(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473743
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】コンフィギュレーション接続装置
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20190207BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20190207BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
H04M1/00 U
F21V23/04 500
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-521437(P2016-521437)
(86)(22)【出願日】2014年6月9日
(65)【公表番号】特表2016-524422(P2016-524422A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】US2014041474
(87)【国際公開番号】WO2014204689
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2017年5月8日
(31)【優先権主張番号】13/923,826
(32)【優先日】2013年6月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510032416
【氏名又は名称】サバント システムズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Savant Systems LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】マドンナ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハフレット,コリー
(72)【発明者】
【氏名】ヌーナン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンバーグ,ゼヴ
(72)【発明者】
【氏名】アヴェラール,デュアルテ
(72)【発明者】
【氏名】アギアル,マシュー
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−55463(JP,A)
【文献】
特開2012−140009(JP,A)
【文献】
特開2012−123699(JP,A)
【文献】
特表2013−500551(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/067569(WO,A1)
【文献】
特開2012−209786(JP,A)
【文献】
特開2002−236561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q9/00
H04M1/00
F21V23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最初はWi-Fiネットワークにアクセスできないホームオートメーションシステムの構成要素を設定するための方法であって、
タッチセンサ式表示画面を有するモバイル装置上でコンフィギュレーションアプリケーションを実行し、該コンフィギュレーションアプリケーションのユーザインタフェイスがユーザに対して該タッチセンサ式表示画面上に表示され、
該モバイル装置を接続装置を介して該ホームオートメーションシステムの該構成要素に接続し、該接続装置が、該モバイル装置の有線シリアル通信インタフェイスを該構成要素の有線シリアル通信インタフェイスに接続し、及びパススルーコマンドに応じてトランスペアレント中間ノードとして動作することが可能なものであり、
前記タッチセンサ式表示画面上に表示されている前記ユーザインタフェイスで入力された入力に応じて、該モバイル装置から該接続装置を介して該構成要素へ制御信号を送信し、該構成要素のWi-Fi設定を設定して該構成要素を前記Wi-Fiネットワークに接続させ、該制御信号が、該接続装置に該制御信号を該構成要素へ転送させる前記パススルーコマンドを含み、
該タッチセンサ式表示画面上に表示されている該ユーザインタフェイスで入力された更なる入力に応じて、該モバイル装置から該接続装置又は該Wi-Fiネットワークを介して該構成要素へ更なる制御信号を送信して、今やWi-Fiアクセス可能な該構成要素の更なる設定を設定し、該更なる制御信号が、該接続装置に該制御信号を該構成要素へ転送させる前記パススルーコマンドを含む
ことからなる方法。
【請求項2】
前記モバイル装置がスマートフォンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モバイル装置の前記有線シリアル通信インタフェイスがLightningインタフェイスであり、前記構成要素の前記有線シリアル通信インタフェイスがRS232インタフェイスである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記モバイル装置の前記有線シリアル通信インタフェイスがUSB(Universal Serial Bus)インタフェイスであり、前記構成要素の前記有線シリアル通信インタフェイスがRS232インタフェイスである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記モバイル装置がコントローラノードとして動作し、前記構成要素が従属ノードとして動作し、前記制御信号が、該コントローラノードから前記トランスペアレント中間ノードへ送信されるパケットであり、及び該制御信号が、前記接続装置にUART(Universal AsynchronousReceiver/Transmitter)から該従属ノードへ該パケットを送信させるためのUARTパススルーコマンドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ホームオートメーションシステムが複数の照明装置を制御し、前記構成要素が照明コントローラである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記構成要素がキーパッドである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記構成要素のWi-Fi設定及び更なる設定が設定された後に前記ホームオートメーションシステムの進行中の動作を制御するよう構成された制御アプリケーションを前記モバイル装置上で実行することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
最初はWi-Fiネットワークにアクセスできないホームオートメーションシステムの構成要素を設定するためのシステムであって、
プロセッサ、メモリ、有線シリアル通信インタフェイス、及びタッチセンサ式表示画面を有するモバイル装置であって、該メモリが、コンフィギュレーションアプリケーションを格納するよう構成されており、該タッチセンサ式表示画面が、該コンフィギュレーションアプリケーションのユーザインタフェイスを表示するよう構成されており、該プロセッサが、該コンフィギュレーションアプリケーションを実行するよう構成されており、該コンフィギュレーションアプリケーションが、その実行時に、前記ユーザインタフェイスで入力された入力に応じて前記有線シリアル通信インタフェイスを介して制御信号を送信するよう構成されており、該制御信号が、前記ホームオートメーションシステムの前記構成要素のWi-Fi設定を設定して該構成要素を前記Wi-Fiネットワークに接続させ、該制御信号がパススルーコマンドを含む、モバイル装置と、
該モバイル装置の前記有線シリアル通信インタフェイスと前記構成要素の有線シリアル通信インタフェイスとに接続される接続装置であって、前記パススルーコマンドに応じて該モバイル装置と該構成要素との間でトランスペアレント中間ノードとして動作してそれらの間で前記制御信号を伝えるよう構成されている、接続装置とを備えており、
前記コンフィギュレーションアプリケーションが、その実行時に、前記ユーザインタフェイスで入力された更なる入力に応じて、前記Wi-Fiネットワークを介して前記構成要素へ更なる制御信号を送信して、今やWi-Fiアクセス可能な前記構成要素の更なる設定を設定するよう更に動作可能なものであり、該更なる制御信号が前記パススルーコマンドを含む、システム。
【請求項10】
前記モバイル装置がスマートフォンである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記モバイル装置の前記有線シリアル通信インタフェイスがLightningインタフェイスであり、前記構成要素の前記有線シリアル通信インタフェイスがRS232インタフェイスである、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記モバイル装置の前記有線シリアル通信インタフェイスがUSB(Universal Serial Bus)インタフェイスであり、前記構成要素の前記有線シリアル通信インタフェイスがRS232インタフェイスである、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記モバイル装置がUART(UniversalAsynchronous Receiver/Transmitter)パススルーコマンドを含むパケットを前記接続装置へ送信するよう構成されており、これに応じて該接続装置がUARTから該パケットを送出する、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記ホームオートメーションシステムが複数の照明装置を制御し、前記構成要素が照明コントローラである、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記構成要素がキーパッドである、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記モバイル装置の前記メモリが、制御アプリケーションを格納するよう更に構成されており、該制御アプリケーションが、該モバイル装置の前記プロセッサにより実行された際に、前記構成要素のWi-Fi設定及び更なる設定が設定された後に前記ホームオートメーションシステムの進行中の動作を制御するものである、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
最初はWi-Fiネットワークにアクセスできないホームオートメーションシステムの構成要素を設定するためのモバイル装置であって、
タッチセンサ式表示画面と、
有線通信インタフェイスと、
Wi-Fiインタフェイスと、
コンフィギュレーションアプリケーションを格納するよう構成されたメモリと、
該コンフィギュレーションアプリケーションを実行するよう構成されたプロセッサとを備えており、該コンフィギュレーションアプリケーションが、その実行時に、
前記タッチセンサ式表示画面で入力された入力に応じて、前記ホームオートメーションシステムの前記構成要素のWi-Fi設定を設定するための制御信号を該モバイル装置から前記有線通信インタフェイスを介して接続装置へ送信して該構成要素を前記Wi-Fiネットワークに接続させ、該制御信号が、該接続装置をトランスペアレント中間ノードとして動作させるパススルーコマンドを含み、
前記タッチセンサ式表示画面で入力された更なる入力に応じて、今やWi-Fiアクセス可能な該構成要素の更なる設定を設定するための更なる制御信号を該モバイル装置から該Wi-Fiネットワークを介して該今やWi-Fiアクセス可能な該構成要素へ送信し、該更なる制御信号が、前記接続装置をトランスペアレント中間ノードとして動作させる前記パススルーコマンドを含む
よう動作可能なものである、モバイル装置。
【請求項18】
前記モバイル装置がスマートフォンである、請求項17に記載のモバイル装置。
【請求項19】
前記構成要素が照明コントローラである、請求項17に記載のモバイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にホームオートメーションシステムに関し、特に、最初はWi-Fiネットワーク上でアクセスできないホームオートメーションシステムの構成要素のコンフィギュレーションを行うための接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホームオートメーションシステムは、住居及び商業ビルにおいて次第に一般的なものとなってきている。典型的なホームオートメーションシステムでは、1つ以上のコントローラが該システムを編成する。該コントローラは、該コントローラと通信状態にあるユーザインタフェイス装置で受信したユーザからの指示の下で動作する。該コントローラは、環境を変更するための機能を実行するエンドポイントを制御することが可能であり、場合によっては環境データを収集することが可能である。ホームオートメーションシステムのタイプにより、コントローラ、ユーザインタフェイス装置、及びエンドポイントの性質は異なる。更に、場合によっては、同一の装置が、その能力及び現在の役割に応じて、コントローラ、ユーザインタフェイス装置、及び/又はエンドポイントとして動作することが可能である。本書で用いる場合、用語「構成要素」は、ホームオートメーションシステムのコントローラ、ユーザインタフェイス装置、及び/又はエンドポイントを一般に称するものとして理解されるべきである。
【0003】
ホームオートメーションシステムは、照明、環境制御、オーディオ/ビデオ、窓用ブラインド及びカーテン、セキュリティ及び監視、通信、入場管理、及び電源管理等の分野における様々な異なるタイプの機能のうちの任意のものに関する構成要素を含むことが可能である。例えば、ホームオートメーションシステムが照明制御をサポートする場合、コントローラは照明コントローラを含み、ユーザインタフェイス装置は1つ以上のリモコン及びキーパッドを含み、及びエンドポイントはロードモジュールを含むことが可能である。同様に、ホームオートメーションシステムが環境制御をサポートする場合には、コントローラは1つ以上の冷暖房空調制御(HVAC)コントローラ(又は汎用コントローラに組み込まれたHVAC制御機能)を含み、ユーザインタフェイス装置は1つ以上のリモコンを含み、エンドポイントは1つ以上のサーモスタットやセンサ等を含むことが可能である。
【0004】
構成要素によっては、無線ネットワークをサポートすることが可能であり、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)(より詳細にはWi-Fiネットワーク)を介して接続し通信することが可能である。本書で用いる場合、用語「Wi-Fiネットワーク」とは、複数のIEEE802.11規格のうちの1つ以上に基づくWLANを称するものである。Wi-Fiネットワークは、進行中のホームオートメーション機能をサポートするために複数の構成要素間で制御コマンドを送るために使用することが可能である。無線ネットワーク回路は構成要素に容易に組み込むことが可能であるが、かかる構成要素がWi-Fiネットワークに接続して互いに正しく対話するように該構成要素を構成することは課題を呈するものである。各構成要素は、Wi-Fiネットワークとの接続が完了する前には、Wi-Fi通信を介して他の構成要素とアクセスすることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Wi-Fiネットワークに接続するために、構成要素は一般に、Wi-Fi設定(例えば、ネットワーク名(例えば、SSID(service set identifier))、セキュリティタイプ(例えば、WEP(wired equivalent privacy)、WPA(Wi-Fi protected access))、パスワード、及びアドレス(例えば、IP(internet address)アドレス、サブネットマスク、ゲートウェイ/ルータのIPアドレスなど))が設定(configure)されなければならない。また、コンピュータは、その役割が定義され、そのファームウェアがアップデートされ、及び/又は結合(bindings)及びコントローラ設定が構成される必要があり、それらを行った後、他の構成要素と正しく対話することが可能となる。しかし、ホームオートメーションシステムの構成要素によっては、ユーザがそれら設定を容易に行うことを可能にするローバストなユーザインタフェイス自体が欠如したものである場合がある。例えば、照明コントローラやキーパッド等の構成要素は、かかるユーザインタフェイスを表示することができる表示画面を全く有さない場合がある。ユーザは、扱い難く効率の悪い手段を使用して構成要素を設定しなければならなくなる。
【0006】
したがって、最初はWi-FiネットワークとアクセスすることができないWi-Fi対応構成要素を含むホームオートメーションシステムの構成要素を設定するための改善された技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、タッチセンサ式表示画面を有するモバイル装置をホームオートメーションシステムの構成要素(例えば、コントローラ、ユーザインタフェイス、又はエンドポイント)に接続する接続装置が提供される。該接続装置は、モバイル装置の有線シリアル通信インタフェイス(例えば、30ピンドッキングインタフェイス、Lightning(登録商標)インタフェイス、USB(universal serial bus)(登録商標)インタフェイスなど)をホームオートメーションシステムの構成要素の有線シリアル通信インタフェイス(例えば、RS232インタフェイス又はその他のタイプのインタフェイス)に接続する。該接続装置の内部に、認証チップ、プロセッサ、又はその他の回路を含めて、有線シリアル通信インタフェイス間の通信を容易化することが可能である。前記モバイル装置はコンフィギュレーションアプリケーションを実行し、該コンフィギュレーションアプリケーションのユーザインタフェイスが前記タッチセンサ式表示画面上に表される。該ユーザインタフェイスを使用して、ユーザは、Wi-Fiネットワークと接続するよう構成要素を設定し、及び該構成要素の更に高度な設定を設定することが可能となる。例えば、該ユーザインタフェイスでの入力に応じて、該モバイル装置上の該コンフィギュレーションアプリケーションは、該構成要素をWi-Fiネットワークに接続させるためにネットワーク名、セキュリティタイプ、パスワード、及びアドレス等を設定すべく、該接続装置を介して該構成要素へ制御コマンドを送信することが可能である。同様に、該ユーザインタフェイス上での更なる入力に応じて、該モバイル装置上の該コンフィギュレーションアプリケーションは、更なる制御信号を該接続装置又はWi-Fiネットワークを介して該構成要素へ送信して、該構成要素の更なる設定(例えば、役割、ファームウェア、並びに結合及びコントローラ設定など)を設定することが可能である。このようにして、ユーザは、ローバストなユーザインタフェイスを提供することができる表示画面の類を全く有さないホームオートメーションシステムの構成要素を、前記モバイル装置を使用して設定することが可能となる。
【0008】
様々な更なる特徴及び代替的な実施形態を実施することが可能であることが理解されよう。上記手段は、読者に対する単なる序論を意図したものであり、本書で言及する実施形態が本発明の全ての特徴を網羅すること又はかかる実施形態が本発明の必要不可欠または本質的な特徴であることを開示し又は示唆するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】照明制御に注目してホームオートメーションシステムのアーキテクチャを示すブロック図である。
【
図2】モバイル装置の一実施形態のブロック図である。
【
図3】例示的な接続装置を介して例示的な構成要素に接続された例示的なモバイル装置を示すブロック図である。
【
図4】例示的なモバイル装置の一連の説明図であり、接続装置及び構成要素がモバイル装置に接続されている間のタッチセンサ式表示画面上の例示的なユーザインタフェイスを示している。
【
図5】例示的なモバイル装置の一連の説明図であり、ユーザが構成要素をWi-Fiネットワークと接続するよう設定する間の例示的なユーザインタフェイスを示している。
【
図6】例示的なモバイル装置の一連の説明図であり、ユーザがホームオートメーションシステムにおける構成要素の役割を設定する間の例示的なユーザインタフェイスを示している。
【
図7】例示的なモバイル装置の一連の説明図であり、ユーザが構成要素のファームウェアをアップデートする間の例示的なユーザインタフェイスを示している。
【
図8】例示的なモバイル装置の一連の説明図であり、ユーザが結合及びコントローラ設定を設定する間の例示的なユーザインタフェイスを示している。
【
図9】最初はWi-Fiネットワークにアクセスすることができないホームオートメーションシステムの構成要素を設定するための例示的な一連のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、照明制御に注目して例示的なホームオートメーションシステムのアーキテクチャを示すブロック図である。該照明制御に対する注目は単なる例示であり、ホームオートメーションシステムは、照明、環境制御、オーディオ/ビデオ、窓用ブラインド及びカーテン、セキュリティ及び監視、通信、入場管理、及び電源管理等に関する様々な異なるタイプの機能をサポートすることが可能なものであり、以下の説明は照明制御に限定されるものではない、ということが理解されるべきである。ホームオートメーションシステムは、かかる機能のうちの1つ、又はかかる機能のうち複数の機能の組み合わせのためのものとすることが可能である。ホームオートメーションシステムは、住居内に配置し及びその機能を居住環境に適合させることが可能である。代替的に、ホームオートメーションシステムは、商業ビル(オフィスビル、店舗、工場など)内に配置し及びその機能を商業的な要件に適合させることが可能である。
【0011】
例示的なホームオートメーションシステム100は、照明制御に関連する複数のホームオートメーション構成要素(例えば、コントローラ、ユーザインタフェイス、及びエンドポイント)からなる。該コントローラは、照明コントローラ110及びホストコントローラ120を含む。該ユーザインタフェイスは、キーパッド170、リモコン175、及び場合によってはモバイル装置200を含む。エンドポイントユニットは、ロードモジュールやランプモジュール(図示せず)等を含む。
【0012】
照明コントローラ110は、制御及び通信機能を提供し、及びモジュールバス130を介してロードモジュール140をサポートする。該ロードモジュール140は、照明コントローラ110により命令された際に個々の照明装置の調光及び/又はオンオフを行うディマーモジュール及びリレーモジュールを含む。更に、照明コントローラ110は、それぞれのステーションバス160を介して複数のキーパッド170に接続されたキーパッドリンクユニット150を、モジュールバス130を介してサポートする。該キーパッド170は、複数の照明装置の調光及び/又はオンオフを指示するユーザ入力を受容し、該ユーザ入力を照明コントローラ110へ提供する。
【0013】
照明コントローラ110は、有線LAN180を介してホストコントローラ120に接続されている。該ホストコントローラ120は、照明コントローラ110の制御及び監視を行い並びにユーザインタフェイスの解釈及び高レベル制御機能を提供するよう構成されている。1つ以上の無線アクセスポイント190は、LAN180に接続され、及びWLAN(より詳細にはWi-Fiネットワーク)をサポートする。該Wi-Fiネットワークは、リモコン175及びモバイル装置200により使用される。該リモコン175及びモバイル装置200に加えて、ホームオートメーションシステム100の1つ以上の他の構成要素がWi-Fiネットワークを使用することが可能である。例えば、照明コントローラ110、キーパッド170、及びその他の構成要素をWi-Fi対応のものとすることが可能であり、かかる構成要素が、有線接続に加えて又は(代替的に)有線接続に代えてWi-Fiネットワークを使用することが可能である。
【0014】
ホームオートメーションシステム100の進行中の動作を制御するためのユーザ入力の受信に加えて、モバイル装置200は、ホームオートメーションシステム100の構成要素を設定するために使用することが可能である。複数のモバイル装置200は、それぞれ、かかる役割の一方又は両方に使用することが可能である。本書で用いる場合、用語「モバイル装置」は、所持し搬送するよう構成されたものであり、無線通信インタフェイス及びタッチセンサ式表示画面を含む電子装置を意味する。タブレットコンピュータ(例えば、Apple Inc.から入手可能なiPad(登録商標)タブレット)、スマートフォン(例えば、Apple Inc.から入手可能なiPhone(登録商標)スマートフォン、及び様々な供給業者から入手可能なAndroid(登録商標)スマートフォン)、及び特定のポータブルメディアプレーヤ(例えば、Apple Inc.から入手可能なiPod(登録商標)touch)等の装置が、モバイル装置とみなされるものである。デスクトップコンピュータはモバイル装置とは見なされない。コントローラの役割で用いられる場合、モバイル装置200は、制御アプリケーションを実行し、及びホストコントローラ120と通信することが可能である。設定(configuration)の役割で用いられる場合には、モバイル装置200は、コンフィギュレーションアプリケーションを実行し、及びコントローラ以外の個々の構成要素と直接通信することが可能である。
【0015】
図2は、例示的なモバイル装置200のブロック図である。該モバイル装置200は、プロセッサ210、メモリ220、無線ネットワークインタフェイス230、タッチセンサ式表示画面240、有線シリアル通信インタフェイス250、並びにその他のハードウェアを含む。該プロセッサ210は、ソフトウェアを実行しデータ構造からのデータを操作するよう構成されたロジックを含む。メモリ220は、ソフトウェア及びデータ構造を格納するための複数の記憶場所を含む。無線ネットワークインタフェイス230は、WLAN(より詳細にはWi-Fiネットワーク)を介した通信を容易化する。タッチセンサ式表示画面240は、ジェスチャ(例えば、タッチ、スワイプ、マルチタッチジェスチャなど)という形でユーザからユーザ入力を受容することが可能である。有線シリアル通信インタフェイス250は、30ピンドッキングインタフェイス、Lightningインタフェイス、USBインタフェイス、又は他のタイプのインタフェイスとすることが可能である。
【0016】
オペレーティングシステム260は、その一部がメモリ220内に常駐し、モバイル装置200を機能的に編成する。オペレーティングシステム260は、Apple Inc.から入手可能なIOS(登録商標)オペレーティングシステム、Google Inc.から入手可能なAndroid(登録商標)オペレーティングシステム、又はその他のタイプのオペレーティングシステムとすることが可能である。コンフィギュレーションアプリケーション270は、オペレーティングシステム260と連携して実行されて、モバイル装置200がホームオートメーションシステム100の構成要素(例えば、コントローラ、ユーザインタフェイス、又はエンドポイント)を設定するためにコンフィギュレーションの役割で動作することを可能にする。該コンフィギュレーションアプリケーション270は、タッチセンサ式表示画面240上にユーザインタフェイスを表示し、及び該ユーザインタフェイス上でユーザ入力を受容することが可能である。更に、制御アプリケーション(図示せず)をメモリ220内に格納して、モバイル装置200が制御の役割で動作してホームオートメーションシステム100の進行中の動作を制御することができるようにすることが可能である。該制御アプリケーション(図示せず)もまた、そのユーザインタフェイスをタッチセンサ式表示画面240上に表示させて、該ユーザインタフェイス上でユーザ入力を受容することが可能である。
【0017】
上述のように、ホームオートメーションシステム100のWi-Fi対応構成要素は、Wi-Fiネットワークに接続するために必要なWi-Fi設定が未だ設定されていない場合がある。更に、該構成要素は、かかるWi-Fi設定及び該構成要素のその他の設定を設定するためのローバストなユーザインタフェイスを提供することができる表示画面を有さない場合がある。モバイル装置200のシリアル通信インタフェイス250を、特殊な接続装置を介して、該構成要素のシリアル通信インタフェイスに接続し、及び該モバイル装置200上でコンフィギュレーションアプリケーション270を使用することにより、ユーザが、該Wi-Fi設定及びその他の設定を設定することが可能となる。
【0018】
図3は、例示的な接続装置310を介してホームオートメーションシステムの例示的な構成要素320(例えば、コントローラ、ユーザインタフェイス、又はエンドポイント)に接続された例示的なモバイル装置200を示すブロック図である。該構成要素は、有線シリアル通信インタフェイス330、Wi-Fiインタフェイス340、及びプログラミング環境をサポートすることができるPSoC(programmable system-on-chip)350を含む。接続装置310は、モバイル装置200の有線シリアル通信インタフェイス250(例えば、30ピンドッキングインタフェイス、Lightningインタフェイス、又はUSBインタフェイスなど)を構成要素320の有線シリアル通信インタフェイス330(例えば、RS232インタフェイス又はその他のタイプのインタフェイス)に接続する。該接続装置310は、かかる接続をサポートするためのハードウェアを含むことが可能である。例えば、インタフェイス250がLightningインタフェイスであり、インタフェイス330がRS232インタフェイスである場合、接続装置310は、プロセッサ、認証チップ、並びにその他のハードウェア(図示せず)を含むことが可能である。代替的に、インタフェイス250がUSBインタフェイスであり、インタフェイス330がRS232インタフェイスである場合には、接続装置310は、USB変換装置並びにその他のハードウェア(図示せず)を含むことが可能である。
【0019】
モバイル装置200は、接続装置310を介して構成要素に接続されたときを検出することが可能であり、該モバイル装置200から接続装置310を介して制御コマンドを送って該構成要素のWi-Fiインタフェイス340を設定して、該構成要素がWi-Fiネットワーク370に接続することができるようにすることが可能である。例えば、コンフィギュレーションアプリケーション270のユーザインタフェイス上での入力に応じて、Wi-Fiネットワークに接続するために使用されるネットワーク名(例えば、SSID(service set identifier))、セキュリティタイプ(例えば、WEP(wired equivalent privacy)、WPA(Wi-Fi protected access)など)、パスワード(例えば、SSIDパスワード)、及びアドレス(例えば、構成要素のIP(internet address)アドレス、サブネットマスク、ルータのIPアドレスなど)を設定するように制御コマンドを接続装置310を介して送信することが可能である。更に、構成要素320の他のハードウェア及びソフトウェア350を設定するようにモバイル装置200から接続装置310を介して制御コマンドを送ることが可能である。例えば、コンフィギュレーションアプリケーション270のユーザインタフェイス上での入力に応じて、構成要素の役割、結合及びコントローラ設定、及びファームウェア等を設定するように制御コマンドを送ることが可能である。
【0020】
UART(universal asynchronous receiver/transmitter)プロトコル及び関連するアプリケーションプログラムインタフェイス(API)は、かかる制御コマンドの交換をサポートすることが可能である。該プロトコルの下で、モバイル装置200はコントローラノードとして動作することが可能であり、接続装置310はトランスペアレント中間ノードとして動作することが可能であり、構成要素320は従属ノードとして動作することが可能である。通信を確立するために、モバイル装置200は、最初に接続装置310を介して共通状態パケットを送信する。該共通状態パケットは、通信を橋渡しするよう接続装置310に命令するUARTパススルーコマンドを含む。接続装置310は、該共通状態パケットを受信した際に、該パケットを受信したインタフェイスのバスタイプを判定し、及び該UARTパススルーコマンドを検出する。該バスタイプ及びUARTパススルーコマンドに基づいて、該接続装置310は、前記パケットを再構成して(re-frame)接続装置310のUARTから構成要素320へ送出すべきことを判定する。次いで該パケットが構成要素320により受信される。該構成要素320からモバイル装置200へ応答パケットを送信することが可能である。該応答パケットは、進行方向を示すアップリンクフラグを含むことが可能である。接続装置310は、アップリンクフラグが設定されたパケットを発見した際に、該パケットがUARTパススルーコマンドを含む場合には、該パケットをモバイル装置200へと前進させる。モバイル装置200上で受信された際に、該UARTパススルーコマンドは、接続装置310を出所とする情報と構成要素320を出所とする情報とを区別するために使用される。接続装置310を介したパケットの往復の交換を介して、モバイル装置200と構成要素320との間の通信チャネルであって未だWi-Fiネットワーク370を介した通信が可能でないときに使用できる通信チャネルが確立される。
【0021】
図4は、接続装置310及び構成要素320がモバイル装置200に接続されている間におけるタッチセンサ式表示画面240上の例示的なユーザインタフェイスを示す例示的なモバイル装置200の一連の説明
図400である。
図410において、接続装置は、未だモバイル装置から切断されており、「未接続」状態が接続アクセサリ表示領域415中に表示されている。Wi-Fiネットワーク上でアクセス可能な他の構成要素は、Wi-Fi表示領域417中に表示される。モバイル装置200は、接続装置310が該モバイル装置200に接続されたことを検出してその表示を更新させる。
図420では、接続装置310は、モバイル装置200の有線シリアル通信インタフェイス250に接続されているが、構成要素320には接続されていない。該接続装置310は、接続アクセサリ表示領域415中に表示されている。モバイル装置200は、接続装置310に構成要素が接続されたことを検出してその表示を更新させる。
図430では、構成要素320が接続装置310に接続されている。該構成要素320(この場合には型番"SSL-P018"を有するコントローラ)は、接続アクセサリ表示領域415中に表示されている。
図440では、ユーザは、接続アクセサリ表示領域415中の接続装置を選択しており、該接続装置310に関する更なる情報が表示されている。
図450では、ユーザは、接続アクセサリ表示領域415中の構成要素を選択しており、該構成要素のためのメインメニュー460が示されている。該メインメニュー460を使用して、ユーザは、Wi-Fiネットワークに接続するよう構成要素320を設定し、及び該構成要素の更なる設定を設定することが可能である。該構成要素320がWi-Fiネットワークに接続されると、それ以降のアクセスのために該構成要素320を
図410−430のWi-Fi表示領域417に表示することが可能となる。
【0022】
図5は、ユーザがWi-Fiネットワークに接続するよう構成要素320を設定する間の例示的なユーザインタフェイスを示す例示的なモバイル装置200の一連の説明
図500である。
図510中のメインメニュー460から、ユーザは、構成要素320のWi-Fi設定を設定するためのオプション520を選択することが可能であり、次いで
図530が表示される。
図530において、ユーザインタフェイスは、モバイル装置200が接続している現在のWi-Fiネットワークを領域532内に表示し、最近接続したWi-Fiネットワークを領域534内に表示している。これらのWi-Fiネットワークについて、ネットワーク名、セキュリティ、パスワード、アドレス、及びその他の情報は、モバイル装置200にとって既知の情報である。更に別のアクセス可能なネットワークを領域536に表示することが可能である。それら複数のネットワークのうちの1つを所望する場合、ユーザは、
図540,550に示すように、ネットワーク名、セキュリティ、パスワード、アドレス、及び/又はその他の情報を入力する必要があり得る。
図540,550及び
図538における入力されたユーザ入力に応じて、モバイル装置200は、ネットワーク名、セキュリティタイプ、パスワード、アドレスその他を設定するための制御コマンドを接続装置310を介して構成要素320へ送信して、該構成要素を該Wi-Fiネットワークに接続させる。該構成要素320がWi-Fiネットワークに接続すると、それ以降の制御コマンドは、接続装置310を介して、又は現在アクセス可能なWi-Fiネットワークを介して、該構成要素320に送信することが可能となる。
【0023】
図6は、例示的なモバイル装置の一連の説明
図600であり、ユーザがホームオートメーションシステムにおける構成要素320の役割を設定する間の例示的なユーザインタフェイスを示している。
図610に示すメインメニュー460から、ユーザは、構成要素320の役割を設定するためのオプション620を選択することが可能であり、その更新された
図630が示されている。
図630で、構成要素320の様々な利用可能な役割が領域640内に表示され、ユーザは所望の役割を選択する。ユーザ入力に応じて、モバイル装置200は、構成要素320へ制御コマンドを送信して該役割を設定する。
【0024】
図7は、例示的なモバイル装置200の一連の説明
図700であり、ユーザが構成要素320のファームウェアをアップデートする間の例示的なユーザインタフェイスを示している。
図710に示すメインメニュー460から、ユーザは、ファームウェアを設定するためのオプション720を選択することが可能であり、更新された
図730が示されている。
図730には、様々な利用可能なファームウェア及びそのバージョンが示されている。ファームウェアは、モバイル装置200上にローカルに格納することが可能であり、又は該モバイル装置200がアクセス可能なオンラインリポジトリで利用可能なものとすることが可能である。ユーザによりファームウェア及びそのバージョンが選択されると、ユーザインタフェイスは、
図750に示すように確認プロンプト740を表示する。ユーザによる確認に応じて、ファームウェアがモバイル装置200から構成要素320へと転送される。該ファームウェアが転送される際に、
図770に示すようにステータス表示760が表示される。ユーザは、
図780に示すように、該転送をその完了前にキャンセルすることが可能である。
【0025】
図8は、例示的なモバイル装置200の一連の説明
図800であり、ユーザが結合及びコントローラ設定を設定する間の例示的なユーザインタフェイスを示している。
図810に示すメインメニュー460から、ユーザは、結合及びコントローラ設定を設定するためのオプション820を選択することが可能である。その選択時に、
図830に示すように、ウェブインタフェイス840が、該結合及びコントローラ設定を操作するためのコントロールを表示する。該ウェブインタフェイスは、構成要素320又はその他のソースから提供することが可能であり、モバイル装置200は、かかる提供されたウェブページを、そのコンテンツを理解することなく、単にロードし表示することが可能である。
【0026】
図9は、最初はWi-Fiネットワークでアクセスすることができないホームオートメーションシステムの構成要素を設定するための例示的な一連のステップ900を示すフローチャートである。該一連のステップ900は、上記で説明した動作の特徴を要約することが可能なものである。ステップ910で、コンフィギュレーションアプリケーションがモバイル装置上で実行される。該コンフィギュレーションアプリケーションのユーザインタフェイスがタッチセンサ式表示画面上に表示される。ステップ920で、該モバイル装置が、接続装置を使用して、最初はWi-Fiネットワークにアクセスすることができない構成要素に接続される。該接続装置は、該モバイル装置の有線シリアル通信インタフェイスを該構成要素の有線シリアル通信インタフェイスに接続する。ステップ930で、前記タッチセンサ式表示画面上に表示されているユーザインタフェイスで入力された入力に応じて、モバイル装置は接続装置を介して構成要素へ制御信号を送信して該構成要素のWi-Fi設定を設定し、該構成要素をWi-Fiネットワークに接続させる。ステップ940で、前記タッチセンサ式表示画面上に表示されているユーザインタフェイスで入力された更なる入力に応じて、モバイル装置は、更なる制御信号を接続装置又はWi-Fiネットワークを介して構成要素へ送信して、今やWi-Fiネットワークにアクセスすることが可能な該構成要素の更なる設定を設定する。
【0027】
本書で開示した実施形態の思想及び範囲内で様々な応用及び変更を実施することが可能であることが理解されよう。更に、上述した技術の少なくとも一部をソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせで実施することが可能であることが理解されよう。ソフトウェアによる実施は、持続性コンピュータ読み取り可能媒体(揮発性又は持続性メモリ、ハードディスク、コンパクトディスク(CD)、又はその他の有形媒体など)に格納されたコンピュータ実行可能命令を含むことが可能である。ハードウェアによる実施は、構成されたプロセッサ、論理回路、ASIC(application specific integrated circuit)、及び/又はその他のタイプのハードウェア要素を含むことが可能である。更に、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせによる実施は、持続性コンピュータ読み取り可能媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令と1つ以上のハードウェア要素(例えば、プロセッサやメモリその他)を両方とも含むことが可能である。したがって、上記説明は単なる例示として解釈されることを意図したものであることが理解されよう。