特許第6473810号(P6473810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473810
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20190207BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   G09F9/00 348A
   G09F9/00 350A
   G02F1/1333
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-520125(P2017-520125)
(86)(22)【出願日】2015年5月26日
(86)【国際出願番号】JP2015065101
(87)【国際公開番号】WO2016189655
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2017年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】512225287
【氏名又は名称】堺ディスプレイプロダクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(72)【発明者】
【氏名】松元 康史
【審査官】 中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−099463(JP,A)
【文献】 特開2003−167230(JP,A)
【文献】 特開2001−201733(JP,A)
【文献】 特開2007−156492(JP,A)
【文献】 特開2008−170691(JP,A)
【文献】 特開2013−156429(JP,A)
【文献】 特開2013−003487(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0098025(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 − 9/46
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルの周縁部を正面側から支持するための正面枠体と、
前記表示パネルの前記周縁部を背面側から支持するための背面枠体と、
前記表示パネルの前記周縁部から突出し、前記背面枠体へ向けて屈曲部で屈曲していると共に、前記正面枠体の装着部と、この正面枠体の装着部に対面している前記背面枠体の対面部との間に位置する部分を有するフレキシブルプリント基板と、
前記背面枠体に取り付けられている保護部材と
を備え、
前記保護部材は、
前記正面枠体と前記フレキシブルプリント基板との間に介在するシート状部と、
前記シート状部の一面から突出して前記背面枠体に前記表示パネルの周縁方向に沿って並んで取り付けられた2個の突出部と
を有し、
前記正面枠体の装着部と前記背面枠体の対面部との間に位置する前記フレキシブルプリント基板の前記部分が、前記背面枠体の前記対面部と前記シート状部と前記2個の突出部とにより囲繞されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記突出部は前記背面枠体に接着されており、
前記突出部の前記背面枠体に対する接着範囲は少なくとも4mm×3mmの面積を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記シート状部は前記突出部よりも柔軟性を有し、
前記突出部の突出量は、前記シート状部の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記背面枠体には、前記突出部が嵌め込まれる被嵌込部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記保護部材の前記シート状部は、前記正面枠体と前記フレキシブルプリント基板の前記屈曲部からその先端までの間の部分との間に介在していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記フレキシブルプリント基板の前記背面枠体に対向する側の面に電子部品が実装されており、
該電子部品と前記背面枠体とが離隔していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルからフレキシブルプリント基板が突出している表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、フレキシブルプリント基板が取り付けられた液晶表示パネルと、夫々矩形枠体であるベゼル及びPシャーシとを備える。液晶表示パネルの周縁部は、ベゼルとPシャーシとの間に挟まれる(特許文献1参照)。
ベゼルは、液晶表示パネルが配されたPシャーシに対して着脱可能に装着される。故に、ベゼル着脱の際に、液晶表示パネルに取り付けられているフレキシブルプリント基板にベゼルが接触し位置ずれ又は捻じれ等を起こすことによって、フレキシブルプリント基板が損傷する虞がある。
【0003】
特許文献1に記載の液晶表示装置の場合、フレキシブルプリント基板(文中「印刷回路基板」)の周縁部を、Pシャーシ(文中「樹脂枠」)に設けられた突起に係止することによって、フレキシブルプリント基板の位置ずれ又は捻じれ等を抑制している。
また、特許文献1に記載の液晶表示装置の場合、フレキシブルプリント基板の周縁部を、Pシャーシに取り付けられたラバー小片で覆うことによって、フレキシブルプリント基板がベゼルに接触することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−30861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の液晶表示装置が備える突起は、フレキシブルプリント基板とベゼルとの接触を抑制するものではない。故に、突起によってフレキシブルプリント基板とベゼルとの接触に起因するフレキシブルプリント基板の損傷を抑制することは困難である。
また、特許文献1に記載の液晶表示装置が備えるラバー小片は、フレキシブルプリント基板の周縁部とベゼルとの接触を抑制するものである。故に、ラバー小片によってフレキシブルプリント基板の中央部とベゼルとの接触に起因するフレキシブルプリント基板の損傷を抑制することは困難である。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、フレキシブルプリント基板の損傷を抑制することができる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、表示パネルと、該表示パネルの周縁部を正面側から支持するための正面枠体と、前記周縁部を背面側から支持するための背面枠体と、前記表示パネルの周縁端部から突出し、前記背面枠体の側に屈曲しているフレキシブルプリント基板と、前記背面枠体に取り付けられており、前記正面枠体と前記フレキシブルプリント基板における前記表示パネルの周縁方向の一側から他側までとの間に介在している保護部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る表示装置は、前記保護部材は、前記正面枠体と前記フレキシブルプリント基板との間に介在するシート状部と、前記背面枠体に取り付けられており、前記シート状部から前記背面枠体の側に突出する突出部とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る表示装置は、前記シート状部は前記突出部よりも柔軟性を有し、前記突出部の突出量は、前記シート状部の厚みよりも大きいことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る表示装置は、前記保護部材は前記シート状部の一面から突出する2個の前記突出部を有し、2個の前記突出部の間に前記フレキシブルプリント基板が配されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る表示装置は、前記突出部は前記背面枠体に接着されており、前記突出部の前記背面枠体に対する接着範囲は少なくとも4mm×3mmの面積を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る表示装置は、前記背面枠体には、前記突出部が嵌め込まれる被嵌込部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る表示装置は、前記フレキシブルプリント基板は、突出方向の一側が屈曲しており、前記保護部材は前記正面枠体と前記フレキシブルプリント基板の突出方向の他側との間に介在していることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る表示装置は、前記フレキシブルプリント基板の前記背面枠体に対向する側の面に電子部品が実装されており、該電子部品と前記背面枠体とが離隔していることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、フレキシブルプリント基板が背面枠体側に屈曲(即ち、正面枠体から遠ざかるように屈曲)し、保護部材が正面枠体とフレキシブルプリント基板との間に介在している。
故に、フレキシブルプリント基板が正面枠体に無用に接近する虞がない。従って、フレキシブルプリント基板は正面枠体との接触に起因する損傷から保護される。
【0016】
正面枠体側から見ると、フレキシブルプリント基板は、表示パネルの周縁方向(以下、単に周縁方向という)の一側から他側に亘って、保護部材によって被覆されている。故に、フレキシブルプリント基板の周縁方向両端部のみならず、周縁方向中央部も、正面枠体との接触が抑制される。
【0017】
本発明にあっては、保護部材が、シート状部と突出部とを有する簡易な構成である。故に、保護部材は容易に製造することができる。
【0018】
本発明にあっては、例えば表示装置に外力が加えられてフレキシブルプリント基板が振動した場合に、フレキシブルプリント基板とシート状部とが接触することが考えられる。しかしながら、シート状部は柔軟なので、フレキシブルプリント基板との接触時に容易に変形する。従って、両者の接触時にシート状部からフレキシブルプリント基板に無用な外力が加えられる虞はない。
一方、突出部は堅硬なので、シート状部を確実に支持し、シート状部の過剰な変形を抑制する。
【0019】
以上の結果、フレキシブルプリント基板がシート状部に接触したせいで、又はシート状部が変形しすぎてフレキシブルプリント基板が過剰に位置ずれしたり捻じれたりすることによって、フレキシブルプリント基板が損傷する虞はない。
【0020】
本発明にあっては、フレキシブルプリント基板が背面枠体とシート状部と2個の突出部とに囲繞されているので、フレキシブルプリント基板が正面枠体に無用に接近し接触することが更に抑制される。
【0021】
本発明にあっては、各突出部は背面枠体に対して必要最小限以上の接着面積を有する。故に、各突出部が背面枠体から無用に脱離すること(延いては、保護部材が背面枠体から脱落すること)が抑制される。
【0022】
本発明にあっては、背面枠体に設けられている被嵌込部に突出部が嵌め込まれる。故に、突出部の背面枠体に対する取り付け位置の位置決めが容易である。しかも、被嵌込部の内面と突出部の外面との摩擦力によって、突出部が背面枠体から無用に脱離すること(延いては、保護部材が背面枠体から脱落すること)が抑制される。
【0023】
本発明にあっては、フレキシブルプリント基板が突出方向の一側に屈曲している部分を有する。フレキシブルプリント基板の屈曲部分近傍は弾性復元力が高い(いわゆる「腰が強い」)部分である。
フレキシブルプリント基板の他側は、フレキシブルプリント基板の屈曲部分から離隔しているので、比較的弾性復元力が低い(即ち「腰が弱い」)。
保護部材は、フレキシブルプリント基板の腰が弱い部分と正面枠体との間に介在する。従って、フレキシブルプリント基板の弾性復元力を受けて保護部材が背面枠体から脱落してしまうことが抑制される。
【0024】
本発明にあっては、フレキシブルプリント基板に実装されている電子部品と背面枠体とが離隔しているので、フレキシブルプリント基板又は電子部品と背面枠体との接触によるフレキシブルプリント基板又は電子部品の損傷が抑制される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の表示装置による場合、フレキシブルプリント基板を正面枠体から遠ざけるように屈曲させて、フレキシブルプリント基板を周縁方向に全体的に保護するので、周縁方向両端部及び周縁方向中央部について、フレキシブルプリント基板と正面枠体との接触を抑制することができる。この結果、正面枠体と接触したフレキシブルプリント基板が位置ずれ又は捻じれ等を起こすことを抑制することができる。
故に、フレキシブルプリント基板と正面枠体との接触に起因するフレキシブルプリント基板の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施の形態1に係る表示装置の構成を略示する断面図である。
図2】表示装置の構成を略示する斜視図である。
図3】表示装置が備える保護部材の構成を略示する斜視図である。
図4】本発明の実施の形態2に係る表示装置の構成を略示する断面図である。
図5】表示装置の構成を略示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。以下の説明では、図において矢符で示す上下、前後、及び左右を使用する。
【0028】
実施の形態 1.
図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る表示装置1の構成を略示する断面図及び斜視図である。図1に向かって上下左右方向は、表示装置1の上下前後方向である。図2における右側には、各部の断面が示されている。
図3は、表示装置1が備える保護部材4の構成を略示する斜視図である。
表示装置1は矩形状をなす。図1及び図2は、表示装置1の下辺部を示している。
【0029】
表示装置1は、表示パネル11、光学シート群12、導光板13、反射シート14、光源15、BLシャーシ16、ベゼル21(正面枠体)、Pシャーシ22(背面枠体)、各矩形枠状の緩衝部材231,232,233、複数枚の回路基板3,3,…、及び複数個の保護部材4,4,…を備える。
図2では、表示パネル11、光学シート群12、Pシャーシ22、緩衝部材232、回路基板3、及び保護部材4以外の図示は省略している。図3には、回路基板3が二点鎖線で示してある。
各回路基板3は、フレキシブルプリント基板31及び駆動回路32(電子部品)を有する。
各保護部材4は、2個の突出部41,41及びシート状部42を有する。
【0030】
表示パネル11は液晶表示パネルを用いてなる。表示パネル11は上下前後方向に延びる矩形平板状になしてある。表示パネル11は、矩形状の表示領域と、表示領域を囲繞する矩形枠状の額縁領域とを有する。表示パネル11は、正面側のガラス基板と背面側のガラス基板とを有する。2枚のガラス基板の間には液晶が封止されている。表示パネル11に含まれている液晶が駆動されることによって、表示パネル11には映像が表示される。
【0031】
光学シート群12は、各矩形状の複数枚の光学シートが積層されてなる矩形積層体状をなす。光学シート群12は、表示パネル11の後面に対面配置されており、少なくとも表示パネル11の表示領域を背面側から覆っている。光学シート群12を構成している各光学シートは、光の拡散機能又は集光機能等を有する。
【0032】
導光板13は、矩形板状になしてある。導光板13は、光学シート群12の後面に対面配置されている。
導光板13の内部に入射した光は、導光板13の前面から出射する。このために、導光板13の後面には、図示しない複数の反射部が設けられている。反射部に入射した光は、正面側へ反射する。
【0033】
反射シート14は矩形状になしてある。反射シート14は導光板13の後面に密着してこれを全面的に覆っている。
【0034】
光源15は、複数個のLED151,151,…とLED基板152とを備えている。
LED151,151,…は、LED基板152の一面にて左右方向に一列に等配実装してある。
LED基板152は左右方向に長い矩形平板状をなす。LED基板152のLED151,151,…が実装されている面は導光板13の下端面に対面配置されている。このとき、各LED151と導光板13とは離隔配置される。
【0035】
光源15が発した光は、導光板13の下端面から導光板13の内部に入射し、導光板13の前面から出射する。導光板13を透過しない限り、光源15が発した光が表示パネル11又は光学シート群12に入射することはない。
なお、表示装置1は、複数の光源15,15,…を備えていてもよい。光源15は導光板13の下端面以外の端面に対向配置されていてもよい。
【0036】
BLシャーシ16はバックライトシャーシである。BLシャーシ16は、支持部161と装着部162とを有する。
支持部161は矩形板状をなし、反射シート14の後面に対面配置されている。
装着部162は、支持部161の周縁部から後ろ向きに突出している。
【0037】
ベゼル21は、表示パネル11の周縁部を正面側から支持するためのものである。
ベゼル21は、パネル支持部211及び装着部212を有する。
パネル支持部211は矩形枠状をなす。パネル支持部211の内周部は表示パネル11の前面の周縁部に対向配置されている。
装着部212は、軸方向が前後方向の矩形筒状をなし、パネル支持部211の外周部から後向きに突出している。
【0038】
Pシャーシ22はパネルシャーシである。Pシャーシ22は、第1支持部221、第2支持部222、第3支持部223、連結部224、及び装着部225を有する。
第1支持部221は矩形枠状をなす。第1支持部221は表示パネル11の後面の周縁部に対向配置されている。
ベゼル21のパネル支持部211とPシャーシ22の第1支持部221とは、緩衝部材231,232を介在して、表示パネル11の周縁部を挟持している。
【0039】
第2支持部222は矩形枠状をなす。第2支持部222は第1支持部221の内周部に連続しており、第1支持部221よりも後方に位置している。第2支持部222は光学シート群12の後面の周縁部と導光板13の後面の周縁部とに対向配置されている。
第2支持部222の上枠部には、光学シート群12の上辺部が取り付けられている。
Pシャーシ22の第2支持部222とBLシャーシ16の支持部161とは、緩衝部材233を介在して、導光板13及び反射シート14夫々の周縁部をまとめて挟持している。
【0040】
第3支持部223は軸方向が前後方向の矩形筒状をなし、第1支持部221の外周部から後向きに突出している。
第3支持部223の内面には、図示しないヒートシンクを介して光源15が取り付けられている。第3支持部223の外面は、ベゼル21の装着部212の内面に対面している。
【0041】
連結部224は矩形枠状をなす。連結部224は第3支持部223の後端部から第3支持部223の外側に突出している。連結部224はベゼル21のパネル支持部211の後ろ側に対向配置されている。連結部224は第3支持部223と装着部225とを連結している。
第3支持部223と連結部224とベゼル21の装着部212とに囲繞された空間は、回路基板3が配置される配置空間30である。
【0042】
装着部225は、連結部224の先端部から後ろ向きに突出している。
ベゼル21、Pシャーシ22、及びBLシャーシ16の装着部212,225,162は、着脱可能に相互に装着されている。
【0043】
回路基板3はCOF(Chip On Film)又はTCP(Tape Carrier Package)等を用いてなる。回路基板3,3,…は、表示パネル11の周囲において表示パネル11の周縁方向(以下、単に周縁方向という)に並置されている。図1図3に示す周縁方向は左右方向である。
【0044】
各フレキシブルプリント基板31は、例えば厚さ0.05mmのポリエチレンテレフタレート樹脂製のシート材を用いてなる。フレキシブルプリント基板31は、表示パネル11の周縁端部から突出している。フレキシブルプリント基板31に形成されている配線は、表示パネル11に電気的に接続されている。
フレキシブルプリント基板31はPシャーシ22側に屈曲している。具体的には、フレキシブルプリント基板31は、基端側(突出方向の一側。図中上側)に屈曲部31aを有する。フレキシブルプリント基板31における屈曲部31aよりも基端部側は表示パネル11に沿って突出している。フレキシブルプリント基板31における屈曲部31aよりも先端側(突出方向の他側。図中下側)は、配置空間30に配されている。
【0045】
フレキシブルプリント基板31の一面(更に詳細には、フレキシブルプリント基板31におけるPシャーシ22に対向する側の面)には、駆動回路32が実装されている。駆動回路32は、表示パネル11に含まれている液晶を駆動するためのものである。駆動回路32は配置空間30にてPシャーシ22に対向配置されている。駆動回路32は、回路基板3が例えば振動したとしても、駆動回路32がPシャーシ22に当接することが困難な程度にPシャーシ22から離隔している。
【0046】
保護部材4,4,…は、回路基板3,3,…に一対一対応である。
各保護部材4の突出部41,41は、夫々Pシャーシ22に取り付けられている。具体的には、各突出部41は第3支持部223の外面に接着されている。突出部41は、例えばウレタンフォームのような発泡プラスチック製であり、緩衝性を有する。
突出部41は、少なくとも夫々4mm×3mm、好ましくは夫々5mm×5mm以上の両端面を有する四角柱状をなしている。突出部41の一端面は、第3支持部223の外面に接着されている。突出部41の他端面は、シート状部42の一面に接着されている。つまり、突出部41は、シート状部42の一面からPシャーシ22側に突出している。突出部41のシート状部42からの突出量は、突出部41の軸方向の長さ(例えば1.0mm )に等しい。
【0047】
両端面が4mm×3mm以上の面積を有する突出部41は、接着面の剥離による突出部41のシート状部42又はPシャーシ22からの脱離が抑制されている。仮に、両端面が4mm×3mm未満の面積を有する場合、突出部41は、シート状部42又はPシャーシ22から脱離し易い。
突出部41の両端面の面積は、接着強度の向上という観点からは大きいに越したことはない。しかしながら、突出部41の両端面の面積を大きくすればするほど突出部41が大型化して表示装置1の小型化を阻害する。故に、5mm×5mm程度の面積が好適である。
突出部41,41は、配置空間30にて周縁方向に適長離隔して並置されている。突出部41,41間には、回路基板3が配されている。
【0048】
シート状部42は、例えば厚さ0.5mm のポリカーボネート樹脂製のシート材を用いてなる。シート状部42は絶縁性を有し、更に、各突出部41よりも柔軟性を有する。シート状部42の厚みは、各突出部41の突出量よりも小さい。
シート状部42は、周縁方向に長い矩形状をなす。シート状部42の一面における周縁方向の両端部には、突出部41,41が接着されている。
シート状部42は配置空間30に配されている。シート状部42の一面(突出部41,41が突出している面)は、第3支持部223の外面に対面しており、シート状部42の他面は、装着部212の内面に対面している。
シート状部42は、ベゼル21とフレキシブルプリント基板31との間に介在してフレキシブルプリント基板31を保護している。このとき、ベゼル21側から見ると、シート状部42は、フレキシブルプリント基板31を周縁方向の一側から他側(即ち図中左側から右側)に亘って被覆している。また、シート状部42は、フレキシブルプリント基板31における屈曲部31aよりも先端部側とベゼル21との間に介在している。
【0049】
ここで、表示装置1が保護部材4を備えていない場合を考える。
表示装置1の組み立て時又は分解時には、表示パネル11が配されたPシャーシ22に対してベゼル21が着脱される。
フレキシブルプリント基板31はPシャーシ22側に屈曲しているが、フレキシブルプリント基板31の弾性によって、屈曲部31aが伸張する方向に(即ち、フレキシブルプリント基板31の先端部がベゼル21の装着部212に接近する方向に)付勢されている。従って、着脱されるベゼル21にフレキシブルプリント基板31が接触する可能性は高い。
【0050】
ベゼル21が回路基板3に接触した場合、フレキシブルプリント基板31は位置ずれ又は捻じれ等を起こす。位置ずれ又は捻じれ等が軽微であれば、フレキシブルプリント基板31の弾性によって元に戻るので、特段の問題はない。しかしながら、位置ずれ又は捻じれ等が過剰であれば、フレキシブルプリント基板31が損傷する虞がある。
フレキシブルプリント基板31が屈曲していなければ、フレキシブルプリント基板31がベゼル21に接近することを抑制することができる。しかしながら、フレキシブルプリント基板31を平坦な状態に維持すると、表示装置1がフレキシブルプリント基板31の表示パネル11からの突出方向に無用に大型化する。
【0051】
このような問題を解消するために、フレキシブルプリント基板31に替えて、基板本体と、基板本体から延設された延設部とを有するフレキシブルプリント基板を用い、延設部をPシャーシ22に接着することが考えられる。しかしながら、このようなフレキシブルプリント基板はフレキシブルプリント基板31よりも大型であるので、表示装置1の製造コストが増大する虞がある。また、基板本体と延設部との境界部分が屈曲して弾性復元力が生じ、延設部がPシャーシ22から離隔する方向に付勢され、剥離する虞がある。
【0052】
次に、保護部材4の作用効果について述べる。
フレキシブルプリント基板31は、ベゼル21の装着部212に接近する方向に付勢されているが、ベゼル21とフレキシブルプリント基板31とが接触する虞はない。何故ならば、ベゼル21とフレキシブルプリント基板31との間(更に詳細には、装着部212とフレキシブルプリント基板31における屈曲部31aよりも先端部側との間)にシート状部42が介在しているからである。
【0053】
フレキシブルプリント基板31が伸長しようとしても、シート状部42がフレキシブルプリント基板31に当接して伸長を阻害するので、フレキシブルプリント基板31はPシャーシ22側に屈曲した状態で維持される。
しかも、シート状部42は、フレキシブルプリント基板31の周縁方向端部のみならず、フレキシブルプリント基板31の周縁方向中央部も覆っている。故に、従来のようにフレキシブルプリント基板31の端部のみをラバー小片で覆う場合よりも確実にベゼル21とフレキシブルプリント基板31との接触が抑制される。
【0054】
シート状部42は柔軟である。故に、フレキシブルプリント基板31に当接してもフレキシブルプリント基板31を傷つけてしまう虞がない。
突出部41,41夫々は堅硬である。故に、変形し易いシート状部42を確実に支持する土台として機能する。
とはいえ、突出部41の堅硬さはシート状部42よりも堅硬な程度である。フレキシブルプリント基板31が周縁方向に位置ずれした場合、フレキシブルプリント基板31は突出部41に当接するが、突出部41とフレキシブルプリント基板31との当接によってフレキシブルプリント基板31が損傷する虞はない。何故ならば、突出部41は緩衝性を有するからである。
【0055】
駆動回路32はPシャーシ22から離隔している。つまり、ベゼル21とフレキシブルプリント基板31との間に保護部材4が介在していても、回路基板3が無用にPシャーシ22に接近することはない。従って、回路基板3とPシャーシ22との当接に起因する回路基板3の損傷が抑制される。
【0056】
シート状部42がフレキシブルプリント基板31を覆っている部分は、屈曲部31aから離隔した部分、即ち、フレキシブルプリント基板31の屈曲による弾性復元力が小さい部分である。故に、シート状部42が屈曲部31aに接近した部分、即ち、フレキシブルプリント基板31の屈曲による弾性復元力が大きい部分を覆っている場合に比べて、フレキシブルプリント基板31と当接した保護部材4がフレキシブルプリント基板31から受ける外力が小さい。この結果、フレキシブルプリント基板31から外力を受けることによる保護部材4の無用な脱落を抑制することができる。
【0057】
本実施の形態の表示装置1はフレキシブルプリント基板31の先端側を保護部材4で保護しており、基端側は保護していない。しかしながら、保護部材4によってフレキシブルプリント基板31がPシャーシ22側に屈曲した状態で維持されているので、フレキシブルプリント基板31の基端側がベゼル21に接触する虞はない。以上の結果、フレキシブルプリント基板31は先端側から基端側まで全面的に保護される。
【0058】
なお、表示装置1は、保護部材4に替えて、シート状部42に相当するシート状部のみを有する保護部材を備えていてもよい。この場合、保護部材の周縁方向両端部が直接的にPシャーシ22に取り付けられる。ただし、駆動回路32とPシャーシ22とを離隔させる必要上、保護部材は周縁方向に湾曲するので、保護部材に生じた弾性復元力が保護部材のPシャーシ22からの脱落を招かないように、Pシャーシ22に対する保護部材の取り付け強度を向上させる必要がある(例えばネジ留めによる取り付け)。
【0059】
一方、保護部材4の場合、Pシャーシ22とシート状部42との間に介在する突出部41,41がスペーサとして機能し、シート状部42を平坦な状態に維持することができる。故に、シート状部42に無用な弾性復元力が生じて保護部材4のPシャーシ22からの剥離を招いてしまうことが抑制される。
【0060】
更に、シート状部42とPシャーシ22との間に突出部41,41が介在することによって、シート状部42と第3支持部223との距離を適宜に設定することができる。仮に、シート状部42が第3支持部223から過剰に遠いと、表示装置1の小型化が阻害される。一方、仮に、シート状部42が第3支持部223に過剰に近いと、シート状部42がフレキシブルプリント基板31をPシャーシ22に押し付けてしまうので、フレキシブルプリント基板31又は駆動回路32がPシャーシ22に当接して回路基板3が損傷する虞がある。
【0061】
なお、表示装置1は、保護部材4に替えて、シート状部とシート状部に一体に設けられた突出部とを有する保護部材を備えていてもよい。このような保護部材は、一体成形されたものでもよく、短冊状部材から形成されたものでもよい。後者の場合、突出部は、例えば短冊状部材の長手方向両端部夫々をL字状に折り曲げてなる立ち上げ片である。シート状部と突出部とが一体の保護部材の場合、例えば突出部の形状を工夫し(例えばリブを設け)て突出部の剛性をシート状部よりも高めることが望ましい。
【0062】
一方、保護部材4の場合、シート状部42と各突出部41とが別体である。故に、シート状部42を柔軟な部材から形成し、突出部41を堅硬な部材から形成することができる。従って、突出部41は単純な形状でよい。
【0063】
実施の形態 2.
図4及び図5は、本発明の実施の形態2に係る表示装置1の構成を略示する断面図及び斜視図である。図4及び図5図1及び図2に対応する。ただし、図5における保護部材4の図示は省略している。
本実施の形態の表示装置1は、実施の形態1の表示装置1と略同様の構成である。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0064】
Pシャーシ22の第3支持部223の外面側には、被嵌込部226,226,…が設けられている。
被嵌込部226は、第3支持部223の外面に突設された3個のリブ状部と連結部224とに囲繞された凹状部である。リブ状部はコ字状に配されており、リブ状部と連結部224との組わせによって、矩形状の凹状部が形成される。凹状部の形状及び内法は、突出部41の形状及び外法に対応する。
【0065】
各被嵌込部226には保護部材4の突出部41が嵌合する。
被嵌込部226に突出部41を嵌め込むことによって、突出部41のPシャーシ22に対する取り付け位置を容易に位置決めすることができる。
突出部41は、突出部41の外面と被嵌込部226の内面との摩擦力によってPシャーシ22に取り付けられる。
【0066】
以上のような表示装置1は、実施の形態1の表示装置1と同様の作用効果を奏することができる。
なお、突出部41の外面と被嵌込部226の内面との間に接着剤が介在してもよい。また、突出部41を被嵌込部226に無理嵌めしてもよい。この場合、突出部41は、上述の摩擦力及び突出部41の弾性復元力によってPシャーシ22に取り付けられる。
【0067】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、請求の範囲と均等の意味及び請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、表示装置1に、実施の形態1,2に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 表示装置
11 表示パネル
21 ベゼル(正面枠体)
22 Pシャーシ(背面枠体)
226 被嵌込部
31 フレキシブルプリント基板
32 駆動回路(電子部品)
4 保護部材
41 突出部
42 シート状部
図1
図2
図3
図4
図5