特許第6473952号(P6473952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6473952光学活性2−メチルピペラジンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473952
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】光学活性2−メチルピペラジンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 241/04 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
   C07D241/04
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-150487(P2015-150487)
(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公開番号】特開2016-37495(P2016-37495A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2018年2月14日
(31)【優先権主張番号】特願2014-162138(P2014-162138)
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000187046
【氏名又は名称】東レ・ファインケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182785
【弁理士】
【氏名又は名称】一條 力
(72)【発明者】
【氏名】森井 清二
(72)【発明者】
【氏名】西川 健
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−161749(JP,A)
【文献】 特開2005−120014(JP,A)
【文献】 特開2005−120015(JP,A)
【文献】 特開2002−332277(JP,A)
【文献】 特開2003−286268(JP,A)
【文献】 特開平04−360877(JP,A)
【文献】 特開平01−149775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 241/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学活性2−メチルピペラジンの濃度が25重量%以上である、水を含む光学活性2−メチルピペラジンの溶液に、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルを加えてから共沸脱水し40〜110℃で、溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換した後に、光学活性2−メチルピペラジンを種晶として加えて晶析させて光学活性2−メチルピペラジンの結晶を得る光学活性2−メチルピペラジンの製造方法。
【請求項2】
析に用いる溶媒が、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルである請求項1に記載の光学活性2−メチルピペラジンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性2−メチルピペラジンの製造方法に関し、特に、光学活性2−メチルピペラジンの溶液に溶媒を加え、溶媒置換した後に、晶析させることで、高純度の光学活性2−メチルピペラジンが収率よく取得できる、工業的で量産可能な光学活性2−メチルピペラジンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性2−メチルピペラジンの製造方法として、例えば(±)−2−メチルピペラジンを光学活性酒石酸で光学分割する方法、或いは(±)−2−メチルピペラジンを光学活性2−フェノキシプロピオン酸で光学分割する方法が知られている。そして、光学分割して得られた光学活性2−メチルピペラジンと光学分割剤との塩から光学活性2−メチルピペラジンを単離する方法として蒸留分離する方法、あるいは光学活性2−メチルピペラジンを鉱酸塩として単離する方法が知られている。また、光学活性2−メチルピペラジンの鉱酸塩から光学活性2−メチルピペラジンを単離する方法として、低級アルコール中でアルカリ金属アルコキシドと反応させ、濾過して得られた濾液を濃縮したのち晶析する方法も知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
これらの方法は、蒸留して得られた光学活性2−メチルピペラジンの融点が91〜93℃と高いため、抜き出した光学活性2−メチルピペラジンは、室温では固化する。このため、光学活性2−メチルピペラジンを、秤量、溶解、移動など、使用する際には加熱して溶融させる必要があり、取り扱いが困難であった。
【0004】
また、光学活性2−メチルピペラジンを鉱酸塩として取り出したのち、光学活性2−メチルピペラジンの鉱酸塩をアルカリ金属アルコキシドと反応させて、遊離した光学活性2−メチルピペラジンを晶析して結晶として単離する方法は、光学活性2−メチルピペラジンを結晶体として取り扱うので、蒸留して単離した時の問題点を解決できる。しかし、この方法は、光学活性2−メチルピペラジンの鉱酸塩を経由しているので、工程が長くなる。また、アルコール溶媒中でのアルカリ金属アルコシキドによる解塩は、過剰分のアルカリ金属アルコシキドや無機塩が、遊離した光学活性2−メチルピペラジンの溶液中に溶け込んでいるため、過剰分のアルカリ金属アルコシキドや無機塩などの不純物を取り除く工程が必要となり、操作が煩雑であった。
【0005】
このように、公知の方法では、取り扱いの容易な性状の良い光学活性2−メチルピペラジンが工業的に可能な方法で取得できなかった。従って、工業的に可能な取り扱いの容易な性状の良い光学活性2−メチルピペラジンを取得する方法の確立が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−161749号公報
【特許文献2】特開2002−332277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の光学活性2−メチルピペラジンの単離方法に替わる、工程が短く、取り扱いの容易な性状の良い光学活性2−メチルピペラジンを工業的に取得できる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記の課題を解決する方法について鋭意検討した結果、光学活性2−メチルピペラジンの溶液から晶析させて取り扱いの容易な性状の良い光学活性2−メチルピペラジンの結晶を得る方法を見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、光学活性2−メチルピペラジンの濃度が25重量%以上である、水を含む光学活性2−メチルピペラジンの溶液に、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルを加えてから共沸脱水し40〜110℃で、溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換した後に、光学活性2−メチルピペラジンを種晶として加えて晶析させて光学活性2−メチルピペラジンの結晶を得る光学活性2−メチルピペラジンの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】

本発明は、工程が短いので生産コストが低く、工業的に有利な方法である。
【0011】
本発明の光学活性2−メチルピペラジンの製造方法は、蒸留して得られた光学活性2−メチルピペラジンに比べ、秤量、溶解、移動などの取り扱いが容易である。
【0012】
本発明によれば、秤量、溶解、移動など取り扱いの容易な結晶体の光学活性2−メチルピペラジンを工業的に取得できる。本発明の光学活性2−メチルピペラジンの製造方法は、さらに晶析時において、光学活性2−メチルピペラジンが精製されるので、高品質の光学活性2−メチルピペラジンが取得することができる。
【0013】
本発明の光学活性2−メチルピペラジンの製造方法により製造された光学活性2−メチルピペラジンは、医薬用原料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、参考例1から実施例1までの工程フロー図である。
図2図2は、比較例2の工程フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明は、光学活性2−メチルピペラジンの濃度が25重量%以上である、水を含む光学活性2−メチルピペラジンの溶液に、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルを加えてから共沸脱水し40〜110℃で、溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換した後に、光学活性2−メチルピペラジンを種晶として加えて晶析させて光学活性2−メチルピペラジンの結晶を得る光学活性2−メチルピペラジンの製造方法である。
【0017】
学活性2−メチルピペラジンの溶液は、水を含む光学活性2−メチルピペラジンの溶液であり、水の含有量は、好ましくは、光学活性2−メチルピペラジンに対して50重量倍以下である。また、光学活性2−メチルピペラジンの溶液中にカルボン酸のアルカリ塩や無機アルカリ、無機塩を含んでいてもよい。
【0018】
原料である光学活性2−メチルピペラジンの溶液の例を挙げると、例えば特開2004−161749号公報に記載されている方法のように、ラセミ体の2−メチルピペラジンを光学活性酒石酸で光学分割し、得られた光学活性2−メチルピペラジンと光学活性酒石酸のジアステレオマー塩を水溶媒中で水酸化カルシウムにより解塩して得られる光学活性2−メチルピペラジンを含む溶液を原料として使用することができる
【0019】
本発明の光学活性2−メチルピペラジンの製造方法では、原料が水を含む光学活性2−メチルピペラジンの溶液に、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルを添加してから共沸脱水し、溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換して水を除去したのちに、光学活性2−メチルピペラジンを種晶として加えて溶液から晶析により結晶体として光学活性2−メチルピペラジンを分離する。このとき、生産効率を上げるためには予め光学活性2−メチルピペラジンの濃度が25重量%以上になるまで濃縮して水をある程度留去させたのちにトルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルを添加することでより効率的に溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換する。
【0020】
本発明において、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルを溶媒置換で使用する。
【0022】
本発明において、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルを使用する、ディーンスターク装置を用いることで、留出した液の水層とトルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテル層が2層に分離するので、水層のみを系外に除去でき、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテル層はリサイクル使用できるので経済的で好ましい。
【0023】
溶媒置換の時、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルの使用量は、光学活性2−メチルピペラジンに対して20重量倍以下にするのが好ましい。トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルの使用量が、光学活性2−メチルピペラジンに対して20重量倍以下であると、光学活性2−メチルピペラジンの生産効率がよくなる傾向がある。
【0024】
溶媒置換の方法は、水を含む光学活性2−メチルピペラジンの溶液に溶媒置換する溶媒を加え、濃縮し、さらに溶媒置換する溶媒を加えて、濃縮するという操作を繰り返し、溶媒置換する方法やディーンスターク装置(Dean-Stark apparatus)を使用して溶媒置換する方法が好ましい。ディーンスターク装置(Dean-Stark apparatus)を使用すると、生産コストが低下するので、より好ましい。トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルを使用する、濃縮して共沸脱水した留出液は2層に分液しているので、水層のみを系外に除去し、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルは濃縮液へ戻すという操作を水層の留出が無くなるまで繰り返すことで容易に脱水することができる。このとき、共沸脱水時に濃縮しすぎると光学活性2−メチルピペラジンが徐々に留出して収率が低下してしまうので、共沸脱水時の濃縮液中の光学活性2−メチルピペラジンの濃度は10〜70重量%に保つことが好ましい。
【0025】
溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換中の反応系内の圧力は、常圧〜50Torrに調整するのが好ましく、より好ましくは常圧〜100Torrである。溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換中の反応系内の温度は、40〜110℃でありましくは50〜100℃である。
【0026】
水を系外へ除去し、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換した光学活性2−メチルピペラジンの溶液中の水分は、2重量%以下が好ましく、更に好ましくは1重量%以下である。水分が低いほど晶析の際に光学活性2−メチルピペラジンの晶析濾液へのロスが小さくなり、収率が向上するので好ましい。
【0027】
水を除去した光学活性2−メチルピペラジン溶液は、2−メチルピペラジン濃度が30〜60%になるように濃縮して濃度を調整することが好ましい。
【0028】
共沸脱水し、溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換した光学活性2−メチルピペラジンの溶液は、カルボン酸のアルカリ塩や無機アルカリ、無機塩を含んでいる場合にはそれらが析出しているので、固液分離して系外へ除去することができる。
【0029】
光学活性2−メチルピペラジンの溶液に、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルを加え、溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換した後に、晶析させて光学活性2−メチルピペラジンの結晶を得る。晶析の方法は、例えば、冷却晶析法、蒸発晶析法、貧溶媒添加晶析法、圧力晶析法、反応晶析法が挙げられ、好ましくは、冷却晶析法、蒸発晶析法、貧溶媒添加晶析法、より好ましくは、冷却晶析法である。
【0030】
本発明の光学活性2−メチルピペラジンの製造方法では、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルと、晶析に用いることが好ましい。
【0031】
本発明の光学活性2−メチルピペラジンの製造方法では、好ましくは、光学活性2−メチルピペラジンの溶液に加えた溶媒が、晶析に用いる溶媒が同一の溶媒であることが好ましい。
【0032】
本発明において好ましく用いられる晶析に用いる溶媒は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、スチレン、クロロベンゼン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカンなどの脂肪族炭化水素類、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどの含ハロゲン溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、2−ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールなどのアルコール類、酢酸アリル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸フェニル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ベンジル、酢酸メチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸ペンチル、酪酸イソペンチル、イソ酪酸エチル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチルなどの脂肪族エステル類、安息香酸メチル、安息香酸エチルなどの芳香族エステル類、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテルなどのエーテル類、アセトン、アセチルアセトン、エチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノンなどのケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類などが挙げられる。晶析に用いる溶媒は、好ましくは、トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルメチルケトン、より好ましくは、トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルである。
【0033】
晶析させる際の溶媒は、晶析で析出した光学活性2−メチルピペラジンを分離する際の温度における光学活性2−メチルピペラジンの溶解度が40重量%以下のものが好ましく、生産効率を考えると、より好ましくは30重量%以下である。
【0034】
溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換した光学活性2−メチルピペラジンの溶液から光学活性2−メチルピペラジンを晶析させる。晶析により析出した光学活性2−メチルピペラジンを、好ましくは、固液分離することにより、光学活性2−メチルピペラジンの結晶が得られる。必要に応じて、濾液を濃縮して光学活性2−メチルピペラジンの濃度を調整し、再度晶析を行えば、さらに光学活性2−メチルピペラジンの結晶を取得することができる。1度目の晶析で得られた光学活性2−メチルピペラジンとあわせれば高い収率で光学活性2−メチルピペラジンを取得できる。濾液は溶媒としてリサイクルも可能であり、ふたたび光学活性2−メチルピペラジンを晶析させる際の溶媒として使用することもできる。
【0035】
かくして得られた光学活性2−メチルピペラジンの結晶は、原料中の光学活性2−メチルピペラジンよりも高純度の光学活性2−メチルピペラジンを得ることができる。光学異性体の2−メチルピペラジンが含まれている場合には蒸留で除去するのは困難であったが、本発明の方法によれば、これらの光学異性体の2−メチルピペラジンも除去することができる。また、蒸留により単離した光学活性2−メチルピペラジンは固化して塊状物となっているため、取り扱い操作が煩雑であったが、本発明で得られる光学活性2−メチルピペラジンの結晶は、流動性があり、秤量、溶解、移動などの操作が容易である。
【0036】
光学活性2−メチルピペラジンの種晶を添加する温度は、光学活性2−メチルピペラジンの濃度によって異なるが、通常は光学活性2−メチルピペラジンの融点より低く、60℃以下であり、より好ましくは15〜55℃である。光学活性2−メチルピペラジンの結晶が析出したスラリー溶液はさらに冷却する。固液分離する前の冷却温度は、−20〜10℃が好ましく、より好ましくは−15〜5℃である。安定した収率で光学活性2−メチルピペラジンの結晶を取得するには、固液分離する前の冷却温度で熟成時間を十分に取る必要がある。一般には、0.5〜24時間であり、より好ましくは1〜20時間である。このスラリー溶液を遠心脱液機や加圧濾過器などを用いて固液分離し、乾燥することで光学活性2−メチルピペラジンの結晶が得られる。
【0037】
以下にトルエンあるいはシクロペンチルメチルエーテルを使用した光学活性2−メチルピペラジンの製造方法を例示する。
【0038】
まず始めに、原料の光学活性2−メチルピペラジンの溶液を仕込む。光学活性2−メチルピペラジンの濃度を25重量%以上になるまで濃縮する。光学活性2−メチルピペラジンの濃度が25重量%以上の場合はこの操作を省略できる。次いで、トルエン或いはシクロペンチルメチルエーテルを加えて、ディーンスターク装置を用いて溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換する。溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換中の反応系内の圧力は、常圧〜50Torrに調整するのが好ましく、より好ましくは常圧〜100Torrである。溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換中の反応系内の温度は、40〜110℃であり、好ましくは50〜100℃である。留出した液の水層のみを系外に除去し、水の留出が止まるまで共沸を行う。脱水し、溶媒を、トルエン、あるいは、シクロペンチルメチルエーテルに置換した光学活性2−メチルピペラジンの溶液が、カルボン酸のアルカリ塩や無機アルカリ、無機塩が析出している場合には、冷却後、固液分離してカルボン酸のアルカリ塩や無機アルカリ、無機塩を系外へ除去する。水を除去した光学活性2−メチルピペラジンのトルエンあるいはシクロペンチルメチルエーテル溶液は2−メチルピペラジン濃度が30〜60%になるように濃縮して濃度を調整する。
【0039】
光学活性2−メチルピペラジンの結晶が析出したスラリー溶液はさらに冷却する。安定した収率で光学活性2−メチルピペラジンの結晶を取得するには、固液分離する前の冷却温度で熟成時間を十分に取る必要がある。このスラリー溶液を遠心脱液機や加圧濾過器などを用いて固液分離し、乾燥することで光学活性2−メチルピペラジンの結晶が得られる
【実施例】
【0040】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。光学活性2−メチルピペラジンを例に挙げて以下に説明する。
【0041】
光学活性2−メチルピペラジンの化学純度の測定
光学活性2−メチルピペラジンの化学純度は、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて実施した。分析条件は以下の通りである。
【0042】
機種 島津G C − 1 7A
カラム InertCap - 1 0.25m mφ × 60m
ヘリウム流量 50 ml/ min.
カラム温度 70 ℃(10m i n .)→(+20℃/min.)→270℃(10min.)
注入口温度 230℃
検出器温度 230℃
検出器 F I D
注入量 1.0μl
保持時間 2 − メチルピペラジン 10.2min. 。
【0043】
光学活性2−メチルピペラジンの光学純度の測定
得られた結晶中の光学活性2−メチルピペラジンの光学純度の測定は、液体クロマトグラフィーにより行い、R−体ピークとS−体ピークの面積比から算出した。S体が選択的に生成する場合は、次式にしたがって
光学純度(%e.e.)=(S体ピークの面積値−R体ピークの面積値)/(S体ピークの面積値+R体ピークの面積値)×100
算出した。
【0044】
分析条件は以下の通りである。
【0045】
機種 島津LC−10Vp
カラム Mightysil RP18GP,4.6mm×15cm(関東化学)
移動相 0.03%アンモニア水(酢酸でpH4.7に調製)/アセトニトリル=67/33(v/v)
流量 1.0ml/min.
温度 40℃
検出器 UV(243nm)
注入量 サンプル調製液 5.0μl
サンプル調製 50mlメスフラスコに光学活性2−メチルピペラジンの結晶を約40mg量りとり、アセトニトリルでメスフラスコ標線まで希釈した。その内の0.1mlを2mlサンプル瓶に採取し、0.8%O,O’−p−ジトルオイル−L−酒石酸無水物のアセトニトリル溶液0.5mlを加えて、50℃の温浴中で1時間静置した。最後に0.05%リン酸水0.1mlを加え、室温下で10分間静置した。
【0046】
(参考例1)
温度計、バキュームスターラー、冷却管を装着した2Lの4つ口フラスコに、L−酒石酸270g(1.8mol)、酢酸108g(1.8mol)、水270gを加え、完全溶解させた。次いで、(±)−2−メチルピペラジン300g(3.0mol)、水300gを加え、反応液を85℃以上加熱して、完全溶解させた。次いで、68〜74℃まで冷却し、(R)−2−メチルピペラジンとL−酒石酸のジアステレオマー塩を加えて結晶を析出させ、その温度で1時間熟成させた。その後、5時間かけて12〜18℃まで冷却し、析出結晶をろ過し、湿体のジアステレオマー塩 440g、含液率 22.7wt%、光学純度 92.3%e.e.、仕込み(±)−2−メチルピペラジン中のR体に対する取得塩中のR体収率は、88%であった。
【0047】
次に、2Lの4つ口フラスコに644gの水を仕込み、得られた結晶 440g((R)−2−メチルピペラジン純分=132g)を添加した。さらに、水酸化カルシウム162g(2.2mol)を添加、その後80℃まで加熱して、その温度で5時間熟成した。25℃まで2時間かけて冷却し、析出結晶を濾別して、586gの湿体結晶(主にL−酒石酸カルシウム)を除去した。濾液660gを取得し、濾液中にL−酒石酸と遊離した(R)−2−メチルピペラジンが130g存在した。
【0048】
(実施例1)
温度計、バキュームスターラー、冷却管を装着した1Lの4つ口フラスコに、参考例1で取得した濾液330g(濾液中の(R)−2−メチルピペラジン65g)を減圧下で濃縮し、(R)−2−メチルピペラジンの濃度が30%になるまで水を留去した。次いで、濃縮液にトルエン 356gを加え、混合溶液を加熱して、常圧下、84〜87℃で水とトルエンを共沸させて、水を除いた。次いで、減圧下にてトルエン212gを留去した。濃縮液を47℃まで冷却し、(R)−2−メチルピペラジン0.01gを種晶として加えて結晶を析出させ、47℃で1時間熟成した。0〜5℃まで5時間かけて冷却し、0〜6℃で2時間熟成した。析出した結晶を減圧ろ過にて取り出し、真空乾燥し、結晶体の(R)−2―メチルピペラジンを45g取得した。得られた結晶体の(R)−2−メチルピペラジンの品質は、化学純度100%、光学純度 99.5%e.e.であり、仕込み濾液中の(R)−2−メチルピペラジンに対する取得結晶のR体収率は69%であった。
【0049】
図1に、参考例1から実施例1までの工程を図示した。最初の晶析(「1晶析」と記載した)から最後の晶析(「晶析」と記載した)まで6工程であった。比較例2の工程に比較して、工程が短く、取り扱いの容易な性状の良い光学活性2−メチルピペラジンを取得できた。
【0050】
(実施例2)
温度計、バキュームスターラー、冷却管を装着した1Lの4つ口フラスコに、参考例1で取得した濾液330g(濾液中の(R)−2−メチルピペラジン65g)を減圧下で濃縮し、(R)−2−メチルピペラジンの濃度が30%になるまで水を留去した。次いで、濃縮液にシクロペンチルメチルエーテル 356gを加え、混合溶液を加熱して、常圧下、84〜87℃で水とシクロペンチルメチルエーテルを共沸させて、水を除いた。次いで、減圧下にてシクロペンチルメチルエーテル205gを留去した。濃縮液を47℃まで冷却し、(R)−2−メチルピペラジン0.01gを種晶として加えて結晶を析出させ、47℃で1時間熟成した。0〜5℃まで5時間かけて冷却し、0〜6℃で2時間熟成した。析出した結晶を減圧ろ過にて取り出し、真空乾燥し、結晶体の(R)−2―メチルピペラジンを44g取得した。得られた結晶体の(R)−2−メチルピペラジンの品質は、化学純度100%、光学純度 99.6%e.e.であり、仕込み濾液中の(R)−2−メチルピペラジンに対する取得結晶のR体収率は68%であった。
【0051】
(実施例3)
温度計、バキュームスターラー、ディーンスターク装置を装着した1Lの4ツ口フラスコに、33%(S)−2−メチルピペラジン水溶液 300.0g((S)−2−メチルピペラジン 100.0g、品質:化学純度 99.9%、光学純度80.0%e.e.)を仕込んだ。次いで、トルエン586.0g(5.86wt倍/(S)−2−メチルピペラジン)を加えて撹拌した。溶液を加熱して、常圧下、84〜87℃で水とトルエンを共沸させて、水のみを除いた。次いで、減圧下にてトルエン286gを留去した。濃縮液を43〜50℃まで冷却し、(S)−2−メチルピペラジン0.01gを種晶として加えて結晶を析出させ、43〜50℃で1時間熟成した。0〜5℃まで2時間かけて冷却し、0〜5℃で2時間熟成した。析出した結晶を減圧ろ過にて取り出し、真空乾燥し、結晶体の(S)−2―メチルピペラジンを66.8g取得した(収率67%)。得られた結晶体の(S)−2−メチルピペラジンの品質は、化学純度100%、光学純度 99.4%e.e.であった。
【0052】
(比較例1)
温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた1Lの4つ口フラスコに、33%(S)−2−メチルピペラジン水溶液 300.0g((S)−2−メチルピペラジン 100.0g(1.0mol)、品質:化学純度 99.9%、光学純度80.0%e.e.)を仕込み、濃縮、蒸留して(S)−2−メチルピペラジン13.3g(0.13モル)を得た。(収率:13%)得られた(S)−2−メチルピペラジンは固化して塊状であった。塊状物の(S)−2−メチルピペラジンを完全溶融させて、サンプリングを行い、(S)−2−メチルピペラジンの分析評価を行った。(S)−2−メチルピペラジンの品質は、化学純度99.9%、光学純度 80.0%e.e.で純度は変わらず、水分が約10%含まれていた。
【0053】
(実施例4)
温度計、バキュームスターラー、冷却管を装着した1Lの4ツ口フラスコに、30%(S)−2−メチルピペラジン水溶液 500.0g((S)−2−メチルピペラジン 150.0g、品質:化学純度 99.9%、光学純度99.7%e.e.)を仕込んだ。次いで、トルエン525.1g(3.5wt倍/(S)−2−メチルピペラジン)を加えて撹拌した。溶液を48℃、147mmHgで減圧濃縮し、501.3gを留去した。留出した液をトルエン層と水層に分液し、水層56.0gを除去し、トルエン層445.3gは濃縮液と混合した。
【0054】
次いで、溶液を48℃、136〜138mmHgで減圧濃縮し、535.0gを留去した。留出した液をトルエン層と水層に分液し、水層61.9gを除去し、トルエン層473.1gは濃縮液と混合した。
【0055】
次いで、トルエン100g(0.7wt倍/(S)−2−メチルピペラジン)を加えて撹拌した。溶液を47℃、137mmHgで減圧濃縮し、565.8gを留去した。留出した液をトルエン層と水層に分液し、水層64.8gを除去し、トルエン層501.0gは濃縮液と混合した。
【0056】
次いで、溶液を48℃、138mmHgで減圧濃縮し、492.7gを留去した。留出した液をトルエン層と水層に分液し、水層52.5gを除去し、トルエン層440.2gは濃縮液と混合した。
【0057】
次いで、トルエン100g(0.7wt倍/(S)−2−メチルピペラジン)を加えて撹拌した。溶液を48℃、138mmHgで減圧濃縮し、469.7gを留去した。留出した液をトルエン層と水層に分液し、水層54.4gを除去し、トルエン層415.3gは濃縮液と混合した。
【0058】
次いで、溶液を50〜51℃、147〜149mmHgで減圧濃縮し、456.7gを留去した。留出した液をトルエン層と水層に分液し、水層57.2gを除去し、トルエン層399.5gは濃縮液と混合した。
【0059】
次いで、トルエン100g(0.7wt倍/(S)−2−メチルピペラジン)を加えて撹拌した。溶液を56℃、147〜153mmHgで減圧濃縮し、98.4gを留去した。留出した液をトルエン層と水層に分液し、水層11.3gを除去し、トルエン層87.1gであった。
【0060】
濃縮液を10℃まで5時間かけて冷却した。その際、30℃で結晶が析出した。その後、10〜15℃で1時間熟成し、析出した結晶を減圧ろ過にて取り出し、真空乾燥し、結晶体の2―メチルピペラジンを87.7g取得した(収率58.3%)。得られた結晶体の(S)−2−メチルピペラジンの品質は、化学純度100%、光学純度 100%e.e.であった。
【0061】
ろ過した濾液を56℃、147〜153mmHgで減圧濃縮し、611.7gを留去した。濃縮液を5℃まで5時間かけて冷却した。その際、45℃で結晶が析出した。その後、5〜10℃で1時間熟成し、析出した結晶を減圧ろ過にて取り出し、真空乾燥し、結晶体の2―メチルピペラジンを28.2g取得した(収率18.8%)。得られた結晶体の(S)−2−メチルピペラジンの品質は、化学純度100%、光学純度 100%e.e.であった。2回の晶析で回収した(S)−2−メチルピペラジンは115.9gとなり、収率 77.3%となった。
【0062】
(比較例2)
(±)−2−メチルピペラジン15.0g(0.15mol)、(R)−2−フェノキシプロピオン酸69.8g(0.42mol)、2−プロパノール250mlを混合し、内容物を加熱還流、溶解した。溶解後、溶液を25℃まで一夜冷却した。生じた結晶を分離、乾燥して粗ジアステレオマー塩48.0gを得た。[α]:+21.2°(C=1.0 メタノール)。
【0063】
この粗ジアステレオマー塩を2−プロパノールから2回再結晶(図2には、2晶析、3晶析と記載した)して、精製ジアステレオマー塩(R)−2−メチルピペラジン三((R)−2−フェノキシプロピオン酸)41.3gを得た。[α]:+23.0°(C=1.0 メタノール)融点149℃。
【0064】
精製ジアステレオマー塩41.3g(69mmol)、ジクロロメタン140ml、35%塩酸25.0g(0.24mol)、蒸留水25mlを混合して解塩し、固形分が溶解したら静置後分液した。得られた水層を濃縮乾固して、(R)−2−メチルピペラジン二塩酸塩11.7gを得た。[α]:+5.33°(C=1.0 ギ酸)
(R)−2−メチルピペラジン二塩酸塩10.0g(58mmol)と28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液23.2g(0.12mol)を25℃で1時間撹拌しフリー化した。不溶分を濾別後、溶媒を留去した。残渣にシクロヘキサン30mlを加えて加熱、還流後、不溶分を熱濾過して、20℃まで冷却した。生じた結晶を分離、乾燥して、(R)−2−メチルピペラジン4.5g(収率60.0%)を得た。[α]:−20.3°(C=1.0 t−ブチルメチルエーテル)、光学純度99.6%e.e.、融点90℃であった。
【0065】
図2は、比較例2における工程フロー図を示す。比較例2は多数の工程が必要であり、操作が煩雑であった。
図1
図2