特許第6474158号(P6474158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474158
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/37 20060101AFI20190218BHJP
   G01G 19/52 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   G01G23/37 A
   G01G19/52 D
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-136232(P2015-136232)
(22)【出願日】2015年7月7日
(65)【公開番号】特開2017-20805(P2017-20805A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000127570
【氏名又は名称】株式会社エー・アンド・デイ
(72)【発明者】
【氏名】石井 哲生
(72)【発明者】
【氏名】古和 勉
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−165922(JP,A)
【文献】 特開平11−064083(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0172943(US,A1)
【文献】 特開平11−290394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 23/01
G01G 23/36−23/375
G01G 19/44−19/52
A61G 7/00− 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量値の表示値をゼロに調整するゼロ調整機能を備えた計量装置において、
電源が切れる前の表示値を記憶する記憶部と、
電源が再び入った後に実際の計量値を算出するとともに、前記記憶部に記憶された前記電源が切れる前の表示値に、前記電源が再び入った後の計量値の変化量を加算して、参照用の計量値を算出する算出機能と、
前記実際の計量値と前記参照用の計量値を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とする計量装置。
【請求項2】
計量値の表示値をゼロに調整するゼロ調整機能を備えた計量装置において、
電源が切れる前のゼロ調整時の補正量を記憶する記憶部と、
電源が再び入った後に実際の計量値を算出するとともに、前記記憶部に記憶された前記電源が切れる前のゼロ調整時の補正量を、前記電源が再び入った後の実際の計量値に加算して、参照用の計量値を算出する算出機能と、
前記実際の計量値と前記参照用の計量値を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とする計量装置。
【請求項3】
前記表示部には、前記実際の計量値と前記参照用の計量値が上下に並んで表示されることを特徴とする請求項1または2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記ゼロ調整機能は、電源が入った際に計量値が所定の範囲内であれば自動的にゼロに調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の計量装置。
【請求項5】
前記計量装置は、ベッドに計量機能が設けられたスケールベッドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計量装置に係り、特に検定付のスケールベッドやストレッチャースケールなどの計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者が寝たまま体重を計量する装置として、スケールベッド(ベッドスケールともいう)やストレッチャースケールがある。これらの多くは、脚部に荷重センサが設けられており、ベッドやストレッチャーの上の患者を長時間にわたって計量できるようになっている(特許文献1、2参照)。
【0003】
また、これらのなかには、測定精度を保証するため、検定付のものがある。たとえば透析治療に用いられるベッドスケールは、患者の治療前後の体重を正確に計測する必要があり、計量法に従って設計が定められている。検定付の計量装置では、電源を投入した際、荷重値が所定の範囲内であれば表示値をゼロとするゼロ調整を行い、荷重値が所定の範囲外であればゼロ調整を行わずに、計量値をそのまま表示するように設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4788987号
【特許文献2】特開2001−170117
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のスケールベッドは長時間にわたって計量を行うにも関わらず、停電や自然災害等で電源が不意に切れた場合の安全対策が十分に行われていない。このため、停電が発生した後で電源を再投入すると、従来のスケールベッドでは、表示値が停電の前後でずれる可能性があった。たとえば、検定付のスケールベッドにおいて、停電前にゼロ調整済の計量値が表示されていた場合、停電後はゼロ調整を行わずに計量値が表示されるため、計量値がずれることになる。ずれる量は非常に僅かであるが、上述の透析治療の場合は僅かな量が命に関わるため、改善が望まれていた。
【0006】
このような停電に関する問題は、様々な計量装置で発生するおそれがある。たとえば、工場等で製造ラインに組み込まれる秤は計量し直すことが困難であるため、停電の前後で計量値がずれることは避ける必要があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたものであり、停電等の前後で計量値がずれることを防止することによって、安全対策の面で優れた計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、計量値の表示値をゼロに調整するゼロ調整機能を備えた計量装置において、電源が切れる前の表示値を記憶する記憶部と、電源が再び入った後に実際の計量値を算出するとともに、前記記憶部に記憶された前記電源が切れる前の表示値に、前記電源が再び入った後の計量値の変化量を加算して、参照用の計量値を算出する算出機能と、前記実際の計量値と前記参照用の計量値を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする計量装置を提供する。
請求項2に記載の発明は前記目的を達成するために、計量値の表示値をゼロに調整するゼロ調整機能を備えた計量装置において、電源が切れる前のゼロ調整時の補正量を記憶する記憶部と、電源が再び入った後に実際の計量値を算出するとともに、前記記憶部に記憶された前記電源が切れる前のゼロ調整時の補正量を、前記電源が再び入った後の実際の計量値に加算して、参照用の計量値を算出する算出機能と、前記実際の計量値と前記参照用の計量値を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする計量装置を提供する。
【0009】
本発明によれば、電源が切れる前の表示値または補正量に基づいて参照用の計量値を算出し、表示するようにしたので、電源が切れる直前と電源を再投入した直後とで、表示値が大きくずれることを防止できる。
【0010】
請求項1の発明によれば、電源が切れる前の表示値を用いているので、電源が切れる直前と電源が再投入された直後で表示値が一緒になり、表示値のずれを確実に防止できる。
【0011】
請求項2の発明によれば、電源が切れる前の補正値を用いて実際の計量値を補正するので、電源が切れる前と同じ条件での計量値を求めることができる。したがって、電源が切れる前後で計量値が大きくずれることを防止できる。また、本発明によれば、実際の計量値を補正するので、電源が切れている間に計量値に変化があった場合であっても対応することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は請求項1または2において、前記表示部には、前記実際の計量値と前記参照用の計量値が上下に並んで表示されることを特徴とする。本発明によれば、実際の計量値と参照用の計量値が同時に表示されるので、検定付はかりとしての機能を維持しつつ、電源を切れる前後の表示値のずれを防止できる。
【0013】
請求項4に記載の発明は請求項1〜3のいずれか1において、前記ゼロ調整機能は、電源が入った際に計量値が所定の範囲内であれば自動的にゼロに調整することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は請求項1〜4のいずれか1において、前記計量装置は、ベッドに計量機能が設けられたスケールベッドであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電源が切れる前の表示値または補正量に基づいて参照用の計量値を算出し、表示するようにしたので、電源が切れる直前と電源を再投入した直後とで、表示値が大きくずれることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明が適用されたスケールベッドの構成を示す模式図
図2】制御ユニットの一例を示す図
図3】制御ユニットの制御フローを示す図
図4】表示部の表示例を示す図
図5図3と異なる制御フローの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面に従って本発明に係る計量装置の好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明が適用されたスケールベッドの構成を模式的に示している。
【0018】
同図に示すスケールベッド10は、マットレス12を保持するフレーム14と、このフレーム14を支持する四本の脚部16とを備えている。四本の脚部16にはそれぞれ、ロードセルなどの荷重センサ18が設けられており、マットレス12上の荷重に応じて信号を出力するようになっている。それぞれの荷重センサ18は、フレーム14内の制御ユニット20に接続されており、制御ユニット20は荷重センサ18の出力信号からマットレス12上の計量値を算出するようになっている。
【0019】
制御ユニット20には不図示の電源ケーブルが接続されており、この電源ケーブルのプラグをコンセントに差し込むことによって交流電源が供給される。また、制御ユニット20には不図示のメモリが設けられており、後述の表示値や補正量を記憶できるようになっている。さらに制御ユニット20は、コントローラ22に接続されており、コントローラ22からの各種の制御信号が入力される一方で、計量値などの信号をコントローラ22に出力するようになっている。
【0020】
コントローラ22には、図2に示すように、第1表示部24と、第2表示部26とが上下に並んで配置されている。第1表示部24には、検定対象となる実際の計量値が表示され、第2表示部26には、検定対象では無く参照用の計量値(以下、参照計量値という)が表示される。本実施の形態では、第1表示部24が第2表示部26よりも大きく形成されており、一目で検定対象の表示が分かるようになっている。なお、第1表示部に「検定」と大きく表示したり、第2表示部に「非検定」と表示したりし、どちらが検定か分かるようにしてもよい。また、本実施の形態では、第1表示部24と第2表示部26のみを示したが、これら以外に表示部を設けても良く、たとえば開始時の計量値を固定して表示する表示部を設けたり、その開始時の計量値と実際の計量値との差を表示する表示部を設けたりしてもよい。
【0021】
コントローラ22には、複数の操作ボタン28が設けられている。そのうちの一つは、電源スイッチであり、電源のオンオフが行われる。なお、操作ボタン28の一つに、参照表示用のスイッチを設けてもよく、そのスイッチを押した場合のみ第2表示部26に参照計量値を表示するようにしてもよい。
【0022】
次に制御ユニット20のフローについて図3に従って説明する。
【0023】
電源が投入され、電源スイッチがオンになると(ステップS1、S2)、まず、初期計量値の取得が行われる(ステップS3)。初期計量値とは、電源が入った際の計量値であり、通常は(マットレス12上に何もないので)ゼロ近辺の値になる。なお、電源の投入とは、電源ケーブルのプラグをコンセントに差し込む場合や、停電後に通電が再開された場合などが考えられる。
【0024】
次に、取得した初期計量値に応じてゼロ調整を行う(ステップS4、S5)。具体的には、初期計量値が所定の範囲内であれば、初期計量値をゼロにすることによってゼロ調整を行う。また、初期計量値が所定の範囲外であれば、初期計量値がそのまま出力されるように設定する。なお、所定の範囲とは、検定付はかりの場合に計量法で定められる範囲である。以上で、電源投入時の準備が終了し、続いて計量が行われる。
【0025】
計量では、初期計量値からの変化量が連続して取得される(ステップS6)。続いて、この変化量に基づいて実際の計量値と参照計量値が算出される(ステップS7)。ここで、実際の計量値とは、検定対象の計量値であり、初期計量値+変位量で求められる。したがって、ゼロ調整が行われた場合は、(初期計量値がゼロに設定されるので)変化量のみの値となり、ゼロ調整が行われなかった場合は、初期計量値+変化量となる。
【0026】
一方、参照計量値は、検定対象ではない参照のための計量値であり、停電前の表示値を用いて算出する。具体的には、後述のステップS9において停電前に記憶しておいた表示値を制御ユニット20のメモリから読み出し、その読み出した表示値にステップS6の変化量を加算して算出する。したがって、参照計量値は、電源が切れる前の表示値を基準として求めた値になる。
【0027】
次に、実際の計量値を第1表示部24に表示し、参照計量値を第2表示部26に表示する(ステップS8)。これにより、検定対象の計量値が第1表示部24に表示されるとともに、前回の条件に沿った参照計量値が第2表示部26に表示される。どちらの表示も計量値の変化量に伴って、リアルタイムで変化するように表示される。
【0028】
次に、第1表示部24の表示値を制御ユニット20のメモリに記憶する(ステップS9)。この記憶された値は、停電などの電源遮断があった場合でも記憶された状態を維持し、次の電源投入時に読み出され、参照表示値の算出に用いられる。
【0029】
次に計量が終了したか否かが判断される(ステップS10)。たとえば電源スイッチによってオフ操作された場合や何の操作も無しに長時間が経過した場合に、計量が終了したと判断され、それまではステップS6に戻って計量が連続して行われる。計量が終了したと判断した後は、電源を遮断する行為が無いかぎり、次のオン操作まで待機状態となる。
【0030】
次に上記の如く構成されたスケールベッド10の作用について図4に従って説明する。図4は、第1表示部24と第2表示部26の表示例を示している。
【0031】
まず、従来装置において停電の前後で計量値がずれる事例について説明する。ここでいう従来装置とは、第1表示部24のみが設けられた装置に相当する。なお、以下の実施例において、ゼロ調整を行う所定の範囲を±5kgとする。
【0032】
図4(a)に示すように、電源を最初に投入した際の初期計量値が2.2kgだったとする。このとき、初期計量値が所定の範囲内であるため、ゼロ調整が自動的に行われる。したがって、図4(b)に示すように、第1表示部24には「0kg」が表示され、その後は変位量のみが表示される。この状態で、65.0kgの患者がマットレス12の上に横たわると、図4(c)に示すように、第1表示部24には「65.0kg」が表示される。そのまま、患者の体重が長時間に渡って計量され、第1表示部24には、患者の計量値が表示される。
【0033】
この状態で停電が起き、(患者の体重の増減がないまま)電源が再投入されたとする。その際の初期計量値は、67.2kg(患者65.0kg+前回の初期計量値2.2kg)であるので、今回の初期計量値は所定の範囲外であり、ゼロ調整は行われない。したがって、図4(d)に示すように、第1表示部24には実際の計量値である「67.2kg」がそのまま表示されることになる。このため、停電前に表示されていた「65.0kg」と、停電後に表示される「67.2kg」とで、表示値に差が生じてしまう。
【0034】
これに対して、本実施の形態では、第2表示部26を設けて参照計量値を表示している。すなわち、停電直前の第1表示部24の表示値「65.0kg」を制御ユニット20のメモリに記憶しておき、これを読み出して参照計量値を算出している。参照計量値は、読み出した「65.0kg」+変化量なので、電源投入直後は「65.0kg」となり、図4(d)に示す如く第2表示部26に表示される。したがって、停電直前の第1表示部24の「65.0kg」に対して、停電直後の第2表示部26に「65.0kg」が表示されるので、表示値がずれる違和感を無くすことができる。
【0035】
その後は、第1表示部24に「67.2kg」+変化量が実際の計量値として表示され、第2表示部26に「65.0kg」+変化量が参照計量値として表示される。これらの表示が上下に並べて表示されるので、作業者は実際の計量値と参照計量値とを同時に把握することができる。
【0036】
このように本実施の形態によれば、前回の計量に基づいて算出した参照計量値を表示するようにしたので、停電前後のように計量条件が異なる場合であっても、表示値がずれることを防止することができる。
【0037】
なお、上述した実施形態は、前回の表示値に基づいて参照計量値を求めるようにしたが、これに限定するものではなく、前回の補正量に基づいて参照計量値を求めるようにしてもよい。以下、その例を図5に従って説明する。
【0038】
電源投入からゼロ調整までの処理(ステップS21〜S25)は、図3のステップS1〜S5と同じであり、その説明を省略する。図5のステップS26では、ステップS25でゼロ調整した際の補正量(ゼロ調整しなかった場合はゼロ)を制御ユニット20のメモリに記憶する。同時に、制御ユニット20のメモリに記憶しておいた前回の補正量を読み出す。この読み出した補正量が計量時に参照計量値の算出に用いられる。
【0039】
計量では、まず初期計量値からの変化量が連続して取得される(ステップS27)。続いて、この変化量に基づいて実際の計量値と参照計量値が算出される(ステップS28)。実際の計量値は、前述した実施の形態と同様に、初期計量値+変位量として求める。したがって、ゼロ調整が行われた場合は、(初期計量値がゼロに設定されるので)変化量のみの値となり、ゼロ調整が行われなかった場合は、初期計量値+変化量となる。
【0040】
一方、参照計量値は、停ステップS26において読み出した値、すなわち停電前の補正量を用い、実際の計量値を補正して求める。具体的には、参照計量値=補正量+初期計量値+変化量として算出する。したがって、参照計量値は、前回の計量時と同じ条件で求めた値となる。
【0041】
求めた実際の計量値と参照計量値はそれぞれ、第1表示部24、第2表示部26に表示される(ステップS29)。これにより、検定対象の計量値が第1表示部24に表示されるとともに、前回の計量条件に沿った参照計量値が第2表示部26に表示される。どちらの表示も計量値の変化量に伴って、リアルタイムで変化するように表示される。以降の処理(ステップS30、S31)は図3のステップS10、S11と同じであり、説明を省略する。
【0042】
次に上記の如く構成されたスケールベッド10の作用について前述の図4の例で説明する。
【0043】
図4(a)に示すように、電源を最初に投入した際の初期計量値が2.2kgだったとする。このとき、初期計量値が所定の範囲内であるため、ゼロ調整が自動的に行われる。したがって、図4(b)に示すように、第1表示部24には「0kg」が表示され、その後は変位量のみが表示される。このとき、補正量である「−2.2kg」が制御ユニット20のメモリに記憶される。この状態で、65.0kgの患者がマットレス12の上に横たわると、図4(c)に示すように、第1表示部24には「65.0kg」が表示される。そのまま、患者の体重が長時間に渡って計量され、第1表示部24には、患者の計量値が表示される。
【0044】
この状態で停電が起き、(患者の体重の増減がないまま)電源が再投入されたとする。その際の初期計量値は、67.2kg(患者65.0kg+前回の初期計量値2.2kg)となるので、今回の初期計量値は所定の範囲外であり、ゼロ調整は行われない。したがって、図4(d)に示すように、第1表示部24には実際の計量値である「67.2kg」がそのまま表示されることになる。このため、停電前に表示されていた「65.0kg」と、停電後に表示される「67.2kg」とで、表示値に差が生じてしまう。
【0045】
これに対して、本実施の形態では、前回の補正量「−2.2kg」を記憶しておき、その補正量「−2.2kg」を用いて参照計量値を求めている。参照計量値は、今回の初期計量値「67.2kg」+変位量(初期状態では「0kg」)+前回の補正量「−2.2kg」なので、電源投入直後は「65.0kg」となる。したがって、停電直前の第1表示部24の「65.0kg」に対して、停電直後の第2表示部26に「65.0kg」が表示されるので、表示値がずれる違和感を無くすことができる。
【0046】
その後は、第1表示部24に「67.2kg」+変化量が実際の計量値として表示され、第2表示部26に「65.0kg」+変化量が参照計量値として表示される。これらの表示が上下に並べて表示されるので、作業者は実際の計量値と参照計量値とを同時に把握することができる。
【0047】
このように本実施の形態によれば、前回の計量条件に沿って算出した参照計量値を表示するようにしたので、停電前後のように計量条件が異なる場合であっても、表示値がずれることを防止することができる。
【0048】
また、本実施の形態は、前回の補正量に基づいて実際の計量値を補正することによって参照計量値を求めるので、停電中に患者の体重が増減した場合であっても、その増減が参照計量値に反映される。したがって、停電中の増減にも対応することができる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、停電の事例で説明したが、たとえば電源コードを引っかけてプラグがコンセントから抜けてしまった場合にも同様に、安全に対応することができる。
【0050】
また、上述した実施形態は、スケールベッドの例で説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、ストレッチャースケール等の他の計量装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10…スケールベッド、12…マットレス、14…フレーム、16…脚、18…荷重センサ、20…制御ユニット、22…コントローラ、24…第1表示部、26…第2表示部、28…操作ボタン
図1
図2
図3
図4
図5