特許第6473818号(P6473818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473818
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20190207BHJP
【FI】
   G02F1/1339 505
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-530547(P2017-530547)
(86)(22)【出願日】2015年7月29日
(86)【国際出願番号】JP2015071546
(87)【国際公開番号】WO2017017818
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2018年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】512225287
【氏名又は名称】堺ディスプレイプロダクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 達也
(72)【発明者】
【氏名】速井 大樹
(72)【発明者】
【氏名】向井 健一
(72)【発明者】
【氏名】小谷 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 一統
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/155133(WO,A1)
【文献】 特開2007−322474(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/024783(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0177268(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状をなし、周縁部に形成されたシール材によって貼り合わされた2枚の基板と、
該2枚の基板間で、前記シール材によって囲まれる領域に設けられ、表示領域を形成する液晶層と、
前記2枚の基板の一方の基板上の、前記表示領域で、かつ、前記2枚の基板の他方の基板と対向する面に設けられた配向膜と、
前記一方の基板の層間絶縁膜の前記表示領域と前記シール材との間に形成され、前記基板の一面の垂直方向から見た平面視の形状が波形状である溝部が前記基板の周方向に沿って少なくとも2本平行に形成されることによって前記基板の一面と交わる断面の形状が凹凸の凹凸部と
を備え、
少なくとも2本の前記波形状の溝部は、それぞれ前記一面と平行で、かつ、前記表示領域と反対側に突出する第1突出部と、前記表示領域側に突出する第2突出部とを交互に有しており、
前記表示領域と反対側の溝部である第1の溝部の前記第1突出部の前記周方向の幅が前記表示領域側の溝部である第2の溝部の前記第1突出部の前記周方向の幅より広く、前記第2の溝部の前記第1突出部の一部が前記第1の溝部の前記第1突出部によって囲まれる領域に入っている、液晶表示装置。
【請求項2】
前記凹凸部の前記一方の基板の表面と平行な面の形状が、矩形波状をなす、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記凹凸部の前記一方の基板の表面と平行な面の形状が、台形状をなす、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記溝部の形状を維持しながら前記層間絶縁膜を覆うように形成された導電膜をさらに備え、前記溝部の表面に形成される前記導電膜によって前記溝部が形成されている、請求項1からまでのいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン受信機、パーソナルコンピュータ等に備えられる、TFT(薄膜トランジスタ)基板を有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の中で、液晶表示装置は薄型であり、消費電力が低いという特徴を有する。特に、画素毎にTFT等のスイッチング素子を備えるTFT(アクティブマトリクス)基板を有する液晶表示装置は、高いコントラスト比、及び優れた応答特性を有し、高性能であるため、テレビジョン受信機、パーソナルコンピュータ等に好適に用いられている。
【0003】
液晶表示装置を備えるテレビジョン受信機(以下、TV受信機という)は、例えば、前側で映像を表示する表示パネル,表示パネルの後側に光を照射するバックライトユニットを有する表示モジュールと、表示モジュールの前面の周縁部及び側部を覆うフロントキャビネットと、表示モジュールの背面を覆うリアキャビネットとを備える。
【0004】
表示パネルは、互いに対向するTFT基板、及び対向基板(カラーフィルタ基板:CF基板)と、TFT基板及びCF基板間に表示媒体層として設けられた液晶層と、TFT基板及びCF基板を互いに接着するとともにTFT基板及びCF基板間に液晶層を封入するために枠状に設けられたシール材とを有する。
【0005】
TFT基板の絶縁基板上には、複数のゲート配線(走査配線)と、各ゲート配線と交叉する複数のソース配線(信号配線)とが形成されている。隣り合う2本のゲート配線及び信号配線により囲まれた領域が1つの画素領域に対応し、各画素領域に対応して、TFT、及びITO(Indium−Tin−Oxide)膜等からなる画素電極が配されている。画素電極は配向膜により覆われている。
【0006】
配向膜は、ポリイミド等の材料を用い、インクジェット法等により、各画素領域が集合してなる表示領域を覆うように形成されている。ポリイミド等の配向膜材料の粘度は低く、インクジェット法により表示領域に塗布する際に、表示領域から基板の端縁部側へ配向膜が濡れ広がりやすい。配向膜がシール材の形成領域まで広がった場合、シール材とTFT基板との密着性が低下し、シール材が剥がれるという問題が生じる。
【0007】
特許文献1には、TFT基板上の表示領域とシール材形成領域との間に形成する絶縁膜に段差部を設け、該段差部を金属膜で覆ったときに金属膜に凹凸部が生じるように構成された液晶表示装置の発明が開示されている。
図12は、特許文献1の液晶表示装置の表示パネルの凹凸部27を示す模式的平面図、図13図12のXIII−XIII線断面図である。図12及び図13においては、凹凸部27のうち、表示パネルの上辺の一部に対応する部分を示している。図12における上側が、後述するシール材4が形成されたシール材形成領域Sであり、下側が表示領域Dである。図12中、カバーメタル25及び金属膜26は省略している。
【0008】
上述したように、TFT基板2とCF基板3とは、CF基板3の内周縁部に枠状に設けられたシール材4により接着されている。表示領域Dとシール材形成領域Sとの間に、凹凸部27が設けられている。
【0009】
図12に示すように、TFT基板2の信号配線22は、シール材形成領域Sの内側(表示領域D側)部分においては行方向と所定の角度をなす状態で延びるように配されている。信号配線22は凹凸部27を横断し、表示領域Dの外側(シール材形成領域S側)部分で行方向と所定の角度をなす状態で延びた後、表示領域Dにおいて列方向に延びるように配されている(不図示)。
凹凸部27の第2層間絶縁膜24には、行方向に延びる溝部249が列方向に3本並設されている。
【0010】
図12及び図13に示すように、TFT基板2の例えばガラス基板等の絶縁基板21上に信号配線22が形成され、信号配線22上には、第1層間絶縁膜23が形成されている。
信号配線22及び第1層間絶縁膜23上の、凹凸部27に対応する部分には、カバーメタル25が形成されている。
第1層間絶縁膜23及びカバーメタル25を覆うように、例えば感光性のアクリル樹脂等の有機絶縁膜からなる第2層間絶縁膜24が形成され、パターニングにより溝部249,249,249が形成されている。
【0011】
そして、第2層間絶縁膜24を覆うように、蒸着によりITO(Indium−Tin−Oxide)からなる金属膜26が形成されている。金属膜26には、溝部249,249,249に対応して溝269,269,269が形成されている。
【0012】
この液晶表示装置においては、表示領域Dに対応して金属膜26上に、ポリイミドからなる配向膜6を形成する場合に、凹凸部27における金属膜26の段差により、ポリイミドの濡れ広がりを堰き止めることができ、しかもポリイミドはITOとの濡れ性が低いので、配向膜6の濡れ広がりがより抑制できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−322474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述の特許文献1の表示パネルにおいては、金属膜26の溝269のエッジにおいて、ポリイミド等の配向膜6の液体材料の表面張力が大きく、金属膜26の表面張力は小さく、接触角が大きくなるので、配向膜6の濡れ広がりが抑制されると考えられる。しかし、この表示パネルにおいては、溝269のエッジ長さが十分でないので、配向膜6の濡れ広がりの抑制効果には限度があるという問題があった。
特に、表示領域Dの大きさは変えず、表示パネルの外形を小さくする、即ち狭額縁化を進めることにした場合、凹凸部27が表示領域D側へ近づき、幅が狭くなるので、配向膜6の濡れ広がりを十分に抑制することができなくなり、配向膜6がシール材形成領域Sへ侵入する可能性が高くなるという問題がある。
【0015】
また、特許文献1においては、第2層間絶縁膜24の凹凸部分に剥がれが生じた場合、全体が剥がれてしまう可能性が高くなるので、凹凸部分に切れ目を設ける、即ち、溝部249に切れ目を設けることが好ましいとしており、この場合、金属膜26の凹凸部分に切れ目が生じることになるので、この切れ目を起点に配向膜材料がシール形成領域S側へ流れる可能性がある。
【0016】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、配向膜の液体材料がシール材の形成領域へ侵入することが抑制され、シール材と基板との密着性が低下してシール材が剥がれることが抑制されており、狭額縁化を図ることができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る液晶表示装置は、矩形状をなし、内周側に形成されたシール材を挟んで貼り合わされた2枚の基板と、該基板間に設けられた液晶層と、一方の基板上の、前記シール材の内周側かつ他方の基板側に設けられた配向膜と、該配向膜と前記シール材との間に形成され、周方向に沿って波状に設けられた凹凸部とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、凹凸部が波状をなすので、凹凸部の凹部の線長(エッジの辺長)が長く、表面積が大きい。これにより、凹凸部において、配向膜の液体材料の表面張力が大きくなり、該液体材料の濡れ広がりが抑制され、配向膜がシール材の形成領域へ侵入することが抑制される。
従って、シール材と前記基板との密着性が低下してシール材が剥がれることが抑制されている。
そして、表示パネルの外形を小さくし、即ち、凹凸部及びシール材の形成領域が配向膜の周縁部に近づき、凹凸部の幅が狭くなった場合においても、配向膜の液体材料の濡れ広がりが抑制されるので、表示パネルの狭額縁化を良好に実施することができる。
また、凹凸部に特許文献1に示される切れ目がないので、切れ目を起点に配向膜がシール領域側へ漏れることがない。
【0019】
本発明に係る液晶表示装置は、前記凹凸部は、矩形波状をなすことを特徴とする。
【0020】
本発明においては、凹凸部が矩形波状をなし、屈曲部が直角であるので、屈曲部が鈍角である場合より、配向膜の液体材料の濡れ広がりがより抑制されている。
【0021】
本発明に係る液晶表示装置は、前記凹凸部は、正弦波状をなすことを特徴とする。
【0022】
本発明においては、他の部材と干渉しにくい。
【0023】
本発明に係る液晶表示装置は、前記凹凸部の凹部を、周方向に交叉する方向に複数有することを特徴とする。
【0024】
本発明においては、配向膜の液体材料の濡れ広がりがより抑制される。
【0025】
本発明に係る液晶表示装置は、矩形波状をなす凹部を複数有し、前記周方向に交叉する方向に隣り合う、2つの凹部は、外側の凹部の外側突出部の幅が内側の凹部の外側突出部の幅より広く、該外側突出部の一部が前記外側の凹部の外側突出部に入っていることを特徴とする。
【0026】
本発明においては、凹部の線長を長くするとともに、凹凸部の幅を狭くすることができる。
【0027】
本発明に係る液晶表示装置は、直線状の凹部を有することを特徴とする。
【0028】
本発明においては、波状の方の凹部の屈曲部の周期を短くして、該凹部の線長を長くするとともに、凹凸部の幅を狭くすることができる。
【0029】
本発明に係る液晶表示装置は、前記一方の基板上に、前記凹凸部の凹部に対応する第2の凹部を有する層間絶縁膜と、該層間絶縁膜を覆うように形成された金属膜とを備えることを特徴とする。
【0030】
本発明においては、層間絶縁膜の凹凸に対応して金属膜に凹凸が形成され、波状の凹部を有する凹凸部が容易に形成される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、凹凸部が波状をなすので、凹部の線長が長く、表面積が大きく、配向膜の液体材料の表面張力が大きくなり、該液体材料の濡れ広がりが抑制され、配向膜がシール材の形成領域へ侵入することが抑制される。
従って、シール材と基板との密着性が低下してシール材が剥がれることが抑制され、表示パネルの外形を小さくし、凹凸部の幅が狭くなった場合においても、配向膜の液体材料の濡れ広がりが抑制されるので、表示パネルの狭額縁化を良好に実施し得る。
また、凹凸部に切れ目がないので、切れ目を起点に配向膜がシール領域側へ漏れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施の形態1に係るTV受信機を示す模式的斜視図である。
図2】表示パネルのCF基板を外した状態を示す模式的平面図である。
図3図2のIII −III 線断面図である。
図4図2のA部分を示す拡大図である。
図5図4のB部分を示す拡大図である。
図6図5のVI−VI線断面図である。
図7図5のVII −VII 線断面図である。
図8】金属膜上に、配向膜を形成した状態を示す模式的断面図である。
図9】実施の形態2に係る第2層間絶縁膜の溝部を示す模式的平面図である。
図10】実施の形態3に係る第2層間絶縁膜の溝部を示す模式的平面図である。
図11】実施の形態4に係る第2層間絶縁膜の溝部を示す平面図である。
図12】特許文献1の液晶表示装置の表示パネルの凹凸部を示す模式的平面図である。
図13図12のXIII−XIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係るテレビジョン受信機(以下、TV受信機という)100を示す模式的斜視図、図2は表示パネル1のCF基板3を外した状態を示す模式的平面図、図3図2のIII −III 線断面図、図4図2のA部分を示す拡大図、図5図4のB部分を示す拡大図、図6図5のVI−VI線断面図、図7図5のVII −VII 線断面図である。A部分は、表示パネル1の上辺の一部に対応する部分である。なお、図中、CF基板3側の配向膜は省略している。図2図4及び図5において、凹凸部27の溝部として、第2層間絶縁膜24に形成される溝部241,242を示してあり、図4及び図5において、カバーメタル25及び金属膜26は省略している。
【0034】
TV受信機100は、映像を表示する表示パネル1を有する横長の表示モジュール7と、表示モジュール7を挟むようにして収容する合成樹脂製のフロントキャビネット8及びリアキャビネット9と、アンテナ(不図示)から放送波を受信するチューナ10と、符号化された放送波を復号するデコーダ11と、スタンド12とを備える。表示モジュール11は、全体として横長の略直方体状をなし、縦姿勢でフロントキャビネット8及びリアキャビネット9内に収容されている。
【0035】
表示モジュール7は例えばエッジライト型である場合、表示パネル1と、例えば3枚の光学シート(以下、不図示)と、導光板と、LED基板と、反射シートと、シャーシとを備える。
【0036】
図2及び図3に示すように、表示パネル1は、互いに対向するTFT基板2及びCF基板3と、TFT基板2及びCF基板3間に表示媒体層として設けられた液晶層5と、TFT基板2及びCF基板3を互いに接着するとともにTFT基板2及びCF基板3間に液晶層5を封入するために枠状に設けられたシール材4とを備える。図2において、CF基板3は仮想線で示してある。
TFT基板2の平面面積は、CF基板3の平面面積より大きい。
【0037】
映像又は画像を表示する表示領域Dは、平面視でTFT基板2、液晶層5、及びCF基板3が重なる領域で、シール材4が形成されているシール材形成領域Sより少し内側に形成されている。シール材4と表示領域Dとの間には、溝部241、及び溝部242を有する凹凸部27が枠状に設けられている。
配向膜6(図8参照)は、その周縁部が表示領域Dと凹凸部27との間に位置するように形成されている。
【0038】
図4に示すように、表示領域Dにおいて、TFT基板2は、例えばガラス基板等の絶縁基板21上に、行方向に複数並設された信号配線22と、各信号配線22と交叉する方向に、即ち、列方向に複数並設されたゲート配線29と、各信号配線22及び各ゲート配線29の交叉部分毎、すなわち、画素毎に夫々設けられた複数のTFTと、マトリクス状に設けられ、各TFTに夫々接続された複数の金属膜(画素電極)26(図6参照)と、各金属膜26を覆うように設けられた後述する配向膜6(図8参照)とを備える。
【0039】
表示パネル1の端縁部において、端子部28が行方向に複数並設されている。信号配線22は、シール材形成領域Sの外側部分においては端子部28から表示領域Dに向かうように直線状に延び、シール材形成領域Sの内側(表示領域D側)部分においては行方向と所定の角度をなす状態で延びるように配されている。信号配線22は凹凸部27を横断し、表示領域Dの外側(シール材形成領域S側)部分で行方向と所定の角度をなす状態で延びた後、表示領域Dに対し垂直な方向に延びるように配されている。
【0040】
図4及び図5に示すように、第2層間絶縁膜24の溝部241及び溝部242は、矩形波状に蛇行している。外側の溝部241の突出矩形(上に凸の矩形)の幅は、内側の溝部242の突出矩形の幅より広く、溝部242の突出矩形の一部が溝部241の突出矩形に挿入されるように形成されている。
【0041】
図6及び図7に示すように、TFT基板2の例えばガラス基板等の絶縁基板21上には、スパッタリング等により金属膜を成膜し、パターニングすることにより信号配線22が形成されている。
信号配線22上には、例えばSiNx からなる第1層間絶縁膜23が形成されている。
信号配線22及び第1層間絶縁膜23上の、凹凸部27に対応する部分には、カバーメタル25が形成されている。
【0042】
第1層間絶縁膜23及びカバーメタル25を覆うように、例えば感光性のアクリル樹脂等の有機絶縁膜からなる第2層間絶縁膜24が形成され、パターニングにより溝部241及び溝部242が形成されている。
第2層間絶縁膜24上には、ITOを用いて金属膜26が形成されている。金属膜26には、溝部241,242に対応して、溝部261,262が形成されている。
金属膜26は表示領域Dにおいては、画素電極を構成する。
【0043】
CF基板3の例えばガラス基板等の絶縁基板31上には、ブラックマトリックス32、並びにR(赤)、G(緑)、及びB(青)等のカラーフィルタ(不図示)を配列してある。
【0044】
TFT基板2の表示領域Dより少し平面面積が大きくなる状態で、画素電極としての金属膜26を覆うように、配向膜6が、ポリイミド等の材料を用いてインクジェット法等により形成されている。
【0045】
図8は、金属膜26上に、配向膜6を形成した状態を示す模式的断面図である。
上述したように、配向膜6の液体材料のポリイミドは濡れ広がりやすい。
本実施の形態においては、凹凸部27の第2層間絶縁膜24の溝部241,242が矩形波状をなし、対応する金属膜26の溝部261,262も矩形波状をなし、溝部261,262の線長(エッジの辺長)が長く、表面積が大きいので、凹凸部27において、配向膜6の液体材料の表面張力が大きく、配向膜6の液晶材料の濡れ広がりが良好に抑制され、配向膜6がシール材形成領域Sへ侵入することが良好に抑制されている。
従って、シール材4とTFT基板2との密着性が低下してシール材4が剥がれることが抑制されている。
【0046】
本実施の形態においては、溝部241,242が矩形波状をなし、対応する溝部261,262の屈曲部が直角であるので、屈曲部が鈍角である場合より、液体材料の濡れ広がりがより良好に抑制されている。溝部241の突出矩形の幅は溝部242の突出矩形の幅より広く、該突出矩形の一部が溝部241の突出矩形に挿入されるように形成されているので、凹凸部27の溝部の線長を長くするとともに、凹凸部27の幅を狭くすることができる。
【0047】
従って、表示パネル1の外形を小さくし、凹凸部27及びシール材形成領域Sが配向膜6の周縁部に近づき、配向膜6の塗布マージンが減り、凹凸部27の幅が狭くなった場合においても、配向膜6の液体材料の濡れ広がりが抑制され、表示パネル1の狭額縁化を良好に実施することができる。
そして、溝部241,242は切れ目を有さず、溝部261,262は切れ目を有しないので、特許文献1のように切れ目を起点に配向膜6がシール形成領域S側へ漏れることが防止されている。
【0048】
なお、本実施の形態においては、図4に示すように、信号配線22上に溝部241の屈曲点が位置するように矩形のピッチを設定しているが、これに限定されるものではない。信号配線22をカバーメタル25及び金属膜26でカバーする場合、問題は生じない。
【0049】
また、溝部241,242を表示領域Dの周縁を囲むように、表示パネル1の四辺に配しているが、これに限定されるものではない。表示領域Dとシール形成領域Sとの距離が短く、配向膜6がシール形成領域Sまで広がる虞がある部分にのみ、溝部241,242を配することにしてもよい。
【0050】
実施の形態2.
実施の形態2に係る表示パネルは、第2層間絶縁膜24の平面形状が、実施の形態1に係る表示パネル1の第2層間絶縁膜24の平面形状と異なること以外は、実施の形態1に係る表示パネル1と同様の構造を有する。
図9は、実施の形態2に係る第2層間絶縁膜24の溝部243,244を示す模式的平面図である。
溝部243は、直線状に延びている。
溝部244は、溝部241及び溝部242と同様に矩形波状に蛇行している。溝部244は溝部243より表示領域D側に設けられている。溝部244の突出矩形の幅は、溝部242の突出矩形の幅と略同一であり、ピッチは溝部242のピッチより短く、エッジ長が長くなっている。
従って、第2層間絶縁膜24上に金属膜26を形成し、溝部243,244に対応する溝部を形成した後、配向膜6を形成するとき、配向膜6の液体材料の濡れ広がりの、溝部244による抑制効果が高い。そして、凹凸部27の幅を狭くすることができる。
【0051】
実施の形態3.
実施の形態3に係る表示パネルは、第2層間絶縁膜24の平面形状が、実施の形態1に係る表示パネル1の第2層間絶縁膜24の平面形状と異なること以外は、実施の形態1に係る表示パネル1と同様の構造を有する。
図10は、実施の形態3に係る第2層間絶縁膜24の溝部245,246を示す模式的平面図である。
溝部245,246は、溝部241,溝部242と同様に矩形波状に蛇行している。溝部245,246の突出矩形の幅及びピッチは、溝部244の突出矩形の幅及びピッチと略同一であり、短く、エッジ長が長くなっている。実施の形態2と異なり、突出矩形の幅及びピッチが短い溝部を2列有するので、金属膜26を形成し、溝部245,246に対応する溝部を形成した後、配向膜6を形成するとき、配向膜6の濡れ広がりの抑制効果がより高い。
【0052】
実施の形態4.
実施の形態4に係る表示パネルは、第2層間絶縁膜24の平面形状が、実施の形態1に係る表示パネル1の第2層間絶縁膜24の平面形状と異なること以外は、実施の形態1に係る表示パネル1と同様の構造を有する。
図11は、実施の形態4に係る第2層間絶縁膜24の溝部247,248を示す平面図である。
溝部247,248は、実施の形態1〜3の溝部のように矩形波状ではなく、正弦波状をなしている。
従って、他の部材と干渉しにくい。
そして、本実施の形態においては、実施の形態1〜3と同様に、金属膜26を形成し、溝部247,248に対応する溝部を形成した後、配向膜6を形成するとき、配向膜6の液体材料の濡れ広がりを抑制することができる。
また、溝部247の外側突出部の幅は溝部248の外側突出部の幅より広く、該外側突出部の一部が溝部247の外側突出部に挿入されるように形成されているので、凹凸部27の溝部の線長を長くするとともに、凹凸部27の幅を狭くすることができる。
【0053】
なお、本発明は上述した実施の形態1〜4の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、波状の溝部の屈曲部が周方向に等間隔で、同一の幅及び突出長で設けられている場合に限定されるものではない。配向膜6がシール形成領域Sまで広がる虞がある部分と、他部とで屈曲部の間隔、幅、及び突出長を変えることにしてもよい。
また、実施の形態1〜4の第2層間絶縁膜24の平面形状は組み合わせることができ、例えば表示パネル1の左右辺部分は、実施の形態4の構成を採用し、上下辺部分は実施の形態1の構成を採用することができる。
そして、配向膜6、第2層間絶縁膜24、及び金属膜26の材質も、前記実施の形態1〜4の内容に限定されるものではない。
さらに、液晶表示装置はTV受信機に備えられるものには限定されない。
【符号の説明】
【0054】
1 表示パネル
2 TFT基板
21 絶縁基板
22 信号配線
23 第1層間絶縁膜
24 第2層間絶縁膜
241、242、243、244、245、246、247、248 溝部(第2の凹部)
25 カバーメタル
26 金属膜
261、262 溝部(凹部)
27 凹凸部
3 CF基板
4 シール材
5 液晶層
6 配向膜
7 表示モジュール
8 フロントキャビネット
9 リアキャビネット
10 チューナ
11 デコーダ
12 スタンド
100 TV受信機
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