特許第6473988号(P6473988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社AncientTreeの特許一覧

<>
  • 特許6473988-検査データの予測、記録、比較装置 図000002
  • 特許6473988-検査データの予測、記録、比較装置 図000003
  • 特許6473988-検査データの予測、記録、比較装置 図000004
  • 特許6473988-検査データの予測、記録、比較装置 図000005
  • 特許6473988-検査データの予測、記録、比較装置 図000006
  • 特許6473988-検査データの予測、記録、比較装置 図000007
  • 特許6473988-検査データの予測、記録、比較装置 図000008
  • 特許6473988-検査データの予測、記録、比較装置 図000009
  • 特許6473988-検査データの予測、記録、比較装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6473988
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】検査データの予測、記録、比較装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20190218BHJP
【FI】
   G16H50/20
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-9192(P2018-9192)
(22)【出願日】2018年1月4日
(65)【公開番号】特開2018-113042(P2018-113042A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2018年3月16日
(31)【優先権主張番号】特願2017-14816(P2017-14816)
(32)【優先日】2017年1月12日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517030918
【氏名又は名称】株式会社AncientTree
(74)【代理人】
【識別番号】100088867
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 卓嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤原 壮好
(72)【発明者】
【氏名】岡本 稔
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−122348(JP,A)
【文献】 特開2007−265347(JP,A)
【文献】 特開2008−257293(JP,A)
【文献】 特開2008−052511(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/171542(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G16H 10/00 − 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の生活習慣情報と各種検査データを、当該生活習慣に由来する公知の各種検査データと比較して、当該生活習慣を継続した場合の将来の検査データを予測する装置において、
前記対象者の生活習慣情報を記憶する生活習慣記憶手段と、
生活習慣に由来する公知の情報を記憶する公知情報記憶手段と
前記対象者の各種検査データを記憶する検査データ記憶手段と、
が具備され、
前記生活習慣情報と前記検査データに関する情報を定期的に前記検査データ記憶手段に入力することによって、対象者の検査データを蓄積し、当該データと前記公知情報記憶手段に記憶されている公知の情報とを人工知能によって照合し、
前記公知の情報から人工知能を利用して初期の予測関数を生成し、その予測関数に、複数回の過去に蓄積された検査データと生活習慣情報を加えて、人工知能予測式に追加学習させ、
その分析結果として、将来の検査データを予測することを特徴とする検査データ予測装置。
【請求項2】
対象者の生活習慣情報と検査データを関連付け、一定の生活習慣を継続した場合の過去の検査データに基づき、将来の検査データを予測する装置において、
前記対象者の生活習慣情報を記憶する生活習慣記憶手段と、
生活習慣に由来する公知の情報を記憶する公知情報記憶手段と、
前記対象者の各種検査データを記憶する検査データ記憶手段と、
が具備され、
時間を隔てて同一の生活習慣下における検査データを複数回記憶させ、各回ごとに行った過去の検査データを蓄積し、当該データと前記公知情報記憶手段に記憶されている公知の情報とを人工知能によって照合し、
前記公知の情報から人工知能を利用して初期の予測関数を生成し、その予測関数に、複数回の過去に蓄積された検査データと生活習慣情報を加えて、人工知能予測式に追加学習させ、
その分析結果として、将来の検査データを予測することを特徴とする検査データ予測装置。
【請求項3】
生活習慣情報には喫煙、食事、活動、飲酒、睡眠のいずれかが含まれている請求項1もしくは2に記載の検査データ予測装置。
【請求項4】
生活習慣情報は、前記対象者の遺伝情報および病歴のいずれか一方若しくは両方である請求項1もしくは2に記載の検査データ予測装置。
【請求項5】
検査データには各種の検体検査、身体情報、遺伝情報、病歴いずれかが含まれている請求項1ないし4のいずれかに記載の検査データ予測装置。
【請求項6】
生活習慣情報を変更した場合の、将来の検査データを予測する請求項1ないし5のいずれかに記載の検査データ予測装置。
【請求項7】
対象者の生活習慣情報に由来する各種検査データを予測し、当該予測データと現実の検査データとを比較する装置において、
前記対象者の生活習慣情報を記憶する生活習慣記憶手段と、
生活習慣に由来する公知の情報を記憶する公知情報記憶手段と、
生活習慣に由来する各種検査データを前記公知情報に対応付けて予測する予測手段と、
前記対象者の各種検査データを記憶する検査データ記憶手段と、
前記対象者の生活習慣記憶手段に記憶された生活習慣情報に従い、前記予測手段から予測データが出力される予測データ出力手段と、
前記検査データと前記予測データとを比較し、その差異を記憶するデータ差異記憶手段と、
が具備され、
前記データ差異記憶手段に記憶された前記検査データと前記予測データとの差異を人工知能によって照合し、
前記公知の情報から人工知能を利用して初期の予測関数を生成し、その予測関数に、複数回の過去に蓄積された検査データと生活習慣情報を加えて、人工知能予測式に追加学習させ、
その分析結果として、前記対象者の体質として特定することを特徴とする検査データ比較装置。
【請求項8】
同一の生活習慣情報と検査データを、時間を隔てて複数回記憶させ、各回ごとに行った検査データと予測データとの差異を蓄積する蓄積手段を有する請求項7に記載の検査データ比較装置。
【請求項9】
対象者の各種検査データを、当該生活習慣に由来する公知の各種検査データと比較し、当該生活習慣を継続した場合の将来の発症が予測される疾病と当該疾病を未然に防止するための生活習慣の改善内容を提示する装置において、
前記対象者の生活習慣情報を記憶する生活習慣記憶手段と、
生活習慣に由来する公知の情報を記憶する公知情報記憶手段と、
前記対象者の各種検査データを記憶する検査データ記憶手段と、
が具備され、
前記公知情報記憶手段に記憶されている公知情報と検査データ記憶手段に記憶されている検査データを比較して、
前記生活習慣情報と前記検査データに関する情報を定期的に前記検査データ記憶手段に入力することによって、対象者の検査データを蓄積し、当該データと前記公知情報記憶手段に記憶されている公知の情報とを人工知能によって照合し、
前記公知の情報から人工知能を利用して初期の予測関数を生成し、その予測関数に、複数回の過去に蓄積された検査データと生活習慣情報を加えて、人工知能予測式に追加学習させ、
その結果を、前記身体の体質の選定や事後の検査データの予測、さらには推奨される生活習慣に供給し、それぞれの体質選定、予測、推奨生活習慣の選定の精度や確率度の向上を図ることを特徴とする生活習慣の改善内容を提示する装置。
【請求項10】
生活習慣の改善勧告情報は、改善すべき検査項目と推定された将来の生活習慣病リスクを回避するための検査値目標を含む請求項9に記載の生活習慣の改善内容を提示する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の生活習慣と各種の検査データを関連付けて記録し、同一の生活習慣を継続している場合に、検査データがどのように変化していくかを予測し、場合によっては、対象者に検査データを変更(良好化)すべく生活習慣を変化(改善)させる動機づけを与えようとするものである。
【0002】
例えばある対象者が現在の喫煙、飲食、運動を含む活動や睡眠などの生活習慣を変えることなく生活を続けていた場合の、検査結果の動向を予測して、例えば将来の高血圧や糖尿病などの疾病リスクを前記対象者に知らせ、生活習慣の改善を促すことにより、将来の疾病リスクの低減につなげようとするものである。
【背景技術】
【0003】
従来より、医療費低減の観点からも生活習慣病の抑制については声高に叫ばれており、生活習慣と各種疾病との因果関係については医学論文などに多数掲載され、周知となっている。
【0004】
しかしながら、生活習慣と各種検査データを具体的に関連付け対象者に対する健康指導はされてこなかった。
【0005】
せいぜい、健康診断の際に血圧が高いことが判明すると、医師は「あまり塩分をとらないように」とか、血糖値が高いと「あまり糖分をとらないように」とかいう程度で、生活習慣と各種検査データとの関係を具体的に指摘することはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−4507
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1には、健康状態提示装置などが記載されているが、この文献にはストレス問診結果を複数のレベルに評価して評価値を付与するものであり、生活習慣と検査結果を関連付けるものではない。
【0008】
本発明は、生活習慣と各種検査結果を関連付け、対象者に、当該検査結果から今後の生活習慣を見直す(場合によれば見直さない)指針を与え、具体的な健康指導をせんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明は、対象者の生活習慣情報と各種検査データを、当該生活習慣に由来する公知の各種検査データと比較して、当該生活習慣を継続した場合の将来の検査データを予測する装置において、前記対象者の生活習慣情報を記憶する生活習慣記憶手段と、生活習慣に由来する公知の情報を記憶する公知情報記憶手段と、前記対象者の各種検査データを記憶する検査データ記憶手段と、が具備され、前記公知情報記憶手段に記憶されている公知情報と検査データ記憶手段に記憶されている検査データを比較して、将来の検査データを予測することを特徴とする。
本発明によると、例えば、対象者の塩分の摂取量および血圧データと、公知の医学論文などに記載されているデータ(塩分と血圧との関係に関するデータ)を比較して、この状態で塩分を摂取し続けると血圧は更に上昇するということが予測されることになる。
このような場合、対象者は、塩分をどの程度に抑制すれば血圧が上昇するのを予防できるか、もしくは降下させることができるかがわかることになる。
【0010】
(2) 本発明は、対象者の生活習慣情報と検査データを関連付け、一定の生活習慣を継続した場合の過去の検査データに基づき、将来の検査データを予測する装置において、前記対象者の生活習慣情報を記憶する生活習慣記憶手段と、前記対象者の各種検査データを記憶する検査データ記憶手段と、が具備され、時間を隔てて同一の生活習慣下における検査データを複数回記憶させ、各回ごとに行った過去の検査データを蓄積することによって将来の検査データを予測することを特徴とする。
【0011】
本発明によると、例えば、対象者の塩分の摂取量および血圧データを、時間を隔て複数回記憶させ、各回ごとに行った過去の検査データを蓄積することによって、この状態で塩分を摂取し続けると血圧は更に上昇するということが予測されることになる。
【0012】
このような場合、対象者は過去の塩分の摂取量および血圧データから、対象者は将来塩分をどの程度に抑制すれば血圧が上昇するのを予防できるか、もしくは降下させることができるかが予測できることになる。
【0013】
(3)生活習慣情報には喫煙、食事、活動、飲酒、睡眠のいずれかが含まれていることが望ましい。
また、生活習慣情報としては本人や親族の病歴が含まれていてもよい。
【0014】
(4)生活習慣情報は、前記対象者の遺伝情報および病歴のいずれか一方若しくは両方であってもよい。
生活習慣情報は、前記対象者の告知によって得られるものであるので、その煩わしさからなるべく少ない方が望ましいが、少なくとも遺伝情報および病歴のいずれか一方若しくは両方程度は必要である。
【0015】
(5)検査データには各種の検体検査、身体情報のいずれかが含まれていることが望ましい。
検体検査には、糖代謝、脂質代謝、肝機能、貧血、腎機能の検査データが含まれ、身体情報には年齢、性別、身長、体重、腹囲、血圧が含まれていてもよい。
【0016】
(6)生活習慣情報を変更した場合の、将来の検査データを予測してもよい。
例えば、対象者が過去の生活習慣を変更し、塩分の摂取量を減らした状態の血圧データに基づき、今後塩分の摂取量をどの程度に抑制すれば血圧が上昇するのを予防できるか、もしくは降下させることができるかが予測できることになる。
【0017】
(7)本発明は、対象者の生活習慣情報と検査データを関連付け、一定の生活習慣を継続した場合の検査データを記録する装置において、前記対象者の生活習慣情報を記憶する生活習慣記憶手段と、前記対象者の各種検査データを記憶する検査データ記憶手段と、時間を隔てて同一の生活習慣下における検査データを複数回記憶させ、各回ごとに行った検査データを蓄積することを特徴とする。
【0018】
本発明によると、例えば対象者の塩分の摂取量および血圧データを、時間を隔て複数回記憶させ、各回ごとに行った過去の検査データを生活習慣情報に関連づけて記録することができる。
従って、対象者の塩分の摂取量および血圧データを、時間を隔て複数回記憶させ、各回ごとに行った過去の検査データを記録しておくことができる。
【0019】
(8)生活習慣を変更させた場合、その前後における検査データを比較して蓄積してもよい。
例えば、対象者の塩分の摂取量および血圧データを、時間を隔て複数回記憶させ蓄積すると、当該対象者の塩分の摂取量と血圧データの相関関係がわかることになる。
【0020】
(9)対象者の生活習慣情報に由来する各種検査データを予測し、当該予測データと現実の検査データとを比較する装置において、前記対象者の生活習慣情報を記憶する生活習慣記憶手段と、生活習慣に由来する各種検査データを公知の情報に対応付けて予測する予測手段と、前記対象者の各種検査データを記憶する検査データ記憶手段と、前記対象者の生活習慣記憶手段に記憶された生活習慣情報に従い、前記予測手段から予測データが出力される予測データ出力手段と、前記検査データと前記予測データとを比較し、その差異を記憶するデータ差異記憶手段と、が具備され、前記データ差異記憶手段に記憶された前記検査データと前記予測データとの差異を、前記対象者の体質として特定することを特徴とする。
【0021】
本発明によると、例えば、対象者が塩分を摂取しても血圧が上昇しないという検査結果が得られた場合、その検査結果と、公知の文献に記載されている情報、即ち塩分を摂取するとそれに伴い血圧が上昇するという情報と、を比較することのよって、当該対象者は一般的ではない体質(身体のタイプ)であると判断される。
【0022】
従って、当該対象者がもし高血圧症であるなら、他の生活習慣例えば飲酒などの習慣を変更することを検討すべきである、ということになる。
【0023】
(10)同一の生活習慣情報と検査データを、時間を隔てて複数回記憶させ、各回ごとに行った検査データと予測データとの差異を蓄積する蓄積手段を有していることが望ましい。
複数回にわたり検査データと予測データとの差異を蓄積することによって、対象者の体質がより明確に判断できることになる。
【0024】
(11)本発明は、対象者の各種検査データを、当該生活習慣に由来する公知の各種検査データと比較し、当該生活習慣を継続した場合の将来の発症が予測される疾病と当該疾病を未然に防止するための生活習慣の改善内容を提示する装置において、前記対象者の生活習慣情報を記憶する生活習慣記憶手段と、生活習慣に由来する公知の情報を記憶する公知情報記憶手段と、前記対象者の各種検査データを記憶する検査データ記憶手段と、が具備され、前記公知情報記憶手段に記憶されている公知情報と検査データ記憶手段に記憶されている検査データを比較して、前記生活習慣を継続する場合の将来の検査データを予測し、当該予測検査データに基づき、生活習慣の改善勧告情報を発することを特徴とする。
本発明によると、例えば前記対象者に対し「現在の生活習慣を継続すると6年後にはメタボリックシンドロームを発症する虞があるので、体重を79kg、血圧を120/80mmHg、中性脂肪を200mg/dLにすればメタボリックシンドロームの発症を予防できる。」との生活習慣の改善勧告情報を発することになる。
(12)生活習慣の改善勧告情報は、改善すべき検査項目(例えば体重)とその目標数値(例えば79kg)を含んでいる。
【0025】
従って対象者が前記改善勧告情報になるように生活習慣を改善すれば、発症のリスクは抑制されることになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、生活習慣と各種検査結果を関連付け、対象者に、当該検査結果から今後の生活習慣を見直す(場合によれば見直さない)指針を与え、具体的な健康指導をすることができ、生活習慣病に対する大きな抑制策を実行し得ることになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施の形態の制御ブロック図である。
図2】本発明の一実施の形態の各種検査データと生活習慣情報との関連を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施の形態の各種の生活習慣情報の内容を表す図である。
図4】本発明の一実施の形態の図3に続く図である。
図5】本発明の一実施の形態の各種の検査結果を表す図である。
図6】本発明の一実施の形態の各種検査データと生活習慣情報との関連を示す関連図である。
図7】本発明の一実施の形態の各種検査データと生活習慣情報から将来の生活習慣病の発症予測を行うための工程を示す図である。
図8】本発明の一実施の形態の将来予測と予防方法を表す図である。
図9】本発明の一実施の形態の図8に続く図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、装置全体の制御ブロック図で、中央処理装置(CPU)1には、バスライン2を介して、対象者の生活習慣情報を記憶しておく生活習慣情報メモリ3、対象者の各種の検査データを記憶しておく検査データメモリ4、医学論文などに掲載されている公知情報を記憶しておく公知情報メモリ5、および予測データと検査データとの差異を蓄積する差異蓄積メモリ9などの各種メモリが接続されている。
【0029】
また前記バスライン2には、対象者の生活習慣情報を入力することによって予測される検査データを表示する予測データ表示部6、過去の検査データと現在の検査データを比較する検査データ比較部7、検査データと前記公知情報を比較する検査データ比較部8、および検査データに基づき対象者に推奨すべき生活習慣を教示する推奨生活習慣表示部10が接続されている。
更に、前記バスライン2には、各種検査データを入力する検査データ入力部11と、生活習慣情報を入力する生活習慣情報入力部12が接続されている。
【0030】
本装置を使用して検査データを予測するには、先ず図2、3、4に示すような対象者の生活習慣に関する情報を入力する。
【0031】
この生活習慣情報としては、活動情報(一日の歩数、運動量、食後の運動)、睡眠情報(眠気、熟睡感)、食習慣情報(食べる速度、朝食の有無、飲食時と就寝時と時間、飲食の順序、味付け)、食事内容情報(青魚、大豆製品、穀類、甘い飲料、洋菓子や揚げ物、野菜や海藻、果物、乳製品の摂取量)、飲酒情報(アルコールの摂取量、適量の如何)、喫煙情報(習慣的な喫煙癖)、対象者の病歴や家族歴(血圧、血糖値、脂質、肝機能、治療経験、20歳の体重)などが挙げられる。
【0032】
次いで、図5に示すような各種検査データに関する情報を入力する。
この検査項目としては、体格(腹囲、体重、BMI)、血圧(最高血圧、最低血圧)、糖代謝(空腹時血糖値、推定平均血糖値、HbA1c値)、脂質代謝(HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、肝機能(AST、ALT、γ―GTP)などが挙げられる。
【0033】
そして、このような生活習慣情報と検査データに関する情報を定期的に入力することによって、対象者のデータが蓄積され、当該データと医学論文等に紹介されている各種の公知情報を人工知能(AI)エンジンによって照合し、その分析結果として、将来検査値予測(悪化や改善化)、遺伝的検査値予測、悪化危険度判定および検査値変化要因分析(習慣、食事、活動、睡眠)が出力される。
【0034】
これらの分析結果から、検査値予測グラフ、生活習慣病タイプ、発症リスク、行動プラン、食習慣と病気の関係を評価、運動と病気の関係、睡眠優先改善課題の抽出を表示し、結果として推奨される生活習慣を表示する。
【0035】
対象者は推奨される生活習慣を実行しつつ定期的に検査を行うと、自己の体調が好転することが理解できる。
一方、推奨される生活習慣を実行しない場合でも定期的に検査を行うと、自己の体調が悪化することが理解できる。
従って、対象者はこの装置を利用することによって、良好な体調管理ができることになる。
【0036】
図5は特定の対象者が時間を隔てて複数回検査を行った結果を表している。
この中で例えば血圧を取り出すと、最高血圧、最低血圧が複数回にわたって計測され、その結果を棒グラフ化し、次回予測として正常なレベル(○)であることが示されると、今後、血圧に関する生活習慣は現状のままでよいことになる。
【0037】
また、脂質代謝についても、HDL、LDL、中性脂肪が複数回にわたって計測され、その結果を棒グラフ化し、次回予測として悪化傾向であることが示されると、今後、脂質代謝に関する生活習慣は改善を要することが理解できる。
【0038】
次に、図6に従い、各種検査データと生活習慣情報との関連について説明する。
この図において、左側の縦一列は、検査データと生活習慣情報を入力し、最終的に検査データと生活習慣情報の蓄積をする状態を表している。
【0039】
即ち、先ず検査データと生活習慣情報を入力し、次いで身体のタイプ(体質)を選定することによって、事後の検査データを予測する。例えば対象者が塩分を摂取しても血圧に影響がない体質であるとすると、それを前提に事後の検査データを予測する。また、塩分を摂取すると血圧が上がるという体質なら、それに応じた検査データを予測する。
【0040】
次いで、前記検査データの予測値に基づき、検査データの改善のために推奨される生活習慣を選定する。例えば、塩分を摂取すると血圧が上がるという体質の対象者には「塩分を減らすべき」という生活習慣を推奨することになる。
そして、複数回の検査データと生活習慣情報を蓄積し、対象者に今後の生活習慣の指針を提供する。
【0041】
前記対象者の体質を選定するにあたっては、論文等の公知情報に開示されているいくつかの類型に従って体質の選定ロジックをから前記対象者の改質を選定する。
また論文等の公知情報からAI(人工知能)を利用して初期の予測関数を生成し、その予測関数に、複数回の過去に蓄積された検査データと生活習慣情報を加えて、AI予測式に追加学習させる。
そして、その結果を、前記身体の体質の選定や事後の検査データの予測、さらには推奨される生活習慣に供給され、それぞれの体質選定、予測、推奨生活習慣の選定の精度や確率度の向上を図る。
【0042】
次に図7に従い、対象者が前記改善勧告情報になるように生活習慣を改善すれば、発症のリスクは抑制される形態について説明する。
先ず、対象者の過去6年以上の検診検査を追跡し、そのままの生活習慣を今後も継続した場合に発症し得る生活習慣病の将来疾患タイプを推定し、当該推定された将来の生活習慣病を回避するための検査値目標を設定し、その検査値目標を対象者に告知することで発症を抑制できる可能性が向上する。
【0043】
即ち図7の下辺に記載されているように、身体状況や生活習慣をこのまま放置すると検査値トレンドや将来の疾患タイプから将来リスクが予測される。そしてこのリスクを回避するには将来疾患の回避のための検査値目標を設定し、その目標を達成するための生活習慣の改善目標を設定することによって、対象者が将来発生しかねない疾患を予防せんするものである。
【0044】
具体的には、図8に示す対象者に対し例えば「現在の生活習慣を継続すると6年後にはメタボリックシンドロームを発症する虞があるので、体重を79kg、血圧を120/80mmHg、中性脂肪を200mg/dLにすればメタボリックシンドロームの発症を予防できる。」との生活習慣の改善勧告情報を発することになる。
そして、そのようにするためには図9に記載されているように、アルコールの摂取量を抑制しまた野菜類の摂取を推奨したり、徒歩数を増加させるなどの具体的行動内容が示される。
【符号の説明】
【0045】
1 中央処理装置(CPU)
2 バスライン
3 生活習慣情報メモリ
4 検査データメモリ
5 公知情報メモリ
6 予測データ表示部
7 検査データ比較部
8 検査データ比較部
9 差異蓄積メモリ
10 推奨生活習慣表示部
11 検査データ入力部
12 生活習慣情報入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9