(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、電動モータ、変速ギヤ、およびこの変速ギヤを車輪に連結する機構部を全て専用設計する必要があり、製品にするまでのコストと時間がかかってしまうという課題があった。
【0005】
また、エンジンが搭載されている自動二輪車(以下、単に自動二輪車という)に電動モータを搭載して電動二輪車とする場合、エンジンと、エンジンに関わる部品の全てを省いた後、その省いたスペースに電動モータを配置する必要がある。すなわち、自動二輪車は、エンジンと変速ギヤとが一体化されていることが多く、変速ギヤを含めたエンジン全体を取り外して電動モータと変速あるいは減速ギヤとを搭載する必要がある。このため、エンジンを電動モータに置き換えるために廃棄する部品が多くなってしまうばかりか、結局は、変速あるいは減速ギヤを新たに設計する必要がある。したがって、既存の部品を有効活用できず、製品にするまでのコストと時間がかかってしまうという課題があった。
【0006】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、既存の部品を有効活用でき、製品化までのコストと時間を短縮できる電動駆動装置および電動二輪車を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る電動駆動装置は、少なくも1つの電動モータと、
燃料の燃焼によりエンジン駆動するエンジン機構に基づいて設計され、内部に動力伝達機構を備えるクランクケースと、前記クランクケースに設けられ、前記電動モータを収容するモータケースと、前記電動モータの回転力が
前記動力伝達機構を介して伝達される出力軸と、を備えた電動駆動装置において、前記電動モータのロータ回転軸は、前記出力軸に対して交差するように配置されていることを特徴とする。
【0008】
このように構成することで、エンジン駆動の場合に用いられるクランク軸スペースを利用し、シリンダ等が配置されていたスペースを有効活用して電動モータを配置できる。そして、この電動モータの回転力を変速ギヤの入力軸に伝達することができる。すなわち、エンジン部分を電動モータに置き換えるだけで、従来と同様に例えば二輪車等を走行させることが可能になる。このため、既存の部品を有効活用でき、製品化までのコストと時間を短縮できる。
【0009】
本発明に係る電動駆動装置は、前記電動モータのロータ回転軸は、前記出力軸に対して直交するように配置されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成することで、電動モータの回転力を、できる限り効率よく出力軸に伝達することができる。
【0011】
本発明に係る電動駆動装置は、前記電動モータは、スイッチトリラクタンスモータであることを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、電動モータの配置スペースを省スペース化できる。また、電動モータの製造コストを低減できる。
【0013】
本発明に係る電動駆動装置は、前記動力伝達機構は、べベルギヤにより構成されていることを特徴とする。
【0014】
このように構成することで、簡素な構造で出力軸に対して電動モータのロータ回転軸を交差させることができると共に、電動モータの回転力を、効率よく出力軸に伝達させることができる。
本発明に係る電動駆動装置は、前記エンジン機構に基づいて設計されたシリンダケースを備え、前記モータケースが前記シリンダケースであり、前記シリンダケース内に前記電動モータを配置し、前記エンジン機構のクランク軸に前記出力軸を連結したことを特徴とする。
このように構成することで、シリンダケースを利用して電動モータを固定することができる。このため、既存の部品を有効活用でき、製品化までのコストと時間を短縮できる電動二輪車を提供できる。
【0015】
本発明に係る電動二輪車は、上記に記載の電動駆動装置を搭載した電動二輪車であって、前記電動モータは、車幅方向中央で、かつ前後方向に沿う平面上に前記ロータ回転軸が配置されていることを特徴とする。
【0016】
このように構成することで、車体の左右の重量バランスを是正することができ、電動二輪車の直進性を高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、エンジン駆動の場合に用いられるクランク軸スペースを利用し、シリンダ等が配置されていたスペースを有効活用して電動モータを配置できる。そして、この電動モータの回転力を変速ギヤの入力軸に伝達することができる。すなわち、エンジン部分を電動モータに置き換えるだけで、従来と同様に例えば二輪車等を走行させることが可能になる。このため、既存の部品を有効活用でき、製品化までのコストと時間を短縮できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(電動二輪車)
図1は、電動二輪車100の要部拡大斜視図である。
なお、以下の説明において、前後上下左右等の向きは、電動二輪車100の向きと同一とする。すなわち、以下の説明では、進行方向前方を単に前方と称し、進行方向後方を単に後方と称し、前方をみて車幅方向右側を単に右側と称し、車幅方向左側を単に左側と称し、重力方向上側を単に上側と称し、重力方向下側(路面側)を単に下側と称して説明する。
【0023】
図1に示すように、電動二輪車100は、従来の自動二輪車に電動駆動装置1を搭載したものであって、前後方向に延びる車体フレーム101を有している。そして、この車体フレーム101の前後端に、それぞれ不図示の車輪が設けられている。また、車体フレーム101の前後方向略中央よりもやや後側には、上端にシート102が設けられている。一方、車体フレーム101のシート102とは反対側の下部には、シート102よりもやや前側に、電動駆動装置1が設けられている。この電動駆動装置1によって、後側の車輪(不図示)が回転駆動する。
【0024】
(第1実施形態)
(電動駆動装置)
図2は、電動駆動装置1の断面図である。
同図に示すように、電動駆動装置1は、クランクケース4に設けられたモータケース2内に収納されている電動モータ3と、車体フレーム101に設けられたクランクケース4内に収納されている動力伝達機構5と、を備えている。なお、クランクケース4は、従来の自動二輪車に設けられていたものをそのまま流用している。
【0025】
モータケース2は、後方に配置されたリヤケース6と、前方に向かって膨出するように略有底筒状に形成されたフロントケース7と、により構成されている。
リヤケース6の径方向略中央には、後方に向かって突出する筒状のボス部6aが一体成形されている。このボス部6aが、クランクケース4に形成された開口部101aを介して後方に向かって突出している。
【0026】
一方、フロントケース7は、開口部7aをリヤケース6側に向けて配置されている。開口部7aには、外フランジ部8が一体成形されている。この外フランジ部8とリヤケース6とが、ボルト9によって締結固定されている。
また、フロントケース7の底部7bには、径方向略中央に、後方に向かって突出する筒状のボス部10が一体成形されている。ボス部10の先端には、段差により縮径形成された縮径部11が形成されている。この縮径部11に電動モータ3のステータ12が固定されている。
【0027】
(電動モータ)
電動モータ3は、いわゆるアウタロータ型のブラシレスモータであって、ステータ12の他に、ボス部10に回転自在に支持されるロータ13と、ロータ13の回転位置を検出し、ロータ13の回転制御を行うためのセンサ14と、を備えている。
ステータ12は、略円環状のステータコア15を有しており、このステータコア15がボス部10の縮径部11に外嵌されている。ステータコア15は、電磁鋼板を複数積層したり軟磁性粉を加圧成形したりしてなる。
【0028】
ここで、ボス部10に形成されている縮径部11の段差面11aには、複数の雌ネジ部16が周方向に等間隔で刻設されている。一方、ステータコア15には、雌ネジ部16に対応する位置に軸方向に貫通するネジ挿入孔15aが形成されている。そして、ネジ挿入孔15aにボルト17を挿入し、このボルト17を雌ネジ部16に螺入することにより、ボス部10にステータ12が締結固定される。
【0029】
また、ステータコア15は、径方向外側に向かって放射状に突出する複数のティース18を有している。各ティース18には、このティース18に装着されたインシュレータ19を介してコイル20が巻回されている。
【0030】
ロータ13は、回転軸21と、回転軸21に外嵌固定されているロータヨーク22と、を備えている。
回転軸21は、その前端部21aが、フロントケース7のボス部10に内嵌固定されている軸受23に回転自在に支持されている。一方、回転軸21の後端部21bは、リヤケース6のボス部6aの先端に内嵌固定されている軸受24に回転自在に支持されている。さらに、回転軸21の後端部21bは、軸受24を介して後方に向かって突出し、動力伝達機構5に臨まされている。このように、回転軸21は、車幅方向(左右方向)中央で、かつ前後方向に沿う平面H1上に配置されている。
【0031】
回転軸21の軸方向略中央よりもステータ12側には、段差により拡径形成された大径部25が設けられている。この大径部25にロータヨーク22が外嵌固定されている。
ロータヨーク22は、ステータ12を後方から覆うように略有底筒状に形成されている。ロータヨーク22の底部22aには、径方向略中央に、嵌合筒部26がステータ12側に向かって突設されている。そして、嵌合筒部26が回転軸21の大径部25に外嵌固定されている。
また、ロータヨーク22の周壁22bには、内周面側に複数のマグネット27が周方向に磁極が順番となるように配置されている。
【0032】
このように構成されたロータ13の回転位置を検出するセンサ14は、フロントケース7の底部7bに設けられたセンサ基板28を有している。センサ基板28は、フロントケース7の底部7bに形成されている台座29にボルト30によって締結固定されている。
センサ基板28は、その一部がロータ13に設けられたマグネット27と軸方向で対向するように形成されている。そして、センサ基板28には、マグネット27の前端部と径方向で対向する磁気検出素子31が実装されている。この磁気検出素子31がマグネット27の磁束の変化を検出することにより、ロータ13の回転位置を検出できる。
【0033】
センサ14による検出結果は、信号として不図示のコントローラに出力される。また、ステータ12に巻回されているコイル20も不図示のコントローラに電気的に接続されている。
このような構成のもと、マグネット27の回転位置に基づいて、不図示のコントローラから所望のコイル20に選択的に電流が供給されると、ステータ12に生じる磁束とマグネット27との間で磁気的な吸引力や反発力が作用する。すると、ロータヨーク22が回転し、さらに、このロータヨーク22と一体化された回転軸21が回転する。
【0034】
(動力伝達機構)
動力伝達機構5に臨まされた回転軸21の後端部21bには、クランクケース4内に収納された第1ベベルギヤ32が外嵌固定されている。この第1ベベルギヤ32は、動力伝達機構5を構成している。動力伝達機構5は、第1べベルギヤ32の他に、この第1べベルギヤ32に噛合される第2ベベルギヤ33を有している。
第2ベベルギヤ33は、出力軸36に外嵌固定されている。この出力軸36は、クランクケース4に設けられている軸受34,35に回転自在に支持されている。また、出力軸36は、ロータ13の回転軸21に対して直交する方向(左右方向)に延在しており、動力伝達機構5(第1ベベルギヤ32および第2ベベルギヤ33)を介して回転軸21の回転力が伝達されるようになっている。
【0035】
出力軸36は、クランクケース4内に収納されている箇所が段差により縮径形成されている。この縮径形成された箇所にカラー40が外嵌されている。また、出力軸36の左側端には、ベアリングナット37が螺入されている。そして、このベアリングナット37と、出力軸36の段差部36aとにより、軸受34、第2べベルギヤ33、およびカラー40が挟持された状態になっている。ここで、軸受34は、クランクケース4に固定されているので、出力軸36の軸方向への移動も、ベアリングナット37、段差部36a、軸受34、第2べベルギヤ33、およびカラー40により規制されることになる。
【0036】
一方、出力軸36の右端には、不図示の変速機に動力を伝達するための動力伝達軸38が一体成形されている。
ここで、電動モータ3やモータケース2が取り付けられている箇所は、従来のエンジンを構成するシリンダが配置されていた箇所である。
【0037】
動力伝達軸38の右端には、ピニオンギヤ39が外嵌固定されている。このピニオンギヤ39に不図示の変速機が連結され後輪へと動力が伝達される。
【0038】
このような構成のもと、電動モータ3の回転軸21の回転が、動力伝達機構5を介して出力軸36(動力伝達軸38)に伝達されると、ピニオンギヤ39が回転する。さらに、このピニオンギヤ39の回転が不図示の変速機介して後輪(不図示)に伝達され、電動二輪車100が走行する。
ここで、電動モータ3の回転軸21は、車幅方向(左右方向)中央で、かつ前後方向に沿う平面H1上に配置されている。このため、モータの重量物が左右の中心に位置する事で電動二輪車100の姿勢を保ちやすくすることができ、電動二輪車100の直進性が高められる。
【0039】
このように上述の第1実施形態では、動力伝達機構5を介すことにより、出力軸36(動力伝達軸38)に対してロータ13の回転軸21が直交するように電動モータ3を配置している。このため、従来のエンジンが搭載されていた自動二輪車に用いられたクランク軸スペースを利用して自動二輪車を電動二輪車100に変更できる。したがって、既存の部品を有効活用でき、電動二輪車100の製品化までのコストと時間を短縮できる。
【0040】
また、回転軸21と出力軸36とが直交しているので、動力伝達機構5を2つのべベルギヤ32,33だけの簡素な構造とすることができる。しかも、2つのべベルギヤ32,33を利用して回転軸21の回転力を効率よく出力軸36に伝達できる。
さらに、従来のエンジンを構成するシリンダが配置されていた箇所に電動モータ3を配置できるので、外観を損ねてしまうことを防止できる。
【0041】
また、電動モータ3の回転軸21は、車幅方向(左右方向)中央で、かつ前後方向に沿う平面H1上に配置されている。このため、電動二輪車100の左右の重量バランスが良くなり、電動二輪車100の姿勢を保ちやすくすることができ、電動二輪車100の直進性を高めることができる。
さらに、電動モータ3やフロントケース7が前方に向いているので、電動二輪車100を走行させた際、走行風によって電動モータ3を効率よく冷却することができる。
【0042】
(第2実施形態)
(電動駆動装置)
次に、この発明の第2実施形態を
図3に基づいて説明する。
図3は、第2実施形態における電動駆動装置201の断面図である。なお、前述の第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の実施形態でも同様)。
図3に示すように、第2実施形態の電動駆動装置201は、フロントケース7が設けられておらず、リヤケース6にステータ12が固定されている。この点、前述の第1実施形態と相違する。
【0043】
具体的には、リヤケース6には、ボス部6aの基端側で、かつ内周面側に、肉盛り部41が形成されている。この肉盛り部41のステータ12側の端面には、複数の雌ネジ部41aが形成されている。雌ネジ部41aの個数、配置箇所は、ステータ12に形成されているネジ挿入孔15aに対応している。
また、肉盛り部41のステータ12側の端面には、ザグリ部42が形成されており、このザグリ部42に支持筒部43が載置されている。支持筒部43の前端側には、段差により縮径形成された縮径部44が形成されている。この縮径部44に、ステータ12が外嵌されている。
【0044】
さらに、支持筒部43には、肉盛り部41の雌ネジ部41a、およびステータ12のネジ挿入孔15aに対応する位置に、軸方向に貫通する貫通孔43aが形成されている。そして、前方からステータ12のネジ挿入孔15a、支持筒部43の貫通孔43aにボルト45を挿入し、このボルト45を肉盛り部41の雌ネジ部41aに螺入することにより、リヤケース6に支持筒部43およびステータ12が締結固定される。
【0045】
また、支持筒部43の内周面には、前端側に軸受46が内嵌固定されている。この軸受46とリヤケース6の軸受24とに、回転軸21が回転自在に支持されている。回転軸21の前端部21aは、軸受46を介して前方に向かって突出している。この突出した回転軸21の前端部21aに、ロータ13が外嵌固定されている。ここで、ロータ13のロータヨーク22は、ステータ12を前方から覆った状態になっている。すなわち、第1実施形態のロータヨーク22の向きに対して逆向きに配置されている。
【0046】
さらに、リヤケース6のボス部6aには、軸受24の前側に、この軸受け24と隣接するようにオイルシール47が内嵌固定されている。
第2実施形態では、フロントケース7が設けられていないので、オイルシール47を設けることにより、クランクケース4内のオイルが外部に漏出してしまうことを防止している。
【0047】
このように、上述の第2実施形態では、前述の第1実施形態と同様の効果に加え、フロントケース7を省く分、電動駆動装置201の軽量化、製造コストの低減化を図ることができる。
【0048】
(第3実施形態)
(電動駆動装置)
次に、この発明の第3実施形態を
図4に基づいて説明する。
図4は、第3実施形態における電動駆動装置301の断面図である。
同図に示すように、第3実施形態の電動駆動装置301は、従来のエンジンが搭載されていた自動二輪車に用いられたシリンダケース50をモータケースとして利用し、シリンダケース50内に電動モータ303を配置している。この点、前述の第1実施形態および第2実施形態と相違する。
【0049】
具体的には、電動モータ303は、いわゆるインナーロータ型のブラシレスモータであって、シリンダケース50にステータ312が内嵌固定されている。ステータ312には、インシュレータ319を介してコイル20が巻回されている。
ロータ313は、回転軸321と、回転軸321に外嵌固定されたロータヨーク322と、を備えている。回転軸321の一端321aは、シリンダケース50内にブラケット51を介して設けられた軸受52に回転自在に支持されている。
【0050】
ロータヨーク322は略円柱状に形成されており、径方向中央に、軸方向に貫通する貫通孔322aが形成されている。この貫通孔322aに、回転軸321が圧入されている。
また、ロータヨーク322の外周面には、マグネット327が設けられている。そして、このマグネット327とステータ312に生じる磁束とにより、磁気的な吸引力や反発力が作用してロータ313が回転する。
【0051】
したがって、上述の第3実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果に加え、第1実施形態のようなモータケース2を必要とせず、しかも従来の自動二輪車に用いられていたシリンダケース50を有効活用することができる。このため、電動駆動装置301の製造コストをさらに低減できる。
また、シリンダケース50の表面に形成されている複数の放熱フィン50aにより、電動モータ303を効率よく冷却することができる。
【0052】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0053】
例えば、上述の第3実施形態では、シリンダケース50内に、電動モータ303を設けた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではない。
すなわち、複数のシリンダケース50は、シリンダの本数分だけ複数存在しているので、そのうちの1つのシリンダケース50のみに、電動モータ303を設けると共に、残りのシリンダケース50に収納されているシリンダ(不図示)を残し、このシリンダと電動モータ303とを併用するように構成してもよい。
また、例えば、各シリンダケース50にそれぞれ電動モータ303を設け、これら電動モータ303を、それぞれ動力伝達機構5を介して出力軸36(動力伝達軸38)に連結するように構成してもよい。
【0054】
また、上述の第3実施形態では、シリンダケース50をモータケースとして使用し、シリンダケース50内にステータ312が内嵌固定されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、モータケースを有する電動モータ303とし、この電動モータ303を、モータケースごとシリンダケース50内に収納するように構成してもよい。この場合、電動モータ303としては、インナーロータ型に代わってアウタロータ型を採用することも可能である。
【0055】
さらに、電動モータ303に代えてスイッチトリラクタンスモータ(Switched ReluctanceMotor)を採用してもよい。スイッチトリラクタンスモータは、ロータのロータコアの外周面にマグネット327が設けられていない。そして、ロータのロータコアの外周面に複数の突極が放射状に設けられている。これら突極がステータ312に生じる磁束に吸引され、ロータが回転するようになっている。
このように構成することで、モータサイズを小さくし、モータの配置スペースを省スペース化できる。
【0056】
また、上述の実施形態では、電動二輪車100に、電動駆動装置1,201,301を設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、エンジンが搭載されたさまざまな装置(例えば、エンジンが搭載されている芝刈り機)に対し、従来搭載されているエンジンを、電動駆動装置1,201,301に置き換えることが可能である。
また、空冷エンジンに限らず、水冷エンジンを電動駆動装置1,201,301に置き換えることが可能である。水冷エンジンが搭載されている装置に対し、従来搭載されている水冷エンジンを、電動駆動装置1,201,301に置き換える場合、水冷システムをそのまま利用することによって電動駆動装置1,201,301を効率よく冷却できるので、好適である。
【0057】
さらに、上述の実施形態では、出力軸36(動力伝達軸38)と回転軸21,321とが直交している場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、出力軸36(動力伝達軸38)と回転軸21,321とが交差するように構成されていればよい。このように構成されていれば、既存の部品を有効活用でき、製品化までのコストと時間を短縮できる。