特許第6474170号(P6474170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノンファインテック株式会社の特許一覧

特許6474170後処理装置及びこれを用いた画像形成システム
<>
  • 特許6474170-後処理装置及びこれを用いた画像形成システム 図000002
  • 特許6474170-後処理装置及びこれを用いた画像形成システム 図000003
  • 特許6474170-後処理装置及びこれを用いた画像形成システム 図000004
  • 特許6474170-後処理装置及びこれを用いた画像形成システム 図000005
  • 特許6474170-後処理装置及びこれを用いた画像形成システム 図000006
  • 特許6474170-後処理装置及びこれを用いた画像形成システム 図000007
  • 特許6474170-後処理装置及びこれを用いた画像形成システム 図000008
  • 特許6474170-後処理装置及びこれを用いた画像形成システム 図000009
  • 特許6474170-後処理装置及びこれを用いた画像形成システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474170
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】後処理装置及びこれを用いた画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/30 20060101AFI20190218BHJP
   B65H 37/06 20060101ALI20190218BHJP
   B65H 45/18 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   B65H45/30
   B65H37/06
   B65H45/18
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-201690(P2017-201690)
(22)【出願日】2017年10月18日
(62)【分割の表示】特願2014-54443(P2014-54443)の分割
【原出願日】2014年3月18日
(65)【公開番号】特開2018-8826(P2018-8826A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2017年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(72)【発明者】
【氏名】大野 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】萱森 修
(72)【発明者】
【氏名】依田 一朗
(72)【発明者】
【氏名】作地 真一
(72)【発明者】
【氏名】込山 賢治
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−191280(JP,A)
【文献】 特開2004−083184(JP,A)
【文献】 特開2003−267626(JP,A)
【文献】 特開2011−093681(JP,A)
【文献】 特開2011−093239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00−37/06
B65H 41/00
B65H 45/00−47/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを集積する集積部と、
前記集積部に集積されたシートを折り処理する折り処理手段と、
前記折り処理手段で折られた折シートを下流側の収納部に搬送する搬送経路と、
前記搬送経路に配置され、前記折シートを折り合わせた方向に押圧しながら前記収納部へ搬送する押圧手段と、
を備え、
前記押圧手段は、前記折シートを挟んだ状態で保持して搬送を停止し、前記折り処理手段によって後続のシートに折り処理した後に、搬送を再開する後処理装置。
【請求項2】
前記押圧手段は、前記折シートの折目に近接する位置を挟んだ状態で保持して搬送を停止し、前記折り処理手段によって後続のシートに折り処理した後に、搬送を再開する請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記押圧手段は、前記搬送経路に配置され、前記折シートを前記収納部へ搬送する搬送ローラ対で構成され、前記搬送ローラ対に近接する位置に、前記折シートの折目を停止させるべく前記折シートの搬送を停止する請求項2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記折り処理手段によって後続のシートに折り処理される動作を監視する監視手段を更に備え、前記押圧手段は前記監視手段の監視に基づいて搬送を再開する請求項1乃至3に記載の後処理装置。
【請求項5】
複数のシートを集積する集積部と、
前記集積部に集積されたシート束を綴じ処理する綴じ手段と、
前記集積部に集積されたシート束を折り処理する折り処理手段と、
前記折り処理手段で折られた折シート束を下流側の収納部に搬送する搬送経路と、
前記搬送経路に配置され、前記折シート束を折り合わせた方向に押圧しながら前記収納部へ搬送する押圧手段と、
を備え、
前記押圧手段は、前記折シート束を挟んだ状態で保持して搬送を停止し、前記綴じ手段によって後続のシート束に綴じ処理した後に、搬送を再開する後処理装置。
【請求項6】
前記押圧手段は、前記折シート束の折目に近接する位置を挟んだ状態で保持して搬送を停止し、前記綴じ手段によって後続のシート束に綴じ処理した後に、搬送を再開する請求項に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記押圧手段は、前記搬送経路に配置され、前記折シート束を前記収納部へ搬送する搬送ローラ対で構成され、前記搬送ローラ対に近接する位置に、前記折シート束の折目を停止させるべく前記折シート束の搬送を停止する請求項に記載の後処理装置。
【請求項8】
シート処理画像形成する画像形成部と、
前記画像形成部から送られたシートを後処理する後処理部と、
から構成され、
前記後処理部は、請求項1からのいずれか1項に記載の後処理装置であることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシートを部毎に集積して折り処理仕上げする後処理装置に係わり、集積されたシート束を折り処理する折り処理機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にこの種の装置は画像形成装置の後処理装置として、画像形成されたシートを集積部に部毎に集積してシート中央部を綴じ処理したのちに折り処理する製本仕上げ装置として知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、画像形成装置の排紙口に連結され、画像形成されたシートを第1の処理部に集積して綴じ処理する仕上げモードと、第2の処理部に集積して綴じ処理したのちに折り処理する仕上げモードを選択的に実行する装置が開示されている。
【0004】
同文献には、搬送経路に送られたシートを第1の処理部と第2の処理部に振り分け搬送し、第2の処理部ではシートを部揃え集積したのちに、その中央部を綴じ処理して折り合わせるマガジン製本機構が開示されている。この機構ではシートを折り処理したのちに排紙経路から収納スタッカに収納している。
【0005】
また、特許文献2には折り処理ロールの下流側にシート束の折目位置をプレスするプレス機構を配置し、このプレス手段で折り目個所を加圧したのちにスタッカに搬送する機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−184324号公報
【特許文献2】特開2013−47144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、画像形成されたシートを部毎に集積して綴じ処理したのちに折り処理する装置は、既に知られている。このような折り処理機構で折目位置を確実に折り合わせるために折り処理機構の下流側に折り位置をプレスする加圧機構(増折り機構)を配置することも知られている。この増折り機構としては折目位置をプレスプレートで圧接する機構、或いは折目位置をローラ対で圧接する機構などが知られている。
【0008】
しかし従来の増し折り機構は、後続するシートの集積プロセスの進捗状況に関係なく、一定の加圧時間に設定している。従って折り機構の下流側における増折り加圧時間は後続するシートが集積され折り処理される時間の間に設定されるか、或いは増折り処理されたのちに後続シートの折り処理が実行されるかいずれかのタイミングに選定されていた。
【0009】
従って、先行するシートの排紙動作と、後続シートの集積動作を同時に実行する装置制御において後続するシートの集積動作(画像形成部から折り処理まで)を遅らせることなくスピーディに先行シートの増し折りと、後続シートの集積を同時に進行することは不可能であった。
【0010】
本発明は、連続的にシートを集積して折り処理する際に先行するシートの折り目位置のプレス成形する時間を、後続するシートの集積に進度に応じて設定することにより効率的な折り処理が可能である後処理装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る後処理装置においては、折り処理部と排紙部との間の排紙経路に配置した加圧手段が、折シートを挟んだ状態で保持して搬送を停止し、折り処理部によって後続のシートに折り処理した後に、折りシートの搬送を再開することを特徴としている。ここで、前記押圧手段は、前記折シートの折目に近接する位置を挟んだ状態で保持して搬送を停止し、前記折り処理手段によって後続のシートに折り処理した後に、搬送を再開する。
【0012】
本後処理装置の構成を詳述すると、シートを集積する集積部と、前記集積部に集積されたシートを折り処理する折り処理手段と、前記折り処理手段で折られた折シートを下流側の収納部に搬送する搬送経路と、前記搬送経路に配置され、前記折シートを折り合わせた方向に押圧しながら前記収納部へ搬送する押圧手段と、を備える。上記構成において、さらに、前記集積部に集積されたシート束を綴じ処理する綴じ手段を備える。
【0013】
ここで、上記制御手段は、集積部に後続するシートが集積され折り処理されるまでの後続動作時間に基づいて上記加圧時間を設定するように構成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、折り処理部と排紙部との間に配置した加圧手段の加圧時間を後続するシートが集積部に集積され折り処理されるまでの後続動作時間に応じて設定するものであるから、以下の効果を奏する。
【0015】
折り処理部で折り処理されたシートは、そのまま収納部に搬出されることなく、その上流側の排紙経路で後続するシートが集積部に集積されるまでの間、加圧手段で加圧され続けるから確実に折り目位置が折り処理される。
【0016】
また、加圧手段になる加圧時間は、後続するシートが集積部に集積されるまでの間であるから、後続するシートの折り処理を待たせることなくスピーディに折り処理を連続させることができる。
【0017】
更に本発明は、加圧手段を排紙部の上流側に位置する搬送ローラ対で構成することによって特別な加圧機構を配置することなく簡単な構造で折りシートを増折り成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明係わる画像形成システムの全体構成の説明図。
図2図1の画像形成システムにおける後処理装置の構成を示す説明図。
図3図2の後処理装置における要部の説明図。
図4図3の説明図における加圧ユニット(加圧手段)の説明図であり、(a)は加圧ユニットの排紙方向正面図を、(b)は排紙直交方向の断面図を示す。
図5図3の後処理装置における加圧ユニットを制御する概念図であり、(a)はユニット構成の説明図であり、(b)は加圧時間の設定の説明図。
図6図1の画像形成システムにおける制御構成を示すブロック図である。
図7図6の制御構成における後処理動作の手順を示すフローチャートの一部。
図8図6の制御構成における後処理動作の図7に続く手順を示すフローチャート。
図9図2の後処理装置において排紙経路にトリマーユニットを配置したレイアウト構成の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図示の実施の形態に基づいて本発明を詳述する。図1は画像形成システムを示し、画像形成装置Aと、後処理装置Bを備えている。後処理装置Bには、画像形成装置Aから送られたシートを部毎(グループ毎)に集積する集積部B1と、集積されたシート束を折り処理する折り処理部B2と、折り処理されたシート束を収納する収納部B4が内蔵されている。
【0020】
本発明は、後処理装置Bにおいて折り処理部B2の下流側に排紙エリアArを設け、このエリアにトリマーユニットCと増折り加圧ユニットDを選択的に配置することを特徴としている。以下後処理装置B、画像形成装置Aの順に説明する。
【0021】
[後処理装置]
図2乃至図5に従って後処理装置Bの構成について説明する。図2は後処理装置Bの全体構成の説明図であり、図3及び図4は排紙部B3の詳細構成の説明図であり、図5は排紙部に配置された増折り加圧ユニットDの制御説明図である。
【0022】
後処理装置Bは、図2に示すように、装置ハウジング10と、このハウジング内に配置された第1、第2の後処理部13,25(1つの後処理部で構成しても良い)と、この後処理部に搬入口11からシートを給送する搬送経路12と、後処理されたシートを収納する収納部B4とで構成されている。
【0023】
第1の後処理部13は搬送経路12から送られたシートを処理トレイ14上に集積して綴じ処理を施し、そのシート束をスタックトレイ15に収納する後処理機構で構成されている。第2の後処理部25は搬送経路12から送られたシートを集積ガイド26に積載して集積し、折り処理した後に、下流側の排紙エリアArを通過してマガジントレイ27(折りシート収納部;以下同様)に収納する。
【0024】
また排紙エリアArは上流側の折り処理部B2で折り処理されたシート束を、断裁するトリマーユニットCと、増折り加圧ユニットDがオプションユニットとして選択的に配置される。つまり装置ハウジング10には折り処理したシートを略直線状に支持し、トリミングカット又は増折りプレス成形する排紙エリアArが折り処理部B2とマガジントレイ27との間に配置されている。
【0025】
上記搬送経路12は、図2に示すように、経路搬入口11から経路排紙口16にシートを案内する直線経路(湾曲経路であっても良い)で構成され、経路中央部に経路分岐口12aが配置されている。そして搬入口11に供給されたシートを、排紙口16からその下流側に配置された第1の後処理部13に、経路分岐口12aからその下流側に配置された第2の後処理部25(後述する折り処理部B2)にシートを案内する。
【0026】
このため搬送経路12にはシートを搬送するローラ対(第1ローラ対17、第2ローラ対18、第3ローラ対19、第4ローラ対20)が配置され、図示しない駆動モータ(以下「搬送モータ」と云う)に連結されている。また搬入口11には搬入ローラ17(前記第1ローラ対)と、シートセンサ(入口センサ)Se1が、排紙口16には排紙ローラ20(前記第4ローラ対)と、シートセンサ(排紙センサ)Se2が配置されている。
【0027】
また経路分岐口12aには搬送ローラ18(前記第2ローラ対)と、経路切換手段21が配置されている。経路切換手段21には図示しない作動ソレノイドなどのアクチュエータが連結されている。なお図示の搬送経路12には、搬入口11から送られたシートを第1の後処理部13に向けて搬送する際に、このシートを一時的に滞留させるバッファ経路12bが配置され、バッファローラ19(前記第3ローラ対)の正逆転で搬入口11から送られたシートを一時的に経路内に退避させて滞留させる。
【0028】
第1の後処理部13には、前記処理トレイ14にシートを位置決めするシート端規制手段22とシートサイドを位置決めするサイド整合手段(不図示)が配置され搬送経路12から送られたシートを所定の処理位置に積載して束状に集積する。また処理トレイ14には束状のシートを綴じ処理するステープル手段23(ユニット)が配置されている。図示24は搬送経路12から送られたシートを処理トレイ14に案内する昇降ローラであり、シートを1枚ずつ処理トレイに案内するのと同時に、綴じ処理後のシート束を下流側のスタックトレイ15に案内する。
【0029】
第2の後処理部25は、搬送経路12の経路分岐口12aから異なる搬送方向に分岐経路28が配置され、この経路下流側に配置されている。この第2の後処理部25(折り処理部;以下同様)はシートを積載収納する集積ガイド26と、このガイドに配置され、集積されたシート(束)を綴じ処理する綴じ処理手段29と、集積されたシート束を折り処理する折り処理手段30で構成されている。
【0030】
集積ガイド26は上流側の分岐経路28から送られたシートを積み重ねて収納するガイド部材(プレート部材)で構成され、図示の集積ガイド26は装置ハウジング10の鉛直方向に配置されている。集積ガイド26の下端部にはシートの先端部を係止する先端規制ストッパ31が配置されている。図示の先端規制ストッパ31は集積ガイド26に沿って摺動可能(スライダブリー)に装置フレームに取り付けられ、シートをサイズに応じて位置移動するようになっている。
【0031】
折り処理手段30は、集積ガイド上に集積されたシート束を中央部から折り合わせる折りロール手段32と、折りブレード手段33で構成されている。折りロール手段32は互いに圧接する一対のローラ対で構成され、シート束を折り処理する方向に回転可能に図示しない駆動モータ(以下「折り処理モータ」と云う)に連結されている。また折りブレード手段33は、シート束の折目位置を折りロール対のニップ間に挿入するプレート部材で構成され、ラック−ピニオン機構でシフトモータM1に連結されている。
【0032】
上記折りロール手段32は、互いに圧接するローラ対、或いは圧接離間可能なローラ対で構成され、シート束を折り処理する際にはシート束を緊密に挟圧する。またこのローラ対を圧接離間可能に構成する場合には、シート束を折り合わせるときには圧接させ、折り合わせたのちには、離間させてシート後端部に皺、損傷が生ずるのを防止する。
【0033】
図3に従って排紙部B3の構成を説明する。折り処理部B2の下流側には排紙部B3が配置されている。図3に示すように、折り処理部B2と収納部B4(後述)との間に排紙部B3が配置されている。排紙部B3は、折り処理されたシート束を載置する排紙ガイド部材35と、シートを搬送する搬出ローラ対(ベルトであっても良い)36で構成されている。図示の排紙ガイド部材35は、シートを排紙方向に案内するペーパーガイドで構成され、搬出ローラ対36は第1第2第3のローラ対36a、36b、36cで構成されている。各ローラ対36a〜36cは図示しない排紙モータに連結され、各ローラは同一の周速度で排紙方向に回転するように構成されている。
【0034】
特に図示の装置は、第1第2第3搬出ローラ対36a、36b、36c(必ずしも三対必要ではなく、一対であっても良い)で折りシートを加圧成形する増折り加圧ユニット(加圧手段D)を構成している。そして搬出ローラ対36は、少なくともその一つ第3搬送ローラ対36cは折りシート束の折目位置に近接する位置に配置されている。
【0035】
上記搬出ローラ対36a、36b、36cは図4(a)に示すように、間隔を隔てて折りシートSの全体を押圧するように配置され、その一つ第3搬送ローラ対36cはシートの折目位置Xを押圧する位置に配置されている。また搬出ローラ対36の幅方向は、同図(b)に示すように、シート幅の全長をほぼ均一に押圧するように配置されている。
【0036】
以上説明したように排紙部B3は、搬送方向に折りシートSの最大サイズ長さを収納する排紙エリアArが折り処理部B2の下流側に配置され、このエリアに加圧手段D(加圧ユニット)と後述するトリマーユニットCは選択的に装着(オプション装備)されるようになっている。
【0037】
そこで本発明は、折り処理部B2から排紙部B3に折りシートSを移送する際に、折りシートを静止させた状態で所定時間加圧するか、若しくは折りシートを低速度で送りながら所定時間加圧する制御機構を特徴としている。
【0038】
上述の搬出ローラ対36(加圧手段)は排紙モータ(不図示)に連結されている。この排紙モータの制御手段40(制御CPUなど)は、折り処理部B2から送られたシートを排紙エリアArに搬入した段階で、搬出ローラ36を停止するか、或いは低速度で減速搬送する。そしてこのローラ停止時間、若しくはローラ低速回転時間は後続するシートが集積部B1に集積される後続動作時間Tに従って異ならせる。
【0039】
つまり折り処理したシート束を収納部B4にストレートに搬出することなく、後続するシートの集積部B1から折り処理B2までの動作の進捗状況に応じて搬送トラブルを生じない程度に折り処理シートを排紙エリアArに待機させた後、収納部B4に収納する。
【0040】
このため、制御手段40は例えば以下のように構成する。図5(b)に示すように、CPUクロックをカウントする計時手段41を折り処理動作の終了(例えば、折りブレード手段33の退避動作)でカウンターをリセットしてタイマ起動する。そして、折りシートを所定の排紙エリアArに搬送して搬出ローラ対36で加圧する。このとき搬出ローラ対36は停止状態、又は低速度状態に維持する。
【0041】
また制御手段40は、タイマ起動と同時に「後続動作を監視」する。この後続動作の監視は、排紙エリアArに滞留させた先行シートに後続するシートが(1)「集積部B1に搬送される後続シートの集積状況監視(以下、集積動作監視という)」か、(2)集積動作監視と同時に「集積部B1に集積された後続シートを折り処理動作の監視(以下集積・折り動作監視という)」のいずれかの方法を採用する。
【0042】
上記「集積動作監視」を採用すると、後続シートが、数枚程度の極小折り処理製本のときと、数百枚程度の極大折り処理製本のとき、にケースバイケースで下流側の先行シートを増折り成形することができる。つまり極小折り処理製本のときには先行シートの増折り時間は短く、極大折り処理製本のときには先行シートの増折り時間は長く設定されることとなる。
【0043】
従って後続シートの処理動作を中断させて先行シートの増折り成形を実行するタイムロスが生ずることも、また後続シートを集積途中で先行シートの増折り成形を中断させて搬出する機械ロスを招くことがない。
【0044】
上記「集積・折り動作監視」を採用すると、後続シートを集積部B1に集積し、その後に後続シートを綴じ処理する動作時間と、折り処理する動作時間との合計時間を先行シートの増折り成形に使用することができる。
【0045】
なお綴じ処理動作時間と折り処理動作時間は、シート束のシート枚数に関係なくほぼ一定であるため、実質的には後続するシートのシート枚数に応じて先行シートの増折り時間を設定するように構成することも可能である。
【0046】
排紙部B4の構成について説明する。排紙経路37の下流側には折り処理されたがシートを収納するマガジントレイ27が配置してある。
【0047】
[画像形成装置]
画像形成装置Aは上述した後処理装置Bの上流側に配置され、シート上に画像を形成して排紙口60から下流側の後処理装置Bに送る。図示の画像形成装置Aは装置ハウジング50内に給紙部51と、画像形成部52と、排紙部53と、データ処理部54を備えている。
【0048】
給紙部51は、画像形成するためのシートを給紙スタッカ51a、51b、51c(給紙カセット)を備え、オペレータが選択したサイズのシートを1枚ずつ下流側の画像形成部52に繰り出す。
【0049】
画像形成部52は、給紙部51から選択されて給送されたサイズのシートに指定された画像データで画像を形成する。画像形成機構は、図示の静電印刷機構、インクジェット印刷機構、転写リボン印刷機構、サーマル印刷機構、オフセット印刷機構など種々の画像形成機構が採用可能である。
【0050】
図示の静電印刷機構について説明すると、感光体ドラム55に光学ビーム(発光器)56で潜像を形成し、現像器57でトナーインクを付着させてドラム表面に画像を形成する。そして給紙部51から送られたシートにチャージャ58で画像を転写させる。排紙部53は、チャージャ58から送られたシートを加熱して画像を定着させ、排紙経路59から排紙口60に移送する。この排紙口60には、デュープレックス経路61が連結され、排紙口60から搬出したシートの搬送方向を反転(スイッチバック搬送)させて、シートを表裏反転させて再び画像形成部52に給送し、シート裏面側に画像を形成した後に排紙口60から搬出する。
【0051】
図示62はスキャナユニットであり、原稿をセットするプラテン63と、プラテン上の原稿をスキャンして画像読み取りする読取キャリッジ64と、読み取った画像データを画像形成装置Aのデータ処理部54に転送する画像処理部65を備えている。
【0052】
図示66はフィーダユニットであり、給紙スタッカ67上にセットした原稿シートを1枚ずつ分離してプラテン63に給送し、読取後の原稿シートを排紙スタッカ68に収納する。
【0053】
[制御構成]
図1の画像形成システムにおける制御構成を説明する。図示のシステムは画像形成制御部43と、後処理制御部46で構成されている。画像形成制御部43は、モード選択手段44と入力手段45とを備え、オペレータが設定した画像形成モードに従って画像形成装置Aを制御する。これと共にモード選択手段44で設定された後処理モードを後処理制御部46にコマンド転送する。
【0054】
後処理制御部46は集積動作制御部46aと、綴じ処理動作制御部46bと、折り処理動作制御部46cと、排紙動作制御部46dで構成されている。排紙動作制御部46dには後続動作監視手段47と加圧手段制御手段48が設けられている。
【0055】
後続動作監視手段47は次のいずれかの方法で構成する。
(1)画像形成装置Aの制御部43から発信されたジョブエンド信号(後続シートの画像形成ジョブ終了)を、基準に「後続動作の終了」を判別する。
(2)画像形成装置Aの制御部43から送られた後続シートのシート枚数情報と画像形成条件から後続シートの「後続動作の終了タイミング(見込み)」を判別する。
(3)搬送経路12に配置されたセンサからのシート検出信号と、そのカウンターから、「後続動作の終了タイミング(見込み)」を判別する。
(4)搬送経路12に配置されたセンサからのシート検出信号のインターバルから後続シートの搬送終了タイミングを判別する。
【0056】
次に図7図8に従ってシート折り処理動作における動作フローを説明する。後処理装置Bの制御手段46は上流側の画像形成装置Aからシートが搬入されると搬送経路12の搬入口11からこのシートを受け入れる(シート搬入;St01)。制御手段46は搬送経路12の搬送手段を駆動してシートを搬送する。このとき制御手段46は搬入口11から送られたシートを分岐経路28から折り処理部B2に案内する(経路搬送;St02)。するとシートは集積ガイド26に積層状に積重ねられ、図示しない整合手段で排紙直交方向の姿勢を基準位置に整合される(シート集積&整合;St03)。
【0057】
制御手段46は集積部B1に搬入されたシートが最終シートであるか否かを判別し、最終シートのときには次ステップに移行する。この判別は画像形成装置Aからのジョブエンド信号で判断する方法などを採用する(最終シート判別;St04)。制御手段46はステープル処理が指定されているときには、集積されたシート束にステープル綴じ位置に移動する(ステープル処理;St05)。そして綴じ処理手段29でシート束の折目位置を綴じ処理する(綴じ処理動作;St06)。この場合のシート束の移動は先端規制ストッパ31をシフトモータM1で位置移動させる。
【0058】
綴じ処理動作の終了後、制御手段46はシート束を綴じ位置から折り位置に位置移動する。この移動はシフトモータM1の回転で行う(シート折位置送り;St07)。そして制御手段46はシート束の折り処理位置実行する(折り処理;St08)。この折り処理は折りロール手段32の回転と折りブレード手段33の待機位置から作動位置への移動によって行う。
【0059】
次に制御手段46は、折りロール手段32から搬出されるシートを排紙エリアArに移送する。この折りシートの移送は搬出ローラ対36の回転で行う(折りシート排紙経路移送;St09)。そして制御手段46は、後続シートがあるか否か判別する(St10)。
【0060】
「後続シートなしのとき」
制御手段46は増折り成形するか後処理モード設定時の設定コマンドを判断し、増折りしないときには、ステップSt14に移行する(St11)。また制御手段46は増折りするときには、折りシートSの後端を図示しないセンサで検出したとき、搬出ローラ対36を停止する。このとき排紙エリアAr内で折りシートSは搬出ローラ対36にニップされ加圧された状態で静止される(先行シート加圧成形開始;St12)。
【0061】
制御手段46は、所定の加圧時間が経過してか否かを判断する(St13)。この加圧時間は、前述したように後続するシートの集積動作を監視する手段からの時間経過信号か、或いはその見込み時間から設定される。そして制御手段46は所定の加圧時間が経過した段階で、先行シートを搬出する(先行シート排紙;St14)。この搬出動作は搬出ローラ対36を排紙モータで駆動回転させる。すると先行シートは下流側の収納部B4(マガジントレイ)に収納される(スタッカ収納;St15)。
【0062】
「後続シートありのとき」
ステップSt10で「後続シートあり」のときには、制御手段46は、増折り成形するか後処理モード設定時の設定コマンドから判断する(増折り成形;St16)。増折りしないときにはステップSt20のシート搬出動作に移行する。また、増折りするときには加圧時間を設定する。
【0063】
これと共に制御手段46は、後続シートを搬送経路12から集積部B1に案内して集積動作を並行して実行する(後続シートを集積&整合;St22)。そして例えば後続シートのジョブエンド信号も画像形成装置Aから受信するなど後続シートの集積動作の終了、または見込み時間を監視する(後続シートジョブエンド;St023)。
【0064】
制御手段46は上記監視手段から加圧手段Dによる加圧時間を設定する(加圧時間設定;St17)。そして、排紙エリアArに滞留させて先行シートの加圧を開始する(先行シート加圧開始;St18)。そこで制御手段46は、所定の設定時間は経過したか否か判断する(St19)。所定時間経過したときには制御手段46は排紙モータを起動して搬出ローラ対36を排紙方向に回転させる(先行シート排紙;St020)。すると先行シートはマガジントレイ27に収納される(スタッカ収納;St021)。
【符号の説明】
【0065】
B1 集積部
B2 折り処理部
B3 排紙部
B4 収納部
Ar 排紙エリア
D 増折り加圧ユニット
12 搬送経路
12a 経路分岐口
25 第2の後処理部
26 集積ガイド
27 マガジントレイ
28 分岐経路
32 折りロール手段
33 折りブレード手段
35 排紙ガイド部材
36 搬出ローラ対
36a 第1ローラ対
36b 第2ローラ対
36c 第3ローラ対
37 排紙経路
46 後処理制御部
47 後続動作監視手段
48 加圧手段制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9