特許第6473819号(P6473819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6473819-設置工具及び設置工具の操作方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473819
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】設置工具及び設置工具の操作方法
(51)【国際特許分類】
   B25C 1/08 20060101AFI20190218BHJP
   B25C 1/06 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   B25C1/08
   B25C1/06
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-531621(P2017-531621)
(86)(22)【出願日】2015年12月9日
(65)【公表番号】特表2017-538593(P2017-538593A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】EP2015079055
(87)【国際公開番号】WO2016091920
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2017年7月5日
(31)【優先権主張番号】14197559.9
(32)【優先日】2014年12月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】ティーロ ディットリッヒ
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−520635(JP,A)
【文献】 特開2006−321042(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0084503(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0109813(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C1/00−13/00
B27F7/00−7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室の燃焼領域(12)の膨張ガスで駆動される1次ドライブ(21)による駆動が可能な駆動ピストン(7)と2次ドライブ(22)とを備えた留め具(6)の設置工具(1)であって、
前記1次ドライブ(21)と前記2次ドライブ(22)とが組み合わされた前記駆動ピストン(7)のためのハイブリッド駆動システムを備え、当該ハイブリッド駆動システムは、選択的に、
前記1次ドライブ(21)のみにより、または
記1次ドライブ(21)と前記2次ドライブ(22)の両方により
前記駆動ピストン(7)に駆動力を作用させて留め具(6)を基盤に打ち込むために加速させることが可能であり、さらに
前記2次ドライブ(22)は、駆動ピストン(7)を前記燃焼室の燃焼領域(12)の方向に動かすことにより、前記1次ドライブ(21)の前記燃焼室の燃焼領域(12)を過給するために用いられる
ことを特徴とする設置工具。
【請求項2】
前記2次ドライブ(22)は電気モータ動力ドライブである、ことを特徴とする、請求項1に記載の設置工具。
【請求項3】
前記2次ドライブ(22)が前記駆動ピストン(7)のピストンロッド(30)に駆動可能に接続される、ことを特徴とする請求項に記載の設置工具。
【請求項4】
前記1次ドライブ(21)と前記2次ドライブ(22)が共通の制御部(20)に制御可能なように接続される、ことを特徴とする請求項1乃至の少なくとも1つに記載の設置工具。
【請求項5】
前記駆動ピストン(7)から前記2次ドライブ(22)を切り離すことのできるクラッチが前記2次ドライブ(22)に備えられている、ことを特徴とする、請求項1乃至の少なくとも1つに記載の設置工具。
【請求項6】
請求項1乃至の少なくとも1つに記載の設置工具の操作方法であって、前記設置工具(1)は、前記燃焼室の燃焼領域(12)の前記膨張ガスで駆動される前記1次ドライブ(21)のみにより前記駆動ピストン(7)に駆動力を作用させ前記留め具(6)を基盤に打ち込むために加速さる第1の操作モードを少なくとも有し、前記1次ドライブ(21)と前記2次ドライブ(22)の両方により駆動力を前記駆動ピストン(7)に作用させ前記留め具(6)を基盤に打ち込むために加速さる第2の操作モードを少なくとも有する、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記設置工具(1)は、前記駆動ピストン(7)が前記2次ドライブ(22)のみにより加速される第3の操作モードを少なくとも有する、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記1次ドライブ(21)のガス混合比及び/又は点火の制御は、前記2次ドライブ(22)をも制御する共通コントローラ(20)により行われる、ことを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記設置工具(1)の前記共通コントローラ(20)でプログラムを実行する際に、請求項6乃至8の少なくとも1つに記載の方法を実行するプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次ドライブにより駆動が可能な駆動ピストンと、2次ドライブと、を備えた留め具の設置工具に関する。さらに、本発明はかかる設置工具の操作方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、膨張ガスにより打ち込みが可能な留め具の設置工具を開示している。設置工具は、駆動ピストンを可動に支持することができるピストンガイドと、設置作業後に駆動ピストンを再び開始位置に戻すピストン戻し装置と、を備え、ピストン戻し装置は電気モータにより作動する駆動装置と、モータ動力による位置決め力を駆動ピストンに伝達するための少なくとも1つの伝達装置と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公告第10325920号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、大きな設置エネルギーの供給が可能な、軽量で便利な設置工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、1次ドライブにより駆動が可能な駆動ピストンと、2次ドライブと、を備えた留め具の設置工具において、駆動ピストンが1次ドライブと2次ドライブの両方により駆動が可能なように、駆動ピストンの打ち込みのためのハイブリッド駆動システムで1次ドライブが2次ドライブと組み合わされることにより達成される。2次ドライブは、特許文献1から知られる設置工具のように、駆動ピストンを戻すためにだけ使用されるのではない。本発明の重要な特徴は、ハイブリッド駆動システムにおいて2次ドライブが1次ドライブと組み合わされて、2次ドライブが駆動ピストンの加速のために追加的、少なくとも2次的、または独自に、使用されることである。
【0006】
本発明の設置装置の好ましい形態では、1次ドライブはガス動力ドライブである。設置工具と関して「ガス動力ドライブ」という用語は、駆動ピストンが膨張ガスで駆動されることを意味する。規定量の膨張ガスを点火栓等の適切な点火装置により燃焼室で点火することが好ましい。膨張ガスは急速に膨張して、駆動ピストンが加速する。
【0007】
本発明の設置装置のさらなる好ましい形態では、2次ドライブは電気モータ動力ドライブである。電気モータ動力ドライブは、位置決め力を駆動ピストンに作用させるだけでなく、駆動ピストンに駆動力を作用させて加速する際にも用いられ、そのことに特に優位性がある。この電気モータ動力ドライブは、燃焼領域における膨張ガスの圧縮、特に与圧及び過給のために燃焼領域の方向に駆動ピストンを動かすためにも用いることができる。
【0008】
本発明の設置装置のさらなる好ましい形態では、2次ドライブが駆動ピストンのピストンロッドに、そのピストンロッドを駆動するように接続される。2次ドライブと駆動ピストンのピストンロッドの駆動連結は、例えば相互嵌合歯又はフリクションギヤにより構成してよい。
【0009】
本発明の設置装置のさらなる好ましい形態では、1次ドライブと2次ドライブが共通の制御部に制御可能に接続される。例えば、ガス動力ドライブとして構成される1次ドライブは、特に自らの燃焼領域における燃焼プロセスにおいて、この共通の制御部により制御される。燃焼を制御するため、特に燃焼領域におけるガス混合比及び膨張ガスの点火が制御される。2次ドライブを構成するのに好ましい電気モータ動力ドライブを制御するために、少なくとも1つの電気モータが、例えば、共通の制御部に制御可能に接続される。共通の制御部による2つのドライブの制御は、要求される打ち込みエネルギーに応じて実行されることが好ましい。
【0010】
本発明の設置装置のさらなる好ましい形態では、駆動ピストンからの2次ドライブの切り離しを可能にするクラッチが2次ドライブに備えられている。これにより、2次ドライブ、特に電気モータ動力ドライブの嵌合又は離脱が必要に応じて可能となるので都合がよい。
【0011】
本発明は上述の設置工具の操作方法にも関する。本発明による駆動ピストンのハイブリッド駆動システムにおける2つのドライブの組み合わせにより、本発明の設置工具では、既存の設置工具では実現できない操作モードが実現されている。設置工具の操作において特に効果があり、設置工具の操作は、必要なエネルギーについて最適化され、特に要求される打ち込みエネルギーに応じて制御される。
【0012】
本発明の方法のさらなる好ましい形態において、設置工具は、駆動ピストンが1次ドライブのみにより加速される第1の操作モードを少なくとも有し、駆動ピストンが1次ドライブと2次ドライブとにより加速される第2の操作モードを少なくとも有する。第1の操作モードは、標準的な燃焼エンジンに対応する。設置作業後、駆動ピストンは、従来のガス装置である熱ピストン及び/又は2次ドライブにより、再び開始位置に戻され得る。第2の操作モードは、ハイブリッド駆動とも称される。第2の操作モードにおいて、駆動ピストンは、好ましくは1次ドライブが供給する燃焼圧と2次ドライブを構成する電気ドライブにより加速される。
【0013】
本発明の方法のさらなる好ましい形態において、設置工具は、駆動ピストンが2次ドライブのみにより加速される第3の操作モードを少なくとも有する。この操作モードは、電気駆動とも称される。第3の操作モードは、必要とされる設置エネルギーが比較的少ない用途の分野に特に適している。
【0014】
本発明の方法のさらなる好ましい形態においては、駆動ピストンの動作に伴い1次ドライブの燃焼領域を過給するために2次ドライブが用いられる。この操作モードは、過給を伴う燃焼エンジンとも称される。この場合、2次ドライブは、1次ドライブの燃焼領域における膨張ガスの圧縮、特に与圧に用いられる。続く駆動ピストンの加速が、過給の結果として増加する燃焼圧によって発生する。このように、既存の設置工具よりも多くの設置エネルギーを放出することができる。
【0015】
本発明の方法のさらなる好ましい形態において、1次ドライブの制御、特に1次ドライブのガス混合比及び/又は点火の制御が、2次ドライブも制御する共通制御により行われる。共通制御により、要求される打ち込みエネルギーに応じて、エネルギー面における設置工具の操作の最適化が容易に可能となる。
【0016】
さらに、本発明は、特に設置装置のコントローラでプログラムを実行する際に、前述の方法を実行するプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品にも関する。
【0017】
本発明のさらなる優位性、特徴、及び詳細は、図面を参照して記述される本発明の様々な実施例に関する以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】簡素化された本発明の設置工具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図はハウジング2を有する設置工具1を極めて簡素に示している。ハウジング2は非表示のハンドルを備え、留め具6に打ち込むために設置工具1をそのハンドルに装着することができ、留め具6は設置端部5で設置工具1から外に延びており、同じく非表示の基板(被打ち込み材)に打ち込むことができる。
【0020】
使用する留め具6は、非表示のマガジンにより供給されるのが好ましく、マガジンは装置の内部に位置し、設置工具1の設置端部5の近傍に装着される。留め具6は、好ましくは個別に、自動的にマガジンから取り外され、設置端部5で留め具ガイド4に配置される。
【0021】
基板に留め具6を打ち込むために必要なエネルギーは、ピストンガイド3へと案内されている駆動ピストン7により、ピストンガイド3の留め具6に伝達される。
【0022】
基板に留め具6を打ち込むために必要なエネルギーは、例えば、設置工具1の内部の燃料タンク8に供給される。燃料タンク8内の燃料は、液体ガス等の膨張ガスであることが好ましい。そのため、燃料タンク8はガスキャニスタ又はガスカートリッジとも呼ばれる。
【0023】
燃料タンク8は、調整可能又は調節可能な計量装置10及び接続ライン11によって、燃焼室すなわち燃焼領域12に接続される。計量装置10は、計量弁として構成されることが好ましい。
【0024】
燃焼領域すなわち燃焼室12において、設置端部5で留め具ガイド4からボルト又はネイル等の留め具6を基板に打ち込むため、燃料タンク8からのガス等の燃料は空気と混合されて燃焼混合物が生成され、点火装置14により点火される。設置工具1のトリガが作動した時、打ち込みに必要なエネルギーは、駆動ピストン7によって燃焼室12から設置端部5の留め具6へと伝達される。
【0025】
コントローラすなわち制御部20は、制御を目的として設置工具1に配置されている。点火ケーブルとも呼ばれる制御ライン16は、コントローラ20から燃焼領域12の点火装置14へと延びている。点火装置14が作動して、点火ケーブル16により燃焼領域12の点火可能な混合物が点火される。計量装置10は、制御ライン17によりコントローラ20に制御のために接続される。
【0026】
燃焼室12、点火装置14、及び燃料タンク8を有する計量装置10は、駆動ピストン7の1次ドライブ21を構成する。1次ドライブ21は2次ドライブ22と組み合わされて駆動ピストン7のハイブリッド駆動システムを構成する。
【0027】
2次ドライブ22は、電源装置23と電気モータ24とを有する電気モータ動力ドライブとして構成される。電源装置23は、例えば、バッテリ又はアキュムレータとして構成され、電力供給ラインによって電気モータ24に接続される。
【0028】
さらに電気モータ24は、制御ライン18によりコントローラ20に制御可能なように接続される。そのため、コントローラ20は、1次ドライブ21と2次ドライブ22の共通コントローラを構成する。
【0029】
2次ドライブ22を構成する電気モータ動力ドライブは、結合装置25によって、駆動ピストン7のピストンロッド30を駆動できるように接続される。結合装置25はギア26を備え、そのギア26は結合回転のため電気モータ24の駆動軸に接続される。
【0030】
ギア26は外部歯部27を有し、駆動ピストン7のピストンロッド30に形成された直線歯部28と嵌合する。結合装置25は、電気モータ24の嵌合及び離脱を可能にする非表示のクラッチと組み合わせることができる。
【0031】
設置工具1のディスプレイはコントローラ20に接続され、参照符号34で示される。設置工具1の入力装置はコントローラ20に同様に接続され、参照符号35で示される。設置工具1の操作についての情報は、ディスプレイ34から外部に見えるように操作者に示される。操作者は入力装置35により設置工具1に入力することができる。
【0032】
図において、ライン38は駆動ピストン7の第1の位置すなわち開始位置を示す。駆動ピストン7は、磁石装置40によって、その第1の位置すなわち開始位置に保持される。磁石装置40は、例えば、長方形のN極及びS極を有する2つの磁石を備える。その代わり又はそれに加えて、駆動ピストン7を摩擦係合によりその第1の位置すなわち開始位置38に保持することができる。
【0033】
駆動ピストン7は、図面が示すように、1次ドライブ21及び/又は2次ドライブ22によって、その第1の位置すなわち開始位置38から第2の位置へと移動することができる。留め具6は、連動する駆動ピストン7の加速により、設置工具1の端部5で基板に打ち込むことができる。
【0034】
設置作業後、駆動ピストン7は、従来のガス装置である熱ピストンにより又は電気モータ24及び結合装置25を有する2次ドライブ22により、その第1の位置すなわち開始位置38に再び戻される。
【0035】
2次ドライブを構成する電気モータ動力ドライブ22は、図に示すように、ピストンロッド30に機械的に嵌合するモータ部24を備える。その代わり又はそれに加えて、ピストンガイド側に非表示のコイルシステムで電気ドライブを構築し、ピストン側には対応するドライブを、例えばソレノイドプランジャの形態で、構築することができる。この種の電気ドライブは、往復動ピストンの磁石に類似する。
【0036】
本発明の設置工具は、5つの異なる操作モードで操作が可能である。標準燃焼とも称される第1の操作モードにおいて、駆動ピストン7は、1次ドライブ21が供給する燃焼圧のみにより加速される。
【0037】
燃焼前に駆動ピストン7は、最後部の位置である、その第1の位置すなわち開始位置38に位置する。点火装置14の作動による燃焼室12での燃焼混合物の点火により駆動ピストン7が加速され、駆動ピストン7は、図に示すように直ちに第2の位置へと移動する。
【0038】
ハイブリッド駆動とも称される第2の操作モードにおいては、駆動ピストンは、1次ドライブ21が供給する燃焼圧と2次ドライブ22を構成する電気ドライブとの両方により加速される。この場合、このハイブリッド駆動システムでは燃焼プロセスが第1の操作モードのように開始される。ピストンの加速中に、2つのドライブ21、22の共通の制御部20により2次ドライブ22と連動する電気モータ24のスイッチがオンになる。
【0039】
第3の操作モードにおいては、電気ドライブとも呼ばれる2次すなわち電気モータ動力ドライブ22が、燃焼領域12における燃焼混合物の予圧に用いられる。過給の結果として増加する燃焼圧によって、ピストンは加速される。第3の操作モードは、過給に伴う燃焼とも称される。
【0040】
駆動ピストン7は、図示の通り、最初は後方位置38の前の第2の位置に位置している。燃焼室12の酸素濃度を増加させるために、電気モータ動力ドライブ22で駆動ピストン7を後ろ側に、具体的には燃焼室12に向けて移動させる。このようにして、燃焼室12の空気が圧縮される。
【0041】
同時に、計量装置10によって、燃料タンク8からのガスが燃焼室12へと注入される。次に点火装置14によって点火する。圧力上昇に伴うその後の燃焼がピストンを加速し、ピストン7はその開始位置38から図示のようにその第2の位置へと移動させられる。
【0042】
第3の操作モードでは、電気モータ動力ドライブ22は駆動ピストン7と過給段階のみにおいて連結されていることが好ましい。続いて、駆動ピストン7は機械的又は電気的に制御され、駆動ピストン7から離脱する。結果として、駆動ピストン7の作動ストローク中の望ましくない不正な荷重は、容易に防止される。
【0043】
さらに、第4の操作モードでは、駆動ピストン7が電気ドライブ22により作業方向でも加速される。燃焼領域12での空気の与圧は、第3の操作モードと同様に発生する。しかし、駆動ピストン7の加速中には、駆動ピストン7の加速のために電気モータ動力ドライブ22のスイッチもオンとなる。第4の操作モードは、過給を伴うハイブリッド駆動とも称される。
【0044】
第5の操作モードでは、駆動ピストン7が電気モータ動力ドライブ22のみにより加速される。第5の操作モードは、電気駆動とも称される。電気駆動が用いられる第5の操作モードは、基板に留め具6を打ち込むために必要なエネルギーが比較的少ない用途に特に適している。電気駆動の開始時には、駆動ピストン7がその第1の位置すなわち開始位置38に位置する。
【0045】
ハイブリッド駆動システムを備えた本発明の設置工具1は、既存のガス装置やバッテリ駆動の設置工具よりも軽量にすることができる。本発明の設置工具1では、ハイブリッド駆動システムで得られる設置エネルギーは既存の設置工具よりも高い。
【0046】
個別のドライブ21、22を様々な形態で組み合わせることができる可能性があるため、設置エネルギーに非常に幅広い多様性を持たせることができる。少ないエネルギーの設定においては、標準エネルギー設定と比べて、エネルギー、ガス又はアキュムレータの容量を、例えばピストンの前方位置調整等により節約することができる。

図1