(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473852
(24)【登録日】2019年2月1日
(45)【発行日】2019年2月20日
(54)【発明の名称】空気を介した表面の清浄化のための装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20190207BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20190207BHJP
A61L 9/14 20060101ALI20190207BHJP
【FI】
A61L2/20
A61L9/015
A61L9/14
【請求項の数】37
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-522795(P2018-522795)
(86)(22)【出願日】2016年11月9日
(65)【公表番号】特表2018-534065(P2018-534065A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】US2016061087
(87)【国際公開番号】WO2017091354
(87)【国際公開日】20170601
【審査請求日】2018年5月25日
(31)【優先権主張番号】15/063,931
(32)【優先日】2016年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/253,188
(32)【優先日】2015年11月10日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518148652
【氏名又は名称】ニュービンエア エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】NUVINAIR,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー、カイル
(72)【発明者】
【氏名】ウッド、ライアン
【審査官】
森 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−234887(JP,A)
【文献】
特開2003−040712(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/128022(WO,A1)
【文献】
特開2005−120028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/20
A61L 9/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物およびウイルスの負荷を含む汚染のあるキャビン空間内部の表面を清浄にする方法であって、
前記キャビン空間内部を密閉するステップと、
水と、固体またはゲルパックを含む製剤とを装置の容器内に配置するステップと、
前記装置の容器内の前記水を撹拌して、前記固体またはゲルパックにガス状清浄剤を放出させるステップと、
前記容器の蓋のノズルから浮遊飛沫を発生させるステップであって、前記蓋は、前記浮遊飛沫が前記ノズルから出る前に、飛沫に同伴する液体の少なくとも一部を前記浮遊飛沫からふるい落とし、前記浮遊飛沫は、前記容器から出て、前記キャビン空間内部に広がり、前記キャビン空間内部の表面をコーティングする、ステップと、
前記キャビンを、前記浮遊飛沫による前記コーティングが前記表面の内部に滞留して、前記汚染の負荷を除去するかまたは実質的に低減する間、有効期間にわたって閉鎖された状態で維持するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記キャビン空間内部を密閉するステップは、車両キャビンのドア、窓、および空気循環システムの通風口を閉鎖することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記製剤を配置するステップは、二酸化塩素を含む、固体またはゲルパックを配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記キャビン空間内部を密閉するステップは、車両キャビンのドア、窓、および空気循環システムの通風口を閉鎖することを含み、前記キャビンの空気循環システムをオンにすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記浮遊飛沫による前記コーティングが前記表面の内部に滞留して、前記汚染の負荷を除去するかまたは実質的に低減する間、前記キャビンを閉鎖された状態で維持するステップは、少なくとも15分の有効期間にわたる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記キャビン空間内部の空気中の前記ガス状清浄剤の濃度を決定するために検出器を使用することと、前記濃度が安全なレベルにあるときに前記キャビンを開放することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記検出器を使用するステップは、前記ガス状清浄剤の安全な濃度のレベルを示す前記装置のインジケータを観察することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記装置はモータを備え、前記装置の前記モータは、充電式バッテリによって電力が供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記装置は、前記キャビン空間内に位置する電源コンセントへの接続によって電力が供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記装置は、前記キャビン空間内のカップホルダの内部に嵌合するようにサイズ決めされる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
撹拌するステップは、遠隔で開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記浮遊飛沫による前記コーティングが前記表面の内部に滞留して、前記汚染の負荷を除去するかまたは実質的に低減する間、前記キャビンを閉鎖された状態で維持するステップは、最長約8時間の有効期間にわたる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記浮遊飛沫による前記コーティングが前記表面の内部に滞留して、前記汚染の負荷を除去するかまたは実質的に低減する間、前記キャビンを閉鎖された状態で維持するステップは、前記キャビン内部から臭いを除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
微生物またはウイルスに汚染された、自動車、トラック、SUV、またはトラクタートレーラーのキャビン内部を清浄にするための方法であって、
容器を備えたポータブル装置を前記キャビン内に配置するステップと、
前記キャビンを閉鎖するステップと、
前記キャビンの空気再循環システムを始動させるステップと、
所定の量の水と、ガス状清浄剤を放出する化学薬品とを前記装置の容器内に添加することと、
前記容器内の水に撹拌を引き起こすステップと、
前記容器から前記ガス状清浄剤の浮遊飛沫を放出するステップと、
前記ガス状清浄剤のコーティングを閉鎖した前記キャビン内の内面に有効時間にわたって滞留させて、前記内面の微生物およびウイルスの負荷を低減する間、前記キャビンを閉鎖した状態で維持するステップとを含む方法。
【請求項15】
前記キャビンを閉鎖するステップは、車両キャビンのドア、窓、および空気循環システムの通風口を閉鎖することによって、前記キャビン空間内部を密閉することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
製剤を追加するステップは、二酸化塩素を含む、固体の化学薬品またはゲルパックを追加することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記微生物およびウイルスの負荷を低減するために前記キャビンを閉鎖された状態で維持するステップは、少なくとも15分の有効期間にわたる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記キャビン空間内部の空気中の前記ガス状清浄剤の濃度を決定するために検出器を使用することと、前記濃度が安全なレベルにあるときに前記キャビンを開放することとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記検出器を使用するステップは、前記ガス状清浄剤の安全な濃度のレベルを示す前記装置のインジケータを観察することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記装置は、充電式バッテリによって電力が供給される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記装置は、前記キャビン空間内に位置する電源コンセントへの接続によって電力が供給される、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記微生物およびウイルスの負荷を低減するために前記キャビンを閉鎖された状態で維持するステップは、最長約8時間の有効期間にわたる、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記浮遊飛沫による前記コーティングが前記表面の内部に滞留している間、前記キャビンを閉鎖された状態で維持するステップは、前記キャビン内部から臭いを除去することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
微生物またはウイルスに汚染された、自動車、トラック、SUV、またはトラクタートレーラーのキャビン内部を清浄にするための方法であって、
自動車、トラック、SUV、またはトラクタートレーラーの前記キャビンを外部環境から密閉し、前記キャビンの空気再循環システムを始動させることと、
密閉された前記キャビン内部に、ガス状清浄剤を放出させる固体またはゲルパックと共に水を内部に有する容器を備えるポータブル装置を配置することと、
前記容器内の前記水を撹拌して、前記固体またはゲルパックにガス状清浄剤を放出させるステップと、
前記容器から浮遊飛沫を発生させるステップであって、前記浮遊飛沫が前記キャビン空間内部に広がって前記キャビン内の表面をコーティングする、ステップと、
前記ガス状清浄剤を有効時間にわたって密閉された前記キャビン内に滞留させて、密閉された前記キャビン内の内面の微生物およびウイルスの負荷を低減する間、前記キャビンを閉鎖した状態で維持することとを含む、方法。
【請求項25】
前記装置は、前記キャビン内のカップホルダの内部に嵌合するようにサイズ決めされる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記装置は、検出器と、いつ前記ガス状清浄剤の濃度が安全なレベルまで低下したかを示すインジケータとを備える、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記装置はモータを有し、前記装置の前記モータを作動させるステップは、遠隔で実行される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記有効時間は、約10〜約30分間の範囲の有効時間を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記閉鎖したキャビン内の内面の微生物およびウイルスの負荷を低減する前記有効時間は、前記キャビン内部から臭いを除去する有効時間である、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記キャビンは、最長約8時間にわたって閉鎖された状態で維持されることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記容器は、モータによって駆動されるインペラを内部に備える、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
微生物またはウイルスに汚染された、自動車、トラック、SUV、またはトラクタートレーラーのキャビン内部を清浄にするための方法であって、
自動車、トラック、SUV、またはトラクタートレーラーの前記キャビンを外部環境から密閉し、前記キャビンの空気再循環システムを始動させることと、
密閉された前記キャビン内部に、二酸化塩素を含むガス状清浄剤を放出させる固体またはゲルパックと共に水を内部に有する容器を備えて前記ガス状清浄剤を前記容器から上方に噴出させるポータブル装置を配置することと、
前記容器内の前記水を撹拌して、前記固体またはゲルパックに二酸化塩素を含むガス状清浄剤を放出させるステップと、
前記容器から浮遊飛沫を発生させるステップであって、前記浮遊飛沫が前記キャビン空間内部に広がって前記キャビン内の表面をコーティングする、ステップと、
前記ガス状清浄剤を有効時間にわたって密閉された前記キャビン内に滞留させて、密閉された前記キャビン内の内面の微生物およびウイルスの負荷を低減する間、前記キャビンを閉鎖した状態で維持することとを含む、方法。
【請求項33】
前記装置は、前記キャビン内のカップホルダの内部に嵌合するようにサイズ決めされる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記装置は、検出器と、いつ前記ガス状清浄剤の濃度が安全なレベルまで低下したかを示すインジケータとを備える、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記装置はモータを有し、前記装置の前記モータを作動させるステップは、遠隔で実行される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記有効時間は、約10〜約30分間の範囲の有効時間を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記容器は、モータによって駆動されるインペラを内部に備える、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、汚染表面を清浄にするための、これら表面への清浄剤の空中散布のための装置およびシステムに関する。より詳細には、本技術は、汚染を低減または除去するための、車両の人を運ぶ空間などの密閉された空間において、ヒトの健康に有害であり得、接触感染を引き起こす可能性のある微生物および/またはウイルスの負荷によって汚染された表面の清浄化に関する。
【背景技術】
【0002】
接触感染症の蔓延は、それがインフルエンザ、一般的な風邪、もしくはエボラなどの潜在性致死ウイルスであろうと、または現時点では知られていないもしくは特定されていない微生物疾患もしくはウイルス性疾患であろうと、ますます懸念されるようになっている。この説明のために、微細な菌類は「微生物」という用語に含まれる。これらの微生物およびウイルスのほとんどは接触によって蔓延する。すなわち、最初の人が、(例えば、保菌者と握手する、または汚染された表面に触れることによって)何らかの表面に接触し、その汚染を獲得し、感染し、それをさらに別の人に移す。この感染の連鎖はよく知られている。微生物であれウイルスであれ、一部の汚染物質は、空気を介した手段によって蔓延しているようである。これには、咳および汚染された病原菌を含む痰の微細な噴霧の放出が含まれる。
【0003】
近代的な都市環境では、主な輸送手段の1つが密閉された車両であり、そうした車両は、航空機、バス、列車、ボート、自動車、SUV、およびトラックなどであるが、これらに限定されない。これらの中には、一般大衆が使用できる車両があり、大衆の一部の人は、微生物またはウイルスを通じて蔓延する伝染病に罹患している場合がある。車両のキャビン内の乗客が通常座る表面は、時間の経過とともに生きた微生物およびウイルス性汚染物質によってひどく汚染される場合がある。したがって、これらの表面は、接触を通じて他の乗客に微生物またはウイルス性疾患を蔓延させる働きをする。
【0004】
公共用でない個人または家族用の輸送機関であっても、家族の一員が病気になっている場合があり、表面を汚染することにより、接触伝染性疾患を他の家族に移す可能性がある。これは特に、学齢児童が学校で同級生から微生物やウイルス感染を「拾い集め」、家族の車両で汚染された表面を通じてそれを親兄弟に移す可能性があるというリスクである。いくつかの微生物またはウイルスは長生きする可能性があり、またこれらに対する免疫は容易に得られない場合がある。したがって、疾患が再発する可能性がある。ただ単に表面を拭き取っても、表面が滑らかでなく、まったくアクセス可能でない場合があるため、表面上の微生物またはウイルスの負荷を除去できないかもしれない。例えば、表面は、多くの場合ざらざらしており、微生物およびウイルスの負荷が持続する可能性のある接合部および他の特徴を有する場合がある。
【0005】
新たに製造された車両に関しては、組立て中に車両が汚染されていない限り、表面上の微生物またはウイルスの負荷の可能性は低い。一方、「中古」または「使用済み」の車両が汚染されており、潜在的な感染源となる可能性は比較的高い。潜在的な健康問題の他に、中古車または使用済みの自動車には審美的な問題があることも多い。すなわち、中古車または使用済みの車は、キャビン空間内で運ばれたペット、または前の所有者による(誤った)使用方法によって、キャビン空間に臭いがあることがある。これは、車両の再販価格に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
公衆衛生の観点からは、車両の乗客を運ぶキャビン空間内の表面を清浄にして、微生物および/またはウイルスの負荷を低減する必要がある。さらに、これを行う公衆衛生上の必要性があるだけでなく、公用車、使用済みの車、または中古車のキャビン空間から望ましくない臭いを取り除くビジネス上または経済的な必要性もある。
【発明の概要】
【0007】
この概要は、本発明の例示的実施形態の特徴のいくつかの概略を示すことを意図している。これらおよび追加の特徴は、以下の発明を実施するための形態でより詳細に説明される。その記述は、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定するものではない。
【0008】
例示的実施形態において、微生物およびウイルスの負荷を含む汚染のあるキャビン空間内部の表面を清浄にする方法が提供される。本方法は、キャビン空間内部を密閉するステップと、水と、固体またはゲルパックとを装置の容器内に配置するステップを含む。蓋を閉鎖している場合、ノズルは、好ましくは、容器内の圧力蓄積を避けるために開いているべきである。装置のモータは、容器内のインペラを回転させることによって、水を撹拌し、装置の容器内に水の渦を発生させるように作動される。この撹拌により、固体またはゲルパックはガス状清浄剤を放出する。次に、ステップは、装置の蓋のノズルがまだ開いていない場合には開き、ノズルから浮遊飛沫を発生させることを含む。飛沫は、非常に微細な飛沫に同伴する水のミストと共に、ガス状の作用物質を含む。蓋は、浮遊飛沫がノズルから出る前に、浮遊飛沫に同伴していたかもしれないより大きなサイズの水滴の少なくとも一部を落とす。容器から出てくる浮遊飛沫は、キャビン空間内部全体に広がり、キャビン空間内部で清浄にすべき表面をコーティングする。キャビンは、浮遊飛沫によるコーティングが表面上に滞留して汚染の負荷を除去するかまたは実質的に低減する間、有効期間にわたって閉鎖された状態で維持される。この方法を実施するために使用される装置は、円形の第1の端部および円形の第2の端部を有する略円錐台形の容器を備え、円形の第2の端部は、円形の第1の端部の直径より大きい直径を有する。容器の側面は、容器の側面が湾曲するように、第1の端部近くでわずかに凸状である。装置は、電動モータを収容するハウジングを備え、ハウジングは、容器の円形の第1の端部に取り外し可能かつ密封するように取り付けられる。ハウジングは底部を有し、底部上に装置が組み立てられ、使用中であるときに直立した状態であることができる。装置は、固体またはゲルパックと一緒に水を撹拌するために容器内に配置された、電動モータによって駆動されるインペラを有するスピンドルを備える。容器は、容器の第2の端部に取り外し可能かつ密封して係合するようにサイズ決めおよび構成された蓋を有する。蓋は、蓋の遠位領域の中に液体バッフルを有し、蓋は、蓋の頂部から延びるノズルを有する。ノズルは、蓋および閉鎖された容器を密閉するためのカバーを有する。
【0009】
任意選択的に、キャビン空間内部を密閉するステップは、車両キャビンのドア、窓、および空気循環システムの通風口を閉鎖することを含む。
任意選択的に、固体またはゲルパックは、水と接触したときにガス状清浄剤として二酸化塩素を放出する製剤を含む。
【0010】
任意選択的に、キャビン空間内部を密閉するステップは、車両キャビンのドア、窓、および空気循環システムの通風口を閉鎖することを含み、キャビンの空気循環システムをオンにすることをさらに含むことができる。
【0011】
任意選択的に、浮遊飛沫によるコーティングが表面の内部に滞留して、前記汚染の負荷を除去するかまたは実質的に低減する間、キャビンを閉鎖された状態で維持するステップは、少なくとも20分の有効期間にわたる。
【0012】
任意選択的に、本方法は、キャビン空間内部の空気中のガス状清浄剤の濃度を決定するために検出器を使用することをさらに含む。また、本方法は、濃度が安全なレベルにあるときにキャビンを開放することを含む。
【0013】
任意選択的に、検出器を使用するステップは、ガス状清浄剤の安全な濃度のレベルを示す装置のインジケータを観察することを含む。
任意選択的に、装置のモータは、充電式バッテリによって、またはキャビン空間内に位置する電源コンセントへの接続によって電力が供給される。
【0014】
任意選択的に、装置は、キャビン空間内のカップホルダの内部に嵌合するようにサイズ決めされる。
任意選択的に、装置のモータを作動させるステップは、遠隔で実行される。
【0015】
任意選択的に、蓋のノズルを開くステップは、遠隔で実行される。
任意選択的に、浮遊飛沫によるコーティングが表面の内部に滞留して、前記汚染の負荷を除去するかまたは実質的に低減する間、キャビンを閉鎖された状態で維持するステップは、キャビン内部から臭いを除去することをさらに含む。
【0016】
別の例示的実施形態では、微生物またはウイルスに汚染された、自動車、トラック、SUV、またはトラクタートレーラーのキャビン内部を清浄にするためのシステムが提供される。システムは、キャビンを外部環境から密閉し、キャビンの空気再循環システムを始動させることを含む。これはさらに、キャビン内部に配置されるポータブル装置を選択することを含み、この装置は、円形の第1の端部および円形の第2の端部を有する略円錐台形の容器を備え、円形の第2の端部は、円形の第1の端部の直径より大きい直径を有する。電動モータを収容するハウジングは、容器の円形の第1の端部に取り外し可能かつ密封するように取り付けられている。また、ハウジングは底部を有し、底部上に装置が立てられ、使用中であるときに直立した状態である。ガス状清浄剤を放出する固体またはゲルパックと一緒に水を撹拌するために、容器内に配置された電動モータによって駆動されるインペラを有するスピンドルがある。蓋は、容器の第2の端部に取り外し可能かつ密封して係合するようにサイズ決めおよび構成され、蓋の遠位領域に液体バッフルを有する。蓋は、蓋の頂部から延びるノズルを有し、ノズルは、蓋および閉鎖された容器を密閉するためのカバーを有し、ノズルは、キャビン空間全体にガス状清浄剤を広げる速度で、ノズルから浮遊飛沫を放出するようにサイズ決めされている。システムは、所定の量の水と、ガス状清浄剤を放出する化学薬品とを装置の容器内に添加し、好ましくはノズルを開いた状態で維持したまま装置の蓋を閉めることを含む。次に、さらなるステップにおいて、システムは、回転するインペラの作用によって容器内に水の渦を形成させるように装置のモータを作動させることを含む。飛沫に同伴するより大きな水滴は、ノズルから出る飛沫から落とされ、ノズルは、微細な水滴を含む場合があるガス状清浄剤を含んだ浮遊飛沫を放出する。清浄化を可能にするために、システムは、放出されたガス状清浄剤のコーティングを有効時間にわたって滞留させて、閉鎖したキャビン内の内面の微生物およびウイルスの負荷を低減する間、キャビンを閉鎖した状態で維持する。
【0017】
任意選択的に、装置は、キャビン空間内のカップホルダの内部に嵌合するようにサイズ決めされ、装置のモータは、キャビン空間内に位置する電源コンセントに接続されることによって電力が供給される。
【0018】
任意選択的に、装置は、検出器と、いつガス状清浄剤の濃度が安全なレベルまで低下したかを示すインジケータとを備える。
任意選択的に、装置のモータを作動させるステップは、遠隔で実行される。
【0019】
任意選択的に、キャビンを閉鎖した状態で維持することによって、清浄剤がキャビン内部から臭いを除去することも可能にする。任意選択的に、キャビンを密閉された状態で維持することによって清浄剤を有効な時間、清浄にされるべき表面に滞留させることによって、キャビンを約12〜約30分間閉鎖した状態で維持することを含む。
【0020】
本技術の前述の態様および付随する利点の多くは、例示的実施形態の添付の簡略化された図面と併せたときに、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より容易に理解されるであろう。以下で簡単に説明する図面は縮尺通りではなく、説明を容易にするために提示され、添付の特許請求の範囲に列挙された発明の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】密閉された空間内の汚染された表面を清浄にする方法のステップのいくつかを例示する例示的実施形態の概略的フローチャートである。
【
図2A】その容器からのガス状清浄剤の生成を示す装置の例示的実施形態である。
【
図2B】キャビン全体に空中ガス状清浄剤を放出する
図2Aの装置の例示的実施形態を示す車両の例示的な切欠図である。
【
図3A】密閉された空間内の汚染された表面を清浄にするための方法およびシステムにおいて有用な装置の例示的実施形態の概略図である。
【
図4A】
図3Aおよび
図3Bの蓋のような、例示的な装置のための別の例示的な蓋の代替図を示す。
【
図4B】
図3Aおよび
図3Bの蓋のような、例示的な装置のための別の例示的な蓋の代替図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態の実施例の以下の非限定的な詳細な説明は、添付の図面を参照することができ、図面に限定されないが、図面は本技術の特徴の説明を深めるために提示される。さらに、詳細な説明は、明瞭さのために適切で必要なものとして、いくつかは本明細書で定義されている特定の当該技術分野の用語を参照してもよい。
【0023】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「キャビン」という用語は、空間内部の空気が抜去も追加もされないように、例えば、空間のドア、窓、およびもしあれば通風口システムを閉鎖することによって、容易に密閉することができる汚染された表面を含む空間を意味する。しかしながら、空気は、例えば、空気循環システムの作動、またはキャビン内でのファンの使用によって、キャビン内で再循環させることが可能である。
【0024】
表面に対するガス状清浄剤に関して使用される「コーティング」または「コーティングする」という用語は、例えば車両内の縫い合わせられた座席およびダッシュボート等に見出されるように微細な表面テクスチャ、表面パターン、および密な間隙空間を備えた表面を空中に浮遊するミストがコーティングし、それによって表面を清浄にするように、ガス状作用物質が表面上に滞留することを意味し、また、このガス状作用物質は飛沫に同伴する微細な水滴を運んでいる場合があり、そうした液滴は溶存したガス状清浄剤を含有するミストを形成する。
【0025】
キャビン内の表面に関連して使用される場合の「汚染」または「汚染負荷」という用語は、微生物、菌類、またはウイルスによる汚染を意味し、さらに、例えば、腐敗した有機物、糞便等の悪臭を引き起こす汚染物質を含む。
【0026】
「有効期間」という用語は、清浄剤がキャビン内の表面を清浄にするためにキャビン内に滞留する時間に関連するため、有効期間は約10〜約30分の間で変化してもよく、特に、約15〜約20分であることができる。達成されるべき清浄度(汚染物質負荷の低減の程度)および使用される化学清浄剤の性質に依存して、より長いまたはより短い時間が有効であり得る。例えば、キャビン空間によっては、2回以上の処理を必要とするか、または所望の清浄レベルおよび脱臭レベルを達成するためにガス状清浄剤が表面に最長8時間、すなわち一晩滞留することを要求するほど非常に汚染された表面を有している場合がある。
【0027】
「汚染負荷の有意な減少」という用語は、特定の汚染種の汚染負荷が、例示的実施形態では清浄化後に少なくとも80%、またはいくつかの実施形態では清浄化後に少なくとも98%減少されることを意味する。
【0028】
図1を参照すると、例示的なフローチャートでは、図示されたシステムまたは方法においていくつかの簡単なステップがある。プロセスがブロック110で開始すると、処理されるべき汚染された表面を内部に有するキャビンはブロック120で閉鎖される。例えば、
図2に180として例示されるような使用済みの自動車では、すべてのドア、窓、および空気循環システムが閉鎖される。したがって、閉鎖されたキャビン内で生じる可能性のあるドアおよび窓のシール周囲の自然な流れを除いて、空気はキャビン内に出入りしない。ドアが開放され、固体またはゲルパック形態の化学薬品を含む液体を収容する装置(
図3Aおよび
図3Bならびに
図4Aおよび
図4Bを参照しながら後に説明する)がブロック130においてキャビン内に配置され、キャビンが閉鎖される(ステップ120は、ステップ130の後に行うことができ、すなわち、その順序は重要ではないことに留意されたい)。数分後、閉鎖された装置内の化学薬品はガス状清浄剤を生成し、その結果、水はわずかに濁る。この段階で、ブロック140において、装置のモータが起動される。装置のノズルは、まだ開放されていなければ開放され、ノズルは、ノズルからのガス状作用物質の流れが、火山からの溶岩のように上方に噴出し、
図2Bで矢印205により示されるようにキャビン内部全体を流れるように、サイズ決めされる。後に説明するように、ノズルは、装置から出るときにガス状清浄剤の気流から飛沫に同伴する大きな液滴を除去する、バッフルのような内部構造を有する。理論により束縛されないが、より小さい微細な液滴が飛沫に同伴し、ガス状清浄剤で表面をコーティングし浸透するのを助けることが理論化されている。任意の化学清浄剤と同様に、清浄剤は、ブロック150のように、汚染負荷の有意な減少に有効な期間、表面に滞留させるべきである。任意選択的に、この待機期間(ブロック150)の間、処理されている車両(ブロック160)は、空気循環システムを再循環モードで作動させることができる。このことによって、清浄剤が、空気循環システムの一部を形成するダクト系統およびフィルタに入ることができ、潜在的なアレルゲン、微生物、および菌類のこれらを清浄にできる。有効時間が経過し、キャビンへの入室が安全であるとみなされた後、キャビンはブロック170において開放することができ、清浄化プロセスが完了する。
【0029】
本発明のシステムおよび方法を実施するのに有用な装置の例示的実施形態が、
図3A、
図3B、ならびに
図4Aおよび
図4Bに示されている。図示されているように、装置200は容器210を有する。容器210は、緩やかに凸状に湾曲した側面を有し、また一端にある底部220および他端にある蓋250を有する。容器210は、その上端において、その底部220近傍の直径214よりも大きい直径212を有する。底部220は、底部内にあるバッテリパック(充電式または非充電式)、または電気コンセントへの電気的接続のいずれかによって駆動されるモータを含む。スピンドル226は、モータスピンドル222と係合し、モータスピンドル222と調和して回転する係合ホイール224上に載置される。インペラ230は、スピンドル226が回転するとインペラ230が回転するようにスピンドル226に摩擦嵌合するキャビティ232を有する。図示される例示的実施形態のインペラは、下向きに湾曲した1つの馬蹄部234および上向きに湾曲した馬蹄部236がそれぞれの湾曲の頂点で共通平面内で結合されるように、2つの馬蹄部を有する「二重馬蹄形」を有する。この設計によって、容器210内の液体が、容器内の回転するインペラによって急速に撹拌されるときに、渦形状が容易に形成される。保護カバー228は、モータを容器210の内容物から遮蔽し、スピンドル226の周りに嵌合する。スピンドル226は、カバーの中心の穴を通って軸方向に突出する。スピンドルは、カバー228の下の空間への漏れを回避または最小限にするために、穴に対して適切にシールされる。
【0030】
より詳細には
図4Aおよび
図4Bを参照すると、蓋250の代替的に示された例示的実施形態は、容器の上部リップに係合することによって容器210の上端に摩擦嵌合できるか、または容器の上部リップ(図示せず)の対応するねじ山に係合する、蓋250の下端262に螺合260することによって、容器210にねじ留めすることができる。蓋250は、ノズル254を有する頂部252を有する。ノズル254は、ノズル254から延びるノズル閉鎖タブ256を備える。
図2Aを簡単に参照すると、使用時には、例示的な容器210は部分的に水272で満たされ、水と接触するとガス状清浄剤を放出する固体275またはゲルパック275は水の容器内に配置される。モータが作動すると、清浄ガスはすぐに放出され始める。矢印235によって示されるように、回転するインペラ230による撹拌によってガスの放出が加速し、これによって水が図に示すように容器210内に渦を形成する。十分なガス状作用物質が放出されると、ガス状清浄剤は浮遊飛沫としてノズルを通って上方に噴出され、キャビン空間を満たし、表面の清浄化を開始する。したがって、ノズル254は、
図4Aに示す内径255を有する。内径255は、清浄にされるキャビン空間の所望の領域全体を通る浮遊飛沫を発生させる速度および運動量の両方をガス状清浄剤の放出が有するような速さで、ガス状清浄剤がノズルを通って容器から放出されるようなサイズにされる。例えば、浮遊飛沫の速度は、車のキャビンを通過するのに十分である。大型SUVまたはトラクタートレーラーのキャビンのような他の実施形態では、浮遊飛沫によるキャビン全体への浸透を達成するために複数の装置が必要とされる場合がある。容器からのフォームおよび大きな液滴の両方またはそのいずれかの放出を避けるために、蓋は、底部領域に細かいメッシュ材料266で覆われたスポークの間に空間を有する車輪構造によって例示されるバッフル264を備える。さらに、ノズルは、その底部に、ガス状清浄剤の流れのための穿孔を含む別のバッフル258を備えることができる。
【0031】
ガス状清浄剤は二酸化塩素として記載されているが、他の類似のガス状作用物質も有用であり得る。さらに、清浄にされたキャビンの内部に快適な匂いを付与するために、または「化学的」な臭いを隠すために、付臭剤を添加してもよい。
【0032】
本技術の実施形態の例は、例としても本文およびいくつかの実施例において提示され、記載されたが、本発明の範囲から逸脱することなく、記載された技術においてさまざまな変更および修正が行われてもよいことが理解されるであろう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の範囲に記載されており、適宜解釈され、解釈されるように、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。