(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<1.第1実施形態>
<1−1.モータ駆動装置の構成>
まず、モータ駆動装置1の構成について、
図1を参照しつつ説明する。
図1は、第1実施形態に係るモータ駆動装置1の構成を示すブロック図である。このモータ駆動装置1は、モータ9に駆動電流を供給することによりモータ9の駆動を制御するための装置である。
【0012】
本実施形態では、モータ駆動装置1の駆動対象となるモータ9は、3相ブラシレスDCモータである。モータ9は、U相、V相、W相の各相の固定子巻線を有する。各相の固定子巻線に駆動電流S41が供給されると、固定子と回転子との間にトルクが発生し、回転子が回転駆動する。ただし、本発明に係るモータ駆動装置の駆動対象となるモータは、単相モータやブラシ付きモータであってもよい。
【0013】
また、本実施形態のモータ9は、ベルトコンベアやチェーンブロック等の産業用機械を駆動させるためのモータである。モータ駆動装置1は、当該産業用機械の駆動中における事故を防止するため、緊急停止指令の入力に応じてモータ9へ供給される駆動電流を遮断するセーフトルクオフ(STO)機能を有する。
【0014】
図1に示すように、モータ駆動装置1は、緊急停止指令部20、演算部30、インバータ部40および駆動信号遮断部50を有する。緊急停止指令部20には、外部から緊急停止指令S12が入力される。緊急停止指令部20は、緊急停止指令S12が入力されると、緊急停止信号S20を演算部30の後述する停止信号入力部32と、駆動信号遮断部50とに出力する。
【0015】
演算部30は、外部から入力される駆動指令S11に従って、インバータ部40に駆動信号S31を出力する。演算部30は、駆動信号生成部31、停止信号入力部32、および検知信号入力部33を有する。本実施形態では、演算部30の各部はマイクロコントローラにより構成されている。
【0016】
駆動信号生成部31は、外部から入力される駆動指令S11に従って、PWM信号である駆動信号S31を生成し、インバータ部40の後述するスイッチング回路41へと出力する。駆動信号S31は、スイッチング回路41の有する3対のスイッチング素子に対する3対の電圧信号である。
【0017】
停止信号入力部32には、緊急停止指令部20から緊急停止信号S20が入力される。停止信号入力部32は、緊急停止信号S20が入力されると、駆動信号生成部31へ第1停止信号S32を出力する。また、緊急停止信号S20が入力されていない場合、停止信号入力部32は第1停止信号S32の出力を停止する。
【0018】
停止信号入力部32から駆動信号生成部31に第1停止信号S32が入力されると、駆動信号生成部31は、駆動指令S11が入力されている場合であっても、駆動信号S31の出力を停止する。このように、緊急停止指令部20、停止信号入力部32および駆動信号生成部31により、緊急停止指令S12が入力された際にモータ9への駆動電流S41の供給を遮断する第1のSTO機能が実現される。
【0019】
検知信号入力部33には、後述する異常検出部43から検知信号S43が入力される。異常検出部43から入力される検知信号S43が後述する平常信号S431である場合、検知信号入力部33は、第2停止信号S33の出力を停止する。一方、異常検出部43から入力される検知信号S43が後述する異常信号S432である場合、検知信号入力部33は、駆動信号生成部31へ第2停止信号S33を出力する。そして、検知信号入力部33から駆動信号生成部31に第2停止信号S33が入力されると、駆動信号生成部31は、駆動指令S11が入力されている場合であっても、駆動信号S31の出力を停止する。
【0020】
インバータ部40は、駆動信号生成部31から入力される駆動信号S31に基づいて、駆動電流S41をモータ9に供給する。インバータ部40は、スイッチング回路41、温度センサ42および異常検出部43を有する。
【0021】
スイッチング回路41は、モータ9の各相に駆動電流を供給する複数のスイッチング素子を有する。本実施形態のスイッチング回路41は、6個のスイッチング素子を有する。当該6個のスイッチング素子には、モータ9のU相、V相、W相の各相について各1対(計3対)の駆動信号S31が入力される。スイッチング回路41は、各スイッチング素子の駆動タイミングを切り替えて、駆動電流S41を生成する。これにより、モータ9の回転が制御される。
【0022】
なお、本実施形態では、モータ9が3相モータであるため、スイッチング回路41の有するスイッチング素子の数が6個となっている。本発明のモータ駆動装置は、単相モータ等の他の仕様のモータに駆動電流を供給するものであってもよい。その場合、スイッチング回路41の有するスイッチング素子の数は、モータの種類によって異なる。
【0023】
温度センサ42は、スイッチング回路41の温度を検知するセンサである。本実施形態の温度センサ42は、スイッチング回路41の6個のスイッチング素子と同じパッケージ内に備えられている。温度センサ42は、検知したスイッチング回路41の温度S42を、異常検出部43に出力する。
【0024】
異常検出部43は、モータ9の駆動状態に基づいて、演算部30の検知信号入力部33へ検知信号S43を出力する。異常検出部43は、モータ9が平常駆動状態であると判断すると、検知信号S43として平常信号S431を出力する。また、異常検出部43は、モータ9が異常状態であると判断すると、検知信号S43として異常信号S432を出力する。
【0025】
上述の様に、異常検出部43から検知信号入力部33へ異常信号S432が入力されると、検知信号入力部33は、駆動信号生成部31へ第2停止信号S33を出力する。そして、検知信号入力部33から駆動信号生成部31に第2停止信号S33が入力されると、駆動信号生成部31は、駆動指令S11が入力されている場合であっても、駆動信号S31の出力を停止する。このように、異常検出部43、検知信号入力部33および駆動信号生成部31により、モータ9が異常状態となった際にモータ9への駆動電流S41の供給を遮断する保護機能が実現される。
【0026】
STO機能によりモータ9への駆動電流が遮断された後に緊急停止指令S12が解除されると、モータ9が再駆動する。モータ駆動装置1は、上記の保護機能を有する事により、再駆動時にモータ9が急加速などの異常状態に陥った場合に、モータ9への駆動電流S41の供給を遮断する。これにより、モータ9の再駆動時における安全性が向上する。
【0027】
本実施形態の異常検出部43は、温度センサ42が検出した温度S42に基づいてモータ9が異常状態であるか平常駆動状態であるかを判断する。温度S42が予め設定された閾値よりも低い温度である場合、異常検出部43は、モータ9が平常駆動状態であると判断する。このとき、異常検出部43は、0でない所定の電圧値を有する平常信号S431を出力する。また、温度S42が予め設定された閾値よりも高い温度である場合、異常検出部43は、モータ9が異常状態であると判断する。このとき、異常検出部43は、平常信号S431と異なる0でない所定の電圧値を有する異常信号S432を出力する。
【0028】
このように、モータが平常駆動状態である場合に、異常検出部43が検知信号S43の出力を停止するのではなく、平常信号S431を出力する。検知信号入力部33は、検知信号S43が入力されない場合、駆動信号生成部31へ第2停止信号S33を出力する。検知信号S43が入力されない場合、異常検出部43を含むインバータ部40が駆動停止していたり、異常検出部43や異常検出部43と検知信号入力部33との間において検知信号S43の信号ラインに障害が発生していたりすることが想定される。
【0029】
このような場合に検知信号入力部33が第2停止信号S33を出力することにより、駆動信号生成部31が、駆動していないインバータ部40に対して駆動信号S31を出力することを防止できる。また、異常検出部43が異常状態を検知不可能な状態のまま、駆動信号生成部31がインバータ部40に対して駆動信号S31を出力し、モータが異常状態のまま駆動し続けることをより抑制できる。
【0030】
なお、平常信号S431および異常信号S432を含む検知信号S43は、電圧信号ではなく、電流信号であってもよい。その場合、平常信号S431は0でない所定の電流値を有する信号であり、異常信号S432は平常信号S431と異なる0でない所定の電流値を有する信号となる。
【0031】
駆動信号遮断部50は、演算部30の駆動信号生成部31とインバータ部40のスイッチング回路41との間において、駆動信号S31の信号ライン上に設けられる信号遮断回路である。駆動信号遮断部50は、緊急停止指令部20から緊急停止信号S20が入力されると、駆動信号生成部31とスイッチング回路41との間において駆動信号S31の信号ラインを遮断する。
【0032】
駆動信号遮断部50は、ハードウェア的に駆動信号S31の信号ラインを遮断する。そのため、緊急停止指令部20から出力された緊急停止信号S20が停止信号入力部32と駆動信号遮断部50とに同時に入力された場合、駆動信号生成部31がソフトウェア的に駆動信号S31の出力を停止するよりも速く、駆動信号遮断部50が駆動信号S31の信号ラインを遮断できる。これにより、演算部30のみに緊急停止信号S20が入力される場合と比べ、より迅速に駆動電流S41の供給を停止できる。
【0033】
このように、緊急停止指令部20および駆動信号遮断部50により、緊急停止指令S12が入力された際にモータ9への駆動電流S41の供給を遮断する第2のSTO機能が実現される。
【0034】
また、本実施形態では、異常検出部43から出力される検知信号S43は、演算部30を構成するマイクロコントローラの優先ポートに入力される。これにより、検知信号S43の入力による演算部30の動作は、演算部30が行う他の全ての動作よりもハードウェア的に優先される。すなわち、演算部30は、検知信号S43として異常信号S432が入力されると、演算部30が行う他の全ての動作よりも優先して駆動信号S31の出力を停止する。したがって、モータ9が異常状態に陥った際に、迅速にモータ9を停止できる。
【0035】
<1−2.演算部の動作について>
次に、演算部30の動作について
図2を参照しつつ説明する。
図2は、モータ9の使用時におけるモータ駆動装置1の演算部30の動作の流れを示したフローチャートである。
【0036】
図2に示すように、モータ駆動装置1が起動すると、まず、演算部30は、駆動指令S11が駆動信号生成部31に入力されたか否かを判断する(ステップST101)。駆動指令S11がオフである場合、再びステップST101へ戻り、待機状態となる。また、駆動指令S11がオンになると、駆動信号生成部31は、駆動信号S31の算出および出力を開始する(ステップST102)。
【0037】
駆動信号S31の出力を行っている間、演算部30は、停止信号入力部32に緊急停止信号S20が入力されているか否かを判断する(ステップST103)。ステップST103において停止信号入力部32に緊急停止信号S20が入力されていない場合、次に、演算部30は、検知信号入力部33に異常信号S432が入力されているか否かを判断する(ステップST104)。ステップST104において検知信号入力部33に異常信号S432が入力されていない場合、続いて、演算部30は、駆動信号生成部31に駆動指令S11が入力されているか否か、すなわち、駆動指令S11がオンであるか否かを判断する(ステップST105)。
【0038】
ステップST105において、引き続き駆動指令S11がオンであると演算部30が判断した場合、ステップST103に戻る。ステップST103〜ステップST105を繰り返すことにより、駆動信号S31を出力している間ずっと、緊急停止信号S20の入力、異常信号S432の入力、および駆動指令の終了などの駆動電流S41の供給を停止すべき事態が発生していないか否かを監視し続ける。
【0039】
ステップST105において、駆動指令S11がオフとなり、駆動信号生成部31への駆動指令S11の入力が停止すると、駆動信号生成部31は駆動信号S31の出力を停止する(ステップST106)。そして、ステップST101へと戻る。
【0040】
駆動信号S31の出力を行っている間にモータ駆動装置1に緊急停止指令S12が入力された場合、緊急停止指令部20が緊急停止信号S20を停止信号入力部32へ出力する。これにより、ステップST103において、演算部30は、緊急停止信号S20が入力されたと判断する。その場合、停止信号入力部32が駆動信号生成部31へ第1停止信号S32を出力することにより、駆動信号生成部31は駆動信号S31の出力を停止する(ステップST107)。
【0041】
その結果、スイッチング回路41に駆動信号S31が入力されず、モータ9への駆動電流S41の供給が停止する。すなわち、第1のSTO機能が働くことにより、モータ9への駆動電流S41の供給が停止する。
【0042】
なお、本実施形態では、緊急停止指令部20は、緊急停止信号S20を停止信号入力部32へ出力するのと同時に、駆動信号遮断部50へも出力する。これにより、第2のSTO機能が働き、モータ9への駆動電流S41の供給が停止する。このように、本実施形態のモータ駆動装置1は、2つのSTO機能を有する事により、モータ9の使用時の安全性を向上させている。
【0043】
その後、演算部30は、緊急停止信号S20が解除されたか否かを判断する(ステップST108)。ステップST108において、緊急停止信号S20が依然入力されている場合、ステップST108を繰り返す。すなわち、演算部30は、緊急停止信号S20が解除されるまで待機状態となる。そして、緊急停止信号S12が解除されると、演算部30は、駆動指令S11が入力されているか否かを判断する(ステップST109)。
【0044】
緊急停止信号S12が解除された際に、駆動指令S11がオフになっている場合、ステップST109からステップST101へと戻る。また、緊急停止信号S12が解除された際に、駆動指令S11がオンである場合、駆動信号生成部31は、駆動信号S31の出力を再開する(ステップST110)。そして、ステップST103へと戻る。
【0045】
駆動信号S31の出力を行っている間にモータ9に異常が生じた場合(本実施形態においては、温度センサ42の検出した温度が閾値よりも高い温度である場合)、異常検出部43が演算部30へ異常信号S432を出力する。これにより、ステップST104において、演算部30は、異常信号S432が入力されたと判断する。このとき、検知信号入力部33が駆動信号生成部31へ第2停止信号S33を出力することにより、駆動信号生成部31は駆動信号S31の出力を停止すると同時に、アラームを出力する(ステップST111)。演算部30がアラームを出力すると、例えば、アラーム音が鳴ったり、アラームランプが点灯するなど、作業者がモータ9の異常状態を認知できる状態となる。
【0046】
このように、このモータ駆動装置1では、モータ9に異常が生じた場合に、保護機能が働く。すなわち、STO機能によりモータ9の駆動が停止した後において、再駆動時にモータ9の挙動が不安定になるのを、当該保護機能によって抑制できる。これにより、モータ9の使用時の安全性をより向上できる。
【0047】
ステップST111において駆動信号S31の出力が停止すると、演算部30は、駆動指令S11がオフとなったか否かを判断する(ステップST112)。ステップST112において、駆動指令S11が依然入力されている場合、ステップST112を繰り返す。すなわち、演算部30は、駆動指令S11がオフになるまで待機状態となる。そして、駆動指令S11がオフになると、演算部30は、アラームの出力を停止し、アラームをリセットする(ステップST113)。そして、ステップST101へと戻る。
【0048】
ステップST111〜ST113により、演算部30に異常信号S432が入力された場合、駆動指令S11が一旦オフとなった後で駆動指令S11が再入力された場合に限り、演算部30は駆動信号S31を出力できる。異常信号S432が演算部30に入力された場合、その時点で入力されている駆動指令S11に従って再度駆動信号S31を出力したとしても、モータ9が再度異常状態となる可能性が高い。そのため、異常信号S432の入力後は、駆動指令S11を一旦オフし、再入力させることにより、緊急停止後にモータ9が異常状態となることを防止できる。
【0049】
すなわち、STO機能によりモータ9の駆動が停止した後において、再駆動時にモータ9の挙動が不安定になるのを、より抑制できる。これにより、モータ9の使用時の安全性をさらに向上できる。
【0050】
<2.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態には限定されない。
【0051】
図3は、一変形例に係るモータ駆動装置1Aの構成を示すブロック図である。モータ駆動装置1Aは、緊急停止指令部20A、演算部30A、インバータ部40A、駆動信号遮断部50Aおよびスイッチ部60Aを有する。
【0052】
図3の例では、スイッチング回路41Aは、シャント抵抗(図示せず)を有する。異常検出部43Aには、当該シャント抵抗における電圧降下の電圧値であるシャント電圧S411Aが入力される。これにより、モータ9Aからシャント抵抗へモータ電流S9Aが流れ込むことにより、異常検出部43Aは、モータ9Aに流れる電流値を検出できる。異常検出部43Aは、シャント電圧S411Aが予め設定された閾値を超えた場合にモータ9Aが異常状態であると判断する。
【0053】
なお、インバータ部40Aがシャント抵抗に代えて電流センサを有してもよい。その場合、当該電流センサが、モータ電流S9Aの電流値を検出し、当該電流値を信号として異常検出部43Aへ入力する。そして、異常検出部43Aは、電流センサの検出したモータ電流S9Aの電流値が予め設定された閾値を超えた場合にモータ9Aが異常状態であると判断する。
【0054】
異常検出部43Aは、モータ9Aが平常駆動状態であると判断すると、検知信号S43Aとして平常信号S431Aを出力する。また、異常検出部43Aは、モータ9Aが異常状態であると判断すると、検知信号S43Aとして異常信号S432Aを出力する。なお、平常信号S431Aは0でない所定の電圧値を有する電圧信号であり、異常信号S432Aは平常信号S431Aよりも大きい所定の電圧値を有する電圧信号である。
【0055】
スイッチ部60Aは、NPN型のトランジスタ61Aを有する。トランジスタ61Aのベースには、緊急停止指令部20Aから緊急停止信号S20Aが入力される。トランジスタ61Aのコレクタは、異常検出部43Aと演算部30Aの検知信号入力部33Aとの間において検知信号S43Aの信号ラインに接続される。また、トランジスタ61Aのエミッタは接地される。
【0056】
スイッチ部60Aに緊急停止指令部20Aから緊急停止信号S20Aが入力されると、トランジスタ61Aのコレクタからエミッタへと電流が流れる。これにより、検知信号入力部33Aに入力される検知信号S43Aの電圧値が低下する。モータ9Aの平常駆動状態において、スイッチ部60Aに緊急停止信号S20Aが入力されると、検知信号入力部33Aに入力される検知信号S43は、平常信号S431Aから、平常信号S431Aよりも小さい所定の電圧値を有する停止信号S433Aへと変化する。
【0057】
検知信号入力部33Aは、検知信号S43Aが停止信号S433Aであると判断すると、駆動信号生成部31Aへ第2停止信号S33Aを出力する。これにより、駆動信号生成部31Aは、駆動指令S11Aが入力されている場合であっても、駆動信号S31Aの出力を停止する。
【0058】
このように、
図3の例では、緊急停止指令部20、検知信号入力部33、異常検出部43およびスイッチ部60Aにより、緊急停止指令S12Aが入力された際にモータ9Aへの駆動電流S41Aの供給を遮断する第3のSTO機能が実現される。3つのSTO機能を有することにより、モータ9Aの使用時における安全性をより向上できる。
【0059】
なお、
図3の例では、検知信号S43Aが電圧信号であったが、検知信号S43Aが電流信号であってもよい。その場合、スイッチ部60Aは、緊急停止指令S12Aが入力されると、検知信号S43Aの電流値を変化させる。
【0060】
図4は、他の変形例に係るモータ駆動装置1Bの構成を示すブロック図である。モータ駆動装置1Bは、緊急停止指令部20B、演算部30B、インバータ部40Bおよび駆動信号遮断部50Bを有する。
【0061】
異常検出部43Bは、モータ9Bが平常駆動状態であると判断すると、検知信号S43Bの出力を停止する。また、異常検出部43Bは、モータ9Bが異常状態であると判断すると、演算部30Bの検知信号入力部33Bと駆動信号遮断部50Bとに対し、検知信号S43Bとして異常信号S432Bを出力する。このように、異常検出部43Bは、モータ9Bが平常駆動状態である場合に、検知信号S43Bとして0でない電流値または電圧値を有する平常信号を出力する代わりに、検知信号S43Bの出力を停止してもよい。
【0062】
異常信号S432Bが駆動信号遮断部50Bに入力されると、駆動信号遮断部50Bは、演算部30Bの駆動信号生成部31Bとインバータ部40Bのスイッチング回路41Bとの間において、駆動信号S31Bの信号ラインを遮断する。これにより、演算部30Bのみに異常信号S432Bが入力される場合と比べ、モータ9Bが異常状態に陥った際に、より確実にモータ9Bへの駆動電流S41Bの供給を停止できる。すなわち、モータ9Bの使用時における安全性をより向上できる。
【0063】
図5は、他の変形例に係るモータ駆動装置1Cの構成を示すブロック図である。モータ駆動装置1Cは、緊急停止指令部20C、演算部30C、インバータ部40Cおよび駆動信号遮断部50Cを有する。
【0064】
図5の例では、インバータ部40Cは、スイッチング回路41C、温度センサ42C、異常検出部43Cおよびインバータ遮断部44Cを有する。インバータ遮断部44Cは、インバータ部40Cの内部であって、演算部30Cの駆動信号生成部31Cとスイッチング回路41Cとの間における駆動信号S31Cの信号ライン上に設けられる。
【0065】
異常検出部43Cは、温度センサ42Cから入力される温度S42Cに基づいてモータ9Cが異常状態であると判断すると、演算部30Cの検知信号入力部33Cと、インバータ遮断部44Cとに検知信号S43として異常信号S432Cを出力する。インバータ遮断部44Cは、異常検出部43Cから異常信号S432Cが入力されると、駆動信号生成部31Cとスイッチング回路41Cとの間において駆動信号S31Cの信号ラインを遮断する。これにより、演算部30Cのみに検知信号S43Cが入力される場合と比べ、モータ9Cが異常状態に陥った際に、より確実にモータ9Cへの駆動電流S41Cの供給を停止できる。すなわち、モータ9Cの使用時における安全性をより向上できる。
【0066】
また、上記の実施形態では、緊急停止信号が演算部と駆動信号遮断部との両方に入力されることにより、第1のSTO機能および第2のSTO機能の2つのSTO機能が実現されたが、本発明はこの限りではない。緊急停止信号は、演算部と駆動信号遮断部とのいずれか一方のみに入力されてもよい。その場合であっても、第1のSTO機能および第2のSTO機能のいずれか一方のSTO機能が実現される。
【0067】
また、上記の実施形態や変形例では、異常検出部は少なくとも演算部に検知信号を出力したが、本発明はこの限りではない。異常検出部は、駆動信号遮断部のみに検知信号を出力してもよい。すなわち、異常検出部は、演算部および駆動信号遮断部の少なくとも一方に検知信号を出力すればよい。これにより、モータが異常状態に陥った際に、モータへの駆動電流の供給を停止できる。
【0068】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。