特許第6473936号(P6473936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473936
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】自動運転車
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20190218BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20190218BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20190218BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
   G01C21/26 A
   B60W30/09
   B60W30/10
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-140851(P2016-140851)
(22)【出願日】2016年5月17日
(65)【公開番号】特開2017-208056(P2017-208056A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2018年7月20日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】709005245
【氏名又は名称】山内 和博
(72)【発明者】
【氏名】山内 和博
【審査官】 東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−037218(JP,A)
【文献】 特開2015−230641(JP,A)
【文献】 特開2009−101733(JP,A)
【文献】 特開2015−228090(JP,A)
【文献】 特開2015−133050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 1/16
G01C 21/00 − 21/36
B60W 30/09 − 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路及び施設等の情報を格納する地図情報格納手段と、目的地及び経由地を設定する位置設定手段とを備え、カーナビゲーション機能により設定された走行ルートに沿って、上記経由地を経て上記目的地へ自動的に走行する自動運転車であって、
当該自動運転車の走行中に外部との接触を検出する接触検出手段と、
前記自動運転車の走行中に前記接触検出手段が上記接触を検出することにより、前記地図情報格納手段の上記情報に基づいて停車地を決定し、当該停車地を新たな経由地として前記位置設定手段に自動的に設定させる制御手段と、
前記自動運転車が走行中の道路における現在の走行車線側及び反対の走行車線側の各交通量を検出する交通量検出手段と、を有し、
前記制御手段は、当該検出結果に基づいて、上記現在の走行車線側又は反対の走行車線側のどちらか一方の停車地を経由地として前記位置設定手段により設定させることを特徴とする自動運転車。
【請求項2】
道路及び施設等の情報を格納する地図情報格納手段と、目的地及び経由地を設定する位置設定手段とを備え、カーナビゲーション機能により設定された走行ルートに沿って、上記経由地を経て上記目的地へ自動的に走行する自動運転車であって、
当該自動運転車の走行中に外部との接触を検出する接触検出手段と、
前記自動運転車の走行中に前記接触検出手段が上記接触を検出することにより、前記地図情報格納手段の情報に基づいて停車地を決定する制御手段と、
前記自動運転車が走行中の道路における現在の走行車線側及び反対の走行車線側の各交通量を検出する交通量検出手段と、を有し、
前記制御手段は、当該検出結果に基づいて、上記現在の走行車線側又は反対の走行車線側のどちらか一方において停車地を決定することを特徴とする自動運転車。
【請求項3】
請求項2記載の自動運転車において、
更に、前記地図情報格納手段に格納された地図情報により停車する区域を検出する停車地検出手段を有し、
前記停車地検出手段は、前記接触検出手段が上記接触を検出することにより、前記自動運転車が現在走行中の道路の進行方向の最も左側の走行車線内及び反対の走行車線の進行方向の最も左側の車線内であって、かつ、前記自動運転車の進行方向に沿って複数の車両が停車可能な距離を有する区域を前記地図情報格納手段に格納された情報により検出し、
前記制御手段は、当該停車地検出手段が検出した上記区域内にて走行方向の最も前方に停車地を決定することを特徴とする自動運転車。
【請求項4】
道路及び施設等の情報を格納する地図情報格納手段と、目的地及び経由地を設定する位置設定手段とを備え、カーナビゲーション機能により設定された走行ルートに沿って、上記経由地を経て上記目的地へ自動的に走行する自動運転車であって、
当該自動運転車の走行中に外部との接触を検出する接触検出手段と、
前記自動運転車の走行中に前記接触検出手段が上記接触を検出することにより、前記地図情報格納手段の上記情報に基づいて停車地を決定し、当該停車地を新たな経由地として前記位置設定手段に自動的に設定させる制御手段と、
を有することを特徴とする自動運転車。
【請求項5】
請求項4記載の自動運転車において、
更に、前記地図情報格納手段に格納された地図情報により停車する区域を検出する停車地検出手段を有し、
前記停車地検出手段は、前記接触検出手段が上記接触を検出することにより、前記自動運転車が現在走行中の道路であって進行方向の最も左側の走行車線内及び反対の走行車線の進行方向の最も左側の車線内であって、かつ、前記自動運転車の進行方向に沿って複数の車両が停車可能な距離を有する区域を前記地図情報格納手段に格納された情報により検出し、
前記制御手段は、当該停車地検出手段が検出した上記区域内にて走行方向の最も前方の停車地を新たな経由地として前記位置設定手段に設定させることを特徴とする自動運転車。
【請求項6】
請求項4記載の自動運転車において、
更に、音声にて上記走行ルートを案内する音声報知手段と、
ユーザの音声によって直進走行か又は右折走行かの指示をする音声指示手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記接触検出手段が前記自動運転車の接触を検出した後、前記自動運転車が上記設定された停車地への走行を開始する前に、前記音声報知手段に直進して停車する旨又は右折して停車する旨を音声案内させ、当該音声案内後の所定時間内に前記音声指示手段からの指示を検出した場合、その指示に沿った走行に基づいて新たな停車地を設定することを特徴とする自動運転車。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が外部との接触後に当該車両を安全に退避させる自動運転車に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、運転者が適切に運転操作を実施可能な状態にない場合、運転中の車両を迅速にかつ安全に退避させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−228090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術は、運転者が適切な運転ができない状況の場合、車両の進行方向の道路を縦横に分割したマップ上に、進路変更リスク、減速停止リスク等のリスク事項を地図情報及び画像センサからの情報を基に数値化してマッピングし、そのマップに従って車両を自動運転により退避させるものである。しかし、この技術では、最も右の車線がリスク分析の対象外となっており、よって、反対車線への移動も検討されていない。従って、退避位置を更に広範囲に判断することにより、より安全にかつ迅速に車両を退避させることが必要である。
【0005】
よって、本発明の目的は、他の車両との接触等の後に自動運転車を迅速に安全な位置に退避させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては、道路及び施設等の情報を格納する地図情報格納手段と、目的地及び経由地を設定する位置設定手段とを備え、カーナビゲーション機能により設定された走行ルートに沿って、上記経由地を経て上記目的地へ自動的に走行する自動運転車であって、
当該自動運転車の走行中に外部との接触を検出する接触検出手段と、上記自動運転車の走行中に上記接触検出手段が上記接触を検出することにより、上記地図情報格納手段の上記情報に基づいて停車地を決定し、当該停車地を新たな経由地として上記位置設定手段に自動的に設定させる制御手段と、上記自動運転車が走行中の道路における現在の走行車線側及び反対の走行車線側の各交通量を検出する交通量検出手段と、を有し、上記制御手段は、当該検出結果に基づいて、上記現在の走行車線側又は反対の走行車線側のどちらか一方の停車地を経由地として上記位置設定手段により設定させる。
【0007】
この構成により、自動運転車は、現在走行中の道路において現在の車線側に停車位置を設定するか又は反対車線側に停車位置を設定するかについて、その交通量に基づいて判断されることにより、より安全な停止位置を設定することができる。
【0008】
本発明においては、道路及び施設等の情報を格納する地図情報格納手段と、目的地及び経由地を設定する位置設定手段とを備え、カーナビゲーション機能により設定された走行ルートに沿って、上記経由地を経て上記目的地へ自動的に走行する自動運転車であって、
当該自動運転車の走行中に外部との接触を検出する接触検出手段と、上記自動運転車の走行中に上記接触検出手段が上記接触を検出することにより、上記地図情報格納手段の情報に基づいて停車地を決定する制御手段と、上記自動運転車が走行中の道路における現在の走行車線側及び反対の走行車線側の各交通量を検出する交通量検出手段と、を有し、上記制御手段は、当該検出結果に基づいて、上記現在の走行車線側又は反対の走行車線側のどちらか一方において停車地を決定する
【0009】
この構成により、自動運転車は、現在走行中の道路において現在の車線側に停車位置を設定するか又は反対車線側に停車位置を設定するかについて、その交通量に基づいて判断されることにより、より安全な停止地を決定することができる。
【0010】
本発明においては、更に、上記地図情報格納手段に格納された地図情報により停車する区域を検出する停車地検出手段を有し、上記停車地検出手段は、上記接触検出手段が上記接触を検出することにより、上記自動運転車が現在走行中の道路の進行方向の最も左側の走行車線内及び反対の走行車線の進行方向の最も左側の車線内であって、かつ、上記自動運転車の進行方向に沿って複数の車両が停車可能な距離を有する区域を上記地図情報格納手段に格納された情報により検出し、上記制御手段は、当該停車地検出手段が検出した上記区域内にて走行方向の最も前方に停車地を決定する。
【0011】
この構成により、自動運転車を停車させる位置の決定において、走行中の車線及び反対車線のいづれか一方にて、車両の進行方向に沿って複数の車両が停車可能な距離を有する区域内の最も前方位置を設定することにより、より安全な停車地を確保することができる。
【0012】
本発明においては、道路及び施設等の情報を格納する地図情報格納手段と、目的地及び経由地を設定する位置設定手段とを備え、カーナビゲーション機能により設定された走行ルートに沿って、上記経由地を経て上記目的地へ自動的に走行する自動運転車であって、当該自動運転車の走行中に外部との接触を検出する接触検出手段と、上記自動運転車の走行中に上記接触検出手段が上記接触を検出することにより、上記地図情報格納手段の上記情報に基づいて停車地を決定し、当該停車地を新たな経由地として上記位置設定手段に自動的に設定させる制御手段と、を有する。
【0013】
この構成により、カーナビゲーション機能において停車地として決定した位置を自動的に新たな経由地として設定するために、短時間でありかつ極めて簡単なプロセスを経て、自動運転車をより迅速にかつ安全に経由地から目的地まで自動運転させることができる。
【0014】
本発明においては、更に、上記地図情報格納手段に格納された地図情報により停車する区域を検出する停車地検出手段を有し、上記停車地検出手段は、上記接触検出手段が上記接触を検出することにより、上記自動運転車が現在走行中の道路であって進行方向の最も左側の走行車線内及び反対の走行車線の進行方向の最も左側の車線内であって、かつ、上記自動運転車の進行方向に沿って複数の車両が停車可能な距離を有する区域を上記地図情報格納手段に格納された情報により検出し、上記制御手段は、当該停車地検出手段が検出した上記区域内にて走行方向の最も前方の停車地を新たな経由地として上記位置設定手段に設定させる。
【0015】
この構成により、自動運転車を停車させる位置の決定において、走行中の車線及び反対車線のいづれか一方にて、車両の進行方向に沿って複数の車両が停車可能な距離を有する区域内の最も前方位置を設定することにより、より安全な停車地を確保することができる。
【0016】
本発明においては、更に、音声にて上記走行ルートを案内する音声報知手段と、ユーザの音声によって直進走行か又は右折走行かの指示をする音声指示手段と、を有し、上記制御手段は、上記接触検出手段が上記自動運転車の接触を検出した後、上記自動運転車が上記設定された停車地への走行を開始する前に、上記音声報知手段に直進して停車する旨又は右折して停車する旨を音声案内させ、当該音声案内後の所定時間内に上記音声指示手段からの指示を検出した場合、その指示に沿った走行に基づいて新たな停車地を設定する。
【0017】
この構成により、停車地が設定されて、自動運転を開始した後に、ユーザーが走行経路又は停車地付近に何らかの突然の障害物を発見した場合等に対して、即座に対応できるために、より安全な走行とより迅速な停車が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の自動運転車の実施の形態における回路構成ブロック図である。
図2】本発明の自動運転車の実施の形態における機能構成ブロック図である。
図3】本発明の自動運転車の実施の形態における動作フローチャートである。
図4】本発明の自動運転車の実施の形態における自動運転の走行説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面に沿って本発明の自動運転者の実施の形態について説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0020】
図1を参照して、本発明の自動運転車の実施の形態における回路構成等について詳細に説明する。本実施の形態の自動運転車は、手動運転機能、自動運転機能、カーナビゲーション機能等を備える。よって、本自動運転車の自動運転機能については、CPU等からなる制御部125がアクセル、ブレーキ、ハンドル等の運転操作を自動的に制御する。また、本自動運転車は、カーナビゲーションにより走行ルートが設定され、そのルートに沿って後述するカメラ部112及びレーダ部114によって自動走行する。尚、カメラ部112は、主に車外の路上の映像を撮像し、レーダ部114は、車外の物体との距離を計測する。また、自動運転車には、自動走行のための人工知能も採用されている。
【0021】
先ず、エンジン駆動制御部101は、エンジンを駆動させるエンジン駆動部102を制御し、エンジンの回転数を上下させ、更にブレーキ機能も有する。ステアリング機能制御部103は、運転者又は自動運転機能による本自動運転車の操舵を担うステアリング駆動部104を制御する。カーナビ機能部105は、自車位置をGPS機能により検出し、データベース部106に格納された道路情報、交通規制情報、施設情報等を基にユーザにより設定された目的地(経由地を含む)までの道筋(ルート)を表示し、表示や音声により案内する。尚、ユーザが目的地を設定する際には、表示部107に表示された事項をタッチパネル機能部108により選択又は入力して設定する。また、車内スピーカ部120を利用すれば音声認識部121が作動して、ユーザが発した言葉を音声認識することにより、音声により設定することもできる。
【0022】
また、自動走行指示部109は、自動運転車の自動走行を指示するものであり、表示部107に指示画面を表示させ、タッチパネル機能部108を利用して自動走行を指示することができる。尚、車内スピーカ部120を利用すれば、音声認識部121が作動して音声指示することもできる。音声合成生成部110は、特定の音声情報を記憶しており、その情報から選択した情報を合成して車内スピーカ部120から発声出力させる。無線受信部111は、現在の一時的な交通情報、例えば、交通止めや渋滞情報を無線受信して、データベース部106に格納された情報に反映させるものである。
【0023】
カメラ部112は、車外の前方、後方及び側方の映像を入手し、画像情報メモリ部124に格納する。車外マイク部113は、車外の音声を入手し、音声情報メモリ部122に格納する。レーダ部114は、本車両の前方及び後方に設けられ、移動体との距離を計測する。センサ部115は、車外の物体、例えば、他の車両との接触や衝突を検出する。このセンサ部115は、車体の前部、後部及び側部に設けられた油圧センサ(図示せず)を有し、車体前部及び後部においては、油圧センサに連結されたバンパー(図示せず)が押されることにより接触を検出するものである。
【0024】
標識・規制認識部116は、データベース部106や画像情報メモリ124に格納された画像情報や映像情報から交通標識や一時規制の表示板等を画像認識部123により検出し認識する。走行車両認識部117は、カメラ部112が撮った映像が格納された画像情報メモリ部124内の画像情報、及び、車外マイク部113から入力されて音声情報メモリ部122に格納された音声情報を基に、近隣(現行の走行車線上及び反対車線上)を走行する車両の数を計測する。即ち、この走行車両認識部117は、上記映像内の自車を追い越す走行車両又は自車方向に向かってくる反対車線の走行車両を画像認識し、その数を計測する。尚、夜間においては、ヘッドライト又はテールランプの数を計測することになる。また、この走行車両認識部117は、上記音声情報(音の高低の変化、音の大小の変化等)について他の車両の通過(現行車線と反対車線)を検出し、交通量を計測する。従って、上記画像情報による交通量の計測結果と上記音声情報による交通量の計測結果とのうちその数が多い方が採用されて、制御部125により所定の数と比較される。
【0025】
地図区域認識部118は、データベース部106及び画像情報メモリ124に格納された情報を基に車両の進行方向(前側、後ろ側の両方)に沿った一定の長さの区域を検出する。また、車内マイク部119は、主にユーザの声を入力すると、音声認識部121が作動して自動運転に指示を与える。車内スピーカ部120は、音声情報メモリ部122に格納された所定の音声を発声出力する。制御部125は、上述の各部をそれぞれ制御する。
また、この制御部125は、時計機能を有している。
【0026】
以下に、図2を参照して、本発明の自動運転車の実施の形態における機能構成等について詳細に説明する。上述のように、本実施の形態では自動運転車は、手動運転機能、カーナビゲーション機能、自動運転機能等を備えた自家用車であるため、この自動運転車は、アクセル、ブレーキ、ハンドル等の運転操作を制御する運転操作手段1を備える。また、カーナビゲーション機能については、道路、施設等の地図情報や交通標識等の情報を格納する地図情報格納手段2、交通情報を入手する無線受信機能を有する交通情報入手手段3が受信した一時的な交通規制等の交通情報を格納する交通情報格納手段4、ユーザが任意の目的地及び経由地を設定する位置設定手段5、設定された走行ルートや現在走行中の車両の位置及び道路等を表示する表示手段6を備える。
【0027】
よって、運転操作手段1は、エンジン制御部102、エンジン駆動制御部101、ステアリング駆動部104、ステアリング駆動制御部103と対応する。地図情報格納手段2は、データベース部106に対応する。交通情報入手手段3は、無線受信部111に対応する。交通情報格納手段4は、データベース部106に対応する。位置設定手段5は、タッチパネル機能部108、表示部107、データベース部106に対応する。更に、表示手段6は、表示部107に対応する。
【0028】
そして、この自動運転車は、上記各手段を制御して自動運転を指示する自動走行指示手段7Aと、ユーザが対話型モードと自律型モード(後述)とのどちらかを設定するモード設定手段7Bを備える。尚、この自動運転では、撮像手段8Aにより車両の前方及び後方(車両側面を含む)を撮像した撮像情報を撮像情報格納手段8Bに格納させ、道路上の障害物や通行中の人を判断して衝突を回避しながら自動走行する。よって、自動走行指示手段7Aは、自動走行指示部109とタッチパネル機能部108、又は、車内スピーカ部120と音声認識部121に対応する。モード設定手段7Bは、タッチパネル機能部108、表示部107、又は、車内マイク部119及び音声認識部121に対応する。更に、撮像手段8Aは、カメラ部112に対応し、撮像情報格納手段8Bは、画像情報メモリ124に対応する。
【0029】
更に、この自動運転車は、車体が外部と接触したことを検出する接触検出手段10を備えている。よって、接触検出手段10は、センサ部115に対応する。更に、音声取得手段9Aは、車外の音声を取得して、音声情報格納手段9Bに格納する。よって、音声取得手段9Aは、車外マイク部113に、また、音声情報格納手段9Bは、音声情報メモリ部122に対応する。
【0030】
また、この自動運転車は、所定の区域、現在位置から前方に進行して、100メートル以内での右折を規制する標識等の有無の情報を、地図情報格納手段2、交通情報格納手段4及び撮像情報格納手段8Bの各情報から検出する右折規制検出手段11を備える。よって、右折規制検出手段11は、標識・規制認識部116に対応する。
【0031】
また、この自動運転車は、現在走行している車線と対向車線との両方の走行方向において、所定時間内の走行車両の数が所定の数より多いか否かを検出する交通量検出手段12を備えている。この交通量検出手段12は、撮像手段8により撮像されて撮像情報格納手段9に格納された映像及び音声取得手段9Aにより取得し音声情報格納手段8Bに格納された音声情報に基づいて、所定時間内に交通量が所定の量(数)を超えているかを判断する。即ち、この交通量検出手段12は、映像内の自車を追い越す走行車両又は自車方向に向かってくる走行車両を画像認識し、その数を計測する。尚、夜間においては、交通量検出手段12は、ヘッドライト又はテールランプの数を計測することになる。また、この交通量検出手段12は、接触後の車外の音声を音声取得手段9Aにより入手しかつ音声情報格納手段9Bに格納し、その音声(音の高低の変化、音の大小の変化)について他の車両の通過を検出し、交通量を計測する。
【0032】
従って、上記画像情報による交通量の計測結果と上記音声情報による交通量の計測結果とのうちその数が多い方が採用されて、制御手段16により所定の数と比較される。よって、交通量検出手段12は、走行車両認識部117に対応する。尚、制御手段16は、上述の接触後の走行車線の決定について、現行の走行車線と反対車線の交通量の計測結果のうち、交通量が少ない方を自車を停車させる車線として優先することもできる。
【0033】
また、この自動運転車は、現在走行中の車線及び反対車線において、車両の走行方向に沿って所定の区域、即ち、接触が検出された地点から走行方向の100メートル内に自家用車が3台停車可能な区域(約20メーター)を検出する停車地検出手段13を備える。ここで、制御手段16は、接触検出手段10が外部との接触を検出することにより、撮像手段8が撮像して撮像情報格納手段9に格納さた映像において、上記検出した時刻に対応する映像に所定のマーク(文字、記号)を付加する(日時等の文字の色の変化を含む)ように制御する。よって、停車地検出手段13は、地図区域認識部118に対応し、制御手段16は、制御部125に対応する。
【0034】
更に、この自動運転車は、接触検出手段10が外部との接触を検出し、上述のように、現在走行中の道路における前方最も左側の車線又は反対車線の最も左側の車線の後方(右折後の走行方向前方)に停車可能な区域を検出すると、音声により直進して停車するか又は反対車線に停車するかを音声で報知する音声報知手段14を備え、対話型モード(後述)において、報知された区域に同意の意思又は反対の意思を音声で指示する音声指示手段15を備え、自動運転車は上記指示された区域に停止することになる。また、自律型モード(後述)では、自動運転車は、音声報知手段14が報知した後にユーザの音声に拘わらず自動的に報知した区域に自動的に停止する。更に、制御手段16は、上記各手段全体を制御する。よって、音声報知手段14は、車内スピーカ部120に、また、音声指示手段15は、車内マイク部119及び音声認識部121に対応する。
【0035】
以下に、図3を参照して、自動運転車の動作を説明する。ユーザが位置設定手段5により目的地及び経由地を設定すると(ステップ1)、地図情報格納手段2に格納された地図情報(交通標識情報を含む)を基に、交通情報入手手段3が入手して交通情報格納手段4に格納された通行規制等の交通情報に従って走行ルートが設定され、その走行ルートは表示手段6に表示される。
【0036】
次に、ユーザが自動走行指示手段7Aにより自動走行を指示すると自動運転が開始され(ステップ2)、制御手段16は、運転操作手段1を制御して自動運転を開始する。尚、上述の通り、走行モードは、対話型モードと自律型モードをモード設定手段7Bにより設定することができるが、ユーザが対話モードを設定しなければ、自律型が自動的に設定される。
【0037】
ステップ3にて、自動運転による走行中に、接触検出手段10が自動運転車と外部(他の自動車)との接触を検出した場合(図4参照)、早急に一時停止を試みる必要がある。ステップ4にて、停車地検出手段13は、現在走行中の道路において前方最も左車線内に(一車線のみの場合その片側道路において)一般的な長さの自家用車が停車可能な区域(約20メートル)の有無を検出する。上記区域であれば、自家用車が少なくとも3台停車することができる。
【0038】
ステップ4にて停車地検出手段13上記区域(図4の区域Aを参照)を検出した場合、ステップ5に移行して、交通量検出手段12は、上記最も左車線における(一車線のみの場合その片側道路における)車両の1分間の交通量を計測し、所定の交通量30台以上であれば、ステップ6に移行する。ステップ6にて、右折規制情報検出手段11は、地図情報格納手段2、交通情報格納手段4、撮像情報格納手段9のいずれかから、現在走行中の道路前方にて100メータ以内において右折禁止等の反対車線に移動することを規制する交通情報の有無を検出する。
【0039】
ステップ6にて、右折規制情報検出手段11による検出が無い場合、ステップ7に移行して、停車地検出手段13は、現在走行中の道路の反対車線において最も左側車線に(一車線のみの場合、その片側道路において)一般的な自家用車が停車可能な区域(約20メートル)の有無を検出する。ステップ7にて、停車地検出手段13が上記区域(図4の区域Bを参照)を検出した場合、ステップ8に移行して、交通量検出手段12は、反対車線の最も左側車線における(一車線のみの場合その片側道路における)車両の1分間の交通量を計測し、所定の交通量30台以下であれば、ステップ9に移行する。
【0040】
ステップ8にて交通量検出手段12が所定の交通量より少ないと判断した場合、ステップ9にて、音声報知手段14は、「反対車線に停止します。」と音声案内する。ここで、ユーザが対話型モードを設定していれば、ステップ10において、制御手段16は、ユーザがからの音声案内とは異なる指示、即ち、「直進して停止。」との音声指示手段15からの音声指示が所定時間内(5秒以内)に無いか判断する。
【0041】
ステップ10において、制御手段16が上記異なる指示が無いと判断した場合、制御手段16は、位置設定手段5を作動させ、停車地検出手段13が検出した反対車線上の区域内の最も前方位置(右折後の進行方向)を新たな経由地又は目的地として設定する。これにより、図4を参照して、自動運転車は、自動走行により右折し(ステップ11)、上記区域の最も前方位置に停車する(ステップ12)。
【0042】
また、ステップ10において、制御手段16が上記異なる指示があったと判断した場合、制御手段16は、位置設定手段5を作動させ、停車位置検出手段13が検出した現在走行中の道路の前方最も左車線の上記検出した区域内の最も前方位置(走行方向)を新たな経由地又は目的地として設定する。これにより、図4を参照して、自動運転車は、現在の道路を直進し(ステップ15)、上記区域の前方位置に停止する(ステップ12)。
【0043】
このユーザからの音声指示機能は、ユーザが右折することが何かしらの突発的な事情により危険があると判断した場合又はユーザが右折して停止する場所に突然他の車両が停止したことを目視確認した場合等に極めて有効である。
【0044】
一方、ユーザが自律型モードを設定していれば、音声指示手段15によるユーザの指示に拘わらず、停車地検出手段13が検出した反対車線上の区域の最も前方位置(右折後の走行方向)を新たな経由地又は目的地して設定する。これにより、自動運転車は、自動走行により右折し(ステップ11)、上記前方位置に停車する(ステップ12)。
【0045】
更に、ステップ5において、交通量検出手段12が所定の交通量以下を検出した場合、ステップ13に移行し、上述のように、対話型モードであれば、ユーザの異なる指示の有無により(ステップ14)、ステップ11又はステップ15に移行し、最終的にステップ12にて自動運転車は停止する。一方、自律型モードであれば、上述のように、ステップ13からステップ15に移行し、最終的にステップ12にて自動運転車は停止する。
【0046】
また、ステップ6において、右折規制検出手段11が上記右折規制を検出した場合、ステップ13に移行する。また、ステップ7において、停車地検出手段13が反対車線の後方(右折後の走行方向の前方)の自車から所定の距離内に上記区域を検出しない場合には、ステップ13に移行する。また、ステップ8において、交通量検出手段12が反対車線にて所定時間内(1分間)に所定の交通量(30台)以上であれば、ステップ13に移行する。ステップ13では、音声報知手段14は、「直進して停止します。」と音声案内する。ここで、ユーザが対話型モードを設定していれば、ステップ14において、制御手段16は、ユーザがからの音声案内とは異なる指示、即ち、「反対車線に停止。」との音声指
示手段15からの音声指示が所定時間内(5秒以内)に無いか判断する。
【0047】
ステップ14において、制御手段16が上記異なる指示が無いと判断した場合、制御手段16は、位置設定手段5を作動させ、停車地検出手段13が検出した現在走行中の道路の最も左側車線上の区域内の最も前方位置(直進方向)を新たな経由地又は目的地として設定する。これにより、図4を参照して、自動運転車は、自動走行により直進し(ステップ15)、上記区域の最も前方位置に停車する(ステップ12)。
【0048】
また、ステップ14において、制御手段16が上記異なる指示があったと判断した場合、制御手段16は、位置設定手段5を作動させ、停車位置検出手段13が検出した現在走行中の道路の反対車線の最も右車線の上記検出した区域内の最も前方位置(右折後の直進方向)を新たな経由地又は目的地として設定する。これにより、図4を参照して、自動運転車は、現在の道路を右折し(ステップ11)、上記区域の前方位置に停止する(ステップ12)。
【0049】
このユーザからの音声指示機能は、ユーザが直進することが何かしらの突発的な事情により危険があると判断した場合又はユーザが直進して停止する場所に突然他の車両が停止したことを目視確認した場合等に極めて有効である。
【0050】
一方、ユーザが自律型モードを設定していれば、音声指示手段15によるユーザの指示に拘わらず、停車地検出手段13が検出した現在走行中の道路の最も左側車線上の区域の最も前方位置(直進方向)を新たな経由地又は目的地して設定する。これにより、自動運転車は、自動走行により直進し(ステップ15)、上記前方位置に停車する(ステップ12)。
【0051】
また、交通量検出手段12が検出した現行の走行車線と反対車線の交通量について、少ない方を優先的に停車地として決定する場合には、図3において、ステップ5では、交通量検出手段12は、上記両方の車線の交通量を計測し、制御手段16は、現行の車線の方が交通量が少ないかを判断することになる。更に、ステップ7では、停車地検出手段13が停車に適した区域を検出した場合、ステップ9に移行することになる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、自動運転車技術において、他の車両等との接触の後に自動運転車を迅速に安全な位置に退避させることが可能であり、高い産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0053】
1 運転操作手段
2 地図情報格納手段
3 交通情報入手手段
4 交通情報格納手段
5 位置設定手段
6 表示手段
7A 自動走行指示手段
7B モード設定手段
8 撮像手段
9 撮像情報格納手段
10 接触検出手段
11 右折規制検出手段
12 交通量検出手段
13 停車地検出手段
14 音声報知手段
15 音声指示手段
図1
図2
図3
図4