(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
関節を介して順次連結された複数のリンクと、前記関節に対応して設けられ遠隔操作装置より送信された動作指令に基づいて制御されるサーボモータを有するマニピュレータアームであって、
長手方向に伸張したシャフトと、このシャフトの一端部側に配置された処置具と、前記シャフトの他端部側に配置され前記処置具を操作する処置具操作部と、を有する医療用器具を把持する、医療用器具把持機構が前記マニピュレータアームの先端に設けられ、
前記医療器具把持機構は、前記処置具操作部を前記シャフトの長手方向に延びる軸まわりに回転可能に且つ前記シャフトに対して前記長手方向に移動可能に把持するように構成された把持部と、
前記動作指令に基づいて前記把持部に駆動力を与える電動のアクチュエータと、
を備え、
前記把持部は、駆動軸まわりに回転可能なように、前記駆動軸に支持されており、
前記把持部は、開口部を有し、
前記把持部は、前記開口部が前記シャフトの前記一端部側に向かうように前記駆動軸まわりを回転することで、把持位置から把持解除位置に到達するように構成されていることを特徴とする、マニピュレータアーム。
前記把持部による前記処置具操作部の把持状態において、器具支持具が前記シャフトを、前記長手方向に延びる軸まわりに回転可能に支持していることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のマニピュレータアーム。
前記把持部を前記把持位置から前記把持解除位置へ向かう方向、または、前記把持解除位置から前記把持位置へ付勢するための付勢部材をさらに備えていることを特徴とする、請求項1乃至6の何れかに記載のマニピュレータアーム。
前記シャフトとの間に前記長手方向に特定値以上の力が作用したときに前記シャフトとの連結が解除される抜け止め機構をさらに備えていることを特徴とする、請求項1乃至8の何れかに記載のマニピュレータアーム。
前記電動のアクチュエータは、前記把持部を駆動することで前記処置具操作部を前記長手方向に変位させるための第2アクチュエータを含んでいることを特徴とする、請求項1乃至11の何れかに記載のマニピュレータアーム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1構成例]
[外科手術システムの概要]
図1は、本発明の第1構成例に係る外科手術システム200の全体的な構成を示す概略図である。
図1に示すように、外科手術システム200は、ロボット支援手術やロボット遠隔手術などのように、医師などの術者Oが患者側システム1を用いて人間または動物などの処置対象Pに内視鏡外科手術を施すシステムである。
【0011】
外科手術システム200は、患者側システム1と、この患者側システム1を操る操作装置2とを備えている。術者Oは患者側システム1に行わせる動作指令を操作装置2に入力し、操作装置2はその動作指令を患者側システム1に送信する。そして、患者側システム1は、操作装置2から送信された動作指令を受け取り、この動作指令に基づいて、患者側システム1が有する内視鏡アセンブリ4aおよびインストゥルメント(医療用器具)4bなどを動作させる。以下、外科手術システム200の各構成要素について詳細に説明する。
【0012】
[操作装置の構成例]
操作装置2は、外科手術システム200と術者Oのインターフェースを構成し、患者側システム1を遠隔操作するための装置である。操作装置2は、術者Oが動作指令を入力するための操作用マニピュレータアーム5aや操作ペダル5bなどを含む操作入力部5と、内視鏡アセンブリ4aで撮影された画像を表示するモニタ5cとを含む。術者Oは、モニタ5cで患部を視認しながら、操作入力部5を操作して操作装置2に動作指令を入力する。操作装置2に入力された動作指令は、有線または無線により患者側システム1の後述するコントローラ6に伝達される。
【0013】
[患者側システムの構成例]
患者側システム1は、ポジショナ7と、ポジショナ7の先端部に取り付けられたプラットホーム8と、プラットホーム8に着脱可能に取り付けられた複数の患者側マニピュレータアーム(以下、単に「アーム3」という)と、複数のアーム3のうち1本のアーム3aの先端部に取り付けられた内視鏡アセンブリ4aと、複数のアーム3のうち余のアーム3bの先端部に着脱可能に取り付けられたインストゥルメント4bと、患者側システム1の動作を司るコントローラ6とを備えている。
【0014】
上記の患者側システム1では、ポジショナ7からインストゥルメント4bを把持する把持機構30まで、要素が一連に繋がっている。この明細書では、上記一連の要素において、ポジショナ7における手術室の床との接触部へ向かう側の端部を「基端部」といい、その反対側の端部を「先端部」ということとする。
【0015】
医療用器具として用いられるインストゥルメント4bは、アーム3bの先端に設けられた医療用器具把持機構30に対して着脱可能な態様でこの医療用器具把持機構30に支持されている。以下、医療用器具把持機構30を、単に把持機構30ともいう。
【0016】
医療用器具としてのインストゥルメント4bは、動作する関節を有するエンドエフェクタ(たとえば、シザーズ、把持鉗子(グラスパー)、持針器(ニードルホルダ)、モノポーラフック、モノポーラスパチュラ、バイポーラインストゥルメント、マイクロジセクター、ステープラー、タッカー、吸引洗浄ツール、メス、クリップアプライヤーなど)が用いられる。医療用器具として内視鏡を用いてもよい。以下では、一例として、インストゥルメント4bが把持鉗子(グラスパ―)である形態を例に説明する。
【0017】
上記構成の患者側システム1では、操作装置2から動作指令を受けたコントローラ6が、先ず、プラットホーム8と手術台11またはプラットホーム8と処置対象Pとが所定の位置関係となるように、ポジショナ7を動作させてプラットホーム8の位置決めを行う。
【0018】
次に、処置対象Pの体表に留置されたカニューレ(図示せず)と内視鏡アセンブリ4aおよびインストゥルメント4bが所定の初期位置関係となるように、アーム3a,3bの位置決めを行う。そして、コントローラ6は、原則としてポジショナ7を静止させた状態で、操作装置2からの動作指令に応じて、各アーム3a,3bを動作させて内視鏡アセンブリ4aおよびインストゥルメント4bを適宜変位および姿勢変化させつつ、各インストゥルメント4bを動作させて施術する。
【0019】
図2は、ポジショナ7の全体的な構成を示す側面図である。
図2に示すように、ポジショナ7は、水平多関節形ロボットを基調としており、手術室の床に載置されたベース7’と、昇降軸7bと、ベース7’と昇降軸7bの基端部とを連結する揺動アーム7aと、昇降軸7bの先端部に連結された水平アーム7cとを含む。水平アーム7cの先端部には、プラットホーム8が連結されている。
【0020】
揺動アーム7aの揺動動作、昇降軸7bの先端の昇降動作、水平アーム7cの先端の水平動作、および、水平アーム7cの先端に対するプラットホーム8の揺動動作によって、プラットホーム8に連結されたアーム3a,3bの位置および姿勢の少なくとも一方が変更される。
【0021】
図3は、患者側システム1が備えるアーム3(アーム3b)の概略構成を示している。
図1および
図3に示すように、アーム3は、基端部に対し先端部を3次元空間内で移動させることができるように構成されている。アーム3a,3bは、同様の構成を有しているので、本構成例では、アーム3bについて説明する。
【0022】
アーム3は、プラットホーム8に着脱可能に取り付けられるベース20と、ベース20から先端部に向けて順次連結された第1リンク21〜第6リンク26とを含む。より詳細には、ベース20の先端部に、捩り関節J31を介して第1リンク21の基端部が連結されている。第1リンク21の先端部に、捩り関節J32を介して第2リンク22の基端部が連結されている。第2リンク22の先端部に、曲げ関節J33を介して第3リンク23の基端部が連結されている。第3リンク23の先端部に、捩り関節J34を介して第4リンク24の基端部が連結されている。第4リンク24の先端部に、曲げ関節J35を介して第5リンク25の基端部が連結されている。第5リンク25の先端部に、捩り関節J36を介して第6リンク26の基端部が連結されている。第6リンク26の先端部に、インストゥルメント4bの基端部が連結されている。
【0023】
上記構成のアーム3には、各関節J31〜J36に対応して、駆動用のサーボモータM31〜M36、サーボモータM31〜M36の回転角を検出するエンコーダE31〜E36、および、サーボモータM31〜M36の出力を減速させてトルクを増大させる減速機R31〜R36が設けられる。
【0024】
上記構成において、コントローラ6は、操作装置2に入力された動作指令と、エンコーダE31〜E36で検出された回転角とに基づいて、アーム3の先端部が位置姿勢指令と対応する位置および姿勢に到達するように、各サーボモータM31〜M36をサーボ制御する。
【0025】
前述したように、アーム3の先端部である第6リンク26には、把持機構30が取り付けられている。把持機構30は、アーム3の第6リンク26の変位に伴って変位するように構成されている。インストゥルメント4bは、この把持機構30に対して着脱可能である。
【0026】
[医療用器具としてのインストゥルメントの構成例]
図4は、インストゥルメント4bの一例を示す側面図である。
図5は、インストゥルメント4bを分解して示す図である。
図4および
図5では、インストゥルメント4bの一部を省略して示している。本構成例では、インストゥルメント4bは、把持鉗子(グラスパ―)であり、主に処置対象Pの体組織を掴む動作を行うために用いられる。他に、インストゥルメント4bは、エネルギーデバイスから電力を与えられるモノポーラ式またはバイポーラ式の鉗子であってもよい。
【0027】
インストゥルメント4bはインサート31と、シャフト32と、インサートエンド部33と、処置具34とにより構成され、インサート31がシャフト32に挿入され、連結されて使用される。
【0028】
インストゥルメント4bの各部分31,32,33,34は、合成樹脂または金属などを用いて形成されている。インストゥルメント4bの各部分31,32,33,34は、処置対象Pの体組織に近接配置されるため、生体親和性を有する材料で形成されていることが好ましい。
【0029】
シャフト32は、インストゥルメント4bの大部分における外殻部として設けられており、長手方向L1に沿って真っ直ぐに延びる筒状に形成されている。シャフト32の直径は、たとえば、5mmや10mmのものが一般的である。シャフト32は、シャフト32の大部分を構成する円筒状のシャフト本体と、シャフト本体の基端側に固定された筒状で且つ外径が異なる部分を含むハーフプレートとを有している。
【0030】
インサートエンド部33は筒状に形成され、処置具34と動作要素(本構成例においてはインサート31のロッド35)とを連動動作可能に保持するように構成されている。インサートエンド部33の基端寄りの部分には、環状の段部33aが形成され、この段部33aに受けられるようにして、シャフト32のシャフト本体32aの先端部が、インサートエンド部33の基端部に嵌合又は螺合によって固定されている。
【0031】
インサート31は、動作要素としてのロッド35と、ロッド35の先端部側に配置されたリンケージ部36と、ロッド35の基端部側に配置された処置具操作部41と、を有している。
【0032】
インサート31の動作要素としてのロッド35は、インサート基端の処置具操作部41の動作を処置具34に伝え、処置具34を動作させるために設けられた部材である。ロッド35は、インサート31がシャフト32に連結された状態においてシャフト32を貫通しており、これらシャフト32に対して長手方向L1に変位可能である。
【0033】
リンケージ部36は、インサートエンド部33内に配置された板状部分であり、処置具34に連結される。
【0034】
処置具34は、本構成例では、一対の細長い形状のジョウ37,38を含んでいる。ジョウ37の基端部には、インサートエンド部33に設けられた軸受部に連結される支点部37aと、円弧孔37bと、リンケージ部36に設けられた駆動軸に連結される作用点部37cと、が形成されている。円弧孔37bは、支点部37aを曲率中心とする円弧状に形成されており、インサートエンド部33を貫通するピン40に貫通されている。これにより、ジョウ37は、インサートエンド部33から抜けることを防止されている。インサート31(リンケージ部36)が長手方向L1に変位することで、ジョウ37が、支点部37a回りを揺動する。
【0035】
ジョウ38は、ジョウ37と同様の構成を有しており、ジョウ37と連動して動作する。ジョウ38の基端部には、インサートエンド部33に設けられた軸受部に連結される支点部38aと、円弧孔38bと、リンケージ部36に設けられた駆動軸に連結される作用点部38cと、が形成されている。円弧孔38bは、支点部38aを曲率中心とする円弧状に形成されており、インサートエンド部33を貫通するピン40に貫通されている。これにより、ジョウ38は、インサートエンド部33から抜けることを防止されている。インサート31(リンケージ部36)が長手方向L1に変位することで、作用点部38cを含むジョウ38が、支点部38a回りを揺動する。上記の構成により、インサート31がシャフト32に対して長手方向L1に変位することで、ジョウ37,38の先端が互いに近づく方向および互いに遠ざかる方向に変位し、処置具34の開閉動作が行われる。
【0036】
処置具操作部41は、インストゥルメント4bの外部からの力を受けて処置具34を操作するために設けられており、本構成例では、球状に形成されている。本構成例では、処置具操作部41は、把持機構30の後述する把持部91(
図6)によって把持される。
【0037】
上記の構成において、シャフト32は、インサート31に対して着脱可能である。インストゥルメント4bの組立時には、シャフト32は、インサート31のロッド35が通過するようにシャフト32を通される。そして、シャフト32がインサートエンド部33の段部33aに受けられるまでシャフト32がインサート31に通されると、シャフト32は、インサートエンド部33に嵌合又は螺合によって固定される。
【0038】
[把持機構の構成例]
図6は、把持機構30の断面図であり、把持機構30を側方から見た状態を示している。
図7は、把持機構30の把持部91の主要部を示す斜視図である。
図8は、把持機構30の断面図であり、把持機構30を正面(
図6の矢印VIIIで示す方向)側から見た状態を示している。
図9は、
図6における把持機構30の主要部の拡大図である。
図10は、
図8における把持機構30の主要部の拡大図である。
図11は、インストゥルメント4bが取り外された状態を示す把持機構30の断面図であり、把持機構30を側方から見た状態を示している。
【0039】
把持機構30は、アーム3の第6リンク26から当該第6リンク26の長手方向に沿って延び、第6リンク26の長手方向と直交する方向の寸法が長手方向の寸法と比較して小さくされている。これにより、把持機構30の慣性モーメントをより小さくでき、より小さなアクチュエータを用いたアーム3の駆動制御が可能となる。
【0040】
把持機構30は、器具支持ユニット52と、器具回転機構53と、操作機構54と、これらを収容するハウジング51を有している。
【0041】
ハウジング51は、ハウジング本体55と、ハウジング本体55に対して着脱可能なカバー56と、を有している。
【0042】
ハウジング本体55は、インストゥルメント4bが挿入される通過孔部59を有している。
【0043】
カバー56は、インストゥルメント4bを交換する際、把持機構30内部を洗浄する際、および、把持機構30をメンテナンスする際などにおいて、ハウジング本体55に対して着脱されるように構成されている。
【0044】
カバー56は、全体として漏斗(funnel)状に形成されており、先端側が徐々に先細りとなる形状の部分を有している。
【0045】
カバー56の中空部は、インストゥルメント4bを収容可能な空間を形成している。カバー56の先端部の内周面は、インストゥルメント4bのシャフト32の直径よりも大きな直径を有する円筒状に形成されており、カバー56に対するインストゥルメント4bの接触を回避した状態で、当該インストゥルメント4bとの隙間が小さくされている。これにより、カバー56内への異物の侵入が抑制されている。
【0046】
器具支持ユニット52は、器具支持具57と、ギア75と、軸受69、77と、内カバー61と、を有している。
【0047】
内カバー61は孔部63が形成され、孔部63は基端側に進むに従い直径が小さくなるように面取りがされている。本実施形態において孔部63は内カバー61の略中央に形成されている。このようなガイド形状が設けられた構成により、インストゥルメント4bの挿入動作が行い易くされている。
【0048】
内カバー61は、加圧機構としてのボールプランジャ72を収容している。ボールプランジャ72は、コイルばねまたはゴムなどの弾性部材と、この弾性部材によって内カバー61の径方向外方に加圧されるボールとを有している。カバー56の開口部の内周面は、ボールプランジャ72などの加圧機構に加圧されることで、内カバー61の外周面に加圧され、これにより、カバー56は、内カバー61と摩擦結合している。上記の加圧機構は、ボールプランジャに限定されず、コイルばねまたはゴムなどの弾性部材のみが設けられてもよいし、他の構成が設けられてもよい。
【0049】
器具支持具57は、インストゥルメント4bを、シャフト32の長手方向L1に延びる軸としての回転軸A1まわりに回転可能に支持するために設けられ、後述する第1アクチュエータ83からの駆動力が入力される。
【0050】
そして、器具支持具57は円筒状に形成され、シャフト32を押圧する形で支持し、器具支持具57とシャフト32とが摩擦結合によって回転可能に連結される。
【0051】
なお、器具支持具57とシャフト32とは、器具支持具57に対するシャフト32の取り外しが可能な態様で、且つ、器具支持具57とシャフト32とが一体回転可能に連結される構成であればよく、具体的な構成は限定されない。
【0052】
器具回転機構53は、ギア75に動力伝達可能に連結される駆動部81、駆動部81に駆動力を与える第1アクチュエータ83、及び第1エンコーダ84を有している。
【0053】
第1アクチュエータ83は、本構成例では電動モータであるが、器具支持具57を回転駆動可能であれば具体的な構成は限定されない。
【0054】
第1エンコーダ84は位置検出器であり、第1アクチュエータ83に付設されている。位置検出器として、エンコーダの代わりに、レゾルバやポテンショメータを用いても構わない。駆動部81およびギア75は、第1アクチュエータ83の出力軸からの出力回転を減速することでトルクを増幅する減速機構として機能する。このような減速機構として、本構成例では、歯車減速機構を用いているが、歯車に代えてプーリを用いるとともに複数のプーリ間をベルトで連結したプーリ減速機構など、他の減速機構が設けられてもよい。
【0055】
抜け止め機構80は、インストゥルメント4bのシャフト32を、回転軸A1まわりに回転可能に支持するとともに、シャフト32との間に長手方向L1において特定値以上の力が作用したときにシャフト32との連結が解除される構成を有している。
【0056】
本構成例では、抜け止め機構80は、一対のボールプランジャ85,85であり、ハウジング本体55内において通過孔部59から長手方向L1と直交する方向に延びる収容孔部86,86に収容されている。各ボールプランジャ85は、コイルばねまたはゴムなどの弾性部材と、この弾性部材によって通過孔部59の径方向内方に加圧されるボールとを有している。
【0057】
一対のボールプランジャ85,85は、インストゥルメント4bのシャフト32の太さに合わせて、シャフト32の径方向におけるシャフト32との接触位置を調整できるので、異なる種類、および、異なる太さのインストゥルメント4bを装着できる。ただし、上記の抜け止め機構80は、ボールプランジャ85に限定されず、コイルばねまたはゴムなどの弾性部材のみが設けられてもよいし、他の構成が設けられてもよい。
【0058】
操作機構54は、把持部91と操作駆動機構93を有している。
【0059】
把持部91は、処置具操作部41をシャフト32の長手方向に延びる回転軸A1まわりに回転可能に且つシャフト32に対して長手方向L1に移動可能に把持する部分である。
また、把持部91は、ハウジング51に支持された駆動軸94まわりを回転(揺動)可能なように支持されている。
【0060】
把持位置B1は、インストゥルメント4bが把持機構30に結合された状態における把持部91の位置である。また、把持解除位置B2は、インストゥルメント4bと把持機構30との結合が解除されている状態における把持部91の位置であり、インストゥルメント4bの取り替え時における把持部91の位置でもある。把持解除位置B2において、把持部91は、処置具操作部41を把持していない。
【0061】
なお、本構成例では、特に説明しない限り、把持機構30にインストゥルメント4bが取り付けられた状態を基準として説明する。すなわち、本構成例では、特に説明しない限り、把持部91が保持位置B1において処置具操作部41を把持している状態を基準として説明する。
【0062】
図7に示すように、把持部91は、駆動軸94の径方向R1の先端側が開放されている。把持部91は、開口側において、処置具操作部41を収容可能な程度の大きさに形成された空間を形成している。把持部91の開口側の内側面は、駆動軸94側から開口側に向けて(駆動軸94の径方向に沿って)直線状に形成されている。これにより、処置具操作部41は、把持部91内を、駆動軸94の径方向R1に沿って把持部91に対して変位可能である。すなわち、把持部91は、処置具操作部41を、駆動軸94の径方向R1に相対変位可能に把持している。
【0063】
把持部91の開口側の底部には、処置具操作部41が通過するための長孔部101が形成されている。長孔部101は、駆動軸94の径方向R1に沿って延び、球状の処置具操作部41を受ける部分はテーパ状に形成されていることが好ましい。これにより、球状の処置具操作部41が安定した姿勢で把持部91に把持される。
【0064】
本構成例では、処置具操作部41と把持部91との間の隙間を詰めるためのアダプタ103が設けられている。アダプタ103は、たとえば、ゴムなどの弾性部材を用いて形成されている。なお、アダプタとして、把持部91の内側面に弾性部材を取り付けるようにしてもよい。ただし、アダプタ103が用いられることなく、処置操作部41が直接把持部91と接触するように構成されていてもよい。
【0065】
把持部91はまた、付勢部材108を受けるように構成されている。付勢部材108は、把持部91を保持位置B1から把持解除位置B2へ向かう方向へ付勢するための部材である。本構成例では、付勢部材108は、コイルばねであるけれども、ゴムなどの他の弾性部材で形成されていてもよい。
【0066】
付勢部材108は、把持部91が把持解除位置B2(
図11)に位置しているときに、自由状態(外力を付与されていない状態)となり、把持部91への付勢力の付与が解除されている。一方、把持部91が把持解除位置B2から把持位置B1側に変位することで、各付勢部材108は圧縮される。これにより、付勢部材108は、把持部91に弾性反発力を付勢力として付与する。上記の構成を有する駆動軸94および把持部91は、操作駆動機構93によって回転駆動される。
【0067】
操作駆動機構93は、歯車機構などの減速機構を介して把持部91及び駆動軸94に駆動力を与える第2アクチュエータ112と、第2エンコーダ113と、を有している。
【0068】
第2アクチュエータ112は、本構成例では、電動モータであるが、駆動軸94を回転可能なものであればよく、具体的な構成は限定されない。
【0069】
第2エンコーダ113は、位置検出器として第2アクチュエータ112に付設されている。位置検出器として、エンコーダではなく、レゾルバやポテンショメータを用いても構わない。
【0070】
上記の構成により、第2アクチュエータ112の出力軸の回転によって駆動軸94が回転され、駆動軸94とともに、把持部91が回転する。
【0071】
上記の第1アクチュエータ83および第2アクチュエータ112は、コントローラ6(
図1)と電気的に接続されている。そして、操作装置2に入力された動作指令に基づいて、コントローラ6に、回転軸A1まわりのインストゥルメント4bの処置具34の位置、および、処置具34の開閉度合いを示す処置具操作指令が入力される。コントローラ6は、処置具操作指令と第1および第2エンコーダ84,113で検出された回転角とに基づいて各第1および第2アクチュエータ83,112をサーボ制御することで、処置具34を、処置具操作指令と対応する位置および開閉度合いに到達するように制御する。
【0072】
次に、把持機構30における、インストゥルメント4bの着脱動作を説明する。
【0073】
図6、
図10および
図11を参照して、把持機構30にインストゥルメント4bが取り付けられていないとき、把持部91は、付勢部材108によって、把持解除位置B2に保持されている。
【0074】
この状態から、インストゥルメント4bがカバー56を通って内カバー61の先端部から把持機構30内に真っ直ぐに挿入されると、インストゥルメント4bの処置具操作部41は、把持部91に開放側から収容される。そして、インストゥルメント4bが長手方向L1に沿ってさらに挿入されると、処置具操作部41は、付勢部材108の付勢力に抗して把持部91を把持位置B1に向けて変位させる。
【0075】
また、インストゥルメント4bのシャフト32が通過孔部59に挿入されることで、シャフト32が器具支持具57に摩擦結合する。
【0076】
把持部91が把持位置B1に到達すると、インストゥルメント4bのシャフト32は、抜け止め機構80にも連結され、ハウジング51からの抜止がさらに確実にされる。また、把持部91が処置具操作部41を把持することで、処置具操作部41を操作可能である。
【0077】
一方、インストゥルメント4bを把持機構30から抜き取るときには、インストゥルメント4bが長手方向L1に沿って把持機構30から抜けるように引っ張られる。シャフト32が特定の力より大きい力で引っ張られると、抜け止め機構80によるシャフト32の抜け止めが解除され、そして、シャフト32は、器具支持具57との摩擦にも逆らって抜き取られる。
基本的な構成は以上の通りであるが、異なる種類、又は大きさのインストゥルメントを把持操作することが可能であり、以下の構成を備えていてもよい。
【0078】
器具支持具57は、シャフトとの接触側をゴムなどの弾力性を持つ部材とすることで、ある程度のシャフトの大きさのバリエーションに適合するようにすることができる。または、直径が異なる寸法のシャフトを有するインストゥルメントに合わせて、器具支持ユニット52を交換するようにしてもよい。この場合、インストゥルメント4bの寸法に合わせて、内カバー61の孔部63がシャフト32を挿通できる大きさのものを採用したり、軸受69、77やギア75の大きさ、器具支持具57の形状が適宜インストゥルメント4bの大きさ形状に合うものを組み合わせて器具支持ユニット52を形成するようにすればよい。ギア75の大きさを変更することにより減速比も変更することができる。
【0079】
また、本実施例で示した構成は適宜構成・部品を変更・省略することが可能である。例えば、さらに、器具支持具57によってシャフト32を摩擦力や付勢によって十分に支持できていれば、抜け止め機構80を省略することも可能である。その他、把持部91の付勢方法や減速機の有無なども、適宜変更することが可能である。
【0080】
インストゥルメント4bのシャフト32が通過するカバー56の先端部の円筒部の開口大きさ(内径)を調節可能な構成としてもよい。例えば、
図12A〜
図12Bに示す開口調節機構45を、カバー56の先端部に設けてもよい。開口調節機構45は、当該開口調節機構45の先端のスリーブを回転させることで、複数の爪の迫り出す量が変更されるように構成されている。
【0081】
若しくは、カバー56のうちインストゥルメント4bのシャフト32が通過する先端部の円筒部をカバー56の他の部分に対して着脱可能に構成するとともに、直径が異なる円筒部を複数種類用意してもよい。または、カバー56のうちインストゥルメント4bのシャフト32が通過する先端部の円筒部の直径が異なるカバー56を複数種類用意し、装着されるインストゥルメントの大きさ(直径)に適したカバー56をハウジング本体55に装着してもよい。さらに、カバー56は防護及び外観の点で有利ではあるが、これらを犠牲にして省略することも可能である。それに伴い、ボールプランジャ72も省略することもできる。
【0082】
また、取り付けられるインストゥルメント4bの種類によって、シャフト32に対する処置具操作部41の可動量(ストローク)は、異なる。よって、把持部91に処置具操作部41が取り付けられた状態で、一旦第2アクチュエータ112を駆動することにより、第2エンコーダ113によって上記のストロークを計測し、モーションレート(操作入力部5による操作量に対するアクチュエータ112の駆動量)を設定するようにしてもよい。
【0083】
以上説明したように、本構成例によると、把持部91は、処置具操作部41を、シャフト32の長手方向L1に延びる回転軸A1まわりに回転可能に且つシャフト32に対して長手方向L1に移動可能に把持する。この構成であれば、インストゥルメント4bが例えば手技での手術に用いられるような汎用的なものであっても、処置具が回転及び開閉操作可能な状態でインストゥルメント4bをロボットに把持させ、遠隔操作をすることができる。
【0084】
また、本構成例において、把持部91の一構成例として、把持部91の開口部の底部には、長孔部101が形成されていてもよい。
【0085】
また、本構成例において、処置具34と、処置具操作部41は、シャフト32の内部を挿通するロッド35によって連結されている。この構成によると、処置具34への操作の伝達が確実である。
【0086】
また、本構成例によると、把持部91による前記処置具操作部41の把持状態において、ロッド35のうち中間部よりも細く形成された基端部が、把持部91の開口部の底部である長孔部101を通過するようにしている。
【0087】
また、本構成例によると、把持部91による処置具操作部41の把持状態において、器具支持具57がシャフト32を、長手方向L1に延びる軸A1まわりに回転可能に支持している。この構成によると、シャフト32を回転可能に支持する機能を器具支持具57が受け持つとともに、処置具操作部41を操作する機能を把持部91が受け持つこととなる。
【0088】
また、本構成例においては、把持部91は、駆動軸94まわりに回転可能なように、駆動軸94に支持されている。この構成によると、把持部91を駆動軸94回りに回転させる簡易な構成で、把持部91に対する処置操作部41の着脱動作を実現できる。
【0089】
また、本構成例によると、把持部91の開口部がシャフト32の先端部側に向かう態様で、把持部91が駆動軸94まわりを回転することで、把持部91は、把持位置B1から把持解除位置B2に到達する。この構成によると、インストゥルメント4bが引っ張られることで、インストゥルメント4bを把持機構30の把持部91から取り外すことができる。このような、把持機構30に対するインストゥルメント4bの簡易な動作で、インストゥルメント4bを把持機構30に対して着脱できる。
【0090】
また、本構成例によると、把持部91を把持位置B1から把持解除位置B2へ向かう方向へ付勢するための付勢部材108が設けられている。この構成によると、把持機構30にインストゥルメント4bが取り付けられていない状態において、把持部91を把持解除位置B2に配置できる。このような構成であれば、インストゥルメント4bの処置具操作部41を把持機構30に向けて押し込む動作が行われることで、把持部91は、処置具操作部41から力を受けて把持解除位置B2から把持位置B1に変位できる。このように、インストゥルメント4bを把持機構30内に向けて押し込む簡易な動作で、処置具操作部41を把持機構30に取り付けることができる。
【0091】
また、本構成例によると、アダプタ103によって、処置具操作部41と把持部91との間の隙間が詰められている。この構成によると、把持部91と処置具操作部41との間に隙間が生じることによる異音の発生を抑制できる。また、操作時における把持部91と処置具操作部41との間の摩擦などを調整することができる。
【0092】
また、本構成例によると、抜け止め機構80は、シャフト32との間に長手方向L1に特定値以上の力が作用したときにシャフト32との連結を解除するように構成されている。この構成によると、インストゥルメント4bの把持をより確実に行うことができ、インストゥルメント4bの把持機構30からの離脱を防止することができる。
【0093】
また、本構成例においては、第1アクチュエータ83によって、シャフト32を回転軸A1まわりに回転させる。
【0094】
また、本構成例においては、ハウジング本体55にカバー56を設ける構成であるので、シャフト32の防護をより確実にすることができる。
【0095】
また、本構成例においては、操作駆動機構93の第2アクチュエータ112によって把持部91を駆動することで、処置具操作部41を長手方向L1に変位させている。
【0096】
[第2構成例]
次に、本発明の第2構成例を説明する。なお、以下では、第1構成例と異なる構成について主に説明し、第1構成例と同様の構成には、図に同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0097】
図13は、本発明の第2構成例に係る把持機構30Aの主要部の断面図であり、把持機構30Aを側方から見た状態を示している。
図14は、把持機構30Aの把持部91Aの開口端周辺の底面図である。
図15A−Cは、インストゥルメント4bを着脱する様子を示す図であり、
図15Aは把持部91Aが押し上げられている状態を示している。
図15Bは、処置具操作部41が把持部91A内に進入した状態を示している。
図15Cは、処置具操作部41が把持部91A内に進入した状態を示している。
【0098】
図13および
図14を参照して、把持機構30Aが第1構成例の把持機構30と異なっている点は、把持部91Aの構成と、付勢部材108Aの構成である。把持部91Aは、把持部91Aの開口端がシャフト32の先端部から遠ざかる方向(長手方向L1のうちシャフト32の先端部から基端部へ向かう方向)に向けて駆動軸94まわりを回転することで、把持位置B1から把持解除位置B2に到達するように構成されている。
【0099】
把持位置B1において、把持部91Aは、処置具操作部41を把持している。把持解除位置B2は、インストゥルメント4bの取り替え時における把持部91Aの位置である。把持解除位置B2において、把持部91Aは、処置具操作部41を把持していない。
【0100】
把持部91Aの開口側底部には、切欠部115が形成されている。切欠部115は、幅狭部117と幅広部116を有し、幅広部116が径方向R1に沿って開放側に配置されている。幅広部116は、幅方向W1における間隔が、処置操作部41の直径よりも大きくされている。一方、幅狭部の幅方向W1における間隔は、処置操作部41の直径未満であり、かつロッド35の基端側の小径部の直径(ロッド35のうち切欠部115を通過する部分の直径)より大きい。
【0101】
次に、本構成例における、インストゥルメント4bの着脱動作を説明する。
【0102】
図13、
図14および
図15A〜
図15Cを参照して、把持機構30Aにインストゥルメント4bが取り付けられていないとき、把持部91Aは、付勢部材108Aによって、把持位置B1(
図15A)に保持されている。
【0103】
この状態から、インストゥルメント4bが把持機構30A内に真っ直ぐに挿入されると、インストゥルメント4bの処置具操作部41は、把持部91Aの開口側底部を押す(
図15A)。これにより、把持部91Aは、駆動軸94まわりを回転することで把持解除位置B2へむけて変位する。そして、把持部91Aの開口端がさらに上方に進むと、処置具操作部41は、把持部91Aの開口側底部における切欠部115の幅広部116に到達する。すると球状の処置操作部41は、把持部91Aの内部にはまり込む(
図15B)。
【0104】
この状態で、シャフト32を下方に引っ張ると、ロッド35の小径部が、把持部91Aの開口側底部における切欠部115の幅狭部117に挿入される形になり(
図15C)、処置具操作部41は把持部91Aに把持されて、把持位置B1に到達する(
図13)。
【0105】
把持部91Aが把持位置B1に到達すると、インストゥルメント4bのシャフト32は、抜け止め機構80に連結されることでハウジング51から抜けることは防止される。
【0106】
一方、インストゥルメント4bを把持機構30Aから抜き取るときには、インストゥルメント4bがハウジング51の奥側に押し込まれることで、把持部91Aが駆動軸94まわりを回転して把持解除位置B2へむけて変位する(
図15C)。そして、把持部91Aがさらに上方に進むと、処置具操作部41は、把持部91の開口側底部における切欠部115の幅広部116に到達する(
図15B)。次に、インストゥルメント4bが勢いよく把持機構30Aから引き抜かれることで、処置具操作部41は、切欠部115の幅広部116を通して把持部91Aから外れる(
図15A)。このとき、第2アクチュエータ112により把持部91Aを把持解除位置B2に保持するように駆動しておくことが好ましい。
【0107】
以上説明したように、本第2構成例によると、把持部91Aは、処置具操作部41を、回転軸A1まわりに回転可能に且つシャフト32に対して長手方向L1に移動可能に把持する。この構成においても、インストゥルメント4bが例えば手技での手術に用いられるような汎用的なものであっても、処置具が回転及び開閉操作可能な状態でインストゥルメント4bをロボットに把持させ、遠隔操作をすることができる。
【0108】
[第3構成例]
次に、本発明の第3構成例を説明する。なお、以下では、第1及び第2の構成例と異なる構成について主に説明し、第1及び第2の構成例と同様の構成には、図に同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0109】
図16は、本発明の第3構成例に係る把持機構30Bの主要部の断面図であり、把持機構30Bを側方から見た状態を示している。
図17は、インストゥルメント4bが着脱される様子を示す把持機構30Bの主要部の断面図であり、把持機構30Bを側方から見た状態を示している。
【0110】
図16および
図17を参照して、第3構成例では、第1構成例及び第2構成例の操作機構54に代えて、操作機構54Bが設けられている。
【0111】
操作機構54Bは、把持部91Bと、把持部91Bを支持するとともに把持部91Bを駆動する操作駆動機構93Bと、を有している。
【0112】
把持部91Bは、処置具操作部41をシャフト32の長手方向に延びる回転軸A1まわりに回転可能に且つシャフト32に対して長手方向L1に移動可能に把持するための部材である。この把持部91Bは、処置具操作部41とは回転軸A1まわりに相対回転可能に且つ長手方向L1に一体的に変位可能に連結される。
【0113】
把持部91Bは、ケース内に収容された一対のボールプランジャを含んでいる。各ボールプランジャは、コイルばねまたはゴムなどの弾性部材と、この弾性部材によって処置具操作部41側に加圧されるボールとを有している。
【0114】
一対のボールプランジャは、インストゥルメント4bの処置具操作部41の形状に合わせて、処置具操作部41との接触位置を調整できるので、異なる種類、および、異なる太さの処置具操作部41を装着できる。ただし、把持部91Bは、ボールプランジャに限定されず、コイルばねまたはゴムなどの弾性部材のみが設けられてもよいし、他の構成が設けられてもよい。
【0115】
操作駆動機構93Bは、運動変換機構127と、第2アクチュエータ112と、第2エンコーダ113と、を有している。
【0116】
運動変換機構127は、回転運動と直進運動とを変換するために設けられている。本第3構成例では、運動変換機構127は、ラックアンドピニオン機構であり、把持部91Bに取り付けられているとともにハウジング本体55にスライド可能に支持されたラックと、第2アクチュエータ112の出力軸に連結されラックに噛み合うピニオンとを有している。第2アクチュエータ112の出力軸の回転は、運動変換機構127によって、把持部91Bの直線運動に変換される。これにより、処置具操作部41が長手方向L1に変位し、処置具34が操作される。
【0117】
以上説明したように、本第3構成例によると、把持部91Bは、処置具操作部41を、回転軸A1まわりに回転可能に且つシャフト32に対して長手方向L1に移動可能に把持する。この構成であれば、インストゥルメント4bが例えば手技での手術に用いられるような汎用的なものであっても、処置具が回転及び開閉操作可能な状態でインストゥルメント4bをロボットに把持させ、遠隔操作をすることができる。
【0118】
以上、本発明の構成例について説明したけれども、本発明は上述の構成例に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。たとえば、以下のような変更が行われてもよい。
【0119】
(1)上述の構成例では、インストゥルメント4bがグラスパである形態を例に説明した。しかしながら、本発明の把持機構は、異なる種類、および、異なる太さのインストゥルメントを取り付け可能であることは、前述した通り、他のインストゥルメントとして、
図18に示すインストゥルメント4dが用いられてもよい。
【0120】
インストゥルメント4dがインストゥルメント4bと異なっている点は、主に、処置具34Dの構成と、シャフト32Dの太さおよびロッド35Dの太さである。
【0121】
本構成例では、インストゥルメント4dは、シザーズであり、主に処置対象Pの体組織を切開するために用いられる。インストゥルメント4dは、モノポーラ式であってもよい。
【0122】
インストゥルメント4dはインサート31Dと、シャフト32Dと、インサートエンド部33Dと、処置具34Dとにより構成され、インサート31Dがシャフト32Dに挿入され、連結されて使用される。
【0123】
シャフト32Dの外径は、インストゥルメント4bのシャフト32の外径よりも太い。ロッド35Dの外径は、インストゥルメント4bのロッド35の外径よりも太い。インサートエンド部33Dの外径は、インストゥルメント4bのインサートエンド部33の外径よりも太い。
【0124】
処置具34Dは、本構成例では、一対の細長い形状の刃37D,38Dを含んでいる。刃37Dの基端部には、インサートエンド部33Dに設けられた軸受部に連結される支点部37aDと、リンケージ部36Dに設けられた駆動軸に連結される作用点部37cDと、が形成されている。インサート31D(リンケージ部36D)が長手方向L1に変位することで、刃37Dが、支点部37aD回りを揺動する。
【0125】
刃38Dは、刃37Dと同様の構成を有しており、刃37Dと連動して動作する。刃38Dの基端部には、インサートエンド部33Dに設けられた軸受部に連結される支点部38aDと、リンケージ部36に設けられた駆動軸に連結される作用点部38cDと、が形成されている。インサート31D(リンケージ部36D)が長手方向L1に変位することで、ジョウ38が、支点部38aD回りを揺動する。
【0126】
本構成例では、球状の処置具操作部41Dは、把持機構30,30A,30Bの把持部91,91A,91Bによって把持される。
【0127】
インストゥルメント4bに代えてインストゥルメント4dが用いられる場合でも、処置具操作部41Dは、把持部91,91A,91Bに把持される。すなわち、把持機構30,30A,31Bによる、複数種類のインストゥルメント4b,4dの把持が可能である。
【0128】
(2)また、インストゥルメント4bに代えて、フックなどの単一のエンドエフェクタを含むインストゥルメントが用いられてもよい。
図19は、単一のエンドエフェクタを含むインストゥルメント4eの一例を示す側面図である。
図19では、インストゥルメント4eの一部を省略して示している。本構成例では、インストゥルメント4eは、フックであり、主に処置対象Pの体組織の一部を引き上げる動作を行うために用いられる。インストゥルメント4eは、モノポーラ式であってもよい。
【0129】
インストゥルメント4eの構成がインストゥルメント4bの構成と異なっている点は、処置具34Eの構成である。具体的には、インストゥルメント4eは、インサート31と、シャフト32と、インサートエンド部33と、処置具34Eとにより構成され、インサート31がシャフト32に挿入され、連結されて使用される。
【0130】
処置具34Eは、本構成例では、一つのフック37Eを含んでいる。フック37Eの基端部には、インサートエンド部33に設けられた軸受部に連結される支点部37aEと、リンケージ部36に設けられた駆動軸に連結される作用点部37cEと、が形成されている。インサート31(リンケージ部36)が長手方向L1に変位することで、フック37Eが、支点部37aE回りを揺動する。
【0131】
(3)なお、フック37Eに代えて、
図20に示すように、スパチュラ37Fが設けられてもよい。スパチュラ37Fの基端部には、支点部37aFと、円弧孔37bFと、作用点部37cFと、が形成されている。インサート31(リンケージ部36)が長手方向L1に変位することで、スパチュラ37Fが、支点部37aF回りを揺動する。
【0132】
(4)上述のインストゥルメント4b,4d,4eの処置具操作部41は、球状に形成されていた。しかしながら、この構成に限定されない。たとえば、処置具操作部41に代えて、
図21に示すように、球形状以外の形状に形成された処置具操作部41Cが用いられてもよい。処置具操作部41Cが、対応する把持部91,91A,91Bに受けられる。
図21に示す例の場合、処置具操作部41Cは、立方体状に形成されている。処置具操作部41Cの形状としては、他に、多角柱状、円柱状、多面体状を挙げることができる。また、処置具操作部41Cは、把持部91,91A,91Bによって回転可能に支持されることが可能な他の形状であってもよい。
【0133】
(5)また、上述の構成例では、インストゥルメント4bが、金属軸であるロッド35,35Dを用いて形成される形態を説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。たとえば、可撓性を有するワイヤーによって処置具操作部と処置具とが連結されたインストゥルメントが、把持機構30,30A,30Bに取り付けられてもよい。