために真空中で行われる場合に強化され得る。
【0045】
随意に、圧縮処理の後またはその最中に、密な材料にポージングエージェント(1)による二次処理が施され、フィルムとして置かれて、第2の加熱ローラー(3)によって薄層化され得る。この二次処理は均一に密封された表面を与え、これは真空把持に、または気密の表面から利益を得る他の形成または把持方法に有利である。
【0046】
(ポージングエージェントの可変な厚みの有用性)
ポージングエージェントの厚さは、その後の組み立て工程で特定の作用をもたらすために、場所によって異なることもある。厚さのばらつきにより必要に応じて可変の剛性と柔軟性の領域が設けられ、1回の適用当たり使用されるポージングエージェントの重量を最小限に抑えるためにばらつきは最小限に抑えられなければならない。
【0047】
処理された布地の表面上に与えられる構造は、その後遭遇する機械――布地が一貫して簡単に機械まで供給され得るように、ガイドレール、レール、または歯付きベルトとして働く――と相互に作用することができる。
【0048】
ポージングエージェントの可変の厚さの様々な例が図2で見られ、ここでは、ポージングエージェント(1)で処理された布地(2)にはその長さ(15)に沿って延びる接合線(articulation line)がある。さらに、ポージングエージェントは、シームのかさばりを最小限に抑えるためにそのシームフランジ(5)に沿って著しく薄くなっており、打ち抜き穴(6)と連続したくぼみ(trough)(15)による針の貫通を容易にするために作られている。同様に、構造強化部(14)、および見当合わせ(registration)(12)と把持(13)の点が描かれている。
【0049】
図2は、表面にエンボス加工された滑らかな(10)および歯の付いた(8)レールを含む様々な機能要素を描いており、これは様々な機械(16)の供給およびガイドの機構における対応する構成要素と相互作用する。
【0050】
同様に、処理された布地(11)に成型された類似するガイドレールも描かれており、この場合、処理された布地は、その表面上に成型されたレールを有するのではなく、それ自体がレールに成型され、深いレリーフのエンボス加工あるいはその後のロール成形または成型のプロセスで実現される。
【0051】
(ポージングエージェントの厚さを設定する方法)
厚さはエンボス加工、彫刻、またはエッチングによって決定することができ、生産規模によって決定されることが多い。
【0052】
(エンボス加工)
エンボス加工は最終的な形態(topology)の陰画(negative)としてテクスチャー加工された表面で実現される:プレートまたは回転シリンダのいずれかとして、テクスチャー加工された表面は柔らかなポージングエージェントへと押圧され、薄くなる領域からポージングエージェントを動かし、厚くなる場所にポージングエージェントを置く。エンボス加工される表面は加熱され得るか、あるいはあらかじめ加熱した剤に押し付けられ得る。
【0053】
エンボス加工には、最も効率が良く最も処理能力技術が高いという利点があるが、道具のコストがかかり、大量の注文製作を要求する用途のために片ごとに調整することができない。
【0054】
(彫刻)
彫刻はスクライバーをポージングエージェントに押し付けることによって実現される。その後、スクライバーを移動させてポージングエージェントまでの所望のパターンを描き、その道にポージングエージェントを動かす。これは手動で行われ得るか、あるいはCartesianのプロッタ装置で自動化され得る。
【0055】
彫刻は注文用途や実験的な設備で役立つことができるが、低速度/処理量、およびポージングエージェントを移動させることができる程度によって制限されている(彫刻は線――接合の折り目やシームの打ち抜き穴を加えるのに適しているが、材料の大部分の中実な(solid)領域を取り除くことができないだろう)。ポージングエージェントが熱い間にスクライバーを適用することができるか、あるいは、加熱したスクライバーを冷たい剤に対して使用することができる。
【0056】
(エッチング)
レーザーエッチングは市販のレーザーエッチング機械で実現される。コンピューター制御されたレーザービームは表面を描き、それぞれの道を含む剤の薄層を蒸発させる。
【0057】
エッチングは非常に正確であるという利点があるが、これが製造サイクルから永久的に(さもなければ回収可能な)剤を取り除き、したがって、大規模な利用では望ましくないこともある。
【0058】
物理的な属性の変更に加えて、システムは視覚的かつ物理的なマークを適用して操作を完全に支援することができる。視覚的なマークは、データを符号化された一次元または二次元のグラフィックス(QRコードまたは図/配置ガイドのような)を含むことができるため、カメラまたは作業者は、所定の部分の意図した位置と配置を決定することができる。成形品を接合する際の正確な位置合わせや見当合わせにさらなるマークを使用することができる。任意の数のプロセス――裁縫、切断、折りたたみ、ポケットの追加、ボタンの追加などを管理するために、織物上に下書きを印刷することもできる。
【0059】
物理的なマークは、材料の表面に印刷されたグラフィックス、形態のマーク、または材料の表面に一時的に付けられた物理的な構成要素からなることができる。形態のマークはさらに2重の目的になり得て、後の接合、曲げ、圧着、ダーツ付け、またはひだ付けの作業に対する前駆物として役立つ折り目などの情報に関連しない役割を行うことができる。
【0060】
有用な印刷を妨げる凹凸のある表面を有する材料上で使用されるとき、視覚的なマークをポージングエージェントの層の頂上に適用することができ、これは−空隙を密封し、手触りを滑らかにし、化学的に融和可能な表面を提供するなどして、より適切な印刷面として使用することができる。
【0061】
形態のマーク、追加された物理的な構成要素、またはこれら2つの組み合わせは、ジグ、見当合わせ点、ガイドレールまたはレール、あるいは歯の付いたラックのような組み立てプロセスの作用に対する補佐役として機能することができるため、それを一貫して機械に供給することができる。
【0062】
(ドーピング)
組み立てプロセスの複雑さによっては、ポージングエージェント層の特性を変更させてその後の工程で観察と相互作用を促進することが必要なこともある。
【0063】
1つの片を選択的に加熱する能力は、そのアクセス可能性または位置決めにかかわらず、組み立て中に1つまたは複数の片を接合、分離、または改良するように要求されることもある。ポージングエージェントに対するサセプタ、微細な金属粒子および/または強磁性体粒子の混合物をポージングエージェントに加えることで、これは電磁放射または誘導加熱に晒されて加熱されることになる。
【0064】
金属粒子が鉄のやすり屑のように磁気に反応する場合、電磁石によってドープしたパッチを把持することができる。
【0065】
posing材料がその代りに色素と混ぜられると、先の段落で記載されているように、これは指示薬の役割を果たすことができる。色素が放射線不透過性である場合、これはその後の組み立て工程で一片の配置(arraignment)を走査するために使用することができ、有用な品質管理フィードバックを行うことができる。
【0066】
ポージングエージェント中において適切な濃度で紫外線(12b)にさらされると蛍光を発する色素を用いて、一片の表面(11b)にわたるポージングエージェントの相対的な厚さを示すことができる。この情報は機械視覚または人間の作業者を介して解釈可能であり、(前段落で議論された方法に類似したやり方で)有用な位置情報を示すために、そしてポージングエージェントの適用または基礎をなす布地の構造のあらゆる誤りを明らかにするために使用可能である。
【0067】
処理されている布地とは異なる色に不透明なまたは半透明な色素を加えることで、いったんポージングエージェントの厚さが設定されると、コントラストのパターンが明らかになる。高コントラストの領域を用いて機械視覚プロセスに情報を伝えることができ、半透明の色素――ポージングエージェントの厚さによって視覚的に変化する――を用いて品質保証目的のためにポージングエージェントの厚さを測定することができる。
【0068】
(適用される指示薬)
複雑な非同期式組み立て作業では、所定の片の同一性、機械視覚カメラまたは組み立ての作業者に対するその所望の操作(「この面を上に(this end up)」)、およびそれが隣接する片に対して持つべき関係――機械的ではなく視覚的な見当合わせマークを提供する――に関する有益な情報を用いて、個々の部品を明示する(label)必要があることもある。
【0069】
指示薬は、完全には自動化されておらず、ある程度の人間の協力を必要とする組み立て作業に特に役立つ。布地に印刷された下書き線は、裁縫、切断、折りたたみ、ポケットの追加、ボタンの追加などのような任意の数のプロセスを誘導することができる。
【0070】
指示薬は、ポージングエージェントの表面に直接印刷されるか、またはポージングエージェント自体に混合される色素を用いて、一時的なやり方で適用され得る。指示薬はポージングエージェントの表面上でもっぱらテクスチャーとしてエンボス加工も可能であり、不透明な光源を当てることで見える。
【0071】
形態的に示す情報も、後の接合、曲げ、圧着、ダーツ付け、またはひだ付けの作業に対する前駆物として役立つ折り目のように、情報に関連しない役割を含む表面改質に由来し得る。
【0072】
指示薬は、単純で情報を提供する幾何学的な記号――図、一致する形状、または単純な数のように――からなるか、あるいは1つ以上の機械で読み取り可能な1次元または2次元のバーコードでコード化された比較的複雑な情報を含むことができる。
【0073】
図4は様々な種類の表面の指標を描く。ポージングエージェント(1)で処理された布地(2)の片で、その表面上をエンボス加工された、印刷された、または課されたパターン(21)が示されている。接合の折り目(18)、把持または見当合わせ点(15)、歯またはレールのようなエンボス加工した機械的な相互作用ガイド(13)、および構造強化部(17)のような機能的な「パターン」が、傾いた、場合によっては平行になった光源(23)とつながれた機械視覚カメラ(22)を用いて画像化され得ることに留意する。様々な表面特徴によって投じられる特徴的な影(24)を用いて、カメラおよび任意の道具類または入ってくるエフェクターに対する片の配置を示すことができる。さらに、影の配置中のあらゆる収差がその片の誤りを示し、品質保証決定の機会として役立つことになる。
【0074】
色素を使用して表面指示薬をその片の上に印刷し、標準的な照明(25)を用いて機械視覚によって解釈することができる。ポージングエージェントの表面に印刷された指示薬は洗浄段階中にポージングエージェントと同時に除去される。その片自体に直接印刷された装飾用のグラフィックス(26)は衣服上に永久的に残るものであり、共通の機械視覚技術を使用して解釈されることも可能である。
【0075】
一時的なマークは、一般的な位置決め情報を与えるために使用されるブロックまたは矢印(27)のように単純な幾何学的形状であってもよく、光学文字認識ソフトウェア(またはもちろん人間の操作)にとって判読可能な文字でコード化されたデータを含むことができ、あるいは、2次元または3次元のバーコード(28)でコード化されたデータを含むことができる。マークを用いて機械またはオペレーターに実務的な下書き線――裾折りで辿らなければならない道、または将来的なシーム(29)の内部縁を装飾する位置合わせマークを示す――を伝えることができる。同様に、情報を提供するグラフィックスは、斜めに持ち上げられた際に影が所望の情報に関するグラフィック(30)の形状で投影されるように、ポージングエージェントの表面にエンボス加工され得る。
【0076】
(一時的な機能的表面の特徴)
ポージングエージェントが布地に適用され、その厚さがエンボス加工や種々の方法により設定された後に、処理された表面に追加の特徴を加えることができる。
【0077】
(機能)
(見当合わせ点)
見当合わせ点は、2以上の片を高い精度で互いに対して位置決めすることを可能にする機能的な表面特徴である。先細りになった嵌合表面は、2つに分けられた部分が互いに接近する際に、これらが中心のコンプライアンス機構の概念に似て、機械的に位置合わせを強いられることを保証する。見当合わせ点を用いて、片と片の間、片とジグの間、および片と把持エフェクター(gripping effector)――始動した機械的なグリッパーおよび真空または電磁気エフェクターを含む――の間の界面上における正確な位置決めを保証することができる。
【0078】
(把持点)
把持点は、布地に破損を与えたり歪めたりすることなく、一片が、把持エフェクター、ジグ、または隣接する片により適所でしっかりと保持されることを可能にする。
【0079】
短時間の把持について、単純な機械式ノブまたは柄は、機械が一片を堅く掴むことを支援することができる。中程度の期間の把持について、カムロックが有効に保持および解除することができる。把持エフェクターまたはジグによる長時間の把持について、ねじソケットがうまく機能し、把持が繰り返し要求される場合にはボルトによって、把持点が一度しか使用されない場合にはセルフタッピングねじによって固定される。
【0080】
把持された片は製造工程の間に利用可能な1つ以上の運動軸を有することが必要なときもある。このシナリオでは、把持点は、ボール連結部(a ball hitch)またはヒンジのどちから半分に類似することになり、対応するグリッパーが1つまたは2つの運動軸にそれを堅く保持することを可能にする。
【0081】
2つの片間の把持界面の場合、接合は、スナップリベットを用いて永久的に(組み立て工程の終了まで)、あるいは、マジックテープ式ファスナーによって一時的に、保持され得る。
【0082】
どんな把持点も見当合わせ点の機能性を含む可能性が高いということは注目に値する。
【0083】
図3は、ポージングエージェント(1)で処理された布地(2)の表面に張られた見当合わせ(15)と把持点(16)を実証する。
【0084】
(種類)
機能的な表面の特徴は、3つの方法の1つで一片に加えることができる:特徴は、布地をすでにコーティングしたポージングエージェントに直接成型され得るか、ポージングエージェント上に直接、射出成型され得るか、あるいは、別々に作られ、当該片に付着され得る。特徴が別々に作られて適用される場合、ポージングエージェントとして使用されるのと同じ剤から作ることが可能であるか、あるいは、異なる材料から作ることが可能である。
【0085】
非常に単純な見当合わせ点だけしか処理された表面に直接成型することができず、こうした点は布地がまだ熱い間に熱間ダイスを用いてポージングエージェントに押し付けられるか、あるいは布地に押し込まれる。
【0086】
より複雑な機能的な表面特徴は追加の材料の適用を要求することもある――いくつかの特徴については、当該片の表面上に直接射出成型することが適切なこともある。
【0087】
最も複雑な特徴は、カムロックのように、当該片上での配置の前に別の製造プロセスを要求することもある。
【0088】
別々に成形された片がポージングエージェントと同じ材料から作られている場合、一陣の熱風から熱を加えること、発熱体に晒すこと、赤外線放射、またはRF加熱――圧力を伴う――によって表面に接合され得る。超音波圧接装置で同じ結果を達成することができる。代替的に、少量の溶媒または仮止め接着剤が2つの表面を一緒に接合することになる。
【0089】
別々に成形された片がポージングエージェントとは異なる材料から作られている場合、仮止め接着剤は表面を接合することを要求される可能性が高い。代替的に、表面特徴の接続面をテクスチャー加工して、それを加熱されたポージングエージェントに押し付けることによって、機械的な接合を実現することができる。表面の質感は、機械加工、研削、粒子ブラスチング、レーザーエッチング、または化学処理によって適用され得る。
【0090】
ポージングエージェントと一緒に溶解しない材料から作られた表面特徴は、それが張られたポージングエージェントを取り除かれるときに、組み立ての最後に組み立てられた衣服から剥がれる。それは回収および再利用することができる。材料をその特定の特性で選ぶこともある――磁気的に反応する材料は電磁気把持エフェクター(electromagnetic gripping effectors)のための把持点に必要とされ、可撓性を有するガスケット材料から作られた把持点は真空グリッパーとうまくかみ合うことになる。
【0091】
見当合わせ点と把持点は、後の作業に先立って、任意の製造工程の間に導入された任意の差異を修正するために遠隔中心位置決め機構(remote center positioning mechanism)を備えたエフェクターとかみ合う。
【0092】
(切断)
(切断技術)
切断室は、工業規模の衣服の製造においてほとんどの先端技術と高出力最適化が生じた場所であり、ここでなされる改良はほとんどない。現在のところ、衣服の組み立てのための切断作業は、携帯型の切断道具、浮き出し加工プレス、およびプロッターナイフ、レーザーカッター、およびウォータージェットカッターのようなCNC道具を用いる。
【0093】
ポージングエージェントの適用によって利用可能となる唯一の新しい切断技術は、回転式ダイカッター(a rolling die cutter)の技術であり、これにより、大量の片を平面から正確に切断することが可能となる。こうしたことが必要とされることがあるのは、ほとんどの他の切断技術では布地がその頂部で複数の層状になることが要求されるが、これがポージングエージェントの適用後の限定要因になり得るからである。なぜなら、ポージングエージェントの多くの層は積み重ねを切断するのに要求される力を著しく加えかねない。こうした設備の比較的高額な道具費用のせいで、大規模生産の運転時の使用が制限されることになる。
【0094】
(集合と緩衝)
切断後、組み立て工程(32)に引き渡すために片を集めて分類しなければならない。機械読み取り可能な表示と機能的な表面特徴は、こうした片がたがいに分離された後にロボットが片を認識して拾い上げる手段を提供する。
【0095】
大量の最新式の製造シナリオでは、切断された片を組み立て段階に直接移すことができるが、利用可能な設備が限定因子である少量のシナリオでは、組み立て用のすべての片を生産する1つの準備ライン(prep line)を有することが経済的であることもある。
【0096】
大量の作業のときでさえ、準備の段階とその後の段階の間の論理上必然の破損を考慮することは有用である――生産プロセス工程中の停滞の場合、これは片を緩衝する良い機会を与える。なぜなら、これらを安定的に無駄なスペースなく保存することができ、生産が再開されると必要に応じて消費することができるからである。
【0097】
構成要素がすべて形成された後に、これらを一緒に組み立てて、裁縫、融合、またはリベット留めのような従来の布地方法を使用して接合することができる。
【0098】
(縁曲げおよび折り畳み)
衣服のへりは、布地を1回以上折り畳み、その後、折り畳んだ部分を接着剤または縫製したシームで固定することにより、縁で通常仕上げられる。これは、折り畳まれる線に沿ってポージングエージェントを柔らかくすることによって、ポージングエージェントの中で作られた折り目を利用することによって、あるいはこの2つの組み合わせによって、ポージングエージェントで処理された布地上で行うことができる。
【0099】
水平な布地が折り畳みガイドを通って供給され、これが所望の位置で布地を曲げ、縁を折り畳む。その後、縁をすぐに接着剤またはシームで固定することができ、あるいは適所に残される――ポージングエージェントで固定され――その後固定される。多くの折り畳みガイド裁縫は、あらゆる任意の縁を生産するために互いに直列に位置合わせされ得る。布地が折り畳みガイドを出ると、ローラーは折り畳まれた部分を圧縮して布地にさらに折り目を付けることができる。
【0100】
折り目はしばしば保持され、折り畳まれた部分の内部に「パーマネントプレス加工」処理を施すことによって永久的に作られる。この工程がポージングエージェントで処理された布地上で行われることになっている場合、折り目保護装置(crease pressor)が布地の処理されていない面に確実に適用されることが重要である。
【0101】
ポージングエージェントで処理された布地と合わせて、ミシン上で縁を作るために現在使用される折り畳みガイド(米国1988140A)には、潜在的に広範な用途がある。任意のサイズおよび寸法の堅くなった布地を、折り畳みガイドに通すことで直線的にまたは任意の湾曲に沿って折り畳むことができる(実際に頻繁に使用されているのが見られる組み立て工程)。
【0102】
(表面特徴)
多くの衣服の表面特徴は、こうしたタスクを自動的に行うことができる既存の機械を利用するために、この工程で適用することができる。機能的な要素(スナップ留め、ポケット、ボタン、およびボタン穴のような)または装飾的な要素(刺繍および印刷されたグラフィックス)を追加する装置は、すでに広範に使用されており、最小限の修飾を施したポージングエージェントで処理された布地を取り扱うために作ることができる。
【0103】
Shirt pocket machinesなどの衣服製造プロセスの工程を部分的に自動化するために使用される、最新のツールの多くは現在、自動的に折り畳んで布地にポケットを縫い付けることを自動化が引き継ぐ前に、作業者が布地片を適所に置き、デバイス上に位置合わせすることを要求する。この改善されたプロセスにおいて、処理した布地の可操作度の増加により、布地片を機械上に正確に自動配置することが可能となり、作業者の必要性が否定される。同じことが、現在使用されている他の多くの半自動プロセスについても言える。このプロセスは、ボタン及びボタン穴用の機械、刺繍機、及び、他の装飾の要素(シークイン、リベット、粘着グリッターなど)を適用するデバイスによる自動調整を可能にする。
【0104】
固い布地の未処理の面は、標準の印刷技術又は転写技術の何れか(必要な印刷後の硬化工程と共に、スクリーン印刷、色素昇華、パッド印刷、エアブラシ、又はインクジェット印刷)を用いて装飾を受け止めるように、印刷機上に正確に置かれ得る。
【0105】
(三次元成形)
(成形片(Shaping Pieces))
切断片を一時的に成型する性能は、ポージングエージェントにより与えられる主な利点であり、片をそれらの組み立て位置に配置して、永続的に固定する間に保持することを可能にする。
【0106】
成型段階は、シート状のプラスチック及び金属から作られる部品の製造に使用される、多くの従来の成形プロセスと類似する。ポージングエージェントを軟化した後、片を変形し、再度硬化して新しい形状にすることが可能となる。
【0107】
片の幾何学的形状により、型締め中の片のずれによる一貫した見当合わせ及び変形を確認することが困難となる場合、型上の指定の座標に片の特定の点を位置付けるために見当合わせ点を使用することが、必要となる場合がある。成型プロセス中に、それらの位置を適所でロックするために把持点を使用することも、望ましい場合がある。見当合わせ点又は把持点を備えることが必要である場合、能動的な接合又は受動的なバネ取り付け動作の何れかを介して、把持点の動作を型の半分の動作から分離することも、必要となる場合がある。
【0108】
一旦片が型の上に配置されると、布地を新しい形状にするために、軟化−硬化のサイクルを行なうことが必要となる。軟化段階は、布地周囲の型締めの前、その間、又はその後に起こりうるが、硬化段階は、型が絞められた後、及び布地が取り除かれる前に起こらねばならない。
【0109】
軟化処理が熱を加えるものである場合、この処理は多くの方法で適用され得る。型自体は、型が締まる際の伝導を介して片を加熱するために加熱され得る。代替的に、片は、赤外線放射器の下で軟化され、熱気の送風にさらされるか、又は加熱したローラー又はプレートを通過し得る。片はまた、走査型レーザー、狙いを定めた熱気の噴射、又は、放熱の幾つかをマスクするために覆われる赤外線放射器への曝露によって、より選択的に軟化され得る。ポージングエージェントが、電磁放射又は誘導加熱を受け入れるようにドープされる場合、何れかは処理領域を選択的に加熱するように適用され得る。

【0110】
成形した片が型の中にある間に冷却されることを、硬化段階が要求する場合、この冷却は、冷却液の循環の形での能動的な冷却、或いは、受動的な又はファンで冷却したヒートシンクを介して補助され、これは、型を通じて熱を汲み上げることにより行われる。
【0111】
型自体の表面はまた、電流が一方向に流れている場合に片を加熱する熱電接点となり、その後、電流の流れを逆にすることにより、直ちに冷却に切り替えられ得る。
【0112】
ポージングエージェントを幾つかの位置において選択的に軟化しつつ、他の位置において固いままにすることも、望ましい場合がある。これは、ポージングエージェントの表面上に繊細な指示薬及びシームを維持すること、又は、不必要なエネルギー消費量を削減することかもしれない。それはまた、布地基材における引っ張りを変更するために行われ、これは、他の材料とどのように接合するのか、及び着用中に得られる形状に影響を及ぼすことになる。例えば、ポージングエージェントで処理される、スウェットパンツのシーム用の弾性バンドのリボンは、パンツの直径にまで伸ばされ、且つその直径で安定して保持され、それにより容易に取り付けることが可能となる。ポージングエージェントを取り除いた後、弾性バンドはその正常な直径に戻り、且つウエスト回りは、そのデザインにより締め付けられることになる。
【0113】
熱軟化ポージングエージェントで処理した材料に形を与えるための1つの機構が、図5で実証される。ポージングエージェント(2)で処理され、且つ見当合わせ点(15)により増大した布地(1)は、かみ合う見当合わせ点(33)を備える柱の上に置かれる。成形ダイスが締まっている場合、ダイス(34)の上半分は柱を圧縮し、それによりバルブ(35)が開き、加熱され加圧されたインプット(36)から生じる熱気が、出口ノズル(37)から外へ流れて、ポージングエージェントの表面を渡り、それを軟化することが可能となる。冷却型を通じて加熱され加圧された空気を提供するダクトは、絶縁体の層(38)により分離される。
【0114】
片が型(39)の下半分に対して加圧されると、片は所望の形状に一致する。型の下半分は、冷却液(40)を循環させることによって冷たいままに保たれ、それは、ポージングエージェントを冷却且つ硬化して、片を与えられた形状に保持することを可能にする。成形後、柱は、バネ(41)によりその初期位置に戻される。柱(42)の長さに沿った螺旋溝は、柱を各ストロークで回転させ、そのため、熱気バルブは復路で開放されない。
【0115】
型の半分の内面は、容易に取り外し自在且つ交換自在であり、そのため、異なるパターンでの用途のために素早くプレスを再装填することが可能となる。
【0116】
(他の成形方法)
シート状のプラスチック及び金属で処理するために、現在使用される広範囲の技術は、処理した布地を成形するのに適し得る。このような技術は、真空成形及び圧空成形のような技術を含み、これは、表面にわたって軟化した布地をしっかりと引き抜くために使用され得、それにより布地は、冷却が可能となるため、所望の形状を保つことになる。(プリーツ又は縁のような)長い湾曲部を形成及び輪を回転させるための加圧切断(press breaks)のような、他の金属成形用工具は、湾曲した表面を手動で又は自動的に与えるために使用され得る。
【0117】
(シームフランジの準備)
ポージングエージェントの厚み及び強度、同様に、剤の層の数、縫われる必要のある布地の層の数に依存して、裁縫のためにシームを準備することが必要とされることがある。この目的のために、ポージングエージェントは、ポージングエージェントの厚みが判定される工程の間に、表面に送り穴又は窪みを形成されるか、或いは、適切なダイスでポージングエージェントを型押しするか又は回転することにより、成形段階の後に適用され得る。
【0118】
硬化剤、及び恐らく布地を薄くして、組み立て中及び組み立て後にシームのかさばりを最小化することが、必要な場合がある。これは、初期のエンボス加工などの間に、又は、縁をスライサーに通すことにより、行われ得る。スライサーは、ポージングエージェント又は布地の、薄い先細りになった層をスライスする又は研ぎ削る。
【0119】
事前シーム表面(pre−seam surface)の面は、接合された片の上で対応する面と平行するように位置合わせされねばならない。シームフランジの角度方向は、主なプレス段階、又は、面が適所に再成型される次の工程で、決定され得る。
【0120】
図3は、準備したシームフランジを実証する。ポージングエージェント(2)で処理した布地(1)を、その端に沿って折り曲げることで、将来的なかみ合いのためにシームフランジ(8)の角度を正確に決める。加えて、シームフランジは、持続的な針の貫通(19)及び打ち抜き穴(9)を見越して薄くされた。
【0121】
(成形後)
形が設定された後、現在広く普及しているパーマネントプレス処理を使用して、プリーツ、ダーツ、又はドレープの形状のような幾つかの特徴を恒久的に設定するための剤を用いて布地を処理することが、望ましいこともある。
【0122】
片を形成した後、成形プロセスが縁、折り目、又は表面特徴を損なわせるか変形させる可能性、或いは、縁、折り目、又は表面特徴が成形プロセスを妨げる可能性により、適用するのを引き延ばす必要がある場合、表面特徴の事前成形部の縁縫い及び折り畳みにおいて記載される工程の幾つかを行うことも、望ましい場合がある。
【0123】
(組み立て)
(位置決め)
成形後、専門的な組み立てエフェクター、静的又は動的な位置付けジグ、或いはその2つの組み合わせを使用して、片を把持して互いに対して位置決めする。把持点及び見当合わせ点を利用することで、組み立てエフェクターと片の間、片と他の片の間、又は片と位置決めジグの正確な位置合わせを確実にすることができる。
【0124】
図6は、連結式のジグエフェクターを記載する。衣服片(43)は、真空の、電磁気の、又は機械的なグリッパー(44)によって保持され、それらの見当合わせ点は、片をジグと正確に位置合わせするために使用される。放射状アクチュエータ(45)及び直線アクチュエータ(46)は、全体の衣服の、或いは個々の衣服要素の、機械及び衣服の他の要素との空間的関係の、正確な制御を可能にする。
【0125】
記載されるように、エフェクター上のアクチュエータは、多くの方法で衣服を扱うために使用され得る。掴まれた際には比較的水平であるが(工程1及び2)、成型された衣服片は折り畳むことができる(工程3)。一旦、一時的な合わせ目又は恒久的なシームが作られると(工程3及び4)、部分的に組み立てられた衣服は、恒久的な継合せ作業に利用可能な、他のアクセス出来ないシームを作るために更に扱われ得る。この能動的な再位置決めは、「衝突」のセクションで後に考察される、受動的な再位置決めに対する代案又は補足である。
【0126】
能動的な再位置決めはまた、機械的に作動した面又は空気的に膨張したバルーンから成り、それらは作動時に、シームの内部をプレスして、外側に拡張させ且つ機械にさらす。
【0127】
ピン止め
一旦、片が互いに対して正確に位置決めされると、片は直ちに共に継合わせられるか、又は、後の継合わせ工程を予期して一時的にピン止めされ得る。一時的な継合わせは、シームの長さ、又は主要な場所にあるスポット継ぎ目に沿って続いている。
【0128】
ポージングエージェントがそれ自体に継合わせられ得る場合、2つの片を継合わせるのに利用可能な、多くの選択肢が存在し、ポージングエージェントの少なくとも1つの層は、継合わせられる2枚の布地間にある。合わせ目を形成するために、ポージングエージェントは、継合わせ圧縮前に軟化されねばならない。ポージングエージェントが熱で軟化する場合、音響伝送、無線伝送、又はレーザー伝送の溶接装置が、2つの材料間の境界でポージングエージェントそのものを加熱するために使用され得る。
【0129】
ポージングエージェントがそれ自体に容易に継合わされることができない場合、利用可能な他の選択がある。スープ缶の頂部のように合わせ目を転動させ(rolled over)且つ機械的に共に保持することができ、仮止め接着剤で継合わせることができ、又は、スナップ留め具の把持点を使用して互いに対して片を固定することができる。更に、仮の恒久的な合わせ目が、ポージングエージェントと同じ材料で作られるリベット、ステープル、又はピンを使用して作られ、そのため、組立プロセスの終わりに継ぎ目を容易に取り除くことができる。
【0130】
(裁縫)
一旦、片が位置決めされ且つ固定されると、片は恒久的に共に継合わせられ得る。
【0131】
ポージングエージェントの存在、厚み、及び強度、同様に、組み立て後にポージングエージェントが除去され、空隙を以前の場所に残されたままにするという事実を説明するために、幾つかの調節が標準の裁縫プロセスになされねばならない場合がある。
【0132】
縫い針でポージングエージェントを貫通することに関する問題は、シームフランジ準備工程におけるトレンチ又は打ち抜き穴の適用によって完全に解決されない場合、他に要求されるよりもより強力な針及び糸の使用によって更に対処され得る。ポージングエージェントはまた、針が進行する際に軟化され得る。ポージングエージェントが熱で軟化する場合、針自体が加熱され、又は、ポージングエージェントは、加熱した要素との接触、又は放熱源への曝露によって軟化され得る。
【0133】
ミシンの動作により縫われているシームの動作を同調させることが、必要である。組み立ての精密位置に対して十分にきめの細かい制御を与えると、ミシンに対する片の動作は、所望のステッチ長に一致する工程に分けられ、及び、ミシンの動作により一縫いで縫い合わせる工程から移され得る。
【0134】
動作制御システムが、このことを可能にする正確さを欠く場合、処理した布地の任意の弾性が活用され得、それにより、ミシンを通じた片の動作は、ミシンの平均の送り速度と等しくなり、そして、片が静的な針/押さえ足に対して移動している間、引っ張りは衣服にわたって分散される。
【0135】
代替的に、衣服は、シームの経路に沿ったある程度のコンプライアンスを可能にするエフェクターによって掴まれ、故に、ミシンに対する動作緩衝を提供することができる。この場合には、エフェクターのコンプライアンスのベクトルの大きさは、1ステッチの長さを超えてはならず、その方向はステッチの長さに制限されねばならない。
【0136】
この機能性を提供する機構が図7に実証される。見当合わせ点(47)を補足するように意図される先端は、コンプライアンスの方向に沿った1寸法の動作を可能にするレール(48)に取り付けられる。可動ブロック(49)は、コンプライアンスの規模を制限するように意図され、駆動軸(51)により作動されるスクリュー(50)に取り付けられる。抵抗力を提供して中心に点を戻すために、コンプライアンスの方向に対向する点にバネ(52)が取り付けられる。バネの引っ張りは、スクリュー(53)を回すことにより調整され得る。全体のエフェクターは、外部軸(54)によって回転され得る。外部シャフトは、コンプライアンスのベクトルに対して指向的な要素を制御する。
【0137】
使用時に、図7の第2工程において、布地(1)を1ステッチの長さに進めるために、布地で処理した織物(2)は、送り歯(55)及び押さえ足(56)によって引っ張られることが分かる。平均送り速度で片を動かすエフェクターの正確な位置決めにもかかわらず、バネ(52)は引っ張り下で歪められ、片は、1ステッチの長さだけ前方に移動することが可能となる。これは、ロボットアームの連続的な動作に対するミシンの段階的な動作を効果的に緩衝する。
【0138】
衣服をミシンに送り込む操作者を補助するために、動作の多数の軸に沿って、衣服に対するミシンの向きを調整するために使用され得る機構に、ミシンを取り付けることが、必要な場合がある。そのような機構(57)は図8に描かれる。
【0139】
ポージングエージェントが、布地の2つの層の間で比例的大量の空間を占めることができるため、剤が取り除かれる際に残される間隙を考慮することが、必要となる。これを補うために、一旦ポージングエージェントが取り除かれると引っ張りが緩衝されることを予想して、他に使用されるものよりも高い引っ張りの糸で縫うことが、必要とされる場合がある。代替的に、糸は、仕上げ、洗浄、及び乾燥の工程の熱又は湿度にさらされた時に僅かに縮む材料で作ることができる。
【0140】
各裁縫工程の後、又は様々な裁縫工程の後、シームの端部に存在し得る緩まった糸を切り取ることが、必要となる。ポージングエージェント及び見当合わせ点によって可能となった、高レベルの位置精度により、衣服が、任意の緩まった糸を切断及び除去するための(おそらく真空ダクトを備えた)動的又は静的な切断工具に対して通過することが可能となる。
【0141】
ポージングエージェントの布地片への適用により対処される、追加の既存の問題を留意することに、価値がある。織物の供給速度の差異のため、頻繁に織物層間の低摩擦のため、多層の織物は、シームの歪みに悩む場合がある。これにより、シームは「縮まって(pucker)」しまう場合があり、この状態は望ましくないものであり、全ての層にわたって供給圧力をより均一に加えようと試みる複雑な機械により、頻繁に解決される(Latham, 2008, p. 89)。しかし、ポージングエージェントで処理した布地は、シーム縫合前に互いに対して容易且つ完全に継合わせられ、そして故に、複雑な機械の必要性を回避し得る。
【0142】
(縫われていないシーム)
接着剤は、2つの片を共に継合わせるために針と糸の代わりに使用され得る。加えて、シームを補強又は固めるために、リベットが使用され得る。幾つかの合成布地は、音波溶接及びラジオ溶接機、同様に、熱流又は加熱要素との接触により推進されるヒートシールによって、それら自体に融合され得る。加えて、ポージングエージェントを貫通するが布地に吸収されるように設計される周波数で光線を配向することにより、レーザー伝送溶接がこのために使用され得る。
【0143】
布地のシームが融合されようとしている場合、処理していない表面が互いにかみ合うのが重要であり、縫われた合わせ目に関して考察を行う必要は無い。
【0144】
(衝突及び再位置合わせ)
この考察のため、衣類の他の要素からの干渉のためミシンにより到達することができない領域で、又はシームに沿って、ステッチ針を作る必要のある任意の状況を説明するために、不一致という用語を用いる。
【0145】
タイトコーナ(例えば、スカートの脇又はズボンの股下)の裁縫中、組み立てられている衣服の量と、使用されているミシンとの間の衝突を解決することが、必要な場合がある。このことは、柔弱な布地が容易にまとめて束ねられるか、又は展開され、任意の不一致を回避するために機械に対して移され得る、衣服組み立ての従来の方法に関しては些細な問題であるが、布地が硬化した時を考慮することは、より重要な問題となる。
【0146】
より真直ぐな不一致において、ポージングエージェントにおいて形成された接合折り目により、衣服が予測可能且つ反復可能な方法で伸縮自在に変形することが可能となる。ミシンは、変形及び復元を支援するために、転向ガイドを装着され得る。
【0147】
不一致の真直ぐな例は、図8に記載され、そこで、衣服(58)はミシン(59)に送り込まれる。衣服の形状は、不一致が生じるようなものであり(60)、そこでは、衣服はミシンと同じ空間を占領しようとする。接合折り目(18)を利用することで、衣服は不一致(61)から転向することが可能となり、これはミシンに付けられる転向ガイド(62)によって補助される。
【0148】
より複雑な組立プロセスにおいて(そこでは、単純な弾性変形は不一致を解消するのに不十分である)、最初の片成形プロセスと同様に、中間の加圧工程を用いて衣服を伸縮自在に変形することが、必要な場合がある。組み立て中、衣服は、端を露出するか、又は他に存在しない又はアクセス可能でない形状を作り出すように、部分的に又は全体的に改良され得る。
【0149】
片の幾何学的形状による制限、又は、ミシンにアクセス可能なシームを残す必要性のため、内部組み立て再成形を使用して、衣服の片の最初の位置決めにおいてかみ合わなかったシームを位置合わせすることができる。後の再成形工程は、他のものを可能なもの/アクセス可能なものにするために、仕上がったシームを曲げることができる。
【0150】
(裏返し)
組み立てられている大半の衣服について、この時点までに、全ての工程が、衣服を裏返しにして行なわれる。組み立て工程の終わりに、衣服は、洗浄、加圧、折り畳み、及び包装のために、最終的な形状に裏返しにされねばならない。この問題に対する可能な解決法が提案され、これは、専門的なフレーム上で組み立てた衣服の裏返しを達成するための機構から成る。
【0151】
使用時に、組み立てた衣服は、裏返しフレームに隣接し且つ対向して置かれ、そして、衣服を硬化するポージングエージェントは、有利な場所において、軟化する(ポージングエージェントの全体、又はほんの一部のいずれかである)。衣服は裏返しフレームに移され、裏返しフレームを必要に応じて起動すると、フレーム上の衣服の完全な裏返し及び正確な配置を確認することができる。
【0152】
折り畳み式の、再構成可能な裏返しフレームが図9に描かれる。入れ子部(63)は、同様に先細りになったレセプタ(65)とかみ合う先細りになった先端(64)を持つ。付勢バネ(66)は、フレームの折り畳まれた(collapsed)「緩んだ状態」にある合わせ目のデフォルト方向を決定できるようにする。回転式のロッキングブロック(67)は、圧縮されると、フレームの残りに対して合わせ目の角度をロックする。継合わせ機構の先端は、応力ネジ(69)によって加えられる圧力を分散するために支柱に対して作用するリップ(68)を持ち、応力ネジは、合わせ目の仕様の何れかを調整するために緩められ、且つ合わせ目の構成要素の位置を「ロック」するために締められ得る。
【0153】
引っ張り線(70)がフレームに張り巡らされ、その構成に依存して、張力機構の圧縮又は減圧の何れかにより作動する。線が機構の外側に沿って伸びる場合、機構を圧縮することでフレーム中の引っ張りが減少し、緩くすることが可能となる。ラインが機構の内側に沿って伸びる場合、引っ張り機構を圧縮することでフレーム中の引っ張りが増加し、硬くなる。
【0154】
最終的な裏返しを達成する機構が図10に描かれる。回転グリッパー(71)は、装置(72)中の軌道に沿って移動する、摺動構台に取り付けられる。位置決めしたダクトは、ポージングエージェントを軟化するために熱風の噴流に向けられる。作動したフレームホルダー(73)は、使用中に折り畳み式の裏返しフレームを適所に保持し、ピストン(74)は、裏返し後に衣服とフレームを取り出すために使用される。
【0155】
最終的な裏返しの一例が図11に描かれる。工程1において、衣服は裏返し機械に配置される。工程2−5において見られるように、構台がその経路に沿って回転把持点を動かすと、衣服はフレームに沿って、及びフレームの上に引っ張られる。工程5において、裏返しフレームは取り出され、次に、洗浄段階に回される。
【0156】
本明細書では二次元で実証したが、裏返し及び乾燥/伸張フレームも使用して三次元形状を達成することができ、多数の軸へと離れて分岐する部分含む部分は、主要な平面から離れて回転する。同じ衣服において互いに平行して使用される分離フレームが、同様の効果のために使用され得る。
【0157】
洗浄と包装
衣服が組み立てられた後、ポージングエージェントを取り除く必要がある。ポージングエージェントが水溶性である場合、これは、洗浄工程と同時に生じ得る。水溶性でない場合、ポージングエージェントは先ず、衣服が洗浄される前に、恐らくは適切な溶媒への曝露又は環境条件の変更を介して、取り除かれねばならない。
【0158】
衣服は洗浄工程の全体にわたってフレーム上にとどまり、裏返しを支援するために使用される同じ接合機構は、洗浄中にフレームを締めて且つ緩めて使用され、それにより、水及び/又は溶媒が全ての衣服の表面に完全にアクセスし、その後、乾燥段階及び任意の次の表面処理工程中に布地に引っ張りを加えることで、処理におけるしわ及びむらを防ぐ。
【0159】
衣服を洗浄して乾燥した後、フレームを使用して、プレス装置に衣服を置いて、装置にある衣服を取り出す又はプレス中にそれを適所に保持することを可能にする。衣服がプレスされた後、衣服は、既に一般的に使用されている自動折り畳み及び包装機械に置かれるか、又はそれに直接供給され得る。
【0160】
品質管理
入力材料の準備及び標準化
入力材料における高レベルの一貫性は、完成品における高レベルの一貫性に必要とされる。これは、専門家気質及び消費者の嗜好性に関係する多くの理由に望ましいものであるが、このプロセスのために、高レベルの一貫性が、下流側自動品質保証センサーにおける見逃し(false negatives)の最小化に特に重要である。たとえ消費者が完成品における僅かな変動を検出できないとしても、このような変動は未だに、自動品質保証検査技術を使用した際により許容範囲を狭くするために最小化されねばならない。
【0161】
入力材料のソース及び最初の一貫性に依存して、主な製造プロセスの前に入力材料を標準化することも、必要とされる場合がある。標準化され得るか、又はその必要のある製造入力は、布地、糸、及び、組み立てられようとしている任意の追加の要素(ジッパー、ボタン等)、布地に適用されるポージングエージェント、及び、ポージングエージェントを取り除き且つ組立て後に完成品を清潔にするために使用される水である。
【0162】
熱可塑性物質は、広範な分子量/重合度(及び、ポリビニルアルコール(PVOH)の場合には、鹸化及び加水分解の程度)で、頻繁に製造及び販売される(ZSchimmer & Schawrz GmbH & Co KG)。これらの変動は、プラスチックの機械的且つ化学的特性(最も重要なもので、プラスチックの融点及び溶解速度を含む)に影響する場合があり、プラスチックの特性が予期される範囲内にあることを確認するために分析されねばならない。不一貫性は、可能な場合、洗浄工程の期間及び温度を変えることにより補うことができ、そうでなければ、プラスチックは廃棄されねばならない。
【0163】
外部の供給者から導入した布地と糸は、バッチ間で僅かに変わる場合がある。組み立てた衣服の片の間の色及び表面の特徴における微細な変動は、消費者にとっては視覚的に一致せず且つ不適当なものである。そのため、材料の脱色、染色、又は処理の僅かな差から結果としてもたらされる色又は表面の特徴における任意の変動を、測定且つ留意するために注意を払わなければならない。大きな差が検出される場合、布地ソースから切られた片が、異なる布地から切られた部分と継合わせられず、適宜片を仕分けして保存することを確認することに、注意しなければならない。
【0164】
布地の静止引っ張りは、織機の特徴、及び、後の染色(dying)及び洗浄工程後に布地を乾燥するために使用されるプロセスの詳細によって、決定される。布地の引っ張りに変動がある場合、受け取った(incoming)布地を再度洗浄及び乾燥することが必要であり、その結果、布地は正確な同じ引っ張りを持つ。これはまた、次の洗浄工程後に、縮みの標準量を確認する。
【0165】
組み立て後にポージングエージェントを取り除くために使用される溶媒は、純度と濃度を確認するために分析されねばならない。鉱物の含有物又は化学汚染のような、組み立て中の衣服に接触、又は、再生したサイズの品質を減少する、任意の汚染物質を最小限にするために注意を払わなければならない。
【0166】
各製造工程中に一貫性を最大限にするために、全ての入力材料は、温度及び湿度を制御した環境で保存される。そのため、これらの最初の状態は、一貫している。季節や天候等の変化により経時的に生じる、これらの属性における任意の変動を排除するために、製造環境においても、温度及び湿度が制御され得る。
【0167】
従来の衣服製造中に、プロセスの実際的な性質により、作業者が他の組立工程を行う場合に、品質管理を行うことを可能にする。完全な自動組立プロセスにおいて、自動品質管理は、大量生産中に標準レベルの品質を維持するのに重要な要因となる。
【0168】
(単純な品質評価)
比較的単純な測定が、品質管理情報を提供するために解釈され得る。重量センサーは、完成した又は部分的に組み立てられた衣服を測定して、正確な量の布地が存在するかどうか、又は任意のボタンが見当たらないかどうかを判定することができる。十分に高感度なスケール(sensitive enough scale)は、正確な量の糸が組立中に使用されたかどうかさえも判定することができる。
【0169】
湿気センサーは、衣服が洗浄工程後に十分に乾燥したかどうかを判定することができる。
【0170】
金属探知器は、衣服の中にある何らかの金属削り屑又は壊れた針、又は、ポージングエージェントと一緒に取り除かれなかった任意の金属見当合わせ点があったかどうかを、確認することができる。
【0171】
これら単純な試験の何れかに落ちた、完成した衣服は、自動的に組立てラインから取り出され、更なる検査のために操作者に回される。
【0172】
複雑な品質評価
より複雑な品質評価技術が、生産中の様々な工程で適用され得る。
【0173】
原材料分析
本明細書で最初に考察したように、未加工の布地の欠陥を識別することが重要であり、それにより、欠陥は、完成した衣服において品質管理の問題を引き起こすようには伝えられない。機械視覚システムに繋げられる、高速ビデオカメラ及びインラインスキャナーは、材料における裂け目又は変色などの欠陥を捜し出すことができる。目に見える又は赤外線の波長での強力なバックライトを、材料の保全性及び一貫性の基準を提供するようなシステムに繋げることができる。
【0174】
布地が必要な重量、厚み、弾性、及び密度を持つかどうか判定するために、スケールとセンサーが使用され得る。故に、スケールとセンサーは、全体的な品質の指標を提供することができる(又は、少なくとも、不一貫性を示すために使用される)。
【0175】
(内部組み立てシームの検査)
糸を通す片に対するシーム中の糸を、又は、シームにより継合わされる2つの片の間の全体的な空間的関係を分析することにより、シームが衣服上に作られる時の、及びその後のシームを評価するために、機械視覚が使用され得る。
【0176】
2つの片の関係は、一般に用いられるデジタル化技術を使用して評価され得る。シームに沿った機械視覚は、誤った位置合わせを確認することができ、その一方でレーザー・スキャナー又はデジタル化プローブは、組み立てた衣服の特定の形状における、より繊細な欠陥を評価することができる。
【0177】
糸検査は、必要に応じてUV蛍光染料で糸を処理することにより、及び検査のためにそれを活性化することにより支援され得る。
【0178】
(折り畳み前、及び折り畳み後)
ポージングエージェントによって提供される構造的な支持が、衣服の欠陥が検知されるのを妨げ得るため、組み立てた衣服の品質を評価するのに理想的な時間は、衣服がプレスされた後、及び、衣服が折り畳まれる前、又は折り畳み後である。
【0179】
多くの角度で完成した衣服から反射した光の機械視覚分析は、衣服の全体寸法、しわなどのシームにおける品質の存在、及び、任意の装飾要素又は機能要素の保全性及び正確な配置のような、有用な情報を提供することができる。UV光の下で蛍光を発するように糸を処理した場合、糸は同様に適用され得る。
【0180】
衣服の内部構造も、衣服を通して送られる可視及び非可視の波長における光の分析により、調べられ得る。この光は、赤外線又はX線であり得る。センサーが十分に高い分解能を持つ場合、個々の糸の配置が評価され得る。
【0181】
また、前に考察したように、品質管理のための機械視覚の利用は、組立中の狭い許容範囲、及び、プレス及び折りたたみ等の組立後に関するほぼ完全な一貫性に大きく依存する。(正確に組み立てられた)衣服を品質査定人に提示した際の変異があまりに深刻な場合、査定人は偽りとの否定的意見(false negatives)を作り出し、品質管理システムの有用性を否定する。
【0182】
(フィードバック)
入力材料の不一貫性、環境の変動、及び機械の摩耗のような予想されない原因により、幾つかの組立問題が生じる場合がある。理想的に自動環境において、品質管理システムが更に介入することなく実時間で進行し且つ補う際、品質管理システムはこれらの変化を検知する。検出された欠点が、システムの補償性能の範囲外にある場合、システムは自動的に組立を止め、破壊の原因を操作者に警告する。
【0183】
品質管理機構が、しわ、又は糸に張力がほとんど無いといったシーム特徴による問題を検知する場合、フィードバック機構は、ミシンに信号を送り、補うべき実時間での糸の引っ張り及び間隔を調節することができる。
【0184】
洗浄及び乾燥の段階がエネルギー集約型であるため、衣服が洗濯機と乾燥機で費やす時間を最小化するための、効率の誘因(efficiency incentives)が存在する。ほとんど時間が費やされない場合、洗浄工程を終えた衣服にポージングエージェントの残りが存在し、又は、乾燥工程を終えた衣服にたくさんの水が存在することもある。センサーは、重量、光学的特徴、及び湿気のセンサーによりこれらの問題を検知し、衣服の洗浄及び乾燥時間を適宜調節する信号を送ることができる。システムが、部品が誤って位置合わせされることを判定し、且つ誤った位置合わせの程度を定量することができる場合、システムは、エラーを補正するために、その情報をアーム制御システムに供給することができる。
【0185】
(非自律的な実施及び半自律的な実施)
この文書は主に、完全自立型の製造作業に関するプロセスについて考察してきたが、それは、半自律型及び更に完全に手動の衣服製造操作のみの場合に、ポージングエージェント処理が提供できる利点を、考慮する価値がある。
【0186】
布地を扱う自動機械を促進する、単純化された取り扱い及び改善された精度の同じ利点も、多くの方法で自身の作業を容易にするためにポージングエージェントを用いることのできる作業者にとって、有用である。
【0187】
これは、衣服の設計プロセス中に、又は、1つの衣服のカスタムメイドの仕立てのために、更に小規模な製造作業を援助することができる。柔弱な織物は、処理され且つ軟化されると、人台又はモデルの周囲に巻き付けられ、完全な形状及び切断を達成するために設定される間に形を整えられ得る。シームが形成され、一般的に使用される平行ピンの代わりにスポット溶接で一時的に固定され得る。これは、ピンを挿入するのに必要な時間、及び、衣服の中にピンが残り偶然にも顧客に刺さってしまう危険の両方を排除する。最終的な裁縫の作業は手で行われるが、その作業は、互いに対する片の固定位置決めによって単純化される。
【0188】
より大きな生産工程に関する設計及び開発プロセス中にこの技術を使用する場合、裁縫の代わりに、完成した衣服は洗浄される。それにより、片は分離されることとなり、その後、複製の衣服を成形するためのパターンを作るために置かれて、そしてトレース又はスキャンされる。
【0189】
加えて、完全な自動製造には複雑すぎる衣服が、自動プロセスによって部分的に製造され、その後、ポージングエージェントの有無を問わずに、必要とされる操作のために作業者へと渡され、そして、このプロセスがそれを必要とし、且つポージングエージェントが未だ衣服にある場合、更なる作業のために機械に戻される、というシナリオを考慮する価値がある。ポージングエージェントが取り除かれる場合、衣服は、ポージングエージェントがある間に使用されるものよりもより大きな程度の操作ガイダンスと介入を必要とする機械によって、取り扱われ得る。
【実施例】
【0190】
一例として、ズボンを組み立てるために、第1工程は、布地をポージングエージェントにくっつけることである。
【0191】
ポージングエージェントが布地に加えられた後、ポージングエージェントはその後、エンボスシリンダの下で圧縮することにより、必要に応じてテクスチャー加工される。次に、任意の機能的な表面特徴(把持点及び見当合わせ点など)が、ピックアンドプレイス機構及び溶接装置により、ローラーに加えられる。
【0192】
ポージングエージェント及び表面特徴が加えられた後、衣服片は、プロッタ又は回転式ダイス・カッターにより、布地から分離され得る。それらは集められ、分類され、そして組立てラインに供給される。
【0193】
裏打ち又は見返し芯のような、代替的な布地から切断された任意の片が、同時に又は別々に用意され得る。
【0194】
ロボットは、パンツの脚の1つを含む大きな片を把持し、それを作業区域に置く。その後、ロボット、又は第2ロボットは、第1片に付けられる必要があり、且つ平らになっている間に取り付けられ得る任意の追加の片を置く。これは、ポケット、弾性バンド、ラベル等を含む。各片を置いた後に、スポット溶接機構は、ポージングエージェントでその表面を溶かし、一時的にそれらを適所に固定する。
【0195】
その後、ロボットは、ミシンを介して片を動かし、追加した要素に恒久的に継合わせる。この時に、ロボットは、オーバーロックミシン、又は折り畳みガイドを備えたミシンを通じてそれらを供給することにより、任意の必要な縁を仕上げる。
【0196】
その後、ロボットは片を持ちあげ、バキュームを備えた(vacuum−equipped)切削面に隣接するように片を位置付け、それにより、任意の緩まった糸を切り取ることができる。
【0197】
その後、ロボットは片を成形機械に移動させる。成形機械は、片が所望の形状となるように、片を加熱、変形、及び冷却する。その後、変形した片は、成形機械から取り除かれ、それ自体に対するその既存の折り目線に沿って折り畳まれる。
【0198】
その後、補足の片、即ち他のズボンの脚が、第1の片とかみ合う。それらのシームは、スポット溶接機によって一時的に仮縫いされ、そして、ミシンによって永続的に継合わされる。直ちにアクセス可能なシームが最初に縫われ、次に、アクセス不能なシームが利用可能にされ、そして、それらの組立ジグの適切な部分を統合することにより、接合される。
【0199】
その後、組み立てられた衣服は、裏返しフレームの反対にある、裏返し機構の上に置かれる。裏返し機構のグリップは、その末端で衣服を保持する。配向されたノズルは、熱気を加えることでポージングエージェントを軟化する。衣服が完全に裏返されるまで、構台機構は、衣服の頂部を裏返しフレームの上まで引き下ろし、該機構はフレームを包含している。
【0200】
フレーム、及びその上にある衣服は、裏返し機構から取り出され、その洗浄及び乾燥のサイクルを通じて衣服を移動させるコンベヤーによって取り上げられ、それにより、ポージングエージェントが完全に取り除かれる。洗浄サイクル中に、衣服が自由に溶媒といくらか混ざるように裏返しフレームが緩められるが、乾燥段階中に、衣服をきつく引っ張り且つしわを最小化するように、フレームは張り詰められる。
【0201】
洗浄され乾燥された衣服は、ローラーによって裏返しフレームから引き抜かれ、品質検査ステーションを通過する。衣服が出た(checks out)場合、衣服は折り畳み機械及び包装機械の上に置かれる。
【0202】
特異的な実施形態及び詳細が開示されたが、本特許が更に、本開示に基づいて当業者によって明らかとなる方法、製品、及びプロセスをカバーすることが意図される。その目的のために、本発明は以下の特許請求の範囲に記載される。
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