(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る印刷装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0023】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係る印刷装置の斜視図である。
図2は、
図1に示す印刷装置の構成を示す模式図である。本実施形態に係る印刷装置1は、印刷装置本体2に、乾燥装置20が取り付けられることにより構成されており、印刷装置本体2は、ヘッド4と、プラテン7と、駆動部10と、を備えている。印刷装置本体2は、印刷装置本体2を支持する脚部3を所望の位置に接地させることにより、任意の配設位置に配設される。印刷装置本体2が有するヘッド4は、被記録媒体であるメディア100に印刷を行う際に、メディア100に対してインクを吐出することが可能になっている。即ち、印刷装置1は、メディア100に対してインクを吐出することにより印刷を行う、いわゆるインクジェット印刷装置として設けられている。印刷装置本体2が有するヘッド4は、一方向に延びるYバー5に沿って移動しながらインクを吐出することが可能になっており、このヘッド4の移動方向が、印刷装置1で印刷を行う際における主走査方向(図中のY方向)になっている。
【0024】
また、プラテン7は、メディア100にインクを吐出する際にメディア100を載せる載置台になっている。ヘッド4は、このプラテン7の上方に配設されており、プラテン7に載置されたメディア100の上方からメディア100に対してインクを吐出することが可能になっている。
【0025】
また、駆動部10は、ヘッド4とメディア100との位置を相対的に移動させることが可能になっている。メディア100は、印刷前のメディア100を巻き取るメディア供給ローラ13によってロール状に巻き取られているため、駆動部10は、印刷装置1での印刷時には、このメディア供給ローラ13に巻き取られているメディア100を引き出しながら、ヘッド4に対して相対移動させる。駆動部10によるヘッド4に対するメディア100の移動方向は、印刷装置1の通常の使用態様における上下方向(図中のZ方向)と、主走査方向との双方に対して直交する方向である、副走査方向(図中のX方向)になっている。
【0026】
メディア100を副走査方向に移動させる駆動部10は、メディア供給ローラ13からメディア100を引き出してメディア100をヘッド4側に送る駆動ローラ11と、ヘッド4からインクが吐出された後のメディア100を巻き取る巻き取りローラ12と、を備えている。これらの駆動ローラ11と巻き取りローラ12、及びメディア供給ローラ13は、全て回転軸が主走査方向に向かう向きとなるローラになっている。また、メディア供給ローラ13と巻き取りローラ12とは、共にプラテン7の下方に配設されている。このため、メディア100は、メディア供給ローラ13からプラテン7にかけては、下方から上方に向かって配設され、プラテン7から巻き取りローラ12にかけては、上方から下方に向かって配設されている。
【0027】
駆動部10が有する駆動ローラ11と巻き取りローラ12とには、動力源である電動モータ(図示省略)から伝達される動力が共に伝達可能になっており、駆動ローラ11と巻き取りローラ12とは、この電動モータから伝達される動力によって回転可能になっている。その回転方向は、メディア100を駆動ローラ11側から、ヘッド4とプラテン7との間を通して巻き取りローラ12側に送ることのできる方向になっており、駆動ローラ11の回転速度よりも巻き取りローラ12の回転速度の方が速くなる速度で回転している。
【0028】
また、駆動ローラ11は、外周面がメディア100に接触しており、回転軸を中心として回転をすることにより、外周面に接触するメディア100をヘッド4側に送ることが可能になっている。このように、外周面がメディア100に接触する駆動ローラ11の位置における、メディア100から見て駆動ローラ11が接触する側の面の反対側の面側には、駆動ローラ11と同様に外周面がメディア100に接触する従動ローラ14が配設されている。即ち、メディア100は、メディア供給ローラ13から、駆動ローラ11と従動ローラ14との間を通されて、ヘッド4とプラテン7との間の方向に向かって通されている。従動ローラ14は、駆動ローラ11の回転に伴って移動するメディア100の移動に伴って回転をしながら、メディア100を駆動ローラ11に対して押し付ける方向の付勢力を付与してメディア100に接触している。
【0029】
巻き取りローラ12は、駆動部10で移動させるメディア100の移動方向、即ち、メディア100の搬送方向におけるプラテン7の下流側の位置に配設されており、駆動ローラ11によって送り出されるメディア100を巻き取ることが可能になっている。
【0030】
この巻き取りローラ12とプラテン7との間には、メディア100に対して付勢力を付与することにより、プラテン7との間に位置するメディア100に対して張力を付与する位置決めローラ15が設けられている。位置決めローラ15は、メディア100の搬送方向におけるプラテン7の下流側の位置で、例えば、メディア100におけるプラテン7に接触する側の面と同じ面に接触し、メディア100に対して付勢力を付与している。巻き取りローラ12は、メディア100の搬送方向における位置決めローラ15の下流側に配設されているため、メディア100の搬送方向においてプラテン7の下流側に位置する部分は、位置決めローラ15の上流側と下流側とで、搬送の向きが異なっている。これらのメディア供給ローラ13から、駆動ローラ11と従動ローラ14との間を通り、プラテン7上を通り、位置決めローラ15を経由して巻き取りローラ12に向かう経路は、メディア100を搬送する経路である搬送経路8になっている。
【0031】
本実施形態に係る印刷装置1が有する乾燥装置20は、メディア100の搬送方向における、ヘッド4が配設されている部分の下流側に配設されており、メディア100における、ヘッド4から吐出されたインクが付着する面に対向して配設されている。詳しくは、乾燥装置20は、メディア100の搬送方向における、ヘッド4と位置決めローラ15との間に位置するメディア100に対向して配設されている。即ち、乾燥装置20は、メディア100における、プラテン7から位置決めローラ15や巻き取りローラ12に向かって、上方から下方に向かって配設されている部分に対向して配設されている。また、主走査方向における乾燥装置20の幅は、同方向におけるメディア100の幅よりも広い幅で形成されている。
【0032】
この乾燥装置20は、第1加熱体21と、第1加熱体21の下方に配設される第2加熱体22と、を有している。即ち、第2加熱体22は、メディア100の搬送方向における第1加熱体21の下流側に配設されている。これらの第1加熱体21と第2加熱体22とは、共に主走査方向に延びて形成されており、ヘッド4の主走査方向に延びる回動軸を中心として回動する回動手段である蝶番23によって、互いに連結されている。この蝶番23は、メディア100の搬送方向と直交する方向に回転軸が延設される向きで第1加熱体21の下端部と第2加熱体22の上端部とに連結されており、これにより、第1加熱体21と第2加熱体22とは、蝶番23の回動軸を中心として、相対的に回動可能になっている。第1加熱体21と第2加熱体22とが、このように蝶番23によって相対的に回動可能になっていることにより、乾燥装置20は、搬送経路8に沿った方向において拡縮することが可能になっている。
【0033】
これらの第1加熱体21と第2加熱体22とには、メディア100に対向する側の面にカバー部25が設けられている。このカバー部25は、メディア100の搬送方向に分割された少なくとも第1の分割体である第1カバー部26と第2の分割体である第2カバー部27とに分割されており、メディア100の搬送方向におけるヘッド4の下流側の位置で、少なくともメディア100の一部を覆って形成されている。換言すると、カバー部25は、メディア100を搬送するための搬送経路8の少なくとも一部を覆って形成されており、搬送経路8における、インクジェット印刷後のメディア100が搬送される部位を覆っている。このカバー部25は、第1加熱体21と第2加熱体22とが相対的に回動することにより、搬送経路8を覆う部分の少なくとも一部が、拡縮自在に構成されている。
【0034】
具体的には、第1カバー部26は、第1加熱体21におけるメディア100に対向する側の面に設けられており、第2カバー部27は、第2加熱体22におけるメディア100に対向する側の面に設けられている。これらの第1カバー部26と第2カバー部27とは、共に板金部材により形成されており、板厚方向がメディア100の厚さ方向に近い方向になる向きでメディア100に対向して配設されている。これらのように設けられているカバー部25は、蝶番23が連結される第1加熱体21と第2加熱体22とに設けられているため、換言すると、カバー部25には蝶番23が連結されている。この蝶番23は、第1カバー部26と第2カバー部27とが折り畳み可能となるよう設けられている。これにより、第1カバー部26と第2カバー部27とは、双方の間に配設される蝶番23によって、他方に対して相対的に回動自在に連結されており、蝶番23によって相対的に回動することにより、少なくとも一方が搬送経路8を覆う位置から退避可能に構成されている。
【0035】
また、第1加熱体21には、乾燥装置20とメディア100との間の空間に対して送風を行う送風装置40が設けられている。この送風装置40は、メディア100に対向する側の面、即ち、プラテン7に対向する側の面に送風口61が形成されており、乾燥装置20とメディア100との間の空間に対して、この送風口61から送風を行うことが可能になっている。送風装置40が有する送風口61は、乾燥装置20におけるメディア100に対向する側の面の上端付近に形成されている。
【0036】
このように形成される送風装置40は、送風手段である送風ファン45と、送風ファン45での送風経路に設けられ、送風ファン45から送風された空気の送風方向を変更する送風経路変更壁部60と、を有している。このうち、送風ファン45は、メディア100に吐出されたインクを乾燥させるための乾燥空流Fd(
図4参照)を、メディア100とカバー部25との間に流動させる乾燥空流供給手段として設けられている。この送風ファン45は、電力が供給されることにより作動し、送風装置40の内側で風を発生させることにより、乾燥空流Fdとなる前の予備空気Ap(
図4参照)の送風を行うことが可能になっている。
【0037】
また、送風経路変更壁部60は、乾燥空流Fdが予備空気Apの段階において、流動方向を変更する流路変更手段として設けられている。詳しくは、送風経路変更壁部60は、送風ファン45の上方側に配設されており、送風ファン45から送風された予備空気Apを当該送風経路変更壁部60に衝突させて流動方向を変更することが可能になっている。これにより、送風経路変更壁部60は、送風ファン45から上方に送風された予備空気Apの送風方向を変更し、送風口61の方向に風の向きを変更することが可能になっている。即ち、送風経路変更壁部60は、送風ファン45から送風された空気を下方に向かわせることにより、送風装置40の内側に発生した風の送風方向を送風口61の方向に変更し、この風を送風口61から送出させることにより、乾燥空流Fdとしてメディア100とカバー部25との間に向けて送風する。
【0038】
また、乾燥装置20には、送風ファン45から送風された空気及びカバー部25の少なくともいずれか一方を加熱する加熱手段であるコード状ヒーター28が設けられている。このコード状ヒーター28は、カバー部25における、メディア100に対向する側の面の反対側の面に貼設されており、第1カバー部26と第2カバー部27との双方に貼設されている。このように、カバー部25に貼設されているコード状ヒーター28は、送風装置40によってメディア100とカバー部25との間に向けて送風された乾燥空流Fdを、カバー部25を加熱することを介して加熱することが可能になっている。コード状ヒーター28は、このように乾燥空流Fdを加熱することにより、メディア100とカバー部25との間に位置する領域を加熱することが可能になっている。
【0039】
印刷装置1には、乾燥装置20に形成される送風口61と、印刷装置本体2に設けられるヘッド4との間に、送風口61とヘッド4とを隔てる仕切り板18が設けられている。この仕切り板18は、印刷装置本体2に設けられており、プラテン7の上方で、メディア100の搬送方向におけるヘッド4の下流側に設けられている。プラテン7に載せられてヘッド4側から位置決めローラ15や巻き取りローラ12が位置する側に搬送されるメディア100は、この仕切り板18とプラテン7との間を通って搬送される。
【0040】
図3は、
図1に示す乾燥装置の斜視図である。
図4は、
図3に示す乾燥装置を主走査方向に見た断面図である。乾燥装置20は、主走査方向における乾燥装置20の両端に配設される取付け部材75によって、印刷装置本体2に取り付けられている。取付け部材75は、主走査方向における乾燥装置20の両側の2箇所に設けられており、乾燥装置20の両端部分から、乾燥装置20から見て印刷装置本体2が位置する方向に延在している。
【0041】
乾燥装置20は、主走査方向における第2加熱体22の両端部分で、第2加熱体22の下端付近に設けられる回動軸である回動連結部24が、取付け部材75に対して回動自在に連結されている。回動連結部24は、主走査方向に突出して形成されているため、回動連結部24によって取付け部材75に対して連結されている第2加熱体22は、主走査方向に延びる回動連結部24の軸心を中心として回動可能に連結されている。
【0042】
また、取付け部材75には、回動連結部24が連結されている部分の上方にガイドプレートである側板70が取り付けられている。この側板70は、取付け部材75と同様に、主走査方向における乾燥装置20の両側の2箇所に設けられている。第1加熱体21には、主走査方向における当該第1加熱体21の両端部分における上端付近に、主走査方向に突出したガイド支持部73が設けられている。このように第1加熱体21側に設けられるガイド支持部73と、第2加熱体22側に設けられる回動連結部24とは、カバー部25において、メディア100の搬送方向における蝶番23を挟んだ両側にそれぞれ配設されている。即ち、カバー部25には、メディア100の搬送方向において蝶番23を挟んで一方側に回動連結部24が設けられ、他方側にガイド支持部73が設けられている。
【0043】
また、側板70には、ガイド支持部73が入り込む案内部であり、側板70やガイド支持部73と共にガイド手段78を構成する開閉ガイド71が形成されている。この開閉ガイド71は、スリット状の形状で形成されており、第1加熱体21が蝶番23によって第2加熱体22に対して相対的に回動する際に、ガイド支持部73をガイドすることにより、第1加熱体21の回動時におけるガイドを行うガイド部として設けられている。即ち、開閉ガイド71は、カバー部25の拡縮時にガイド支持部73の案内を行うことが可能になっている。カバー部25は、第1加熱体21側に設けられるガイド支持部73を含んで構成されるガイド手段78と、第2加熱体22側に設けられる回動連結部24とにより、第1カバー部26及び第2カバー部27が拡縮自在に支持されている。
【0044】
また、第1加熱体21や第2加熱体22には、これらのカバーである加熱体カバー30が設けられている。この加熱体カバー30は、第1加熱体21や第2加熱体22におけるカバー部25が設けられている側の面の反対側の面に設けられている。詳しくは、第1加熱体21には、加熱体カバー30として第1加熱体カバー31が設けられ、第2加熱体22には、加熱体カバー30として第2加熱体カバー32が設けられている。
【0045】
これらの第1加熱体カバー31と第2加熱体カバー32とは、それぞれ第1加熱体21や第2加熱体22における、カバー部25が設けられている側の面の反対側に位置する面の全体に亘って形成されている。第1加熱体カバー31と第2加熱体カバー32とのうち、第1加熱体カバー31には、第1加熱体21と第2加熱体22とを回動させる際に、印刷装置1の使用者が掴む取っ手35が設けられている。取っ手35は、第1加熱体カバー31の上半側の位置の2箇所に設けられており、2箇所の取っ手35は、主走査方向における第1加熱体カバー31の中央を中心として対称となる位置にハの字状に設けられている。つまり、2箇所の取っ手35は、使用者が両手で握り易い位置に設けられている。
【0046】
また、送風装置40は、第1加熱体カバー31内に配設されており、第1加熱体カバー31と第1カバー部26によって画成される空間内の上端付近に配設されている。送風経路変更壁部60は、第1加熱体カバー31における上端部分が送風経路変更壁部60として設けられている。送風ファン45と、送風経路変更壁部60との間には、後述する拡幅ダクト50と整流板55とが設けられている。
【0047】
また、第1加熱体カバー31における上端部分は、第1カバー部26が位置する面側まで回り込んでおり、第1カバー部26よりもプラテン7に近付くように形成されている。これにより、第1加熱体21における第1カバー部26側の面には、第1加熱体カバー31における第1カバー部26よりもプラテン7に近付いている部分と、第1カバー部26との間に空隙が形成されており、この空隙が送風口61として形成されている。送風口61は、このように第1加熱体カバー31における上端付近の部分と第1カバー部26とにより形成されているため、略下方に向かって開口しており、送風口61は、第1加熱体21の内側と外側とを連通している。
【0048】
このようにプラテン7が位置する側の面に送風口61が設けられる乾燥装置20におけるカバー部25が位置する側の面とプラテン7により画成される空間は、送風口61から送出された風の送風経路90として形成されている。
【0049】
図5は、
図3に示す乾燥装置から加熱体カバーを取り外した状態を示す斜視図である。第1加熱体21内と第2加熱体22内には、共にカバー部25よりも加熱体カバー30が位置する側の部分に、断熱材38が配設されている。この断熱材38は、熱伝導率が低くなるように形成されており、第1加熱体21内や第2加熱体22内において、カバー部25全体を覆って配設されている。
【0050】
また、第1加熱体21に設けられる送風装置40は、複数が主走査方向に並んで設けられており、各送風装置40は、送風ファン45と拡幅ダクト50とを有している。拡幅ダクト50は、送風ファン45から送風された予備空気Apを、メディア100の移動方向に直交する方向、即ち、主走査方向に拡幅する扇状に形成されている。詳しくは、送風ファン45は拡幅ダクト50に取り付けられており、拡幅ダクト50は、送風ファン45が配設されている位置から第1加熱体21における上端側に向かうに従って、主走査方向における幅が広がる方向に拡幅する扇状に形成されている。各拡幅ダクト50は、このように扇状に形成されているため、複数の拡幅ダクト50は、第1加熱体21の内部において主走査方向に連なって配設されている。
【0051】
図6は、
図5に示す拡幅ダクトの斜視図である。拡幅ダクト50は、第1加熱体カバー31側に位置するファン側部材51と、第1カバー部26側に位置する送風口側部材52とが組み合わされることにより形成されている。ファン側部材51と送風口側部材52とは、共に扇状、或いは台形の形状で形成されており、略副走査方向に見た場合における形状が、互いに近似する形状で形成されている。拡幅ダクト50は、このファン側部材51と送風口側部材52とが組み合わされることにより、内部に空間を有して形成されている。また、拡幅ダクト50は、主走査方向に拡幅している部分における主走査方向の両端に、第1加熱体21の厚さ方向に立設される傾斜面53が設けられており、これにより、拡幅ダクト50の内部の空間は、主走査方向に対して閉塞されている。
【0052】
一方、ファン側部材51と送風口側部材52とは、双方の形状である台形の高さが、ファン側部材51の高さよりも送風口側部材52の高さの方が低くなっている。また、ファン側部材51には、拡幅ダクト50における拡幅側の端部において、第1加熱体21の厚さ方向に立設される壁面が形成されている。この送風口側部材52における拡幅側の端部と、ファン側部材51における拡幅側の端部において第1加熱体21の厚さ方向に立設される壁面とにより画成される部分は、拡幅ダクト50の開口部である拡幅ダクト開口部54になっている。拡幅ダクト50の内部の空間は、この拡幅ダクト開口部54で、拡幅ダクト50の外に連通している。第1加熱体21に取り付けられる拡幅ダクト50は、拡幅ダクト開口部54が送風口61の近傍に位置し、拡幅ダクト開口部54と送風口61とが連通するように取り付けられる。送風ファン45は、ファン側部材51に取り付けられており、拡幅ダクト50の内部の空間に送風をすることが可能になっている。
【0053】
なお、ファン側部材51において、拡幅ダクト50の拡幅側の端部に位置して第1加熱体21の厚さ方向に立設される壁面は、第1加熱体カバー31における上端部分と共に、送風経路変更壁部60を構成している。このため、拡幅ダクト開口部54は、送風経路変更壁部60に隣接して形成されている。
【0054】
このように形成される拡幅ダクト50の内部には、拡幅した端部付近、即ち、拡幅ダクト開口部54の付近に、送風ファン45から送風された予備空気Apの流れ方向に延びる複数の整流板55が、拡幅方向に並んで設けられている。この整流板55は、厚さ方向が拡幅ダクト50の拡幅方向になり、幅方向がファン側部材51や送風口側部材52の形状である台形の高さ方向になる向きで、ファン側部材51と送風口側部材52との間に亘って設けられている。
【0055】
図7は、
図4に示すカバー部の平面図である。カバー部25に貼設されるコード状ヒーター28は、メディア100の移動方向に直交する方向におけるメディア100の幅方向の全体に亘って設けられている。詳しくは、コード状ヒーター28は、カバー部25に対して主走査方向に沿って配設され、且つ、主走査方向におけるカバー部25の端部付近で折り返されることにより、主走査方向に沿って配設される部分が上下方向に並んで配設されている。これにより、コード状ヒーター28は、カバー部25の全領域に亘って配設されており、即ち、コード状ヒーター28は、第1カバー部26と第2カバー部27との双方の全領域に亘って配設されている。
【0056】
これらのように構成される乾燥装置20と印刷装置本体2とは、共に印刷装置本体2に設けられる制御部(図示省略)によって制御される。制御部は、印刷装置1の各部を制御する装置になっており、各種処理を実行するコントローラとして機能するCPU(Central Processing Unit)や、各種情報を記憶するメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有している。制御部は、メディア100に対する印刷装置本体2での印刷や、印刷されたメディア100を乾燥装置20で乾燥させるための動作の制御を行う。
【0057】
本実施形態に係る印刷装置1は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。印刷装置1でメディア100に印刷をする際には、メディア供給ローラ13にロール状に巻かれているメディア100をメディア供給ローラ13から引き出してヘッド4とプラテン7との間を通し、メディア100がメディア供給ローラ13から巻き取りローラ12にかけて配設されている状態で印刷を行う。
【0058】
図8は、印刷装置での印刷時における乾燥装置の状態を示す乾燥装置の斜視図である。また、印刷装置1を用いて印刷を行う際には、第1加熱体21と第2加熱体22とが相対的に回動する乾燥装置20は、第1加熱体21と第2加熱体22とを開き、双方のカバー部25がメディア100に対向する状態にする。具体的には、第1加熱体21に設けられるガイド支持部73を、側板70に形成される開閉ガイド71において、第1加熱体21と第2加熱体22とを開く状態にする際にガイド支持部73を入り込ませる位置である係合部72に位置させる。これにより、乾燥装置20は、第1加熱体21と第2加熱体22とが開いて、第1カバー部26と第2カバー部27とが、共にメディア100に対向する状態になる。
【0059】
印刷装置1によるメディア100に対する印刷は、メディア100に対してヘッド4からインクを吐出することにより行う。その際に、制御部は、ヘッド4をYバー5に沿って移動させることにより、ヘッド4を主走査方向に往復移動させる。これによりヘッド4は、主走査方向に往復移動しながら、プラテン7上のメディア100に対してインクを吐出し、インクをメディア100に着弾させ、メディア100に印刷を行う。
【0060】
ヘッド4によって主走査方向における所定の範囲の印刷を行ったら、制御部は駆動部10を制御することによって駆動ローラ11と巻き取りローラ12とを作動させ、メディア100をメディア供給ローラ13側から巻き取りローラ12側に所定の移動量で移動させる。即ち、メディア100をヘッド4に対して副走査方向に所定の移動量で移動させる。メディア100を移動させたら、再びヘッド4を主走査方向に移動させながらヘッド4からインクを吐出することにより、主走査方向における所定の範囲の印刷を行う。印刷装置1は、これらを繰り返すことにより、メディア100に対して印刷を行う。
【0061】
印刷装置1では、これらのようにメディア100を副走査方向に搬送しながら印刷を行うため、インクの着弾後のメディア100は、乾燥装置20に対向する位置に送られる。この乾燥装置20は、印刷装置1での印刷時には、コード状ヒーター28が発熱すると共に、送風ファン45が予備空気Apによって風を発生させる。コード状ヒーター28が発熱した場合、コード状ヒーター28で発した熱はカバー部25に伝達され、この熱は、金属材料からなるカバー部25全体に伝達される。これにより、カバー部25は、全体的に温度が上昇する。
【0062】
また、送風ファン45で発生して送風ファン45から送風された予備空気Apは、送風経路変更壁部60によって送風方向が変更された後、メディア100とカバー部25との間に向けて送風される。詳しくは、送風ファン45から送風された予備空気Apは、まず、拡幅ダクト50の中に送り込まれる。拡幅ダクト50は、拡幅されている端部側に拡幅ダクト開口部54が形成されているため、拡幅ダクト50の中に送り込まれた予備空気Apは、拡幅ダクト開口部54が位置する方向、即ち、拡幅されている側の端部側に流れる。
【0063】
この拡幅ダクト50の内部には、整流板55が複数配設されているため、拡幅ダクト50内における拡幅されている拡幅ダクト開口部54側に流れる予備空気Apは、整流板55同士の間を通過することにより、整流される。即ち、拡幅ダクト50内を流れる予備空気Apは、整流板55によって整流されることにより、流れの乱れが低減した状態で、拡幅ダクト50内の端部に向けてスムーズに流れる。
【0064】
このように拡幅ダクト50内を流れることにより、拡幅ダクト50内における拡幅されている拡幅ダクト開口部54側に到達した予備空気Apは、送風経路変更壁部60の近傍に位置する拡幅ダクト開口部54を通って、拡幅ダクト50の外に送出される。
【0065】
拡幅ダクト50内から拡幅ダクト開口部54を通って拡幅ダクト50の外に出た予備空気Apは、第1加熱体カバー31における送風経路変更壁部60にガイドされながら、送風口61の方向に向かう。送風口61の方向に向かった空気は、送風口61を通ることにより、第1加熱体21内から第1加熱体21の外に送出される。この送風口61は、略下方に向かって開口しているため、送風口61から送出される空気は、下方に向かって送出される。これにより、送風口61から送出される予備空気Apは、メディア100に吐出されたインクを乾燥させるための乾燥空流Fdとして、メディア100とカバー部25との間に向けて送風される。
【0066】
送風ファン45は、拡幅ダクト50内のみに送風し、拡幅ダクト50内の予備空気Apは、拡幅ダクト開口部54のみから送出するため、送風ファン45から、メディア100とカバー部25との間に向けて送風される空気は、全て送風経路変更壁部60によって送風方向が変更された後の空気になっている。即ち、送風ファン45からの送風は、予備空気Apの段階において、送風経路変更壁部60によって送風方向が変更されて、乾燥空流Fdとしてメディア100とカバー部25との間の送風経路90に送風される。
【0067】
このように、メディア100と共に送風経路90を構成するカバー部25は、コード状ヒーター28の発熱により温度が高くなっているため、送風経路90を流れる乾燥空流Fdも、カバー部25からの放射熱によって温度が上昇する。送風経路90には、送風ファン45から送風された空気が送風口61から下方に向けて次々に送り出される一方、カバー部25からの放射熱によって温度が上昇した空気が上方に移動しようとする。このため、送風経路90の乾燥空流Fdは、温度が上昇しながら撹拌される。
【0068】
印刷装置1での印刷時に、ヘッド4から吐出されたインクが着弾したメディア100は、駆動部10によって、プラテン7上から巻き取りローラ12側に搬送されることにより、送風経路90に移動する。ヘッド4から吐出されたインクの着弾後に、送風経路90に移動したメディア100上のインクは、送風経路90の位置では乾いていないことがあるが、送風経路90の乾燥空流Fdは、温度が高くなった状態で撹拌されている。このため、送風経路90に位置するメディア100は、全体の温度が高くなった状態で撹拌されている乾燥空流Fdにより、インクが蒸発した際の蒸気が除去されながら全体的に加熱される。これにより、送風経路90に位置するメディア100は、ヘッド4から吐出されてメディア100に着弾したメディア100上のインクが適切に乾燥する。
【0069】
なお、乾燥装置20の送風口61から送風経路90に送風される空気は、大部分は下方に向かうが、風量が多い場合等には、空気の流れが乱れたりすることにより、上方に向かうこともある。この場合、この空気の一部は、印刷装置本体2のヘッド4の方向に向かうことが考えられるが、印刷装置本体2には、送風口61とヘッド4とを隔てる仕切り板18が設けられているため、ヘッド4の方向に向かう空気は、仕切り板18によって遮られる。
【0070】
乾燥装置20から送風経路90に送風された空気である乾燥空流Fdによってインクが乾燥したメディア100は、駆動部10によって搬送されることにより、順次巻き取りローラ12の方向へ移動し、巻き取りローラ12に巻き取られる。印刷装置1でメディア100に印刷を行う際には、このように印刷装置本体2によって印刷を行うと共にメディア100を搬送し、乾燥装置20でメディア100上のインクを乾燥させることにより、ロール状のメディア100に対して連続的に印刷を行う。
【0071】
なお、上記実施形態でおいては、送風経路90に送風される空気はカバー部25に設けられたヒーターにより加熱されているが、加熱手段としては、カバー部25に設けられたヒーターに限定されるものではなく、送風経路変更壁部60によって方向が変えられる前、若しくは方向が変えられた後の空流をヒーターで加熱する等等、空流を直接加熱する方法を適用しても良い。
【0072】
印刷装置1での印刷が完了した場合には、必要に応じて乾燥装置20を閉じる。
図9は、
図8に示す乾燥装置を折り畳む場合における乾燥装置の斜視図である。乾燥装置20を折り畳む際には、第1加熱体21に設けられる取っ手35を掴んで引き上げることにより、側板70の開閉ガイド71に形成される係合部72に係合している第1加熱体21のガイド支持部73を、開閉ガイド71に沿って移動するように、第2加熱体22に対して第1加熱体21を相対的に回動させる。
【0073】
具体的には、ガイド支持部73が下方に移動する方向に開閉ガイド71に沿って移動させることにより、第1カバー部26及び第2カバー部27は水平に近付く方向に回動する。この場合、第2カバー部27は、回動連結部24を中心として取付け部材75に対して相対的に回動し、第1カバー部26は、蝶番23によって第2カバー部27に対して相対的に回動する。これにより、第1カバー部26と第2カバー部27とは対向して互いに近付く方向に回動する。
【0074】
図10は、
図9に示す乾燥装置を折り畳んだ状態を示す乾燥装置の斜視図である。第1加熱体21と第2加熱体22とを相対的に回動させることにより、第1加熱体21に設けられるガイド支持部73が、側板70に形成される開閉ガイド71の下端に到達したら、ガイド支持部73はそれ以上、下方には移動させることができなくなる。乾燥装置20は、この状態が、第1加熱体21と第2加熱体22とを折り畳んだ状態になっている。このように折り畳むことができる第1加熱体21と第2加熱体22とは、カバー部25の拡縮時にカバー部25が搬送経路8側に突出しないように蝶番23で連結されて構成されている。このため、第1加熱体21と第2加熱体22とを折り畳むことによってメディア100の搬送方向において縮めた状態では、それぞれ蝶番23に連結されている側の端部側が、プラテン7から離れる方向になる向きに、第1加熱体21と第2加熱体22とは相対的に回動する。従って、第1加熱体21と第2加熱体22とを折り畳んだ状態では、第1カバー部26は略下方を向き、第2カバー部27は略上方を向くため、第1カバー部26と第2カバー部27とは、略対向する状態になる。換言すると、乾燥装置20は、第1加熱体21と第2加熱体22とを折り畳む際には、第1カバー部26と第2カバー部27とを内側に位置させて折り畳む。
【0075】
図11は、乾燥装置を折り畳んだ状態の印刷装置の斜視図である。カバー部25をメディア100の搬送方向に縮めることにより、乾燥装置20を折り畳んだ場合には、第1カバー部26及び第2カバー部27は、少なくとも一方が搬送経路8を覆う位置から退避する状態になる。これにより、印刷装置1は、印刷装置本体2のプラテン7における乾燥装置20側の一部分が露出する。このため、乾燥装置20を折り畳んだ場合には、メディア100を印刷装置本体2からプラテン7上に引き出して、位置決めローラ15を経て巻き取りローラ12へとセットする等のメンテナンスが行い易くなる。特に仕切り板18が設けられている場合には、作業者がプラテン7に接触しづらくなるため、カバー部25の搬送経路8を覆う位置から一部が縮小することの効果がより大きくなる。
【0076】
印刷装置本体2にメディア100をセットして印刷を開始する際には、カバー部25をメディア100の搬送方向に拡げることにより第1加熱体21と第2加熱体22とを展張し、搬送経路8の一部をカバー部25で覆った状態(
図4参照)で印刷を行う。なお、乾燥装置20には、折り畳んだ状態の第1加熱体21と第2加熱体22とに対して、展張方向の付勢力を付与するバネ等の付勢手段が設けられているのが好ましい。これにより、折り畳んだ状態の第1加熱体21と第2加熱体22とを展張する際における初動を、付勢手段からの付勢力によってアシストすることができ、小さな力で展張することを可能にすることができる。
【0077】
以上の実施形態に係る印刷装置1では、カバー部25(乾燥装置20)を折り畳みによって拡縮することにより、カバー部25における搬送経路8を覆う面積を必要に応じて拡縮することができるため、メディア100のセット時やジャムが発生した際には、メディア100の搬送方向にカバー部25を縮めることができる。これにより、メディア100をセットする際やジャムを解消する際に、カバー部25が邪魔になる度合いを低減することができる。また、カバー部25はメディア100の搬送方向に拡縮自在に設けられているため、搬送経路8を覆う状態から一旦動かした場合でも、軽易に元の位置に復帰させることができ、容易に搬送経路8の一部をカバー部25で覆った状態にすることができる。この結果、メディア100の搬送経路8を覆うカバー部25を設けた場合におけるメンテナンス性を向上させることができる。
【0078】
また、搬送経路8における、インクジェット印刷後のメディア100が搬送される部位をカバー部25で覆うことにより、インクが乾燥していないメディア100に対して何かが接触してしまって汚れてしまうことを防いだり、インクを乾燥させる乾燥装置20設けたりすることができる。この結果、インクジェット印刷を適切に行うことを可能にしつつ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0079】
また、第1カバー部26と第2カバー部27とは、蝶番23によって相対的に回動自在に連結されているため、カバー部25をメディア100の搬送方向に拡縮自在にする構造を、容易に得ることができる。この結果、メディア100の搬送経路8を覆うカバー部25を設けた場合におけるメンテナンス性を、容易に向上させることができる。
【0080】
また、第1カバー部26と第2カバー部27とは、蝶番23によって折り畳み可能に連結しているため、搬送経路8を覆っているカバー部25を、メディア100の搬送方向に縮めることによって搬送経路8上から退避させた後のスペースを節減することができる。この結果、メンテナンス時にカバー部25が邪魔になる度合いを、より確かに低減させることができ、カバー部25を設けた場合におけるメンテナンス性を、一層確実に向上させることができる。
【0081】
また、カバー部25は、回動連結部24とガイド手段78とにより、主走査方向における両側で支持されるため、メディア100の搬送方向におけるカバー部25の拡縮を、安定して行うことが出来る。この結果、カバー部25を設けた場合におけるメンテナンス性を、より確実に向上させることができる。
【0082】
また、カバー部25は、蝶番23とガイド手段78とにより、開閉時に印刷装置1の内方への突出、即ち、プラテン7の方向への突出を防ぐことができるので、カバー部25が搬送経路8やメディア100に接触して、メディア100等に傷を付けることを防ぐことができる。また、カバー部25は、ガイド手段78によって開閉時の動きが案内されるので、開閉時の作業を円滑に行うことができる。この結果、カバー部25を設けた場合におけるメンテナンス性を、より確実に向上させることができる。
【0083】
また、カバー部25は、第2カバー部27の下端付近に設けられる回動連結部24の上下方向における位置を固定し、搬送経路8から退避させる際には、下方に縮ませることにより退避させるため、カバー部25を上方に退避させる場合と比較して、搬送経路8の開放度合いを大きくすることができる。この結果、メディア100のセットやジャムの回復等を、より容易に行うことができ、メンテナンス性を一層確実に向上させることができる。
【0084】
また、折り畳まれたカバー部25は、第1カバー部26と第2カバー部27とが、共に略水平の角度で留まるため、カバー部25を搬送経路8から退避させる際に、カバー部25が下方に移動し過ぎることを抑制することができる。この結果、カバー部25の拡縮時における無駄な動きを抑制することができる。
【0085】
〔変形例〕
なお、上述した実施形態に係る印刷装置1では、送風ファン45からカバー部25とメディア100との間に送風される空気は、これらの間に送風された後に、カバー部25を介してコード状ヒーター28によって加熱されるが、加熱された後の空気をカバー部25とメディア100との間に送風するようにしてもよい。例えば、拡幅ダクト50内にコード状ヒーター28を配設し、拡幅ダクト50内で加熱された空気を、送風口61から送り出すことにより、カバー部25とメディア100との間に送風してもよい。カバー部25とメディア100との間に送風する空気は、送風経路変更壁部60によって送風方向が変更されることにより、送風方向が略下方になっている空気であれば、加熱するタイミングは、これらの間に送風する前後のどちらでもよい。
【0086】
また、上述した実施形態に係る印刷装置1では、予備空気Apの流動方向を変更する流路変更手段として送風経路変更壁部60を用いているが、流路変更手段としては、送風経路変更壁部60以外を用いてもよい。
図12は、実施形態に係る印刷装置の変形例であり、流路変更手段として送風ファンを用いる場合の説明図である。流路変更手段としては、例えば、
図12に示すように、第1カバー部26の上方に送風手段である送風ファン110を配設し、この送風ファン110を流路変更手段として用いてもよい。この場合における送風ファン110は、乾燥空流Fdをメディア100とカバー部25との間に流動させる乾燥空流供給手段と、流路変更手段とを兼ねて設けられる。具体的には、送風ファン110は、メディア100とカバー部25との間の送風経路90の上方から、この送風経路90に対して送風を行うことができるように配設する。その際に、送風ファン110は、カバー部25の、メディア100側の反対側にある予備空気Apが加熱された際に、その上昇気流が当該送風ファン110における送風面側に向かうように配設する。
【0087】
これにより、カバー部25の、メディア100側の反対側にある予備空気Apが、カバー部25に配設されるコード状ヒーター28により加熱された際には、温度が高くなった予備空気Apは、送風ファン110により、メディア100とカバー部25との間に送風される。つまり、送風ファン110は、加熱された予備空気Apの流動方向を変更することにより、この予備空気Apを、乾燥空流Fdとしてメディア100とカバー部25との間に送り込む。メディア100とカバー部25との間に送り込まれた乾燥空流Fdは、この部分でもコード状ヒーター28により加熱されて温度が高くなる。これらにより、メディア100とカバー部25との間に向けて容易に乾燥空流Fdを送風することができ、メディア100上のインクを、この乾燥空流Fdによって容易に乾燥させることができる。
【0088】
また、流路変更手段は、空気を吸引することにより、予備空気Apの流動方向を変更するようにしてもよい。
図13は、実施形態に係る印刷装置の変形例であり、流路変更手段として吸気ファンを用いる場合の説明図である。流路変更手段としては、例えば、
図13に示すように、第2カバー部27の下方に吸気手段である吸気ファン120を配設し、この吸気ファン120を流路変更手段として用いてもよい。この場合における吸気ファン120は、乾燥空流Fdをメディア100とカバー部25との間に流動させる乾燥空流供給手段と、流路変更手段とを兼ねて設けられる。具体的には、吸気ファン120は、メディア100とカバー部25との間の送風経路90の下方から、送風経路90内の乾燥空流Fdを吸引することができるように配設する。この場合、第1加熱体カバー31の上端部分は、第1カバー部26の上方まで覆い、第1カバー部26の、メディア100側の反対側にある予備空気Apが上方に流れずに、メディア100とカバー部25との間の部分に流れるように形成するのが好ましい。
【0089】
このように吸気ファン120を設けることにより、吸気ファン120は、メディア100とカバー部25との間の送風経路90内の乾燥空流Fdを、送風経路90の下方から吸引して下方に流すことができる。送風経路90内の乾燥空流Fdを下方に流した場合、送風経路90内には負圧が発生するため、第1カバー部26の、メディア100側の反対側にある予備空気Apが、第1カバー部26の上端側から、メディア100とカバー部25との間の送風経路90内に流入する。即ち、吸気ファン120は、メディア100とカバー部25との間の乾燥空流Fdを吸引することにより、カバー部25の、メディア100側の反対側にある予備空気Apの流動方向を変更して乾燥空流Fdとしてメディア100とカバー部25との間に送り込む。この予備空気Apは、カバー部25に配設されるコード状ヒーター28により加熱されて温度が高くなっているため、メディア100とカバー部25との間に流れ込む乾燥空流Fdも温度が高くなっている。また、この乾燥空流Fdは、メディア100とカバー部25との間の部分でもコード状ヒーター28により加熱されて温度が高くなる。これらにより、メディア100とカバー部25との間に向けて容易に乾燥空流Fdを送風することができ、メディア100上のインクを、この乾燥空流Fdによって容易に乾燥させることができる。
【0090】
また、上述した実施形態に係る印刷装置1では、乾燥装置20が有するカバー部25は、第1カバー部26と第2カバー部27とが蝶番23を中心として相対的に回動することにより拡縮することが可能になっているが、カバー部25は、第1カバー部26と第2カバー部27との相対的な回動以外で拡縮するように構成されていてもよい。
【0091】
図14は、実施形態に係る印刷装置の変形例であり、カバー部をスライド式にする場合におけるカバー部の斜視図である。
図15は、
図14に示すカバー部を縮めた状態を示す斜視図である。
図16は、
図15のA−A断面図である。カバー部130を、拡縮可能な構成にする際には、カバー部130が有する複数の部材を相対的にスライド可能に構成されていてもよい。例えば、
図14〜
図16に示すように、カバー部130は、メディア100の搬送方向に分割された第1の分割体である第1カバー部131と、第2の分割体である第2カバー部134と、第3の分割体である第3カバー部137と、に分割し、メディア100の搬送方向に相対的にスライドすることにより、拡縮するように構成されていてもよい。
【0092】
具体的には、第1カバー部131には、主走査方向における両端に、メディア100の搬送方向に沿って形成される摺動溝132が設けられている。この摺動溝132は、共に主走査方向における第1カバー部131の中央方向に向けて開口して形成されている。詳しくは、第1カバー部131は、主走査方向における両端部分が、主走査方向における第1カバー部131の中央方向に折り返されており、この折り返されている部分の内側が、摺動溝132として形成されている。
【0093】
第2カバー部134は、主走査方向における両端縁136が、第1カバー部131の摺動溝132内に入り込んで配設されている。即ち、第2カバー部134は、主走査方向における幅が、主走査方向における、第1カバー部131の二カ所の摺動溝132の溝底同士の間隔よりも若干小さい幅になっており、これにより、第2カバー部134は、両端縁136が第1カバー部131の摺動溝132内に入り込んでいる。これにより、第2カバー部134は、第1カバー部131の摺動溝132に沿って摺動するように構成されている。
【0094】
また、この第2カバー部134には、第1カバー部131と同様に、主走査方向における両端に、主走査方向における第2カバー部134の中央方向に向けて開口してメディア100の搬送方向に沿って形成される摺動溝135が設けられている。第3カバー部137は、主走査方向における両端縁138が、第2カバー部134の摺動溝135内に入り込んで配設されている。これにより、第3カバー部137は、第2カバー部134の摺動溝135に沿って摺動するように構成されている。また、第3カバー部137には、メディア100とカバー部130との間に乾燥空流Fdを送風する送風装置140や、乾燥空流Fdを加熱することにより、メディア100とカバー部130との間に位置する領域を加熱するヒーター等の加熱手段145が設けられている。
【0095】
カバー部130は、第1カバー部131の摺動溝132や、第2カバー部134の摺動溝135が、メディア100の搬送方向に沿った向きになるように配設されている。このため、第1カバー部131と第2カバー部134、及び第2カバー部134と第3カバー部137とは、それぞれメディア100の搬送方向に沿った方向に摺動し、互いにスライドすることが可能になっている。
【0096】
このため、印刷装置本体2にメディア100をセットして印刷を開始する際には、第1カバー部131と第2カバー部134、及び第2カバー部134と第3カバー部137をそれぞれ、メディア100の搬送方向に拡げることにより、搬送経路8の一部をカバー部130で覆った状態にして印刷を行う。この場合、送風装置140と加熱手段145とにより、メディア100とカバー部130との間の領域を加熱して、メディア100上のインクを乾燥させる。なお、このカバー部130が拡張された状態を保持するため、カバー部130を構成する部材各々に、マグネットによる吸着や、係止ピン等の固定手段を設けておくことが好ましい。
【0097】
また、印刷装置1での印刷が完了した場合には、必要に応じてカバー部130を縮める。つまり、第1カバー部131と第2カバー部134、及び第2カバー部134と第3カバー部137とをそれぞれ、メディア100の搬送方向に縮めることにより、第1カバー部131と第2カバー部134と第3カバー部137とが互いに重なる状態にし、メディア100の搬送方向におけるカバー部130の長さを短くする。これにより、カバー部130は、第1カバー部131と第2カバー部134と第3カバー部137との少なくとも一部が、搬送経路8を覆う位置から退避する状態になる。これにより、印刷装置1は、印刷装置本体2のプラテン7における乾燥装置20側の部分が露出し、メディア100を印刷装置本体2にセットする等のメンテナンスが行い易くなる。
【0098】
カバー部130は、このように第1カバー部131に摺動溝132を設けたり、第2カバー部134に摺動溝135を設けたりすることにより、簡便な構成でカバー部130を拡縮させることができ、カバー部130を設けた場合におけるメンテナンス性を、容易に向上させることができる。なお、搬送経路8を覆う位置から退避させる際には、第2カバー部134と第3カバー部137とを共にスライドさせる必要はなく、必要に応じて第3カバー部137のみをスライドさせて、搬送経路8を覆う位置から退避させてもよい。また、この変形例では、カバー部130は第1カバー部131と第2カバー部134と第3カバー部137とに分割されているが、カバー部130は、これ以外の構成で分割されていてもよい。カバー部130は、少なくとも第1カバー部131と第2カバー部134とに分割され、メディア100の搬送方向に相対的にスライド可能に構成されていれば、カバー部130の分割数は問わない。
【0099】
また、上述した実施形態に係る印刷装置1では、カバー部25には、カバー部25を拡縮するための部材として蝶番23と回動連結部24とが設けられているが、カバー部25を拡縮するための部材としては、双方が設けられていなくてもよい。
図17は、実施形態に係る印刷装置の変形例であり、カバー部を拡縮するための部材として蝶番のみを設けた場合のカバー部の断面図である。カバー部150を拡縮するための部材としては、第1カバー部151と第2カバー部152とを相対的に回動自在に連結する蝶番155のみを設けてもよい。例えば、
図17に示すように、カバー部150を上下方向、即ち、メディア100の搬送方向に分割して、第1カバー部151と第2カバー部152とし、上側に位置する第1カバー部151に、送風装置160や加熱手段165を設ける。また、第2カバー部152は、搬送経路8を覆う状態で配設する。
【0100】
カバー部150は、この第1カバー部151の下端部と第2カバー部152の上端部とを蝶番155によって連結することにより、第1カバー部151が第2カバー部152に対して、回動可能になっている。これらのように構成されるカバー部150は、印刷装置1で印刷を行う際には、第1カバー部151を、搬送経路8を覆う状態にし、送風装置160と加熱手段165とにより、メディア100とカバー部150との間の領域を加熱して、メディア100上のインクを乾燥させる。
【0101】
図18は、
図17に示すカバー部を折り畳んだ状態を示すカバー部の断面図である。印刷装置1での印刷が完了した場合には、必要に応じてカバー部150を折り畳む。つまり、蝶番155の回動軸を中心として第1カバー部151を回動させることにより、第1カバー部151をメディア100の搬送経路8から離間させる方向に、第1カバー部151を第2カバー部152に対して相対的に回動させる。
【0102】
第1カバー部151は、このように搬送経路8から離間させる方向に回動させることによって180°近く回動させ、第2カバー部152における、搬送経路8が位置する面の反対側の面側に位置させる。即ち、第1カバー部151は、第2カバー部152に対して相対的に回動させることにより、搬送経路8を覆う位置から退避させ、第2カバー部152における搬送経路8が位置する面の反対側の面側に重なる状態にする。これにより、印刷装置1は、印刷装置本体2のプラテン7における乾燥装置20側の部分が露出し、メディア100を印刷装置本体2にセットする等のメンテナンスが行い易くなる。
【0103】
図19は、
図17に示すカバー部を折り畳んだ状態を示すカバー部の断面図であり、折り畳み状態の別の例を示す説明図である。なお、カバー部150を拡縮するための部材として、第1カバー部151と第2カバー部152とを相対的に回動自在に連結する蝶番155のみを設けた場合において、第1カバー部151を、搬送経路8を覆う位置から退避させる場合には、第2カバー部152に重ねなくてもよい。例えば、
図19に示すように、第1カバー部151は、搬送経路8を覆う位置から退避させた際には、印刷装置本体2のプラテン7における乾燥装置20側の部分が露出して、メディア100のセット等のメンテナンスを行い易くなる程度、回動することができるように構成されていてもよい。この位置で停止するようにするため、蝶番155に停止機構や、別途ストッパーを設けて回動を停止させるようにしてもよい。第1カバー部151は、搬送経路8を覆う位置から退避させた際に、メディア100のセット等のメンテナンスを行い易くなるように構成されていれば、搬送経路8を覆う位置からの退避後の形態は問わない。
【0104】
また、カバー部150は、2分割以外でもよく、3分割以上に分割されていてもよい。この場合、メディア100の搬送方向において隣り合うカバー部150同士を、蝶番155によって回動自在に連結することにより、搬送経路8を覆う位置から退避させる際に、より多くの部位を退避させることができる。また、カバー部150において、搬送経路8を覆う位置から退避させた部分をコンパクトにすることができるため、メンテナンス性を向上させることができる。さらに、例えば3分割のうち、1体のみを縮小できるように構成するなど、状況に応じて拡縮可能な面積を変更可能なように構成することもできる。
【0105】
また、上述した実施形態に係る印刷装置1では、印刷装置本体2は、ヘッド4はYバー5に沿って移動するように設けられ、印刷時にはヘッド4が主走査方向に往復移動しながら印刷を行うが、ヘッド4は、主走査方向に延在して設けられていてもよい。つまり、ヘッド4は、主走査方向における印刷範囲全体に対してインクを吐出することが可能に設けられ、印刷時には、ヘッド4が主走査方向に移動することなく、主走査方向における印刷範囲全体に対して、一度に印刷することができるように構成されていてもよい。印刷装置本体2は、メディア100に対してインクを吐出することができ、インクが着弾した後のメディア100を乾燥装置20の位置に搬送することができるように構成されていれば、ヘッド4の構成は問わない。
【0106】
また、上述した本発明の実施形態、変形例に係る印刷装置1は、上述した実施形態や変形例に限定されず、これらの実施形態や変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。