(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
図1はワイパ装置を搭載した車両を示す概略図を、
図2はワイパモータの出力軸側を示す平面図を、
図3は
図2のA矢視図を、
図4はギヤケースおよび当該ギヤケースに装着されたコネクタユニットを示す斜視図を、
図5はギヤケースの外部構造を説明する斜視図を、
図6はギヤケースの内部構造を説明する斜視図を、
図7は第3補強部が設けられる位置を説明する平面図を、
図8(a),(b)は繊維膜の歩留まり向上を説明する説明図をそれぞれ示している。
【0021】
図1に示すように、車両10の前方側には、フロントウィンドシールド11が設けられている。また、フロントウィンドシールド11の車両前方側には、ワイパ装置12が設けられている。ワイパ装置12は、フロントウィンドシールド11の表面に付着した雨水や埃等を払拭して、これにより運転者の視界を良好に確保するものである。
【0022】
ワイパ装置12は、運転席側と助手席側とで2本のワイパアーム13を備えている。これらのワイパアーム13の基端側は、車両10に設けられた一対のワイパ軸14にそれぞれ固定されている。一対のワイパアーム13の先端側は、一対のワイパ軸14を揺動中心として揺動するようになっている。
【0023】
ワイパ装置12は、モータ装置としてのワイパモータ15を備えている。ワイパモータ15は1つのみ設けられ、当該1つのワイパモータ15によって一対のワイパアーム13が揺動駆動される。ワイパモータ15は出力軸16を備えており、当該出力軸16と一対のワイパ軸14との間にはリンク機構17が設けられている。そして、ワイパモータ15を駆動させると出力軸16の回転運動がリンク機構17によって揺動運動に変換される。これにより、一対のワイパ軸14が揺動駆動されて、ひいては一対のワイパアーム13の先端側がフロントウィンドシールド11上で揺動される。
【0024】
一対のワイパアーム13の先端側には、ワイパブレード18がそれぞれ装着されている。一対のワイパブレード18は、フロントウィンドシールド11の表面に弾性接触されている。そして、ワイパモータ15により各ワイパアーム13を揺動駆動させると、各ワイパブレード18は、フロントウィンドシールド11の表面の所定の払拭範囲19を往復払拭動作する。これにより、フロントウィンドシールド11に付着した雨水等を綺麗に払拭することができる。
【0025】
図2および
図3に示すように、ワイパモータ15は、モータ部20とギヤ部30とを備えている。これらのモータ部20およびギヤ部30は、一対の固定ねじS1(図示では1つのみ示す)によって互いに固定されている。具体的には、モータ部20のヨーク21は、ギヤケース31のモータ固定部MFに、一対の固定ねじS1によって連結されている。
【0026】
図2に示すように、モータ部20は、磁性材料よりなる鋼板等を深絞り加工することで有底筒状に形成されたヨーク(モータケース)21を備えている。ヨーク21の内壁には、断面が略円弧形状に形成された複数の永久磁石22(図示では2つのみ示す)が固定されている。複数の永久磁石22の内側には、所定のエアギャップ(隙間)を介してアーマチュア23が回転自在に設けられている。アーマチュア23の回転中心にはアーマチュア軸(回転軸)24が固定されており、アーマチュア軸24はアーマチュア23とともにヨーク21の内部に回転自在に収容されている。
【0027】
アーマチュア軸24の軸方向一端側(
図2中左側)は、ヨーク21の底部に軸受(図示せず)を介して回転自在に支持されている。アーマチュア軸24の軸方向他端側(
図2中右側)は、ギヤ部30を形成するギヤケース31の内部に配置されている。アーマチュア軸24の軸方向他端側には、減速機構33を形成するウォームギヤ25が一体に設けられ、このウォームギヤ25は、減速機構33を形成するウォームホイール34の歯部34aに噛み合わされている。
【0028】
アーマチュア軸24の軸方向に沿うウォームギヤ25とアーマチュア23との間には、アーマチュア23に巻装されたコイル26に電気的に接続されたコンミテータ(整流子)27が固定されている。コンミテータ27の外周部分には一対のブラシ28が摺接するようになっており、これにより各ブラシ28に駆動電流を供給することで、コンミテータ27を介してコイル26に駆動電流が供給される。コイル26に駆動電流を供給することでアーマチュア23には電磁力が発生し、ひいてはアーマチュア軸24は所定の回転数および回転方向で回転される。ただし、本実施の形態においてはブラシ付きモータを採用しているが、ブラシレスモータ等の他の形式のモータを採用することもできる。
【0029】
図3に示すように、ギヤ部30は、ギヤケース31と当該ギヤケース31の第1開口部31a(
図4参照)を閉塞するギヤカバー32とを備えている。ギヤケース31は、溶融したアルミ材料等を鋳造成形することにより略バスタブ形状に形成されている。一方、ギヤカバー32は、溶融したプラスチック材料等を射出成形することにより形成されている。
【0030】
ギヤケース31の側壁部31bには、3つの係合突起31c(
図3では1つのみ示す)が設けられ、ギヤカバー32の周囲には、各係合突起31cにそれぞれ係合される3つの係合爪32aが設けられている。そして、各係合爪32aを各係合突起31cにそれぞれ係合させることで、ギヤケース31にギヤカバー32が密着して、ギヤケース31の第1開口部31aが密閉される。なお、ウォームホイール34(
図2参照)は、第1開口部31aからギヤケース31の内部に組み込まれる。
【0031】
図2に示すように、ギヤケース31の内部には、ギヤ機構としての減速機構33が回転自在に収容されている。減速機構33は、外周部分に歯部34a(詳細図示せず)を有するウォームホイール34を備えており、このウォームホイール34の歯部34aには、アーマチュア軸24に設けたウォームギヤ25が噛み合わされている。ここで、減速機構33は、ウォームギヤ25およびウォームホイール34によって構成されている。
【0032】
ウォームホイール34の回転中心には、出力軸16の基端側が固定されている。出力軸16はアーマチュア軸24の軸方向と交差する方向(直交する方向)に延ばされており、出力軸16の先端側はギヤケース31の外部に配置されている。出力軸16の先端側にはリンク機構17(
図1参照)が連結されており、これにより出力軸16の回転力がリンク機構17に伝達される。ここで、アーマチュア軸24の回転は、ウォームギヤ25を介してウォームホイール34に伝達される。このとき、アーマチュア軸24の回転数が所定の回転数にまで減速され、高トルク化された回転力が出力軸16から出力される。よって、ワイパモータ15は小型でありながら高出力が可能であり、車両搭載性に優れたモータ装置となっている。
【0033】
図4に示すように、ギヤケース31の側壁部31bの一部には、第2開口部31dが設けられている。第2開口部31dは、ギヤケース31のヨーク21との連結部分に設けられ、かつアーマチュア軸24の軸方向に沿って開口されている。そして、第2開口部31dには、コネクタユニット40が装着されている。ここで、第2開口部31dには、アーマチュア軸24が貫通するようになっており、本発明における開口部を構成している。
【0034】
コネクタユニット40は、第2開口部31dを閉塞するように装着され、ブラシホルダ部41とコネクタ接続部42とを備えている。これらのブラシホルダ部41およびコネクタ接続部42は、溶融したプラスチック材料等を射出成形することで一体化されている。
【0035】
ブラシホルダ部41は略円盤形状に形成され、その径方向内側の部分には、アーマチュア軸24(
図2参照)が貫通する貫通孔41aが設けられている。一方、ブラシホルダ部41の径方向外側の部分には、3つの係合凸部41bが設けられており、これらの係合凸部41bは、第2開口部31dに設けられた3つの係合凹部31eにそれぞれ係合されている。これにより、ブラシホルダ部41のギヤケース31に対するがたつきが防止される。また、ブラシホルダ部41のギヤケース31側には、一対のブラシ28(
図4では1つのみ示す)や、チョークコイル等の他の電子部品EPが設けられている。
【0036】
コネクタ接続部42は、ブラシホルダ部41の径方向外側の部分に一体に設けられている。コネクタ接続部42は略箱形状に形成され、当該コネクタ接続部42のギヤケース31側とは反対側が開口されている。コネクタ接続部42の内部には、複数の接続端子CTの一端側が配置されている。ここで、複数の接続端子CTは、コネクタユニット40の内部にインサート成形により埋設され、各接続端子CTの他端側は、各ブラシ28や他の電子部品EPに電気的に接続されている。
【0037】
コネクタ接続部42には、車両10側に設けられた外部コネクタCN(
図2参照)が接続され、当該外部コネクタCNには、車両10に搭載されたバッテリやスイッチ等(図示せず)が電気的に接続されている。これにより、スイッチをオン操作することで、各ブラシ28に駆動電流が供給される。
【0038】
図4に示すように、コネクタ接続部42には突片42aが一体に設けられている。この突片42aは、コネクタ接続部42を中心にブラシホルダ部41側とは反対側に突出して設けられている。突片42aには、ギヤケース31にねじ結合される固定ねじS2が挿通されている。これにより、コネクタユニット40は、ギヤケース31のコネクタ固定部CFに固定されて、かつ第2開口部31dにがたつくこと無く装着される。
【0039】
図5および
図6に示すように、ギヤケース31には第1底部(底部)35が設けられている。第1底部35は平面視で略円形形状に形成され、当該第1底部35の略中心部分には、出力軸16(
図3参照)を回動自在に支持するボス部(支持部)36が一体に設けられている。ボス部36は、出力軸16の軸方向に延びる略円筒形状に形成され、その径方向外側の部分が第1底部35に一体化されている。ボス部36の軸方向に沿うギヤケース31の外部にある部分には、
図3に示すようにゴムキャップCPが装着されている。これにより、出力軸16とボス部36との間が密閉されて、ひいてはギヤケース31の内部への雨水等の進入が抑制される。
【0040】
図5に示すように、ボス部36と第1底部35との連結部分で、かつギヤケース31の外部には、略円錐台形状に形成された第1補強部37が設けられている。第1補強部37は、ボス部36と第1底部35との結合強度を高めるもので、ボス部36の端部から第1底部35に近付くに連れて、徐々にその直径寸法が大きくなるように形成されている。ここで、
図6に示すように、第1補強部37の内側には、環状の第1中空部37aが形成されており、これにより第1補強部37の肉厚を、第1底部35やボス部36の肉厚と略同じ肉厚となるようにしている。よって、ギヤケース31の軽量化を実現しつつ、ギヤケース31の成形時におけるヒケ等の発生を抑制して第1底部35やボス部36等が歪むのが防止される。
【0041】
図5に示すように、ギヤケース31の外部で、かつボス部36の周囲には、3つの取付脚38が一体に設けられている。これらの取付脚38は、ワイパモータ15(
図2参照)を、車両10(
図1参照)のボディ等の固定対象物に固定するためのもので、各取付脚38には固定ボルト(図示せず)がねじ結合されるようになっている。なお、3つの取付脚38を設けることにより、ワイパモータ15の車両10への固定強度を十分なものとし、かつワイパモータ15(ギヤケース31)の重量増大を最小限に抑えている。ここで、3つの取付脚38においてもボス部36と同様に略円筒形状に形成され、その肉厚についてもボス部36の肉厚と略同じ肉厚としている。よって、ギヤケース31の成形時におけるヒケ等の発生を抑制して各取付脚38等が歪むのが防止される。
【0042】
第1補強部37と各取付脚38との間には、第2補強部39が設けられている。第2補強部39は、各取付脚38と第1底部35との結合強度を高めるもので、第1補強部37を中心として、各取付脚38に向けて放射状に延びている。また、
図3に示すように、第2補強部39の第1底部35からの突出高さおよび第1補強部37の第1底部35からの突出高さは、何れも略同じ突出高さH1に設定されている。ここで、
図6に示すように、第2補強部39の内側にも第1補強部37と同様に、第2中空部39aが形成されている。これにより、第2補強部39の肉厚についても、第1底部35やボス部36の肉厚と略同じ肉厚となるようにしている。よって、ギヤケース31の成形時におけるヒケ等の発生を抑制して、第1底部35,ボス部36,各取付脚38等が歪むのが防止される。
【0043】
図5に示すように、ギヤケース31には第2底部(底部)50が設けられている。第2底部50は、出力軸16の軸方向に沿うギヤケース31の深さ方向に対して、第1底部35よりも深い位置に設けられている。言い換えると、第2底部50は、出力軸16の軸方向に沿うギヤケース31の外部に向けて、第1底部35よりも高い位置に設けられている。そして、
図3に示すように、第2底部50の第1底部35からの突出高さは、第1補強部37および第2補強部39の突出高さH1よりも高い突出高さH2に設定されている(H2>H1)。
【0044】
図7に示すように、ボス部36の中心を通過してアーマチュア軸24の軸方向に延びる第1補助線AC1を引き、かつボス部36の中心を通過してアーマチュア軸24の軸方向と直交する方向に延びる第2補助線AC2を引き、第1象限(1),第2象限(2),第3象限(3)および第4象限(4)を形成すると、第2底部50は第4象限(4)に配置される。ここで、第1象限(1)は、ボス部36と第2開口部31dのコネクタ固定部CF側との間に形成され、第4象限(4)は、ボス部36と第2開口部31dのモータ固定部MF側との間に形成される。つまり、第2底部50は、ボス部36と第2開口部31dのモータ固定部MF側との間(図中網掛部分)に配置されている。
【0045】
図4,
図6,
図7に示すように、ギヤケース31の内部で、かつ第2底部50の内側には、出力軸16の軸方向に延びるよう突出された第3補強部51が設けられている。第3補強部51は、本発明における補強部を構成しており、第2底部50に直角に設けられたリブとなっている。第3補強部51は、平面視で正六角形形状(多角形形状)を形成するよう連ねて設けられ、第3補強部51をギヤケース31の内側から見ると、
図7に示すように蜂の巣形状(ハニカム構造)となっている。
【0046】
これにより、
図7に示すように、特にギヤケース31の第4象限(4)に入る部分の剛性が向上される。ここで、第3補強部51に囲まれた部分には、アーマチュア軸24の軸方向に沿う断面形状が正六角形形状(多角形形状)に形成された肉盗み部52が形成される。これにより、ギヤケース31の重量を増加させずに、ギヤケース31の第4象限(4)に入る部分の剛性を向上させている。ここで、第3補強部51は、ギヤケース31の外部で、第1底部35のボス部36の周方向に沿い、かつ取付脚38の間に配置されている。これにより、取付脚38の剛性を下げることは無い。
【0047】
第4象限(4)に入るギヤケース31の部分は、モータ固定部MFが近接して配置され、かつ歯部34aとウォームギヤ25との噛み合い部(
図2参照)が近接して配置される部分となっている。よって、第4象限(4)に入るギヤケース31の部分は、モータ部20の駆動による比較的大きな捩り力(応力)が作用する部分となっている。このように、本実施の形態においては、ギヤケース31における必要最小限の部分、つまり最低限補強が必要となる部分に、第3補強部51を設けている。よって、ギヤケース31の形状が複雑化するのを抑制しつつ、ギヤケース31の成形性が低下するのを防止している。
【0048】
複数の肉盗み部52のうちの1つの肉盗み部52aは、
図5に示すように、出力軸16の軸方向に沿うギヤケース31の外部から内部に向けて窪むようにして設けられている。そして、出力軸の軸方向に沿う肉盗み部52aの第1底部35側、つまり第1底部35の肉盗み部52aが設けられる部分には、
図6に示すように、ギヤケース31の内外において空気の通過を許容する空気孔53が設けられている。
【0049】
ここで、空気孔53には、下記のようにして空気が流通するようになっている。すなわち、ワイパモータ15を長時間連続して駆動すると、ワイパモータ15は高温となる。そして、高温状態のもとでワイパモータ15に雨水等が掛かると、ワイパモータ15は急激に冷却される。これにより、ギヤケース31の内部の温度が急激に低下して、ギヤケース31の内部が負圧となり、ギヤケース31の内部に空気が流入するようになる。このように、空気孔53は、密閉されたギヤケース31に、所謂呼吸機能を持たせるために設けたものである。
【0050】
ただし、空気孔53には、雨水等を通過させないようにする必要がある。そのため、肉盗み部52aの内部には、空気の通過を許容する一方で水分の通過を規制する繊維膜54(
図2,
図5の網掛部分参照)が収容されている。つまり、空気孔53は、繊維膜54によって塞がれている。この繊維膜54は、本発明における閉塞部材を構成し、その素材は不織布やフェルト等である。また、繊維膜54は、肉盗み部52aの断面形状に合わせて正六角形に形成されている。
【0051】
このように、繊維膜54を、ギヤケース31の外部から内部に向けて窪んだ肉盗み部52aに収容するようにしたことで、繊維膜54を交換する際のメンテナンス性を向上させている。また、空気孔53および繊維膜54を設ける部分を、ギヤケース31を補強する第3補強部51により囲まれた肉盗み部52aとして、ギヤケース31の他の部分に、空気孔および繊維膜を設けるための構造を別途設ける必要を無くしている。そのため、ギヤケース31の構造を簡素化して、ギヤケース31の成形性を向上させつつ、その見栄えを良好にしている。
【0052】
ここで、本実施の形態においては、
図8に示すように、繊維膜54を正六角形形状としたので、当該繊維膜54と略同じ面積の円形の繊維膜FS(比較例)に比して、歩留まりを向上させることができる。具体的には、同じ面積ARの材料Wから取れる繊維膜の個数は、比較例においては42個であるのに対し、本実施の形態においては49個であった。また、本実施の形態における材料Wの無駄部分D1(網掛以外の部分の合計)は、比較例における材料Wの無駄部分D2(網掛以外の部分の合計)の略半分であった。
【0053】
以上詳述したように、本実施の形態に係るワイパモータ15によれば、ギヤケース31の内部で、かつボス部36と第2開口部31dのモータ固定部MF側との間に、ギヤケース31の剛性を高める第3補強部51を設けた。ギヤケース31の第2開口部31dが形成されることにより第2開口部31d周辺の剛性が低下する虞があったとしても、第3補強部51を設けることにより、第2開口部31d周辺の剛性を高めて、ヨーク21とギヤケース31との連結強度を向上させることができる。したがって、ギヤケース31をより小型軽量化することが可能となり、ひいてはワイパモータ15の小型軽量化を実現できる。
【0054】
また、本実施の形態に係るワイパモータ15によれば、第3補強部51はギヤケース31の内部に設けられるため、ワイパモータ15の外観をスッキリさせて見栄えを良くすることができるとともに、第3補強部51の周囲に雨水や埃等が溜まるのを防止することができる。
【0055】
さらに、本実施の形態に係るワイパモータ15によれば、第3補強部51を、ギヤケース31の第2底部50から出力軸16の軸方向に突出したリブとしたので、第3補強部51の肉厚を薄くすることができる。よって、ヒケ等が発生するのを確実に防止して、ひいてはギヤケース31の全体が歪むのを防止して、ギヤケース31の成形精度を向上させることができる。また、第2底部50の第1底部35からの突出高さH2を、第1補強部37および第2補強部39の突出高さH1よりも高く設定しているため、ギヤケース31の強度を十分に高めることができる。さらに、突出高さH2を適宜変更することで、最適な強度を容易に設定することができる。
【0056】
また、本実施の形態に係るワイパモータ15によれば、ギヤケース31は、第3補強部51により囲まれた肉盗み部52を備え、肉盗み部52のアーマチュア軸24の軸方向に沿う断面形状を正六角形形状(ハニカム構造)としたので、第3補強部51の強度をより大きくすることができる。よって、ギヤケース31をより小型軽量化することが可能となる。
【0057】
さらに、本実施の形態に係るワイパモータ15によれば、ギヤケース31の第2底部50で、かつ肉盗み部52aが設けられる部分に、空気の通過を許容する空気孔53を設けたので、ギヤケース31の構造を簡素化して成形性の向上や見栄えを良好にでき、かつギヤケース31の剛性を高めることができる。
【0058】
また、本実施の形態に係るワイパモータ15によれば、空気孔53が、空気の通過を許容する一方で水分の通過を規制する繊維膜54で塞がれている。したがって、ギヤケース31に所謂呼吸機能を持たせつつ、ギヤケース31の内部に雨水等が進入するのを確実に防止することができる。
【0059】
さらに、本実施の形態に係るワイパモータ15によれば、ギヤケース31のヨーク21との連結部分に第2開口部31dを設けたので、ギヤケース31をより小型軽量化することができる。
【0060】
また、本実施の形態に係るワイパモータ15によれば、第2開口部31dに、外部コネクタCNが接続されるコネクタユニット40を装着したので、第2開口部31dを閉塞することができる。よって、ギヤケース31の内部に雨水等が進入するのを防止できる。さらに、第2開口部31dはコネクタユニット40により閉塞されるので、第2開口部31dが変形する(歪む)のを抑制することができる。
【0061】
また、本実施の形態に係るワイパモータ15によれば、ギヤケース31の外部でかつボス部36の周囲に、ギヤケース31を固定対象物に固定するための3つの取付脚38を設け、第3補強部51を、ギヤケース31の第1底部35の周方向に沿う取付脚38の間に設けたので、取付脚38の剛性を下げること無く、ギヤケース31の第2開口部31d周辺の剛性を高めることができる。
【0062】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、第3補強部51を、平面視で正六角形形状を形成するよう連ねて設けたものを示したが、本発明はこれに限らず、平面視で三角形形状,四角形形状,五角形形状等、他の多角形形状を形成するよう第3補強部51を連ねて設けることもできる。
【0063】
また、上記実施の形態においては、
図7に示すように第1象限(1)〜第4象限(4)を形成したときに、第4象限(4)のみに第3補強部51を形成したものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、ボス部36と第2開口部31dのコネクタ固定部CF側との間に形成される第1象限(1)にも、第3補強部51を形成しても良い。要は、ギヤケース31に必要とされる強度(剛性)に応じて、第3補強部51を増設することができる。
【0064】
さらに、上記実施の形態においては、ギヤケース31の外部に3つの取付脚38を設けたものを示したが、本発明はこれに限らず、ワイパモータ15の固定対象物に対する固定強度に応じて、取付脚を2つのみ設けても良いし、4つ以上設けても良い。
【0065】
また、上記実施の形態においては、閉塞部材として繊維膜54を採用したものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、細かな孔が無数に空いた多孔質の他の柔らかい材料等(スポンジ等)によって閉塞部材を構成しても良い。
【0066】
さらに、上記実施の形態においては、モータ装置としてのワイパモータ15を、フロントウィンドシールド11を払拭するワイパ装置12に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、リヤガラスを払拭するリヤワイパ装置にも適用することができる。
【0067】
また、上記実施の形態においては、本発明に係るモータ装置を、ワイパモータ15に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、パワーウィンド装置のモータ装置やスライドドア開閉装置のモータ装置等、ギヤ機構を有する他のモータ装置にも適用することができる。ここで、ギヤ機構としては、減速機構33(
図2参照)に限らず、アーマチュア軸(回転軸)の回転運動を揺動運動に変換するセクタギヤ等を備えた運動変換機構であっても良い。この運動変換機構を備えたモータ装置の例としては、車載用のリヤワイパ装置が挙げられる。