特許第6473975号(P6473975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473975
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】用紙の折曲装置および折曲方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/18 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
   B65H45/18
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-224494(P2016-224494)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-70372(P2018-70372A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2017年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】391017377
【氏名又は名称】株式会社ノチダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088867
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 卓嗣
(72)【発明者】
【氏名】竹橋 秀樹
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭50−034595(JP,U)
【文献】 特開2004−345863(JP,A)
【文献】 特開平07−275600(JP,A)
【文献】 実開昭62−011862(JP,U)
【文献】 特開2000−006274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00−37/06
B65H 41/00
B65H 45/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を折曲する折曲装置であって、
用紙の折り線と平行な方向に延在し上面で前記用紙を支持する支持台と、前記支持台の側面に接触離間する用紙の挟圧部材と、前記支持の側面と挟圧部材との間に進退する用紙の折曲具とが備えられ、
前記挟圧部材が前記支持台の側面から離間した状態で、前記用紙が前記支持と挟圧部材上に載置され、当該状態で上部から前記折曲具が垂下して用紙が前記折曲具の下端縁に沿って湾曲形成され、前記用紙の湾曲部が前記支持台の側面と前記挟圧部材とによって挟持され折曲形成されることを特徴とする用紙折曲装置。
【請求項2】
前記挟圧部材は前記支持台の両側面に設置され、前記折曲具は2個設けられ、一方の折曲具は前記支持台の一方の側面と当該側面に接触離間する挟圧部材との間に進退し、他方の折曲具は前記支持台の他方の側面と当該側面に接触離間する挟圧部材との間に進退するように構成される請求項1記載の用紙折曲装置。
【請求項3】
前記挟圧部材は、下方が固定部材に揺動自在に支持され、上端が揺動自在に構成される請求項1もしくは請求項2に記載の用紙折曲装置。
【請求項4】
前記折曲具は、一端が基台に支持軸によって回転可能に装着された揺動腕の他端部近傍に設けられている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の用紙折曲装置。
【請求項5】
折曲具が前記支持台の両側部に対応する位置に2個設けられ、前記揺動腕の支持軸から遠い方に設けられた折曲具の垂下方向の寸法が、前記揺動腕の支持軸から近い方に設けられた折曲具の垂下方向の寸法よりも長く形成されている請求項4記載の用紙折曲装置。
【請求項6】
前記支持台の上端近傍に、前記用紙が水平に載置される載置台が、前記支持台との間に前記折曲具の通過を許容する間隙を有して設けられている請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の用紙折曲装置。
【請求項7】
前記揺動腕の支持軸を挟んで2本の連接桿の基端が揺動可能に接続されており、一方の連接桿の他端は前記一方の挟圧部材に、他方の連接桿の他端は前記他方の挟圧部材に、それぞれ揺動自在に接続されている請求項4又は5に記載の用紙折曲装置。
【請求項8】
前記連接桿と揺動腕とは接続軸を介して接続されており、前記接続軸は前記揺動腕の支持軸の径方向に移動可能に設けられている請求項7記載の用紙折曲装置。
【請求項9】
前記接続軸は、前記支持軸に対して遠心方向に弾性体によって付勢されている請求項8記載の用紙折曲装置。
【請求項10】
前記支持軸には円板状の弾性部材が装着されており、前記接続軸は当該弾性部材によって付勢されている請求項9記載の用紙折曲装置。
【請求項11】
前記基台には、前記接続軸が挿通され前記支持軸の周囲を公転し得る円弧上の透孔が開設されている請求項8ないし請求項10のいずれか一項に記載の用紙折曲装置。
【請求項12】
前記透孔の径方向外側の内縁には、前記接続軸を節度的に公転させるための凹部もしくは凸部が設けられている請求項11記載の用紙折曲装置。
【請求項13】
前記支持台の上面は摩擦部が施され、且つ上面と側面との角部は湾曲形成されている請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の用紙折曲装置。
【請求項14】
用紙を三つ折りに折曲する折曲方法であって、
前記用紙の折り線と平行な方向に延在し上面で前記用紙を支持する支持台と、前記支持台の両側面に夫々接触離間する2個の用紙の挟圧部材とが備えられ、それらの上部に前記用紙を水平に載置する第1の工程と、
前記支持台の両側面と前記各挟圧部材とが離間している状態で、上部から2個の折曲具が垂下して前記用紙を前記夫々の折曲具の下端縁に沿って2か所で湾曲形成させる第2の工程と、
前記用紙が湾曲されている状態で、前記折曲具が上方に退避する第3の工程と、
前記用紙が前記支持台の両側面と前記各挟圧部材との間に位置する状態で、前記挟圧部材が前記支持台の両側面の方向に圧接し、前記用紙の湾曲部を折曲形成する第4の工程とよりなることを特徴とする用紙を三つ折りにする折曲方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばA4サイズの用紙を、容易に三つ折りするのに好適な折曲装置および折曲方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より用紙を折曲する装置は多数存在するが、いずれも全自動で、大型で高額なものばかりであった。
なお、簡易な紙の三つ折り機は提案されている。
この三つ折り機は、プレス機構と主板、補助版、底盤およびロール機構を利用するものであって、小型といえども構造が複雑で、ロールを使用する関係で確実に正確な折り目を付けることが難しく、また複数枚の用紙をワンタッチで同時に折曲することは困難であった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】 特開平2002−255443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように従来の用紙折曲装置は大型かつ高価であったので、小規模の団体や企業では採用できず、手作業で折曲するしかなかった。
しかしながら、用紙を折曲すること、特にA4サイズの用紙を三つ折りして封筒に入れるという需要は多く、安価で小型の折曲装置が待望されていた。
なお、前記特許文献に記載の装置も前述のような課題があり、実用に供されていない。
【0005】
本発明は、上記のような従来の課題に鑑み、安価で構造が簡単でワンタッチで正確に用紙を折曲する折曲装置および折曲方法を実現せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の用紙折曲装置は、用紙を折曲する折曲装置であって、用紙の折り線と平行な方向に延在し上面で前記用紙を支持する支持台と、前記支持台の側面に接触離間する用紙の挟圧部材と、前記支持の側面と挟圧部材との間に進退する用紙の折曲具とが備えられ、前記挟圧部材が前記支持台の側面から離間した状態で、前記用紙が前記支持と挟圧部材上に載置され、当該状態で上部から前記折曲具が垂下して用紙が前記折曲具の下端縁に沿って湾曲形成され、前記用紙の湾曲部が前記支持の側面と前記挟圧部材とによって挟持され折曲形成されることを特徴とするものである。
【0007】
本発明では、支持台、挟圧部材および折曲具という単純な構造であり、その作用は次の様に単純である。
挟圧部材が支持台の側面から離間した状態、即ち挟圧部材と支持台の側面との間に空間が設けられている状態で、先ず、用紙が支持と挟圧部材上に載置される。
次いで、上方から折曲具が垂下すると、用紙は折曲具の下縁に当接して上方から押下され、折曲具の下縁に沿って谷折り状に湾曲形成される。
その後、前記折曲具が上方に退避し、前記挟圧部材が用紙を支持の側面に押し付けると、用紙は湾曲形成された部分が折り線となって鋭角に折曲形成される。
【0008】
(2)本発明において、前記挟圧部材は前記支持台の両側面に設置され、前記折曲具は2個設けられ、一方の折曲具は前記支持台の一方の側面と当該側面に接触離間する挟圧部材との間に進退し、他方の折曲具は前記支持台の他方の側面と当該側面に接触離間する挟圧部材との間に進退するように構成されていることが好ましい。
折曲具が2個設けられていると、用紙を容易に的確に三つ折りすることが可能になる。
【0009】
(3)本発明において、前記挟圧部材は、下方が固定部材に揺動自在に支持され、上端が揺動自在に構成されることが望ましい。
前記挟圧部材は、下方が固定部材に揺動自在に支持され、上端が揺動自在に構成されているので、支持台の側面と挟圧部材の側面との空間が上部が拡開するテーパ状となり、用紙をスムーズに挿入することができる。
【0010】
(4)本発明において、前記折曲具は、一端が基台に支持軸によって回転可能に装着された揺動腕の他端部近傍に設けられていることが望ましい。
前記折曲具は、一端が基台に支持軸によって回転可能に装着された揺動腕の他端部近傍に設けられているので、揺動腕を把持して揺動させると前記折曲具を容易に操作することができる。
【0011】
(5)本発明において、折曲具が前記支持台の両側部に対応する位置に2個設けられ、前記揺動腕の軸支部から遠い方に設けられた折曲具の垂下方向の寸法が、前記揺動腕の軸支部から近い方に設けられた折曲具の垂下方向の寸法よりも長く形成されていることが望ましい。
【0013】
折曲具が2個設けられ、前記揺動腕の支持軸から遠い方に設けられた折曲具の垂下方向の寸法が、前記揺動腕の支持軸から近い方に設けられた折曲具の垂下方向の寸法よりも長く形成されているので、揺動腕を回転させた際に前記2個の折曲具を同時に用紙上に押圧することができ、用紙が支持台上で移動することなく、均等に三つ折りをすることができる。
もし、両法の折曲具が同一寸法であると、揺動腕の支持軸に近い方の折曲具が先に用紙の上面を押下するので、用紙は支持台上を滑って移動するおそれがあり、均等に三つ折りをすることが難しくなる場合が生じ得る。
【0014】
(6)本発明において、前記支持台の上端近傍に、前記用紙が水平に載置される載置台が、前記支持台との間に前記折曲具の通過を許容する間隙を有して設けられていることが望ましい。
前記支持台の上端近傍に、前記用紙が水平に載置される載置台が設けられているので、用紙を載置台上に水平に載置することができ、また前記支持台との間に前記折曲具の通過を許容する間隙を有して設けられているので、折曲具を容易に通過させることができる。
【0015】
(7)本発明において、前記揺動腕の支持軸を挟んで2本の連接桿の基端が揺動可能に接続されており、一方の連接桿の他端は前記一方の挟圧部材に、他方の連接桿の他端は前記他方の挟圧部材に、それぞれ揺動自在に接続されていることが好ましい。
揺動腕の支持軸を挟んで2本の連接桿の基端が揺動可能に接続されており、一方の連接桿の他端は前記一方の挟圧部材に、他方の連接桿の他端は前記他方の挟圧部材に、それぞれ揺動自在に接続されているので、前記揺動腕を、支持軸を支点として揺動させると、一方の連接桿と他方の連接桿は相互に逆方向に移動し、挟圧部材が前記支持台の両側に接触する方向、もしくは離間する方向に揺動することになる。
【0016】
(8)本発明において、前記連接桿と揺動腕とは接続軸を介して接続されており、前記接続軸は前記揺動腕の支持軸の径方向に移動可能に設けられていることが望ましい。
前記連接桿と揺動腕とは接続軸を介して接続されており、前記接続軸は前記揺動腕の支持軸の径方向に移動可能に設けられているので、前記両接続軸は支持軸の径方向に内側に偏倚することが可能となり、前記挟圧部材の前記支持台への接触時の圧接力が弱まり、厚い用紙もしくは複数枚の用紙を折曲する際にも対応可能となる。
もし、前記支持軸が偏倚しないと、厚い用紙もしくは複数枚の用紙を前記挟圧部材にて支持台の両側面に圧接する際に、無理を生じる恐れがある。
【0017】
(9)本発明において、前記接続軸は、前記支持軸に対して遠心方向に弾性体によって付勢されていることが望ましい。
前記接続軸は、前記支持軸に対して遠心方向に弾性体によって付勢されているので、薄い1枚の用紙を折曲する場合は、前記両支持軸は離間し、前述のような厚い用紙もしくは複数枚の用紙を折曲する場合は、弾性体の弾性力に抗して前記両支持軸は接近し、前記挟圧部材の前記支持の両側面に対する圧接力が自動的に調整されることになる。

【0018】
(10)本発明において、前記支持軸には円板状の弾性部材が装着されており、前記接続軸は当該弾性部材によって遠心方向に付勢されていることが望ましい。
前記支持軸には円板状の弾性部材が装着されており、前記接続軸は当該弾性部材によって付勢されているので、構造が簡単で安価な部品で前記接続軸を付制することができる。
【0019】
(11)本発明において、前記基台には、前記接続軸が挿通され前記支持軸の周囲を公転し得る円弧上の透孔が開設されていることが望ましい。
前記基台には、前記接続軸が挿通され前記支持軸の周囲を公転し得る円弧上の透孔が開設されているので、前記接続軸は前記透孔がガイドとなって支持軸の周囲をスムーズに公転し得る。
【0020】
(12)本発明において、前記透孔の径方向外側の内縁には、前記接続軸を節度的に公転させるための凹部もしくは凸部が設けられていることが望ましい。
前記透孔の径方向外側の内縁には、前記接続軸を節度的に公転させるための凹部もしくは凸部が設けられているので、前記接続軸は前記透孔の凹部もしくは凸部間に付勢され、前記接続軸は前記透孔内を節度的に公転し、結果として前記揺動腕も節度的に揺動することになる。
【0021】
(13)本発明において、前記支持台の上面は摩擦部が施され、且つ上面と側面との角部は湾曲形成されていることが望ましい。
前記支持台の上面は摩擦部が施され、且つ上面と側面との角部は湾曲形成されているので、前記用紙の上面から前記折曲具が垂下しても、用紙が支持台の上面を移動することがない。
【0022】
(14)本発明の用紙折曲方法は、用紙を三つ折りに折曲する折曲方法であって、
前記用紙の折り線と平行な方向に延在し上面で前記用紙を支持する支持台と、前記支持台の両側面に夫々接触離間する2個の用紙の挟圧部材とが備えられ、それらの上部に前記用紙を水平に載置する第1の工程と、前記支持台の両側面と前記各挟圧部材とが離間している状態で、上部から2個の折曲具が垂下して前記用紙を前記夫々の折曲具の下端縁に沿って2か所で湾曲形成させる第2の工程と、前記用紙が湾曲されている状態で、前記折曲具が上方に退避する第3の工程と、前記用紙が前記支持台の両側面と前記各挟圧部材との間に位置する状態で、前記挟圧部材が前記支持台の両側面の方向に圧接し、前記用紙の湾曲部を折曲形成する第4の工程とよりなることを特徴とする。
本発明の作用は前述の用紙折曲装置と事実上異なるところはない。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、簡単な構造で容易に用紙を折曲することできる。特に三つ折りには好適な装置であり方法である。
【0024】
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る用紙の折曲装置の動作前の外観斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る用紙の折曲装置の動作開始直後の外観斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る用紙の折曲装置の動作半ばの外観斜視図である
図4】本発明の実施形態に係る用紙の折曲装置の動作前の側面図である。
図5】本発明の実施形態に係る用紙の折曲装置の動作開始後の側面図である。
図6】本発明の実施形態に係る用紙の折曲装置の動作中の側面図である。
図7】本発明の実施形態に係る用紙の折曲装置の動作半ばの側面図である。
図8】本発明の実施形態に係る用紙の折曲装置の動作中の側面図である。
図9】本発明の実施形態に係る用紙の折曲装置の動作終了直前の側面図である。
図10】本発明の実施形態に係る用紙の折曲装置の動作終了後の側面図である。
図11】本発明の実施形態に係る用紙の折曲状態を示す側面図である。
図12】本発明の実施形態に係る用紙の折曲装置の透孔を示す側面図である。
図13】本発明の実施形態に係る用紙の折曲装置の弾性体の作用を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(本発明の実施形態の構造)
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
なお、本実施の形態では本来はカバーが装着されているが、説明の都合上省いている。
【0027】
図1において、図示せぬ基板上に、上面で用紙1(図4参照)を支持するための、用紙1の折り線と平行な方向に延在する2個の支持台3が併設され、固定孔2にて前記基板に固定されている。
2個の支持台3は夫々縦断面が上下方向に長い矩形を呈しており、相互に平行し対向する側面が接触した状態で一体的に固定され、その外側の上角には湾曲部4が形成されている。
前記支持台3の上面には、用紙1の滑止めとしての摩擦部が形成されている。より具体的にはビニールテープが貼着されている。
【0028】
なお、前記支持台3は2個で一対となっているが、1個で2個一対の形状とすることも可能である。
一体化された支持台3の左右の側面には、その下部に後述の挟圧部材5、6を揺動可能に支持する固定部材としての支持部7が折曲形成されている。
当該支持部7においては、金属板材の曲げフランジをヒンジにすることにより、後述の様に、挟圧部材5、6を支持台3の両側面に接触させ圧接する際に、その圧接力が挟圧部材5、6の長手方向(用紙1の折り線と平行な方向)に対して均一になると共に強力になる。
前記挟圧部材5の側面は前記支持台3の側面と略同形を呈しており、その下端縁部は前記の様に支持部7にて揺動可能に支持されており、その側面が支持台3の側面に接触離間するように構成されている。
【0029】
前記支持台3の右方向には、前記支持台3の手前側と奥側に対応する位置に、鉛直側壁を有する一対の基台8が前記基板上に固設されており、当該両基台8間には水平方向(用紙1の折り線と平行な方向)に延在する支持軸9が相通されている。
前記支持軸9の、前記基台8の外側から突出した端部には、夫々一対の円形板10が回転可能に装着され、当該円形板10には前記支持軸9から遠心方向に延出するアーム部が一体的に形成され、前記円形板10とアーム部にて揺動腕11が構成されている。
【0030】
両揺動腕11の自由端部間には、断面コ字状で2枚の折曲具12、13が平行に併設された折曲部材14が固設されている。
前記揺動腕11の支持軸9から遠い方に設けられた折曲具13の幅寸法が、前記揺動腕11の支持軸9から近い方に設けられた折曲具12の幅寸法よりも長く形成されており、いずれもその自由端縁にはヘミング曲げが施してあって、用紙1と接触した際に滑りよくするとともに安全性が配慮されている。
前記円形板10には支持軸9を挟んで対象位置に接続軸17、18が挿通されており、2本の連接桿15、16の基端が夫々当該接続軸17、18に揺動可能に接続され、一方の連接桿15の他端は前記一方の挟圧部材6に、他方の連接桿16の他端は前記他方の挟圧部材5に、それぞれ揺動自在に接続されている。
【0031】
従って、前記揺動腕11は支持軸9を支点として反時計方向に回転させると、前記円形板10も反時計方向に回転し、一方の連接桿15は左方向に、他方の連接桿16は右方向に夫々偏倚し、一方の挟圧部材5は支持部7を支点として前記支持台3の左側面に圧接され、同時に他方の挟圧部材6も支持部7を支点として前記支持台3の右側面に圧接されることになる。
なお、前記円形板10の前記接続軸17、18が挿通される貫通孔19、20(図4参照)は、前記接続軸17、18が前記揺動腕11の支持軸9の方向(円形板の径方向)に移動可能となるように長孔に形成されている。
【0032】
また、前記基台8の夫々の鉛直側壁の内側において、前記支持軸9に、前記接続軸17、18を前記支持軸9に対して遠心方向に弾性力によって付勢するための弾力を有するゴム製円板29が装着されており、当該ゴム製円板29によって、接続軸17、18は長孔である前記貫通孔19、20に沿って遠心方向に付勢されている。
【0033】
図13は前記接続軸17、18がゴム製円板29の外周に食い込んでいる状態を示し、図12はゴム製円板29の外周に単に接触している状態を示している。
前記ゴム製円板29による遠心方向への付勢力によって、挟圧部材5、6が前記連接桿15、16を介して前記支持台3の両側面に圧接されることになる。
前記揺動腕11が揺動することによって円形板10も回転するが、その際、前記接続軸17、18も前記支持軸9の周囲を公転することになるので、図12に示すように、前記基台8には、前記接続軸17、18が挿通され前記支持軸9の周囲を公転し得る円弧状の透孔21、22がそれぞれ開設されている。
【0034】
そして、前記透孔21、22の径方向外側の内縁には、前記接続軸17、18を節度的に公転させるための凹部23、24が設けられている。
前記接続軸17、18は、前述のように前記ゴム製円板29によって遠心方向に付勢されているので、接続軸17、18が透孔21、22の内部を公転する際に、前記付勢力によって前記凹部23、24に押圧され前記支持軸9の周囲を節度的に公転する。
【0035】
従って、それに伴い前記揺動腕11も節度的に揺動することになる。
なお、折曲しようとする用紙1が厚い場合や複数枚の用紙1を折曲しようとする場合に前記ゴム製円板29によってそのクリアランスが調整される。
前記支持台3上端近傍の左右に、前記用紙1が水平に載置される載置台25、26が、前記支持台3との間に前記折曲具12、13の通過を許容する間隙を有して設けられ、また図4に示すように前記折曲具12、13の側面にも用紙1を上面から保持する保持板27、28が設けられている。
【0036】
(本発明の実施形態の動作)
次に、主として図4ないし図11に従い、本実施の形態の動作について説明する。
図4は、前記揺動腕11を時計方向に最大限回転させて停止させた状態で、折曲しようとする用紙1を載置台25、26の所定の位置に載置した状態を表している。なお、用紙1は図示しないガイドによって容易に所定の位置に載置できるように構成されている。また、前記揺動腕11には把手が装着されているが図示は省略してある。
この状態では前記支持台3の側面と両挟圧部材5、6の側面との間はV字状に中程度に離間している。
【0037】
図4の状態から、揺動腕11を反時計方向に回転させ、前記折曲具12、13の下端部が前記用紙1の上面に接触した状態を表したのが図5である。
前述のように、2枚の記揺動腕11の支持軸9から遠い方に設けられた折曲具13の幅寸法(この図では垂下方向寸法)が、前記揺動腕11の支持軸9から近い方に設けられた折曲具12の幅寸法(この図では垂下方向寸法)よりも長く形成されているので、各折曲具12、13の幅寸法を適宜設定すると、図5に示すように、両折曲具12、13下端部が前記用紙1の上面に同時に接触し、当該用紙1が支持台3上でずれることがない。
もし、両折曲具12、13の一方の下端部が先に前記用紙1の上面に接触すると、当該用紙1は先に接触した方にずれる恐れがある。
この状態においても、前記支持台3の側面と両挟圧部材5、6の側面との間はV字状に広角度に離間している。
【0038】
図5の状態から、揺動腕11を反時計方向に更に回転させ、前記折曲具12、13の下端部が前記用紙1を上面から下方に押圧した状態を表したのが図6である。
この図から明らかなように、用紙1は前記折曲具12、13によって2か所で下方に押し曲げられている。
この状態においても、前記支持台3の側面と両挟圧部材5、6の側面との間はV字状に広角度に離間している。
【0039】
図6の状態から、揺動腕11を反時計方向に限界まで更に回転させ、前記折曲具12、13の下端部が前記用紙1を上面から下方に押圧し、用紙1を仮折曲した状態を表したのが図7である。
この状態では、前記用紙1は完全には折曲されておらず、前記折曲具12、13の下端縁と接触する部分は、曲率半径は小さいが湾曲状態にある。
用紙1は、前記載置台25、26と前記保持板27、28とによって固定されている。
この状態においても、前記支持台3の側面と両挟圧部材5、6の側面との間はV字状に広角度に離間している。
【0040】
図7の状態から、今度は揺動腕11を時計方向に回転させ、前記折曲具12、13の下端部が前記用紙1の上面から離間した状態を表したのが図8である。
この状態では、前記折曲具12、13の下端部が前記用紙1の上面から離間しても、用紙1は仮折曲された状態で、仮折曲された部分は、曲率半径は小さいが湾曲状態にある。
この状態においても、前記支持台3の側面と両挟圧部材5、6の側面との間はV字状に広角度に離間している。
【0041】
図8の状態から、揺動腕11を更に時計方向に回転させ、前記折曲具12、13の下端部が前記用紙1の上面から完全に離間した状態を表したのが図9である。
この状態では前記2本の連接桿15、16が平行に近くなり、前記支持台3の側面と両挟圧部材5、6の側面とが圧接され、前記用紙1は完全に折曲されることになる。
即ち、この状態においては、前記支持台3の側面と両挟圧部材5、6の側面との間は事実上閉じられていることになる。
【0042】
図9の状態から、揺動腕11を更に時計方向に限界まで回転させ、最初の状態に戻した状態を表したのが図10である。
この状態では、前述と同様に、前記支持台3の側面と両挟圧部材5、6の側面との間は中程度にV字状に離間しており、前記用紙1は完全に折曲した状態で、支持台3上に位置している。
容易に取り出せる状態にある。
【0043】
図11は、完全に折曲された用紙を取り出した状態を表している。
前述のように、本実施の形態では、作業者が折曲しようとする用紙1を載置台25、26上に載置し、揺動腕11を1度揺動させるだけで、ワンタッチで当該用紙を完全に折曲することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 用紙、2 固定孔、3 支持台、4 湾曲部、5 挟圧部材、6 挟圧部材、7 支持部、8 基台、9 支持軸、10 円形板、11 揺動腕、12 折曲具、13 折曲具、14 折曲部材、15 連接桿、16 連接桿、17 接続軸、18 接続軸、19 貫通孔、20 貫通孔、21 透孔、22 透孔、23 凹部、24 凹部、25 載置台、26 載置台、27 保持板、28 保持板、29 ゴム製円板
図1
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図13