(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の回転角度検出装置101を説明する斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態の回転角度検出装置101を説明する分解斜視図である。
図3は、
図2に示す上ケース18及び下ケース58を除いた部分の分解斜視図である。
図4は、
図1に示す上ケース18を省略してZ1側から見た上面図である。
図5は、主動歯車1、従動歯車2、磁石3及びセンサ4の分解斜視図である。
【0021】
本発明の第1実施形態の回転角度検出装置101は、
図1に示すような長方形状と円筒形状を組み合わせた箱状の外観を呈し、
図3及び
図4に示すように、被検出回転体(図示していない)の回転に伴って回転する主動歯車1と、主動歯車1に連動して回転する複数の従動歯車2(具体的には3つの第1従動歯車12、第2従動歯車22及び第3従動歯車32)と、
図5に示すように、複数の従動歯車2のそれぞれに対応した複数の磁石3(具体的には3つの第1磁石13、第2磁石23及び第3磁石33)と、複数の従動歯車2のそれぞれに対応して回転角度を検出する複数のセンサ4(具体的には3つの第1センサ14、第2センサ24及び第3センサ34)と、
図6に示すように、複数のセンサ4からの出力信号に基づいて主動歯車1の回転角度を算出する処理部5と、処理部5の処理結果から不具合箇所の有無を判断する判断部6と、を備えて、主に構成されている。
【0022】
他に、本発明の第1実施形態では、回転角度検出装置101は、
図2に示すように、主動歯車1や従動歯車2等を収容する上ケース18及び下ケース58と、複数のセンサ4や処理部5等が配設される回路基板19と、外部機器との接続のためのコネクタCNと、を有している。そして、回転角度検出装置101は、図示していない被検出回転体が主動歯車1と係合され、被検出回転体の回転に伴って回転する主動歯車1の回転角度を検出することにより、被検出回転体の回転角度が検出できるようになっている。なお、被検出回転体とは、例えば車両の場合には、ステアリング軸等がある。
【0023】
次に、回転角度検出装置101の各構成部品について詳細に説明する。
【0024】
先ず、回転角度検出装置101の主動歯車1について説明する。主動歯車1は、ポリアセタール樹脂(POM、polyoxymethylene)等の合成樹脂を用いて射出成形されて作製されており、
図3に示すように、円筒形状に作製されている。また、主動歯車1は、中央に被検出回転体が挿通される貫通孔1hと、筒状に形成された筒部51と、筒部51の外周面側に形成され複数の歯を有した第1ギア部11及び第2ギア部21と、筒部51の内周面側に形成された係合部(詳細な図示はしていない)と、を有して構成されている。そして、回転角度検出装置101が組み立てられた際には、主動歯車1は、上ケース18と下ケース58とで挟持されるとともに、係合部で係合された被検出回転体の回転に伴って自身が回転可能に上ケース18及び下ケース5に支持されている。
【0025】
主動歯車1の第1ギア部11及び第2ギア部21は、
図3に示すように、同心円上にそれぞれ設けられており、第1ギア部11が第2ギア部21より中心側に設けられている。そして、第1ギア部11の歯数と第2ギア部21の歯数とが異なるように形成されている。
【0026】
次に、回転角度検出装置101の従動歯車2について説明する。従動歯車2は、
図3ないし
図5に示すように、第1ギア部11に噛合している第1従動歯車12と、第2ギア部21に噛合している第2従動歯車22と(
図4を参照)、第1ギア部11に噛合している第3従動歯車32と、の3つから構成されており、主動歯車1と同様に、ポリアセタール樹脂(POM、polyoxymethylene)等の合成樹脂を用いて射出成形されて作製されている。そして、従動歯車2は、主動歯車1の回転に連動して回転するようになっている。なお、本発明の第1実施形態では、外径が小さくてより強度が保てる第1ギア部11と係合する従動歯車2の個数を、外側からの物理的な影響を受け易い第2ギア部21と係合する従動歯車2の個数を、よりも多くしている。具体的には、第1ギア部11には、2個の従動歯車2(第1従動歯車12及び第3従動歯車32)を係合させ、第2ギア部21には、1個の従動歯車2(第2従動歯車22)を係合させている。
【0027】
また、従動歯車2は、
図3及び
図5に示すように、円筒形状に作製されており、中央に上ケース18の軸部18j(後述する、
図2を参照)が挿通される軸受け穴2hと、筒状に形成された筒状部2tと、筒状部2tの外周面側に形成された複数の歯と、筒状部2tの内周面側に設けられた収容部2sと、を有して構成されている。そして、回転角度検出装置101が組み立てられた際には、従動歯車2は、上ケース18の軸部18jが軸受け穴2hに挿通されるとともに、それぞれの複数の歯が主動歯車1の第1ギア部11または第2ギア部21と係合され、主動歯車1の回転に伴って自身が回転可能に上ケース18に支持される。なお、本発明の第1実施形態では、第1従動歯車12、第2従動歯車22及び第3従動歯車32が同じ歯数の歯車であり、
図3及び
図5に示すように、第1従動歯車12と第3従動歯車32とは同じ外形形状なので、部品を共通化でき、回転角度検出装置101を容易に且つ安く作製することができる。なお、従動歯車2のそれぞれの歯数を必ずしも同じにする必要はなく、異なる歯数としても良い。
【0028】
次に、回転角度検出装置101の磁石3について説明する。磁石3は、ネオジウム磁石等の永久磁石からなり、
図5に示すように、矩形のリング状に形成され、3つの従動歯車2のそれぞれ対応して3つ設けられている。つまり、磁石3は、第1従動歯車12に対応した第1磁石13と、第2従動歯車22に対応した第2磁石23と、第3従動歯車32に対応した第3磁石33と、から構成されている。また、3つ磁石3(第1磁石13、第2磁石23、第3磁石33)は、第1従動歯車12、第2従動歯車22及び第3従動歯車32のそれぞれの収容部2s(
図3を参照)に収容されて、第1従動歯車12、第2従動歯車22及び第3従動歯車32の回転に連動して回転するようになっている。なお、磁石3の着滋は、リング形状を平面視して、N極/S極の2極で等分に行われている。
【0029】
次に、回転角度検出装置101のセンサ4及び処理部5について説明する。
図6は、
図3に示す回路基板19をZ1側から見た上面図である。
図7は、センサ4及び処理部5を説明する図であって、
図7(a)は、第1センサ14からの各出力信号と処理部5との接続状態を示した模式図であり、
図7(b)は、第2センサ24からの各出力信号と処理部5との接続状態を示した模式図であり、
図7(c)は、第3センサ34からの各出力信号と処理部5との接続状態を示した模式図である。
図8は、センサ4及び処理部5を説明する図であって、
図8(a)は、第1センサ14からの出力波形を処理部5で処理した後の出力波形の一例を示したグラフであり、
図8(b)は、第2センサ24からの出力波形を処理部5で処理した後の出力波形の一例を示したグラフであり、
図8(c)は、第3センサ34からの出力波形を処理部5で処理した後の出力波形の一例を示したグラフである。
図9は、センサ4及び処理部5を説明する図であって、
図9(a)は、
図8(a)と
図8(b)に示す出力波形を組み合わせて重ねたグラフであり、
図9(b)は、
図8(b)と
図8(c)に示す出力波形を組み合わせて重ねたグラフであり、
図9(c)は、
図8(a)と
図8(c)に示す出力波形を組み合わせて重ねたグラフである。なお、
図8ないし
図10に示す横軸は、主動歯車1の回転角度を示し、
図8及び
図9に示す縦軸は、各従動歯車2(第1従動歯車12、第2従動歯車22、第3従動歯車32)の回転角度を示し、
図10に示す縦軸は、処理部5からの出力値(絶対的な回転角度)を示している。ここでの出力値とは、被検出回転体が例えば車両の場合には、ステアリング軸等の絶対的な回転角度(絶対角)を示しており、ステアリング軸等が中立位置にある場合を“0”として、右側に回転した回転角度を“+”とし、左側に回転した回転角度を“−”としている。
【0030】
先ず、回転角度検出装置101のセンサ4は、磁気を検知する巨大磁気抵抗効果を用いた磁気検出素子(所謂GMR(Giant Magneto Resistive)素子)の磁気検出センサであり、
図5に示すように、3つの従動歯車2(第1従動歯車12、第2従動歯車22、第3従動歯車32)のそれぞれに対応して3つ設けられている。つまり、センサ4は、第1従動歯車12(第1磁石13)に対応した第1センサ14と、第2従動歯車22(第2磁石23)に対応した第2センサ24と、第3従動歯車32(第3磁石33)に対応した第3センサ34と、から構成されている。
【0031】
また、3つのセンサ4(第1センサ14、第2センサ24、第3センサ34)は、複数のセンサ素子をシリコン基板に作製し、チップ化して個片化し、熱硬化性の合成樹脂でパッケージングして作製されており、
図6に示すように、それぞれ3つの従動歯車2に対応した位置で回路基板19に搭載されている。そして、第1センサ14は、第1従動歯車12と連動して回転する第1磁石13の磁界を検知し、第2センサ24は、第2従動歯車22と連動して回転する第2磁石23の磁界を検知し、第3センサ34は、第3従動歯車32と連動して回転する第3磁石33の磁界を検知している。つまり、それぞれのセンサ4(第1センサ14、第2センサ24、第3センサ34)は、それぞれの磁石3(第1磁石13、第2磁石23、第3磁石33)の磁界の変化量を検出している。これにより、主動歯車1の第1ギア部11に噛合した第1従動歯車12及び第3従動歯車32に対応した第1センサ14及び第3センサ34と、主動歯車1の第2ギア部21に噛合した第2従動歯車22に対応した第2センサ24と、は、位相の異なる出力波形の出力信号を出力するようになる。
【0032】
また、3つのセンサ4は、詳細な図示はしていないが、感磁方向が異なった4つのセンサ素子を組み合わせてブリッジ回路とし、このブリッジ回路を2つ設けて磁気検出素子を構成している。そして、3つのセンサ4は、
図7に示すように、4つの波形信号(
図7に示す “+SIN”、“+COS”、“−SIN”、“−COS”)を出力する同じ出力特性を有している。
【0033】
また、第1センサ14及び第2センサ24は、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、それぞれの4つの波形信号を処理部5における信号処理の入力ライン(
図7に示す“L1”、“L2”、“L3”、“L4”)が同じになるように接続している。具体的には、“+SIN”の波形信号が“L1”の入力ラインに、“+COS”の波形信号が“L2”の入力ラインに、“−SIN”の波形信号が“L3”の入力ラインに、“−COS”の波形信号が“L4”の入力ラインに、接続している。
【0034】
一方、第3センサ34は、
図7(c)に示すように、それぞれの4つの波形信号と信号処理の入力ラインとが第1センサ14(第2センサ24)と異なるような組み合わせで接続してる。具体的には、“+SIN”の波形信号が“L2”の入力ラインに、“+COS”の波形信号が“L1”の入力ラインに、“−SIN”の波形信号が“L4”の入力ラインに、“−COS”の波形信号が“L3”の入力ラインに、接続している。これにより、同じ出力特性の磁気検出素子を有する第1センサ14と第3センサ34で有りながら、出力波形の周期を異ならせることができる。なお、本発明の第1実施形態では、3つのセンサ4(第1センサ14、第2センサ24、第3センサ34)は、同じセンサ素子を有したセンサ部品を用いているので、部品の共通化が図れ、回転角度検出装置101を安く作製することができる。
【0035】
以上のことから、主動歯車1の第1ギア部11に噛合した第1従動歯車12及び第3従動歯車32に対応して出力波形の異なる第1センサ14と第3センサ34とを配設し、主動歯車1の第2ギア部21に噛合した第2従動歯車22に対応して第2センサ24を配設したので、第1センサ14、第2センサ24及び第3センサ34がそれぞれ異なる出力波形の出力信号を出力し、第1センサ14と第2センサ24の組合せの出力信号と、第2センサ24と第3センサ34の組合せの出力信号と、第3センサ34と第1センサ14の組合せの出力信号と、をそれぞれ異ならせることができる。
【0036】
次に、回転角度検出装置101の処理部5は、集積回路(IC、integrated circuit)を用いて構成されており、
図6に示すように、回路基板19に搭載されている。そして、処理部5は、複数のセンサ4(第1センサ14、第2センサ24、第3センサ34)からの出力波形の出力信号を処理して、主動歯車1の回転角度を算出している。
【0037】
例えば、処理部5は、第1センサ14からの出力波形を処理して
図8(a)に示すような第1従動歯車12の回転角度の出力波形を出力し、第2センサ24からの出力波形を処理して
図8(b)に示すような第2従動歯車22の回転角度の出力波形を出力し、第3センサ34からの出力波形を処理して
図8(c)に示すような第3従動歯車32の回転角度の出力波形を出力している。これにより、第1センサ14からの回転角度の出力波形と第2センサ24からの回転角度の出力波形とは、
図9(a)に示すように、位相が異なった出力波形となっている。一方、第2センサ24からの回転角度の出力波形と第3センサ34からの回転角度の出力波形とは、
図9(b)に示すように、位相が異なった出力波形となっており、第3センサ34からの回転角度の出力波形と第1センサ14からの回転角度の出力波形とは、
図9(c)に示すように、位相も周期も異なった出力波形となっている。
【0038】
そして、処理部5は、第1センサ14からの出力信号と第2センサ24からの出力信号とを組合せて、
図10(a)に示すような主動歯車1の回転角度を算出して、被検出回転体の絶対的な回転角度として出力している。また、同様にして、処理部5は、第2センサ24からの出力信号と第3センサ34からの出力信号とを組合せて、
図10(b)に示すような主動歯車1の回転角度を算出して、被検出回転体の絶対的な回転角度として出力し、第3センサ34からの出力信号と第1センサ14からの出力信号とを組合せて、
図10(c)に示すような主動歯車1の回転角度を算出して、被検出回転体の絶対的な回転角度として出力している。以上の結果として得られる3つの算出された出力値は、
図10に示すように、同じ出力値となっている。
【0039】
これにより、3つのセンサ4(第1センサ14、第2センサ24、第3センサ34)で検出する系統の内の1つ、例えば第1センサ14の系統に不具合が発生した場合でも、第2センサ24と第3センサ34の出力信号から主動歯車1の回転角度を算出することができる(
図10(b)を参照)。同様にして、例えば第2センサ24の系統に不具合が発生した場合でも、第1センサ14と第3センサ34の出力信号から主動歯車1の回転角度を算出することがで(
図10(c)を参照)、例えば第3センサ34の系統に不具合が発生した場合でも、第1センサ14と第2センサ24の出力信号から主動歯車1の回転角度を算出することができる(
図10(a)を参照)。なお、各センサ4からの出力信号が異常値かどうかは、信号強度で比較し、例えば、ある閾値以上の差がある場合には異常であると容易に判断することができる。また、“検出する系統”としているのは、回転角度を検出するために関連する部分、例えば磁石3やセンサ4、従動歯車2や配線等を含んでいるためである。
【0040】
次に、回転角度検出装置101の判断部6は、処理部5と同様にして、集積回路(IC、integrated circuit)を用いて構成されており、
図6に示すように、熱硬化性の合成樹脂で処理部5と一緒にパッケージングされて、回路基板19に搭載されている。なお、本発明の第1実施形態では、処理部5と一緒にパッケージングされているが、この形態に限るものではなく、例えば別にパッケージングされて回路基板19に搭載されていても良いし、例えば回転角度検出装置101が接続される外部機器の集積回路(IC)に設けられていても良い。
【0041】
そして、判断部6は、処理部5の処理結果から不具合箇所の有無を判断するとともに、不具合箇所があった場合には、不具合箇所を特定している。例えば、第1センサ14の系統に不具合が発生した場合では、第2センサ24と第3センサ34の出力信号の組合せから算出した回転角度のみが正常なこと、すなわち第1センサ14が関係する出力信号の組合せから算出した(2つの)回転角度に異常があることが分かり、第1センサ14の系統に不具合が発生したことが分かる。このことにより、検出箇所(検出する系統)の不具合が特定できる。このように、処理部5からの処理信号を判断する判断部6を有しているので、算出した主動歯車1の回転角度を出力するのみでなく、不具合が発生した系統の情報等の情報信号を出力することができる。なお、不具合の有無の識別方法としては、様々な方法を選択することができるが、例えば、『算出した3種類の回転角度に、ある閾値以上の差がある場合には不具合があると判断する』と云った方法が考えられる。
【0042】
次に、回転角度検出装置101の上ケース18及び下ケース58について説明する。上ケース18及び下ケース58は、
図1に示すような外観を形成しており、ポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)樹脂等の合成樹脂を用いて射出成形されて作製されている。また、上ケース18及び下ケース58は、
図2に示すように、箱状形状をしており、主動歯車1、従動歯車2、回路基板19等を収容している。そして、回転角度検出装置101が組み立てられた際には、上ケース18と下ケース58とで主動歯車1を挟持するとともに、主動歯車1を回転可能に支持している。
【0043】
上ケース18には、
図2に示すように、下ケース58側に向けて突出した軸部18jが3つ形成されており、この軸部18jが3つの従動歯車2(第1従動歯車12、第2従動歯車22、第3従動歯車32)のそれぞれに形成された軸受け穴2hに挿通されて従動歯車2を回転可能に支持している。また、上ケース18には、
図2に示すように、下ケース58側に向けて突出した円筒形状の固定部18rが4つ形成されており、この固定部18rに
図2に示すねじNJが係合されることにより、上ケース18に回路基板19が固定される。
【0044】
次に、回転角度検出装置101の回路基板19について説明する。回路基板19は、所謂、両面のプリント配線板(PWB、printed wiring board)を用いており、詳細な図示はしていないが、両面に所定の配線パターンが形成されている。そして、回路基板19には、
図6に示すように、3つのセンサ4、処理部5及び判断部6、コネクタCNが搭載されている。
【0045】
最後に、回転角度検出装置101のコネクタCNについて説明する。コネクタCNは、L字形状のピン端子を6個備えて構成されており、回路基板19にはんだ付けされて、回路基板19の配線パターンと電気的に接続されている。そして、コネクタCNは、回転角度検出装置101が接続される外部機器との電気的接続を可能にしている。
【0046】
以上のように構成された本発明の第1実施形態の回転角度検出装置101における、効果について、以下に纏めて説明する。
【0047】
本発明の第1実施形態の回転角度検出装置101は、処理部5が第1センサ14、第2センサ24及び第3センサ34からの3つの出力信号から主動歯車1の回転角度を算出する構成なので、3つのセンサ4(第1センサ14、第2センサ24及び第3センサ34)で検出する系統の内の1つ、例えば第1センサ14の系統に不具合が発生した場合でも、第2センサ24と第3センサ34の出力信号から主動歯車1の回転角度を算出することができる。一方、第2センサ24と第3センサ34の出力信号の組合せから算出した回転角度のみが正常なこと、すなわち第1センサ14が関係する出力信号の組合せから算出した(2つの)回転角度に異常があることから、第1センサ14の系統に不具合が発生したことが分かる。これらのことにより、検出箇所(検出する系統)の不具合が特定できるとともに、3つのセンサ4(第1センサ14、第2センサ24及び第3センサ34)の系統のいずれか1つに不具合が発生した場合でも、確実に回転角度を検出することができる。
【0048】
また、主動歯車1の第1ギア部11に噛合した第1従動歯車12及び第3従動歯車32に対応して出力波形の異なる第1センサ14と第3センサ34とを配設し、主動歯車1の第2ギア部21に噛合した第2従動歯車22に対応して第2センサ24を配設したので、第1センサ14、第2センサ24及び第3センサ34がそれぞれ異なる出力波形の出力信号を出力し、第1センサ14と第2センサ24の組合せの出力信号と、第2センサ24と第3センサ34の組合せの出力信号と、第3センサ34と第1センサ14の組合せの出力信号と、をそれぞれ異ならせることができる。このため、3つのセンサ4(第1センサ14、第2センサ24、第3センサ34)で検出する系統の内の1つに不具合が発生した場合でも、残りの2つのセンサ4で検出する系統の出力信号が1つの組合せとして残るので、処理部5は、残った出力信号から主動歯車1の回転角度を算出することができる。しかも、異常が見られた他の2つの組合せに共通するセンサ4の系統が、不具合が発生したセンサ4の系統として特定することができる。これらのことにより、検出箇所(検出する系統)の不具合が確実に特定できるとともに、3つのセンサ4(第1センサ14、第2センサ24及び第3センサ34)の系統のいずれか1つに不具合が発生した場合でも、より確実に回転角度を検出することができる。
【0049】
また、第1ギア部11が第2ギア部21より中心側に設けられているので、第1従動歯車12及び第3従動歯車32が第2従動歯車22より主動歯車1の中心側に配設されることとなる。このため、外径が小さくてより強度が保てる第1ギア部11と係合する従動歯車2の個数を、外側からの物理的な影響を受け易い第2ギア部21と係合する従動歯車2の個数を、よりも多くしている。具体的には、第1ギア部11には、2個の従動歯車2(第1従動歯車12及び第3従動歯車32)を係合させ、第2ギア部21には、1個の従動歯車2(第2従動歯車22)を係合させている。このことにより、回転角度検出装置101の信頼性を高めることができる。
【0050】
また、第1センサ14と第3センサ34とは、同じ出力特性の磁気検出素子あり、磁気検出素子と処理部5との接続を異ならせているので、第1センサ14と第3センサ34が同じ部品で有りながら、出力波形の周期を異ならせることができる。このことにより、同じ部品である第1センサ14と第3センサ34とからの出力信号を、容易に異ならせることができる。
【0051】
また、処理部5からの処理信号を判断する判断部6を有しているので、算出した主動歯車1の回転角度を出力するのみでなく、例えば不具合が発生した系統の情報等の情報信号を出力することができる。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0053】
<変形例1>
上記第1実施形態では、好適に第1ギア部11が第2ギア部21より中心側に設けられている構成にしたが、これに限るものではなく、第2ギア部21が第1ギア部11より中心側に設けられている構成であっても良い。
【0054】
<変形例2>
上記第1実施形態では、3つ磁石3(第1磁石13、第2磁石23、第3磁石33)が3つの従動歯車2(第1従動歯車12、第2従動歯車22、第3従動歯車32)の回転に連動して回転するように好適に構成にしたが、これに限るものではなく、3つのセンサ4(第1センサ14、第2センサ24、第3センサ34)が3つの従動歯車2の回転に連動して回転するように構成しても良い。その際には、スリップリング等の回転コネクタや無線システム等を用いて、センサ4と回路基板19とを電気的に接続するのが良い。
【0055】
<変形例3>
上記第1実施形態では、従動歯車2の回転角度を検出するセンサ4として、磁石3と組み合わせた磁気検出センサを好適に用い、非接触で検出するようにしたが、これに限るものではない。例えば、抵抗パターンと接触子を組み合わせた接触式の回転型可変抵抗器等を用いても良い。
【0056】
<変形例4>
上記第1実施形態では、磁気検出素子としてGMR素子を用いたが、これに限るものではなく、例えば、MR(Magneto Resistive)素子、AMR(Anisotropic Magneto Resistive)素子、TMR(Tunnel Magneto Resistive)素子等であっても良いし、ホール素子であっても良い。
【0057】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。