特許第6474414号(P6474414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6474414外部安全装置の展開を制御するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474414
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】外部安全装置の展開を制御するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/00 20060101AFI20190218BHJP
   B60R 21/38 20110101ALI20190218BHJP
   B60R 21/36 20110101ALI20190218BHJP
   B60R 21/0134 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   B60R21/00 310H
   B60R21/38 310
   B60R21/36 310
   B60R21/0134 311
【請求項の数】37
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-540846(P2016-540846)
(86)(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公表番号】特表2016-529166(P2016-529166A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】SE2013051035
(87)【国際公開番号】WO2015034406
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2016年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】518238850
【氏名又は名称】ヴィオニア スウェーデン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ル メレール、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ロワジ、オーロラ
(72)【発明者】
【氏名】メンセレス、アレキサンダー
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−240579(JP,A)
【文献】 特開平09−030368(JP,A)
【文献】 特開2004−291929(JP,A)
【文献】 特開2010−171500(JP,A)
【文献】 特開2010−066815(JP,A)
【文献】 特開2006−273087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00−21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者を保護するための外部安全システムと、前記外部安全システムを作動させるための装置とを備える車両安全システムであって、
前記装置は、衝突前センサシステム(10、11)と;実際の衝突発生を検出する衝突発生センサシステム(16)とを備え、
前記装置は、前記衝突前センサシステムの出力信号(A1)に基づいて検出対象物を分類し、当該分類に基づいて前記しきい値(T1、T2)を決定するように構成され、
前記装置は、前記外部安全システムを作動させるに際して、前記衝突前センサシステム(10,11)による検出の結果、当該検出対象物が歩行者として分類されたときには、基準となるノーマルしきい値(Tn)よりも低い第1のしきい値(T1)を採用し、検出対象物が非歩行者として分類されたときには、前記ノーマルしきい値(Tn)よりも高い前記第2のしきい値(T2)を採用するように構成され、
前記装置は、前記衝突前センサシステムの出力信号(A1)による分類の正確性に応じて、前記設定されたしきい値(T1、T2)を前記ノーマルしきい値(Tn)としきい限界値(T1lim、T2lim)との間で調整するように構成され、
前記装置は、環境条件によって変動し得るセンサの信頼性レベルに基づいて前記分類の正確性を求めるように構成され、
前記装置は、前記衝突発生センサシステム(16)からの第2の信号(A2)を前記しきい値(T1、T2)と比較し、前記衝突発生センサシステム(16)の出力信号(A2)が設定されたしきい値(T1、T2)を超えた場合に、前記外部安全システムを作動させるように構成されことを特徴とする車両安全システム。
【請求項2】
前記装置は、前記第1の信号(A1)が歩行者として分類される対象物が検出されたことを示し、且つ、前記分類の正確性が最大値を有する場合、第1のしきい値(T1)を最小しきい限界値(T1lim)に等しく設定するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の車両安全システム。
【請求項3】
前記装置は、前記第1の信号(A1)が対象物なし又は歩行者の可能性があることを示し、且つ、前記分類の正確性が最小値と最大値との間にある場合、第1のしきい値(T1)を最小しきい限界値(T1lim)よりも高く設定するように構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両安全システム。
【請求項4】
前記装置は、前記第1の信号(A1)が非歩行者として分類される対象物が検出されたことを示し、且つ、前記分類の正確性が最大値を有する場合、第2のしきい値(T2)を最大しきい限界値(T2lim)に等しく設定するように構成されることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の車両安全システム。
【請求項5】
前記装置は、前記第1の信号(A1)が非歩行者の可能性がある対象物が検出されたことを示し、且つ、前記分類の正確性が最小値と最大値との間にある場合、第2のしきい値(T2)を最大しきい限界値(T2lim)よりも低く設定するように構成されることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の車両安全システム。
【請求項6】
前記装置は、衝突前センサ入力が検出されないかまたは衝突前センサ障害が検出されない場合、しきい値を前記ノーマルしきい値(Tn)に等しく設定するように構成されることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両安全システム。
【請求項7】
前記装置は、前記第1の信号(A1)が対象物なしを示す場合に、しきい値を最小しきい限界値(T1lim)に等しく設定するように構成されることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載の車両安全システム。
【請求項8】
前記分類の正確性は、前記第1の信号(A1)と、少なくとも1つの追加の検出された車両関係のパラメータとの関数であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両安全システム。
【請求項9】
前記分類の正確性は、前記第1の信号(A1)と、検出されたブレーキ作動との関数であることを特徴とする、請求項8に記載の車両安全システム。
【請求項10】
前記分類の正確性は、前記第1の信号(A1)と、検出されたステアリングホイール作動との関数であることを特徴とする、請求項8または9に記載の車両安全システム。
【請求項11】
前記しきい値は、最大しきい限界値と最小しきい限界値と(T1lim、T2lim)の間の前記分類の正確性の線形関数であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の車両安全システム。
【請求項12】
前記衝突前センサシステムは、180°よりも小さい視野を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の車両安全システム。
【請求項13】
前記外部安全システムは、連続的にアクティブにされるように構成される複数の火工構成要素(13、14)を備えることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の車両安全システム。
【請求項14】
前記外部安全システムは、少なくとも火工フードリフタ(14)を備えることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の車両安全システム。
【請求項15】
前記外部安全システムは、少なくとも1つの歩行者保護エアバッグ(13)を備えることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の車両安全システム。
【請求項16】
前記外部安全システムは、衝突前センサシステム(10、11)を備える2つ以上のゾーン(Z1、Z2)を備えることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の車両安全システム。
【請求項17】
前記装置は、前記衝突前センサシステムからの第1の信号(A1)の関数として、ゾーンごとに個々のしきい値(T1、T2)を決定するように構成されることを特徴とする、請求項16に記載の車両安全システム。
【請求項18】
前記設定されたしきい値(T1、T2)を超える場合、各ゾーン中の前記外部安全システムが個々にアクティブにされることを特徴とする、請求項17に記載の車両安全システム。
【請求項19】
衝突前センサシステム(10、11)と実際の衝突発生を検出する衝突発生センサシステム(16)とに接続され、歩行者を保護するための外部安全システムを作動させる装置において、
前記衝突前センサシステム(10、11)からの第1の信号(A1)に基づいて検出対象物を分類するための構成と、
前記分類に基づいて、前記衝突発生センサシステム(16)を作動させるためのしきい値(T1、T2)を決定する構成と、
前記検出された対象物が歩行者として分類されたときに、ノーマルしきい値(Tn)よりも低い第1のしきい値(T1)を設定するための構成と、
前記検出された対象物が非歩行者として分類されたときに、前記ノーマルしきい値(Tn)よりも高い第2のしきい値(T2)を設定するための構成と、
前記第1の信号(A1)についての分類の正確性に基づいて、前記設定されたしきい値(T1、T2)を前記ノーマルしきい値(Tn)としきい限界値(T1lim、T2lim)との間で調整するための構成と、
環境条件によって変動し得るセンサの信頼性レベルに基づいて前記分類の正確性を求めるための構成と、
前記衝突発生センサシステム(16)からの第2の信号(A2)を前記しきい値(T1、T2)と比較し、前記しきい値を超える場合に前記外部安全システムを作動する構成とを備える装置。
【請求項20】
前記第1の信号(A1)が歩行者として分類される対象物が検出されたことを示し、且つ、前記分類の正確性が最大値を有する場合、第1のしきい値(T1)を最小しきい限界値(T1lim)に等しく設定することを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記第1の信号(A1)が対象物なし又は歩行者の可能性があることを示し、且つ、前記分類の正確性が前記最大値を下回る場合、第1のしきい値(T1)を最小しきい限界値(T1lim)よりも高く設定することを特徴とする請求項19又は20に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の信号(A1)が非歩行者として分類される対象物が検出されたことを示し、且つ、前記分類の正確性が最大値を有する場合、第2のしきい値(T2)を最大しきい限界値(T2lim)に等しく設定することを特徴とする請求項19,20又は21に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の信号(A1)が非歩行者の可能性があるとして分類される対象物が検出されたことを示し、且つ、前記分類の正確性が最大値を有する場合、第2のしきい値(T2)を最大しきい限界値(T2lim)よりも低く設定することを特徴とする請求項19乃至22の何れか1項に記載の装置。
【請求項24】
衝突前センサシステム(10、11)と実際の衝突発生を検出する衝突発生センサシステム(16)とに接続され、前記衝突前センサシステムからの第1の信号(A)に基づいて検出対象を分類する装置を含み、歩行者を保護するための外部安全システムを作動させるための方法において、
前記衝突前センサシステム(10、11)からの第1の信号(A1)に基づいて検出対象物の分類を実施するステップと、
前記分類の結果に基づいて、前記衝突発生センサシステム(16)のためのしきい値(T1、T2)を決定するステップと、
前記分類された対象物が歩行者である場合に、ノーマルしきい値(Tn)よりも低い第1のしきい値(T1)を設定するステップと、
前記分類された対象物が非歩行者である場合に、前記ノーマルしきい値(Tn)よりも高い第2のしきい値(T2)を設定するステップと、
前記第1の信号による分類の正確性に基づいて、前記設定されたしきい値(T1、T2)を前記ノーマルしきい値(Tn)としきい限界値(T1lim、T2lim)との間で調整するステップと、
前記衝突発生センサシステム(16)からの第2の信号(A2)を前記しきい値(T1、T2)と比較し、前記しきい値を超える場合に前記外部安全システムをアクティブにするステップとを含み、
前記分類の正確性は、環境条件によって変動し得るセンサの信頼性レベルに基づいて求められることを特徴とする方法。
【請求項25】
前記第1の信号(A1)が前記検出対象物が歩行者であることを示し、且つ、前記分類の正確性が最大値を有する場合、第1のしきい値(T1)を最小しきい限界値(T1lim)に等しく設定することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の信号(A1)が対象物なし又は歩行者の可能性があることを示し、且つ、前記分類の正確性が前記最大値を下回る場合、第1のしきい値(T1)を最小しきい限界値(T1lim)よりも高く設定することを特徴とする請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の信号(A1)が前記検出対象物が非歩行者であることを示し、且つ、前記分類の正確性が最大値を有する場合、第2のしきい値(T2)を最大しきい限界値(T2lim)に等しく設定することを特徴とする請求項24,25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の信号が前記検出対象物が非歩行者であることを示し、且つ、前記分類の正確性が最大値を有する場合、第2のしきい値(T2)を最大しきい限界値(T2lim)よりも低く設定することを特徴とする請求項24乃至27の何れか1項に記載の方法。
【請求項29】
衝突前センサ入力が検出されない場合または衝突前センサ障害が検出された場合、しきい値を前記ノーマルしきい値(Tn)に等しく設定することを特徴とする請求項24乃至28の何れか1項に記載の方法。
【請求項30】
検出された対象物なしまたは衝突前センサ障害を示す場合、しきい値を最小しきい限界値(T1lim)に等しく設定することを特徴とする請求項24乃至29の何れか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の信号(A1)と、少なくとも1つの追加の検出された車両関係のパラメータとの関数として、前記分類の正確性を決定するステップを更に含むことを特徴とする請求項24〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の信号(A1)と、検出されたブレーキ作動との関数として、前記分類の正確性を決定するステップを更に含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の信号(A1)と、検出されたステアリングホイール作動との関数として、前記分類の正確性を決定するステップを更に含むことを特徴とする請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
最大しきい限界値と最小しきい限界値と(T1lim、T2lim)の間の前記分類の正確性の線形関数として前記しきい値を決定することを特徴とする請求項24〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
衝突前センサシステムをそれぞれ備える2つ以上のゾーン(Z1、Z2)を備える外部安全システムを使用するステップと、前記衝突前センサシステム(10、11)からの第1の信号(A1)の対象物分類を実施するステップとを更に含むことを特徴とする請求項24〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記衝突前センサシステム(10、11)からの第1の信号(A1)に基づいて、ゾーン(Z1、Z2)ごとに個々のしきい値(T1、T2)を決定することを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記設定されたしきい値(T1、T2)を超える場合、各ゾーン(Z1、Z2)中の前記外部安全システムが個々に作動されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両の衝撃を検知し、外部安全装置の展開を調整するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、多くの車両は、少なくとも1つの外部エアバッグを備えるように構築され、外部エアバッグは、歩行者、サイクリストまたは動物など、移動している物体との衝突の場合に膨張し、移動している対象物が受ける衝突力を緩和するように意図される。
【0003】
そのような衝撃を受けた場合に動いている対象物を苦しませる損傷をさらに最小限に抑えるために、何らかの種類のフードリフティング構成を使用することが提案されている。これらの構成は、フードの後面部分、すなわちフロントガラスに最も近い部分が、移動している対象物との衝突の場合に持ち上げられるように概して構築される。このタイプの構成は、例えば国際公開第2007/067121号明細書および欧州特許出願公開第2256007号明細書に開示されている。
【0004】
どんな外部エアバッグ装置も適切に動作するためには、ロバストな感知システムが必要である。車両が押しつぶされ減速している間に展開をトリガする衝突センサとは異なり、外部エアバッグ用の感知システムは、衝撃が起こる前にそれを予期し得る。この重要な「衝突の前の時間」は、アクチュエータを展開するための時間(例えば30〜200ms)と、車両の前のクリアランス距離(例えば100〜800mm)とに関係する。
【0005】
故意でない展開は、コストがかかるだけでなく、車両を一時的に使用不能にし得る。その上、エアバッグの展開はエネルギーの解放を通して達成されるので、不適切な時間における展開は望ましくない影響を生じ得る。本発明は、これらの設計問題に対処する外部エアバッグ安全システムのための感知システムに関係する。
【0006】
レーダーおよび超音波検出システムは、何年もの間研究され、自動車両のために採用されている。自動車両のためのレーダーシステムは、無線周波数信号が、典型的にはマイクロ波領域において、車両上のアンテナから放出され、反射された信号を分析して、反射しているターゲットに関する情報を明らかにするという点で動作する。そのようなシステムは、自動車両のための能動制動システム、ならびに車両運転者のための障害物検出システムにおける使用のために検討されている。レーダー感知システムはまた、外部エアバッグを展開することにおいて適用可能性を有する。レーダーセンサは、高度の精度で最も近い対象物へのレンジ(例えば、5cm)を検出する能力を含む、いくつかの有益な入力を提供する。レーダーセンサはまた、高い精度でターゲットに対する閉成速度の測定を可能にする出力を行い得る。ターゲットのレーダー断面および帰還信号の特性も、移動している対象物を特徴づけ、識別するための手段として使用され得る。
【0007】
動いている対象物を検出し識別するための代替手段は、対象物を検出するために使用される1つまたは複数のビデオカメラを備える視覚システムである。車両のための視覚システムは、車両に近接して位置する対象物を識別し分類する。このシステムは、車両に近接したシーンの深度マップを発生するために処理される像を生成するセンサアレイを備える。深度マップは処理され、車両に近接して見え得るターゲット対象物のプリレンダリングされたテンプレートと比較される。プリレンダリングされたテンプレートを深度マップ像と整合することによって、ターゲットリストが生成される。システムはターゲットリストを処理して、ターゲットサイズおよび分類推定を生成する。ターゲットは、次いで、それが車両の近くに移動したときに追跡され、ターゲット位置、分類および速度が判定される。車両のためのさらなる代替の対象物検知システムは、車両の周囲の少なくとも一部分の画像を収集するための赤外線カメラと、カメラによって収集された画像の少なくとも一部分にアルゴリズムを適用するためのプロセッサとを備え、アルゴリズムは、カメラによって検出された、関連のないホットまたはウォームな対象物を識別し、画像中の関連のない対象物の輝度および/または弁別性を低減する。
【0008】
車両の近傍にある対象物を分類するために分類システムが使用される。このシステムは、典型的には、カメラデータを収集するためのビデオ/赤外線カメラと、反射された放射データを収集するための反射放射システムと、分類器とを備える。ビデオ/赤外線カメラと、反射放射システムとからの生データは、分類器によって合成され分析され得、分類器は、カメラシステムと反射放射システムの両方によって収集されたデータ中に現れる対象物のタイプに関係する出力を提供するように構築される。
【0009】
既存の対象物分類器は、カメラまたはレーダーシステムなどの車両センサからのデータを分析するように動作可能であるコンピュータプログラムを備える。分類器は、新しい種類の検出された対象物のタイプに関してプログラムが正確な判定を行うことが可能であるように、異なる状況における多くの異なるタイプの対象物への曝露でトレーニングされる。既知のタイプの対象物は、将来の参照のためにデータベースに記憶され得る。以後のテキストでは、カメラまたはレーダー/超音波システムを備える車両センサのために「衝突前センサ」という用語が使用される。
【0010】
車両はまた、実際の衝撃を検出するために、加速度計または圧力センサなど、1つまたは複数の接触センサを設けられる。以後のテキストでは、このタイプの接触センサのために「衝突中センサ」という用語も使用される。現代の車両は、車両のフロントバンパーまたは同様の好適な部分上に5〜10個の接触センサを設けられ得る。
【0011】
衝撃が差し迫っていると、または衝突が起きていると車両衝突センサによって判定されたとき、関与する他の対象物のタイプに部分的に応じて、これらの外部安全システムのうちの1つまたは複数が展開され得るか、あるいは安全システムが複数の可能なモードのうちの1つで展開され得る。車両が歩行者にぶつかろうとしているように見える場合、外部エアバッグおよび/またはボンネットリフタの形態の外部安全システムがアクティブにされ得るが、車両が木などの無生物対象物にぶつかろうとしているように見える場合、これらの保護システムは展開される必要がない。したがって、車両安全システムが最適な様式でアクティブにされるために、車両の近傍にある対象物の正確な分類が望ましい。
【0012】
衝突前センサから取得される情報は有益なデータをもたらすが、外部エアバッグを展開するために衝突前センサ信号のみに依拠すると、いくつかの否定的結果が得られる。前述のように、外部エアバッグの展開は、有意なイベントであり、衝撃が切迫している状況において必要とされるときのみ行われるべきである。衝突前センサは「フォールスポジティブ」(FP)指示を受けやすい。これらは、典型的には地面反射、小さい対象物の投影、およびソフトウェアの誤解などの現象に起因し、これらのフォールトは、「だまし」および「ゴースト」とも呼ばれる。例えば、反射タイプの幾何学的形状をもつ小さい金属対象物は、小型車のように多くのエネルギーを返すことができ、このように、その対象物が車両に実質的な形で損傷を与えるのにはあまりに小さいときでも、レーダーにおいて衝突信号を発生させ得る。また、ターゲットは衝突を回避するのに十分高速に進んでいるが、衝突前センサが外部安全システムにトリガリング信号を提供し得る、「ニアミス」状況があり得る。
【0013】
相対速度は、対象物の分類のための尺度である。相対速度は、例えば、関係する対象物が静止しているかどうか、またはその対象物がある速度で移動しているかどうかを確定するために使用され得る。例えば、歩行者は、限られた最大速度しか有しないので、歩行者を車両と区別するのは容易である。これはまた、その場合、特に事故の重大度を考慮に入れるために使用され得る。したがって、これにより、本発明による装置は、速度に基づいてアクチュエータシステムのためのトリガリング決定を行うことができるようになることが可能になる。速度情報の助けをかりて、衝撃信号は、それが歩行者に関与するのか、サイクリストに関与するのか、または別の対象物に関与するのかに関して、区別することがより容易になる。このように、速度を含めることは、アクチュエータシステムのフォールストリガリングを防止するのに役立つ。全体的に、これは、衝撃信号、すなわち、接触センサシステムからの信号のより正確な評価をもたらす。例えば、高速で軽い対象物は、低速で重い対象物と同様の衝撃信号を提供し得る。これは、速度の知識により、様々な対象物の分類が改善されるように、およびそれによりアクチュエータシステムをトリガするための決定も改善されるように、次元によって決定空間が拡張されることを示す。以後のテキストでは、「歩行者」という用語は、外部安全システムがそれにとって好適である任意の移動している対象物、すなわち歩行者およびサイクリスト、ならびに動物を含むものとして解釈されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2007/067121号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2256007号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、上記の問題を緩和または克服するための改善された車両安全システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的は、歩行者を保護するための外部安全システムと、外部安全システムをアクティブにするための装置とを備える車両安全システムによって達成される。本装置は、衝突前センサシステムと衝突中センサシステムとに接続され、衝突前センサシステムからの第1の信号の対象物分類を実施するように構成される。本装置は、次いで、対象物分類の関数として衝突中センサシステムのためのしきい値を決定する。
【0017】
本発明によれば、本装置は、歩行者として分類される対象物を示す第1の信号の関数として、第1のしきい値をノーマルしきい値よりも低く設定するように構成される。このコンテキストでは、ノーマルしきい値は、能動センサシステムから入手可能な入力がないとき、本装置によって使用される記憶されたしきい値である。
【0018】
本装置は、非歩行者として分類される対象物を示す第1の信号の関数として、第2のしきい値をノーマルしきい値よりも高く設定するように構成される。
【0019】
さらに、本装置は、第1の信号についての正確な分類の確率の関数として、設定されたしきい値をノーマルしきい値としきい限界値との間で補間するように構成される。
【0020】
本装置は、設定されたしきい値と、衝突中センサシステムからの第2の信号を比較するように構成され、それにより、設定されたしきい値を超える場合、外部安全システムはアクティブにされる。
【0021】
このコンテキストでは、分類が、歩行者として分類される対象物が検出されていることがあり得ることを示す場合、本装置は、第1のしきい値をノーマルしきい値と最小値との間で補間されるように設定することができる。同様に、分類が、非歩行者として分類される対象物が検出されていることがあり得ることを示す場合、本装置は、第2のしきい値をノーマルしきい値と最大値との間で補間されるように設定することができる。
【0022】
第1の代替例によれば、本装置は、歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号の関数として、正確な分類の確率が最大値を有する場合、第1のしきい値を最小しきい限界値に等しく設定するように構成される。
【0023】
第2の代替例によれば、本装置は、対象物なしを示すかまたは可能性がある歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号の関数として、正確な分類の確率が最小値と最大値との間にある場合、第1のしきい値を最小しきい限界値よりも高く設定するように構成される。
【0024】
第3の代替例によれば、本装置は、非歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号の関数として、正確な分類の確率が最大値を有する場合、第2のしきい値を最大しきい限界値に等しく設定するように構成される。
【0025】
第4の代替例によれば、本装置は、可能性がある非歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号(A1)の関数として、正確な分類の確率が最小値と最大値との間にある場合、第2のしきい値を最大しきい限界値よりも低く設定するように構成される。
【0026】
第5の代替例によれば、本装置は、衝突前センサから入力が入手可能でないことを示すかまたは衝突前センサ障害を示す第1の信号の関数として、しきい値をノーマルしきい値に等しく設定するように構成される。この状況は、例えば、モノ視覚システムのように、対象物のいくつかのタイプのみを検出することができるが、一般的な対象物分類を有しないセンサについて起こり得る。この場合、衝突中センサからの入力が、外部安全システムのトリガリングのために決定的になる。
【0027】
さらなる代替例によれば、本装置は、検出された対象物なしを示す第1の信号の関数として、しきい値を最小しきい限界値に等しく設定するように構成される。この状況は、例えば、レーダーシステムなど、車に衝撃を及ぼしている何らかの対象物が通常そこで見られるセンサについて起こり得る。そのようなシステムでは、車両の通路中に立っている対象物が見られる可能性が極めて高い。ただし、そのようなセンサは限られた視野を有するので、車両の前を通過している移動中のターゲットは、センサによって検出される前に当たられることがある。この場合、対象物が見えなかった場合、それは、対象物が車両の前に出ているからであると仮定され得る。そのような対象物は歩行者である可能性がある。したがって、最小しきい限界値に等しいしきい値が設定されるべきである。
【0028】
上記で説明した車両安全システムでは、正確な分類の確率は、第1の信号と、少なくとも1つの追加の検出された車両関係のパラメータとの関数であり得る。好適な車両関係のパラメータの例は、運転者もしくは自動システムによって実施されたブレーキ作動の度合いなど、検出されたブレーキ作動、および/または、ステアリングホイール角度の変化率など、検出されたステアリングホイール作動である。
【0029】
上記の車両安全システム装置によって設定されるしきい値は、最大しきい限界値と最小しきい限界値との間の正確な分類の確率の線形関数であり得る。さらに、正確な分類の確率は、センサの信頼性レベルの関数である。
【0030】
センサの信頼性レベルは、センサから何らかの信号とともにブロードキャストされる一般情報を含み、正確であるべき情報上で信号提供者がどんな信頼性を有するのかを表す。例えば、車両中のCANバス上で提供される車両速度は、それぞれの速度センサからABSホイール速度のうちのいくつかが入手可能でない場合、速度は依然として推定され得るが、あまり正確でない、という信頼性レベルを有する。この場合、入力信号が通常よりも正確でないことを、この情報を使用している他のシステムに警告するために、信頼性レベルは低下され得る。したがって、信頼性レベルはセンサの固有プロパティである。衝突前センサの特定の場合、信頼性レベルは、環境条件(雨、雪、周辺光)またはセンサ診断法に基づき得る。
【0031】
上記の通りの車両安全システムは、180°よりも小さい視野を有する衝突前センサシステムを備える。また、外部安全システムは、連続的にアクティブにされるように構成される複数の火工構成要素を備える。外部安全システムは、少なくとも火工フードリフタおよび/または少なくとも1つの歩行者保護エアバッグを備えることができる。
【0032】
外部安全システムは、衝突前センサシステムを含む2つ以上のゾーンを備える。2つ以上のゾーンの合成視野は180°よりも小さい。さらに、本装置は、衝突前センサシステムからの第1の信号の関数として、ゾーンごとに個々のしきい値を決定するように構成される。各ゾーン中の外部安全システムは、好ましくは、必ずしもそうではないが、第1または第2の設定されたしきい値を超える場合に個々にアクティブにされる。
【0033】
本発明は、歩行者を保護するための外部安全システムをアクティブにするための装置にさらに関する。本装置は衝突前センサシステムと衝突中センサシステムとに接続される。本装置は、
衝突前センサシステムからの第1の信号の対象物分類を実施するための構成と、
対象物分類の関数として衝突中センサシステムのためのしきい値を決定するための構成と、
検出された対象物なしまたは歩行者として分類される対象物を示す第1の信号の関数として、第1のしきい値をノーマルしきい値よりも低く設定するための構成と、
非歩行者として分類される対象物を示す第1の信号の関数として、第2のしきい値をノーマルしきい値よりも高く設定するための構成と、
第1の信号についての正確な分類の確率の関数として、設定されたしきい値をノーマルしきい値としきい限界値との間で補間するための構成と、
衝突中センサシステムからの第2の信号をしきい値と比較し、しきい値を超える場合に装置がアクティブにされる構成
を備える。
【0034】
第1の代替例によれば、本装置は、歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号の関数として、正確な分類の確率が最大値を有する場合、第1のしきい値を最小しきい限界値に等しく設定するための構成を備える。
【0035】
第2の代替例によれば、本装置は、対象物なしを示すかまたは可能性がある歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号の関数として、正確な分類の確率が最大値を下回る場合、第1のしきい値を最小しきい限界値よりも高く設定するための構成を備える。
【0036】
第3の代替例によれば、本装置は、非歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号の関数として、正確な分類の確率が最大値を有する場合、第2のしきい値を最大しきい限界値に等しく設定するための構成を備える。
【0037】
第4の代替例によれば、本装置は、可能性がある非歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号の関数として、正確な分類の確率が最大値を有する場合、第2のしきい値を最大しきい限界値よりも低く設定するための構成を備える。
【0038】
本発明は、歩行者を保護するための外部安全システムをアクティブにするための方法にさらに関し、本システムは、外部安全システムをアクティブにするための装置を備える。本装置は、衝突前センサシステムと衝突中センサシステムとに接続され、衝突前センサシステムからの第1の信号の対象物分類を実施するように構成される。
【0039】
本方法は、
衝突前センサシステムからの第1の信号の対象物分類を実施するステップと、
対象物分類の関数として衝突中センサシステムのためのしきい値を決定するステップと、
検出された対象物なしまたは歩行者として分類される対象物を示す第1の信号の関数として、第1のしきい値をノーマルしきい値よりも低く設定するステップと、
非歩行者として分類される対象物を示す第1の信号の関数として、第2のしきい値をノーマルしきい値よりも高く設定するステップと、
第1の信号についての正確な分類の確率の関数として、設定されたしきい値をノーマルしきい値としきい限界値との間で補間するステップと、
衝突中センサシステムからの第2の信号をしきい値と比較し、しきい値を超える場合に装置をアクティブにするステップと
を伴う。
【0040】
第1の代替例によれば、本方法は、歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号の関数として、正確な分類の確率が最大値を有する場合、第1のしきい値を最小しきい限界値に等しく設定するステップを伴う。
【0041】
第2の代替例によれば、本方法は、対象物なしを示すかまたは可能性がある歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号の関数として、正確な分類の確率が最大値を下回る場合、第1のしきい値を最小しきい限界値よりも高く設定するステップを伴う。
【0042】
第3の代替例によれば、本方法は、非歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号の関数として、正確な分類の確率が最大値を有する場合、第2のしきい値を最大しきい限界値に等しく設定するステップを伴う。
【0043】
第4の代替例によれば、本方法は、可能性がある非歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号の関数として、正確な分類の確率が最大値を有する場合、第2のしきい値を最大しきい限界値よりも低く設定するステップを含む。
【0044】
第5の代替例によれば、本方法は、検出された対象物なしまたは衝突前センサ障害を示す第1の信号の関数として、しきい値をノーマルしきい値に等しく設定するステップを伴う。
【0045】
本方法は、第1の信号と、少なくとも1つの追加の検出された車両関係のパラメータとの関数として、正確な分類の確率を決定するステップをさらに伴うことができる。好適な車両関係のパラメータの例は、運転者もしくは自動システムによって実施されたブレーキ作動の度合いなど、検出されたブレーキ作動、および/または、ステアリングホイール角度の変化率など、検出されたステアリングホイール作動である。
【0046】
本方法は、最大しきい限界値と最小しきい限界値との間の正確な分類の第1の信号の確率の線形関数としてしきい値を決定するステップをさらに伴うことができる。さらに、正確な分類の確率は、センサの信頼性レベルの関数として推定され得る。
【0047】
本方法はまた、衝突前センサシステムをそれぞれ備える2つ以上のゾーンを備え、衝突前センサシステムからの第1の信号の対象物分類を実施する、外部安全システムに適用され得る。上記の方法を使用して、衝突前センサシステムからの第1の信号の関数として、ゾーンごとに個々のしきい値を決定することが可能である。このようにして、設定されたしきい値を超える場合、各ゾーン中の外部安全システムが個々にアクティブにされ得る。
【0048】
本発明によっていくつかの利点が獲得される。主に、運転スタイルおよびコンテキストにかかわらず、衝突前センサシステムからの第1の信号の対象物分類と、第1の信号についての正確な分類の確率とに基づいてシステムパラメータを調整することによって、所望の調整可能なトリガしきい値が達成され得る。本発明は、トリガオケージョンの数が妨げにならないよう調整されながら、それの存在および機能の確認を依然として提供して、運転者の快適さを最適化し、現実の利益を提供するので、これは好ましい。
【0049】
本発明は、検出された対象物を表す信号についての正確な分類の確率に基づいてアクティブ化しきい値を自動的に適応させることを目的とする。
【0050】
次に、添付の図面を参照しながら本発明についてより詳細に説明する。これらの概略図は、例示のために使用されるものにすぎず、本発明の範囲をいかなる形でも限定するものではない。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明による安全システムを備える車両の概略平面図を示す。
図2】様々な状況のためのしきい値レベルを示す概略図を示す。
図3】安全システムのセンサ出力信号の処理に関係する概略フローチャートを示す。
図4】本発明の代替実施形態を備える車両の概略平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、本発明による安全システムを備える車両の概略平面図を示す。図1において、センサシステム8は、関連する車両9とともに示されている。センサシステム8は、前方適用のために構築され、接近している対象物を感知し、歩行者、サイクリストまたは類似物との衝撃に対して車両9を準備する能力を有する。この例では、レーダーおよび視覚のために単一のセンサをそれぞれもつ適用例が示されているが、重複する視野を有する複数のセンサを提供することも可能である。
【0053】
センサシステム8は、好ましくはアンテナ(図示せず)から出ているマイクロ波領域において、無線周波数信号を受信するレーダーセンサ10を含む。レーダーセンサ10は、電子制御モジュール(ECM)12にレーダー出力信号20を提供する。視覚センサ11は、視覚情報を提供するために前方に向けられたフロントガラスヘッダに沿ってなど、好ましくは車両9の上側部分に取り付けられる。この例では、センサ11の視野は180°よりも小さい。視覚センサ11は、ECM12に視覚出力信号22を提供する。
【0054】
センサシステム8は、実際の衝撃を検出するために、加速度計または圧力センサなど、1つまたは複数の接触センサ16(1つを図示)をさらに含む。接触センサ16は、ECM12に接触出力信号24を提供する。接触センサ16は衝突中センサとも呼ばれる。レーダーセンサ10および視覚センサ11は衝突前センサとも呼ばれる。ECM12は、レーダー出力信号20と、視覚出力信号22と、接触出力信号24とを合成して、衝突が差し迫っているかどうか、および衝突中センサのためにしきい値を調整すべきかどうかを判定する。
【0055】
ECM12は、フロントバンパーおよび/またはフロントガラスの近傍に位置し得る、概略的に示された外部エアバッグ13と電気通信している。また、ECM12からの制御信号がフードリフタ14によって受信される。衝突中センサによって衝撃が検出されたとき、外部エアバッグ13とフードリフタ14との展開タイミングが調整され得、それにより、歩行者への潜在的衝撃が低減される。
【0056】
レーダーまたは視覚出力と衝突中センサ出力とに基づいて、追加の拡張可能な構造物(図示せず)の展開タイミングを調整することができる、さらなる制御信号が、そのような拡張可能な構造物と電気通信しているECM12によって送信され得る。追加の拡張可能な構造物の例は、フロントガラスおよび/またはAピラーをそれの両側でカバーしている拡張バンパーまたは外部エアバッグなどの安全装置を含む。衝突中センサによって衝撃が検出されたとき、車両9に衝撃を及ぼそうとしている対象物のタイプ、ベアリングまたは閉成速度に応答して、拡張可能な構造物の効果をより良く管理するために、拡張可能の構造物のうちの1つまたは複数の展開がタイミングをとられ得る。
【0057】
上記では特定の例が提供されたが、センサの各々によって提供される測定値のうちの1つまたはすべては、必要に応じて安全装置の様々な展開特性を調整する際に使用され得ることが、本発明に従って容易に企図される。
【0058】
例えば、いくつかの安全装置を順々にトリガすることが望ましいことがある。連続的にトリガされる装置の一例は、歩行者がフロントガラスより前にフードにしばしば衝撃を及ぼすことになるので、フロントガラス用の歩行者保護エアバッグの前にトリガされる火工フードリフタであり得る。衝突中センサによって衝撃が検出されたとき、車両9に衝撃を及ぼそうとしている対象物のタイプ、ベアリングまたは閉成速度に応答して、トリガリングシーケンスの順序およびタイミングがECM12によって決定される。
【0059】
本発明によれば、衝突前センサから取得される情報は、外部エアバッグを展開するために有益なデータをもたらす。安全システムの外部エアバッグおよび他の部分の不正確な展開を回避するために、センサおよびECM12からの「フォールスポジティブ」(FP)指示を低減し、「トゥルーポジティブ」(TP)指示を増加させることが望ましい。これは、衝突前センサと衝突中センサとからの情報を合成することによって達成される。衝突前センサからの情報は、衝突中センサシステムのためのしきい値を設定するために使用される。これについては以下でさらに説明する。
【0060】
レーダーセンサ10は、レンジ測定値、閉成速度、およびレーダー断面を取得するために、対象物から反射された無線周波数信号を分析する。レンジ測定値と閉成速度とに基づいて衝撃の時間推定値が計算される。レンジ測定値は、対象物と車両9との間の距離である。レーダーセンサ10は、高い精度で、典型的には5cm以内で距離情報を提供する。閉成速度は、対象物と車両9との間の相対速度の尺度である。衝撃の時間推定値は、外部エアバッグなどの安全装置を展開するために必要な時間と比較される。典型的には、外部エアバッグの展開時間は200msと30msとの間である。さらに、レンジ測定値は、安全装置を展開するために車両9からの必要なクリアランス距離と比較される。典型的には、外部エアバッグのためのクリアランス距離は100mmから800msまでの間である。衝撃の重大度を判定するために閉成速度も使用される。高い閉成速度はよりひどい衝撃に関連付けられるが、より低い閉成速度はあまりひどくない衝撃に関連付けられる。
【0061】
レーダー断面は、反射された無線周波数信号の強度の尺度である。反射信号の強度は概して対象物のサイズおよび形状に関係する。サイズおよび形状は、対象物の脅威にアクセスするために使用される。ECM12は、衝撃の時間と、衝撃の重大度と、脅威評価とを処理して、レーダー出力信号を提供する。
【0062】
視覚センサ11は、視覚レンジ測定のための手段と、車両の中心を通る長手方向軸からの角度偏移を判定するためのベアリングバルブ手段と、ベアリングレート(角度偏移の変化率)を判定するための手段と、対象物の物理サイズを判定するための手段とを提供する。これらの測定値は、ECM12が視覚センサ出力信号を提供することを可能にする。
【0063】
ECM12は、レーダー出力信号と視覚出力信号との一方または両方を使用して、以下を示す衝突前センサ出力信号を提供するために対象物の分類を実施する。
【0064】
1)正確な対象物が識別された、すなわち歩行者、サイクリストなど、
2)不正確な対象物が識別された、すなわち非歩行者対象物、または
3)対象物が識別されていない。
【0065】
同様に、実際の衝撃を検出するために加速度計または圧力センサなど、1つまたは複数の接触センサ16からの情報を処理することによって、ECM12は、以下を示す衝突中センサ出力信号を提供することができる。
【0066】
i)正確な対象物が識別された、すなわち歩行者、サイクリストなど、
ii)不正確な対象物が識別された、すなわち非歩行者対象物、または
iii)対象物が識別されていない。
【0067】
図2は、様々な状況のための可能なしきい値レベルを示す概略図を示す。衝突前センサ出力信号に応答して、上記で説明したECM12は、対象物分類の関数として衝突中センサシステムのための所望のしきい値T1、T2を設定するために、検出された対象物の分類を実施する。
【0068】
衝突前センサ出力信号は、以下の状況のうちの1つを示すように分類され得る。
【0069】
場合1)正確な対象物が識別された、すなわち歩行者、サイクリストなど、
場合2)不正確な対象物が識別された、すなわち非歩行者対象物、または
場合3)対象物が識別されていない。
【0070】
本発明によれば、ECM12は、特定の対象物分類を示す第1の信号の関数として、しきい値T1、T2をノーマルしきい値Tnに対して設定するように構成される。このコンテキストでは、ノーマルしきい値Tnは、能動センサシステムから入手可能な入力がないとき、ECM12によって使用される記憶されたしきい値である。さらに、装置は、第1の信号についての正確な分類の確率の関数として、設定されたしきい値を、ノーマルしきい値Tnと、上限しきい限界値または下限しきい限界値T1lim、T2limとの間で補間するように構成される。ECM12は、次いで、設定されたしきい値T1、T2と、衝突中センサシステムからECM12に送信された第2の信号A2を比較するように構成され、それにより、設定されたしきい値T1、T2を超える場合、外部安全システムはアクティブにされる。
【0071】
場合1
第1の代替例によれば、ECM12は、歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号の関数として、正確な分類の確率が最大値を有する場合、第1のしきい値T1を最小しきい限界値T1limに等しく設定するように構成される。この場合、分類は100%の確率、またはほぼ100%(例えば95〜100%)を有すると見なされており、対象物は、確実にまたは少なくとも極めて高い確度で歩行者として分類される。
【0072】
第1の代替例によれば、ECM12は、検出された対象物なしを示す第1の信号A1の関数として、第1のしきい値T1を最小しきい限界値T1limに等しく設定するように構成される。
【0073】
第2の代替例によれば、ECM12は、検出された対象物なしを示すかまたは可能性がある歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号の関数として、正確な分類の確率が最小値と最大値との間にある場合、第1のしきい値T1を最小しきい限界値T1limよりも高く設定するように構成される。この場合、ECM12は、図2の破線で示されているように、第1のしきい値T1をノーマルしきい値Tnと最小しきい限界値T1limとの間で補間されるように設定している。ここで、分類は、歩行者として分類される対象物が検出されていることがあり得ることを示す。分類の確率の度合いに応じて、第1のしきい値T1は、図2の矢印R1によって示されているように、ノーマルしきい値Tnと最小しきい限界値T1limとの間の線形関数として補間される。
【0074】
場合2
第3の代替例によれば、ECM12は、非歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号A1の関数として、正確な分類の確率が最大値を有する場合、第2のしきい値T2を最大しきい限界値T2limに等しく設定するように構成される。この場合、分類は100%の確率、またはほぼ100%(例えば95〜100%)を有すると見なされており、対象物は、確実にまたは少なくとも極めて高い確度で非歩行者として分類される。
【0075】
第4の代替例によれば、ECM12は、可能性がある非歩行者として分類される対象物が検出されたことを示す第1の信号A1の関数として、正確な分類の確率が最小値と最大値との間にある場合、第2のしきい値T2を最大しきい限界値T2limよりも低く設定するように構成される。分類の確率の度合いに応じて、第2のしきい値T2は、図2の矢印R2によって示されているように、ノーマルしきい値Tnと最大しきい限界値T2limとの間の線形関数として補間される。
【0076】
場合3
第5の代替例によれば、ECM12は、衝突前センサから入力が入手可能でないことを示すかまたは衝突前センサ障害を示す第1の信号A1の関数として、しきい値をノーマルしきい値Tnに等しく設定するように構成される。この状況は、例えば、モノ視覚システムのように、対象物のいくつかのタイプのみを検出することができるが、一般的な対象物分類を有しないセンサについて起こり得る。この場合、衝突中センサからの入力A2が、外部安全システムのトリガリングのために決定的になる。
【0077】
さらなる代替例によれば、装置は、検出された対象物なしを示す第1の信号A1の関数として、しきい値を最小しきい限界値T1limに等しく設定するように構成される。この状況は、例えば、レーダーシステムなど、車に衝撃を及ぼしている何らか対象物がそこで通常見られるセンサについて起こり得る。そのようなシステムでは、車両の通路中に立っている対象物が見られる可能性が極めて高い。
【0078】
ただし、そのようなセンサは限られた視野を有するので、車両の前を通過している移動中のターゲットは、センサによって検出される前に当たられることがある。この場合、対象物が見えなかった場合、それは、対象物が車両の前に出ているからであると仮定され得る。そのような対象物は歩行者である可能性がある。したがって、最小しきい限界値に等しいしきい値が設定されるべきである。
【0079】
図3は、安全システムがアクティブにされるべきであるかどうかを判定するための、衝突前センサ出力信号と衝突中センサ出力信号との処理に関係する信号および決定フローチャートを提供する。プロセスは、矢印A0によって示される、ECM12がレーダー出力信号20と視覚出力信号24と接触出力信号24とを含む複数の入力信号を受信したとき、30において開始される。第1のステップ31において、ECM12は、衝突前センサシステムからの出力信号20、22の対象物分類を実施して、衝突前出力信号A1の形態で第1の信号を生成する。第2のステップ32において、衝突前出力信号A1を使用して、対象物が検出されたか否かに基づいて衝突中センサシステムのためのしきい値を設定する。正確な対象物が検出されたかまたは対象物なしが検出されたと判定された場合(はい)、衝突中センサシステムのために第1のしきい値T1が設定される。第1のしきい値の設定については、上記の見出し「場合1」の下で説明した。対象物が検出されたが、正確な対象物ではないと判定された場合(いいえ)、衝突中センサシステムのために第2の比較的より高いしきい値T2が設定される。衝突中センサシステムのためのこのより高いしきい値T2は、検出された対象物が非歩行者であるときに使用される。第1のしきい値の設定については、上記の見出し「場合2」の下で説明した。
【0080】
衝突前センサから入力が入手可能でないと判定された場合、またはセンサ障害が起きていると判定された場合、ECM12は、上記の見出し「場合3」の下で説明したように、しきい値をノーマルしきい値Tnに等しく設定するように構成される。
【0081】
第3のステップ33において、ECM12は、衝突中センサシステムからの出力信号24を処理して、衝突中出力信号A2の形態で第2の信号を生成する。第4のステップ34において、衝突中出力信号A2が衝突前出力信号A1と合成されて、安全システムをアクティブにすべきか(はい)否か(いいえ)が決定される。ECM12の制御アルゴリズムは、安全システムをアクティブにする前に、衝突前出力信号A1と合成された衝突中出力信号A2について以下の条件を評価する。
【0082】
例1:衝突中出力信号A2は、正確な対象物または対象物なしが検出されたことを示すと判定された場合、衝突前出力信号A1が、正確な対象物が検出されたことを示しているとき(はい)、安全システムは35においてアクティブにされる。
【0083】
例2:衝突中出力信号A2は、対象物が検出されたことを示すが、正確な対象物ではないと判定された場合、衝突前出力信号A1が、対象物なしが検出されたことを示しているとき(はい)、安全システムは、35においてアクティブにされる。
【0084】
例3:衝突中出力信号A2は、正確な対象物が検出されたことを示すと判定された場合、衝突前出力信号A1が、対象物が検出されたことを示しているが、正確な対象物ではないとき(はい)、安全システムは35においてアクティブにされる。
【0085】
ECM12はまた、安全システムをアクティブにする前に、しきい値を超えていることを検出する。最初の2つの場合、合成されたセンサ決定はトゥルーポジティブ(TP)トリガリングであると見なされるので、衝突中センサシステムのために第1の比較的より低いしきい値T1が使用される。第3の場合、合成されたセンサ決定はフォールスポジティブ(FP)トリガリングであると見なされるので、衝突中センサシステムのために第2の比較的より高いしきい値T2が使用される。衝突中センサシステムのためにより高いしきい値T2を使用することにより、安全システムの正しいアクティブ化の確率が増加する。上記の場合のいずれも検出されない場合(いいえ)、プロセスは、36において開始30に戻る。
【0086】
本発明は、衝突中センサシステムの衝撃信号から衝撃を及ぼしている対象物を正確に推測するために、衝突前センサシステムを使用して、車両と、歩行者などの対象物との間の速度を考慮に入れるためのアルゴリズムを提供する。歩行者、サイクリスト、または類似物を保護するためのアクチュエータシステムをアクティブにするために使用されるとき、本発明による装置は、アクチュエータシステムをアクティブにするために使用されるアルゴリズムが、衝突前センサシステムと衝突中センサシステムの両方からの入力信号を使用するという利点を有する。衝突前センサシステムの信号A1は、外部安全システムのためのトリガリング信号を生成するための衝突中センサシステムのしきい値レベルTを決定するために使用される。衝突中センサシステムの信号A2は、衝突前センサシステムによって決定されたしきい値T1、T2と比較され、ここにおいて、衝突中センサシステムの信号A2は、外部安全システムをトリガすべきか否かを決定するときに決定的になる。例えば機能不全により、または検出すべき対象物がない場合、例えば、衝突前入力信号A1がないとき、ノーマルしきい値Tnが設定される。衝突中出力信号A2が、正確な対象物が検出されたことを示す場合(はい)、外部安全システムがトリガされる。
【0087】
本発明によれば、衝突中センサシステムからの信号を評価する際に相対速度を考慮に入れることも可能である。
【0088】
図4は、本発明による代替の安全システムを備える車両の概略平面図を示す。図1の参照番号を使用すると、図3は、センサシステム8が、関連する車両9とともに示されていることを示す。センサシステム8は、前方適用のために構築され、接近している対象物を感知し、歩行者、サイクリストまたは類似物との衝撃に対して車両9を準備する能力を有する。この例では、レーダーおよび視覚のために単一のセンサをそれぞれもつ適用例が示されているが、重複する視野を有する複数のセンサを提供することも可能である。
【0089】
この例では、センサ11の総視野は180°よりも小さく、車両の右側および左側をカバーする2つのゾーンZ1、Z2にそれぞれ分割される。この例では、両方のゾーンZ1、Z2は、車両を通る中心長手方向軸に対応する基準線Xに対して右側および左側に所定の角度に延びる。センサシステム8は、好ましくはアンテナ(図示せず)から出ているマイクロ波領域において、無線周波数信号を受信するレーダーセンサ10を含む。レーダーセンサ10は、各ゾーンZ1、Z2からのレーダー出力信号20、20’を電子制御モジュール(ECM)12に提供する。視覚センサ11は、視覚情報を提供するために前方に向けられたフロントガラスヘッダに沿ってなど、好ましくは車両9の上側部分に取り付けられる。視覚センサ11は、各ゾーンZ1、Z2からの個々の視覚出力信号22、22’をECM12に提供する。
【0090】
センサシステム8は、実際の衝撃を検出するために、加速度計または圧力センサなど、各ゾーンZ1、Z2のために1つまたは複数の接触センサ16、16’(1つを図示)をさらに含む。各ゾーンZ1、Z2は個々の接触センサ16、16’を設けられ、接触センサ16、16’は、各ゾーンZ1、Z2、からの接触出力信号24、24’をECM12に提供する。図3は、記述を明確にするためにゾーンごとに1つの接触センサしか示していないが、図示された接触センサ16および16’の各々は、車両の前部にわたって分散された複数のセンサを表すことができる。接触センサ16、16’は衝突中センサとも呼ばれる。レーダーセンサ10および視覚センサ11は衝突前センサとも呼ばれる。ECM12は、レーダー出力信号20、20’と、視覚出力信号22、22’と、接触出力信号24、24’とを合成して、一方または両方のゾーンZ1、Z2において衝突が差し迫っているかどうか、およびそれぞれのゾーンにおいて衝突中センサのためにしきい値を調整すべきかどうかを判定する。
【0091】
ECM12は、概略的に示された外部エアバッグ13と電気通信している。記述を明確にするために、ただ1つのエアバッグ13が示されているが、安全システムは、それぞれのゾーンにおいて個々に制御可能なエアバッグを備えることができ、これらのエアバッグは、フロントバンパーの左部分および右部分、フロントガラスの左部分および右部分の近傍に配置され得る。また、各Aピラーに沿った膨張可能な構造物が設けられ得る。また、ECM12からの制御信号がフードリフタ14によって受信される。衝突中センサによって衝撃が検出されたとき、それぞれのゾーンZ1、Z2中の外部エアバッグ13とフードリフタ14との展開タイミングが調整され得、それにより、歩行者への潜在的衝撃が低減される。
【0092】
レーダーまたは視覚出力と衝突中センサ出力とに基づいて、追加の拡張可能または膨張可能な構造物(図示せず)の展開タイミングを調整することができる、さらなる制御信号が、そのような拡張可能な構造物と電気通信しているECM12によって送信され得る。追加の拡張可能な構造物の例は、フロントガラスおよび/またはAピラーをそれの両側でカバーしている拡張バンパーまたは外部エアバッグなどの安全装置を含む。衝突中センサによって衝撃が検出されたとき、車両9に衝撃を及ぼそうとしている対象物のタイプ、ベアリングまたは閉成速度に応答して、拡張可能な構造物の効果をより良く管理するために、拡張可能の構造物のうちの1つまたは複数の展開が、1つまたは複数のゾーンについて個々にタイミングをとられ得る。
【0093】
上記では特定の例が提供されたが、センサの各々によって提供される測定値のうちの1つまたはすべては、必要に応じて安全装置の様々な展開特性を調整する際に使用され得ることが、本発明に従って容易に企図される。
【0094】
例えば、いくつかの安全装置を順々にトリガすることが望ましいことがある。連続的にトリガされる装置の一例は、歩行者がフロントガラスより前にフードにしばしば衝撃を及ぼすことになるので、フロントガラス用の歩行者保護エアバッグの前にトリガされる火工フードリフタであり得る。衝突中センサによって衝撃が検出されたとき、車両9に衝撃を及ぼそうとしている対象物のタイプ、ベアリングまたは閉成速度に応答して、トリガリングシーケンスの順序およびタイミングがECM12によって決定される。
【0095】
また、異なるゾーン中のいくつかの安全装置を個々にトリガすることが望ましいことがある。衝突前センサシステムは、すべてのゾーンを監視するように構成され、ゾーンごとに個々の第1の信号を発することになる。特定のゾーンのための設定されたしきい値を超える場合、各ゾーン中の外部安全システムが個々にアクティブにされ得る。複数のゾーンの使用は、複数のターゲットトラッキングを可能にする。このようにして、1つのゾーンでは、歩行者など、検出された第1のターゲットのために外部安全システムをアクティブにしながら、第2のゾーンでは、固定対象物など、検出された第2のターゲットに対する作動を防止することが可能である。
【0096】
上記で図1について説明した例の場合のように、衝突前センサから取得される情報は、1つまたは複数の外部エアバッグを展開するためのデータをもたらす。安全システムの外部エアバッグおよび他の部分の不正確な展開を回避するために、センサおよびECM12からの「フォールスポジティブ」(FP)指示を低減し、「トゥルーポジティブ」(TP)指示を増加させることが望ましい。これは、衝突前センサと衝突中センサとからの情報を合成することによって達成される。衝突前センサからの情報は、衝突中センサシステムのためのしきい値を設定するために使用される。
【0097】
レーダーセンサ10は、レンジ測定値、閉成速度、およびレーダー断面を取得するために、対象物から反射された無線周波数信号を分析する。図3に示された例では、この分析は各ゾーンZ1、Z2について実施され、それぞれのゾーンについて出力信号が提供される。レンジ測定値と閉成速度とに基づいて、それぞれのゾーンについての衝撃の時間推定値が計算される。レンジ測定値は、対象物と車両9との間の距離である。レーダーセンサ10は、高い精度で、典型的には5cm以内で距離情報を提供する。閉成速度は、対象物と車両9との間の相対速度の尺度である。衝撃の時間推定値は、1つまたは複数のゾーンにおいて外部エアバッグなどの安全装置を展開するために必要な時間と比較される。典型的には、外部エアバッグの展開時間は200msと30msとの間である。さらに、レンジ測定値は、1つまたは複数のゾーンにおいて安全装置を展開するために車両9からの必要なクリアランス距離と比較される。典型的には、外部エアバッグのためのクリアランス距離は100mmから800msまでの間である。衝撃の重大度を判定するために閉成速度も使用される。高い閉成速度はよりひどい衝撃に関連付けられるが、より低い閉成速度はあまりひどくない衝撃に関連付けられる。
【0098】
レーダー断面は、反射された無線周波数信号の強度の尺度である。反射信号の強度は概して対象物のサイズおよび形状に関係する。サイズおよび形状は、対象物の脅威にアクセスするために使用される。ECM12は、衝撃の時間と、衝撃の重大度と、脅威評価とを処理して、レーダー出力信号を提供する。
【0099】
視覚センサ11は、視覚レンジ測定のための手段と、車両の中心を通る長手方向軸からの角度偏移を判定するためのベアリングバルブ手段と、ベアリングレート(角度偏移の変化率)を判定するための手段と、対象物の物理サイズを判定するための手段とを提供する。これらの測定値は、ECM12が、各ゾーンZ1、Z2について視覚センサ出力信号22、22’を提供することを可能にする。
【0100】
上記の図4に関して説明したように、ECM12は、レーダー出力信号20、20’と、視覚出力信号22、22’との一方または両方を使用して、衝突前センサ出力信号を提供するために対象物の分類を実施する。対象物分類は、それぞれのゾーンをカバーしている衝突前センサおよび衝突中センサからの出力信号に基づいて、各ゾーンZ1、Z2について個々に実施される。ゾーンごとに、以下を示す衝突前センサ出力信号が提供される。
場合1)正確な対象物が識別された、すなわち歩行者、サイクリストなど、
場合2)不正確な対象物が識別された、すなわち非歩行者対象物、または
場合3)対象物が識別されていない。
【0101】
同様に、実際の衝撃を検出するために、加速度計または圧力センサなど、各ゾーンZ1、Z2において1つまたは複数の接触センサ16からの情報を処理することによって、ECM12は、以下を示すそれぞれのゾーンについての衝突中センサ出力信号を提供することができる。
場合1)正確な対象物が識別された、すなわち歩行者、サイクリストなど、
場合2)不正確な対象物が識別された、すなわち非歩行者対象物、または
場合3)対象物が識別されていない。
【0102】
図3は、出力信号に応答して、好適な接触しきい値を設定することによって、安全システムがアクティブにされるべきであるかどうかを判定するための、衝突前センサ出力信号と衝突中センサ出力信号との処理に関係する信号および決定フローチャートを提供する。しきい値の設定は、それぞれのゾーンをカバーしている衝突前センサおよび衝突中センサからの出力信号に基づいて、ゾーンごとに個々に実施される。したがって、図4に示される例は、しきい値を設定するために図1および図3に示された例と同じプロセスを使用し、その差異は、それぞれのゾーンについて個々のしきい値を設定するために、プロセスが各ゾーンについて同時に実施されることである。
【0103】
本発明は、上記で説明した実施形態に限定されないが、特許請求の範囲内で変更され得る。例えば、動作可能な速度範囲、および提案される最小速度しきい値についての例が与えられる。
図1
図2
図3
図4