特許第6474085号(P6474085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6474085新規アスファルト結合剤添加剤組成物および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474085
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】新規アスファルト結合剤添加剤組成物および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 95/00 20060101AFI20190218BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20190218BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20190218BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20190218BHJP
   E01C 7/18 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   C08L95/00
   C08K5/09
   C08K5/10
   C08K5/103
   E01C7/18
【請求項の数】11
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-553261(P2016-553261)
(86)(22)【出願日】2014年11月10日
(65)【公表番号】特表2016-537497(P2016-537497A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】US2014064882
(87)【国際公開番号】WO2015070180
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2017年10月13日
(31)【優先権主張番号】61/902,706
(32)【優先日】2013年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516137937
【氏名又は名称】コラボレイティブ アグレゲイツ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー, ジョン シー.
(72)【発明者】
【氏名】モーロー, ローラ ローズ
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー, ロワン ルイース
(72)【発明者】
【氏名】ビアンチニ, ジェイソン アール.
【審査官】 松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−154467(JP,A)
【文献】 特開2005−154465(JP,A)
【文献】 特開2000−143993(JP,A)
【文献】 特開2007−262406(JP,A)
【文献】 特開2005−154466(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/090283(WO,A1)
【文献】 特表2010−501029(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/053882(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
E01C 1/00 − 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)油脂97.5質量%〜99質量%、および
(b)サリチル酸、サリチル酸メチルまたはサリチル酸とサリチル酸メチルとの組み合わせ1質量%〜2.5質量%
を含む、アスファルト加剤組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物とアスファルト結合剤とを合わせるステップを含む、道路表面へのアスファルト混合物の舗装または再舗装を改善するまたは強化する方法。
【請求項3】
前記合わせるステップが、請求項1に記載の組成物をアスファルト混合物に直接添加するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
請求項1に記載の組成物が、バージンアスファルト混合物に直接添加される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、リサイクルアスファルト舗装材(RAP)に直接添加される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記添加が、「ウォームミックス」温度で行われる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
(a)アスファルト結合剤、および
(b)請求項1に記載のアスファルト添加剤組成物
を含む、アスファルト結合剤組成物。
【請求項8】
(a)再生アスファルト舗装材(RAP)およびリサイクルアスファルト屋根材(RAS)からなる群から選択されるリサイクル材料、ならびに
(b)請求項1に記載のアスファルト添加剤組成物
を含む、アスファルト混合物組成物。
【請求項9】
アマニ油99%およびサリチル酸1%からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
アマニ油97.5%、サリチル酸2%およびサリチル酸メチル0.5%からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
アマニ油97.9%、サリチル酸2%およびサリチル酸メチル0.1%からなる、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2013年11月11日に出願された米国仮出願第61/902,706号の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、舗装、屋根葺きおよび他の建築用プロジェクトに有用なアスファルト材料に関する。さらに詳細には、本発明は、アスファルト混合物に改善された特性をもたらす、アスファルト結合剤添加剤に関する。この添加剤は、リサイクル、再生および回収アスファルト結合剤および混合物を新しいアスファルト結合剤および混合物に組み込む方法において有用である。
【背景技術】
【0003】
出願の背景
道路の舗装および屋根葺きから除去したアスファルト材料の再使用は、過去20年間に一層大きく受け入れられてきた。しかし、舗装表面および屋根を葺いた表面は、依然として、限られた耐久性を示しており、除去され続けている。新しく完成したアスファルト製品中の除去された材料の含有量を増加することにより、こうした材料の負荷および天然資源の需要を軽減することができる。
【0004】
20世紀の大部分にわたり、再生とは、典型的には既存の舗装表面を再コーティングするプロセスのことを指した。さらに、永続性のある解決策は、後に新しいアスファルト表面に再組み込みされる、古い道路または屋根から除去した、再生もしくはリサイクルアスファルト舗装材(reclaimed or recycled asphalt pavement:RAP)またはリサイクルアスファルト屋根材(recycled asphalt shingle:RAS)などの材料の再使用である。RAPまたはRASは非常に老化しており、かつバージン結合剤よりもかなり剛性の高いアスファルト結合剤を含有しているので、州交通局(State transportation agencies)は、これらをより高い含有量で使用したがらないことが多い(RASは、RAPよりも一層、剛性の高い結合剤を有する)。したがって、より多くのRAPまたはRAS含有量を組み込むと、剛性が高いアスファルト混合物になる恐れがあり、その結果、亀裂または湿害など、野外で不具合が起こり易いことがあるという懸念がある。この剛性の向上は、より軟質な結合剤を使用することによりある程度緩和することができるが、軟質結合剤とかなり剛性の高いRAP/MSW/PCAS結合剤との間のブレンドが不十分に行われた場合、得られた混合物は、依然として、野外での亀裂、湿害またはわだち掘れを起こし易くあり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
出願の要旨
本発明の目的は、再生もしくはリサイクルアスファルト舗装材(RAP)またはリサイクルアスファルト屋根材(RAS)を含むアスファルト混合物に添加すると、バージン材料からなるアスファルトと同等の機械的特性、エージング特性および摩耗特性を有するアスファルト組成物になる、組成物を提供することである。これらの組成物は、アスファルト混合物中に、現在、使用されている典型的なRAP含有量である15〜20%を十分に超えて、RAPおよび/またはRASの含有量を増加することが可能な再生物として有用である。
【0006】
本発明の別の目的は、所与の温度のいずれにおいても、アスファルト混合物の作業性を向上する、添加剤としての応用性を有する、組成物を提供することである。これらの添加剤は、バージンアスファルト混合物、およびRAPまたはRASを含むアスファルト混合物において有用である。一部の実施形態では、本組成物を添加すると、アスファルト結合剤の性能等級が改変される。
【0007】
本発明のさらなる目的は、「ホットミックスアスファルト」(hot mix asphalt:HMA)と比べて、「ウォームミックスアスファルト」(warm mix asphalt:WMA)混合物に対して、アスファルト混合物の作業温度を低下することができる組成物を提供することである。こうした組成物により、HMAの場合に使用されるよりも、低い温度でアスファルト混合物を混合することが可能になり、かつアスファルト混合物に対して、HMAの敷き詰めに必要とするよりも、低い敷き詰め温度が可能となる範囲に拡張する。
【0008】
本発明のさらなる目的は、アスファルト混合物中の空隙数の低下により測定される、該アスファルト混合物の圧縮の一助となり得る、組成物を提供することである。
【0009】
したがって、一態様では、本発明は、(a)担体マトリックス、ならびに(b)硬化剤およびマスクされている硬化剤からなる群から選択される剤を含む、アスファルト結合剤添加剤組成物を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、担体マトリックスおよび硬化剤を含む、アスファルト結合剤添加剤組成物であって、硬化剤が、以下の式の化合物
【化1】
を含み、
式中、RおよびRはそれぞれ、水素、または直鎖もしくは分枝の(C〜C18)アルキルもしくはアルケニルからなる群から独立して選択され、直鎖もしくは分枝の(C〜C18)アルキルもしくはアルケニルはそれぞれ、非置換であるか、またはハロ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、カルボキシ、−NH、−OH、−SH、−NHCH、−N(CH、−SCH、−CN、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される、1つまたは複数の置換基により置換されており、さらに、RとRの少なくとも1つは水素ではなく、RおよびRの少なくとも1つは、−OH、−SH、−COOHまたは−NHにより置換されている直鎖もしくは分枝の(C〜C12)アルキルもしくはアルケニルであるか、あるいはR−C−Rは一緒になって、(C〜C10)シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される環構造であって、非置換であるか、またはハロ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、カルボキシ、−NH、−OH、−SH、−NHCH、−N(CH、−SCH、−CN、(C〜C)アルキルおよび置換(C〜C)アルキルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基により置換されている、環構造を形成し、Zは、−COOH、−SOH、−SOH、−OSOH、−PO、−OPOおよび−OSi(R’)(R”)OHからなる群から選択され、R’およびR”は、独立してH、または直鎖もしくは分枝の(C〜C12)アルキルもしくはアルコキシである、
アスファルト結合剤添加剤組成物を提供する。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、担体マトリックスおよびマスクされている硬化剤を含む、アスファルト結合剤添加剤組成物であって、マスクされている硬化剤が、
【化2】
を含み、
式中、RおよびRはそれぞれ、水素、または直鎖もしくは分枝の(C〜C18)アルキルもしくはアルケニルからなる群から独立して選択され、直鎖もしくは分枝の(C〜C18)アルキルはそれぞれ、非置換であるか、またはハロ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、カルボキシ、−NH、−OH、−SH、−NHCH、−N(CH、−SCH、−CN、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基により置換されており、さらにRおよびRの少なくとも1つは水素ではなく、RおよびRの少なくとも1つは、−OH、−SH、−COOHまたは−NHにより置換されている直鎖もしくは分枝の(C〜C12)アルキルもしくはアルケニルであるか、あるいはR−C−Rは一緒になって、(C〜C10)シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される環構造であって、非置換であるかまたはハロ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、カルボキシ、−NH、−OH、−SH、−NHCH、−N(CH、−SCH、−CN、(C〜C)アルキルおよび置換(C〜C)アルキルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基により置換されている環構造を形成し、Zは、−COOR、−SOR、−SOR、−OSOR、−POHR、−OPOHRおよび−OSi(R’)(R”)ORからなる群から選択され、R’およびR”は、独立してH、または直鎖もしくは分枝の(C〜C12)アルキルもしくはアルコキシであり、さらにRは、直鎖または分枝の(C〜C12)アルキルである、
アスファルト結合剤添加剤組成物を提供する。
【0012】
さらなる態様では、本発明は、アスファルト結合剤、担体マトリックス、ならびに硬化剤およびマスクされている硬化剤からなる群から選択される剤を含む、アスファルト結合剤組成物を提供する。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、再生アスファルト舗装材(RAP)および再生アスファルト屋根材(RAS)からなる群から選択されるリサイクル材料、担体マトリックス、ならびに硬化剤およびマスクされている硬化剤からなる群から選択される剤を含む、アスファルト混合物組成物を提供する。
【0014】
さらに別の態様では、本発明は、道路表面へのアスファルト混合物の舗装もしくは再舗装を改善するまたは強化する方法であって、アスファルト結合剤と、(a)担体マトリックス、ならびに(b)硬化剤およびマスクされている硬化剤からなる群から選択される剤を含むアスファルト添加剤組成物(compostion)とを合わせるステップを含む、方法を提供する。
【0015】
以下の実施形態、態様およびそれらの変形は、典型的かつ例示的なものであり、範囲を限定することを意図するものではない。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
(a)担体マトリックス、ならびに
(b)硬化剤およびマスクされている硬化剤からなる群から選択される剤
を含む、アスファルト結合剤添加剤組成物。
(項目2)
前記剤が硬化剤である、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記剤がマスクされている硬化剤である、項目1に記載の組成物。
(項目4)
前記剤が硬化剤およびマスクされている硬化剤の両方を含む、項目1に記載の組成物。
(項目5)
前記組成物が最大5wt%の硬化剤および最大5wt%のマスクされている硬化剤を含む、項目4に記載の組成物。
(項目6)
前記担体マトリックスが、油、固体およびエマルションからなる群から選択される、項目1に記載の組成物。
(項目7)
前記担体マトリックスが、パラフィン油またはワックス、ヒドロレン、キャノーラ油、ココナッツ油、アマニ油、ベニバナ油、ダイズ油、トール油またはキリ油、鉱物油、シリコーンオイル、およびそれらの混合物からなる群から選択される油である、項目6に記載の組成物。
(項目8)
前記担体マトリックスが、シリカ状材料、リグニンおよびゴムからなる群から選択される固体である、項目6に記載の組成物。
(項目9)
前記硬化剤が、以下の式の化合物
【化5】

を含み、
式中、
およびRはそれぞれ、水素、または直鎖もしくは分枝の(C〜C18)アルキルもしくはアルケニルからなる群から独立して選択され、直鎖もしくは分枝の(C〜C18)アルキルもしくはアルケニルはそれぞれ、非置換であるかまたはハロ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、カルボキシ、−NH、−OH、−SH、−NHCH、−N(CH、−SCH、−CN、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基により置換されており、さらにRおよびRの少なくとも1つは水素ではなく、RおよびRの少なくとも1つは、−OH、−SH、−COOHまたは−NHにより置換されている直鎖もしくは分枝の(C〜C12)アルキルもしくはアルケニルであるか、あるいは
−C−Rは一緒になって、(C〜C10)シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される環構造であって、非置換であるかまたはハロ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、カルボキシ、−NH、−OH、−SH、−NHCH、−N(CH、−SCH、−CN、(C〜C)アルキル、および置換(C〜C)アルキルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基により置換されている環構造を形成し、
は、−COOH、−SOH、−SOH、−OSOH、−PO、−OPOおよび−OSi(R’)(R”)OHからなる群から選択され、R’およびR”は、独立して、H、または直鎖もしくは分枝の(C〜C12)アルキルもしくはアルコキシである、
項目1に記載の組成物。
(項目10)
前記硬化剤が、アスコルビン酸、安息香酸、フタル酸、ケイ皮酸、クエン酸、2−ピリジンカルボン酸、サリチル酸およびステアリン酸からなる群から選択される、項目9に記載の組成物。
(項目11)
前記マスクされている硬化剤が、
【化6】

を含み、
式中、
およびRはそれぞれ、水素、または直鎖もしくは分枝の(C〜C18)アルキルもしくはアルケニルからなる群から独立して選択され、直鎖もしくは分枝の(C〜C18)アルキルはそれぞれ、非置換であるかまたはハロ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、カルボキシ、−NH、−OH、−SH、−NHCH、−N(CH、−SCH、−CN、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基により置換されており、さらにRおよびRの少なくとも1つは水素ではなく、RおよびRの少なくとも1つは、−OH、−SH、−COOHまたは−NHにより置換されている直鎖もしくは分枝の(C〜C12)アルキルもしくはアルケニルであるか、あるいは
−C−Rは一緒になって、(C〜C10)シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される環構造であって、非置換であるかまたはハロ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、カルボキシ、−NH、−OH、−SH、−NHCH、−N(CH、−SCH、−CN、(C〜C)アルキル、および置換(C〜C)アルキルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基により置換されている環構造を形成し、
は、−COOR、−SOR、−SOR、−OSOR、−POHR、−OPOHRおよび−OSi(R’)(R”)ORからなる群から選択され、R’およびR”は、独立してH、または直鎖もしくは分枝の(C〜C12)アルキルもしくはアルコキシであり、さらにRは、直鎖または分枝の(C〜C12)アルキルである、
項目1に記載の組成物。
(項目12)
前記マスクされている硬化剤が、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸イソプロピルおよびサリチル酸ヘキシルからなる群から選択される、項目11に記載の組成物。
(項目13)
項目1に記載の組成物とアスファルト結合剤とを合わせるステップを含む、道路表面へのアスファルト混合物の舗装または再舗装を改善するまたは強化する方法。
(項目14)
前記合わせるステップが、項目1に記載の組成物をアスファルト混合物に直接添加するステップを含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
項目1に記載の組成物が、バージンアスファルト混合物に直接添加される、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記組成物が、リサイクルアスファルト舗装材(RAP)に直接添加される、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記添加が、「ウォームミックス」温度で行われる、項目14に記載の方法。
(項目18)
(a)アスファルト結合剤、および
(b)項目1に記載のアスファルト添加剤組成物
を含む、アスファルト結合剤組成物。
(項目19)
(a)再生アスファルト舗装材(RAP)およびリサイクルアスファルト屋根材(RAS)からなる群から選択されるリサイクル材料、ならびに
(b)項目1に記載のアスファルト添加剤組成物
を含む、アスファルト混合物組成物。
(項目20)
アマニ油99%およびサリチル酸1%からなる、項目1に記載の組成物。
(項目21)
アマニ油97.5%、サリチル酸2%およびサリチル酸メチル0.5%からなる、項目1に記載の組成物。
(項目22)
アマニ油97.9%、サリチル酸2%およびサリチル酸メチル0.1%からなる、項目1に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、総結合剤%w/wの関数としてプロットした、PG58−28、および混合組成物A、BまたはCを含有しているブレンドした結合剤の破壊温度を示す。
【0017】
図2図2は、50%RAP/50%バージン材料/PG64−22結合剤、および50%RAP/50%バージン材料/PG64−22結合剤/1%組成物B(w/w総結合剤)のアスファルト混合物に関する、温度の関数としてのトルク力をプロットしている。どちらのアスファルト混合物も、6.50%総結合剤を含有しており、9.5mmスーパーペーブ規格を満足するよう設計されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
定義
本明細書において、特段に具体的に明記されていない限り、使用されている用語の定義は、有機合成および土木工学の分野において使用されている標準的な定義である。例示的な実施形態、態様および変形は、図および図面において例示されており、本明細書において開示されている、実施形態、態様および変形、ならびに図および図面は、例示であり限定するものではないと見なされるべきであることが意図されている。
【0019】
本明細書で使用する場合、「アスファルト結合剤」とは、ビチューメンまたは液状アスファルトとも呼ばれる、液状アスファルト結合剤を指す。アスファルト結合剤は、骨材を含有しない。しかし、再生もしくはリサイクルアスファルト舗装材(RAP)またはリサイクルアスファルト屋根材(RAS)などのリサイクルアスファルト混合物は、骨材とアスファルト結合剤の両方を含有する。したがって、「アスファルト結合剤」は、本明細書で使用する場合、RAPまたはRASの形態にあるアスファルト結合剤から部分的または全体的に構成され得る。
【0020】
本明細書で使用する場合、「骨材」とは、砕石、砂、砂利などの材料、またはRAPもしくはRASの骨材成分を指す。骨材は、バージン骨材、または再生、回収もしくはリサイクル骨材とすることができる。
【0021】
本明細書で使用する場合、「アスファルト混合物」とは、アスファルト結合剤(上で定義されている)と骨材との混合物を指す。アスファルト混合物は、舗装などの表面(例えば、道路、ドライブウェイ、遊び場など)に実際に施用されている材料である。アスファルト混合物はまた、アスファルト屋根材の建築、またはアスファルト混合物を必要とし得る他の建築材料のいずれにおいても使用することができる。アスファルト混合物は、バージンアスファルト混合物、または再生、回収もしくはリサイクルアスファルト混合物とすることができる。
【0022】
本明細書で使用する場合、「担体マトリックス」とは、本発明の改善されたアスファルト結合剤をアスファルト混合物に組み込むために使用される、基剤を指す。担体マトリックスは、油、水中油型エマルション、または固体とすることができる。
【0023】
本明細書で使用する場合、「硬化剤」とは、本発明の再生特性、または「ウォームミックス」特性に寄与する物質である。
【0024】
本明細書で使用する場合、「マスクされている硬化剤」は、アスファルト混合物の再生またはウォームミックス形成または施用のプロセスの間に、硬化剤に変換することが可能な物質である。
【0025】
本明細書で使用する場合、「ウォームミックスアスファルト」(WMA)および「ホットミックスアスファルト」(HMA)調製とは、アスファルト混合物を調製する、2種の異なる方法を指す。本明細書で使用する場合、WMA調製は、300°F未満の温度でアスファルト混合物を製造することを指す。本発明の好ましい実施形態では、WMA調製は、275°F未満、より好ましくは240〜270°Fの間で実施される。あるいは、WMA調製は、製造温度が、標準的なHMA調製温度よりも50°F低い、調製を指すことがある。WMAの使用により、舗装費用を削減すること、舗装時期をより涼しい時期にまで拡大すること、アスファルトの圧縮を改善すること、アスファルト混合物を一層長い距離、輸送すること(なぜなら、この混合物は、圧縮する前に、より低い温度にまで冷却することができるため)、ならびに燃料排出、煙および臭気への曝露を低減することにより作業条件を改善することができる。
【0026】
発明の実行様式
アスファルト結合剤添加剤
本発明はとりわけ、リサイクル、再生もしくは回収アスファルト混合物および/またはアスファルト結合剤を再生する一助に有用な、アスファルト結合剤添加剤組成物を提供し、これにより、より好適な温度(すなわち、「ホットミックス」の代わりに「ウォームミックス」)でのアスファルト混合物調製を可能にし、アスファルト混合物の性能等級を改善し、または該混合物中の空隙数を低下させることによりアスファルト混合物の圧縮の一助となる。
【0027】
これらの添加剤組成物は、担体マトリックス、および硬化剤もしくはマスクされている硬化剤、またはそれらの両方を含む。特許請求されている本発明のアスファルト結合剤添加剤は、複数の目的に使用することができる。基本的に、このアスファルト結合剤添加剤は、(1)再生、回収もしくはリサイクルアスファルト結合剤、またはRAPおよびRASなどのアスファルト混合物を再生するために、または(2)ウォームミックスアスファルト(WMA)調製の利用を可能にするか、もしくは利用可能性を高めるために、使用することができる。
【0028】
A.担体マトリックス。本発明に有用な担体マトリックスは、本発明の改善されたアスファルト結合剤をアスファルト混合物に組み込むために使用される、基剤を指す。この担体マトリックスは、油、水中油型エマルション、または固体とすることができる。本発明の液状担体マトリックスは、硬化剤および/またはマスクされている硬化剤を水和することができ、該硬化剤および/またはマスクされている硬化剤とアスファルト結合剤または混合物との混合およびそれらの相互作用を容易にする。
【0029】
好ましい担体マトリックスの油は、有機油、例えばパラフィン油もしくはワックス、ヒドロレンなどの芳香族性油、キャノーラ油、ココナッツ油、アマニ油、ベニバナ油、ダイズ油、トール油またはキリ油など、または無機油、例えば鉱物油もしくはシリコーンオイルなど、またはそれらの混合物である。
【0030】
好ましい担体マトリックスエマルションは、上記の油の水エマルションである。これらの水エマルションは、1〜80%の油、より好ましくは5〜50%の油、最も好ましくは10〜25%の油とすることができる。
【0031】
好ましい固体担体マトリックスは、リグニン、ゴム、またはシリカなどのシリカ状(silicaceous)材料である。
【0032】
B.硬化剤。本発明において有用な硬化剤は、本発明の再生特性または「ウォームミックス」特性に寄与する物質である。本発明の好ましい硬化剤は、一般構造:
【化3】
を有し、
式中、RおよびRはそれぞれ、水素、または直鎖もしくは分枝の(C〜C18)アルキルもしくはアルケニルからなる群から独立して選択され、直鎖もしくは分枝の(C〜C18)アルキルもしくはアルケニルはそれぞれ、非置換であるかまたはハロ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、カルボキシ、−NH、−OH、−SH、−NHCH、−N(CH、−SCH、−CN、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基により置換されており、さらにRおよびRの少なくとも1つは水素ではなく、RおよびRの少なくとも1つは、−OH、−SH、−COOHまたは−NHにより置換されている直鎖もしくは分枝の(C〜C12)アルキルもしくはアルケニルであるか、あるいはR−C−Rは一緒になって、(C〜C10)シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される環構造であって、非置換であるかまたはハロ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、カルボキシ、−NH、−OH、−SH、−NHCH、−N(CH、−SCH、−CN、(C〜C)アルキル、および置換(C〜C)アルキルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基により置換されている環構造を形成し、Zは、−COOH、−SOH、−SOH、−OSOH、−PO、−OPOおよび−OSi(R’)(R”)OHからなる群から選択され、R’およびR”は、独立してH、または直鎖もしくは分枝の(C〜C12)アルキルもしくはアルコキシである。
【0033】
本発明のアスファルト添加剤組成物は、硬化剤を含有している場合、1〜50%(w/w)の硬化剤、より好ましくは1〜25%の硬化剤、最も好ましくは1〜5%の硬化剤とすることができる。
【0034】
本発明の特に好ましい実施形態では、硬化剤は、アスコルビン酸、安息香酸、フタル酸、ケイ皮酸、クエン酸、2−ピリジンカルボン酸、サリチル酸およびステアリン酸から選択される。
【0035】
C.マスクされている硬化剤。本発明において有用なマスクされている硬化剤は、再生またはウォームミックス形成または施用のプロセスの間に、硬化剤に変換することが可能な物質である。本発明の好ましいマスクされている硬化剤は、一般構造:
【化4】
を有し、
式中、RおよびRはそれぞれ、水素、または直鎖もしくは分枝の(C〜C18)アルキルもしくはアルケニルからなる群から独立して選択され、直鎖もしくは分枝の(C〜C18)アルキルはそれぞれ、非置換であるか、またはハロ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、カルボキシ、−NH、−OH、−SH、−NHCH、−N(CH、−SCH、−CN、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基により置換されており、さらにRおよびRの少なくとも1つは水素ではなく、RおよびRの少なくとも1つは、−OH、−SH、−COOHまたは−NHにより置換されている直鎖もしくは分枝の(C〜C12)アルキルもしくはアルケニルであるか、あるいはR−C−Rは一緒になって、(C〜C10)シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される環構造であって、非置換であるかまたはハロ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、カルボキシ、−NH、−OH、−SH、−NHCH、−N(CH、−SCH、−CN、(C〜C)アルキルおよび置換(C〜C)アルキルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基により置換されている環構造を形成し、Zは、−COOR、−SOR、−SOR、−OSOR、−POHR、−OPOHRおよび−OSi(R’)(R”)ORからなる群から選択され、R’およびR”は、独立してH、または直鎖もしくは分枝の(C〜C12)アルキルもしくはアルコキシであり、さらにRは、直鎖または分枝の(C〜C12)アルキルである。
【0036】
本発明のアスファルト添加剤組成物は、マスクされている硬化剤を含有している場合、0.1〜50%(w/w)のマスクされている硬化剤、より好ましくは0.1〜25%のマスクされている硬化剤、最も好ましくは0.1〜5%のマスクされている硬化剤とすることができる。
【0037】
本発明の特に好ましい実施形態では、マスクされている硬化剤は、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸イソプロピルまたはサリチル酸ヘキシルである。
【0038】
アスファルト結合剤
本明細書で使用されるアスファルト結合剤は、液状アスファルト結合剤である。これらはまた、ビチューメンまたは液状アスファルトと呼ばれることも多い。アスファルト結合剤は、骨材を含有しない。アスファルト結合剤は、当技術分野で公知の任意の乳化性アスファルトとすることができる。アスファルト結合剤は天然由来であってもよく、または製造されてもよい。製造されたアスファルト結合剤は、石油精製において、原油の非破壊的蒸留の残留生成物であることが多い。
【0039】
本明細書で使用されるアスファルト結合剤は、当技術分野で公知のいかなる道路規格も満足することができ(以下に限定されないが、例えばASTM国際規格を含む)、いかなる領域(以下に限定されないが、例えば、国防石油行政区(Petroleum Administration Defense District)(PADD)(PADD1、PADD2など)を含む)からも得ることができ、石油精製業者または供給業者(以下に限定されないが、例えば、BP、Calumet、Cenex、Conoco Phillips、Exxon/Mobil、Holly、Imperial、Marathon、Paramount、San Joaquin、Shell、Sinclair、Suncor、Tesoro、US OilおよびValeroを含む)のいずれかから得ることができる。アスファルト結合剤は、天然由来のビチューメン、天然由来のビチューメン状材料(ギルソナイトおよびギルソナイト誘導体)を含むことができるか、あるいは原油、またはクラッキングプロセス中に生成する石油ピッチ(アスファルトなど)、およびコールタールもしくはビチューメン状材料のブレンドにより製造することができる。本アスファルト結合剤は、粘度等級付けされるかつ/または針入度等級付けされるビチューメンの規格ともやはり適合し得る。
【0040】
本アスファルト結合剤はまた、「等級増量剤(grade extender)」または「改質剤」と見なされ得る、他の成分も含み得る。性能−等級標準を満足する改質されたアスファルト結合剤を製造するために、ビチューメンに伝統的に添加される成分は、本発明のある特定の実施形態において使用するのに好適である。こうした添加剤には、以下に限定されないが、天然ゴム、合成ゴム、プラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマーおよびそれらの組合せが含まれる。これらの添加剤の例には、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリ−イソプレン、ポリブチレン、ブタジエン−スチレンゴム、ビニルポリマー、エチレン酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル誘導体などが含まれる。本発明のアスファルト結合剤はまた、リサイクルタイヤに由来するリサイクルクラムゴム、またはリサイクルエンジンオイルボトム(REOB)も含有することができる。ある特定の実施形態では、改質ビチューメンは、硫黄、硫黄含有架橋剤、トール油酸、トール油ピッチ、リン酸またはポリリン酸誘導体などの酸改質剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1つのメンバーを含有することができる。記載されている添加剤を含有するアスファルト結合剤の製造は、当業者の能力の十分な範囲内である。
【0041】
骨材
本発明において有用な骨材は、砕石、砂、砂利、RAPまたはRAS(RAPおよびRASは、一般に、アスファルト結合剤も含有する)などの材料である。本発明の骨材は、バージン骨材、再生骨材、回収骨材またはリサイクル骨材とすることができる。
【0042】
舗装用材料および道路建設に使用される骨材は、天然源および合成源に由来する。骨材は、物理特性、本プロセスで使用されるアスファルト結合剤との適合性、入手可能性、およびプロジェクトの性能規格を満足する完成製品をもたらす能力(例えば、舗装プロジェクトの設計寿命にわたり企画される交通量のための層厚さ)を含めた、いくつかの基準に基づいて、個々のアスファルトの施用(舗装、屋根材またはその他に関わらず)に対して選択され得る。
【0043】
所与のサイズの骨材粒子の百分率を指す、等級付けは、アスファルト舗装に重要である。3種の一般的な等級付け:密粒度、ギャップ粒度および開粒度が存在する。密粒度骨材は、最も大きな無機表面積(骨材の単位あたり)を示す。開粒度骨材は、非常に低いレベル(通常、全骨材の約2パーセント未満)の微粉体(0.25インチ未満の材料)または充填材(0.075mm未満の無機材料)を有する、単一の大きなサイズ(例えば、約0.375〜1.0インチ)の石から大部分なる。ギャップ粒度の骨材は、密粒度のクラスと開粒度のクラスの間に収まる。RAP材料は、一般に、再生材料が得られる、舗装の等級付けに反映する。元の舗装が密粒度ミックスであった場合、そのRAPも、一般に、密粒度となる。舗装用組成物の製造において伝統的に使用される、いかなる骨材も、密粒度骨材、ギャップ粒度骨材、開粒度骨材、ストーン−マトリックスアスファルト、リサイクルアスファルト舗装材、およびそれらの混合物を含め、本発明のある特定の実施形態において使用するのに好適である。
【0044】
再生またはリサイクルアスファルト舗装材(RAS)およびリサイクルアスファルト屋根材(RAS)
再生またはリサイクルアスファルト舗装材(RAP)は、アスファルト結合剤および1種または複数種の骨材を含有し、本発明の組成物および方法における骨材として使用することができる。一般方法は、連続プラント(ドラム)または回分(パグミル)中央混合プラントのどちらかで、RAPとバージンアスファルト結合剤および骨材とを合わせて、新しい舗装用混合物を製造することである。米国では、これらの合わせた混合物は一般に、RAPの含有量が増加すると舗装性能が低下するので、「RAP」は、最大含有量約50%、より一般には10%〜約25%までに制限されている。
【0045】
RAPは、舗装表面から除去されたアスファルト混合物の舗装用材料である。アスファルト舗装用材料は、以下に限定されないが、ロトミル粉砕、剥離および掻きほぐしを含む、当技術分野で公知の任意のプロセスにより舗装表面から除去することができる。RAPは、アスファルトおよび1種または複数種の骨材を含有する。多くの場合、アスファルトおよび骨材は、建設および使用中の様々な物理変化を受ける。RAPは、再処理されて、新しいアスファルト材料で再使用することができる。
【0046】
RAPは、特定の粒子サイズ未満の粒子に粉砕して選別することにより、分画化することができる。例えば、RAPを小型の衝撃粉砕器に投入し得、得られた材料を1種または複数種のふるいまたはスクリーンに移送して、特定のサイズを超える粒子を分離除去することができる。過剰サイズの材料は、粉砕器に戻されて、再度、粉砕することができる。あるいは、RAPは、粉砕前に、スクリーンにかけることができる。
【0047】
RAPは、特定のサイズを有するRAP粒子だけを含むよう選別することができる。一部の実施形態では、RAPは、38.1−mm(11/2−インチ)のふるいに通される。あるいは、31.75−mm(11/4−インチ)のふるい、25.4−mm(1−インチ)のふるい、または19.0−mm(3/4−インチ)のふるいを使用することができる。これらのふるいにより、それぞれ、11/2インチ未満の直径、11/4インチ未満の直径、1インチ未満の直径、または3/4インチ未満の直径を有する、RAP粒子となる。
【0048】
RASは、2種の異なる供給源:製造済み屋根廃材(Manufactured Shingle Waste:MSW)および消費後アスファルト屋根材(Post−Consumer Asphalt Shingle:PCAS)から入手可能である。PCASは、一般に、「ティアオフ」と呼ばれており、屋根の上に置かれていて、何年もの間、風化作用という過酷な要因にさらされていた屋根材からなる。MSWは、屋根の上に置かれておらず、風化作用という要因にそれほど深刻にさらされていない可能性が高い。一般に、RAPおよびRASの量を制限して組み込まれた舗装材(または、屋根材)は、バージン材料だけで設計された舗装材(または、屋根材)と類似した働きをする。
【0049】
アスファルト混合物および作製方法
アスファルト混合物は、一般に、アスファルト結合剤と骨材とを合わせることにより調製される。バージンアスファルト混合物は、通常、加熱したバージン骨材にバージンアスファルト結合剤を添加することにより調製される。リサイクル、再生または回収(「古い」)アスファルト混合物は、「古い」アスファルト結合剤および「古い」骨材を含有する。「古い」アスファルト結合剤は、「古い」骨材から分離して、単独で使用することができるが、分離されるか否かに関わらず、最終組成物中のアスファルト結合剤の総量に寄与する。すなわち、リサイクル材料を含むアスファルト混合物の最終組成物には、(バージンアスファルト結合剤を含むまたは含まない)リサイクルアスファルト結合剤、バージン骨材および/またはリサイクル骨材が含まれ得る。
【0050】
本発明の方法では、本明細書において開示されているアスファルト結合剤添加剤、アスファルト結合剤および骨材を含む、改善されたアスファルト混合物が調製される。混合物を調製することができる方法が、いくつか存在する:
a. アスファルト結合剤添加剤は、骨材と混合する前に、アスファルト結合剤に直接加えてもよい。例えば、アスファルト結合剤添加剤を、バージン骨材、RAP、RASまたはそれらの組合せと混合する前に、まずバージンアスファルト結合剤と混合する。
b. アスファルト結合剤添加剤は、バージンアスファルト混合物に直接添加してもよい。例えば、バージンアスファルトおよびバージン骨材を合わせて、次に、この混合物にアスファルト結合剤添加剤が添加される。
c. アスファルト結合剤添加剤は、アスファルト結合剤と混合する前に、バージン骨材に直接、加えられてもよい。しかし、これは、担体マトリックスが、過熱されたバージン骨材に添加される油である場合、非常に慎重に行わなければならない。
d. アスファルト結合剤添加剤は、RAPおよび/またはRASなどの、リサイクル、回収または再生アスファルト混合物に直接加えてもよい。例えば、アスファルト結合剤添加剤は、掘り起こし道路補修(本質的に、インシチュ生成したRAP)および再舗装に、直ちに直接(好ましくは、スプレーしたエマルションとして)、付与することができた。この実施例では、追加のアスファルト結合剤および骨材はやはり、アスファルト結合剤添加剤の前、後またはこれと同時に加えてもよい。
【0051】
本発明の方法は、HMAまたはWMAとして行ってもよい。しかし、本発明のアスファルト結合剤添加剤の使用は、HMAよりもWMAの利用度をかなり高め、これにより、舗装費用を削減すること、舗装時期をより涼しい時期にまで拡大すること、アスファルトの圧縮を改善すること、アスファルト混合物を一層長い距離、輸送すること(なぜなら、この混合物は、圧縮する前に、より低い温度にまで冷却することができるため)、ならびに燃料排出、煙および臭気への曝露を低減することにより作業条件を改善することができる。
【0052】
熱風路上アスファルト再生工法(HIPR)には、舗装の1インチ(25mm)上部の路上除去、再生、および交換が含まれる。再混合には、いくらかの新しい骨材、およびパグミル中で合わせた追加のバージンアスファルト結合剤を使用することが含まれ、表面舗装材の最大で2インチまでの交換が可能になる。3種の基本的なプロセスは、アスファルト舗装再生協会(Asphalt Recycling and Reclaiming Association)「ARRA」により認定されている:1.ヒーター掻きほぐし(複数回)、2.再舗装(単回)、および3.再混合。本発明のアスファルト結合剤添加剤は、HIPRプロセスにおいて、任意の時点で添加してもよい。路上再生の主な利点は、費用の削減である。RAPの備蓄は必要がなく、したがって、ミル粉砕した古い舗装材を大量に輸送する必要がない。新しい材料の量が、実質的に削減される。
【0053】
実験
いくつかの例示的な実施形態、態様および変形が本明細書において提示されているが、当業者であれば、ある種の改変、変更、追加、ならびに本実施形態、態様および変形の組合せおよびある種の部分組合せを理解する。添付の特許請求の範囲は、こうした改変、変更、追加、ならびに本実施形態、態様および変形の組合せおよびある種の部分組合せのすべてがそれらの範囲内にあることを包含するものと解釈されることが意図されている。本出願全体で引用されているすべての文献の開示全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【実施例】
【0054】
(実施例1)
組成物A、BおよびCの調製
組成物Aは、サリチル酸1wt%およびアマニ油99wt%からなる。組成物Aの典型的な調製では、粗製アマニ油(6.5ポンド、密度7.78lb/gal、0.932g/mL)をガロン缶に秤量した。この混合物をRoss HSM−Cを用いて撹拌しながら、サリチル酸(32g)を加えた。
【0055】
サリチル酸2%、サリチル酸メチル0.5%およびアマニ油97.5%からなる組成物Bを上記の通り調製する。すべてのサリチル酸が溶解した後、サリチル酸とアマニ油とのミックスにサリチル酸メチルを加えた。
【0056】
サリチル酸2%、サリチル酸メチル0.1%およびアマニ油97.9%からなる、組成物Cを上記の通り調製する。すべてのサリチル酸が溶解した後、サリチル酸とアマニ油とのミックスにサリチル酸メチルを加えた。
【0057】
(実施例2)
バージンアスファルト結合剤および再生アスファルト結合剤ならびに結合剤ブレンドの軟質化
組成物AおよびBを、実施例1と同様に作製した。バージンアスファルト結合剤PG64−28、PG64−22およびPG58−28を得た。PG64−22およびPG58−28は、PG64−28よりも軟質な等級の結合剤である。再生アスファルト舗装材(RAP)を、Wrentham、MAの砕石供給源から得た。RASを、Fitchburg、MAにある、アスファルト屋根材リサイクル設備から、消費後アスファルト屋根材(PCAS)として得た。
【0058】
RAPおよびPCASのストックパイル結合剤を、AASHTO T164「Standard Method of Test for Quantitative Extraction of Asphalt Binder from Hot Mix Asphalt (HMA)(ホットミックスアスファルト(HMA)由来のアスファルト結合剤の定量的抽出に関する試験の標準方法)」およびAASHTO T170「Standard Method of Test for Recovery of Asphalt Binder from Solution by Abson Method(Abson方法により溶液由来のアスファルト結合剤の回収に関する試験の標準方法)」に準拠して、それぞれ、抽出および回収した(どちらも、「Standard Specifications for Transportation Materials and Methods of Sampling and Testing(輸送材料ならびにサンプリングおよび試験方法のための標準規格)」、米国全州道路交通運輸行政官協会、Washington, D.C.、第30版、2010年、以後、「AASHTO規格」より)。
【0059】
これらの抽出した結合剤は、PG58−28バージン結合剤と所与の混合比で、および各アスファルト再生物と所定の投入量で合わされて、粘度および結合剤の等級試験用試料をそれぞれ配合した。結合剤組成物が、表1に示されている。表1の命名では、ベースとなる結合剤組成物は、バージン結合剤、抽出RAP結合剤、および抽出RAS結合剤(合計100%)について示されている。組成物Aの量は、老化結合剤のwt%として決定される。すなわち、例えば、結合剤組成物B−6は、PG58−28を45g、抽出RAP結合剤を50g、抽出RAS結合剤を5g、および組成物Aを4.95g混合することにより配合される。4.95gの組成物Aは、全老化結合剤55gの9%に等しい量を構成し、この結合剤は、抽出RAP結合剤および抽出RAS結合剤の両方を含む。
【0060】
結合剤試料B−1からB−8のそれぞれの粘度試験を、ブルックフィールドDVIII+卓上型粘度計およびSC4−21スピンドルを備えたサーモセルを使用して、AASHTO T316「Standard Method of Test for Viscosity Determination of Asphalt Binder Using Rotational Viscometer(回転式粘度計を使用するアスファルト結合剤の粘度決定に関する試験の標準方法)」(AASHTO規格)に準拠して行った。バージン結合剤PG64−28およびPG58−28、ならびにブレンドした混合物結合剤の粘度測定を、135℃(275°F)および165℃(329°F)で行い、結果は表1に示されている。
【表1】
【0061】
表1中に示されているデータは、組成物Aを添加することにより、バージン結合剤またはブレンドした結合剤の粘度が低下したことを示している。
【0062】
バージン結合剤(PG64−28、PG64−22およびPG58−28)、抽出RAP結合剤およびブレンドした混合物結合剤の性能等級を、AASHTO R29「Grading or Verifying the Performance Grade of an Asphalt Binder(アスファルト結合剤の性能等級の等級付けまたは確認)」およびAASHTO M320「Standard Specification for Performance−Graded Asphalt Binder(性能等級付けしたアスファルト結合剤の標準規格)」(AASHTO規格)に準拠して決定し、それらの結果が表2に示されている(抽出したPCAS結合剤は、その高い剛性のため、等級付けすることができなかった)。
【表2】
【0063】
表2中のデータにより、バージン結合剤が、明記されているPG等級にあることが確認される。組成物AまたはBを増量して、バージン結合剤に、またはバージン/再生結合剤ブレンドに添加すると、連続等級が低下した。組成物AまたはBを添加すると、連続等級が十分に低下し、性能等級が低下し得る。例えば、試料B−4およびB−10は、9%(w/老化結合剤のw)の組成物Aを50%PG58−28/50%抽出RAP結合剤に添加すると、その性能等級がPG70−22からPG64−28に低下する。
【0064】
(実施例3)
結合剤の性能等級の低下に伴う、バージン結合剤の軟質化
組成物A、BおよびCを、実施例1と同様に作製した。各試料について、約50gのアリコートのバージンPG58−28結合剤を、重さを秤量した耐熱容器に秤量した。結合剤が十分に液化して、撹拌および注ぎが十分、容易になるほど軟化するまで、この容器を120°のオーブンに入れた。結合剤を撹拌し、秤量した組成物A、BまたはCをこの容器に加え、次に、完全に混合するまで撹拌して、この容器を120°のオーブンに戻した。次に、この試料をオーブンから取り出して、再度、撹拌し、次に、動的せん断レオメーター(Dynamic Shear Rheometer:DSR)試料用の金型に注ぎ入れた。DSR機器プレート上に試料に置く直前に、冷えた試料を、通常、約1分間、冷凍庫に入れて離型の助けにした。DSRを、TA Instruments AR2000exで標準方法を使用して操作し、G/sinδを使用して理論破壊温度を決定した。ある時点の試料の1つをDSR試験用の金型に注ぎ入れ、前の試料についてDSRを操作している時間の間に、次の試料を注ぎ入れてDSRの金型中で冷却した。
【0065】
図1中の組成物A、BまたはCの添加剤の百分率は、混合物含有量全体の重量百分率として示されている。例えば、4%の組成物Cからなる試料は、51.03gのPG58−28を用いて配合されており、ここに、組成物Cを2.126g加え、総重量53.156g、または総結合剤ブレンド中の4% 組成物Cになった。
【0066】
組成物A、BまたはCを含む、バージンPG58−28のブレンドは、PG58−28単独と比べて、結合剤を軟質化している。組成物A、BまたはCを添加すると、破壊温度が低下する(連続等級の決定の高温に相当する)。性能の等級付けは6℃の間隔で規定し、その結果、58℃未満への連続等級の低下は、PG52の高温性能等級に相当する。補間により、図1は、約1.3〜1.5%(w/総w)の組成物A、BまたはCを含む結合剤ブレンドが、58℃未満の連続性能等級、したがって、高温性能等級がPG52になることを示す。約2.8〜3.3%(w/総w)の組成物A、BまたはCを含む結合剤ブレンドは、連続性能等級が6℃低下する。この特定のPG58−28の場合、6℃の低下は、PG52の性能等級の上限範囲より3℃低い、安全性の差となる。一般に、6℃の連続等級の低下は、最も低いレベルに次ぐ性能等級の低下になる。
【0067】
(実施例4)
アスファルト混合物中の、再生アスファルト舗装材(RAP)またはリサイクルアスファルト屋根材(RAS)の再生
Wrentham、MAの砕石供給源からバージン石骨材を得た。2種の骨材のストックパイルを得た:9.5mmの砕石および石粉。ふるい分析を、米国全州道路交通運輸行政官協会(AASHTO)の試験方法T11「Standard Method of Test for Materials Finer Than 75−μm (No. 200) Sieve in Mineral Aggregates by Washing(洗浄による無機骨材中の75μm(No.200)より微細な材料に関する試験の標準方法)」およびT27「Standard Method of Test for Sieve Analysis of Fine and Coarse Aggregates(微粒骨材および粗粒骨材のふるい分析に関する試験の標準方法)」(AASHTO規格)に準拠して行った。バージン骨材のストックパイルをそれぞれ試験し、その結果を表3に示している。
【0068】
実施例2に記載されているRAPストックパイルの結合剤の含有量を、AASHTO T308「Determining the Asphalt Binder Content of Hot Mix Asphalt (HMA) by the Ignition Method(燃焼方法によるホットミックスアスファルト(HMA)のアスファルト結合剤含有量の決定法)」(AASHTO規格)に準拠して、燃焼オーブンを使用して決定した。燃焼後のRAP中に残存している骨材をふるいにかけ、RAP5.6%の老化結合剤の含有量と一緒に、表3に示されている、骨材のサイズ分布を決定した。
【0069】
実施例2に記載されているPCASストックパイルの結合剤含有量および燃焼後に残存しているPCAS骨材のサイズ分布を、RAPと同じ方法で決定した。PCAS骨材のサイズ分布およびPCASストックパイルの老化結合剤の含有量26.9%は、表3に示されている。
【表3】
【0070】
表4は、アスファルト混合物に関する、骨材サイズの目標特級付けを示している。目標等級付けを、AASHTO M323「Superpave Volumetric Mix Design(スーパーペーブ体積ミックス設計)」およびAASHTO R35「Superpave Volumetric Design for Hot Mix Asphalt(ホットミックスアスファルトに関するスーパーペーブ体積設計)」(AASHTO規格)に準拠して、9.5mmスーパーペーブ混合物の場合の要求を満足するように開発した。等級付けを、スムースシールタイプBとしても公知の、Ohio DOT規格Item424「Fine Graded Polymer Modified Asphalt Concrete Type B(微細等級のポリマー改質アスファルトコンクリートタイプB)」(http://www.flexiblepavements.org/technical−resources/smoothseal/smoothseal、2013年7月1日にアクセスした)を同時に満足するようにも設計した。表4は、スーパーペーブ9.5mmおよびOhioスムースシールタイプBに関する等級付け規格を示している。
【表4】
【0071】
設計等価単軸荷重(design Equivalent Single Axle Load:ESAL)を0.3〜<3百万として選択し、これは、New Englandでは表層混合物に一致する。このESALレベルに関する設計スーパーペーブ旋回圧縮負荷は、Ndesign=75旋回であった。
【0072】
組成物AおよびBの再生物が、回収RAP老化結合剤または回収RAS老化結合剤を軟質化する能力に基づいて、50%RAP、50%RAP/5%PCAS、または5%PCAS(その残りは、バージン材料である)を含むアスファルト混合物組成物を、リサイクルアスファルト混合物組成物について選別した。次に、バージン成分(石骨材、石粉および結合剤)のそれぞれの量を、目標とする骨材サイズ分布および総結合剤の6.5wt%の設計規格を満足するように決定した。骨材サイズ分布を、すべての成分、すなわちRAS、PCAS、石骨材および石粉の合計から決定した。バージン材料中の石骨材と石粉の比は、目標とするサイズ分布を満足するよう様々である。例えば、バージン石骨材よりも小さいサイズの骨材がより多い割合を有するRASを含むアスファルト混合物では、アスファルト混合物に添加される石粉の量は、バージンアスファルト混合物すべてにおいて使用されるものから減量される。総結合剤には、老化結合剤とバージン結合剤の両方が含まれる。RASとPCASは、アスファルト混合物を形成する場合、結合剤成分および骨材成分に分離されず、したがって、各アスファルト混合物中の老化結合剤の量を、RASストックパイルまたはPCASストックパイルにおけるそのwt%および混合物中のRASおよびPCASのwt%から決定する。
【0073】
(a)RAPストックパイル材料およびPCASストックパイル材料中の水分を除去するため、および(b)アスファルト混合物中の老化結合剤とバージン結合剤との間のブレンドを最適化するため、アスファルト混合物を以下の通り調製した:RAPストックパイルおよびPCASストックパイルを、それぞれ、一定の質量に達するまで、空気乾燥した。次に、RAPを60℃(140°F)で2日間、さらに乾燥した。バージン骨材(石および/または砂)を混合温度まで加熱した。RAPをアスファルト混合物中で使用した場合、加熱した石骨材にRAPを加え、バージン結合剤の添加前に、RAPおよびバージン骨材を混合し、合計で2時間、加熱した。PCASをアスファルト混合物中で使用した場合、バージン結合剤の添加およびすべての成分の混合前の最後の5分間に、加熱したバージン骨材またはバージン骨材とRAP混合骨材の上にPCASを加えた。このバージン結合剤を、温骨材の中央部に形成される「ウェル」または凹部に加え、手短に温め、次にすべての成分を完全に混合した。組成物A、BまたはCを使用した場合、これらを、骨材で形成される「ウェル」のバージン結合剤に加え入れ、すべての成分を完全に混合する前に、バージン結合剤と混合した。
【0074】
対照混合物を、161〜165℃(322〜329°F)のアスファルト混合物の混合温度範囲で、バージン材料を使用して調製し、圧縮温度は153〜157℃(308〜315°F)であった。PG58−28結合剤(混合物を含有するRAPおよびPCASをすべて含む)を含有する混合物の場合のアスファルト混合物の混合温度は、150℃(300°F)であり、圧縮温度は138℃(280°F)であった。
【0075】
各アスファルト混合物の体積測定用供試体を回分製造し、混合して、AASHTO R30「Standard Practice for Mixture Conditioning of Hot Mix Asphalt (HMA)(ホットミックスアスファルト(HMA)の混合物コンディショニングに関する標準技法)」(AASHTO規格)に準拠して、2時間、適切な圧縮温度で短期間老化させた。短期間老化の後、スーパーペーブ旋回式圧縮器(SGC)で圧縮した。
【0076】
各アスファルト混合物に関する合わせた骨材のかさ比重を、各混合物の3つの複製供試体について、AASHTO T84「Standard Method of Test for Specific Gravity and Absorption of Fine Aggregate(微細骨材の比重および吸収に関する試験の標準方法)」およびT85「Standard Method of Test for Specific Gravity and Absorption of Coarse Aggregate(粗骨材の比重および吸収に関する試験の標準方法)」(AASHTO規格)に準拠して決定した。RAPおよびPCASを組み込んだ骨材混合物の場合、供試体を、適切な温度で混合し、圧縮前に、試料をAASHTO T308に準拠して、燃焼オーブン中で燃やした。次に、燃焼後に残存する骨材を利用して、骨材混合物の合わせたかさ比重を決定した。表5は、比重の結果を示している。
【表5】
【0077】
性能試験
アスファルト混合物の体積特性を、AASHTO T166「Bulk Specific Gravity of Compacted Asphalt Mixtures(圧縮アスファルト混合物のかさ比重)」を使用して決定し、表6に示している。
【表6】
【0078】
対照混合物(100%バージン材料およびPG64−28結合剤)は、すべての混合物の体積要求を満足した。50%RAP、5%PCASおよび50%RAP+5%PCASの混合物は、PG58−28単独の場合の目標とする体積を満足しなかった。しかし、組成物Aの再生物を添加すると、混合物の体積特性が改善する。50%RAPの混合物は、対照混合物に近いレベルにまで改善され、4.00%の空隙の0.50%の範囲内という規格を満足した。再生物を含む50%RAP混合物に関する無機骨材中の空隙(Voids in Mineral Aggregate:VMA)は、最小値15.0%よりもわずかに下回るが、許容される製品耐性の範囲内にある。
【0079】
5%PCASおよび50%RAP+5%PCASアスファルト混合物は多量の空隙を示し、ならびに、恐らくは、得られた結合剤が依然として剛性が高く、圧縮を阻害するので、規格の範囲外にあるか、またはRAP結合剤および/もしくはPCAS結合剤の一部がブラックロックとして働くので、有効な結合剤含有量は少ないVMAおよびVFAを示す。結合剤に組成物Aを添加すると、5%PCASと50%RAP+5%PCASアスファルト混合物の両方について、平均空隙、VMAおよびVFAが改善された。
【0080】
わだち掘れ/水分感受性試験
試験は、AASHTO T324「Hamburg Wheel−Track Testing of Compacted Hot−Mix Asphalt (HMA)(圧縮ホットミックスアスファルト(HMA)のハンブルクホイール−トラック試験)」(AASHTO規格)に準拠して実施した。この試験により、骨材構造の脆弱さ、不適切な結合剤の剛性、または湿害による、混合物の破壊感受性が決まる。混合物を熱水に浸漬し、705Nの鋼製ホイールからの繰り返し負荷にさらす。鋼製ホイールが供試体に負荷を与えるので、供試体の対応するわだち深さを記録する。わだち深さ対ホイールの通過数をプロットして、剥離変曲点(SIP)を決定する。SIPは、試験供試体が、剥離(湿害)を示し始める時の指標を与えるものである。
【0081】
この研究に関する旋回供試体を、SGCを使用して空隙レベルを(AASHTO T324により必要とされる)7.0±1.0%に作製した。ハンブルグホイールトラッキング試験機(HWTD)における試験を、試験温度50℃(122°F)で実施した。供試体を、試験温度で30分間の浸漬時間後、1分間あたり52回の通過速度で試験した。試験は、20,000回のホイール通過時に、または目視可能な剥離に気づくと終了した。
【0082】
表7は、短期間老化(short term aging:STOA)および長期間老化(long term aging:LTOA)後のアスファルト混合物に関するHWTD試験の結果を示している。初期性能の供試体を、圧縮温度で4時間、緩い混合物を短期間老化した後に作製し、その後、供試体を圧縮して、次に、3日内にHWTDで試験した(STOA結果)。長期間老化した供試体も同様に調製したが、次に、約25℃で約3ヶ月間、包装しないで保管し、次に、HWTDで試験した(LTOA結果)。
【表7】
【0083】
すべてがバージン材料である対照のPG64−28混合物(STOAまたはLTOAの後)は、10,000回および20,000回の通過時に、最小のわだち掘れを有し、変曲点は有していない。同じことが、結合剤PG58−28を含む50%RAP混合物についても該当する。組成物AまたはBを含有しているアスファルト混合物は、該組成物AまたはB(STOA後)を含まないアスファルト混合物に比べて、アスファルトのわだち掘れが増加し、通過回数の関数としてのわだち深さに変曲点がある。しかし、LTOA後の、組成物B、PG58−28および50%RAPを含有するアスファルト混合物のわだち深さは、STOA後の試料の場合に観察されるものからかなり低減した。
【0084】
疲労亀裂
AASHTO T321手順「Determining the Fatigue Life of Compacted Hot Mix Asphalt (HMA) Subjected to Repeated Flexural Bending(繰り返し屈曲に供した圧縮ホットミックスアスファルト(HMA)の疲労寿命の決定)」(AASHTO規格)に従い、4点の屈曲梁の疲労試験を混合物に実施した。
【0085】
寸法が150mm×180mm×450mmを有するスラブを、IPC Global Pressboxスラブ圧縮器を使用して、各混合物について作製した。それぞれのスラブについて、63mm×50mm×380mmという寸法を有する梁を、両側が滑らかな面を有するよう裁断した。最終的に裁断した供試体の空隙は、7±1%であった。梁の供試体を、15℃(59°F)の試験温度で試験前に少なくとも2時間、コンディショニングした。米国北東部の中間温度の代表として、15℃(59°F)の試験温度を選択した。
【0086】
各梁の疲労試験を、正弦波形を使用して付与した10Hzの周波数負荷のひずみ対照モデルで実施した。供試体を、250微小ひずみ(με)、500μεおよび750μεのひずみレベルで試験した。最初に、すべての混合物を250μεで試験した。このひずみレベルでは、組成物AまたはBを有する50%RAP混合物は6百万サイクル超に達し、50サイクル時点で測定した初期剛性の20%未満の損失を伴った。破壊時に10,000サイクル超を到達するよう、より高いひずみレベルを2つ選択した。混合物はすべて、少なくとも10,000サイクル後に、初期剛性の50パーセントを喪失するので、500μεおよび750μεを選択した。破壊までのサイクル数を、サイクル数に対する屈曲剛性の指数関数に当てはめることにより決定し、次に、初期剛性が50%低下するのにかかる、サイクル数を評価した。
【0087】
表8は、500μεおよび750μεのひずみレベルにおける試験結果を示している。より軟質な結合剤を含む50%RAP混合物は、バージン対照混合物に比べて、500μεのひずみレベルでは疲労性能が低下していること、および750μεではわずかに優れた性能であることを示した。組成物Bを添加することにより、対照混合物と比べて、50%RAP混合物の疲労性能が改善した。
【表8】
【0088】
低温亀裂
バージン対照混合物に比べて、50%RAP混合物の低温亀裂に及ぼす組成物AおよびBの効果を評価するため、各混合物をAASHTO TP10−93(7)に準拠して、熱応力拘束供試体試験(Thermal Stress Restrained Specimen Test:TSRST)装置で試験した。
【0089】
TSRST試験では、アスファルト供試体を、その元の長さをTSRST装置により一定に維持しながら、一定速度(−10℃/時)で冷却する。供試体は冷やされるにつれて、収縮しようとするが、そうすることができず、熱応力が蓄積する。最終的に、熱応力が供試体の引張強度の許容量を超え、供試体が破砕(亀裂)する。この破砕が起こる温度を記録し、混合物の低亀裂温度として書き留める。
【0090】
各混合物について、185mm(7.3インチ)高さで直径150mm(5.9インチ)のSGC供試体を製造した。次に、TSRST供試体の中心部を取り、最終の高さを160mm高(6.3インチ)、直径を54mm(2.1インチ)に裁断した。最終裁断した供試体の空隙は、7±1%であった。
【0091】
表9は、TSRST試験からの結果を示している。50%RAPアスファルト混合物に組成物Aを添加すると、PG64−28結合剤を含む対照(100%VM)のアスファルト混合物、またはPG58−28結合剤を含む100%VMアスファルト混合物に比べて、アスファルト混合物の亀裂温度が改善される。PG64−28結合剤を含むアスファルト混合物に比べて、最小改善は、−2.9℃であり、最大は−6.6℃である。PG58−28結合剤を含むアスファルト混合物に対する最小改善は−4.2℃であり、最大は−8.1℃である。これらの結果は、9.0%(w/w老化結合剤)の組成物Aにより、最大50%のRAPを含む類似混合物の低温亀裂特性が改善されることを示している。
【表9】
【0092】
反射亀裂試験
テキサスオーバーレイ試験機(Texas Overlay tester:OT)(国立アスファルト技術センター(NCAT)「Effect of Changing Virgin Binder Grade and Content on RAP Mixture Properties − Research Synopsis 12−03(RAP混合物特性に及ぼす、バージン結合剤の等級および含有量の変更の効果−Research Synopsis 12−03)」、http://www.ncat.us/files/research−synopses/rap−durability.pdf、2013年7月15日にアクセス)によるビチューメン状混合物を試験するための、テキサス州交通局の規格(Tex−248−F)を使用して、反射亀裂(reflective cracking)に対する混合物の耐性を評価した。供試体をSGCで製造し、次に、トリミングした。トリミングした供試体の空隙レベルは、7.0±1.0%であった。
【0093】
この研究に関する混合物はすべて、0.06cm(0.025インチ)の継ぎ手開口部(変位)、試験温度15℃(59°F)、および最初のサイクルまたは1,200サイクル(どちらか最初に起こる方)の間に測定される負荷の93%が低下する破壊基準で試験した。表10は、試験の平均結果を示す:アスファルト混合物あたり4つの試料を試験した。
【表10】
【0094】
このデータは、アスファルト複合物に組成物AまたはBを添加すると、亀裂耐性が劇的に改善され、破壊までの平均サイクルが、バージン材料を含むかまたは50%RAPを含むアスファルト複合物のいずれかから1桁、向上することを示している。
【0095】
(実施例5)
アスファルト混合物の作業温度の低下
組成物Bを、実施例1に記載されている通りに調製した。アスファルト混合物を、実施例4に記載されている通り調製した。対照混合物は、50%RAP、50%バージン材料およびバージンPG64−22結合剤からなる。
【0096】
作業性の評価を、マサチューセッツダートマス大学道路永続性研究センター(University of Massachusetts Dartmouth Highway Sustainability Research Center:HSRC)により設計されて確立された、アスファルト作業性装置(AWD)を使用して実施した。アスファルト混合物を周囲温度下で冷却しながら、各アスファルト混合物の温度、および混合パドルにかかるトルク力を記録した。混合物間の作業性の差異の尺度として、2つまたはそれ超の混合物のトルク力の差異を使用した。
【0097】
50%RAPアスファルト混合物および50%RAP/1.0%組成物Bのアスファルト混合物の作業性を、AWDを使用して評価し、結果を図2に示している。1%組成物B(w/w総結合剤)を50%RAP/50%バージン材料のアスファルト混合物に添加すると、作業温度が25°Fから46°Fの範囲まで低下した(添加剤を含まない混合物について記録されているトルク力と同じトルク力に達成するため)。
【0098】
(実施例6)
組成物Aの添加により調製した、リサイクル含有物が異例な程に多いウォームミックスアスファルト
Brox Industries(Dracut、MA)を、組成物Aが加えられた、ホットミックスアスファルト(HMA)混合物を、Wilmington、MAの住宅街の私道に敷き詰めた。
【0099】
HMAを、合計10の回分で製造し、各回分量は総重量3トンを有した。回分量はプラント体積の許容量未満で意図的に維持し、成分の完全な混合を確実にし、かつプラントの混合力の能力が、多いリサイクル含有物を考慮すると超えないことを確実とした。
【0100】
ベースとなるアスファルト混合物は、55%バージン材料および45%のリサイクル含有物を含んだ。リサイクル含有物は、10wt%RASを含む、90wt%RAPを含み、RAPとRASのどちらもBrox Industriesにより供給された。90/10のRAP/RASブレンドの老化結合剤の含有量は、約6.5%であり、そのうちの4.7%がRAPに由来し、1.8%がRASに由来した。
【0101】
ブレンドしたRAP/RAS含有物は、アスファルト混合物の3トンの回分のそれぞれ中に、約174lbの老化結合剤をもたらした。3トンの回分あたり174lbのバージンアスファルト結合剤を加え、アスファルト混合物中の総結合剤含有量を約5.8%にした。老化結合剤8重量%に等しい量、または3トンの回分あたり約14lbの量で、アスファルト混合物に、バージン結合剤と同時に組成物Aを加えた。
【0102】
舗装材回分は、製造設備から舗装場所まで、約16マイルの距離を、2台のトラックで輸送した。空気温度は、アスファルト混合物がかなり迅速に冷却され、作業不能になるため、舗装材を敷き詰めた場合に冷え過ぎたと都合よく見なされる温度、すなわち氷点下未満とした。道路の舗装材は、道路の長さに沿ってしわのできている2つの区分で、調製済み土壌の上に敷き詰め、標準的手順を使用して、2インチの圧縮舗装材深さにした。アスファルト混合物30トンを、氷点下未満の温度に由来する損害または複雑な問題を伴うことなく、敷き詰めて圧縮した。
【0103】
この道路を、2013年から14年の冬を含め、敷き詰めた後、10ヶ月間、使用し、観察可能なわだち掘れ、くぼみ、亀裂、裂け目、成分分離または他の水による損害はなかった。
【0104】
(実施例7)
A. 改変トップにおけるウォームミックス添加剤としての組成物A
「0.5Massachusetts改変トップ」を、Ted Ondrick Companyにより、Springfield、MAのPine Streetの表面をはぎ取った部分に敷き詰めた。アスファルト混合物は、10%RAPおよび90%バージン材料からなった。アスファルト混合物は、PG64−22バージン結合剤および0.5%(w/w総結合剤)の組成物Aを用いて調製した。アスファルト混合物を合計で21トン、敷き詰めた。
【0105】
B. 改質トップにおけるウォームミックス添加剤としての組成物A
169 Great Plain Avenue、Wellesley、MAにある、Recycling Center drivewayのはぎ取った部分の上部に、米国舗装サービス(U.S.Pavement Services)により「スーパーペーブ9.5mmミックス」が敷き詰められた。トンあたりを基準にすると、アスファルト混合物は、660lb 3/8インチの石、659lbの砂岩、500lbのRAP、100lbのRASおよび81lbのバージンアスファルト結合剤からなった。RAPは、5〜6%の老化結合剤で見積もった。RASは、24.3%の老化結合剤の含有量で見積もった。RAP/RASに由来する老化アスファルト結合剤の回収は70%と見積もられ、アスファルト結合剤は合計で120lb、または総重量の6%と見積もられた。組成物Aは、アスファルト混合物の調製の2日前に、組成物AをRASと合わせることにより、1トンあたり3.3lbの量でミックスに加えた。アスファルト混合物は、PG64−28バージン結合剤を用いて調製した。トラック4台分のこの混合物をBenevento Companies(Wilmington、MA)から約28マイルの距離の舗装場所まで輸送した。混合プラントにおける負荷温度は、4台のトラックについて、250、260、275および275°Fであった。最初の1台分のアスファルトは、舗装場所に到着した時点では、210〜220°Fの間の温度を有した。アスファルト混合物のすべてを敷き詰め、ミックスの低温に起因する損害または複雑な問題なしに圧縮した。
【0106】
(実施例8)
代替硬化剤
1%硬化剤および99%アマニ油、または5%硬化剤および95%アマニ油からなる添加剤組成物を、硬化剤として安息香酸、フタル酸、ケイ皮酸およびクエン酸を使用して、実施例1における組成物Aの調製方法と同様に調製した。
【0107】
各添加剤組成物を、組成物1%およびPG64−22 99%のレベルで、PG64−22アスファルト結合剤と合わせた。PG64−22を、4オンスのDeep Metal Tin中で流体になるまで、120℃のオーブン中でまず加熱した。流体状結合剤に測定量の添加剤を加え、この試料を均一になるまで、手作業で混合した。試料を、各混合の間に、再度、温めながら、最低3回、混合した。
【0108】
針入度の決定に使用するための試料を、4オンスのスズに放置し、結合剤ブレンドが流体になるまで、120℃のオーブンに60分間置き、次に、この試料を150分間、冷却させた。針入度を50gの重量物およびNeedle H−1280(標準硬化ステンレス鋼、40〜45mmの長さ、2.5g)を装備したHumboldt Manufacturing Company、Universal Penetrometer、モデルH−1200を使用して決定した。次に、25℃で標準手順を使用して試料を試験した。
【0109】
針入度を測定した後、アスファルト結合剤ブレンドを加熱し、試料をシリコーン型に注ぎ入れ、この試料をこの型中で120℃で30〜40分間、加熱し、次に、周囲温度で30〜40分間、冷却することにより、動的せん断レオメーター(DSR)用の温めた流体試料を調製した。次に、TA Instruments AR2000exで標準方法を使用してDSRを行い、温度の関数としての得られたG/sinδを使用して、理論破壊温度を決定した。
【0110】
表11はアスファルト結合剤ブレンドに関する、破壊温度および針入度に関する結果を示している。
【表11】
【0111】
表11の添加剤組成物は、破壊温度の低下、およびより大きな針入度により決定される通り、PG64−22結合剤を軟質化した。
【0112】
(実施例9)
代替的なマスクされている硬化剤
2%のサリチル酸、0.5%のマスクされている硬化剤および97.5%のアマニ油からなる添加剤組成物を、マスクされている硬化剤としてサリチル酸エチルまたはサリチル酸n−ヘキシルを使用して、実施例1における組成物Bの調製方法と同様に調製した。組成物をそれぞれ、該組成物1%およびPG64−22 99%のレベルでPG64−22アスファルト結合剤と合わせ、実施例8に記載されている通りに試料を形成した。DSRおよび針入度からの理論破壊温度を、実施例8に記載されている通り決定し、結果は表12に示されている。
【表12】
【0113】
表12の添加剤組成物は、破壊温度の低下、およびより大きな針入度により決定される通り、結合剤を軟質化した。組成物中のマスクされている剤としてのサリチル酸メチル、サリチル酸エチルまたはサリチル酸n−ヘキシルの間の有意な差異は、ブレンドしたアスファルト結合剤中の1%添加剤組成物の試験レベルでは観察されない。
【0114】
(実施例10)
代替担体
1%サリチル酸および99%担体からなる添加剤組成物を、担体として、クルミ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ヒマシ油およびココナッツ油を使用して、実施例1における組成物Aの調製方法と同様に調製した。各添加剤組成物を、添加剤1%およびPG64−22 99%、または該添加剤5%およびPG64−22 95%のどちらかのレベルで、PG64−22アスファルト結合剤と合わせ、実施例8に記載した通りに試料を形成した。DSRおよび針入度からの理論破壊温度を、実施例8に記載されている通り決定し、結果は表13に示されている。
【表13】
【0115】
表13の添加剤(アスファルト結合剤ブレンドの1%成分として)は、破壊温度の低下およびより大きな針入度により決定される通り、結合剤を軟質化した。
【0116】
(実施例11)
代替担体および担体ブレンド
添加剤組成物を、担体としてキリ油(またはキリ油/アマニ油のブレンド)、硬化剤としてサリチル酸、およびマスクした硬化剤としてサリチル酸メチルを使用する、実施例1における組成物と同様に調製した。各添加剤組成物を、添加剤1%およびPG58−28 99%、または添加剤5%およびPG58−28 95%のどちらかのレベルで、PG58−28アスファルト結合剤と合わせ、実施例8に記載されている通りに試料を形成した。DSRおよび針入度からの理論破壊温度を、実施例8に記載されている通り決定し、結果は表14に示されている。
【表14】
表14の添加剤(アスファルト結合剤ブレンドの1%または5%成分として)により、結合剤が軟質化した。
図1
図2