特許第6474510号(P6474510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社白崎コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許6474510-ツル性植物のガードフェンス 図000002
  • 特許6474510-ツル性植物のガードフェンス 図000003
  • 特許6474510-ツル性植物のガードフェンス 図000004
  • 特許6474510-ツル性植物のガードフェンス 図000005
  • 特許6474510-ツル性植物のガードフェンス 図000006
  • 特許6474510-ツル性植物のガードフェンス 図000007
  • 特許6474510-ツル性植物のガードフェンス 図000008
  • 特許6474510-ツル性植物のガードフェンス 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474510
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】ツル性植物のガードフェンス
(51)【国際特許分類】
   E01H 11/00 20060101AFI20190218BHJP
   E01F 15/04 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   E01H11/00 A
   E01F15/04 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-74513(P2018-74513)
(22)【出願日】2018年4月9日
(62)【分割の表示】特願2016-101202(P2016-101202)の分割
【原出願日】2016年5月20日
(65)【公開番号】特開2018-105122(P2018-105122A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2018年6月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596045177
【氏名又は名称】株式会社白崎コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰久
(72)【発明者】
【氏名】若林 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐治 健介
(72)【発明者】
【氏名】小谷 智博
(72)【発明者】
【氏名】岩本 啓己
(72)【発明者】
【氏名】山田 永
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−234487(JP,A)
【文献】 実開昭61−095863(JP,U)
【文献】 実開昭54−066426(JP,U)
【文献】 特開2013−096214(JP,A)
【文献】 特開2012−102494(JP,A)
【文献】 特開2015−192633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 1/00−15/00
E01F 13/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の法面に生育するツル性植物から伸びるツルが道路の歩道面又は車道面に侵入しないようにガードする為にネットを張着したフェンスにおいて、該フェンスは少なくとも支柱とその上端に手摺りとなる上桟を有し、上記ネットはフェンスの外側に面して配置されると共に固定具を介して該フェンスに固定され、そしてネットの下端部を折り曲げて道路脇側へ延ばし、道路脇の面に上記フェンスの下端に隙間を生じることなく固定したことを特徴とするツル性植物のガードフェンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路脇に成育するツル性植物(主にクズ)から伸びるツルが道路側に侵入しないようにするガードフェンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路や歩道などの舗装路面の外側は一般的に非舗装面と成っていて、この非舗装面側でツル性植物が繁茂すると、ツル性植物から伸びるツルが道路側に侵入してくることがある。道路の両脇にはガードレール等の防護柵(ガードフェンス)が設置されているが、上記ツル性植物から伸びるツルはガードフェンスの隙間から、或いは該ガードフェンスの上部を乗り越えて路面側に侵入してくる。
【0003】
道路側、特に歩道までツルが伸びる場合、これらのツルが歩行の障害となり、該ツルが足に絡まって転倒する場合もある。この為に従来では草刈機等を用いて道路側へ伸びたツルの刈り取り作業を行っている。しかし、ツル性植物の生育は速く、刈り取られたツルは直ちに伸びてしまい、常にツルの刈り取り作業が強いられる。
【0004】
また、金属製の支柱が等間隔で起立しているガードフェンスの際に絡まっているツルを草刈機にて刈り取る作業は面倒であると共に重労働となる。しかも高速回転する円盤カッターが支柱に当たって破損することもあり、危険が伴う。
一方、草刈機にてツルを刈り取る代わりに、ツル性植物に除草剤を散布することで枯らしてしまう方法もあるが、強力な除草剤を大量に使用することは環境保全の上から好ましくない。
【0005】
図7は道路の外側に生育したツル性植物のツル(ロ)が道路脇に設置したガードフェンス(イ)の隙間から侵入して歩道(ハ)にはみ出している状態を表している。
そして、図8(a)はツル(ロ)が侵入している歩道(ハ)を自転車に乗って走行している場合、(b)は草刈機を用いて伸びたツル(ロ)を刈り取っている場合、(c)はガードフェンス(イ)の支柱(ニ)に絡まっているツル(ロ)を草刈機の円盤カッター(ホ)が該支柱(ニ)に接触しながら刈り取っている場合をそれぞれ表している。
【0006】
このように生育して伸びるツルを草刈機にて刈り取る作業は大変であると共に、維持管理費も嵩むことから、ガードフェンスにてツルの侵入を阻止するようにした技術も知られている。
特開2012−102494号に係る「防草フェンス」は、路面側への蔓植物の進入を簡単に防止することが可能な防草フェンスである。
すなわち、路面と非舗装面の境界部に対して立設される防草面部と、防草面部の上部から路面側とは反対側に向けて斜めに延出した反り返し部と、から防草フェンスを構成し、非舗装面側から路面側に雑草等の草木が進入することを防草面部によって阻止すると共に、反り返し部によって蔓植物を非舗装面側に反り返すように誘導することにより当該蔓植物が路面側に進入することを防止するようにしている。
【0007】
上記防草フェンスは防草面部と反り返し部を有して構成され、その為に全体構造は複雑化してコストも高くなる。しかもこの防草フェンスは既存のフェンスを利用して構成することは出来ず、新たなフェンスとして据付なくてはならない。
【特許文献1】特開2012−102494号に係る「防草フェンス」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、道路脇に生育するツル性植物から伸びるツルが道路に侵入することで上記のごとき問題が発生する。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、既存のフェンスを利用してツルが侵入しないようにしたツル性植物のガードフェンスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のツル性植物のガードフェンスは、フェンス(防護柵)にネットを張着して構成したものであり、道路脇の面に生育するツル性植物から伸びるツルが路面に侵入しないようにしている。そこで、上記ネットはフェンスの外側に面して配置し、固定具を介してフェンスに固定される。
ところで、上記フェンスの具体的な形態及び固定具の具体的な構造は限定しないが、該フェンスは垂直に起立する複数本の支柱を有し、これらの各支柱の上端には水平に延びる上桟を有している。
【0010】
上記ネットは少なくともフェンスの支柱と上桟に固定具を介して固定される。そして、ネットはツルが侵入してフェンスへの絡みつきを阻止する為に目は細かく、素材は強靭かつ防炎性を備えている。
フェンスの外側に面して張着されるネットはその下端部を折り曲げて道路脇面に接着剤又は接着テープなどを介して固定し、隣り合うネットの繋ぎ部では一部を重ね合わせた接続構造としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のツル性植物のガードフェンスはフェンスの外側に面してネットを張着したのもあり、したがって、道路脇の面に生育したツル性植物から延びるツルがネットを通過して路面に侵入することはない。そして、該ネットは固定具にて支柱及び上桟などに簡単に固定することが出来、すなわち既存のフェンスにネットを取付けるだけの施工で済む為に、トータル的な費用は安くなる。
【0012】
また、張着されるネットはフェンスのみならず、その下端部を折り曲げて道路脇面まで延びていて固定されている為に、フェンスの下端に隙間を生じることはなく、ツルがフェンス下端部から侵入することもない。
一方、使用されるネットは強靭であり、強風が吹いても破れることはなく、また防炎性を備えていることで、煙草の火で延焼することもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るガードフェンスを示す実施例。
図2】ネットを示す実施例。
図3】支柱に取付けてネットを固定する固定具。
図4】支柱に固定具を介してネットを固定した場合の断面図。
図5】上桟に取付けてネット上縁部を固定する固定具。
図6】上桟に固定具を介してネットを固定した場合の断面図。
図7】道路の外側に生育したツル性植物のツルが道路脇に設置した防護柵(フェンス)の隙間から侵入して歩道にはみ出している状態を表している。
図8】(a)は歩道を自転車に乗って走行している場合、(b)は草刈機を用いて伸びたツルを刈り取っている場合、(c)はガードフェンスの支柱に草刈機の円盤カッターが接触している場合をそれぞれ表している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明に係るツル性植物のガードフェンスを示す実施例であり、フェンス1の外側にはネット2が張着されている。該ネット2はその下端部3が折り曲げられ、折り曲げられた下端部3は道路脇の面に固定されている。道路脇面への固定手段は特に限定しないが、法面がコンクリート面であるならば一般には接着剤又は接着テープが用いられる。道路脇の面が土面の場合には、ピンを打ち込んで固定することが出来る。
【0015】
フェンスは両側に支柱4,4が起立し、両支柱4,4の上端は手摺りとなる上桟5にて繋がれている。そして、支柱4,4の上端部には2本の横桟6a,6bが所定の間隔をおいて設けられ、両支柱4,4を繋いでいる。下側の横桟6bには複数本の縦桟7,7・・・が起立している。
ところで、上記複数のフェンス1,1・・・が道路脇に沿って配置され、防護柵を構成している。
【0016】
上記フェンス1にはネット2が張着されて、縦桟7,7・・・間の空間、横桟6a,6b間の空間、及び上桟5と横桟6a間の空間を塞いでいる。また、フェンス1だけでネット2を張着しているのではなく、下端部3が道路脇の面に固定されていることで、フェンス1の下端に隙間を作ることなく塞がれている。したがって、ツル性植物が道路脇の面に生育してツルが伸びても、該ツルがフェンス1を通過して路面又は歩道面に侵入することはない。
【0017】
図2はネット2を示す具体例である。該ネット2は縦・横方向に網目8,8・・・を有し、伸びたツルが該網目8,8・・・を通過しない程度に小さくしている。同図に示すネット2の編目8は一辺が3mmの正方形としているが、より小さい網目8とすることも出来る。しかし、風当りが大きく成る為に、ある程度の大きさの網目8が必要となる。
【0018】
そして、該ネット2は強風時に破れないように強靭であり、かつタバコの火が原因とした延焼を防止する為に防火性に優れている。また、ネット2の色彩は目立ちにくいようにグレーが採用されている。該ネット2の具体的な材質は限定しないが、例えばポリエステルを用いて構成し、表面にはポリ塩化ビニールを被覆したものとすることが出来る。
ところで、該ネット2は固定具9と固定具10を使用してフェンス1に張着されている。
【0019】
図3は固定具9を示す具体例である。該固定具9はU形ボルト11、固定板12及びナット13,13から成り、U形ボルト11の両先端部にはネジ14,14が形成され、このネジ14,14に上記ナット13,13が螺合している。上記固定板12の両端部に設けた穴にU形ボルト11の両先端部が嵌合し、この状態でナット13,13が螺合して固定板12が外れないようにしている。
【0020】
ところで、この固定具9は支柱4や縦桟7に取付けて上記ネット2を固定することが出来る。上記U形ボルト11は支柱4、上桟5、及び縦桟7に取付けてネット2と共にフェンス1に拘束する拘束部材であり、そして固定板12は上記U形ボルト11が外れないようにする止着部材として機能する。
また、同図に示す固定具9は一般的に金属製であるが、樹脂製として構成することもある。
【0021】
固定具9のU形ボルト11をネット2の網目に挿通し、該ネット2がU形ボルト11から外れないように固定板12をU形ボルト11に嵌めて押え、そしてナット13,13を締め付ける。従って、ネット2は図4に示すように支柱に固定される。ここで、ネット2の網目8はU形ボルト11が挿通するほど大きくない為に、該網目8は大きくされる。
【0022】
図4(a)に示すように、ネット2を支柱4とU形ボルト11の間に挟み込んで固定するならば、該ネット2は支柱4に巻き付いた状態でU形ボルト11によって固定される為に、ネット2のダブ付きを防止することが出来る。しかもネット2を支柱表面に圧接した状態で固定される為に強風がネット面に作用しても網目8が破れることはない。
これに対して、図4(b)に示すネット2の固定方法は、該ネット2は支柱表面に巻き付くことなく、該支柱4と固定板12との間に挟み込んでいる。
【0023】
図5はフェンス1の手摺りとなる上桟5に取付けてネット2の上縁部を固定する為の固定具10を示す具体例である。この固定具10は両側に概略半円形をした円弧部15,15を有し、この円弧部15,15の両先端は繋ぎ部16,16によって連結している。ここで、上記円弧部15の内径は上桟5の外径より小さくなっているが、円弧部15が拡張することで上桟5に嵌ってネット2の上縁部を固定することが出来る。
【0024】
図6は上記固定具10を上桟に取付けてネット上縁部を固定している状態の断面を示している。該固定部10は両繋ぎ部を持って広げるならば、円弧部15の内径も拡張し、この状態で上桟5に嵌めることが出来る。この場合、ネット2の上縁部は上桟5に掛けられていて、固定具10を取付けることで該ネット2は同図に示すように上桟5と円弧部15との間に挟み込まれる。
【0025】
固定具10にてネット2を固定する場合にも、該ネット2は上桟5に巻き付いた状態で円弧部15にて押圧されることで、ネット2の網目8に負担を掛けることなく固定することが出来、強風時にもネット2は破れることはない。
ところで、上記図3に示す固定具9、図5に示す固定具10はネット2をフェンス1に張着するための具体例であり、他の構造にて構成した固定具を使用することは自由である。
【0026】
例えば、U形ボルト11に代わって可撓性に優れた樹脂製のバンドを使用し、固定板12に代わって止着部を用いる。バンド面には細かい凹凸面が形成され、止着部にはツメを備えた2個の穴を貫通して設けている。そこで、該バンドをU形ボルトと同じように、支柱、上桟、及び縦桟に巻き付けると共に網目を挿通し、止着部に設けた穴に嵌まって締め付けられる。すなわち、バンドは止着部の穴に嵌まると共にツメに係止してロックされる。
【符号の説明】
【0027】
1 フェンス
2 ネット
3 下端部
4 支柱
5 上桟
6 横桟
7 縦桟
8 網目
9 固定具
10 固定具
11 U形ボルト
12 固定板
13 ナット
14 ネジ
15 円弧部
16 繋ぎ部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8