(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記予測部は、前記商品を管理する拠点単位又は前記拠点で管理される前記商品を生産する拠点単位の前記商品の需要予測数であって、前記第1所定期間よりも長い期間であり、かつ前記第1所定期間を除く第2所定期間における需要予測数を予測する、
請求項1又は2に記載の需要予測装置。
前記予測部は、ユーザの指示に基づいて、前記特売予定情報で示される特売による販売予定数の少なくとも一部を前記第2所定期間における需要予測数に加えることで、前記第2所定期間における需要予測数を予測する、
請求項3に記載の需要予測装置。
前記過去実績情報には、前記複数の販売店舗に前記商品を配送する卸店舗ごとに、前記商品を管理する拠点から前記卸店舗に向けて出荷された過去の出荷実績数が含まれており、
前記予測部は、前記過去実績情報に含まれる前記商品に関する前記卸店舗ごとの過去の出荷実績数から所定の閾値を超える分の出荷実績数を減算することで得られた、前記卸店舗ごとの出荷実績数を合算した数を、前記通常販売による需要予測数とする、
請求項1に記載の需要予測装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0013】
<システム構成>
図1は、実施形態に係る需要予測システムの一例を示す図である。需要予測システムは、商品の需要予測を行う需要予測装置10と、需要予測装置10との間でデータの送受信を行う端末20とを含む。需要予測装置10と端末20は、通信ネットワークNで接続されており、相互に通信することができる。
【0014】
需要予測装置10は、1つ又は複数の物理的又は仮想的なサーバで構成されていてもよいし、クラウドサーバで構成されていてもよい。端末20は、需要予測システムを利用するユーザが所持する端末と、流通経路に存在する各拠点である工場、倉庫、卸店舗及び販売店舗に設置される端末とを含み、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末等である。
【0015】
端末20は、需要予測装置10に対する各種の情報の入力や、需要予測装置10で予測された商品の需要予測結果を表示するために用いられる。
図1には端末20が1つ図示されているが、複数の端末10が需要予測装置10に接続されていてもよい。
【0016】
商品が工場で生成されて販売店舗に並ぶまでの間に、商品は、商品を管理する複数の拠点を経由して販売店舗に届けられる。具体的には、
図1に示すように、メーカの工場で生産された商品は一旦メーカの倉庫(出荷倉庫とも呼ばれる)で管理される。その後、商品は卸店舗(卸店舗の倉庫とも呼ばれる)に配送され、更に、卸店舗から商品を販売する販売店舗に配送される。なお、
図1に示す流通経路はあくまで一例であり、例えば工場から複数の倉庫に商品が配送される形態もあり得る。
【0017】
このような物流を滞りなく行い、販売店舗で欠品が生じないようにするためには、各拠点で必要な在庫量を適切に予測する(すなわち需要予測を行う)と共に、予測した在庫量が各拠点に予定通り確保されるように、工場による生産計画や、卸店舗及び販売店舗への配送計画を立てる必要がある。また、販売店舗では、商品の販売促進を目的とした特売(例えば値引き販売)が行われることが多いことから、特売による販売数増加を考慮して需要予測を行うことが必要である。
【0018】
本実施形態に係る需要予測装置10は、特売による販売予定数(以下、「特売予定数」と言う。)を考慮して、商品の需要予測を行う機能を有している。以下の説明では、需要予測装置10は、主に「倉庫」や「工場」単位での需要予測を行う場合を前提に説明する。しかしながら、需要予測装置10は、これに限定されず、「卸店舗」単位での需要予測を行うことも可能である。
【0019】
<ハードウェア構成>
図2は、需要予測装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、需要予測装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ又はHDD(HardDisk)等の記憶装置12、通信ネットワークNと接続するために用いられる通信IF(Interface)13、キーボードやタッチパネル等の入力装置14及びディスプレイ等の出力装置15を含む。
【0020】
<機能ブロック構成>
図3は、需要予測装置10の機能ブロック構成の一例を示す図である。需要予測装置10は、特売予定管理部101と、過去実績管理部102と、需要予測部103と、表示部104と、記憶部105とを含む。記憶部105には、需要予測装置10が管理する各拠点(工場、倉庫、卸店舗及び販売店舗)を示す拠点情報と、特売による商品の販売予定数を示す特売予定情報と、商品の過去の販売実績を示す過去実績情報とを記憶する。
【0021】
特売予定管理部101と、過去実績管理部102と、需要予測部103と、表示部104とは、CPU11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することで実現することができる。なお、当該プログラムは、例えば非一時的な記録媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。非一時的な記録媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD−ROM等の記録媒体であってもよい。また、記憶部105は、記憶装置12を用いて実現することができる。
【0022】
特売予定管理部101は、特売予定情報を管理する機能を備える。具体的には、特売予定管理部101は、特売に関する各種の情報(特売対象の商品、特売が行われる日付、特売が行われる販売店舗、特売予定数)の入力を端末20から受け付け、受け付けた各種の情報を記憶部105に記憶されている特売予定情報に格納する。特売予定数の入力は、例えば販売店舗の仕入担当者や商品の営業担当者等が端末20を操作することで行われる。
【0023】
過去実績管理部102は、過去実績情報を管理する機能を備える。具体的には、過去実績管理部102は、各販売店舗における商品の販売実績数を端末20から受信し、受信した販売実績数を販売店舗ごとに過去実績情報に格納する。ここで、過去実績情報に格納される販売実績数には、特売による販売実績数と通常販売による販売実績数との両方が含まれる前提である。これは、販売店舗にて、特売がきっかけで商品が売れたのか、若しくは特売とは無関係に商品が売れたのかを区別して販売数をカウントしていないことが多いためである。なお、特売(特別販売)とは、通常よりも値引きして販売するという販売促進活動のみならず、店頭でのプロモーション活動や商品を目立たせるような商品陳列を行うといったように、商品を大量に販売することを目的した営業活動による販売促進活動も含む。通常販売とは、特売ではなく通常の販売方法により商品を販売することを意味しており、「定番販売」とも呼ばれる。
【0024】
需要予測部103は、特売予定数と過去の販売実績数とに基づいて、通常販売による需要予測数を推定すると共に、推定した通常販売による需要予測数に特売予定数を加算することで、商品を管理する倉庫(商品を管理する拠点)単位で、短期(第1所定期間)での商品の需要予測数を予測する。なお、「短期」とは翌日から1週間後までを意味するものとして使用するが、本実施形態がこれに限定されるものではない。例えば、需要予測部103は、短期での需要予測として翌日から2週間後までの需要予測数を予測するようにしてもよいし、3週間後までの需要予測数を予測するようにしてもよい。
【0025】
また、需要予測部103は、倉庫(商品を管理する拠点)単位又は倉庫に商品を供給する工場(商品を生産する拠点)単位の商品の需要予測数であって、中期(第2所定期間)での商品の需要予測数を予測するようにしてもよい。中期とは、短期よりも長い期間(例えば、4か月後まで等)であり、かつ短期に該当する期間を除く期間である。本実施形態では、「中期」とは、1週間後から4か月後までを意味するものとして使用するが、「短期」と同様、本実施形態がこれに限定されるものではない。
【0026】
表示部104は、需要予測部103で予測された短期又は中期の需要予測数を端末20の画面に表示させる。表示部104は、例えばWebサーバ機能を備えており、端末20が備えるブラウザに、需要予測数を示す画面を表示させるようにしてもよい。
【0027】
図4は、拠点情報の一例を示す図である。「商品ID」には、特売対象の商品を一意に識別する識別子が格納される。「販売店舗」には、販売店舗の名称又は販売店舗を一意に識別する識別子が格納される。「卸店舗」には、卸店舗の名称又は卸店舗を一意に識別する識別子が格納される。「倉庫」には、倉庫の名称又は倉庫を一意に識別する識別子が格納される。「工場」には、工場の名称又は工場を一意に識別する識別子が格納される。
図4の例では、工場Yで生産された商品(商品IDが01である商品)が、倉庫Aから卸店舗DA及びDBに配送され、更に、卸店舗DAから販売店舗SA及びSBに配送されると共に、卸店舗DBから販売店舗SC及びSDに配送されるという一連の流通経路が定義されている。なお、商品によらず流通経路が同一である場合、商品IDは省略されていてもよい。
【0028】
図5は、特売予定情報の一例を示す図である。「商品ID」には、特売対象の商品を一意に識別する識別子が格納される。「日付」には、特売が行われる日付が格納される。「販売店舗」には、特売が行われる販売店舗の名称又は販売店舗を一意に識別する識別子が格納される。「特売予定数」には、特売を予定している商品の販売予定数(特売分として確保すべき在庫数)が格納される。
【0029】
図6は、過去実績情報の一例を示す図である。「商品ID」には、商品を一意に識別する識別子が格納される。「日付」には、販売実績に対応する日付が格納される。「販売店舗」には、販売店舗の名称又は販売店舗を一意に識別する識別子が格納される。「販売実績数(販売店舗)」には、販売店舗において商品IDに該当する商品が販売された数量が格納される。「倉庫」には、卸店舗を経由して「販売店舗」に商品を配送する倉庫の名称又は倉庫を一意に識別する識別子が格納される。「販売実績数(倉庫単位)」には、配送先である全ての販売店舗の「販売実績(販売店舗単位)」を合計した数が格納される。例えば、
図6の例では、商品IDが01である商品(以下、「商品01」と記載する。)が、2017年1月4日には、販売店舗SA、SB、SC及びSDでそれぞれ350個、150個、120個及び210個販売されたことが記録されている。また、倉庫A単位で見ると、商品01が合計830個販売されたことが記録されている。
【0030】
<処理手順>
続いて、需要予測装置10が短期及び中期の需要予測を行う際の処理手順について具体的に説明する。以下の説明では、本日は2018年1月3日であり、需要予測装置10は、商品01を対象に需要予測を行う前提とする。また、需要予測装置10は、「倉庫A」における短期及び中期の需要予測を行う前提とする。また、需要予測装置10が短期の需要予測を行う予測期間は、翌日(2018年1月4日)から1週間後(2018年1月10日)までである前提とする。また、拠点情報、特売予定情報及び過去実績情報には、それぞれ、
図4、
図5及び
図6に示すデータが登録されている前提とする。また、需要予測装置10は、過去の所定の期間(ここでは1年前である前提とする)の同日の過去実績情報を、需要予測に利用する前提とする。例えば、2018年1月4日から1月10日までの需要予測を行う場合、需要予測装置10は、2017年1月4日から1月10日までの過去実績を需要予測に利用する前提とする。なお、過去の所定の期間とは1年前であることに限定されない。例えば、3か月前や半年前とすることも可能である。また、曜日が一致するようにするため、日付をずらすようにしてもよい。例えば、2018年1月4日(月)から1月10日(日)までの短期需要予測を行う場合、需要予測装置10は、2017年1月9日(月)から1月15日(日)までの過去実績を需要予測に利用するようにしてもよい。
【0031】
(短期需要予測)
まず、需要予測部103は、拠点情報にアクセスし、商品01における流通経路を認識する。具体的には、需要予測部103は、商品01は、倉庫Aから卸店舗DA及びDBを経由して各販売店舗(SA、SB、SC、SD)に配送されることを認識する。続いて、需要予測部103は、特売予定情報にアクセスし、商品01に関する翌日(2018年1月4日)から1週間後(2018年1月10日)までの特売予定数を取得する。続いて、需要予測部103は、過去実績情報にアクセスし、短期の需要予測を行う期間の1年前である2017年1月4日から2017年1月10日における、商品01の各販売店舗(SA、SB、SC、SD)での販売実績数を取得する。
【0032】
続いて、需要予測部103は、各販売店舗(SA、SB、SC、SD)における販売実績数から、通常販売による需要予測数を推定し、推定した通常販売による販売実績数に特売予定数を加算することで、短期の需要予測数を算出する。ここで、需要予測部103は、以下に示す処理手順1又は処理手順2のいずれか一方を用いることで、通常販売による需要予測数の推定と短期の需要予測数を算出とを行う。
【0033】
[処理手順1]
処理手順1では、需要予測部103は、販売店舗(SA、SB、SC、SD)ごとの日単位の販売実績数のうち、所定の閾値を超える日の販売実績数については特売による過去の販売実績数であるとみなし、当該過去の販売実績数から所定の閾値を超える分の販売実績数を減算することで、通常販売による需要予測数を推定する。また、推定した通常販売による需要予測数に特売予定数を加算することで、短期の需要予測数を算出する。以下、
図7(a)を用いて具体例を説明する。
【0034】
ステップS101で、需要予測部103は、販売店舗(SA、SB、SC、SD)ごとの日単位の販売実績数のうち、販売実績数が所定の閾値を超える日付を検索する。例えば、
図6の例では、販売店舗SAにおける1月4日から10日までの販売実績数は、それぞれ、350個、400個、250個、130個、180個、250個、230個である。ここで、所定の閾値は270個に設定されていると仮定する。そうすると、販売店舗SAにおける2017年1月4日から1月10日までの販売実績数のうち、販売実績数が所定の閾値を超える日は1月4日及び1月5日になる。なお、所定の閾値は、予め需要予測装置10に設定されていてもよいし、端末20から任意に変更可能であってもよい。
【0035】
続いて、需要予測部103は、1月4日及び1月5日の販売実績数のうち、所定の閾値を超える個数(すなわち80個及び130個)は特売による販売実績数であったとみなし、これらの個数を販売実績数から減算することで通常販売による販売実績数を推定する。ここでは、需要予測部103は、販売店舗SAにおける2017年1月4日から1月10日までの通常販売による販売実績数は、それぞれ、270個、270個、250個、130個、180個、250個、230個であったと推定することになる。需要予測装置10は、ステップS101で説明した処理を、販売店舗SB、SC及びSDについても行う。
【0036】
ステップS102で、需要予測部103は、ステップS101の処理手順で推定された販売店舗(SA、SB、SC、SD)ごとの通常販売による販売実績数を合計することで、2017年1月4日から1月10日までの日単位における、倉庫A単位での通常販売による販売実績数を算出する。算出結果を
図8に示す。
図8に示すように、2017年1月4日から1月10日までの日単位における、倉庫Aでの通常販売による販売実績数は、それぞれ、750個、780個、830個、700個、770個、960個、930個と算出される。需要予測装置10は、これらの数を、2018年1月4日から1月10日までの通常販売による需要予測数とみなすことで、日単位かつ倉庫A単位での通常販売による需要予測数を推定する。
【0037】
ステップS103で、需要予測部103は、特売予定情報から取得した2018年1月4日から1月10日までの販売店舗(SA、SB、SC、SD)ごとの特売予定数を合計することで、日単位かつ倉庫A単位での特売予定数を算出する。算出された2018年1月4日から1月10日までの特売予定数は、それぞれ、250個、250個、300個、300個、250個、250個、300個になる。なお、
図5の例では、同一日に2店舗以上で特売が行われる日が存在しないことから、ここでは、
図5に示す数がそのまま倉庫A単位の特売予定数になる。
【0038】
続いて、需要予測装置10は、算出された2018年1月4日から1月10日までの日単位かつ倉庫A単位での特売予定数に、ステップS102で推定された2018年1月4日から1月10日までの日単位かつ倉庫A単位での通常販売による販売予定数を加算することで、倉庫Aにおける2018年1月4日から1月10日までの日単位での需要予測数を算出する。具体的には、倉庫Aにおける2018年1月4日から1月10日までの日単位での需要予測数は、それぞれ、1000(750+250)個、1030(780+250)個、1130(830+300)個、1000(700+300)個、1020(770+250)個、1210(960+250)個、1230(930+300)個と算出される。
【0039】
[処理手順2]
処理手順2では、需要予測部103は、過去実績情報に含まれる販売店舗ごとの過去の販売実績数のうち、倉庫Aから商品01の配送を受ける各販売店舗(SA、SB、SC、SD)についての予測期間(翌日から1週間後まで)に対応する過去の所定の期間(すなわち予測期間の1年前の期間)の販売実績数を合計することで、倉庫A単位かつ予測期間に対応する当該過去の所定の期間における販売実績数を算出する。続いて、需要予測部103は、特売予定情報に含まれる販売店舗ごとの日単位の特売予定数のうち、倉庫Aから商品01の配送を受ける販売店舗(SA、SB、SC、SD)ごとの予測期間の販売予定数を合計することで、倉庫A単位かつ予測期間における特売予定数を算出する。
【0040】
続いて、需要予測部103は、算出した販売実績数(倉庫A単位かつ予測期間に対応する過去の所定の期間における販売実績数)から、算出した販売予定数(倉庫A単位かつ予測期間における特売予定数)を減算することで、通常販売による需要予測数を推定する。また、推定した通常販売による需要予測数を、過去の所定の期間における日ごとの販売実績数の比率で按分すると共に、按分した通常販売による需要予測数に特売予定数を加算することで、短期の需要予測数を算出する。以下、
図7(b)を用いて具体例を説明する。
【0041】
ステップS111で、2017年1月4日から1月10日までの販売店舗(SA、SB、SC、SD)ごとの販売実績数を合計することで、2017年1月4日から1月10日までの1週間における倉庫A単位での販売実績数を算出する。
図6の例では、算出された販売実績数は、6790(830+910+1040+820+1000+1080+1110)個になる。
【0042】
ステップS112で、需要予測部103は、201
8年1月4日から1月10日までの期間における販売店舗(SA、SB、SC、SD)ごと
に販売予定数を合計することで、201
8年1月4日から1月10日までの1週間における倉庫A単位での販売予定数を算出する。
図5の例では、算出された販売予定数は、1650(250+250+300+300+250+250+300)個になる。
【0043】
続いて、需要予測部103は、算出した1週間分の倉庫A単位での販売実績数から、算出した1週間分の倉庫A単位での販売予定数を減算することで算出された数を通常販売による需要予測数とみなすことで、通常販売による需要予測数を推定する。ここでは、2018年1月4日から1月10日までの1週間分の倉庫A単位での通常販売による需要予測数は、5140(6790−1650)個であると推定されることになる。
【0044】
ステップS113で、需要予測部103は、ステップS112で推定された1週間分の倉庫A単位での需要予測数(5140個)を、2018年1月4日から1月10日までの1日ごとの需要予測数に按分する。需要予測部103は、按分する際の比率として、過去実績情報における2017年1月4日から1月10日までの1日ごとの倉庫単位での販売実績数の比率を利用する。例えば2018年1月4日の需要予測数は、5140×(830÷6790)=628個と算出することができる。これにより、2018年1月4日から1月10日までの1日ごとの倉庫A単位での需要予測数は、それぞれ、628個、689個、787個、621個、757個、818個、840個であると算出される。
【0045】
ステップS114で、需要予測部103は、特売予定情報から取得した2018年1月4日から1月10日までの販売店舗(SA、SB、SC、SD)ごとの特売予定数を合計することで、日単位かつ倉庫A単位での特売予定数を算出する。算出された2018年1月4日から1月10日までの特売予定数は、それぞれ、250個、250個、300個、300個、250個、250個、300個になる。
【0046】
続いて、需要予測装置10は、算出された2018年1月4日から1月10日までの日単位かつ倉庫A単位での特売予定数に、ステップS113で推定された2018年1月4日から1月10日までの日単位かつ倉庫A単位での通常販売による販売予定数を加算することで、倉庫Aにおける2018年1月4日から1月10日までの日単位での需要予測数を算出する。具体的には、倉庫Aにおける2018年1月4日から1月10日までの日単位での需要予測数は、それぞれ、878(628+250)個、939(689+250)個、1087(787+300)個、921(621+300)個、1007(757+250)個、1068(818+250)個、1140(840+300)個になる。
【0047】
(中期需要予測)
図9は、中期需要予測を行う処理手順を説明するための図である。ここで、販売店舗で行われる特売には、1ヶ月先など予め実施が決まっている特売と、開催の直前で実施が決まる特売とがあることから、中期の需要予測に利用可能な特売予定数が確定していないことが考えられる。また、販売店舗の仕入担当者や商品の営業担当者等が、特売の実施日が近づいてから特売予定数を入力することも想定される。
【0048】
そこで、需要予測部103は、中期需要予測を行う場合、短期需要予測のように特売による販売実績数を除外するのではなく、
図9(a)に示すように、予測期間(例えば1週間後から4か月後まで)に対応する過去の所定の期間(すなわち予測期間の1年前の期間)の倉庫単位における販売実績数を、そのまま当該倉庫における中期の需要予測数とする。なお、中期需要予測は、短期需要予測とは異なり、主に工場における商品の生産計画等に用いられることが多いと考えられる。そのため、需要予測部103は、日単位より荒い単位(例えば1週間単位や1ヶ月単位)で中期需要予測を行うようにしてもよい。
【0049】
例えば、過去実績情報に格納されている倉庫A単位の販売実績数に、2017年1月の第2週、第3週、第4週及び2017年2月第1週の販売実績数として、それぞれ、6000個、7000個、5000個、6500個が格納されていたと仮定する。この場合、需要予測部103は、2018年1月の第2週、第3週、第4週及び2018年2月第1週の中期需要予測は、それぞれ、6000個、7000個、5000個、6500個であると予測するようにしてもよい。
【0050】
ここで、販売店舗で行われる特売の中には、昨年度の同時期には実施していなかったが本年度初めて実施するといった特売が行われることがある。その場合、単純に過去実績を需要予測としてしまうと、本年度実施する特売の特売予定数が中期需要予測に反映されないことになってしまう。そこで、需要予測部103は、
図9(b)に示すように、特売予定情報に入力されている特売予定のうち少なくとも一部を中期需要予測に加えるようにしてもよい。中期需要予測に加える特売の指定は、端末20を介してユーザ(例えば昨年の実施した特売を把握している担当者等)から受け付けるようにしてもよい。これにより、需要予測装置10は、特売による需要数の変化を、中期需要予測に反映させることが可能になる。
【0051】
<変形例>
以上説明した処理手順1では、販売店舗ごとの日々の販売実績数を用いて需要予測を算出するようにしたが、販売店舗によっては、商品ごとの販売数を自動的にカウント可能なシステムが導入されていない等の理由により、日々の販売実績数をカウントできない場合も想定される。そこで、変形例として、販売店舗ごとの日々の販売実績数を用いずに需要予測を算出するようにしてもよい。
【0052】
具体的には、需要予測部103は、倉庫から各卸店舗に向けて出荷された商品の出荷実績数について、卸店舗ごとの日単位の出荷実績数のうち、所定の閾値を超える日の出荷実績数については特売による出荷実績数であるとみなし、当該過去の出荷実績から所定の閾値を超える分の出荷実績数を減算することで、通常販売による需要予測数(出荷予測数)を推定する。また、推定した通常販売による需要予測数に特売予定数を加算することで、最終的に倉庫単位かつ日単位での短期の需要予測数を算出する。
【0053】
本変形例では、
図6に示す過去実績情報には、複数の販売店舗に商品を配送する卸店舗ごとに、倉庫から卸店舗に向けて出荷された過去の出荷実績数が含まれているものとする。より詳細には、
図6に示す過去実績情報のうち「販売実績数(倉庫単位)」、「販売店舗」、「販売実績数(販売店舗単位)」は、それぞれ、「倉庫から卸店舗への出荷実績数(倉庫単位)」、「卸店舗」、「倉庫から卸店舗への出荷実績数(卸店舗単位)」に置き換えられる。また、
図7(a)に示すステップS101〜ステップS103の処理手順は、以下に説明する処理手順に置き換えるものとする。
【0054】
ステップS101で、需要予測部103は、倉庫から各卸店舗に向けて出荷された日単位の出荷実績数(つまり「倉庫から卸店舗への出荷実績数(倉庫単位)」に格納された数)のうち、出荷実績数が所定の閾値を超える日付を検索する。
【0055】
続いて、需要予測部103は、倉庫から各卸店舗に向けて出荷された日単位の出荷実績数のうち、所定の閾値を超える個数は特売による出荷実績数であったとみなし、これらの個数を出荷実績数から減算することで、通常販売による倉庫からの出荷実績数を、卸店舗ごとに推定する。
【0056】
ステップS102で、需要予測部103は、ステップS101の処理手順で推定された卸店舗ごとの、通常販売による倉庫からの出荷実績数を合計することで、日単位かつ倉庫単位での通常販売による出荷実績数を算出する。
【0057】
ステップS103で、需要予測部103は、特売予定情報から取得した販売店舗ごとの特売予定数を合計することで、日単位かつ倉庫単位での特売予定数を算出する。
【0058】
続いて、需要予測装置10は、算出された日単位かつ倉庫単位での特売予定数に、ステップS102で推定された日単位かつ倉庫単位での通常販売による出荷実績数を加算することで、倉庫における日単位での需要予測数を算出する。
【0059】
<まとめ>
以上、実施形態について説明した。本実施形態によれば、商品の短期需要予測を行う際に、特売による販売実績数と通常販売による販売実績数との両方が混在した過去の販売実績から、通常販売による販売実績を推定し、推定した販売実績に特売による販売予定数を加えることで、需要予測を算出するようにした。また、中期需要予測を行う際、特売による販売予定数が未確定である場合等を想定し、過去の販売実績をそのまま中期の需要予測に利用することとした。これにより、需要予測装置10は、特売による販売予定数を考慮して、商品の需要予測を行うことを可能とした。
【0060】
<補足事項>
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0061】
例えば、以上説明した実施形態において、日単位の処理を、週単位の処理に置き換えることも可能である。例えば、需要予測部103は、処理手順1で説明した短期の需要予測数を、日単位ではなく週単位で予測するようにしてもよい。具体的には、需要予測部103は、販売店舗(SA、SB、SC、SD)ごとの“週単位”の販売実績数(日単位の過去実績情報を週単位に合算することで算出)のうち、所定の閾値を超える“週”の販売実績数については特売による過去の販売実績数であるとみなし、当該過去の販売実績数から所定の閾値を超える分の販売実績数を減算することで、通常販売による需要予測数を推定するようにしてもよい。なお、短期の需要予測数を週単位で予測する処理の詳細は、
図7で説明したステップS101〜ステップS103の処理手順において、日単位の記載を、週単位に置き換えることで実現可能である。
【0062】
また、上述した変形例についても同様に、日単位の処理を、週単位の処理に置き換えることも可能である。具体的には、需要予測部103は、倉庫から卸店舗への“週単位”の出荷実績数のうち、所定の閾値を超える“週”の出荷実績数については特売による過去の出荷実績数であるとみなし、当該過去の出荷実績数から所定の閾値を超える分の出荷実績数を減算することで、通常販売による需要予測数を推定するようにしてもよい。
【解決手段】本発明の需要予測装置10は、複数の販売店舗で販売される商品に関して、特売による販売予定数を示す特売予定情報と、前記商品に関して、特売による販売実績数と通常販売による販売実績数とが含まれる過去の販売実績数を示す過去実績情報とを管理する管理部と、特売による販売予定数と過去の販売実績数とに基づいて、通常販売による需要予測数を推定すると共に、推定した通常販売による需要予測数に特売による販売予定数を加算することで、複数の販売店舗に配送する商品を管理する拠点における第1所定期間についての商品需要予測数を予測する予測部と、を有する。