(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持部と、操作体と、前記支持部上で前記操作体を支持する弾性部材と、前記操作体の前記支持部への接近距離を検知する接近センサと、制御部とが設けられた操作装置において、
前記接近センサによって、または前記接近センサと別に設けられた傾き検知センサによって、前記支持部に対する前記操作体の傾き検知が可能とされており、
前記制御部では、
前記接近センサからの検知出力に基づいて押圧操作がなされたと判定するためのしきい値を、前記操作体の傾きに応じて変化させることを特徴とする操作装置。
前記操作体には、押圧位置を検知するタッチセンサが設けられており、前記制御部は、前記タッチセンサで検知された押圧位置と、前記操作体の傾きに応じて前記しきい値を変化させる請求項1記載の操作装置。
前記弾性部材として、前記操作体の前記支持部への接近距離に応じて反力が増加する複数の第1の弾性部材と、前記操作体の傾きに応じて反力が増加する第2の弾性部材とが設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載の操作装置。
前記支持部と操作体との間に、前記操作体の傾きを規制するリンク機構が設けられており、前記リンク機構を構成する支持リンクが、前記トーションバーとして機能する請求項6記載の操作装置。
支持部と、操作体と、前記支持部上で前記操作体を支持する弾性部材と、前記操作体の前記支持部への接近距離を検知する接近センサと、制御部とが設けられた操作装置において、
前記操作体には、押圧位置を検知するタッチセンサが設けられており、
前記制御部では、
前記接近センサからの検知出力に基づいて押圧操作がなされたと判定するためのしきい値を、前記タッチセンサで検知された押圧位置に応じて変化させることを特徴とする操作装置。
前記操作体の中心を押圧したときと前記中心から離れた位置を押したときとで、前記弾性部材からの反力がほぼ同じ値のときに押圧操作がなされたと判定されるように、前記しきい値が設定される請求項1ないし8のいずれかに記載の操作装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された操作装置のタッチパッドは、その中央部が機構式のスイッチで支えられ、スイッチを挟んだ両側が圧縮ばねで支えられた構造とすることで、タッチパッドを中央部から離れた位置で押したときの操作抵抗力の低下分を、圧縮ばねの弾性力で補強しようというものである。
【0008】
しかしながら、この構造では、タッチパッドがスイッチの真上である中央部またはその近くで押されて、タッチパッドがほぼ水平姿勢で押し込まれるときに、スイッチの反力とそれぞれの圧縮ばねの弾性力が全て同時に操作抵抗力として作用することになり、タッチパッドを押したときの操作反力がきわめて大きくなってしまう。すなわち、スイッチから離れた箇所が押されたときは圧縮ばねの補強による効果を期待できるが、スイッチの真上やスイッチの近くを押したときは逆に操作反力が過大になってしまい、タッチパッドをどこで押しても均一な反力を発生させる、という目的を十分に達成できるものではない。
【0009】
また、特許文献1に記載された構造は、タッチパッドの押し込みを機械式のスイッチで検知する構造であるから成り立つものであり、操作体と支持部の双方に対向する電極を設け、操作体と支持部の接近距離を電極間の静電容量で検知する構造では成り立つものではない。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、操作体に対する押圧箇所の違いによる操作反力の差を小さくでき、しかも静電容量式などの接近センサを使用した場合にも操作反力のばらつきを抑制できる操作装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、支持部と、操作体と、前記支持部上で前記操作体を支持する弾性部材と、前記操作体の前記支持部への接近距離を検知する接近センサと、制御部とが設けられた操作装置において、
前記接近センサによって、または前記接近センサと別に設けられた傾き検知センサによって、前記支持部に対する前記操作体の傾き検知が可能とされており、
前記制御部では、
前記接近センサからの検知出力に基づいて押圧操作がなされたと判定するためのしきい値を、前記操作体の傾きに応じて異ならせることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の操作装置は、前記操作体には、押圧位置を検知するタッチセンサが設けられており、前記制御部は、前記タッチセンサで検知された押圧位置と、前記操作体の傾きに応じて前記しきい値を変化させるものである。
【0013】
本発明の操作装置は、前記接近センサが複数設けられており、それぞれの前記接近センサからの検知出力により、前記操作体の傾きを検知するものである。あるいは、前記傾き検知センサは、複数箇所に設けられた荷重センサである。
【0014】
本発明の操作装置は、前記弾性部材として、前記操作体の前記支持部への接近距離に応じて反力が増加する複数の第1の弾性部材と、前記操作体の傾きに応じて反力が増加する第2の弾性部材とが設けられていることが好ましい。
【0015】
この場合に、前記第2の弾性部材は、前記操作体の傾き量に応じて捻じり量が変化するトーションバーで構成することができる。
【0016】
例えば、前記支持部と操作体との間に、前記操作体の傾きを規制するリンク機構が設けられており、前記リンク機構を構成する支持リンクが、前記トーションバーとして機能する。
【0017】
また本発明は、支持部と、操作体と、前記支持部上で前記操作体を支持する弾性部材と、前記操作体の前記支持部への接近距離を検知する接近センサと、制御部とが設けられた操作装置において、
前記操作体には、押圧位置を検知するタッチセンサが設けられており、
前記制御部では、
前記接近センサからの検知出力に基づいて押圧操作がなされたと判定するためのしきい値を、前記タッチセンサで検知された押圧位置に応じて変化させることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の操作装置は、前記操作体の中心を押圧したときと前記中心から離れた位置を押したときとで、前記弾性部材からの反力がほぼ同じ値のときに押圧操作がなされたと判定されるように、前記しきい値が設定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、接近センサの検出距離が所定の距離となったときに、押圧操作がなされたものと判定されるが、その判定のためのしきい値を、操作体の傾きに応じて異ならせている。あるいは、操作体を押圧する位置に応じて異ならせている。その結果、操作体の中央部を押したときと端部を押したときとで、押圧操作がなされたと判定されるときの操作反力の差を小さくすることができ、好ましくはほぼ同じ操作反力に揃えることが可能になる。
【0020】
また、操作体の傾き量に応じて反力が変化するトーションバーなどを付加することで、異なる箇所で押圧操作されたときの操作反力をほぼ同じ値に設定しやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1と
図2に示す操作装置1は、支持部10と、操作体20と、前記支持部10上で前記操作体20を支持する弾性支持機構30とを有している。
【0023】
図1と
図2に示すように、支持部10は、上方が開放するケース形状のベース11と、ベース11の内部に固定された固定枠12とを有している。ベース11と固定枠12は縦方向(Y方向)の長さ寸法が、幅方向(X方向)の長さ寸法よりも大きい長尺形状である。
【0024】
固定枠12の縦方向(Y方向)の両端部に、ばね支持面13が設けられている。それぞれのばね支持面13上には、押え部材15がねじ14で固定されており、押え部材15の幅方向(X方向)の両端部と固定枠12との間に、トーション軸受け部16,16が形成されている。
【0025】
操作体20は、可動部材21と可動部材21の上に支持されたディスプレイ22と、ディスプレイ22を覆う操作パネル23とを有している。
図2に示すように、ディスプレイ22と操作パネル23との間にタッチセンサ24が挟まれている。
【0026】
ディスプレイ22は、カラー液晶パネルやエレクトロルミネッセンスパネルなどで構成されている。操作パネル23はポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂で形成された透明パネルであり、その表面が操作面23aとなっている。
【0027】
タッチセンサ24は、樹脂フィルムなどの透明基板にITOや導電性ナノワイヤで形成された透光性の複数の電極が形成されており、電極間が絶縁されて電極間に静電容量が設定されている。指などの導電体が接近すると、接近した電極と指などとの間に静電容量が形成される。このとき、駆動用の電極にパルス状の駆動電力を与え、検出用の電極の電流を監視することで、指がどの位置に接近したかを検知することができる。
【0028】
操作パネル23は縦方向(Y方向)の長さ寸法が、幅方向(X方向)の長さ寸法よりも大きい長尺形状である。ディスプレイ22とタッチパネル14は、操作パネル23とほぼ同じ形状で同じ面積を有している。操作体20の前方(図示上方)から、操作パネル23を透してディスプレイ22の表示画面を目視することができる。表示画面を見ながら操作面23aのいずれかの箇所に接近させまたは接触させた指をタッチセンサで検知することで、表示画面を見ながら操作を行うことができる。
【0029】
弾性支持機構30は一対の第1の弾性部材31,31と同じく一対の第2の弾性部材32,32を有している。さらに、支持部10と操作体20の一方にはZ方向に延びる凸部が形成され他方にZ方向に延びる凹部が形成されている。この凸部が凹部に摺動自在に挿入されて、支持部10上で操作体20をZ方向に移動自在に案内する昇降案内機構が構成されている。
【0030】
第1の弾性部材31は板ばね材料で形成されている。第1の弾性部材31は固定片31aと、固定片31aの幅方向(X方向)の両側に一体に形成された弾性片31b,31bを有している。固定片31aは、固定枠12に形成されたばね支持面13に固定されている。弾性片31bは、基端31cと自由端31bが、幅方向(X方向)に向くように配置されており、弾性片31bはZ方向への曲げ変形による弾性復元力を発揮する。
【0031】
第2の弾性部材32は、トーションバーと支持リンクとの双方の機能を発揮するものであり、金属棒または金属線で形成されている。第2の弾性部材32は、縦方向(Y方向)に直線的に延びる可動連結部32aと、その両端部に形成されたU字状の曲げ部32b,32bと、U字状曲げ部32b,32bの端部である支持連結部32c,32cとが一体に形成されている。
【0032】
図2に示すように、第2の弾性部材32のそれぞれの支持連結部32cは、支持部10に設けられたトーション軸受け部16に支持されている。トーション軸受け部16では、支持連結部32cがY方向へは位置ずれしないが、X方向へは少し移動でき、しかもY軸回りに回転自在となるように支持されている。
【0033】
図2に示すように、操作体20に設けられた可動部材21の複数箇所に連結軸受け部25が形成されている。可動部材21では、連結軸受け部25がX方向に間隔を空けたそれぞれの位置において、さらにY方向に間隔を空けて一対ずつ設けられている。第2の弾性部材32の可動連結部32aは、連結軸受け部25に保持されている。連結軸受け部25において、可動連結部32aはX方向とY方向へ位置ずれすることなく且つY軸回りに回転自在に支持されている。
【0034】
図3と
図4に示すように、支持部10と操作体20との間に第1の接近センサ40aと第2の接近センサ40bおよび第3の接近センサ40cが設けられている。接近センサ40a,40b,40cは、支持部10の固定枠12上に固定された固定電極41と、操作体20の可動部材21に固定された可動電極42とを有し、固定電極41と可動電極42とが所定の面積でZ方向に対面している。固定電極41と可動電極42は一方が駆動電極で他方が検知電極である。駆動電極にパルス状の駆動電流を与え、検知電極に流れる電流を検知することで、固定電極41と可動電極42との間の静電容量の変化を検知でき、これにより、固定電極41と可動電極42のZ方向の対向距離の変化(操作体20の押圧距離の変化)を検知することができる。
【0035】
図3には、操作体20(操作面23a)の中心(重心)Oが示されている。接近センサ40a,40b,40cは中心Oに対して均一な開き角度θ=120度で配置されており、しかも中心Oから同心円上に配置されている。ただし、3つの接近センサ40a,40b,40cの開き角度は均一でなくてもよいし、中心Oから同心円上に配置されていなくてもよい。ただし、
図3に示す配置にしておくと、3つの接近センサ40a,40b,40cからの検知出力により操作体20の傾きなどを求めるときの演算が容易である。
【0036】
図7に示すように、操作装置1の回路構成は、第1の接近センサ40aと第2の接近センサ40bおよび第3の接近センサ40cの検知出力を得る検出回路44と、検出回路44からの出力およびタッチセンサ24からの検知出力を得て演算処理を行う制御部45とを有している。
【0037】
次に、前記操作装置1の動作について説明する。
図1と
図2に示すように、操作体20は、その長手方向であるY方向に延びる一対の第2の弾性部材(トーションバー兼支持リンク)32,32によって支持されている。
図2に示すように、第2の弾性部材32は、可動連結部32aが操作体20の可動部材21に回動自在に支持されており、支持連結部32cが、支持部10の固定枠12に形成されたトーション軸受け部16にX方向へ摺動自在で且つ回転自在に支持されている。
【0038】
支持部10と操作体20との間に前記昇降案内機構が形成され、さらに、一対の支持リンク(第2の弾性部材)32,32によって、操作体20の傾きを抑制するリンク機構が構成されているため、操作体20は、水平姿勢を保ったままZ方向へ昇降動作しやすいようになっている。
【0039】
操作体20は、第1の弾性部材31に形成された4箇所の弾性片31bで、下側から支えられている。
図4では、弾性片31bのZ方向の曲げ変形によるばね定数がK1で示されており、それぞれの弾性片31bから操作体20に与えられるZ方向の上向きの弾性復元力がF1で示されている。弾性復元力F1は、弾性片31bのZ方向への撓み量に比例する変数である。
【0040】
前述のように、一対の第2の弾性部材32は一対の平行リンクとして機能しているため、
図4(A)に示すように操作体20が中心Oまたはその付近において押圧力P1で押されると、第2の弾性部材32が捩じれることなく、操作体20は水平姿勢のまま支持部10に接近する。このとき、押圧力P1を与えている指に作用する操作反力は、計算上は4×F1である。すなわち、操作反力のばね定数は4×K1である。
【0041】
操作体20は、一対の第2の弾性部材32,32によって水平姿勢を保ったままZ方向へ昇降動作しやすいようになってはいるが、Y方向の寸法が大きいため、さらには前記昇降案内機構の凸部と凹部との間にがたつきを生じる隙間が形成されるため、
図4(B)に示すように、操作面23aのY方向の端部に下向きの押圧力P2が作用すると、操作体20は支持部10に対して傾いた姿勢となりやすい。押圧力P2がほぼ右側の弾性片31b,31bの真上に作用しているとすると、押圧力P2を与えている指に対しては、弾性片31b,31bから操作反力2×F1が与えられる。この操作反力のばね定数は2×K1である。
【0042】
さらに、
図4(B)に示すように操作体20に押圧力P2が与えられて斜めの姿勢になると、一対の第2の弾性部材32の可動連結部32aに捩じりが発生し、操作体20に対して捩じり弾性の復元力F2が作用する。トーションバーとして機能する第2の弾性部材32の捩じり弾性のばね定数はKθであり、前記復元力F2は、可動連結部32aの捩じり角度に比例する変数である。
【0043】
仮に第2の弾性部材32,32が設けられていないとすると、中心O付近に押圧力P1を与えているときの操作反力(4×F1)に対して、Y方向の端部に押圧力P2を与えたときの操作反力(2×F1)がほぼ1/2程度まで半減することになる。しかし、第2の弾性部材32,32を設けることにより、押圧力P2を与えている指に対して(2×F1+2×F2)の操作反力を与えることができる。これにより、
図4(A)に示すように中心O付近を押したときの操作反力と、
図4(B)に示すように、Y方向の端部を押しているときの操作反力の差を小さくすることが可能である。
【0044】
これは、操作体20の操作面23aのどの位置を押したときでも同じであり、例えばP1とP2の中間が指で押されたときは、弾性片31bで発揮される操作反力は、Y方向に離れて位置するそれぞれの弾性片31bと押圧箇所とのスパン比(テコ比)に応じた値となる。また、第2の弾性部材32で発揮される操作反力は、可動連結部32aの捩じり量に比例するため、操作反力F2は操作体20の傾き角度に応じて変化する。さらに、指で感じる捩じりにより操作反力F2は、操作面23aにおいて指で押圧する場所によっても変化する。
【0045】
図1と
図2に示す第1の弾性部材31に設けられた弾性片31bは、Z方向の撓み変形によって
図4に示すようにZ方向への操作反力F1(ばね定数K1)を発生するが、さらに、この弾性片31bは、幅方向がY方向へ向けられているため、操作体20が
図4(B)に示すように傾斜すると、弾性片31bが捩じり変形し、その復元力により操作体20に操作反力F3を与えることができる。このときのばね定数Kθ1は、操作体20の傾斜角度に比例する。
【0046】
すなわち、弾性片31bは、Z方向への撓みによるばね定数K1を持つ第1の弾性部材と、操作体20の傾きに応じたばね定数Kθ1を持つ第2の弾性部材を兼用したものとなる。本発明は、第1の弾性部材と第2の弾性部材の双方を有することを特徴の1つとしているが、第2の弾性部材32(トーションバー)を使用せずに、弾性片31bのみを使用することで第1の弾性部材と第2の弾性部材の双方を有する構造としてもよい。または、
図1に示す第2の弾性部材32を使用し、第1の弾性部材として圧縮コイルばねなどを使用してもよい。
【0047】
支持部10と操作体20との接近距離および操作体20の傾き角度は、第1の接近センサ40aと第2の接近センサ40bおよび第3の接近センサ40cからの検知出力から演算される。
【0048】
接近距離は、例えば制御部45において、各接近センサ40a,40b,40cからの検知出力の平均値を算出することで求められる。前記平均値が制御部45に設定されるしきい値と一致したら、またはしきい値を超えたら、押圧操作がなされたと判定する。例えば、ディスプレイ22の表示画面に表示されたメニュー表示を見ながら操作面23aに指を触れ、これをタッチセンサ24で検知している状態で、さらに操作体20が押され、前記平均値がしきい値を超えて押圧操作がなされたと判定されると、指の接触で選択しているメニュー表示に対向するプログラムの実行処理に移行する。
【0049】
あるいは、3個の接近センサ40a,40b,40cの検出値のうち、距離測定値が最小値となる値を接近距離とし、この接近距離がしきい値と一致したら、またはしきい値を超えたら押圧操作がなされたと判定してもよい。
【0050】
なお、算出する接近距離は、実際の距離の算出だけでなく、距離に対応する値であってもよい。例えば、接近センサの検出値から接近距離を算出することなく、接近センサの検出値をそのまま押圧操作の判定に用いてもよい。
【0051】
また、第1の接近センサ40aと第2の接近センサ40bおよび第3の接近センサ40cの検知出力から、制御部45において操作体20の傾きを演算することができる。
【0052】
例えば、第2の接近センサ40bの検知出力と第3の接近センサ40cの検知出力との平均値と、第1の接近センサ40aの検知出力とを比較することで、X方向への倒れ角度(Y軸回りの倒れ角度)を算出することができる。また、第2の接近センサ40bの検知出力と、第3の接近センサ40cの検知出力とを比較することでY方向への倒れ角度(X軸回りの倒れ角度)を算出することができる。
【0053】
制御部45では、操作体20の傾きの演算値と、タッチセンサ24で検知した操作面23aに対する押圧力の作用位置とに基づいて、押圧操作がなされたと判定するための接近距離のしきい値を変化させるように制御する。
【0054】
制御部45では、操作体20の傾きの演算値と押圧力の作用位置に応じて異なったしきい値を設定するが、この制御では、操作体20の大小と押圧位置の変化に応じてしきい値を連続して変化させてもよいし、あるいは操作体20の傾きの大小と押圧位置の変化に応じてしきい値を段階的に変化させてもよい。
【0055】
図6は横軸に操作体20の支持部10方向への押圧距離(押し込み量)を示し、縦軸は指に感じる操作反力の大きさを示している。この押圧距離は、3個の接近センサ40a,40b,40cで検知されたものであり、例えば3個の接近センサ40a,40b,40cによる接近距離の検出値の平均値から求められる。あるいは、3個の接近センサ40a,40b,40cによる接近距離の検出値の最小値から求められる。
【0056】
図6(i)は、
図4(A)に示すように、操作体20の中心(重心)O付近が押圧力P1でZ方向へ押し込まれて、操作体20が傾くことなくほぼ水平姿勢で下降したときの押圧距離と操作反力との関係を示している。このとき、操作体20に与えられる操作反力は4×F1である。F1は変数であり、そのときのばね定数は4×K1である。
【0057】
図6(ii)は、
図4(B)に示すように、操作体20が図示右側の弾性片31bの真上で且つX方向の中点において押圧力P2でZ方向へ押し込まれたときの、押圧距離と操作反力との関係を示している。このとき、操作体20が傾くため、操作反力は2×F1+2×F2である。前記操作反力F2は、操作体20の傾きを検知し、その傾きに応じた第2の操作部材32の捩じり角度を想定することで知ることができる。
【0058】
なお、
図6(iii)は参考のために、押圧力P2で押し込まれたときに、第2の弾性部材32が設けられておらず、第1の弾性部材31の弾性片31bのみで操作反力が与えられる例を示している。このとき、操作反力は2×k1であり、ばね定数は2×F1である。
【0059】
制御部45では、操作体20の傾きが規定値以下であると判定しているときは、押圧距離(支持部10と操作体20との接近距離)のL1をしきい値として設定し、押圧距離がL1に至ったかあるいはL1を超えたときに押圧操作がなされたと判定する。このときの、押圧距離と操作反力との関係は
図6(i)の線図のようになり、押圧距離がL1のときの操作反力がG1である。例えばL1は0.5mmで、操作反力は5N(ニュートン)である。
【0060】
操作装置1には振動発生装置が設けられており、制御部45において押圧操作がなされたと判定されたときに操作体20に振動が与えられる。よって、中心Oの真上またはその付近を押圧している操作者の指には、操作反力が5Nとなったときに、振動が与えられて、押圧操作に至ったと感じるようになる。
【0061】
操作体20の操作面23aが中心Oから離れた位置で押されると、第2の弾性部材32,32がリンク機構として機能しているのにもかかわらず、操作体20が水平姿勢で下降せずに、傾いて下降する。3個の接近センサ40a,40b,40cからの検知出力により操作体20が傾いていると判定されたときは、判定された傾き角度と、タッチセンサ24で検知された押圧位置の検出値に応じて、押圧操作がなされたと判定すべき押圧距離のしきい値を変化させる。このしきい値の変化は例えば、制御部45に付随するメモリにテーブルや公式として格納されている。
【0062】
例えば、操作体20が傾いていると検知され、タッチセンサ24からの検知出力で、
図4(B)に示すように、右側の弾性片31b,31bの真上で且つX方向での中心位置で操作体20が押されていると検知されたときは、制御部45では、押圧操作が行われたと判定すべき押圧距離のしきい値をL2に変更する。しきい値L2は
図6(ii)に示す線図に基づいて設定されるものであるが、線図は、タッチセンサ24で検知された押圧位置と、3個の接近センサ40a,40b,40cの検知出力から演算された操作体20の傾き角度に基づいて設定される。
【0063】
図6(ii)の線図では、押圧距離がしきい値L2のときに、操作反力がほぼG1となるように設定されている。よって、制御部45では、押圧距離のL2をしきい値として設定し、押圧距離がL2に至ったら、またはL2を超えたら押圧操作がなされたものと判定する。このとき指に感じる操作反力は、操作体20が水平姿勢のまま押されたときとほぼ同じになる。
【0064】
操作体20に押圧力を与える位置が、
図4(A)に示す中心O付近と、
図4(B)に示す端部との中間位置であるときは、タッチセンサ24からの検知出力から押圧位置がわかり、第1の弾性部材31から操作体20に与えられる操作反力が算出される。さらに3個の接近センサ40a,40b,40cで検知された操作体20の傾き角度からもそのときの操作反力を算出できる。この算出値に基づいて
図6に示す押圧距離と操作反力との関係が守りから読みだされ、制御部45では、その押圧位置とそのときの操作体20の傾きに応じて最適なしきい値が設定される。これにより、どの位置を押したときでも操作反力の差を小さくでき、好ましくは操作反力を均一にすることができる。
【0065】
以上を整理すると、制御部45では、
(1)接近センサ40a,40b,40cからの検知出力から操作体20が傾くことなく押し込まれていると判定されたときは、押圧操作がなされたと判定するしきい値をL1に設定する。
(2)接近センサ40a,40b,40cからの検知出力から操作体20が傾いていると判定したら、その押圧位置から4個の弾性片31bからZ方向に作用する弾性復元力に基づく反力と、そのときの傾き角度によって第2の弾性部材32から発せられる捻じり量に応じた弾性復元力に基づく反力を想定し、その反力に応じた線図または関係式から、押圧操作がなされたと判定するしきい値(例えばL2)を設定する。
【0066】
図6の(iii)は、4個の弾性片31bによりZ方向へ発揮される弾性力のみで操作反力F1が設定される例が示されているが、このときの操作反力は
図6(i)よりもかなり小さい値となる。よって、第2の弾性部材32の捻じり弾性を利用することで、中心Oから離れた位置で操作体20が押されたときの操作反力の低下を補強できることがわかる。よって、中心Oから離れた位置を押したときにその押圧距離を極端に長くしなくても想定する反力G1(例えば5N)を得ることができる。
【0067】
特に、第2の弾性部材32のトーションバーの弾性機能を使用すると、操作体20の傾きが大きくなるに応じて操作反力F2が強くなるため、操作体20の傾き角度が大きくなったときに操作反力を補強できるようになる。また、操作体20の傾き角度の算出値と、その傾きに応じた第2の弾性部材32の捻じり弾性との関係から、押圧操作がなされたと判定すべきしきい値を設定することで、どの箇所を操作しても同等の操作反力を得ることができるようになる。
【0068】
図5は本発明の第2の実施の形態の操作装置1Aを示している。
この操作装置1Aでは、操作体20の中心Oに1個の接近センサ51が設けられている。この接近センサ51は、支持部10に設けられた電極と操作体20に設けられた電極の対向距離を静電容量の変化で検知するものである。
【0069】
操作装置1Aでは、接近センサ51の周囲の3か所に傾き検知センサ50a,50b,50cが設けられている。傾き検知センサ50a,50b,50cは例えば荷重センサである。この場合に荷重センサから操作体20に与えられるZ方向の反力は小さいことが好ましい。
【0070】
傾き検知センサ50a,50b,50cは接触式の場合には前記荷重センサであるが、これに限られることなく、非接触式の光学式変位センサや超音波センサ、磁気センサなども用いることができる。磁気センサの場合は、支持部10に磁気センサを設け、操作体20側に電磁コイルや磁石などの磁気発生部を設け、操作体20と磁気センサとの距離の変化によって傾きを検知する。
【0071】
この操作装置1Aでは、3個の傾き検知センサ50a,50b,50cで検知された操作体20の傾き角度と、タッチセンサ24からの検知出力に応じて、押圧距離に関するしきい値が変更させられる。そして、接近センサ51の検知出力から、押圧距離が前記しきい値に至ったとき、あるいはしきい値を超えたとときに、押圧操作がなされたと判定する。
【0072】
なお、本発明は、第2の弾性部材32を使用せず、第1の弾性部材31のみを使用してZ方向への操作反力を発揮させてもよい。この場合に、押圧距離と操作反力との関係は
図6(iii)のようになる。操作体20の傾斜角度に応じた捩じり弾性を発揮する第2の弾性部材32が設けられていないときは、操作体20の傾斜角度を求める必要はなく、タッチセンサ24の検知出力によって、操作体20のどの位置が押されているかを検知し、その押圧位置の変化に応じて、押圧操作されたと判定すべきしきい値を設定すればよい。
【0073】
また、第1の弾性部材と第2の弾性部材の双方を使用している場合であっても、操作体20の傾きを検知せずに、操作体20のどの位置が押圧されているかの情報のみでしきい値を変更してもよい。