(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
蓄電デバイスは、電池やキャパシタに代表される電気を蓄積するデバイスである。キャパシタとはコンデンサのことで、電気二重層キャパシタが代表的ある。電池にはアルカリ電池やリチウムイオン電池などがある。
【0003】
そして、電池やキャパシタなどの蓄電デバイスにおいては、内部の温度上昇が常に問題となる。温度が上昇すると性能低下や劣化を招くためである。そのため、蓄電デバイスにおいては、冷却性能が重要な要素となる。
【0004】
これに対して、特許文献1に記載の電池では、電池の被覆材として高い電気抵抗を有し、熱伝達性の優れた材質としてセラミックを用いることにより、電池内部で発生する熱を外部へ効率的に放散させることが可能となる二次電池が提案されている。
【0005】
また、電池の構造としては、モノポーラ型、バイポーラ型などがある。バイポーラ型の電池とは、集電体の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成された構造の電池である。バイポーラ型の電池は、高電圧化、部品点数の低減、単セル同士の電気抵抗の低減、不要空間の削減による高エネルギー密度化などが比較的容易なことから、電気自動車や各種電子機器の電源として広く用いられている。
【0006】
特許文献2には、電解質層に高分子ゲル電解質や液体電解質を用いてなる電池において、電解質部分からの電解液の染み出しによる液絡(短絡)を防止するために、電解質層を保持するセパレータの外周部に成型配置されたシール用の樹脂を備えるバイポーラ電池が開示されている。
【0007】
特許文献3には、非水電解液を用いた電池において、エチレン性二重結合およびエポキシ基を同一分子内に含む化合物を用いてグラフト変性した変性ポリオレフィン系樹脂を含有するシール材を採用することにより、電解液の染み出しのないシール性に優れたバイポーラ電極を提供することが開示されている。
【0008】
また、アルカリ二次電池の正極活物質として使用されている水酸化ニッケルおよび二酸化マンガンは、金属酸化物であり、極めて電導度が低い。この問題を解決するために、例えば、特許文献4には、水酸化ニッケルに高次コバルト酸化物を導電剤として添加した活物質が開示されている。この活物質を用いれば、水酸化ニッケル粒子間に高次コバルト酸化物による導電性のネットワークが形成されるため、水酸化ニッケル粒子全体で充放電反応が進行しやすく、高容量化を達成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の発明は、電池要素がケーシング内に隙間なく収納されているため、内部に熱がこもりやすく、温度上昇が十分に抑えられないという課題がある。特に、近年の二次電池やキャパシタには高出力特性が求められており、高出力すなわち高い充放電レートで充放電を行えば二次電池の内部温度が上昇して高温度になり、電極の活物質が損傷を受けるおそれがある。
【0011】
また、電池には、正極、負極および電解液からなる単電池が複数組み合わされて構成された電池があり、一般的に組電池と称される。このような組電池は、電解液の炭酸劣化や液漏れによる周辺機器の腐食を防ぐため、密閉化した単電池が用いられる。
【0012】
そして、各電極の電解質に含まれる電解液が染み出すと、それが各電極同士を電気的に接続する液絡が生じて、電池としての能力が大きく低下する。そのため、複数の単電池が組み合わされた組電池では、液絡を防ぐべく、単電池−単電池間の電解液が共有化しないように、単電池が密閉化されている。
【0013】
特許文献2、3の発明は、液絡の防止を目的として樹脂製のシール材を用いているが、電池要素を樹脂で被覆しているので、電池内部で発生する熱の外部への伝導性が低下し、内部の電池温度が上昇を招くおそれがある。
【0014】
また、上記した組電池においては、単電池間を配線等の接続部を介して電気的に接続しているので、配線である接続部において電気抵抗が生じるため、出力の低下を招く。また、組電池の小型化を考えると、接続部や密閉化するための部材、例えば蓋等の電気発生とは直接関係のない部材があることにより、組電池の出力密度やエネルギー密度を低下させている。また、部品点数の多いことは、組立に要する工数が増えることになる。また、組電池においては、単電池間の液絡を防ぐべく、密閉化した単電池を接続しているので、単電池の数だけ電解液の注液工程が必要となり、電解液の注液に時間がかかるという課題がある。
【0015】
一方、上記したように二次電池やキャパシタは高出力特性が求められるところ、高出力すなわち高い充放電レートで充放電を行えば二次電池の内部温度が上昇して高温度になるため、充放電レートは制限を受け、高出力化を困難にしている。
【0016】
また、導電剤として高価な高次コバルト酸化物に代えて、黒鉛化炭素材料を導電剤として用いれば、充分な導電性を得られるが、黒鉛化炭素材料は耐食性が良くないために充放電を繰り返すと炭素材料が酸化劣化し、導電性が次第に低下する。また、充電時に正極で発生した酸素は、負極の水素吸蔵合金を酸化して、水素吸蔵能力を低下させる。
【0017】
本発明の目的は、以上の事情に鑑みなされたものであって、組立が簡単で出力密度の高い蓄電デバイスを提供することにある。また、別の目的は、電解液の注液を容易にするとともに液絡を防止する蓄電デバイスを提供することにある。また、別の目的は、冷却性能が高い蓄電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る一の態様の蓄電デバイスは、導電性を有する第1筒部と、導電性を有する第2筒部と、正極および負極のいずれか一方の第1電極と、いずれか他方の第2電極と、第1電極と第2電極の間に介在するセパレータと、を備え、前記第2筒部は、前記第1筒部の内側に配され、前記第1電極と前記第1筒部とが接触し、前記第2電極と前記第2筒部とが接触している。
【0019】
この構成によれば、第1筒部の外側面を冷却することにより、蓄電デバイスの内部を効果的に冷却することができる。また、第1筒部が第1電極の集電体として機能し、第2筒部が第2電極の集電体として機能するところ、従来の中実の集電体と比較して、集電体の内部が空洞になっているため、従来よりも冷却性能が向上する。
【0020】
また、この蓄電デバイスは、前記第1筒部と前記第2筒部との間の空間に、前記第1電極と前記第2電極と前記セパレータとが存在し、前記第2筒部で囲われる内側の空間が、真空又は気体で満たされている。
【0021】
この構成によれば、第2筒部で囲われる内側の空間が真空又は気体で満たされている、すなわち、この空間が電解液などの液体で満たされていないことにより、冷却性能がより向上する。
【0022】
また、この蓄電デバイスは、前記気体が水素である。この構成によれば、蓄電デバイスの内部に水素が存在し、内部で発生する酸素が水素と結合して水となるので、正極に含まれる導電剤等が酸化されず、蓄電デバイスの劣化を抑制する。
【0023】
また、この蓄電デバイスは、さらに、底部と、蓋部とを備え、前記底部と前記第2筒部とが接触しておらず、前記蓋部と前記第1筒部とが接触していない。この構成によれば、底部と第2筒部が接触していないことにより、第2筒部の内部と、第2筒部の外側で第1筒部に囲われる空間が連通する。これにより、第2筒部の上方から電解液を注入することで、容易に蓄電デバイスの内部全体に電解液を充満させることができる。
【0024】
また、この蓄電デバイスは、前記底部と前記蓋部とが導電性を有し、前記底部と前記第1筒部とが一体で構成され、前記蓋部と前記第2筒部とが一体で構成されている。
【0025】
また、この蓄電デバイスは、前記蓋部と前記第1筒部との間に絶縁部材を備える。この構成によれば、蓋部と第1筒部とが確実に絶縁される。
【0026】
また、この蓄電デバイスは、前記第1筒部が、外方に突出する鍔部を備える。この構成によれば、鍔部により外気との接触面積が増えるので冷却性能が向上する。また、蓄電デバイスをケーシングに入れた場合などにも、鍔部によりケーシングと密着せず冷却性能を向上できる。ここで、鍔部は第1筒部の端部に設けてもよく、端部以外に設けてもよく、複数設けてもよい。
【0027】
また、この蓄電デバイスは、前記底部と前記蓋部とが孔を有し、前記底部の孔と、前記蓋部の孔とは、前記第2筒部を介して流体が通過可能である。また、この蓄電デバイスは、複数の蓄電デバイスが組み合わされ、第1蓄電デバイスの蓋部の孔と、第2蓄電デバイスの底部の孔とは、流体が通過可能である。この構成によれば、蓋部と底部とが孔を有するので、蓄電デバイスを複数組み合わせた場合に、一番上の蓄電デバイスの蓋の孔から電解液を注入すれば、各蓄電バイスの内部に電解液を注入することができる。そして、各蓄電デバイスの第2筒部の内部の電解液を引き抜くことで、各蓄電デバイス間の液絡を防止できる。
【0028】
また、この蓄電デバイスは、第1蓄電デバイスから第2蓄電デバイスへの液体の流入を抑える抑止手段を備える。この構成によれば、第2筒部の内部の電解液を引き抜いた後、抑止手段が電解液の流入を抑止し、各蓄電デバイス間の液絡をより確実に防止できる。
【0029】
また、この抑止手段は、例えば、前記第2筒部の内向きに設けられる突辺であり、前記第2筒部又は該第2筒部の下方に配される撥水シートであり、前記第2筒部の撥水加工であり、前記第2筒部の内側面に設けられた凹凸であり、これらを複数組み合わせてもよい。
【0030】
ここで、第2筒部の内向きに設けられる突辺とは、例えば、第2筒部の内側面から内向きに突出する環状の突辺である。また、撥水シートをこの環状の突辺に載置してもよい。また、第2筒部の撥水加工は、例えば第2筒部の下方に施せば、第2筒部の下方と底部との隙間からの電解液の流入を効果的に防止できる。また、第2筒部の内側面を凹凸にすれば、凹凸の面が電解液の流入を抑止する。
【0031】
また、本発明に係る一の態様の蓄電デバイスは、有底の筒状の導電体であって、底部が下方に突き出た突出部を有する導電体と、正極および負極のいずれか一方の第1電極、いずれか他方の第2電極、セパレータを含む電極群と、を複数備え、隣り合う第1導電体と第2導電体において、第2導電体が、第1導電体の上方に配され、第2導電体の突出部が、第1導電体の筒部に囲われていて、前記第2導電体の突出部と、前記第1導電体の筒部との間の空間に、第1電極群が存在する。
【0032】
この構成によれば、第1導電体の筒部の外側面を冷却することにより、蓄電デバイスの内部を効果的に冷却することができる。ここで、導電体と電極群により構成される1つの蓄電デバイス(以下この1つの蓄電デバイスを「セル」と称する場合がある)を複数接続する場合、これらを接続する配線が存在しないため、配線の電気抵抗による出力の低下がない。また、配線やセルの蓋等が不要なので、蓄電デバイス全体の小型化を図ることができ、高容量化が期待できる。更に、エネルギー密度が向上して高出力化が期待できる。また、部品点数が減り組立工数の低減を図ることができる。
【0033】
各セルは配線より断面積の大きな集電体としての機能を有する導電体(以下「集電体」と称する場合がある)により接続されているため、電気抵抗が小さく、高出力化を図ることができる。また、オーム損失が小さい。
【0034】
また、この蓄電デバイスは、前記第1電極群の第1電極と、前記第1導電体の筒部とが接触し、前記第1電極群の第2電極と、前記第2導電体の突出部とが接触している。この構成によれば、充放電により電極で発生する熱は、集電体を介して速やかに外部に伝えられるので、各セル及び蓄電デバイス全体の内部温度の上昇が制限されて、高出力化が可能となる。
【0035】
また、この蓄電デバイスは、前記第2導電体の底部と前記第1導電体の筒部との間に絶縁部材を備える。この構成によれば、第1導電体と第2導電体とを確実に絶縁できる。
【0036】
また、この蓄電デバイスは、前記筒部が、外方に突出する鍔部を備える。この構成によれば、冷却性能が向上する。
【0037】
また、この蓄電デバイスは、第2導電体の突出部が筒状であり、該突出部の内側の空間が、真空、又は気体で満たされている。この構成によれば、突出部が筒状であり、突出部の内側が真空であるか気体であり、電解液等の液体で満たされていないため、冷却性能が向上し、また各セルの液絡を防止する。
【0038】
また、この蓄電デバイスは、前記気体が水素である。この構成によれば、蓄電デバイスの内部に水素が存在し、内部で発生する酸素が水素と結合して水となるので、正極に含まれる導電剤等が酸化されず、蓄電デバイスの劣化を抑制する。
【0039】
また、この蓄電デバイスは、前記突出部の下方に孔の開いた底を有する。この構成によれば、各セルの内部が底の孔を介して連通するため、一番上のセルから電解液を注入すれば、各セルの内部に電解液を注入することができる。そして、各セルの突出部内側の電解液を引き抜くことで、各セル間の液絡を防止できる。
【0040】
また、この蓄電デバイスは、前記突出部又は該突出部の下方に撥水シートを備える。撥水シートは、例えば微多孔膜またはポリオレフィンの不織布であり、一例としてポリエチレンまたはポリプロピレンである。この構成によれば、突出部内側の電解液を引き抜いた後、撥水シートが電解液の流入を抑止することで、各セル間の液絡をより確実に防止できる。また、電解液の流入を抑止する手段として、前記の撥水シートにかえて、又は、撥水シートとともに、突出部を撥水加工してもよい。また、突出部の内側面に凹凸を設けてもよい。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、組立が簡単で出力密度の高い蓄電デバイスを提供できる。また、複数の蓄電デバイスを組み合わせた際に、電解液の注入が容易となる。また、特別な構造の導電体を採用することにより、蓄電デバイスの高出力化、高容量化を可能にする。また、冷却性能が高い蓄電デバイスを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明に係る一実施形態を説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。特に、本実施形態は、バイポーラ型の二次電池を例に説明するが、本発明はバイポーラ型以外の電池やキャパシタなど、その他の蓄電デバイスに適用してもよい。
【0044】
<二次電池材料>
本発明の各実施形態について説明するのに先立ち、本発明が適用される二次電池としてニッケル水素電池を例に取り説明する。なお、二次電池のタイプはこれに限定されるものでなく、二酸化マンガン電池、リチウムイオン電池、ニッケル亜鉛電池等の二次電池であってもよい。なお説明の都合上、第1電極を正極とし、第2電極を負極として説明する。
【0045】
負極に用いる水素吸蔵合金として、希土類系合金であるAB5型、ラーベス相合金であるAB2型、チタン−ジルコニウム系合金であるAB型、マグネシウム系合金であるA2B型などの合金系が挙げられる。このうち、水素貯蔵容量、充放電特性、自己放電特性およびサイクル寿命特性の観点から、AB5型の希土類−ニッケル合金である、MmNiCoMnAlのミッシュメタルを含んだ5元系合金であることが好ましい。
【0046】
正極活物質は、アルカリ二次電池の正極用として利用可能なものであれば特に限定されるものではなく、水酸化ニッケルであってもよく、二酸化マンガンであってもよい。正極用の導電剤は、放電時に電解液に溶出することなく、かつ、水素で還元されにくい炭素材料であることが好ましい。
【0047】
電解液の耐性と充電時における耐酸化性の観点から、アモルファスカーボンを用いることが好ましい。特に、ソフトカーボンを用いることが好ましい。ソフトカーボンとは、不活性雰囲気中で加熱処理を施した時、黒鉛構造−炭素原子が構成する六角網平面が規則性をもって積層した構造−が発達し易いカーボンのことであり、易黒鉛化性炭素とも言われる。なお、グラファイトとは、上記ソフトカーボンを黒鉛化したカーボンであり、黒鉛とも称される。
【0048】
ソフトカーボンのうち、部分的にグラファイト化したカーボンが好ましい。なかでも、ソフトカーボンの表面部分がグラファイト化したものが好ましい。グラファイト化が進展したソフトカーボンは、劣化しやすい。グラファイト化が少ないと導電性がよくならない。グラファイト化の割合は、ソフトカーボン全体を100wt.%とすると、10〜90wt.%が好ましく、20〜60wt.%が更に好ましい。上述のような炭素材料を用いた正極は、サイクル寿命特性に優れた二次電池を実現することができる。
【0049】
正負極の電極基板は、電気伝導性が高く、電解液中の安定性と耐酸化性がよい観点から、Niが好ましく、具体的には、発泡ニッケル基板もしくはニッケルメッキ鋼板が好ましい。
【0050】
正極活物質粉末、結着剤、および、導電性粉末を混合してペースト状に混練する。このペーストを、電極基板に塗布または充填し、乾燥させる。その後、ローラープレス等で電極基板を圧延することにより正極を作製した。
【0051】
同様に負極は、水素吸蔵合金粉末、結着剤、および、導電性粉末を混合することによって、ペーストを調製する。このペーストを、電極基板に塗布または充填し、乾燥させる。その後、ローラープレス等で集電体を圧延することにより負極を作製した。
【0052】
電解質は、水素を活物質とする電池で用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)などの塩を水に溶かしたものが好適である。電池の出力特性の観点から、電解液は水酸化カリウム水溶液であることが好ましい。
【0053】
セパレータの形状としては、微多孔膜、織布、不織布、圧粉体が挙げられ、このうち、出力特性と作製コストの観点から不織布が好ましい。セパレータの材質としては、特に限定されないが、耐アルカリ性、耐酸化性、耐還元性を有することが好ましい。具体的にはポリオレフィン系繊維が好ましく、例えば、ポリプロピレンもしくはポリエチレンが好ましい。
【0054】
ポリオレフィン系繊維は疎水性であるので、親水処理する必要がある。水素ガス雰囲気中で使用する場合は、フッ素ガス処理を施したセパレータが好ましい。また、金属酸化物をセパレータの表面に塗布もしくは被覆したセパレータが好ましい。
【0055】
集電体の材質として、電気伝導性が高く、電解液中の安定性と耐酸化性の観点から、Ni材が好ましく、具体的にはニッケルメッキ鋼板を用いた。ニッケルメッキを施すことにより、集電体がセパレータに含まれる電解液により腐食されるのを防止する。
【0056】
<第1実施形態>
図1Aに本発明の第1の実施形態に係るバイポーラ電池の集電体の平面図を、
図1Bに側面の部分断面図を示す。
図1Bは、
図1Aの平面図のA−A線に沿った断面図である。集電体4は、ニッケルメッキ鋼板製の有底の円筒缶の底部を、円筒缶の軸方向外方に向かって突き出した突出部5を有している。したがって、集電体4は、円筒缶であった第1の筒部6と、底を形成していた第2の筒部である突出部5と、筒部6と突出部5とをつなぐ平坦な肩部8とを有する。
【0057】
突出部5の頂部には穴7が設けられていて、集電体4で囲まれた空間と外部空間が、この穴を通じて連通するようになっている。筒部6と突出部5と穴7とは同心状の配置されている。本実施例では有底円筒缶を用いたが、楕円もしくは角形断面を有する筒状体であってもよい。集電体4の筒部6に繋がる開口部には筒部6から半径方向外方に広がる鍔部9が形成されている。鍔部9は冷却フィンとして作用するとともに後述する絶縁シート14の座となり電池密閉のためのシールしろとしての機能を果たす。
【0058】
図2Aに本発明の第1の実施形態に係るバイポーラ電池の構成要素の平面図を、
図2Bに
図2Aの平面図のB−B線に沿った断面図を示す。バイポーラ電池10は、2つの集電体4と集電体4の内方に収納される1組の電極群11とを主な構成要素として備えている。集電体4は
図1に示したものを2つ用いてもよいが、よりコンパクトにするため、下側の集電体は筒部を有さない形態とした。ここで、筒部を有さない集電体を端部集電体4Tと称する。もっとも、集電体4と端部集電体4Tとを区別する必要がない場合、それらを総称して単に集電体4と称するものとする。
【0059】
発電エレメントである電極群11は、水素吸蔵合金を含む負極1と、正極活物質を含む正極2と、負極1と正極2の間に介在してイオンは透過するが電子を透過させないセパレータ3とで構成されている。電極群11は、集電体4の軸方向に積層され集電体の内方に収納されている。そして、負極1、正極2およびセパレータ3の中央には、端部集電体4Tの突出部5が貫通する穴が設けられている。端部集電体4Tの突出部5は、正極2と負極1とセパレータ3とから構成される電極群13の中央を、端部集電体4Tの軸方向に貫通している。
【0060】
負極1および正極2の寸法と、集電体4の寸法との関係について説明する。負極1に設けられた穴の径は、端部集電体4Tの突出部の外径より小さい。したがって、負極の穴の周縁部は端部集電体4Tの突出部と接触して、負極1と端部集電体4Tは、電気的に接続されている。一方、正極2の中央に設けられた穴の径は、端部集電体4Tの突出部の外径より大きく、正極の穴の周縁部は端部集電体4Tの突出部と接触せず、正極2と端部集電体4Tは、電気的に絶縁されている。
【0061】
負極1の外径は集電体4の筒部の内径よりも小さく、負極の外縁部と集電体4の筒部の内面は接触しておらず、負極と集電体4とは電気的に絶縁されている。一方、正極2の外径は集電体4の筒部の内径より大きく、正極2の外縁部は集電体4の筒部の内面と接触しており、正極2と集電体4とは電気的に接続されている。負極の穴の径は突出部の外径より少し小さく、正極2の外径は筒部の内径より少し大きい。
【0062】
次に、負極1および正極2とセパレータ3の寸法との関係について説明する。セパレータ3の外縁が、正極2により覆われており、負極1の外縁が、セパレータ3により覆われている。そして、正極2の穴の周縁が、セパレータ3により覆われており、セパレータ3の穴の周縁が、負極1により覆われている。
【0063】
すなわち、セパレータ3の外径は、負極1の外径より大きい。このため、負極1と正極2とは、集電体4の筒部6内周面近傍においてセパレータ3により完全に隔離されている。このため、電極が変形しても、正負の電極は互いに接触することがない。更に、セパレータ3に設けられた穴の径は、正極2に設けられた穴の径より小さい。このため、負極1と正極2とは、端部集電体4Tの突出部5の外周面近傍においてセパレータ3により完全に隔離されている。このため、電極が変形しても、正負の電極は互いに接触することがない。
【0064】
また、セパレータ3の外径は正極2の外径より小さい。このため、正極2と集電体4の筒部6の間にセパレータ3が介在することがない。更に、セパレータ3に設けられた穴の径は、負極1の中央に設けられた穴の径より大きい。このため、負極1と集電体4Tの突出部5の間にセパレータ3が介在することがない。
【0065】
集電体4と端部集電体4Tは軸方向に同心となるように重ねられている。集電体の突出部5の高さは、集電体の筒部6の高さより小さく、上下の集電体4が中央付近においても接触することはない。更に、集電体4と端部集電体4Tの間に絶縁シート14を配置して、上下の集電体の絶縁を図っている。絶縁シート14としては、例えば、ポリプロピレン製のシートを用いることができる。
【0066】
2つの集電体4,4Tとこれに囲まれた電極群11が、1つのセル15を構成する。このセルを2つの端子板16、17でサンドイッチして、ボルト20で連結してナット21で固定してバイポーラ電池10とする。なお、ナットはダブルナットとなっている。ボルト20はビニール製の絶縁チューブ22で覆われているので、集電体4の鍔部9の周縁端部において集電体4とボルト20が接触して電気的に短絡が生じることはなく、また、端子板16,17とボルト20が接触して電気的に短絡が生じることはない。
【0067】
集電体4と端部集電体4Tに囲まれた空間に水素貯蔵室13が形成されており、外部から供給された水素ガスおよび電解液が電気分解することにより内部で発生する水素ガスを貯蔵することができる。本実施例の電池において、負極容量を正極容量よりも小さく設定すれば、過充電時に負極から発生する水素ガスはこの水素貯蔵室13に貯えることができる。水素貯蔵室13は電解液の液溜まりとしても機能する。なお、電解液は、セパレータ3にも保持されている。
【0068】
水素貯蔵室13に蓄えられた水素ガスは、電池内部で発生する酸素と結合して水となるので、正極2が酸化するのを防ぐ役割を果たし、正極2の寿命特性を改善するとともに負極1を充電することができる。
【0069】
2つの集電体4、4Tが、バイポーラ電池10の軸方向に同心状に、互いに接触することなく積み重ねられている。集電体4の突出部5は正極端子板17の中央に設けた穴に嵌合しており、筒部6を有さない端部集電体4Tの肩部8’は負極端子板16の上に配置されている。集電体4の肩部8が正極端子板17に接触しており、集電体4と正極端子板17とが電気的に接続されている。また、端部集電体4Tの肩部8’が負極集電板16に接触しており、端部集電体4Tと負極集電板16とが電気的に接続されている。
【0070】
集電体4は正極2に接続されており、端部集電体4Tは負極1に接続されているので、正極端子板17は正極端子を構成し、負極端子板16は負極端子を構成する。左側のボルト20aと負極端子板16の間には絶縁ワッシャー23aが介在しているので、ボルト20aと負極端子板16は電気的に絶縁されている。一方、ボルト20aと正極端子板17の間には金属製の平ワッシャー24aが介在しているので、ボルト20aと正極端子板17は電気的に接続されている。よって、ボルト20aは正極端子を構成する。左側のナット21aの間に正極ケーブルを接続することができる。
【0071】
右側のボルト20bと正極端子板17の間には絶縁ワッシャー23bが介在しているので、ボルト20bと正極端子板17は電気的に絶縁されている。一方、ボルト20bと負極端子板16の間には金属製の平ワッシャー24bが介在しているので、ボルト20bと負極端子板16は電気的に接続されている。よって、ボルト20bは負極端子を構成する。右側のナット21bの間に負極ケーブルを接続することができる。なお、絶縁ワッシャーは絶縁性を有しておればよく、本実施例ではポリプロピレン製のものを用いた。
【0072】
4本のボルト20の左側の一対のボルト20aを正極端子とし、右側の一対のボルト20bを負極端子としたが、4本のうち3本を負極端子とし、残りの1本を正極端子としてもよく、また、4本のうち3本を正極端子とし、残りの1本を負極端子としてもよい。
【0073】
集電体4の穴7にはマイクロカプラ26が取り付け可能になっていて、このマイクロカプラ26を経由して、バイポーラ電池内の真空引きを行ったり、電解液を補充することができるようになっている。更に、マイクロカプラ26を経由して、外部に設けた水素貯蔵源から水素ガスをバイポーラ電池内に供給することが可能となっている。負極端子板16の底部にもマイクロカプラ26を接続するための取付口28が設けられている。
【0074】
<第2実施形態>
図3に本発明の第2の実施形態に係るバイポーラ電池の軸方向断側面図を示す。
図3に示すバイポーラ電池30は5つのセルが直列に接続された電池となっている。
図2Bに示した実施例1との相違点を中心に説明する。
【0075】
図3において、左側のボルト20aが正極端子を構成し、右側のボルト20bが負極端子を構成することは
図2Bと同じであるが、ナット21bが負極端子板16側に配置されている点が異なっている。
図2Bにおいては、負極ケーブルと正極ケーブルは同じ方向に取り出すようになっているのに対して、
図3では負極ケーブルと正極ケーブルは反対方向に取り出すようになっている。電極ケーブルの取り出し方向は、組電池を構成するときに、電極ケーブルの取り回しの便の都合によって定める。
【0076】
5つの集電体4−1〜5と一つの集電体4Tとが、バイポーラ電池30の軸方向に同心状に、筒部6を上にして、互いに接触することなく積み重ねられている。各集電体4は絶縁シート14により電気的に絶縁されている。一番上の集電体4−1の突出部5は正極端子板17の中央に設けた穴に嵌合しており、一番下の端部集電体4Tの肩部8’は負極集電板16の上に配置されている。筒部6を有さない端部集電体4Tを用いることにより、電池のデッドスペースをなくすことができて、電池容量を維持したまま容積を小さくすることができる。
【0077】
複数の負極1と正極2および負極1と正極2の間に介在するセパレータ3を積層した電極群11が、集電体4の内方に収納されている。2つの集電体4−1,4−2とこれに囲まれた電極群11−1が、1つのセル15−1を構成する。集電体4−1は、筒部6の内面が正極2に当接しているので正極集電体となり、集電体4−2は、突出部5が負極1に当接しているので負極集電体となる。
【0078】
同様に、2つの集電体4−2,4−3とこれに囲まれた電極群11−2が、セル15−2を構成する。そして集電体4−2がセル15−2の正極集電体となり、集電体4−3が負極集電体となる。以下同様に、集電体4−3,4−4とこれに囲まれた電極群11−3が、セル15−3を構成する。集電体4−4,4−5とこれに囲まれた電極群11−4が、セル15−4を構成する。集電体4−5,4Tとこれに囲まれた電極群11−5が、セル15−5を構成する。以上のように、バイポーラ電池30はセル15−1〜5が電気的に直列に接続された電池となる。
【0079】
集電体4−1の頂部に設けた穴7にマイクロカプラ(
図2B参照)を取り付けて、電解液をバイポーラ電池30の内部に所定の圧力で注入する。注入された電解液は、集電体4に設けた穴7を経由して、各セル15内部に行き渡る。電解液の注液作業を集約することができ、各セルごとに注液する必要がないので注液作業を簡素化することができる。
【0080】
そして、電解液が各セル15内部に行き渡った後、電解液を引き抜いて、各セル15の突出部5内にある電解液を抜き取る。各セル15において、電極群11のある筒部6に電解液が残り、突出部5には電解液がない状態となる。その後、集電体4−1の頂部に設けた穴7から所定の圧力で、水素ガスを所定の圧力で注入する。そうすると、各セル15の突出部5内に水素ガス行き渡る。これにより、各セル15の筒部6には電解液が存在し、突出部5内には水素ガスが満たされた状態となる。なお、筒部6の電解液は、突出部5内の水素ガスの存在や下記の撥水シート31等により、突出部5に流入しない。
【0081】
また、集電体4の突出部5の内方に、突出部5の断面を覆うように円盤状の撥水シート31が配置されている。そして、撥水シート31の位置を保持するための押え板32を突出部5の内部に設けられている。撥水シート31は、突出部5の穴7から所定の圧力で供給された電解液と水素ガスを通す。そして、常圧においては、撥水シート31は微多孔を有しているので、各セルに供給された水素ガスは各セル間を流通可能である一方、水をはじく性質を有する撥水シート31により電解液は通過せず各セルに区分された状態となり、電解液を介してセル間で液絡を生じることはない。
【0082】
撥水シート31はポリオレフィン系の不織布であって、ポリエチレンもしくはポリプロピレンであってもよい。撥水シート31は、絶縁性を有するパッキンとしても作用する。なお、撥水シート31は突出部5の内方になくてもよく、穴7と電極群11の間にあればよい。
【0083】
図4Aは、バイポーラ電池の組電池40の組立断側面図である。
図4Bは、バイポーラ電池の組電池40の組立平面図である。
図4Aにおいて、図を簡単化するために電極群の記載は省略してある。1つのバイポーラ電池は複数のセルから構成されており、5セルの場合は
図3を用いて説明した。
【0084】
組電池40は5つのバイポーラ電池を樹脂製の電池ケース41に収納して構成されており、外部に空冷用の冷却ファン42が設けられている。冷却ファン42は、外気から冷却用の空気を吸込み、バイポーラ電池の軸方向に直角の向きに冷却風を送る。電池ケース41内に送込まれた冷却風は集電体4の筒部6外側面を通過して、接続金具43により拡散されて隣のバイポーラ電池に流れる。接続金具43により冷却風の流れが乱されるので冷却効果が高まる。
【0085】
図5にバイポーラ電池の両端部の拡大断面図を示す。図を簡単にするためにバイポーラ電池の中間部の記載を省略してある。各セルは通しボルト44a、44bにより固定されている。通しボルト44は図示しない絶縁チューブにおり覆われており、通しボルトを介して集電体同士が短絡を起こすことがないようになっている。
【0086】
接続金具43はナット45(
図4B参照)により、その両端において、通しボルト44に固定されている。接続金具43は、電気の良導体でできている。本実施例において接続金具にアルミニュームを用いた。アルミニュームは鉄より電気低抗が小さいので、接続金具43は鉄製の通しボルト44よりも小さなオーム損失で電気を外部に伝えることができる。
【0087】
負極集電板16と接続金具43の間に絶縁部材46aを配置して、接続金具43を介してバイポーラ電池が短絡しないようになっている。同様に、正極集電板17と接続金具43の間に絶縁部材46bを配置して、接続金具43を介してバイポーラ電池が短絡しないようになっている。通しボルト44aは正極端子となり、通しボルト44bは負極端子となり、電池ケース41に設けた穴から電気を取り出すことができる。
【0088】
本実施形態に係る組電池は、各バイポーラ電池の内圧が所定の値、例えば1Mpaに達すると、電池内のガスを外部に排出する安全弁を備えている。具体的には、
図6に示すように、各バイポーラ電池の電池ケース41に設けられた各ガス排出口50が、各接続管51を介して1つの集合管52に接続されている。集合管52の端部には安全弁53が設けられていて、バイポーラ電池の内部圧力が規定値以上になると、安全弁53が作動してバイポーラ電池の内部圧力を開放する。集合管51に圧力計を配置してもよい。
【0089】
図7、8は、バイポーラ電池の接続方法を説明するための図面である。
図7は、4つのバイポーラ電池61を直列に接続して組電池60を構成した例である。隣接するバイポーラ電池61の正極端子44aと負極端子44bとを接続バー62により直列に接続する。端部に位置するバイポーラ電池61の2つの負極端子44bは接続バー63により接続して組電池60の負極端子とする。他方の端部に位置するバイポーラ電池61の2つの正極端子44aは接続バー64により接続して組電池60の正極端子とする。
【0090】
図8に示す組電池60’は、4つのバイポーラ電池61’を並列に接続した場合の例である。バイポーラ電池61’は、絶縁部材46の装着位置を調整することにより、正極端子および負極端子を同じ方向に取り出し可能にしたものである。
図8Aは、隣接するバイポーラ電池61’の負極端子44bを接続バー64により接続したものである。
図8Bは、隣接するバイポーラ電池61’の正極端子44aを接続バー65により接続したものである。接続バー64は組電池60’の負極端子となり、接続バー65は組電池60’の正極端子となる。
【0091】
電池反応で生じる酸素は、発生後直ちに電池内に封入された水素と結合して水となるので、電池内部に水素ガスを封入すれば、正極に含まれる導電助剤も酸化劣化することがない。また、水素吸蔵合金も、同様に酸化されることがないので劣化を防ぐことができる。電極の寿命特性が改善されて電池の長寿命化が期待できる。
【0092】
<第3実施形態>
次に、上記の実施形態から集電体の構造を変更した第3の実施形態について説明する。なお、下記の説明において、便宜上、蓋部や底部などの表現を用いるが、これは上下方向を限定するものでなく、蓋部が下方に、底部が上方に位置する構成でもよい。
【0093】
図9に第3の実施形態に係る集電体の側面の部分断面図を示し、
図10に5つのセルを組み合わせた電池の軸方向断側面図を示す。第3の実施形態に係る電池について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。第3の実施形態の電池100と第1の実施形態の電池10の主な相違点は集電体の構造である。第1の実施形態の集電体4が1つの部材で構成されているのに対し、第3の実施形態の集電体は、第1集電体110と第2集電体120の2つの部材で構成されている。
【0094】
図9に示すように、第1集電体110は、ニッケルメッキ鋼板製の有底の円筒缶であり、底部111と、そこから立ち上がる筒部112を備える。第2集電体120は、蓋部121と、そこから立ち上がる突出部122を備える。
【0095】
また、第1集電体110の底部111の中央には、穴113が設けられている。また、筒部112の半径方向外方に広がり、底部111に続く鍔部114が形成されている。また、第2集電体120の突出部122は底123を有し、穴124が設けられている。
【0096】
そして、
図10に示すように、第1集電体110と第2集電体120が上下方向に組み合わされ、これらに挟まれる空間に電極群130が収納されて、1つのセル140を構成している。なお、電極群130は、複数の負極131、正極132、セパレータ133から構成されている。また、セル140において、第2集電体120の突出部122の底123と、第1集電体110の底部111との間には、撥水シート141が配されている。また、第2集電体120の蓋部121と、第1集電体の筒部112との間には、絶縁シート142が配されている。
【0097】
そして、このセル140が複数積み重なって、電池100が構成されている。電池100は、5つのセル140が積み重ねられた例である。また、第1や第2の実施形態と同様に、各セル140は、負極端子板101と正極端子板102によって挟まれて構成されている。なお、本実施形態においては、負極端子板101と正極端子板102に同じ構造のものを用いている。また、各セル140の接続は、溶接により接続してもよく、溶接を用いず負極端子板101と正極端子板102との圧縮によるものでもよく、その他一般的な接続方法を用いてもよい。
【0098】
そして、電池100内に電解液を所定の圧力で注入して各セル140内部に電解液を充満させ、その後電解液を引き抜いて各セル140の突出部122内にある電解液を抜き取る。そして、所定の圧力で水素ガスを注入する。そうすると、各セル140の突出部122内に水素ガスが充満する。これにより、各セル140の電極群130、特にセパレータ133に電解液が存在し、突出部122内には水素ガスが充満された状態となる。なお、筒部112の電解液は、突出部122内の水素ガスの存在や撥水シート141等により、突出部122に流入しない。
【0099】
<その他の実施形態>
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記の実施形態を次のように変更してもよい。
【0100】
上記の実施形態では、中央に孔のあいた円板状の負極、正極、セパレータにより電極群を構成しているが、これにかえて、蛇腹状のセパレータ201に負極202と正極203が交互に挟み込まれる構成としてもよい。
図11Aに2つの集電体を組み合わせ、間に電極群が収納された状態の軸方向断側面図を示し、
図11BにC―C断面図を示す。なお、
図11Bにおいて、負極及び正極、セパレータは一部のみ表示し、その他は省略している。また、上記の実施形態では円筒形の電池を例に説明したが、これに限られず角形の電池であってもよい。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。