特許第6473767号(P6473767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6473767押型、ドリルテンプレート、位置関係の提供方法及びドリルテンプレートの作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473767
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】押型、ドリルテンプレート、位置関係の提供方法及びドリルテンプレートの作成方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
   A61C8/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-18381(P2017-18381)
(22)【出願日】2017年2月3日
(62)【分割の表示】特願2013-552198(P2013-552198)の分割
【原出願日】2012年2月2日
(65)【公開番号】特開2017-94195(P2017-94195A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2017年2月3日
(31)【優先権主張番号】102011003561.3
(32)【優先日】2011年2月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500058187
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ザーシャ
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−512079(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0008751(US,A1)
【文献】 特表2008−523935(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0124731(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
A61C 1/08
A61B 17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顎(1)のインプラント箇所(2)と、前記インプラント箇所(2)の3D測定データセット(21)とを相関させるための方法であって、
−前記顎(1)の少なくとも1つの部分領域と、前記顎(1)のこの部分領域内にある少なくとも1つのインプラント箇所(2)とのめす型を下面(3”)に有する押型(3)を提供する工程であって、前記押型(3)は、X線透過性材料及び/又はMRT撮影で最大限でも僅かしか見えない材料から成り、少なくとも部分的に、レントゲン撮影及び/又はMRT撮影で認識可能な材料から成る補助エレメント(4)があり、前記補助エレメント(4)は接続部(5)を有し、前記接続部(5)は、前記インプラント箇所(2)のめす型領域で、前記押型(3)の下面(3”)に向かい合う前記押型(3)の上面(3’)に取り付けられる工程と、
−前記顎(1)の少なくとも1つの部分領域及びこの部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所(2)、前記インプラント箇所(2)に取り付けられた押型(3)、及び前記押型(3)に取り付けられた少なくとも1つの補助エレメント(4)の少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又はMRT撮影を行う工程であって、前記少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又はMRT撮影から前記3D測定データセット(21)が作られる工程と、
−前記3D測定データセット(21)の中で、前記インプラント箇所(2)に対する前記少なくとも1つの補助エレメント(4)の接続部(5)の位置を決定する工程と、
−前記補助エレメント(4)を取り除くことにより、前記少なくとも1つの補助エレメント(4)の接続部(5)のめす型に対応する接続部(7)を、前記インプラント箇所(2)に取り付けられた押型(3)内の、前記3D測定データセット(21)で決定された前記補助エレメント(4)の接続部(5)の位置と一致する位置に提供する工程と、
−前記押型(3)の下面(3”)から突出している、検出体(24)を備える光学的補助エレメント(22)を取り付けられた前記押型(3)の下面(3”)の少なくとも1つの光学画像を作る工程であって、前記少なくとも1つの光学画像からもう1つの3D測定データセット(25)が作られる工程と、
−前記少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又はMRT撮影から作られた3D測定データセット(21)と、前記少なくとも1つの光学画像から作られたもう1つの3D測定データセット(25)との関連づけによって相関データセット(26)を作る工程と、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押型、ドリルテンプレート、および顎のインプラント箇所とインプラント箇所の3D測定データとの間における位置関係の提供方法及びドリルテンプレート作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
計画されたインプラント掘削の制御された実施を可能にする多数のドリルテンプレートが従来技術として知られている。そのようなドリルテンプレートにより、達成された掘削が、計画された掘削方向、計画された掘削深度又は計画された掘削直径を有することを確実なものにすることができる。
【0003】
独国特許第19952962A1号(特許文献1)は歯科インプラントの切削補助の作成方法を開示しており、この場合、最初に顎のレントゲン撮影が行われ、次に、顎と歯の目に見える表面の3次元の光学的測定が行われる。レントゲン撮影及び3次元の光学画像の測定データセットは、互いに関連づけが行われる。隣接する歯に対するインプラントの種類及び位置などの情報に基づいてテンプレートが計画及び作成され、このテンプレートは隣接する歯の上に置かれ、それによってインプラントガイド孔の正確な掘削が可能となる。また、レントゲンデータを用いて、周知の方法でインプラントを決定し、位置決めすることができる。隣接する歯の表面構造、すなわち咬合面について得られた情報を用い、CAD/CAM装置を使用してインプラント補助をドリルテンプレートの形に削り取られることができる。測定データに基づき、CAD/CAM機械は、咬合面のめす型とドリル用のガイドとを備えるドリルテンプレートを製造することができる。このドリルテンプレートに、掘削深度を決定するストッパが転記される。
【0004】
国際特許第99/32045号(特許文献2)から歯科インプラントのための掘削補助の作成方法が知られており、この場合、顎の画像を用いながら、押型面に関して3次元のコンピュータ画像が形成され、ドリル穴の位置及び掘削深度が特定され、コンピュータ制御による製造機械の中にインプラントドリル穴の座標データのセットが保存される。精密ツールを用いて、あらかじめ保存されているそれぞれのドリル穴座標データセットについて、顎断面に基づいて検出されたドリル穴の位置とドリル穴の方向に従って、ドリルテンプレートの中にドリルガイドベースが準備される。
【0005】
この方法の欠点は、ほとんどのCAD/CAM機械がその自由度を制限されており、従って、周知の方法に基づいてそのようなCAD/CAM機械を用いるドリルテンプレートの製造が、制限された適用範囲にしか可能ではないことにある。この理由から、多くの場合、ドリルテンプレートの製造は技工室で個別に行われるか、又は集中型に例えばその構造により加工する対象物の動きを6つの全自由度で可能にするヘキサポッド及び垂直な掘削を実施するためのパラレロメータなどを使用して事前のCAD/CAM計画後に行われる。集中型生産では、大抵、CT−DVTテンプレート、バイトプレート及び石膏による顎モデルが使用される。これらは、複雑に形成されたヘキサポッドの上に取り付けられ、多数の測定点を頼りに調整される。このプロセスは極めて複雑であるため不具合も多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第19952962A1号明細書
【特許文献2】国際特許第99/32045号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、出来る限り簡単かつ迅速な方法で、自由度が制限されている従来の製造機械を使用して任意のテンプレートの製造を可能にする方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の対象は、少なくとも1つの顎の部分領域と、この顎の部分領域内にある少なくとも1つのインプラント箇所のめす型を下面に備える押型である。この押型は、少なくとも部分的に、X線透過性材料及び/又はMRT撮影で最大限でも僅かしか見ることができない材料から成ることができる。この押型は、インプラント箇所のめす型部分の領域に、押型の下面に向かい合う上面に接続部を有しており、この接続部は押型の上面に対する突出部及び/又は窪みとして形成されている。この突出部及び/又は窪みは、押型の上面に対する突出方向又は下降方向に長手方向軸を有している。この突出部及び/又は窪みは、長手方向軸を中心とする構造のねじれが明確に分かる構造を有している。
【0009】
歯科の押型は、顎又は顎の一部、すなわち顎全体の押型又は部分押型のめす型の型取りである。従って、この押型は、顎又は顎の一部のめす型を備える下面と、この下面に向かい合う上面とを有している。初めは柔らかく、成形可能で、後に硬化する材料、例えば押型材とも呼ばれる材料が使用され、この材料は、形成可能な状態で顎又は顎の一部に取り付けられ、それによって顎又は顎についている歯の形が、形成可能な材料にめす型としてかたどられる。この位置で、取り付けられた材料が硬化される。硬化した状態において、押型は、完全に固まって変形不可能な形状か、又は元の形状が変形しても必ず元の形状に戻る少なくとも1つの形状を有している。
【0010】
本発明に基づく押型は、これが、例えばX線透過性材料から形成されていることを特徴としている。X線透過性により、本発明に基づく押型はレントゲン撮影では認識できない。このことにより、患者の顎のレントゲン撮影を、顎に位置決めされた本発明に基づく押型と一緒に作成することが可能となり、顎及び/又はまだ存在している歯の部分が押型によってレントゲン撮影で隠されてしまうことはない。
【0011】
MRT撮影でも適合する効果を得るため、例えばポリウレタン、ポリエチレン、ポリマー又はガラス繊維などの絶縁体材料を使用することが可能であり、この絶縁体材料は、一般的にMRT撮影では見えないか、又は僅かしか見えない。最大でも僅かな信号しか発生しないが、特に、骨又は歯から発生する信号は覆わないような全ての材料が適している。そのような材料は、特に、顎骨、歯及び周辺の軟部組織のような周辺組織の密度よりも明らかに少ない密度を有していなければならない。
【0012】
本発明に基づく押型は、インプラント箇所及びこのインプラント箇所を取り囲む少なくとも1つの領域、例えば隣接する歯などを越えて広がっているので、例えば隣接する歯に基づいて、顎から取り外した押型を再び取り付けることが簡単かつ明確な形で可能となる。
【0013】
接続部は押型の一部であり、この接続部は、押型の上面に別の構成部品を取り付けることを可能にする構造を特徴としている。これは、例えば窪みであってよく、この窪みの中に別の構成部品を少なくとも部分的に取り付けることができる。この接続部は突出部としても形成することができ、この突出部の上に別の構成部品をのせることができる。
【0014】
接続部の形状は、本発明に基づき、この接続部が長手方向軸を有しており、この軸は押型の表面に対して接続部の突出方向又は下降方向に通っていること、及び接続部の外側ジオメトリーがこの長手方向軸に対し垂直な平面において非対称的であることによって特徴づけられている。長手方向軸を中心とした周辺方向へのそのような非対称により、取付けに適した構造を備える別の構成部品を、長手方向軸を中心とするねじれが明確に分かるように取り付けることが確実に行われる。
【0015】
有利であるのは、押型が接続部と共に一体形成できることである。このことは、本発明に基づく押型を提供する、特に簡単な製造バリエーションとなり得る。
【0016】
有利には、少なくとも部分的に押型の接続部のめす型に対応する接続部を備え、少なくとも部分的に押型の接続部の中に挿入する又は接続部の上にのせることのできる独立した構成部品があってもよい。
【0017】
押型の接続部により、例えば挿入するか、又はのせることによって簡単かつ精密に別の構成部品を押型に配置することが可能となり、そのためにこの別の構成部品も同様に接続部を有している。独立した構成部品の接続部は、この独立した構成部品の押型への取付け又は接続に適した構成部品の部分又は部品である。このために、構成部品の接続部は、例えば押型の接続部のめす型を有しており、それによって接続部同士をポジティブ結合で接続することができる。しかし、独立した構成部品の接続部が押型の接続部のめす型に部分的にのみ対応しているようにすることも可能であり、その際には、部分的なポジティブ結合だけが達成される。
【0018】
有利には、この構成部品が一体形成の補助エレメントとして、又は複数の部品からなる補助エレメントとして形成することができ、このエレメントは、少なくとも部分的にX線不透過材料及び/又はMRT撮影で認識可能な材料から成る。
【0019】
本発明に基づく補助エレメントは、押型とは反対に、少なくとも部分的にレントゲン撮影又はMRT撮影で認識可能な構成部品である。レントゲン撮影のために、この補助エレメントは少なくとも部分的にX線不透過材料から成る。MRT撮影に関しては、例えば、顎骨、歯及び周辺の軟部組織の密度とは明確に区別され得る密度、又は明確に異なるスピン格子緩和時間を有している材料が適する。例えば、特定の金属のような導電性材料などが適している。
【0020】
有利には、接続部の突出部又は窪みが、押型の上面に隣接する少なくとも1つの側壁を有している。そのような側壁は、特に、別の構成部品をポジティブ結合によって保持するのに適している。
【0021】
有利には、接続部の窪みが押型の上面に対して下降している底面を有しているか、又は接続部の突出部が押型の上面に対して上昇している天井を有している。押型の接続部の底面又は天井を深度ストップとして用いて、取り付ける構成部品の位置を突出部又は窪みの方向に固定することができる。このことは、例えば、取付けに適した構成部品の面と底面又は天井とが接触するまで、取り付ける構成部品が押型の接続部の中に押し込まれるか、又は押型の接続部の上にのせられることによって行うことができる。
【0022】
本発明は、さらに、インプラント箇所に実施する掘削のためのドリルテンプレートにも関し、このテンプレートは本発明に基づく押型と、ドリルをガイドするための少なくとも1つの掘削補助とから成る。掘削補助は、押型に接続するための接続部を有しており、この接続部は、押型の接続部のめす型に少なくとも部分的に対応している。さらに、掘削補助は、接続部に対して掘削方向を固定する通過開口部を有している。
【0023】
押型と掘削補助のそれぞれの接続部により、明確な位置で掘削補助と押型とを接続することが簡単な方法で確実に行われる。
【0024】
このことにより、さらに、掘削補助の通過開口部が、押型に対して、従って顎に押型が配置されている場合には顎に対して、規定された方向、すなわち望ましい掘削方向に通ることを確実にすることができる。
【0025】
有利には、少なくとも掘削補助の接続部がフライス加工又は研削によって製造可能である。これらは、とりわけ簡単な製造方法である。しかし、通常のフライス加工及び研削機械は、加工方向に関して限られた数の自由度しか備えていない。そのため、本発明に基づく掘削補助は、自由度が制限された通常のフライス加工又は研削機械でも掘削補助を製造できるように形成されている。
【0026】
有利には、掘削補助が、押型の上面に重なるための接触面を有している。このことは、押型に配置される掘削補助の位置を制御するもう1つの方法である。そのような接触面は、例えば、窪みとして形成されている押型の接続部の中に押し込まれる掘削補助のための、又は突出部として形成されている押型の接続部の上にのせられる掘削補助のための深度ストップとなることができ、それによって、少なくとも突出又は窪みの方に通る方向に関して位置を固定することができる。
【0027】
有利には、掘削補助の通過開口部が筒状に形成され、規定された掘削径と一致する直径を有している。
【0028】
このことにより、掘削補助の通過穴は、特に押型に取り付けられた状態においてドリルをガイドするために用いることができる。
【0029】
有利には、掘削補助が少なくとも1つのアダプタを有しており、このアダプタは、規定された掘削径と一致する直径を備えた筒状の通過開口部と、掘削補助の通過開口部の中に少なくとも部分的にポジティブ結合によって適合する領域と、この領域に連続しているが通過開口部の中には適合しない接続領域とを備える外部輪郭を有している。
【0030】
このことにより、アダプタの通過開口部はドリルをガイドするために用いることができ、このアダプタは、部分的に掘削補助の通過開口部の中に収納することができるため、アダプタを含む掘削補助は、押型と接続して、掘削ツールをガイドする本発明に基づくドリルテンプレートを形成する。
【0031】
有利には、掘削補助又は掘削補助のアダプタの通過開口部を、インプラント掘削又はパイロット掘削のために形成することができる。
【0032】
掘削補助の通過開口部の直径自身、又はアダプタを含む掘削補助の場合はアダプタの通過開口部の直径は使用するドリルの直径に従っており、このことは、一般的に掘削補助の従来技術からすでに知られている。多くの場合、インプラント掘削、すなわち挿入するインプラントに一致する掘削径による掘削が実施される前に、少なくともパイロット掘削と呼ばれる第1の掘削ができる限り小さな掘削径で行われる。このことは、顎のインプラント箇所付近に配置される押型にそれぞれ取り付けられる掘削補助を複数設けることによって可能となる。それぞれ直径の異なる通過開口部を備える複数のアダプタを設けることも可能であり、これらのアダプタは、押型に配置された掘削補助にそのつど取り付けることができる。
【0033】
有利には、接続部の反対側にある掘削補助端部に掘削ツールのためのストッパを設けることができ、通過開口部の長さにより掘削深度を設定することができる。
【0034】
この場合、ストッパとは、掘削補助の規定された面又はエッジを意味しており、これが深度ストップとなり、使用する掘削ツールのドリル又は掘削インサートが掘削補助の中にさらに侵入するのを防止する。このことにより、掘削深度を固定することができる。
【0035】
有利には、掘削補助の通過開口部の長手方向軸と、掘削補助の接続部の長手方向軸とによって角度αが形成され、その角度は、好ましくは0°よりも大きく、60°以下である。これにより、通過開口部が望ましい掘削方向に通ることを確実にすることができる。
【0036】
本発明は、さらに、顎のインプラント箇所とインプラント箇所の3D測定データセットとの相関方法にも関する。この方法は、顎の少なくとも1つの部分領域と、この顎の部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所のめす型とを下面に有する押型を提供し、この押型は、X線透過性材料及び/又は絶縁体材料から成り、少なくとも部分的にX線不透過の及び/又は部分的にMRT撮影で見える少なくとも1つの補助エレメントを有する。この補助エレメントは接続部を有し、この接続部は、インプラント箇所のめす型領域で、押型の下面に向かい合う押型の上面に取り付けられている。顎の少なくとも1つの部分領域及びこの部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所、このインプラント箇所に取り付けられる押型、及びこの押型に取り付けられる少なくとも1つの補助エレメントの少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又はMRT撮影が行われ、少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又はMRT撮影から3D測定データセットが作られる。3D測定データセットの中で、インプラント箇所に対する少なくとも1つの補助エレメントの接続部の位置が決定される。補助エレメントを取り除くことにより、少なくとも1つの補助エレメントの接続部のめす型に対応する接続部が、インプラント箇所に位置決め可能な押型内の、測定データセットで決定された補助エレメントの接続部の位置と一致する位置に提供される。
【0037】
処置を行う患者の口腔内のインプラント箇所と3Dデータセットとの間の関係は、その他の構成部品を接続するための接続部によって提供され、この接続部は、口腔内で顎に位置決めできる押型に配置されており、その位置は3Dデータセットの中で周知である。
【0038】
このために、補助エレメントがインプラント箇所に配置されている押型に取り付けられ、レントゲン撮影又はMRT撮影で測定される。この補助エレメントは、少なくとも部分的にX線不透過であるため、レントゲン撮影及び/又はMRT撮影で認識可能であることによって特徴づけられ、一方、X線透過性材料及び/又は絶縁体材料から成る押型は、レントゲン撮影及び/又はMRT撮影では見ることができない。さらに、レントゲン撮影及び/又はMRT撮影でインプラント箇所が認識できるため、レントゲン撮影又はMRT撮影のデータから、インプラント箇所に対する補助エレメントのX線不透過部分又はMRT撮影で認識可能な部分の相対的位置を特定することができる。
【0039】
補助エレメントは接続部を有しており、これは、押型の上面に補助エレメントを取り付けることを可能にする構造を特徴とする部分を意味している。この接続部は、例えば突出部であってもよく、この突出部は、少なくともその一部分が押型によって取り囲まれるように押型に取り付けることができる。このために、突出部として形成されている補助エレメントの接続部は、例えば、押型を作成するためにインプラント箇所に取り付けられた、まだ硬化していない押型材の中に押し込まれ、押型材が硬化する間、そこに留まっていることができる。このために、この接続部は、できる限りインプラント箇所付近の、押型の上面を形成することになる押型材の側に位置決めされる。
【0040】
突出部として形成されている補助エレメントを押型の上面に位置決めし、この補助エレメントが押型材の硬化後も押型に留まるように押型材で覆うことも可能であろう。
【0041】
しかし、補助エレメントの接続部は、例えば窪みとしても形成することができる。そのような窪みは、例えば、適合する押型の突出部の上にのせることによって押型と接続することができる。このために、例えば、追加の押型材を押型の上面に取り付け、追加の押型材が補助エレメントの接続部の窪みを少なくとも部分的に満たすように、補助エレメントの接続部をこの追加の押型材の上に押しつけることができる。
【0042】
補助エレメントは、レントゲン撮影の実施後に押型から取り除かれるため、押型には少なくとも部分的に補助エレメントの接続部のめす型が残される。この領域は、押型の接続部と呼ばれる。なぜなら、この領域は、補助エレメントに該当する接続部を有する別の構成部品と押型とを接続するのに適しているからである。
【0043】
補助エレメントが突出部として形成されている接続部を有する場合、押型の接続部は、少なくとも部分的にこの突出部のめす型に該当する窪みとして形成されている。
【0044】
本発明のもう1つの対象は、顎のインプラント箇所とインプラント箇所の3D測定データセットとの相関方法であり、顎の少なくとも1つの部分領域と、顎のこの部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所とのめす型を下面に有する押型が提供され、この押型は、少なくとも部分的にX線透過性材料及び/又は絶縁体材料から成り、少なくとも1つのX線不透過部分及び/又はMRT撮影では見える部分の領域を備え、この押型は、インプラント箇所のめす型領域で、押型の下面に向かい合う押型の上面に接続部を有しており、X線不透過部分及び/又はMRT撮影で見える部分と接続部との間の位置関係が周知である。さらに、顎の少なくとも1つの部分領域、この部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所、及びこのインプラント箇所に取り付けられる押型の少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又はMRT撮影が行われ、少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又は少なくとも1つのMRT撮影から3D測定データセットが作られる。3D測定データにおいて、インプラント箇所に対するX線不透過部分及び/又はMRT撮影で見ることのできる押型部分の位置が決定され、インプラント箇所に対する押型接続部の相対的位置が、X線不透過部分及び/又はMRT撮影で見ることのできる部分の相対的位置に基づいて決定される。
【0045】
すでに述べた方法と同様に、本発明に基づくこの方法も、患者口腔内のインプラント箇所と3Dデータセットとの間が関連づけられる。押型に配置されている接続部は、その位置が3Dデータセットで分かっており、3Dデータセットの位置と方向とを患者口腔内の実際のスペースに移しかえるための方向補助として用いることができる。
【0046】
このために、この本発明に基づくもう1つの方法では、インプラント箇所に配置されている押型のレントゲン撮影及び/又はMRT撮影が行われる。押型は接続部、すなわち別の構成部品を押型に取り付けるのに適している部分を有している。さらに、この押型は、できる限り大きな部分が、レントゲン撮影では見ることができないX線透過材料から成り、及び/又はMRT撮影では見ることのできない絶縁体材料から成る。僅かな部分のみは、X線不透過材料、従ってレントゲン画像に映る材料及び/又はMRT撮影で認識可能な材料、例えば導電性材料から成っているべきである。このX線不透過の押型部分及び/又はMRT撮影で認識可能な押型部分の接続部に対する位置は周知である。従って、一方で、レントゲン撮影又はMRT撮影では顎及びインプラント箇所のできる限り少ない部分が押型で隠され、他方では、インプラント箇所に対する押型の相対位置を検出することができる。
【0047】
本発明のもう1つの対象は、顎のインプラント箇所とインプラント箇所の3D測定データセットとの相関方法であり、顎の少なくとも1つの部分領域と、顎のこの部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所とのめす型を下面に有する、X線透過性材料及び/又は絶縁体材料から成る押型が提供される。さらに、接続部を有する少なくとも1つの光学的補助エレメントが提供され、この接続部は、押型のインプラント箇所のめす型領域で下面に向かい合う押型の上面から押型を突き抜けて、押型の下面を越え、押型の下面から突出した端部に、少なくとも1つ固定されているか、又は取外し可能に配置されている検出体を有している。顎の少なくとも1つの部分領域とこの部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所の少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又はMRT撮影が行われ、少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又は少なくとも1つのMRT撮影から3D測定データセットが作られる。さらに、突出している補助エレメント接続部に取り付けられている少なくとも1つの検出体を備える光学的補助エレメントが取り付けられて押型の下面から突き出している押型下面の少なくとも1つの光学画像が作成され、もう1つの3D測定データセットが少なくとも1つの光学画像から作られる。作成された3D測定データセットから、相関関係によって、相関測定データセットが作成され、少なくとも1つの光学的補助エレメント接続部のインプラント箇所に対する位置が相関データセットの中で特定される。光学的補助エレメントを取り除くことにより、少なくとも1つの光学的補助エレメントの接続部のめす型に対応する接続部が、インプラント箇所に取り付けられた押型内の、相関データセットで決定された光学的補助エレメントの接続部の位置と一致する位置に提供される。
【0048】
すでに述べた方法と同様に、本発明に基づくこの方法も、患者口腔内のインプラント箇所と測定データセットとの間が関連づけられる。このために、この本発明に基づくもう1つの方法では、インプラント箇所に配置されている押型のレントゲン撮影及び/又はMRT撮影と押型下面の光学画像とが相関させられる。
【0049】
レントゲン撮影及び/又はMRT撮影は顎の領域から作られ、この領域はインプラント箇所を含み、インプラント箇所のめす型が光学的に測定される押型下面に刻印されている。
【0050】
光学画像のために、接続部を有する光学的補助エレメントが押型に取り付けられ、この接続部は、押型の上面から押型を突き抜け、押型の下面を越えて突き出している。下面を越えて突き出している端部には、光学画像撮影の間、少なくとも1つの検出体が配置されている。
【0051】
検出体は、光学画像で良好に認識できる特殊な外部形状を有しているため、押型下面の撮影された表面における検出体の正確な位置を光学画像において特定することができる。従って、光学的補助エレメントの接続部の位置が部分的に押型の中に入っており、光学画像ではこれを認識できない場合でも、光学的補助エレメントの接続部に対する検出体の周知の相対的位置から、光学的補助エレメントの接続部の位置を光学画像において推量することができる。
【0052】
相関データセットの作成は、従来技術から知られている、レントゲンデータおよび光学的データの相関方法、例えば独国特許第19952962A1号(特許文献1)に説明されている方法に従って行うことができる。
【0053】
相関を用いて、光学画像に関して周知である、光学的補助エレメントの接続部の位置とレントゲン撮影との間で関連づけが行われる。これにより、レントゲン撮影の全ての点又は位置、例えばレントゲン撮影で決定されたインプラント掘削の掘削方向又は掘削深度の、押型に配置されている光学的補助エレメントの接続部又は光学的補助エレメントを取り除いた後の押型の接続部に対する該当する相対的位置を特定することが可能である。
【0054】
本発明のもう1つの対象は、インプラント箇所に実施する掘削のためのドリルテンプレートの作成方法であり、そのために顎の少なくとも1つの部分領域と、顎のこの部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所のめす型とを下面に有する、周知の接続構造を備える少なくとも1つの接続部を備える押型が提供され、インプラント箇所のめす型領域の、下面に向かい合う押型の上面に接続部が配置されており、顎に対するその位置関係がインプラント箇所に位置決めされている押型において周知である。さらに、押型の接続部に対する少なくとも1つのインプラントの掘削方向が、インプラント箇所を含む顎の3D測定データセットに基づいて決定され、ブロックから成る少なくとも1つの掘削補助が接続部と共に作られ、このブロックはその長手方向軸に沿って通る通過開口部を備え、この接続部は少なくとも部分的に押型の接続部のめす型に当てはまり、この接続部は通過開口部に対して角度をつけて配置され、この角度は押型の接続部に対する掘削方向の角度に該当する。少なくとも1つの掘削補助が押型に取り付けられ、接続部を用いることにより、押型上の掘削補助の正確な方向が確実なものにされる。
【0055】
本発明に基づくドリルテンプレートは、押型及び掘削補助から作成される。
【0056】
そのために、押型は、顎の部分領域のめす型を備える下面を有し、この部分領域は、少なくとも1つのインプラント箇所を含んでいる。さらに、この押型は、インプラント箇所の部分で押型の下面に向かい合う上面に配置されている接続部を有している。この接続部は押型の一部であり、この部分は、別の構成部品を取り付けるのに適している周知の構造を有している。これは、例えば窪みであってよく、この窪みの中に別の構成部品を少なくとも部分的に挿入することができる。しかし、この接続部は突出部としても形成することができ、この突出部の上に別の構成部品を取り付けることができる。さらに、顎に対する接続部の位置が周知である。
【0057】
インプラント箇所を含む3D測定データセットにおいて、インプラント掘削のパラメータ、特に掘削方向、掘削径及び/又は掘削方向と掘削深度が決定される。インプラント箇所と押型の接続部との間の周知の位置関係を用いて、押型の接続部に対してこれらの値が特定される。
【0058】
ブロックに取り付ける接続部をこれらのパラメータに基づいて配置することにより掘削補助が作成され、このブロックはすでに長手方向軸に沿って通る開口部を有している。作成する接続部は、ブロックの長手方向軸に沿ってブロックの一方の端部に、接続部の長手方向軸に関してブロックの長手方向軸と角度をつけて配置されることを特徴とする。この接続部は、押型の接続部のめす型と少なくとも部分的に一致する形状を有しているため、掘削補助は、この接続箇所の接続によって押型に取り付けることができる。この接続は、少なくとも部分的なポジティブ結合によって実施することができる。これは、例えば差し込み式接続であってよい。
【0059】
接続部を作成する間、ブロックがホルダに保持される場合、作成終了後にブロックは、開口部に対して角度をなす平面に沿ってこのホルダから分離され、接続構造と通過開口部とを備える構成部品が掘削補助として提供される。
【0060】
作成する掘削補助の接続部と、この掘削補助のために使用するブロックの開口部との間の角度は、これが押型の接続部に対して決定された掘削方向の角度に該当するように選択される。これにより、掘削補助の通過開口部は、掘削補助が押型の中に取り付けられた後、決定された掘削方向に沿って通る。
【0061】
ブロックがホルダから分離される平面の方向経過及び位置又は接続部の反対側にあるブロック端部の方向経過及び位置は、例えば使用するドリルのストッパによって掘削深度を規定するか、又は少なくとも1つのコントロール方法となることができる。例えば、分離後に生じる面又はエッジを用いるか、又はブロックの終了面を用いて、掘削ツールのための深度ストップ又はストップを提供することが可能であり、このストップはドリルがそれ以上深く侵入するのを防止することから、最大掘削深度を決定している。
【0062】
有利には、掘削方向に加え、押型の接続部に対する少なくとも1つのインプラントの掘削径が決定され、決定された掘削径による直径を備える筒状の開口部のあるブロックが使用される。
【0063】
使用するブロックの開口部の直径は、ドリルテンプレートの場合にすでに周知であるように、この直径が適切な方法で望ましい掘削径に該当するように選択することができ、それによってドリルテンプレート内でのドリルの確かなガイドが確実なものとなる。
【0064】
有利には、押型の接続部に対する少なくとも1つのインプラントの掘削径が決定され、決定された掘削径よりも大きな直径を備える開口部のあるブロックが掘削補助の作成に使用され、掘削補助はアダプタと一緒に使用され、このアダプタは、ブロックの開口部のめす型に対応する外側ジオメトリーを備える領域、この部分に続く終了領域、及び決定された掘削径に該当する内径を備える通過開口部を有し、ブロックから作成された掘削補助の接続部の反対側で、掘削補助の通過開口部の中に少なくとも部分的に挿入される。
【0065】
掘削径よりも大きい直径を備えるブロックから掘削補助を作成することは、この直径を望ましい大きさまで縮小するのに適したアダプタを設けることを可能にする。このために、アダプタは望ましい直径、例えば掘削径又はパイロット掘削に適した直径を備える通過開口部及び外部形状を有し、この形状により、アダプタの通過開口部が掘削補助の通過開口部と平行に通り、部分的に掘削補助の通過開口部の内部を通るように、アダプタを少なくとも部分的に掘削補助の通過開口部の中に挿入することが可能となる。これにより、押型と、望ましい掘削径を備えるアダプタのある掘削補助とから成るドリルテンプレートが提供される。通過開口部の直径が様々に異なる複数のアダプタを設けることによって、簡単な方法で、つまり第1のパイロット掘削及びその他の掘削、又はインプラント掘削のためにアダプタを交換して使用することができるドリルテンプレートを提供することも可能となる。
【0066】
有利には、ブロックから成る掘削補助の少なくとも接続部がフライス加工又は研削加工される。これは、特に、あらかじめ穴をあけられた開口部を備えるブロックの使用と接続構造の傾斜配置とによって可能となるもっとも簡単な製造バリエーションである。
【0067】
有利には、少なくとも接続部を作成する間、ブロックがホルダの上に保持され、嵌め込む前に、ブロックの長手方向軸に対して垂直又は斜めに通る分離面に沿ってブロックがホルダから分離される。
【0068】
接続構造の作成中にブロックを保持するホルダからブロックが分離される平面の方向経過及び位置は、決定された掘削深度に従って調整することができる。それによって、分離後に生じる面又はエッジを用いて、掘削ツールの深度ストップ又はストッパを提供することが可能であり、このストップはドリルがそれ以上深く侵入するのを防止することから、最大掘削深度を決定している。
【0069】
本発明の実施例が図に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】本発明に基づく、インプラント箇所及び隣接する顎の一部の押型と補助エレメント。
図2図1による補助エレメント。
図3図1による押型。
図4】本発明に基づくドリルテンプレート用の掘削補助。
図5】アダプタ。
図6】ブロックから作成する掘削補助作成の概略図。
図7】ブロックから作成する掘削補助のもう1つのバリエーション。
図8】本発明に基づくドリルテンプレート。
図9】インプラント箇所の3Dデータセットと位置決め補助の1部分。
図10】本発明に基づく光学的補助エレメント。
図11】光学測定から得られた測定データセットの1つ。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1には顎1、ここでは例として下顎の一部が示され、インプラント箇所2、すなわち、インプラントを顎1の中に取り付けるべき顎1の箇所又は顎1の領域が含まれている。図示されているインプラント箇所2は下顎1の無歯領域にあり、その部分には少なくとも1つのインプラントのために、少なくとも1つのインプラント掘削が設けられることになっている。無歯領域とは、この場合、他の歯から境界づけられている歯溝を意味する。しかし、上顎1のインプラント箇所2又は完全に歯のない顎1の複数のインプラント箇所2の1つ、又は遊離端欠損、すなわち、一方の側で他の歯から境界づけられている歯溝であることもできるだろう。
【0072】
インプラント箇所2を含む顎1の部分に取り付けられている、少なくとも硬化した状態でX線を透過する押型材及び/又は絶縁押型材から押型3が形成される。この押型材は、例えば急速硬化性であってよい。重要であるのは、硬化した形態の押型材が、すなわち押型3として、それ以上変形しないこと、もしくは代替の方法では初期形態から変形した場合も、柔軟に初期形態に戻ることである。
【0073】
もう1つの重要な特徴は、この押型がレントゲン撮影又はMRT撮影で認識できないことである。このために、押型材は、少なくとも硬化した状態において、X線透過性であるか、又は絶縁体材料から成る。ポリエチレン、ポリウレタン、ポリマー又はガラス繊維などの絶縁体材料は、一般的にMRT画像には写らない。
【0074】
押型3は、インプラント箇所2を含む顎1の領域のめす型を備える下面3”と、この下面3”に向かい合う上面3’とを有している。隣接する歯は、インプラント箇所2に押型を方向づける又は位置決めするために用いられる。
【0075】
押型材の硬化前に、計画されたインプラント部分の、下顎1又はインプラント箇所2の反対側にある押型面、すなわち押型3の上面3’に、補助エレメント4が少なくとも部分的に押型材の中に収納されるか、又は押型材に接して取り付けられる。このことは、例えば、すでに取り付けられているが、まだ硬化していない押型材の中に後から押し込むことによって、又は取り付けた後に別の押型材を押出し被覆するか、又は周りに練り込むことによって行うことができる。
【0076】
複数のインプラントを取り付ける場合、それぞれの計画されたインプラントのために、計画されたそれぞれの位置の部分に補助エレメント4が少なくとも部分的に押型材の中に収納されるか、又押型材に接して取り付けられる。それぞれの個々の計画されたインプラントに関して、ここでは、例として1つの計画されたインプラントについて説明するという方法をとる。
【0077】
図2に詳細が示されている補助エレメント4は、少なくとも1つのX線不透過部分又はMRT撮影で認識可能な部分6、並びに押型3に取り付けるための接続部5を有している。この補助エレメントは、例えば、部分的にMRT撮影で認識可能な材料、金属などの導電性材料から成る。
【0078】
接続部5とは、補助エレメント4の部分を意味し、この部分は、その構造により、押型3に補助エレメントを取り付けるのに適している。この接続部5の構造は周知である。さらに、X線不透過部分及び/又はMRT撮影で認識可能な補助エレメント4の部分6に対する補助エレメント4の接続部5の位置関係、並びにX線不透過部分自体の構造も周知である。
【0079】
X線不透過部分及び/又はMRT撮影で認識可能な部分6は、任意に形成されて任意に配置されている補助エレメント4の部分であり、この部分は、X線不透過、すなわちレントゲン撮影で認識可能であることを特徴とする。部分6は、例えばX線不透過及び/又はMRT撮影で認識可能な材料から成る複数の、例えば3つの球体から成ることができ、これらは、並置して補助エレメント4の接続部5の上、又は接続部5に続く補助エレメント4の部分上に配置されている。部分6は、接続部5を越えて延びることもできる。例えば、X線不透過部分及び/又はMRT撮影で認識可能な部分6が補助エレメント4全体を越えて延びることも可能であると考えられ、この補助エレメントは完全にX線不透過であるか、又はMRT撮影で見ることができる。
【0080】
図2に示されている実施例では、接続部5が突出部として形成されており、この突出部の方向に通る長手方向軸Aを備えている。この突出部は、長手方向軸に通る複数の側壁5”を有しており、これらの側壁は一緒に5角形の断面を形成し、接続部5の長手方向軸Aに対して垂直に通る平坦な底面5’によって終わっている。長手方向軸Aは、補助エレメント4の接続方向、すなわち、取付け又は挿入方向に該当し、この方向に沿って、補助エレメント4の接続部5が押型3の中に収納される。5角形断面の側面は、様々な長さを有しているため、突出部として形成されている接続部5は、長手方向軸Aに関して角度が明確にわかる構造を有している。補助エレメントが押型から取り外され、再び取り付けられる場合、角度が明確にわかる構造により、取付け時のねじれが防止される。
【0081】
補助エレメント4の接続部5は、例えば、下降方向に通る長手方向軸を備える窪みとしても形成することができるだろう。また、接続部5は、断面が例えば卵型である唯一の側壁5”だけを有することもできるだろう。この側壁は、接続箇所5の長手方向軸に関して角度をつけて通ることもできるだろう。重要であるのは、接続部の構造が、その長手方向軸Aに関して角度が明確にわかる構造をもつ部分を有していることだけである。従って、接続部は、例えば、楕円形の断面を備えるスタンプとして形成することもできると考えられる。この断面は、例えば、残りの補助エレメント4から離れる方向に向かって細くなるようにすることもできると思われ、それによって押型からより簡単に取り外しやすくすることができる。
【0082】
図2に示されている補助エレメント4はX線不透過部分6を有し、この部分は、接続部5に似た構造をもつX線不透過の突出部として形成されており、点のついた部分で示されている。
【0083】
図2に示されている補助エレメント4は、さらに、接続部5とX線不透過部分及び/又はMRT撮影で見える部分6との間に配置されている皿型部分5.1を有している。接続部の終了する皿型部分5.1は、補助エレメント4を押型3に挿入する際、押型3の上面3’との接触面として作用し、それによって補助エレメント4の挿入深度を決める一種のストッパとして用いることができる。本発明に基づく補助エレメント4は、そのような皿型部分5.1を有していなくてもよい。
【0084】
この補助エレメント4は、図示されているケースでのように、一体形成することができる。また、補助エレメント4を複数の部品から形成することも可能である。例えば、2つを嵌め合わせる構成部品から補助エレメント4を構成することが可能であり、その場合、一方の構成部品が接続部5を備え、他方の構成部品が、例えば少なくとも1つのX線不透過部分及び/又はMRT撮影で見える部分6を有している。このことにより、例えば、最初に接続部5を備える部品だけを、患者の口腔内において押型3の押型材の中で位置決めし、押型材が硬化する間口腔内に残しておくことができるだろう。この第1の部品を、例えば単独で押型材又は押型3の上面3’を越えて大きく突出させないことにより、押型材が硬化していないうちに、位置決めした補助エレメント4の部品が患者の舌によってずれるのを防止する。
【0085】
補助エレメント4の接続部5を押型3の上面3’に挿入して、又はのせて、まだ硬化していない押型材に取り付け、続いて押型材3の硬化後に補助エレメント4を取り除くことにより、押型3の上面に接続部7が形成され、この接続部は補助エレメント4の接続部5のめす型に該当する。
【0086】
図示されている実施例では、図3に示されているように、押型の上面3’に関して窪みとして形成されている接続部7が、窪みの方向に通る長手方向軸A、底面7’及び長手方向軸Aに関して角度が明確にわかる構造とともに形成されている。このことにより、押型3の接続部7の中に適合する構成部品を、角度が明確にわかるように取り付けることが保証される。
【0087】
また、補助エレメント4の接続部5は、押型3の中に形成されている接続部7の長手方向軸Aの方向に、押型3を完全に突き抜け、そのため押型3の接続部7が底面7’を有さないようにすることも可能である。
【0088】
補助エレメントの接続部5が窪みとして形成されている場合、この接続構造のめす型として形成されている接続形状7は、余剰の押型材を押型3の上面3’上に取り付け、補助エレメント4の接続構造5をのせて形成することにより、例えば、押型3の上面3’に形成することができる。従って、突出部として形成されている接続部7は、底面の代わりに天井を有している。
【0089】
インプラント箇所2に位置決めされている、周知の構造をもつ接続部7を備えた押型3は、顎1のインプラント箇所2とインプラント箇所2の3Dデータセット21とを関連づけることによって、方向補助として用いられる。このために、インプラント箇所に位置決めされている押型3及びそこに取り付けられている補助エレメント4を備えるインプラント箇所の少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又はMRT撮影が行われる。
【0090】
押型3は、少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又はMRT撮影から検出される、少なくとも1つの3Dデータセット21では認識できない。3Dデータセット21では、図9に示されているように、インプラント箇所2と、補助エレメント4の少なくとも1つのX線不透過部分又はMRT撮影で見える部分6とが認識可能である。少なくとも1つの補助エレメント4の少なくとも1つのX線不透過部分又はMRT撮影で見える部分6と、補助エレメント4の接続部5との間の位置関係が周知であることから、3Dデータセットで認識可能なインプラント箇所2に対する補助エレメント4の接続部5の相対的位置が特定される。押型3に取り付けられた補助エレメント4の接続部5の位置は、押型3の接続部7の位置と一致するため、インプラント箇所2に対する押型3の接続部7の位置関係も分かっている。従って、インプラント箇所2に位置決めされた押型3は、その接続部7によって補助エレメント4を取り除いた後に方向補助となり、この方向補助により、下顎1のインプラント箇所2と少なくとも1つの3Dデータセット21との間が関連づけられる。
【0091】
このことにより、計画されたインプラント掘削の進行方向(以下掘削方と向呼ぶ)を3Dデータセット21において決定し、次に下顎1に位置決めされている押型3の接続部7に対する掘削方向の位置関係を特定することが可能となる。特に、押型3の接続部7の長手方向軸7と掘削方向との間の角度並びに押型3の接続部7の長手方向軸Aに関する掘削方向の角度調整を特定することができる。
【0092】
この認識に基づいて、図4に示されているような、本発明に基づく掘削補助8を作成することができる。本発明に基づく掘削補助8は、押型3に接続するための通過開口部9と接続部10とを有している。図4に示されている掘削補助8の接続部10は、この場合、押型3の接続部7のめす型及び突出部として形成されており、突出方向に通る長手方向軸Aを有している。
【0093】
掘削補助8の接続部10が部分的にのみ押型3の接続部7のめす型として形成されていることも可能であり、その際、長手方向軸Aに関する掘削補助8の接続部10は、角度が明確にわかるように押型の接続部7に適合していること、及び掘削補助を緩みなく押型と接続させることを確実にしなければならない。取付けの際のねじれの防止と、緩みのない接続とによってのみ、顎に位置決めされた押型の中に挿入されている状態で、掘削補助の通過開口部9が、顎に対する3Dデータセットで決定された掘削方向に通ることを保障することができる。
【0094】
通過開口部9は、開口部の経過に従う長手方向軸Bを備える筒状の開口部として形成されており、その経過が図4に点線で示されている。通過開口部9は、掘削補助8の接続部10に対して、通過開口部9の長手方向軸Bが掘削補助8の接続部10の長手方向軸Aと角度αをなすように調整されており、この角度は、計画された掘削方向と押型3の接続部7との間で検出された角度に一致する。さらに、長手方向軸Bは掘削補助8の接続部10の長手方向軸Aに関して、計画された掘削方向が押型3の接続部7の長手方向軸に関して特定されたように角度調整されている。
【0095】
掘削補助8の接続部10が押型3の接続部7の中に挿入されるか、又は押型3の接続部7の上におかれ、それによって掘削補助8の接続部10の長手方向軸Aが押型3の接続部7の長手方向軸Aと一致すると、押型3の接続部7の長手方向軸Aと通過開口部9の経過と一致している長手方向軸Bとの間の該当する角度αが生じ、押型3の接続部7の長手方向軸Aに関する通過開口部9の角度調整が行われるため、通過開口部9はあらかじめ特定された掘削方向に沿って通る。
【0096】
この通過開口部9はドリルのガイドとして用いられ、従って、掘削補助8が押型3の中に取り付けられることにより、通過開口部により押型3の接続部7に対する掘削方向が設定される。押型3は、取り付けられた掘削補助8と共に、図5に示されているように、本発明に基づくドリルテンプレート11である。
【0097】
図4に示されているように、掘削補助8の通過開口部9は、筒状の構造を有しており、その直径はインプラント掘削に使用するドリルの直径に合わせられ、インプラント掘削中にドリルの確実なガイドができるようになっている。
【0098】
図6に示されているように、掘削補助9がアダプタ12を備えることもできる。このために、通過開口部9は筒状の断面を有することができ、その断面の中に1個または複数のアダプタ12を取り付けることができる。本発明に基づくそのようなアダプタ12は、そのために掘削補助8の通過開口部9の中に適合する細長い端部13を備える外側ジオメトリーと、この端部を終了するプレート14とを有している。掘削補助8の通過開口部9の中に適合する端部13の長手方向軸Cに対して垂直に通る平面に、プレート14は、端部13の該当する直径よりも大きな直径を有している。このことにより、掘削補助8の通過開口部9の中にアダプタ12を挿入する際の最大侵入深度が実現される。さらに、アダプタ12は通過開口部15を有し、これは長手方向軸Cに沿って通り、計画されている掘削の掘削直径に該当する直径を有している。
【0099】
例えば、様々な直径の通過開口部15を備える複数のアダプタ12を設け、例えば、第1のアダプタ12を用いてパイロット掘削を行い、次にもう1つのアダプタ12を用いてインプラント掘削を行うこともできる。
【0100】
少なくとも1つのアダプタ12を含む掘削補助8を使用する場合、掘削補助8の通過開口部9の断面は任意の形を有することができ、その際、少なくとも1つのアダプタ12はそれに対応する外側ジオメトリーをもつ端部13を有している。掘削補助8の通過開口部9は、例えば、正方形の断面を有することができ、アダプタ12は、それに対応する4角形の外側ジオメトリーを備える端部13を有することができる。
【0101】
図7及び8には、ブロック16から成るドリルテンプレート11の本発明に基づく掘削補助8の作成が示されている。ホルダ17に保持されているブロック16は、ブロック16の長手方向軸Dに沿って開口部18を有しており、この開口部は作成する掘削補助8の通過開口部9に該当する。作成する切削補助8の接続部10は、研削ツール又はフライス盤19を使ってホルダ17の反対側のブロック端部を除去加工することによって作成され、その際、接続部10の側壁10”は、平坦かつ軸Eに対して平行に形成され、ブロック16の開口部18の長手方向軸Dに対する軸Eは、計画されている掘削方向が押型3の接続部7の長手方向軸Aに沿って通るように配向されている。
【0102】
接続部10とブロック16のホルダ側の端部との間の移行部分には、さらなる接触面20が形成され、この接触面は、接続部7の周辺部分で切削補助8を押型3の上面3’の上に接触させるために用いることができる。
【0103】
この接触面20は、接続部10の長手方向軸に関して形成されていてよい。しかし、これは、この長手方向軸と角度をなすこともできる。重要なのは、この接触面によって規定された深度ストップが確実なものになることである。深度ストップは、例えば、接続部10と接触面20との間の移行部分によって確保することができ、その際、移行部分に形成されるエッジは、例えばポジティブ結合によって、押型3の接続部7の側壁7”と押型3の上面3’との移行部分に形成されるショルダ上にのせることができる。
【0104】
図7に示されているバリエーションは、作成される掘削補助8の接続部10が、接触面20によって押型3’の上面3に接触するようになっており、掘削補助の接続部10は押型3の接続部7の側面7”の間に通され、その際、掘削補助8の接続部10が接続部7の底面7’と接触することはない。そのようなケースでは、軸Eに対して平行に走る側壁10”と接触面20だけをブロックから加工すればよい。
【0105】
図8に示されているバリエーションは、押型3に取り付ける際、作成する掘削補助8の接続部10が接触面20で押型3の上面3’上に、底面10”で押型3の接続部7の底面7’上に接触するようになっている。側壁10”と接触面20とに加え、このケースでは、接続部の底面10’もブロックの相応の加工によって作成しなければならない。
【0106】
さらに、掘削補助8の接続部10を、押型の接続部7の底面7’と側壁7”と接触するが、接触面20によって押型の上面に接触しないように形成することも可能であろう。
【0107】
掘削補助4の接続部10が完全に作成されると、ブロックホルダ17と、必要に応じて、ブロック16のホルダ側の端部の一部とが、ブロック16の開口部18又は長手方向軸Dに対して垂直に通る平面Fに沿って分離される。掘削補助8は、押型3と共に本発明に基づくドリルテンプレート11を形成するために押型3に取り付けることができる。
【0108】
掘削方向の他に、本発明に基づくドリルテンプレート11は、掘削深度も調整又は規定することができる。このために、3Dデータセット21では、掘削方向の他に、顎1に対するインプラント掘削の掘削深度も決定される。従って、それによって生じる、計画されているインプラントドリル穴のエンドポジションの掘削方向に対応して、押型3の接続部7に対する位置を特定することができる。
【0109】
このポジションは、例えば押型3の接続部7の底面7’に対して、もしくは押型3の上面3’を境界づける接続部7のエッジ又はショルダに対して特定することができる。これにより、掘削補助8の通過開口部9の長さによって、使用するドリルの侵入深度を制限することができる。この長さは、掘削補助8の接続部10の底面10’から、又は掘削補助8の接続部10の接触面20から、又は接続部10の側壁10”と掘削補助8の接触面20との間の移行部分に形成されるエッジから、接続構造の反対側にある掘削補助の端部までを測定もしくは決定することができる。重要なことは、掘削補助8の押型3との接触点又は接触面が分かっていることである。
【0110】
これに従って、ドリル自体に適切なストッパを備えるドリルの掘削深度は、掘削補助の通過開口部9の長さを用いて、本発明に基づくドリルテンプレートにより制御することができる。例えば、ドリルエンドに対して決まった長さでドリルに固定されているショルダをストッパとして用いることができ、その際、ドリルは、掘削補助8の接続構造の反対側にある面にショルダが少なくとも部分的に接触するまで、掘削補助8の通過開口部9を介して侵入することができる。
【0111】
ストッパのないドリルを用いる場合、ドリルの侵入深度は、押型3の接続部7に対する掘削補助8の通過開口部9の長さが周知であることから、接続構造の反対側にある掘削補助8の面の高さで、使用するドリルの値を読み取ることによって特定することができる。
【0112】
インプラント箇所と3Dデータセットとの間を、本発明に基づく接続部7を備える押型3によって関連づけるため、X線不透過の補助エレメント4及び/又はMRT撮影で認識可能な補助エレメント4の代わりに光学的補助エレメント22を使用し、レントゲン撮影及び/又はMRT撮影に加えて光学的測定を実施することも可能である。
【0113】
例えば図10に示されている光学的補助エレメント22は、すでに説明した補助エレメント4と同じく接続部23を有しており、そのめす型は押型の中又は押型に接して見いだすことができる。光学的補助エレメント22は、さらに、押型3を完全に突き抜けるように、すなわち、光学的補助エレメント22が上面3’で押型3の中に入り込み、上面3’に向かい合う押型3の下面3”も通り抜けるように形成されているため、光学的補助エレメント22の一部が押型3の下面3”を越えて突出している。
【0114】
下面3”から突出している光学的補助エレメント22の端部には、少なくとも1つの検出体24が配置されており、この検出体24は、その正確な位置が光学画像において検出可能な明確な面をもつ特殊な構造を有している。検出体24は、例えば三角錐として形成することができる。この検出体24は、補助エレメント22の接続構造23に対する検出体24又は検出体24の個々の面の相対的位置が分かるように補助エレメント22に取り付けることができる。
【0115】
図11に例として示されているように、押型3の下面3’を、検出体24を備える補助エレメント22と共に光学的に測定し、光学画像から3Dデータセット25が作られる。
【0116】
この3Dデータセット25は、レントゲン撮影又はMRT撮影から作られる3Dデータセットと、例えば両方の測定データセットで認識できる歯表面に基づいて関連づけられる。ここで作られる相関データセット25では、インプラント箇所2に対する検出体22の相対的位置が検出可能であり、このことから、光学的補助エレメントの接続部23の位置を導き出すことができるため、押型の接続部7の位置が再度判明する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11