特許第6473828号(P6473828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6473828キナゾリン複素環式化合物、その製造方法及び癌を治療する上皮成長因子受容体阻害剤としての応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473828
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】キナゾリン複素環式化合物、その製造方法及び癌を治療する上皮成長因子受容体阻害剤としての応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/056 20060101AFI20190207BHJP
   C07D 498/04 20060101ALI20190207BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20190207BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20190207BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20190207BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
   C07D491/056CSP
   C07D498/04 112T
   A61K31/519
   A61K31/5383
   A61P35/00
   A61P35/02
【請求項の数】8
【全頁数】75
(21)【出願番号】特願2017-547062(P2017-547062)
(86)(22)【出願日】2016年1月12日
(65)【公表番号】特表2017-537154(P2017-537154A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】CN2016070736
(87)【国際公開番号】WO2016112847
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2017年5月26日
(31)【優先権主張番号】201510015411.2
(32)【優先日】2015年1月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517185908
【氏名又は名称】北京賽特明強医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】盛 望
(72)【発明者】
【氏名】楊 磊夫
(72)【発明者】
【氏名】潘 智勇
【審査官】 吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−529092(JP,A)
【文献】 特開2003−026682(JP,A)
【文献】 特表2000−512990(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/161808(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/117698(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/113859(WO,A1)
【文献】 国際公開第02/088129(WO,A1)
【文献】 国際公開第03/082830(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0065180(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102875570(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)または(II)に示される構造式を有する
【化1】
(ただし、
は、1)−H、2)C−C直鎖または分岐状アルキル基、3)アルコキシ基またはアルコキシ基で置換されたC−C直鎖または分岐状アルキル基、4)窒素含有飽和複素環基または窒素含有飽和複素環基で置換されたC−C直鎖または分岐状アルキル基であり、
は、1)−H、2)ハロゲン、3)アリールアルコキシ基、4)C−Cアルキル基、5)C−C直鎖または分岐状アルコキシ基であり、
は、1)−H、2)ハロゲン、3)C−C不飽和炭化水素基、4)ニトロ基、5)シアノ基、6)C−C直鎖または分岐状アルコキシ基である。)
ことを特徴とするN−置換フェニル−5−置換アルコキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンまたは4−置換アリールアミノ−6−置換アルキル−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オン系化合物、またはその薬学的に許容可能な塩またはその化合物。
【請求項2】
におけるアルコキシ基は、テトラヒドロフラニルアルコキシ基、テトラヒドロピラニルアルコキシ基、ジオキサニルアルコキシ基、モルホリノアルコキシ基、C−C直鎖または分岐状アルコキシ基を示す
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
として、
1)ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素であり、
2)アリールアルコキシ基は、フルオロベンジルオキシ基、クロロベンジルオキシ基、ブロモベンジルオキシ基シアノベンジルオキシ基、ニトロベンジルオキシ基であり、
3)C−Cアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基であり、
4)C−C直鎖または分岐状アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基である
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
として、
1)ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素であり、
2)C−C不飽和炭化水素基は、ビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基であり、
3)C−C直鎖または分岐状アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基である
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物(I)の製造方法であって、
(a)2−(2−クロロエトキシ)−3,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル、炭酸カリウムをN,N−ジメチルホルムアミドに加えて混合し、60℃で2時間撹拌し、室温に冷却した後、氷水に投入して濾過し、式IIIに示される化合物の8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルを得るステップと、
【化2】
(b)式IIIに示される化合物の8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル、炭酸カリウム及びR基付きハロゲン化炭化水素またはR基付きアルコールを反応させて転化して得られたハロゲン化炭化水素を、極性非プロトン性溶媒に加え、40−100℃に加熱して2−6時間反応させ、式(IV)に示される8−置換オキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル化合物を得るステップと、
【化3】
(ただし、Rに示される基は請求項1において定義した通りである。)
(c) 式IVに示される化合物の8−置換オキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルを氷酢酸に溶解して、発煙硝酸と氷酢酸の混和酸を滴下して、1−2時間撹拌し、氷水に投入して固体を析出させ、分離して乾燥させた後、氷酢酸に溶解して、亜鉛粉を加えて還元し、濾過後、濾液を濃縮させて、さらに酢酸エチルを加えて溶解し、水洗後、乾燥濃縮させ、分離して式(V)に示される6−アミノ−8−置換オキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルを得るステップと、
【化4】
(ただし、Rに示される基はステップ(b)において定義した通りである。)
(d)式Vに示される化合物の6−アミノ−8−置換オキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルをホルムアミドに溶解し、撹拌しながら100−180℃に加熱して10−20時間反応させた後、常温に冷却し、減圧濃縮させ、固体物を濾過して乾燥させた後、オキシ塩化リンに加えて80−130℃で12−24時間反応させ、常温に冷却した後、氷水混合物に投入し、炭酸カリウムでpHを8に調整し、酢酸エチルで抽出した後、濾過して濃縮させて式(VI)に示される10−クロロ−5−置換アルコキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリンを得るステップと、
【化5】
(ただし、Rに示される基はステップ(c)において定義した通りである。)
(e)式VIに示される化合物の10−クロロ−5−置換アルコキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリンと3,4−二置換アニリンをイソプロパノールに溶解し、撹拌しながら60−100℃に加熱して2−8時間反応させた後、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して式(I)に示されるN−置換フェニル−5−置換アルコキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンを得るステップと、
を含む
ことを特徴とする製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物(II)の製造方法であって、
(a)4−(2−エトキシ−2−オキソ−エトキシ)−3−ニトロ安息香酸メチルを酢酸に加えて、40−80℃に昇温し、撹拌しながら鉄粉をゆっくり加え、該温度に維持して3−10時間反応させ、反応物がなくなった後、熱濾過して、濾取物を熱い酢酸で洗浄した後、濃縮させて残留物を氷水に投入して沈殿させ、濾過後、中性になるまで水洗して乾燥させ、式(VII)に示される3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−6−蟻酸メチルを得るステップと、
【化6】
(b)式VIIに示される化合物の3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−6−蟻酸メチルをニトロメタンに加えて、常温で発煙硝酸をゆっくり滴下した後、30−60℃に昇温して2−4時間反応させ、溶剤としてのニトロメタンを減圧留去して、残留物を氷水に投入し、沈殿物を収集した後、中性になるまで水洗して、式VIIIに示される化合物の7−ニトロ−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン−6−蟻酸メチルを得るステップと、
【化7】
(c)式VIIIに示される化合物の7−ニトロ−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン−6−蟻酸メチルをDMFに加え、さらにアルカリ金属炭酸塩とR置換基付きハロゲン化炭化水素を加え、40−100℃に昇温して、4−10時間反応させた後、室温に冷却して、反応液を氷水に投入して、沈殿物を濾取し、中性になるまで水洗した後、乾燥させて式(IX)に示される化合物の4−置換−7−ニトロ−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン−6−蟻酸メチルを得るステップと、
【化8】
(ただし、Rに示される基は請求項1において定義した通りである。)
(d)式IXに示される化合物の4−置換−7−ニトロ−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン−6−蟻酸メチルと少量のパラジウム−カーボンを溶剤としてのメタノールに加え、水素雰囲気において6〜12時間反応させた後、珪藻土で濾過してパラジウム−カーボンを除去し、メタノールで洗浄し、溶剤を留去した後、得られた固体をエタノールで再結晶させ、該結晶をホルムアミドに溶解して、120−160℃に昇温し、10〜20時間反応させた後、大部分のホルムアミドを減圧留去し、残留物をメタノールで洗浄し、濾過して式(X)に示される化合物の6−置換−3H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−4,7(6H,8H)−ジオンを得るステップと、
【化9】
(ただし、Rに示される基はステップ(c)において定義した通りである。)
(e)式Xに示される化合物の6−置換−3H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−4,7(6H,8H)−ジオンをオキシ塩化リンに加えて、6〜12時間加熱還流した後、大部分のオキシ塩化リンを留去し、残留物に飽和炭酸水素ナトリウム溶液を弱アルカリ性になるまで加え、酢酸エチルで抽出して、有機相を収集し、溶剤を除去して固体を得て、カラムクロマトグラフィーにより分離して精製して式(XI)に示される化合物を得るステップと、
【化10】
(ただし、Rに示される基はステップ(c)において定義した通りである。)
(f)式XIに示される化合物の6−置換−3H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−4,7(6H,8H)−ジオンと3,4−二置換アニリンをイソプロパノールに加え、還流して4〜12時間反応させた後、系を室温に冷却して、固体沈殿物を生成し、カラムクロマトグラフィーにより分離して精製して式(II)に示される化合物を得るステップと、
を含む
ことを特徴とする製造方法。
【請求項7】
腫瘍を治療する医薬化合物であって、
請求項1ないし4のいずれかに記載のN−置換フェニル−5−置換アルコキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンまたは4−置換アリールアミノ−6−置換アルキル−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オン系化合物、その薬学的に許容可能な塩またはその化合物と薬学的に許容可能な担体とからなる
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項8】
前記腫瘍は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、乳癌、膵臓癌、神経膠腫、膠芽腫、卵巣癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、黒色腫、子宮内膜癌、前立腺癌、白血病、胃癌、肝癌、消化管間質腫瘍、甲状腺癌、急性骨髄性白血病、鼻咽頭癌、胆管癌のうちのいずれか1種である
請求項7に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−置換フェニル−5−置換アルコキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンまたは4−置換アリールアミノ−6−置換アルキル−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オン系化合物、その製造方法及び応用に関する。具体的には、置換基が異なるN−置換フェニル−5−置換アルコキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンまたは4−置換アリールアミノ−6−置換アルキル−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オン系化合物、その製造方法及び癌を治療する上皮成長因子受容体阻害剤としての応用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は人間の健康、さらに生命を脅かす重篤な病気であり、世界保健機関により公表したデータによれば、2008年のデータはそれぞれ1270万と760万であるのに対して、2012年に癌患者は世界的に1410万増加し、癌に起因する死亡数は820万に達し、中国では、癌患者は306.5万増加し、死亡数は約250万である。近年、人口の高齢化や環境汚染等の深刻化に伴い、癌の発病率と死亡率の上昇速度が高まる傾向があり、人間の死亡を引き起こす要因の一つとなっている。癌患者は2025年に世界的に1930万人に達すると予測されている。従って、癌の予防及び治療は深刻な状況に直面する。
統計によると、発病率がトップ3の癌はそれぞれ肺癌(13%)、乳癌(11.9%)及び結腸癌(9.7%)であり、死亡率がトップ3の癌はそれぞれ肺癌(19.4%)、肝癌(9.1%)及び胃癌(8.8%)である。肺癌は死亡率が最高の癌となり、そのうち、非小細胞肺癌(non−small cell lung cancer、NSCLC)は最も一般的であり、肺癌患者の総数の80%を占める。早期に明らかな症状がないから、大部分の患者は受診時に中期や末期まで発展して、最適な治療時間が過ぎてしまう。
従来、癌治療手段は、主に外科治療、放射線療法及び化学療法を含む。外科治療は、術後初期の効果が著しいが、後期に腫瘍の再発や転移が発生しやすい。放射線療法は生物分子構造を変えることで、癌細胞を破壊する治療方法であり、正常な細胞にも強い毒性や副作用があり、関連する有害反応を引き起こす。化学療法は薬物を用いて腫瘍細胞を殺滅するとともに、正常な細胞を傷害して、顕著な副反応を引き起こす。
【0003】
近年、腫瘍細胞生物学及び遺伝学は迅速に発展し、癌遺伝子、細胞アポトーシス、腫瘍の血管新生等についての研究も細胞生物学的なレベルから分子生物学的なレベルまで発展し、腫瘍の発生、発展過程についての持続的な研究に伴い、腫瘍細胞の分子生物学的メカニズムは徐々に明らかになり、新しい治療概念や方法は提案されてくる。従来の治療に基づき、分子標的治療として新しいアイデアを提供している。研究によれば、腫瘍の発生及び発展が生体内の複数種の受容体または細胞内のシグナル伝達の過程に繋がることが明らかになり、分子標的薬は悪性腫瘍組織と細胞の特異的標的を攻撃するもので、従来の化学療法に比べて、毒性や副作用が少なく、治療効率が高い特徴を有し、従って、癌に対する分子標的薬は研究の焦点となる。
分子標的治療とは、分子生物学に基づき、腫瘍組織または細胞が有する特異的構造をターゲットとして、対応した治療薬を設計し、該治療薬と標的分子を特異的に結合することにより直接治療または誘導治療を行う治療法であり、このような新規な癌治療方法は、分子レベルで腫瘍細胞の悪性生物学的挙動を逆転して、腫瘍の成長を抑制する目的を達成させる。従来の細胞傷害性薬物と異なり、分子標的治療薬は腫瘍細胞のある特定部位(これら部位は正常な細胞において通常発現されずまたは低発現される)に特異的に作用して、腫瘍細胞を高選択性で殺すことができ、安全性が高く、耐性に優れ、毒性や副作用が小さく、したがって、非常に大きな利点を有し、将来の応用可能性が期待できる。
【0004】
「標的型」治療手段として、分子標的治療は先ず関連ターゲットの検査及び決定を行わなければならない。従来、普通のターゲットとしては、癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、成長因子及びその受容体、腫瘍血管新生因子、プロテインキナーゼ及びシグナル伝達経路、テロメア及びテロメラーゼ、DNAトポイソメラーゼ、ヒストン脱アセチル化酵素等が挙げられる。ターゲットの検査方法は主に免疫組織化学(immunohistochemistry、IHC)により標的タンパク質の発現を検査すること、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(fluorescence in situ hybridization、FISH)または発色性インサイチューハイブリダイゼーション(chromogenic in situ hybridization、CISH)等により遺伝子コピー数を検査すること、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の遺伝子突然変異による検査がある。多数の検査技術のうち、免疫組織化学は最も一般的であり、簡便且つ低コストである方法であり、既に広く応用されている。
【0005】
受容体チロシンキナーゼ(receptor tyrosine kinases,RTKs)は最も数多い酵素連結型受容体であり、受容体でも酵素でもあり、リガンドと結合して、標的タンパク質のチロシン残基をリン酸化することができる。全てのRTKsはリガンド結合部位を含有する細胞外ドメイン、一回膜貫通型疎水性αへリックス領域、チロシンキナーゼ活性を有する細胞内ドメインの三つの部分からなる。現在、50種類余りのRTKsは発現されており、一般的なタイプとしては、上皮成長因子受容体、血小板由来成長因子、繊維芽細胞成長因子や血管内皮細胞成長因子等である。
RTKsは外部シグナリング分子と結合していない時に単量体として存在し、且つ活性がないが、一旦シグナリング分子と受容体の細胞外ドメインが結合されると、2つの単量体受容体分子が膜で重合して二量体を形成し、2つの受容体の細胞内ドメインの末端が互いに接触して、それらのプロテインキナーゼの機能を活性化させ、その結果、末端におけるチロシン残基がリン酸化される。リン酸化により、受容体の細胞内ドメインの末端が組み立てられてシグナル伝達複合体になる。シグナル伝達複合体は、複数の異なるシグナル伝達経路を介して、情報を増幅して、細胞内の一連の生化学的反応を活性化させ、または、異なる情報を組み合わせて細胞の包括的な応答(例えば細胞増殖等)を引き起こす。従って、RTKsは細胞シグナル伝達の過程において重要な役割を果たす。
【0006】
研究した結果、多数の腫瘍細胞には、異なるチロシンキナーゼ受容体の過剰発現または過剰活性化が見られ、例えば上皮細胞腫瘍では上皮成長因子ファミリー受容体の過剰発現が、神経膠腫では血小板由来成長因子の過剰発現等ががよく見られることを見出した。チロシン受容体の過剰発現は下流シグナル伝達経路を活性化させて、さらに細胞の異常な形質転換と増殖を引き起こして、腫瘍の発生、発展を促進する。
上皮成長因子受容体(EGFR)は受容体チロシンキナーゼであり、癌原遺伝子c−erbB1の発現産物であり、HER/ErbBファミリーに属する。該受容体ファミリーは、HER1(EGFR/erbB−1)、HER2(neu/erbB−2)、HER3(erbB−3)及びHER4(erbB−4)の4個のメンバーで構成される。EGFRは哺乳動物の上皮細胞、成繊維細胞や膠細胞等の細胞の表面に幅広く分布し、そのシグナル伝達経路が細胞の生理学的プロセスを制御するのに重要な役割を果たす。
構造上、EGFRは膜貫通糖タンパク質であり、1186個のアミノ酸残基からなり、細胞外リガンド結合ドメイン(extracellular domain,ECD)、膜貫通ドメイン(transmembrane domain,TM)及び細胞内ドメイン(intracellular domain,ID)に分けられる。細胞内構造は1つのチロシンキナーゼドメインと複数の自己リン酸化部位を含み、これらチロシン残基はリン酸化後にシグナル伝達経路の下流のタンパク質と特異的に結合して、さらにEGFRシグナル伝達経路を活性化させ、細胞シグナルの細胞外から細細胞内への伝達及び転移の過程を完了する。従来、既知のEGFRリガンドは、上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子α(TGFα)、AmpHiregulin、Bctacelluin(BTC)、Heparin−bingding EGF(HBEGF)、Epiregulin(EPR)の6種類があり、そのうち、EGFとTGFαはEGFRの最も重要な2つのリガンドである。受容体はリガンドと結合後、重要な立体構造変化を引き起こして、二量化作用が発生し、自己リン酸化を引き起こして下流シグナルを活性化させ、それにより、細胞の増殖、アポトーシス、遊走、生存及び一連の複雑な過程を調節する。
【0007】
研究により明らかなように、EGFRはすべての正常な表皮細胞で発現されるが、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、悪性神経膠腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、乳癌、結腸癌等、約1/3のヒト腫瘍にEGFRの異常発現が存在し、その可能なメカニズムとしては、EGFRの高発現により下流シグナル伝達の強化を引き起こすこと、突然変異型EGFR受容体またはリガンドの発現増加によりEGFRの連続的な活性化を引き起こすこと、自己分泌作用が強化すること、受容体ダウンレギュレーションメカニズムが破壊されること、異常シグナル伝達経路が活性化されること等が挙げられる。
外部リガンドによる刺激を受けると、EGFRは細胞表面で二量体を形成する。このような二量体は、それ自体と形成するホモ二量体とerbBファミリーの他のメンバーと形成するヘテロ二量体を含む。受容体は二量体を形成した後、1つのATP分子を結合して、細胞内のチロシン残基のリン酸化を促進する。リン酸化の細胞内ドメインは結合部位としてほかのシグナリング分子を集めることで、その下流における3本の主なシグナル伝達経路をさらに活性化する。前記3本の主なシグナル伝達経路は、1、活性化されると、細胞核内の多数の転写因子のセリン/スレオニン残基のリン酸化を触媒して、遺伝子の転写、細胞分裂や細胞周期のプロセスを促進することができるRas2/Raf2/ MAPK経路と、2、新血管形成に関連する重要な抗アポトーシス経路であるPI3K/Akt/mTOR経路と、3、活性化されると細胞の増殖を促進して細胞生存を延長させるJAK/STAT経路である。これらシグナル伝達経路は、順に遺伝子転写をトリガーし、同時に細胞の増殖、分化及び生存を制御する経路が活性化され、最終的に細胞分化、生存、遊走、浸潤、粘着や細胞損傷修復等の一連の過程を仲介する。従って、EGFRのシグナル伝達経路を遮断することにより関連腫瘍細胞の成長を抑制することができ、EGFRは標的癌治療の重要なターゲットとなる。
【0008】
多数の腫瘍細胞でのEGFRの高発現及び突然変異は腫瘍細胞の制御不能な成長や悪性程度の上昇を引き起こし、近年、EGFRに対する分子標的薬は注目を集めている。現在、EGFRをターゲットとする一連の抗癌薬は開発されており、一部は臨床に適用されて、一定の治療効果を遂げる。EGFR標的薬は、1、EGFR細胞外ドメインに作用するモノクローナル抗体、2、EGFR細胞内キナーゼドメインに作用する小分子チロシン阻害剤(tyrosine kinase inhibitor,TKI)であり、1、モノクローナル抗体は、例えばセツキシマブ(Cetuximab,Erbitux,MCC225)、Matuzumab(EMD72000)及びABX−EGFがあり、リガンド分子によるEGFRの活性化を遮断でき、2、小分子チロシン阻害剤(tyrosine kinase inhibitor,TKI)は、例えばゲフィチニブ(Gefitinib/Iressa/ZD1839)、エルロチニブ(Erlotinib/Tarceva/OSI−774)及びAG−1478であり、ATPの類縁体として受容体のTKドメインに競合的結合して、EGFRキナーゼの活性を抑制する。
EGFRのモノクローナル抗体:セツキシマブモノクローナル抗体及びトラパニモノクローナル抗体はEGFR細胞外ドメインに対するヒトマウスキメラ化IgGモノクローナル抗体であり、EGFRとの親和性が強く、成長因子の結合部位をブロックして、リガンドにより誘導される受容体活性化及びリン酸化を阻止し、チロシンキナーゼ活性化を抑制して、腫瘍細胞増殖に関連するシグナル伝達経路を遮断し、それにより、細胞の増殖を抑制して、細胞アポトーシス作用を促進する(非特許文献1)。
小分子チロシンキナーゼ阻害剤:EGFR−TKIはEGFRのATP結合部位と競合的に結合して、受容体の自己リン酸化を抑制し、それにより下流シグナルの伝達を遮断する。そのうち、アニリンキナゾリン系化合物は優れたEGFR抑制作用を示し、今まで発見されたもののうち、活性が最高で、選択性が最高であるチロシンキナーゼ阻害剤である(非特許文献2)。現在、市販された小分子EGFR阻害剤のうち、アニリンキナゾリンを母核構造とするものがある。
【0009】
(1)ゲフィチニブ(Gefitinib/Iressa/ZD1839):ゲフィチニブは、イレッサとも呼ばれ、アストラゼネカ社が開発した、選択性と可逆性を有するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤である。2003年5月に米国FDAにより、化学療法が効かない進行非小細胞肺癌の治療に用いられることが批准され、さらに、2005年3月に中国での販売を承認された。ゲフィチニブは細胞上皮成長因子受容体−チロシンキナーゼ(EGFR−TK)の触媒ドメインの結合部位に競合的に結合して、その下流シグナル伝達を遮断し、さらに腫瘍の成長、転移及び血管成長を阻害し、且つ腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することで、抗腫瘍作用を果たす(非特許文献3〜6)。
ゲフィチニブは進行非小細胞肺癌に有効であり、疾患の関連症状を改善できるだけでなく、ほかの固形腫瘍、例えば前立腺癌、乳癌、頭頸部癌、胃癌、腸癌等にも抑制作用を有し、さらに化学療法、放射線治療及びホルモン療法の抗腫瘍活性を向上できる[50]
【0010】
(2)エルロチニブ(Erlotinib/Tarceva/OSI−774):エルロチニブはタルセバとも呼ばれ、2002年9月に米国FDAにより標準的なプロトコールとして非活性化の進行非小細胞肺癌を治療する薬物として批准された。2004年11月に米国で市販され始めた。該薬物はEGFRキナーゼ特異性が高く、EGFRの自己リン酸化を抑制することにより、下流シグナル伝達と細胞増殖を抑制する。NSCLCと頭頸部扁平上皮癌のインビトロ移植腫瘍モデルでは、エルロチニブは腫瘍細胞の成長を抑制する、または腫瘍細胞のアポトーシスを促進することによって抗癌効果を実現する。実験により明らかなように、エルロチニブの経口生物学的利用能は80%である(非特許文献7〜8)。
【0011】
(3)ラパチニブ(Lapatinib/Tykerb/GW572016):ラパチニブはEGFR/HER2を二重ターゲットとするキナゾリン系阻害剤であり、グラクソ・スミスクライン社により開発され、2007年3月に米国で最初に批准された。ラパチニブはEGFRとHER2の2種のチロシンキナーゼを同時に抑制できるだけでなく、その下流におけるMARKとPI3Kのシグナル伝達にも抑制作用を果たし、さらに癌細胞の増殖を遮断する。現在、ラパチニブは乳癌、非小細胞肺癌等の治療に用いられている(非特許文献9〜10)。
【0012】
(4)イコチニブ(Icotinib,コンマナ):イコチニブは浙江貝達薬業有限公司により独立して研究開発されるもので、2011年6月に国家によりクラスI薬物として承認され、そして同年の7月に正式に市販され、中国では、最初の独立知的所有権を持っている進行非小細胞肺癌治療用の小分子抗癌薬である。ゲフィチニブ及びエルロチニブの構造式と比較すると、イコチニブの分子はキナゾリン母核構造を保留するが、側鎖における開環と閉環が異なる。分子レベルの試験によれば、イコチニブのIC50は5 nmol/mLであり、強いEGFR抑制作用が示されていることが明らかになる。85個のキナーゼをスクリーニングした結果、イコチニブはEGFR及び3個の突然変異体を効果的且つ選択的に抑制するが、残りの81個のキナーゼに対し、顕著な抑制作用がなく、イコチニブは優れた安全性と耐性を示す(非特許文献11)。
【0013】
EGFR阻害剤は、進行非小細胞肺癌の治療に用いると一定の治療効果を遂げたが、このような薬物に対しては薬剤耐性現象が発生した(非特許文献12)。EGFRシグナル伝達経路は細胞の複数種の機能の仲介に関与するため、その薬剤耐性が複数のシグナル伝達経路の障害、例えば薬剤耐性突然変異、構造的な活性化、下流シグナルのバイパス活性化等に繋がる可能性がある。普通の薬剤耐性メカニズムとしては以下のとおりである。1)T790M突然変異:研究した結果、多数のEGFR−TKIに対して薬剤耐性を有する患者にはEGFR突然変異が発見され、T790M突然変異(チロシンキナーゼ活性領域の790位のスレオニンが突然変異してメチオニンになる)は初めて Kobayashiらにより2005年(非特許文献13)に提案されるのであり、一般的な二次突然変異の一種であり、約50%の薬剤耐性患者にはEGFR T790M突然変異が発生し、腫瘍組織に対してEGFR遺伝子検査を行った結果、EGFRの第20エクソンに1つの二次突然変異が存在し、チロシンキナーゼドメインでの790位のスレオニンがメチオニンで置換され、それにより、薬剤耐性を発生させる。T790M突然変異による薬剤耐性は後の研究によりも連続して証明され、その原因としては、突然変異によりEGFRの活性領域とATPとの親和性が高まり、TKIsとEGFRの結合を阻害するためだと考えられる(非特許文献14)。2)C−MET増幅:C−METは癌原遺伝子であり、それでコードするタンパク質は肝細胞成長因子(HGF)の受容体で、チロシンキナーゼ活性を有する。EngelmanらはC−MET増幅がEGFR−TKIs獲得耐性突然変異のほかのメカニズムであり、すべての薬剤耐性の20%を占めることを提案している。C−METの増幅はErbB3/PI3K/AKTシグナル経路を活性化させて、それによって、NSCLC患者はEGFR−TKIsに対して薬剤耐性を発生させる。
【0014】
研究により、肺癌等の発症率の高い腫瘍細胞ではいずれもEGFR及びそのファミリー受容体の過剰発現が検査されることを見出し、その分子生物学的な作用メカニズムにより、EGFRの異常発現及びそのシグナル伝達は腫瘍細胞の増殖に対して重要な役割を果たすことが明らかになり、EGFRをターゲットとする小分子阻害剤の一部は既に開発され且つ進行非小細胞肺癌の治療に用いたが、薬剤耐性突然変異の発生が原因で、多数の進行癌患者は生存時間を向上させる余裕がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】DI N F,MARTINI M,MOLINARI F,et al.Wild−type Braf is required for response to panitumumab or cetuximab in metastatic colorectal cancer,Journal of Clinical Oncology,2008,26(35):5705−5712
【非特許文献2】張可、謝広茹、潘戦宇、小分子チロシンキナーゼ阻害剤による非小細胞肺癌治療についての研究の発展、中国腫瘍臨床、2006,33(2):115−118; CIARDIELLO F,TORTORA G,EGFR antagonists in cancer treatment,New England Journal of Medicine,2008,358(11):1160−1174
【非特許文献3】CIARDIELLO F,CAPUTO R,BIANCO R,et al.Inhibition ofgrowth factor production and angiogenesis in human cancer cells by ZD1839(Iressa)
【非特許文献4】a selective epidermalgrowth factor receptor tyrosine kinase inhibitor.Clinical Cancer Research,2001
【非特許文献5】7:1459−1465;2,BARKER A J,GIBSON K H,GRUNDY W,et al.Studies Leading to the Identification of ZD1839 (Iressa)
【非特許文献6】An Orally Active,Selective Epidermal Growth Factor Receptor Tyrosine Kinase Inhibitor Targeted to the Treatment of Cancer.Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters.2001,11:1911−1914
【非特許文献7】TSAO M S,Erlotinib in lung cancer−molecular and clinical predictors of outcome,New England Journal of Medicine,2005,353:133−144
【非特許文献8】WONG M K,LO A I,LAM B,et al.Erlotinib as maintenance trestment after failure to first−linegefitinib in non−small cell lung cancer.Cancer Chemother PHarmacol,2010,65(6):1023−1028
【非特許文献9】WOOD E R,TRUESDALE A T,MCDONALD O B,et al,A unique structure for epidermalgrowth factor receptor bound to GW572016 (Lapatinib):relationships among protein conformation,inhibitor off−rate,and receptor activity in tumor cells,Cancer Research,2004,64:6652−659
【非特許文献10】GEYER C,FORSTER J,LINDQUIST D,et al,Lapatinib plus capecitabine for HER2 positive advanced breast cancer,New England Journal of Medicine,2006,355(26):2733−2743
【非特許文献11】SHAO J H,GUO J X,ZHANG X D,et al.Synthesis and biological evaluation of crown ether fused quinazoline analogues as potent EGFR inhibitors,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2012,12:6301−6305
【非特許文献12】李キ、趙亜力、李向紅、非小細胞肺癌突然変異についてのEGFR遺伝子の研究、中華腫瘍学雑誌、2007、29(4):270
【非特許文献13】KOBAYASHI S,BOGGON T J,DAYARAM T,et al.EGFR mutation and resistance of non−small cell lung cancer togefitinib,New England Journal of Medicine,2005,352(8):786−792
【非特許文献14】ENGELMAN J A,ZEJNULLAHU K,MITSUDOMI T,et al.MET amplification leads togefitinib resistance in lung cancer by activating ERBB3 Signaling,Science,2007,316(5827):1039−1043
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
4−アミノキナゾリン系化合物はEGFRキナーゼに対して一定の阻害作用を有し、本発明に係るN−置換フェニル−5−置換アルコキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンまたは4−置換アリールアミノ−6−置換アルキル−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オン系化合物及びその薬学的に許容可能な塩は、上皮成長因子受容体(EGFR)、例えば上皮成長因子受容体のある変種(例えばL858R突然変異体の活性化、Exonl9欠失突然変異体の活性化及びT790M耐性突然変異体)による疾患の治療または予防に適用できる。このような化合物及びその塩は多種の癌の治療または予防に用いられ得る。本発明はさらに前記化合物及びその塩、及びその有効な多型形態を含む医薬組成物、前記化合物の中間体、各種の異なる形式のEGFRで仲介した疾患の治療方法に使用される前記化合物及びその塩に関する。
【0017】
本発明は分子式が下記構造式IまたはIIの化合物を提供する。
式(I)または(II)に示される構造式を有するN−置換フェニル−5−置換アルコキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンまたは4−置換アリールアミノ−6−置換アルキル−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オン系化合物:
【0018】
【化1】
【0019】
(ただし、Rは、
1)−H;
2)C−C直鎖または分岐状アルキル基;
3)テトラヒドロフラニルアルコキシ基、テトラヒドロピラニルアルコキシ基、ジオキサニルアルコキシ基、モルホリノアルコキシ基、C−C直鎖または分岐状アルコキシ基;
4)アルコキシ基で置換されたC−C直鎖または分岐状アルキル基、5)窒素含有飽和複素環基または窒素含有飽和複素環基で置換されたC−C直鎖または分岐状アルキル基であり、
は、
1)−H;
2)フッ素、塩素、臭素;
3)フルオロベンジルオキシ基、クロロベンジルオキシ基、ブロモベンジルオキシ基、置換ベンジルオキシ基、シアノベンジルオキシ基、ニトロベンジルオキシ基、ピリジルメチル基、C−Cアルキル基で置換されたピリジルメチル基、フルオロピリジルメチル基、クロロピリジルメチル基;
4)メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基;
5)メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基であり、
は、
1)−H;
2)フッ素、塩素、臭素;
3)ビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、 2−ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基;
4)ニトロ基;
5)シアノ基;
6)メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基である。)
【0020】
分子式IまたはIIの化合物及びその薬学的に許容される塩は、溶媒和形態と非溶媒和形態がある。例えば溶媒和形態は水溶性形態であってもよい。本発明はこれら溶媒和形態と非溶媒和形態を全部含むことは言うまでもない。
【0021】
本発明の一態様は分子式(I)または(II)の化合物を含む医薬組成物である。このような組成物は必要とする被験者に投与して、固形腫瘍(例えば肺癌、乳癌、結腸癌、膵臓癌、頭頸部癌)、イレッサやエルロチニブやほかのキナーゼ阻害剤による治療に対し薬剤耐性を有する癌の成長、行進及び/または転移を抑制する。
【0022】
本発明の癌治療方法は、本発明の化合物を必要とするヒトまたは動物に治療有効量で受容体を投与(単剤療法、またはほかの抗癌薬、例えば1種または複数種の薬剤と併用して副作用や、輻射等を軽減させる)して例えば肺癌や乳癌の成長、行進または癌転を抑制、緩和または逆転することを含む。このような投与は、1種または複数種のキナーゼで仲介した疾患を治療または予防する方法であり、キナーゼは開示されている一部の化合物またはその薬学的に許容可能な誘導体で抑制される。本明細書で検討したとおり、本発明の化合物の「投与」は、本明細書に記載の形式の化合物、そのプロドラッグまたはその薬学的に許容可能な誘導体を、任意の適当な製剤または投与経路により被投与者に送達することを含む。典型的な化合物投与としては、1月に1回または2回以上、頻繁にまたは複数回、1週間等、例えば毎日、1日おきに、5日/週間等に、経口投与や静脈内注射する。
本明細書に使用される用語「薬学的に許容可能な誘導体」とは、患者に(直接または間接的に)投与可能な、任意の薬学的に許容可能な塩、エステル、または該エステルの塩、このような化合物、またはほかの任意の付加物または誘導体を意味する。
【0023】
本明細書では、さらに化合物、その代謝物または残留物が説明された。従って、薬学的に許容可能な誘導体はプロドラッグを含む。プロドラッグはこのような化合物の誘導体であり、通常、著しく低下した薬理学的活性を有し、体内で除去して母体分子を発生させやすい薬理学的活性物質である追加の部分を持っている。例えばプロドラッグは体内で分解して生じた標的化合物のエステルである。プロドラッグの各種化合物及び材料、並びに親化合物を誘導してプロドラッグを製造する方法は、公知するもので且つ本発明に適用できる。
親化合物の非常に有利な誘導体及びプロドラッグとは、哺乳動物に投与すると、該化合物の生物学的利用能を向上させ(例えば、経口投与した後、吸収を強化して血液に入ることができる)、または親化合物に比べて、より迅速に体内の目的生物学的部位に送達できる誘導体及びプロドラッグを意味する。親化合物に比べて、本発明の好ましいプロドラッグは、腸間膜貫通性、水溶解性または能動輸送を強化できる化合物の誘導体を含む。
【0024】
本発明の別の目的は、必要とする被験者の癌を治療する方法を提供することであり、本発明の化合物を含む組成物を治療効果量で投与する方法を含む。このように治療できる癌は後述するが、イレッサ、タルセバ、Tykerb/Tyverbに対して薬剤耐性を有する癌を含むがこれらに制限されない。治療するために、手術、放射線治療(例えばγ−線、中性子ビーム放射線療法、電子ビーム放射線療法、陽子線治療、近接照射療法及び全身的放射性同位体等)、内分泌療法、生物学的応答調節剤(例えば、インターフェロン、インターロイキン及び腫瘍壊死因子(TNF))、温熱療法、凍結療法、任意の悪影響(例えば、止吐剤)及び他の癌を緩和させる化学療法薬のうちの1種を使用しても、または複数の他の癌治療法と組み合わせて使用してもよい。ほかの使用可能な製剤は、投与方法や投与手段が同じであり、または本発明の化合物と異なるように投与する。
前記他の薬物は、抗癌アルキル化剤または挿入剤、代謝拮抗剤、プリンアンタゴニストまたはピリミジンアンタゴニスト、タクソール、ポドフィロトキシン、抗生物質、ニトロソウレア、無機イオン、酵素、ホルモン、mTOR阻害剤、シロリムス、エベロリムス、プロテアーゼ阻害剤、他のキナーゼ阻害剤例えば上皮成長因子受容体キナーゼ(例えば、イレッサ、タルセバ等)、ErbB2のキナーゼ(例えば、商品名Tykerb/ Tyverb)等のうちの1種または複数種を含むがこれらに制限されない。前記ほかの薬物は、抗体、癌に関連する受容体(EGFR、ErbB2、VEGFR、PDGFR等)拮抗剤(ハーセプチン、アバスチン、エルビタックス等)をも含む。
【0025】
本発明はさらに本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な誘導体の使用、急性または慢性癌(固形腫瘍、原発性癌または転移癌、薬剤耐性を有する癌)を治療する薬剤の製造を含む。本発明の化合物は、抗癌薬の用途として有用である。本発明の化合物は、薬物として1種または複数種のキナーゼ(例えばEGFR、ErbB2等)を抑制することにより疾患を軽減または予防することもできる。
本発明はさらに、本発明の1種または多種の化合物及び1種または多種の薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたは希釈剤からなる組成物を含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明の化合物は標準品や試薬として、特にErbBファミリーキナーゼが挙げられるがそれに制限されない各種キナーゼの特性評価、このキナーゼの生物学的及び病理学的現象を研究するために非常に有用な作用であり、また、このようなキナーゼで仲介した細胞内シグナル伝達経路の研究、新規なキナーゼ阻害剤の比較評価、及び異なる癌の細胞系や動物モデルの研究にも用いられ得る。
本明細書の実施形態において、前記癌は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、乳癌、膵臓癌、神経膠腫、膠芽腫、卵巣癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、黒色腫、子宮内膜癌、前立腺癌、白血病、胃癌、肝癌、消化管間質腫瘍、甲状腺癌、急性骨髄性白血病、鼻咽頭癌、胆管癌から選ばれる任意の1種であってもよい。
【0027】
本明細書による化合物の合成方法:
シリーズI化合物の合成経路:
【0028】
【化2】
【0029】
反応条件:1)KI、KHCO、DMF、25℃;2)BnBr、KCO、DMF、25℃;3)AcOH、HCl、40℃;4)BrCCl、KCO、CHCN、80℃;5)H、Pd/C、25℃;6)KCO、DMF、50℃;7)R−BrorR−OTs、KCO、CHCN、80℃;8)HNO、HCl、0℃;9)Zn、AcOH、40℃;10)ホルムアミド、150℃;11)POCl、120℃;12)置換アニリン、イソプロパノール、80℃。
【0030】
シリーズII化合物の合成経路:
【0031】
【化3】
【0032】
反応条件:a)CHOH、conc.sulfuricacid;b)BrCHCOOCHCH、KCO、DMF、KI;c)Fe、CHCOOH;d)fumingnitricacid、CHNO;e)R−BrorR−OTs、KCO、DMF、KI;f)Pd/C、H、CHCHOH;g)HNCHO;h)POCl;i.置換アニリン、イソプロパノール、80℃。
【0033】
以下の代表的な実例は、重要な情報、証明及び指導を含み、本発明の各種実施形態やその同等物の手法に適用できる。これら実施例は本発明を説明するためのもので、本発明の範囲を制限すると理解できない。実際には、当業者にとっては、本明細書及び本明細書で引用した関連文献に基づき、本明細書に示され且つ説明したもの以外、本発明の各種の改定や更なる実施形態が明らかになる。これら引用した参照文献の内容は引用により本分野の状態を説明するために本明細書に組み込まれている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
【化4】
【0035】
実施例1
N−(4−メトキシ−3−ニトロフェニル)−5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−1)
ステップ1)2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸メチルの製造
室温下で、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸34グラム(200mmol)、炭酸水素カリウム40グラム(400mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド300mLを反応釜に加えて0.5時間かけて緩やかに撹拌し、ヨードメタン42g(300mmol)を加えて12時間反応させ、水1500mLに投入して吸引濾過し、水で洗浄して、乾燥させ、白色固体35g,収率95%で得た,MS: 185 (M+H) +
【0036】
【化5】
【0037】
ステップ2)2,3,4−トリベンジルオキシ安息香酸メチルの製造
2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸メチル18.5グラム(100mmol)、炭酸カリウム42.0グラム(300mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド150mLを混合して、約30分間撹拌し、臭化ベンジル51.5グラム(300mmol)を滴下して、常温で20時間撹拌した。水2Lに投入して、半時間撹拌し、吸引濾過して水で洗浄し、乾燥させて白色固体30g,収率66%で得た, MS: 455(M+H) +
【0038】
【化6】
【0039】
ステップ3)3,4−ジベンジルオキシ−2−ヒドロキシ安息香酸メチルの製造
濃塩酸10ミリリットルと酢酸100ミリリットルとの混合溶液に2,3,4−トリベンジルオキシ安息香酸エチル18グラムを加えて、温度を40℃に制御した条件下で2時間撹拌した。反応終了後、反応液を砕いた氷を入れた1Lビーカーに投入して、氷が完全に融解するまで撹拌し、吸引濾過して淡黄色粉末8グラム, 収率55%で得た。 1HNMR(CDCl3,400MHz):δ 10.98 (s, 1H), 7.57 (s, 1H, J = 8.8Hz), 7.51−7.49 (m, 2H), 7.41−7.30 (m, 8H), 6.52 (d, 1H, J = 8.8Hz), 5.17 (s, 2H), 5.12 (s, 2H), 3.94 (s, 3H). MS: 365 (M+H) +
【0040】
【化7】
【0041】
ステップ4)3,4−ベンジルオキシ−2−(−クロロエトキシ)蟻酸メチル
3,4−ジベンジルオキシ−2−ヒドロキシ安息香酸メチル7.2グラム(20mmol)、炭酸カリウム4.2グラム(30mmol)、1−ブロモ−2−クロロエタン4.3グラム(30mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド50mLを混合して、80℃に昇温し、5時間撹拌して室温に冷却し、砕いた氷を入れた500mLビーカーに投入して、10分間撹拌した。吸引濾過して水洗し、乾燥させて白色固体8.2グラム,収率95%で得た。MS: 427 (M+H) +
【0042】
【化8】
【0043】
ステップ5)2−(2−クロロエトキシ)−3,4−ジヒドロキシ安息香酸メチルの製造
パラジウムカーボン(10%ウェット)0.5グラム、3,4−ジベンジルオキシ−2−(2−クロロエトキシ)安息香酸メチル8.2グラム及びメタノール50mLを混合して、反応系を水素で3回置換し、水素圧が0.5大気圧で2−3時間反応させ、反応系の固体が完全に溶解すると、反応を終了させ、濾過して、濾液を濃縮させて白色固体産物3.8グラム, 収率80%で得た。MS: 247 (M+H) +.
【0044】
【化9】
【0045】
ステップ6)8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
2−(2−クロロエトキシ)−3,4ジベンジルオキシ安息香酸メチル2.5グラム(10mmol)、炭酸カリウム1.4グラム(10mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド20mLを混合して、60℃に昇温して2時間撹拌し、室温に冷却し、砕いた氷を入れた1Lガラスビーカーに投入して、20分間撹拌し、濾過して水洗し、乾燥させて白色固体2.1グラム, 収率95%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 9.97 (s, 1H), 7.22−7.17 (m, 1H), 6.44−6.40 (m, 1H), 4.27−4.24 (m, 4H), 3.71(s, 3H). MS: 211(M+H) +.
【0046】
【化10】
【0047】
ステップ7)8−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル1グラム(5mmol)、炭酸カリウム1.4グラム(10mmol)、2−ブロモプロパン1.2グラム(10mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド15mLを混合して、80℃に昇温して2時間撹拌し、室温に冷却させ、水100mLに投入して、酢酸エチルで抽出して飽和食塩水で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させ、白色固体1.2グラム, 収率95%で得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 7.47 (d, 1H, J = 8.8Hz), 6.53 (d, 1H, J = 8.8Hz), 4.65 (dd, 1H, J = 6Hz), 4.38 (s, 4H), 3.88 (s, 3H), 1.42(d, J = 6Hz ,6H). MS: 253(M+H) +.
【0048】
【化11】
【0049】
ステップ8)8−イソプロポキシ−6−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル1グラム(4mmol)を氷酢酸9mLに加えて、0℃で撹拌しながら、それに氷酢酸3mLと発煙硝酸6mL(98%)との混合酸を滴下し、20分間かけて滴下終了後、反応系を1時間撹拌し続け、砕いた氷を入れた500mLビーカーに投入して、1時間撹拌し、濾過して乾燥させ、黄色固体1.2グラム, 収率95%で得た。1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ 7.40 (s, 1H), 4.69 (dd, J = 6Hz, 1H), 4.44−4.42 (m, 2H), 4.38−4.32 (m, 2H), 3.97(s, 3H), 1.44(d, J = 6Hz ,6H).
【0050】
【化12】
【0051】
ステップ9)6−アミノ−8−イソプロポキシ−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−イソプロポキシ−6−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル1.2グラム(4mmol)と亜鉛粉1.3グラム(20mmol)を氷酢酸10mLに加え、40℃で撹拌しながら30分間反応させ、濾過して濃縮させ、酢酸エチル50mLに溶解して水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮させ、黄色固体1.0グラム, 収率95%で得た。1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ 7.46 (s, 1H), 4.55(dd, 1H, J = 6 Hz), 4.37−4.27(m, 4H), 3.88(s, 3H), 2.37(s, 2H), 1.45(d, J = 6Hz ,6H). MS:268(M+H) +
【0052】
【化13】
【0053】
ステップ10)5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−オールの製造
6−アミノ−8−イソプロポキシ−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル1.0グラム(3.8mmol)とホルムアミド10mLを混合して、撹拌しながら150℃に加熱し、20時間反応させ、常温に冷却して、減圧濃縮させ、酢酸エチルで洗浄して濾過し、乾燥させて灰色固体1.0グラム, 収率95%で得た。1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ 11,73(s, 1H), 7.91 (s, 1H), 6.83(s, 1H), 4.75(dd, 1H, J = 6 Hz), 4.5−4.3(m, 4H), 3.92(s, 3H), 1.47 (d, J = 6Hz ,6H). MS:263(M+H) +.
【0054】
【化14】
【0055】
ステップ11)10−クロロ−5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリンの製造
5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−オール1グラム(3.8mmol)をオキシ塩化リン15mLに加えて、撹拌して110℃に昇温し、24時間反応させて常温に冷却し、砕いた氷を入れた500mLガラスビーカーに投入し、炭酸カリウムを加えてPH=8にし、酢酸エチルで抽出して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させ、黄色固体0.6グラム, 収率55%で得た。MS: 281(M+H) +.
【0056】
【化15】
【0057】
ステップ12)N−(4−メトキシ−3−ニトロフェニル)−5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造
10−クロロ−5−イソプロピル−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.36mmol)、4−メトキシ−3−ニトロアニリン60mg(0.36mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1)を通過させて黄色固体80mg, 収率50%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 11.02 (s, 1H), 8.94 (d, 1H, J = 8.8Hz), 8.64 (s, 1H), 8.03 (d, 1H, J = 8.8Hz), 7.92 (s, 1H), 7.12 (s, 1H), 4.83 (dd, 1H, J = 6 Hz), 4.71 (s, 2H), 4.51 (s, 2H), 4.14 (s, 3H), 1.40 (d, 6H, J = 6 Hz).MS: 413(M+H) +.
【0058】
【化16】
【0059】
実施例2
N−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)−5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−2)
ステップ1)−11)は実施例1と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−イソプロピル−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.36mmol)、4−フルオロ−3−ニトロアニリン62mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱して4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体120mg, 収率75%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.59 (s, 1H), 8.77 (s, 1Hz), 8.53−8.51 (m, 1H), 8.09−8.07 (m, 1H), 7.75−7.72 (m, 1H), 7.18 (s, 1H), 4.80 (dd, 1H, J=4.8Hz), 4.61 (s, 2H), 4.53 (s, 2H), 1.40 (d, 6H, J =4.8Hz).MS: 401(M+H)+.
【0060】
【化17】
【0061】
実施例3
N−(4−メチル−3−ニトロフェニル)−5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−3)
ステップ1)−11)は実施例1と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−イソプロピル−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.36mmol)、4−メチル−3−ニトロアニリン60mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体100mg, 収率62%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.55 (s, 1H), 8.76 (s, 1Hz), 8.39 (s, 1H), 7.98 (d, 1H, J=8Hz), 7.60 (d, 1H, J=8Hz), 7.15 (s, 1H), 4.81 (dd, 1H, J=6Hz), 4.62 (s, 2H), 4.45 (s, 2H), 1.40 (d, 6H, J = 6 Hz).MS: 397(M+H) +.
【0062】
【化18】
【0063】
実施例4
N−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造
(I−4)ステップ1)−11)は実施例1と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−イソプロピル−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.36mmol)、4−クロロ−3−ニトロアニリン70mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体110mg, 収率67%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.57 (s, 1H), 8.79 (s, 1Hz), 8.51 (s, 1H), 8.05 (d, 1H, J = 8.4Hz), 7.88 (d, 1H, J = 8.8Hz), 7.15 (s, 1H), 4.81 (dd, 1H, J = 6Hz), 4.61 (s, 2H), 4.45 (s, 2H), 1.40 (d, 6H, J = 6 Hz).MS: 417(M+H) +.
【0064】
【化19】
【0065】
実施例5
N−(3−シアノ−4−フルオロフェニル)−5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−5)

ステップ1)−11)は実施例1と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−イソプロピル−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン50mg(0.18mmol)、4−フルオロ−3−シアノアニリン30mg(0.20mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体45mg, 収率55%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.54 (s, 1H), 8.76 (s, 1Hz), 8.24−8.23 (m, 1H), 8.04 (t, 1H, J = 8.8Hz), 7.66 (t, 1H, J = 8.8Hz), 7.21 (s, 1H), 4.79 (dd, 1H, J = 6Hz), 4.60 (s, 2H), 4.45 (s, 2H), 1.40 (d, 6H, J = 6 Hz). MS: 381(M+H)+.
【0066】
【化20】
【0067】
実施例6
N−(3−シアノ−4−メチルフェニル)−5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−6)
ステップ1)−11)は実施例1と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−イソプロピル−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン50mg(0.18mmol)、5−アミノ−2−メチルベンゾニトリル26mg(0.20mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体50mg, 収率67%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.50 (s, 1H), 8.75 (s, 1Hz), 8.11 (s, 1H), 7.88 (d, 1H, J = 8.4Hz), 7.56 (d, 1H, J = 8.4Hz), 7.11 (s, 1H), 4.80 (dd, 1H, J = 6Hz), 4.61 (s, 2H), 4.45 (s, 2H), 1.40 (d, 6H, J = 6 Hz).MS: 378(M+H)+.
【0068】
【化21】
【0069】
実施例7
N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−7)
ステップ1)−11)は実施例1と同様である。
ステップ12) 10−クロロ−5−イソプロピル−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン50mg(0.18mmol)、3−クロロ−4−フルオロアニリン29mg(0.20mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィーを通過させて黄色固体40mg, 収率50%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.44 (s, 1H), 8.72 (s, 1Hz), 7.97−7.95 (m, 1H), 7.68−7.65 (m, 1H), 7.56−7.51 (m, 1H), 7.02 (s, 1H), 4.81 (dd, 1H, J = 6Hz), 4.60 (s, 2H), 4.44 (s, 2H), 1.40 (d, 6H, J = 6 Hz).MS: 390(M+H) +.
【0070】
【化22】
【0071】
実施例8
N−(3−エチニルフェニル)−5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−8)
ステップ1)−11)は実施例1と同様である。
ステップ12) 10−クロロ−5−イソプロピル−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.36mmol)、3−アルキニルアニリン42mg(0.36mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて微黄色固体60mg, 収率46%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.35 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.73 (d, 1H, J = 8 Hz), 7.47 (t, 1H, J = 8 Hz), 7.38 (d, 1H, J = 8 Hz), 7.11 (s, 1H), 4.79 (dd, 1H, J = 6 Hz), 4.61 (s, 2H), 4.44 (s, 2H). 4.27 (s, 1H), 1.39 (d, 6H, J = 6 Hz).MS: 362(M+H)+.
【0072】
【化23】
【0073】
実施例9
N−(3−ニトロ−4−メトキシフェニル)−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−9)
ステップ1)−ステップ6)は実施例1と同様である。
ステップ7)メチル−8−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン−5−蟻酸メチルの製造
8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン−5−蟻酸メチル4グラム(20mmol)、炭酸カリウム2.8グラム(20mmol)、1−ブロモ−2−メトキシ−エタン2.8グラム(20mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド15mLを混合し、80℃に昇温して2時間撹拌し、室温に冷却して、水100mLに投入し、酢酸エチル50mLで抽出して、飽和食塩水で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させ、白色固体5.1グラム, 収率95%で得た。MS: 269(M+H+).
【0074】
【化24】
【0075】
ステップ8)メチル−8−(2−メトキシエトキシ)−6−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン−5−蟻酸メチルの製造
メチル−8−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン−5−蟻酸メチル5グラム(19mmol)を氷酢酸45mLに加え、0℃で撹拌しながらそれに氷酢酸15mLと発煙硝酸30mL(98%)との混合酸を滴下し、20分間滴下終了後、反応系を1時間撹拌し続け、砕いた氷を入れた1500mLビーカーに投入して、1時間撹拌し、濾過して乾燥させ、黄色固体5.0グラム, 収率95%で得た。
【0076】
【化25】
【0077】
ステップ9)6−アミノ−8−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン−5−蟻酸メチルの製造
メチル−8−(2−メトキシエトキシ)−6−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン−5−蟻酸メチル3.1グラム(10mmol)と亜鉛粉2.6グラム(40mmol)を氷酢酸20mLに加え、40℃で撹拌しながら30分間反応させ、濾過して濃縮させ、酢酸エチル50mLで溶解して、水洗して無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮させて黄色固体2.8グラムを得た,収率95%で得た。MS: 284(M+H)+.
【0078】
【化26】
【0079】
ステップ10)5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−オールの製造6−アミノ−8−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン−5−蟻酸メチル2.8グラム(10mmol)とホルムアミド10mLを混合して、撹拌しながら150℃に加熱して20時間反応させ、常温に冷却して、減圧濃縮させ、酢酸エチルで洗浄して、濾過して乾燥させ、灰色固体2.6グラム,収率95%で得た。1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ 7.29 (s, 1H), 5.86 (s, 1H), 4.30(s, 2H), 4.10(s, 2H), 3.85(s, 2H), 3.75(s, 2H), 3.32(s, 3H). MS:279(M+H)+.
【0080】
【化27】
【0081】
ステップ11)10−クロロ−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリンの製造
5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−オール2グラム(7.2mmol)をオキシ塩化リン15mLに加え、撹拌しながら110℃に昇温して24時間反応させ、常温に冷却して、砕いた氷を入れた500mLガラスビーカーに投入して、炭酸カリウムを加えてPHを8に調整し、酢酸エチルで抽出して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させ、黄色固体1.2グラム,収率60%で得た。MS: 297(M+H)+.
【0082】
【化28】
【0083】
ステップ12)N−(3−ニトロ−4−メトキシフェニル)−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造
10−クロロ−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、4−メトキシ−3−ニトロアニリン60mg(0.36mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体100mg,収率65%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 11.01 (s, 1H), 8.91−8.88 (m, 2H), 8.00 (d, 1H, J = 8.8Hz), 7.91 (s, 1H), 7.10 (s, 1H), 4.72 (s, 2H), 4.53 (s, 2H), 4.29 (t, 2H, J = 4Hz), 4.13 (s, 3H), 3.87 (s, 1H), 3.76 (t, 2H, J = 4.4Hz), 3.35 (s, 3H). MS: 429(M+H)+.
【0084】
【化29】
【0085】
実施例10
N−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−10)
ステップ1)−ステップ11)は実施例9と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、4−フルオロ−3−ニトロアニリン60mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体60mg,収率40%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.58 (s, 1H), 8.76 (s, 1H), 8.54−8.52 (m, 1H), 8.09 (d, 1H, J = 8.8Hz), 7.75−7.70 (m, 1H), 7.14 (s, 1H), 4.62 (s, 2H), 4.47 (s, 2H), 4.30 (s, 2H), 3.70 (s, 2H), 3.35 (s, 3H). MS: 417(M+H) +.
【0086】
【化30】
【0087】
実施例11
N−(4−メチル−3−ニトロフェニル)−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−11)
ステップ1)−ステップ11)は実施例9と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、4−メチル−3−ニトロアニリン60mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体85mg,収率75%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.59 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 8.50 (d, 1H, J = 8.4Hz) , 7.88 (d, 1H, J = 8.4Hz), 7.16 (s, 1H), 4.63 (s, 2H), 4.47 (s, 2H), 4.30 (s, 2H), 4.13 (s, 3H), 3.76 (s, 2H), 3.35 (s, 3H). MS: 413(M+H) +.
【0088】
【化31】
【0089】
実施例12
N−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−12)
ステップ1)−ステップ11)は実施例9と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、4−クロロ−3−ニトロアニリン60mg(0.35mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体70mg,収率44%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.57 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.53−8.52 (m, 1H), 8.07−8.06 (m, 1H), 8.04−8.03 (m, 1H), 7.89−7.87 (m, 1H), 4.62 (br, 2H), 4.47(br, 2H), 4.32−4.30 (m, 2H), 3.77−3.75 (m, 2H), 3.34(s, 1H). MS: 433(M+H) +.
【0090】
【化32】
【0091】
実施例13
N−(4−フルオロ−3−シアノフェニル)−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−13)
ステップ1)−ステップ11)は実施例9と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、5−アミノ−2−フルオロベンゾニトリル55mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体77mg,収率53%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.51 (s, 1H), 8.74 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.88 (d, 1H, J = 8.4Hz), 7.56 (d, 1H, J = 8.4Hz), 7.09 (s, 1H), 4.62 (s, 2H), 4.46 (s, 2H), 4.30 (s, 2H), 3.76 (s, 2H), 3.35 (s, 3H). MS: 397(M+H) +.
【0092】
【化33】
【0093】
実施例14
N−(4−メチル−3−シアノフェニル)−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−14)
ステップ1)−ステップ11)は実施例9と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、5−アミノ−2−メチルベンゾニトリル53mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体70mg,収率49%で得た。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.47 (s, 1H), 8.73 (s, 1H), 8.26−8.24 (m, 1H), 8.08−8.05 (m, 1H), 7.66 (t, 1H, J = 8.8Hz), 7.03 (s, 1H), 4.61 (s, 2H), 4.47 (s, 2H), 4.31 (s, 2H), 3.76 (s, 2H), 3.35 (s, 3H), 2.50 (s, 3H). MS: 393(M+H) +.
【0094】
【化34】
【0095】
実施例15
N−(4−メトキシ−3−ニトロフェニル)−5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−15)
ステップ1)−ステップ6)は実施例1と同様である。
ステップ7)8−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5 −蟻酸メチル2.1グラム(10mmol)、トリフェニルホスフィン4.6グラム(15mmol)、アゾジカルボン酸ジエチル2.6グラム(15mmol)、1−エトキシエタノール1.0グラム(11mmol)及びテトラヒドロフラン70mLを混合し、常温で20時間撹拌して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチルの体積比は5/1である)を通過させて白色固体2.5グラムを得て、収率は89%であった。MS: 283(M+H) +.
【0096】
【化35】
【0097】
ステップ8)8−(1−エトキシエトキシ)−6−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル2.5グラム(8.8mmol)を氷酢酸24mLに加え、0℃で撹拌しながらそれに氷酢酸8mLと発煙硝酸(98%)16mLとの混合酸を滴下し、20分間滴下終了後、反応系を1時間撹拌し続け、砕いた氷を入れた500mLビーカーに投入して、1時間撹拌し、濾過して乾燥させ、黄色固体2.6グラムを得て、収率は90%であった。
【0098】
【化36】
【0099】
ステップ9)6−アミノ−8−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−(1−エトキシエトキシ)−6−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル2.6グラム(8mmol)と亜鉛粉2.6グラム(40mmol)を氷酢酸20mLに加え、40℃で撹拌しながら30分間反応させ、濾過して濃縮させ、酢酸エチル50mLで溶解して、水洗して無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮させて2.3グラム黄色固体を得て、収率は95%であった。MS: 298(M+H)
【0100】
【化37】
【0101】
ステップ10)5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−オールの製造
6−アミノ−8−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル2.3グラム(7.7mmol)とホルムアミド10mLを混合し、撹拌しながら150℃に加熱して20時間反応させ、常温に冷却して、減圧濃縮させ、酢酸エチルで洗浄して、濾過して乾燥させ、灰色固体2.2グラムを得て、収率は95%であった。MS: 293(M+H)
【0102】
【化38】
【0103】
ステップ11)10−クロロ−5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリンの製造
5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−オール2グラム(6.8mmol)をオキシ塩化リン15mLに加え、撹拌しながら110℃に昇温して24時間反応させ、常温に冷却して、砕いた氷を入れた500mLガラスビーカーに注入して、炭酸カリウムを加えてpH=8にし、酢酸エチルで抽出して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させ、黄色固体1.3グラムを得て、収率は61%であった。MS: 311(M+H)
【0104】
【化39】
【0105】
ステップ12) N−(4−メトキシ−3−ニトロフェニル) −5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造
10−クロロ−5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、4−メトキシ−3−ニトロアニリン60mg(0.36mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体110mgを得た,収率は69%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 11.06 (s, 1H), 8.91−8.87 (m, 2H), 8.02 (d, 1H, J = 9.2Hz), 7.91 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 4.83−4.82 (m, 1H), 4.71 (s, 2H), 4.52 (s, 2H), 4.13 (s, 3H), 3.63−3.56 (m, 2H), 3.32 (s, 3H), 1.33(d, 3H, J = 6Hz). MS: 443(M+H) +.
【0106】
【化40】
【0107】
実施例16
N−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)−5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−16)
ステップ1)−ステップ6)は実施例1と同様である。
ステップ7)−ステップ11)は実施例15と同様である。
ステップ12)N−(4−フルオロ−3−ニトロフェニル)−5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造
10−クロロ−5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、4−フルオロ−3−ニトロアニリン60mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体65mgを得た,収率は44%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.60 (s, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.53−8.51 (m, 1H), 8.09−8.07 (m, 1H), 7.73 (d, 1H, J = 10Hz), 7.25 (s, 1H), 4.82 (q, 1H, J= 6Hz), 4.61 (s, 2H), 4.46 (s, 2H), 3.62 −3.56 (m, 2H), 3.32 (s, 3H), 1.33(d, 3H, J = 6Hz). MS: 431(M+H) +.
【0108】
【化41】
【0109】
実施例17
N−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−17)
ステップ1)−ステップ6)は実施例1と同様である。
ステップ7)−ステップ11)は実施例15と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、4−クロロ−3−ニトロアニリン60mg(0.35mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体50mgを得た,収率は32%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.61 (s, 1H), 8.80 (s, 1H), 8.50 (s, 1H), 8.04 (d, 1H, J = 8.8Hz), 7.89 (d, 1H, J = 8.8Hz), 7.28 (s, 1H), 4.81 (q, 1H, J= 6Hz), 4.62 (s, 2H), 4.46 (s, 2H), 3.62−3.56 (m, 2H), 3.31 (s, 3H), 1.33 (d, 3H, J = 6Hz). MS: 447(M+H) +.
【0110】
【化42】
【0111】
実施例18
N−(4−メチル−3−ニトロフェニル)−5−(1−エトキシエトキシ)− 2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f] キナゾリン−10−アミンの製造(I−18)
ステップ1)−ステップ6)は実施例1と同様である。
ステップ7)−ステップ11)は実施例15と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、4−メチル−3−ニトロアニリン60mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体85mgを得た,収率は57%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.66 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.35 (s, 1H), 7.91 (d, 1H, J = 8.4Hz), 7.61 (d, 1H, J = 8.4Hz), 7.21 (s, 1H), 4.83−4.82 (m, 1H), 4.64 (s, 2H), 4.47 (s, 2H), 3.62−3.60 (m, 2H), 3.31 (s, 3H), 2.52 (s, 3H), 1.33 (d, 3H, J = 6Hz). MS: 427(M+H+).
【0112】
【化43】
【0113】
実施例19
N−(4−フルオロ−3−シアノフェニル)−5−(1−エトキシエトキシ)− 2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f] キナゾリン−10−アミンの製造(I−19)
ステップ1)−ステップ6)は実施例1と同様である。
ステップ7)−ステップ11)は実施例15と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、5−アミノ−2−フルオロベンゾニトリル55mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体85mgを得た,収率は57%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.59 (s, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.23−82.1 (m, 1H), 8.05−8.01 (m, 1H), 7.67 (t, 1H, J = 9.2Hz), 7.22 (s, 1H), 4.83−4.79 (m, 1H), 4.60 (s, 2H), 4.45 (s, 2H), 3.62−3.56 (m, 2H), 3.32 (s, 3H), 1.33 (d, 3H, J = 6Hz). MS: 411(M+H) +.
【0114】
【化44】
【0115】
実施例20
N−(4−メチル−3−シアノフェニル)−5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f] キナゾリン−10−アミンの製造(I−20)
ステップ1)−ステップ6)は実施例1と同様である。
ステップ7)−ステップ11)は実施例15と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、5−アミノ−2−メチルベンゾニトリル53mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体60mgを得た,収率は40%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.57 (s, 1H), 8.76(s, 1H), 8.09 (m, 1H), 7.86 (d, 1H, J = 8.4Hz), 7.57 (d, 1H, J = 8.4Hz), 7.23 (s, 1H), 4.82−4.78 (m, 1H), 4.61 (s, 2H), 4.45 (s, 2H), 3.66−3.56 (m, 2H), 3.32−3.30 (m, 3H), 2.51 (s, 3H), 1.33 (d, 3H, J = 6Hz). MS: 407(M+H) +.
【0116】
実施例21
N−(3−エチニルフェニル)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−21)
ステップ1)−ステップ6)は実施例1と同様である。
ステップ7)テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オールの製造
氷水浴条件において、水素化アルミニウムリチウム0.95グラム(25mmol)を含むテトラヒドロフラン系40mLにジヒドロ−2H−ピラン−4(3H)−オン2g(20mmol)を緩やかに滴下し、滴下終了後、氷水浴を停止し、常温で4時間反応させ、飽和水酸化ナトリウム1mLでクエンチさせ、濾過して濾液を乾燥させ、濃縮させて微黄色油状物2gを得て、収率は95%であった。
【0117】
【化45】
【0118】
ステップ8)4−メチルベンゼンスルホン酸(テトラヒドロ−4H−ピラン−4−)エステルの製造
テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オール0.5g(5mmol)と4−メチルベンゼンスルホニルクロリド1.4g(7.5mmol)とピリジン5mLをジクロロメタン10mLに加え、常温で24時間撹拌して、順に水、希塩酸(1mol/L)、飽和食塩水で洗浄して、有機相を乾燥させ、濃縮させて無色透明固体1.2gを得て、収率は95%であった。
【0119】
【化46】
【0120】
ステップ9)8−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5 −蟻酸メチル1グラム(5mmol)、炭酸カリウム1.4グラム(10mmol)、4−メチルベンゼンスルホン酸(テトラヒドロ−4H−ピラン−4−)エステル1.2グラム(5mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド15mLを混合し、80℃に昇温して2時間撹拌し、室温に冷却して、水100mLに投入し、酢酸エチル50mLで抽出して、飽和食塩水で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させ、白色固体1.2グラムを得た,収率は80%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 7.46 (d, 1H, J = 9.2Hz), 6.89 (d, 1H, J = 9.2Hz), 4.55 (dd, 1H, J = 4Hz), 4.40−4.33 (m, 4H), 4.06−4.01 (m, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.60−3.54 (m, 2H), 2.08−2.04 (m, 2H), 1.89−1.85 (m, 2H). MS: 295(M+H) +.
【0121】
【化47】
【0122】
ステップ10)6−ニトロ−8−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル1.1グラム(4mmol)を氷酢酸9mLに加え、0℃で撹拌しながらそれに氷酢酸3mLと発煙硝酸6mL(98%)との混合酸を滴下し、20分間滴下終了後、反応系を1時間撹拌し続け、砕いた氷を入れた500mLビーカーに注入して、1時間撹拌し、濾過して乾燥させ、黄色固体1.2グラムを得た,収率は95%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 7.41 (s, 1H), 4.60 (dd, 1H, J = 4Hz), 4.43−4.42 (m, 2H), 4.38−4.37 (m, 2H), 4.04−4.01 (m, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.64−3.58 (m, 2H), 2.07−2.06 (m, 2H), 1.88−1.87 (m, 2H).
【0123】
【化48】
【0124】
ステップ11)6−アミノ−8−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
6−ニトロ−8−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル1.2グラム(4mmol)と亜鉛粉1.3グラム(20mmol)を氷酢酸10mLに加え、40℃で撹拌しながら30分間反応させ、濾過して濃縮させ、酢酸エチル50mLで溶解して、水洗して無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮させて黄色固体1.1グラムを得て、収率は95%であった。 MS: 310(M+H)
【0125】
【化49】
【0126】
ステップ12)5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−オールの製造
6−アミノ−8−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル1.0グラム(3.3mmol)とホルムアミド10mLを混合し、撹拌しながら150℃に加熱して20時間反応させ、常温に冷却して、減圧濃縮させ、酢酸エチルで洗浄して、濾過して乾燥させ、灰色固体1.0グラムを得た,収率は95%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 7.83 (s, 1H), 6.84 (s, 1H), 4.75 (dd, 1H, J = 4Hz), 4.32−4.29 (m, 4H), 3.87−3.84 (m, 2H), 3.54−3.49 (m, 2H), 2.01−1.99 (m, 2H), 1.64−1.60 (m, 2H). MS: 305(M+H) +.
【0127】
【化50】
【0128】
ステップ13)10−クロロ−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリンの製造
5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−オール1グラム(3.3mmol)をオキシ塩化リン15mLに加え、撹拌しながら110℃に昇温して24時間反応させ、常温に冷却して、砕いた氷を入れた500mLガラスビーカーに注入し、炭酸カリウムを加えPH=8にし、酢酸エチルで抽出して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させ、黄色固体0.5グラムを得て、収率は45%であった。MS: 323(M+H)
【0129】
【化51】
【0130】
ステップ14)N−(3−エチニルフェニル)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造
10−クロロ−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.3mmol)、3−アルキニルアニリン42mg(0.36mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて微黄色固体60mgを得た,収率は50%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.53 (s, 1H), 8.75 (s, 1H), 7.79 (s, 1H), 7.69 (d, 1H, J = 8Hz), 7.49 (t, 1H, J = 8.0Hz), 7.42 (d, 1H, J = 8Hz), 7.31 (s, 1H), 4.76 (dd, 1H, J = 4.4Hz), 4.62 (s, 2H), 4.42 (s, 2H), 3.92−3.89 (m, 2H), 3.55−3.51 (m, 2H), 2.11−2.07 (m, 2H), 1.71−1.69 (m, 2H).MS: 404(M+H) +.
【0131】
【化52】
【0132】
実施例22
N−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−22)
ステップ14)10−クロロ−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.3mmol)、4−クロロ−3−フルオロアニリン60mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて微黄色固体70mgを得た,収率は49%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): 10.51 (s, 1H), 8.75 (s, 1H),7.95−7.92 (m, 1H), 7.65−7.64 (m, 1H), 7.54 (t, 1H, J=8.9Hz), 7.30 (s, 1H), 4.77 (dd, 1H, J=4.4Hz), 4.61 (br, 2H), 4.60 (br, 2H), 3.92−3.89 (m, 2H), 3.56−3.50 (m, 2H), 2.10−2.07 (m, 2H), 1.72−1.69 (m, 2H). MS: 432(M+H)+.
【0133】
【化53】
【0134】
実施例23
N−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−5−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−23)
【0135】
【化54】
【0136】
4−メチルベンゼンスルホン酸(テトラヒドロフラン−3−)エステルの製造
テトラヒドロフラン−3−オール2g(23mmol)と4−メチルベンゼンスルホニルクロリド5g(24mmol)とピリジン15mLをジクロロメタン15mLに加え、常温で24時間撹拌して、順に水、希塩酸(1mol/L)、飽和食塩水で洗浄して、有機相を乾燥させ、濃縮させて無色透明固体5gを得て、収率は91%であった。
ステップ1)−ステップ6)は実施例1と同様である。
【0137】
【化55】
【0138】
ステップ7)8−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5 −蟻酸メチル4グラム(19mmol)、炭酸カリウム4.2グラム(30mmol)、4−メチルベンゼンスルホン酸(テトラヒドロフラン−3−)エステル5グラム(21mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド15mLを混合し、80℃に昇温して2時間撹拌し、室温に冷却して、水100mLに投入し、酢酸エチル50mLで抽出して、飽和食塩水で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させ、白色固体4.3グラムを得て、収率は81%であった。MS: 281(M+H)
【0139】
【化56】
【0140】
ステップ8)6−ニトロ−8−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル1.1グラム(4mmol)を氷酢酸9mLに加え、0℃で撹拌しながらそれに氷酢酸3mLと発煙硝酸6mL(98%)との混合酸を滴下し、20分間滴下終了後、反応系を1時間撹拌し続け、砕いた氷を入れた500mLビーカーに注入し、1時間撹拌し、濾過して乾燥させ、黄色固体1.2グラムを得て、収率は95%であった。
【0141】
【化57】
【0142】
ステップ9)6−アミノ−8−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
6−ニトロ−8−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル1.2グラム(4mmol)と亜鉛粉1.3グラム(20mmol)を氷酢酸10mLに加え、40℃で撹拌しながら30分間反応させ、濾過して濃縮させ、酢酸エチル50mLで溶解して、水洗して無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮させて黄色固体1.1グラムを得て、収率は95%であった。MS: 296(M+H)
【0143】
【化58】
【0144】
ステップ10)5−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]キナゾリン−10−オールの製造
6−アミノ−8−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル1.0グラム(3.3mmol)とホルムアミド10mLを混合し、撹拌しながら150℃に加熱して20時間反応させ、常温に冷却して、減圧濃縮させ、酢酸エチルで洗浄して、濾過して乾燥させ、灰色固体1.0グラムを得て、収率は95%であった。MS:291(M+H)
【0145】
【化59】
【0146】
ステップ11)10−クロロ−5−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロ− [1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリンの製造
5−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]キナゾリン−10−オール1グラム(3.3mmol)をオキシ塩化リン15mLに加え、撹拌しながら110℃に昇温して24時間反応させ、常温に冷却して、砕いた氷を入れた500mLガラスビーカーに注入し、炭酸カリウムを加えてPH=8にし、酢酸エチルで抽出して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させ、黄色固体0.5グラムを得て、収率は45%であった。MS:309(M+H)
【0147】
【化60】
【0148】
ステップ12)N−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−5−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造
10−クロロ−5−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.3mmol)、4−クロロ−3−フルオロアニリン60mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて微黄色固体90mgを得た,収率は42%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.45 (s, 1H), 8.73 (s, 1H), 7.97−7.94 (m, 1H), 7.66−7.65 (m, 1H), 7.54 (t, 1H, J=8.9Hz), 7.14 (s, 1H), 5.20−5.18 (m, 1H), 4.61−4.59 (m, 2H), 4.45−4.44 (m, 2H), 3.96−3.88 (m, 3H), 3.81−3.79 (m, 1H), 2.37−2.34 (m, 1H), 2.08−2.06 (m, 1H). MS: 418(M+H) +.
【0149】
【化61】
【0150】
実施例24
N−(3−エチニルフェニル)−5−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−24)
ステップ1)−ステップ6)は実施例1と同様である。
ステップ7)−ステップ11)は実施例23と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−(テトラヒドロフラン−3−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.3mmol)、3−アルキニルアニリン42mg(0.36mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて白色固体70mgを得た,収率は52%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.43 (s, 1H), 8.72 (s, 1H), 7.83 (s, 1H), 7.71 (d,1H, J=8Hz), 7.48 (t, 1H, J=8Hz), 7.40 (d,1H, J=8Hz), 7.07 (s,1H), 5.21−5.19 (m, 1H), 4.62−4.61 (m, 2H), 4.45−4.44 (m, 2H), 4.28 (s, 1H), 3.98−3.88 (m, 3H), 3.81−3.77 (m, 1H), 2.37−2.34 (m, 1H), 2.08−2.06 (m, 1H). MS: 390(M+H) +.
【0151】
実施例25
N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−(1−メトキシプロパン−2−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−25)
ステップ1)−ステップ6)は実施例1と同様である。
【0152】
【化62】
【0153】
ステップ7)8−(1−メトキシプロパン−2−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル2.1グラム(10mmol)、トリフェニルホスフィン4.6グラム(15mmol)、アゾジカルボン酸ジエチル2.6グラム(15mmol)、1−メトキシプロパン−2−オール1.0グラム(11mmol)及びテトラヒドロフラン70mLを混合し、常温で20時間撹拌して、濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチルの体積比は5/1である)を通過させて白色固体2.7グラムを得て、収率は95%であった。MS:283(M+H)
【0154】
【化63】
【0155】
ステップ8)8−(1−メトキシプロパン−2−オキシ)−6−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−(1−メトキシプロパン−2−オキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル2.5グラム(8.8mmol)を氷酢酸24mLに加え、0℃で撹拌しながらそれに氷酢酸8mLと発煙硝酸(98%)16mLとの混合酸を低下し、20分間滴下終了後、反応系を1時間撹拌し続け、砕いた氷を入れた500mLビーカーに注入し、1時間撹拌し、濾過して乾燥させ、黄色固体2.7グラムを得て、収率は95%であった。
【0156】
【化64】
【0157】
ステップ9)8−(1−メトキシプロパン−2−オキシ)−6−アミノ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−(1−メトキシプロパン−2−オキシ)−6−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル2.6グラム(8mmol)と亜鉛粉2.6グラム(40mmol)を氷酢酸20mLに加え、40℃で撹拌しながら30分間反応させ、濾過して濃縮させ、酢酸エチル50mLで溶解して、水洗して無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮させて黄色固体2.4グラムを得て、収率は95%であった。MS: 298(M+H)
【0158】
【化65】
【0159】
ステップ10)5−(1−メトキシプロパン−2−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−オールの製造
8−(1−メトキシプロパン−2−オキシ)−6−アミノ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル2.4グラム(7.7mmol)とホルムアミド10mLを混合し、撹拌しながら150℃に加熱して20時間反応させ、常温に冷却して、減圧濃縮させ、酢酸エチルで洗浄して、濾過して乾燥させ、灰色固体2.2グラムを得て、収率は95%であった。MS: 293(M+H)
【0160】
【化66】
【0161】
ステップ11)10−クロロ−5−(1−メトキシプロパン−2−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリンの製造
5−(1−エトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]キナゾリン−10−オール2グラム(6.8mmol)をオキシ塩化リン15mLに加え、撹拌しながら110℃に昇温して24時間反応させ、常温に冷却して、砕いた氷を入れた500mLガラスビーカーに注入し、炭酸カリウムを加えてPH=8にし、酢酸エチルで抽出して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させ、黄色固体1.1グラムを得て、収率は53%であった。MS:311(M+H)
【0162】
【化67】
【0163】
ステップ12)N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−(1−メトキシプロパン−2−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造
10−クロロ−5−(1−メトキシプロパン−2−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.3mmol)、4−クロロ−3−フルオロアニリン60mg(0.40mmol)及びイソプロパノールを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて微黄色固体90mgを得た,収率は62%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 10.52 (s, 1H), 8.75 (s, 1H), 7.95−7.92 (m, 1H),7.66−7.63 (m, 1H), 7.54 (t, 1H, J=8.9Hz), 7.21 (s, 1H), 4.83−4.78 (m, 1H), 4.60 (br, 2H), 4.45 (br, 2H), 3.60−3.58 (m, 2H), 3.31 (s, 3H), 1.33 (d, 3H, J=6.4Hz);MS: 420(M+H)+.
【0164】
【化68】
【0165】
実施例26
N−(3−エチニルフェニル)−5−(1−メトキシプロパン−2−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−26)
ステップ1)−ステップ6)は実施例1と同様である。
ステップ7)−ステップ11)は実施例25と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−(1−メトキシプロパン−2−オキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.3mmol)、3−アルキニルアニリン42mg(0.36mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて微黄色固体80mgを得た,収率は59%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 9.65 (s, 1H), 8.43 (s, 1H), 8.07 (s, 1H), 7.89−7.87 (m, 1H), 7.38 (t, 1H, J=8Hz), 7.22−7.20 (m, 1H), 6.94 (s, 1H), 4.88−4.83 (m, 1H), 4.60 (br, 2H), 4.41 (br, 2H), 4.20 (s, 1H), 3.57−3.53 (m, 2H), 3.31 (s, 3H), 1.29 (d, 3H, J=6.4Hz);MS: 392(M+H)+.
【0166】
【化69】
【0167】
実施例27
N−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル)−5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−27)
ステップ1)−ステップ11)は実施例1と同様である。
ステップ12)10−クロロ−5−イソプロポキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]キナゾリン100mg(0.3mmol)、3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)アニリン75mg(0.3mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて微黄色固体90mgを得た,収率は50%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz): δ 8.64−8.62(m, 2H), 7.51−7.47(m, 1H), 7.33−7.31(m, 1H), 7.19−7.18(m, 1H), 6.98−6.97(m, 3H), 5.31(s, 2H), 4.73−4.70(m, 3H), 4.58(br, 1H), 4.43(br, 1H), 1.34(d, 6H, J=6Hz);MS: 492(M+H)+.
【0168】
【化70】
【0169】
実施例28
N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−メトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−28)
ステップ1)8−メトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ベンゾジオキサン−5−蟻酸メチルの製造
8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン−5−蟻酸メチル(4.20g、0.02mol)をDMF50mLに溶解し、炭酸カリウム(4.14g、0.03mol)を加えて、温度を70℃に調節し、さらにヨードメタン(1.5mL、0.024mol)を加え、70℃で反応させ続け、TLCで反応過程を監視して、反応終了後、反応液を氷水100mLに注入して、濾過して沈殿物を収集し、洗浄して乾燥させ、黄色固体4.2gを得た,収率は95%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 3.88(s, 3H), 3.94(s, 3H), 4.37−4.40(m, 4H), 6.53(d, J=4.4Hz, 1H), 7.51(d, J=4.4Hz, 1H).
【0170】
【化71】
【0171】
ステップ2)8−メトキシ−6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ベンゾジオキサン−5−蟻酸メチルの製造
8−メトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ベンゾジオキサン−5−蟻酸メチル(4.2g、0.019mol)を酢酸10mLに加えて、氷浴条件において撹拌し、系内の温度を10℃以下に保持した。さらに、濃硝酸20mLを1滴ずつ緩やかに加えて、系の温度を10℃程度に維持し、TLCで反応過程を検査し、3〜4時間後反応を終了させ、反応液を氷水100mLに注入して、濾過して沈殿させ、純水で中性になるまで洗浄して、乾燥させて黄色固体4.0gを得た,収率は79%であった。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 3.97(s, 3H), 3.99(s, 3H), 4.37−4.39(m, 2H), 4.43−4.45(m, 2H), 7.41(s, 1H).
【0172】
【化72】
【0173】
ステップ3)6−アミノ−8−メトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ベンゾジオキサン−5−蟻酸メチルの製造
8−メトキシ−6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ベンゾジオキサン−5−蟻酸メチル(2.69g、0.01mol)をエタノール50mLに溶解して、少量のパラジウムカーボンを加え、水素環境において反応させ、6〜8時間後、反応過程を検査し、当反応終了後、パラジウムカーボンを濾過して、減圧して回転蒸発してエタノールを除去し、灰色固体を得て、エタノールで再結晶させて、白色結晶2.4gを得た,収率は95%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 3.87(s, 3H), 3.88(s, 3H), 4.27−4.29(m, 2H), 4.31−4.33(m, 2H), 5.32(s, 2H), 5.84(s, 1H).
【0174】
【化73】
【0175】
ステップ4)5−メトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10(9H)−オンの製造
中間体の6−アミノ−8−メトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ベンゾジオキサン−5−蟻酸メチル(2.39g、0.01mol)をホルムアミド30mLに加え、系を150℃に加熱して、8〜10時間反応させ、TLCで反応過程を検査し、反応終了後、加熱を停止し、減圧して溶剤を除去し、酢酸エチルで洗浄して、濾過して沈殿させて灰色固体2.3gを得て、収率は96%であった。
H NMR (CDCl, 400 MHz, δ ppm): 3.87(s, 3H), 4.26−4.31(m, 4H), 6.75(s, 1H), 7.85(s, 1H), 11.75(s, 1H).
【0176】
【化74】
【0177】
ステップ5)10−クロロ−5−メトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリンの製造
5−メトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10(9H)−オン(2.3g、0.01mol)を無水オキシ塩化リン30mLに加えて加熱して還流し、6〜8時間反応させ、TLCで反応過程を検査して、待反応終了後、反応液を氷水に注入し、濾過して沈殿させ、中性になるまで水洗し、乾燥させ白色固体1.3gを得た、収率は55%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 4.07(s, 3H), 4.50(s, 4H), 7.09(s, 1H), 8.81(s, 1H).
【0178】
【化75】
【0179】
ステップ6)N−(3−エチニル)−5−メトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造
10−クロロ−5−メトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン(1.3g、0.005mol)をイソプロパノール20mLに加えて、さらに3−アルキニルアニリン(1.35mL、0.012mol)を加えて加熱して還流し、TLCで反応過程を検査し、原料がなくなった後、反応を停止して系を室温に冷却して、濾過して沈殿させ、イソプロパノールで2〜3回洗浄し、乾燥させて白色固体0.83gを得た,収率は51%であった。1H NMR (MeOD−d6, 400 MHz, δ ppm): 3.61(s, 1H), 4.06(s, 3H), 4.50(t, J=3.6Hz, 2H), 4.69(t, J=3.6Hz, 2H), 5.50(s, 1H), 6.90(s, 1H), 7.41−7.47(m, 2H), 7.70(d, J=3.8Hz, 1H), 7.88(s, 1H), 8.60(s, 1H). MS: 334.1(M+H)+.
【0180】
実施例29
N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−メトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−29)
ステップ1)−ステップ5)は実施例28と同様である。
ステップ6)N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−メトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造
10−クロロ−5−メトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.4mmol)をイソプロパノール2mLに加え、さらに4−フルオロ−3−クロロアニリン60mg(0.40mmol)を加え、加熱して還流し、TLCで反応過程を検査し、原料がなくなった後、反応を停止して、系を室温に冷却して、濾過して沈殿させ、イソプロパノールで2〜3回洗浄して、乾燥させ、黄色固体80mgを得た,収率は50%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 3.98(s, 3H), 4.44(q, J=4.6Hz, 2H), 4.60(q, J=4.6Hz, 2H), 7.08(s, 1H), 7.54(t, J=9.2Hz, 1H), 7.63−7.67(m, 1H), 7.94(q, J=6.8Hz, 1H), 8.75(s, 1H), 10.50(s, 1H);MS: 362.1(M+H)+.
【0181】
【化76】
【0182】
実施例30
N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−(2−メトキシエチル)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−30)
ステップ1)−ステップ5)は実施例28と同様である。
ステップ6)10−クロロ−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、4−フルオロ−3−クロロアニリン60mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体60mgを得た,収率は40%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 3.47(s, 3H), 3.83(t, J=4.0Hz, 2H), 4.34(t, J=4.2Hz, 2H), 4.56(t, J=2.0Hz, 2H), 4.69(t, J=3.8Hz, 2H), 7.26(t, J=7.6Hz, 1H), 7.56−7.60(m, 1H), 7.64(s, 1H), 7.82(q, J=6.4Hz, 1H), 8.64(s, 1H), 10.00(s, 1H); MS: 406.1(M+H)+.
【0183】
【化77】
【0184】
実施例31
N−(3−エチニルフェニル)−5−(2−メトキシエチル)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−31)
ステップ1)−ステップ5)は実施例28と同様である。
ステップ6)10−クロロ−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、3−アルキニルアニリン40mg(0.33mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体60mgを得た,収率は42%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 3.18(s, 1H), 3.47(s, 3H), 3.82(t, J=4.0Hz, 2H), 4.34(t, J=4.0Hz, 2H), 4.55(s, 2H), 4.69(s, 2H), 7.44(d, J=2.4Hz, 2H), 7.64(s, 1H), 7.74(s, 1H), 7.79(s, 1H), 8.47(s, 1H), 10.06(s, 1H). MS: 378.1(M+H)+.
【0185】
【化78】
【0186】
実施例32
N−(4−フルオロフェニル)−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−32)
ステップ1)−ステップ5)は実施例28と同様である。
【0187】
ステップ6)10−クロロ−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、4−フルオロアニリン40mg(0.36mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体70mgを得た,収率は52%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 3.33(s, 3H), 3.72(t, J=4.0Hz, 2H), 4.24(t, J=4.0Hz, 2H), 4.40(t, J=4.0Hz, 2H), 4.58(s, 2H), 6.88(s, 1H), 7.21(t, J=8.8Hz, 2H), 7.82(t, J=5.2Hz, 2H), 8.36(s, 1H), 9.55(s, 1H);MS: 372.1(M+H) +.
【0188】
実施例33
5−(2−メトキシフェニル)−N−(3−メトキシエチル)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−33)
ステップ1)−ステップ5)は実施例28と同様である。
ステップ6)10−クロロ−5−(2−メトキシエトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、3−メトキシアニリン40mg(0.36mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体60mgを得た,収率は44%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 3.47(s, 3H), 3.83(t, J=4.0Hz, 2H), 3.88(s, 3H), 4.35(t, J=4.2Hz, 2H), 4.55(d, J=2.0Hz, 2H), 4.67(d, J=2.0Hz, 2H), 6.88(q, J=8.4Hz, 1H), 7.19(d, J=4.0Hz, 1H), 7.33−7.41(m, 2H), 8.47(s, 1H), 10.05(s, 1H);MS: 384.2(M+H) +.
【0189】
【化79】
【0190】
実施例34
N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−34)
ステップ1)8−エトキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル(4.20g、0.02mol)をDMF50mLに溶解して、炭酸カリウム(4.14g、0.03mol)を加え、温度を70℃に調節し、さらにブロモエタン(1.8mL、0.024mol)を加え、70℃で反応させ続け、TLCで反応過程を監視して、反応終了後、反応液を氷水100mLに注入して、濾過して沈殿物を収集し、洗浄して乾燥させ、黄色固体4.3gを得た。収率は95%であった。
【0191】
【化80】
【0192】
ステップ2)8−エトキシ−6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ベンゾジオキサン−5−蟻酸メチルの製造
8−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ベンゾジオキサン−5−蟻酸メチル(4.2g、0.0176mol)を酢酸20mLに加え、氷浴条件において撹拌し、系内の温度を10℃以下に保持した。さらに濃硝酸20mLを1滴ずつ緩やかに滴下し、系の温度を10℃程度に維持して、TLCで反応過程を検査し、3〜4時間後反応を終了させ、反応液を氷水100mLに注入し、濾過して沈殿させ、純水で中性になるまで洗浄して乾燥させ、黄色固体4.1gを得た。収率は81%であった。
【0193】
【化81】
【0194】
ステップ3)6−アミノ−8−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ベンゾジオキサン−5−蟻酸メチルの製造
8−エトキシ−6−ニトロ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ベンゾジオキサン−5−蟻酸メチル4.1グラム(14.5mmol)と亜鉛粉2.6グラム(40mmol)を氷酢酸20mLに加え、40℃で撹拌しながら30分間反応させ、濾過して濃縮させ、酢酸エチル50mLで溶解して、水洗して無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮させて黄色固体3.5グラムを得て、収率は95%であった。
【0195】
【化82】
【0196】
ステップ4)5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10(9H)−オンの製造
6−アミノ−8−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ベンゾジオキサン−5−蟻酸メチル3.5グラム(14mmol)とホルムアミド10mLを混合し、撹拌しながら150℃に加熱して20時間反応させ、常温に冷却して、減圧濃縮させ、酢酸エチルで洗浄して、濾過して乾燥させ、灰色固体3.5グラムを得て、収率は95%であった。
【0197】
【化83】
【0198】
ステップ5)10−クロロ−5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリンの製造
5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10(9H)−オン1グラム(4mmol)をオキシ塩化リン15mLに加え、撹拌しながら110℃に昇温して24時間反応させ、常温に冷却して、砕いた氷を入れた500mLガラスビーカーに注入し、炭酸カリウムを加えてPH=8にし、酢酸エチルで抽出して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させ、黄色固体0.6グラムを得て、収率は55%であった。
【0199】
【化84】
【0200】
ステップ6)N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造
10−クロロ−5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、4−フルオロ−3−クロロアニリン60mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体60mgを得た,収率は40%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 1.56(t, J=4.0Hz, 3H), 4.06(s, 3H), 2.35(t, J=4.0Hz, 2H), 4.56(s, 2H), 4.67(s, 2H), 7.28(s, 1H), 7.71(s, 1H), 7.78(d, J=2.0Hz, 1H), 8.56(s, 1H), 9.89(s, 1H).HRMS(ESI) m/z: C18H16ClFN3O3, calculated 376.0864 [M+H]+, found 376.0861 [M+H]+.
【0201】
【化85】
【0202】
実施例35
5−エトキシ−N−(3−エチニルフェニル)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−35)
ステップ1)−ステップ5)は実施例34と同様である。
ステップ6)10−クロロ−5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、3−アルキニルアニリン40mg(0.33mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体65mgを得た,収率は45%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 1.54(t, J=8.0Hz, 3H), 3.18(s, 1H), 4.31(t, J=7.0Hz, 2H), 4.57(t, J=3.8Hz, 2H), 4.69(t, J=3.8Hz, 2H), 7.45(d, J=4.0Hz, 2H), 7.67(s, 1H), 7.74(t, J=2.8Hz, 1H), 7.81(s, 1H), 8.50(s, 1H), 10.02(s, 1H).
HRMS(ESI) m/z: C20H17N3O3, calculated 348.1348 [M+H]+, found 348.1345 [M+H]+.
【0203】
【化86】
【0204】
実施例36
5−エトキシ−N−(3−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−36)
ステップ1)−ステップ5)は実施例34と同様である。
ステップ6)10−クロロ−5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、3−メトキシアニリン40mg(0.36mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体90mgを得た,収率は66%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz, δ ppm): 1.43(t, J=6.8Hz, 3H), 3.74(s, 3H), 4.21(t, J=4.0Hz, 2H), 4.45(s, 2H), 4.62(s, 2H), 6.90−6.93(m, 1H), 7.11(s, 1H), 7.20(t, J=4.0Hz, 1H), 7.27(s, 1H), 7.38(t, J=8.0Hz, 1H), 8.72(s, 1H).HRMS(ESI) m/z: C20H17N3O3, calculated 354.1454 [M+H]+, found 354.1452 [M+H]+.
【0205】
【化87】
【0206】
実施例37
N−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−37)
ステップ1)−ステップ5)は実施例34と同様である。
ステップ6)10−クロロ−5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、3−クロロ−4−メトキシアニリン40mg(0.36mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体70mgを得た,収率は52%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz, δ ppm): 1.43(t, J=8.0Hz, 3H), 2.37(s, 3H), 4.22(q, J=12.0Hz, 2H), 4.45(s, 2H), 4.61(s, 2H), 7.04(s, 1H), 7.44(d, J=4.0Hz, 1H), 7.51−7.53(m, 1H), 7.80(s, 1H),8.74(s, 1H),10.49(s, 1H). HRMS(ESI) m/z: C19H18ClN3O3, calculated 372.1115 [M+H]+, found 372.1112[M+H]+
【0207】
【化88】
【0208】
実施例38
N−(3−ニトロフェニル)− 5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−38)
ステップ1)−ステップ5)は実施例34と同様である。
ステップ6)10−クロロ−5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、3−ニトロアニリン40mg(0.36mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体60mgを得た,収率は42%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 1.57(t, J=4.0Hz, 3H), 4.35(d, J=4.0Hz, 2H), 4.59(s, 2H), 4.71(s, 2H), 7.65−7.69(m, 1H), 7.72(s, 2H), 8.15−8.20(m, 2H), 8.53(s, 2H), 10.01(s, 1H).HRMS(ESI) m/z: C18H16N4O5, calculated 369.1199 [M+H]+, found 369.1196 [M+H]+.
【0209】
【化89】
【0210】
実施例39
5−エトキシ−N−(4−メトキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−39)
ステップ1)−ステップ5)は実施例34と同様である。
ステップ6)10−クロロ−5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン100mg(0.33mmol)、4−メチルアニリン40mg(0.36mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体90mgを得た,収率は65%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 1.51(t, J=6.0Hz, 3H), 2.41(s, 3H), 4.24(q, J=13.8Hz, 2H), 4.56(q, J=4.6Hz, 2H), 4.68(q, J=4.6Hz, 2H), 7.28(d, J=1.4Hz, 2H), 7.52−7.56(m, 3H), 8.40(s, 1H), 7.81(s, 1H), 9.99(s, 1H). HRMS(ESI) m/z: C19H19N3O3, calculated 338.1505 [M+H]+, found 338.1507 [M+H]+.
【0211】
【化90】
【0212】
実施例40
N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−5−(テトラヒドロフラン−2−メトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサノ[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−40)
ステップ1) 8−(テトラヒドロフラン−2−メトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル(中間体6、4.20g、0.02mol)をDMF50mLに溶解して、炭酸カリウム(4.14g、0.03mol)を加え、温度を70℃に調節し、さらに2−(ブロモメチル)テトラヒドロフラン(3.52mL、0.03mol)を加えて、80℃で反応させ続け、TLCで反応過程を監視し、反応終了後、反応液を氷水100mLに注入して、濾過して沈殿物を収集し、洗浄して乾燥させ、黄色固体4.3gを得た。収率は95%であった。
【0213】
【化91】
【0214】
ステップ2)6−ニトロ−8−(テトラヒドロフラン−2−メトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
8−(テトラヒドロフラン−2−メトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル4.3グラム(15mmol)を氷酢酸42mLに加え、0℃で撹拌しながらそれに氷酢酸14mLと発煙硝酸(98%)28mLとの混合酸を滴下し、20分間滴下終了後、反応系を1時間撹拌し続け、砕いた氷を入れた500mLビーカーに注入して、1時間撹拌し、濾過して乾燥させ、黄色固体5.0グラムを得て、収率は95%であった。
【0215】
【化92】
【0216】
ステップ3)6−アミノ−8−(テトラヒドロフラン−2−メトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチルの製造
6−ニトロ−8−(テトラヒドロフラン−2−メトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル5グラム(0.015mol)と亜鉛粉2.6グラム(0.04mol)を氷酢酸20mLに加え、40℃で撹拌しながら30分間反応させ、濾過して濃縮させ、酢酸エチル50mLで溶解して、水洗して無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮させて黄色固体4.5グラムを得て、収率は95%であった。
【0217】
【化93】
【0218】
ステップ4)5−(テトラヒドロフラン−2−メトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10(9H)−オンの製造
6−アミノ−8−(テトラヒドロフラン−2−メトキシ)−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン−5−蟻酸メチル4.5グラム(15mmol)とホルムアミド15mLとを混合し、撹拌しながら150℃に加熱して20時間反応させ、常温に冷却して、減圧濃縮させ、酢酸エチルで洗浄して、濾過して乾燥させ、灰色固体4.5グラムを得て、収率は95%であった。
【0219】
【化94】
【0220】
ステップ5)10−クロロ−5−(テトラヒドロフラン−2−メトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリンの製造
5−(テトラヒドロフラン−2−メトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10(9H)−オン1.5グラム(5mmol)をオキシ塩化リン15mLに加え、撹拌しながら110℃に昇温して24時間反応させ、常温に冷却して、砕いた氷を入れた500mLガラスビーカーに注入して、炭酸カリウムを加えてPH=8にし、酢酸エチルで抽出して、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させ、黄色固体0.7グラムを得て、収率は40%であった。
【0221】
【化95】
【0222】
ステップ6)N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−5−(テトラヒドロフラン−2−メトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−40)
10−クロロ−5−(テトラヒドロフラン−2−メトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン150mg(0.35mmol)、4−フルオロ−3−クロロアニリン60mg(0.40mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体100mgを得た,収率は49%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz, δ ppm): 1.72−2.04(m, 4H), 3.70(d, J=4.0Hz, 1H), 3.82(d, J=4.0Hz, 1H), 4.11(t, J=4Hz, 1H), 4.19(t, J=4Hz, 1H), 4.24(s, 1H),4.46(s, 2H), 4.61(s, 2H), 7.08(s, 1H), 7.54(d, J=8Hz, 1H), 7.63−7.67(m, 1H),7.93−7.95(m, 1H), 8.74(s, 1H),10.52(s, 1H).HRMS(ESI)m/z: C20H18ClFN3O4, calculated 432.1126 [M+H]+, found 432.1125 [M+H]+.
【0223】
【化96】
【0224】
実施例41
N−(3−エチニル)−5−(テトラヒドロフラン−2−メトキシ)−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン−10−アミンの製造(I−41)
ステップ1)−ステップ5)は実施例40と同様である。
ステップ6)10−クロロ−5−エトキシ−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキサン[2,3−f]キナゾリン150mg(0.35mmol)、3−アルキニルアニリン45mg(0.38mmol)及びイソプロパノール3mLを混合し、撹拌しながら80℃に加熱し、4時間反応させ、常温に冷却して濃縮させ、シリカゲル(200−300メッシュ)カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールの体積比は100/1である)を通過させて黄色固体95mgを得た,収率は45%であった。1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz, δ ppm): 1.72−2.04(m, 4H), 3.71(t, J=8.0Hz, 1H), 3.82(d, J=4.0Hz, 1H), 4.10(s, 1H), 4.25(s, 1H), 4.26−4.29(m, 2H), 4.45(s, 2H), 4.62(s, 2H), 7.06(s, 1H), 7.39−7.46(m, 2H), 7.48−7.82(m,2H), 8.71(s, 1H), 10.45(s, 1H).
HRMS(ESI) m/z: C23H22N3O4, calculated 404.1610 [M+H]+, found 404.1611 [M+H]+.
【0225】
【化97】
【0226】
実施例42
4−((3−エチニルフェニル)アミノ)−6−(3−モルホリノプロピル)−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オンの製造(II−1)
【0227】
【化98】
【0228】
ステップ1)4−ヒドロキシ−3ニトロ安息香酸メチルの製造
原料として4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸(9.15g、0.05mol)をメタノール100mLに溶解して、濃硫酸5mLを滴下し、加熱して還流し、6〜8時間反応させ、TLCで反応過程を検査して、原料がなくなった後、加熱を停止し、反応液中の大部分のメタノールを蒸発除去して、残留物を氷水500mLに注入し、濾過して沈殿物を収集して、中性になるまで水洗し、乾燥させて黄色固体8.6gを得た,収率は87%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 3.96(s, 1H), 7.23−7.28(m, 1H), 8.25(d, J=4.4Hz, 1H), 8.84(s, 1H), 10.90(s, 1H).
【0229】
【化99】
【0230】
ステップ2)4−(2−エトキシ−2−オキソ−エトキシ)−3−ニトロ安息香酸メチルの製造
中間体の4−ヒドロキシ−3ニトロ安息香酸メチル(9.85g、0.05mol)をDMFに加え、炭酸カリウム(20.7g、0.15mol)を加えて、室温でしばらく撹拌した後、ブロモ酢酸エチル(6.65mL、0.06mol)と少量のヨウ化カリウムを加えて、温度を80℃に調整して、6〜8時間反応させ、TLCで反応過程を検査して、反応終了後、反応液を氷水500mLに注入して、濾過して沈殿させ、2〜3回水洗して、乾燥させて淡黄色固体12.7gを得た,収率は90%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 1.29(t, J=7.0Hz, 3H), 3.94(s, 3H), 4.27(q, J=7.2, 2H), 4.85(s, 2H), 7.01(d, J=4.4Hz, 1H), 8.18−8.20(m, 1H), 8.53(s, 1H).
【0231】
【化100】
【0232】
ステップ3)3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]アジン−6−蟻酸メチルの製造
中間体として4−(2−エトキシ−2−オキソ−エトキシ)−3−ニトロ安息香酸メチル(2.83g、0.01mol)を酢酸50mLに加え、60℃に昇温して、撹拌しながら鉄粉(2.24g、0.04mol)を緩やかに加え、該温度で保温して5〜7時間反応させ、TLCで反応過程を検査して、原料がなくなった後、熱いうち濾過して、濾取物を熱い酢酸で2〜3回洗浄して、濾液を収集し、減圧して回転蒸発して大部分の酢酸を除去し、残留物氷水に注入して、沈殿物を収集し、中性になるまで水洗して、乾燥させ、白色固体1.3gを得た,収率は65%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 3.39(s,3H), 4.72(s, 2H), 7.02(t, J=4.2Hz, 1H), 7.57(s, 1H), 7.71−7−73(m, 1H), 8.63(s, 1H).
【0233】
【化101】
【0234】
ステップ4)7−ニトロ−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾアジン−6−蟻酸メチルの製造
中間体として3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]アジン−6−蟻酸メチル(10.35g、0.05mol)をニトロメタン100mLに加え、同時に発煙硝酸(0.66mL、0.015mol)を緩やかに滴下して、常温で40分間撹拌した後、ニトロメタン(3.96mL、0.09mol)を緩やかに滴下して、温度を35℃に調整し、1時間反応させた後、温度を室温に調整して、2〜4時間撹拌し続け、反応終了後、減圧して大量のニトロメタンを蒸発除去し、残留物を氷水500mLに投入して、沈殿物を収集して、中性になるまで水洗し、乾燥させて淡黄色固体6.9gを得た,収率は55%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 3.82(s, 3H), 4.77(s, 2H), 7.21(s, 1H), 7.64(s, 1H), 11.30(s, 1H).
【0235】
【化102】
【0236】
ステップ5)4−(3−モルホリノプロピル)−7−ニトロ−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾアジン−6−蟻酸メチルの製造
中間体として7−ニトロ−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾアジン−6−蟻酸メチル(2.52g、0.01mol)をDMF50mLに加え、炭酸カリウム(4.14g、0.03mol)を加えて、室温でしばらく撹拌した。次にN−(3−クロロプロピル)モルホリン(2.45g、0.015mol)と少量のヨウ化カリウムを加え、70℃に昇温して6〜8時間反応させ、TLCで反応過程を検査して、原料がなくなった後、反応液を氷水100mLに注入し、濾過して沈殿させ、水洗して乾燥させ、黄色固体2.6gを得た,収率は75%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 1.84(m, J=6.8Hz, 2H), 2.37−2.40(m, 6H), 3.68(t, J=4.4Hz, 4H), 3.89(s, 3H), 4.05(t, J=7.2Hz, 2H), 4.71(s, 2H), 7.39(s, 1H), 7.52(s, 1H).
【0237】
【化103】
【0238】
ステップ6)7−アミノ−4−(3−モルホリノプロピル)−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン−6−蟻酸メチルの製造
4−(3−モルホリノプロピル)−7−ニトロ−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾアジン−6−蟻酸メチル(3.79g、0.01mol)と少量のパラジウムカーボンをメタノール50mLに加え、水素環境において反応させて、6〜8時間後、反応過程を検査し、反応終了後、珪藻土で濾過してパラジウムカーボンを除去し、メタノールで2〜3回洗浄して、濾液を収集し、メタノールを蒸発除去して黒灰色固体を得て、エタノールで再結晶させて、灰色結晶1.8gを得た,収率は50%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 1.86(m, J=7.2Hz, 2H), 2.44(m, 6H), 3.73(t, J=4.6Hz, 4H), 3.88(s, 3H), 4.00(t, J=7.4Hz, 2H), 4.59(s, 2H), 5.70(s, 2H), 6.29(s, 1H), 7.50(s, 1H).
【0239】
【化104】
【0240】
ステップ7)6−(3−モルホリノプロピル)−3H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−4,7(6H,8H)−ジオンの製造
7−アミノ−4−(3−モルホリノプロピル)−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−[1,4]ベンゾオキサジン−6−蟻酸メチル(3.49g、0.01mol)をホルムアミド50mLに加えて、150℃に昇温し、15〜20時間反応させ、TLCで反応過程を検査して、反応終了後、減圧蒸留して大部分のホルムアミドを除去し、残留物をメタノールで2〜3回洗浄して、濾過して土灰色固体0.86gを得た,収率は25%であった。MS(m/z): 345.2 [M+H]+.
【0241】
【化105】
【0242】
ステップ8)4−クロロ−6−(3−モルホリノプロピル)−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オンの製造
中間体として6−(3−モルホリノプロピル)−3H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−4,7(6H,8H)−ジオン(3.44g、0.01mol)をオキシ塩化リン50mLに加え、加熱して8〜10時間還流し、TLCで反応過程を検査して、反応終了後、大部分のオキシ塩化リンを蒸発除去し、残留物に飽和炭酸水素ナトリウム溶液を弱アルカリ性になるまで加えて、酢酸エチルで3回抽出し、有機相を収集して、乾燥させ、乾固するまで回転して黄色固体を得て、さらにジクロロメタン:メタノール=10:1を移動相としてカラムを通過させて精製して目的化合物を得て、精製品は白色固体0.72gであった,収率は20%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 1.87(t, J=8.0Hz, 2H), 2.36−2.47(m, 6H), 3.70(t, J=4.0Hz, 4H), 4.20(t, J=7.8Hz, 2H), 4.86(s, 2H), 7.59(s, 1H), 7.75(s, 1H), 8.96(s, 1H).
ESI−MS(m/z): 363.4 [M+H]+.
【0243】
【化106】
【0244】
ステップ9)4−((3−エチニルフェニル)アミノ)−6−(3−モルホリノプロピル)−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オンの製造
4−クロロ−6−(3−モルホリノプロピル)−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オン(3.62g、0.01mol)と3−エチニルアニリン(2.55g、0.015mol)をイソプロパノール30mLに加えて、加熱して還流し、6〜8時間反応させ、反応終了後、加熱を停止し、系が室温に冷却した後、濾過して沈殿させ、ホワイトピンク色の固体を得て、さらにジクロロメタン:メタノール=10:1を移動相とするカラムクロマトグラフィーで精製して、最終的な目的生成物を得て、精製品は白色固体2.7gであった, 収率は60%であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 1.96(t, J=8.0Hz, 2H), 2.47−2.53(m, 6H), 3.72−3.74(t, J=4.0Hz, 4H), 4.22(t, J=8.0Hz, 2H), 4.82(s, 2H), 7.55−7.57(m, 3H), 7.59(s, 1H), 7.73−7.75(m, 4H), 8.94(s, 1H).
HRMS (ESI) m/z: C25H26N5O3, calculated 444.2036 [M+H]+, found 444.2030 [M+H]+.
【0245】
実施例43
4−((3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ)−6−(3−モルホリノプロピル)−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オンの製造(II−2)
ステップ1)−ステップ8)は実施例42と同様である。
ステップ9)4−クロロ−6−(3−モルホリノプロピル)−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オン(3.62g、0.01mol)と3−クロロ−4−フルオロアニリン(2.2g、0.015mol)をイソプロパノール30mLに加えて、加熱して還流し、6〜8時間反応させ、反応終了後、加熱を停止し、系が室温に冷却した後、濾過して沈殿させ、ホワイトピンク色の固体を得て、さらにジクロロメタン:メタノール=10:1を移動相とするカラムクロマトグラフィーにより精製して、最終的な目的生成物を得て、精製品は白色固体1.3gであった,収率は28%であった。融点: 244~246℃;
1H NMR (CDCl3, 400 MHz, δ ppm): 1.98(t, J=7.6Hz, 2H), 2.51−2.53(m, 6H), 3.72(t, J=4.0Hz, 4H), 4.18(t, J=7.8Hz, 2H), 4.74(s, 2H), 7.18(t, J=4.4Hz, 1H), 7.44(s, 1H), 7.60(q, J=5.2Hz, 1H), 7.65(s, 1H), 7.90(q, J=6.4Hz, 1H), 8.32(s, 1H), 8.65(s, 1H).
HRMS (ESI) m/z: C23H24ClFN5O3, calculated 472.1552 [M+H]+, found 472.1549 [M+H]+.
【0246】
【化107】
【0247】
実施例44
4−((3−クロロ−4−メチルフェニル)アミノ)−6−(3−モルホリノプロピル)−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オンの製造(II−3)
ステップ1)−ステップ8)は実施例42と同様である。
ステップ9)4−クロロ−6−(3−モルホリノプロピル)−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オン(3.62g、0.01mol)と3−クロロ−4−メチルアニリン(2.2g、0.015mol)をイソプロパノール30mLに加えて、加熱して還流し、6〜8時間反応させ、反応終了後、加熱を停止し、系が室温に冷却した後、濾過して沈殿させ、ホワイトピンク色の固体を得て、さらにジクロロメタン:メタノール=10:1を移動相とするカラムクロマトグラフィーにより精製して、最終的な目的生成物を得て、精製品は黄色固体0.9gであった,収率は19%であった。融点: 240~243℃;
1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz, δ ppm): 2.11(t, J=7.4Hz, 2H), 2.34(s, 3H), 3.31−3.79(m, 6H), 3.89(q, J=4.0Hz, 4H), 4.33(t, J=6.8Hz, 2H), 4.86(s, 2H), 7.31−7.37(m, 2H), 7.85(q, J=4.0Hz, 1H), 8.10(s, 1H), 8.46(s, 1H), 8.54(s, 1H), 10.30(s, 1H).
HRMS(ESI) m/z: C24H27ClN5O3, calculated 468.1802 [M+H]+, found 468.1797 [M+H]+.
【0248】
【化108】
【0249】
実施例45
4−((3−メトキシ)アミノ)−6−(3−モルホリノプロピル)−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オンの製造(II−4)
ステップ1)−ステップ8)は実施例42と同様である。
ステップ9)4−クロロ−6−(3−モルホリノプロピル)−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オン(3.62g、0.01mol)と3−メトキシアニリン(1.85g、0.015mol)をイソプロパノール30mLに加えて、加熱して還流し、6〜8時間反応させ、反応終了後、加熱を停止し、系が室温に冷却した後、濾過して沈殿させ、ホワイトピンク色の固体を得て、さらにジクロロメタン:メタノール=10:1を移動相とするカラムクロマトグラフィーにより精製して、最終的な目的生成物を得て、精製品は黄色固体1.2gであった,収率は26%であった。
融点: 219~221℃. 1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz, δ ppm): 2.09(t, J=7.4Hz, 2H), 3.09−3.31(m, 6H), 3.78(m, 7H), 4.30(t, J=8.0Hz, 2H), 4.85(s, 2H), 6.98(q, J=4.0Hz, 2H), 7.28(s, 1H), 7.70(q, J=4.0Hz, 2H), 8.42(q, J=8.0Hz, 2H), 10.22(s, 1H).
HRMS (ESI) m/z: C24H28N5O4, calculated 450.2141 [M+H]+, found 450.2140 [M+H]+.
【0250】
【化109】
【0251】
実施例46
4−((3,4−二メトキシフェニル)アミノ)−6−(3−モルホリノプロピル)−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オンの製造(II−5)
ステップ1)−ステップ8)は実施例42と同様である。
ステップ9)4−クロロ−6−(3−モルホリノプロピル)−6H−[1,4]オキサジノ[3,2−g]キナゾリン−7(8H)−オン(3.62g、0.01mol)と3,4−二メトキシアニリン(2.3g、0.015mol)をイソプロパノール30mLに加えて、加熱して還流し、6〜8時間反応させ、反応終了後、加熱を停止し、系が室温に冷却した後、濾過して沈殿させ、ホワイトピンク色の固体を得て、さらにジクロロメタン:メタノール=10:1を移動相とするカラムクロマトグラフィーにより精製して、最終的な目的生成物を得て、精製品は黄色固体1.1gであった,収率は22%であった。融点248−249℃;1H NMR (DMSO−d6, 400 MHz, δ ppm): 2.11(t, J=7.2Hz, 2H), 3.14−3.27(m, 6H), 3.78(m, 10H), 4.32(s, 2H), 4.87(s, 2H), 6.98(q, J=4.0Hz, 1H), 7.30(s, 1H), 7.41(q, J=4.0Hz, 1H), 7.55(s, 1H), 8.50(q, J=4.0Hz, 1H), 10.41(s, 1H).
HRMS (ESI) m/z: C25H30N5O5, calculated 480.2247 [M+H]+, found 480.2244 [M+H]+.
【0252】
【化110】
【0253】
実施例47
EGFRチロシンキナーゼ阻害活性の測定
Kinase−Gloキナーゼ発光測定法を用いて化合物IとIIのインビトロ阻害活性を測定する。測定用のチロシンキナーゼはEGFRキナーゼであり、対照化合物は市販されたEGFR阻害剤Gefitinibである。方法は以下のとおりである。
【0254】
(1)サンプル化合物をDMSOに溶解し、次にDMSOを希釈して500μMの濃度に定量し定量プレートに移して、溶液を用量プレートに転移する。化合物を5倍の濃度でDMSOにより連続して希釈する。次にそれぞれの濃度について、反応緩衝液を用いて10倍の濃度で希釈して、10×最終濃度を得た。1μL/ウェルの用量で、濃度範囲が0.003〜50μMの化合物をEGFR活性測定プレートに移す。
(2)DMSOを用いて陽性対照物のゲフィチニブを濃度10 mMの母液に調製して、DMSOで100μMとなるまで希釈する。先ず5倍の濃度でDMSOを用いて連続して希釈する。次にそれぞれの濃度について、反応緩衝液を用いて10倍の濃度で希釈して、10×最終濃度を得た。1μL/ウェルの用量で、濃度範囲が0.00064〜10 μMの対照物をEGFR活性測定プレートに移す。
(3)HPEとZPEウェルについて、反応緩衝液を用いて2μL DMSOを10倍希釈して10% DMSO溶液を得て、次に、1μL/ウェルで活性測定プレートに移す。HPEはキナーゼと化合物を含まないが、ATP、基質及び1% DMSO溶液を含み、ZPE(0%効果)は、化合物を含まないがキナーゼ、ATP、基板及び1% DMSO溶液を含み、陽性化合物ウェルは、キナーゼ、ATP、基質及び異なる濃度の陽性化合物を含み、試験用化合物は、キナーゼ、ATP、基質及び異なる濃度の被測定化合物を含む。
(4)測定用の試薬の用意:4×ATP:ATPを測定用緩衝液において4倍希釈して作業溶液を得る。4×基質:Poly(グルコース:チロシン)を測定用緩衝液において4倍希釈して作業溶液を得た。2.5×EGFRキナーゼ:キナーゼを測定用希釈緩衝液で2.5倍希釈して作業溶液を得た。
(5)キナーゼ反応:1μL/ウェルで、10×化合物を384ウェル測定板に加える。HPEとZPEウェルについて、同じ体積(1μL/ウェル)を有する10% DMSO溶液を加え、4μL/ウェルで、2.5×EGFRキナーゼを測定プレートを加える。HPEとZPEウェルについて、同じ体積(4μL/ウェル)を有する測定用緩衝液を加え、測定プレートを遠心機に入れて1000 rpmで1分間遠心分離して系を混合し、測定プレートを30℃で30分間プレインキュベーションし、同じ体積の4×ATPと4×基質を混合して2×ATP−基質混合物を得る。該混合物はEGFRキナーゼ活性測定受容体の反応混合物である。5μL/ウェルで、2×ATP−基質混合物を測定プレートに加えて、測定プレートを遠心機に入れて1000 rpmで1分間遠心分離して系を混合し、30℃でテストプレートを1時間インキュベーションし、10μL/ウェルでKinaseglo plusをそれぞれのウェルに加え、さらに、27℃で測定プレートを20分間インキュベーションし、Envisionにより蛍光強度値を読み取る。kinaseglo plus試薬は使用前に室温で30分間放置する。
(6)生データの分析処理: Prism 5.0で生データを分析し、化合物の阻害率はCompound inhibitiory rate=(“compound”reading−ZPE)/(HPE−ZPE)×100%から計算される。
【0255】
酵素阻害活性
表1、 EGFRチロシンキナーゼ阻害活性の測定結果
【0256】
実施例48
EGFR活性の細胞測定
培養フラスコにおけるA549とH358細胞をそれぞれ消化してカウントし、A549細胞が3000個/ウェル、H358細胞が8000個/ウェルのように、96ウェルプレートに敷き、一晩放置して付着させ、96ウェルプレートにおける培養液を捨てて、異なる濃度の薬物を含む培養液を得る。被測定薬物群、空白対照群(薬剤不添加)、陽性薬物対照群(ゲフィチニブ)を設定する。薬物の調製方法:先ず薬物をDMSOに溶解し、次に濃度が66μmol/Lになるまで徐々に希釈し、その後、培養液を4倍の比で希釈して、6個の濃度勾配を作り、各々の濃度について200μl/ウェルのサブウェルを4個設定する。注意:最高濃度を有する薬物溶液に含まれるDMSOは2%未満であることが要求され、DMSOがこの濃度より高い場合は、DMSO対照群を設定すべきである。
96ウェルプレートをインキュベーターにおいて72時間インキュベートした後、培養液を捨てて、100μl/ウェルでPBS緩衝液を加えて、10μl/ウェルでCCK8試験液を加えて、インキュベーターで1時間放置した後試験し、各々の濃度について4個のサブウェルの平均吸光度値を計算して、濃度の対数をX軸、吸光度値の対数をY軸として、回帰分析を行ってIC50を計算するように、データの読み取り処理を行う。
【0257】
表2、EGFR活性の細胞測定
【0258】
用途、製剤、投与
医薬用途、適応症
本発明は、生物学データとともに化合物を提供し、これらデータにより、前記酵素による疾患の治療または予防に有利である。例えば、いくつかの本発明の化合物は、癌の成長、発育及び/または転移に関連するチロシンキナーゼEGFRとErbB2のチロシンキナーゼ活性を阻害できることが証明される。一部の本発明の化合物に対し、H358細胞とA549細胞を含む癌細胞に対して強いインビトロ阻害活性を有することが見出される。
従って、このような化合物は、キナーゼ阻害剤例えばタルセバまたはイレッサを投与することを含む他の治療方法に耐性を有する、固形腫瘍と癌を含む原発性癌と転移性癌の治療に有用である。
このような癌は、1種または複数種の他の治療に耐性を有する非小細胞肺癌、小細胞肺癌、乳癌、膵臓癌、神経膠腫、膠芽腫、卵巣癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、黒色腫、子宮内膜癌、前立腺癌、白血病、胃癌、肝癌、消化管間質腫瘍、甲状腺癌、急性骨髄性白血病、鼻咽頭癌、胆管癌を含むがこれらに制限されず、前記他の治療はイレッサまたはタルセバを含むが、これらに制限されない。
各種抗癌剤に対する耐性は、癌のメディエーターまたはエフェクターの一つまたは複数の突然変異(例えば、突然変異したキナーゼ例えば上皮成長因子受容体)による可能性があり、変化したタンパク質の薬物結合性質、例えばリン酸塩結合性質、タンパク質結合特性、自動調節またはその他の特性に繋がる。例えば、上皮成長因子受容体の場合、T790M突然変異はゲフィチニブの結合親和性を減少させると考えられる。
また、単剤療法か併用療法かに関わらず、本発明の化合物は、非小細胞肺癌(NSCLC)、乳癌及びその他の癌に効き、このような癌としては、ほかの抗癌薬物に対して部分的にまたは完全に耐性を有する癌、特にEGFRの突然変異により薬剤耐性を引き起こす非小細胞肺癌を含む。
【0259】
製薬方法
本発明の方法は、治療有効量の本発明の化合物を必要とする被験者に投与することを含む。
「治療有効量」とは、腫瘍の殺滅または抑制を効果的に検出するのに必要な量を意味し、検出には、腫瘍の成長または拡散、大きさまたは腫瘍進行の程度の検出を含む。正確な必要量は、被治療者の変化、例えば生物種、年齢及び被験者の一般的な状況、疾患、使用される特定の抗癌剤、その投与モード、他の治療方法との組み合わせによって異なる。
本発明の抗癌化合物は、好ましくは、投与が容易で、用量が均一な用量単位形式として調製する。本明細書に使用された用語「用量単位形式」とは、物理的に分離して治療すべき患者に適する抗癌剤の単位を意味する。本発明の化合物及び組成物の日合計用量は、主治医が合理的な医学的判断ルーチンに基づき決められるものである。いずれかの特定患者または生物体に用いる場合、具体的な治療有効量のレベルは、治療される病気、該病気の重篤性、使用される化合物の効果、特定組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別や飲食;投与方法や服薬スケジュール;代謝及び/または前記化合物の排泄速度;治療の継続時間;本発明の化合物と組合せまたは併用する薬物を含む複数種の要素に依存する。
【0260】
この他、所望量の組成物と適当な薬学的に許容可能な担体とを使用して製剤を製剤した後、本発明の組成物は、経口投与、直腸内投与、非経口投与、脳槽内投与、膣内投与、腹腔内投与、局所投与(例えば経皮パッチ、粉剤、軟膏、または滴剤による)、舌下投与、口腔投与、経口または鼻内噴霧投与等を介してヒトまたはほかの動物に投与できる。通常、該化合物の有効な全身用量は、患者の体重1キログラムに対して、0.1〜125ミリグラム/キログラムと0.01−500ミリグラムの範囲が好ましく、場合によって、1〜25ミリグラム/キログラムが好ましく、単回投与または複数回投与する。通常、前記化合物は、このような治療を必要とする患者1名に対して、50−2000mgの日用量範囲とする。投与には、1日、1週間(またはそれ以外の数日間の間隔)、または断続的なスケジュールに従って、単回投与しても複数回投与してもよい。例えば、前記化合物は無限期または数週間例えば4−10週間にわたり、毎日投与し、毎週の特定の時間(例えば、毎週の月曜日)に一回または数回投与する。数日間にわたり毎日投与(例えば1−30日間)した後、数日間前記化合物の投与を中止するように、周期的に無限に繰り返しまたは所定数、例えば4−10週間繰り返すことができる。例として、本発明の化合物は5日間連続して毎日投与し、次に9日間中止し、さらに、5日間連続して毎日投与し、次に9日間中止するように繰り返すか、または合計で4−10サイクル繰り返す。
化合物の有効投与量は、薬物用量に影響する周知の一部の要素に依存する。この他、インビトロまたはインビボで測定することが最適な用量範囲の確定に寄与できる。大体の有効用量はインビトロまたは動物モデルテストシステムの用量反応曲線により推定できる。正確な用量レベルは医師またはその他の医療提供者により決められる以外、投与方法、年齢、体重、性別及び個体の健康状態、性別、疾患の重篤性や臨床病期;併用治療の有無や患者の細胞の遺伝子工学的な性質や程度を含むその他の要素にも依存する。
特定の疾患状態または病症の治療または抑制のために投与する場合、本発明の化合物の有効用量は使用される特定化合物、投与条件のモード、条件と重篤性、治療条件及び関連する個人的な様々な物理的要素によって変わる。多くの場合では、該化合物の一日用量が約0.01 mg/kg−500ミリグラム/キログラムであるときに好ましい結果が得られることから、0.1−125ミリグラム/キログラムが好ましく、1−25ミリグラム/キログラムがより好ましい。一日用量は投与方法によって異なる。従って、非経口投与は、通常、約経口投与量の10%−20%である。
本発明の化合物が組合せ治療プログラムの一部として使用される場合、各々の組合せ成分の用量は、所望した治療期間において投与される。該組成物の成分は、単独した投薬単位としても2種の成分を含む単一剤型としても、同一時刻に投与することができ、組合せにおける各成分は、治療期間における異なる時間で投与し、またはあるものがほかのもの前処理として投与することができる。
【0261】
化合物について
本発明の化合物は遊離形式として治療に用いられ、または適当な場合は、薬学的に許容可能な塩または誘導体として存在することができる。本明細書に使用される用語「薬学的に許容可能な塩」とは、合理的な医学的判断によれば、過度の毒性、刺激性、アレルギー及び類似した組織接触等を引き起こさずに人間や下等動物に適用でき、合理的な利益リスク比に相応しい塩である。アミン、カルボン酸、ホスホン酸塩、及び他のタイプの化合物の薬学的に許容可能な塩は、本分野において周知のものである。該塩は本発明における化合物を分離や精製することで製造でき、または本発明の化合物単独と適当な遊離アルカリまたは酸とを反応させて製造できる。薬学的に許容可能な無毒酸付加塩は、アミノ基と、無機酸例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸や過塩素酸、または、有機酸例えば酢酸、蓚酸、マレイン酸とが形成するアミノ基塩;酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸等が公知方法、例えばイオン交換によって成形される塩である。その他の薬学的に許容可能な塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタン、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、蟻酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸、エナント酸、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、蓚酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、過3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等を含む。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を含む。その他の薬学的に許容可能な塩は、適当な無毒アンモニウム、四級アンモニウム、及び例えばハロゲンイオン、水酸根、カルボン酸根、硫酸根、リン酸根、硝酸根、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩を使用して得たアミノカチオンを含む。
【0262】
さらに、本明細書に使用されるとおり、「薬学的に許容可能なエステル」とは、生体内で加水分解できる好ましいエステルを意味し、特に、人体内で分解してその親化合物またはその塩となりやすいエステル化物を含む。適当なエステル基は、例えば、薬学的に許容可能な脂肪族カルボン酸、特にアルカン、アルケン酸、ナフテン酸及びアルカン二酸から誘導するエステルを含み、そのうち、好ましくは、それぞれのアルキル基またはアルケニル基は部分的に6個以下の炭素原子を有する。エステルの具体例として、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステル及びエチルコハク酸エステルを含む。勿論、エステルは本発明の化合物の一つのヒドロキシ基またはカルボン酸基と形成できる。
この他、本明細書に使用される用語「薬学的に許容可能なプロドラッグ」とは、医学分野において適切なプロドラッグを意味し、医学分野において適切なプロドラッグは、人間や下等動物に安全に使用でき、且つ、生体内で加水分解等の方式によって本発明の化合物に分解できる。
【0263】
組成物
本明細書の前記化合物のいずれか1種(またはプロドラッグ、その薬学的に許容可能な塩またはその他の薬学的に許容可能な誘導体)、及び1種または複数種の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む組成物を提供する。これら組成物は、さらに1種または複数種の別の治療剤を含んでもよい。または、本発明の化合物は、1種または複数種のほかの治療手段(例えば、エルロチニブまたはその他のキナーゼ阻害剤、インターフェロン、骨髄移植、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ビスフォスフォネート、サリドマイド、癌ワクチン、ホルモン療法、抗体、輻射等の併用)とともに必要な患者に投与することができる。例えば、追加した治療剤について総合的に分析して投与し、または、別の1種または複数種の抗癌剤を本発明の化合物の医薬組成物に含ませる。
本明細書に述べたとおり、本発明の組成物は本発明の化合物と薬学的に許容可能な担体とを含み、そのうち、所望した特定剤型に適用するために、本明細書では、溶剤、希釈剤またはほかの担体、分散または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固体接着剤、潤滑剤等のいずれかを含んでもよい。一部の薬学的に許容可能な担体材料の実例として、糖、例えば乳糖、グルコース及び蔗糖;澱粉、例えばコーンスターチ及びジャガイモ澱粉;セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース;トラガント粉末;麦芽;ゼラチン;タルカムパウダー;賦形剤、例えばココアバター及び座薬ワックス;油、例えばピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブオイル、コーンオイル及びダイズ油;エチレングリコール、例えばプロピレングリコール;エステル類、例えばオレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質不含水;等張食塩水;リンガー溶液;エタノール、リン酸塩緩衝溶液、及びほかの適合性を有する無毒潤滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム和ステアリン酸マグネシウム;着色剤;放出剤;コート剤;甘味剤;調味剤;芳香剤;防腐剤;抗酸化剤を含むが、これらに制限されず、これらも組成物に存在してもよい。
【0264】
処方
本発明は、本発明における活性化合物と1種または複数種の薬学的に許容可能な担体及び/または希釈剤及び/またはアジュバント(本明細書では、「担体」材料と総称される)を併用して得る組成物をさらに含み、また必要に応じて、ほかの活性成分を含んでも構わない。本発明の活性化合物は、任意の適当な方法で投与してもよいが、好ましくは、投与経路に適する医薬組成物の形式を治療に必要な有効量で投与する。本発明の化合物及び組成物は、経口投与、経粘膜投与、局所投与、直腸投与、経肺投与例えば吸入噴霧、または、非経口投与例えば、血管内投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、胸骨内投与及び輸液技術によって投与でき、用量単位の製剤には、通常の薬学的に許容可能な担体、アジュバント、及び賦形剤が含まれる。
本発明を人間及び他の哺乳動物を含む患者に投与する場合、薬物の活性化合物は薬剤学での常法により処理して薬剤を調製することができる。経口投与の場合、医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁剤または液体であってもよい。前記医薬組成物は、好ましくは、特定量の活性成分を含む一つの用量単位の形式とされる。
前記用量単位の実例は錠剤またはカプセルである。例えば、これらの活性成分の含有量は約1−2000ミリグラム、好ましくは約1−500ミリグラム、より好ましくは約5−200ミリグラムである。人間またはほかの哺乳動物単独の一日用量は患者やほかの要素の条件によって異なるが、常法により決定できる。
本発明に係る化合物及び/または組成物の投与量及び用量における化合物の量は、被験者の年齢、体重、性別及び医療条件、疾患のタイプ、該疾患の重篤性、投与方法と頻度、及び使用される特定化合物を含む複数種の要素によって決められる。従って、用量には変動が大きいが、通常の標準的な方法により決められる。典型的な日用量としては、1キログラムの体重に対して化合物は0.01〜500ミリグラムの範囲であり、好ましくは0.1−125ミリグラム/キログラム(体重)、1−25ミリグラム/キログラム(体重)である。前述したように、一日用量は一回投与しても、または2、3、4またはそれ以上の回で投与してもよい。
【0265】
本発明の活性化合物に対し、通常、1種または複数種のアジュバント、賦形剤または担体とともに投与方法を説明する。経口投与の場合、投与し易さから、前記化合物は乳糖、蔗糖、澱粉粉末、アルカン酸セルロース、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸と硫酸のナトリウム及びカルシウム塩、ゼラチン、金合歓膠、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン及び/またはポリビニルアルコールと混合して、次に打錠またはカプセル化する。このようなカプセル剤または錠剤は放出制御製剤を含んでもよく、活性化合物をヒドロキシプロピルメチルセルロースに分散することで提供できる。経皮投与の場合、本発明の化合物の好適な外用製剤を患部に、1日に二倍−四倍投与する。局所投与に適する製剤は液体または半液体製剤を含み、経皮投与に適する製剤は例えばチャ剤、洗剤、軟膏剤、クリームまたは貼付剤を含み、滴下剤は眼、耳または鼻に適する。本発明の化合物の活性成分の局所用量について、0.1ミリグラム−150ミリグラムを1−4回に分けて投与することが好ましく、1日に1回−2回投与することが好ましい。
本発明の化合物の活性成分は任意のパラフィンまたは水混和性軟膏基剤と製剤を調製できる。または、活性成分はクリーム基剤とクリームを調製できる。必要に応じて、クリーム基剤の水相は、例えば少なくとも30重量%のポリオール例えばプロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール及びそれらの混合物を含むことができる。局所製剤は、皮膚またはほかの作用領域を介して活性成分の吸収または浸透を強化させる化合物を含むことが好ましい。このような真皮浸透促進剤の実例は、ジメチルスルホキシド及び関連アナログを含む。
【0266】
また、化合物を経皮装置により投与してもよい。好ましくは、経皮投与はリザーバーと多孔質膜または固体基剤を含むパッチ剤により実現される。マイクロカプセルの場合、カプセル剤は膜としても作用する。本発明の乳剤の油相は既知の成分を用いて既知の方式により製造できる。
乳化剤の場合、少なくとも1種の乳化剤と脂肪または油の混合物、あるいは、少なくとも1種の乳化剤と脂肪及び油の両方との混合物を含んでもよい。好ましくは、親水性乳化剤は同時に安定剤としての親油性乳化剤を含む。また好ましくは、同時に油と脂肪を含む。両方を含む場合、乳化剤は安定剤として添加するいわゆる乳化蝋を含んでもよく含まなくてもよく、且つ該蝋は、クリーム製剤の油性分散相として、油及び脂肪といわゆる乳化軟膏基剤を構成する。本発明の製剤に使用可能な乳化剤及びエマルジョン安定剤は、トゥイーン60、スパン80、セテアリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、ジステアリン酸グリセリル単独またはジステアリン酸グリセリルと乳化蝋との混合物、または本分野に公知するその他の材料を含む。
薬物の乳剤製剤に使用可能な活性化合物の多数の油での溶解度が非常に低いため、所望した修飾特性に応じて、油または脂肪を選択する。従って、クリームとしては、べたつかず、着色がなく且つ洗濯除去が可能で、管またはその他の容器から漏れないほどの適切な粘度を有する製品が好適である。直鎖または分岐状のモノ塩基性またはジ塩基性アルキルエステル例えばジイソブチルアジピン酸、ステアリン酸イソセチル、ヤシ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシルまたは混合した分岐状エステルが使用可能である。これらは、単独または所望した特性に応じて組合せて使用することができる。あるいは、高融点の脂質例えば白色軟パラフィン及び/または流動パラフィンまたはほかの鉱物油も使用できる。眼への局所投与に適した製剤には、また、活性成分が適当な担体、特に活性成分に適した水性溶剤に溶解または懸濁した点眼剤が含まれる。
【0267】
このような製剤において、活性成分の濃度は普通0.5%〜20%、好ましくは0.5〜10%、より好ましくは約1.5%である。製剤は非経口投与に用いる場合、水性または非水性の等張無菌注射用液剤または懸濁液の形態であり得る。これら溶液及び懸濁液は、1つまたは複数の無菌粉末または顆粒から、本発明における経口投与可能な製剤またはほかの適切な担体または希釈剤を使用して調製できる。これら化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、コーンオイル、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、トラガカントゴム、及び/または各種の緩衝液に溶解することができる。ほかの助剤及び投与方式は、製薬の分野において公知することである。前記活性成分はまた、担体との組成物として注射投与してもよく、前記担体は、塩水、グルコースまたは水等を含む。
製剤は無菌注射溶液、または、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶剤における懸濁液、例えば1,3−ブタンジオールであってもよい。使用できる溶剤は水、リンガー溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液を含む。この他、無菌の不揮発性油は通常、溶剤または懸濁媒体として使用される。この目的に用いた温和な固定油のいずれも使用でき、合成したモノまたはジグリセリドを含む。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸は注射剤の製造で用いられる。肺内投与において、前記医薬組成物は乾燥粉末エアロゾルを含むエアロゾルの形態または吸入器で投与できる。直腸投与用の座薬は、薬物と適当な非刺激性賦形剤で製造でき、例えば、非刺激性賦形剤としてココアバターとポリエチレングリコールは常温では固体であるが直腸温度では液体であり、従って直腸で溶解して薬物を放出する。該医薬組成物は、通常の製薬工程例えば滅菌で処理することができ、さらに、通常のアジュバント、例えば防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤等を含み得る。錠剤及び丸剤はさらに腸溶コーティングで製造できる。このような組成物はまた、アジュバント、例えば湿潤剤、甘味剤、矯味剤及び芳香剤を含み得る。本発明の医薬組成物は、本明細書の前記構造式の化合物またはその薬学的に許容可能な塩;キナーゼ阻害剤(小分子、ポリペプチド、抗体等)、免疫阻害剤、抗癌薬、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗生物質または抗血管過剰増殖化合物の別の活性剤;及びいずれかの薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたは賦形剤を含む。
【0268】
本発明の代替組成物は、本明細書の前記式の化合物またはその薬学的に許容可能な塩;及び薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたは賦形剤を含む。このような組成物は、1種または複数種の治療剤、例えば、キナーゼ阻害剤(小分子、ポリペプチド、抗体等)、免疫阻害剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗生物質または抗血管過剰増殖化合物を含んでもよい。
用語「薬学的に許容可能な担体またはアジュバント」とは、本発明の化合物とともに患者に投与でき、且つ薬物の活性を損害することがなく、投与量が治療量であるときに無毒である担体またはアジュバントを意味する。本発明の医薬組成物に使用できる薬学的に許容可能な担体、アジュバント及び賦形剤は、イオン交換剤、酸化アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化型薬物送達システム(SEDDS)(例えばd−atocopHerolポリエチレングリコール1000コハク酸塩)、薬物剤型で用いる界面活性製剤(例えばトゥイーンまたはその他の類似する重合体送達基剤、血清タンパク質(例えばヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物で使用される界面活性製剤)、水、塩または電解質(例えば、プロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸エステル、ワックス、ポリエチレン −ポリオキシプロピレンブロック重合体、ポリエチレングリコール)、及び羊毛脂が含まれる。シクロデキストリン(例えばα−、β−、及びγ−シクロデキストリン)を含むがこれらに制限されず、ほかの溶解性誘導体もまた、本明細書に記載の構造式の化合物の送達を高めるために有利に用いることができる。
前記医薬組成物は経口的に許容可能な剤型で経口投与でき、カプセル、錠剤、乳剤や水性懸濁液、分散体や溶液を含むがこれらに制限されない。経口投与用錠剤の場合、一般的に使用される担体は、普通乳糖及びコーンスターチを含む。潤滑剤として、通常ステアリン酸マグネシウムを添加する。カプセルの形態で経口投与する場合、有用な希釈剤には乳糖と乾燥したコーンスターチを含む。水性懸濁液及び/または乳状液として経口投与する場合、活性成分は乳化及び/またはと懸濁剤とともに油相中に懸濁または溶解できる。
必要に応じて、一部の甘味剤、矯味剤及び/または着色剤を添加してもよい。該医薬組成物はリポソームまたはマイクロカプセル化技術を用いることを含み、各実施例は文献で検索できる。
前記医薬組成物は経鼻エアロゾルとして、または吸入して投与できる。このような組成物は製薬分野における公知の技術により製造されるものであり、且つ塩水で溶液に調製して、ベンジルアルコールまたはほかの適切な防腐剤、生物学的利用能を向上させる吸収促進剤、フルオロカーボン化合物、及び/またはほかの可溶化剤または分散剤を使用することができ、その例も周知の従来技術である。
【0269】
併用治療
本発明の化合物は単独して使用しても、複数種のほかの本発明の化合物または1種または複数種のほかの薬剤と併用してもよい。併用投与する場合、治療剤は、同時投与または順に異なる時刻で投与するように調製してもよく、または、前記治療剤は、単一組成物として投与してもよい。いわゆる「併用療法」とは、本発明と他の薬剤を含む化合物として、ほぼ同時に1剤で共投与すること、及びそれぞれの薬剤を順に投与することを意味し、どちらの場合にも、一形態では、提供する薬物を併用することは好ましい。共投与はそれぞれの薬剤を同時に送達する剤型、及びそれぞれの薬剤を単独に送達する剤型を含む。
従って、本発明の化合物は、該当分野の公知のほかの治療法と同時に使用でき、例えば癌治療のために、放射線療法または細胞成長阻害剤、細胞毒性剤、ほかの抗癌剤等の公知追加療法を使用して癌の病症を軽減できる。本発明は、投与順番を制限せず、本発明の化合物は、前に投与しても、同時に投与しても、ほかの抗癌剤または細胞毒性剤の投与後に投与してもよい。
従来、原発性腫瘍の標準的な治療は、手術切除、手術切除後に受ける放射線治療または通常静脈内注射による化学療法を含む。典型的な化学治療は、DNAアルキル化剤、DNAインターカレーター、CDK阻害剤または微小管毒を含む。使用される化学療法剤は最大耐量未満であり、従って用量制限毒性は通常吐き気、嘔吐、下痢、脱毛、好中球減少症等を含む。
【0270】
前記癌治療は単剤療法として使用しても、または、本発明以外の通常の外科手術、放射線療法、化学療法または免疫療法による化合物を含んでもよい。このような化学療法は同時に施用し得、同時に、順にまたは独立して本発明の化合物を使用して治療することができ、さらに、以下の1種または複数種の抗腫瘍剤を含んでもよい。
(1)抗増殖/抗腫瘍薬及びその組合せ:例えば内科的腫瘍学用の、例えばアルキル化剤(例えばシスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、テモゾロマイド及びニトロソウレア);代謝拮抗剤(例えばゲムシタビンと葉酸拮抗剤、例えフルオロウラシル、テガフール、ラルチトレキシド、メトトレキサート、シタラビン、ヒドロキシウレア及びフルオロウラシル);抗腫瘍性抗生物質(例えばアントラサイクリン系アドリアマイシン、ブレオマイシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン及びミトラマイシン);抗有糸分裂剤(例えばビンカアルカロイド、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ナベルビン;タキサン類等のタクソール、タキソテール及びpolokinase阻害剤)及びトポイソメラーゼ阻害剤(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシド、テニポシド、アムサクリン、トポテカン及びカンプトテシン)
(2)細胞成長阻害剤、例えば抗エストロゲン(作用)薬(例えばタモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン及びiodoxyfene)、抗アンドロゲン(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミド及び酢酸シプロテロン)、LHRH拮抗剤またはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、リュープロレリン及びブセレリン)、プロゲステロン(例えばメゲストロールアセテート)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボロゾール及びエキセメスタン)及び5a−レダクターゼの阻害剤、例えばフィナステリド
(3)抗侵入剤、例えば、c−Srcプロテインキナーゼファミリー阻害剤等(ダサチニブ、BMS−354825;、医薬品化学雑誌,2004,47,6658−6661)、ボスチニブ(SKI−606)、及びメタロプロテイナーゼ阻害剤例えばマリマスタット、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体機能の阻害薬または抗体類ヘパラナーゼ阻害剤。
【0271】
前記は本発明の好適な実施形態であるが、なお、当業者にとっては、本発明の前記原理を脱逸せずに、複数の改良や修飾をすることができ、これら改良及び修飾も本発明の保護範囲に属する。