(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空気移送部は、前記収容部と前記基部の外側に位置され、前記空気移送部は、前記基部に設けられた排気口と、前記収容部に設けられた吸気口との間に接続するチューブであることを特徴とする請求項1に記載のクリーン排気システム。
前記空気移送部は、前記収容部の前記処理室と前記基部を区画している壁部に貫通して設けられている貫通孔であり、前記空気移送部により、前記処理室と前記基部が接続されていることを特徴とする請求項1に記載のクリーン排気システム。
前記処理室内には、前記送風ファンにより前記処理室内で循環される雰囲気ガスを通す主フィルタが配置されており、前記主フィルタは、前記発生物質除去フィルタよりも目が細かいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクリーン排気システム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0022】
(第1実施形態)
<クリーン排気システム1の全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態のクリーン排気システムが適用されるクリーンオーブンを斜め前側から示す斜視図である。
図2は、
図1に示すクリーン排気システム1を斜め後側から示す斜視図である。
【0023】
図1と
図2に示すクリーン排気システム1は、例えば半導体デバイスや液晶ディスプレイデバイス等の被熱処理物の熱処理をするためのクリーンオーブンに適用されている。クリーン排気システム1は、空気清浄度が確保された収容部屋、例えばクリーンルーム200内に配置されている。クリーン排気システム1は、炉内において強制送風循環方式により、特定の雰囲気ガス中で被熱処理物の熱処理を行う。このクリーン排気システム1は、無塵熱処理器ともいう。雰囲気ガスとしては、好ましくは窒素やアルゴン等の不活性ガスを採用できるが、特に限定されない。
【0024】
クリーンルーム200内の清浄度としては、米国連邦規格(fed.Std.209E)では、クラス10からクラス10000あたりまでである。米国連邦規格では、0.5μm粒子の1立方フィート(ft3)中の粒子数を規定しており、例えばクラス100とは、1ft3中に0.5μmの粒子が100個以内であることを意味する。ISOクリーンルーム規格(規格番号 ISO−14644,Part1、名称:空気清浄度のクラス分類)では、クラス10は、ISOクラス4に相当し、クラス100は、ISOクラス5に相当し、クラス1000は、ISOクラス6に相当し、クラス10000は、ISOクラス7に相当する。
【0025】
図1と
図2に示すように、クリーン排気システム1の本体部1Aは、金属製の直方体形状の箱体であり、本体部1Aは、前面部2と、背面部3と、左側面部4と、右側面部5と、上面部6と、下面部7を有する。
【0026】
図1に示すように、前面部2には、正面扉8と、操作パネル9が配置されている。正面扉8は、
図2に示すヒンジ部8A,8Aにより保持されている。正面扉8は、
図1において破線で示す前面部2の前面開口部8Bを、片開き式で開閉可能である。正面扉8は把手8Cを有する。
【0027】
図2に示すように、背面部3には、後で説明するHEPAフィルタのような主フィルタFの交換をするための交換用の背面扉10が、開閉可能に配置されている。背面部3の下部には、放熱孔11が設けられている。この放熱孔11は、塞ぎ板12と複数のネジ12Aを用いて塞ぐことができる。背面部3の上部には、放熱孔13が設けられている。
【0028】
図2に示すように、左側面部4には、下部に放熱孔14が設けられている。左側面部4の上部には、放熱孔16が設けられている。
【0029】
図1に示すように、右側面部5には、ケーブル孔17と、吸気口18を有する。ケーブル孔17と吸気口18は、本体部1Aの内部に通じている。ケーブル孔17は、電気ケーブル等のケーブル類を本体部1Aの内部と外部の間で通すのに用いられる。
【0030】
吸気口18には、
図1に示す空気移送部20の一端部21が着脱可能に接続できるようになっている。右側面部5の下部には、放熱孔23が設けられている。この放熱孔23は、塞ぎ板24と複数のネジ24Aを用いて塞ぐことができる。右側面部5の上部には、放熱孔25が設けられている。
【0031】
塞ぎ板24には、排気口26が設けられている。この排気口26には、
図1に示す空気移送部20の他端部22が着脱可能に接続できるようになっている。空気移送部20は、例えば屈曲自在で伸長が可能なフレキシブルチューブを用いることができる。
【0032】
図1に示すように、上面部6は、放熱孔27と、排気口28を有している。排気口28には、槽内排気管29が着脱可能に取り付けられている。この槽内排気管29には、処理室42内の排気量を調整するための排気量調整バルブ30が設けられている。
【0033】
図3は、
図1に示す本体部1Aの縦方向に沿った断面図である。
図4は、
図3に示す本体部1Aの構造例を見易くするために単純化して示す図である。
図5は、
図4に示す本体部1AのD−D線における断面図である。
【0034】
図3に示すように、本体部1Aの下面部7には、四隅位置に本体部1Aを移動させるためのキャスタ31が設けられている。また、下面部7には、本体部1Aの位置の移動を止めるためのストッパ32が設けられている。
【0035】
図3に示すように、正面扉8は、矩形状の前面開口部8Bに対して扉パッキン33を介して密閉状態で閉じるようになっている。作業者が、正面扉8を開けることにより、本体部1A内に収容されている被熱処理物の出し入れを行うことができる。
【0036】
背面扉10は、矩形状の背面開口部10Bに対して扉パッキン34を介して密閉状態で閉じるようになっている。作業者は、背面扉10を開けることにより、本体部1A内に収容されている主フィルタFを取り出して、新たな主フィルタFに交換することができる。この主フィルタFは、例えばHEPAフィルタを用いることができる。HEPAフィルタは、正方形または長方形状の無菌用高性能フィルタである。
【0037】
<本体部1Aの収容部40>
図3に示すように、本体部1Aは、収容部40と、基部41を有する。収容部40は、基部41の上に配置されており、収容部40の処理室42の内部は、炉内のヒータ65により熱せられた雰囲気ガスで満たされている。収容部40の処理室42内での使用温度範囲としては、例えば室温+30〜300℃の高温環境下であるが、特に限定されない。
【0038】
図3と
図4に示すように、収容部40の処理室42は、上壁部50と下壁部51と、
図1に示す左側面部4と右側面部5と、
図3に示す正面扉8と背面扉10により、囲まれることで形成されている。上壁部50と下壁部51と左側面部4と右側面部5と正面扉8と背面扉10は、金属板材に断熱構造体を配置した構造になっており、断熱構造体としては、例えばセラミックファイバとグラスウールにより作られている。
【0039】
図3と
図4に示すように、この収容部40の前側には、前面開口部8Bが設けられ、収容部40の後側には、背面開口部10Bが設けられている。
図3に示すように、収容部40の内部には、棚板55を保持する棚受柱56,57が設けられている。棚受柱56,57は、左側面部4の内面と右側面部5の内面にそれぞれ固定されている。
【0040】
左右の棚受柱56,57は、1つまたは複数の棚板55を保持する。左右の棚受柱56,57は、Z方向(上下方向)に沿って1つまたは複数の棚板55の位置を変えて保持することができる。各棚板55は、被熱処理物を載せることができる。棚板55は、棚受け55Aを有する。
【0041】
図3に示すように、気体の吸入口部58が、収容部40の前側の棚受柱56の前部において、Z方向に沿って設けられている。この気体の吸入口部58は、前面開口部8Bに沿って、正面扉8と前側の棚受柱56との間に配置されている。
【0042】
主フィルタFは、収容部40において、後側の棚受柱57と背面扉10との間に、例えばボルトナットを用いて交換できるように着脱可能に設けられている。しかも、背面扉10と主フィルタFとの間には、気体を流すための空間SPが設けられている。
【0043】
図3に示すように、収容部40の処理室42内において、温度制御センサ59が、上壁部50に取り付けられている。温度制御センサ59は、後側の棚受柱57と主フィルタFとの間に設けられている。この温度制御センサ59は、収容部40の処理室42内の温度を制御するために、処理室42内の温度情報信号SSを制御部100に送るようになっている。
【0044】
<本体部1Aの収容部40>
次に、本体部1Aの基部41について説明する。
【0045】
図3から
図5に示すように、本体部1Aの基部41は、収容部40の下部に設けられている。
図3に示すように、基部41の下面部7には、すでに説明したように、キャスタ31等が取り付けられている。
【0046】
図3から
図5に示すように、本体部1Aの基部41は、直方体状の収容空間部60を有しており、収容空間部60と収容部40の処理室42は、下壁部51による区画して分離されている。収容空間部60内には、取付け部61と、ファンモータ62が設けられている。このファンモータ62は、取付け部61に固定され、ファンモータ62の出力軸63は、Z方向に沿って上向きになっている。ファンモータ62は、制御部100の指令により回転制御が行われる。
【0047】
図3と
図4に示すように、下壁部51は、厚肉部分51Aと薄肉部分51Bを有している。厚肉部分51Aは、正面扉8側に形成されており、薄肉部分51Bは、厚肉部分51Aの後側であって、厚肉部分51Aから背面扉10にかけて形成されている。厚肉部分51Aは、前面開口部8Bの一部分を形成しており、薄肉部分51Bは、背面開口部10Bの一部分を形成している。
【0048】
図3と
図4に示すように、薄肉部分51Bは貫通孔51Cを有している。この貫通孔51Cは、Z方向に沿って形成されており、ファンモータ62の出力軸63が、この貫通孔51Cを通っている。
図3に例示するように、ファンモータ62の出力軸63は、上下の位置に円盤63A,63Bを固定している。
【0049】
これらの円盤63A,63Bは、貫通孔51Cの上端部と下端部に位置されており、出力軸63は貫通孔51C内において円盤63A,63Bにより薄肉部分51Bに対して支持されるようにして回転できるようになっている。このような円盤63A,63Bを設けることで、収容空間部60内に発生するファンモータ62の熱や塵が、貫通孔51Cを通じて収容部40の処理室42に漏れるのを、できる限り防ぐことができる。
【0050】
ファンモータ62の出力軸63の先端部には、送風ファン64が取り付けられている。ファンモータ62と送風ファン64は、収容部40の処理室42内に所定の雰囲気ガスを送風するための送風機を構成している。この送風ファン64は、処理室42内において、下壁部51における厚肉部分51Aと薄肉部分51Bの厚みの差により生じる空間SQに配置されている。
【0051】
<ヒータ65>
次に、
図3から
図5を参照して、ヒータ65を説明する。
【0052】
図3から
図5に示すヒータ65は、制御部100からの通電により、上述した収容部40の処理室42内を、所定の加熱温度で加熱する。ヒータ65の材質としては、例えばステンレスパイプヒータであるが、特に材質は限定されない。
【0053】
図3から
図5に示すヒータ65は、左右の第1部分65A,65Aと、左右の第2部分65B,65Bと、第3部分65Cを有する。
図3から
図5に示すヒータ65の左右の第1部分65A,65Aは、Z方向に沿って形成されている。
図3と
図4に示すヒータ65の左右の第2部分65B,65Bは、X方向に沿って形成されている。
図4と
図5に示す第3部分65Cは、Y方向に沿って形成されている。
【0054】
ここで、Z方向は、本体部1Aの上下方向であり、X方向は、本体部1Aの奥行方向であり、Y方向は、本体部1Aの幅方向である。
【0055】
図3に示すように、下壁部51の厚肉部分51Aは、Z方向沿って貫通孔51Dを有する。左右の第1部分65A,65Aは、厚肉部分51Aの貫通孔51Dを通っている。左右の第1部分65A,65Aの下端部のターミナル65Dは、収容空間部60内に達しており、制御部100に電気的に接続されている。左右の第1部分65A,65Aの上端部は、収容部40の処理室42内に達している。ヒータ65の左右の第2部分65B,65Bと第3部分65Cは、収容部40の処理室42内において、最も下段の棚板55の下部の空間SP1に配置されている。
【0056】
<空気移送部20>
次に、
図1と
図3から
図5を参照して、空気移送部20について説明する。
【0057】
図1に示す空気移送部20は、
図3では破線で示し、
図4と
図5では実線で示している。
【0058】
図1に示すように、空気移送部20の一端部21が、右側面部5の吸気口18に、着脱可能に接続されているとともに、
図1に示す空気移送部20の他端部22が、塞ぎ板24の排気口26に着脱可能に接続されている。このような空気移送部20の取付け構造を採用することで、塞ぎ板24を右側面部5の下部の放熱孔23に対して取り付けるだけで、空気移送部20は、既存のクリーン排気システム1に対して、簡単に後付け作業で、取り付けることができる。
【0059】
右側面部5の吸気口18には、塵除去フィルタ70が着脱可能に取り付けられている。この塵除去フィルタ70は、プレフィルタと呼ぶこともでき、主フィルタFに比べると、目の粗いフィルタである。言い換えれば、主フィルタFの目は、塵除去フィルタ70の目よりも細かい。
【0060】
主フィルタFは、用途によって、例えば耐熱HEPAフィルタや高性能耐熱HEPAフィルタを用いることができる。耐熱HEPAフィルタや高性能耐熱HEPAフィルタの連続最高使用温度は例えば350℃であり、耐熱HEPAフィルタや高性能耐熱HEPAフィルタの集塵効率は、0.3μmにて99.97%以上である。
【0061】
また、塵除去フィルタ70としては、主フィルタFよりも目の粗いフィルタを用いることができる。
【0062】
空気移送部20は、基部41内の収容空間部60内と、収容部40の処理室42内を、塵除去フィルタ70を介して接続している。
【0063】
ファンモータ62が回転駆動する際には、ファンモータ62は、熱や粉塵等の発生物質を発生する。発生物質としては、金属粉等の粉塵や油分を含む。
【0064】
ファンモータ62から発生する粉塵等の発生物質が、収容空間部60内に発生するが、この収容空間部60内の熱や粉塵等の発生物質を含む空気は、収容空間部60から空気移送部20を通じて塵除去フィルタ70に送られることで、粉塵等の発生物質を塵除去フィルタ70により捕集される。そして、粉塵等の発生物質が除去された空気は、右側面部5の吸気口18を通じて収容部40の処理室42内に送られるようになっている。
【0065】
このように、空気移送部20は、収容空間部60内の熱や粉塵等の発生物質を含む空気を、収容部40の処理室42内に送り込むようにして、本体部1Aの外側、すなわちクリーンルーム200内には、全く入り込まないようにすることができる。空気移送部20は、本体部1Aの外側において、後付け作業で取り付けることができるようにした外部接続タイプの部材である。
【0066】
<クリーン排気システム1の動作例>
次に、上述したクリーン排気システム1の動作例を説明する。
【0067】
図6は、
図1から
図5に示す第1実施形態のクリーン排気システム1の動作例を模式的に示す斜視図である。
【0068】
図3に示すように、収容部40の処理室42内の後部には、主フィルタFが取り付けられ、背面扉10が扉パッキン34を介して処理室42の背面開口部10Bを密閉している。まず、
図1に示す正面扉8を開けて、
図3に示す収容部40の処理室42内の棚板55の上には被熱処理物を配置する。正面扉8を閉じることで、正面扉8は、扉パッキン33を介して処理室42の前面開口部8Bを密閉する。
【0069】
図3に示す制御部100は、ヒータ65に通電することで、ヒータ65が発生する熱により、予め定めた温度により被熱処理物を加熱するとともに、ファンモータ62は、制御部100の指令により駆動して、出力軸63とともに送風ファン64が回転する。温度制御センサ59は、収容部40の処理室42内の温度を制御するために、処理室42内の温度情報信号SSを制御部100に送る。これにより、制御部100は、ヒータ65への通電制御をすることで、処理室42内を、所定の温度に維持する。
【0070】
送風ファン64が回転することで、
図3における矢印R1から矢印R5で示すように収容部40の処理室42内の雰囲気ガスを含む空気を循環することができる。すなわち、雰囲気ガスを含む空気は、送風ファン64から矢印R1、R2により空間SPを通過して、主フィルタFに入る。主フィルタFは、雰囲気ガスを含む空気から塵等を除去した後、塵等が除去された雰囲気ガスを含む空気は、矢印R3で示すように棚板55上の被熱処理物を通過する。そして、被熱処理物を通過することで塵等を含んだ雰囲気ガスを含む空気は、矢印R4に進み気体の吸入口部58を通じて、矢印R5で示すように送風ファン64に戻る。
【0071】
被熱処理物を熱処理中、
図6に示すように、制御部100は、槽内排気管29の排気量調整バルブ30の開度の調整により行う。排気量調整バルブ30の開度は、制御部100の指令により行うことで、収容部40の処理室42内の雰囲気ガスをクリーンルーム200の外部に排出する排気量を調整している。これにより、クリーン排気システム1の運転が開始されて、ファンモータ62が動作を開始すると同時に、処理室42内の雰囲気ガスの一部を、収容部40の処理室42内から
図6の矢印R6で示すように、槽内排気管29と排気量調整バルブ30を通じて、
図1に示すクリーンルーム200の外部に排出する。
【0072】
槽内排気管29は、クリーンルーム200の外側に達しているので、塵等を含んだ雰囲気ガスを含む空気の一部が、クリーンルーム200内には漏れることは全くなく、クリーンルーム200内を汚染することは無い。
【0073】
一方、上述したようにファンモータ62が送風ファン64を回転することで、収容部40の処理室42内の雰囲気ガスを含む空気を循環して被熱処理物の加熱処理を行う際には、
図5と
図6に示すように、空気移送部20は、収容空間部60内でファンモータ62が駆動することで生じる熱や粉塵等の発生物質を含む空気を、
図5と
図6に示す矢印Tで示すように、収容部40の処理室42内に塵除去フィルタ70を介して、送り込むようにしている。
【0074】
ファンモータ62が駆動することで生じる粉塵としては、例えばモータ軸の摩擦粉よりも、モータのコイルをコーティングしているワニスや、ベアリングのグリスからの発塵が主である。
【0075】
ファンモータ62からの発塵を確認したところ、0.5μm粒子の1立方フィート(ft3)中の粒子数を測定すると、ファンモータ62のオフ時とオン時では、発塵量が5倍ないし6倍(0.5μm粒子にて78個が398個/ft3)(ft3=0.02832m3)に増えていることが分かっている。
【0076】
空気移送部20は、収容空間部60内の熱や粉塵等の発生物質を含む空気を、本体部1Aの外部で通す外部接続構造であるので、収容空間部60内の熱や粉塵等の発生物質を含む空気がクリーンルーム200内には入り込まないようにすることができる。特に、クリーンルーム200内の空気清浄度がクラス100あたりまでが、特にファンモータ62からの発塵の影響を受けやすいのであるが、ファンモータ62からの発生物質がクリーンルーム内には飛散しない。
【0077】
槽内排気管29の排気量調整バルブ30の開度を調整することで、この処理室42内の雰囲気ガスを含む空気の排気量の調整を行うことにより、収容空間部60内の熱や粉塵等の発生物質を含む空気が、空気移送部20を通じて、処理室42内の雰囲気ガスを含む空気へ吸気される量が決まる。
【0078】
図6に示すように、熱や粉塵等の発生物質を含む空気が、塵除去フィルタ70を通して、処理室42内に送り込まれると、送風ファン64の回転により、矢印R1と矢印R2で示すように収容部40の処理室42内の雰囲気ガスを含む空気とともに、主フィルタFを通過する。
【0079】
これにより、仮に、熱や粉塵等の発生物質を含む空気が塵除去フィルタ70を通っても、除去できなかった細かい粉塵等の発生物質は、塵除去フィルタ70よりもさらに細かい主フィルタFにより捕集して除去することができる。
【0080】
ところで、
図3に示す主フィルタFは、所定の経過時間が経過した場合や、任意のタイミングで、交換することができる。主フィルタFを交換する場合には、主フィルタFの交換をするための交換用の背面扉10を開けて、主フィルタFを取り外して、新たな主フィルタFを取り付けて、再び背面扉10を閉じる。
【0081】
また、
図1に示す塵除去フィルタ70は、所定の経過時間が経過した場合や、任意のタイミングで、交換することができる。塵除去フィルタ70は、
図1に示す空気移送部20の一端部21を吸気口18から取り外すことで、新たな塵除去フィルタ70を取り付けることができる。
【0082】
上述した本発明の第1実施形態のクリーン排気システム1では、ファンモータ62が回転することで収容空間部60内に発生する熱や粉塵等の発生物質を含む空気は、本体部1Aの外部に設けられた空気移送部20を通すので、クリーンルーム200内が熱と粉塵等の発生物質により汚染されることが無い。
【0083】
しかも、収容空間部60内に発生する熱や粉塵等の発生物質を含む空気は、本体部1Aの外部に設けられた空気移送部20を通して処理室42内に送り込まれても、塵除去フィルタ70よりも細かい粉塵等の発生物質等を除去できる処理率42内の主フィルタFが、熱や粉塵等の発生物質を含む空気から粉塵等の発生物質を除去することができるので、処理室42内が粉塵等の発生物質により汚染されることは無い。すなわち、ファンモータ62から発生した塵埃が、清浄度の調整されたクリーンルーム200内に飛散するのを防ぐことができる。
【0084】
空気移送部20は、実際に設置されているクリーン排気システム1の本体部1Aの外部に対して、後付けするだけで、容易に設けることできる。このため、実際に設置されているクリーン排気システムに対して大掛かりな排気設備が不要となり、大掛かりな排気設備の追加に伴う費用が発生するのを防ぐことができ、費用の軽減が図れる。
【0085】
(第2実施形態)
次に、
図7と
図8を参照して、本発明のクリーン排気システムの第2実施形態を説明する。
【0086】
図7は、本発明のクリーン排気システムの第2実施形態を示し、本体部1Bの構造例を見易くするために単純化して示す図である。
図8は、
図7に示す本体部のE−E線における断面図である。
【0087】
図7と
図8に示す第2実施形態のクリーン排気システム1の本体部1Bは、
図1から
図7に示す第1実施形態のクリーン排気システム1の本体部1Aと比較すると、次に説明する要素が異なるが、その他の要素については実質的に同じであるので、同様の箇所には同じ符号を記して、その説明を援用する。
【0088】
第1実施形態のクリーン排気システム1の本体部1Aでは、
図1に示すように、空気移送部20は、本体部1Aの外側において、吸気口18と排気口26を外部接続している。
【0089】
これに対して、
図7と
図8に示す第2実施形態のクリーン排気システム1の本体部1Bでは、空気移送部20Rは、本体部1Bの内部に設けられている。この空気移送部20Rは、下壁部51の薄肉部分51Bに設けられている貫通孔である。空気移送部20Rは、Z方向に形成されており、収容空間部60と収容部40の処理室42を接続している。
【0090】
空気移送部20Rの収容空間部60側には、塵除去フィルタ70Rが着脱可能に取り付けられている。
【0091】
これにより、
図7と
図8に示す送風ファン64を回転することで、収容部40の処理室42内の雰囲気ガスを含む空気を循環して被熱処理物の熱処理を行う際には、空気移送部20Rは、収容空間部60内の熱や粉塵等の発生物質を含む空気を矢印Tで示すように、収容部40の処理室42内に塵除去フィルタ70Rを介して、直接送り込むことができる。
【0092】
この空気移送部20は、収容空間部60内の熱や粉塵等の発生物質を含む空気を、本体部1Bの内部で通す内部接続構造であるので、収容空間部60内の熱や粉塵等の発生物質を含む空気がクリーンルーム200内には入り込まないようにすることができる。
【0093】
このように、
図6に示すように、熱や粉塵等の発生物質を含む空気が、塵除去フィルタ70Rと空気移送部20Rを通して、処理室42内に送り込まれると、送風ファン64の回転により、矢印R1と矢印R2で示すように収容部40の処理室42内の雰囲気ガスを含む空気とともに、主フィルタFを通過する。これにより、仮に熱や粉塵等の発生物質を含む空気が塵除去フィルタ70Rを通っても、除去できなかった細かい粉塵等の発生物質は、塵除去フィルタ70Rよりもさらに細かい主フィルタFにより、除去することができる。
【0094】
従って、ファンモータ62が回転することで収容空間部60内に発生する熱や粉塵等の発生物質を含む空気は、本体部1Bの内部に設けられた空気移送部20Rを通すので、クリーンルーム内が熱と粉塵等の発生物質により汚染されることが無い。ファンモータ62から発生した塵埃が、清浄度の調整されたクリーンルーム内に飛散するのを防ぐことができる。
【0095】
しかも、収容空間部60内に発生する熱や粉塵等の発生物質を含む空気は、本体部1Bの内部に設けられた空気移送部20Rを通して処理室42内に送り込まれても、塵除去フィルタ70Rよりも細かい粉塵等の発生物質等を除去できる処理率42内の主フィルタFが、熱や粉塵等の発生物質を含む空気から粉塵等の発生物質を除去することができるので、処理室42内が粉塵等の発生物質により汚染されることは無い。
【0096】
空気移送部20Rは、実際に設置されているクリーン排気システム1の本体部1Bの隔壁である下壁部51に対して、後付け作業で貫通孔を設けるだけで、容易に得られる。このため、実際に設置されているクリーン排気システムに対して大掛かりな排気設備が不要となり、大掛かりな排気設備の追加に伴う費用が発生するのを防ぐことができ、費用の軽減が図れる。
【0097】
なお、上述した本発明の第1実施形態と第2実施形態では、収容空間部60内に発生する熱や粉塵等の発生物質を含む空気が、薄肉部分51Bの貫通孔51Cを通じて処理室42内に、わずかな量だけ入り込む場合であっても、粉塵や油分等の発生物質は、主フィルタFにより除去することができる。
【0098】
本発明の実施形態のクリーン排気システム1は、収容部屋の一例であるクリーンルーム200内に配置されて、被熱処理物の熱処理を行うためのクリーンオーブン等に適用できるクリーン排気システムである。このクリーン排気システム1は、基部41と、基部41とは区画して設けられて、被熱処理物を収容する処理室42を有する収容部40と、基部41内に配置されるモータ62と、処理室42内に配置されて、モータ62により回転される送風ファン64と、基部41内においてモータ62から発生する熱と発生物質を含む空気を、収容部屋200内に漏れないように基部41内から処理室42内に送る空気移送部20を備える。
【0099】
これにより、空気移送部は、基部内においてモータから発生する熱と発生物質を含む空気を、収容部屋内に漏れないように基部内から処理室内に送ることができる。従って、モータから発生する熱と発生物質を含む空気による収容部屋内の汚染を防止でき、大掛かりな排気設備が不要となり、大掛かりな排気設備の追加に伴う費用が発生するのを防ぐことができる。
【0100】
クリーン排気システム1では、空気移送部20は、収容部40と基部41の外側に位置され、空気移送部20は、基部41に設けられた排気口26と、収容部40に設けられた吸気口18との間に接続するチューブである。これにより、空気移送部は、排気口と吸気口に接続するだけで、既存のクリーン排気システムの収容部と基部の外側に、後付けで容易に取り付けることができる。
【0101】
クリーン排気システム1では、空気移送部20は、収容部40の処理室42と基部41を区画している壁部(例えば下壁部51)に貫通して設けられている貫通孔であり、空気移送部20により、処理室40と基部42が接続されている。これにより、空気移送部は、収容部の処理室と基部を区画している壁部に貫通して設けられている貫通孔20Rであるので、既存のクリーン排気システムの収容部40と基部41の内側に、後付けで容易に設けることができる。
【0102】
クリーン排気システム1では、モータ62から発生する熱と発生物質を含む空気を、基部41内から処理室42内に送る際に、モータ62から発生する熱と発生物質を含む空気から発生物質を除去するための発生物質除去フィルタ70(70R)が配置されている。これにより、発生物質除去フィルタ70(70R)は、モータから発生する熱と発生物質を含む空気から発生物質を除去することができるので、発生物質が基部41内から処理室42内に送り込まれるのを防ぐことができる。
【0103】
クリーン排気システム1では、処理室42内には、送風ファン64により処理室42内で循環される雰囲気ガスを通す主フィルタFが配置されており、主フィルタFは、発生物質除去フィルタ70(70R)よりも目が細かい。これにより、発生物質除去フィルタは、モータから発生する熱と発生物質を含む空気から発生物質を除去して、発生物質が基部内から処理室内に送り込まれるのを防ぐが、仮により細かい発生物質が発生物質除去フィルタを通過してしまったとしても、そのより細かい発生物質は、主フィルタにより捕獲することができるので、処理室内の汚染を防げる。
【0104】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、各実施形態は一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。
【0105】
例えば、図示例では、処理室42内の排気量を調整するための排気量調整バルブ30の開度は、制御部100の指令により調整可能になっているが、これに限らず、排気量調整バルブ30の開度は、作業者が手動により調整できるようにしても良い。
【0106】
空気清浄度が確保された収容部屋としては、クリーンルームに限らず、他の種類の室であっても良い。
【0107】
外付けの空気移送部20としては、例えば屈曲自在で伸長が可能なフレキシブルチューブを用いているが、通常の金属製の伸縮しないチューブであっても良い。
【0108】
本発明の実施形態のクリーン排気システムは、クリーンオーブンに適用されている。しかし、これに限らず、本発明のクリーン排気システムは、クリーンオーブン以外の装置に適用することができる。