【実施例】
【0054】
(実施例1)
組成物A、BおよびCの調製
組成物Aは、サリチル酸1wt%およびアマニ油99wt%からなる。組成物Aの典型的な調製では、粗製アマニ油(6.5ポンド、密度7.78lb/gal、0.932g/mL)をガロン缶に秤量した。この混合物をRoss HSM−Cを用いて撹拌しながら、サリチル酸(32g)を加えた。
【0055】
サリチル酸2%、サリチル酸メチル0.5%およびアマニ油97.5%からなる組成物Bを上記の通り調製する。すべてのサリチル酸が溶解した後、サリチル酸とアマニ油とのミックスにサリチル酸メチルを加えた。
【0056】
サリチル酸2%、サリチル酸メチル0.1%およびアマニ油97.9%からなる、組成物Cを上記の通り調製する。すべてのサリチル酸が溶解した後、サリチル酸とアマニ油とのミックスにサリチル酸メチルを加えた。
【0057】
(実施例2)
バージンアスファルト結合剤および再生アスファルト結合剤ならびに結合剤ブレンドの軟質化
組成物AおよびBを、実施例1と同様に作製した。バージンアスファルト結合剤PG64−28、PG64−22およびPG58−28を得た。PG64−22およびPG58−28は、PG64−28よりも軟質な等級の結合剤である。再生アスファルト舗装材(RAP)を、Wrentham、MAの砕石供給源から得た。RASを、Fitchburg、MAにある、アスファルト屋根材リサイクル設備から、消費後アスファルト屋根材(PCAS)として得た。
【0058】
RAPおよびPCASのストックパイル結合剤を、AASHTO T164「Standard Method of Test for Quantitative Extraction of Asphalt Binder from Hot Mix Asphalt (HMA)(ホットミックスアスファルト(HMA)由来のアスファルト結合剤の定量的抽出に関する試験の標準方法)」およびAASHTO T170「Standard Method of Test for Recovery of Asphalt Binder from Solution by Abson Method(Abson方法により溶液由来のアスファルト結合剤の回収に関する試験の標準方法)」に準拠して、それぞれ、抽出および回収した(どちらも、「Standard Specifications for Transportation Materials and Methods of Sampling and Testing(輸送材料ならびにサンプリングおよび試験方法のための標準規格)」、米国全州道路交通運輸行政官協会、Washington, D.C.、第30版、2010年、以後、「AASHTO規格」より)。
【0059】
これらの抽出した結合剤は、PG58−28バージン結合剤と所与の混合比で、および各アスファルト再生物と所定の投入量で合わされて、粘度および結合剤の等級試験用試料をそれぞれ配合した。結合剤組成物が、表1に示されている。表1の命名では、ベースとなる結合剤組成物は、バージン結合剤、抽出RAP結合剤、および抽出RAS結合剤(合計100%)について示されている。組成物Aの量は、老化結合剤のwt%として決定される。すなわち、例えば、結合剤組成物B−6は、PG58−28を45g、抽出RAP結合剤を50g、抽出RAS結合剤を5g、および組成物Aを4.95g混合することにより配合される。4.95gの組成物Aは、全老化結合剤55gの9%に等しい量を構成し、この結合剤は、抽出RAP結合剤および抽出RAS結合剤の両方を含む。
【0060】
結合剤試料B−1からB−8のそれぞれの粘度試験を、ブルックフィールドDVIII+卓上型粘度計およびSC4−21スピンドルを備えたサーモセルを使用して、AASHTO T316「Standard Method of Test for Viscosity Determination of Asphalt Binder Using Rotational Viscometer(回転式粘度計を使用するアスファルト結合剤の粘度決定に関する試験の標準方法)」(AASHTO規格)に準拠して行った。バージン結合剤PG64−28およびPG58−28、ならびにブレンドした混合物結合剤の粘度測定を、135℃(275°F)および165℃(329°F)で行い、結果は表1に示されている。
【表1】
【0061】
表1中に示されているデータは、組成物Aを添加することにより、バージン結合剤またはブレンドした結合剤の粘度が低下したことを示している。
【0062】
バージン結合剤(PG64−28、PG64−22およびPG58−28)、抽出RAP結合剤およびブレンドした混合物結合剤の性能等級を、AASHTO R29「Grading or Verifying the Performance Grade of an Asphalt Binder(アスファルト結合剤の性能等級の等級付けまたは確認)」およびAASHTO M320「Standard Specification for Performance−Graded Asphalt Binder(性能等級付けしたアスファルト結合剤の標準規格)」(AASHTO規格)に準拠して決定し、それらの結果が表2に示されている(抽出したPCAS結合剤は、その高い剛性のため、等級付けすることができなかった)。
【表2】
【0063】
表2中のデータにより、バージン結合剤が、明記されているPG等級にあることが確認される。組成物AまたはBを増量して、バージン結合剤に、またはバージン/再生結合剤ブレンドに添加すると、連続等級が低下した。組成物AまたはBを添加すると、連続等級が十分に低下し、性能等級が低下し得る。例えば、試料B−4およびB−10は、9%(w/老化結合剤のw)の組成物Aを50%PG58−28/50%抽出RAP結合剤に添加すると、その性能等級がPG70−22からPG64−28に低下する。
【0064】
(実施例3)
結合剤の性能等級の低下に伴う、バージン結合剤の軟質化
組成物A、BおよびCを、実施例1と同様に作製した。各試料について、約50gのアリコートのバージンPG58−28結合剤を、重さを秤量した耐熱容器に秤量した。結合剤が十分に液化して、撹拌および注ぎが十分、容易になるほど軟化するまで、この容器を120°のオーブンに入れた。結合剤を撹拌し、秤量した組成物A、BまたはCをこの容器に加え、次に、完全に混合するまで撹拌して、この容器を120°のオーブンに戻した。次に、この試料をオーブンから取り出して、再度、撹拌し、次に、動的せん断レオメーター(Dynamic Shear Rheometer:DSR)試料用の金型に注ぎ入れた。DSR機器プレート上に試料に置く直前に、冷えた試料を、通常、約1分間、冷凍庫に入れて離型の助けにした。DSRを、TA Instruments AR2000exで標準方法を使用して操作し、G
*/sinδを使用して理論破壊温度を決定した。ある時点の試料の1つをDSR試験用の金型に注ぎ入れ、前の試料についてDSRを操作している時間の間に、次の試料を注ぎ入れてDSRの金型中で冷却した。
【0065】
図1中の組成物A、BまたはCの添加剤の百分率は、混合物含有量全体の重量百分率として示されている。例えば、4%の組成物Cからなる試料は、51.03gのPG58−28を用いて配合されており、ここに、組成物Cを2.126g加え、総重量53.156g、または総結合剤ブレンド中の4% 組成物Cになった。
【0066】
組成物A、BまたはCを含む、バージンPG58−28のブレンドは、PG58−28単独と比べて、結合剤を軟質化している。組成物A、BまたはCを添加すると、破壊温度が低下する(連続等級の決定の高温に相当する)。性能の等級付けは6℃の間隔で規定し、その結果、58℃未満への連続等級の低下は、PG52の高温性能等級に相当する。補間により、
図1は、約1.3〜1.5%(w/総w)の組成物A、BまたはCを含む結合剤ブレンドが、58℃未満の連続性能等級、したがって、高温性能等級がPG52になることを示す。約2.8〜3.3%(w/総w)の組成物A、BまたはCを含む結合剤ブレンドは、連続性能等級が6℃低下する。この特定のPG58−28の場合、6℃の低下は、PG52の性能等級の上限範囲より3℃低い、安全性の差となる。一般に、6℃の連続等級の低下は、最も低いレベルに次ぐ性能等級の低下になる。
【0067】
(実施例4)
アスファルト混合物中の、再生アスファルト舗装材(RAP)またはリサイクルアスファルト屋根材(RAS)の再生
Wrentham、MAの砕石供給源からバージン石骨材を得た。2種の骨材のストックパイルを得た:9.5mmの砕石および石粉。ふるい分析を、米国全州道路交通運輸行政官協会(AASHTO)の試験方法T11「Standard Method of Test for Materials Finer Than 75−μm (No. 200) Sieve in Mineral Aggregates by Washing(洗浄による無機骨材中の75μm(No.200)より微細な材料に関する試験の標準方法)」およびT27「Standard Method of Test for Sieve Analysis of Fine and Coarse Aggregates(微粒骨材および粗粒骨材のふるい分析に関する試験の標準方法)」(AASHTO規格)に準拠して行った。バージン骨材のストックパイルをそれぞれ試験し、その結果を表3に示している。
【0068】
実施例2に記載されているRAPストックパイルの結合剤の含有量を、AASHTO T308「Determining the Asphalt Binder Content of Hot Mix Asphalt (HMA) by the Ignition Method(燃焼方法によるホットミックスアスファルト(HMA)のアスファルト結合剤含有量の決定法)」(AASHTO規格)に準拠して、燃焼オーブンを使用して決定した。燃焼後のRAP中に残存している骨材をふるいにかけ、RAP5.6%の老化結合剤の含有量と一緒に、表3に示されている、骨材のサイズ分布を決定した。
【0069】
実施例2に記載されているPCASストックパイルの結合剤含有量および燃焼後に残存しているPCAS骨材のサイズ分布を、RAPと同じ方法で決定した。PCAS骨材のサイズ分布およびPCASストックパイルの老化結合剤の含有量26.9%は、表3に示されている。
【表3】
【0070】
表4は、アスファルト混合物に関する、骨材サイズの目標特級付けを示している。目標等級付けを、AASHTO M323「Superpave Volumetric Mix Design(スーパーペーブ体積ミックス設計)」およびAASHTO R35「Superpave Volumetric Design for Hot Mix Asphalt(ホットミックスアスファルトに関するスーパーペーブ体積設計)」(AASHTO規格)に準拠して、9.5mmスーパーペーブ混合物の場合の要求を満足するように開発した。等級付けを、スムースシールタイプBとしても公知の、Ohio DOT規格Item424「Fine Graded Polymer Modified Asphalt Concrete Type B(微細等級のポリマー改質アスファルトコンクリートタイプB)」(http://www.flexiblepavements.org/technical−resources/smoothseal/smoothseal、2013年7月1日にアクセスした)を同時に満足するようにも設計した。表4は、スーパーペーブ9.5mmおよびOhioスムースシールタイプBに関する等級付け規格を示している。
【表4】
【0071】
設計等価単軸荷重(design Equivalent Single Axle Load:ESAL)を0.3〜<3百万として選択し、これは、New Englandでは表層混合物に一致する。このESALレベルに関する設計スーパーペーブ旋回圧縮負荷は、Ndesign=75旋回であった。
【0072】
組成物AおよびBの再生物が、回収RAP老化結合剤または回収RAS老化結合剤を軟質化する能力に基づいて、50%RAP、50%RAP/5%PCAS、または5%PCAS(その残りは、バージン材料である)を含むアスファルト混合物組成物を、リサイクルアスファルト混合物組成物について選別した。次に、バージン成分(石骨材、石粉および結合剤)のそれぞれの量を、目標とする骨材サイズ分布および総結合剤の6.5wt%の設計規格を満足するように決定した。骨材サイズ分布を、すべての成分、すなわちRAS、PCAS、石骨材および石粉の合計から決定した。バージン材料中の石骨材と石粉の比は、目標とするサイズ分布を満足するよう様々である。例えば、バージン石骨材よりも小さいサイズの骨材がより多い割合を有するRASを含むアスファルト混合物では、アスファルト混合物に添加される石粉の量は、バージンアスファルト混合物すべてにおいて使用されるものから減量される。総結合剤には、老化結合剤とバージン結合剤の両方が含まれる。RASとPCASは、アスファルト混合物を形成する場合、結合剤成分および骨材成分に分離されず、したがって、各アスファルト混合物中の老化結合剤の量を、RASストックパイルまたはPCASストックパイルにおけるそのwt%および混合物中のRASおよびPCASのwt%から決定する。
【0073】
(a)RAPストックパイル材料およびPCASストックパイル材料中の水分を除去するため、および(b)アスファルト混合物中の老化結合剤とバージン結合剤との間のブレンドを最適化するため、アスファルト混合物を以下の通り調製した:RAPストックパイルおよびPCASストックパイルを、それぞれ、一定の質量に達するまで、空気乾燥した。次に、RAPを60℃(140°F)で2日間、さらに乾燥した。バージン骨材(石および/または砂)を混合温度まで加熱した。RAPをアスファルト混合物中で使用した場合、加熱した石骨材にRAPを加え、バージン結合剤の添加前に、RAPおよびバージン骨材を混合し、合計で2時間、加熱した。PCASをアスファルト混合物中で使用した場合、バージン結合剤の添加およびすべての成分の混合前の最後の5分間に、加熱したバージン骨材またはバージン骨材とRAP混合骨材の上にPCASを加えた。このバージン結合剤を、温骨材の中央部に形成される「ウェル」または凹部に加え、手短に温め、次にすべての成分を完全に混合した。組成物A、BまたはCを使用した場合、これらを、骨材で形成される「ウェル」のバージン結合剤に加え入れ、すべての成分を完全に混合する前に、バージン結合剤と混合した。
【0074】
対照混合物を、161〜165℃(322〜329°F)のアスファルト混合物の混合温度範囲で、バージン材料を使用して調製し、圧縮温度は153〜157℃(308〜315°F)であった。PG58−28結合剤(混合物を含有するRAPおよびPCASをすべて含む)を含有する混合物の場合のアスファルト混合物の混合温度は、150℃(300°F)であり、圧縮温度は138℃(280°F)であった。
【0075】
各アスファルト混合物の体積測定用供試体を回分製造し、混合して、AASHTO R30「Standard Practice for Mixture Conditioning of Hot Mix Asphalt (HMA)(ホットミックスアスファルト(HMA)の混合物コンディショニングに関する標準技法)」(AASHTO規格)に準拠して、2時間、適切な圧縮温度で短期間老化させた。短期間老化の後、スーパーペーブ旋回式圧縮器(SGC)で圧縮した。
【0076】
各アスファルト混合物に関する合わせた骨材のかさ比重を、各混合物の3つの複製供試体について、AASHTO T84「Standard Method of Test for Specific Gravity and Absorption of Fine Aggregate(微細骨材の比重および吸収に関する試験の標準方法)」およびT85「Standard Method of Test for Specific Gravity and Absorption of Coarse Aggregate(粗骨材の比重および吸収に関する試験の標準方法)」(AASHTO規格)に準拠して決定した。RAPおよびPCASを組み込んだ骨材混合物の場合、供試体を、適切な温度で混合し、圧縮前に、試料をAASHTO T308に準拠して、燃焼オーブン中で燃やした。次に、燃焼後に残存する骨材を利用して、骨材混合物の合わせたかさ比重を決定した。表5は、比重の結果を示している。
【表5】
【0077】
性能試験
アスファルト混合物の体積特性を、AASHTO T166「Bulk Specific Gravity of Compacted Asphalt Mixtures(圧縮アスファルト混合物のかさ比重)」を使用して決定し、表6に示している。
【表6】
【0078】
対照混合物(100%バージン材料およびPG64−28結合剤)は、すべての混合物の体積要求を満足した。50%RAP、5%PCASおよび50%RAP+5%PCASの混合物は、PG58−28単独の場合の目標とする体積を満足しなかった。しかし、組成物Aの再生物を添加すると、混合物の体積特性が改善する。50%RAPの混合物は、対照混合物に近いレベルにまで改善され、4.00%の空隙の0.50%の範囲内という規格を満足した。再生物を含む50%RAP混合物に関する無機骨材中の空隙(Voids in Mineral Aggregate:VMA)は、最小値15.0%よりもわずかに下回るが、許容される製品耐性の範囲内にある。
【0079】
5%PCASおよび50%RAP+5%PCASアスファルト混合物は多量の空隙を示し、ならびに、恐らくは、得られた結合剤が依然として剛性が高く、圧縮を阻害するので、規格の範囲外にあるか、またはRAP結合剤および/もしくはPCAS結合剤の一部がブラックロックとして働くので、有効な結合剤含有量は少ないVMAおよびVFAを示す。結合剤に組成物Aを添加すると、5%PCASと50%RAP+5%PCASアスファルト混合物の両方について、平均空隙、VMAおよびVFAが改善された。
【0080】
わだち掘れ/水分感受性試験
試験は、AASHTO T324「Hamburg Wheel−Track Testing of Compacted Hot−Mix Asphalt (HMA)(圧縮ホットミックスアスファルト(HMA)のハンブルクホイール−トラック試験)」(AASHTO規格)に準拠して実施した。この試験により、骨材構造の脆弱さ、不適切な結合剤の剛性、または湿害による、混合物の破壊感受性が決まる。混合物を熱水に浸漬し、705Nの鋼製ホイールからの繰り返し負荷にさらす。鋼製ホイールが供試体に負荷を与えるので、供試体の対応するわだち深さを記録する。わだち深さ対ホイールの通過数をプロットして、剥離変曲点(SIP)を決定する。SIPは、試験供試体が、剥離(湿害)を示し始める時の指標を与えるものである。
【0081】
この研究に関する旋回供試体を、SGCを使用して空隙レベルを(AASHTO T324により必要とされる)7.0±1.0%に作製した。ハンブルグホイールトラッキング試験機(HWTD)における試験を、試験温度50℃(122°F)で実施した。供試体を、試験温度で30分間の浸漬時間後、1分間あたり52回の通過速度で試験した。試験は、20,000回のホイール通過時に、または目視可能な剥離に気づくと終了した。
【0082】
表7は、短期間老化(short term aging:STOA)および長期間老化(long term aging:LTOA)後のアスファルト混合物に関するHWTD試験の結果を示している。初期性能の供試体を、圧縮温度で4時間、緩い混合物を短期間老化した後に作製し、その後、供試体を圧縮して、次に、3日内にHWTDで試験した(STOA結果)。長期間老化した供試体も同様に調製したが、次に、約25℃で約3ヶ月間、包装しないで保管し、次に、HWTDで試験した(LTOA結果)。
【表7】
【0083】
すべてがバージン材料である対照のPG64−28混合物(STOAまたはLTOAの後)は、10,000回および20,000回の通過時に、最小のわだち掘れを有し、変曲点は有していない。同じことが、結合剤PG58−28を含む50%RAP混合物についても該当する。組成物AまたはBを含有しているアスファルト混合物は、該組成物AまたはB(STOA後)を含まないアスファルト混合物に比べて、アスファルトのわだち掘れが増加し、通過回数の関数としてのわだち深さに変曲点がある。しかし、LTOA後の、組成物B、PG58−28および50%RAPを含有するアスファルト混合物のわだち深さは、STOA後の試料の場合に観察されるものからかなり低減した。
【0084】
疲労亀裂
AASHTO T321手順「Determining the Fatigue Life of Compacted Hot Mix Asphalt (HMA) Subjected to Repeated Flexural Bending(繰り返し屈曲に供した圧縮ホットミックスアスファルト(HMA)の疲労寿命の決定)」(AASHTO規格)に従い、4点の屈曲梁の疲労試験を混合物に実施した。
【0085】
寸法が150mm×180mm×450mmを有するスラブを、IPC Global Pressboxスラブ圧縮器を使用して、各混合物について作製した。それぞれのスラブについて、63mm×50mm×380mmという寸法を有する梁を、両側が滑らかな面を有するよう裁断した。最終的に裁断した供試体の空隙は、7±1%であった。梁の供試体を、15℃(59°F)の試験温度で試験前に少なくとも2時間、コンディショニングした。米国北東部の中間温度の代表として、15℃(59°F)の試験温度を選択した。
【0086】
各梁の疲労試験を、正弦波形を使用して付与した10Hzの周波数負荷のひずみ対照モデルで実施した。供試体を、250微小ひずみ(με)、500μεおよび750μεのひずみレベルで試験した。最初に、すべての混合物を250μεで試験した。このひずみレベルでは、組成物AまたはBを有する50%RAP混合物は6百万サイクル超に達し、50サイクル時点で測定した初期剛性の20%未満の損失を伴った。破壊時に10,000サイクル超を到達するよう、より高いひずみレベルを2つ選択した。混合物はすべて、少なくとも10,000サイクル後に、初期剛性の50パーセントを喪失するので、500μεおよび750μεを選択した。破壊までのサイクル数を、サイクル数に対する屈曲剛性の指数関数に当てはめることにより決定し、次に、初期剛性が50%低下するのにかかる、サイクル数を評価した。
【0087】
表8は、500μεおよび750μεのひずみレベルにおける試験結果を示している。より軟質な結合剤を含む50%RAP混合物は、バージン対照混合物に比べて、500μεのひずみレベルでは疲労性能が低下していること、および750μεではわずかに優れた性能であることを示した。組成物Bを添加することにより、対照混合物と比べて、50%RAP混合物の疲労性能が改善した。
【表8】
【0088】
低温亀裂
バージン対照混合物に比べて、50%RAP混合物の低温亀裂に及ぼす組成物AおよびBの効果を評価するため、各混合物をAASHTO TP10−93(7)に準拠して、熱応力拘束供試体試験(Thermal Stress Restrained Specimen Test:TSRST)装置で試験した。
【0089】
TSRST試験では、アスファルト供試体を、その元の長さをTSRST装置により一定に維持しながら、一定速度(−10℃/時)で冷却する。供試体は冷やされるにつれて、収縮しようとするが、そうすることができず、熱応力が蓄積する。最終的に、熱応力が供試体の引張強度の許容量を超え、供試体が破砕(亀裂)する。この破砕が起こる温度を記録し、混合物の低亀裂温度として書き留める。
【0090】
各混合物について、185mm(7.3インチ)高さで直径150mm(5.9インチ)のSGC供試体を製造した。次に、TSRST供試体の中心部を取り、最終の高さを160mm高(6.3インチ)、直径を54mm(2.1インチ)に裁断した。最終裁断した供試体の空隙は、7±1%であった。
【0091】
表9は、TSRST試験からの結果を示している。50%RAPアスファルト混合物に組成物Aを添加すると、PG64−28結合剤を含む対照(100%VM)のアスファルト混合物、またはPG58−28結合剤を含む100%VMアスファルト混合物に比べて、アスファルト混合物の亀裂温度が改善される。PG64−28結合剤を含むアスファルト混合物に比べて、最小改善は、−2.9℃であり、最大は−6.6℃である。PG58−28結合剤を含むアスファルト混合物に対する最小改善は−4.2℃であり、最大は−8.1℃である。これらの結果は、9.0%(w/w老化結合剤)の組成物Aにより、最大50%のRAPを含む類似混合物の低温亀裂特性が改善されることを示している。
【表9】
【0092】
反射亀裂試験
テキサスオーバーレイ試験機(Texas Overlay tester:OT)(国立アスファルト技術センター(NCAT)「Effect of Changing Virgin Binder Grade and Content on RAP Mixture Properties − Research Synopsis 12−03(RAP混合物特性に及ぼす、バージン結合剤の等級および含有量の変更の効果−Research Synopsis 12−03)」、http://www.ncat.us/files/research−synopses/rap−durability.pdf、2013年7月15日にアクセス)によるビチューメン状混合物を試験するための、テキサス州交通局の規格(Tex−248−F)を使用して、反射亀裂(reflective cracking)に対する混合物の耐性を評価した。供試体をSGCで製造し、次に、トリミングした。トリミングした供試体の空隙レベルは、7.0±1.0%であった。
【0093】
この研究に関する混合物はすべて、0.06cm(0.025インチ)の継ぎ手開口部(変位)、試験温度15℃(59°F)、および最初のサイクルまたは1,200サイクル(どちらか最初に起こる方)の間に測定される負荷の93%が低下する破壊基準で試験した。表10は、試験の平均結果を示す:アスファルト混合物あたり4つの試料を試験した。
【表10】
【0094】
このデータは、アスファルト複合物に組成物AまたはBを添加すると、亀裂耐性が劇的に改善され、破壊までの平均サイクルが、バージン材料を含むかまたは50%RAPを含むアスファルト複合物のいずれかから1桁、向上することを示している。
【0095】
(実施例5)
アスファルト混合物の作業温度の低下
組成物Bを、実施例1に記載されている通りに調製した。アスファルト混合物を、実施例4に記載されている通り調製した。対照混合物は、50%RAP、50%バージン材料およびバージンPG64−22結合剤からなる。
【0096】
作業性の評価を、マサチューセッツダートマス大学道路永続性研究センター(University of Massachusetts Dartmouth Highway Sustainability Research Center:HSRC)により設計されて確立された、アスファルト作業性装置(AWD)を使用して実施した。アスファルト混合物を周囲温度下で冷却しながら、各アスファルト混合物の温度、および混合パドルにかかるトルク力を記録した。混合物間の作業性の差異の尺度として、2つまたはそれ超の混合物のトルク力の差異を使用した。
【0097】
50%RAPアスファルト混合物および50%RAP/1.0%組成物Bのアスファルト混合物の作業性を、AWDを使用して評価し、結果を
図2に示している。1%組成物B(w/w総結合剤)を50%RAP/50%バージン材料のアスファルト混合物に添加すると、作業温度が25°Fから46°Fの範囲まで低下した(添加剤を含まない混合物について記録されているトルク力と同じトルク力に達成するため)。
【0098】
(実施例6)
組成物Aの添加により調製した、リサイクル含有物が異例な程に多いウォームミックスアスファルト
Brox Industries(Dracut、MA)を、組成物Aが加えられた、ホットミックスアスファルト(HMA)混合物を、Wilmington、MAの住宅街の私道に敷き詰めた。
【0099】
HMAを、合計10の回分で製造し、各回分量は総重量3トンを有した。回分量はプラント体積の許容量未満で意図的に維持し、成分の完全な混合を確実にし、かつプラントの混合力の能力が、多いリサイクル含有物を考慮すると超えないことを確実とした。
【0100】
ベースとなるアスファルト混合物は、55%バージン材料および45%のリサイクル含有物を含んだ。リサイクル含有物は、10wt%RASを含む、90wt%RAPを含み、RAPとRASのどちらもBrox Industriesにより供給された。90/10のRAP/RASブレンドの老化結合剤の含有量は、約6.5%であり、そのうちの4.7%がRAPに由来し、1.8%がRASに由来した。
【0101】
ブレンドしたRAP/RAS含有物は、アスファルト混合物の3トンの回分のそれぞれ中に、約174lbの老化結合剤をもたらした。3トンの回分あたり174lbのバージンアスファルト結合剤を加え、アスファルト混合物中の総結合剤含有量を約5.8%にした。老化結合剤8重量%に等しい量、または3トンの回分あたり約14lbの量で、アスファルト混合物に、バージン結合剤と同時に組成物Aを加えた。
【0102】
舗装材回分は、製造設備から舗装場所まで、約16マイルの距離を、2台のトラックで輸送した。空気温度は、アスファルト混合物がかなり迅速に冷却され、作業不能になるため、舗装材を敷き詰めた場合に冷え過ぎたと都合よく見なされる温度、すなわち氷点下未満とした。道路の舗装材は、道路の長さに沿ってしわのできている2つの区分で、調製済み土壌の上に敷き詰め、標準的手順を使用して、2インチの圧縮舗装材深さにした。アスファルト混合物30トンを、氷点下未満の温度に由来する損害または複雑な問題を伴うことなく、敷き詰めて圧縮した。
【0103】
この道路を、2013年から14年の冬を含め、敷き詰めた後、10ヶ月間、使用し、観察可能なわだち掘れ、くぼみ、亀裂、裂け目、成分分離または他の水による損害はなかった。
【0104】
(実施例7)
A. 改変トップにおけるウォームミックス添加剤としての組成物A
「0.5Massachusetts改変トップ」を、Ted Ondrick Companyにより、Springfield、MAのPine Streetの表面をはぎ取った部分に敷き詰めた。アスファルト混合物は、10%RAPおよび90%バージン材料からなった。アスファルト混合物は、PG64−22バージン結合剤および0.5%(w/w総結合剤)の組成物Aを用いて調製した。アスファルト混合物を合計で21トン、敷き詰めた。
【0105】
B. 改質トップにおけるウォームミックス添加剤としての組成物A
169 Great Plain Avenue、Wellesley、MAにある、Recycling Center drivewayのはぎ取った部分の上部に、米国舗装サービス(U.S.Pavement Services)により「スーパーペーブ9.5mmミックス」が敷き詰められた。トンあたりを基準にすると、アスファルト混合物は、660lb 3/8インチの石、659lbの砂岩、500lbのRAP、100lbのRASおよび81lbのバージンアスファルト結合剤からなった。RAPは、5〜6%の老化結合剤で見積もった。RASは、24.3%の老化結合剤の含有量で見積もった。RAP/RASに由来する老化アスファルト結合剤の回収は70%と見積もられ、アスファルト結合剤は合計で120lb、または総重量の6%と見積もられた。組成物Aは、アスファルト混合物の調製の2日前に、組成物AをRASと合わせることにより、1トンあたり3.3lbの量でミックスに加えた。アスファルト混合物は、PG64−28バージン結合剤を用いて調製した。トラック4台分のこの混合物をBenevento Companies(Wilmington、MA)から約28マイルの距離の舗装場所まで輸送した。混合プラントにおける負荷温度は、4台のトラックについて、250、260、275および275°Fであった。最初の1台分のアスファルトは、舗装場所に到着した時点では、210〜220°Fの間の温度を有した。アスファルト混合物のすべてを敷き詰め、ミックスの低温に起因する損害または複雑な問題なしに圧縮した。
【0106】
(実施例8)
代替硬化剤
1%硬化剤および99%アマニ油、または5%硬化剤および95%アマニ油からなる添加剤組成物を、硬化剤として安息香酸、フタル酸、ケイ皮酸およびクエン酸を使用して、実施例1における組成物Aの調製方法と同様に調製した。
【0107】
各添加剤組成物を、組成物1%およびPG64−22 99%のレベルで、PG64−22アスファルト結合剤と合わせた。PG64−22を、4オンスのDeep Metal Tin中で流体になるまで、120℃のオーブン中でまず加熱した。流体状結合剤に測定量の添加剤を加え、この試料を均一になるまで、手作業で混合した。試料を、各混合の間に、再度、温めながら、最低3回、混合した。
【0108】
針入度の決定に使用するための試料を、4オンスのスズに放置し、結合剤ブレンドが流体になるまで、120℃のオーブンに60分間置き、次に、この試料を150分間、冷却させた。針入度を50gの重量物およびNeedle H−1280(標準硬化ステンレス鋼、40〜45mmの長さ、2.5g)を装備したHumboldt Manufacturing Company、Universal Penetrometer、モデルH−1200を使用して決定した。次に、25℃で標準手順を使用して試料を試験した。
【0109】
針入度を測定した後、アスファルト結合剤ブレンドを加熱し、試料をシリコーン型に注ぎ入れ、この試料をこの型中で120℃で30〜40分間、加熱し、次に、周囲温度で30〜40分間、冷却することにより、動的せん断レオメーター(DSR)用の温めた流体試料を調製した。次に、TA Instruments AR2000exで標準方法を使用してDSRを行い、温度の関数としての得られたG
*/sinδを使用して、理論破壊温度を決定した。
【0110】
表11はアスファルト結合剤ブレンドに関する、破壊温度および針入度に関する結果を示している。
【表11】
【0111】
表11の添加剤組成物は、破壊温度の低下、およびより大きな針入度により決定される通り、PG64−22結合剤を軟質化した。
【0112】
(実施例9)
代替的なマスクされている硬化剤
2%のサリチル酸、0.5%のマスクされている硬化剤および97.5%のアマニ油からなる添加剤組成物を、マスクされている硬化剤としてサリチル酸エチルまたはサリチル酸n−ヘキシルを使用して、実施例1における組成物Bの調製方法と同様に調製した。組成物をそれぞれ、該組成物1%およびPG64−22 99%のレベルでPG64−22アスファルト結合剤と合わせ、実施例8に記載されている通りに試料を形成した。DSRおよび針入度からの理論破壊温度を、実施例8に記載されている通り決定し、結果は表12に示されている。
【表12】
【0113】
表12の添加剤組成物は、破壊温度の低下、およびより大きな針入度により決定される通り、結合剤を軟質化した。組成物中のマスクされている剤としてのサリチル酸メチル、サリチル酸エチルまたはサリチル酸n−ヘキシルの間の有意な差異は、ブレンドしたアスファルト結合剤中の1%添加剤組成物の試験レベルでは観察されない。
【0114】
(実施例10)
代替担体
1%サリチル酸および99%担体からなる添加剤組成物を、担体として、クルミ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ヒマシ油およびココナッツ油を使用して、実施例1における組成物Aの調製方法と同様に調製した。各添加剤組成物を、添加剤1%およびPG64−22 99%、または該添加剤5%およびPG64−22 95%のどちらかのレベルで、PG64−22アスファルト結合剤と合わせ、実施例8に記載した通りに試料を形成した。DSRおよび針入度からの理論破壊温度を、実施例8に記載されている通り決定し、結果は表13に示されている。
【表13】
【0115】
表13の添加剤(アスファルト結合剤ブレンドの1%成分として)は、破壊温度の低下およびより大きな針入度により決定される通り、結合剤を軟質化した。
【0116】
(実施例11)
代替担体および担体ブレンド
添加剤組成物を、担体としてキリ油(またはキリ油/アマニ油のブレンド)、硬化剤としてサリチル酸、およびマスクした硬化剤としてサリチル酸メチルを使用する、実施例1における組成物と同様に調製した。各添加剤組成物を、添加剤1%およびPG58−28 99%、または添加剤5%およびPG58−28 95%のどちらかのレベルで、PG58−28アスファルト結合剤と合わせ、実施例8に記載されている通りに試料を形成した。DSRおよび針入度からの理論破壊温度を、実施例8に記載されている通り決定し、結果は表14に示されている。
【表14】
表14の添加剤(アスファルト結合剤ブレンドの1%または5%成分として)により、結合剤が軟質化した。