(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6473793
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】変形玩具、及び変形玩具セット
(51)【国際特許分類】
A63H 3/04 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
A63H3/04 A
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-192656(P2017-192656)
(22)【出願日】2017年10月2日
【審査請求日】2018年7月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】鵜池 善仁
(72)【発明者】
【氏名】秋元 香織
(72)【発明者】
【氏名】小林 大祐
(72)【発明者】
【氏名】平松 悟
【審査官】
西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−137403(JP,A)
【文献】
特表2016−513528(JP,A)
【文献】
特開2015−12930(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3206727(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3141096(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H1/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1形態と当該第1形態とは異なる第2形態とに可逆的に変形可能な変形玩具であって、
主体部と、前記主体部に接続された1以上の副体部とを備え、
前記主体部は、第1面及び第2面を有する物品を着脱可能に装着可能な保持部であって、開口部が形成された保持部を有し、
前記保持部は、前記第1形態で前記保持部に前記物品が装着された状態において、前記物品の前記第1面の少なくとも一部が露出するように構成され、
前記開口部は、前記保持部に前記物品を装着したときに当該物品によって閉塞されるように構成される、
変形玩具。
【請求項2】
前記保持部は、前記第1形態で前記保持部に前記物品が装着された状態において、前記物品の前記第2面の少なくとも一部が露出するように構成される、
請求項1に記載の変形玩具。
【請求項3】
前記保持部は、前記第2形態で前記保持部に前記物品が装着された状態において、前記物品の前記第1面の少なくとも一部が露出するように構成される、
請求項1に記載の変形玩具。
【請求項4】
前記保持部は、前記第2形態で前記保持部に前記物品が装着された状態において、前記物品の前記第2面の少なくとも一部が露出するように構成される、
請求項3に記載の変形玩具。
【請求項5】
前記保持部に前記物品が装着された状態における当該物品の前記第1面の露出面積は、当該物品の前記第2面の露出面積よりも大きい、
請求項2または4に記載の変形玩具。
【請求項6】
前記第1形態で前記保持部に前記物品が装着された状態における当該物品の前記第1面の露出面積および前記第2面の露出面積は、前記第2形態で前記保持部に前記物品が装着された状態における当該物品の前記第1面の露出面積および前記第2面の露出面積とは異なる、
請求項5の記載の変形玩具。
【請求項7】
前記主体部は、前記第1形態で第1向きとなり、前記第2形態で前記第1向きとは異なる第2向きとなるように構成される、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の変形玩具。
【請求項8】
前記第1向きは縦向きであり、前記第2向きは横向きである、
請求項7に記載の変形玩具。
【請求項9】
前記第1形態は人形態であり、前記第2形態は動物形態である、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の変形玩具。
【請求項10】
前記保持部は、前記開口部の周囲の少なくとも一部に挟持部を有し、
前記挟持部は、前記保持部に前記物品を装着したときに当該物品を挟持するように構成される、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の変形玩具。
【請求項11】
前記保持部は、前記物品を支持する支持部を有し、
前記支持部は、前記保持部に前記物品を装着したときに当該物品の前記第2面を支持するように構成される、
請求項10に記載の変形玩具。
【請求項12】
前記物品は、外形が矩形状のカードであり、
前記保持部は、前記物品を2以上重畳状態で保持可能である、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の変形玩具。
【請求項13】
前記変形玩具は、主体部に着脱可能に接続可能な1以上の装飾部をさらに備える、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の変形玩具。
【請求項14】
前記装飾部は、前記第1形態及び前記第2形態で前記保持部に前記物品が装着された状態において、前記物品の露出を部分的に遮るように構成される、
請求項13に記載の変形玩具。
【請求項15】
前記主体部は、略直方体状を成す、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の変形玩具。
【請求項16】
前記主体部は、前記第1形態において胴部を構成する部分である、
請求項15に記載の変形玩具。
【請求項17】
副体部は、2以上用意され、
前記副体部のうちの何れかは、前記主体部の相対する2つの側部それぞれに着脱可能に接続可能な部分を有し、残りの何れかは、前記主体部の前記相対する2つの側部とは異なる側部に着脱可能に接続可能な部分を有する、
請求項15または16記載の変形玩具。
【請求項18】
前記副体部のうちの何れかは、前記第1形態において腕部を構成する部分であり、前記残りの何れかは、前記第1形態において脚部を構成する部分である、
請求項17に記載の変形玩具。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の変形玩具と、前記変形玩具の前記保持部に着脱可能に装着可能な、第1面及び第2面を有する1以上の物品とを備える、
変形玩具セット。
【請求項20】
前記物品の前記第1面と前記第2面には異なる絵柄が付されている、
請求項19に記載の変形玩具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1形態と当該第1形態とは異なる第2形態とに可逆的に変形可能な変形玩具と、この変形玩具と当該変形玩具に装着可能な物品とを備えた変形玩具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
後記特許文献1には、第1形態と当該第1形態とは異なる第2形態とに可逆的に変形可能な変形玩具が開示されている。しかしながら、この変形玩具を含むこの種の変形玩具は、第1形態から第2形態への変形と第2形態から第1形態への変形を主眼としたものであるため、当該変形以外の楽しさ及び面白さを遊戯者に提供することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−012930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、第1形態と第2形態とに可逆的に変形させる以外の楽しさおよび面白さを遊戯者に提供することができる変形玩具と、この変形玩具と当該変形玩具に装着可能な物品とを備えた変形玩具セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る変形玩具は、第1形態と当該第1形態とは異なる第2形態とに可逆的に変形可能な変形玩具であって、主体部と、前記主体部に接続された1以上の副体部とを備え、前記主体部は、第1面及び第2面を有する物品を着脱可能に装着可能な保持部
であって、開口部が形成された保持部を有し、前記保持部は、前記第1形態で前記保持部に前記物品が装着された状態において、前記物品の前記第1面の少なくとも一部が露出するように構成され
、前記開口部は、前記保持部に前記物品を装着したときに当該物品によって閉塞されるように構成される。
【0006】
また、本発明に係る変形玩具セットは、前掲の変形玩具と、当該変形玩具の前記保持部に着脱可能に装着可能な、第1面及び第2面を有する1以上の物品とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る変形玩具、及び変形玩具セットによれば、第1形態と第2形態とに可逆的に変形させる以外の楽しさ及び面白さを遊戯者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1(A)は本発明を適用した変形玩具の第1形態の前面図、
図1(B)は同第1形態の後面図である。
【
図2】
図2は第1形態の変形玩具の
図1(A)対応の分解図である。
【
図3】
図3(A)は本発明を適用した変形玩具の第2形態の上面図、
図3(B)は同第2形態の右側面図である。
【
図4】
図4(A)は本発明を適用した物品の第1面を示す図、
図4(B)は
図4(A)に示した物品の第2面を示す図である。
【
図5】
図5(A)は第1形態の変形玩具に物品を装着した状態を示す
図1(A)対応図、
図5(B)は同状態を示す
図1(B)対応図である。
【
図6】
図6は第2形態の変形玩具に物品を装着した状態を示す
図3(A)対応図である。
【
図7】
図7(A)は第1形態の変形玩具の第1装飾部に物品を装着した状態を示す
図5(A)対応の部分図、
図7(B)は第2形態の変形玩具の第1装飾部に物品を装着した状態を示す
図6対応の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、
図1および
図2を用いて、本発明を適用した変形玩具10の構成について説明する。なお、後記第1形態(一例として人形態)にあっては、
図1(A)の手前側を前、奥側を後、左側を左、右側を右、上側を上、下側を下と表記し、他の図についてもこれらに準じて向きを表記する。また、後記第2形態(一例として動物形態)にあっては、
図5(A)の左側を前、右側を後、手前側を右、奥側を左、上側を上、下側を下と表記し、他の図についてもこれらに準じて向きを表記する。
【0010】
この変形玩具10は、第1形態と当該第1形態とは異なる第2形態とに可逆的に変形可能であり、第1形態は一例として2足歩行の人形態(
図1を参照)、第2形態は一例として4足歩行の動物形態(
図3を参照)である。
図1に示した第1形態(人形態)に基づいて説明すると、変形玩具10は、
図1(A)及び
図1(B)に示したように、主体部11と、計4個の副体部13及び14と、第1装飾部15と、第2装飾部16と、第3装飾部17とを備え、主体部11は後記物品20を着脱可能に装着可能な保持部12を有している。
【0011】
ここで、後の説明が理解しやすくなるように、
図4を用いて、物品20について説明する。物品20は外形が略矩形状のカードであり、第1面21と第2面22には異なる絵柄が付されている。物品20の主材は厚紙や合成樹脂シート等であり、絵は印刷や印刷シートの貼り付け等によって第1面21と第2面22に付されている。第1面21と第2面22の一方に設けられた絵柄、例えば第1面21に設けられた絵柄は、
図5(A)に示したように第1形態(人形態)の前側に現れることを考慮したものであり、第1面21と第2面22の他方に付された絵、例えば第2面22に付された絵は、
図5(B)に示したように第1形態(人形態)の後側に現れることを考慮したものである。第1面21に付された絵の具体例としては、特定キャラクターの顔及び胸を含む部分を挙げることができ(
図4(A)を参照)、また、第2面22に付された絵の具体例としては、第1面21に付された特定キャラクターに対応付けられた攻撃種類等を示すエフェクトを挙げることができる(
図4(B)を参照)。また、物品20は、好みに応じて交換できるように第1面21の絵柄と第2面22の絵柄が異なるものが2種類以上用意されていることが好ましい。
【0012】
主体部11は略直方体状を成し、下側中央に張出部11aを有している。この主体部11は、第1形態(人形態)において胴部を構成する部分である。また、計4個の副体部13及び14のうち、2個の副体部13は第1形態(人形態)において腕部を構成する部分であり、残りの2個は第1形態(人形態)において脚部を構成する部分である。すなわち、第1形態(人形態)は2本の脚を有するものであるため、当該脚を用いて、テーブルや机やラック等の平らな面に自立させることができる。ちなみに、この自立状態における主体部11の向きは、縦向き(鉛直向きまたはこれに近い向きを指す)である。
【0013】
保持部12には、内形が矩形状で主体部11を前後方向に貫通した開口部12aが形成され、開口部12aの上側を除く周囲に設けられた凹溝から成る挟持部12bと、開口部12aの周囲の上側に設けられた出入口12cと有している。出入口12cは物品20を保持部12に装着するときに用いられる部分であり、挟持部12bは保持部12に装着された物品20の周囲を挟持状態または挟持に近い状態で保持する部分である。開口部12aは、保持部12に物品20が装着された状態において当該物品20によって閉塞されるものであって、当該物品20の第1面21の周囲を除く部分が前から見えるように露出するとともに、当該物品20の第2面22の周囲を除く部分が後ろから見えるように露出する部分である。ちなみに、物品20の厚さにもよるが、当該厚さが薄い場合には2以上の物品20を重畳状態で保持部12に装着することも可能である。また、保持部12には、保持部12に物品20を装着したときに物品20の第2面22を支持する不図示の支持部を有し、これにより、保持部12への物品20の装着をスムーズに行うことができるとともに、装着後(物品20の保持状態)においても物品20への不意な圧力等による物品20の変形等を防止することができる。
【0014】
第1形態(人形態)において腕部を構成する2個の副体部13それぞれは、
図2に示したように、主体部11の左側と右側のそれぞれに設けられた基礎部分13aと、基礎部分13aに着脱可能に接続された第1部分13bと、第1部分13bに着脱可能に接続された第2部分13cと、第2部分13cに着脱可能に接続された第3部分13dとによって構成される。基礎部分13aは、
図1(A)及び
図2において、左右方向の軸線を中心とした回転と、前後方向の軸線を中心とした回転を可能としている。各部分の着脱可能な接続は凸部と凹部との嵌め合いによるものであり、基礎部分13aには凸部13a1が設けられ、第1部分13bには凹部13b1と凸部13b2が設けられ、第2部分13cには凹部13c1及び13c2が設けられ、第3部分13dには凸部13d1が設けられている。
【0015】
また、第1形態(人形態)において脚部を構成する2個の副体部14それぞれは、
図2に示したように、主体部11の下側、詳しくは同下側にある張出部11aの左面と右面のそれぞれに設けられた基礎部分14aと、基礎部分14aに着脱可能に接続された第1部分14bと、第1部分14bに着脱可能に接続された第2部分14cと、第2部分14cに着脱可能に接続された第3部分14dとよって構成されている。基礎部分14aは、
図1(A)及び
図2において、前後方向の軸線を中心とした回転を可能としている。各部分の着脱可能な接続は前記2個の副体部13と同様の凸部と凹部との嵌め合いによるものであり、基礎部分14aには凸部14a1が設けられ、第1部分14bには凹部14b1と凸部14b2の他に、凹部14b1と向きが異なる凹部14b3が設けられ、第2部分14cには凹部14c1及び14c2が設けられ、第3部分14dには凸部14d1が設けられている。ちなみに、第3部分14dは前後方向の軸線を中心とした回転を可能した部位(符号省略)を有しており、凸部14d1は当該部位に設けられている。
【0016】
図2には、2個の副体部13それぞれを構成する各部分の着脱可能に相互接続を行う手段、及び2個の副体部14それぞれを構成する各部分を着脱可能に相互接続を行う手段として、円柱状の凸部と当該凸部が嵌め込み可能な円柱状の凹部を示したが、繰り返しの接続及びその解除によって凸部と凹部の嵌め合いが緩くなってしまうような場合には、先端に球状部を有する凸部を採用するとともに、当該凸部の球状部を弾性的に保持するバネ部を凹部内に設けるようにしてもよい。
【0017】
また、
図2には、2個の副体部13それぞれの基礎部分13aと、2個の副体部14それぞれの基礎部分14aが、主体部11に固定されているものを描いているが、2個の副体部13それぞれの基礎部分13aを、前記の如き手段を用いて、主体部11の左側と右側に着脱可能に接続できるようにしてもよいし、2個の副体部14それぞれの基礎部分14aを、前記の如き手段を用いて、主体部11の下側に着脱可能に接続できるようにしてもよい。
【0018】
第1装飾部15は、3本の棒状部分を有する櫛歯状を成し、主体部11の上側に設けられている。この第1装飾部15が主体部11に設けられた保持部12の出入口12cを閉じている場合には(
図3(B)を参照)、当該第1装飾部15は開閉式や着脱式とすることが好ましい。勿論、この第1装飾部15が主体部11に設けられた保持部12の出入口12cを閉じておらず、第1装飾部15と出入口12cとの隙間から保持部12への物品20の差し込みおよび引き抜きが可能であれば、第1装飾部15は主体部11の上側に固定されていてもよい。
【0019】
第2装飾部16は、稲妻を模した形を成し、主体部11の前面の両側それぞれに略対称に設けられている。
図1(A)から分かるように、各第2装飾部16の一部は保持部12の開口部12a内に入り込んでいる。すなわち、各第2装飾部16は、保持部12に物品20が装着された状態において、当該物品20の開口部12aからの露出を部分的に遮るようになっている(
図5(A)を参照)。
【0020】
第3装飾部17は、武器を模した形を成し、主体部11の後面の下側に設けられている。
図1(B)から分かるように、第3装飾部17の一部は保持部12の開口部12a内に入り込んでいる。すなわち、第3装飾部17は、保持部12に物品20が装着された状態において、当該物品20の開口部12aからの露出を部分的に遮るようになっている(
図5(B)を参照)。
【0021】
次に、
図1〜
図3を用いて、
図1に示した第1形態(人形態)の変形玩具10を
図3に示した第2形態(動物形態)に変形させる方法について説明する。なお、ここで説明する方法はあくまでも一例であって、変形方法を制限するものではない。
【0022】
変形玩具10を第1形態(人形態)から第2形態(動物形態)に変形させるときには、
図1(A)において、腕部を構成する2個の副体部13それぞれから第3部分13dを外し、基礎部分13a、第1部分13b及び第2部分13cの全体を右から見て時計回り方向に約90度回転させる。また、
図1(A)において、脚部2を構成する2個の副体部13それぞれから第1部分14b、第2部分14c、及び第3部分13dを外し、第1部分14bの凹部14b3を基礎部分13aの凸部14a1に嵌め込み、第3部分13dの向きを約90度変える。
【0023】
このようにすると、2個の副体部13(第3部分13dを除く)と2個の副体部14のそれぞれが脚となり、
図3(A)及び
図3(B)に示した第2形態(動物形態)に変化する。すなわち、第2形態(動物形態)は4本の脚を有するものとなるため、当該脚を用いて、テーブルや机やラック等の平らな面に自立させることができる。ちなみに、この自立状態では、主体部11は前記縦向きとは異なる横向き(水平向きまたはこれに近い向きを指す)となる。
【0024】
一方、変形玩具10を第2形態(動物形態)から第1形態(人形態)に変形させるときには、前記とは逆の手順を実施して、変形玩具10を
図1(A)および
図1(B)に示した第1形態(人形態)に戻せばよい。すなわち、遊戯者は第1形態(人形態)と当該第1形態とは異なる第2形態(動物形態)との可逆的な変形を繰り返し行うことができる。
【0025】
次に、
図5および
図6を用いて、第1形態(人形態)と第2形態(動物形態)とのそれぞれにおいて、主体部11の保持部12に物品20を装着した状態について説明する。
【0026】
図1に示した第1形態(人形態)に基づいて説明すると、第1装飾部15が主体部11の上側に固定されていて、かつ、第1装飾部15と出入口12cとの隙間から保持部12への物品20の差し込み及び引き抜きが可能な場合には、当該隙間を利用して、物品20を保持部12に装着する。また、第1装飾部15が開閉式や着脱式の場合には、当該第1装飾部15を動作させた後に、物品20を保持部12に装着する。また、保持部12への物品20を装着するときには、当該物品20の第1面21が前側に現れ、第2面22が後側に現れるようにする。
【0027】
このようにして主体部11の保持部12に物品20を装着すると、第1形態(人形態)を前から見たときには、
図5(A)に示したように、第1面21の少なくとも一部が開口部12aから露出する。具体的には、第1面21に設けられた絵柄が特定キャラクターの顔及び胸を含む部分の場合には、当該キャラクターの顔及び胸の一部が開口部12aから露出する。各第2装飾部16の一部が開口部12a内に入り込んでいるため、各々の入り込んだ部分によって第1面21の露出が部分的に遮られるが、各第2装飾部16は稲妻を模した形を成しているため、前記の入り込みによって各第2装飾部16が前記キャラクターと一体化したような視覚効果が得られる。
【0028】
また、第1形態(人形態)を後ろから見たときには、
図5(B)に示したように、第2面22の少なくとも一部が保持部12の開口部12aから露出する。具体的には、第1面22に設けられた絵が特定キャラクターに対応付けられた攻撃種類等を示すエフェクトの場合には、当該エフェクトの一部が開口部12aから露出する。第3装飾部17の一部が開口部12a内に入り込んでいるため、この入り込んだ部分によって第2面22の露出が部分的に遮られるが、第3装飾部17は武器を模した形を成すため、前記の入り込みによって第3装飾部17が前記エフェクトと一体化したような視覚効果が得られる。
【0029】
さらに、第1形態(人形態)にあっては、各第2装飾部16の一部が開口部12a内に入り込んでいる面積は、第3装飾部17の一部が開口部12a内に入り込んでいる面積よりも小さいため、第1面21の露出面積は第2面22の露出面積よりも大きくなっている。
【0030】
さらに、第1形態(人形態)にあっては、
図7(A)に示したように、主体部11の保持部12に装着した物品20と同じもの、又は別のものを第1装飾部15に装着することが可能であり、この装着によって視覚効果を高めることも可能である。
【0031】
一方、第2形態(動物形態)を上から見たときには、
図6に示したように、
図5(B)と同様、第2面22の少なくとも一部が保持部12の開口部12aから露出する。第3装飾部17の一部が開口部12a内に入り込んでいるため、この入り込んだ部分によって第2面22の露出が部分的に遮られるが、第3装飾部17は武器を模した形を成しているため、前記の入り込みによって第3装飾部17が前記エフェクトと一体化したような視覚効果が得られる。
【0032】
また、第2形態(動物形態)にあっては、
図7(B)に示したように、主体部11の保持部12に装着した物品20と同じもの、又は別のものを第1装飾部15に装着することが可能であり、この装着によって視覚効果を高めることも可能である。
【0033】
ちなみに、
図6に示した第2形態(動物形態)をテーブルや机やラック等の平らな面に自立させた状態では第1面21を直視することは難しくなるが、
図5(A)と同様、第1面21の少なくとも一部は保持部12の開口部12aから露出している。
【0034】
次に、変形玩具10によって得られる主たる作用効果について説明する。
【0035】
〈作用効果1〉変形玩具10が第1形態(一例として人形態)と当該第1形態とは異なる第2形態(一例として動物形態)とに可逆的に変形可能であるため、第1形態(人形態)から第2形態(動物形態)への変形と第2形態(動物形態)から第1形態(人形態)への変形とに基づく楽しさ及び面白さを遊戯者に提供することができる。
【0036】
〈作用効果2〉変形玩具10の主体部11に物品20を着脱可能に装着可能な保持部12が設けられており、当該保持部12に装着された物品20の第1面21の少なくとも一部と第2面22の少なくとも一部を露出できるように構成されるため、第1形態(人形態)と第2形態(動物形態)の両方において、これら露出に基づく視覚面での楽しさ及び面白さを遊戯者に提供することができる。加えて、保持部12に装着された物品20を他の物品に交換することにより、露出態様の変化に基づく視覚面での楽しさ及び面白さを遊戯者に提供することができる。この作用効果は、変形玩具10と物品20とのセットや変形玩具10と物品20と他の物品とのセットを遊戯者が所持することによって、より的確に得ることができる。
【0037】
すなわち、変形玩具10及び前記のセットは、変形玩具10を第1形態(人形態)と第2形態(動物形態)とに可逆的に変形させることよる楽しさ及び面白さを遊戯者に提供できる他、物品20を保持部12に装着することや当該物品20を交換することよる視覚面での新たな楽しさ及び面白さを遊戯者に提供することができる。
【0038】
次に、前記同様の作用効果が得られる変形玩具10の変形例について説明する。
【0039】
〈変形例1〉変形玩具10として第1形態(人形態)と第2形態(動物形態)とに可逆的に変形可能なものを例示したが、第1形態は人形態以外の形態、例えば動物形態等であってもよいし、第2形態は動物形態以外の形態、例えば第1形態とは異なる人形態や第1形態が動物形態の場合にはこれと異なる動物形態等であってもよい。
【0040】
〈変形例2〉変形玩具10として計4個の副体部13及び14を有するものを例示したが、副体部13及び14の総数は3個以下1個以上であってもよいし、5個以上であってもよい。すなわち、副体部13及び14の総数及び形状は所期の第1形態と第2形態に応じて適宜変更することができる。
【0041】
〈変形例3〉保持部12の開口部12aとして主体部11を前後方向に貫通したものを例示したが(
図1(A)および
図1(B)を参照)、非貫通タイプのもの、すなわち、
図1(A)に示した前面側のみが開放し、
図1(B)に示した後面側が閉じているタイプのものを採用してもよい。このような開口部の場合は、物品20の第1面21と第2面22の一方のみしか当該開口部から露出できなくなるが、露出に基づく視覚面での楽しさ及び面白さを遊戯者に提供できることには変わりはない。
【0042】
〈変形例4〉各第2装飾部16としてその一部を開口部12a内に入り込ませたもの(
図1(A)を参照)を例示し、第3装飾部17としてその一部を開口部12a内に入り込ませたもの(
図1(B)を参照)を例示したが、各第2装飾部16と第3装飾部17を主体部11に着脱可能に装着でき、かつ、装着位置が変更できるように構成してもよい。このようにすれば、各第2装飾部16と第3装飾部17の装着位置を変更することによって、第1面21の露出面積を第2面22の露出面積よりも小さくすることも可能であり、同じようにすることも可能である。また、第1形態(人形態)における物品20の第1面21の露出面積及び第2面22の露出面積を、第2形態(動物形態)における物品20の第1面21の露出面積及び第2面22の露出面積とは異ならせることも可能である。
【0043】
〈変形例5〉物品20として外形が矩形状のカードを例示し、かつ、主体部11の保持部12(開口部12a)の形態としてこのカードに対応したものを例示したが、物品20の形態としてカード以外の形態を採用することも可能であり、当該カード以外の形態に合わせて主体部11の保持部12(開口部12a)の形態を変更することも可能である。
【0044】
〈変形例6〉主体部11として略直方体状を成すものを例示したが、必ずしも略直方体状でなくても、例えば
図1(A)において前から見たときの外形が長方形以外の多角形や円形や楕円形等であっても所期の保持部12を設けることは可能である。
【0045】
〈変形例7〉異なる種別の変形玩具10を複数用意し、各変形玩具10を各々接続することで、全体として一体の大型の変形玩具を得ることも可能である。
【符号の説明】
【0046】
10…変形玩具、11…主体部、12…保持部、12a…開口部、12b…挟持部、13,14…副体部、15…第1装飾部、16…第2装飾部、17…第3装飾部、20…物品、21…第1面、22…第2面。
【要約】 (修正有)
【課題】第1形態と第2形態に可逆的に変形させる以外の楽しさおよび面白さを遊戯者に提供することができる変形玩具を提供する。
【解決手段】変形玩具10は第1形態と第2形態とに可逆的に変形可能な変形玩具であって、主体部11と、主体部に接続された副体部13及び14とを備えている。主体部11は、第1面及び第2面を有する物品を着脱可能に装着可能な保持部12を有している。保持部12は、第1形態で保持部12に物品が装着された状態において、物品の第1面の少なくとも一部を露出するように構成される。
【選択図】
図1