特許第6474533号(P6474533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6474533意味マッピングを利用したロボット・ナビゲーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474533
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】意味マッピングを利用したロボット・ナビゲーション
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20190218BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   B65G1/137 G
   B25J5/00 A
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-525538(P2018-525538)
(86)(22)【出願日】2016年8月1日
(65)【公表番号】特表2018-525301(P2018-525301A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】US2016044985
(87)【国際公開番号】WO2017023841
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2018年3月12日
(31)【優先権主張番号】14/815,246
(32)【優先日】2015年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518032856
【氏名又は名称】ローカス ロボティクス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Locus Robotics Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】マイク ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー パワーズ
(72)【発明者】
【氏名】ブルース ウェルティ
(72)【発明者】
【氏名】ジーン ジョンソン
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−321106(JP,A)
【文献】 特表2014−526426(JP,A)
【文献】 特開2007−161485(JP,A)
【文献】 特表2011−511718(JP,A)
【文献】 特開平11−059817(JP,A)
【文献】 特開2015−101439(JP,A)
【文献】 特開2009−023740(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0032252(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B25J 5/00
G06Q 50/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを用いて空間内に位置する商品に対して作業を実行する方法であって、前記商品は参照マーカに近接して位置し、各参照マーカは参照識別表示を有する方法において、
少なくとも一つの商品に対して作業を実行するように注文を受信するステップと、
前記少なくとも一つの商品のSKUを取得するステップと、
前記少なくとも一つの商品の前記SKUから、前記SKUに関連した空間内のアドレスを決定するステップと、
前記アドレスから、前記アドレスに関連した参照識別表示を決定するステップと、
記参照識別表示を用いて、前記空間によって定められた座標系内で前記決定された参照識別表示を有する前記参照マーカのポジションを表す一組の座標を取得するステップと、
前記決定された参照識別表示に関連した前記参照マーカの前記座標へ前記ロボットをナビゲートするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記SKUに関連した前記空間内のアドレスを決定する前記ステップは、前記少なくとも一つの商品を格納するための箱の箱アドレスを決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも一つの商品に対して前記作業を実行するように人間の作業者とやり取りするステップを更に含み、前記作業は、前記少なくとも一つの商品を取り出し前記商品を前記ロボットに置くこと、又は前記ロボットから前記少なくとも一つの商品を取り出し前記参照マーカに近接して前記商品を格納することの一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記空間は、複数の商品を収容する倉庫であって、前記複数の商品は、前記倉庫の全体にわたって分散させられた複数の入れ物内に格納される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
各参照マーカは、前記入れ物の一つ又は複数に関連しているとともに、前記入れ物の一つ又は複数に近接して位置する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記参照識別表示を決定する前記ステップは、前記倉庫の全体にわたって分散させられた前記入れ物の物理的レイアウトに基づいて参照識別表示システムを確立するステップと、前記倉庫内の前記入れ物の物理的位置に対応する参照識別表示に各入れ物を関連付けるステップとを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
参照識別表示に各入れ物を関連付ける前記ステップは、前記入れ物の前記参照識別表示を前記商品に関係付けるステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記ナビゲートするステップは、前記参照マーカへ前記ロボットを案内するために各参照マーカについての場所を含む前記倉庫の予め決定されたマップを使用するステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
空間内に位置する商品に対して作業を実行するように構成されたロボットであって、前記商品は参照マーカに近接して位置し、各参照マーカは参照識別表示を有するロボットにおいて、
少なくとも一つの商品に対して作業を実行するように注文を受信するステップと、
前記少なくとも一つの商品のSKUを取得するステップと、
前記少なくとも一つの商品の前記SKUから、前記SKUに関連した空間内のアドレスを決定するステップと、
前記アドレスから、前記アドレスに関連した参照識別表示を決定するステップと、
前記参照識別表示を用いて、前記空間によって定められた座標系内で前記決定された参照識別表示を有する前記参照マーカのポジションを表す一組の座標を取得するステップと、
を実行するように構成されたプロセッサと、
前記決定された参照識別表示に関連した前記参照マーカの前記座標へ前記ロボットをナビゲートするように構成されたナビゲーション・システムと、
を備えるロボット。
【請求項10】
前記SKUに関連した前記空間内のアドレスを決定する前記ステップは、前記少なくとも一つの商品を格納するための箱の箱アドレスを決定するステップを含む、請求項9に記載のロボット。
【請求項11】
前記少なくとも一つの商品に対して前記作業を実行するように人間の作業者とやり取りするように構成されたインタフェース装置を更に備え、前記作業は、前記少なくとも一つの商品を取り出し前記商品を前記ロボットに置くこと、又は前記ロボットから前記少なくとも一つの商品を取り出し前記参照マーカに近接して前記商品を格納することの一方を含む、請求項に記載のロボット。
【請求項12】
前記空間は、複数の商品を収容する倉庫であって、前記複数の商品は、前記倉庫の全体にわたって分散させられた複数の入れ物内に格納される、請求項11に記載のロボット。
【請求項13】
各参照マーカは、前記入れ物の一つ又は複数に関連しているとともに、前記入れ物の一つ又は複数に近接して位置する、請求項12に記載のロボット。
【請求項14】
前記倉庫内の各入れ物は、前記倉庫内の前記入れ物の物理的位置に対応する参照識別表示に関連している、請求項13に記載のロボット。
【請求項15】
前記入れ物の前記参照識別表示は、前記入れ物内に格納された前記商品と関係がある、請求項14に記載のロボット。
【請求項16】
前記ナビゲーション・システムは、各参照マーカについての場所を有する前記倉庫のマップを含む、請求項15に記載のロボット。
【請求項17】
空間内に位置する商品に対して作業を実行するように構成されたロボットであって、前記商品は参照マーカに近接して位置し、各参照マーカは参照識別表示を有するロボットにおいて、
前記ロボットが作業を実行する対象となる少なくとも一つの商品のSKUに関連した参照識別表示を決定するように構成されたプロセッサであって、前記少なくとも一つの商品の前記参照識別表示を用いて、前記空間によって定められた座標系内で前記決定された参照識別表示を有する前記参照マーカのポジションを表す一組の座標を取得するように更に構成されたプロセッサと、
前記決定された参照識別表示に関連した前記参照マーカの前記座標へ前記ロボットをナビゲートするように構成されたナビゲーション・システムと、
を備え
前記プロセッサは、前記空間内の前記参照マーカについての場所を決定するように更に構成され、前記ナビゲーション・システムは、前記場所へ前記ロボットを案内するように、中間参照マーカ、又は前記決定された参照識別表示に関連付けられた前記参照マーカ、を用いずに前記場所へ前記ロボットを進めるように構成されている、
ロボット。
【請求項18】
前記少なくとも一つの商品に対して前記作業を実行するように人間の作業者とやり取りするように構成されたインタフェース装置を更に備え、前記作業は、前記少なくとも一つの商品を取り出し前記商品を前記ロボットに置くこと、又は前記ロボットから前記少なくとも一つの商品を取り出し前記参照マーカに近接して前記商品を格納することの一方を含む、請求項17に記載のロボット。
【請求項19】
前記空間は、複数の商品を収容する倉庫であって、前記複数の商品は、前記倉庫の全体にわたって分散させられた複数の入れ物内に格納される、請求項18に記載のロボット。
【請求項20】
各参照マーカは、前記入れ物の一つ又は複数に関連しているとともに、前記入れ物の一つ又は複数に近接して位置する、請求項19に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、本出願と同時に出願され、参照により本明細書に組み込まれる、「Operator Identification and Performance Tracking」という名称の米国特許出願第14/815,110号に関連する2015年7月31日に出願した米国出願第14/815,246号の出願日の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、意味マッピング(semantic mapping)を利用したロボット・ナビゲーションに関し、より詳細には、ロボット支援式の製品受注処理システムにおいて倉庫の全体にわたってロボットをナビゲートするための意味マッピングを利用したロボット・ナビゲーションに関する。
【背景技術】
【0003】
宅配のためにインターネットを通じて製品を注文することは、非常に一般的に普及しているショッピング方法である。そのような注文を時間通りに、正確に、効率的に処理することは、少なくともロジスティックスの課題である。仮想ショッピング・カートの「購入」ボタンをクリックすることによって「注文」を生成する。注文は、特定のアドレスに発送されることになる商品のリストを含む。「処理」のプロセスは、大きい倉庫からこれらの商品を物理的に取り又は「選び取る」こと、商品を梱包すること、及び指定されたアドレスへ商品を発送することを伴う。したがって、受注処理プロセスの重要な目標は、できるだけ短い時間に多くの商品を発送することである。
【0004】
典型的には、受注処理プロセスは、注文に挙げられた製品を含む多くの製品を収容する大きい倉庫で行われる。したがって、受注処理の作業の中には、注文に挙げられた様々な商品を見つけ、収集するように倉庫を横断する作業がある。加えて、最終的に発送される製品は、最初に、商品が発送のために容易に取り出され得るように倉庫に受け入れられ、倉庫の全体にわたって順番に収納箱内に収容又は「配置」される必要がある。
【0005】
大きい倉庫では、配達中及び注文中である品物は、互いからとても遠く離れて及び多数の他の品物の中に分散させられて収納することができる。受注処理プロセスの場合、品物を配置するとともに選び取るために人間の作業者だけを使用することは、作業者がかなりたくさん歩くことを必要とし、非効率的で時間がかかるものであり得る。処理プロセスの効率は、単位時間に発送される商品の個数の関数であるので、時間が増大することは、効率を低下させる。
【0006】
ロボット支援型の注文処理システムは、効率及び生産性を向上させるために使用されている。しかしながら、そのようなシステムの効率を更に向上させる必要がまだある。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本発明は、ロボットを用いて空間内に位置する商品に対して作業を実行する方法であって、商品は参照マーカに近接して位置し、各参照マーカは参照識別表示を有することを特徴とする。方法は、少なくとも一つの商品に対して作業を実行するように注文を受信するステップと、少なくとも一つの商品に関連した参照識別表示を決定するステップとを含む。方法は、少なくとも一つの商品の参照識別表示を用いて、空間によって定められた座標系内で決定された参照識別表示を有する参照マーカのポジションを表す一組の座標を取得するステップも含む方法は、決定された参照識別表示に関連した参照マーカの座標へロボットをナビゲートするステップを更に含む。
【0008】
本発明の他の態様では、以下の特徴のうち一つ又は複数が含まれ得る。方法は、少なくとも一つの商品に対して作業を実行するように人間の作業者とやり取りするステップを更に含むことができ、作業は、少なくとも一つの商品を取り出し商品をロボットに置くこと、又はロボットから少なくとも一つの商品を取り出し参照マーカに近接して商品を格納することの一方を含む。空間は、倉庫の全体にわたって分散させられた複数の入れ物内に格納された複数の商品を収容する倉庫とすることができる。各参照マーカは、入れ物の一つ又は複数に関連しているとともに、入れ物の一つ又は複数に近接して位置することができる。参照識別表示を決定するステップは、倉庫の全体にわたって分散させられた入れ物の物理的レイアウトに基づいて参照識別表示システムを確立するステップと、倉庫内の入れ物の物理的位置に対応する参照識別表示に各入れ物を関連付けるステップとを含むことができる。参照識別表示に各入れ物を関連付けるステップは、入れ物の参照識別表示を商品に関係付けるステップを更に含むことができる。決定された参照識別表示と共に参照マーカのポジションを表す一組の座標を決定するステップは、決定された参照識別表示をその対応する参照マーカと関連付けるステップと、倉庫の座標系内の参照マーカのポジションを表す一組の座標を取り出すステップと含むことができる。参照マーカのポジションを表す一組の座標を取り出すステップは、倉庫内の参照マーカについての場所を決定するステップを含むことができ、ナビゲートするステップは、決定された参照識別表示に関連付けられた参照マーカへロボットを案内するように中間参照マーカを用いることなく場所へロボットを進ませるステップを含むことができる。ナビゲートするステップは、参照マーカへロボットを案内するために各参照マーカについての場所を含む倉庫の予め決定されたマップを使用するステップを更に含むことができる。
【0009】
本発明の別の態様では、空間内に位置する商品に対して作業を実行するように構成されたロボットであって、商品は参照マーカに近接して位置し、各参照マーカは参照識別表示を有するロボットがある。ロボットは、ロボットが作業を実行する基準となる少なくとも一つの商品に関連した参照識別表示を決定するように構成されたプロセッサを備える。ロボットは、少なくとも一つの商品の参照識別表示を用いて、空間によって定められた座標系内で決定された参照識別表示を有する参照マーカのポジションを表す一組の座標を取得するように更に構成される。決定された参照識別表示に関連した参照マーカの座標へロボットをナビゲートするように構成されたナビゲーション・システムがある。
【0010】
本発明の他の態様では、以下の特徴のうち一つ又は複数が含まれ得る。ロボットは、少なくとも一つの商品に対して作業を実行するように人間の作業者とやり取りするように構成されたインタフェース装置を備えることができる。作業は、少なくとも一つの商品を取り出し商品をロボットに置くこと、又はロボットから少なくとも一つの商品を取り出し参照マーカに近接して商品を格納することの一方を含むことができる。空間は、複数の商品を収容する倉庫であって、複数の商品は、倉庫の全体にわたって分散させられた複数の入れ物内に格納されることができる。各参照マーカは、入れ物の一つ又は複数に関連しているとともに、入れ物の一つ又は複数に近接して位置することができる。倉庫内の各入れ物は、倉庫内の入れ物の物理的位置に対応する参照識別表示に関連していることができる。入れ物の参照識別表示は、入れ物内に格納された商品と関係があってもよい。プロセッサは、決定された参照識別表示をその対応する参照マーカと関連付けるとともに、倉庫の座標系内の参照マーカのポジションを表す一組の座標を取り出すように更に構成することができる。プロセッサは、倉庫内の参照マーカについての場所を決定するように更に構成することができ、ナビゲーション・システムは、決定された参照識別表示に関連付けられた参照マーカへロボットを案内するように中間参照マーカを用いずに場所へロボットを進めるように構成することができる。ナビゲーション・システムは、各参照マーカについての場所を有する倉庫のマップを含むことができる。
【0011】
本発明のこれら及び他の特徴は、以下の詳細な説明及び添付図面から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】受注処理倉庫の平面図である。
図2図1に示された倉庫に使用したロボットのうち一つの台車の斜視図である。
図3】アーマチュアを装備し図1に示された棚の前に止められた図2のロボットの斜視図である。
図4】ロボット上のレーザ・レーダを用いて生成された図1の倉庫の部分的なマップである。
図5】倉庫の全体にわたって分散させられた参照マーカの位置を特定し参照マーカの場所に格納するプロセスを示す流れ図である。
図6】参照識別表示と場所のマッピングの表である。
図7】箱位置と参照識別表示のマッピングの表である。
図8】製品のSKUと場所のマッピング・プロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、典型的な受注処理倉庫10は、注文16に含まれ得る様々な商品で満たされた棚12を備える。動作時、倉庫管理サーバ(Warehouse Management Server (WMS))15からの注文16は、注文サーバ14に到着する。注文サーバ14は、倉庫10を動き回る複数のロボットから選択されたロボット18に注文16を伝える。
【0014】
図2に示された典型的なロボット18は、レーザ・レーダ22を有する自律型車輪付き台車20を含む。台車20は、ロボット18が注文サーバ14から指令を受信することを可能にする送受信機24、及びカメラ26も特徴とする。台車20は、図3に示されるように、レーザ・レーダ22からデータを受信するプロセッサ32と、ロボットの環境を表す情報を取り込むためのカメラ26と、倉庫10内のナビゲーションに関連した様々な作業を実施するとともに、棚12に配置された参照マーカ30へナビゲートするように協働するメモリ34とを更に特徴とする。参照マーカ30(例えば、2次元バーコード)は、注文を受けた商品の箱/位置に対応する。本発明のナビゲーション手法は、図4図8を参照して以下に詳細に説明される。
【0015】
本明細書中で与えられる説明は、顧客へ発送するために注文を処理するように倉庫内の箱位置から商品を選び取ることに重点をおいているが、このシステムは、後で取り出し顧客へ発送するために、倉庫の全体にわたって箱位置において倉庫内に受け入れられる商品の格納又は配置に等しく適用することができる。本発明は、商品の統合、商品の計数、確認、及び検査などのそのような倉庫システムに関連した他の標準的な作業と共に利用することもできる。
【0016】
台車20の上面36は、複数の交換可能なアーマチュア40のいずれか一つを係合する連結部38を特徴とし、連結部38の一つは図3に示されている。図3の特定のアーマチュア40は、商品を受け入れるトート44を保持するためのトート・ホルダ42と、タブレット48を支持するためのタブレット・ホルダ46とを特徴とする。いくつかの実施形態では、アーマチュア40は、商品を保持するための一つ又は複数のトートを支持する。他の実施形態では、台車20は、受け入れられた商品を保持するための一つ又は複数のトートを支持する。本明細書中で使用されるとき、用語「トート」には、限定するものではないが、貨物ホルダ、箱、かご、棚、商品を掛けることができる竿、小箱、木箱、ラック、スタンド、架台、入れ物、ボックス、蓋付きの缶、容器、及び収納庫が含まれる。
【0017】
ロボット18は、倉庫10をあちこち移動するのに優れているが、現在のロボット技術に関しては、ロボット18は、ロボットの物体操作に関連した技術的な難しさにより、素早くかつ効率的に棚から商品を選び取りこの商品をトート44に置くのはあまり得意ではない。商品を選び取るより効率的なやり方は、局所的な作業者50を使用することであり、この局所的な作業者50は、典型的には、棚12から注文された商品を物理的に取り去り、ロボット18上、例えばトート44内に商品を置く作業を行うための人間である。ロボット18は、局所的な作業者50が読むことができるタブレット48を介して、又は局所的な作業者50によって使用されるハンドヘルド装置へ注文を送信することによって、局所的な作業者50に注文を伝える。
【0018】
注文サーバ14から注文16を受信すると、ロボット18は、例えば図3に示された第1の倉庫の位置へ進む。ロボット18は、メモリ34に記憶されプロセッサ32によって実行されるナビゲーション・ソフトウェアに基づいてそれを行う。ナビゲーション・ソフトウェアは、レーザ・レーダ22によって収集されるような環境に関してのデータと、特定の商品を見つけることができる倉庫10内の位置に対応する参照マーカ30の参照識別表示(「ID」)を特定するメモリ34内の内部テーブルと、ナビゲートするためのカメラ26とに頼る。
【0019】
正しい位置に到着すると、ロボット18は、商品が格納されている棚12の前で止まり、局所的な作業者50が棚12から商品を取り出しトート44内に商品を置くのを待つ。ロボット18が取り出すべき他の商品を有する場合、ロボット18は、それらの位置へ進む。次いで、ロボット18によって取り出された商品は、梱包ステーション100(図1)へ送り届けられ、そこで商品は梱包され発送される。
【0020】
各ロボットは、一つ又は複数の注文を処理していることができ、各注文は、一つ又は複数の商品からなることができることは当業者によって理解されよう。典型的には、いくつかの形態のルート最適化ソフトウェアが、効率を向上させるために含まれるが、これは、本発明の範囲を超えており、したがって本明細書中には説明されない。
【0021】
本発明の説明を簡単にするために、ただ一つのロボット18及び作業者50が説明される。しかしながら、図1から明らかであるように、典型的な処理動作は、連続的な注文の流れに応じるために倉庫内で互いの間で働く多くのロボット及び作業者を含む。加えて、いくらかのロボット及び作業者は、倉庫に商品を蓄えるための配置又は格納の作業、又は商品の統合、商品の計数、確認、及び検査などの他の作業を実行することができる。
【0022】
本発明のナビゲーション手法、並びに取り出される商品の在庫管理単位(SKU)と倉庫内の参照マーカに関連した参照ID/商品が位置する場所の意味マッピングは、図4図8を参照して以下に詳細に説明される。
【0023】
一つ又は複数のロボット18を用いて、倉庫10のマップを生成しなければならず、倉庫の全体にわたって分散させられた様々な参照マーカの位置を決定しなければならない。これをするために、ロボット18のうち一つは、そのレーザ・レーダ22、及びSLAM(simultaneous localization and mapping)を利用して、倉庫をナビゲートしマップ10a(図4)を構築するものであり、SLAMは、未知の環境のマップを構築又は更新する計算問題である。一般に普及しているSLAM近似解法は、パーティクル・フィルタ及び拡張カルマン・フィルタを含む。SLAM Gマッピング手法は、好ましい手法であるが、任意の適切なSLAM手法が使用されてもよい。
【0024】
ロボット18が、レーザ・レーダが環境をスキャンするときにロボット18が受信する反射に基づいて空間内の空きスペース112、壁114、物体116、及び棚12などの他の静的な障害物を認識しつつ、空間の全体にわたって移動するときに、ロボット18は、倉庫10のマップ10aを生成するためにそのレーザ・レーダ22を利用する。
【0025】
マップ10aを構築する間又はその後に、一つ又は複数のロボット18は、商品を収納する32及び34(図3)などの箱に近接した棚上の倉庫の全体にわたって分散させられた参照マーカ(2次元バーコード)を位置特定するために環境をスキャンするようにカメラ26を用いて倉庫10の全体にわたってナビゲートする。ロボット18は、原点110などの参照のために知られている開始点又は原点を使用する。参照マーカ30(図3及び図4)などの参照マーカが、ロボット18によってそのカメラ26を用いて位置特定されるときに、原点110に対しての倉庫内の位置が決定される。
【0026】
ホイール・エンコーダ及びヘディング・センサを使用することによって、ベクトル120、及びロボットの倉庫10内のポジションを決定することができる。参照マーカ/2次元バーコードの取り込まれた画像及びその知られているサイズを用いて、ロボット18は、参照マーカ/2次元バーコードのロボットに対する向き及びそこからの距離(ベクトル130)を決定することができる。ベクトル120及び130が知られている場合、原点110と参照マーカ30の間のベクトル140を決定することができる。ロボット18に対しての参照マーカ/2次元バーコードのベクトル140及び決定された向きから、参照マーカ30についての四元数(x,y,z,ω)によって定められた場所(ポジション及び向き)が決定される。
【0027】
参照マーカの位置特定を説明する流れ図200図5)が説明される。これは、初期マッピング・モードで、ロボット18が選び取り、配置、及び/又は他の作業を実行する間に倉庫内の新しい参照マーカに遭遇するときに実行される。ステップ202において、カメラ26を用いたロボット18は、画像を取り込み、ステップ204において、取り込んだ画像内で参照マーカを探す。ステップ206において、参照マーカが画像内で見つけられた場合(ステップ204)、参照マーカが、ロボット18のメモリ34内に位置する参照テーブル300(図6)内にすでに記憶されているか判定される。参照情報がメモリ内にすでに記憶されている場合、流れ図は、ステップ202に戻って、別の画像を取り込む。参照情報がメモリ内にない場合、場所は、上記のプロセスに従って決定され、ステップ208において、それは、参照−場所ルックアップ・テーブル300に加えられる。
【0028】
各ロボットのメモリに記憶することができるルックアップ・テーブル300には、参照マーカごとに、参照識別表示1、2、3等と、各参照識別表示に関連した参照マーカ/バーコードについての場所とが含まれる。場所は、倉庫内のx,y,z座標及び向き、即ち四元数(x,y,z,ω)からなる。
【0029】
別のルックアップ・テーブル400(図7)では、ルックアップ・テーブル400は、各ロボットのメモリ内にやはり記憶することができ、倉庫10内の箱位置のリスト(例えば、402a〜f)であり、この箱位置のリストは、特定の参照ID404、例えば、番号「11」に関連付けられている。この例では、箱位置は、七つの英数字からなる。最初の六つの文字(例えば、L01001)は、倉庫内の棚位置に関連し、最後の文字(例えば、A〜F)は、この棚位置における特定の箱を特定する。この例では、参照ID「11」に関連した六つの異なる箱位置が存在する。各参照ID/マーカに関連した一つ又は複数の箱が存在し得る。
【0030】
英数の箱位置は、人間、例えば作業者50(図3)に理解できるものであり、商品が格納されている倉庫10内の物理的位置に対応するようなものである。しかしながら、それらは、ロボット18には意味を有さない。位置を参照IDへマッピングすることによって、ロボット18は、テーブル300(図6)内の情報を用いて参照IDの場所を決定し、次いで、本明細書中に説明されるように、その場所にナビゲートすることができる。
【0031】
本発明による受注処理プロセスが、流れ図500図8)に示されている。ステップ502において、倉庫管理システム15(図1)は、取り出される一つ又は複数の商品からなり得る注文を取得する。ステップ504において、倉庫管理システム15によって商品のSKU数が決定され、ステップ506において、箱位置がこのSKU数から決定される。次いで、注文のための箱位置のリストが、ロボット18へ送信される。ステップ508において、ロボット18は箱位置と参照IDを関連付け、ステップ510において、各参照IDの場所が参照IDから取得される。ステップ512において、ロボット18は、図3に示されたような場所へナビゲートし、そこで作業者は、取り出される商品を適切な箱から選び取し、それをロボットに置くことができる。
【0032】
倉庫管理システム15によって取得されるSKU数及び箱位置などの商品特有の情報は、ロボット18上のタブレット48へ送信することができ、ロボットが各参照マーカの位置に到着したときに、作業者50は、取り出される特定の商品について知らされることができるようになっている。
【0033】
SLAMマップ及び知られている参照IDの場所を用いて、ロボット18は、様々なロボット・ナビゲーション技法を用いて参照IDのいずれか一つへ容易にナビゲートすることができる。好ましい手法は、倉庫10内の空きスペース112、及び壁114、(棚12などの)棚、並びに他の障害物116の知識が与えられると、参照マーカの場所への初期ルートを設定することを伴う。ロボットが、そのレーザ・レーダ26を用いて倉庫の横断を始めるとき、ロボットは、他のロボット18及び/又は作業者50などの固定的又は動的な何らかの障害物がその経路内に存在するか決定し、参照マーカの場所へのその経路を繰り返し更新する。ロボットは、約50ミリ秒ごとに1回そのルートの計画を立て直し、障害物を回避しながら最も効率的で有効な経路を常に探す。
【0034】
本明細書中にともに説明されたSLAMナビゲーション技法と組み合わされた参照場所マッピング技法に対し製品のSKU/参照IDを用いて、ロボット18は、倉庫内の位置を決定するために、格子線及び中間参照マーカを伴う典型的に使用されるより複雑なナビゲーション手法を使用する必要なく、倉庫空間をとても効率的かつ有効にナビゲートすることができる。
【0035】
本発明、及びその好ましい実施形態を説明してきたが、新しいとして主張され、特許証によって保証されるものは、以下の通りである。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8