特許第6473945号(P6473945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6473945
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】バランス運動装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 22/16 20060101AFI20190218BHJP
   A63B 24/00 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   A63B22/16
   A63B24/00
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-132864(P2018-132864)
(22)【出願日】2018年7月13日
【審査請求日】2018年8月31日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506391657
【氏名又は名称】菊川 清
(72)【発明者】
【氏名】菊川 清
(72)【発明者】
【氏名】菊川 康介
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−167094(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第19721224(DE,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第03050597(EP,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102013220978(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 22/16
A63B 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の支持基台と、前記支持基台の上方に所定間隙を存して支持された揺動板と、前記所定間隙内に、略二等辺三角形状のプレート(A)と略二等辺三角形状のプレート(B)において、
前記プレート(B)を逆さにして、それぞれの頂上部を垂直十字状に組み合わせて固着させ、前記支持基台上面中央部に前記プレート(A)を、前記揺動板の下面中央部に前記プレート(B)を、傾斜可能な器具で取り付けした揺動機構を有することを特徴とするバランス運動装置。
【請求項2】
前記バランス運動装置の前記支持基台上面と前記プレート(B)を動力・駆動機構(C)とで連結して前記プレート(B)を上下に可動させる機構と、
前記揺動板下面と前記プレート(A)を動力・駆動機構(D)とで連結して前記揺動板を上下に可動させる機構を、
制御装置によりコントロールして、前記揺動板を複数方向に傾斜及び/又は揺動させることを特徴とする請求項1に記載のバランス運動装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記動力・駆動機構(C、D)の速度と駆動時間・および停止時間を、予め設定されたプログラムによって制御することを特徴とする請求項2に記載のバランス運動装置。
【請求項4】
前記バランス運動装置を吊り下げる台座を設け、該台座に設けた吊り下げ部に前記支持基台の4角を吊り下げて、前記支持基台を、前後・左右の全方面へスイングすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバランス運動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使用者が姿勢を維持させることで体幹の向上等を図るバランス運動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近は健康志向が高く、より短い時間で骨の形成を促し、股関節や腰、背中周辺の筋肉も鍛える方法を、より積極的に求めるようになって来ている。また、健康器具の利用者の年齢層は広く、 健常者は手軽に使用できる健康器具として、また平衡感覚の訓練としての利用に於いて、より短時間に熟練度を高めるには、これまでの受け身の考えから、積極的に身体を動かすことを求めている。
このようなバランス運動を支援する装置として、下記特許文献1において片足立ち運動装置が開示されている。具体的には、この装置は、足乗せ台と、その足乗せ台を支持する基台と、足乗せ台と基台との間に設けられた足乗せ台駆動機構と、制御手段とを備えており、制御手段により足乗せ台駆動機構に含まれるアクチュエー一夕を作動して足乗せ台を傾斜及び/又は揺動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−211797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1の装置は、足乗せ台駆動機構の足乗せ台支持柱が足乗せ台を支えており、足乗せ台が傾斜・揺動しても支点位置が変わらず、このため、使用者が支点位置に重心を置くことで、一部の使用者に運動の効果が見られないことが生じた。
また、足乗せ台は足乗せ台支持柱と2か所のアクチュエータの全3点で足乗せ台を支える構造となっており、この為、足乗せ台が傾斜すると、アクチュエータには足乗せ台の傾斜により前後・左右に無理な力が掛かり、自在機能型の支持器具であっても支持柱を中心にねじりの力が掛かり、ついては動きが不安定となり、雑音の発生や故障の原因に成りかねず、改善の余地を残していた。
【0005】
本発明の目的は、積極的に体幹能力とバランス感覚の向上を行うことができる立ち姿勢および座姿勢のバランス運動装置を提供することで上記課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様のバランス運動装置は、平板状の支持基台と、前記支持基台の上方に所定間隙を存して支持された揺動板と、前記所定間隙内に、略二等辺三角形状のプレート(A)と略二等辺三角形状のプレート(B)において、前記プレート(B)を逆さにして、それぞれの頂上部を垂直十字状に組み合わせて固着させ、前記支持基台上面中央部に前記プレート(A)を、前記揺動板の下面中央部に前記プレート(B)を、傾斜可能な器具で取り付けした揺動機構を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様のバランス運動装置は、前記バランス運動装置の前記支持基台上面と前記プレート(B)を動力・駆動機構(C)とで連結して前記プレート(B)を上下に可動させる機構と、前記揺動板下面と前記プレート(A)を動力・駆動機構(D)とで連結して前記揺動板を上下に可動させる機構を、制御装置によりコントロールして、前記揺動板を複数方向に傾斜及び/又は揺動させることを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の態様のバランス運動装置は、前記制御装置は、前記動力・駆動機構(C、D)の速度と駆動時間・および停止時間を、予め設定されたプログラムによって制御することを特徴とする
【0009】
本発明の第4の態様のバランス運動装置は、前記バランス運動装置を吊り下げる台座を設け、該台座に設けた吊り下げ部に前記支持基台の4角を吊り下げて、前記支持基台を、前後・左右の全方面へスイングすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
略二等辺三角形状のプレート(A)と略二等辺三角形状のプレート(B)において、プレート(B)を逆さにして、それぞれの頂上部を垂直十字状に組み合わせて固着させ、前記支持基台上面中央部に前記プレート(A)を、前記揺動板の下面中央部に前記プレート(B)を、前後自由に傾斜可能な器具で取り付けることで、
先行文献においては使用者の重量が足乗せ台支持柱の1点とアクチュエータ2点の計3点にかかり、足乗せ台支持柱を中心にしてねじれ現象が生じて不安定な状態であったが、本願発明はプレート底辺部全体(線)と作動リンク部の2点支持となり、ねじれ現象が解消され、動きの安定、発熱・騒音を抑え、ついては故障の発生を抑えられる。
【0013】
先行文献において、従来は足乗せ台の支点上に重力を置くようにしていたが(図4-1)、本願発明は可動部の一部を支持基台に移し、支持基台に取り付けられたプレート底辺部を支点(線状)として(図4-2)重心位置を移動させるようにして、使用者の運動効果をより高めることを可能とした。
【0014】
更には、バランス運動装置の支持基台の4角を吊り下げ、支持基台を前後・左右の全方向にスイングさせる機能を加え、傾斜及び/又は揺動を高度化し、使用者のレベルに応じたバランス運動を行えるようにした。
この前後・左右にスイングさせる機能が追加されたことで、サーフィンなどのトレーニング用としての活用も期待している。
また、本願発明の揺動機構は、バランス運動装置に限らず、多くの運動装置、トレーニング装置や遊具装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1はバランス運動装置の概略斜視図である。
図2図2はバランス運動装置に動力・駆動機構を加えた概略分解斜視図である。
図3図3はバランス運動装置にスイング機構を付与した概略正面断面図である。
図4図4はバランス運動装置の揺動板の可動内容を表す図で、 図4−1は支持基台と支持柱が固定されているとき、図4−2は揺動板と支持柱が固定されているときの可動内容を表す。
図5図5はバランス運動装置の揺動機構の概略斜視図の一部である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するためバランス運動装置1を例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【0017】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、実施例に従って説明する。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を具現化した一実施の形態であるバランス運動装置1につい
て、図面を参照して説明する。
図1はバランス運動装置1の概略斜視図で、その構成は支持基台2、揺動板4および揺動板4を傾斜及び/又は揺動する機構(揺動機構)3とからなる。
揺動機構3は、揺動板4の一方向への揺動角度と多方向への揺動角度が異なる角度に設定され、連続的に動かすことで、揺動板4の端部にかけては、波打つ(又は、使用者に於いては身体をくねる感覚)動きになる。
揺動機構3の中心となる仕組みは図5に図示しているように、略二等辺三角形状のプレート(A)31と略二等辺三角形状のプレート(B)32において、前記プレート(B)32を逆さにして、それぞれの頂上部を垂直十字状に組み合わせて固着させたもので、これを、支持基台2の上面中央部に前記プレート(A)31を、揺動板4の下面中央部に前記プレート(B)32を、傾斜可能な器具39で取り付けている。
【0019】
ここで、プレート(A)31の底辺部は支持基台2に取り付けられて前後に傾斜する。略二等辺三角形としたのは揺動板4がプレート(B)32の左右に傾斜するときに障害とならない為のもので、三角形の底辺角αが揺動板の最大傾斜角αでもある。
前記底辺角αは概ね3〜15度の範囲内が良く、使用者の使用目的等により角度調整を可能とするために、底辺角αを大きく取り(例えばMAX15度)調整ネジ等により小角度へ調整することもできる。
なお、プレートの形状は、上記に記述した通り機能を損なわなければ、図5にあるように三角形状の上部をカットし台形状としても良く、また、二等辺三角形の両サイドをカットしても良い。更には、上記機能はプレート状に限らず、パイプ等でも可能である。
また、プレートを取り付ける接続器具39は、重力の分散と傾斜(回転)をスムーズにするもので一般的には蝶番であればよいが、病院等の静寂な環境の場所での使用にはベアリンクを有する軸受けを用いると良い。
【0020】
本願発明の揺動機構3は、上記記述にあるように揺動板4を複数方向への揺動機構3を備えていることで、先行事例にあるようなねじれ現象等が解消され、動きを安定させ、騒音を抑え、ついては故障の発生を抑えられる。
また、揺動板4は、図4−2のように前後(又は左右)の動きをするときは重心移動が行われることで、使用者の運動効果をより高めることを可能としている。
【0021】
図2は、揺動板を一方向への揺動角度と他方向への揺動角度が異なる角度に設定して複数方向へ揺動する揺動機能に、動力・駆動機構5と制御装置6を設けたバランス運動装置1の概略分解斜視図である。
動力・駆動機構5と制御装置6により、揺動板4の可動スピード・時間や、静止時間をコントロールして、揺動板を使用者の意思に係わらず複数方向へ揺動させる。
【0022】
動力・駆動装置5の取り付け箇所は、支持基台2にプレート(A)31の底辺部が取り付けられている場合、動力・駆動装置5は支持基台2に設置されてプレート(B)32の側面の作動リンク部51と接続され、プレート(B)32が上下動するようになる。
もう一方の揺動板4に取り付ける動力・駆動装置5は、プレート(A)31の側面の作動リンク部51と接続され、プレート(A)31の底辺部が固定されていることで揺動板4が上下動する。このとき、動力・駆動装置5をプレート(A)31の側面に取り付け、作動リンク部51を揺動板4下面に設けることも可能である。
【0023】
先行文献においては、使用者の体重は足乗せ台支持柱の1点とアクチュエータ2点の計3点に支えられ、使用時に於いて足乗せ台支持柱を中心にしてねじれ現象が生じ不安定な状態であったが、本願発明はプレートの底辺部全体(線)と動力・駆動機構のリンク部の2点支持(うち1点は線状)が上下組み合わされた状態となることで、ねじれ現象が解消され、動きの安定、発熱・騒音を抑え、ついては故障の発生を抑えられる効果を得られた。
【0024】
また、先行文献では重力は足乗せ台の支点上に置かれていたが(図4-1)、本願発明はプレート(A)31の底辺部を支持基台2に移し、支持基台2に取り付けられたプレート底辺部を線状の支点として、図4-2のように重心位置が移動することで使用者の運動効果をより高めることを可能とした。
【0025】
本願発明は、これまでのエクササイズ(主としてカロリー消費)を中心とした単純な動きではなく、先の動きを予知できない変則的な動きにより、敏捷性や反射神経を鍛えることができ、高齢者の転倒防止等に役立つことが研究(閉眼両足立ち重心動揺面積測定他)で明らかになっている。
また、従来のランニングマシンのようにエクササイズを目的とした運動装置の動きは、可動スピードを低速〜高速に変更できる程度の単純なもので、身体が装置の動きに慣れることにより、効果と継続使用が薄れる傾向にあった。
本願発明の揺動板4は、揺動機構3と制御装置6により、次の動きが予測できないことで運動に飽きが来ず、長期使用により高いバランス運動効果が期待できる。
【0026】
動力・駆動機構5は、動力をプレートに伝達して上下に動かせる構造であれば良く、それぞれの機器は汎用のもので良い。また、プレート31、32が支持基台2や揺動板4と接触した時の衝撃を小さくするため、接触箇所にゴム等のクッション材を取り付けると良い。
【0027】
制御装置6の制御の具体例を示せば、
一方の動力・駆動装置5の静止・稼働時間は、「中速スピード(5秒)−高速スピード(3秒)−低速スピード(4秒)−静止(5秒)」(合計17秒)に、
他方の動力・駆動装置5の静止・稼働時間は、「中速スピード(3秒)−高速Topスピード(2秒)−低速スピード(6秒)−静止(3秒)」(合計14秒)を、それぞれ繰り返えす。
すなわち、制御装置6は、動力・駆動装置5の静止・稼働時間を制御しているだけで、揺動板4の状態がどの位置にあるかは無関係としているのも特徴である。
この制御により、揺動機構3は、前記揺動板4の一方向への揺動角度と他方向への揺動角度が異なる角度に設定することで、全方向へランダムに傾斜及び/又は揺動・静止させることを可能とした。
よって、使用者は傾斜する方向や、そのスピード、静止位置、時間等を予知できず、これにより体幹や敏捷性が鍛えられ、強いては、生活における転倒の予防になる。
【0028】
図2の制御装置6をアプリケーションソフトによるリモ―トコントロール式とすることもできる。 また、ipodなどから音楽を取り込んで音楽や映像とコラボし、楽しみながら運動できるようにするとより楽しむことができる。
【0029】
図3は、バランス運動装置1のバランス機能をより高めるために、支持基台2の4角を台座7の吊り部71から索等72により吊り下げて、支持基台2を前後・左右にスイングさせる機能を加えたバランス運動装置である。
【0030】
図3のように、吊り下げる索等72が垂直のときは、支持基台2は水平状態でスイングするが、吊り部71が支持基台2の外側、或いは内側にあって索等72が垂直状態でないときは、支持基台2は一定の規則で傾斜角を変えてスイングする。
上記の動きを利用して、サーフィン、ウェイクボード、スキー、スノーボード、ローラースケートなどの特に前後・左右への動きと、バランスを必要とするスポーツのトレーニングやゲームに生かすことも良い。
このときは、台座7のスイングについても動力・制御化し、また、バランス運動装置1と連携すると良い。
【符号の説明】
【0031】
1 バランス運動装置
2 支持基台
3 揺動機構(傾斜及び/又は揺動する機構(揺動機構)
31 下部プレート(A)
32 上部プレート(B)
33 組み合わせ部
39 接続器具
4 揺動板
5 動力・駆動機構
51 作動リンク部
6 制御装置(制御ボックス)
7 台座
71 吊り部
72 索等
α 傾斜角度
【要約】
【課題】バランス運動装置
【解決手段】平板状の支持基台と、前記支持基台の上方に所定間隙を存して支持された揺動板と、前記所定間隙内に設けられ前記揺動板の中央部を前記支持基台にて支承し前記揺動板を複数方向への揺動を可能とする揺動機構とを備え、前記揺動機構は前記揺動板の一方向への揺動角度と他方向への揺動角度が異なる角度に設定したことを特徴とするバランス運動装置。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5