(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前面パネルの後端と底面パネルの前端との間、該底面パネルの後端と背面パネルの前端との間、該背面パネルの後端と、鉤先部と鉤元部が前後で直角に屈曲形成されてその角部を上向きにした鉤状パネルの前端との間の夫々に屈伸自在なヒンジを介装して前面パネル、底面パネル、背面パネル、及び鉤状パネルを前後方向で直列に連結した連接パネルと、該連接パネルにおいて、底面パネルを介して前面及び背面パネルを対向する様に起曲すると共に、該背面パネルの後端のヒンジを有する後端縁を共有して背面パネルの後端に相隣る背面パネルの背面に前端面が接合される鉤先部を介して鉤元部が背面パネル後方で対向する様に鉤状パネルを垂曲した曲成状態で、前面パネル、底面パネル、及び背面パネルで囲繞される側方開口部を閉塞すると共に、鉤先部側面を掛止して鉤先部の背面パネルとの接合状態を保持する鉤先部側面形状に合致した舌状突片を備えた左右一対の側面パネルとから成ることを特徴とする植木鉢。
前面パネル、底面パネル、背面パネル、鉤状パネル、及び側面パネルは、熱可塑性樹脂をブロー成形した中空二重壁構造から成り、連接パネルにおいて前後で隣接する前記各パネルを連結するヒンジは、前記ブロー成形により同時に圧縮薄肉化して前記各パネル間に一体形成されていることを特徴とする請求項1記載の植木鉢。
連接パネルにおいて、背面パネルは前面パネルより前後に長く形成され、側面パネルは上記側方開口部を閉塞した組立状態で上側縁が前面パネル上端と背面パネル上端に連続する前方降下状の傾斜を有し、前記上側縁から鉛直方向に所定高さにわたって所定幅の切取り可能区画をノッチで切取り可能に仕切ったことを特徴とする請求項1又は2記載の植木鉢。
連接パネルにおいて、背面パネルと鉤状パネルの鉤元部には、上記曲成状態で同一軸線上に配置される貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の植木鉢。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の植木鉢は、その胴部の高さ方向中間より下方を一回り小さく形成して段差を設け、該段差を開口部端面に着座させる様にして複数の植木鉢を積み重ねる構造のため、上下の植木鉢間には、植木鉢の容積のほぼ半分の空間を生じていることとなり、有効な積み重ね状態とはいえない。
【0005】
また、この種の植木鉢では、持ち運びを考慮して比較的軽量なプラスチック製のものが一般的であるが、大量の培養土を収容できる様に大型化しても軽量化を維持するためには強度を高くできないため、大量の培養土を必要とする潅木等の比較的大きな植物やその他の多種多様な植物を生育して自然豊かな壁面緑化を表現することができないといった課題を有している。
【0006】
そこで、本発明では、展開状態で保管・運搬できる組立式にして収容スペースの最縮小化を図り、構成各部を中空二重壁構造にして大型化しても軽量で高強度と成した植木鉢を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明の植木鉢は、前面パネルの後端と底面パネルの前端との間、該底面パネルの後端と背面パネルの前端との間、該背面パネルの後端と、鉤先部と鉤元部が前後で直角に屈曲形成されてその角部を上向きにした鉤状パネルの前端との間の夫々に屈伸自在なヒンジを介装して前面パネル、底面パネル、背面パネル、及び鉤状パネルを前後方向で直列に連結した連接パネルと、該連接パネルにおいて、底面パネルを介して前面及び背面パネルを対向する様に起曲すると共に、該
背面パネルの後端のヒンジを有する後端縁を共有して背面パネルの後端に相隣る背面パネルの背面に前端面が接合される鉤先部を介して鉤元部が背面パネル後方で対向する様に鉤状パネルを垂曲した曲成状態で、前面パネル、底面パネル、及び背面パネルで囲繞される側方開口部を閉塞すると共に、鉤先部側面を掛止して鉤先部の背面パネルとの接合状態を保持する鉤先部側面形状に合致した舌状突片を備えた左右一対の側面パネルとから成ることを特徴とする。
又、前面パネル、底面パネル、背面パネル、鉤状パネル、及び側面パネルは、熱可塑性樹脂をブロー成形した中空二重壁構造から成り、連接パネルにおいて前後で隣接する前記各パネルを連結するヒンジは、前記ブロー成形により同時に圧縮薄肉化して前記各パネル間に一体形成されていることを特徴とする。
更に、連接パネルにおいて、背面パネルは前面パネルより前後に長く形成され、側面パネルは上記側方開口部を閉塞した組立状態で上側縁が前面パネル上端と背面パネル上端に連続する前方降下状の傾斜を有し、前記上側縁から鉛直方向に所定高さにわたって所定幅の切取り可能区画をノッチで切取り可能に仕切ったことを特徴とする。
そして、切取り可能区画は、側面パネルの上側縁から下方へ所定間隔置きに切取り可能に別途ノッチで上下に区切ったことを特徴とする。
又、側面パネルの上側縁頂部に灌水用ホースを受承する凹欠部を形成したことを特徴とする。
又、連接パネルにおいて、背面パネルと鉤状パネルの鉤元部には、上記曲成状態で同一軸線上に配置される貫通孔を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
要するに本発明は、上記した構成の組立式の植木鉢であって、組立前状態では各ヒンジが伸展した展開状態の連接パネルと左右一対の側面パネルの3ピースから成るので、連接パネル同士、側面パネル同士を積み重ねて収容すれば、その収容スペースの最縮小化を図ることができ、その保管・運搬コストを低減できる。
そして、各ヒンジを屈曲して底面パネルを介して前面及び背面パネルを対向する様に起曲すると共に、該背面パネルの背面に前端面が接合される鉤先部を介して鉤元部が背面パネル後方で対向する様に鉤状パネルを垂曲した連接パネルの曲成状態において、左右の側面パネルで前面パネル、底面パネル、及び背面パネルで囲繞される左右の側方開口部を閉塞すると共に、各側面パネルに備えられた鉤先部側面形状に合致した舌状突片で鉤先部側面を掛止して鉤元部の背面パネルとの接合状態を保持することにより、背面パネルと鉤状パネルとで横杆に吊り下げ可能な側面視逆U字状の引掛け部を後方に配した上方に開口部を有する箱形の植木鉢を簡単容易に組み立てることができる。
よって、建築物等の壁面に上下平行に横架した各段の上記横杆に植木鉢後方の上記引掛け部を掛止して多数の植木鉢を吊り下げ、壁面全体に多数の植木鉢を縦横に隙間なく配置し、各植木鉢内で植物を生育することにより壁面緑化を図ることができる。
又、背面パネルと鉤状パネルの鉤元部との間隔に対応した厚みを有し、断面形状が上下に長いC形のリップ溝形鋼を横杆とした場合では、該横杆に引掛け部を掛止しても、植木鉢が傾いて吊り下げられたり、前後に揺れ動いたりする様なことがなく、底面パネルを水平と成した安定した吊り下げ状態を保持でき、安全である。
【0009】
前面パネル、底面パネル、背面パネル、鉤状パネル、及び側面パネルは、熱可塑性樹脂をブロー成形した中空二重壁構造から成り、連接パネルにおいて前後で隣接する前記各パネルを連結するヒンジは、前記ブロー成形により同時に圧縮薄肉化して前記各パネル間に一体形成されているので、組み立てられた植木鉢を構成する前記各パネルが中空二重壁構造のため、植木鉢を軽量で高強度と成すことができ、植木鉢の大型化が可能となり、これにより大量の培養土を収容できるため、潅木等の比較的大きな植物の生育も可能で量感や変化に富んだ壁面緑化が可能となるだけでなく、植木鉢内部を保温できるため、寒冷地使用での植木鉢内の培養土や植物の凍結をも防止できる。
【0010】
連接パネルにおいて、背面パネルは前面パネルより前後に長く形成され、側面パネルは上記側方開口部を閉塞した組立状態で上側縁が前面パネル上端と背面パネル上端に連続する前方降下状の傾斜を有するので、組立られた植木鉢の上記開口部は、前面パネル上端とこれより上方で延出する背面パネル上端と左右の側面パネル上側縁によって前方に臨む矩形状の傾斜口と成しており、植木鉢内に植え込まれた植物の苗条は背面パネルと側面パネルによって左右と後方への伸長が阻まれ、前方に臨む傾斜口から前方へ指向する様に苗条の伸長方向を誘導させることができる。
よって、上記の様に、壁面全体に多数の植木鉢を縦横に隙間なく配置した場合に、各植木鉢内で成長する植物を、植木鉢の開口部である上記傾斜口が隠れるぐらいに生い茂らせて壁面緑化を促進させることができる。
又、側面パネルはその上側縁から鉛直方向に所定高さにわたって所定幅の切取り可能区画をノッチで切取り可能に仕切ったので、上記の様に壁面全体に多数の植木鉢を縦横に隙間なく配置した状態において、横手に並列した植木鉢列の左右外縁に位置する側面パネルのノッチで仕切られた切取り可能区画を切り取って切欠を形成することにより、該切欠を通して植物の苗条を食み出させられ、側面パネル自体が隠れるぐらいに苗条を生い茂らせて壁面緑化をより一層促進させることができる。
【0011】
切取り可能区画は、側面パネルの上側縁から下方へ所定間隔置きに切取り可能に別途ノッチで上下に区切ったので、切取り可能区画における前記上側縁からの切取り深さを植木鉢内の植物の種類や育成状況等に対応できる様に段階的に調整して所望深さの切欠を形成でき便利である。
【0012】
又、側面パネルの上側縁頂部に灌水用ホースを受承する凹欠部を形成したので、上記の様に壁面全体に多数の植木鉢を縦横に隙間なく配置した場合、横列に並設される植木鉢の凹欠部が同一水平直線上に配置されるため、その線上に沿って凹欠部が灌水用ホースの各所を受承することで、植木鉢の開口部後端縁の最上部に灌水用ホースを配管できるため、植木鉢内の苗条の伸長を妨げることがなく、上方から満遍なく下方の培養土へ散水できる。
【0013】
連接パネルにおいて、背面パネルと鉤状パネルの鉤元部には、上記曲成状態で同一軸線上に配置される結束線材挿通用の貫通孔を設けたので、上記の様に植木鉢後方の引掛け部を横杆に掛止した状態で背面パネルと鉤状パネルの貫通孔に、なまし鉄線や結束バンド等の結束線材を挿通し、該結束線材で引掛け部を横杆と共に括り付けることにより、植木鉢の吊り下げ姿勢を安定させられ、強風や地震等で引掛け部が横杆から外れて植木鉢が脱落する様な危険を未然に阻止でき、横杆を上記のリップ溝形鋼とした場合には、吊り下げ状態をより一層安定させられ、安全である等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
図1、8〜15に示す本発明に係る植木鉢1は、主に壁面緑化に用いられるものにして、前面パネル2の後端と底面パネル3の前端との間、該底面パネル3の後端と背面パネル4の前端との間、該背面パネル4の後端と、鉤先部5aと鉤元部5bが前後で直角に屈曲形成されてその角部5cを上向きにした鉤状パネル5の(鉤先部5a)前端との間の夫々に屈伸自在なヒンジ6を介装して前面パネル2、底面パネル3、背面パネル4、及び鉤状パネル5を前後方向で直列に連結した連接パネル7(
図2〜5参照)と、該連接パネル7において、底面パネル3を介して前面及び背面パネル2、4を対向する様に起曲すると共に、該
背面パネルの後端のヒンジを有する後端縁を共有して背面パネルの後端に相隣る背面パネル4の背面に前端面5dが接合される鉤先部5aを介して鉤元部5bが背面パネル4後方で対向する様に鉤状パネル5を垂曲した曲成状態で、前面パネル2、底面パネル3、及び背面パネル4で囲繞される側方開口部Sを閉塞すると共に、鉤先部側面5eを掛止して鉤先部5aの背面パネル4との接合状態を保持する鉤先部側面形状に合致した舌状突片8aを備えた左右一対の側面パネル8(
図6、7参照、左右対称のため一方のみを図示し、他方を省略する。)とから主に構成されている。
【0016】
前面パネル2、底面パネル3、背面パネル4、鉤状パネル5、及び側面パネル8は、熱可塑性樹脂をブロー成形することにより、間隔をおいて相対する内外壁を設けた中空二重壁構造から成り、連接パネル7において前後で隣接する各パネル2、3、4、5の前後端縁を連結するヒンジ6は、前記ブロー成形により同時に圧縮薄肉化することにより可撓性が付与されて各パネル2、3、4、5間に一体形成されている。
【0017】
連接パネル7において、前面パネル2は、
図2〜5に示される様に、その後端面をその内側縁から外側縁へ向かって下り傾斜する斜面と成し、後端から所定長さ前方にわたる下半部2aが横長矩形板状に形成され、該下半部2aより前方連続する上半部2bは前端へ向うに従い徐々に拡幅した横長逆台形板状に形成されると共に、所定角度を以て外側へ反り返して成り、前面パネル2の左右側端面はその内側縁から外側縁へ向かって下り傾斜する斜面(
図12参照)と成し、上半部2bの左右の外側縁中央には、斜め外向きに突設した舌状突片2cを上記ブロー成形により同時に圧縮薄肉化することにより可撓性を付与して前面パネル2に一体形成し、舌状突片2cの中央に透孔2dを形成している。
【0018】
連接パネル7において、底面パネル3は、
図2〜5に示される様に、前面パネル2の下半部2aと同幅の横長矩形板状に形成され、その前後左右端面をその内側縁から外側縁へ向かって下り傾斜する斜面と成し、左右の外側縁中央には、斜め外向きに突設した舌状突片3aを上記ブロー成形により同時に圧縮薄肉化することにより可撓性を付与して底面パネル3に一体形成し、舌状突片3cの中央に透孔3dを形成しており、同様に底面パネル3の平坦部の適宜6箇所を前記ブロー成形により同時に内外側から同一円形状に陥没して圧縮薄肉化した円板部3bを設け、該円板部3bの中心にこれより小径な排水孔3cを貫設している。
【0019】
連接パネル7において、背面パネル4は、
図2〜5に示される様に、前面パネル2より前後に長く(起曲させた時に対向する前面パネル2より長身に)形成、即ち、その前端面をその内側縁から外側縁へ向かって下り傾斜する斜面と成し、前端から所定長さ後方にわたる下方部4aが前面パネル2の下半部2aと同形の横長矩形板状に形成され、前記下方部4aより後方へ連続する中間部4bは後方へ向かうに従い徐々に拡幅した前面パネル2の上半部2bと同形の横長逆台形板状に形成されると共に、所定角度を以て外側へ反り返し、中間部4bより後方へ連続する上方部4cは横長矩形板状に形成されると共に、下方部4aより外側でこれと平行に配置され、背面パネル4の左右側端面は、後端縁に沿って極細な筋状部4dを残し、その内側縁から外側縁へ向かって下り傾斜する斜面と成し、中間部4bの左右の外側縁中央には、斜め外向きに突設した舌状突片4eを上記ブロー成形により同時に圧縮薄肉化することにより可撓性を付与して背面パネル4に一体形成し、舌状突片4eの中央に透孔4fを形成している。
【0020】
又、背面パネル4の上方部4cにおいて、中間部4b寄り下方の左右には、上記ブロー成形により同時に内外側から同一円形状に陥没して圧縮薄肉化した円板部を設け、該円板部とほぼ同径の貫通孔4gを設けている(
図13参照)。
【0021】
又、背面パネル4の上方部4cの外壁(背面)において、連接パネル7の曲成状態で鉤状パネル5における鉤先部5aの前端面5dが接合される部位には、横手一条の凹溝4hを形成している。
【0022】
連接パネル7において、鉤状パネル5は、
図2〜5に示される様に、背面パネル4の上方部4cより若干小幅に形成され、鉤先部5aは鉤元部5bに比し短尺に形成されると共に、鉤先部側面5eとこれに連続する鉤元部5b前端の側面は、鉤先部側面5eの前端上部の一部を突起5fとして残す様に、側面パネル8の舌状突片8aの肉厚程度分切欠している。
【0023】
又、鉤先部側面5eの中央には透孔5gを設け、前端面5dには、凹溝4hに挿嵌可能な突条5hを設けている(
図13参照)。
鉤元部5bには、連接パネル7の曲成状態で背面パネル4の貫通孔4gと同形にして同一軸線上に配置される貫通孔5iを設けている。
この貫通孔5iは、貫通孔4gと同様に、上記ブロー成形により同時に内外側から同一円形状に陥没して圧縮薄肉化して成る円板部を貫設することで形成される(
図13参照)。
【0024】
ヒンジ6は、前面パネル2の外壁後端縁と底面パネル3の外壁前端縁、底面パネル3の外壁後端縁と背面パネル4の外壁前端縁、背面パネル4の外壁後端縁と鉤状パネル5の内壁前端縁を夫々に連結している。
【0025】
これにより、底面パネル3を介して前面及び背面パネル2、4を対向する様に夫々を連結しているヒンジ6を以て起曲すると、前面パネル2の後端面と底面パネル3の前端面とが接合し、底面パネル3の後端面と背面パネル4の前端面とが接合して凹溝形に曲成変形させられる。
【0026】
そして、起立した背面パネル4に対し鉤状パネル5を垂曲すると、背面パネル4の背面の凹溝4hに鉤先部5aの前端部5dの突条5hが挿嵌されて背面パネル4の背面上部に前端部5dが接合され、鉤先部5aを介して背面パネル4後方で鉤元部5bを平行配置させられると共に、貫通孔4g、5iを同一水平軸線上に配置する様に曲成変形させられ、かかる状態で鉤先部側面5eの前端上部の突起5fは背面パネル4側端面の上端縁の筋状部4dに連続する(
図5、13参照)。
【0027】
連接パネル7の上記曲成状態において、前面パネル2、底面パネル3、及び背面パネル4により構成される側方開口部Sに合致してこれを閉塞する側面パネル8は、
図6〜15に示される様に、その側方開口部Sより若干小形で中空二重壁構造の基体8bを設け、該基体8bの前後側縁及び下側縁には、前面パネル2、底面パネル3、及び背面パネル4の側端面の夫々に接合可能に外方突出した接合代8cを設けており、側方開口部Sを閉塞した組立状態で側面パネル8上側縁8dが前面パネル2上端と背面パネル4上端に連続する前方降下状の傾斜を有する様に成している。
【0028】
接合代8cにおいて、後側縁の上端後方には、後方へ突出する舌状突片8aが一体形成されており、該舌状突片8aを含む接合代8cは、上記ブロー成形により同時に圧縮薄肉化することにより可撓性が付与されて基体8bに一体形成され、曲成状態の連接パネル7において、前面パネル2の舌状突片2c、底面パネル3の舌状突片3a、背面パネル4の舌状突片4e、及び鉤状パネル5(鉤先部5a)の各透孔2d、3d、4f、5gに対応した4箇所に、透孔8eを貫設している。
【0029】
又、接合代8cにおいて、後側縁の上端には、曲成状態の連接パネル7において、背面パネル4側端面の筋状部4d後方と、該筋状部4d後方に連続する鉤先部側面5eの突起5fとを掛止する凹部8fを切欠形成している(
図1、10参照)。
【0030】
更に、側面パネル8の基体8bにおいて、その上側縁8dから鉛直方向に所定高さにわたって所定幅の縦長帯状の切取り可能区画(図示例では前後2箇所)9を上記ブロー成形により同時に圧縮薄肉化すると共に、その表裏を更に極細凹溝状のノッチ9aで鋏やナイフ等の道具にて切取り可能に仕切っている。
【0031】
切取り可能区画9は、側面パネル8の上側縁8dから下方へ所定間隔置きに切取り可能に別途ノッチ9bで上下に区切っている。
【0032】
又、側面パネル8の基体8bにおいて、その上側縁8dの傾斜頂部に後述の園芸棚Tに設置される散水装置Wに装備された灌水用ホースW1を受承する凹欠部8gを形成している。
【0033】
そして、曲成状態の連接パネル7に対し、左右の側方開口部Sを側面パネル8の基体8bで閉塞することにより、接合代8cの前後側縁及び下側縁を夫々に前面パネル2、背面パネル4及び底面パネル3の側端面に接合すると共に、筋状部4d後方とこれに連続する突起5fを接合代8cの凹部8f内に掛止し、連接パネル7の各透孔2d、3d、4f、5gに接合代8cの各透孔8eを合致させて、連通する透孔2d、3d、4f、5g、8eの夫々に側面パネル8の外側から既存のブラインドリベットRを差し込み、該ブラインドリベットRの差し込み基端を装着した図示しない専用工具を用いて差し込み先端側をかしめ、これにより曲成状態の連接パネル7に側面パネル8を簡単容易に鋲着接合し、植木鉢1の組み立てを完了する。
【0034】
この植木鉢1にあっては、各側面パネル8に備えられた鉤先部5a側面形状に合致した舌状突片8aが鉤先部5a側面をブラインドリベットRで以て鋲着掛止して鉤元部5bの背面パネル4との接合状態を保持できるため、背面パネル4と鉤状パネル5とで後述の横杆T1に吊り下げ可能な側面視逆U字状の引掛け部10を後方に配した上方に開口部Mを有する箱形に組み上げられる。
【0035】
又、植木鉢1を構成する前面パネル2、底面パネル3、背面パネル4、鉤状パネル5、及び側面パネル8が中空二重壁構造のため、植木鉢1を軽量で高強度と成すことができ、植木鉢1の大型化が可能となり、これにより大量の培養土を収容できるため、潅木等の比較的大きな植物の生育も可能で量感や変化に富んだ壁面緑化が可能となるだけでなく、植木鉢1内部を保温できるため、寒冷地使用での植木鉢1内の培養土や植物の凍結をも防止できる。
【0036】
尚、組み立て前の植木鉢1は、各ヒンジ6が伸展した展開状態の連接パネル7と左右一対の側面パネル8の3ピースから成るので、
図3、7の二点鎖線で示す様に連接パネル7同士、側面パネル8同士を重ね合わせて収容すれば、その収容スペースの最縮小化を図れ、その保管・運搬コストを低減できる。
【0037】
次に、壁面緑化のために植木鉢1専用の園芸棚Tを用いた植木鉢1の設置例を
図16〜19に基づき説明する。
【0038】
園芸棚Tは、長尺なリップ溝形鋼を横杆T1と、短尺なリップ溝形鋼を縦杆T2と、所定高さの軽山形鋼から成る支柱T3とからなり、四方に立設した支柱T3の左右間に複数本の横杆T1を上下平行に横架すると共に、支柱T3の前後間に縦杆T2を上下平行に横架することにより構成されている。
尚、横杆T1及び縦杆T2の支柱T3に対する連結は、その連結各所に挿通したボルトをナットで締結することで成し得る。
【0039】
そして、図示しない建築物等の壁面前方に所定数の園芸棚Tを並設し、該園芸棚Tにおいて、前方に架設された各段の横杆T1に植木鉢1後方の引掛け部10を掛止して多数の植木鉢1を吊り下げ、これにより壁面全体に多数の植木鉢1を縦横に隙間なく配置することと成り、各植木鉢1内で植物を生育することにより壁面緑化を図ることができる。
【0040】
又、横杆T1として、これに掛止される引掛け部10の隙間(背面パネル4と鉤元部5bとの間隔)に対応した厚みを有し、その厚みよりも上下に長いC形のリップ溝形鋼を用いた場合、横杆T1に引掛け部10を掛止した時に、植木鉢1が前傾して吊り下げられたり、前後に揺れ動いたりする様なことなく、底面パネル3を水平に保持した安定的な吊り下げ状態を保持でき、安全である(
図17、19参照)。
【0041】
更に横杆T1に引掛け部10を掛止した状態で、背面パネル4と鉤状パネル5の貫通孔4g、5iに、なまし鉄線や結束バンド等の結束線材Qを挿通し、該結束線材Qで引掛け部10を横杆T1と共に括り付けることにより、植木鉢1の吊り下げ姿勢をより一層安定させられ、強風や地震等で引掛け部10が横杆T1から外れて植木鉢1が脱落する様な危険を未然に阻止できる。
【0042】
植木鉢1の上方開口部Mは、前面パネル2上端とこれより上方で延出する背面パネル4上端と左右の側面パネル8上側縁8dによって前方に臨む矩形状の傾斜口Mと成しており、植木鉢1内に植え込まれた植物の苗条は背面パネル4と側面パネル8によって左右と後方への伸長が阻まれ、前方に臨む傾斜口Mから前方へ指向する様に苗条の伸長方向を誘導させられ、園芸棚Tを用いることによって壁面前方に多数の植木鉢1を縦横に隙間なく配置すれば、各植木鉢1内で成長する植物を、植木鉢1の開口部(傾斜口)Mが隠れるぐらいに生い茂らせて壁面緑化を促進させることができる。
【0043】
上記の様に園芸棚Tに多数の植木鉢1を縦横に隙間なく配置した状態において、横手に並列した植木鉢列の左右外縁に位置する側面パネル8のノッチ9aで仕切られた切取り可能区画9を切り取って切欠Nを形成することにより、該切欠Nを通して植物の苗条を食み出させられ、側面パネル8自体が隠れるぐらいに苗条を生い茂らせて、植物で園芸棚Tや植木鉢1を隠蔽し、壁面緑化をより一層促進させることができる(
図18、19参照)。
【0044】
又、切取り可能区画9は、側面パネル8の上側縁8dから下方へ所定間隔置きに切取り可能に別途ノッチ9bで上下に区切ったので、切取り可能区画9における上側縁8dからの切取り深さを植木鉢1内の植物の種類や育成状況等に対応できる様に段階的に調整して所望深さの切欠Nを形成でき便利である。
尚、
図13では、切取り可能区画9の下から一段目のノッチ9bより上方を切り取ってできた切欠Nを示し、
図18、19では、切取り可能区画9全てを切り取った切欠Nを示す。
【0045】
又、園芸棚Tにおいて、横列の植木鉢1の側面パネル8の上側縁8d頂部に形成される各凹欠部8gが、同一水平直線上に沿って灌水用ホースW1の各所を受承することで、植木鉢1の開口部M後端縁の最上部に灌水用ホースW1を配管できるため、植木鉢1内の苗条の伸長を妨げることがなく、上方から満遍なく下方の培養土へ散水できる。
【0046】
尚、灌水用ホースW1は、その長さ方向適所に散水孔(図示せず)を穿設して成り、各段の植木鉢列毎に上記の様に配管され、各段の灌水用ホースW1はチーズ管やエルボ管等の管継手W2と接続管W3を使用して主管W4に接続され、該主管W4をコントローラーW5を介して給水側に接続することにより散水装置Wを構成しており、コントローラW5により、灌水用ホースW1からの散水時間や散水量等が自動制御される様に成している。
【解決手段】前面パネル2後端と底面パネル3前端との間、底面パネル3後端と背面パネル4前端との間、背面パネル4後端と、鉤先部5aと鉤元部5bが前後で直角に屈曲形成されて角部5cを上向きにした鉤状パネル5前端との間の夫々に屈伸自在なヒンジ6を介装して前後方向で直列に連結した連接パネル7と、連接パネル7において、底面パネル3を介して前面及び背面パネル2、4を対向起曲し、背面パネル4背面に前端面が接合される鉤先部5aを介して鉤元部5bが背面パネル4後方で対向する様に鉤状パネル5を垂曲した曲成状態で、前面パネル2、底面パネル3、背面パネル4で囲繞される側方開口部Sを閉塞し、鉤先部側面5eを掛止して鉤先部5aの背面パネル4との接合状態を保持する鉤先部側面形状に合致した舌状突片8aを備えた左右一対の側面パネル8とから構成する。