(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474489
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】活性化可能なゲッター材料を含む接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 201/00 20060101AFI20190218BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20190218BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20190218BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J11/06
C09J7/30
【請求項の数】41
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2017-523283(P2017-523283)
(86)(22)【出願日】2015年10月15日
(65)【公表番号】特表2017-537998(P2017-537998A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2015073898
(87)【国際公開番号】WO2016066435
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2017年6月15日
(31)【優先権主張番号】102014222038.6
(32)【優先日】2014年10月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509120403
【氏名又は名称】テーザ・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】シュー・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】カイテ−テルゲンビューシャー・クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ゲーベルト・クリス
【審査官】
佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−126699(JP,A)
【文献】
特開2001−039475(JP,A)
【文献】
特表平06−503367(JP,A)
【文献】
米国特許第05888925(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第102012211335(DE,A1)
【文献】
特開2005−187793(JP,A)
【文献】
特開2005−336490(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0131244(US,A1)
【文献】
特表2017−536449(JP,A)
【文献】
特表2005−533919(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/095385(WO,A1)
【文献】
特開2011−001421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
H05B33/00− 33/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲッター材料並びに任意選択に溶剤を含む接着剤であって、外部刺激によって活性化可能な、ゲッター材料と浸透物との反応のための触媒を含み、かつ
前記ゲッター材料が、一般式Ra−Si−X4−aの少なくとも一種の化合物またはそれの部分縮合生成物であり、ここで
aは0〜3の整数を表し、
Xは、ハロゲン原子、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基もしくはtert−ブトキシ基、またはアセトキシ基を表し、
Rは、場合により置換された炭化水素残基を表し、該炭化水素残基は、加えて、環状および/または芳香族部分を含むことができ、及び該炭化水素残基は、一つ以上のヘテロ原子含有置換基を含むことができ、及び
接着剤がバリア接着剤であり、かつそれの接着材料ベースが、(反応性樹脂が存在する場合にはその硬化の後に)100g/m2d未満の水蒸気浸透速度を有する、
ことを特徴とする、接着剤。
【請求項2】
浸透物が水であることを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
ゲッターが、少なくとも2重量%の量で含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載の接着剤。
【請求項4】
ゲッターが、少なくとも3重量%の量で含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載の接着剤。
【請求項5】
ゲッターが、少なくとも5重量%の量で含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載の接着剤。
【請求項6】
触媒の量が、5重量%未満であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項7】
触媒の量が、2重量%未満であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項8】
触媒の量が、1重量%未満であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項9】
外部刺激が、UV放射線、温度変化、マイクロ波放射線または可視光であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項10】
外部刺激によって活性化可能な触媒が潜在性酸または潜在性塩基であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項11】
−少なくとも1種のポリマー、および
−少なくとも一種の粘着樹脂、
でできた接着材料ベースを含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項12】
前記ポリマーがエラストマーであることを特徴とする、請求項11に記載の接着剤。
【請求項13】
接着材料ベースが、少なくとも一つの硬化可能な基を有する少なくとも一種の反応性樹脂を更に含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項14】
接着剤がバリア接着剤であること、および接着材料ベースが、(反応性樹脂が存在する場合にはその硬化の後に)50g/m2d未満の水蒸気浸透速度を有することを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項15】
接着剤がバリア接着剤であること、および接着材料ベースが、(反応性樹脂が存在する場合にはその硬化の後に)15g/m2d未満の水蒸気浸透速度を有することを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項16】
ゲッター材料が、エトキシシランを含む群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項17】
エトキシシランが少なくとも一種の重合可能な基を追加的に含むことを特徴とする、請求項16に記載の接着剤。
【請求項18】
触媒が潜在性酸または潜在性塩基であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項19】
重合可能な基が、任意選択の反応性樹脂の基と重合可能であることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項20】
重合可能な基が反応性樹脂の基と同一のものであることを特徴とする、請求項19に記載の接着剤。
【請求項21】
ゲッター材料が、非芳香族系カルボジイミドを含む群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項22】
ゲッター材料が、酸性および/または塩基性の加水分解可能なエステルを含む群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項23】
ゲッター材料が、オキサゾリジン類の群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項24】
触媒が潜在性塩基であることを特徴とする、請求項23に記載の接着剤。
【請求項25】
ゲッター材料が、イソシアネート類の群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項26】
触媒が潜在性塩基であることを特徴とする、請求項25に記載の接着剤。
【請求項27】
ゲッター材料が、酸無水物の群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項28】
触媒が潜在性酸であることを特徴とする、請求項27に記載の接着剤。
【請求項29】
触媒が潜在性塩基であることを特徴とする、請求項27に記載の接着剤。
【請求項30】
少なくとも一つの硬化可能な基が、環状エーテル、ビニル、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシル、アミノおよびイソシアネートから選択される少なくとも一つの基であることを特徴とする、請求項1〜29のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項31】
接着剤が感圧接着性であることを特徴とする、請求項1〜30のいずれか一つに記載の接着剤。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか一つに記載の接着剤を含む接着テープ。
【請求項33】
有機電子機器内の構成物をカプセル化するための、請求項1〜31のいずれか一つに記載の接着剤または請求項32に記載の接着テープの使用。
【請求項34】
請求項1〜31のいずれか一つに記載の接着剤、または請求項32に記載の接着テープの施与方法であって、次のステップ
−接着すべき物品上に、接着剤または接着テープを施与するステップ、および
−外部刺激を用いてゲッター材料を活性化するステップ、
を含む前記方法。
【請求項35】
接着剤が反応性樹脂を含み、および外部刺激によって、ゲッター材料の活性化の他に、接着剤または接着テープの硬化も誘発されることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
土台上に配置された有機電気的装置を保護するための方法であって、
電子的装置が少なくとも部分的にカバーによって覆われるように、電子的装置上にカバーを施し、
さらにカバーを土台および/または電子的装置の少なくとも一部の面に貼付し、
貼付が、請求項1〜31のいずれか一つに記載の接着剤の少なくとも1つの層によってもたらされる方法。
【請求項37】
接着剤が、接着テープの層として存在することを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
最初に接着剤層が、場合によっては、さらなる層を含む両面で接着性の接着テープの構成要素としての接着剤層が、そしてその後のステップでカバーが、土台および/または電子的装置上に施されることを特徴とする請求項34〜37のいずれか一つに記載の方法。
【請求項39】
接着剤層とカバーが一緒に土台および/または電子的装置上に施されることを特徴とする請求項34〜38のいずれか一つに記載の方法。
【請求項40】
カバーが電子的装置を完全に覆うことを特徴とする、請求項34〜39のいずれか一つに記載の方法。
【請求項41】
電子的装置の周囲の土台の領域も、カバーにより完全にまたは部分的に覆われることを特徴とする、請求項34〜40のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲッター材料、並びに任意選択に溶剤を含む接着剤、この接着剤を含む接着剤、このような接着剤およびこのような接着テープの使用、およびこの接着テープまたは接着テープの施与のための方法に関する。さらに本発明は、この接着剤を備えた接着テープおよびこのような接着剤の使用に関する。
【0002】
このような接着剤は一般的に知られている。この接着剤中に含まれるゲッター材料は、接着剤中に侵入する、例えば水、酸素、低分子量炭化水素または揮発性有機化合物などの浸透性物質を捕捉することができる。このような接着剤は、例えば、水から保護すべき物品をカプセル化するのに役立つ。浸透性物質は、この場合は水である。このようなゲッターの特に重要な使用分野は(光)電子的装置である。
【背景技術】
【0003】
(光)電子的装置は、市販製品においてますます頻繁に使用されている。このような装置は、無機または有機電子的構造、例えば有機、有機金属またはポリマー系半導体またはこれらの組み合わせを含む。これらの装置および製品は、各々望まれる用途に依存して、剛性にまたは柔軟に構築され、この際、柔軟な装置への要望が増えている。このような装置の製造は、例えば凸版印刷、凹版印刷、スクリーン印刷、平版印刷のような印刷方法によって、または熱転写印刷、インクジェット印刷、もしくはデジタル印刷などのいわゆる「ノンインパクトプリンティング」のような印刷方法によっても行われる。しかし例えば化学気相成長(CVD)、物理気相成長(PVD)、プラズマ促進化学もしくは物理気相成長法(PECVD)、スパッタリング、(プラズマ)エッチング、または蒸着のような真空方法もよく使用されており、その際、構造化は一般的にマスクによって行われる。
【0004】
既に市販されている、またはその市場可能性が注目されている(光)電子的用途に関する例としては、ここでは電気泳動もしくはエレクトロクロミックを用いた構成物もしくはディスプレイ、表示装置およびディスプレイ装置における有機発光ダイオードもしくはポリマー発光ダイオード(OLEDもしくはPLED)、または照明として挙げればエレクトロルミネセンスランプ、発光電気化学セル(LEEC)、有機太陽電池、好ましくは色素太陽電池もしくはポリマー太陽電池、無機太陽電池、好ましくは特にケイ素、ゲルマニウム、銅、インジウム、およびセレンをベースとする薄膜太陽電池、ペロブスカイト太陽電池、有機電界効果トランジスタ、有機スイッチング素子、有機光増幅器、有機レーザダイオード、有機センサもしくは無機センサ、またはさらに有機もしくは無機ベースのRFIDトランスポンダーを挙げておく。
【0005】
カプセル化接着テープのさらなる用途は、バッテリー技術の分野で公知であり、特に、柔軟なマイクロバッテリーおよび薄膜バッテリー、とりわけリチウム含有のカソード、アノード、または電解質を含むバッテリーの分野で公知である。
【0006】
それゆえ本明細書において有機(光)電子的装置とは、少なくとも1種の電子的に機能し、少なくとも部分的には有機の成分、例えば有機金属化合物を含む電子的装置か、またはその電子的に機能する構成物の厚さが20μm未満の電子的装置のことである。
【0007】
無機および/または有機の(光)電子機器の分野、とりわけ有機(光)電子機器の分野における(光)電子的装置の十分な耐用期間および機能を実現するための技術的な課題は、その中に含まれるコンポーネントを浸透物から保護することである。浸透物は、多種の低分子有機化合物または低分子無機化合物、特に水蒸気および酸素であり得る。
【0008】
無機および/または有機の(光)電子機器の分野における、とりわけ有機原料を使用する場合の多くの(光)電子的装置は、水蒸気からも酸素からも影響を受けやすく、その際、多くの装置に関しては、水または水蒸気の侵入がより大きな問題としてランク付けされる。したがって電子的装置の耐用期間中はカプセル化による保護が不可欠であり、というのもそうしなければ、使用期間中に性能が低下していくからである。つまり、例えば構成要素の酸化により、例えばエレクトロルミネセンスランプ(ELランプ)もしくは有機発光ダイオード(OLED)のような発光装置の場合は光力が、電気泳動ディスプレイ(EPディスプレイ)の場合にはコントラストが、または太陽電池の場合には効率が、非常に短い期間内に著しく低下する可能性がある。
【0009】
できるだけ優れた封止を達成するためには、特殊なバリア接着剤(水蒸気遮断性接着剤とも言う)が使用される。(光)電子部品を封止するための優れた接着剤は、酸素および特に水蒸気に対する低い浸透性を有しており、装置への十分な付着性を有しており、かつ装置の表面をうまく流れることができる。
【0010】
バリア作用を特徴づけるには、一般的に酸素透過率OTR(Oxygen Transmission Rate)および水蒸気透過率WVTR(Water Vapor Transmission Rate)を提示する。それぞれの透過率は、特定の温度および分圧条件ならびに場合によっては相対湿度のようなさらなる測定条件の下でフィルムを通り抜ける酸素または水蒸気の面積当たりおよび時間当たりの流量を示す。これらの値が低ければ低いほど、それぞれの材料はカプセル化のためにより良く適している。浸透性の提示は、単にWVTRまたはOTRに関する値に基づくだけでなく、常に、例えば材料の厚さなどのような、浸透の平均経路長に関するデータまたはある特定の経路長に基づく規格化も内包している。
【0011】
浸透性Pは、気体および/または液体に対する物体の透過性に関する尺度である。低いP値は優れたバリア作用を示す。浸透性Pは、定常条件下での、特定の浸透経路長、分圧、および温度における、規定の材料および規定の浸透物に関する特異的な値である。浸透性Pは、拡散項Dおよび溶解度項Sの積で表される。すなわちP=D×S
溶解度項Sは、主として、浸透物に対するバリア接着剤の親和力を表している。水蒸気の場合は、例えば疎水性材料によって低いS値が達成される。拡散項Dは、バリア材料中での浸透物の可動性に関する尺度であり、分子の可動性または自由体積のような特性に直接的に左右される。強架橋された材料または高結晶質の材料ではしばしば比較的低いD値が達成される。しかしながら高結晶質の材料は一般的にあまり透明ではなく、比較的強い架橋は柔軟性を相対的に低くする。浸透性Pは、通常は分子の可動性が増すとともに上昇し、例えば温度が上昇する場合またはガラス転移点を超える場合にも上昇する。
【0012】
接着剤のバリア作用を高めるための手法は、水蒸気および酸素の透過性への影響に関して、両方のパラメータDおよびSを特に考慮しなければならない。これらの化学的特性に加え、浸透性への物理的な影響の効果、特に平均浸透経路長および界面特性(接着剤の表面流動挙動、付着性)も考慮に入れなければならない。理想的なバリア接着剤は、土台に非常に良好に付着するとともに、D値もS値も低い。
【0013】
低い溶解度項Sだけでは、優れたバリア特性を達成するためにはたいていの場合は不十分である。これに関する古典的な例は、特にシロキサンエラストマーである。この材料は極めて疎水性であるが(小さな溶解度項)、その自由に回転可能なSi−O結合(大きな拡散項)により、水蒸気および酸素に対するバリア作用は比較的低い。つまり優れたバリア作用のためには、溶解度項Sと拡散項Dの適切なバランスが必要である。
【0014】
さらに、スチレンブロックコポリマーおよび可能な限り水素化された樹脂をベースとするバリア接着剤が記載されている(DE102008047964A1(特許文献1)を参照)。
【0015】
ここでは、広く普及した接着材料系の浸透値(WVTR)も提示されている(37.5℃および相対湿度90%で測定)。典型的なアクリレートベースの感圧接着剤は、100g/m
2d〜1000g/m
2dの間の範囲内にある。シリコーン感圧接着剤は、鎖の可動性が高いので、水の浸透値は1000g/m
2d超とさらに高い。スチレンブロックコポリマーをエラストマー成分として使用する場合、まったくまたは完全には水素化されていない系に関するWVTR値は50〜100g/m
2dの範囲内であり、水素化された系(例えばSEBS)に関しては50g/m
2d未満の値が達成される。15g/m
2d未満の特に低いWVTR値は、純粋なポリ(イソブチレン)エラストマーによってもまたはスチレンおよびイソブチレンから成るブロックコポリマーによっても達成される。
【0016】
バリア作用を更に改善する可能性の一つは、侵入する物質、いわゆる浸透性物質、例えば水または酸素と反応する物質の使用である。この場合、(光)電子的装置に侵入する酸素または水蒸気などの浸透性物質は、これらの物質と化学的または物理的に、好ましくは化学的に結合し、それ故破過時間(ラグタイム(lag−time))を長める。これらの物質は、文献中では「ゲッター」、「スカベンジャー」、「乾燥剤」、または「吸収剤」と呼ばれている。以下ではゲッターの表現を使用する。ゲッターまたはゲッター材料は、少なくとも一種の浸透性物質の収着が可能な材料である。
【0017】
ゲッター材料は、例えば塩、例えば塩化コバルト、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化マグネシウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ケイ酸(例えばシリカゲル)、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸銅、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸コバルト、硫酸チタン、亜ジチオン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、二亜硫酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、珪藻土、ゼオライト、層状ケイ酸塩、例えばモンモリロナイトおよびベントナイト、金属酸化物、例えば酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム(活性アルミナ);さらにカーボンナノチューブ、活性炭、五酸化リン、およびシラン;易酸化性の金属、例えば鉄、カルシウム、ナトリウム、およびマグネシウム;金属水素化物、例えば水素化カルシウム、水素化バリウム、水素化ストロンチウム、水素化ナトリウム、および水素化リチウムアルミニウム;水酸化物、例えば水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウム、金属錯体、例えばアルミニウムアセチルアセトネート;さらに有機吸収剤、例えばポリオレフィンコポリマー、ポリアミドコポリマー、PETコポリエステル、一価および多価カルボン酸の無水物、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、もしくはメチルテトラヒドロ無水フタル酸、イソシアネート、またはたいていは例えばコバルトのような触媒と組み合わせて使用されるハイブリッドポリマーベースのさらなる吸収剤;さらなる有機吸収剤、例えば弱架橋されたポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アスコルベート、グルコース、没食子酸、もしくは不飽和油脂である。
【0018】
ゲッター材料は、それらの機能に相応して、本質的に浸透物を含まない材料として、例えば無水の材料として使用されるのが好ましい。これにより、フィラーとして使用される類似の材料からゲッター材料が区別される。つまり、シリカは例えば焼成シリカの形態でしばしば充填剤として用いられる。しかし、このフィラーは通常通りに周囲条件下に貯蔵されると、これは周囲から既に水を取り込んで、工業的に利用可能な規模ではもはやゲッター材料としては機能しない。乾燥したシリカまたは乾燥状態に維持したシリカでようやくゲッター材料として利用できる。ただし、既に部分的に浸透物と錯体形成した材料、例えばCaSO
4・1/2H
2O(硫酸カルシウム半水和物)または定義によれば一般式(SiO
2)m・nH
2Oの化合物として存在する部分的に水素化されたケイ酸を使用することもできる。
【0019】
ケイ酸とは、上述のように一般式(SiO
2)m・nH
2Oの化合物のことである。これは、湿式化学法、熱的方法、または焼成法によって製造される二酸化ケイ素である。ケイ酸のなかでは、とりわけケイ酸ゲルまたはシリカゲル、例えば湿度指示剤としてのコバルト化合物で含浸処理されたケイ酸ゲル(青ゲル)および焼成シリカが、適切なゲッター材料である。
【0020】
「収着」とは、1種または複数の物質が、別の物質(本発明によればゲッター材料)により取り込まれる工程のことである。それ故、ゲッターは、「収着体」または「収着剤」とも称することが可能である。この際、ゲッター材料による浸透性物質(複数種可)の収着は、例えば吸収または吸着によって行うことができ、ここで吸着は化学収着の形で起こっても、物理収着の形で起こってもよい。
【0021】
「浸透性物質」とは、ガス状もしくは液状物質として、または場合によっては固形の物質としても、保護すべき接着剤中に侵入し得、そしてその後これら中に浸透することができる物質のことと解される。このような物質は、上記および下記の記載において、「浸透物」と称する。浸透物は、接着剤自体からまたは環境から、例えば接着剤がコーティングされた接着テープの支持材料から由来して生じ得る。接着剤からまたは接着テープ自体からは、しばしば低分子量の有機化合物、例えば溶剤残留物、残留モノマー、オイル、樹脂成分、可塑剤並びに水が入ってくる。周囲からは、水、揮発性有機化合物(VOC)、低分子量炭化水素および酸素がしばしば入ってくる。
【0022】
例えば水の場合は、侵入する水の結合は、典型的にはシリカ、分子篩、ゼオライトまたは硫酸ナトリウムに吸着することによって物理的に行われる。化学的には、水は、アルコキシシラン、オキサゾリジン、イソシアネート、酸化バリウム、五酸化リン、アルカリ−およびアルカリ土類金属酸化物(例えば酸化カルシウム)、金属カルシウムまたは金属水素化物を介して結合される(WO2004/009720A2(特許文献2))。
【0023】
このようなゲッターとして記載されているのは、接着剤では主に無機充填材、例えば塩化カルシウムまたは様々な酸化物である(US5,304,419A(特許文献3)、EP2380930A1(特許文献4)またはUS6,936,131A(特許文献5)参照)。
【0024】
また有機系ゲッターも接着剤の分野で記載されており、例えば、EP2597697A1(特許文献6)では、ポリマー性アルコキシシランがゲッターとして使用されている。接着剤中のゲッターとしての数多くの様々なシランがWO2014/001005A1(特許文献7)に挙げられている。アルコキシシランの広い選択肢からは、当業者は、先ずは、例えばメトキシシランのような簡単に加水分解可能なアルコキシシランを選択するであろう。しかし、特に良好な活性は、アルコキシ基がエトキシ基である場合に、有機電子機器の構成物のカプセル化において達成される。驚くべきことに、メトキシシランと比べて非反応性のエトキシシランが、とりわけ高い温度において水分の浸透を明らかにより良好に減少させることが判明した。これは、メトキシシランが通常は、対応するエトキシシランよりもより高い反応性を有するために(Wacker社製品仕様書6085e/09.13 “GENIOSL(登録商標)”、第11頁、2013年9月(09.13)(非特許文献1))、予期できない。
【0025】
この種の接着剤またはこのような接着剤でできたテープでの困難さは、最終的な使用までの貯蔵および輸送にある。ゲッターを含む接着剤またはテープは、気密に封止した状態で、使用までに貯蔵および/または輸送する必要がある。特に水分などの侵入する浸透物はゲッターによって取り込まれ、それによって、これらは消費され、それゆえ、バリア特性が低下する。これは、まさに電子機器での使用で非常に不利である、というのも、接着テープは、大概は外部のコンバータで切断してダイカットとされ、そのために水分と接触するからである。それゆえ、テープ中の水捕捉剤は、コンバータがダイカットに必要とする時間および存在する気湿に応じて多少なりとも消費される。それ故、ゲッター機能が、すなわちゲッターとして作用する能力(この場合は水を取り込む能力)が低減するという以外は、接着剤または接着テープが施与後になおも持つゲッター能力、すなわち水取り込み能力がどの程度であるかを明確に示すことはもはや可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】DE102008047964A1
【特許文献2】WO2004/009720A2
【特許文献3】US5,304,419A
【特許文献4】EP2380930A1
【特許文献5】US6,936,131A
【特許文献6】EP2597697A1
【特許文献7】WO2014/001005A1
【特許文献8】US6,908,722B
【特許文献9】US4,231,951A
【特許文献10】US4,256,828A
【特許文献11】US4,058,401A
【特許文献12】US4,138,255A
【特許文献13】US2010/063221A1
【特許文献14】US3,729,313A
【特許文献15】US3,741,769A
【特許文献16】US4,250,053A
【特許文献17】US4,394,403A
【特許文献18】EP0542716B1
【特許文献19】US6489374
【特許文献20】US6,087,070
【特許文献21】US20040242867
【特許文献22】US20030212164
【特許文献23】EP2078608A1
【非特許文献】
【0027】
【非特許文献1】Wacker社製品仕様書6085e/09.13 “GENIOSL(登録商標)”、第11頁、2013年9月(09.13)
【非特許文献2】J.Org.Chem.,Vol.51,No.20,1986,pp.3827−3830
【非特許文献3】Donatas Satasの「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」(Satas & Associates, Warwick 1999)
【非特許文献4】「Chemie und Physik der synthetischen Polymere」,J.M.G.Cowie(Vieweg, Braunschweig)
【非特許文献5】「Makromolekulare Chemie」,B.Tieke(VCH Weinheim,1997)
【非特許文献6】ラドテックe5: UV&EB技術カンファレンス2006(ラドレック・インターナショナル,NA,23.−26.April 2006,Lakeside Center at McCormick Place-Chicago,IL)
【非特許文献7】「Coatings & Inks-Photoinitiators Part 3: What’s New or May Be Coming」(Gordon Bradley,24.01.2007)
【非特許文献8】「Encapsulation Nanotechnologies」,Vikas Mittal編集,Wiley
【非特許文献9】Gerd Habenicht:Kleben−Grundlagen,Technologien,Anwendungen,6.Auflage, Springer,2009
【非特許文献10】A.G.Erlatら、「47th Annual Technical Conference Proceedings−Society of Vacuum Coaters」、2004、654〜659頁
【非特許文献11】M.E.Grossら「46th Annual Technical Conference Proceedings−Society of Vacuum Coaters」、2003、89〜92頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
したがって、本発明が基づく課題は、ゲッター能力を顕著に損ねることなく、使用者において施与するまでの特に水分などの浸透物との短時間の接触を許容する接着剤を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0029】
驚くべきことに、冒頭に述べた種の接着剤が、外部刺激によって活性化可能な、ゲッター材料と浸透物との反応のための触媒を含むことによって、このような接着剤を得ることができることが見出された。本発明は、浸透物としての水の場合に特に好適である。
【0030】
このような接着剤では、ゲッター機能は、それが必要な場合、すなわち特に、接着剤が施与されおよび物品を浸透物、例えば水蒸気に対して封止するべき時に活性化できる。このような接着剤は、「スイッチング可能(schaltbar)」と称することができる。その浸透物結合機能、特に水結合機能は、触媒を外部刺激またはトリガーによって活性化することによって、外部刺激またはトリガーにより「スイッチを入れる」ことができる。接着剤の貯蔵または輸送中は、触媒、それ故ゲッター機能は、まだ活性化されていないまたはスイッチが入れられていない。ゲッターは、浸透物、特に水蒸気と反応しないかまたは顕著には反応せず、消費されない。接着剤が施与されそして実際に物品が水蒸気に対して封止されおよび水蒸気の侵入に対し保護されるべき時になって始めて、ゲッターが活性化されまたは「スイッチが入れられ」て、それの機能を発揮することになる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
触媒は、ゲッターと浸透物、特に水(蒸気)との反応の速度定数を変化させる。本発明の意味での変化は、速度定数が少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍、特に好ましくは少なくとも50倍高まった時の変化である。
【0032】
触媒は、例えば潜在性酸または潜在性塩基であることができ、すなわち、触媒は、活性化の後に、酸−塩基特性に関して化学的環境を変化させることができ、それ故、速度がその環境に依存する反応を加速することができる。それで、シランを例とした場合のpH値に対する反応速度の依存性は、J.Org.Chem.,Vol.51,No.20,1986,pp.3827−3830(非特許文献2)に記載されている。更なる水とのpH依存性の反応は、例えば、酸無水物、カルボジイミド類、オキサゾリドン類、エステル類またはイソシアネート類の加水分解である。
【0033】
環境の変化を起こし得るこのような潜在性系の例は、オニウム塩、特にスルホニウムおよびヨードニウム、並びにメタロセンをベースとする系である。
【0034】
水の場合には、ゲッター材料は、好ましくは中性または疑似中性環境において、水に対して最も低い活性を有する。この際、「中性環境」とは、水溶液では7のpHに相当するであろう環境のことを意味する。「疑似中性環境」とは、水溶液では6と8との間のpH、好ましくは6.5〜7.5のpHに相当するであろう範囲を意味する。中性環境では、ゲッター材料はこの場合には、水との反応にとってはそれの最小の反応速度を有する。反応速度は、水(蒸気)との顕著な反応が起こらない程に遅い。これに対して環境が酸性または塩基性である場合は、反応速度は大きく高まる。
【0035】
当業者には既知の他の触媒も、本発明に適している。これは、特に、ナノ−またはマイクロカプセル化された触媒に言える。これらの触媒は、カプセルを破開することによって活性化される。
【0036】
本発明による接着剤が含まれている触媒の量は、好ましくは5重量%未満、より好ましくは2重量%未満、特に1重量%未満である。すなわち、本発明による作用を達成するためには、比較的少ない量で十分である。
【0037】
「外部刺激」とは、触媒を活性化する触媒に対する外部からの作用を意味する。
【0038】
外部刺激として特に適したものは、UV放射線、温度変化、マイクロ波放射線、または可視光であり、ここでUV放射線が中でも特に好ましい。UV放射線によって簡単な活性化が可能であり;他方で、所望の施与の前に接着剤が誤ってUV放射線に曝されるということはまずあり得ず、そのため、意図しない活性化を避けることができる。
【0039】
特に好ましくは、接着剤は、少なくとも一種のエラストマーと少なくとも一種の粘着樹脂とからできた接着材料ベースを含む。そのため、特に適した接着剤は、接着材料ベース、ゲッター材料、任意選択に溶剤、並びに外部刺激を用いて活性化が可能な、ゲッター材料と浸透物との反応のための触媒を含む。
【0040】
更に、本発明による接着剤は好ましくは感圧接着性である。この接着剤は既に架橋前でも貼付すべき部位に付着するので、これは特に良好な取扱い性を可能にする。
【0041】
本発明による接着剤は、これが、少なくとも一つの硬化可能な基を有する少なくとも一種の反応性樹脂を更に含む場合に格別適している。このような接着剤は施与できるが、最初なまだ変形可能である。接着剤は、硬化可能な基の反応を行った後に始めて硬化し、そしてそれの完全な接着作用を発揮する。
【0042】
この際、硬化可能な基としては、環状エーテル、ビニル、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシル、アミノおよび/またはイソシアネートが特に適している。複数の異なる硬化可能な基が反応性樹脂中に存在してよい。
【0043】
接着剤が反応性樹脂を含む場合は、このような系は、取り扱いが特に簡単であり、この場合、ゲッター材料と水との反応用の触媒のための刺激は、同時に反応性樹脂の硬化のための開始剤である。ここで特に、UV放射線が刺激として特に適している。この時、触媒は光触媒である。
【0044】
他方で、反応性樹脂を含まない接着剤も好適である。このような接着剤は、追加的な硬化ステップを必要とせず、そのため、このような系では反応性基の硬化についてあり得る要求は考慮する必要はなく、ゲッター材料が必要とされる様に活性化されることだけが配慮される。
【0045】
特に、感圧接着剤は、反応性樹脂を含まない接着剤として格別適している。
【0046】
好ましくは、接着剤はバリア接着剤であり、それの接着材料ベースは、
(反応性樹脂が存在する場合には
その硬化後に)100g/m
2d未満、好ましくは50g/m
2d未満、特に15g/m
2d未満の水蒸気浸透速度を有する。
【0047】
好ましくは、接着剤は、触媒を刺激する前に中性または疑似中性の環境を示す。すなわち、好ましくは、接着剤は、酸性または塩基性基を含まない、特に有機酸、アクリル酸、メタクリル酸、アミン、アミドまたはそれらのポリマーを含まない。
【0048】
特に好ましくは、ゲッター材料は、アルコキシシランおよびアルコキシシロキサンを含む群から選択される少なくとも一種の化合物である。これらの化合物は中性環境を保証する。この際、アルコキシシランおよびアルコキシシロキサンは、好ましくは、モノマーとしてまたは2〜40個の繰り返しSiR
2基を有するオリゴマーとしてであることができる。これらの化合物は、鎖状または環状に形成され得る。
【0049】
「シラン」とは、一般式R
a−Si−X
4−aの化合物またはそれの部分縮合生成物のことと解される。上記式中、aは0〜3の整数を表し、好ましくは0または1を表す。Xは、加水分解可能な基を表し、例えばおよび好ましくはハロゲン原子、特に塩素、アルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基またはtert−ブトキシ基を表し、またはアセトキシ基を表す。加水分解可能な基の当業者には既知の他の例を、本発明の意味において同様に使用可能である。複数の置換基Xが存在する場合には、これらは同一かまたは互いに異なることができる。Rは、場合により置換された炭化水素残基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、並びにその分岐状異性体、ヘキシル基並びにその分岐状異性体、ヘプチル基並びにその分岐状異性体、オクチル基並びにその分岐状異性体、ノニル基並びにその分岐状異性体、デシル基並びにその分岐状異性体、ウンデシル基並びにその分岐状異性体、ドデシル基並びにその分岐状異性体、テトラデシル基並びにその分岐状異性体、ヘキサデシル基並びにその分岐状異性体、オクタデシル基並びにその分岐状異性体、またはエイコシル基並びにその分岐状異性体を表す。上記の炭化水素残基は、加えて、環状および/または芳香族部分を含むことができる。それの代表的な構造は、シクロヘキシル基、フェニル基およびベンジル基である。場合によっては、炭化水素残基R(複数可)は、例えば一つ以上のヘテロ原子含有置換基、例えばアミノ基、アミノアルキル基、グリシジルオキシ基、(メタ)アクリルオキシ基および類似物を含む。複数の置換基Rが存在する場合には、これらは同一かまたは互いに異なることができる。
【0050】
ゲッター材料として使用可能なシランは、好ましくは、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、(N−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−エチルアミノ)−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、(N−シクロヘキシル)−アミノメチルジメトキシメチルシラン、(N−シクロヘキシル)−アミノメチルトリメトキシシラン、(N−フェニル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、(N−フェニル)−アミノメチルジメトキシメチルシラン、(N−ベンジル−2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、[2−(N−ベンジル−N−ビニルアミノ)−エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩化水素、[2−(N−ベンジル−N−ビニルアミノ)−エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス−(3−プロピルトリエトキシシリル)−アミン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリ(2−メトキシエトキシ)−シラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、トリエトキシオクチルシラン、トリメトキシオクチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトメチルトリメトキシシラン、イソシアナトメチルジメトキシメチルシラン、トリス−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシシリルプロポキシ)−ベンゾフェノン、4−(3’−クロロジメチルシリルプロポキシ)−ベンゾフェノン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)−ジスルファン、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)−テトラスルファン、ビス−(トリエトキシシリルプロピル)−ポリスルファンおよびオクタデシルアミノジメチルトリメトキシシリルプロピルアンモニウムクロライドを含む群から選択される。他の非架橋性アルコキシシランもゲッター材料として使用可能である。
【0051】
本発明の意味におけるシロキサンとは、酸素原子を介して結合した少なくとも2つのSiR
2基を有する化合物のことである。本発明において格別適したアルコキシシロキサンでは、少なくとも一つの残基Rはアルコキシ基である。本発明において格別適したシロキサンの例は、上記段落で挙げたシランのオリゴマーまたはポリマーである。
【0052】
好ましくは、ゲッターは少なくとも一つの硬化可能な基を有する。この際、硬化可能な基としては、環状エーテル、ビニル、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシル、アミノまたはイソシアネートが特に適している。
【0053】
ゲッターとしてのアルコキシシロキサンの場合は、アルコキシシロキサンは、Si原子ごとに1つのアルコキシ基および1つの硬化可能な基を有することが好ましい。このアルコキシ基は、隣接するSiのアルコキシ基に対して同じまたは異なっていてよい。隣接する繰り返し単位の硬化可能な基も同じまたは異なっていてよい。
【0054】
ゲッターとしてのアルコキシシランの場合は、アルコキシシランは、少なくとも一つのエトキシ基および少なくとも一つの硬化可能な基を有し、ここで硬化可能な基は環状エーテル基である。環状エーテル基としては、エポキシド基またはオキシラン基が特に適しており、ここでシランとして2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、特に2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランおよび2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
【0055】
ゲッター材料の量が少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも3重量%、特に少なくとも5重量%である接着剤が、格別良好な特性を示す。この際、ゲッター材料の量が3〜15重量%、好ましくは4〜10重量%、特に4.5〜7重量%である接着剤が中でも特に有利である。
【0056】
接着剤中の反応性樹脂の割合は、15〜80重量%、とりわけ20〜70重量%、特に好ましくは25〜65重量%である。硬化後に良好な取扱い性および弾性接着剤を得るには、好ましい反応性樹脂割合は15〜35重量%、とりわけ20〜30重量%である。比較的強く架橋した貼付のためには、65〜80重量%の反応性樹脂割合が好ましい。弾性および架橋度に関連して特に均衡がとれているのは、35〜65重量%の反応性樹脂割合である。
【0057】
好ましい一実施形態では、反応性樹脂は、エポキシド基、特に脂肪族エポキシド基、特に好ましくは環状脂肪族エポキシド基を含む。硬化可能な基としてグリシジル基および/またはエポキシシクロヘキシル基を含む反応性樹脂が非常に好適である。
【0058】
反応性樹脂およびアルコキシシランもしくはアルコキシシロキサンが、同種の、とりわけ同じ硬化可能な基を有している接着剤が中でもとりわけ適している。この場合、反応性樹脂とアルコキシシロキサンもしくはアルコキシシロキサンが特に良好に相互に重合および架橋することができる。この際、この「同種の官能性の硬化可能な基」とは、例えば環の大きさが異なる環状エーテル、または環状脂肪族骨格が異なる環の大きさを持つエポキシエーテルのように、化学的に互いに非常に類似した基のことである。
【0059】
好ましい一実施形態では、接着剤は、カチオンにより、熱により、または放射線に誘発されて硬化する。さらに、接着剤が架橋性成分のカチオン硬化のための光開始剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0060】
特に好ましい実施形態の一つでは、接着剤は反応性樹脂を含み、そしてゲッターの硬化および活性化のステップは同時に行われ、および硬化および活性化は同じ方法で誘発される。それで例えば、反応性樹脂の架橋反応は、UVで誘発して開始することができる。UV放射線によって、中性から例えば酸性への環境の変化も起こすことができ、これもまた結果としてゲッターを活性化させる。並行した硬化と活性化が特に適している、というのも、接着剤または接着テープを施与した後に一つのステップしか必要とされないからである。同様に、たった一つの装置、例えば一つのUV放射線源しか必要とされない。同様に、硬化およびゲッター活性化は熱により誘発することができる。
【0061】
比較的弱い押圧下でも既に、接着下地との耐久性の接合を可能とし、そして使用後には、実質的に残渣を残すことなく接着下地から再び剥がすことができる接着剤を感圧接着剤と称する。感圧接着剤は、室温下に永続的に感圧接着性に作用し、すなわち十分に小さな粘度と高い付着性を有し、それによってこれらは、小さい押圧下に既に各々の接着下地の表面を濡らす。対応する接着剤の接着性は、それらの接着特性に基づき、再剥離性は、それらの凝集特性に基づく。感圧接着剤の基剤としては様々な材料が考慮される。
【0062】
ポリマーは一種のポリマーであることができるが、二種以上の異なるポリマーの混合物であることもできる。この際、少なくとも一種のポリマーは、特にエラストマーまたは熱可塑性ポリマーであることができる。
【0063】
エラストマーとしては、原理的には、例えばDonatas Satasの「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」(Satas & Associates,Warwick 1999)(非特許文献3)に記載されているような、感圧接着剤の分野で通常のすべてのエラストマーを使用することができる。
【0064】
本出願の意味において好ましいのは、使用されるエラストマーが、化学的には少なくとも1種のオレフィンモノマーまたはポリウレタンから形成されていることであり、例えば、ポリウレタン、天然ゴム、合成ゴム、例えばブチルゴム、(イソ)ブチルゴム、ニトリルゴム、もしくはブタジエンゴム、不飽和のもしくは部分的もしくは完全に水素化されたポリジエンブロック(ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(イソ)ブチレン、これらから成るコポリマー、および当業者に公知のさらなるエラストマーブロック)から成るエラストマーブロックを有するスチレンブロックコポリマー、ポリオレフィン、フッ素ポリマー、ならびに/またはシリコーンをベースとするエラストマーである。
【0065】
少なくとも1種のエラストマーが、少なくとも1種のオレフィンモノマーおよび/または少なくとも1種のポリウレタンから形成されることが好ましい。エラストマーが少なくとも1種のビニル芳香族系ブロックコポリマーであることが特に好ましい。
【0066】
ゴムまたは合成ゴムまたはこれらから生成されたブレンドが感圧接着剤の基材として使用される場合には、基本的に、必要な純度と粘度レベルに応じて、全ての入手可能な品質等級、例えばクレープタイプ、RSSタイプ、ADSタイプ、TSRタイプまたはCTタイプから選択することができ、そして合成ゴムまたは複数種の合成ゴムは、ランダム共重合されたスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(XIIR)、アクリラートゴム(ACM)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)またはポリウレタンおよび/またはこれらのブレンドの群から選択できる。
【0067】
少なくとも一種のポリマーとしては、当業者には既知の任意のタイプの熱可塑性ポリマー、例えば文献「Chemie und Physik der synthetischen Polymere」,J.M.G.Cowie(Vieweg, Braunschweig)(非特許文献4)および「Makromolekulare Chemie」,B.Tieke(VCH Weinheim,1997)(非特許文献5)に挙げられるようなポリマーも使用できる。これは、例えばポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(スチレン)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(カーボネート)、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(ウレタン)、ポリ(尿素)、フェノキシ樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリ(アミド)(PA)、ポリ(ラクテート)(PLA)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(スルホン)(PSU)、ポリ(エーテルスルホン)(PES)である。ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)およびポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)は確かにポリマーとして同様に可能であるが、本発明の意味では好ましくはない。
【0068】
アルコキシシランの加水分解の触媒のための潜在性触媒としては、特に、スルホニウム、ヨードニウムおよびメタロセンをベースとする系が使用可能である。スルホニウムをベースとするカチオンの例としては、US6,908,722B(特許文献8)中の記載(特に第10カラム〜第21カラム)が参照される。
【0069】
上記のカチオンの対イオンとして役立つアニオンの例としては、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、ヘキサフルオロホスフェート、パークロレート、テトラクロロフェレート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、ペンタフルオアヒドロキシアンチモネート、ヘキサクロロアンチモネート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート、ビ(トリフルオロメチルスルホニル)アミド、およびトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドが挙げられる。更に、ヨードニウムをベースとする開始剤には特に、塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンもアニオンとして考えられ得、しかし、この際、塩素および臭素を実質的に含まない開始剤が好ましい。
【0070】
具体的には、使用される系として次のものが挙げられる:
・スルホニウム塩(例えばUS4,231,951A(特許文献9)、US4,256,828A(特許文献10)、US4,058,401A(特許文献11)、US4,138,255A(特許文献12)、およびUS2010/063221A1(特許文献13)を参照)、
例えばトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、メチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリトリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、アニシルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−フェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−エトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−アセチルフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、トリス(4−チオメトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジ(メトキシナフチル)メチルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(4−オクチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス[4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル]スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(ドデシルフェニル)スルホニウムテトラキス(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフルオロメチルジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、フェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、5−メチルチアントレニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサンテニウムヘキサフルオロホスフェート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムテトラフルオロボレート、10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、5−メチル−10−オキソチアントレニウムテトラフルオロボレート、5−メチル−10−オキソチアントレニウムテトラキス(ペンタフルオロベンジル)ボレート、および5−メチル−10,10−ジオキソチアントレニウムヘキサフルオロホスフェートであり、
・ヨードニウム塩(例えば、US3,729,313A(特許文献14)、US3,741,769A(特許文献15)、US4,250,053A(特許文献16)、US4,394,403A(特許文献17)およびUS2010/063221A1(特許文献13))、例えば
ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジ−(4−メチルフェニル)−ヨードニウムテトラフルオロボレート、
フェニル−4−メチルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジ−(4−クロロフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジナフチルヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジ−(4−トリフルオロメチルフェニル)−ヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ−(4−メチルフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、
ジ−(4−フェノキシフェニル)−ヨードニウムテトラフルオロボレート、
フェニル−3−チエニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
3,5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
2,2’−ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、
ジ−(2,4−ジクロロフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ−(4−ブロモフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ−(4−メトキシフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ−(3−カルボキシフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ−(3−メトキシカルボニルフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ−(3−メトキシスルホニルフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ−(4−アセトアミドフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジ−(2−ベンゾチエニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ジアリールヨードニウムトリストリフルオロメチルスルホニルメチド、例えば
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ジアリールヨードニウムテトラキス−(ペンタフルオロフェニル)−ボレート、例えば
ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
(4−n−デシロキシフェニル)−フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)−フェニル]−フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)−フェニル]−フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、
[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)−フェニル]−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
[4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)−フェニル]−フェニルヨードニウムテトラキス−(ペンタフロロフェニル)−ボレート、
ビス−(4−tert−ブチルフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス−(4−tert−ブチルフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ビス−(4−tert−ブチルフェニル)−ヨードニウムトリフルオロスルホネート、
ビス−(4−tert−ブチルフェニル)−ヨードニウムトリフルオロボレート、
ビス−(ドデシルフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス−(ドデシルフェニル)−ヨードニウムテトラフルオロボレート、
ビス−(ドデシルフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ビス−(ドデシルフェニル)−ヨードニウムトリフルオロメチルスルホネート、
ジ−(ドデシルフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ジ−(ドデシルフェニル)−ヨードニウムトリフレート、
ジフェニルヨードニウムビスルフェート、
4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウムジスルフェート、4,4’−ジブロモジフェニルヨードニウムビスルフェート、
3,3’−ジニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジメチルジフェニルヨードニウムビスルフェート、
4,4’−ビス−スクシンイミドジフェニルヨードニウムビスルフェート、3−ニトロジフェニルヨードニウムビスルフェート、4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウムビスルフェート、
ビス−(ドデシルフェニル)−ヨードニウムテトラキス−(ペンタフルオロフェニル)−ボレート、
(4−オクチルオキシフェニル)−フェニルヨードニウムテトラキス−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)−ボレート、および(トリルクミル)−ヨードニウムテトラキス−(ペンタフルオロフェニル)−ボレート、
および
・フェロセニウム塩(例えばEP0542716B1(特許文献18)参照)、例えば
η5−(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−[(1,2,3,4,5,6,9)−(1−メチルエチル)−ベンゼン]鉄。
【0071】
更に、光潜在性塩基は、次の論文「Photolatent bases: new catalysts for UV−curing of coatings」,J. Studer et al.(ラドテックe5: UV&EB技術カンファレンス2006(ラドレック・インターナショナル,NA,23.−26.April 2006,Lakeside Center at McCormick Place-Chicago,IL)(非特許文献6)で発表)に記載されている。光潜在性塩基の前記論文に記載の例は、フェニルグリオキシレートのアンモニウム塩、ベンズヒドリルアンモニウム塩、N−ベンゾフェノンメチル−トリ−N−アルキルアンモニウム塩、アミンイミド誘導体、α−アンモニウムアセトフェノン塩またはN−メチルニフェジピンである。光潜在性塩基の更なる例は、「Coatings & Inks−Photoinitiators Part 3: What’s New or May Be Coming」(Gordon Bradley,24.01.2007)(非特許文献7)およびそこで引用されている次の米国特許、US6,489,374(特許文献19)、US6,087,070(特許文献20)、US20040242867(特許文献21)およびUS20030212164(特許文献22)に記載されており、例えば4−(オルト−ニトロ−フェニル)ジヒドロピリジン、第四級有機ホウ素系光開始剤、α−アミノアセトフェノン、並びにα−アンモニウムアルケン、イミニウムアルケンもしくはアミジニウムアルケンのテトラ−もしくはトリ−アリールアルキルボレート、並びにUV光が照射されるとDBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナン−5−エン)を放出する化合物などがある。
【0072】
他の活性化可能な触媒は、ナノ−もしくはマイクロカプセル化の当業者に既知の方法によって知られており、「Encapsulation Nanotechnologies」,Vikas Mittal編集,Wiley(非特許文献8)に詳しく記載されている。典型的な放出機構は、それの10.8.2章に記載されている。
【0073】
任意選択で含まれる粘着樹脂として適しているのは、当業者に例えばSatasから公知であるような粘着樹脂である。
【0074】
特に有利なのは、感圧接着剤が、好ましくは少なくとも部分的に水素化された粘着樹脂の少なくとも1種を含むことであり、有利なのは、エラストマー成分と相溶性であるか、または硬質ブロックと軟質ブロックから形成されたコポリマーが用いられる場合には主に軟質ブロックと相溶性の粘着樹脂(軟質樹脂)を含むことである。
【0075】
対応する粘着樹脂の環球法により測定された軟化温度が25℃超である場合が有利である。それだけでなく、これに加えて20℃未満の軟化温度を有する少なくとも1種の粘着樹脂が用いられる場合が有利である。これに関連して、必要な場合には、一方では接着技術上の挙動を、他方では接着下地上での表面流動(Auffliessverhalten)が微調整することができる。
【0076】
むしろ非極性のエラストマーとしては、ロジンおよびロジン誘導体をベースとする部分的にもしくは完全に水素化された樹脂、ジシクロペンタジエンの水素化された重合体、C
5−、C
5/C
9−もしくはC
9−モノマー流をベースとする部分的に、選択的にもしくは完全に水素化された炭化水素樹脂、α−ピネンおよび/またはβ−ピネンおよび/またはδ−リモネンおよび/またはΔ
3−カレンをベースとするポリテルペン樹脂、水素化重合体、好ましくは純粋なC
8−およびC
9−芳香族類をベースとする水素化重合体を感圧接着剤中の樹脂として有利に使用し得る。前述の粘着樹脂は、単独でまたは混合物としても使用し得る。
【0077】
この際、室温で固形の樹脂も、または室温で液状の樹脂も使用し得る。高い老化およびUV安定性を保証するためには、水素化度が少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の水素化樹脂が好ましい。
【0078】
架橋可能な成分とも称される任意選択的に含まれる反応性樹脂としては、例えばGerd Habenicht:Kleben−Grundlagen,Technologien,Anwendungen,6.Auflage,Springer,2009(非特許文献9)に記載されるような、感圧接着剤または反応性接着材料の分野において当業者には既知であって、成長反応(Aufbaureaktion)において架橋性高分子を形成するものであれば原則的に全ての反応性構成分を使用することができる。これは、例えば、エポキシド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、フェノール樹脂、クレゾールまたはノボラックをベースとするポリマー、ポリスルフィドまたはアクリルポリマー(アクリル、メタクリル)を形成する構成分である。
【0079】
架橋性成分の構造および化学的性質は、架橋性成分がエラストマー相と少なくとも部分的には混合可能であり、かつとりわけ適用温度、使用する触媒の種類、およびそれに類することに関してエラストマー相を本質的に損害および/または分解しない条件下で成長反応を実施できる限りにおいては、クリティカルではない。
【0080】
反応性樹脂は、環状エーテルから成り、かつ軟化温度が40℃未満、好ましくは20℃未満での、放射線化学的および場合によっては熱的な架橋に適していることが好ましい。
【0081】
環状エーテルをベースとする反応性樹脂は、特に、エポキシド、つまり少なくとも1つのオキシラン基を有する化合物、またはオキセタンである。これらは、芳香族またはとりわけ脂肪族または環状脂肪族の性質であることができる。
【0082】
使用可能な反応性樹脂は、一官能性、二官能性、三官能性、四官能性、またはより高い官能性〜多官能性に形成することができ、この官能性は環状エーテル基に関する。
【0083】
例は、制限されないが、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(EEC)および誘導体、ジシクロペンタジエンジオキシドおよび誘導体、3−エチル−3−オキセタンメタノールおよび誘導体、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルおよび誘導体、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルおよび誘導体、1,2−エタンジグリシジルエーテルおよび誘導体、1,3−プロパンジグリシジルエーテルおよび誘導体、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルおよび誘導体、より高級な1,n−アルカンジグリシジルエーテルおよび誘導体、ビス[(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル]アジペートおよび誘導体、ビニルシクロヘキシルジオキシドおよび誘導体、1,4−シクロヘキサンジメタノール−ビス−(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)および誘導体、4,5−エポキシテトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステルおよび誘導体、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)メチル)エーテルおよび誘導体、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテルおよび誘導体、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル(DGEBA)、水素化されたビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、水素化されたビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、エポキシフェノールノボラック、水素化されたエポキシフェノールノボラック、エポキシクレゾールノボラック、水素化されたエポキシクレゾールノボラック、2−(7−オキサビシクロ;スピロ[1,3−ジオキサン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン]、1,4−ビス((2,3−エポキシプロポキシ)メチル)シクロヘキサンである。
【0084】
カチオン硬化には、シクロヘキシルエポキシドをベースとする反応性樹脂、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(EEC)および誘導体ならびにビス[(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル]アジペートおよび誘導体が特に適している。
【0085】
反応性樹脂は、そのモノマーの形態で、またはダイマーの形態、トリマーの形態など〜そのオリゴマーの形態でも用いることができる。
【0086】
反応性樹脂同士の混合物が、しかし他の共反応性化合物、例えばアルコール(一官能性もしくは多官能性)またはビニルエーテル(一官能性もしくは多官能性)との混合物も、同様に可能である。
【0087】
本発明による接着剤が感圧接着性であることが特に好ましい。この接着剤は既に架橋前でも貼付すべき部位に付着するので、これは特に良好な取扱い性を可能にする。
【0088】
比較的弱い押圧下でも既に、接着下地との耐久性の接着を可能とし、そして使用後には、実質的に残渣を残すことなく接着下地から再び剥がすことができる接着剤を感圧接着剤と称する。感圧接着剤は、室温下に永続的に感圧接着性に作用し、すなわち十分に小さな粘度と高い付着性を有し、それによってこれらは、低い押圧下に既に各々の接着下地の表面を濡らす。対応する接着剤の接着性は、それらの接着特性に基づき、再剥離性は、それらの凝集特性に基づく。感圧接着剤の基剤としては様々な材料が考慮される。
【0089】
それだけでなく本発明は、片面または両面が本発明による接着剤でコーティングされた接着テープに関する。この接着テープは転写式接着テープであってもよい。接着テープは、特に簡単かつ精密な貼付を可能にし、したがって特に適している。
【0090】
最後に本発明は、とりわけ有機電子機器内の構成物をカプセル化するために、本発明による接着剤または本発明による接着テープをシーリング剤として使用することに関する。上で詳述したように、有機電子機器においては、コンポーネントを水(蒸気)から保護しなければならないことが極めて重要である。本発明による接着剤または接着テープは、その非常に優れたバリア特性により、相応の保護を持続させることができる。本発明による接着剤および本発明による接着テープは、高い透明性により、およびカプセル化すべき電子機器の損傷が少ないことにより、有機電子機器の縁のカプセル化だけでなく、とりわけ面全体のカプセル化にも適している。
【0091】
最後に、本発明は、接着剤または接着剤を備えた接着テープの、特に本発明のよる接着剤または本発明による接着テープの施与方法であって、次のステップ:
−接着すべき物品上に、接着剤または接着テープを施与するステップ、および
−外部刺激を用いてゲッター材料を活性化するステップ、
を含む方法に関する。
【0092】
上記方法を用いることにより、接着剤または接着テープのバリア作用が、それが必要な時になって始めて、すなわちそれが保護すべき物品をカプセル化または覆う時になって始めて発揮されるということが可能となる。その時点を過ぎて始めて、ゲッターが水捕捉剤として活性となる。その前はゲッター機能は活性化されないため、ゲッターは、前段階としての貯蔵または輸送中には消費されない。
【0093】
この場合、「接着テープ」という一般的な表現は、片面または両面に(感圧)接着剤が施された支持体材を含んでいる。この支持材は、すべての平坦な形成物、例えば2次元に延びたフィルムまたはフィルム切片、延びた長さおよび限られた幅を有するテープ、テープ切片、ダイカット(例えば(光)電子的装置の縁取りまたは境界画定の形で)、多層構成物、およびその類似物を含む。その際、多様な用途のために、例えばフィルム、織布、不織布、および紙のような非常に様々な支持材を接着剤と組み合わせることができる。さらに「接着テープ」という表現には、いわゆる「転写式接着テープ」、つまり支持材のない接着テープも含まれる。転写式接着テープの場合、接着剤はむしろ適用前に、剥離層を備えかつ/または抗付着特性を有する柔軟なライナーの間に施される。適用するためには、通常はまず1枚のライナーを取り除き、そして接着剤を適用し、その後、第2のライナーを取り除く。したがってこの接着剤は、(光)電子的装置内の2つの表面を結合するために直接的に使用することができる。
【0094】
ただし、2枚のライナーを用いてではなく、1枚だけの両面で剥離性に加工されたライナーを用いて作られる接着テープも可能である。この場合、接着テープシートはその上面が、両面で剥離性に加工されたライナーの片面で覆われており、接着テープシートの下面は、両面で剥離性に加工されたライナーの背面、特に巻物またはロールでの1つ隣りの巻きによって覆われている。
【0095】
接着テープの支持材として、ここではポリマーフィルム、複合フィルム、または有機層および/もしくは無機層を備えたフィルムもしくは複合フィルムを使用することが好ましい。このようなフィルム/複合フィルムは、フィルム製造に使用されるすべての一般的に流通しているプラスチックから成ることができ、これに限定されないが例として挙げるとすれば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、特に1軸延伸もしくは2軸延伸により生成された配向ポリプロピレン(OPP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルスルホン(PES)、またはポリイミド(PI)である。
【0096】
ポリエステルフィルムには、温度安定性をもたらし、機械的安定性を向上させるという利点がある。したがって本発明によるライナーにおける支持層は、ポリエステルフィルム、例えば2軸延伸ポリエチレンテレフタレートから成ることがとりわけ好ましい。
【0097】
好ましい一実施形態では、支持体材料が、1種または複数の特定の浸透物、とりわけ水蒸気および酸素に対するバリア機能も有している。このようなバリア機能は、有機材料または無機材料から成ることができる。バリア機能を備えた支持体材料は、EP2078608A1(特許文献23)に詳細に示されている。
【0098】
支持体材料が、少なくとも1つの無機バリア層を含むことが特に好ましい。無機バリア層として特に良く適しているのは、真空中で(例えば蒸発、CVD、PVD、PECVDにより)または大気圧下で(例えば大気圧プラズマ、反応性コロナ放電、または火炎熱分解により)堆積された金属、例えばアルミニウム、銀、金、ニッケル、またはとりわけ金属酸化物、金属窒化物、もしくは金属水窒化物のような金属化合物、例えばケイ素、ホウ素、アルミニウム、ジルコニウム、ハフニウム、もしくはテルルの酸化物もしくは窒化物、もしくは酸化インジウムスズ(ITO)である。さらなる元素でドープされた上述の形態の層も適している。
【0099】
両面で(自己)接着性の接着テープの場合、上側および下側の層として、同じもしくは異なる種類および/または同じもしくは異なる層厚の本発明による接着剤を使用することができる。その際、支持材の片面または両面を、従来技術に対応して前処理することができ、これにより例えば接着剤の定着性が改善される。同様に、片面または両面に例えばバリア層として機能し得る機能層を備えることもできる。これらの感圧接着剤層を、任意選択で剥離紙または剥離フィルムで覆うことができる。その代わりに一方の接着剤層だけを、両面で剥離性のライナーで覆うこともできる。
【0100】
一変形形態では、両面で(自己)接着性の接着テープにおいて、本発明による接着剤と、任意のさらなる接着剤、例えばカバー土台に特に良好に付着するかまたは特に優れた再配置性を示す接着剤とが企図される。
【0101】
転写式接着テープとして存在する場合または平坦な形成物上にコーティングされた状態で存在する場合でも、感圧接着剤の厚さは、1μmと2000μmの間、更に好ましくは5μmと500μmの間、特に好ましくは約12μmと250μmとの間である。
【0102】
土台上への向上した付着および/または緩衝作用を達成すべき場合には、50μmと150μmの間の層厚が使用される。
【0103】
1μmと50μmの間の層厚は、材料の使用量を減少させる。しかし、土台への付着性が低下する。
【0104】
両面接着テープに関しては、接着剤(複数可)について、個々の感圧接着剤層(複数可)の厚さが好ましくは1μm〜2000μmの間、さらに好ましくは5μm〜500μmの間、特に好ましくは約12μm〜250μmの間であることも適用される。両面接着テープにおいて、一方の本発明による接着剤と共にさらなる接着剤が使用される場合、さらなる接着剤の厚さが150μm超である場合も有利であり得る。
【0105】
片面または両面が接着材料でコーティングされた接着テープは、製造プロセスの最後にたいていはアルキメデス螺旋の形態でロールへと巻かれる。両面で接着性の接着テープの場合に接着剤同士が接触するのを防ぐため、または片面で接着性の接着テープの場合に支持体に接着剤が貼り付くのを防ぐため、接着テープを、巻く前にカバー材料(剥離材料とも言う)で覆い、このカバー材料が接着テープと一緒に巻かれる。このようなカバー材料は、当業者にはライナーまたはリリースライナーの名称で公知である。ライナーは、片面または両面で接着性の接着テープをカバーするだけでなく、純粋な接着剤(転写式接着テープ)および接着テープ切片(例えばラベル)を覆うためにも用いられる。
【0106】
さらなる主請求項は、土台上に配置された有機電気的装置を保護するための方法に関し、これに関しては、電子的装置が少なくとも部分的にカバーによって覆われるように、電子的装置上にカバーを施し、さらにカバーを土台および/または電子的装置の少なくとも一部の面に貼付し、この貼付を、接着剤の少なくとも1つの層によってもたらす。この接着剤層は、とりわけ接着テープの層として存在する。
【0107】
本発明による方法は、最初に(感圧)接着材料層を、場合によってはさらなる層を含む両面で接着性の接着テープの構成要素としての(感圧)接着材料層を、その後のステップでカバーを、土台および/または電子的装置上に施すように実施し得ることが有利である。さらなる有利な手順では、(感圧)接着材料層、場合によってはさらなる層を含む両面で接着性の接着テープの構成要素としての(感圧)接着材料層とカバーとを一緒に土台および/または電子的装置上に施す。
【0108】
したがって本発明による方法では、転写式接着テープを、最初に土台もしくは電子的装置と結合させるか、または最初にカバーと結合させることができる。ただし好ましいのは、転写式接着テープを最初にカバーと結合させることであり、なぜならそれにより、電子的装置に関係なく、電子的機能ユニットのアセンブリを事前に作製して、全体としてラミネートできるからである。
【0109】
本発明による方法は、カバーおよび/またはとりわけ転写式接着テープとしての(感圧)接着材料層が電子的装置を完全に覆うように実施し得ることが有利である。なぜならこの場合、光散乱作用が装置の全面にもたらされるからである。
【0110】
これに加え、電子的装置を覆って面全体に転写式接着テープをラミネートすることにより、気体スペースが存在しないので、縁カプセル化されただけの装置の気体スペースにはあるいは閉じ込められたかもしれない有害な浸透物の影響が排除される。
【0111】
本発明による方法は、電子的装置の周囲の土台の領域も、カバーにより完全にまたは部分的に覆うように実施することが好ましく、その際、貼り付けるための接着テープは、電子的装置の面全体を覆うことができる、好ましくは電子的装置の周囲の土台の領域も覆い、好ましくはカバーと同じ領域を覆うか、または一部の面に施すことができ、例えば電気的装置の周囲にフレーム状に、好ましくはカバーによっても覆われる領域および場合によっては追加的に電子的装置上の縁領域に施すことができる。
【0112】
本発明のさらなる対象は、少なくとも1つの(光)電子構造物および本発明による接着材料の層を含む(光)電子的装置であり、この接着材料層は、(光)電子構造物の面全体を覆っている。
【0113】
以下に、本発明のさらなる詳細、特徴、および利点を、好ましい例示的実施形態に基づいてより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【
図2】60℃/相対湿度90%でのCa試験の結果を示す。
【
図3】従来技術に基づく(光)電子的装置の概略図である。
【
図4】第1の本発明による(光)電子的装置の概略図である。
【
図5】第2の本発明による(光)電子的装置の概略図である。
【0115】
図3は、従来技術に基づく有機電子的装置1の第1の形態を示している。この装置1は土台2を有しており、この土台上に電子構造物3が配置されている。この土台2自体が浸透物に対するバリアとして形成されており、したがって電子構造物3のカプセルの一部を構成している。電子構造物3の上方には、しかもここでは電子構造物3から空間的に間隔をあけて、バリアとして形成されたさらなるカバー4が配置されている。
【0116】
電子構造物3を側面の側でもカプセル化すると同時にカバー4を電子的装置1のその他の部分と結合させるために、接着材料5が、電子構造物3の横で周囲を取り囲むように、土台2上に配置されている。これに関し、接着材料を、最初に土台2と結合させたのかまたは最初にカバー4と結合させたのかは大した問題ではない。接着材料5はカバー4を土台2と結合させる。これに加え接着材料5は、相応に厚い形態により電子構造物3からカバー4を離隔することを可能にする。
【0117】
接着材料5は、従来技術に基づく接着材料であり、つまり高い浸透バリアを備え、加えて高い割合でゲッター材料を充填し得る接着材料である。この構造では、接着材料の透明性は重要ではない。
【0118】
転写式接着テープは、ここではダイカットの形態で提供されており、このダイカットはその繊細な幾何形状により、実質的に面全体に適用される転写式接着テープより取扱いが困難であろう。
【0119】
図4は、(光)電子的装置1の本発明による一形態を示している。ここでもまた、土台2上に配置されており、かつ土台2によって下からカプセル化されている電子構造物3が示されている。この場合は電子構造物の上および側面で、例えばこの実施形態では転写式接着テープ6としての本発明による接着材料が面全体に配置されている。したがって電子構造物3は、上から完全に、転写式接着テープ6によってカプセル化される。その後、転写式接着テープ6上にカバー4が施される。転写式接着テープ6は、上で一般的な形態で述べられ、かつ以下に例示的実施形態においてさらに詳しく説明するような、本発明による転写式接着テープをベースとする転写式接着テープである。転写式接着テープは、示した実施形態では本発明による接着材料の1つの層からのみ成っている。
【0120】
前述の形態とは異なり、転写式接着テープにより電子的装置の面全体を覆うことで既に接着材料によりバリアが提供されているので、カバー4は必ずしも高いバリア要求を満たす必要はない。カバー4は、例えば単に機械的な保護機能を果たすだけでよく、ただしこのカバーをさらに浸透バリアとして設けてもよい。
【0121】
図5は、(光)電子的装置1の代替策としての一形態を示している。これまでの形態とは異なり、この場合は2つの転写式接着テープ6a、6bが設けられており、これらの転写式接着テープは、ここでは同一に形成されているが異なっていてもよい。第1の転写式接着テープ6aは、土台2上で面全体に配置されている。転写式接着テープ6a上に電子構造物3が配置され、この電子構造物は転写式接着テープ6aによって固定される。それから、転写式接着テープ6aおよび電子構造物3から成るこの複合体は、さらなる転写式接着テープ6bにより面全体を覆われ、したがって電子構造物3は転写式接着テープ6a、6bによりすべての面においてカプセル化される。ここでもまた転写式接着テープ6b上にカバー4が設けられる。
【0122】
したがってこの形態では、土台2もカバー4も、必ずしもバリア特性を有する必要はない。しかしそれでもなお、電子構造物3への浸透物の浸透をさらに制限するために、バリア特性を付与することができる。
【0123】
特に
図4および
図5に関し、これが概略図であることを指摘しておく。これらの図からは、特に、転写式接着テープがここでは、また好ましくは、それぞれ均質な層厚を有していることが明白ではない。つまり電子構造物への移行部では、図でそう見えるような鋭いエッジが形成されるのではなく、移行部は境界がはっきりせず、そしてむしろ、気体で満たされたまたは満たされていない小さな領域が残り得る。しかしながら場合によっては、特に真空下で適用が実施される場合は、下地に適合させることもできる。さらに、接着剤は局所的に異なる強さで圧迫されるため、流動プロセスによってエッジ構造部での高さの差をある程度ならすことができる。図示した寸法も原寸に比例しているわけではなく、むしろ分かりやすい表現だけを目的としたものである。特に電子構造物自体は一般的に比較的平べったく形成されている(しばしば1μm厚未満)。
【0124】
接着材料と電子構成物は必ずしも直接的に接触していなくてもよい。その間に、例えば電子構成物の薄層カプセルまたはバリアフィルムのようなさらなる層を配置してもよい。
【0125】
転写式接着テープの厚さは、すべての通常の厚さを含むことができ、つまり例えば1μm〜最高3000μmであることができる。好ましいのは25〜100μmの間の厚さであり、なぜならこの範囲内では接着力および取扱い特性が特に良くなるからである。さらなる好ましい範囲は3〜25μmの厚さであり、なぜならこの範囲内では、接着接合部を通って浸透する物質の量を、カプセル化が適用された接着接合部の断面が小さいことだけで低く保ち得るからである。
【0126】
本発明による転写式接着テープを製造するには、接着テープの支持体もしくはライナーの片面に、本発明による接着材料を溶液もしくは分散液もしくは100%(例えば融体)の状態でコーティングもしくは印刷するか、または接着テープを(共)押出成形によって製造する。その代わりに、支持体材料またはライナー上に貼り合わせることによる、本発明による接着材料層の転写による製造が可能である。接着材料層は、熱または高エネルギー放射線によって架橋することができる。
【0127】
この製造プロセスは、特定の浸透物が低い濃度でしかまたはほぼまったく含まれていない環境で行われるのが好ましい。例として、30%未満、好ましくは15%未満の相対湿度を挙げることができる。
【実施例】
【0128】
測定方法
破過時間の決定(耐用期間試験)
電子構成物の耐用期間を決定するための尺度としてカルシウム試験を採用した。カルシウム試験を
図1に示している。これについては真空中で、10×10mm2の大きさの薄いカルシウム層23をガラスプレート21上に堆積させ、その後、窒素雰囲気下で貯蔵する。カルシウム層23の厚さは約100nmである。カルシウム層23をカプセル化するために、試験すべき接着剤22および支持体材料としての薄いガラス板24(35μm、Schott社)を備えた接着テープ(23×23mm2)を使用する。薄いガラス板は安定化のため、光学的に高透明性のアクリレート感圧接着剤の50μm厚の転写式接着テープ25により、100μm厚のPETフィルム26をラミネートしていた。接着剤22がすべての側ではみ出した6.5mmの縁(A−A)を設けてカルシウム面23を覆うように、接着剤22をガラスプレート21上に適用する。非透過性のガラス支持体24により、感圧接着剤を通るかまたは界面に沿った浸透だけが確定される。
【0129】
この試験は、例えばA.G.Erlatら、「47th Annual Technical Conference Proceedings−Society of Vacuum Coaters」、2004、654〜659頁(非特許文献10)、およびM.E.Grossら「46th Annual Technical Conference Proceedings−Society of Vacuum Coaters」、2003、89〜92頁(非特許文献11)に記載されているような、カルシウムと水蒸気および酸素との反応に基づいている。この場合、水酸化カルシウムおよび酸化カルシウムへの変化によって増大するカルシウム層の光透過性が監視される。この変化は、上述の試験構成の場合は縁から起こり、したがってカルシウム面の可視面積が減少していく。カルシウム面の光吸収が半減するまでの時間を耐用期間と言う。この場合、この方法により、カルシウム面の面積の縁からの崩壊および面積内での点状の崩壊も、面全体の崩壊によるカルシウム面の層厚の均質な減少も捉えられる。
【0130】
測定条件として、60℃および相対湿度90%を選択した。サンプルは、層厚50μmの感圧接着剤で、面全体に気泡なく貼り付けた。Ca面の崩壊は、透過性を測定することによって求める。破過時間(lag−time(ラグタイム))は、水分がCaまでの距離を進むのに必要な時間として規定している(
図2参照)。60℃、相対湿度90%でこの時間に達するまでは、Ca面の透過性は僅かにしか変化せず、85℃、相対湿度85%では少し変化する。
【0131】
水蒸気の浸透性
水蒸気の浸透性(WVTR)の決定はASTM F−1249に従い行う。このために、感圧接着剤を、それ自体は浸透バリアに寄与しない高浸透性ポリスルホン膜(Sartorius社から入手可能)上に層厚50μmで施与する。水蒸気透過性は37.5℃および相対湿度90%で、測定装置としてMocon OX−Tran2/21を用いて決定する。
【0132】
分子量
数平均分子量M
nおよび重量平均分子量M
wの分子量決定は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて行った。溶離液としては、トリフルオロ酢酸を0.1体積%含むTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。測定は25℃で行った。プレカラムとして、PSS−SDV、5μ、10
3Å、ID8.0mm×50mmを使用した。分離にはカラムPSS−SDV、5μ、10
3Å並びに10
5Åおよび10
6、それぞれID8.0mm×300mmを用いた。試料濃度は4g/lであり、貫流量は1分当たり1.0mlであった。ポリスチレン標準に対して測定した。
【0133】
MMAPおよびDACP
MMAPは、変更を加えたASTM C611方法を使用して決定される混合メチルシクロヘキサンアニリン曇り点である。標準的な試験方法で使用されるヘプタンの代わりにメチルシクロヘキサンを用いる。この方法は、樹脂/アニリン/メチルシクロヘキサンを1/2/1(5g/10ml/5ml)の比で使用し、加熱されて透明なこの3種の成分の混合物を、ちょうど完全に曇るまで冷却することによって曇り点を決定する。
【0134】
DACPはジアセトン曇り点であり、樹脂5g、キシレン5g、およびジアセトンアルコール5gの加熱した溶液を、溶液が曇る時点まで冷却することによって決定する。
【0135】
環球式軟化温度:
接着樹脂軟化温度は、環球法として知られておりASTM E28に基づいて標準化されている該当する方法論に基づいて実施される。
【0136】
樹脂の粘着樹脂軟化温度の決定には、Herzog社の環球式自動装置HRB754を使用する。最初に樹脂サンプルを細かくすりつぶす。結果として生じた粉末を、底穴の開いた真鍮製シリンダ(シリンダの上部での内径20mm、シリンダの底穴の直径16mm、シリンダの高さ6mm)内に満たし、加熱台上で溶融させる。充填量は、樹脂が溶融後に、シリンダをはみ出ることなくいっぱいにするように選択する。
【0137】
結果として生じた試験体を、シリンダごとHRB754の試料保持具に装填する。粘着樹脂軟化温度が50℃〜150℃の間であれば、温度調節槽を満たすのにはグリセリンを使用する。より低い粘着樹脂軟化温度の場合は水浴を用いても作業できる。試験球は直径が9.5mm、重さが3.5gである。HRB754の手順に対応して、温度調節槽内の試料体の上方に球を配置し、試験体上に置く。シリンダの底から25mm下に受け板があり、受け板の2mm上には光バリアがある。測定工程中は温度を5℃/分で上昇させる。粘着樹脂軟化温度の温度範囲内では、球がシリンダの底穴を通って移動し始め、最終的には受け板上で停止する。この位置では球が光バリアによって検出され、この時点で温度調節槽の温度が記録される。2連で測定する。粘着樹脂軟化温度は、両方の個別の測定からの平均値である。
【0138】
接着剤層:
接着剤層を製造するため、様々な接着剤を溶液状態で、従来のライナー(シリコーン被覆されたポリエステルフィルム)上に、実験用塗布器によって施し、乾燥した。乾燥後の接着剤層厚は50±5μmである。乾燥は、それぞれの場合に、先ず室温下に10分間、そして実験室用乾燥庫内で120℃で10分間行った。それぞれの場合に、乾燥した接着剤層を、乾燥後直ぐに、第二のライナー(剥離力がより弱いシリコーン被覆したポリエステルフィルム)を用いてその開放面側にラミネートした。
【0139】
【表1】
【0140】
コポリマーとして、カネカ社のポリスチレン・ブロック・ポリイソブチレンブロックコポリマーを選択した。ポリマー全体におけるスチレンの割合は20重量%である。Sibstar62Mを使用した。モル質量M
wは60,000g/molである。ポリスチレンブロックのガラス転移温度は100℃であり、ポリイソブチレンブロックのガラス転移温度は−60℃であった。粘着樹脂として、Exxon社のEscorez5300(環球式軟化点105℃、DACP=71、MMAP=72)、つまり完全に水素化された炭化水素樹脂、およびEscorez 5600(軟化点100℃)、すなわち水素化された炭化水素樹脂を使用した。これらの原料および場合によってはアルコキシシランを、トルエン(300g)、アセトン(150g)、および特殊沸点スピリット60/95(550g)から成る混合物中で溶解し、したがって50重量%溶液ができる。
【0141】
続いて溶液に触媒を添加した。触媒は、プロピレンカーボネート中の50重量%濃度の溶液として存在していた。この光潜在性触媒は320nm〜360nmの領域内で吸収極大を示す。
【0142】
個々の例V1およびV2並びにK1およびK2の正確な組成は表1から分かる。
【0143】
【表2】
【0144】
グローブボックスにサンプルを入れた。このサンプルの一部を、Caを蒸着させたガラス土台上に、ゴムローラで気泡なくラミネートした。その後、第2のPETライナーを外し、薄いガラスの層を上にラミネートした。このサンプルを耐用期間試験のために使用した。
【0145】
接着剤の水分浸透測定の結果、並びに触媒の、それ故ゲッターの活性化の前と後での並びに試料を水に曝した後でのCa試験における水の確定された破過時間、表2に示す。
【0146】
【表3】
【0147】
比較例V1のため、本発明によるものではない、すなわちスイッチング可能ではない触媒を使用した。試料は、UV光を用いた照射によっては変化しない、ある特定のラグタイムを示す。このゲッターはスイッチング可能ではない。本発明による例K1では、ラグタイムは大きく変化する。例K1では、UV放射線による触媒の、それ故ゲッターの活性化後のラグタイムが、活性化の前よりも15倍長い。K2は、ゲッターの活性と反応性樹脂の硬化とを組み合わせた例である。活性化/硬化の前は、接着剤はラグライムを示さない。活性化/硬化によって、長いラグタイムが達成される。
【0148】
非活性化試料を含湿空気に一日曝すと、本発明によるものではない試料V1が示すことは、ゲッターが消費されそして水と既に反応してしまい、ラグタイムがゼロに低下したということである。これに対して、本発明による試料K1およびK2では、活性化されていないゲッターはこの一日間の間、含湿空気中に含まれる水と反応しなかった。試料のラグタイムは、含湿空気に曝されていない試料のラグタイムと実質同一であった。すなわち試料を水蒸気に曝したにもかかわらず、これはゲッターとしてのそれの有効性に対し影響を与えなかった。なぜならば、ゲッター機能はまだ活性化されていなかったからである。
【0149】
比較例V2は、WVTR値が高い試料は、測定可能なラグタイムを持たないことを示している。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
ゲッター材料並びに任意選択に溶剤を含む接着剤であって、外部刺激によって活性化可能な、ゲッター材料と浸透物との反応のための触媒を含むことを特徴とする、接着剤。
2.
浸透物が水であることを特徴とする、上記1に記載の接着剤。
3.
ゲッターが、少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも3重量%、特に少なくとも5重量%の量で含まれることを特徴とする、上記1または2に記載の接着剤。
4.
触媒の量が、5重量%未満、好ましくは2重量%未満、特に1重量%未満であることを特徴とする、上記1〜3のいずれか一つに記載の接着剤。
5.
外部刺激が、UV放射線、温度変化、マイクロ波放射線または可視光であることを特徴とする、上記1〜4のいずれか一つに記載の接着剤。
6.
外部刺激によって活性化可能な触媒が潜在性酸または潜在性塩基であることを特徴とする、上記1〜5のいずれか一つに記載の接着剤。
7.
−少なくとも1種のポリマー、とりわけエラストマー、および
−少なくとも一種の粘着樹脂、
でできた接着材料ベースを含むことを特徴とする、上記1〜6のいずれか一つに記載の接着剤。
8.
接着材料ベースが、少なくとも一つの硬化可能な基を有する少なくとも一種の反応性樹脂を更に含むことを特徴とする、上記1〜7のいずれか一つに記載の接着剤。
9.
接着剤がバリア接着剤であること、および接着材料ベースが、(反応性樹脂が存在する場合には硬化の後に)100g/m2d未満、好ましくは50g/m2d未満、特に15g/m2d未満の水蒸気浸透速度を有することを特徴とする、上記7または8に記載の接着剤。
10.
ゲッター材料が、エトキシシランを含む群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、上記1〜9のいずれか一つに記載の接着剤。
11.
エトキシシランが少なくとも一種の重合可能な基を追加的に含むことを特徴とする、上記10に記載の接着剤。
12.
触媒が潜在性酸または潜在性塩基であることを特徴とする、上記1〜11のいずれか一つに記載の接着剤。
13.
重合可能な基が、任意選択の反応性樹脂の基と重合可能であることを特徴とする、特に重合可能な基が反応性樹脂の基と同一のものであることを特徴とする、上記1〜12のいずれか一つに記載の接着剤。
14.
ゲッター材料が、非芳香族系カルボジイミドを含む群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、上記1〜13のいずれか一つに記載の接着剤。
15.
ゲッター材料が、酸性および/または塩基性の加水分解可能なエステルを含む群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、上記1〜14のいずれか一つに記載の接着剤。
16.
ゲッター材料が、オキサゾリジン類の群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、上記1〜15のいずれか一つに記載の接着剤。
17.
触媒が潜在性塩基であることを特徴とする、上記16に記載の接着剤。
18.
ゲッター材料が、イソシアネート類の群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、上記1〜17のいずれか一つに記載の接着剤。
19.
触媒が潜在性塩基であることを特徴とする、上記18に記載の接着剤。
20.
ゲッター材料が、酸無水物の群から選択される少なくとも一種の化合物であることを特徴とする、上記1〜19のいずれか一つに記載の接着剤。
21.
触媒が潜在性酸、好ましくは潜在性塩基であることを特徴とする、上記20に記載の接着剤。
22.
少なくとも一つの硬化可能な基が、環状エーテル、ビニル、アクリレート、メタクリレート、ヒドロキシル、アミノおよびイソシアネートから選択される少なくとも一つの基であることを特徴とする、上記1〜21のいずれか一つに記載の接着剤。
23.
接着剤が感圧接着性であることを特徴とする、上記1〜22のいずれか一つに記載の接着剤。
24.
上記1〜23のいずれか一つに記載の接着剤を含む接着テープ。
25.
有機電子機器内の構成物をカプセル化するための、上記1〜23のいずれか一つに記載の接着剤または上記24に記載の接着テープの使用。
26.
接着剤、特に上記1〜23のいずれか一つに記載の接着剤、または上記24に記載の接着テープの施与方法であって、次のステップ
−接着すべき物品上に、接着剤または接着テープを施与するステップ、および
−外部刺激を用いてゲッター材料を活性化するステップ、
を含む前記方法。
27.
接着剤が反応性樹脂を含み、および外部刺激によって、ゲッター材料の活性化の他に、接着剤または接着テープの硬化も誘発されることを特徴とする、上記26に記載の方法。
28.
土台上に配置された有機電気的装置を保護するための方法であって、
電子的装置が少なくとも部分的にカバーによって覆われるように、電子的装置上にカバーを施し、
さらにカバーを土台および/または電子的装置の少なくとも一部の面に貼付し、
貼付が、上記1〜23のいずれか一つに記載の接着剤の少なくとも1つの層によってもたらされる方法。
29.
接着剤が、接着テープの層として存在することを特徴とする上記28に記載の方法。
30.
最初に接着剤層が、場合によっては、さらなる層を含む両面で接着性の接着テープの構成要素としての接着剤層が、そしてその後のステップでカバーが、土台および/または電子的装置上に施されることを特徴とする上記26〜29のいずれか一つに記載の方法。
31.
接着剤層とカバーが一緒に土台および/または電子的装置上に施されることを特徴とする上記26〜30のいずれか一つに記載の方法。
32.
カバーが電子的装置を完全に覆うことを特徴とする、上記26〜31のいずれか一つに記載の方法。
33.
電子的装置の周囲の土台の領域も、カバーにより完全にまたは部分的に覆われることを特徴とする、上記26〜32のいずれか一つに記載の方法。