特許第6474380号(P6474380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6474380非協調動作を水平化するための手持ち式用具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474380
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】非協調動作を水平化するための手持ち式用具
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
   A61G12/00 D
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-245290(P2016-245290)
(22)【出願日】2016年12月19日
(65)【公開番号】特開2018-99155(P2018-99155A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2017年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】516035068
【氏名又は名称】ヴェリリー ライフ サイエンシズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】パタク,アヌパム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アレン,マイケル エム.
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/133621(WO,A1)
【文献】 特開2008−238338(JP,A)
【文献】 特表2014−533127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
A47G 21/00−23/16
A61F 4/00
A61H 1/00− 1/02
A61B 17/00−17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式用具であって、
前記手持ち式用具のユーザによって保持されるためのハンドルと、
前記ハンドルから延在する取付けアームであって、ユーザ支援装置に連結するように構成された取付けアームと、
前記取付けアームに装着されて、前記ユーザ支援装置の動作または向きのうちの1つまたは複数の測定値を取得し、前記測定値を示すフィートバックデータを生成する、第1の慣性計測ユニット(「IMU」)と、
前記ユーザ支援装置を少なくとも2つの次元において操作するように前記取付けアームを介して前記ユーザ支援装置に結合されたアクチュエータ組立体と、
前記第1のIMUに電気的に結合された動作制御システムであって、前記第1のIMUから前記フィードバックデータを受信前記フィードバックデータに応答して前記アクチュエータ組立体に自動水平化のコマンドを提供する動作制御システムと
を備え
前記アクチュエータ組立体は、
前記取付けアームの第1の動作を制御する第1のアクチュエータと、
前記取付けアームの第2の動作を制御する第2のアクチュエータと、を有し、
前記第1の動作は、前記取付けアームの第1の回転軸周りの回転であり、
前記第1のアクチュエータは、前記ハンドル内に配設され、
前記第2のアクチュエータは、前記ハンドル外に配設されている、手持ち式用具。
【請求項2】
前記アクチュエータ組立体が、前記ハンドルに対して2つの回転軸周りに前記ユーザ支援装置を操作するように前記ユーザ支援装置に結合され
前記2つの回転軸は、前記第1の回転軸を含む、請求項1に記載の手持ち式用具。
【請求項3】
前記第1の動作は、前記取付けアームのローリング動作であり前記ローリング動作は、前記第1の回転軸周りであり、
前記第2の動作は、前記取付けアームのピッチング動作である、請求項2に記載の手持ち式用具。
【請求項4】
前記アクチュエータ組立体が、
前記第1のアクチュエータからの前記ローリング動作の出力を前記第2のアクチュエータに機械的に結合させる第1の結合部であって、前記第1のアクチュエータが、前記第1の結合部を介して前記第2のアクチュエータをローリングさせることによって前記取付けアームをローリングさせるように結合された、第1の結合部と、
前記第2のアクチュエータからの前記ピッチング動作の出力を前記取付けアームに機械的に結合させる第2の結合部をさらに備え
前記第2の結合部は、前記ハンドル外に配設されている、請求項3に記載の手持ち式用具。
【請求項5】
前記第1のアクチュエータの第1の出力の第1の相対位置をモニターするように結合された第1の位置センサと、
前記第2のアクチュエータの第2の出力の第2の相対位置をモニターするように結合された第2の位置センサと
をさらに備え、
前記第1および第2の位置センサが、前記動作制御システムに位置情報をフィードバックするように結合された、請求項3又は4に記載の手持ち式用具。
【請求項6】
前記ハンドル内に配設され、前記ユーザ支援装置を自動水平化している間に前記第1および第2の位置センサから位置情報を収集し、前記位置情報をログに記録するように結合されたシステムコントローラと、
前記手持ち式用具から前記ログを出力するように前記システムコントローラに結合された通信インターフェースと
をさらに備える、請求項5に記載の手持ち式用具。
【請求項7】
前記第2のアクチュエータは、前記第1のアクチュエータと前記取付けアームとの間に配設されている、請求項3から6のいずれか一項に記載の手持ち式用具。
【請求項8】
前記ユーザ支援装置にヒトの振戦安定化をもたらすために、前記動作制御システムが、前記アクチュエータ組立体を前記2つの回転軸周りに操作する請求項2から7のいずれか一項に記載の手持ち式用具。
【請求項9】
前記アクチュエータ組立体および前記動作制御システムに電力供給するように結合された電源をさらに備え、
前記電源及び前記動作制御システムは、前記ハンドル内に配設される、請求項1から8のいずれか一項に記載の手持ち式用具。
【請求項10】
前記ユーザ支援装置が、食事道具または飲用道具のいずれか1つを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の手持ち式用具。
【請求項11】
前記ユーザ支援装置が、ポインタ装置、身だしなみ用具、個人的衛生用具、または職業用具のうちの1つを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の手持ち式用具。
【請求項12】
トの振戦を測定するために、前記ハンドルに堅く連結された第2のIMUをさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の手持ち式用具。
【請求項13】
前記ハンドル内に配設され、前記動作制御システムによって前記アクチュエータ組立体に提供される前記自動水平化のコマンドを収集し、前記自動水平化のコマンドをログに記録するように結合されたシステムコントローラと、
前記手持ち式用具から前記ログを出力するように前記システムコントローラに結合された通信インターフェースと
をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の手持ち式用具。
【請求項14】
前記第1のIMUは、加速度計、ジャイロスコープ及び磁気計を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の手持ち式用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に筋肉の動きを水平化する、または安定化するための用具に関する。
【背景技術】
【0002】
運動障害は、身体の一部分、通常は手足、の機能が部分的または全体的に失われることである。これは、筋力低下、体力不足、または運動制御の欠如により生じることが多い。運動障害は、パーキンソン病、ALS、脳卒中、多発性硬化症、脳性麻痺などの神経疾患の症状であることが多い。運動障害、および動きの制限を支援するために利用可能な技術は、たとえ存在するとしても有効なものはほとんどない。その結果、多くの患者が、自力で食事を取ることなど単純な作業を行うことができず、介護者に頼らざるを得ない。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本発明の非限定的および非網羅的な実施形態が、以下の図面を参照しながら記載され、別段の定めがない限り、様々な図の全体を通して同じ参照符号は同じ部分を指す。図面は必ずしも原寸に比例しておらず、記載される原理を例示することに重点が置かれている。
【0004】
図1A開示の実施形態による、ユーザ支援装置に自動水平化をもたらす手持ち式用具の斜視図である。
図1B開示の実施形態による、ユーザ支援装置に自動水平化をもたらす手持ち式用具の断面斜視図である。
図1C開示の実施形態による、ユーザ支援装置に自動水平化をもたらす手持ち式用具の平面図である。
図1D開示の実施形態による、ユーザ支援装置に自動水平化をもたらす手持ち式用具の側面図である。
図2開示の実施形態による、ユーザ支援装置に自動水平化をもたらす手持ち式用具のシステム回路の構成要素を例示する機能ブロック図である。
図3開示の実施形態による、手持ち式用具のユーザ支援装置に自動水平化をもたらすための動作制御システムの構成要素を例示する機能ブロック図である。
図4開示の実施形態による、飲用カップを保持するように形作られたユーザ支援装置を有する手持ち式用具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
手持ち式用具のユーザ支援装置の自動水平化をもたらすための装置、システム、およびオペレーション方法の実施形態が、本明細書に記載される。以下の記載では、実施形態の完全な理解をもたらすために多くの具体的な詳細が説明される。しかし、本明細書に記載される技法は、具体的な詳細のうちの1つもしくは複数がなくても、またはその他の方法、構成要素、材料などを用いても、実践することができることを、当業者であれば理解するであろう。その他の事例では、特定の態様が不明瞭になるのを防ぐために、よく知られた構造、材料、またはオペレーションは示されない、もしくは記載されない。
【0006】
本明細書全体を通して、「一実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「一実施形態では」または「実施形態では」という言い回しが、本明細書全体を通して様々な箇所に出現するが、それらは必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な態様で組み合わせられてもよい。
【0007】
ヒトの振戦を補助するための技術が開発されているが、それらは、ヒトの振戦の大きさが極端過ぎる、または筋肉制御が欠如しているために運動障害が転倒/こぼしにつながるという、様々な状態に適合できないことがある。慣性計測ユニット(「IMU : inertial measurement unit」)を使用した安定プラットフォームが、軍事用途としてのみならず愛好家のためにも、カメラ用に開発されている(例えば、ブラシレスジンバルコントローラ)。同様に安定飛行コントローラは、移動プラットフォームを三次元空間で安定化する。しかし、これらの解決策は、筋力または筋肉制御に制限のある人が飲食その他などの日々の作業を行うことを補助するための小型で軽量な手持ち式用具に一体化することができない。さらに、手術室、または陸軍移動外科病院のような、特に大きいストレスがある環境では、特定の職業(例えば、外科分野)が、用具の水平化および/または安定化から恩恵を得ることができる。
【0008】
図1A図1Dは、本開示の実施形態による、手持ち式用具100の端部に連結されたユーザ支援装置105を自動水平化することができる、および一部の実施形態では安定化することができる手持ち式装置100を例示する。図1Aは手持ち式用具100の斜視図であり、手持ち式用具100のすべて同じ実施形態の、図1Bが断面斜視図、図1Cが平面図、および図1Dが側面図である。手持ち式用具100の例示される実施形態は、ユーザ支援装置105、取付けアーム110、アクチュエータ組立体115、ハンドル120、およびシステム回路を含む。アクチュエータ組立体115の例示される実施形態は、アクチュエータ125、アクチュエータ130、結合部135、および結合部140を含む。システム回路は、水平化IMU145、動作制御システム150、電源155、位置センサ(図1A〜1Dには例示せず)、システムコントローラ160、システムメモリ165、および通信インターフェース170を含む。一実施形態では、手持ち式用具100は振戦IMU175を含むこともできる。
【0009】
手持ち式用具100は、様々な異なるユーザ支援装置105を保持するように適合され得る自動水平化(および一部の実施形態では振戦安定化)プラットフォームである。手持ち式用具100は、電動アクチュエータおよびフィードバック制御システムを使用して能動的な水平化をもたらす。図1A図1Dは、スプーンとしてのユーザ支援装置105を例示する。しかし、ユーザ支援装置105は、様々な異なる食事道具、飲用道具(例えば、図4のカップホルダ装置400を参照)、化粧品アプリケータ、ポインティング装置、様々な職業用具(例えば、外科用具)、その他として実装されてもよい。
【0010】
手持ち式用具100の例示される実施形態は、ユーザ支援装置105の動作および向きを測定するために、ユーザ支援装置105に堅く連結された取付けアーム145に配設された水平化IMU145を含む。水平化IMU145は、測定された動作および向きを示すフィードバックデータを動作制御システム150に出力する。水平化IMU145は、ジャイロスコープおよび加速度計で実装されてもよく、またはさらに磁気計を含むこともできる。一実施形態では、水平化IMU145はソリッドステートデバイスである。
【0011】
一実施形態では、動作制御システム150は、参照フレーム(例えば、重力ベクトル)に対するユーザ支援装置105の所与の瞬間における直線加速度、角速度、および向きを得るために水平化IMU145にポーリングを行う。次いで動作制御システム150は、三次元(「3D」)空間において参照フレームに対するユーザ支援装置105の向きを推定するためのアルゴリズムを実行する。水平化IMU(およびユーザ支援装置105)の本体フレームに対するこの推定値または推定された重力ベクトルは、リアルタイムで連続的にアップデートされ、アクチュエータ組立体115をリアルタイムで駆動および制御するためのコマンド信号を生成するために使用される。一実施形態では、コマンド信号はロールコマンドおよびピッチコマンドを含む。
【0012】
アクチュエータ組立体115は、少なくとも2つの直交する次元においてユーザ支援装置105を操作するようにユーザ支援装置105に連結される。例示される実施形態では、2つの直交する次元は、ピッチ軸180周りの回転、およびロール軸185周りの回転を含む。ピッチ軸180は、ハンドル120を通って長手方向に延びるロール軸185に直交する。他の実施形態では、2つの動作次元は直交する必要はない。さらに他の実施形態において、線形動作またはさらにヨー回転などのさらなる自由度が、アクチュエータ組立体115に加えられてもよい。
【0013】
アクチュエータ組立体115は、取付けアーム110ひいてはユーザ支援装置105をハンドル120に対して動かして、自動水平化および一部の実施形態では振戦安定化をもたらすために手持ち式用具100に存在する。固定された参照フレーム(例えば、重力ベクトル)に対してユーザ支援装置105がピッチングまたはローリングされると、動作制御システム150は、水平な向きを補償し維持するために、またはさらにオフセットする向きをもたらして振戦に対抗するために、ユーザ支援装置105を反対の方向に動かすようにアクチュエータ組立体115にコマンドする。全体的な効果として、アクチュエータ組立体115の物理的限界の範囲内でハンドルがどのような向きにされるかに関わらず、ユーザ支援装置105は向きが固定された(またはさらに安定した)ままである。
【0014】
アクチュエータ組立体115の例示される実施形態は、ロール軸185周りに出力回転動作を提供するアクチュエータ125を含む。このロール動作は、アクチュエータ125がアクチュエータ130をロール軸185周りに物理的に回転させるように、結合部135を介してアクチュエータ130に結合される。アクチュエータ130の例示される実施形態は、ピッチ軸180周りの出力回転動作を提供する。ピッチ動作およびロール動作は、アクチュエータ130がユーザ支援装置105をピッチングさせ、アクチュエータ125がユーザ支援装置105をローリングさせるように、結合部140を介して取付けアームに、ひいてはユーザ支援装置105に結合される。これらの直交する回転動作は独立して制御される。
【0015】
一実施形態では、手持ち式用具100は、ハンドル120に対するアクチュエータ125および130の出力の回転位置を示すフィードバック位置情報を動作制御システム150に提供する2つの位置センサをさらに含む。言い換えれば、位置センサは、ハンドル120に対する結合部135および140の位置を示す。一実施形態では、各位置センサは、その対応する結合部135または140の位置をモニターするホール効果センサである。ポテンショメータ、エンコーダなどを含む他の位置センサが実装されてもよい。
【0016】
従来の安定化装置は、重り振子を使用して安定性を提供しようとするものである。しかし、プラットフォームを水平な状態で静止させるためには重い質量体が必要である。そのような実装形態の欠点には、かさばりおよび質量体が必要になること、および振子がその固有振動数で揺動するまたは発振する可能性があることが含まれる。ユーザ支援装置の設定ポイント(安定位置)も機械的組立体によって制限され、容易に調整することができない。さらに、ユーザに関する情報は、これらの単に機械的な手段によっては収集することができない。それとは対照的に、手持ち式用具100で使用されるフィードバック制御システムは、大幅に小型化された形状要因においてはるかに高度な性能を達成することができる。重い重りは必要ではなく、動作制御システム150は、様々な非意図的な動作に反応(例えば、振戦安定化)するように特別に調節され得る。実際に、動作制御システム150は、自動水平化のために非協調的な動き(低振動数)に応答するのみならず、ヒトの振戦の安定化のために非意図的な動き(高振動数)にも応答するようにプログラムすることができる。
【0017】
さらに、システムコントローラ160は、ユーザの状態の重症度(例えば、水平な向きを維持する能力、必要なフィードバック制御支援の量、非意図的な振戦動作の量、など)に関するデータをモニターし収集するようにプログラムすることができ、このデータをシステムメモリ165内のログに記憶して、最終的には通信インターフェース170を介して出力することができる。ログは、ユーザ/患者の状態を診断および処置するために、解析され医療従事者に提供され得る。動作制御システム150によって提供される能動的な制御は、治療計画の一部として経時的に少しずつ自動的に調整できるようにさらにプログラムすることができる。治療計画は、ログを使用してモニターすることができ、ログを参照しながら患者ごとに作ることができる。例えば、治療または訓練の一種として、能動的な水平化/安定化の量が所定の割合で徐々に低減され、ログを参照しながら結果が定期的にモニターされてもよい。
【0018】
一実施形態では、取付けアーム110は、単一のユーザ支援装置105に常時固定された連結として実装される。他の実施形態では、取付けアーム110は、ユーザ支援装置105を取り外すまたは取り替えるために、一時的な取付けを容易にしてもよい。一時的な取付けを使用することによって、ユーザは異なる種類のユーザ支援装置105を手持ち式用具100に挿入するまたは取り付けることができる。例えば、ユーザ支援装置105は、様々な異なる食事道具または飲用道具(例えば、スプーン、ナイフ、フォーク、カップホルダ)、個人的衛生用具(例えば、歯ブラシ、フロスピック)、身だしなみ用具(例えば、化粧品アプリケータ、くし)、職業用具(例えば、外科用具)、ポインティング装置(例えば、レーザポインタ、または指示棒)その他として実装されてもよい。自動水平化(および任意選択で振戦安定化)機能は、日常的な作業を乗り越えるさらなる自立および自己制御を提供することによって、非協調的な(および/または非意図的な)筋肉の動きのあるユーザが生活の質を改善することを補助する。さらに、手持ち式用具100には、非協調的/非意図的な筋肉の動きに苦しむことのない人を援助する職業的な使用法があってもよい。
【0019】
図2は、本開示の実施形態による、システム回路200の機能的構成要素を例示する機能ブロック図である。システム回路200は、手持ち式用具100のオペレーションのための例としての機能的な制御構成要素を例示する。システム回路200の例示される実施形態は、動作制御システム205、システムメモリ210、システムコントローラ215、通信インターフェース220、電源225、水平化IMU230、位置センサ235、および振戦IMU240を含む。
【0020】
上述されたように、動作制御システム205は、水平化IMU230からフィードバックデータを受信(例えば、ポーリング)して、ユーザ支援装置105の向きおよび動作を判定する。このフィードバックデータは制御アルゴリズムを使用して解析されて、アクチュエータ組立体115を操作するためのコマンドが生成される。一実施形態では、動作制御システム205は、デジタル信号処理(「DSP」)回路として実装される。別の実施形態では、動作制御システム205は、システムコントローラ215上で実行されるソフトウエア/ファームウエア論理であり、システムメモリ210に記憶される。一実施形態では、システムコントローラ215はマイクロプロセッサとして実装され、システムメモリ210は不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ)である。他の種類のメモリおよびコントローラが使用されてもよい。
【0021】
一実施形態では、通信インターフェース220は、システムメモリ210に記憶されたデータ(例えば、使用ログ)を出力するために、システムコントローラ215に通信可能に結合される。通信インターフェース220は、ユニバーサルシリアルポート(「USB」)、ワイヤレスBluetooth(登録商標)インターフェース、WiFiインターフェース、セルラーインターフェース、その他などの、ワイヤードまたはワイヤレスインターフェースとして実装することができる。
【0022】
上述されたように、水平化IMU230は、ユーザ支援装置105の向きおよび動作をモニターするために配設される。図1A図1Dの例示された実施形態では、水平化IMU145は取付けアーム145に配設される。ユーザ支援装置105が手持ち式用具100に常時固定されている実施形態では、水平化IMU230は、ユーザ支援装置105自体にも堅く装着されていてもよく、または、取付けアーム110がユーザ支援装置105の延長部分と考えられてもよい。水平化IMU230は、加速度計、ジャイロスコープ、または磁気計のうちの1つまたは複数を含む半導体センサとして実装されてもよい。
【0023】
位置センサ235は、ハンドル120に対するアクチュエータ組立体115の出力の相対位置を測定する相対センサである。一実施形態では、位置センサ235は、結合部135および140の位置を測定することにより、アクチュエータ125および130の出力の位置をモニターするホール効果センサである。位置センサ235によって出力される相対位置情報は、ユーザがどのくらいの自動水平化を必要としているかを判定し、それにより所与のユーザの重症度および進行度を診断するために、システムメモリ210内のログに記録されてもよい。
【0024】
一実施形態では、手持ち式用具100は、ハンドル120に堅く装着されてハンドル100の動作/向きを測定する振戦IMU240をさらに含むことができる。振戦IMU240によって取得された振戦フィードバック情報も、ユーザの状態の診断および処置を容易にするために、システムメモリ210内のログファイルに記録されてもよい。一部の実施形態では、振戦IMU240からのフィードバックデータもフィードバック安定化のために使用されてもよいが、ユーザ支援装置100の自動水平化と安定化の両方のためには、水平化IMU230からのフィードバックデータで充分であり得、それが好ましいことさえあり得る。
【0025】
例示される実施形態では、システム回路200の機能的構成要素は、電源225によって電力供給される。一実施形態では、電源225は、手持ち式用具100のハンドル120に配設された再充電可能電池(例えば、リチウムイオン電池)である。コンパクトで使いやすい形状要因をもたらすために、システム回路200の多くの他の機能的構成要素もハンドル120内に配設されてもよい。例えば、様々な実施形態では、動作制御システム205、システムメモリ210、システムコントローラ215、通信インターフェース220、電源225、および振戦IMU240のうちの一部またはすべてが、ハンドル120内に配設される。図1A図1Dに例示されるように、アクチュエータ125および結合部135は、少なくとも部分的にハンドル120内に配設される。
【0026】
図3は、本開示の実施形態による、手持ち式用具100のユーザ支援装置105に自動水平化をもたらすための動作制御システム300の機能的構成要素を例示する機能ブロック図である。動作制御システム300は、動作制御システム150または205の1つの可能な実装形態である。動作制御システム300は、ソフトウエア論理/命令として、ファームウエア論理/命令として、ハードウエア論理として、またはそれらの組み合わせとして実装されてもよい。一実施形態では、動作制御システム300はDSP回路である。
【0027】
動作制御システム300の例示される実施形態は、回転ベクトルモジュール305、ローパスフィルタ(「LPF」)310、相補フィルタモジュール315、推定ベクトルモジュール320、逆運動学モジュール325、および動作コントローラ330を含む。動作制御システム300は、水平化IMU335および位置センサ340からフィードバックデータを受信するように結合される。水平化IMU335の例示される実施形態は、ジャイロスコープ345および加速度計350を含む。
【0028】
オペレーション中に、ジャイロスコープ345はジャイロデータΔを出力し、加速度計350は加速度計データΔを出力する。ジャイロデータΔは、前の誤差ベクトルSn−1を調整して現行の誤差ベクトルSを生成するために回転ベクトルモジュール305によって使用される。次いで現行の誤差ベクトルSは、相補フィルタモジュール315に提供される。相補フィルタモジュール315は、加速度計データΔのローパスフィルタ処理されたバージョンΔ’を用いて現行の誤差ベクトルSを調整して、調整済み誤差ベクトルS’を生成する。調整誤差ベクトルS’は、推定ベクトルモジュール320に折り返して戻され、推定ベクトルモジュール320においてラッチされ、または一時的に記憶され、次のオペレーションサイクルのために前の誤差ベクトルSn−1として回転ベクトルモジュール305に提供される。
【0029】
調整済み誤差ベクトルS’は、参照フレーム(例えば、重力ベクトル)と、ユーザ支援装置105の現行位置を表すベクトルとの差を表す。例えば、ユーザ支援装置105の現行位置を表すベクトルは、水平化IMU145が配設される表面から延びる法線ベクトルであってもよい。当然ながら、ユーザ支援装置105を記述する他のベクトルの向きが使用されてもよい。
【0030】
ジャイロスコープ345は、角速度データを迅速に出力する高速オペレーションセンサであるが、経時的なドリフトの影響を受ける。それとは対照的に、加速度計350は、正確な読取り値を出力する低速センサであり、その読取り値が相補フィルタ315によって使用されて現行の誤差ベクトルSが更新され、いかなるドラフトも打ち消される。低振動数の自動水平化機能にはそれほど有用ではない、振戦動作などの急な反射運動に起因する高振動数の変化を取り除くために、加速度計データΔはローパスフィルタ処理される。
【0031】
次いで調整済み誤差ベクトルS’は、逆運動学モジュール325に提供される。逆運動学モジュール325は、アクチュエータ組立体115の現行位置情報とともに調整済み誤差ベクトルS’を取り、アクチュエータ125および130の位置パラメータを定義する誤差信号(例えば、ピッチ誤差およびロール誤差)を生成して、ユーザ支援装置105の所望の位置を得る。運動学方程式を使用することが、ロボット制御システムの分野で知られている。
【0032】
次いで、誤差信号は動作コントローラ330に入力され、動作コントローラ330は、アクチュエータ組立体115を制御するための実際のコマンド(例えば、ピッチコマンドおよびロールコマンド)をどのように実装するかを決定する。一実施形態では、動作コントローラ330は、比例積分微分(「PID : proportional-integral-derivative」)コントローラとして実装される。動作コントローラ330は、誤差信号(例えば、ピッチ誤差およびロール誤差)を低減させようとし、同時に修正の行き過ぎおよび発振も低減させようとする。
【0033】
例示された実施形態では、動作制御システム300は、加速度計データΔが動作コントローラ330に届くようにするための高振動数経路360も含む。高振動数経路360は、フィルタ処理されていない高振動数の加速度計データΔが動作コントローラ330によって解析されて振戦安定制御が実装されることを可能にする。
【0034】
上記で説明された機能的な論理/ソフトウエアの一部は、コンピュータソフトウエアおよびハードウエアに関して記載されている。記載される技法は、有形のまたは非一時的な機械(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体内に具現化された、機械によって実行されたときに記載されたオペレーションを機械に実行させる機械実行可能命令を構成してもよい。さらに、プロセスは、特定用途向け集積回路(「ASIC : application specific integrated circuit」)その他などのハードウエア内で具現化されてもよい。
【0035】
有形の機械可読記憶媒体は、機械(例えば、コンピュータ、ネットワーク装置、携帯情報端末、製造用具、1つまたは複数のプロセッサのセットを有する任意の装置など)によってアクセス可能な、非一時的形態の情報を提供する(すなわち、記憶する)任意の機構を含む。例えば、機械可読記憶媒体は、記録可能/記録不可能な媒体(例えば、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリ装置など)を含む。
【0036】
要約書に記載されたものを含めて本発明の例示された実施形態の上記の記載は、網羅的であること、または記載された厳密な形態に本発明を限定することを意図していない。本発明の具体的な実施形態、および実例は、例示を目的として本明細書に記載されており、当業者であれば認識するように、本発明の範囲内で様々な修正が可能である。
【0037】
これらの修正は、上記の詳細な説明の観点から、本発明になされ得る。以下の特許請求の範囲で使用される用語は、本明細書で開示された具体的な実施形態に本発明を限定するものと解釈されるべきではない。そうではなく、本発明の範囲は以下の請求項によって全体的に決定されるものであり、以下の請求項は、請求項解釈の確立された原則に従って解釈されるものである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4