特許第6474578号(P6474578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474578
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/05 20140101AFI20190218BHJP
   H01L 31/0747 20120101ALI20190218BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20190218BHJP
【FI】
   H01L31/04 570
   H01L31/06 455
   H01L31/04 262
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-201798(P2014-201798)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-72495(P2016-72495A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】寺下 徹
【審査官】 佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−182168(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/097741(WO,A1)
【文献】 特開2011−204955(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/023795(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0277825(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−10/40、30/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、前記太陽電池と他の太陽電池または外部回線とを電気的に接続する配線材と、を備える太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池は、光電変換部と、前記光電変換部の第一主面上に集電極とを備え、
前記集電極は、前記光電変換部側から順に、第一電極と、前記第一電極よりも導電性が高い第二電極とを有し、
前記配線材は、芯材と、前記芯材の表面を覆う導電体とから構成されており、
前記配線材は、前記太陽電池の第一主面上の集電極と接続されており、
第一主面上における前記配線材と集電極の接続箇所において、前記第二電極は、前記第一電極上の一部に形成されており、前記導電体が、前記第二電極と接する第二領域と、前記第一電極と接する第一領域と、を有し、
前記集電極と接する前記集電極側の導電体は、前記第一領域に接する第一導電体と、前記第二領域に接する第二導電体を有し、
前記第二電極は、前記導電体に溶解する材料からなり、
前記第一導電体における前記材料の含有量は、前記第二導電体における前記材料の含有量よりも多い
太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記第二領域における第二電極の膜厚が1〜10μmである、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記集電極の第一主面上の接続箇所における、前記第一主面と垂直な断面において、前記第二領域と、前記第一領域とは、交互に配置される、請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記第二電極が、銅を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記導電体が、錫と鉛からなる共晶半田又はSnAgCu系半田である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記第二領域における第一電極の厚みが第二電極よりも大きい、請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記第一導電体と第二導電体の組成が異なる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記第一導電体が、前記第二電極と前記導電体との合金を含む、請求項7に記載の太陽電池モジュール。
【請求項9】
前記第一導電体における前記材料の含有量は、0.5%以上20%以下である、請求項7または8に記載の太陽電池モジュール。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記太陽電池の第一主面上における前記集電極上に、前記集電極と、前記配線材の導電体とが接するように前記配線材を配置する配線材配置工程と、
前記配線材の前記太陽電池側とは反対側から、前記配線材の一部に、加熱部材を押し当てて押圧することにより前記配線材と前記集電極を接続させる、配線材接続工程と、をこの順に有し、
前記配線材接続工程において、前記加熱部材で押圧した押圧部に対応する前記集電極上の領域に、前記第二電極の少なくとも一部が溶解されて前記第一電極と前記配線材の導電体が接する第一領域が形成される、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記加熱部材を押圧することにより、複数の押圧部が一定間隔で形成される、請求項10に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無尽蔵に降り注ぐ太陽エネルギーを利用して発電することができ、且つ排気ガスを排出することなくクリーンであり、さらに放射能を放出するといった危険もなく安全であることから、太陽電池が注目を集めている。
【0003】
太陽電池モジュールは、複数の太陽電池を備えており、太陽電池の集電極と、他の太陽電池もしくは外部回線と、は、配線材によって電気的に直列または並列に接続される。太陽電池モジュールは、多くの場合、屋外に置かれるため、過酷な環境にさらされることとなり、また10年以上の長期にわたって使用させるべきものであるため、温度変化による材料の伸び縮みの違いにより、太陽電池の集電極からの配線材の剥離や、太陽電池の破損等が発生し、屋外使用において、劣化が発生する。そのため、温度変化に対する耐久性を確保することが求められる。これを解決するため、集電極と配線材の接続を全面ではなく、接続領域、非接続領域を設けることが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、配線材に、半田付けが可能な半田付け可能領域と、半田付け不可能領域(半田が付かない金属や樹脂により形成)とが長手方向に所定の間隔で交互に複数設けることが提案されている。また、特許文献2では、拡散型結晶シリコン太陽電池に関し、配線材が、バスバー部との接続面を形成する複数の接続部と、複数の接続部を互いに連結する連結部とを有することが提案されている。
【0005】
一方、半田は、所定の金属と合金を形成することが知られており、特許文献3では、錫を100重量%含む膜を表面に有する銅からなる引き出し線(配線材)と、銀ペーストからなる電極と、を接続させることで、当該膜と電極の間に、錫−銀合金を含む界面層が形成される旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−280591号公報
【特許文献2】特開平11−312820号公報
【特許文献3】特開2003−142711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1の方法によって太陽電池モジュールを作製する場合、半田付け可能領域と半田付け不可能領域を交互に設ける必要があり、配線材の芯材と、半田の他に、半田付け不可能領域に使用される材料(樹脂や、半田付けされない金属)を加える必要があり、温度の変化による材料の伸び縮みが生じやすく、太陽電池モジュールの耐久性が十分ではないことが明らかになった。また、配線材の作製方法が複雑になり、材料費が高くなり、モジュールコストが高くなるといった問題もある。
【0008】
また、特許文献2の方法によって太陽電池モジュールを作製する場合、配線材の形状を、連結部と接続部が形成されるように変更しており、製造工程の増加に伴い製造コストが増加するといった問題がある。拡散型の結晶シリコン太陽電池に関し、集電極や、配線材と集電極の関係については何ら検討されておらず、本内容をヘテロ接合太陽電池に適用した場合、温度変化による配線材と半導体基板との伸び縮みの違いにより、太陽電池モジュールの耐久性が十分でないと考えられる。さらに特許文献3では、電極である銀ペーストと配線材の半田の間の全面に、合金を含む界面層が形成された形態が開示されているが、この場合も、温度変化による配線材と半導体基板との伸び縮みの違いにより太陽電池モジュールの耐久性が十分でないことが明らかとなった。
【0009】
本発明は、上記のような太陽電池の集電極と配線材との接続方法、モジュールの耐久性に関わる従来技術の問題点を解決し、太陽電池モジュールの製造コストを低減させると共に、長期信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、所定の集電極、集電極と配線材との接続構造を用いることにより、太陽電池モジュールを製造する場合の製造コストを低減させ、さらに長期信頼性の向上が可能であることを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は、以下に関する。
【0012】
太陽電池と、前記太陽電池と他の太陽電池または外部回線とを電気的に接続する配線材と、を備える太陽電池モジュール であって、前記太陽電池は、光電変換部と、前記光電変換部の第一主面上に集電極とを備え、前記集電極は、前記光電変換部側から順に、第一電極と、前記第一電極よりも導電性が高い第二電極とを有し 、前記配線材は、芯材と、前記芯材の表面を覆う導電体とから構成されており、前記配線材は、前記太陽電池の第一主面上の集電極と接続されており、第一主面上における前記配線材と集電極の接続箇所において、前記第二電極は、前記第一電極上の一部に形成されており、前記導電体が、前記第二電極と接する第二領域と、前記第一電極と接する第一領域と、を有する、太陽電池モジュール。
【0013】
前記第二領域における第二電極の膜厚が1〜10μmであることが好ましい。
【0014】
前記集電極の第一主面上の接続箇所における、前記第一主面と垂直な断面において、前記第二領域と、前記第一領域とは、交互に配置されることが好ましい。
【0015】
前記第二電極が、銅を含むことが好ましい。
【0016】
前記導電体が、錫と鉛からなる共晶半田又はSnAgCu系半田であることが好ましい。
【0017】
前記第二領域における第一電極の厚みが第二電極よりも大きいことが好ましい。
【0018】
前記集電極と接する前記集電極側の導電体は、前記第一領域に接する第一導電体と、前記第二領域に接する第二導電体を有し、前記第一導電体と第二導電体の組成が異なることが好ましい。
【0019】
前記第一導電体が、前記第二電極と前記導電体との合金を含むことが好ましい。
【0020】
前記第一導電体における前記第二電極の含有量は、0.5%以上20%以下であり、前記第二導電体の第二電極の含有量よりも多いことが好ましい。
【0021】
また本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、太陽電池の第一主面上における前記集電極上に、前記集電極と、前記配線材の導電体とが接するように前記配線材を配置する配線材配置工程と、前記配線材の前記太陽電池側とは反対側から、前記配線材の一部に 、加熱部材を押し当てて押圧することにより前記配線材と前記集電極を接続させる、配線材接続工程と、をこの順に有し、前記配線材接続工程において、前記加熱部材で押圧した押圧部に対応する前記集電極上の領域に、前記第二電極の少なくとも一部が溶解されて前記第一電極と前記配線材の導電体が接する第一領域が形成されることが好ましい。
【0022】
前記加熱部材を押圧することにより、複数の押圧部が一定間隔で形成されるであることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、配線材と集電極との接続箇所において、配線材の導電体が、第二電極と接する第二領域と、第一電極と接する第一領域とを有することにより、集電極と配線材との接続性が向上し、電気抵抗を低減でき、太陽電池モジュールの変換効率を向上させることができる。さらに、温度変化に対する耐久性を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の太陽電池を示す模式的断面図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる太陽電池と配線材とを接続させた構造の模式的断面図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる太陽電池モジュールの製造工程の概念図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる太陽電池モジュールの模式的断面図である。
図5】本発明の一実施形態による太陽電池の製造工程の概念図である。
図6】一実施形態にかかるヘテロ接合太陽電池を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に模式的に示すように、本発明の太陽電池100は、光電変換部50の一主面上に集電極7を備える。集電極7は、光電変換部50側から順に、第一電極71と、第一電極より導電性の高い第二電極72を含む。
【0026】
集電極7上には、配線材34が接続されており、図2に示すような構造となっている。なお図3に示すように、配線材34は、芯材341と、芯材の表面を覆う導電体342により形成されている。図2に示すように、配線材34と集電極7との接続箇所において、配線材の導電体が、第二電極と接する第二領域8bと、第一電極と接する第一領域8aとを有する。これにより、温度変化に対する耐久性を向上させることができる。また、配線材の導電体が、第二電極と接続されているため、配線材と集電極との接続性が向上し、電気抵抗を低減させることができ、太陽電池モジュールの変換効率を向上させることができる。
【0027】
以下に、本発明の好ましい実施形態について説明するが、以下に限定されるものではない。
【0028】
(光入射面側の集電極)
光電変換部50の受光面側の表面上には、第一電極71と第二電極72をこの順に含む集電極7が形成されている。
【0029】
図4(a)に示すように、太陽電池は、一般的に、配線材34により他の太陽電池または外部電極と接続した太陽電池モジュール200として使用されている。図4(b)(c)に示すように、太陽電池と配線材34の接続は、配線材の導電体342と、太陽電池の集電極が接続される。配線材の導電体342としては、集電極側の導電体342bと、集電極とは反対側の導電体342aとが形成されている。
【0030】
ここで特許文献3のように、集電極を第一電極のみで形成して配線材を接続させる場合、第一電極と配線材との接続状態、具体的には、接触抵抗や接着強度が十分ではなく、初期性能が低下したり、信頼性が低下するといった問題点が生じることが明らかとなった。
【0031】
本発明においては、集電極として、第一電極上の一部に、第一電極よりも導電性の高い第二電極を形成させたものを用いる。これにより、太陽電池モジュール200を作製する際、配線材の導電体342bと第二電極が接続されるため、導通性、接続性がより向上し、初期性能をより向上させることが可能となる。また、配線材の導電体と第一電極の一部が接触されるため、温度変化による膨張、収縮を緩和させることができるため、信頼性をより向上させることが可能となる。
【0032】
第一電極71としては、金属膜や導電性ペースト等を用いることができる。第一電極として導電性ペーストを用い、印刷等によりパターン状に形成する場合、その上に形成する第二電極との密着性を向上させることができる。印刷等により第一電極を形成する場合、通常、導電性材料と、硬化性樹脂とを含有する導電性ペーストを好ましく用いることができる。この場合、第一電極に含まれる導電性材料としては、特に限定されず、例えば銀、銅、アルミニウム、ニッケルなどを用いることができる。中でも、セルの耐熱温度の観点から、低温の導電性ペーストを用いることが好ましい。ここで「低温の導電性ペースト」とは、80℃以上250℃以下の温度で加熱することにより硬化する導電性ペーストを意味する。
【0033】
第一電極71の膜厚は、コスト的な観点から20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。一方、第一電極71のライン抵抗を所望の範囲とする観点から、膜厚は0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
【0034】
第二電極72としては、第一電極よりも導電性の高い材料を用いることができる。また第二電極としては、後述のように、その上に形成する配線材の導電体に溶解する材料、即ち、加熱部材により配線材の導電体と集電極とを接続させる際に溶解する材料を用いることが好ましい。このような材料としては、銀、銅、錫等が挙げられる。中でも、半田などの導電体に容易に溶解が可能なことから銅を用いることが好ましい。ここで、溶解とは、溶融した導電体に電極が溶けだしていく現象のことをいう。また第二電極は、単層であってもよいし、複数層であってもよい。
【0035】
第二電極72は、第一電極71を導電性下地層としてめっき法により形成することが好ましい。これにより、容易に第一電極よりも導電性を高くすることができる。なお第二電極が複数層の場合、当該複数層を併せて第一電極よりも導電性が高ければよい。
【0036】
配線材形成前の第二電極は、厚みが1〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。この範囲とすることで、配線材を接続した際に、配線材の導電体と第一電極が接する第一領域を容易に形成できる。配線材形成後、すなわち第二領域における第二電極の膜厚は、1〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。これにより、配線材との接触抵抗を低減させることができる。なお、配線材形成前の第二電極は、加熱部材を配置する部位と配置しない部位とで膜厚が異なっていてもよいが、上述の点から、各々1〜20μmを満たすことが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
【0037】
また第二領域において、第二電極の膜厚は、第一電極の膜厚より小さいことが好ましい。これにより導電体への溶解を容易にすると共に、第一電極を厚くすることで、太陽電池セルへのダメージをより抑制できる。
【0038】
本発明においては、第一電極として導電性ペーストを用い、第二電極として金属層を用いることが好ましく、導電性材料として銀を用いた銀ペースト(第一電極)と、めっきによる銅を含む第二電極を用いることがより好ましい。この場合、光電変換部と第一電極、第一電極と第二電極、第二電極と配線材との接続性をより向上させることができる。
【0039】
集電極は、一定間隔を隔てて互いに平行に延びるように形成された複数のフィンガー電極を少なくとも有すればよいが、フィンガー電極と、フィンガー電極により収集された電流を集めるバスバー電極とによって構成されることが好ましい。バスバー電極を有する場合、フィンガー電極に略垂直になるようにバスバー電極が形成されることが好ましく、また集電極のバスバー電極と配線材が接続される。この際、集電極の構成としては、少なくとも配線材が接続される領域が第一電極と第二電極の構成であれば良い。集電極がフィンガー電極のみにより構成される場合、配線材と接続される領域のフィンガー電極が第一電極と第二電極を含んでいればよい。
【0040】
(配線材)
本発明においては、図3(a)に示すように、集電極上に配線材を接続させることにより、図3(c)に示すように、第一領域8aと第二領域8bが形成される。
【0041】
上記第一領域と第二領域の形成方法としては、集電極として、第一電極と、第一電極上に第二電極と、を形成し、第二電極上に配線材を配置後(図3(b))、加熱部材により集電極と配線材を圧着することにより接続することが好ましい。即ち、図3(c)に示すように、配線材の、集電極とは反対面側に加熱部材500を配置させ、該加熱部材により配線材を集電極側に押圧する。これにより、集電極が形成された領域において、押圧した押圧部もしくは押圧部に対応する領域において、第二電極が導電体に溶解して第一電極と配線材の導電体が接する第一領域が形成される。また、第一領域以外の領域が、第二電極と配線材が接する第二領域となる。
【0042】
第一電極上の第二電極と導電体を接続させることにより、電気抵抗を低減させることができ、太陽電池モジュールの変換効率を向上させることができる。また、第一領域では、温度変化による材料の膨張・収縮を緩和させる効果がある。
【0043】
これは、加熱部材で高温に加熱され溶融した導電体に第二電極が溶けだすこと(溶解、または導電体として半田を用いた場合、「はんだ食われ」という)により第一領域が形成され、加熱部材での余熱を利用し導電体をわずかに溶かすことにより、第二電極と導電体とを接続させる(第二領域が形成される)。
【0044】
加熱部材での加熱温度は、導電体が溶融し、それにより圧着させた際に第二電極が溶解して導電体と第一電極が接すればよいが、太陽電池セルへのダメージを与えない程度であればよい。太陽電池セルへのダメージとは、熱劣化が生じたり、ドープ不純物の拡散が生じ、太陽電池特性の不可逆的な低下が生じる場合をいう。以上より、180〜380℃が好ましく、180〜300℃がより好ましい。特に後述のように、ヘテロ接合太陽電池を用いる場合、熱に弱い非晶質半導体層や透明電極層を有するため、これらの層へのダメージをより抑制する観点から、180〜250℃が好ましい。
【0045】
配線材の材料は、導電体として加熱部材による加熱により溶融する材料を用いることが好ましく、融点が加熱部材の加熱温度よりも低い材料を用いることが好ましい。このような材料として融点が150〜230℃である半田を用いることが好ましい。 半田を構成する材料としては、Snを主成分として、Cu、Ni、Ag、Pbの内選ばれた1種以上の元素を有する合金半田で行うことが好ましい。例えば、Snが96.5質量%、Agが3.0質量%、Cuが0.5質量%のSnAgCu系半田、Snが99〜99.5質量%、Cuが0.5〜1.0質量%の合金、Agが1〜1.5質量%、Biが30〜60質量%、残りがSnを主成分とする合金、Snが60質量%、Pbが40%質量%の共晶半田、Cuが0.05〜2.0質量%、Niが0.001〜2.0質量%、残りがSnを主成分とする合金などとし、その他Snを主成分としてCu、Ni、Ag、Bi、Inなどを含む合金とすることが好ましい。電極の溶解性の観点からSnAgCu系半田が好ましい。
【0046】
配線材の芯材としては、銅箔を用いることが好ましい。配線材としては、半田を導電体として用い、表面が半田層で被覆された銅箔からなるものを用いることが好ましい。半田を銅箔の表面に形成することにより、銅箔の表面の腐食を防止する効果とともに集電極との接続の役割を果たす。また、配線材で反射された光による電流向上の効果も期待できる。
【0047】
また、導電体の厚みは銅箔の酸化を防ぎ、集電極との接続を担う必要があるため、60μm以下が好ましい。また導電体を半田により形成する場合、半田メッキ工程の厚みバラツキの安定性、コストの観点から20μm程度がより好ましい。
【0048】
上述のように第二電極としては、導電体に溶解する材料を用いることが好ましい。中でも熱による溶解が容易であるということから、銅を有する第二電極を用い、導電体として半田を用いることが好ましい。また光電変換部及び第二電極との接触抵抗の低抵抗化の観点から、第一電極として低温の導電性ペースト、銅を有する第二電極、導電体として半田を用いることが好ましい。この場合、後述のように、熱に弱いとされるヘテロ接合太陽電池などを用いた場合であっても、熱による劣化等をより抑制できる。
【0049】
ここで「押圧部の領域」とは、集電極のうちの押圧部との幅や面積等と同じ領域を意味し、「押圧部に対応する領域」とは、押圧部の幅や面積よりも小さい、もしくは大きい、押圧部近傍の領域を意味する。この際、加熱条件は、導電体が溶融し、当該押圧部の一部又は全部の領域で第一電極と接する第一領域が形成されればよい(必ずしも押圧部と第一領域が一致しなくてもよく、押圧部よりも第一領域が大きくても良いし、小さくてもよい)。加熱部材の配置領域は、第一領域と第二領域が形成されるように配置すればよいが、配線材からはみでることなく配置することが好ましく、また集電極として、バスバー電極を有さないものや、配線材とバスバー電極が一致しない場合などは、集電極上に加熱部材を配置することが好ましい。この場合、半田を容易に溶融でき、さらにセルの光電変換部への熱ダメージを低減させることができる。
【0050】
本発明においては、第一電極上の一部に第二電極が形成された集電極が形成される。第一電極上の第二電極の一部と導電体を接続させることにより、電気抵抗を低減させることができ、太陽電池モジュールの変換効率を向上させることができる。
【0051】
第一主面上における集電極と配線材の接続箇所において、第二領域と、第一領域とは、交互に配置されることが好ましい。これは、第二領域では電気抵抗を低減させる効果があり、第一領域では、温度変化による材料の膨張・収縮を緩和させる効果があるため、交互に設けることにより、太陽電池モジュールの変換効率の向上と温度変化に対する太陽電池モジュールの耐久性の向上を両立させることができるためである。
【0052】
この際、第一領域の間隔として1mm〜10mm、幅として1mm〜2mmが好ましい。すなわち第一領域の幅が1mm〜2mm、第二領域の幅が1mm〜10mmが交互に配列していることが好ましい。これにより上記記載の効果が期待できる。
【0053】
図3(c)に示すように、加熱部材で配線材を集電極側に押圧することにより集電極と配線材を接続させる場合、押圧部近傍の第一領域では、導電体に第二電極が溶けだすことにより、第二電極を含む第一導電体342b1が形成される。この場合、配線材の導電体のうち、集電極と接する集電極側の導電体(導電体342b)は、第一領域において第一電極と接する第一導電体342b1と、第二領域において第二電極と接する第二導電体342b2を有し、第一導電体と第二導電体の組成が異なる。一方、押圧していない第二領域では、押圧部の加熱の際の余熱により、第二電極が導電体に殆ど、もしくは全く溶けだすことがない。
【0054】
従って、第二電極と接する第二導電体中の第二電極の含有量は5%以下である。さらに、第一電極と接する第一導電体は、第二電極とは異なっており、第二電極の含有量が0.5%以上20%以下であって第二導電体中の第二電極の含有量よりも少ないものを意味する。この際、第一電極と接する第一導電体は、第二電極が導電体と合金を形成していてもよい。なお、「第一電極と接する第一導電体」とは、第一導電体のうち第一電極と接する領域であって、第一電極の界面から10μm以内の領域を意味する。同様に「第二電極と接する第二導電体」とは、第二導電体のうち第二電極と接する領域であって、第二電極の界面から5μm以内の領域を意味する。
【0055】
この際、例えば、第一電極と接する第一導電体における第二電極の含有量は、第一電極の界面から10μm以内の第一導電体を削り取った後XPS装置に供し、ワイドスキャンによる定性およびナロースキャンによる半定量分析により測定することができる。同様に、第二電極と接する第二導電体における第二電極の含有量は、第二電極の界面から5μm以内の第二導電体を削り取って測定することができる。「組成が異なる」とは、ある成分の含有量の異なるものも含むものとする。なお、本発明において、集電極側の導電体342bは、第二電極が溶け出した部分(第一導電体)も含むものとする。
【0056】
(モジュール化)
本発明の太陽電池は、実用に供するに際して、例えば図4(a)に示すように、モジュール化される。太陽電池のモジュール化は、適宜の方法により行われる。例えば、集電極に配線材が接続されることによって、複数の太陽電池セルが直列または並列に接続され、封止材およびガラス板により封止されることによりモジュール化が行われる。図4(b)に示すように配線材は、芯材341と、芯材の表面を覆う導電体342a、342bとから構成されている。
【0057】
本発明においては、図4(c)に示すように、一の太陽電池の受光面側の集電極と配線材の導電体342bとが接続され、当該配線材の導電体342aと他の太陽電池の裏面電極とが接続され、太陽電池ストリングを作製することが好ましい。
【0058】
次に、図4(a)に示すように、受光面側保護材上に、封止材、太陽電池ストリング、封止材及び裏面側保護材を順次積層して積層体とすることが好ましい。 次に、上記積層体を所定条件で加熱することにより、封止材を硬化させることが好ましい。そしてAlフレーム等を取り付けることで太陽電池モジュール200を作製することができる。
【0059】
受光面側保護材は、複数の太陽電池それぞれの受光面側(光入射面側)に配置し、太陽電池の表面を保護することが好ましい。受光面側保護材としては、透光性及び遮水性を有するガラス、透光性プラスチック等を用いることができる。裏面側保護材は、複数の太陽電池それぞれの裏面側に配置し、太陽電池の裏面を保護することが好ましい。裏面側保護材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルム、Al箔を樹脂フィルムでサンドイッチした構造を有する積層フィルム等を用いることができる。
【0060】
封止材は、受光面側保護材と裏面側保護材との間で太陽電池ストリングを封止する。封止材としては、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA),エチレンーエチルアクリレート共重合樹脂(EEA),ポリビニルブチラール樹脂(PVB),シリコン、ウレタン、アクリル、エポキシ、ポリオレフィン等の透光性の樹脂を用いることができる。
【0061】
以上のようにして太陽電池モジュール200を作製することができるが、上記に限定されるものではない。
【0062】
(太陽電池セル)
太陽電池セルとしては、例えば、図6のように一導電型の単結晶シリコン基板の表面に、単結晶シリコンとはバンドギャップの異なるシリコン系薄膜を有することで、拡散電位が形成された結晶系太陽電池(ヘテロ接合結晶シリコン太陽電池)を用いることが好ましい。
【0063】
ここで、ヘテロ接合太陽電池セルの各製造プロセスでは、200℃以下で行われることが好ましい。よって、集電極として、導電性ペースト等を使用する場合、導電性ペーストは200℃以下で焼成・硬化されることが好ましい。
【0064】
従来の方法によりヘテロ接合太陽電池の集電極上に、半田を用いて配線材を接続すると、集電極が光電変換部から剥がれ、性能低下が生じるといった問題があったが、本発明のような集電極構造と、配線材の接続方法を適用すると性能低下を抑制できる。即ち、従来のような180〜380℃といった高温で、ヘテロ接合太陽電池に配線材を接続させた場合であっても、本発明の集電極の構造とすることで、セルの特性低下を防止することができ、本発明の接続方法により配線材を接続させることで、応力緩和により破損を防止できる。
【0065】
太陽電池セルは、光電変換部として、一導電型単結晶シリコン基板の一方の面(光入射側の面)に、導電型シリコン系薄膜および光入射側透明電極層をこの順に有する。一導電型単結晶シリコン基板の他方の面(光入射側とは異なる面)には、導電型シリコン系薄膜および裏面側透明電極層をこの順に有することが好ましい。光電変換部表面の光入射側透明電極層上には、集電極が形成されている。裏面側透明電極層上には集電極より光電変換部を覆う面積が大きい裏面電極が形成されている。
【0066】
一導電型単結晶シリコン基板と導電型シリコン系薄膜との間には、真性シリコン系薄膜を有することが好ましい。まず、一導電型単結晶シリコン基板1について説明する。一般的に単結晶シリコン基板は、導電性を持たせるために、シリコンに対して電荷を供給する不純物を含有している。単結晶シリコン基板は、シリコン原子に電子を導入するための原子(例えばリン)を含有させたn型と、シリコン原子に正孔を導入する原子(例えばボロン)を含有させたp型がある。すなわち、本発明における「一導電型」とは、n型またはp型のどちらか一方であることを意味する。
【0067】
ヘテロ接合太陽電池では、単結晶シリコン基板へ入射した光が最も多く吸収される入射側のへテロ接合を逆接合として強い電場を設けることで、電子・正孔対を効率的に分離回収することができる。そのため、光入射側のヘテロ接合は逆接合であることが好ましい。一方で、正孔と電子とを比較した場合、有効質量および散乱断面積の小さい電子の方が、一般的に移動度が大きい。以上の観点から、ヘテロ接合太陽電池に用いられる単結晶シリコン基板1は、n型単結晶シリコン基板であることが好ましい。単結晶シリコン基板1は、光閉じ込めの観点から、表面にテクスチャ構造を有することが好ましい。
【0068】
テクスチャが形成された一導電型単結晶シリコン基板1の表面に、シリコン系薄膜が製膜される。シリコン系薄膜の製膜方法としては、プラズマCVD法が好ましい。プラズマCVD法によるシリコン系薄膜の形成条件としては、基板温度100〜300℃、圧力20〜2600Pa、高周波パワー密度0.004〜0.8W/cmが好ましく用いられる。シリコン系薄膜の形成に使用される原料ガスとしては、SiH4、Si2H6等のシリコン含有ガス、またはシリコン系ガスとH2との混合ガスが好ましく用いられる。
【0069】
導電型シリコン系薄膜3は、一導電型または逆導電型のシリコン系薄膜である。例えば、一導電型単結晶シリコン基板1としてn型が用いられる場合、一導電型シリコン系薄膜、および逆導電型シリコン系薄膜は、各々n型、およびp型となる。p型またはn型シリコン系薄膜を形成するためのドーパントガスとしては、B2H6またはPH3等が好ましく用いられる。また、PやBといった不純物の添加量は微量でよいため、予めSiH4やH2で希釈された混合ガスを用いることが好ましい。導電型シリコン系薄膜の製膜時に、CH4、CO2、NH3、GeH4等の異種元素を含むガスを添加して、シリコン系薄膜を合金化することにより、シリコン系薄膜のエネルギーギャップを変更することもできる。
【0070】
シリコン系薄膜としては、非晶質シリコン薄膜、微結晶シリコン(非晶質シリコンと結晶質シリコンとを含む薄膜)等が挙げられる。中でも非晶質シリコン系薄膜を用いることが好ましい。例えば、一導電型単結晶シリコン基板1としてn型単結晶シリコン基板を用いた場合の光電変換部50の好適な構成としては、透明電極層6a/p型非晶質シリコン系薄膜3a/i型非晶質シリコン系薄膜2a/n型単結晶シリコン基板1/i型非晶質シリコン系薄膜2b/n型非晶質シリコン系薄膜3b/透明電極層6bの順の積層構成が挙げられる。この場合、前述の理由から、p層側を光入射面とすることが好ましい。
【0071】
真性シリコン系薄膜2a,2bとしては、シリコンと水素で構成されるi型水素化非晶質シリコンが好ましい。単結晶シリコン基板上に、CVD法によってi型水素化非晶質シリコンが製膜されると、単結晶シリコン基板への不純物拡散を抑えつつ表面パッシベーションを有効に行うことができる。また、膜中の水素量を変化させることで、エネルギーギャップにキャリア回収を行う上で有効なプロファイルを持たせることができる。
【0072】
p型シリコン系薄膜は、p型水素化非晶質シリコン層、p型非晶質シリコンカーバイド層、またはp型非晶質シリコンオキサイド層であることが好ましい。不純物拡散の抑制や直列抵抗低下の観点ではp型水素化非晶質シリコン層が好ましい。一方、p型非晶質シリコンカーバイド層およびp型非晶質シリコンオキサイド層は、ワイドギャップの低屈折率層であるため、光学的なロスを低減できる点において好ましい。
【0073】
ヘテロ接合太陽電池101の光電変換部50は、導電型シリコン系薄膜3a,3b上に、透明電極層6a,6bを備えることが好ましい。透明電極層は、透明電極層形成工程により形成される。透明電極層6a,6bは、導電性酸化物を主成分とする。導電性酸化物としては、例えば、酸化亜鉛や酸化インジウム、酸化錫を単独または混合して用いることができる。導電性、光学特性、および長期信頼性の観点から、酸化インジウムを含んだインジウム系酸化物が好ましく、中でも酸化インジウム錫(ITO)を主成分とするものがより好ましく用いられる。ここで「主成分とする」とは、含有量が50重量%より多いことを意味し、70重量%以上が好ましく、90%重量以上がより好ましい。透明電極層は、単層でもよく、複数の層からなる積層構造でもよい。
【0074】
透明電極層には、ドーピング剤を添加することができる。例えば、透明電極層として酸化亜鉛が用いられる場合、ドーピング剤としては、アルミニウムやガリウム、ホウ素、ケイ素、炭素等が挙げられる。透明電極層として酸化インジウムが用いられる場合、ドーピング剤としては、亜鉛や錫、チタン、タングステン、モリブデン、ケイ素等が挙げられる。透明電極層として酸化錫が用いられる場合、ドーピング剤としては、フッ素等が挙げられる。
【0075】
ドーピング剤は、光入射側透明電極層6aおよび裏面側透明電極層6bの一方もしくは両方に添加することができる。特に、光入射側透明電極層6aにドーピング剤を添加することが好ましい。光入射側透明電極層6aにドーピング剤を添加することで、透明電極層自体が低抵抗化されるとともに、透明電極層6aと集電極7との間での抵抗損を抑制することができる。
【0076】
光入射側透明電極層6aの膜厚は、透明性、導電性、および光反射低減の観点から、10nm以上140nm以下であることが好ましい。透明電極層6aの役割は、集電極7へのキャリアの輸送であり、そのために必要な導電性があればよく、膜厚は10nm以上であることが好ましい。膜厚を140nm以下にすることにより、透明電極層6aでの吸収ロスが小さく、透過率の低下に伴う光電変換効率の低下を抑制することができる。また、透明電極層6aの膜厚が上記範囲内であれば、透明電極層内のキャリア濃度上昇も防ぐことができるため、赤外域の透過率低下に伴う光電変換効率の低下も抑制される。
【0077】
透明電極層の製膜方法は、特に限定されないが、スパッタ法等の物理気相堆積法や、有機金属化合物と酸素または水との反応を利用した化学気相堆積(MOCVD)法等が好ましい。いずれの製膜方法においても、熱やプラズマ放電によるエネルギーを利用することもできる。
【0078】
透明電極層作製時の基板温度は、適宜設定される。例えば、シリコン系薄膜として非晶質シリコン系薄膜が用いられる場合、200℃以下が好ましい。基板温度を200℃以下とすることにより、非晶質シリコン層からの水素の脱離や、それに伴うシリコン原子へのダングリングボンドの発生を抑制でき、結果として変換効率を向上させることができる。
【0079】
透明電極層6a上に、集電極7が形成される。集電極7の第一電極71は、インクジェット法、スクリーン印刷法、導線接着法、スプレー法、真空蒸着法、スパッタ法等の公知技術によって作製できる。第一電極71は、櫛形等の所定形状にパターン化されていることが好ましい。中でも、パターン化された第一電極の形成には、生産性の観点からスクリーン印刷法が適している。スクリーン印刷法では、導電性材料を含む印刷ペースト、および第一電極のパターン形状に対応した開口パターンを有するスクリーン版を用いて、集電極パターンを印刷する方法が好ましく用いられる。
【0080】
第二電極としては、めっき法により形成することが好ましい。以下で、第一電極上にめっき法により第二電極を形成する方法について説明する。通常、光入射面側の集電極は、光を取り込む必要があるため、パターン状に形成される。この際、光電変換部の表面には、シリコン層や、透明電極層などが形成されているため、光電変換部の集電極形成領域以外の領域をめっき液から保護するために、絶縁層で覆う必要がある。
【0081】
特に、例えばヘテロ接合太陽電池など、光電変換部の第一主面上の最表面層として透明電極層を有するものを用いる場合、透明電極層上における第一電極非形成領域にレジストや絶縁層が製膜されている必要がある。
【0082】
この際、絶縁層で覆う方法としては、第一電極形成前に、開口部を有する絶縁層を形成し、該開口部に第一電極を形成し、その上に第二電極を形成する方法、第一電極を光電変換部の第一主面上のほぼ全面に形成した後、開口部を有するレジストを形成し、該開口部に第二電極を形成する方法、第一電極を形成後に、マスクを用いて絶縁層を形成して第一電極上に絶縁層の開口部を形成し、該開口部に第二電極を形成する方法、第一電極を形成後に第一電極形成領域と非形成領域を覆うように開口部を有する絶縁層を形成し、該開口部に第二電極を形成する方法、などが挙げられる。第二電極として2層構成とし、いずれの層もめっき法で形成する場合も同様である。
【0083】
めっき法により集電極を形成する方法としては、特に制限されないが、第一電極と第二電極の間に開口部を有する絶縁層を有し、該開口部を通じで第一電極と第二電極が導通されることが好ましい。これにより、第一電極と第二電極の密着性がより向上すると考えられる。
【0084】
絶縁層9に、第一電極と第二電極とを導通させるための開口部を形成する方法は特に制限されず、レーザー照射、機械的な孔開け、化学エッチング等の方法が採用できる。一実施形態では、第一電極中の導電性材料として低融点材料を用い、該低融点材料を熱流動させることによって、その上に形成された絶縁層に開口部を形成する方法が挙げられる。
【0085】
第一電極中の低融点材料の熱流動により開口を形成する方法としては、低融点材料を含有する第一電極71上に絶縁層9を形成後、低融点材料の熱流動開始温度T1以上に加熱(アニール)して第一集電極の表面形状に変化が生じさせ、その上に形成されている絶縁層9に開口(き裂)を形成する方法;あるいは、低融点材料を含有する第一電極71上に絶縁層9を形成する際にT1以上に加熱することにより、低融点材料を熱流動させ、絶縁層の形成と同時に開口を形成する方法が挙げられる。
【0086】
以下、第一電極中の低融点材料の熱流動を利用して、絶縁層に開口を形成する方法を図面に基づいて説明する。なお、本発明においては、以下の実施形態に限定されない。
【0087】
図5は、太陽電池の光電変換部50上への集電極7の形成方法の一実施形態を示す工程概念図である。この実施形態では、まず、光電変換部50が準備される(光電変換部準備工程、図5(A))。光電変換部の一主面上に、低融点材料711を含む第一電極71が形成される(第一電極形成工程、図5(B))。第一電極71上には、絶縁層9が形成される(絶縁層形成工程、図5(C))。本実施形態においては、絶縁層9は、第一電極71上および光電変換部50の第一電極71が形成されていない領域(第一電極非形成領域)上に形成されている。絶縁層9が形成された後、加熱によるアニール処理が行われる(アニール工程、図5(D))。アニール処理により、第一集電極71がアニール温度Taに加熱され、低融点材料が熱流動することによって表面形状が変化し、それに伴って第一電極71上に形成された絶縁層9に変形が生じる。絶縁層9の変形は、典型的には、絶縁層への開口部9hの形成である。開口部9hは、例えばき裂状に形成される。
【0088】
アニール処理により絶縁層9に開口部を形成した後に、めっき法により第二電極72が形成される(めっき工程1、図5(E))。第一電極71は絶縁層9により被覆されているが、絶縁層9に開口部9hが形成された部分では、第一電極71が露出した状態である。そのため、第一電極71がめっき液に曝されることとなり、この開口部9hを起点として金属の析出が可能となる。このようにして、本実施形態においては、第一電極71と第二電極72との間に開口部を有する絶縁層9が形成される。集電極7において、第二電極72の一部は、第一電極71に導通されている。ここで「一部が導通されている」とは、典型的には絶縁層に開口部が形成され、その開口部に第二電極の材料が充填されていることによって、導通されている状態であり、また絶縁層の一部の膜厚が、数nm程度と非常に薄くなる(すなわち局所的に薄い膜厚の領域が形成される)ことによって、第二電極72が第一電極71に導通しているものも含む。例えば、第一電極71の導電性材料がアルミニウム等の金属材料である場合、その表面に形成された酸化被膜(絶縁層に相当)を介して第一電極71と第二電極72との間が導通されている状態が挙げられる。
【0089】
裏面側透明電極層6bの上には、裏面電極10が形成される。前記裏面電極10としては、金属膜や導電性ペースト等を用いることができるが、低抵抗化の観点から、金属膜を用いることが好ましい。裏面電極は、単層でもよく、複数層でもよいが、コストや長期信頼性の観点から、複数層が好ましい。
【0090】
裏面電極として複数層を有するものを用いる場合、例えば、前記裏面側透明電極層6b側から順に第一導電層と第二導電層を有するものを用いることができる。
裏面電極としては、光入射面側の集電極と同じものを用いてもよい。即ち、第一導電層と第二導電層として、第一電極と第二電極を用いることができる。裏面側からも光入射を行う場合、光閉じ込め効果を向上できるため好ましい。
【0091】
また裏面電極層における、第一導電層としては、近赤外から赤外域の反射率が高く、また導電性や化学的安定性が高い材料を用いることが望ましい。このような材料としては、銀、金、アルミニウムなどが挙げられる。中でも、銀を用いることが特に好ましい。また第二導電層としては、コスト抑制の観点からアルミニウム、銅を用いることが好ましく、電気導電率の観点から銅を主成分とすることがより好ましい。
【0092】
裏面電極として、例えば、銅を主成分とした第二導電層を用いる場合など、第二導電層の酸化や、封止材への拡散の抑制のため、第二導電層上にさらに導電性保護層を形成することが好ましい。中でも導電性保護層として、変性を抑制できる観点から銀が好ましく、より酸化されにくく、より低コストで作製できる観点から、チタンや錫、クロムなどを用いることがより好ましい。
【0093】
本発明における裏面電極の膜厚は、低抵抗化の観点から、200〜1200nmが好ましい。例えば、裏面電極として、第一導電層上に第二導電層を有するものを用いる場合、各層の材料等により膜厚を適宜設定すればよいが、例えば第一導電層/第二導電層として、Ag/Cuを用いる場合、第一導電層=8〜100nm、第二導電層=200〜1000nmなどを用いることができる。また導電性保護層をさらに有する場合、例えば10〜100nmのものなどを用いることができる。
【0094】
例えば、裏面電極として複数層を有するものを用いる場合(例えば、裏面電極として第一導電層と第二導電層を有する場合)、第二導電層が形成された領域に、第一導電層が形成されていれば、第一導電層を有さない部分があってもよく、例えば、グリッド状であっても良い。
【実施例】
【0095】
以下、図6に示すヘテロ接合太陽電池に関する実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0096】
(実験例1)
実験例1のヘテロ接合太陽電池を、以下のようにして製造した。
【0097】
一導電型単結晶シリコン基板として、入射面の面方位が(100)で、厚みが200μmのn型単結晶シリコンウェハを用い、このシリコンウェハを2重量%のHF水溶液に3分間浸漬し、表面の酸化シリコン膜が除去された後、超純水によるリンスが2回行われた。このシリコン基板を、70℃に保持された5/15重量%のKOH/イソプロピルアルコール水溶液に15分間浸漬し、ウェハの表面をエッチングすることでテクスチャが形成された。その後に超純水によるリンスが2回行われた。原子間力顕微鏡(AFM パシフィックナノテクノロジー社製)により、ウェハの表面観察を行ったところ、ウェハの表面はエッチングが最も進行しており、(111)面が露出したピラミッド型のテクスチャが形成されていた。
【0098】
エッチング後のウェハがCVD装置へ導入され、その光入射側に、真性シリコン系薄膜2aとしてi型非晶質シリコンが5nmの膜厚で製膜された。i型非晶質シリコンの製膜条件は、基板温度:170℃、圧力:100Pa、SiH4/H2流量比:3/10、投入パワー密度:0.011W/cm2であった。なお、本実施例における薄膜の膜厚は、ガラス基板上に同条件にて製膜された薄膜の膜厚を、分光エリプソメトリー(商品名M2000、ジェー・エー・ウーラム社製)にて測定することにより求められた製膜速度から算出された値である。 i型非晶質シリコン層2a上に、逆導電型シリコン系薄膜3aとしてp型非晶質シリコンが7nmの膜厚で製膜された。p型非晶質シリコン層3aの製膜条件は、基板温度が170℃、圧力60Pa、SiH4/B2H6流量比が1/3、投入パワー密度が0.01W/cm2であった。なお、上記でいうB2H6ガス流量は、H2によりB2H6濃度が5000ppmまで希釈された希釈ガスの流量である。
【0099】
次にウェハの裏面側に、真性シリコン系薄膜2bとしてi型非晶質シリコン層が6nmの膜厚で製膜された。i型非晶質シリコン層2bの製膜条件は、上記のi型非晶質シリコン層2aの製膜条件と同様であった。i型非晶質シリコン層2b上に、一導電型シリコン系薄膜3bとしてn型非晶質シリコン層が4nmの膜厚で製膜された。n型非晶質シリコン層3bの製膜条件は、基板温度:170℃、圧力:60Pa、SiH4/PH3流量比:1/2、投入パワー密度:0.01W/cm2であった。なお、上記でいうPH3ガス流量は、H2によりPH3濃度が5000ppmまで希釈された希釈ガスの流量である。
【0100】
この上に透明電極層6aおよび6bとして、各々酸化インジウム錫(ITO、屈折率:1.9)が100nmの膜厚で製膜された。ターゲットとして酸化インジウムを用い、基板温度:室温、圧力:0.2Paのアルゴン雰囲気中で、0.5W/cm2のパワー密度を印加して透明電極層の製膜が行われた。
【0101】
裏面側透明電極層6b上には、裏面電極10として、スパッタ法により銀が500nmの膜厚で形成された。光入射側透明電極層6a上の第一電極71、第二電極72を有する集電極7が以下のように形成された。
【0102】
第一電極71の形成には、導電性材料として低融点材料(粒径DL=0.3〜0.7μmの銀微粒子)を用い、バインダー樹脂としてエポキシ系樹脂を含む印刷ペーストが用いられた(粘度=80Pa・s)。さらにこの印刷ペーストを、集電極パターンに対応する開口幅(L=60μm)を有する#230メッシュのスクリーン版を用いて、スクリーン印刷し、130℃で乾燥が行われた。このときの第一電極の厚みは、15μmであった。なお第一電極や、後述の第二電極の厚みは、断面SEM(Zeiss社製)による観察により求めた。
【0103】
第一電極71が形成されたウェハが、CVD装置に投入され、絶縁層9として酸化シリコン層(屈折率:1.5)が、プラズマCVD法により100nmの厚みで光入射面側に形成された。絶縁層9の製膜条件は、基板温度:135℃、圧力133Pa、SiH4/CO2流量比:1/20、投入パワー密度:0.05W/cm2(周波数13.56MHz)であった。製膜後、180℃でアニールが行われた。
【0104】
以上のようにアニール工程までが行われた基板が、めっき槽に投入された。めっき液には、硫酸銅五水和物、硫酸、および塩化ナトリウムが、それぞれ120g/l、130g/l、および70mg/lの濃度となるように調製された溶液に、添加剤(上村工業製:品番ESY−2B、ESY−H、ESY−1A)が添加されたものが用いられた。このめっき液を用いて、温度25℃、電流700mA、時間7分の条件でめっきが行われ、第一電極71上の絶縁層上に、10μm程度の厚みで第二電極72として銅が均一に析出した。第一電極が形成されていない領域への銅の析出はほとんど見られなかった。
その後、レーザー加工機によりセル外周部のシリコンウェハが0.5mmの幅で除去され、本発明のヘテロ接合太陽電池が作製された。
【0105】
次に第二電極が形成されたバスバー電極上に厚み40μmの錫96.5%、銀3%、銅0.5%の合金半田層(融点217℃)でめっきされた銅箔からなる配線材を配置した後、配線材の上部より、配線材との接触箇所が250℃に加熱された、一定間隔で形成された加熱部材で3秒加熱することで、合金半田を溶融させ、第二電極に接続した。ここで、加熱部材として、幅は配線材と同じ1.5mm、長さ10mm、間隔は3mmの押圧部を有するものを用いた。以上のようにすることで、図3(c)に示すように、第一領域と第二領域が形成された。このとき、第一領域の幅は、加熱部材の幅とほぼ同じであった。また、第一導電体における第二電極の含有量は15%、第二導電体における第二電極の含有量は1%であった。
【0106】
なお、第一導電体における第二電極の含有量は、第一電極の界面から10μm以内の第一導電体を削り取り、また第二導電体における第二電極の含有量は、第二電極の界面から5μm以内の第二導電体を削り取り、各々、XPS装置(Quantum2000:アルバック・ファイ製)に供し、ワイドスキャンによる定性およびナロースキャンによる半定量分析により測定することにより求めた。ここで、加熱部材の温度は、K型熱電対(クロメル−アルメル型)を用いて、横河電機製MV1000で測定した。
【0107】
以上の様にして、配線材34を張り付けた太陽電池を用い、ガラス、EVA(封止材)、太陽電池、EVA、及び裏面保護シートの順に積層させた。その後、大気圧での加熱圧着を5分間行い、EVA樹脂で太陽電池をモールドした。続いて、150℃にて50分間保持して、EVA樹脂を架橋させて太陽電池モジュール200とした。
【0108】
(実験例2)
第二電極の銅の膜厚を5μmに変更した点を除いて、実験例1と同様にして太陽電池モジュールが作製された。なお、膜厚は、めっき時間を3分30秒にすることにより調整した。この第一領域の幅は、実験例1とほぼ同じであった。また、第一導電体における第二電極の含有量は7%、第二導電体における第二電極の含有量は1%であった。
【0109】
(実験例3)
集電極として、第一電極71のみを形成させた点を除いて、実験例1と同様にして太陽電池モジュールが作製された。実験例3においては、第一電極の一部が導電体に溶解した。
【0110】
(実験例4)
第二集電極が形成されたバスバー電極上に厚み40μmの錫96.5%、銀3%、銅0.5%の合金半田層でめっきされた銅箔からなる配線材を配置した後、配線材の上部より、250℃に加熱された、バスバー電極と同じ長さの加熱部材で3秒加熱することで、合金半田を溶融させ、第二電極に接続した点を除いて、実験例1と同様にして太陽電池モジュールが作製された。
【0111】
実験例4においては、第二電極の全てが溶解して導電体に吸い込まれ、第一領域のみが形成されていた。この際第一領域と接するように、第一導電体342b1が形成されていた。また、第一導電体における第二電極の含有量は17%であった。
【0112】
[モジュール初期性能測定]
各実験例の太陽電池モジュール特性の測定を行った。また、実験例3に示す方法において作製した太陽電池モジュールの特性評価結果を基準(1.0)とし、各実験例に係る太陽電池モジュールおける特性(モジュール性能)の評価結果を比較する事により、出力の相関を評価した。
【0113】
[接着強度試験]
集電極と配線材とを合金半田にて、各実験例のように接続した際の接着強度を検証した。具体的には、図3に示すように、各実験例で得られた太陽電池の集電極の上に、幅:1.5mm、銅厚み150μm、合金半田厚み40μmの配線材を接続した。
【0114】
その後、剥離強度試験器(IMADA社製 MX−2000N)を用いて、銅箔の法線方向に沿って、40mm/分の速度で配線材(銅箔)を引張り、銅箔が剥離したときの最大荷重を剥離強度(g)として求めた。表には、実験例3を1とした相対値を記載した。
【0115】
[温度サイクル試験]
各実験例に係る太陽電池モジュールにおいて、JIS C 8917に従い、温度サイクル試験を実施した。具体的には、温度サイクル試験を実施する前のモジュール出力と、温度サイクル試験を実施した後のモジュール出力を比較する事により、出力の相関を評価した。また各実験例において作製した太陽電池モジュールにおける温度サイクル試験前の出力を各々1とし、温度サイクル試験実施後の出力すなわち、サイクル試験前後の保持率(モジュール性能)を比較する事により、出力の相関を評価した。保持率は、95%以上を合格とした。
【0116】
上記の結果をまとめたものを表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
実験例1と3を比較すると、実験例1の方がモジュールの初期性能が高くなった。これは、実験例3では、配線材との接続される集電極が第一電極のみであるのに対し、実験例1では、第二電極で接続されているため、電気抵抗を低減させることができ、モジュール性能を向上させることができたためと考えられる。
【0119】
また、実験例1と4を比較すると、実験例1の方が温度サイクル試験後の性能が高くなった。これは、実験例4では、加熱部材としてバスバー電極と同じ長さを用いたのに対し、実験例1では、一定間隔で形成された加熱部材を用いたため、加熱部材で押圧した押圧部に対応する集電極上の領域の第二電極が溶解して導電体に溶け出すことで、第一電極と配線材の導電体が接する第一領域が形成され、押圧部ではない個所に第二電極と配線材の導電体と接続される第二領域が形成され、第一領域では、温度変化による材料の膨張・収縮が緩和されたためと考えられる。
【0120】
また、実験例1と2を比較すると、実験例1の方が接着強度が高くなった。これは実験例2では、実験例1より第二電極が薄いため、加熱部材で押圧した箇所だけでなく余熱された箇所も第一領域となり、第二領域の幅が狭くなったと考えられる。
【0121】
以上、実験例を用いて説明したように、本発明によれば、配線材と集電極とを第一領域と第二領域を設けることにより、太陽電池モジュールの変換効率を向上させ、さらに温度変化に対する耐久性を向上させることも可能とする。
【符号の説明】
【0122】
1.一導電型単結晶シリコン基板
2.真性シリコン系薄膜
3.導電型シリコン系薄膜
6.透明電極層
7.集電極
71.第一電極
711.低融点材料
72.第二電極
8a.第一領域
8b.第二領域
9.絶縁層
9h.開口部
10.裏面電極
34.配線材
341.芯材
342a、342b.導電体
342b1、第一導電体
342b2、第二導電体
200.太陽電池モジュール
201.受光面側保護材
202.裏面側保護材
203.封止材
500.加熱部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6