(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリントセラミック配線基板の電極パッド間距離は、テストヘッドにおける電極パッド間距離よりも大きい。インターポーザ基板の一方側の主面にはプリントセラミック配線基板の電極パッドに対応した電極パッドが設けられており、他方側の主面の上にはテストヘッドの電極パッドに対応した電極パッドが設けられている。それら一方主面側の電極パッドと他方主面側の電極パッドとが、内部導体によって接続されている。従って、インターポーザ基板においては、両主面の電極パッドの位置精度が高いことが重要となる。
【0006】
また、プローブカードを用いた検査は、例えば、−40℃から+125℃といった広い温度範囲で行われる。このため、検査温度が変化した際に、インターポーザ基板の電極パッド間距離とテストヘッドやプリントセラミック配線基板等の電極パッド間距離との間に差が出ないようにインターポーザ基板の熱膨張係数を、テストヘッドやプリントセラミック配線基板の熱膨張係数と近似させることが好ましい。従って、インターポーザ基板は、使用環境に合わせて熱膨張係数を調節可能な材料からなることが好ましい。
【0007】
また、通常は、テストヘッドの熱膨張係数は、半導体ウェハーの熱膨張係数と近似している。このため、インターポーザ基板の熱膨張係数を半導体ウェハーの熱膨張係数程度にまで小さくしたいという要望もある。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のセラミック配線基板では、半導体ウェハーの熱膨張係数ほど低い熱膨張係数を実現することが困難であるという問題がある。
さらに、インターポーザ基板の機械的強度を確保したいという要望もある。
本発明の主な目的は、低温焼成可能なセラミック配線基板であって、熱膨張係数を低く調節することが可能であり、かつ、機械的強度の高いセラミック配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るセラミック配線基板は、セラミック基板と、内部導体とを備える。内部導体は、セラミック基板内に配されている。セラミック基板は、ガラス、第1のセラミックフィラー及び第2のセラミックフィラーを含む。第1のセラミックフィラーの−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数は、第2のセラミックフィラーの−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数よりも低い。第2のセラミックフィラーの3点曲げ強度は、第1のセラミックフィラーの3点曲げ強度よりも高い。
【0010】
本発明に係るセラミック配線基板では、第1のセラミックフィラーの−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数は−8〜+5ppm/℃であり、第2のセラミックフィラーの3点曲げ強度は400〜800MPaであることが好ましい。
【0011】
本発明に係るセラミック配線基板では、セラミック基板は、3種以上のセラミックフィラーを含み、第1のセラミックフィラーは、−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数が3種以上のセラミックフィラーの中で最も低く、第2のセラミックフィラーは、各セラミックフィラーの3点曲げ強度が3種以上のセラミックフィラーの中で最も高いことが好ましい。
【0012】
本発明に係るセラミック配線基板では、セラミック基板は、ガラス、第1のセラミックフィラー及び第2のセラミックフィラーからなることが好ましい。
【0013】
本発明に係るセラミック配線基板では、第1のセラミックフィラーはウイレマイトフィラーであり、第2のセラミックフィラーはアルミナフィラーであることが好ましい。
【0014】
本発明に係るセラミック配線基板では、ガラスとアルミナフィラー及びウイレマイトフィラーとの質量比(ガラス:アルミナフィラー及びウイレマイトフィラー)は30:70〜65:35の範囲内にあり、アルミナフィラーとウイレマイトフィラーとの質量比(アルミナフィラー:ウイレマイトフィラー)は20:80〜60:40の範囲内にあることが好ましい。
【0015】
ウイレマイトフィラーの平均粒子径は、アルミナフィラーの平均粒子径よりも小さいことが好ましい。
【0016】
ガラスはホウケイ酸ガラスであることが好ましい。
【0017】
ガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO
2 60〜80%、B
2O
3 10〜30%、Li
2O+Na
2O+K
2O 1〜5%及びMgO+CaO+SrO+BaO 0〜20%を含むことが好ましい。
【0018】
セラミック基板の−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数は4ppm/℃以下であることが好ましい。
【0019】
本発明に係るセラミック配線基板用セラミックグリーンシートは、ガラス、第1のセラミックフィラー及び第2のセラミックフィラーを含み、第1のセラミックフィラーの−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数は、第2のセラミックフィラーの−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数よりも低く、第2のセラミックフィラーの3点曲げ強度は、第1のセラミックフィラーの3点曲げ強度よりも高い。
【0020】
本発明に係るセラミック配線基板用ガラスセラミックス粉末は、ガラス、第1のセラミックフィラー及び第2のセラミックフィラーを含み、 第1のセラミックフィラーの−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数は、第2のセラミックフィラーの−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数よりも低く、第2のセラミックフィラーの3点曲げ強度は、第1のセラミックフィラーの3点曲げ強度よりも高い。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、低温焼成可能なセラミック配線基板であって、熱膨張係数を低く調節することが可能であり、かつ、機械的強度の高いセラミック配線基板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0024】
図1は、本実施形態に係るセラミック配線基板の模式的断面図である。
図1に示されるセラミック配線基板1は、熱膨張係数が小さく、かつ、機械的強度の高いことが要求されるセラミック配線基板一般として用いることができる。セラミック配線基板1は、例えば、プローブカードのインターポーザ基板として用いることができる。
【0025】
セラミック配線基板1は、セラミック基板10を有する。セラミック基板10は、第1及び第2の主面10a、10bを有する。セラミック基板10は、複数のセラミック層11の積層体により構成されている。
【0026】
セラミック基板10の内部には、複数の内部導体20が配されている。それぞれの内部導体20は、隣り合うセラミック層11の間に位置する層間電極21と、セラミック層11を貫通しており、セラミック層11を介してセラミック層11の積層方向に対向している層間電極21同士を接続しているビアホール電極22とを有する。
【0027】
複数の内部導体20は、セラミック基板10の第1の主面10aと第2の主面10bとに跨がって設けられている。内部導体20の第1の主面10a側の端部は、第1の主面10aの上に設けられた電極パッド31に接続されている。内部導体20の第2の主面10b側の端部は、第2の主面10bの上に設けられた電極パッド32に接続されている。
【0028】
隣り合う電極パッド32間の距離は、隣り合う電極パッド31間の距離よりも長い。このため、セラミック配線基板1がインターポーザ基板として用いられる場合は、テストヘッドが第2の主面10b側に接続され、プリントセラミック配線基板が第1の主面10a側に接続される。
【0029】
なお、内部導体20及び電極パッド31,32は、適宜の導電材料により構成することができる。内部導体20及び電極パッド31,32は、それぞれ、例えば、Pt,Au,Ag,Cu,Ni,Pd等の金属の少なくとも一種により構成することができる。
【0030】
セラミック基板10は、ガラスを含む低温焼成セラミックスにより構成されている。具体的には、セラミック基板10は、ガラス、第1のセラミックフィラー及び第2のセラミックフィラーを含む。そして、第1のセラミックフィラーの−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数は、第2のセラミックフィラーの−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数よりも低い。第2のセラミックフィラーの3点曲げ強度は、第1のセラミックフィラーの3点曲げ強度よりも高い。
【0031】
ガラスは、セラミック基板10の緻密性(相対密度)を高め、セラミック基板10の機械的強度を高める。
【0032】
セラミックフィラーは、ガラス単体では調整できない、−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数及び機械的強度を調整できる。
セラミックフィラーとして、−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数が低い第1のセラミックフィラー、及びセラミックフィラーの3点曲げ強度が高い第2のセラミックフィラーを含むため、ガラスとこれらのセラミックフィラーの質量比を調整することによりセラミック基板10の熱膨張係数を好適に調節することができるとともに、セラミック基板10としての機械的強度を担保することができる。つまり、第1のセラミックフィラーにより、セラミック基板10の−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数を小さくすることができるとともに、第2のセラミックフィラーにより、セラミック基板10の機械的強度を向上させることができる。
【0033】
なお、本明細書におけるセラミックフィラーの−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数は、以下の方法により作製した、厚みが3.0mmのシート状焼結体の熱膨張係数を測定した。
【0034】
なお、本明細書におけるセラミックフィラーの3点曲げ強度は、以下の方法により作製した、厚みが3.0mmのシート状焼結体を用い、JIS R1601(2008)に準拠する方法により測定した。
【0035】
まず、平均粒子径2μmのセラミックフィラー100質量部に対して、ポリビニルブチラール(PVB)を15質量部、フタル酸ベンジルブチルを3質量部、トルエン50質量部を混合、混練してスラリーを作製する。次に、そのスラリーをドクターブレード法により、直径20.32cm(8インチ)、厚みが150μmの円形のシート状に成形してグリーンシートを作製する。次に、8枚のグリーンシートを積層し、90℃、30MPaで、熱圧着させた後、450℃で熱処理して脱脂した後に、1600℃で焼結させて焼結体を作製する。最後に、焼結体を厚みが3.0mmとなるまで研磨してシート状の焼結体を得る。
【0036】
セラミック基板10は、3種以上のセラミックフィラーを含んでもよい。すなわち、第1のセラミックフィラー及び第2のセラミックフィラー以外のセラミックフィラーを含んでもよい。
【0037】
この場合、第1のセラミックフィラーは、−40℃〜125℃の温度範囲における熱膨張係数が3種以上のセラミックフィラーの中で最も低く、第2のセラミックフィラーは、第2のセラミックフィラーの3点曲げ強度が3種以上のセラミックフィラーの中で最も高いことが好ましい。
【0038】
セラミック基板10は、2種類のセラミックフィラーを含んでいることが好ましい。すなわち、ガラス、第1のセラミックフィラー及び第2のセラミックフィラーの質量比を調整することで、容易にセラミック基板10の熱膨張係数を小さくすることができるとともに、セラミック基板10の機械的強度を向上させることができる。
【0039】
第1のセラミックフィラーの−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数は−8〜+5ppm/℃であることが好ましい。これにより、半導体ウェハーの熱膨張係数に近い熱膨張係数を有するセラミック基板10を得ることができる。第1のセラミックフィラーの−40℃〜+125℃の温度範囲における熱膨張係数は、−5〜+4ppm/℃であることがより好ましく、−3〜+3ppm/℃であることがさらに好ましい。
【0040】
第1のセラミックフィラーとしては、ウイレマイトフィラー、コージュライトフィラー、β−スポジュメンフィラー、ムライトフィラー、ジルコニア系セラミックフィラー(ZrSiO
4、ZrW
2O
8、(ZrO
2)P
2O
7、KZr
2(PO
4)
3、Zr
2(WO
4)(PO
4)
2)等が挙げられる。これらの中でも、ウイレマイトフィラーが好ましい。ウイレマイトフィラーを用いることで、−40℃〜+125℃の温度範囲におけるセラミック基板10の熱膨張係数を、例えば、4ppm/℃以下、さらには、3.6ppm/℃以下に小さくし得る。なお、ウイレマイトとは、ケイ素・亜鉛複合酸化物である。ウイレマイトは、一般的には、ZnSiO
4で表される。
【0041】
第2のセラミックフィラーの3点曲げ強度は、400〜800MPaであることが好ましい。これにより、機械的強度が高いセラミック基板10を得ることができる。第2のセラミックフィラーの3点曲げ強度は、450〜800MPaであることがより好ましく、500〜800MPaであることがさらに好ましい。
【0042】
第2のセラミックフィラーとしては、アルミナフィラー、ジルコニアフィラー等が挙げられる。これらの中でも、アルミナフィラーが好ましい。アルミナフィラーを用いることで、セラミック基板10の機械的強度を十分に大きくし得る。
【0043】
セラミック基板10は、例えば、アルミナフィラー及びウイレマイトフィラーを含む場合、アルミナフィラーとウイレマイトフィラーとの質量比を調節することによりセラミック基板10の熱膨張係数を好適に調節することができるとともに、セラミック基板10としての機械的強度を担保することができる。つまり、ウイレマイトフィラーにより、熱膨張係数を小さくすることができるとともに、アルミナフィラーにより、セラミック基板10の機械的強度を向上させることができる。また、−40℃〜+125℃の温度範囲におけるセラミック基板10の熱膨張係数を、例えば、4ppm/℃以下、さらには、3.6ppm/℃以下に小さくし得る。
【0044】
図2は、セラミック基板10におけるガラスとフィラーとの質量比とセラミック配線基板の相対密度(実線表示)及び機械的強度(3点曲げ強度)(点線表示)との関係を表すグラフである。なお、相対密度Dは、実測密度/理論密度×100(%)、(理論密度はガラス及びセラミックスの理論密度から横軸に対応する混合比で計算した値)で表される。
図2に示されるように、相対密度は、ガラス含有量がある値となるまでは、ガラス含有量の増加に伴い増加し、そして、相対密度の増加に伴い、3点曲げ強度も増加する。ガラス含有量がある値以上となると、相対密度が約100%となり、相対密度はガラス含有量がそれ以上増加しても増加せず、相対密度の増加に伴う3点曲げ強度の増加も見られなくなる。その一方で、ガラス含有量の増加に伴い、フィラーの含有量が減少していくため、それに伴い、3点曲げ強度も減少していく。これらの結果から、セラミック基板10の機械的強度を高くする観点から、ガラスとアルミナフィラー及びウイレマイトフィラーとの質量比(ガラス:アルミナフィラー及びウイレマイトフィラー)は、30:70〜65:35の範囲内にあることが好ましく、40:60〜60:40の範囲内にあることがより好ましいことが分かる。
【0045】
セラミック基板10において、アルミナフィラー及びウイレマイトフィラーの総量に対するウイレマイトフィラーの質量比(ウイレマイトフィラー/アルミナフィラー及びウイレマイトフィラーの総量)が小さすぎると、セラミック基板10の機械的強度が向上するものの、セラミック基板10の熱膨張係数が大きくなると共に誘電率が高くなる傾向にある。アルミナフィラー及びウイレマイトフィラーの総量に対するウイレマイトフィラーの質量比(ウイレマイトフィラー/アルミナフィラー及びウイレマイトフィラーの総量)が大きすぎると、セラミック基板10の熱膨張係数が小さくなると共に誘電率が低くなるものの、セラミック基板10の機械的強度が低下する傾向にある。従って、セラミック基板10の機械的強度を高く保ちつつ、セラミック基板10の熱膨張係数を小さくし、誘電率を低くする観点からは、アルミナフィラーとウイレマイトフィラーとの質量比(アルミナフィラー:ウイレマイトフィラー)が20:80〜60:40の範囲内にあることが好ましく、30:70〜50:50の範囲内にあることがより好ましい。
【0046】
ウイレマイトフィラーの平均粒子径は、アルミナフィラーの平均粒子径よりも小さいことが好ましく、1/2倍以下であることがより好ましい。この場合、フィラーの充填率が高まり、機械的強度が向上する。
【0047】
セラミック基板10中のガラスは、ホウケイ酸ガラスであることが好ましい。ホウケイ酸ガラスを用いることにより、セラミック基板10の熱膨張係数を小さくしやすい。また、セラミック基板10の機械的強度を高くすることができる。
【0048】
具体的には、ホウケイ酸ガラスは、ガラス組成として、質量%で、SiO
2 60〜80%、B
2O
3 10〜30%、Li
2O+Na
2O+K
2O 1〜5%及びMgO+CaO+SrO+BaO 0〜20%を含むことが好ましい。
【0049】
以下、特に断りなく示す百分率は、質量百分率を示す。
【0050】
SiO
2はガラスの骨格を形成する成分である。SiO
2含有量は、質量百分率表示で、60〜80%であることが好ましい。SiO
2の含有量が少なくなると、ガラス化し難くなる場合がある。一方、含有量が多くなると、溶融温度が高くなり、溶融が困難となる場合がある。SiO
2の含有量のより好ましい範囲は65〜75%である。
【0051】
B
2O
3はガラスの骨格を形成すると共に、ガラス化範囲を広げ、ガラスを安定化させる成分である。B
2O
3の含有量は、質量百分率表示で、10〜30%であることが好ましい。B
2O
3の含有量が少なくなると、溶融温度が高くなり、溶融が困難になる傾向にある。一方、B
2O
3の含有量が多くなると、セラミック配線基板1の熱膨張係数が大きくなる傾向にある。B
2O
3の含有量のより好ましい範囲は15〜25%である。
【0052】
アルカリ金属酸化物(Li
2O、Na
2O、K
2O)は溶融ガラスの粘度を低下させ、溶融しやすくする成分である。アルカリ金属酸化物の含有量(合量)は、質量百分率表示で、1〜5%であることが好ましい。アルカリ金属酸化物の含有量が少なくなると、粘度を低下させる効果が低くなる場合がある。一方、アルカリ金属酸化物の含有量が多くなると、耐水性が低下する傾向にある。アルカリ金属酸化物の含有量のより好ましい範囲は2〜4%である。
【0053】
アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、SrO、BaO)は溶融ガラスの粘度を低下させ、溶融しやすくする成分である。アルカリ土類金属酸化物の含有量(合量)は、質量百分率表示で、0〜20%であることが好ましい。アルカリ土類金属酸化物の含有量が多くなると、ガラスが不安定となりやすく、ガラスを溶融する際にガラスが失透し傾向にある。アルカリ土類金属酸化物の含有量のより好ましい範囲は5〜15%である。
【0054】
次に、セラミック配線基板1の製造方法について説明する。
【0055】
まず、上述したガラス粉末、第1のセラミックフィラー及び第2のセラミックフィラーを含むセラミック配線基板用ガラスセラミックス粉末用意する。ここで、セラミック配線基板用ガラスセラミックス粉末において、第1のセラミックフィラーはウイレマイトフィラーであることが好ましく、第2のセラミックフィラーはアルミナフィラーであることが好ましい。ガラスとアルミナフィラー及びウイレマイトフィラーとの質量比(ガラス:アルミナフィラー及びウイレマイトフィラー)は、30:70〜65:35の範囲内にあることが好ましく、40:60〜60:40の範囲内にあることがより好ましい。アルミナフィラーとウイレマイトフィラーとの質量比(アルミナフィラー:ウイレマイトフィラー)が20:80〜60:40の範囲内にあることが好ましく、30:70〜50:50の範囲内にあることがより好ましい。ウイレマイトフィラーの平均粒子径がアルミナフィラーの平均粒子径よりも小さいことが好ましく、アルミナフィラーの平均粒子径の1/2倍以下であることがより好ましい。
【0056】
ガラスは、ホウケイ酸塩系ガラスであることが好ましく、上記組成のホウケイ酸塩系ガラスであることがより好ましい。ガラス粉末の平均粒子径は、1μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
【0057】
次に、セラミック配線基板用ガラスセラミックス粉末に、樹脂、可塑剤、溶剤等を含むバインダーを添加し、混練することによりスラリーを作製する。そのスラリーを、ドクターブレード法等によりシート状に成形することにより、ガラス、アルミナフィラー及びウイレマイトフィラーを含むセラミック配線基板用セラミックグリーンシートを作製する。
【0058】
次に、セラミックグリーンシートにビアホールを形成する。ビアホールの形成は、例えば、レーザー光の照射や、メカニカルパンチング等により行うことができる。
【0059】
次に、形成したビアホールの内部に、ビアホール電極22を形成するための導電性ペーストを充填する。また、セラミックグリーンシートの上に、層間電極21及び電極パッド31,32を形成するための導電性ペーストを塗布する。
【0060】
その後、セラミックグリーンシートを適宜積層し、積層体を得る。その積層体を、焼成することによりセラミック配線基板1を完成させることができる。
【0061】
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
【0062】
(実施例1)
質量百分率表示で、SiO
2 70%、B
2O
3 28%、K
2O 2%となるように、ガラス原料を調合し、白金るつぼにガラス原料を投入し、1600℃で溶融することで溶融ガラスを得た。溶融ガラスを、水冷した2つの回転ロール間に供給し、溶融ガラスを延伸することにより、フィルム状のガラスを得た。
【0063】
このようにして得られたガラスを、ボールミルにより粉砕し、平均粒子径2.2μmのガラス粉末を得た。
【0064】
ガラス粉末45質量部、平均粒子径が2.0μmであるアルミナ粉末30質量部、平均粒子径が0.8μmであるウイレマイト粉末25質量部となるように調製した混合粉末100質量部に対して、ポリビニルブチラール(PVB)を15質量部、フタル酸ベンジルブチルを3質量部、トルエン50質量部を混合、混練したのち、ドクターブレード法により、厚みが150μmのグリーンシートを得た。
【0065】
グリーンシートを打ち抜き加工し、直径20.32cm(8インチ)の円形のグリーンシート成形体を得た。ついで、このグリーンシート成形体に、レーザーパンチングマシンにより、直径が100μmで、間隔が500μmの貫通孔を形成し、ビア導体を印刷により埋め込んだ。また、層間電極及び電極パッドを導電性ペーストを印刷することにより形成した。その後、グリーンシート成形体を積層し、さらに拘束部材として、アルミナフィラーからなるアルミナグリーンシートを積層し、積層体を作製した。
【0066】
次に、積層体を、90℃、30MPaで、熱圧着させた。その後、積層体を450℃で熱処理して脱脂した後に、850℃で焼結させて焼結体を得た。得られた焼結体を研磨することで拘束部材を除去し、厚みが3.0mmのセラミック配線基板を作製した。
【0067】
−40〜125℃の温度範囲における得られたセラミック配線基板の熱膨張係数は、3.9ppm/℃であり、半導体ウェハーの熱膨張係数とほぼ同じ値となった。
【0068】
JIS R1601(2008)に準拠する方法により測定したセラミック配線基板の3点曲げ強度は、300MPaであり、十分な強度を有していた。
【0069】
そして、このセラミック配線基板をプローブカードに用い、このプローブカードで半導体ウェハーを、−40〜+125℃の温度範囲で検査したところ、問題無く半導体ウェハーを検査することができた。
【0070】
(実施例2)
以下の点を除いては、実施例1と同様にしてセラミック配線基板を作製した。
【0071】
ガラス原料の組成を、質量百分率表示で、SiO
2 65%、B
2O
3 15%、CaO 16%、K
2O 4%とした。
【0072】
ガラス粉末の平均粒子径は、2.0μmであった。
【0073】
ガラス粉末40質量%、アルミナフィラー粉末25質量%、ウイレマイトフィラー粉末35質量%となるように調製した混合粉末100質量部に対して、メタアクリル酸樹脂を15質量部、フタル酸ベンジルブチルを3質量部、トルエン50質量部を混合、混練したのち、ドクターブレード法により、厚みが150μmのグリーンシートを得た。
【0074】
−40〜125℃の温度範囲における得られたセラミック配線基板の熱膨張係数は、3.4ppm/℃であり、半導体ウェハーの熱膨張係数とほぼ同じ値となった。
【0075】
JIS R1601(2008)に準拠する方法により測定したセラミック配線基板の3点曲げ強度は、280MPaであり、十分な強度を有していた。
【0076】
そして、このセラミック配線基板をプローブカードに用い、このプローブカードで半導体ウェハーを、−40〜+125℃の温度範囲で検査したところ、問題無く半導体ウェハーを検査することができた。
【0077】
(比較例)
以下の点を除いては、実施例1と同様にしてセラミック配線基板を作製した。
【0078】
ガラス粉末60質量部、アルミナ粉末40質量部なるように調製した混合粉末100質量部に対して、ポリビニルブチラール(PVB)を15質量部、フタル酸ベンジルブチルを3質量部、トルエン50質量部を混合、混練したのち、ドクターブレード法により、厚みが150μmのグリーンシートを得た。
【0079】
−40〜125℃の温度範囲における得られたセラミック配線基板の熱膨張係数は、6.2ppm/℃であり、半導体ウェハーの熱膨張係数よりも大きな値となった。
【0080】
JIS R1601(2008)に準拠する方法により測定したセラミック配線基板の3点曲げ強度は、280MPaであった。
【0081】
そして、このセラミック配線基板をプローブカードに用い、このプローブカードで半導体ウェハーを、−40〜+125℃の温度範囲で検査したところ、セラミック配線基板の膨張により、正確に半導体ウェハーを検査することができなかった。