特許第6473842号(P6473842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6473842コンピュータプログラム、処理方法および情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6473842
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、処理方法および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 19/00 20060101AFI20190207BHJP
   A45D 44/00 20060101ALI20190207BHJP
   A45D 97/00 20110101ALI20190207BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20190207BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALN20190207BHJP
   A61K 8/18 20060101ALN20190207BHJP
【FI】
   A45D19/00 Z
   A45D44/00 A
   A45D97/00
   G06Q50/10
   !A61Q5/00
   !A61K8/18
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-118415(P2018-118415)
(22)【出願日】2018年6月22日
【審査請求日】2018年6月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518203308
【氏名又は名称】有限会社ナップヘアー
(74)【代理人】
【識別番号】100185971
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 玲子
(72)【発明者】
【氏名】保坂 上一郎
【審査官】 大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0264794(US,A1)
【文献】 特開2017−225824(JP,A)
【文献】 特開2003−033217(JP,A)
【文献】 特開2005−143655(JP,A)
【文献】 特開平09−204138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 19/00
A45D 44/00
A45D 97/00
G06Q 50/10
A61K 8/18
A61Q 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
特定の毛髪に関する情報である第一情報、および、前記特定の毛髪に使用する薬剤の配合に関する第二情報の入力を受け付ける受付機能と、
前記受付機能により受け付けられた前記第一情報、前記第二情報、および、所定の記憶部に記憶された、サービス提供者であるユーザを一意に識別可能なユーザ情報に基づいて、前記特定の毛髪に必要な薬剤の量を計算する処理機能と、
前記処理機能により計算された薬剤の量を、前記コンピュータの表示画面に表示させる出力機能と、
を実現させ、
前記受付機能は、さらに、前記ユーザが、前記表示画面に表示された薬剤の量に基づいて作成した薬剤を使用した結果生じた前記薬剤の総量の過不足量の入力を受け付け、
前記処理機能は、さらに、前記受付機能により受け付けられた過不足量に基づいて当該ユーザが実際に使用する薬剤の量の傾向を学習して前記ユーザ情報に含め、
前記処理機能は、当該ユーザが他の特定の毛髪に対して施術を行う際に、他の
特定の毛髪に関する情報である第一情報、および、前記他の特定の毛髪に使用する薬剤の配合に関する第二情報、および、前記傾向を含む前記ユーザ情報に基づいて、前記他の特定の毛髪に必要な薬剤の量を計算するコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記処理機能は、前記受付機能により受け付けられた過不足量を、前記第一情報、前記第二情報または前記薬剤の量の少なくとも一つと関連付けて、前記ユーザ情報として前記所定の記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記処理機能は、さらに、前記第一情報、第二情報、前記薬剤の量または前記ユーザ情報の少なくとも一つを、対象となった客の客データに対応付けて前記所定の記憶部に記憶させる請求項1または2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記第一情報は、前記特定の毛髪に使用する薬剤の種類、前記薬剤の塗布量、前記特定の毛髪の量、前記特定の毛髪の長さまたは前記特定の毛髪のスタイルの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記第二の情報は、複数の薬剤の配合に関する情報であって、各薬剤の量または各薬剤の配合比率に関する情報を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記受付機能は、前記ユーザからの入力を音声入力により受け付けることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記処理機能は、さらに、客と、当該客に対応する一以上のユーザとを関連付けて前記所定の記憶装置に記憶させ、
前記受付機能は、さらに、前記客に関連付けられた一以上のユーザによる放置時間の入力を受け付け、
前記出力機能は、さらに、前記放置時間が終了した際に、当該終了した旨の通知を、前記客に関連付けられた一以上のユーザの端末装置の表示画面に表示させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記客に関連付けられた一以上のユーザの端末装置は、ウェアラブル端末であることを特徴とする請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
特定の毛髪に関する情報である第一情報、および、前記特定の毛髪に使用する薬剤の配合に関する第二情報の入力を受け付けるステップと、
前記第一情報および前記第二情報の入力を受け付けるステップにおいて受け付けられた前記第一情報、前記第二情報、および、所定の記憶部に記憶された、サービス提供者であるユーザを一意に識別可能なユーザ情報に基づいて、前記特定の毛髪に必要な薬剤の量を計算するステップと、
前記計算するステップにおいて計算された薬剤の量を、前記コンピュータの表示画面に表示させるステップと、
前記ユーザが、前記表示画面に表示された薬剤の量に基づいて作成した薬剤を使用した結果生じた前記薬剤の総量の過不足量の入力を受け付けるステップと、
前記薬剤の過不足量の入力を受け付けるステップにおいて受け付けられた過不足量に基づいて当該ユーザが実際に使用する薬剤の量の傾向を学習して前記ユーザ情報に含めるステップと、
前記ユーザが他の特定の毛髪に対して施術を行う際に、他の特定の毛髪に関する情報である第一情報、および、前記他の特定の毛髪に使用する薬剤の配合に関する第二情報、および、前記傾向を含む前記ユーザ情報に基づいて、前記他の特定の毛髪に必要な薬剤の量を計算するステップと
を実行させる、処理方法。
【請求項10】
特定の毛髪に関する情報である第一情報、および、前記特定の毛髪に使用する薬剤の配合に関する第二情報の入力を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた前記第一情報、前記第二情報、および、所定の記憶部に記憶された、サービス提供者であるユーザを一意に識別可能なユーザ情報に基づいて、前記特定の毛髪に必要な薬剤の量を計算する処理部と、
前記処理部により計算された薬剤の量を、表示画面に表示させる出力部と、
を備え、
前記受付部は、さらに、前記ユーザが、前記表示画面に表示された薬剤の量に基づいて作成した薬剤を使用した結果生じた前記薬剤の総量の過不足量の入力を受け付け、
前記処理部は、さらに、前記受付機能により受け付けられた過不足量に基づいて当該ユーザが実際に使用する薬剤の量の傾向を学習して前記ユーザ情報に含め、
前記処理部は、当該ユーザが他の特定の毛髪に対して施術を行う際に、他の
特定の毛髪に関する情報である第一情報、および、前記他の特定の毛髪に使用する薬剤の配合に関する第二情報、および、前記傾向を含む前記ユーザ情報に基づいて、前記他の特定の毛髪に必要な薬剤の量を計算する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータプログラム、処理方法および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容師が客に対して毛染やパーマ施術を行う場合、美容師は、客の毛髪の量や長さなどを観察し、必要な薬剤の配合および必要量を決定する。
【0003】
この薬剤の配合に関しては、例えば特許文献1に、毛染薬品と調合情報を読み出し表示するための毛染薬品調合計算機に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭52−143730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、毛髪の量および長さが同じ客に対してであっても、美容師によって塗布量が異なる。
【0006】
基本的に、不足が生じないよう薬剤は多めに調合されるが、使用されずに余った薬剤は廃棄されることになり無駄となる。逆に、薬剤が不足した場合には、薬剤の調合からやりなおす必要があり、業務効率が下がってしまうという問題があった。
【0007】
そのため、必要な薬剤の量は、美容師が自身の経験に基づいて、適切な量を都度決定していた。しかしながら、薬剤の配合および量のパターン数は膨大であり、すべてのパターンについての配合および量を、美容師やアシスタントなどのスタッフ個人が記憶しておくのには限界があった。
【0008】
したがって、美容室におけるスタッフの業務効率を上げるための技術の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータに、特定の毛髪に関する情報である第一情報、および、特定の毛髪に使用する薬剤の配合に関する第二情報の入力を受け付ける受付機能と、受付機能により受け付けられた第一情報、第二情報、および、所定の記憶部に記憶されたユーザ情報に基づいて、特定の毛髪に必要な薬剤の量を計算する処理機能と、処理機能により計算された薬剤の量を、コンピュータの表示画面に表示させる出力機能と、を実現させ、受付機能は、さらに、ユーザが、表示画面に表示された薬剤の量に基づいて作成した薬剤を使用した結果生じた薬剤の過不足量の入力を受け付け、処理機能は、さらに、受付機能により受け付けられた過不足量を、ユーザ情報として所定の記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0010】
処理機能は、受付機能により受け付けられた過不足量を、第一情報、第二情報または薬剤の量の少なくとも一つと関連付けて、ユーザ情報として所定の記憶部に記憶させることができる。
【0011】
処理機能は、さらに、第一情報、第二情報、薬剤の量またはユーザ情報の少なくとも一つを、対象となった客の客データに対応付けて所定の記憶部に記憶させることができる。
【0012】
第一情報は、特定の毛髪に使用する薬剤の種類、薬剤の塗布量、特定の毛髪の量、特定の毛髪の長さまたは特定の毛髪のスタイルの少なくとも一つを含むことができる。
【0013】
第二情報は、複数の薬剤の配合に関する情報であって、各薬剤の量または各薬剤の配合比率に関する情報を含むことができる。
【0014】
受付機能は、ユーザからの入力を音声入力により受け付けることができる。
【0015】
処理機能は、さらに、客と、当該客に対応する一以上のユーザとを関連付けて所定の記憶装置に記憶させ、受付機能は、さらに、客に関連付けられた一以上のユーザによる放置時間の入力を受け付け、出力機能は、さらに、放置時間が終了した際に、当該終了した旨の通知を、客に関連付けられた一以上のユーザの端末装置の表示画面に表示させることができる。
【0016】
客に関連付けられた一以上のユーザの端末装置は、ウェアラブル端末とすることができる。
【0017】
本発明の処理方法は、コンピュータに、特定の毛髪に関する情報である第一情報、および、特定の毛髪に使用する薬剤の配合に関する第二情報の入力を受け付けるステップと、第一情報および第二情報の入力を受け付けるステップにおいて受け付けられた第一情報、第二情報、および、所定の記憶部に記憶されたユーザ情報に基づいて、特定の毛髪に必要な薬剤の量を計算するステップと、計算するステップにおいて計算された薬剤の量を、コンピュータの表示画面に表示させるステップと、ユーザが、表示画面に表示された薬剤の量に基づいて作成した薬剤を使用した結果生じた薬剤の過不足量の入力を受け付けるステップと、薬剤の過不足量の入力を受け付けるステップにおいて受け付けられた過不足量を、ユーザ情報として所定の記憶部に記憶させるステップとを実行させることを特徴とする。
【0018】
本発明の情報処理装置は、特定の毛髪に関する情報である第一情報、および、特定の毛髪に使用する薬剤の配合に関する第二情報の入力を受け付ける受付部と、受付部により受け付けられた第一情報、第二情報、および、所定の記憶部に記憶されたユーザ情報に基づいて、特定の毛髪に必要な薬剤の量を計算する処理部と、処理部により計算された薬剤の量を、表示画面に表示させる出力部と、を備え、受付部は、さらに、ユーザが、表示画面に表示された薬剤の量に基づいて作成した薬剤を使用した結果生じた薬剤の過不足量の入力を受け付け、処理部は、さらに、受付部により受け付けられた過不足量を、ユーザ情報として所定の記憶部に記憶させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、毛髪の施術に必要な薬剤の量を自動で計算することにより、美容室におけるスタッフの業務効率を上げることができる。
【0020】
また、美容師ごとに異なる、毛髪の施術に必要な薬剤の適切な量が、過去の過不足量に基づいて計算されるため、スタッフの業務効率を上げるとともに、廃棄される薬剤を減らすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るユーザの情報処理装置の一例を示す概念図である。
図3】本発明の実施形態に係る表示画面の一例を示す概念図である。
図4】本発明の実施形態に係る表示画面の一例を示す概念図である。
図5】本発明の実施形態に係る表示画面の一例を示す概念図である。
図6】本発明の処理方法のフローの一例を示すフロー図である
図7】本発明のコンピュータプログラムの機能構成を説明するための回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のコンピュータプログラム、処理方法および情報処理装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
初めに、本発明の情報処理装置について説明を行う。図1は、本発明の情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
本発明の情報処理装置100は、図2に示されるように、ユーザ(スタッフ)が有するスマートフォンなどのユーザ端末100とすることができる。そして、図1に示されるように、本発明の情報処理装置100は、受付部110と、処理部120と、出力部130とを備える。
【0025】
受付部110は、第一情報、および、第二情報の入力を受け付ける。
【0026】
第一情報は、特定の毛髪に関する情報である。特定の毛髪とは、薬剤の塗布の対象となる客の毛髪のことをいうものとする。具体的には、第一情報は、特定の毛髪に使用する薬剤の種類、薬剤の塗布量、特定の毛髪の量、特定の毛髪の長さ、特定の毛髪のスタイルの少なくとも一つを含むものとすることができる。
【0027】
第二情報は、特定の毛髪に使用する薬剤の配合に関するものである。具体的には、第二情報は、複数の薬剤の配合に関する情報であって、各薬剤の量、または、各薬剤の配合割合に関する情報を含むものとすることができる。
【0028】
図3は、第一情報のうちいずれの情報を入力するかを選択する選択画面の例を示したものである。図3に示されるように、選択画面には、ユーザの毛髪のスタイル、塗布個所(根元・中間・毛先など)、塗布量(量)、塗布長さ、使用薬剤、毛量などの項目が表示され、ユーザは、これらの項目の中からタッチパネル等を介して項目の選択を行うことができる。これらの情報は、予め所定の記憶部に記憶された情報の中からユーザが選択するものであってもよいし、ユーザが都度情報を入力するものであってもよい。
【0029】
ユーザによって毛髪に対する薬剤の塗布量が異なるため、使用する薬剤の量や毛髪の多い少ないも各人の感覚で異なる。また、髪質や温度によっても薬剤の反応に差が出るため、ユーザは自身の経験に基づいて薬剤の塗布量を調整することができる。具体的には、ユーザは、薬剤の塗布量、毛量を1から5段階で入力する。また、本発明の使用する薬剤によって粘度も異なるため、この粘度に応じても必要な薬剤の量を調整することができる。また、スタイルによっても塗布量が異なるため、このスタイルに応じても必要な薬剤の量を調整することができる。
【0030】
図4は、第二情報を入力するための入力画面の例を示したものである。図4に示されるように、ユーザは、薬剤の量および配合を入力する。図4に示す例では、3種の薬剤の比率(薬剤A:薬剤B=4:3で、薬剤Cが総量の10%であることが入力されているこれらの情報は、予め所定の記憶部に記憶された情報の中からユーザが選択するものであってもよいし、ユーザが都度情報を入力するものであってもよい。
【0031】
処理部120は、受付部110により受け付けられた第一情報、第二情報、および、所定の記憶部に記憶されたユーザ情報に基づいて、特定の毛髪に必要な薬剤の量を計算する。
【0032】
ユーザ情報とは、ユーザに関する情報であって、識別番号や氏名などのユーザを一意に識別可能な情報と、後述する薬剤の過不足量に関する情報とを含むことができる。
【0033】
また、ここでいうユーザは、美容師または美容師を補助するアシスタントなどのスタッフであるが、これに限られるものではなく、美容室でサービスを提供する者であればよい。
【0034】
所定の記憶部とは、本発明の情報処理装置100が備えるものであってもよいし、本発明の情報処理装置100と無線または有線により直接またはネットワークを介して接続されたものであってもよい。
【0035】
そして、出力部130は、処理部120により計算された薬剤の量を、表示画面に表示させる。
【0036】
表示画面は、本発明の情報処理装置100が備える表示部に表示されるものであってもよいし、本発明の情報処理装置100と無線または有線により接続された表示装置に表示されるものであってもよい。
【0037】
図4に示されるように、第二情報の入力画面とこの薬剤の量の表示画面とは同じ画面に表示されることができる。
【0038】
受付部110は、さらに、ユーザが、表示画面に表示された薬剤の量に基づいて作成した薬剤を使用した結果、生じた薬剤の過不足量の入力を受け付ける。
【0039】
具体的には、薬剤が過剰であった場合には、ユーザにより計測された残量の入力を受け付ける。一方、薬剤が不足していた場合には、ユーザにより追加で作成された追加量の入力を受け付ける
【0040】
図5は、入力画面の例を示したものである。図5に示されるように、ユーザは、過不足量が±何グラムであるかを入力することができる。
【0041】
処理部120は、さらに、受付部110により受け付けられた過不足量を、ユーザ情報として所定の記憶部に記憶させる。
【0042】
以上の構成によれば、毛髪の施術に必要な薬剤の量を自動で計算することにより、美容室におけるスタッフの業務効率を上げることができる。
【0043】
また、美容師ごとに異なる、毛髪の施術に必要な薬剤の適切な量が、過去の過不足量に基づいて計算されるため、スタッフの業務効率を上げるとともに、廃棄される薬剤を減らすこともできる。
【0044】
このように、本発明によれば、美容師個人の繊細で緻密な感覚を、コンピュータを用いてデータ化することができる。そして、また、本発明の情報処理装置を用いることで、スムーズに薬剤を選択することができまた、薬剤使用する量、また併用するトリートメント剤の選択がイメージしやすくなるという効果がある。
【0045】
処理部120は、受付部110により受け付けられた過不足量を、第一情報、第二情報または薬剤の量の少なくとも一つと関連付けて、ユーザ情報として所定の記憶部に記憶させることができる。
【0046】
かかる構成によれば、処理部が、ユーザが塗布する薬剤量の傾向を学習することで、次回計算する薬剤の量をより適切なものとすることができる。
【0047】
また、処理部120は、さらに、第一情報、第二情報、薬剤の量またはユーザ情報の少なくとも一つを、対象となった客の客データに対応付けて所定の記憶部に記憶させることができる。
【0048】
かかる構成によれば、処理部が、客と対応づけて種々の情報を記憶することで、次回計算する薬剤の量をより適切なものとすることができる。
【0049】
また、上述したように、第一情報は、毛髪に使用する薬剤の種類、薬剤の塗布量、毛髪の量、毛髪の長さまたは毛髪のスタイルの少なくとも一つを含むものとすることができる。
【0050】
特定の毛髪に使用する薬剤の種類とは、例えば、薬剤のメーカーなどである。
【0051】
薬剤の塗布量とは、例えば、多め、普通、少な目などである。
【0052】
特定の毛髪の量とは、例えば、多め、普通、少な目などである。
【0053】
特定の毛髪の長さとは、例えば、ショート、ボブ、ミディアム、ロングなどの情報である。
【0054】
同様に、第二情報は、複数の薬剤の配合に関する情報であって、各薬剤の量、または、各薬剤の配合比率に関する情報を含むものとすることができる。
【0055】
各薬剤の量とは、例えば、薬剤A:薬剤B:薬剤C=9g:3g:6gなどの情報である。
【0056】
各薬剤の配合比率とは、例えば、薬剤A:薬剤B:薬剤C=3:1:2などの情報である。
【0057】
また、受付部110は、ユーザからの入力を音声入力により受け付けることができる。
【0058】
かかる構成によれば、ユーザが手を離せない状況であっても、容易に入力を行うことができるようになる。
【0059】
また、情報処理装置100は、有線または無線により所定の印刷装置と接続されることもできる。この印刷装置に、処理部120により計算された薬剤の量および薬剤の配合に関するメモを印刷させることにより、薬剤の量および薬剤の配合を確認し易くなり、薬剤を調合するスタッフの業務効率を上げることができる。また、薬剤調合用の容器(カップ)を複数使用する場合、何の薬剤か判断できなくなることを防ぐため、印刷したメモをカップに貼り付けて使用するのが好ましい。また、このメモの内容は、顧客管理用データと同期させておくこともできる
【0060】
処理部120は、さらに、客と、客に対応する一以上のユーザとを関連付けて所定の記憶装置に記憶させることができる。
【0061】
客に対応する一以上のユーザとは、担当の美容師または美容師を補助するアシスタントなどのスタッフであるが、これに限られるものではなく、美容室でサービスを提供する者であればよい。
【0062】
このとき、受付部110は、さらに、客に関連付けられた一以上のユーザによる放置時間の入力を受け付ける。
【0063】
このとき、出力部130は、さらに、薬剤の放置時間が終了した際に、当該終了した旨の通知を、客に関連付けられた一以上のユーザの端末装置の表示画面に表示させる。このとき、同時に音や振動も発生させてもよい。
【0064】
従来は、タイマー音などで染色やパーマのための薬剤の放置時間が終了した旨を通知していたが、複数の美容師が複数の客に対してタイマーをセットしている場合に、どの客のタイマーが鳴っているか判別するのが困難であった。本発明の上記の構成によれば、客の染色時間の終了の到来を、客に対応するユーザに適切に知らせることができる。
【0065】
あるいは、出力部130は、さらに、染色時間が終了した際に、当該終了した旨の通知を、客に関連付けられていないユーザの端末装置の表示画面にも表示させることができる。この通知は、自身が関連付けられている客の染色時間に関する通知とは区別可能な態様で表示されるのが好ましい。
【0066】
また、ユーザが複数の客の対応を一度に行っている場合には、終了した旨の通知は、対象の客を識別可能に表示されるのが好ましい。
【0067】
客に関連付けられた一以上のユーザの端末装置は、ウェアラブル端末とするのが好ましい。
【0068】
このウェアラブル端末は、例えば腕時計型の端末とすることができる。
【0069】
かかる構成によれば、ユーザが手を離せない状況であっても、容易に表示の確認を行うことができるようになる。
【0070】
情報処理装置100と客に関連付けられた一以上のユーザの端末装置とは、近距離無線通信により接続することができる。具体的には、Bluetooth(登録商標)などの技術を用いることにより接続することができる。
【0071】
続いて、本発明の処理方法のフローについて図6を参照しながら説明する。
本発明の処理方法は、図6に示されるように、コンピュータに、第一情報および第二情報の入力を受け付けるステップS110と、必要な薬剤の量を計算するステップS120と、薬剤の量を表示させるステップS130と、薬剤の過不足量の入力を受け付けるステップS140と、過不足量をユーザ情報として記憶させるステップS150とを実行させる。
【0072】
第一情報および第二情報の入力を受け付けるステップS110は、特定の毛髪に関する情報である第一情報、および、特定の毛髪に使用する薬剤の配合に関する第二情報の入力を受け付ける。このステップS110は、上述した受付部110により実行されることができる。受付部110の詳細については上述したとおりである。
【0073】
必要な薬剤の量を計算するステップS120は、第一情報および第二情報の入力を受け付けるステップS110において受け付けられた第一情報、第二情報、および、所定の記憶部に記憶されたユーザ情報に基づいて、特定の毛髪に必要な薬剤の量を計算する。このステップS120は、上述した処理部120により実行されることができる。処理部120の詳細については上述したとおりである。
【0074】
薬剤の量を表示させるステップS130は、必要な薬剤の量を計算するステップS120において計算された薬剤の量を、コンピュータの表示画面に表示させる。このステップS130は、上述した出力部130により実行されることができる。出力部130の詳細については上述したとおりである。
【0075】
薬剤の過不足量の入力を受け付けるステップS140は、ユーザが、表示画面に表示された薬剤の量に基づいて作成した薬剤を使用した結果生じた薬剤の過不足量の入力を受け付ける。このステップS140は、上述した受付部110により実行されることができる。受付部110の詳細については上述したとおりである。
【0076】
過不足量をユーザ情報として記憶させるステップS150は、薬剤の過不足量の入力を受け付けるステップにおいて受け付けられた過不足量を、ユーザ情報として所定の記憶部に記憶させる。このステップS150は、上述した処理部120により実行されることができる。処理部120の詳細については上述したとおりである。
【0077】
以上の構成によれば、毛髪の施術に必要な薬剤の量を自動で計算することにより、ユーザの業務効率を上げることができるようになる。
【0078】
同時に、ユーザごとにカスタマイズされた薬剤の量が計算されるため廃棄薬剤を減少させることができる。
【0079】
続いて、本発明のコンピュータプログラムの実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0080】
本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータに、受付機能と、処理機能と、出力機能とを実現させる。これら機能は、図7に示す受付回路210、処理回路220および出力回路230によって実現される。これら回路は上記受付部110、処理部120、出力部130を構成する。各部の詳細については上述したとおりである。
【0081】
受付機能は、特定の毛髪に関する情報である第一情報、および、特定の毛髪に使用する薬剤の配合に関する第二情報の入力を受け付ける。
【0082】
処理機能は、受付機能により受け付けられた第一情報、第二情報、および、所定の記憶部に記憶されたユーザ情報に基づいて、特定の毛髪に必要な薬剤の量を計算する。
【0083】
出力機能は、処理機能により計算された薬剤の量を、コンピュータの表示画面に表示させる。
【0084】
そして、受付機能は、さらに、ユーザが、表示画面に表示された薬剤の量に基づいて作成した薬剤を使用した結果生じた薬剤の過不足量の入力を受け付ける。
【0085】
そして、処理機能は、さらに、受付機能により受け付けられた過不足量を、ユーザ情報として所定の記憶部に記憶させる。
【0086】
以上の構成によれば、毛髪の施術に必要な薬剤の量を自動で計算することにより、ユーザの業務効率を上げることができるようになる。
【0087】
同時に、ユーザごとにカスタマイズされた薬剤の量が計算されるため、廃棄される薬剤が減り、廃棄薬剤を減少させることができる。
【0088】
最後に、美容室(サロン)における美容師またはアシスタントなどのスタッフ(ユーザ)によって使用されるクラウドシステムについて説明を行う。
【0089】
このクラウドシステムは、サーバ装置と、当該サーバ装置とネットワークを介して接続される一以上のユーザの端末装置とで構成されることができる。
【0090】
クラウドシステムにおける各処理は主にサーバ装置において行われるが、処理の一部分をサーバ装置で行い、処理の他の部分をユーザ端末で行う構成としてもよい。
【0091】
サーバ装置では、コンピュータに、記憶機能、目標管理機能、投稿機能、学習機能、カウンセリング機能などを実現させるコンピュータプログラムが実行されるものとすることができる。各機能の詳細については後述する。
【0092】
<記憶機能>
記憶機能は、コンピュータに、スタッフの教育に関する情報を記憶させることができる。このスタッフの教育に関する情報とは、例えば、美容・理容に関する技術の理論や教科書、店舗のマニュアルなどの、教育に関する文書情報、画像情報や動画情報とすることができる。店舗のマニュアルとは、例えば、接客に関するマニュアルであって、客へのタオルの付け方を示す動画などが挙げられる。
【0093】
<目標管理機能>
目標管理機能は、コンピュータに、各スタッフの目標に対する評価を管理するものである。この目標は、ユーザ自身により設定されることもできるし、管理者によって予め設定されていてもよい。
【0094】
この目標の例としては、入社してすぐのスタッフに対しては、以下の目標が挙げられる。
1:営業中お客様をよく見て、声かけや雑誌交換などにすぐ気が付く
2:自分で気付いて掃除をする
3:明るく元気に「いらっしゃいませ」や「復唱」をする
4:朝の出勤の時間を守る
5:身だしなみが整える。言葉使いを正しく。
【0095】
そして、ユーザは、毎日、上記の目標に対して自ら評価の点数を入力することができる。この目標管理機能は、上記評価の点数に基づいて、1週間ごとの平均値を算出したり、1週間ごとの推移を表示したりすることができる。
【0096】
かかる構成によれば、目標に対する評価を自ら行わせることで各スタッフの目標達成への意識を促し、また、日々の成長を可視化することでスタッフの業務への意欲を向上させることができる。また、管理者(このスタッフの指導者等)にとっても、設定された目標をスタッフに周知させたり注意したりする負担が減り、業務の効率化につながるとともに、サロンにおけるスタッフ間の雰囲気を向上させることができる。
【0097】
<投稿機能>
投稿機能は、コンピュータに、ユーザからの投稿を受け付ける。この投稿とは、例えばブログのように1日の反省や気付いたことに関するコメントなどが記載される。ユーザは、この投稿を、カテゴリと関連付けてアップすることができる。このカテゴリの例としては、例えば、カラー>ブリーチオンカラー>アッシュなどの、大分類から段階的に分類する構成とすることができる。
【0098】
この投稿の例としては、以下の例が挙げられる。
・ベースが15レベルのお客様に7レベルの薬剤で染めたところ根元が明るく毛先が暗くなってしまった。よって、根元を6レベル、毛先を8レベルで染めればよかった。
・クロスの内側にカラー剤がついていたことに気がつかずそのままクロスをかけたら洋服についてしまった
【0099】
また、投稿機能は、これらの投稿に対する他のユーザによる評価(BADやGOODなどの評価)も受け付けることができる。また、これらの投稿には、ユーザによって重要度(星の数など)が設定されてもよい。
【0100】
また、ユーザは、カラー前の髪の明るさや髪の毛のタイプを入力し、仕上がりの明るさとイメージ、感想(もう少しこうすればよかったなど)、そして使用した薬剤の配合を入力することができる。
【0101】
これらのデータと、後述するカウンセリング機能とを同期させることで、よりよいサービスの提供が可能になるとともに、経験の浅い美容師やアシスタントのミスの削減や知識の向上に役に立つ。
【0102】
かかる構成によれば、このクラウドサービスを共有しているスタッフ間で容易に情報を共有することができる。また、内容がカテゴリ別に分かれて整理されているため、検索が容易で、サロンにおいて同じようなミスの発生を防止することができる。また、良い情報は他のユーザの参考になる。
【0103】
<学習機能>
学習機能は、投稿された情報を重要度や投稿頻度などに基づいて自動で分類し、学習する。そして、サロンで発生するあらゆるケースにおいて最適な情報を導き出すよう、本クラウドサービスを動作させることができる。
【0104】
例えば、髪質や顔型や仕上がりに関し、
・カラーの配合やカットの技術注意点
・パーマ液の配合やタイム管理
・必要な課題や目標
・安全管理
などの投稿は、店舗によって異なるものであるが、本クラウドサービスによれば店舗独自の情報データベースを構築することができる。
【0105】
<カウンセリング機能>
カウンセリング機能は、客の情報を入力することで、投稿された情報の中から必要な注意情報を自動で抽出し、表示する。
【0106】
例えば、
・ボブ→毛量多い
サイドの毛量は少なく、バックの毛量が多い人が多いので、サイドを少なくしすぎると後ろが重く見える。そのためバックを少なくカットしてからバランスを見て乾かして切る。
・髪の生え方→浮きやすい
濡れてる状態よりも乾いた状態の時の方が浮くことで短くなるため、濡れてる時は少し長めにカットして、乾いた状態で軽くした後に長さを再度見直す。
・顔型丸顔
トップのボリュームを出すとよい。
前髪の幅を広くすると顔が大きく見えるので狭くとるとよい。
などの投稿は、重要度に応じて重要順に自動に表示させることができる。
【0107】
かかる構成によれば、経験の浅い美容師も経験豊富な美容師の感覚的な部分をすぐに閲覧できることで質の高いスタイルを作ることができるようになる。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0109】
また、実施形態に記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウェア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現する計算機は、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウェア手段を構築し、このソフトウェア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、計算機内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。記憶部は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。
【符号の説明】
【0110】
100 情報処理装置
110 受付部
120 処理部
130 出力部
210 受付回路
220 処理回路
230 出力回路

【要約】
【課題】 美容室におけるスタッフの業務効率を上げる。
【解決手段】 本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータに、特定の毛髪に関する情報である第一情報、および、特定の毛髪に使用する薬剤の配合に関する第二情報の入力を受け付ける受付機能と、受付機能により受け付けられた第一情報、第二情報、および、所定の記憶部に記憶されたユーザ情報に基づいて、特定の毛髪に必要な薬剤の量を計算する処理機能と、処理機能により計算された薬剤の量を、コンピュータの表示画面に表示させる出力機能と、を実現させ、受付機能は、さらに、ユーザが、表示画面に表示された薬剤の量に基づいて作成した薬剤を使用した結果生じた薬剤の過不足量の入力を受け付け、処理機能は、さらに、受付機能により受け付けられた過不足量を、ユーザ情報として所定の記憶部に記憶させることを特徴とする。
【選択図】 図2
図1
図2
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図7