【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の対象は、少なくとも1つの顎の部分領域と、この顎の部分領域内にある少なくとも1つのインプラント箇所のめす型を下面に備える押型である。この押型は、少なくとも部分的に、X線透過性材料及び/又はMRT撮影で最大限でも僅かしか見ることができない材料から成ることができる。この押型は、インプラント箇所のめす型部分の領域に、押型の下面に向かい合う上面に接続部を有しており、この接続部は押型の上面に対する突出部及び/又は窪みとして形成されている。この突出部及び/又は窪みは、押型の上面に対する突出方向又は下降方向に長手方向軸を有している。この突出部及び/又は窪みは、長手方向軸を中心とする構造のねじれが明確に分かる構造を有している。
【0009】
歯科の押型は、顎又は顎の一部、すなわち顎全体の押型又は部分押型のめす型の型取りである。従って、この押型は、顎又は顎の一部のめす型を備える下面と、この下面に向かい合う上面とを有している。初めは柔らかく、成形可能で、後に硬化する材料、例えば押型材とも呼ばれる材料が使用され、この材料は、形成可能な状態で顎又は顎の一部に取り付けられ、それによって顎又は顎についている歯の形が、形成可能な材料にめす型としてかたどられる。この位置で、取り付けられた材料が硬化される。硬化した状態において、押型は、完全に固まって変形不可能な形状か、又は元の形状が変形しても必ず元の形状に戻る少なくとも1つの形状を有している。
【0010】
本発明に基づく押型は、これが、例えばX線透過性材料から形成されていることを特徴としている。X線透過性により、本発明に基づく押型はレントゲン撮影では認識できない。このことにより、患者の顎のレントゲン撮影を、顎に位置決めされた本発明に基づく押型と一緒に作成することが可能となり、顎及び/又はまだ存在している歯の部分が押型によってレントゲン撮影で隠されてしまうことはない。
【0011】
MRT撮影でも適合する効果を得るため、例えばポリウレタン、ポリエチレン、ポリマー又はガラス繊維などの絶縁体材料を使用することが可能であり、この絶縁体材料は、一般的にMRT撮影では見えないか、又は僅かしか見えない。最大でも僅かな信号しか発生しないが、特に、骨又は歯から発生する信号は覆わないような全ての材料が適している。そのような材料は、特に、顎骨、歯及び周辺の軟部組織のような周辺組織の密度よりも明らかに少ない密度を有していなければならない。
【0012】
本発明に基づく押型は、インプラント箇所及びこのインプラント箇所を取り囲む少なくとも1つの領域、例えば隣接する歯などを越えて広がっているので、例えば隣接する歯に基づいて、顎から取り外した押型を再び取り付けることが簡単かつ明確な形で可能となる。
【0013】
接続部は押型の一部であり、この接続部は、押型の上面に別の構成部品を取り付けることを可能にする構造を特徴としている。これは、例えば窪みであってよく、この窪みの中に別の構成部品を少なくとも部分的に取り付けることができる。この接続部は突出部としても形成することができ、この突出部の上に別の構成部品をのせることができる。
【0014】
接続部の形状は、本発明に基づき、この接続部が長手方向軸を有しており、この軸は押型の表面に対して接続部の突出方向又は下降方向に通っていること、及び接続部の外側ジオメトリーがこの長手方向軸に対し垂直な平面において非対称的であることによって特徴づけられている。長手方向軸を中心とした周辺方向へのそのような非対称により、取付けに適した構造を備える別の構成部品を、長手方向軸を中心とするねじれが明確に分かるように取り付けることが確実に行われる。
【0015】
有利であるのは、押型が接続部と共に一体形成できることである。このことは、本発明に基づく押型を提供する、特に簡単な製造バリエーションとなり得る。
【0016】
有利には、少なくとも部分的に押型の接続部のめす型に対応する接続部を備え、少なくとも部分的に押型の接続部の中に挿入する又は接続部の上にのせることのできる独立した構成部品があってもよい。
【0017】
押型の接続部により、例えば挿入するか、又はのせることによって簡単かつ精密に別の構成部品を押型に配置することが可能となり、そのためにこの別の構成部品も同様に接続部を有している。独立した構成部品の接続部は、この独立した構成部品の押型への取付け又は接続に適した構成部品の部分又は部品である。このために、構成部品の接続部は、例えば押型の接続部のめす型を有しており、それによって接続部同士をポジティブ結合で接続することができる。しかし、独立した構成部品の接続部が押型の接続部のめす型に部分的にのみ対応しているようにすることも可能であり、その際には、部分的なポジティブ結合だけが達成される。
【0018】
有利には、この構成部品が一体形成の補助エレメントとして、又は複数の部品からなる補助エレメントとして形成することができ、このエレメントは、少なくとも部分的にX線不透過材料及び/又はMRT撮影で認識可能な材料から成る。
【0019】
本発明に基づく補助エレメントは、押型とは反対に、少なくとも部分的にレントゲン撮影又はMRT撮影で認識可能な構成部品である。レントゲン撮影のために、この補助エレメントは少なくとも部分的にX線不透過材料から成る。MRT撮影に関しては、例えば、顎骨、歯及び周辺の軟部組織の密度とは明確に区別され得る密度、又は明確に異なるスピン格子緩和時間を有している材料が適する。例えば、特定の金属のような導電性材料などが適している。
【0020】
有利には、接続部の突出部又は窪みが、押型の上面に隣接する少なくとも1つの側壁を有している。そのような側壁は、特に、別の構成部品をポジティブ結合によって保持するのに適している。
【0021】
有利には、接続部の窪みが押型の上面に対して下降している底面を有しているか、又は接続部の突出部が押型の上面に対して上昇している天井を有している。押型の接続部の底面又は天井を深度ストップとして用いて、取り付ける構成部品の位置を突出部又は窪みの方向に固定することができる。このことは、例えば、取付けに適した構成部品の面と底面又は天井とが接触するまで、取り付ける構成部品が押型の接続部の中に押し込まれるか、又は押型の接続部の上にのせられることによって行うことができる。
【0022】
本発明は、さらに、インプラント箇所に実施する掘削のためのドリルテンプレートにも関し、このテンプレートは本発明に基づく押型と、ドリルをガイドするための少なくとも1つの掘削補助とから成る。掘削補助は、押型に接続するための接続部を有しており、この接続部は、押型の接続部のめす型に少なくとも部分的に対応している。さらに、掘削補助は、接続部に対して掘削方向を固定する通過開口部を有している。
【0023】
押型と掘削補助のそれぞれの接続部により、明確な位置で掘削補助と押型とを接続することが簡単な方法で確実に行われる。
【0024】
このことにより、さらに、掘削補助の通過開口部が、押型に対して、従って顎に押型が配置されている場合には顎に対して、規定された方向、すなわち望ましい掘削方向に通ることを確実にすることができる。
【0025】
有利には、少なくとも掘削補助の接続部がフライス加工又は研削によって製造可能である。これらは、とりわけ簡単な製造方法である。しかし、通常のフライス加工及び研削機械は、加工方向に関して限られた数の自由度しか備えていない。そのため、本発明に基づく掘削補助は、自由度が制限された通常のフライス加工又は研削機械でも掘削補助を製造できるように形成されている。
【0026】
有利には、掘削補助が、押型の上面に重なるための接触面を有している。このことは、押型に配置される掘削補助の位置を制御するもう1つの方法である。そのような接触面は、例えば、窪みとして形成されている押型の接続部の中に押し込まれる掘削補助のための、又は突出部として形成されている押型の接続部の上にのせられる掘削補助のための深度ストップとなることができ、それによって、少なくとも突出又は窪みの方に通る方向に関して位置を固定することができる。
【0027】
有利には、掘削補助の通過開口部が筒状に形成され、規定された掘削径と一致する直径を有している。
【0028】
このことにより、掘削補助の通過穴は、特に押型に取り付けられた状態においてドリルをガイドするために用いることができる。
【0029】
有利には、掘削補助が少なくとも1つのアダプタを有しており、このアダプタは、規定された掘削径と一致する直径を備えた筒状の通過開口部と、掘削補助の通過開口部の中に少なくとも部分的にポジティブ結合によって適合する領域と、この領域に連続しているが通過開口部の中には適合しない接続領域とを備える外部輪郭を有している。
【0030】
このことにより、アダプタの通過開口部はドリルをガイドするために用いることができ、このアダプタは、部分的に掘削補助の通過開口部の中に収納することができるため、アダプタを含む掘削補助は、押型と接続して、掘削ツールをガイドする本発明に基づくドリルテンプレートを形成する。
【0031】
有利には、掘削補助又は掘削補助のアダプタの通過開口部を、インプラント掘削又はパイロット掘削のために形成することができる。
【0032】
掘削補助の通過開口部の直径自身、又はアダプタを含む掘削補助の場合はアダプタの通過開口部の直径は使用するドリルの直径に従っており、このことは、一般的に掘削補助の従来技術からすでに知られている。多くの場合、インプラント掘削、すなわち挿入するインプラントに一致する掘削径による掘削が実施される前に、少なくともパイロット掘削と呼ばれる第1の掘削ができる限り小さな掘削径で行われる。このことは、顎のインプラント箇所付近に配置される押型にそれぞれ取り付けられる掘削補助を複数設けることによって可能となる。それぞれ直径の異なる通過開口部を備える複数のアダプタを設けることも可能であり、これらのアダプタは、押型に配置された掘削補助にそのつど取り付けることができる。
【0033】
有利には、接続部の反対側にある掘削補助端部に掘削ツールのためのストッパを設けることができ、通過開口部の長さにより掘削深度を設定することができる。
【0034】
この場合、ストッパとは、掘削補助の規定された面又はエッジを意味しており、これが深度ストップとなり、使用する掘削ツールのドリル又は掘削インサートが掘削補助の中にさらに侵入するのを防止する。このことにより、掘削深度を固定することができる。
【0035】
有利には、掘削補助の通過開口部の長手方向軸と、掘削補助の接続部の長手方向軸とによって角度αが形成され、その角度は、好ましくは0°よりも大きく、60°以下である。これにより、通過開口部が望ましい掘削方向に通ることを確実にすることができる。
【0036】
本発明は、さらに、顎のインプラント箇所とインプラント箇所の3D測定データセットとの相関方法にも関する。この方法は、顎の少なくとも1つの部分領域と、この顎の部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所のめす型とを下面に有する押型を提供し、この押型は、X線透過性材料及び/又は絶縁体材料から成り、少なくとも部分的にX線不透過の及び/又は部分的にMRT撮影で見える少なくとも1つの補助エレメントを有する。この補助エレメントは接続部を有し、この接続部は、インプラント箇所のめす型領域で、押型の下面に向かい合う押型の上面に取り付けられている。顎の少なくとも1つの部分領域及びこの部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所、このインプラント箇所に取り付けられる押型、及びこの押型に取り付けられる少なくとも1つの補助エレメントの少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又はMRT撮影が行われ、少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又はMRT撮影から3D測定データセットが作られる。3D測定データセットの中で、インプラント箇所に対する少なくとも1つの補助エレメントの接続部の位置が決定される。補助エレメントを取り除くことにより、少なくとも1つの補助エレメントの接続部のめす型に対応する接続部が、インプラント箇所に位置決め可能な押型内の、測定データセットで決定された補助エレメントの接続部の位置と一致する位置に提供される。
【0037】
処置を行う患者の口腔内のインプラント箇所と3Dデータセットとの間の関係は、その他の構成部品を接続するための接続部によって提供され、この接続部は、口腔内で顎に位置決めできる押型に配置されており、その位置は3Dデータセットの中で周知である。
【0038】
このために、補助エレメントがインプラント箇所に配置されている押型に取り付けられ、レントゲン撮影又はMRT撮影で測定される。この補助エレメントは、少なくとも部分的にX線不透過であるため、レントゲン撮影及び/又はMRT撮影で認識可能であることによって特徴づけられ、一方、X線透過性材料及び/又は絶縁体材料から成る押型は、レントゲン撮影及び/又はMRT撮影では見ることができない。さらに、レントゲン撮影及び/又はMRT撮影でインプラント箇所が認識できるため、レントゲン撮影又はMRT撮影のデータから、インプラント箇所に対する補助エレメントのX線不透過部分又はMRT撮影で認識可能な部分の相対的位置を特定することができる。
【0039】
補助エレメントは接続部を有しており、これは、押型の上面に補助エレメントを取り付けることを可能にする構造を特徴とする部分を意味している。この接続部は、例えば突出部であってもよく、この突出部は、少なくともその一部分が押型によって取り囲まれるように押型に取り付けることができる。このために、突出部として形成されている補助エレメントの接続部は、例えば、押型を作成するためにインプラント箇所に取り付けられた、まだ硬化していない押型材の中に押し込まれ、押型材が硬化する間、そこに留まっていることができる。このために、この接続部は、できる限りインプラント箇所付近の、押型の上面を形成することになる押型材の側に位置決めされる。
【0040】
突出部として形成されている補助エレメントを押型の上面に位置決めし、この補助エレメントが押型材の硬化後も押型に留まるように押型材で覆うことも可能であろう。
【0041】
しかし、補助エレメントの接続部は、例えば窪みとしても形成することができる。そのような窪みは、例えば、適合する押型の突出部の上にのせることによって押型と接続することができる。このために、例えば、追加の押型材を押型の上面に取り付け、追加の押型材が補助エレメントの接続部の窪みを少なくとも部分的に満たすように、補助エレメントの接続部をこの追加の押型材の上に押しつけることができる。
【0042】
補助エレメントは、レントゲン撮影の実施後に押型から取り除かれるため、押型には少なくとも部分的に補助エレメントの接続部のめす型が残される。この領域は、押型の接続部と呼ばれる。なぜなら、この領域は、補助エレメントに該当する接続部を有する別の構成部品と押型とを接続するのに適しているからである。
【0043】
補助エレメントが突出部として形成されている接続部を有する場合、押型の接続部は、少なくとも部分的にこの突出部のめす型に該当する窪みとして形成されている。
【0044】
本発明のもう1つの対象は、顎のインプラント箇所とインプラント箇所の3D測定データセットとの相関方法であり、顎の少なくとも1つの部分領域と、顎のこの部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所とのめす型を下面に有する押型が提供され、この押型は、少なくとも部分的にX線透過性材料及び/又は絶縁体材料から成り、少なくとも1つのX線不透過部分及び/又はMRT撮影では見える部分の領域を備え、この押型は、インプラント箇所のめす型領域で、押型の下面に向かい合う押型の上面に接続部を有しており、X線不透過部分及び/又はMRT撮影で見える部分と接続部との間の位置関係が周知である。さらに、顎の少なくとも1つの部分領域、この部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所、及びこのインプラント箇所に取り付けられる押型の少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又はMRT撮影が行われ、少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又は少なくとも1つのMRT撮影から3D測定データセットが作られる。3D測定データにおいて、インプラント箇所に対するX線不透過部分及び/又はMRT撮影で見ることのできる押型部分の位置が決定され、インプラント箇所に対する押型接続部の相対的位置が、X線不透過部分及び/又はMRT撮影で見ることのできる部分の相対的位置に基づいて決定される。
【0045】
すでに述べた方法と同様に、本発明に基づくこの方法も、患者口腔内のインプラント箇所と3Dデータセットとの間が関連づけられる。押型に配置されている接続部は、その位置が3Dデータセットで分かっており、3Dデータセットの位置と方向とを患者口腔内の実際のスペースに移しかえるための方向補助として用いることができる。
【0046】
このために、この本発明に基づくもう1つの方法では、インプラント箇所に配置されている押型のレントゲン撮影及び/又はMRT撮影が行われる。押型は接続部、すなわち別の構成部品を押型に取り付けるのに適している部分を有している。さらに、この押型は、できる限り大きな部分が、レントゲン撮影では見ることができないX線透過材料から成り、及び/又はMRT撮影では見ることのできない絶縁体材料から成る。僅かな部分のみは、X線不透過材料、従ってレントゲン画像に映る材料及び/又はMRT撮影で認識可能な材料、例えば導電性材料から成っているべきである。このX線不透過の押型部分及び/又はMRT撮影で認識可能な押型部分の接続部に対する位置は周知である。従って、一方で、レントゲン撮影又はMRT撮影では顎及びインプラント箇所のできる限り少ない部分が押型で隠され、他方では、インプラント箇所に対する押型の相対位置を検出することができる。
【0047】
本発明のもう1つの対象は、顎のインプラント箇所とインプラント箇所の3D測定データセットとの相関方法であり、顎の少なくとも1つの部分領域と、顎のこの部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所とのめす型を下面に有する、X線透過性材料及び/又は絶縁体材料から成る押型が提供される。さらに、接続部を有する少なくとも1つの光学的補助エレメントが提供され、この接続部は、押型のインプラント箇所のめす型領域で下面に向かい合う押型の上面から押型を突き抜けて、押型の下面を越え、押型の下面から突出した端部に、少なくとも1つ固定されているか、又は取外し可能に配置されている検出体を有している。顎の少なくとも1つの部分領域とこの部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所の少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又はMRT撮影が行われ、少なくとも1つのレントゲン撮影及び/又は少なくとも1つのMRT撮影から3D測定データセットが作られる。さらに、突出している補助エレメント接続部に取り付けられている少なくとも1つの検出体を備える光学的補助エレメントが取り付けられて押型の下面から突き出している押型下面の少なくとも1つの光学画像が作成され、もう1つの3D測定データセットが少なくとも1つの光学画像から作られる。作成された3D測定データセットから、相関関係によって、相関測定データセットが作成され、少なくとも1つの光学的補助エレメント接続部のインプラント箇所に対する位置が相関データセットの中で特定される。光学的補助エレメントを取り除くことにより、少なくとも1つの光学的補助エレメントの接続部のめす型に対応する接続部が、インプラント箇所に取り付けられた押型内の、相関データセットで決定された光学的補助エレメントの接続部の位置と一致する位置に提供される。
【0048】
すでに述べた方法と同様に、本発明に基づくこの方法も、患者口腔内のインプラント箇所と測定データセットとの間が関連づけられる。このために、この本発明に基づくもう1つの方法では、インプラント箇所に配置されている押型のレントゲン撮影及び/又はMRT撮影と押型下面の光学画像とが相関させられる。
【0049】
レントゲン撮影及び/又はMRT撮影は顎の領域から作られ、この領域はインプラント箇所を含み、インプラント箇所のめす型が光学的に測定される押型下面に刻印されている。
【0050】
光学画像のために、接続部を有する光学的補助エレメントが押型に取り付けられ、この接続部は、押型の上面から押型を突き抜け、押型の下面を越えて突き出している。下面を越えて突き出している端部には、光学画像撮影の間、少なくとも1つの検出体が配置されている。
【0051】
検出体は、光学画像で良好に認識できる特殊な外部形状を有しているため、押型下面の撮影された表面における検出体の正確な位置を光学画像において特定することができる。従って、光学的補助エレメントの接続部の位置が部分的に押型の中に入っており、光学画像ではこれを認識できない場合でも、光学的補助エレメントの接続部に対する検出体の周知の相対的位置から、光学的補助エレメントの接続部の位置を光学画像において推量することができる。
【0052】
相関データセットの作成は、従来技術から知られている、レントゲンデータおよび光学的データの相関方法、例えば独国特許第19952962A1号(特許文献1)に説明されている方法に従って行うことができる。
【0053】
相関を用いて、光学画像に関して周知である、光学的補助エレメントの接続部の位置とレントゲン撮影との間で関連づけが行われる。これにより、レントゲン撮影の全ての点又は位置、例えばレントゲン撮影で決定されたインプラント掘削の掘削方向又は掘削深度の、押型に配置されている光学的補助エレメントの接続部又は光学的補助エレメントを取り除いた後の押型の接続部に対する該当する相対的位置を特定することが可能である。
【0054】
本発明のもう1つの対象は、インプラント箇所に実施する掘削のためのドリルテンプレートの作成方法であり、そのために顎の少なくとも1つの部分領域と、顎のこの部分領域にある少なくとも1つのインプラント箇所のめす型とを下面に有する、周知の接続構造を備える少なくとも1つの接続部を備える押型が提供され、インプラント箇所のめす型領域の、下面に向かい合う押型の上面に接続部が配置されており、顎に対するその位置関係がインプラント箇所に位置決めされている押型において周知である。さらに、押型の接続部に対する少なくとも1つのインプラントの掘削方向が、インプラント箇所を含む顎の3D測定データセットに基づいて決定され、ブロックから成る少なくとも1つの掘削補助が接続部と共に作られ、このブロックはその長手方向軸に沿って通る通過開口部を備え、この接続部は少なくとも部分的に押型の接続部のめす型に当てはまり、この接続部は通過開口部に対して角度をつけて配置され、この角度は押型の接続部に対する掘削方向の角度に該当する。少なくとも1つの掘削補助が押型に取り付けられ、接続部を用いることにより、押型上の掘削補助の正確な方向が確実なものにされる。
【0055】
本発明に基づくドリルテンプレートは、押型及び掘削補助から作成される。
【0056】
そのために、押型は、顎の部分領域のめす型を備える下面を有し、この部分領域は、少なくとも1つのインプラント箇所を含んでいる。さらに、この押型は、インプラント箇所の部分で押型の下面に向かい合う上面に配置されている接続部を有している。この接続部は押型の一部であり、この部分は、別の構成部品を取り付けるのに適している周知の構造を有している。これは、例えば窪みであってよく、この窪みの中に別の構成部品を少なくとも部分的に挿入することができる。しかし、この接続部は突出部としても形成することができ、この突出部の上に別の構成部品を取り付けることができる。さらに、顎に対する接続部の位置が周知である。
【0057】
インプラント箇所を含む3D測定データセットにおいて、インプラント掘削のパラメータ、特に掘削方向、掘削径及び/又は掘削方向と掘削深度が決定される。インプラント箇所と押型の接続部との間の周知の位置関係を用いて、押型の接続部に対してこれらの値が特定される。
【0058】
ブロックに取り付ける接続部をこれらのパラメータに基づいて配置することにより掘削補助が作成され、このブロックはすでに長手方向軸に沿って通る開口部を有している。作成する接続部は、ブロックの長手方向軸に沿ってブロックの一方の端部に、接続部の長手方向軸に関してブロックの長手方向軸と角度をつけて配置されることを特徴とする。この接続部は、押型の接続部のめす型と少なくとも部分的に一致する形状を有しているため、掘削補助は、この接続箇所の接続によって押型に取り付けることができる。この接続は、少なくとも部分的なポジティブ結合によって実施することができる。これは、例えば差し込み式接続であってよい。
【0059】
接続部を作成する間、ブロックがホルダに保持される場合、作成終了後にブロックは、開口部に対して角度をなす平面に沿ってこのホルダから分離され、接続構造と通過開口部とを備える構成部品が掘削補助として提供される。
【0060】
作成する掘削補助の接続部と、この掘削補助のために使用するブロックの開口部との間の角度は、これが押型の接続部に対して決定された掘削方向の角度に該当するように選択される。これにより、掘削補助の通過開口部は、掘削補助が押型の中に取り付けられた後、決定された掘削方向に沿って通る。
【0061】
ブロックがホルダから分離される平面の方向経過及び位置又は接続部の反対側にあるブロック端部の方向経過及び位置は、例えば使用するドリルのストッパによって掘削深度を規定するか、又は少なくとも1つのコントロール方法となることができる。例えば、分離後に生じる面又はエッジを用いるか、又はブロックの終了面を用いて、掘削ツールのための深度ストップ又はストップを提供することが可能であり、このストップはドリルがそれ以上深く侵入するのを防止することから、最大掘削深度を決定している。
【0062】
有利には、掘削方向に加え、押型の接続部に対する少なくとも1つのインプラントの掘削径が決定され、決定された掘削径による直径を備える筒状の開口部のあるブロックが使用される。
【0063】
使用するブロックの開口部の直径は、ドリルテンプレートの場合にすでに周知であるように、この直径が適切な方法で望ましい掘削径に該当するように選択することができ、それによってドリルテンプレート内でのドリルの確かなガイドが確実なものとなる。
【0064】
有利には、押型の接続部に対する少なくとも1つのインプラントの掘削径が決定され、決定された掘削径よりも大きな直径を備える開口部のあるブロックが掘削補助の作成に使用され、掘削補助はアダプタと一緒に使用され、このアダプタは、ブロックの開口部のめす型に対応する外側ジオメトリーを備える領域、この部分に続く終了領域、及び決定された掘削径に該当する内径を備える通過開口部を有し、ブロックから作成された掘削補助の接続部の反対側で、掘削補助の通過開口部の中に少なくとも部分的に挿入される。
【0065】
掘削径よりも大きい直径を備えるブロックから掘削補助を作成することは、この直径を望ましい大きさまで縮小するのに適したアダプタを設けることを可能にする。このために、アダプタは望ましい直径、例えば掘削径又はパイロット掘削に適した直径を備える通過開口部及び外部形状を有し、この形状により、アダプタの通過開口部が掘削補助の通過開口部と平行に通り、部分的に掘削補助の通過開口部の内部を通るように、アダプタを少なくとも部分的に掘削補助の通過開口部の中に挿入することが可能となる。これにより、押型と、望ましい掘削径を備えるアダプタのある掘削補助とから成るドリルテンプレートが提供される。通過開口部の直径が様々に異なる複数のアダプタを設けることによって、簡単な方法で、つまり第1のパイロット掘削及びその他の掘削、又はインプラント掘削のためにアダプタを交換して使用することができるドリルテンプレートを提供することも可能となる。
【0066】
有利には、ブロックから成る掘削補助の少なくとも接続部がフライス加工又は研削加工される。これは、特に、あらかじめ穴をあけられた開口部を備えるブロックの使用と接続構造の傾斜配置とによって可能となるもっとも簡単な製造バリエーションである。
【0067】
有利には、少なくとも接続部を作成する間、ブロックがホルダの上に保持され、嵌め込む前に、ブロックの長手方向軸に対して垂直又は斜めに通る分離面に沿ってブロックがホルダから分離される。
【0068】
接続構造の作成中にブロックを保持するホルダからブロックが分離される平面の方向経過及び位置は、決定された掘削深度に従って調整することができる。それによって、分離後に生じる面又はエッジを用いて、掘削ツールの深度ストップ又はストッパを提供することが可能であり、このストップはドリルがそれ以上深く侵入するのを防止することから、最大掘削深度を決定している。
【0069】
本発明の実施例が図に示されている。