(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ロイシン換算量(L)とイソロイシン換算量(I)及びバリン換算量(V)の合計量の質量比[(L):{(I)+(V)}]が1:3〜10:1である請求項6記載の固形状組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いられる(A)分岐鎖アミノ酸は、その構造中に枝分かれした炭素鎖をもつアミノ酸である。分岐鎖アミノ酸としては、例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、筋肉増強効果の点から、分岐鎖アミノ酸として、ロイシンを含有することが好ましく、更にロイシンに加えてイソロイシン又はバリンを含有することが好ましく、更にロイシン、イソロイシン及びバリンを含有することが好ましい。
【0011】
分岐鎖アミノ酸として、ロイシンに加えてイソロイシン又はバリンを含有する場合、筋肉増強効果の点、風味の点から、ロイシン換算量(L)とイソロイシン換算量の質量比[(L):(I)]、又はロイシン換算量(L)とバリン換算量(V)の質量比[(L):(V)]は、それぞれ1:3〜10:1であるのが好ましく、更に1:3〜6:1、更に1:2〜4:1、更に1:2〜2:1であるのが好ましい。
分岐鎖アミノ酸として、ロイシン、イソロイシン及びバリンを含有する場合、筋肉増強効果の点、風味の点から、ロイシン換算量(L)とイソロイシン換算量(I)及びバリン換算量(V)の合計量の質量比[(L):{(I)+(V)}]は、1:3〜10:1であるのが好ましく、1:3〜6:1であるのがより好ましく、1:2〜4:1であるのが更に好ましく、1:2〜2:1であるのが更に好ましい。
分岐鎖アミノ酸として、ロイシン、イソロイシン及びバリンを含有する場合、イソロイシン換算量(I)とバリン換算量(V)の質量比[(I):(V)]は、風味の点から、1:2〜2:1であるのが好ましい。
分岐鎖アミノ酸は、D体であってもL体であってもよく、両異性体が混在するDL体でもよい。生理効果の点からは、L体が好ましい。
【0012】
分岐鎖アミノ酸の塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等の無機酸や、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスコルビン酸等の有機酸との酸付加塩;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属や、カルシウム等のアルカリ土類金属や、アンモニウム等の無機塩基との塩;メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基との塩が挙げられる。
本発明においては、分岐鎖アミノ酸又はその塩として、それらの溶媒和物を用いてもよい。
【0013】
(A)分岐鎖アミノ酸又はその塩は、公知の方法により製造してもよいし、市販のものを用いることもできる。
【0014】
本発明の固形状組成物中、(A)分岐鎖アミノ酸又はその塩の含有量は10〜45質量%(以下、単に「%」とする)であるが、生理効果を有効に発現する点、摂取形態として一度に少量の摂取で可能であるという点から、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、25%以上が更に好ましく、また、風味の点から、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましい。また、固形状組成物中の(A)分岐鎖アミノ酸又はその塩の含有量は、15〜45%が好ましく、20〜40%がより好ましく、25〜35%が更に好ましい。なお、本明細書において、成分(A)の含有量は、分岐鎖アミノ酸換算値である。
【0015】
本発明で用いられる(B)脂肪球皮膜成分は、乳脂肪球を被覆している膜、及び膜を構成する成分の混合物と定義されている。脂肪球皮膜は、一般的に、乾燥重量の約半分が脂質で構成され、当該脂質としては、トリグリセライドやリン脂質、スフィンゴ糖脂質が含まれることが知られている(三浦晋、FOOD STYLE21、2009及びKeenan TW、Applied Science Publishers、1983、pp89−pp130)。リン脂質としては、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、ホスファチジルコリンやホスファチジルエタノールアミン等のグリセロリン脂質が含まれることが知られている。
また、脂質以外の成分としては、ミルクムチンと呼ばれる糖タンパク質が含まれることが知られている(Mather、Biochim Biophys Acta、1978)。
【0016】
本発明で用いられる(B)脂肪球皮膜成分は、分岐鎖アミノ酸に由来する苦味及び後に残る渋味を少なくするという点から、脂質の含有量が、10%以上、更に20%以上、更に30%以上であるのが好ましく、また、風味・ハンドリングの点から、100%以下、更に90%以下、更に60%以下であるのが好ましい。また、脂肪球皮膜成分中の脂質の含有量は、10〜100%、更に20〜90%、更に30〜60%が好ましい。
【0017】
また、(B)脂肪球皮膜成分は、分岐鎖アミノ酸に由来する苦味及び後に残る渋味を少なくするという点から、リン脂質の含有量が、5%以上、更に8%以上、更に10%以上、更に15%以上であるのが好ましく、また、風味・ハンドリングの点から、100%以下、更に85%以下、更に70%以下、更に60%以下であるのが好ましい。また、脂肪球皮膜成分中のリン脂質の含有量は、5〜100%、更に8〜90%、更に10〜70%、更に15〜60%が好ましい。
【0018】
また、(B)脂肪球皮膜成分は、分岐鎖アミノ酸に由来する苦味及び後に残る渋味を少なくするという点から、リン脂質としてスフィンゴミエリンを含むのが好ましく、脂肪球皮膜成分中のスフィンゴミエリンの含有量が、1%以上、更に2%以上、更に3%以上であるのが好ましく、また、風味・ハンドリングの点から、50%以下、更に30%以下、更に25%以下、更に20%以下であるのが好ましい。また、脂肪球皮膜成分中のスフィンゴミエリンの含有量は、1〜50%、更に2〜30%、更に3〜25%、更に3〜20%が好ましい。
同様の点から、脂肪球皮膜成分の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量が、3%以上、更に5%以上、更に10%以上、更に15%以上であるのが好ましく、また、50%以下、更に40%以下、更に35%以下、更に30%以下であるのが好ましい。また、脂肪球皮膜成分の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量は、3〜50%、更に5〜40%、更に10〜35%、更に15〜30%が好ましい。
なお、本明細書において、脂肪球皮膜成分中の脂質、リン脂質及びスフィンゴミエリンの含有量、並びに脂肪球皮膜成分の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量は、脂肪球皮膜成分の乾燥物に対する質量割合とする。
【0019】
上記の(B)脂肪球皮膜成分は、原料乳から遠心分離法や有機溶剤抽出法等の公知の方法により得ることができる。例えば、特開平3−47192号公報に記載の脂肪球皮膜成分の調製方法を用いることができる。また、特許第3103218号公報、特開2007−89535号公報に記載の方法等を用いることができる。さらに、透析、硫安分画、ゲルろ過、等電点沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、溶媒分画等の手法により精製することにより純度を高めたものを用いてもよい。
なお、(B)脂肪球皮膜成分の形態は、特に限定されず、室温(15〜25℃)で液状、半固体状(ペースト等)、固体状(粉末、固形、顆粒等)等のいずれでもよく、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】
(B)脂肪球皮膜成分の原料乳としては、牛乳やヤギ乳等が挙げられる。なかでも、食経験が豊富であり、安価な点から、牛乳が好ましい。また、原料乳には、生乳、全粉乳や加工乳等の乳の他、乳製品も含まれ、乳製品としては、バターミルク、バターオイル、バターセーラム、ホエータンパク質濃縮物(WPC)等が挙げられる。
バターミルクは、牛乳等を遠心分離して得られるクリームからバター粒を製造する際に得られ、当該バターミルク中に脂肪球皮膜成分が多く含まれているので、脂肪球皮膜成分としてバターミルクをそのまま使用してもよい。同様に、バターオイルを製造する際に生じるバターセーラム中にも脂肪球皮膜成分が多く含まれているので、脂肪球皮膜成分としてバターセーラムをそのまま使用してもよい。
【0021】
(B)脂肪球皮膜成分は、市販品を用いることもできる。斯かる市販品としては、メグレジャパン(株)「BSCP」、雪印乳業(株)「ミルクセラミドMC−5」、(株)ニュージーランドミルクプロダクツ「Phospholipid Concentrate シリーズ(500,700)」等が挙げられる。
【0022】
本発明の固形状組成物中、(B)脂肪球皮膜成分の含有量は10〜70%であるが、分岐鎖アミノ酸に由来する苦味及び後に残る渋味を少なくするという点から、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、25%以上が更に好ましく、また、後味が良好である点で、65%以下が好ましく、60%以下がより好ましく、55%以下が更に好ましい。また、固形状組成物中の(B)脂肪球皮膜成分の含有量は、15〜70%が好ましく、20〜65%がより好ましく、25〜60%が更に好ましく、25〜55%が更に好ましい。
【0023】
また、本発明の固形状組成物中、リン脂質の含有量は、分岐鎖アミノ酸に由来する苦味及び後に残る渋味を少なくするという点から、1%以上であるのが好ましく、1.5%以上がより好ましく、2%以上が更に好ましく、また、後味が良好である点で15%以下が好ましく、14%以下がより好ましく、12.5%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましい。また、固形状組成物中のリン脂質の含有量は、1〜14%が好ましく、1.5〜12.5%がより好ましく、2〜10%が更に好ましい。
【0024】
また、本発明の固形状組成物中、スフィンゴミエリンの含有量は、風味の点から、0.3%以上、更に0.5%以上であるのが好ましく、また、後味が良好である点で5%以下、更に4%以下が好ましい。また、固形状組成物中のスフィンゴミエリンの含有量は、0.3〜5%、更に0.5〜4%が好ましい。
脂肪球皮膜成分中又は固形状組成物中の脂質、リン脂質、及びスフィンゴミエリンの含有量は、酸分解法、比色法又は薄層クロマトグラフ法により測定することができる。
【0025】
本発明の固形状組成物において、固形状組成物中の成分(A)と成分(B)の含有質量比[(B)/(A)]は、分岐鎖アミノ酸に由来する苦味及び後に残る渋味を(B)によって少なくするという点から、0.3以上が好ましく、更に0.5以上、更に1.5以上、更に2以上が好ましい。また、後味が良好である点から、7以下が好ましく、更に6以下、更に5以下が好ましい。かかる質量比の範囲としては、0.3〜7が好ましく、更に0.5〜6、更に1.5〜6、更に2〜5が更に好ましい。
【0026】
本発明の固形状組成物は、更に(C)ヒドロキシ酸及びアスコルビン酸から選択される少なくとも1種の酸を含有することが、後味が良好である点から好ましい。(C)ヒドロキシ酸は、1分子中にカルボキシル基とアルコール性水酸基とをもつ化合物の総称であり、例えば、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等の可食性の酸が挙げられる。また、アスコルビン酸には、立体異性体であるL−アスコルビン酸及びエリソルビン酸が含まれる。本発明では、ヒドロキシ酸及びアスコルビン酸から選択される1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なかでも、爽快感を想起させる呈味の点から、リンゴ酸、クエン酸又はアスコルビン酸が好ましく、更にリンゴ酸が好ましい。
【0027】
本発明の固形状組成物中、成分(C)の含有量は、1〜4%が好ましいが、風味の後味の点から、3%以下がより好ましい。固形状組成物中の成分(C)の含有量は、1〜3%がより好ましい。
【0028】
また、本発明の固形状組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、グルタミン等の分岐鎖アミノ酸以外のアミノ酸、ミネラル(例えば、鉄、亜鉛、クロム、セレン、マンガン、モリブデン、銅、ヨウ素、リン、カリウム、ナトリウム)、ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、葉酸及びそれらの塩、又はそれらのエステル)、甘味料(例えば、単糖、少糖、糖アルコール、合成甘味料)、酸味料(例えば、コハク酸、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、酢酸、フマル酸)、香料、着色料、保存料等が適宜配合されていてもよい。
【0029】
本発明の固形状組成物の形態としては、室温(15〜25℃)で固形状のものであれば特に限定されないが、例えば、カプセル剤、顆粒剤、散剤、錠剤、丸剤、トローチ剤等が挙げられる。なかでも、1回あたり少量で摂取可能な点、摂取が簡便な点から、錠剤が好ましく、チュアブル錠であることが更に好ましい。なお、固形状とは、粉末、固形、顆粒等の固体状態のものを意味する。
このような剤型の組成物を調製するには、必要に応じて許容される担体を配合することができる。例えば、賦形剤(例えば、乳糖、デンプン類、結晶セルロース、蔗糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン、メチルセルロース、硬化油等)、崩壊剤(例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、二酸化ケイ素等)、嬌味剤(例えば、ステビア等)、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、希釈剤等の担体が挙げられる。
【0030】
錠剤の形状としては、円形錠もしくは楕円形、長円形、四角形等の面形を有する各種異形錠であってもよい。また、打錠時の圧縮成形圧は、成形物の硬度維持、崩壊性等の点から、10〜30Mpa程度が好ましい。
【0031】
また、本発明の固形状組成物の1個当りの重量は0.1〜1.5g、好ましくは0.2〜1.25g、更に0.3〜1gとするのが、服用感及び有効性の点で好ましい。
【0032】
本発明の固形状組成物は、特に制限はなく常法に従い製造される。例えば、(A)分岐鎖アミノ酸又はその塩、(B)脂肪球皮膜成分、及び必要に応じて添加される添加剤の混合物を調製後、圧縮成形することによって製造することができる。例えば、錠剤を製造する場合、原料粉末を直接圧縮して成形(直接粉末圧縮法)しても、乾式造粒法、湿式造粒法等を用いて造粒してから圧縮して成形(顆粒圧縮法)しても良い。なかでも、工程の簡便性の点から、直接粉末圧縮法を用いて錠剤とするのが好ましい。
直接圧縮して成形して錠剤を製造する場合、打錠成形機としてはロータリー式打錠機や単発式打錠機等通常使用されるものを用いることができる。
また、造粒法より造粒してから錠剤とする場合、円筒造粒機、球形整粒機、ペレッター等を使用する押し出し造粒法;スピードミル、パワーミル等を使用する破砕造粒法;転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法等により造粒物を製造し、乾燥・整粒した後、得られた造粒物を前記打錠成形機で圧縮して錠剤を形成できる。
【0033】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物を開示する。
<1>成分(A)及び(B):
(A)分岐鎖アミノ酸又はその塩 10〜45質量%、
(B)脂肪球皮膜成分 10〜70質量%
を含有する固形状組成物。
【0034】
<2>(A)分岐鎖アミノ酸として、好ましくはロイシン、イソロイシン及びバリンから選ばれる1種又は2種以上を含み、より好ましくはロイシンを含み、更に好ましくはロイシンとイソロイシン、又はロイシンとバリンを含み、更に好ましくはロイシン、イソロイシン及びバリンを含む<1>に記載の固形状組成物。
<3>(A)分岐鎖アミノ酸として、好ましくはロイシンとイソロイシン、又はロイシンとバリンを含み、且つロイシン換算量(L)とイソロイシン換算量の質量比[(L):(I)]、又はロイシン換算量(L)とバリン換算量の質量比[(L):(V)]が、それぞれ好ましくは1:3〜10:1、より好ましくは1:3〜6:1、更に好ましくは1:2〜4:1、更に好ましくは1:2〜2:1である<1>又は<2>に記載の固形状組成物。
<4>(A)分岐鎖アミノ酸として、好ましくはロイシン、イソロイシン及びバリンを含み、且つロイシン換算量(L)とイソロイシン換算量(I)及びバリン換算量(V)の合計量の質量比[(L):{(I)+(V)}]が、好ましくは1:3〜10:1、より好ましくは1:3〜6:1、更に好ましくは1:2〜4:1、更に好ましくは1:2〜2:1である<1>〜<3>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<5>(A)分岐鎖アミノ酸として、好ましくはロイシン、イソロイシン及びバリンを含み、且つイソロイシン換算量(I)とバリン換算量(V)の質量比[(I):(V)]が、好ましくは1:2〜2:1である<4>に記載の固形状組成物。
<6>(A)分岐鎖アミノ酸が、好ましくはD体、L体又は両異性体が混在するDL体である<1>〜<5>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<7>(A)分岐鎖アミノ酸の塩が、好ましくは塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸又はアスコルビン酸との酸付加塩か、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンとの塩である<1>〜<6>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<8>(A)分岐鎖アミノ酸又はその塩の含有量が、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下であり、また、好ましくは15〜45質量%、より好ましくは20〜40質量%、更に好ましくは25〜35質量%である<1>〜<7>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<9>(B)脂肪球皮膜成分の脂質の含有量が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは60質量%以下であり、また、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜90質量%、更に好ましくは30〜60質量%である<1>〜<8>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<10>(B)脂肪球皮膜成分のリン脂質の含有量が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下であり、また、好ましくは5〜100質量%、より好ましくは8〜90質量%、更に好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは15〜60質量%である<1>〜<9>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<11>(B)脂肪球皮膜成分のスフィンゴミエリンの含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下であり、また、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは2〜30質量%、更に好ましくは3〜25質量%、更に好ましくは3〜20質量%である<1>〜<10>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<12>(B)脂肪球皮膜成分の全リン脂質中のスフィンゴミエリン含有量が、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下であり、また、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜35質量%、更に好ましくは15〜30質量%である<1>〜<11>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<13>(B)脂肪球皮膜成分の含有量が、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、また、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下であり、また、好ましくは15〜70質量%、より好ましくは20〜65質量%、更に好ましくは25〜60質量%、更に好ましくは25〜55質量%である<1>〜<12>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<14>固形状組成物中のリン脂質の含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは15質量%以下、より好ましくは14質量%以下、より好ましくは12.5質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であり、また、好ましくは1〜14質量%、より好ましくは1.5〜12.5質量%、更に好ましくは2〜10質量%である<1>〜<13>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<15>固形状組成物中のスフィンゴミエリンの含有量が、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下であり、また、好ましくは0.3〜5質量%、より好ましくは0.5〜4質量%である<1>〜<14>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<16>成分(A)と成分(B)の含有質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1.5以上、更に好ましくは2以上であり、また、好ましくは7以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下であり、また、好ましくは0.3〜7、より好ましくは0.5〜6、更に好ましくは1.5〜6、更に好ましくは2〜5である<1>〜<15>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<17>好ましくは更に(C)ヒドロキシ酸及びアスコルビン酸から選択される少なくとも1種の酸を含有する<1>〜<16>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<18>(C)ヒドロキシ酸が、好ましくは乳酸、酒石酸、リンゴ酸及びクエン酸から選択される少なくとも1種であり、アスコルビン酸が、好ましくはL−アスコルビン酸及びエリソルビン酸から選択される少なくとも1種である<17>に記載の固形状組成物。
<19>(C)ヒドロキシ酸及びアスコルビン酸から選択される少なくとも1種の酸が、好ましくはリンゴ酸、クエン酸又はアスコルビン酸であり、より好ましくはリンゴ酸である<17>又は<18>に記載の固形状組成物。
<20>成分(C)の含有量が、好ましくは1〜4質量%、より好ましくは1〜3質量%である<17>〜<19>のいずれか1に記載の固形状組成物。
<21>固形状組成物が、好ましくはカプセル剤、顆粒剤、散剤、錠剤、丸剤又はトローチ剤であり、より好ましくは錠剤であり、更に好ましくはチュアブル錠である<1>〜<20>のいずれか1に記載の固形状組成物。
【実施例】
【0035】
[分析方法]
(1)タンパク質の分析
タンパク質量はケルダール法を用いて、窒素・タンパク質換算係数6.38として求めた。
【0036】
(2)脂質の分析
脂質量は酸分解法で求めた。試料を1g量りとり、塩酸を加え分解した後、ジエチルエーテル及び石油エーテルを加え、攪拌混和した。エーテル混合液層を取り出し、水洗した。溶媒を留去させ、乾燥させた後、重量を秤量することで脂質量を求めた。
【0037】
(3)炭水化物の分析
炭水化物量は試料の質量から試料中のタンパク質量、脂質質量、灰分量、及び水分量を除くことにより求めた。なお、灰分量は直接灰化法(550℃で試料を灰化させ重量測定)、水分量は常圧加熱乾燥法(105℃4時間乾燥させ重量測定)により求めた。
【0038】
(4)リン脂質の分析
試料1gを量りとり、クロロホルム及びメタノールの2:1(V/V)混液150mL、100mL、及び20mL中でホモジナイズ後、0.88%(W/V)塩化カリウム水溶液93mLを添加し、一晩室温で放置した。脱水ろ過、溶媒留去後、クロロホルムを添加し総量を50mLとした。そのうち2mLを分取し、溶媒留去後、550℃16時間加熱処理により灰化した。灰分を6M塩酸水溶液5mLに溶解後、蒸留水を添加し、総量を50mLとした。3mLを分取し、モリブデンブルー発色試薬5mL、5%(W/V)アスコルビン酸水溶液1mL及び蒸留水を添加し総量を50mLとし、710nmの吸光度を測定した。リン酸2水素カリウムを用いた検量線からリン量を求め、リン量に25.4をかけた値をリン脂質量とした。
【0039】
(5)スフィンゴミエリンの分析
試料1gを量りとり、クロロホルム及びメタノールの2:1(V/V)混液150mL、100mL、及び20mL中でホモジナイズ後、0.88%(W/V)塩化カリウム水溶液93mLを添加し、一晩室温で放置した。脱水ろ過、溶媒留去後、クロロホルムを添加し総量を50mLとした。そのうち10mLを分取し、シリカカートリッジカラムに添加した。カラムをクロロホルム20mLで洗浄後、メタノール30mLでリン脂質を溶出し、溶媒留去後クロロホルム1.88mLに溶解した。シリカゲル薄層プレートに20μLを負荷し、1次元展開溶媒としてテトラヒドロフラン:アセトン:メタノール:水=50:20:40:8(V/V)、2次元展開溶媒としてクロロホルム:アセトン:メタノール:酢酸:水=50:20:10:15:5(V/V)を用いて2次元展開を行った。展開後の薄層プレートにディトマー試薬を噴霧し、スフィンゴミエリンのスポットをかきとり、3%(V/V)硝酸含有過塩素酸溶液2mL添加後、170℃3時間の加熱処理を行った。蒸留水5mL添加後モリブデンブルー発色試薬5mL、5%(W/V)アスコルビン酸水溶液1mL及び蒸留水を添加し総量を50mLとし、710nmの吸光度を測定した。リン酸2水素カリウムを用いた検量線からリン量を求め、リン量に25.4をかけた値をスフィンゴミエリン量とした。
【0040】
[原料]
ロイシン:L−ロイシン、味の素ヘルシーサプライ株式会社
イソロイシン:L−イソロイシン、味の素ヘルシーサプライ株式会社
バリン:L−バリン、味の素ヘルシーサプライ株式会社
脂肪球皮膜成分:BSCP、メグレジャパン株式会社(水分5.1%)
リンゴ酸:DL−リンゴ酸、扶桑化学工業株式会社
アスパルテーム:PAL SWEET DIET、味の素ヘルシーサプライ株式会社
マルチトール:アマルティMR−100、三菱商事フードテク株式会社
粉末セルロース:KCフロックW−400G、日本製紙ケミカル株式会社
ショ糖脂肪酸エステル:リョートーシュガーエステルB−370F、三菱化学フーズ株式会社
【0041】
脂肪球皮膜成分の組成は、乾燥物換算で、炭水化物:10.7%、脂質:23.8%、タンパク質:50.9%であった。また、脂肪球皮膜成分中、リン脂質含有量は16.6%であり、スフィンゴミエリン含有量は3.62%であった。
【0042】
〔チュアブル錠の調製〕
実施例1〜15及び比較例1〜9
ロイシン、イソロイシン、バリンを質量比で2:1:1で混合し、分岐鎖アミノ酸混合物1を調製した。同様にロイシン、イソロイシン、バリンを質量比で1:1:1で混合し、分岐鎖アミノ酸混合物2を、ロイシン、イソロイシン、バリンを質量比で4:1:1で混合し、分岐鎖アミノ酸混合物3を、ロイシン、イソロイシン、バリンを質量比で8:1:1で混合し、分岐鎖アミノ酸混合物4を調製した。
粒径の大きい原料は粉砕し、50メッシュに通したのち、表1、表2又は表3に記載の配合組成で各原料成分を混合した。次に単発式打錠機(RIKEN製)を用いて、穴径9.5mmのリング状杵で、重量500mg/1錠、20MPaの打錠圧にて打錠し、チュアブル錠を得た。
【0043】
上記で得た本発明品と比較品について官能評価を行なった。評価は、摂食時の分岐鎖アミノ酸に由来する苦味、分岐鎖アミノ酸に由来する後に残る渋味について、下記に示す判断基準に従って専門パネル4名で先ず全てのサンプルについて評価を行い、評価が最も高かった例を「5」、評価が最も低かった例を「1」とした。次いで、その他のサンプルについて「1」〜「5」の間の5段階尺度による相対的位置づけを行った。4名の平均値をもって評点(0.5刻みで四捨五入)とした。なお、「苦味」は摂食時に主に口中で初期に感じる風味であり、「後に残る渋味」は摂食後に口中に残存する渋味である。
結果を表1、表2及び表3に示す。
【0044】
〔苦味〕
実施例7を「5」、比較例3を「1」とし評価した。具体的には以下のような項目で評価した。
5:苦味を感じない
4:苦味を殆ど感じない
3:苦味を感じる
2:苦味を強く感じる
1:苦味を非常に強く感じる
【0045】
〔後に残る渋味〕
実施例7を「5」、比較例3を「1」とし評価した。具体的には以下のような項目で評価した。
5:渋味を全く感じず、後味が非常に良い
4:渋味を感じず、後味が良い
3:渋味を殆ど感じず、後味がやや良い
2:渋味を感じ、後味が悪い
1:渋味を強く感じ、後味が非常に悪い
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
表1〜表3から明らかなように、本発明品は比較品と比べ、分岐鎖アミノ酸に由来する苦味と後に残る渋味が少なかった。更に、錠剤の外観を観察したところ、比較品は、打錠時にスティッキング及びキャッピングが発生する場合があったが、本発明品は、スティッキング及びキャッピングの発生が少なく、良好な打錠性を有していた。