(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシアセトアミド、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシアセトアミド、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)−2−ヒドロキシアセトアミド、N−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−2−ヒドロキシアセトアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド、N−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパンアミド及びN−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のヒドロキシシラン。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は式(I)のヒドロキシシランを提供する:
【化1】
(式中、
R
1a及びR
1bは互いに独立して、それぞれ水素原子若しくは炭素数1〜12の一価炭化水素ラジカルであるか、又は結合して炭素数2〜6のアルキレンラジカルとなり、
R
2は、水素原子又は任意にエーテル基、エステル基、ニトリル基、アミノ基又はシラン基を含む炭素数1〜12の一価炭化水素ラジカルであり、
R
3は、任意に芳香族部分を有し、任意に1つ又は複数のヘテロ原子、特に窒素原子を有する、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキレン又はシクロアルキレンラジカルであり、
R
4は炭素数1〜8のアルキルラジカルであり、
R
5は任意にエーテル基を含む炭素数1〜10のアルキルラジカルであり、
nは1又は2であり、
xは0、1又は2である)。
【0013】
本明細書では「アルコキシシラン基」又は略して「シラン基」という用語は、有機ラジカルに結合し、ケイ素原子上に1つ〜3つ、特に2つ又は3つの加水分解性アルコキシラジカルを有するシリル基を指す。
【0014】
したがって、「アルコキシシラン」又は略して「シラン」という用語は、少なくとも1つのシラン基を有する有機化合物を指す。
【0015】
「ヒドロキシシラン」、「イソシアナトシラン」、「アミノシラン」及び「メルカプトシラン」は、有機ラジカル上にシラン基に加えて1つ又は複数のヒドロキシル基、イソシアナト基、アミノ基又はメルカプト基を有するシランを表すのに用いられる。
【0016】
ポリオール又はポリイソシアネート等の「ポリ」で始まる物質名は、形式的に1分子当たりその名称にある官能基を2つ以上含む物質を指す。
【0017】
「ポリウレタンポリマー」という用語はいわゆるジイソシアネート重付加プロセスによって調製された全てのポリマーを包含する。「ポリウレタンポリマー」という用語は、ポリオールと過剰なポリイソシアネートとの反応により得ることができ、それ自体がポリイソシアネートであり、プレポリマーと呼ばれることも多いイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーも包含する。
【0018】
本明細書において、「分子量」は分子のモル質量(1モル当たりのグラム数)を意味するものとして理解される。「平均分子量」は分子のオリゴマー混合物又はポリマー混合物の数平均M
nを指し、平均分子量は通常、標準としてのポリスチレンに対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて求められる。
【0019】
本明細書における式中の破線はそれぞれ、置換基と関連の分子ラジカルとの間の結合である。
【0020】
物質又は組成物が、保存の結果、その塗布又は使用特性をその使用に関連する程度まで変えることなく、室温にて好適なパック内に長時間、通例、数週間〜最大3ヶ月以上保存することができる場合に「保存安定性である」と称される。
【0022】
R
1a及びR
1bが異なる置換基である式(I)のヒドロキシシランは、異性体的に純粋な形態で又は異性体混合物として存在していてもよいキラル化合物である。
【0023】
R
1a及びR
1bはそれぞれ、例えばtert−ブチル等の第三級アルキルラジカルではないのが好ましい。第三級アルキルラジカルはヒドロキシル基の相当な立体障害を引き起こし、ヒドロキシシランの使用には不利益であり得る。
【0024】
R
1aは水素原子又は第三級炭素原子を介して結合していない炭素数1〜6の一価炭化水素ラジカル、特に水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はフェニルであるのが好ましい。このようなヒドロキシシランは反応性が良好なヒドロキシル基を有する。
【0025】
R
1aは水素原子又は第一級炭素原子を介して結合している炭素数1〜6の一価炭化水素ラジカル、特に水素、メチル、エチル、n−プロピル、ブチル又はsec−ブチルであるのが特に好ましい。このようなヒドロキシシランは反応性が非常に良好なヒドロキシル基を有する。
【0026】
R
1aは特に水素原子又はメチルラジカル、最も好ましくはメチルラジカルである。
【0027】
メチルの形態の置換基R
1aは、このようなヒドロキシシランが容易に入手可能であり、保存安定性が良好であり、ヒドロキシル基の反応性が高いことから有益である。
【0028】
水素の形態の置換基R
1aはヒドロキシル基が特に反応性であることから有益であり、ヒドロキシシランが過度に長期間保存されなければ、有益であり得る。
【0029】
R
1bは水素原子又はメチルラジカル、特に水素原子であるのが特に好ましい。
【0030】
R
1a及びR
1bは互いに独立して、それぞれ水素原子又はメチルラジカルであるのが特に好ましい。このようなヒドロキシシランは特に反応性のヒドロキシル基を有し、極めて保存安定性である。
【0031】
R
1aがメチルラジカルであり、R
1bが水素原子であるのが最も好ましい。このようなヒドロキシシランは特に容易に入手可能であり、保存安定性が非常に優れており、ヒドロキシル基の反応性が非常に高い。
【0032】
R
2は水素原子又はアルキルラジカル又はシクロアルキルラジカル又はアルコキシシリルアルキルラジカルであるのが好ましい。このようなヒドロキシシランは特に容易に入手可能である。
【0033】
R
2は水素原子であるのが特に好ましい。このようなヒドロキシシランは特に容易に調製することができる。
【0034】
R
2はアルコキシシリルアルキルラジカル、特にトリメトキシシリルプロピル又はトリエトキシシリルプロピルであるのが更に特に好ましい。このような式(I)のヒドロキシシランは特に良好な接着特性を可能にする。
【0035】
R
3は任意に窒素原子を有する炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキレンラジカルであるのが好ましい。
【0036】
ラジカルR
3は、1,3−プロピレン、4−アザ−1,6−ヘキシレン、2−メチル−1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、3−メチル−1,4−ブチレン及び3,3−ジメチル−1,4−ブチレンからなる群から選択されるのが特に好ましい。これらの中でも、1,3−プロピレン及び3,3−ジメチル−1,4−ブチレン、特に1,3−プロピレンが特に選好される。
【0037】
ラジカルR
3における置換基又はヘテロ原子の位置はケイ素原子から数える。
【0038】
このような式(I)のヒドロキシシランは特に容易に入手可能である。
【0039】
R
4はメチルラジカルであるのが好ましい。
【0040】
R
5は好ましくはメチルラジカル又はエチルラジカル、最も好ましくはエチルラジカルである。
【0041】
メトキシ基を有する式(I)のヒドロキシシランはそのシラン基が特に反応性であるという有利点を有する。
【0042】
エトキシ基を有する式(I)のヒドロキシシランは特に保存安定性であり、加水分解の際に毒性の低いエタノールが放出されるという有利点を有する。
【0043】
nは1であるのが好ましい。このようなヒドロキシシランはエステル基を含まない。該ヒドロキシシランはシラン加水分解の際に放出されるアルコールとエステル交換することなく、その結果保存安定性である。
【0044】
xは0又は1、特に0であるのが好ましい。このようなヒドロキシシランは特に反応性のシラン基を有する。
【0045】
式(I)のヒドロキシシランは、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシアセトアミド、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシアセトアミド、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)−2−ヒドロキシアセトアミド、N−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−2−ヒドロキシアセトアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド、N−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド及びN−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミドからなる群から選択されるのが好ましい。
【0046】
これらのヒドロキシシランは容易に入手可能であり、それらのヒドロキシル基の反応性は非常に良好である。
【0047】
これらの中でも、トリアルコキシシラン、特にトリエトキシシランが選好される。
【0048】
N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド及びN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミドが特に選好される。N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミドが最も好ましい。N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミドは特に保存安定性であり、加水分解の際にエタノールが放出され、毒性の理由から有益であり得る。
【0049】
本発明は、少なくとも1種の式(II)のラクチド又は少なくとも1種の式(III)のヒドロキシエステルと、
少なくとも1種の式(IV)のアミノシランと、
の反応により、式(I)のヒドロキシシランを作製する方法を更に提供する:
【化2】
【0050】
式(II)、式(III)及び式(IV)において、
mは1〜100の整数であり、
R
6は炭素数1〜12の一価炭化水素ラジカルであり、
R
1a、R
1b、R
2、R
3、R
4、R
5及びxは既に指定された意味を有する。
【0051】
式(II)のラクチドの場合、この反応は15℃〜120℃、特に20℃〜90℃の範囲の温度にて、任意に触媒及び/又は特にビニルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン若しくは分子篩等の乾燥剤の存在下において防湿下で行うのが好ましい。ラクチド1モル当たりおよそ2モルのアミノシランを使用するのが好ましい。このようにして、n=1である式(I)の第一級ヒドロキシシランが形成される。しかしながら、ラクチド1モル当たりおよそ1モルのアミノシランを使用することも可能であり、この場合n=2である式(I)の第一級ヒドロキシシランが形成される。1.8〜2.2の範囲のアミノシラン/ラクチド比で反応させるのが選好される。この反応は溶媒なしで又は好適な溶媒中にて行うことができる。反応後に存在する可能性のある揮発性化合物、特に溶媒、未反応の出発材料又は放出されたアルコールを蒸留により反応生成物から除去することができる。
【0052】
式(III)のヒドロキシエステルの場合、この反応は40℃〜150℃の範囲の温度にて、任意に特にビニルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン又は分子篩等の乾燥剤の存在下において防湿下で行われることが好ましい。この反応に際して、触媒、特に金属化合物、特にチタン酸塩、スズ酸塩又はアルミン酸塩を使用することが選好される。式(III)のヒドロキシエステルの1つのエステル基当たりおよそ1モルの式(IV)のアミノシランを使用するのが好ましい。このようにしてmが1である式(III)のヒドロキシエステルがアミノシランとおよそ1:1のモル比にて反応するのが好ましい。したがって、例えばmが10であるポリマーのヒドロキシエステルがアミノシランとおよそ1:10のモル比にて反応するのが好ましい。このようにして、nが1である式(I)の第一級ヒドロキシシランが形成される。(0.8〜1.2)mの範囲のアミノシラン/ヒドロキシエステル比で反応させるのが選好される。この反応は溶媒なしで又は好適な溶媒中にて行うことができる。反応後に、放出されるアルコールを、存在する可能性のある更なる揮発性化合物、特に溶媒又は未反応の出発材料とともに、蒸留により反応生成物から除去するのが好ましい。
【0053】
好適な式(II)のラクチドは、特に1,4−ジオキサン−2,5−ジオン(2−ヒドロキシ酢酸のラクチド、「グリコリド」とも呼ばれる)、3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン(乳酸由来のラクチド、「ラクチド」とも呼ばれる)、及び3,6−ジフェニル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン(マンデル酸由来のラクチド)である。これらのラクチドは特に容易に入手可能である。
【0054】
1,4−ジオキサン−2,5−ジオン及び3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオンが選好される。保存安定性が良好であり、極めて反応性のヒドロキシル基を有するヒドロキシシランをこれらのラクチドから得ることが可能である。
【0055】
3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオンが特に選好される。保存安定性が特に良好であり、極めて反応性のヒドロキシル基を有するヒドロキシシランをこのラクチドから得ることが可能である。特に、L−ラクチド又は(3S,6S)−3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオンとも呼ばれるL−乳酸由来のラクチドが特に容易に入手可能であり、本明細書において再生可能な原材料である。
【0056】
好適な式(III)のヒドロキシエステルは、特に2−ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸(2−ヒドロキシイソ酪酸)、2−ヒドロキシペンタン酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシ−4−メチルペンタン酸、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシル酢酸(ヘキサヒドロマンデル酸)、2−ヒドロキシ−2−フェニル酢酸(マンデル酸)、2−ヒドロキシ−2−シクロペンチル酢酸及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシル酢酸のメチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、n−プロピルエステル、tert−ブチルエステル、n−ブチルエステル及びsec−ブチルエステル、並びにこれらのヒドロキシエステルのオリゴマー形態、すなわちm>1である式(III)の化合物である。
【0057】
2−ヒドロキシ酢酸、乳酸、2−ヒドロキシイソ酪酸のメチルエステル及びエチルエステル、並びにこれらのヒドロキシエステルのオリゴマー形態が選好される。本明細書において、メチルエステルがメトキシ基を有するアミノシランとの反応に好ましく、エチルエステルがエトキシ基を有するアミノシランとの反応に好ましい。
【0058】
乳酸メチルエステル及び乳酸エチルエステル、並びにそれらのオリゴマー形態、特にL−乳酸メチルエステル及びL−乳酸エチルエステルが特に選好される。L−乳酸エステルは再生可能な原材料である。L−乳酸エチルエステルが最も好ましい。
【0059】
好適な式(IV)のアミノシランは、特に第一級アミノ基を有するアミノシラン、特に3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルジエトキシメチルシラン、4−アミノブチルジメトキシメチルシラン、4−アミノ−3−メチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3−メチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3−メチルブチルジエトキシメチルシラン、4−アミノ−3−メチルブチルジメトキシメチルシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジエトキシメチルシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルジエトキシメチルシラン及びアミノメチルジメトキシメチルシランである。
【0060】
これらの中でも、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジエトキシメチルシラン及び4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシランが選好される。
【0061】
3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び3−アミノプロピルトリメトキシシラン、特に3−アミノプロピルトリエトキシシランが特に選好される。
【0062】
また式(IV)のアミノシランとして、第二級アミノ基を有するアミノシラン、特にビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリエトキシシラン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミノコハク酸ジエチルエステル、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミノコハク酸ジエチルエステル、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン及びN−シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシランも好適である。
【0063】
式(I)のヒドロキシシランを作製する方法は少なくとも1種の式(II)のラクチドを用いて行うのが好ましい。この反応は特に穏和な条件において特に単純に行うことができる。室温にて蒸留の後処理なく触媒を用いずにこの反応を行うことさえ可能である。
【0064】
3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、特に(3S,6S)−3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオンと式(IV)のアミノシランとの反応により式(I)のヒドロキシシランを作製する方法が更に特に選好される。保存安定性が非常に良好であり、極めて反応性のヒドロキシル基を有する式(I)のヒドロキシシランが、この方法によって穏和な作製条件において特に単純に入手可能である。
【0065】
式(I)のヒドロキシシランはシラン基の加水分解及び/又は縮合による連続した生成物を含むことができ、これにはヒドロキシル基との分子内又は分子間の自己縮合によるものが含まれる。いくつかの用途については、このような連続した生成物は、例えば接着促進剤溶液又は水性の前処理剤に有益であり得る。
【0066】
本発明は、少なくとも1種の上記の式(I)のヒドロキシシランと、ヒドロキシル基に対して反応性である少なくとも1つの基を含む少なくとも1種の化合物との反応により得られるシラン官能性化合物を更に提供する。
【0067】
この反応は特に防湿下において特定の反応性基に適した条件下にて行う。
【0068】
ヒドロキシル基に対して反応性である基は、イソシアネート基、エポキシ基、アクリレート基、メタクリレート基、無水物基、カルボン酸基、エステル基、カーボネート基及びシクロカーボネート基からなる群から選択されるのが好ましい。
【0069】
これらの中でも、イソシアネート基、無水物基、エステル基、カーボネート基及びシクロカーボネート基が選好される。これらの反応性基は特に単純に式(I)のヒドロキシシランと反応させることができる。
【0070】
イソシアネート基が最も好ましい。式(I)のヒドロキシシランとイソシアネートとの反応によるシラン官能性化合物は、特に乾燥剤及び/又は接着促進剤及び/又は湿気硬化型バインダーとして特に有益に使用することができる。
【0071】
式(I)のヒドロキシシランとイソシアネートとの反応によるシラン官能性化合物は少なくとも1つの式(V)のシラン基を有する。
【化3】
【0072】
式(V)において、R
1a、R
1b、R
2、R
3、R
4、R
5、n及びxは既に指定された意味を有する。
【0073】
式(I)のヒドロキシシランとイソシアネートとの反応は20℃〜160℃の範囲の温度にて行うのが好ましい。触媒、特に第三級アミン、又は金属化合物、特にビスマス(III)、亜鉛(II)、ジルコニウム(IV)若しくはスズ(II)化合物、又は有機スズ(IV)化合物を任意に使用する。シラン官能性化合物の使用目的に応じて、式(I)のヒドロキシシランをイソシアネート基に対して過化学量論比、化学量論比、又は準化学量論比にて使用する。
【0074】
シラン官能性化合物を接着促進剤として使用するには、ヒドロキシシランを準化学量論的な量で使用するのが好ましい。特に0.1〜0.5の範囲のOH/NCO比が本明細書において用いられる。
【0075】
シラン官能性化合物を湿気硬化型バインダーとして使用するには、ヒドロキシシランを化学量論量又は僅かに過化学量論的な量で使用するのが好ましい。特に1〜1.25の範囲のOH/NCO比が本明細書において用いられる。
【0076】
式(I)のヒドロキシシランとの反応に適したイソシアネートは下記のものである:
イソシアナトシラン、特に3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトメチルトリメトキシシラン及びイソシアナトメチルトリエトキシシラン;
脂肪族及び脂環式及び芳香族モノイソシアネート、特にブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート及びフェニルイソシアネート;
脂肪族、アリール脂肪族及び脂環式ジイソシアネート及びトリイソシアネート、特に1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、リシン及びリシンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び−1,4−ジイソシアネート、1−メチル−2,4−及び−2,6−ジイソシアナトシクロヘキサン並びにこれらの異性体の任意の所望の混合物(HTDI又はH
6TDI)、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、ペルヒドロ−2,4’−及び−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI又はH
12MDI)、1,3−及び1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m及びp−キシリレンジイソシアネート(m及びp−XDI)、テトラメチル−1,3−及び−1,4−キシリレンジイソシアネート(m及びp−TMXDI)、ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ナフタレン、二量体及び三量体の脂肪酸イソシアネート、例えば3,6−ビス(9−イソシアナトノニル)−4,5−ジ(1−ヘプテニル)シクロヘキセン(ジメリルジイソシアネート)、好ましくはHDI及びIPDI;
芳香族ジイソシアネート及びトリイソシアネート、特に2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート並びにこれらの異性体の任意の所望の混合物(TDI)、4,4’−、2,4’−及び/又は2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート並びにこれらの異性体の任意の所望の混合物(MDI)、MDI及びMDIホモログの混合物(ポリメリックMDI又はPMDI)、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、1,3,5−トリス(イソシアナトメチル)ベンゼン、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、並びにトリス(4−イソシアナトフェニル)チオホスフェート、好ましくはMDI及びTDI;
上記ジイソシアネート及びトリイソシアネートの、特にHDI、IPDI、MDI及びTDIから誘導されるオリゴマー及び誘導体;特に市販グレード、特にHDI−ビウレット、例えばデスモダル(Desmodur)(登録商標) N 100及びN 3200(Bayer製)、トロネート(Tolonate)(登録商標) HDB及びHDB−LV(Rhodia製)及びデュラネート(Duranate)(登録商標) 24A−100(Asahi Kasei製);HDIイソシアヌレート、例えばデスモダル(Desmodur)(登録商標) N 3300、N 3600及びN 3790 BA(全てBayer製)、トロネート(Tolonate)(登録商標) HDT、HDT−LV及びHDT−LV2(Rhodia製)、デュラネート(Duranate)(登録商標) TPA−100及びTHA−100(Asahi Kasei製)及びコロネート(Coronate)(登録商標) HX(Nippon Polyurethane製);HDIウレトジオン、例えばデスモダル(Desmodur)(登録商標) N 3400、デスモダル(Desmodur)(登録商標) XP 2840(Bayer製);HDIイミノオキサジアジンジオン、例えばデスモダル(Desmodur)(登録商標) XP 2410(Bayer製);HDIアロファネート、例えばデスモダル(Desmodur)(登録商標) VP LS 2102、デスモダル(Desmodur)(登録商標)) XP 2580(Bayer製);IPDIイソシアヌレート、例えば特に溶液にてデスモダル(Desmodur)(登録商標) Z 4470(Bayer製)又は固形にてベスタナット(Vestanat)(登録商標) T1890/100(Evonik製);TDIオリゴマー、例えばデスモダル(Desmodur)(登録商標) IL(Bayer製);並びにTDI/HDIベースの混合イソシアヌレート、例えばデスモダル(Desmodur)(登録商標) HL(Bayer製);更にはMDIとMDI誘導体との混合物である室温で液体の形態のMDI(いわゆる「変性MDI」)、例えば特にデスモダル(Desmodur)(登録商標) CD、デスモダル(Desmodur)(登録商標)) PF、デスモダル(Desmodur)(登録商標) PC(全てBayer製)又はアイソネート(Isonate)(登録商標) M 143(Dow製)等の商標名で知られるMDIカルボジイミド又はMDIウレトンイミン又はMDIウレタン、並びにデスモダル(Desmodur)(登録商標) VL、デスモダル(Desmodur)(登録商標) VL50、Desmodur(商標) VL R10、デスモダル(Desmodur)(登録商標) VL R20、Desmodur(商標) VH 20 N及びデスモダル(Desmodur)(登録商標) VKS 20F(全てBayer製)、アイソネート(Isonate)(登録商標) M 309、ボラネート(Voranate)(登録商標) M 229及びボラネート(Voranate)(登録商標) M 580(全てDow製)又はルプラナート(Lupranat)(登録商標) M 10 R(BASF製)等の商標名で入手可能なMDIとMDIホモログとの混合物(ポリマーMDI又はPMDI);
指定のオリゴマーポリイソシアネートは実際に通常、オリゴマー化度及び/又は化学構造が異なる物質の混合物であり、2.1〜4.0の平均NCO官能価を有するのが好ましい;
更には、好ましくは少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応により入手可能なイソシアネート基を有するポリマーであって、使用される上記ポリオールは好ましくはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリアクリレートポリオール、特に好ましくはポリエーテルポリオール、特にポリオキシプロピレンポリオール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン混合ポリオール、並びにまたポリエステル及びポリカーボネートポリオール、特に室温で固体の結晶性又は非晶質ポリエステルポリオールであり、平均分子量は500g/mol〜30000g/mol、好ましくは1000g/mol〜20000g/mol、特に2000g/mol〜15000g/molの範囲であり、使用されるポリイソシアネートは指定のジイソシアネート、好ましくはMDI、TDI、HDI及びIPDI、特にIPDIであるのが好ましい。
【0077】
式(I)のヒドロキシシランとの反応に好ましいイソシアネートは、イソシアナトシラン、ジイソシアネート、それらのオリゴマー及び誘導体、並びにイソシアネート基を有するポリマーからなる群から選択される。
【0078】
特に好ましいイソシアネートは、HDI、IPDI、MDI及びTDI、及びこれらのイソシアネートのオリゴマー及び誘導体、並びにこれらのイソシアネートから誘導されるイソシアネート基を有するポリマーからなる群から選択される。
【0079】
少なくとも1つの式(V)のシラン基を有する特に好ましいシラン官能性化合物は、湿気硬化型組成物のバインダーとして有益に使用することができるシラン官能性ポリマーである。このシラン官能性ポリマーは特に、式(I)のヒドロキシシランとイソシアネート基を有するポリマーとの反応により得られる。
【0080】
このようなシラン官能性ポリマーは、好ましくは1個〜4個、特に好ましくは1個〜3個、特に2個又は3個の式(V)の末端シラン基を有する。このシラン官能性ポリマーはイソシアネート基を含まないのが好ましい。
【0081】
このようなシラン官能性ポリマーの平均分子量は、好ましくは1000g/mol〜30000g/mol、特に好ましくは2000g/mol〜25000g/mol、特に3000g/mol〜20000g/mol、最も好ましくは4000g/mol〜15000g/molの範囲である。
【0082】
好ましいシラン官能性ポリマーは主に、ポリオキシアルキレン単位、特にポリオキシプロピレン単位を有する。その式(V)のシラン基は主に、IPDIから誘導される脂環式又は芳香族ラジカル、特に脂環式ラジカルに結合している。このようなポリマーは、室温にて塗布することができる弾性コーティング剤及び弾性接着剤及び/又はシーラントの構成要素として特に適している。
【0083】
更に好ましいシラン官能性ポリマーは主に、ポリエステル単位及び/又はポリカーボネート単位、特にポリエステル単位を有し、室温で固体である。その式(V)のシラン基は主に、MDIから誘導される脂環式又は芳香族ラジカル、特に芳香族ラジカルに結合している。このようなポリマーは、熱いうちに塗布することができる接着剤、いわゆるホットメルト接着剤の構成要素として特に適している。
【0084】
少なくとも1つの式(V)のシラン基を有する更に特に好ましいシラン官能性化合物は式(VI)のイソシアナトシランである。
【化4】
【0085】
式(VI)において、
R
7は、任意にカルボジイミド基、ウレトジオン基、アロファネート基、ウレトンイミン基、ビウレット基、イミノオキサジアジンジオン基、イソシアヌレート基又はウレタン基を含む、炭素数4〜50の(p+q)価の炭化水素ラジカルであり、
pは1〜4の整数であり、
qは1又は2であり、
R
1a、R
1b、R
2、R
3、R
4、R
5、n及びxは既述の意味を有する。
【0086】
式(VI)のイソシアナトシランは特に、式(I)のヒドロキシシランと、脂肪族、アリール脂肪族、脂環式若しくは芳香族のジイソシアネート及びトリイソシアネート、又はそれらのオリゴマー若しくは誘導体との反応により得られる。
【0087】
(p+q)は2又は3であるのが好ましい。
【0088】
p及びqはそれぞれ1であり、R
7は1,6−ヘキシレン、2,2,4−及び/又は2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキシレン、1,3−及び/又は1,4−シクロヘキシレン、1,3−及び/又は1,4−キシリレン、1,3−及び/又は1,4−テトラメチルキシリレン、4,4’−及び/又は2,4’−置換ジフェニルメタン、2,4−及び/又は2,6−置換トルエン、2つのイソシアネート基の除去後のIPDI又は2つのイソシアネート基の除去後のHDIのウレトジオンであるのが特に好ましい。これらの中でも、2つのイソシアネート基の除去後のIPDIが選好される。
【0089】
更に特に好ましくは、(p+q)は3であり、R
7はそれぞれ3つのイソシアネート基の除去後の、HDIビウレット、HDIイソシアヌレート、IPDIイソシアヌレート、HDIイミノオキサジアジンジオン、HDIアロファネート又はMDIウレトンイミンである。
【0090】
これらのイソシアナトシランは容易に入手可能な保存安定性の物質である。
【0091】
特に好ましい式(VI)のイソシアナトシランは、1−オキソ−1−((3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミノ)−2−プロピル((5−イソシアナト−1,3,3−トリメチルシクロヘキシル)メチル)カルバメート;1−オキソ−1−((3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミノ)−2−プロピル3,5,5−トリメチル−3−(イソシアナトメチル)シクロヘキシルカルバメート;1−オキソ−1−((3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミノ)−2−プロピル4−メチル−3−イソシアナトフェニルカルバメート;1−オキソ−1−((3−(トリエトキシシリル)プロピル)アミノ)−2−プロピル2−メチル−3−イソシアナトフェニルカルバメート;及びトリメトキシシリル基又はジメトキシメチルシリル基を有する対応する化合物からなる群から選択される。これらの中でも脂環式化合物が特に選好される。脂環式化合物は特に良好な保存安定性を有する。
【0092】
式(VI)のイソシアナトシランは接着促進剤として、特に接着促進剤溶液又は下塗り剤の構成要素として、及び少なくとも1つの式(V)のシラン基を有するシラン官能性ポリマーの作製のための中間体として特に適している。これに適したものは、特にp及びqがそれぞれ1であるイソシアナトシランである。これらのイソシアナトシランを特に標準的な市販のポリオールと反応させることで、シラン官能性ポリマーが得られる。
【0093】
本発明は更に、硬化性組成物の構成要素としての式(I)のヒドロキシシラン又はそれから調製されるシラン官能性化合物の使用を提供する。ヒドロキシシラン又はそれから調製されるシラン官能性化合物は本明細書において、特に乾燥剤及び/又は接着促進剤及び/又は湿気硬化型バインダーとして作用することができる。
【0094】
硬化性組成物は本明細書において、特にイソシアネート基を有するポリウレタン組成物、エポキシド樹脂組成物、又はシラン基を有する組成物である。
【0095】
このような硬化性組成物は特に、前処理剤、特に活性剤又は下塗り剤として、建築業及び生産業におけるポーリングコンパウンド、シーラント、接着剤、ライニング剤、コーティング剤又は塗料、特にジョイントシーラント、寄木張り用接着剤、二次接着剤又はホットメルト接着剤として使用することができる。
【0096】
硬化性組成物は前処理剤又はコーティング剤又はシーラント又は接着剤であるのが好ましい。
【0097】
接着剤は特に弾性接着剤又は(半)構造用接着剤又はホットメルト接着剤である。
【0098】
前処理剤、特に下塗り剤又は活性剤は通例、少なくとも1種の溶媒と、任意に更には構成要素、例えば特に触媒、更にはシラン、チタネート及びジルコネートと、任意にフィラー、湿潤剤、ポリイソシアネート、イソシアネート基及び/又はシラン基を有するポリウレタンポリマー、又はエポキシド樹脂とを含む。
【0099】
シーラント又は弾性若しくは(半)構造用接着剤は通例、少なくとも1種の湿気硬化型バインダー、特にイソシアネート基を有するポリマー又はシラン官能性ポリマーと、任意に更には構成要素、例えば特に触媒、フィラー、可塑剤及び補助剤、特に増粘剤とを含む。
【0100】
ホットメルト接着剤は通例、室温で固体の湿気架橋型ポリマーと、任意に更には構成要素、例えば熱可塑性樹脂及びポリマー、フィラー、並びに補助剤とを含む。
【0101】
硬化性組成物は有益には、基体、例えば特に下記のもののコーティング又は接着及び/又はシーリングに使用することができる:
ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、レンガ、タイル、石膏、及び御影石又は大理石等の天然石;
金属及び合金、例えばアルミニウム、鉄、鋼鉄及び非鉄金属、並びに表面改良(surface-refined)金属及び合金、例えば亜鉛めっき金属又はクロムめっき金属;
皮革、繊維製品、紙、木材、樹脂、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂又はエポキシド樹脂によって結合された木質材料、樹脂/繊維製品の複合材料、及び他のいわゆるポリマー複合材;
プラスチック、例えばポリ塩化ビニル(硬質及び軟質PVC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、エポキシド樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)及びエチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、ここでプラスチックは好ましくはプラズマ、コロナ又はフレームを用いて表面処理されていてもよく、
繊維強化プラスチック、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFK)、ガラス繊維強化プラスチック(GFK)及びシート成形コンパウンド(SMC);
コーティング基体、例えば粉体コーティング金属又は合金;
塗料及びワニス、特に自動車仕上げ用ラッカー。
【0102】
基体は必要に応じて、例えば物理的及び/又は化学的クリーニングを用いて、又は接着促進剤、接着促進剤溶液若しくは下塗り剤の塗布を用いて前処理することができる。
【0103】
式(I)のヒドロキシシラン又はそれから調製されるシラン官能性化合物の上述の使用により物品が得られる。この物品は特に、構造工学若しくは土木工学の建築物又は工業製品又は消費者製品である。
【実施例】
【0104】
実施例は、下記に挙げられ、記載される本発明をより詳細に説明することを目的としている。当然のことながら、本発明はこれらの記載の実施例に限定されない。
【0105】
「標準的な作業環境」は23±1℃の温度及び50±5%の相対大気湿度を表すのに用いられる用語である。「NK」は「標準的な作業環境」を表す。
【0106】
1H NMRスペクトルは400.14MHzにてBrukerのAscend 400型の分光計によってCDCl
3において測定した。ケミカルシフトδはテトラメチルシラン(TMS)に対してppm単位で与えられ、結合定数JはHz単位で与えられる。
【0107】
赤外スペクトル(FT−IR)を、Thermo Scientific製のダイアモンド結晶を用いる水平型のATR測定ユニットを備えたNicolet iS5 FT IR機器によって非希釈フィルムとして測定した。吸収バンドは波数(cm
−1)(測定ウィンドウ:4000cm
−1〜650cm
−1)にて述べられる。「sh」の付加はバンドがショルダーとして現れることを示す。
【0108】
ガスクロマトグラム(GC)を、60℃〜320℃の範囲の温度において、30℃/分の加熱速度及び320℃で15分の滞留時間にて測定した。注入温度は200℃であった。検出は水素炎イオン化(FID)を用いて行い、シグナルを面積パーセント法(area percent method)によって評価した。
【0109】
粘度はサーモスタット制御されたRheotec RC30コーン−ディスク型粘度計(コーン直径50mm、コーン角度1度、コーン点−プレート距離0.05mm、剪断速度10s
−1)によって測定した。
【0110】
1.ヒドロキシシランの調製
実施例1a:N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド
丸底フラスコ内において、36.00g(162.6mmol)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン、12.07g(83.7mmol)のL−ラクチド及び0.15gのビニルトリエトキシシランを、反応の進行がIR分光法を用いても確認されなくなるまで、窒素雰囲気下、80℃にて3時間撹拌した。粗生成物を60℃及びおよそ10mbarにて15分間、後処理した。これにより、理論OH当量が293.4g/Eqの液体生成物が得られ、これを室温にて防湿しながら保管した。
FT−IR:3406sh(O−H)、3322(N−Hアミド)、2974、2928、2885、2736、1741(C=Oエステル)、1651(C=Oアミド)、1535(C=Oアミド)、1482、1444、1411、1390、1365、1279、1192、1165、1100、1073、996、954、886、863、775、678。
1H NMR:δ6.69(s,1H,O=C−NH)、4.21(q,1H,(R)
3CH,J=6.8)、3.82(q,6H,Si−O−CH
2−CH
3,J=7.0)、3.28(m,2H,NH−CH
2−CH
2−CH
2−Si)、1.65(m,2H,NH−CH
2−CH
2−CH
2−Si)、1.42(d,3H,CH
3−CH(R)
2,J=6.8)、1.23(t,9H,Si−O−CH
2−CH
3,J=7.0)、0.65(t,2H,NH−CH
2−CH
2−CH
2−Si,J=8.1)。
GC(調製の3日後):96.2%のN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド、1.7%の3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び2.1%の乳酸エチルエステル。
GC(調製の6週間後):95.8%のN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド、1.3%の3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び2.9%の乳酸エチルエステル。
【0111】
実施例1b:N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド
丸底フラスコ内において、14.01g(118.6mmol)のL−乳酸エチルエステル、10.00gのエタノール及び0.15gのビニルトリエトキシシランを、窒素雰囲気下、60℃にて10分間撹拌した。次いで、25.00g(112.9mmol)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び0.20gのTytan(商標) TAA(チタンアセチルアセトネート;Borica Company Ltd.製)を添加し、混合物を、反応の進行がIR分光法を用いても確認されなくなるまで、還流しながら100℃にて5時間撹拌した。粗生成物を80℃及びおよそ10mbarにて30分間、後処理した。これにより理論OH当量が293.4g/Eqの液体生成物が得られ、これを室温にて防湿下において保存した。
GC(調製の3日後):80.4%のN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド、19.6%の3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び0.1%未満の乳酸エチルエステル。
【0112】
実施例2a:N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド
丸底フラスコ内において、16.21g(90.4mmol)の3−アミノプロピルトリメトキシシラン、6.20g(43.05mmol)のL−ラクチド及び0.10gのビニルトリメトキシシランを、全ての固体が溶けるまで窒素雰囲気下、60℃にて数分間撹拌した。次いで混合物を窒素下、23℃にて48時間、静置した。IR分光法に従って、反応を実施した。理論OH当量が251.4g/Eqの液体生成物を得た。
FT−IR:3410sh(O−H)、3349(N−Hアミド)、2969、2940、2841、1746(C=Oエステル)、1651(C=Oアミド)、1532(C=Oアミド)、1446、1412、1367、1347、1311、1279、1191、1080、1038、963、884、864、808、776sh、677。
【0113】
実施例2b:N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド 丸底フラスコ内において、12.34g(118.6mmol)のL−乳酸メチルエステル、10.00gのメタノール及び0.15gのビニルトリメトキシシランを窒素雰囲気下、60℃にて10分間撹拌した。次いで、20.25g(112.9mmol)の3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び0.20gのTytan(商標) TAAを添加し、混合物を反応の進行がIR分光法を用いても確認されなくなるまで、還流しながら90℃にて6時間撹拌した。粗生成物を60℃及びおよそ30mbarにて30分間、後処理した。これにより理論OH当量が251.4g/Eqの液体生成物が得られた。
【0114】
実施例3:N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシアセトアミド
丸底フラスコ内において、21.29g(96.2mmol)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン、5.47g(47.1mmol)の1,4−ジオキサン−2,5−ジオン及び0.10gのビニルトリエトキシシランを反応の進行がIR分光法を用いても確認されなくなるまで、窒素雰囲気下、100℃にて2時間撹拌した。粗生成物を40℃及びおよそ30mbarにて10分間、後処理した。これにより、理論OH当量が279.4g/Eqの液体生成物が得られた。
FT−IR:3418sh(O−H)、3326(N−Hアミド)、2973、2927、2885、2735、1756(C=Oエステル)、1655(C=Oアミド)、1536(C=Oアミド)、1482、1443、1411、1390、1366、1350、1293、1192、1165、1100、1072、953、880、849、772、680。
【0115】
実施例4:N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシアセトアミド
丸底フラスコ内において、16.21g(90.4mmol)の3−アミノプロピルトリメトキシシラン、5.14g(44.3mmol)の1,4−ジオキサン−2,5−ジオン及び0.10gのビニルトリメトキシシランを反応の進行がIR分光法を用いても確認されなくなるまで、窒素雰囲気下、100℃にて2時間撹拌した。粗生成物を40℃及びおよそ50mbarにて10分間、後処理した。これにより、理論OH当量が237.3g/Eqの液体生成物が得られた。
FT−IR:3414sh(O−H)、3308(N−Hアミド)、2941、2841、1757(C=Oエステル)、1652(C=Oアミド)、1533(C=Oアミド)、1444、1412、1350、1281、1191、1076、892、808、771、679。
【0116】
実施例5:N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド
丸底フラスコ内において、15.67g(118.6mmol)の2−ヒドロキシイソ酪酸エチルエステル及び0.15gのビニルトリエトキシシランを窒素雰囲気下、60℃にて10分間撹拌した。次いで、25.00g(112.9mmol)の3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び0.20gのTytan(商標) TAAを添加し、混合物を反応の進行がIR分光法を用いても確認されなくなるまで、130℃にて6時間撹拌した。粗生成物を80℃及びおよそ10mbarにて30分間、後処理した。これにより、理論OH当量が307.5g/Eqの液体生成物が得られた。
FT−IR:3414sh(O−H)、3349(N−Hアミド)、2973、2926、2881、2735sh、1727(C=Oエステル)、1649(C=Oアミド)、1605sh、1533(C=Oアミド)、1465、1446、1390、1359、1344、1280、1240、1163、1101、1077、993、953、842、777、679。
【0117】
実施例6:N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド
丸底フラスコ内において、14.00g(118.6mmol)の2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル及び0.15gのビニルトリメトキシシランを窒素雰囲気下、60℃にて10分間撹拌した。次いで、20.25g(112.9mmol)の3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び0.20gのTytan(商標) TAAを添加し、混合物を反応の進行がIR分光法を用いても確認されなくなるまで、110℃にて5時間撹拌した。粗生成物を、60℃及びおよそ30mbarにて30分間、後処理した。これにより、理論OH当量が265.4g/Eqの液体生成物が得られた。
FT−IR:3410sh(O−H)、3353(N−Hアミド)、2969、2940、2840、1746(C=Oエステル)、1650(C=Oアミド)、1609sh、1531(C=Oアミド)、1464、1411、1368、1280、1188、1078、1019、969、936、909、854、804、678。
【0118】
実施例7:N−(n−ブチル)−N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド
丸底フラスコ内において、23.55g(100.1mmol)のN−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、7.00g(48.6mmol)のL−ラクチド、0.30gのTytan(商標) TAA及び0.10gのビニルトリメトキシシランを、反応の進行がIR分光法を用いても確認されなくなるまで、窒素雰囲気下、120℃にて30時間撹拌した。粗生成物を60℃及びおよそ10mbarにて30分間、後処理した。これにより、理論OH当量が307.5g/Eqの液体生成物が得られた。
FT−IR:3428(O−H)、2936、2873、2840、1754(C=Oエステル)、1708、1640(C=Oアミド)、1535、1459、1411、1371、1316、1279、1190、1081、982、880、812、777、676。
【0119】
実施例8:N,N−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−2−ヒドロキシプロパンアミド
丸底フラスコ内において、34.17g(100.1mmol)のN,N−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、7.00g(48.6mmol)のL−ラクチド、0.30gのTytan(商標) TAA及び0.10gのビニルトリメトキシシランを反応の進行がIR分光法を用いても確認されなくなるまで、窒素雰囲気下、120℃にて30時間撹拌した。粗生成物は60℃及びおよそ10mbarにて30分間、後処理した。これにより、理論OH当量が413.6g/Eqの液体生成物が得られた。
FT−IR:3436(O−H)、2941、2840、1756(C=Oエステル)、1709、1643(C=Oアミド)、1533、1457、1411、1371、1346、1314、1283、1254、1189、1076、984、880、808、777、677。
【0120】
2.接着促進剤としての使用
実施例9:
1.0重量%の実施例1a由来のヒドロキシシランを無水エタノールに溶解した。この溶液をガラス上の活性剤(接着促進剤溶液)として使用した。このために、寸法10cm×15cmのガラスプレート(Floatglas、Rocholl、ドイツ、シェーンブルン)の空気側の長手方向にスペーサーテープを貼り付けることで、それぞれ2cm×13cmと計測された3つのガラスストリップを得た。それぞれのストリップをアセトンによってクリーニングした後、調製した活性剤で湿らせた衛生ワイプを用いて1回拭いた。NKでの2時間の換気時間後、7.8gのMDIポリマー(その調製は下に記載している)を1ストライプ毎およそ3mmの層厚さにて塗布した。参照として、第2のガラスプレートを同様に処理したが、活性剤の代わりに純エタノールを使用した。2つのガラスプレートをNKにて保存した。
【0121】
NKにて4日後、MDIポリマーは完全に硬化した。エタノールのみで処理した参照プレート上では、ポリマーを最小限の加力にてガラス基体から引き剥がすことができた。このポリマーはガラスへと良好に接着しなかった。活性剤で処理したプレート上では、完全に硬化したポリマーをガラス基体から引き剥がすことができなかった。ガラス基体へと下にストリップ方向と交差するように数回切断し、ポリマーをガラスから切り出し、垂直方向に上へとポリマーストリップを引き剥がそうとしても、ポリマーをガラス基体から剥離することはできなかった。活性剤における実施例1a由来のヒドロキシシランはガラス上でのMDIポリマーの接着を決定的に改善した。
【0122】
使用するMDIポリマーは、防湿下において、845gのポリオールアクレーム(Acclaim)(登録商標) 4200 N(ポリプロピレンオキシドジオール、OH価28.5mg KOH/g、Bayer製)と、115gの4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI;デスモダル(Desmodur)(登録商標) 44 MC L、Bayer製)とを80℃にて既知のプロセスによって反応させ、滴定により求められた遊離イソシアネート基含量が1.96重量%であるポリウレタンポリマーを得ることにより調製した。この生成物を室温まで冷却し、防湿下において保存した。
【0123】
3.シラン官能性化合物の調製のための使用
実施例10:(イソシアナトシランの調製)
丸底フラスコ内において、8.00g(27.3mmol)の実施例1a由来のヒドロキシシラン、6.06g(27.3mmol)のイソホロンジイソシアネート(ベスタナット(Vestanat)(登録商標) IPDI、Evonik製)及び0.03gのビスマストリス(ネオデカノエート)(DIDP中、10重量%)を窒素雰囲気下、80℃にて4時間撹拌した後、防湿下において室温にて4日間保存した。滴定により求められた遊離イソシアネート基含量が8.2重量%である高粘度生成物が得られた。
FT−IR:3436sh、3312(N−Hアミド)、3090、2973、2927、2894、2254(N=C=O)、1704(C=Oウレタン)、1661(C=Oアミド)、1532(C=Oアミド)、1462、1445、1411、1388、1365、1303、1237、1194、1164、1102、1075、955、904、857、773。
【0124】
実施例11:(イソシアナトシランの調製)
丸底フラスコ内において、8.00g(27.3mmol)の実施例1a由来のヒドロキシシラン、4.74g(27.3mmol)の2,4−トリレンジイソシアネート(デスモダル(Desmodur)(登録商標) T 100、Bayer製)を窒素雰囲気下、80℃にて4時間撹拌した後、防湿下において室温にて4日間保存した。これにより、滴定により求められた遊離イソシアネート基含量が6.5重量%である高粘度生成物が得られた。
FT−IR:3427sh、3295(N−Hアミド)、3099、2974、2927、2885、2267(N=C=O)、1732(C=Oウレタン)、1658(C=Oアミド)、1617、1596、1537(C=Oアミド)、1445、1413、1387、1367、1306、1276、1221、1165、1099、1074、995、953、874、767、703、677。
【0125】
実施例12:(シラン官能性ポリマーの調製)
丸底フラスコ内において、遊離イソシアネート基含量が0.63重量%である100.00gのIPDIポリウレタンポリマー(その調製は下に記載している)を4.84gの実施例1a由来のヒドロキシシランとともに、イソシアネート基がIR分光法を用いても検出することができなくなるまで、窒素雰囲気下、90℃にて2時間撹拌した。ポリマーを室温まで冷却し、防湿下において保存した。
【0126】
ポリマーは防湿下において保存安定性であった。このポリマーを2.5重量%のTyzor(商標) IBAY(ビス(エチルアセトアセタト)ジイソブトキシチタン(IV)、Dorf Ketal製)と混ぜ合わせ、2mm〜3mmの層厚さにて一面に注いだ後、2週間以内で標準的な作業環境にて硬化し、乾燥表面を有する弾性材料を得た。
【0127】
使用するIPDIポリウレタンポリマーは、防湿下において、1000gのPolyol アクレーム(Acclaim)(登録商標) 12200(低不飽和度のポリオキシプロピレンジオール、Bayer製、OH価 11.0mg KOH/g)、43.6gのイソホロンジイソシアネート(ベスタナット(Vestanat)(登録商標) IPDI、Evonik製)、126.4gのフタル酸ジイソデシル(DIDP)及び0.1gのビスマストリス(ネオデカノエート)(DIDP中、10重量%)を常に撹拌し続けながら90℃へと加熱することと、滴定により求められた遊離イソシアネート基含量が0.63重量%の安定した値に達するまで混合物をこの温度におくこととにより調製した。この生成物を室温まで冷却し、防湿下において保存した。
【0128】
実施例13:(湿気硬化型組成物の調製)
15.00重量部(GT)の実施例12由来のシラン官能性ポリマーを、20.00GTのフタル酸ジイソデシル、2.00GTのチキソトロープペースト(その調製は下に記載している)、1.00GTのビニルトリエトキシシラン、10.00GTの軽質炭酸カルシウム(ソーカル(Socal)(登録商標) U1 S2、Solvay製)、50.00GTの重質炭酸カルシウム(オミヤカーブ(Omyacarb)(登録商標) 5 GU、Omya製)及び1.25GTのビス(エチルアセトアセタト)ジイソブトキシチタン(IV)(Tyzor(商標) IBAY、Dorf Ketal製)とともに真空ミキサー内で防湿下において50℃にて30分間処理し、均質なペーストを得て、保存した。
【0129】
チキソトロープペーストを、300gのフタル酸ジイソデシル及び48gの4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(デスモダル(Desmodur)(登録商標) 44 MC L、Bayer製)を初めに真空ミキサーに投入し、穏やかに加熱した後、激しく撹拌しながら27gのモノブチルアミンをゆっくりと滴加することにより調製した。得られるペーストを1時間真空下にて冷却しながら更に撹拌した。
【0130】
皮膜形成時間を求めるために、数グラムの組成物をおよそ2mmの層厚さにて板紙に塗布して、標準的な作業環境にてLDPE製のピペットを用いて組成物の表面を軽く叩いたときに残渣が初めてピペットに残らなくなるまでの時間を求めた。
【0131】
機械的特性を求めるために、組成物をPTFE被覆ホイル上に注ぎ、厚さ2mmのフィルムを得て、このフィルムを標準的な作業環境にて2週間保存し、バーの長さ30mm及びバーの幅4mmの長さ75mmの数個のダンベルをフィルムから打ち抜き、これらのダンベルを引張強度(破断力)、破断伸び及び弾性率に関して200mm/分の引張速度にてDIN EN 53504に従って試験した。
【0132】
ショアA硬度を標準的な作業環境にて2週間硬化した試験片においてDIN 53505に従って求めた。
【0133】
下記の結果を得た:
皮膜形成時間:55分、
引張強度:1.50MPa、
破断伸び:150%、
弾性率(0.5%〜50%の伸び):1.19MPa、
ショアA:38。
【0134】
耐熱性の評価基準として、標準的な気候条件下で2週間後、数個のダンベル又はショアA試験片を100℃にて更に4週間、強制空気式オーブンにおいて保存した後、引張強度、破断伸び及び弾性率、又はショアA硬度に関して同じように試験した。
【0135】
この高温保存の後、下記の結果を得た:
引張強度:0.94MPa、
破断伸び:125%、
弾性率(0.5%〜50%の伸び):0.77MPa、
ショアA:28。
【0136】
実施例13由来の湿気硬化型組成物を特に弾性接着剤及び/又はシーラントとして使用することができる。