(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0001】
この出願は、2013年9月6日に出願されたインド仮出願4010/CHE/2013の利益を主張する;参照によって、それは本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、免疫的な調節剤として治療上有用な環式ペプチドミメティック化合物に関する。本発明はさらに、前記環式ペプチドミメティック化合物を治療薬として含む医薬組成物に関する。
【0003】
プログラム細胞死−1(PD−1)は、2つのリガンド、PD−L1あるいはPD−L2と相互作用を起こして抑制シグナルを伝える、CD28スーパーファミリーのメンバーである。PD−1とそのリガンドは、他のCD28メンバーと比較して、T細胞の活性化および免疫寛容において、広く発現し、より広範囲の免疫調節的役割を果たしている。PD−1とそのリガンドは、感染免疫および腫瘍免疫の減弱と、慢性感染症および腫瘍成長の促進とに関係している。PD−1およびそのリガンドの生物学的意義は、様々な人間の疾病に対するPD−1経路の処置の治療上の可能性を示唆する(Ariel Pedoeemほか、Curr Top Microbiol Immunol.(2011);350:17−37)。
【0004】
T細胞の活性化および機能不全は、直接および調節されたレセプターに依存する。それらの機能的結果に基づいて、共シグナル分子は、共刺激分子と共抑制分子とに分けることができ、それらはT細胞反応の初回刺激、増殖、分化および機能的成熟を、積極的および抑制的に制御する。(Li Shiほか、Journal of Hematology & Oncology 2013,6:74)。
【0005】
プログラム細胞死タンパク質−1(PD−1)の免疫チェックポイント経路をブロックする治療用抗体は、T細胞の下方調節を防ぐとともに、癌に対する免疫反応を促進する。いくつかのPD−1経路抑制剤は、進行中の治験の様々な様相において、強い活性を示した(RD Harvey,Clinical Pharmacology & Therapeutics(2014);96 2,214−223)。
【0006】
プログラム細胞死−1(PD−1)は、T細胞によって主に発現される共受容体コレセプターである。PD−1とそのリガンドであるPD−L1あるいはPD−L2との結合は、免疫系の生理学的調節において重要である。PD−1シグナル経路の主たる機能的役割は、自己反応性T細胞の抑制であり、それは、自己免疫疾患に対して防御する役目を果たしている。したがってPD−1経路の除去は、究極的に病原性自己免疫の進行につながり得る免疫寛容の破壊をもたらす可能性がある。反対に、腫瘍細胞は、免疫監視メカニズムから逃れるために、しばしばPD−1経路を取り込む。したがって、PD−1経路の遮断は、癌治療における魅力的な目標になった。
現在のアプローチは、PD−1およびPD−L1のいずれかを目標とした中和抗体または融合タンパク質である6つの薬剤を含む。40を超える治験が、多様な腫瘍タイプにおけるPD−1遮断の役割をより明確にするために進行中である(Hyun−Tak Jinほか、Clinical Immunology(オランダ、アムステルダム)(2014)、153(1)、145−152)。
【0007】
国際出願WO01/14557、WO02/079499、WO2002/086083、WO03/042402、WO2004/004771、WO2004/056875、WO2006/121168、WO2008/156712、WO2010/077634、WO2011/066389、WO2014/055897、WO2014/059173、WO2014/100079、および、米国特許US08735553は、PD−1あるいはPD−L1遮断抗体または融合タンパク質について報告している。
【0008】
さらに国際出願WO2011/161699、WO2012/168944、WO2013/144704およびWO2013/132317は、プログラム細胞死1(PDー1)シグナル経路を抑制及び/又は阻害することができるペプチドあるいはペプチドミメティック化合物について報告している。
【0009】
さらに、より高効能、より良質、及び/又はより選択的な、PD−1経路の免疫的調節剤に対する必要性が存在している。本発明は、プログラム細胞死1(PD1)シグナル経路を抑制及び/又は阻害することができる環式ペプチドミメティック化合物を提供する。
【0010】
本発明によれば、プログラム細胞死1(PD1)シグナル経路を抑制及び/又は阻害することが可能である、環式ペプチドミメティック化合物、またはその立体異性体、またはその薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0011】
1つの様相では、本発明は、下記化学式(I)の環式ペプチドミメティック化合物、または、その薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体を提供する;
【0012】
【化1】
【0013】
式中、
R1は、Ala,Ser,ThrまたはLeuの側鎖であり;
R2は、Asp,Glu,GlnまたはAsnの側鎖であり;
[Aaa]は、Ser,Asp,Ala,Ile,Phe,Trp,Lys,GluまたはThrから選択されるアミノ酸残基であり;
R3は、水素またはアルキルであり;
R4およびR4’は、それぞれ独立して水素またはアルキルを表わし;
RaおよびRa’の両方は、水素を表わすか;または、ともにオキソ基(=O)を表わし;
RbおよびRb’の両方は、水素を表わすか;または、ともにオキソ基(=O)を表わし;
Lは、下記化合物であり、
【0014】
【化2】
Xは、CH2、OまたはSから成る群から選ばれ;
R
5は、水素またはアルキルであり;
mは、1乃至3から選択された整数であり;
nは、2乃至20から選択された整数であることを特徴とする。
【0015】
本発明の別の様相において、本発明は、化学式(I)の化合物、または薬学的に許容可能な塩、または立体異性体を含む医薬組成物、およびそれらを調製するための方法に関する。
【0016】
本発明のさらに別の様相において、本発明は、化学式(I)の環式ペプチドミメティック化合物、およびその塩、およびその立体異性体の使用を提供する。それらは、プログラム細胞死1(PD1)シグナル経路を抑制及び/又は阻害することが可能である。
【0017】
本発明は、PD−1、PD−L1またはPD−L2、および、それらによって引き起こされる免疫抑制性シグナルの阻害を含む免疫強化による病気の治療に有用な治療薬としての環式ペプチドミメティック化合物、および、それらを使用する治療を提供する。
【0018】
各実施形態はそれぞれ、本発明の限定としてではなく、本発明の説明として提供される。実際、本発明の範囲または精神から外れずに、本発明において、様々な修飾および変更をなすことができることは、当業者に明白である。例えば、一実施形態の一部として図示または記載された特徴は、他の実施形態に使用して、さらに別の実施形態を生成することができる。したがって、本発明は、追加されたクレームおよびそれらの等価物の範囲内に来るように、そのような修飾および変化を含むことが意図される。本発明の他の目的、特徴および様相は、下記の詳細な説明に記載され、または、そこから明白である。ここでの議論は、典型的な実施形態のみの記述であり、本発明のより広い様相を制限するものとして解釈されるものでないことは、当業者によって理解されるであろう。
【0019】
1つの実施形態において、本発明は、下記化学式(I)の化合物、またはその立体異性体、またはその薬学的に許容可能な塩に関する;
【0020】
【化3】
【0021】
式中、
R1は、Ala,Ser,ThrまたはLeuの側鎖であり;
R2は、Asp,Glu,GlnまたはAsnの側鎖であり;
[Aaa]は、Ser,Asp,Ala,Ile,Phe,Trp,Lys,GluまたはThrから成る群からから選ばれたアミノ酸残基であり;
R3は、水素またはアルキルであり;
R4およびR4’は、それぞれ独立して水素またはアルキルを表わし;
RaおよびRa’の両方は、水素を表わすか;または、ともにオキソ基(=O)を表わし;
RbおよびRb’の両方は、水素を表わすか;または、ともにオキソ基(=O)を表わし
Lは、下記化合物であり、
【0022】
【化4】
Xは、CH
2、OまたはSから選択され;
R
5は、水素またはアルキルであり;
mは、1乃至3から選択された整数であり;
nは、2乃至20から選択された整数であることを特徴とする。
【0023】
化学式(I)の化合物の特定の実施形態において、本発明は、化学式(IA)の特定の一連の化合物を含む:
【0024】
【化5】
【0025】
式中、
R1は、Ala,Ser,ThrまたはLeuの側鎖であり;
R2は、Asp,Glu,GlnまたはAsnの側鎖であり;
[Aaa]は、Ser,Asp,Ala,Ile,Phe,Trp,Lys,GluまたはThrから成る群から選ばれたアミノ酸残基であり;
R3は、水素またはアルキルであり;
各R4およびR4’は、それぞれ独立して水素またはアルキルを表わし;
RaおよびRa’の両方は、水素を表わすか;または、ともにオキソ基(=O)を表わし;
RbおよびRb’の両方は、水素を表わすか;または、ともにオキソ基(=O)を表わすことを特徴とする。
【0026】
化学式(I)の化合物の特定の実施形態において、本発明は、化学式(IB)の特定の一連の化合物を含む:
【0027】
【化6】
【0028】
式中、
R1は、Ala,Ser,ThrまたはLeuの側鎖であり;
R2は、Asp,Glu,GlnまたはAsnの側鎖であり;
[Aaa]は、Ser,Asp,Ala,Ile,Phe,Trp,Lys,GluまたはThrから選択されたアミノ酸残基であることを特徴とする。
【0029】
化学式(I)の化合物のさらに別の実施形態において、本発明は、化学式(IC)の特定の一連の化合物を含む:
【0030】
【化7】
【0031】
式中、
R1は、Ala,Ser,ThrまたはLeuの側鎖であり;
R2は、Asp,Glu,GlnまたはAsnの側鎖であり;
[Aaa]は、Ser,Asp,Ala,Ile,Phe,Trp,Lys,GluまたはThrから選択されたアミノ酸残基であることを特徴とする。
【0032】
さらに他の実施形態において、本発明は、化学式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体を提供し、
式中、
R1は、SerまたはThrの側鎖であり;
R2は、Asp,AsnまたはGluの側鎖であり;
[Aaa]は、SerまたはThrから選ばれたアミノ酸残基であり;
R3、R4およびR4’は、それぞれ独立して水素であり;
RaおよびRa’の両方は、ともにオキソ基(=O)を表わし;
RbおよびRb’の両方は、ともにオキソ基(=O)を表わし;
Lは、下記化合物であり、
【0033】
【化8】
Xは、CH
2またはOであり;
mは、1から3までのうちから選択された整数であり;
nは、2から20までのうちから選択された整数であることを特徴とする。
【0034】
下記の実施形態は本発明の例証であり、請求範囲を、例示された特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0035】
一実施形態において、化学式(I)の化合物が特定的に提供され、式中Lが下記化合物であり、
【0036】
【化9】
式中、X、nおよびR
5が、化学式(I)と同様に規定される。
【0037】
他の実施形態において、化学式(I)の化合物が特定的に提供され、式中Lが下記化合物であり、
【0038】
【化10】
式中、m、nおよびR
5が、化学式(I)と同様に規定される。
【0039】
さらに他の一実施形態において、化学式(I)の化合物が特定的に提供され、式中のLが下記化合物であり、
【0040】
【化11】
式中、m、nおよびXが、化学式(I)と同様に規定される。
【0041】
さらに他の実施形態において、化学式(I)の化合物が特定的に提供され、式中Lが下記化合物であり
【0042】
【化12】
式中、m、XおよびR
5が、化学式(I)と同様に規定される。
【0043】
さらに他の実施形態において、化学式(I)の化合物が特定的に提供され、式中Lが、−C(O)−CH
2−(OCH
2CH
2)
2−NH−である。
【0044】
他の実施形態において、化学式(I)、(IA)、(IB)および(IC)の化合物が特定的に提供され、式中のR
1がSerの側鎖である。
【0045】
さらに他の実施形態において、化学式(I)、(IA)、(IB)および(IC)の化合物が特定的に提供され、式中のR
1がThrの側鎖である。
【0046】
さらに他の実施形態において、化学式(I)、(IA)および(IB)の化合物が特定的に提供され、式中のR
2がAspの側鎖である。
【0047】
さらに他の実施形態において、化学式(I)、(IA)、(IB)および(IC)の化合物が特定的に提供され、式中のR
2がAsnの側鎖である。
【0048】
さらに他の実施形態において、化学式(I)、(IA)、(IB)および(IC)の化合物が特定的に提供され、式中のR
2がGluの側鎖である。
【0049】
さらに他の実施形態において、化学式(I)、(IA)、(IB)および(IC)の化合物が特定的に提供され、式中の[Aaa]がSerである。
【0050】
さらに他の実施形態において、化学式(I)、(IA)、(IB)および(IC)の化合物が特定的に提供され、式中の[Aaa]がThrである。
【0051】
さらに他の実施形態において、化学式(I)、(IA)および(IB)の化合物が特定的に提供され、式中の[Aaa]がAspである。
【0052】
さらに他の実施形態において、化学式(I)、(IA)および(IB)の化合物が特定的に提供され、式中の[Aaa]がLysまたはIleである。
【0053】
さらに他の実施形態において、化学式(I)、(IA)および(IB)の化合物が特定的に提供され、式中の1以上または全てのアミノ酸がD−アミノ酸である。
【0054】
さらに他の実施形態において、化学式(I)および(IA)の化合物が特定的に提供され、式中のR4’が、メチルのようなC
1−5アルキルである。
【0055】
さらに他の実施形態において、化学式(I)および(IA)の化合物が特定的に提供され、式中のR4が、メチルのようなC
1−5アルキルである。
【0056】
さらに他の実施形態において、化学式(I)および(IA)の化合物が特定的に提供され、式中のRaおよびRa’の両方が水素である。
【0057】
さらに他の実施形態において、化学式(I)および(IA)の化合物が特定的に提供され、式中のRbおよびRb’の両方が水素である。
【0058】
さらに他の実施形態において、化学式(I)および(IA)の化合物が特定的に提供され、式中のRaおよびRa’の両方がともにオキソ基(=O)を表す。
【0059】
さらに他の実施形態において、化学式(I)および(IA)の化合物が特定的に提供され、式中のRbおよびRb’の両方がともにオキソ基(=O)を表す。
【0060】
さらに他の実施形態において、化学式(I)および(IA)の化合物が特定的に提供され、式中のR4およびR4’の両方が水素である。
【0061】
さらに他の実施形態において、化学式(I)および(IA)の化合物が特定的に提供され、式中のR
3が水素である。
【0062】
実施形態において、限定されることなく、表1に列挙される化学式(I)の特定の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体が提供される。:
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
本発明に示されるような化合物は、薬学的投与のために処方される。
【0066】
1つの実施形態において、本発明は、請求項1−8のうちのいずれか1つに従う少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその立体異性体、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む医薬組成物提供する。
【0067】
1つの実施形態において、前記医薬組成物は、さらに制癌剤、化学療法作用薬または抗増殖性化合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0068】
1つの実施形態において、本発明は、薬剤として使用するための本発明に示されるような化合物を提供する。
【0069】
1つの実施形態において、本発明は、癌治療用の薬剤として使用するための本発明に示されるような化合物を提供する。
【0070】
1つの実施形態において、本発明は、細菌感染症、ウイルス感染症または真菌類感染症の治療用薬剤として使用するための本発明に示されるような化合物を提供する。
【0071】
1つの実施形態において、本発明は、乳癌、結腸癌、肺癌、黒色腫、前立腺癌および腎臓癌、骨癌、頭または頚部の癌、膵臓癌、皮膚癌、皮膚か眼内の悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、睾丸癌、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頚部の癌腫、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟繊維の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、急性骨髄白血病、慢性骨髄白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病を含む、慢性または急性白血病、幼年期の固体の腫物、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、CNSの原発リンパ腫、腫瘍血管新生、脊柱の軸椎腫瘍、脳幹部グリオーマ、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞性リンパ腫、石綿によって誘発されたものを含む環境誘発性癌、および前記癌の組み合わせの治療用医薬の調製に使用するための本発明に示されるような化合物を提供する、
【0072】
1つの実施形態において、本発明は、癌の治療に使用するための本発明に示されるような化合物を提供する。
【0073】
1つの実施形態において、本発明は、細菌感染症、ウイルス感染症または真菌類感染症の治療に使用するための本発明に示されるような化合物を提供する。
【0074】
1つの実施形態において、本発明は癌の治療法を提供するものであり、この方法は、有効量の本発明の化合物を必要とする患者へ投与することを含む。
【0075】
1つの実施形態において、本発明は、有効量の本発明の化合物を必要とする患者へ投与することにより、腫瘍細胞の増殖及び/又は転移を阻害する方法を提供する。
【0076】
前記腫瘍細胞は、限定的ではなく、たとえば黒色腫、腎臓癌、前立腺癌、乳癌、結腸癌および肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭または頚部の癌、皮膚または眼内の悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、睾丸癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頚部の癌腫、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟繊維の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、急性骨髄白血病、慢性骨髄白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病を含む慢性または急性白血病、幼年期の固体の腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、CNSの原発リンパ腫、腫瘍血管新生、脊柱の軸椎腫瘍、脳幹部グリオーマ、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞性リンパ腫、石綿によって誘発されたものを含む環境誘発性癌、および前記癌の組合せのような癌を含む。
【0077】
本発明のさらに他の実施形態は、PD−1、PD−L1またはPD−L2によって誘発される免疫抑制性シグナルの阻害により引き起こされる免疫強化による感染の治療方法を提供するものであって、その方法は、有効量の本発明の化合物を必要とする患者へ投与することを含む。
【0078】
感染症は、限定的ではなく、たとえばHIV、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア症、マラリア、リーシュマニア症、肝炎ウイルス(A、BおよびC)、ヘルペスウィルス(例えばVZV、HSV−I、HAV−6、HSV−IIおよびCMV、エプスタイン−バーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウィルス、コロナウイルス、RSウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウィルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デング熱ウイルス、乳頭腫ウイルス、軟疣ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルスおよびアルボウィルス脳炎ウイルスによる病原性の感染、バクテリア・クラミジア、リケッチア属のバクテリア、マイコバクテリア、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺球菌(pneumonococci)、髄膜炎菌およびコノコッキ(conococci)、クレブシェラ、プロテウス、セラチア、シュードモナス、大腸菌、レジオネラ、ジフテリア、サルモネラ菌、バチルス、コレラ菌、破傷風、ボツリヌス菌、炭疽菌、ペスト菌、レプトスピラ、およびライム病原菌による病原性の感染、真菌カンディダ(アルビカンス、クルーセイ、グラブラータ、トロピカリスなど)、クリプトコックス・ネオフォルマンス、アスペルギルス属(フミガタス(fumigatus)、ニガー(niger)など)、ケカビ属(ムコール(mucor)、アブシディア(absidia)、リゾフス(rhizophus))、スポロトリクスシェンキー、ブラストミセス・デルマティティディス、バラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、コクシジオイデス・イミチスおよびヒストプラスマ・カプスラーツムによる病原性の感染、および寄生虫赤痢アメーバ、大腸バランチジウム、髄膜脳炎原因アメーバ、アカントアメーバsp、ジアルジア・ランビア、クリプトスポリジウムsp、ニューモシスティス・カリニ、三日熱マラリア原虫、ネズミバベシア、ブルセイトリパノソーマ、クルーズ・トリパノソーマ、ドノヴァンリーシュマニア、トキソプラズマ原虫、ブラジル鉤虫による病原性の感染を含む。
【0079】
本発明の化合物は、単一の薬として、または、前記化合物を様々な薬理学的に許容可能な材料と混合した医薬組成物として、使用してもよい。
【0080】
医薬組成物は通常、経口または吸入によって投与されるが、非経口的投与によって投与してもよい。
【0081】
本発明の実施において、組成物は例えば、経口により、静脈注射により、局所的に、腹腔内で、膀胱内にまたは髄腔内に投与することができる。非経口的投与の例は、限定されることなく、関節内(関節中)、静脈内、筋肉内、皮膚内、腹腔内、および、皮下経路を含み、酸化防止剤、バッファー、静菌剤、および、処方した溶液を予定された受容者の血液と等張にする溶質を含む、水性または非水性の等張無菌注入溶液と、懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤および保存剤を含み得る、水性および非水性の無菌懸濁液とを含む。経口投与、非経口的投与、皮下投与および静脈内投与は、好ましい投与方法である。
【0082】
本発明の化合物の投与量は、年齢、体重、症状、治療上の効能、薬の摂取計画、及び/又は、治療時間に依存して変わる。一般に、それらを経口または吸入によって、1回当たり1mgから100mgの量を、数日に1度、3日に1度、2日に1度、1日に1度から、1日に数回まで、投与してもよく、成人の場合には、1日につき1−24時間の範囲で、経口または吸入経路によって、連続的に投与してもよい。投与量は様々な条件によって影響されるので、上記の投与量より少ない量で十分に機能することが時々あり、またあるケースでは、より多量が必要とされることがある。
【0083】
本発明の化合物は、以下の目的のため、他の薬と組み合わせて投与されてもよい。(1)本発明の予防薬及び/又は治療薬の予防効果及び/又は治療効果の補強及び/又は増強、(2)本発明の予防薬及び/又は治療薬の活動力、吸収性向上、投与量低減、及び/又は、(3)本発明の予防薬及び/又は治療薬の副作用の低減。
【0084】
本発明の化合物および他の薬を含む併用薬は、両方の成分が単一の処方に含まれる組合せ製剤として投与されてもよく、または別々の処方として投与されてもよい。別々の処方による投与は、同時投与、および、一定間隔を置いた投与を含む。一定間隔で投与する場合、本発明の化合物を最初に投与し、別の薬を後にすることができ、または、最初に別の薬を投与し、本発明の化合物を後にすることができる。各薬の投与方法は、同じでもよく、異なってもよい。
【0085】
別の薬の投与量は、臨床的に使用される投与量に基づいて、適切に選択することができる。
本発明の化合物と別の薬との配合比は、投与される患者の年齢および体重、投与方法、投与時間、治療される疾患、症状、および、これらの組み合わせに従って、適切に選択することができる。例えば、本発明の化合物の1質量部あたり、別の薬は0.01〜100質量部の量で使用されてもよい。別の薬は、適切な比率の2種類以上の任意の薬の組合せでもよい。本発明の化合物の予防効果及び/又は治療効果を補強及び/又は増強する別の薬は、既に発見されたものだけでなく、上記のメカニズムに基づいて、今後発見されるものを含む。
【0086】
この併用が予防効果及び/又は治療効果を及ぼす疾病は、特に限定されない。本発明の化合物の予防効果及び/又は治療効能を補強及び/又は増強する限りにおいて、併用薬はどのような疾病にも使用することができる。
【0087】
本発明の化合物は、既存の化学療法剤と共に、併用的にまたは混合形態で使用することができる。化学療法剤の例は、アルキル化剤、ニトロソ尿素剤、代謝拮抗物質、抗癌抗生物質、植物起源アルカロイド、トポイソメラーゼ抑制剤、ホルモン剤、ホルモン拮抗剤、アロマターゼ阻害薬、P−糖タンパク質抑制剤、白金錯体誘導体、他の免疫療法薬、および他の抗癌薬を含む。さらに、白血球減少症(好中球減少症)治療薬、血小板減少症治療薬、鎮吐剤および癌性疼痛介入薬のような癌治療補助薬をともに、併用的にまたは混合形態で使用することができる。
【0088】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、他の免疫調節薬及び/又は増強剤と共に、併用的にまたは混合形態で使用することができる。
免疫調節薬の例は、様々なサイトカイン、ワクチンおよびアジュバントを含む。免疫反応を刺激するこれらサイトカイン、ワクチンおよびアジュバントの例は、限定的ではなく、GM−CSF、M−CSF、G−CSF、インターフェロン―α、βまたはγ、IL−1、IL−2、IL−3、IL−12、ポリ(I:C)およびC
pGを含む。
【0089】
他の実施形態において、増強剤は、シクロホスファミドおよびシクロホスファミドの類似物、抗TGFβ剤およびイマチニブ(グリーベック:登録商標)、パクリタキセル、スニチニブ(スーテント:登録商標)または他の抗血管新生剤のような有糸分裂抑制剤、レトロゾールのようなアロマターゼ阻害薬、A2aアデノシン受容体(A2AR)拮抗剤、血管新生阻害剤、アントラサイクリン、オキサリプラチン、アドリアマイシン、TLR4拮抗剤およびIL−18拮抗剤を含む。
【0090】
他の限定がなされない限り、本明細書で使用される技術的および科学的用語はすべて、本発明の主題が属する分野における当業者により共通して理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用されるように、以下の定義は、本発明の理解を容易にするために提供される。
【0091】
本明細書で使用されるように、用語「アルキル」は、不飽和結合を含まず、1−20の炭素原子(すなわちC
1−20アルキル)または1−10の炭素原子(すなわちC
1−10アルキル)または1−5の炭素原子(すなわちC
1−5アルキル)を有するとともに、残余の分子が単結合によって連結されている主鎖において、炭素原子および水素原子のみを含んでいる炭化水素鎖基を指し、例えば、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチルまたはネオペンチルを含む。反対のことが提示されるか、または論述されない限り、本明細書に記述されまたは請求されたすべてのアルキル基は、直鎖でも分枝上でもよく、置換されても置換されなくてもよい。
【0092】
本明細書で使用されるように、用語「アミノ酸」は、アルファ炭素においてLまたはDの立体化学を有するアミノ酸を指す。
【0093】
本明細書で使用されるように、用語「化合物」は、本発明で開示される化合物を指す。
【0094】
本明細書で使用されるように、用語「含む(comprise)」または「含んでいる(comprising)」は一般に、包含する(include)、すなわち、1つ以上の特徴または構成要素の存在を許容するという意味で使用される。
【0095】
本明細書で使用されるように、用語「含んでいる(including)」は、別の形式、たとえば「含んでいる(include)」「含んでいる(includes)」および「含んでいた(included)」と同様に、限定的ではない。
【0096】
「薬学的に許容可能な塩」とは、化学式(I)の化合物をその1つの塩の形態で含み、特に、有効成分の遊離形態または従前に使用された有効成分の他の塩形態と比較して、この塩形態が、向上した薬物動態学的特性を有効成分に与える場合に、その有効成分を意味するものとして捉えられる。有効成分の薬学的に許容可能な塩形態は、この有効成分に初めて、それが以前には有していなかった所望の薬物動態学的特性を与えることが可能であるとともに、身体におけるその治療上の効果に関し、この有効成分の薬力学に対し肯定的な影響を与えることさえ可能になる。
【0097】
「薬学的に許容可能」とは、一般に安全で、無毒で、生物学にも他の面でも有害ではない薬学的組成物の調製において有用であるものを意味するとともに、人間の薬学的使用と同様に、獣医学的にも許容可能なものを含む。
【0098】
用語「立体異性体」は、化学式(I)の化合物が、キラルである場合は常に、または、それらが1つ以上の二重結合を持つ場合は、それらの任意の鏡像体、ジアステレオマーまたは幾何異性体を指す。化学式(I)および関連する化学式の化合物がキラルの場合、それらはラセミ体、または光学的に活性な形態で存在する。本発明による化合物のラセミ体または立体異性体の薬学的活性は異なるかもしれないので、鏡像体を使用することが望ましい可能性がある。このような場合において、最終生産物またはその中間生成物でさえも、当業者に知られている化学的または物理的手段によって鏡像異性体化合物に分離するか、または、合成においてそのように使用することさえもできる。ラセミ体のアミンの場合、ジアステレオマーが、光学的に活性な分割剤を用いた反応によって、混合物から形成される。適切な分割剤の例は、光学活性な酸であり、たとえば、RおよびS形態の酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、適切なN保護アミノ酸(例えばN−ベンゾイルプロリンまたはN−ベンゼンスルホニルプロリン)、または様々な光学活性なカンファースルホン酸である。同様に有利な点が、光学活性な分割剤の補助を用いた、クロマトグラフィによる鏡像体の分離である(例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロース、または炭水化物の他の誘導体、または、シリカゲル上で固定されたキラル誘導されたメタクリル酸塩ポリマー)。
【0099】
用語「被験体」は、哺乳動物(特に人間)および他の動物を含み、たとえば家庭動物(例えば猫と犬を含む家庭のペット)および非家庭動物(野生生物のような)である。
【0100】
「治療上効果的な量」または「有効な量」は、本発明の化合物の以下の目的のために十分である量を指す。(i)特定の疾病、障害または症候群を治療または予防する。(ii)特定の疾病、障害または症候群の1つ以上の症状を軽減、改善または除去する。または(iii)本明細書に記載された特定の疾病、障害または症候群の1つ以上の症状の発症を防止または遅延させる。
癌の場合、治療上有効な薬物量が、癌細胞の数を減少させ;癌サイズを減少させ;抹消器官への癌細胞浸潤を阻害し(すなわち、ある程度まで遅延させ、あるいは停止させる);
腫瘍転移を抑制し(すなわち、ある程度まで遅延させ、あるいは停止させる);ある程度まで、腫瘍成長を阻害し;及び/又は、癌に関連した症状の1つ以上をある程度まで緩和する。
感染症状態の場合、治療上有効な量は、伝染病や、バクテリア、ウイルスまたは真菌によって引き起こされる感染の症状を低減しまたは緩和するのに十分な量である。
【0101】
天然のアミノ酸は、下記の表2において示される従来の3文字の略語によって、明細書の全体にわたり、特定される:
【0102】
【表3】
【0103】
全明細書中で使用される略語を、下記に、それらの特定の意味とともに概説する。
℃(摂氏温度);δ(デルタ);%(パーセンテージ);ブライン(NaCl溶液);bsまたはbrs(幅広シングレット:Broad singlet);Bzl(ベンジル);Cbz(カルボキシベンジル);Cbz−Cl(クロロギ酸ベンジル);CH
2Cl
2/DCM(ジクロロメタン);Cs
2CO
3(炭酸セシウム);DMF(ジメチルホルムアミド);DMSO(ジメチルスルホキシド);DIPEA/DIEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン);DMSO−d
6(重水素を含んだDMSO);d(二重);EtOAc(酢酸エチル);Et
2NH(ジエチルアミン);Fmoc(フルオレニルメチルオキシカルボニル);Fmoc−Cl(塩化フルオレニルメチルオキシカルボニル)gまたはgr(グラム);HまたはH
2(水素);H
2O(水);HOBt/HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);HCl(塩酸);hまたはhr(時間);HATU(2−(1H−7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−1、1、3、3−テトラメチルウランヘキサフルオロリン酸メタンアミニウム);Hz(ヘルツ);HPLC(高速液体クロマトグラフィ);LCMS(液体クロマトグラフィ質量分光法);MeOH/CH
3OH(メタノール);mmol(ミリモル);M(モル濃度);μl/μL(マイクロリットル);mL(ミリリットル);mg(ミリグラム);min(分);m(多重);mm(ミリメートル);MHz(メガヘルツ);MS(ES)(質量分析−エレクトロスプレー);min(分);Na(ナトリウム);NaOBu
t(ナトリウムターシャリブトキシド);NH
2NH
2.H
2O(ヒドラジン水和物);Na
2SO
4(硫酸ナトリウム);N
2(窒素);NMR(核磁気共鳴分光法);NaHCO
3(重炭酸ナトリウム);PdC(パラジウム炭素);10%Pd/C(10%パラジウム活性炭素);Pd(OH)
2(水酸化パラジウム);PD−L1(プログラム死リガンド1);PD−L2(プログラム細胞死1リガンド2);prep HPLC/prep−HPLC(分取高速液体クロマトグラフィ);PyBOP((ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸);RT/rt(室温);S(一重);
tBu/tBu(ターシャリブチル)TEA/Et
3N(トリエチルアミン);TFA(トリフルオロ酢酸);TLC(薄層クロマトグラフィ);THF(テトラヒドロフラン);TFA/CF
3COOH(トリフルオロ酢酸);t(三重);t
R(保持時間)、など
【0104】
[試験]
本発明の実施形態は、適切な材料を使用し、以下の例の手順にしたがって、化学式(I)の化合物の調製方法を提供する。当業者は、これらの化合物を調製するために、下記の調製方法の条件および工程の公知の変更を使用することができることを理解するであろう。
さらに、詳細に記載された手順を利用することよって、当業者は、本発明の追加的な化合物を調製することができる。
【0105】
出発物質は、たとえばシグマアルドリッチ社(米国またはドイツ);ケムインペックス社(アメリカ);G.L.バイオケム社(中国)およびスペクトロケム社(インド)のような商用供給源から、一般に入手可能である。
【0106】
化合物の精製および特性評価
分析的HPLC法:分析的HPLC法は、ZIC HILIC 200Åカラム(4.6mm×250mm、5μm)、流速:1.0mL/分で行われた。使用された溶離条件は次のとおりである:バッファーA:5mmol酢酸アンモニウム、バッファーB:アセトニトリル、カラム平衡化には90%バッファーBを用い、溶離は、30分間で、90%から40%までのバッファーBのグラジエント法により行った。
【0107】
分取HPLC法A:
未精製物は、ZIC HILIC 200Åカラム(21.2mm×150mm、5μm)を使用した分取HPLC法によって精製された。使用した溶離条件は、以下のとおりである。溶離剤:A:5mmol酢酸アンモニウム、B:アセトニトリル、流速:18mL/分。化合物は、グラジエント溶離法によって溶離され、0−3分=90%バッファーB、3−20分=90−40%バッファーBであり、流速は20mL/分であった。
【0108】
分取HPLC法B:
分取HPLC法は、ZIC HILIC 200Åカラム(10mm×250mm、5μm)上で、流速5.0mL/分で行われた。使用した溶離条件は、以下のとおりである:バッファーA:5mmol酢酸アンモニウム、バッファーB:アセトニトリル、カラム平衡化には90%バッファーBを用い、溶離は、20分間で、90%から40%までのバッファーBのグラジエント法により行った。LCMSは、G1315B DADを有するアジレント1100シリーズHPLCを備えたAP1 2000LCMS/MSトリプル四重極システム(アプライドバイオシステムズ社)上で、マーキュリーMSカラムを使用して、またはG1315B DADを有するアジレント1100シリーズHPLCを備えたアジレントLCMSD VL シングル四重極システムを用い、マーキュリーMSカラムを使用して、またはSPD−20A DADを有するプロミネンスUFLCシステムを備えた島津製作所LCMS2020シングル四重極システムを使用して、実施された。
【0109】
実施例1:
化合物1の合成
ステップ1a
【0110】
【化13】
【0111】
水酸化ナトリウム(12.2g、305mmol)およびCbz−Cl(12.5g、73mmol)が、水(100mL)に対し化合物1a(10.0g、61mmol)の溶液に加えられ、室温で3時間撹拌された。反応の完了はTLC分析によって確認された。反応質量はクエン酸溶液と酢酸エチルとの間で分割された。有機質層は、水、ブラインで洗浄され、Na
2SO
4の上で乾燥され、さらに減圧下で蒸発させて、11gの化合物1bを産生した(収率:61.1%)。LCMS:298.0(M+H)
+。
【0112】
ステップ1b:
【0113】
【化14】
【0114】
DIPEA(3.5g、26.8mmol)が、DMF(50mL)に対し化合物1b(4.0g、13.4mmol)およびHATU(5.6g、14.7mmol)の撹拌された溶液にゆっくり加えられ、さらに室温で5分間撹拌された。上記反応液に、L−Ser(
tBu)−OMe・HCl(3.5g、20.1mmol)がゆっくり加えられ、室温で12時間撹拌された。反応の完了はTLC分析によって確認された。反応混合液は氷で急冷され、沈澱した固体は濾過され、CH
2Cl
2で再結晶化され、化合物1cを6g産生した:LCMS:454.8(M+H)
+。
【0115】
ステップ1c:
【0116】
【化15】
【0117】
99%ヒドラジン水和物溶液(10mL)が、メタノール(50mL)に対し化合物1c(6g)の撹拌された溶液にゆっくり加えられ、さらに室温で2時間撹拌された。反応の完了は、TLCによって確認された。反応混合物は減圧下で蒸発させ、5.8gの化合物1dを産生した。LCMS:455.0(M+H)
+。
【0118】
ステップ1d:
【0119】
【化16】
【0120】
DIPEA(3.3g、25.4mmol)が、DMF(50mL)に対し化合物1d(5.8g、12.7mmol)、HATU(5.8g、15.2mmol)の撹拌された溶液にゆっくり加えられ、さらに室温で5分間撹拌された。Fmoc−L−Asn−OH(4.9g、14.0mmol)がさらに反応混合物に加えられ、室温で12時間撹拌された。反応の完了はTLC分析によって確認された。その後、反応液は氷で急冷され、沈澱した固体は濾過され、さらにCH
2Cl
2で再結晶化され、5.9gの化合物1eを産生した。LCMS:791.0(M+H)
+。
【0121】
ステップ1e:
【0122】
【化17】
【0123】
化合物1eのFmoc基[CH
2Cl
2(60 mL)に対し5.9g]が、ジエチルアミン(60mL)を使用して脱保護され、反応の完了はTLC分析によって確認された。反応混合物は減圧下で蒸発させ、1.6gの化合物1fを産生した。LCMS:568.8(M+H)
+。
【0124】
ステップ1f:
【0125】
【化18】
【0126】
化合物1l(1.3g、3.0mmol)および化合物1f(1.60g、2.8mmol)が、THF(10mL)に溶解され、室温で撹拌された。カップリングが、上記反応液にトリエチルアミン(0.57g、5.6mmol)の追加によって開始され、この反応は、室温で12時間撹拌して続けられた。反応の完了はTLC分析によって確認された。有機質層はNaHCO
3、クエン酸溶液、ブラインで洗浄され、Na
2SO
4上で乾燥され、減圧下で蒸発させ、0.45gの化合物1gを産生した。
【0127】
ステップ1g:
【0128】
【化19】
【0129】
Cbz基とベンジルエステルの脱保護が、メタノール中の化合物1g(0.45g)上で、パラジウムヒドロキシド(0.5g)を使用し、室温で1時間実行された。反応の完了はTLC分析によって確認された。パラジウムヒドロキシドはセライト(登録商標)ベッド濾過によって除去され、濾液が減圧下で蒸発され、0.34gの化合物1hを産生した。LCMS:636.0(M+H)
+。
【0130】
ステップ1h:
【0131】
【化20】
【0132】
化合物1h(0.1g、0.15mmol)の環化が、THF(50mL)中で、HOBT(0.06g、0.47mmol)およびPyBOP(0.24g、0.47mmol)を使用して行なわれた。この反応は、DIPEA(0.06g、0.47mmol)をゆっくり加えることによって開始され、さらに室温で12時間撹拌された。反応混合物は、ジエチルエーテルで蒸発および洗浄され、0.05gの化合物1iを産生した。LCMS:617.9(M+H)
+。
【0133】
ステップ1i:
【0134】
【化21】
【0135】
化合物1i[CH
2Cl
2(0.9 mL)中、0.08g]上の酸感応性保護基が、TFA(0.9mL)を使用して除去された。反応混合物は室温で4時間で撹拌され、引き続きジエチルエーテルで蒸発および洗浄して、0.05gの未精製化合物1が産生された。未精製の固体材料は、下記の実験条件に述べる分取HPLC法Aを使用して精製された(収量:9mg)。LCMS:506.4(M+H)
+;HPLC:t
R=12.3分。
【0136】
化合物1l(NO
2−C
6H
4−OCO−Thr(
tBu)−OBzl)の合成:
【0137】
【化22】
【0138】
DMF100.0mLに対しFmoc−Thr(
tBu)−OH(15.0g、37.7mmol)の溶液に、Cs
2CO
3(14.8g、45.2mmol)が加えられ、得られた混合物は0℃まで冷却された。冷却された反応混合物に対し臭化ベンジル(7.74g、345.2mmol)が加えられ、この溶液は、氷温で30分間撹拌されたのち、室温で12時間撹拌された。反応混合物はさらに減圧下で濃縮され、酢酸エチル(150mL)で希釈された。有機質層は、水(2×100mL)、ブライン(1×100mL))で洗浄され、Na
2SO
4上で乾燥された。ろ過された溶液は、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶離剤:0−30%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって濃縮および精製され、18.5gの中間体1jを白色固形物として産生した。
LCMS:433.1(M−O
tBu+H)
+。CH
2Cl
2(40.0mL)中の化合物1j(10.0g、20.5mmol)上のFmoc基は、室温で1時間、ジエチルアミン(40.0mL)とともに撹拌することによって脱保護された。得られた溶液は真空中で濃縮され、厚みのある残渣は、中性アルミナ上のカラムクロマトグラフィ(溶離剤:0−50%酢酸エチルのヘキサン溶液、次いで0−5%メタノールのクロロホルム溶液)によって精製され、3.5gの中間体1k(収率:70%)を産生した。LCMS:266.5(M+H)
+。
【0139】
【化23】
【0140】
TEA(1.2g、12.0mmol)が、CH
2Cl
2(30mL)に対し中間体1k(1.6g、6.0mmol)の撹拌された溶液に加えられた。CH
2Cl
2(10mL)に対し4ニトロフェニルクロロホルメート(1.3g、6.6mmol)の溶液が、上記の撹拌された溶液に加えられ、反応は室温で12時間継続された。反応の完了はTLC分析によって確認された。反応の完了後、反応混合物は、CH
2Cl
2(50mL)で希釈され、1.0Mの重硫酸ナトリウム(50mL×2)および1.0Mの炭酸ナトリウム(50mL×2)で洗浄され、Na
2SO
4上で乾燥され、減圧下で蒸発させて未精製化合物1lを産生し、これは、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶離剤:0−20%酢酸エチルのヘキサン溶液)によってさらに精製され、0.8gの化合物1lを産生した。
1H NMR(DMSO−d
6、300MHz):δ1.04(s、9H)、1.16(d、3H)、4.11(m、1H)、5.11(m、3H)、6.91(d、2H)、7.40(m、5H)、8.10(d、2H)および8.26(brs、1H)。
【0141】
実施例2:化合物2の合成
ステップ2a:
【0142】
【化24】
【0143】
DIPEA(2.71g、21mmol)が、DMF(30mL)に対し、化合物1b(3.12g、10.5mmol)、HATU(4.41g、11.6mmol)の撹拌された溶液にゆっくり加えられ、室温で5分間撹拌された。上記反応混合物に対し、D−Thr(
tBu)−OMe・HCl(2.0g、10.5mmol)がゆっくり加えられ、室温で12時間撹拌された。反応の完了はTLC分析によって確認された。その後、反応混合物は氷で急冷され、沈殿が濾過され、CH
2Cl
2で再結晶化されて、4.2gの化合物2aを産生した。LCMS:491.2(M+Na)
+。
【0144】
ステップ2b:
【0145】
【化25】
【0146】
99%のヒドラジン水和物溶液(5mL)が、メタノール(40mL)に対し化合物2a(4.2g)の撹拌された溶液にゆっくり加えられ、反応の完了はTLC分析によって確認された。反応混合物は減圧下で蒸発され、4.2gの化合物2bを産生した(収量:90%)。LCMS:469.4(M+H)
+。
【0147】
ステップ2c:
【0148】
【化26】
【0149】
DIPEA(2.7 mL、20.9mmol)が、DMF(50mL)に対し化合物2b(4.9g、10.5mmol)、HATU(4.8g、12.5mmol)の撹拌された溶液にゆっくり加えられた。上記の撹拌された溶液に対し、Fmoc−D−Asn(Trt)−OH(6.2g、10.5mmol)が加えられ、さらに室温で12時間撹拌された。反応の完了はTLC分析によって確認された。反応混合物は、EtOAc(30mL)で希釈され、1.0M炭酸ナトリウム(20mL×2)、10%クエン酸(20mL×2)、水(20mL×2)で洗浄され、Na
2SO
4上で乾燥され、さらに減圧下で蒸発されて10gの未精製中間体2cが産生され、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶離剤:0−5%MeOHのEtOAc溶液)によって精製され、5gの化合物2cを産生した。LCMS:1047.7(M+H)
+。
【0150】
ステップ2d:
【0151】
【化27】
【0152】
化合物2c[(3.2g)CH
2Cl
2(10mL)中]のFmoc脱保護が、ジエチルアミン(10mL)を使用して実行された。反応の完了はTLC分析によって確認された。得られた溶液は、減圧下で蒸発させ、1.2gの化合物2dを産生した。
【0153】
ステップ2e:
【0154】
【化28】
【0155】
トリエチルアミン(0.32g、3.2mmol)が、THF(20mL)中で、化合物2d(1.3g、1.6mmol)および化合物2h(0.79g、1.9mmol)のカップリングを開始させるために、ゆっくり加えられた。得られた溶液は、さらに室温で12時間撹拌され、反応の完了はTLC分析によって確認された。有機質層は、NaHCO
3、クエン酸溶液、ブラインで洗浄され、Na
2SO
4上で乾燥され、減圧下で蒸発させ、1.3gの化合物2eを産生した。
【0156】
ステップ2f:
【0157】
【化29】
【0158】
化合物2e(1.3g)に対するCbz基とベンジルエステルの脱保護が、メタノール中で、パラジウムヒドロキシド(1.0g)を使用して、室温で1時間実行された。反応の完了はTLC分析によって確認された。パラジウムヒドロキシドは、セライト(登録商標)ベッド濾過によって除去され、濾液は減圧下で蒸発させて0.45gの化合物2fを産生した。LCMS:878.4(M+H)
+。
【0159】
ステップ2g:
【0160】
【化30】
【0161】
DIPEA(0.2g、1.5mmol)が、THF(200mL)に対し、化合物2f(0.45g、0.51mmol)、HOBT(0.21g、1.53mmol)およびPyBOP(0.8g、1.53mmol)の撹拌された溶液にゆっくり加えられた。反応混合物は、さらに室温で12時間撹拌された。反応の完了はTLC分析によって確認された。反応混合物は蒸発させ、ジエチルエーテルで洗浄され、0.41gの中間体2gを産生した。LCMS:860.7(M+H)
+。
【0162】
ステップ2h:
【0163】
【化31】
CH
2Cl
2(5mL)に対し化合物2g(0.4g)の溶液に、トリフルオロ酢酸(5mL)および触媒量のトリイソプロピルシランが加えられ、室温で3時間撹拌された。得られた溶液は真空中で濃縮され、0.2gの未精製化合物2を産生した。未精製の固形物質は、下記実験条件に記載した分取HPLC方−Bを使用して、精製された(収量:10mg)LCMS:506.6(M+H)
+;t
R=12.4分。
【0164】
2h(NO
2−C
6H
4−OCO−D−Ser(
tBu)−OBzl)の合成:
化合物が、実施例1、化合物1lに例示したのと同様の方法を使用し、Fmoc−Thr(
tBu)−OHの代わりに、Fmoc−D−Ser(
tBu)−OHを使用して合成され、1gの未精製物質2hを産生した。
【0165】
実施例3:
化合物3の合成
ステップ3a:
【0166】
【化32】
【0167】
1,4−ジオキサン(50mL)に対し化合物1a(5.0g、30.6mmol)の撹拌された溶液に、炭酸ナトリウム(10mL水に対し8.12g、76.5mmolの水溶液)および(Boc)
2O(9.98 mL、45.7mmol)が加えられ、室温で12時間撹拌された。
反応の進行はTLCによってモニターされた。反応質量はジエチルエーテルおよび水との間で分割された。その後、水層は、3N HCl溶液によって酸性化(pH=3)され、DCM(2×200mL)で抽出された。有機質層は、水、ブラインで洗浄され、Na
2SO
4上で乾され、減圧下で蒸発させて、50gの純粋な3a(収率:62.1%)を産生した。LCMS:263.0(M+H)
+。
【0168】
ステップ3b:
【0169】
【化33】
DIPEA(6.5 mL、37.8mmol)が、DMF(75mL)に対し、化合物3b(5g、12.6mmol)化合物3c(2.72g、15mmol)、HOBt(2.55g、18.9mmol)およびEDC.HCl(3.62g、18.9mmol)の撹拌された溶液に、ゆっくりと加えられた。反応混合物は、さらに室温で12時間撹拌された。反応の進行はTLC分析によって確認された。反応質量は酢酸エチルと水との間で分割された。有機質層は水、ブラインで洗浄され、Na
2SO
4上で乾燥され、減圧下で蒸発させて、未精製物を産生した。未精製化合物は、溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(40:60)を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィ(60−120メッシュ)によって精製され、5.2gの化合物3dを産生した(収率:71.0%)。LCMS:560.6(M+H)
+。
【0170】
ステップ3c:
【0171】
【化34】
【0172】
乾燥DCM中における化合物3d(5g、8.9mmol)の撹拌された溶液に、ジエチルアミン(50mL)が−10℃で滴下的に加えられ、室温で1時間撹拌された。反応の完了後、混合物は減圧下で蒸発させて、未精製化合物を得た。未精製物は、n−ペンタン/ジエチルエーテル(1:1)で精製され、洗浄され、高真空下で乾燥され、3.5gの化合物3eを産生した。LCMS:338.58(M+H)
+。
【0173】
ステップ3d:
【0174】
【化35】
【0175】
NMM(1.4 mL、14.0mmol))が、0℃で、DMF(75mL)に対し化合物3a(3g、11.3mmol)、化合物3e(4.3g、12.9mmol)およびHATU(6.5g、17.1mmol)の撹拌された溶液にゆっくり加えられた。反応混合物は、さらに室温で6時間撹拌された。反応の進行はTLCによってモニターされた。完了後、反応質量は酢酸エチルと水との間で分割された。有機質層は、水、ブラインで洗浄され、Na
2SO
4上で乾燥され、減圧下で蒸発させて、未精製化合物を得た。未精製物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶離剤:50%ヘキサンの酢酸エチル溶液)によって精製され、4.8gの化合物3fを産生した。LCMS:583.7(M+H)
+。
【0176】
ステップ3e:
【0177】
【化36】
【0178】
MeOH中、化合物3f(4.5g、7.7mmol)の撹拌された溶液に、Pd/C(2.0g)がゆっくり加えられ、水素雰囲気下、室温で4時間撹拌された。反応の進行はTLCによってモニターされた。完了後、反応物は、セライト(登録商標)によって濾過され、MeOH(2×150mL)で洗浄された。得られた濾液は、減圧下で蒸発させ、3gの化合物3gを産生した。LCMS:448.6(M+H)
+。
【0179】
ステップ3f:
【0180】
【化37】
【0181】
DMF(75mL)に対し、Cbz−D−Asn−OH(1.78g、6.7mmol)および化合物3g(3.0g、6.8mmol)の撹拌された溶液に、DCC(4.12g、20.3mmol)およびHOBT(1.8g、13.5mmol)が、0℃でゆっくり加えられた。反応混合物は室温で48時間撹拌された。反応の進行はTLCによってモニターされた。完了後、反応質量は酢酸エチルと水との間で分割された。有機質層は水、ブラインで洗浄され、Na
2SO
4上で乾燥され、減圧下で蒸発させて、未精製物を産生した。未精製化合物は、シリカゲル(60−120メッシュ)カラムクロマトグラフィ(溶離剤:4%MeOHのDCM溶液)によって精製され、2.5gの化合物3hを産生した。LCMS:697.50(M+H)
+。
【0182】
ステップ3g:
【0183】
【化38】
【0184】
MeOH(50mL)に対し化合物3h(2.5g、3.6mmol)の撹拌された溶液に、Pd/C(1.2g)が加えられ、水素雰囲気下、室温で4時間撹拌された。反応の進行はTLCによってモニターされた。完了後、反応物はセライト(登録商標)によってろ過され、MeOH(2×150mL)で洗浄された。得られた濾液は、減圧下で蒸発させて、1.5gの化合物3iを産生した。LCMS:563.6(M+H)
+。
【0185】
ステップ3h:
【0186】
【化39】
【0187】
化合物3i(1.3g、2.3mmol)と、DMF(25mL)中TEA(0.43mL、3.5mmol)が、−10℃で、3j(1.1g、2.6mmol)の溶液にゆっくり滴下的に加えられた。この混合物は、さらに室温で2時間撹拌された。反応の進行はTLCによってモニターされた。完了後、反応質量は酢酸エチルと水との間で分割された。有機質層は、NaHCO
3、クエン酸溶液およびブラインで洗浄され、次いでこの有機質層は、Na
2SO
4上で乾燥され、減圧下で蒸発させて、未精製物を得た。未精製物は、シリカゲル(60−120メッシュ)カラムクロマトグラフィ(溶離液として、ヘキサン/酢酸エチル(10:90))によって精製され、1.2gの化合物3kを産生した。LCMS:840.6(M+H)
+。
【0188】
ステップ3i:
【0189】
【化40】
【0190】
CH
2Cl
2(10mL)に対し化合物3k(1.0g、1.2mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(10mL)と触媒量のトリイソプロピルシランとが加えられ、室温で3時間撹拌されて、酸感応性保護基を除去した。得られた溶液は真空中で濃縮され、ジエチルエーテルで洗浄して、1.0gの未精製化合物3lを産生した。LCMS:628.65(M+H)
+。
【0191】
ステップ3j:
【0192】
【化41】
【0193】
THF中、化合物3l(1.0g、1.5mmol)の撹拌された溶液に、PyBOP(2.4g、4.7mmol)、HOBT(0.6および4.7mmol)およびDIPEA(0.8mL、4.7mmol)がゆっくり加えられ、室温で12時間撹拌された。反応質量は水と酢酸エチルとの間で分割された。有機質層は水、ブラインで洗浄され、Na
2SO
4上で乾燥され、減圧下で蒸発させて、未精製物を得た。未精製化合物は、ジエチルエーテルで洗浄され、0.8gの化合物3mを産生した。LCMS:610.5(M+H)
+。
【0194】
ステップ3k:
【0195】
【化42】
【0196】
MeOH(30mL)に対し化合物3m(0.8g、1.3mmol)の撹拌された溶液に、Pd(OH)
2(0.4g)が加えられ、水素雰囲気下、室温で4時間撹拌された。反応の進行はTLCによってモニターされた。完了後、反応質量はセライト(登録商標)によって濾過され、MeOH(2×150mL)で洗浄された。得られた濾液は、減圧下で蒸発させ、0.7gの化合物3を産生した。LCMS:520.5(M+H)
+;HPLC:t
R=9.9分、
【0197】
中間体3cの合成:
【0198】
【化43】
【0199】
DCM(150mL)中、化合物3n(4g、88.3mmol)および化合物3o(10.2mL、71.2mmol)の撹拌された溶液に、TEA(14.4mL、105mmol)が−78℃で滴下的に加えられた。反応混合物は、室温に到達させて、12時間撹拌された。反応の進行はTLCによってモニターされた。完了後、反応質量は水とDCMとの間で分割された。有機質層は、水、ブラインで洗浄され、Na
2SO
4上で乾燥され、減圧下で蒸発させて未精製化合物を産生し、シリカゲル(60−120メッシュ)カラムクロマトグラフィ(溶離剤:80%酢酸エチルのヘキサン溶液)によって精製され、10gの化合物3cを産生した。LCMS:181.1(M+H)
+。
【0200】
3j(NO
2−C
6H
4−OCO−D−Ser(Bzl)―O
tBu)の合成:
この化合物は、実施例1(化合物1k)に例示されるのと同様の方法を用い、Fmoc−Thr(
tBu)−(OH)の代わりにFmoc−D−Ser(Bzl)O
tBuを使用して合成され、1.5gの化合物3jを産生した。
【0201】
実施例4:
化合物4の合成
【0202】
【化44】
【0203】
この化合物は、実施例2(化合物2)に示されるのと同様の方法を用い、化合物1aの代わりに7−アミノヘプタン酸を使用して合成され、表題化合物の0.3gの未精製物を産生した。精製固形物は、下記実験条件で記述する分取HPLCを使用して精製された。LCMS:488.2(M+H)
+;HPLC:t
R=11.9分。
【0204】
下記表3中の化合物は、前述の実験方法に基づいて、調整された。
【0205】
【表4】
【0206】
【表5】
【0207】
下記表4に示される化合物は、前述したのと同様の次の方法により、当業者に公知の適切な変更を用いて、調整することができ、本出願の範囲に含まれる。
【0208】
【表6】
【0209】
【表7】
【0210】
実施例5:
組換えPD−L1存在下でのマウス脾細胞増殖のレスキュー
組換えマウスPD−L1(rm−PDL−1、カタログ番号:1019−B7−100;R&Dシステムズ)が、PD−L1源として使用された。
【0211】
要件:
生後6−8週のC57BL6マウスから採取したマウス脾細胞;RPMI 1640(GIBCO、Cat#11875);高濃度グルコースのDMEM(GIBCO、Cat#D6429);ウシ胎児血清[Hyclone、Cat#SH30071.03];ペニシリン(10000ユニット/ml)−ストレプトマイシン(10,000μg/ml)液(GIBCO、Cat#15140−122);MEMナトリウムピルベート溶液100mM(100×)液(GIBCO Cat#11360);非必須アミノ酸(GIBCO Cat#11140);L−グルタミン(GIBCO、Cat#25030);抗−CD3抗体(eBiosciences−16−0032);抗−CD28抗体(eBiosciences−16−0281);ACK溶解バッファー(1mL)(GIBCO、Cat#−A10492);ヒストパック(密度−1.083gm/mL)(SIGMA 10831);トリパンブルー溶液(SIGMA−T8154);2mLNormJectルアーロック注射器―(Sigma2014−12);40μmナイロンセルストレーナ(BD FASLCON35230);血球計(Bright line−SIGMA Z359629);FACSバッファ−(PBS/0.1%BSA):0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)(SIGMA A7050)およびアジ化ナトリウム(SIGMA 08591)を含む、燐酸塩緩衝食塩水(PBS)pH7.2(HiMedia TS1006);CFSEの5mM貯蔵液:CFSE貯蔵液は、凍結乾燥されたCFSEを、ジメチルスルホキシド(DMSO C
2H
6SO、SIGMA−D−5879)の180μLで希釈することにより調製され、後の使用のために、チューブへ等分された。作用濃度が10μmから1μmまで滴定された。(eBioscience−650850−85);0.05%トリプシンおよび0.02%EDTA(SIGMA 59417C);96−ウェルフォーマットELISAプレート(コーニングCLS3390);BDファクスカリバー(E6016);組換えマウスB7−H1/PDL1 Fcキメラ(rm−PD−L1Cat番号:1019−B7−100)。
【0212】
プロトコル
脾細胞の調整および培養:
40μmセルストレーナ内でマウス脾臓を擦り潰すことにより、50mLファルコンチューブ内で培養された脾細胞は、さらに1mlのACK溶解バッファーを用いて室温で5分間処理された。9mLのRPMI完全培地で洗浄した後、細胞は、15mLチューブ中で、3mlの1×PBS中で再懸濁化された。3mLのヒストパックが、チューブの底に、上層の脾細胞懸濁液を乱さないように注意深く加えられた。室温で20分間800×gで遠心分離された後、脾細胞の不透明な層が、層を乱したり/混じり合ったりしないよう、注意深く集められた。脾細胞は、冷えた1×PBSで2度洗浄され、その後、トリパンブルー除去法を使用して、全細胞数計測が行われ、さらに、細胞に基づいた分析にさらに使用された。
【0213】
脾細胞はRPMI完全培地(RPMI+10%ウシ胎児血清+1mMナトリウムピルベート+10,000ユニット/mLペニシリンおよび10,000μg/mLストレプトマイシン)において培養され、37℃で5%炭酸ガスのCO
2インキュベータ中に保持された。
【0214】
CFSE増殖反応測定:
CFSEは、細胞内へ受動的に拡散し、細胞内のタンパク質に結合する染料である。採取された脾細胞の1×10
6細胞/mlが、あらかじめ暖められた1×PBS/0.1%BSA溶液中の、5μmのCFSEで、37℃で10分間処置された。超過CFSEは、細胞に対し5倍量の氷冷培地を用いて急冷し、さらに5分間氷温に保持した。CFSEのラベルが付された脾細胞は、氷冷した完全RPMI培地でさらに3回洗浄した。CFSEラベルの1×10
5脾細胞は、MDA−MB231細胞(高濃度グルコースDMEM培地で培養された1×10
5細胞)を含むウェルまたは組換えのヒトPD-L1(100ng/mL)、および試験化合物に加えられた。脾細胞は、抗マウスCD3および抗マウスCD28抗体(各1μg/mL)で刺激され、さらに培養物は、5%炭酸ガスの条件で、37℃72時間保温された。細胞は、採取され、氷冷したFACSバッファーで3回洗浄した。そして%増殖が、流動細胞計測法により、488nmの励起、521nm放射フィルタを用いて、分析された。
【0215】
データ編集、処理および推論:
パーセント脾細胞増殖は、細胞クエストFACSプログラムを使用して分析され、化合物による脾細胞増殖のレスキュー率は、%バックグラウンド増殖値の控除後、(陽性対照)を100%として、刺激された脾細胞増殖%の標準化後に評価された。
バックグラウンド増殖:脾細胞+抗CD3/CD28+PD−L1
刺激脾細胞:脾細胞+抗CD3/CD28刺激
化合物増殖:脾細胞+抗CD3/CD28+PD−L1+化合物
化合物効果は、リガンドの存在下で抗CD3/CD28に刺激された脾細胞に対し、化合物の必要な濃度を加えることにより検査された。(PD−L1)(表5)
【0216】
表:5
CFSEに基づいた分析を使用して、組換えマウスPDL1によって抑制されたマウス脾細胞増殖のレスキュー:
【0217】
【表8】