(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記計測ユニットは、さらに、上記対象物までの距離、上記検出光の走査角及び上記設定データに基づいて、監視エリア内の侵入物を検知し、上記停止信号を生成する侵入検知手段を有することを特徴とする請求項1に記載のエリア監視センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視エリアを指定するエリア設定情報やエリア監視センサの動作条件を指定する動作設定情報は、パーソナルコンピュータなどの端末装置を用いて作成される。例えば、エリア監視センサを中心とする直交座標を用いて頂点の位置や中心からの距離を指定することにより、任意の形状及びサイズの2次元領域が監視エリアとして指定される。また、侵入物検知の分解能、応答時間など、各種設定のパラメータ値が動作条件として指定される。端末装置は、ユーザ操作に基づいて、エリア設定情報及び動作設定情報からなる設定データを生成し、エリア監視センサへ送信する。侵入物の検知は、この設定データに基づいて行われる。
【0005】
上述したエリア監視センサは、プレス加工機、作業ロボットなどの危険源に作業者が近づいた際に、危険源の動作を停止させることを目的とする安全装置であることから、危険源の近傍に設置される場合が少なくない。ところが、従来のエリア監視センサでは、投光部や走査部などと動作状態を表示する表示部とが共通の筐体に配設される。このため、侵入物が検知されるなどの異常が発生した際に、表示部の表示内容を見てエリア監視センサの動作状態を確認するには、危険源に近づかなければならないという問題があった。また、エリア監視センサに端末装置を接続する際にも、危険源に近づかなければならないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、危険源に近づかなくても、動作状態を確認することができるエリア監視センサを提供することを目的とする。また、本発明は、危険源に近づかなくても、設定データ作成装置を接続することができるエリア監視センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明によるエリア監視センサは、監視エリア内の侵入物を検知し、外部機器の動作を停止させるための停止信号を生成するエリア監視センサであって、検出光を生成する投光手段、回転軸を中心として上記検出光を周方向に走査させる走査手段、対象物によって反射された上記検出光を受光して検出信号を生成する受光手段、及び、上記検出信号に基づいて対象物までの距離を求める距離算出手段を有する計測ユニットと、上記計測ユニットの動作状態を画面表示する画面表示手段を有する表示ユニットと、上記計測ユニット及び上記表示ユニットを着脱可能に接続し、上記計測ユニット及び上記表示ユニット間で電力を供給するための電源ケーブルとを備えて構成される。
【0008】
この様な構成によれば、表示ユニットは、計測ユニットと分離されているため、計測ユニットから離間した位置であっても、当該計測ユニットの動作状態を確認することができる。このため、計測ユニットが危険源の近傍に設置されたとしても、ユーザは、危険源に近づくことなく、動作状態を確認することができる。また、電源ケーブルを介して計測ユニット及び表示ユニット間で電力が供給されるため、計測ユニット及び表示ユニットの両ユニットに電源回路を設ける場合に比べ、エリア監視センサの構成を簡素化することができる。また、電源ケーブルが着脱可能であるため、計測ユニットを容易に取り替えることができる。
【0009】
第2の本発明によるエリア監視センサは、上記構成に加え、上記表示ユニットが、さらに、上記監視エリアを指定するエリア設定情報及び上記計測ユニットの動作条件を指定する動作設定情報からなる設定データを生成する設定データ作成装置との通信のための外部通信ポートを有するように構成される。
【0010】
この様な構成によれば、設定データ作成装置用の外部通信ポートが表示ユニットに設けられるため、計測ユニットが危険源の近傍に設置されたとしても、ユーザは、危険源に近づくことなく、エリア監視センサに設定データ作成装置を接続することができる。
【0011】
第3の本発明によるエリア監視センサは、上記構成に加え、上記計測ユニットが、さらに、上記対象物までの距離、上記検出光の走査角及び上記設定データに基づいて、監視エリア内の侵入物を検知し、上記停止信号を生成する侵入検知手段を有するように構成される。
【0012】
この様な構成によれば、侵入検知手段を表示ユニットに設ける場合に比べ、距離の計測結果や走査角を示す情報を送受信する必要がないため、侵入物検知の応答性能が低下するのを抑制することができる。また、計測ユニット及び表示ユニット間の通信負荷が増大するのを抑制することができる。
【0013】
第4の本発明によるエリア監視センサは、上記構成に加え、上記計測ユニットが、さらに、上記表示ユニット又は上記計測ユニットとの通信のための2つの入出力ポートを有し、通信ケーブルを用いて各入出力ポートを上記表示ユニット又は上記計測ユニットに接続することにより、2以上の上記計測ユニットが共通のバスを介して上記表示ユニットに接続されるように構成される。この様な構成によれば、スター型の接続形態に比べ、表示ユニットにおける入出力ポートの構成を簡素化することができる。
【0014】
第5の本発明によるエリア監視センサは、上記構成に加え、上記表示ユニットが、上記設定データ作成装置から受信した上記設定データを保持する不揮発性の設定データ記憶手段と、主電源が投入されるごとに、上記設定データ記憶手段から上記設定データを読み出して上記計測ユニットへ送信する設定データ送信手段とを有するように構成される。
【0015】
この様な構成によれば、各計測ユニットに割り当てられた設定データを表示ユニットにおいて一元管理することができる。このため、例えば、主電源がオフ状態であるときに、計測ユニットが取り替えられたとしても、表示ユニットが保持する設定データに基づいて当該計測ユニットを動作させることができる。
【0016】
第6の本発明によるエリア監視センサは、上記構成に加え、上記計測ユニットが、上記投光手段の発光タイミングを複数の計測ユニット間で調整するためのタイミング制御信号を生成する発光タイミング調整手段と、上記入出力ポートを介して接続された上記計測ユニットへ上記タイミング制御信号を送信する制御信号送信手段とを有するように構成される。この様な構成によれば、計測ユニット間の相互干渉が抑制されるため、侵入物の検知精度を向上させることができる。
【0017】
第7の本発明によるエリア監視センサは、上記構成に加え、上記計測ユニットが、さらに、外部電源に接続し、外部電源から受給した電力を利用して上記表示ユニットへ電源供給を行う電源回路を有するように構成される。この様な構成によれば、表示ユニットに電源回路を設けなくても良いため、表示ユニットの構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、危険源に近づかなくても、動作状態を確認することができるエリア監視センサを提供することができる。また、本発明によれば、危険源に近づかなくても、設定データ作成装置を接続することができるエリア監視センサを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明が前提とするエリア監視センサの概略構成について、
図1〜
図3を用いて以下に説明する。
【0021】
実施の形態1.
<エリア監視装置1>
図1は、本発明の実施の形態1によるエリア監視センサ10を含むエリア監視装置1の一構成例を示した斜視図である。図中には、表示ユニット110を計測ユニット120から分離させることができるエリア監視センサ10が示されている。
【0022】
エリア監視装置1は、監視エリア内の侵入物を検知し、外部機器の動作を停止させるための停止信号を生成するエリア監視センサ10と、エリア監視センサ用の設定データを生成する設定データ作成装置20とにより構成される。エリア監視センサ10と設定データ作成装置20とは、通信ケーブル2を介して接続される。
【0023】
設定データ作成装置20は、パーソナルコンピュータなどの端末装置であり、画面表示部21、キーボード22及びマウス23を備え、エリア監視センサ用のアプリケーションプログラムがインストールされている。設定データは、監視エリアを指定するエリア設定情報と、エリア監視センサ10の動作条件を指定する動作設定情報とにより構成される。
【0024】
例えば、監視エリアは、2以上の頂点の2次元位置をそれぞれ指定することにより、これらの頂点を結ぶ図形によって囲まれた領域として特定される。また、動作条件には、侵入検知の分解能及び応答時間と、OSSD(後述)の出力形態、EDM(外部デバイスモニター)機能の有効又は無効などがある。設定データ作成装置20は、ユーザ操作に基づいて設定データを生成し、エリア監視センサ10へ送信する。
【0025】
エリア監視センサ10は、設定データ作成装置20から受信した設定データに基づいて、監視エリアを監視する。このエリア監視センサ10は、光走査型のセーフティセンサであり、表示ユニット110及び計測ユニット120により構成される。計測ユニット120は、危険源の近傍に設置されるヘッドユニットであり、検出光を走査させ、対象物によって反射された検出光を受光して対象物までの距離を求める。表示ユニット110は、ユーザ操作を受け付け、計測ユニット120の動作状態を画面表示するインターフェースユニットである。
【0026】
<生産システム>
図2は、
図1のエリア監視センサ10が設置された生産システムの構成例を示した斜視図である。この生産システムは、防護柵A2で仕切られた領域内に搬送装置や作業ロボットA1が配置され、作業ロボットA1の作業エリアなど、機械設備周辺のエリアが監視エリア3として設定され、監視エリア3内の侵入物がエリア監視センサ10によって検知される。
【0027】
エリア監視センサ10は、検出光を走査させることによって監視エリア3を監視し、機械設備の制御盤を操作するオペレータA3などの侵入物を検知して、外部機器の動作を停止させるための停止信号を生成する。監視エリア3は、エリア監視センサ10が設置される設置面内の領域、例えば、水平な床面内の領域により構成される。侵入物の検知は、対象物によって反射された検出光を受光して対象物までの距離を求め、対象物までの距離と検出光の走査角とから対象物の2次元位置を特定することによって行われる。
【0028】
停止信号は、監視エリア3の周辺で稼働する作業ロボットA1を停止させる制御信号として用いられる。例えば、エリア監視センサ10は、OSSD(Output Signal Switching Device)を有し、監視エリア3内に侵入物が存在していない状態では、OSSDがオン状態になり、動作許可信号が出力される。一方、監視エリア3内に侵入物が存在している状態では、OSSDがオフ状態になり、動作不許可信号が停止信号として出力される。
【0029】
<エリア監視センサ10>
図3は、
図1のエリア監視センサ10の構成例を示した図であり、分離型のセーフティセンサが示されている。図中の(a)には、エリア監視センサ10を前方から見た場合が示され、(b)には、表示ユニット110が示されている。
【0030】
このエリア監視センサ10は、各種情報を表示し、ユーザ操作を受け付ける表示ユニット110と、検出光を生成し、水平なスキャン面4に沿って検出光を走査させる計測ユニット120とにより構成される。表示ユニット110は、計測ユニット120の上面に配置されている。
【0031】
検出光には、例えば、波長が赤外領域のレーザー光が用いられる。検出光は、一定周期で繰返し走査される。計測ユニット120には、監視エリア3を撮影するためのカメラ121及び122と、動作状態を表示するためのインジケータ123及び124とが配設されている。また、計測ユニット120のスキャナ部125には、走査用のミラーを保護するための保護カバー126が取り付けられている。検出光は、上記ミラーの回転軸を中心として周方向に走査される。スキャン面4は、上記回転軸と直交する。
【0032】
カメラ121及び122と、インジケータ123及び124とは、スキャナ部125よりも上側に配置されている。つまり、カメラ121及び122は、スキャン面4よりも上記回転軸方向の上側に配置される。この様に構成することにより、スキャン面4とカメラ121及び122の撮影方向との間に回転軸方向の視差が生じるため、スキャン面4を俯瞰するカメラ画像を得ることができる。
【0033】
カメラ121及び122は、いずれも水平方向に向けて配置され、互いに向きを異ならせた撮像装置であり、水平面内においてインジケータ123及び124を挟んで計測ユニット120の左側及び右側にそれぞれ配置されている。インジケータ123は、動作状態を色又は点灯状態によって表示する表示灯である。例えば、インジケータ123は、OSSDのオン状態とオフ状態とで色を異ならせて点灯する。インジケータ124は、各種のエラー状態を色又は点灯状態によって表示する表示灯である。
【0034】
表示ユニット110には、画面表示部111、ケーブル接続口112,113、操作部114及びインジケータ部115が配設されている。画面表示部111は、侵入物の検知結果、監視状況などを画面表示する表示装置である。例えば、画面表示部111には、カメラ121又は122により撮影された画像をカラー表示可能なLCD(液晶ディスプレイ)が用いられる。
【0035】
ケーブル接続口112には、設定データ作成装置20から延びる通信ケーブル2が着脱可能に接続される。ケーブル接続口113は、安全制御機器(図示せず)から延びる通信ケーブルが着脱可能に接続される。安全制御機器は、エリア監視センサ10から停止信号が受信されれば、プレス加工機、作業ロボットなどの工作機械の動作を停止させる制御装置である。例えば、安全制御機器は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)である。
【0036】
操作部114は、画面切替、メニュー項目の選択などに用いる2以上の操作ボタンにより構成される。インジケータ部115は、動作状態を色又は点灯状態によって表示する2以上の表示灯により構成され、OSSDの出力状態などが表示される。表示ユニット110は、計測ユニット120と通信を行い、計測ユニット120から離間した位置にあっても、侵入物の検知結果や監視状況を確認することができる。
【0037】
この表示ユニット110には、電源ケーブル117を介して外部電源(図示せず)に接続されたメモリ部116が着脱自在に取り付けられる。メモリ部116は、設定データ作成装置20から取得した設定データを記憶するためのメモリと、過電流を遮断するための電力ヒューズとを有するモジュールであり、表示ユニット110の本体筐体110aに着脱可能に装着される。電源ケーブル117は、メモリ部116に接続される。表示ユニット110には、電源ケーブル117及びメモリ部116を介して外部電源から電源が供給される。
【0038】
また、表示ユニット110には、計測ユニット120から延びる配線ケーブル5のコネクタ部5aが着脱自在に取り付けられている。表示ユニット110及び計測ユニット120は、配線ケーブル5を介して接続される。
【0039】
次に、本発明によるエリア監視センサ10の特徴部分の構成について、
図4〜
図6を用いて以下に説明する。
【0040】
図4は、
図3のエリア監視センサ10の使用形態の一例を示した斜視図である。図中の(a)には、表示ユニット110及び計測ユニット120を分離させた状態で使用する場合が示され、(b)には、両ユニットを一体化させた状態で使用する場合が示されている。
【0041】
表示ユニット110及び計測ユニット120の両ユニットを互いに分離させて使用する場合、表示ユニット110及び計測ユニット120は、所定の長さの配線ケーブル5を用いて接続される。
【0042】
配線ケーブル5は、表示ユニット110及び計測ユニット120間で電力を供給するための電源線と通信を行うための信号線とを内包する伝送ケーブルであり、表示ユニット110及び計測ユニット120を着脱可能に接続する。配線ケーブル5には、その両端にコネクタ部5a及び5bがそれぞれ設けられている。コネクタ部5aは、表示ユニット110に接続するための接続部である。コネクタ部5bは、計測ユニット120に接続するための接続部である。この例では、表示ユニット110の左側面にコネクタ部5aの接続部が設けられ、計測ユニット120の左側面にコネクタ部5bの接続部が設けられている。
【0043】
設定データ作成装置20から受信した設定データは、配線ケーブル5を介して表示ユニット110から計測ユニット120に伝送される。また、カメラ121又は122により撮影された画像データと、OSSDの状態、距離の計測結果、検出光の走査角など、計測ユニット120の動作状態を示す情報とは、配線ケーブル5を介して計測ユニット120から表示ユニット110に伝送される。また、OSSDのオフ状態を示す停止信号は、配線ケーブル5を介して計測ユニット120から表示ユニット110に伝送される。
【0044】
この様に構成することにより、計測ユニット120から離間した位置であっても、当該計測ユニット120の動作状態を表示ユニット110にて確認することができる。このため、計測ユニット120が危険源の近傍に設置されたとしても、ユーザは、危険源に近づくことなく、動作状態を確認することができる。また、配線ケーブル5が着脱可能であるため、計測ユニット120を容易に取り替えることができる。
【0045】
表示ユニット110及び計測ユニット120の両ユニットを一体化させて使用する場合、表示ユニット110及び計測ユニット120は、図示しない連結部材を用いて結合される。この場合は、(a)の場合よりも短い配線ケーブル5を用いて、表示ユニット110及び計測ユニット120が接続される。
【0046】
<計測ユニット120>
図5は、
図3の計測ユニット120内の機能構成の一例を示したブロック図である。この計測ユニット120は、投光制御部131、投光部132、走査部133、ロータリーエンコーダ134、受光部141、距離算出部142、侵入検知部143、入出力ポート151及び設定データ記憶部152により構成される。
【0047】
設定データ記憶部152には、設定データ作成装置20から受信した設定データが保持される。投光部132は、検出光を生成し、走査部133に向けて出射する光源装置である。走査部133は、回転軸を中心とし、回転軸と交差するスキャン面4に沿って検出光を周方向に走査させるスキャナであり、投光部132から入射される検出光を対象物に向けて反射するミラー(図示せず)やミラーを回転させる駆動部により構成される。
【0048】
受光部141は、対象物によって反射された検出光を受光し、検出信号を生成する。ロータリーエンコーダ134は、走査部133のミラーの回転角を検出し、回転パルス信号を生成する回転検出装置である。投光制御部131は、ロータリーエンコーダ134の回転パルス信号に基づいて、投光部132を制御し、検出光の投光タイミングを調整する。例えば、ミラーが360°/1000だけ回転するごとに、検出光が出射される。
【0049】
距離算出部142は、受光部141からの検出信号に基づいて、対象物までの距離を求め、その計測結果を侵入検知部143へ出力する。例えば、エリア監視センサ10から対象物までの距離は、検出光のTOF(Time Of Flight:飛行時間)を計測することによって求められる。具体的には、検出信号をロータリーエンコーダ134の回転パルス信号と比較し、検出光を投光したときから受光されるまでの遅延時間を特定することにより、対象物までの距離が算出される。投受光の遅延時間は、検出光が出射されるごとに計測される。
【0050】
侵入検知部143は、設定データ記憶部152内の設定データと、対象物までの距離及び検出光の走査角とに基づいて、監視エリア3内の侵入物を検知し、外部機器の動作を停止させるための停止信号を生成する。検出光の走査角は、ロータリーエンコーダ134の回転パルス信号に基づいて、特定される。また、対象物が監視エリア3内に存在するか否かは、対象物までの距離と検出光の走査角とから対象物の2次元位置を特定することによって判別される。計測ユニット120の動作状態を示す情報と、OSSDのオフ状態を示す停止信号とは、入出力ポート151を介して表示ユニット110へ出力される。
【0051】
入出力ポート151は、表示ユニット110との通信のためのインターフェース部であり、配線ケーブル5が接続される。この入出力ポート151は、表示ユニット110から設定データを受信し、また、計測ユニット120の動作状態を示す情報と、OSSDのオフ状態を示す停止信号とを表示ユニット110へ送信する処理を行う。
【0052】
設定データ記憶部152は、表示ユニット110から受信した設定データを保持する記憶装置である。例えば、設定データ記憶部152は、揮発性メモリにより構成され、主電源をオフ状態にすれば、設定データ記憶部152内の設定データは消失する。
【0053】
<表示ユニット110>
図6は、
図3の表示ユニット110内の機能構成の一例を示したブロック図である。この表示ユニット110は、画面表示部111、操作部114、インジケータ部115、メモリ部116、外部通信ポート161、設定データ送信部163、入出力ポート164、外部出力ポート165、動作状態取得部166及び電源回路167により構成される。メモリ部116は、設定データ記憶部162を有する。
【0054】
外部通信ポート161は、設定データ作成装置20との通信のためのインターフェース部であり、通信ケーブル2が接続される。設定データ作成装置用の外部通信ポート161が表示ユニット110に設けられるため、計測ユニット120が危険源の近傍に設置されたとしても、ユーザは、危険源に近づくことなく、エリア監視センサ10に設定データ作成装置20を接続することができる。
【0055】
設定データ記憶部162は、設定データ作成装置20から受信した設定データを保持する不揮発性の記憶装置である。例えば、設定データ記憶部162は、フラッシュメモリなどの半導体メモリにより構成される。設定データ記憶部162内の設定データは、主電源がオフ状態であっても保持される。
【0056】
設定データ送信部163は、主電源が投入されるごとに、設定データ記憶部162から設定データを読み出し、入出力ポート164を介して計測ユニット120へ送信する。例えば、操作部114の操作ボタンを押下することにより、主電源がオン状態に切り替えられる。この様な電源投入操作に基づいて、設定データが計測ユニット120へ送信される。
【0057】
この様に構成することにより、計測ユニット120に割り当てられた設定データを表示ユニット110において管理することができる。このため、例えば、主電源がオフ状態であるときに、計測ユニット120が取り替えられたとしても、表示ユニット110が保持する設定データに基づいて当該計測ユニット120を動作させることができる。
【0058】
入出力ポート164は、計測ユニット120との通信のためのインターフェース部であり、配線ケーブル5が接続される。外部出力ポート165は、入出力ポート164を介して計測ユニット120から受信した停止信号を安全制御機器へ出力するためのインターフェース部である。動作状態取得部166は、入出力ポート164を介して計測ユニット120から動作状態を示す情報を取得し、画面表示部111及びインジケータ部115に動作状態を表示する。例えば、画面表示部111への動作状態の表示は、ユーザ操作に基づいて行われる。画面表示部111には、OSSDがオン状態であるのか、或いは、オフ状態であるのかを示す文字メッセージと、エラー状態やその内容を示す説明文とが表示される。
【0059】
電源回路167は、メモリ部116を介して外部電源に接続し、外部電源から受給した電力を利用して表示ユニット110及び計測ユニット120内のデバイスに電源供給を行う電源装置である。計測ユニット120には、入出力ポート164を介して電源供給が行われる。
【0060】
例えば、外部電源は、直流電圧24Vを供給する直流電源である。電源回路167は、この直流電圧を内部回路で利用可能な電圧、例えば、直流電圧5V又は3.3Vに変換する。また、受光部141の光検出素子としてAPD(アバランシェフォトダイオード)を使用する場合、電源回路167は、外部電源から供給される直流電圧を直流電圧190Vに変換する。
【0061】
本実施の形態によれば、表示ユニット110は、計測ユニット120と分離されているため、計測ユニット120から離間した位置であっても、計測ユニット120の動作状態を確認することができる。また、配線ケーブル5を介して計測ユニット120及び表示ユニット110間で電力が供給されるため、計測ユニット120及び表示ユニット110の両ユニットに電源回路を設ける場合に比べ、エリア監視センサ10の構成を簡素化することができる。
【0062】
また、侵入検知部143を計測ユニット120に設けることにより、侵入検知手段を表示ユニット110に設ける場合に比べ、距離の計測結果や走査角を示す情報を送受信する必要がないため、侵入物検知の応答性能が低下するのを抑制することができる。また、計測ユニット120及び表示ユニット110間の通信負荷が増大するのを抑制することができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、表示ユニット110に外部出力ポート165及び電源回路167を設ける場合の例について説明したが、本発明は、電源回路や外部出力ポートの配置形態をこれに限定するものではない。例えば、計測ユニット120に外部出力ポート及び電源回路を配置するような構成であっても良い。
【0064】
図7は、エリア監視センサ10の他の構成例を示したブロック図である。図中には、計測ユニット120に電源回路153及び外部出力ポート154を設ける場合が示されている。この計測ユニット120は、
図5の計測ユニット120と比較すれば、電源回路153及び外部出力ポート154を備えている点で異なり、一部の機能ブロックが省略されている。
【0065】
電源回路153は、外部電源に接続し、外部電源から受給した電力を利用して計測ユニット120及び表示ユニット110内のデバイスに電源供給を行う電源装置である。表示ユニット110には、入出力ポート151を介して電源供給が行われる。
【0066】
外部出力ポート154は、侵入検知部143からの停止信号を安全制御機器へ出力するためのインターフェース部である。停止信号は、表示ユニット110を経由することなく、外部出力ポート154から安全制御機器へ出力される。計測ユニット120に電源回路153を設け、表示ユニット110へ電源供給を行うことにより、表示ユニット110に電源回路を設けなくても良いため、表示ユニット110の構成を簡素化することができる。
【0067】
また、本実施の形態では、計測ユニット120に侵入検知部143を設ける場合の例について説明したが、本発明は、侵入検知手段の配置形態をこれに限定するものではない。例えば、対象物までの距離、検出光の走査角及び設定データに基づいて、監視エリア3内の侵入物を検知し、外部機器の動作を停止させるための停止信号を生成する侵入検知手段を表示ユニット110に設けるような構成であっても良い。
【0068】
実施の形態2.
実施の形態1では、表示ユニット110及び計測ユニット120が配線ケーブル5を介して接続される場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、2以上の計測ユニット120が共通のバスを介して1つの表示ユニット110に接続される場合について説明する。
【0069】
図8は、本発明の実施の形態2によるエリア監視センサ10の運用形態の一例を模式的に示した説明図である。この図には、段差を有する壁B1の近傍にそれぞれ配置された2つの計測ユニット120が示されている。第1の計測ユニット120は、背面を壁面に対向させて配置され、計測ユニット120を中心として検出光を周方向に走査させることにより、所定の領域を監視する。
【0070】
ところが、壁B1には段差があるため、第1の計測ユニット120では距離計測が行えない領域B2が死角として存在する。この様な領域B2も監視するには、距離計測が可能な領域に領域B2が含まれるように、第2の計測ユニット120を配置すれば良い。
【0071】
このエリア監視センサ10では、複数の計測ユニット120を用いることにより、1つの計測ユニット120だけでは距離計測が不可能な領域であっても、監視エリア3として監視し、侵入物を検知することができる。
【0072】
<エリア監視センサ10>
図9は、
図8のエリア監視センサ10の構成例を示したブロック図である。このエリア監視センサ10は、1つの表示ユニット110と、3つの計測ユニット120とを備える。第1〜第3の計測ユニット120は、表示ユニット110に対し、デイジーチェーン方式により接続され、バス型のネットワークが形成されている。この様に構成することにより、スター型の接続形態に比べ、表示ユニット110における入出力ポートの構成を簡素化することができる。
【0073】
各計測ユニット120は、表示ユニット110又は他の計測ユニット120との通信のための2つの入出力ポート151a及び151bと、外部電源から受給した電力を利用して計測ユニット120内のデバイスへ電源供給を行う電源回路153とを備える。
【0074】
第1の計測ユニット120は、入出力ポート151aが配線ケーブル5を用いて表示ユニット110に接続され、入出力ポート151bが通信ケーブル6を用いて第2の計測ユニット120に接続される。通信ケーブル6は、2つの計測ユニット120間で通信を行うための信号線を内包する伝送ケーブルであり、両ユニットを着脱可能に接続する。
【0075】
第2の計測ユニット120は、入出力ポート151aが通信ケーブル6を用いて第1の計測ユニット120に接続され、入出力ポート151bが通信ケーブル6を用いて第3の計測ユニット120に接続される。第3の計測ユニット120は、入出力ポート151aが通信ケーブル6を用いて第2の計測ユニット120に接続される。
【0076】
設定データ作成装置20は、計測ユニット120ごとに異なる設定データを作成する。表示ユニット110が設定データ作成装置20から受信した設定データは、対応する計測ユニット120に送信される。また、表示ユニット110は、主電源が投入されるごとに、設定データ記憶部162から設定データを読み出して、各計測ユニット120へ送信する。この様に構成することにより、各計測ユニット120に割り当てられた設定データを表示ユニット110において一元管理することができる。
【0077】
OSSDの状態、距離の計測結果、検出光の走査角など、計測ユニット120の動作状態を示す情報は、表示ユニット110に伝送され、画面表示部111に表示される。また、OSSDのオフ状態を示す停止信号は、表示ユニット110に伝送され、表示ユニット110から安全制御機器へ出力される。
【0078】
<計測ユニット120>
図10は、
図9の計測ユニット120の構成例を示したブロック図である。図中には、バスマスターとして動作する第1の計測ユニット120が示されている。この計測ユニット120は、
図5の計測ユニット120と比較すれば、入出力ポート151a,151b、電源回路153、発光タイミング調整部156及び制御信号送信部157を備えている点で異なる。
【0079】
発光タイミング調整部156は、投光部132の発光タイミングを複数の計測ユニット120間で調整するためのタイミング制御信号を生成し、制御信号送信部157へ出力する。例えば、タイミング制御信号は、計測ユニット120の接続形態を示す設定データに基づいて生成される。
【0080】
制御信号送信部157は、入出力ポート151bを介して接続された他の計測ユニット120へタイミング制御信号を送信する。複数の計測ユニット120について、投光部132の発光タイミングが重なれば、他の計測ユニット120が投光した検出光を受光してしまい、侵入物を誤検知する可能性がある。計測ユニット120間で発光タイミングが重複することによって誤検知が生じる現象は、相互干渉と呼ばれる。
【0081】
本実施の形態によれば、ネットワーク接続された複数の計測ユニット120間で検出光を投光するタイミングを同期させることにより、計測ユニット120間の相互干渉が抑制されるため、侵入物の検知精度を向上させることができる。
【0082】
なお、実施の形態2では、第1の計測ユニット120がバスマスターとして動作する場合の例について説明したが、本発明は、バスマスター又は親機として動作するユニットをこれに限定するものではない。例えば、表示ユニット110、第2又は第3の計測ユニット120のいずれかがバスマスター又は親機として動作するような構成であっても良い。