(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記食事配置面とその裏面のうちの少なくとも一方の面に、前記複数の配置部のそれぞれに載せるべき前記料理品目を決定するための参考情報が表示されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの項に記載の食事シミュレーションツール。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して
、食事用マットおよび
本発明を適用した食事シミュレーションツール、ならびに食事シミュレーションシステムの実施の形態を説明する。
【0022】
[食事シミュレーションツール]
図1、
図2は本発明を適用した食事シミュレーションツールを模式的に示す説明図であり、
図1は和食用の食事シミュレーションツール、
図2は洋食用の食事シミュレーションツールを示す。
図1に示す和食用の食事シミュレーションツール1Aは、食事用マット10Aおよび料理品目カードセット20Aを備える。食事用マット10Aは、食事の際に食器の下敷きにして、いわゆるランチョンマットとして用いることができるものであり、1食分の料理を盛った複数の食器を載せることができる。料理品目カードセット20Aは、和食の1品となる料理品目を表示したカード(料理品目カード)を多数枚備える。
【0023】
また、
図2に示す洋食用の食事シミュレーションツール1Bは、食事用マット10Bと、料理品目カードセット20Bを備える。食事用マット10Bは、食事用マット10Aと同様にランチョンマットの形態をしており、1食分の料理や食品を盛った複数の食器を載せることができる。料理品目カードセット20Bは、洋食の1品となる料理品目を表示したカード(料理品目カード)を多数枚備える。
【0024】
図1に示すように、和食用の料理品目カードセット20Aは、料理品目カード群31〜34を備える。本例では、和食の料理品目を「主食」「主菜」「副菜」「もう1品」の4つのカテゴリーに分類する。料理品目カード群31は、「主食」のカテゴリーに属する料理品目を表示したカード群(料理品目カードa、a・・・)である。また、料理品目カード群32は「主菜」のカテゴリーに属する料理品目を表示したカード群(料理品目カードb、b・・・)であり、料理品目カード群33は「副菜」のカテゴリーに属する料理品目を表示したカード群(料理品目カードc1、c1・・・、c2、c2・・・)であり、料理品目カード群34は「もう1品」のカテゴリーに属する料理品目を表示したカード群(料理品目カードd1、d1・・・、d2、d2・・・)である。
【0025】
また、
図2に示すように、洋食用の料理品目カードセット20Bは、料理品目カード群41〜44を備える。本例では、洋食の料理品目を「主食」「主菜+副菜」「副菜」「もう1品」の4つのカテゴリーに分類する。洋食の場合、蛋白質系食品である主菜と、野菜などの食品を用いる副菜とを一皿に盛り付けることが一般的である。このため、洋食では、「主菜+副菜」で1つの料理品目にするカテゴリーと、副菜のみで1つの料理品目にする「副菜」のカテゴリーを設けている。料理品目カード群41は、「主食」のカテゴリーに属する料理品目を表示したカード群(料理品目カードe、e・・・)である。また、料理品目カード群42は「主菜+副菜」のカテゴリーに属する料理品目を表示したカード群(料理品目カードf、f・・・)であり、料理品目カード群43は「副菜」のカテゴリーに属する料理品目を表示したカード群(料理品目カードg、g・・・)であり、料理品目カード群44は「もう1品」のカテゴリーに属する料理品目を表示したカード群(料理品目カードh1、h1・・・、h2、h2・・・)である。
【0026】
「主食」のカテゴリーに含まれる料理品目は、ご飯、パン、うどん、そば、パスタなどの炭水化物食品を用いたものである。和食での「主食」のカテゴリーの料理品目カード群
31は、このような炭水化物食品を用いた和食の料理品目を表示する料理品目カードa、a・・・を含む。また、洋食での「主食」のカテゴリーの料理品目カード群41も同様に、炭水化物食品を用いた洋食の料理品目を表示する料理品目カードe、e・・・を含む。
【0027】
「主菜」のカテゴリーに含まれる料理品目は、魚介類、肉類、ハム・ソーセージ類、鶏卵やうずら卵、豆類(納豆、豆腐、生揚げ、油揚げなど)などの蛋白質系食品を用いたものである。和食での「主菜」の料理品目カード群32は、このような蛋白質系食品を用いた和食の料理品目を表示する料理品目カードb、b・・・を含む。一方、洋食の場合、上述したように「主菜+副菜」で1つの料理品目にしており、「主菜+副菜」の料理品目カード群42は、このような料理品目を表示する料理品目カードf、f・・・を含む。
【0028】
「副菜」のカテゴリーに含まれる料理品目は、野菜やいも、きのこ、海藻などのビタミンやミネラルを多く含む食品を用いたものである。和食での「副菜」の料理品目カード群33は、これらの食品を用いた和食の料理品目を表示する料理品目カードc1、c1・・・、c2、c2・・・を含む。和食での「副菜」のカテゴリーは多種多様であり、摂取できる栄養素の種類も多種多様である。そこで、和食では、「副菜」のカテゴリーの料理品目を食品の種類等に応じて複数のサブカテゴリーに分類することができる。例えば、「緑黄色野菜」「その他の野菜」「いも類」「きのこ類」「海藻類」などのサブカテゴリーに分類する。料理品目カードc1、c1・・・は、サブカテゴリーのうちの1つに属する料理品目を表示し、料理品目カードc2、c2・・・は、他の1つのサブカテゴリーに属する料理品目を表示する。このようなサブカテゴリーを設定することで、栄養バランスを考えて料理品目を組み合わせる際の参考にすることができる。なお、サブカテゴリーを設けなくても良い。例えば、洋食での「副菜」の料理品目カード群43は、料理品目カードg、g・・・を含む。
【0029】
「もう一品」のカテゴリーは、「主食」「主菜」「副菜」のいずれでもない料理品目を集めたものである。「もう一品」のカテゴリーは、「副菜」のカテゴリーと同様に、複数のサブカテゴリーを含む。例えば、和食では、「汁物」「漬物」「果物類」などのサブカテゴリーを含む。和食での「もう一品」の料理品目カード群34は、これらの料理品目を表示する料理品目カードd1、d1・・・、d2、d2・・・を含む。料理品目カードd1、d1・・・は、サブカテゴリーのうちの1つに属する料理品目を表示し、料理品目カードd2、d2・・・は、他の1つのサブカテゴリーに属する料理品目を表示する。一方、洋食での「もう一品」のカテゴリーは、「乳製品」「果物類」「デザート類」などのサブカテゴリーを含む。料理品目カードh1、h2・・・は、サブカテゴリーのうちの1つに属する料理品目を表示し、料理品目カードh2、h2・・・は、他の1つのサブカテゴリーに属する料理品目を表示する。なお、副菜と同様に、サブカテゴリーを設けなくても良い。
【0030】
食事シミュレーションツール1Bは、料理品目カードセット20Bが洋食に対応した料理品目のカードで構成されること、および、食事用マット10Bが洋食の料理品目を並べるのに対応した仕様であることを除き、同様に構成されている。和食と洋食のどちらでも供される料理品目(例えば、果物類)を表示する料理品目カードについては、料理品目カードセット20Aと料理品目カードセット20Bのどちらにも含まれる。
【0031】
なお、
図1、
図2の例では、和食用と洋食用で、それぞれ料理品目カードセットを別のセットとして用意しているが、和食と洋食の料理品目を全て含む共通のカードセットにしてもよい。この場合は、和食用と洋食用の食事用マット10A、10Bをそれぞれ1枚有し、さらに、共通の料理品目カードセットを有する食事シミュレーションツールが構成される。また、和食と洋食だけでなく、他の種類の料理(中華料理、エスニック料理など)を含めてもよいことは勿論である。あるいは、和食以外の料理で構成する食事を「外国料
理」とし、外国料理の料理品目カードセットを作成してもよい。
【0032】
[食事用マット]
次に、
図1〜
図4を参照して、食事用マット10A、10Bの詳細を説明する。
図3(a)(b)はそれぞれ、和食用の食事用マット10Aの表面と裏面の説明図であり、
図4(a)(b)はそれぞれ、洋食用の食事用マット10Bの表面と裏面の説明図である。食事用マット10A、10Bは、いずれも、1食分の食事(和食/洋食)を盛りつけた複数の食器が載るサイズの矩形のシートである。食事用マット10A、10Bの素材としては、紙や布などのシート材を透明なフィルム材で覆ったものや、各種のシート材の表面に防水加工を施したものを用いる。また、食事用マット10A、10Bは、可撓性であってもよいし、硬さがあり板状の形態を保つものであってもよい。本例の食事用マット10A、10Bは表裏両面に印刷を施した紙を透明樹脂フィルムで挟んで圧着したものであり、長手方向の中央で2つ折りに折り畳んで収納することが可能である。
【0033】
まず、
図1、
図3を参照して、和食用の食事用マット10Aについて説明する。食事用マット10Aは、食卓に敷くときには、
図1、
図3(a)に示す表側の面を上側に向けて敷くようになっている。食事用マット10Aの表側の面は、食器等を置くための食事配置面11Aである。食事配置面11Aには、食器を配置するべき領域である配置部A、B、C1、C2、D1、D2が設けられている。これら6つの配置部A、B、C1、C2、D1、D2のそれぞれは、上述した和食の料理の4つのカテゴリー(「主食」「主菜」「副菜」「もう1品」)のうちの1つに対応づけられている。すなわち、各配置部は、予め定められたカテゴリーの料理を1品ずつ置くことが想定されている。
【0034】
配置部Aは、「主食」のカテゴリーの料理品目を置くべき領域である。本例では、配置部Aとして、和食の食事で主食となるごはん、麺などが盛られる食器の画像(例えば、茶碗や丼の画像)が図示されている。また、配置部Aには、食器の画像と重ねて、「主食」「穀類(ごはん・麺)」という文字が表示されている。
【0035】
配置部Bは、「主菜」のカテゴリーの料理品目を置くべき領域である。本例では、配置部Bとして、主菜となる蛋白質系食品の料理が盛られる食器の画像(例えば、大き目の皿の画像)が図示されている。また、配置部Bには、食器の画像と重ねて、「主菜」の文字が表示されている。更に、配置部Bの斜め上方には、関連する情報として、「主菜:魚、肉、卵、大豆製品」「1食に1種類を目安に」という文字が表示されている。
【0036】
配置部C1、C2は、「副菜」のカテゴリーの料理品目を置くべき領域である。配置部C1、C2としては、副菜である野菜、きのこ、海藻、いも類などの料理品目が盛られる食器の画像(例えば、小鉢や小皿の画像)が図示されている。また、配置部C1、C2には、食器の画像と重ねて、「副菜」「野菜類」等の文字が表示されている。更に、配置部C1の斜め下側には、関連する情報として、「副菜・副々菜(野菜、きのこ、海藻、いも類)」「お浸し、煮物、サラダ、生野菜、酢の物などを取り入れましょう」という文字が表示されている。
【0037】
配置部D1、D2は、和食での「もう1品」のカテゴリーの料理品目を置くべき領域である。「もう1品」のカテゴリーは、上述したように、「汁物」「漬物」「果物類」などを含む。従って、配置部D1、D2としては、これらの料理品目が盛られる食器の画像が図示される。
図3の例では、配置部D1に果物や漬物が載る皿の画像が図示され、配置部D2に汁物が盛られるお椀の画像が図示されている。また、配置部D1、D2には、食器の画像と重ねて、「果物類」「野菜類」などの文字が表示されている。配置部D2は、お椀の画像と共に「野菜類」の文字を表示することで、野菜類を具にした汁物を置くことを推奨する表示になっている。
【0038】
食事用マット10Aの表面(食事配置面11A)には、これら配置部A、B、C1、C2、D1、D2が、実際の食事の際の料理の配置状況と同様に配置されている。さらに、食事配置面11Aの余白には、料理品目の選択を行うときに参考になる参考情報12Aが表示されている。本例では、参考情報12Aとして、「いろいろな食品を組み合わせましょう」「調理方法が偏らないようにしましょう(生・蒸す・煮る・焼く・揚げる・炒める・炊くなど)」「手づくり・加工食品・調理済み食品を上手に組み合わせましょう」という栄養指導情報が表示されている。
【0039】
一方、食事用マット10Aの裏側の面には、
図3(b)に示すように、表側の面(食事配置面11A)に表示されている情報とは別の参考情報13Aが表示されている。本例の参考情報13Aは、裏面の左側領域に表示される食品リスト14と、裏面の右側領域に表示される1食分の食事のかたちの画像15、および、栄養指導情報16を含む。食品リスト14は、和食に用いられる代表的な食品(梅干、野沢菜漬、たくあん、塩鮭、鯵の開き、等)について、その画像、1食分の使用量、塩分量等を表示するものである。また、栄養指導情報16は、「1日30品目を目標に6つの基礎食品群から栄養素がバランス良く摂取できるように食品を組み合わせましょう」などの内容である。
【0040】
なお、参考情報12A、13Aはこのような内容に限定されるものではなく、他の情報であってもよい。例えば、代表的な食品について、1食分の使用量に対する、塩分以外の栄養素の摂取量を表示してもよい。例えば、エネルギー量を表示してもよい。また、各種の栄養素の一日分あるいは1食分の摂取量の目安や、それを各種の食品の分量に置き換えたものを年齢や体格、性別、健康状態別に表示してもよい。例えば、高血圧の人とそうでない人の塩分摂取量の目安をそれぞれ表示してもよい。また、食事用マット10Aにこのような情報を表示する十分なスペースがない場合には、食事用マット10Aとは別体の参考情報表示シートを設けて、これを食事用マット10Aとセットにして用いてもよい。
【0041】
次に、
図2、
図4を参照して、洋食用の食事用マット10Bについて説明する。食事用マット10Bは、食卓に敷くときには、
図2、
図4(a)に示す表側の面を上側に向けて敷くようになっている。食事用マット10Bの表側の面は、食器等を置くための食事配置面11Bである。食事配置面11Bには、食器を表示するべき領域である配置部E、F、G、H1、H2が設けられている。これら5つの配置部E、F、G、H1、H2のそれぞれは、上述した洋食の場合の4つのカテゴリー(「主食」「主菜+副菜」「副菜」「もう1品」)のうちの1つに対応づけられている。各配置部は、予め定められたカテゴリーの料理を1品ずつ置くことが想定されている。
【0042】
配置部Eは、「主食」のカテゴリーの料理品目を置くべき領域である。本例では、配置部Aとして、洋食の食事で主食となるパン、パスタなどが盛られる食器の画像(例えば、大き目の皿の画像)が図示されている。また、配置部Eには、食器の画像と重ねて、「主食」「パン・パスタ類」という文字が表示されている。
【0043】
配置部Fは、「主菜+副菜」のカテゴリーの料理品目を置くべき領域である。本例では、配置部Fとして、主菜+副菜が盛られる食器の画像(例えば、大き目の皿の画像)が図示されている。また、配置部Bには、食器の画像と重ねて、「主菜+副菜」という文字が図示されている。更に、配置部Bの斜め上方には、関連する情報として、「主菜:魚、肉、卵、大豆製品」「1食に1種類を目安に」という文字が表示されている。
【0044】
配置部Gは、「副菜」のカテゴリーの料理品目を置くべき領域である。配置部Gとしては、洋食での副菜(例えば、温野菜や野菜スープ)が盛られる食器の画像(例えば、ボウルの画像)が図示されている。また、配置部Gには、食器の画像と重ねて、「野菜スープ
など」の文字が表示されている。更に、配置部Gの下側には、関連する情報として、「スープがないときは、温野菜などを取り入れましょう」という文字が表示されている。
【0045】
配置部H1、H2は、「もう1品」のカテゴリーの料理品目を置くべき領域である。洋食の場合の「もう1品」のカテゴリーは、「乳製品」「果物類」「デザート類」などを含む。従って、配置部H1、H2としては、これらの料理品目が盛られる食器の画像が図示される。
図4の例では、配置部H1に果物などを載せる皿の画像が図示され、配置部H2に乳製品や飲み物が盛られるカップの画像が図示されている。また、配置部H1、H2には、食器の画像と重ねて、「フルーツ類」「牛乳・乳製品」の文字が表示されている。
【0046】
食事用マット10Bの表面(食事配置面11B)には、これら配置部E、F、G、H1、H2が、実際の食事の際の配置状況と同様に配置されている。さらに、食事配置面11Bの余白には、料理品目の選択を行うときに参考になる参考情報12Bが表示されている。本例では、参考情報12Bとして、和食の場合の参考情報12Aと同一の栄養指導情報が表示されている。
【0047】
一方、食事用マット10Bの裏側の面には、
図4(b)に示すように、表側の面(食事配置面11B)に表示されている情報とは別の参考情報13Bが表示されている。本例の参考情報13Bは、食品リスト14、1食分の食事のかたちの画像15、栄養指導情報16を含む。これらの情報は、和食用の食事用マット10Aに表示されているものとほぼ同じであるため、説明は省略する。なお、参考情報13Bの内容を洋食に合わせて適宜変更してもよい。
【0048】
[料理品目カード]
図5は、料理品目カードの一例を示す説明図であり、和食で「主菜」のカテゴリーに属する「サンマの塩焼き」の料理品目カードbを示す。
図5(a)は料理品目カードbの表面を示し、
図5(b)はその裏面を示す。
図5(a)に示すように、料理品目カードbの表側の面には、料理品目の実物大の画像(サンマの塩焼きの画像)が図示されている。料理品目カードbはサンマの塩焼きが載る皿の形状をしており、表側の面を上向きにしたとき、食事用マット10Aの配置部Bに載るサイズである。一方、
図5(b)に示すように、料理品目カードbの裏側の面には、料理品目についての各種の情報が表示されている。本例では、料理名称17、カテゴリー情報18A、18B、栄養情報19などが表示されている。また、レシピカードとしても用いることができるように、作り方や材料などの情報も表示されている。
【0049】
料理名称17は「サンマの塩焼き」の文字であり、栄養情報19は「一人分222kcal、塩分1.1g」の文字である。また、カテゴリー情報18Aは、「主菜」の文字であり、カテゴリー情報18Bは、4つの食器のマークおよび箸のマークを矩形の枠の中に模式的に示した図形である。カテゴリー情報18Bにおいて、4つの食器のマークは、「主食」「主菜」「副菜」「もう1品」に対応する。カテゴリー情報18Bは、4つの食器のマークのうちのいずれか1つが黒塗りで、他の3つが白塗りになっており、黒塗りになっているマークに対応するカテゴリーを意味する。4つの食器のマークは、左下が「主食」、左上が「もう一品」、右下が「副菜」、右上が「主菜」を意味する。例えば、
図5(b)に示す「サンマの塩焼き」の料理品目カードbでは、「主菜」を示す右上の食器のマークが黒塗りであり、他の3つの食器のマークは白抜きである。従って、
図5(b)に示すカテゴリー情報18Bは、「主菜」を示すものとなっている。
【0050】
「主食」「副菜」「もう1品」のカテゴリーの料理品目カードも、
図5に示す「主菜」の料理品目カードと同様に構成されている。なお、料理品目カードの裏面に表示する情報は
図5(b)のような形態に限定されるものではなく、適宜追加・変更してもよい。例え
ば、「副菜」などのサブカテゴリーがあるカテゴリーの料理品目カードでは、カテゴリー情報18Aにサブカテゴリーの情報を追加する。例えば、カテゴリー情報18Aを「副菜−緑黄色野菜」とする。また、作り方や材料の情報に加えて、調理時間や料理特性などの情報を表示してもよい。料理特性とは、例えば、調理法、基本味、味の濃さ、テクスチャー、温度、様式などである。調理法は、生、焼、炒、煮、蒸、揚のいずれかを示す。また、基本味は、塩辛、甘、酸、辛のいずれかを示し、味の濃さは、薄、普通、濃のいずれかを示し、テクスチャーは、軟、普通、硬のいずれかを示し、温度は、温と冷のいずれかを示す。様式は、和風か否かを示す。
【0051】
[食事シミュレーションツールを用いた栄養バランス改善訓練]
図6、
図7は、それぞれ、食事シミュレーションツール1A、1Bを用いて行う栄養バランス改善訓練の説明図である。
図6(a)、
図7(a)は、それぞれ、シミュレーション工程を示し、
図6(b)、
図7(b)は、それぞれ、集計工程を示す。栄養バランス改善訓練は、これら2つの工程を行うことにより、1回の食事のかたちを作成するシミュレーションを行い、作成した食事のかたちを評価して、適正な栄養バランスの食事を摂るための参考にするものである。
【0052】
図6(a)に示すように、和食の食事のシミュレーション工程は、食事用マット10Aの6つの配置部A、B、C1、C2、D1、D2に、料理品目カードセット20Aの中から選択した料理品目カードを1枚ずつ載せて、1回の食事を構成する料理品目の組み合わせを決定し、1回の食事のかたちを完成させることにより行う。このとき、6つの配置部A、B、C1、C2、D1、D2には、それぞれ、対応するカテゴリーに属する料理品目カードが載せられる。
【0053】
上述したように、6つの配置部A、B、C1、C2、D1、D2は、各配置部を示す画像が、当該配置部に載せるべき料理のカテゴリーに対応する食器の画像になっており、且つ、当該配置部に載せるべき料理のカテゴリーの情報(カテゴリー名など)が文字情報で食器の画像に重ねて表示されている。従って、これらの表示が、各配置部に載せるべき料理品目カードを選択する際のガイド表示として機能する。
【0054】
また、料理品目カードセット20Aの方にも、各配置部に載せるべき料理品目カードを選択する際に、その指針となるガイド表示が設けられている。すなわち、各料理品目カードの裏面には、料理名称17だけでなく、カテゴリー情報18A、18Bが表示されている。これらのカテゴリー情報18A、18B(文字情報と図形情報)によって、料理品目カードが属するカテゴリーと、置くべき配置部を明確に、且つ直感的に把握できる。なお、料理品目カードの形状を、置くべき配置部Bに表示されている食器の画像に似た形状にすることで、さらに直感的な把握が可能になる。
【0055】
1回の食事を構成する料理品目の組み合わせを決定すると、
図6(a)に示すように、選択した料理品目カードa、b、c1、c2、d1、d2の表面を上にして食事用マット10Aに載せて、1回の食事のイメージを確認することができる。
【0056】
次に、
図6(b)に示すように、選択した6枚の料理品目カードa、b、c1、c2、d1、d2を裏返し、そこに記載されている栄養情報を集計する集計工程を行う。例えば、エネルギー量(カロリー)と塩分量を集計する。集計結果を、各人の1回の食事における適正な栄養量と比較することで、シミュレーションした食事の栄養バランスがその人にとって適正か否かを評価できる。例えば、
図6(b)には、料理品目カードa、b、c1、c2、d1、d2として、「ご飯(Lサイズ)」「サンマの塩焼き」「レンコンのきんぴら」「里芋の煮物」「みそ汁」「ぶどう」を選択した場合の集計結果を示している。この例では、1回の食事の塩分量が5.3gになっているため、塩分量を減らすべきである
ことを理解できる。従って、この結果に基づいて日常の食事の献立を考えることにより、日常の食事の栄養バランスの改善に繋げることができる。
【0057】
また、集計結果が適正な栄養量と異なる場合、料理品目カードを別のカードと交換することで、再度シミュレーションを行い、集計結果が1回の食事における適正な栄養量に十分近づくまで、料理品目カードの組み合わせを検討することもできる。
【0058】
図7(a)に示すように、洋食の食事のシミュレーション工程は、食事用マット10Bの5つの配置部E、F、G、H1、H2に、料理品目カードセット20Bの中から選択した料理品目カードを1枚ずつ載せて、1回の食事を構成する料理品目の組み合わせを決定し、1回の食事のかたちを完成させることにより行う。そして、
図7(b)に示すように、選択した5枚の料理品目カードe、f、g、h1、h2を裏返し、そこに記載されている栄養情報を集計する集計工程を行う。
図7(b)には、料理品目カードe、f、g、h1、h2として、「トースト(1枚)」「白身魚のフライ」「サラダ」「りんご」「牛乳」を選択した場合の集計結果を示している。これにより、和食の場合と同様に、集計結果を評価して、日常の食事の栄養バランスの改善に繋げることができる。
【0059】
なお、集計工程では、塩分量やエネルギー量以外の栄養情報を集計してもよい。例えば、カルシウムやビタミン、ミネラルの摂取量を集計してもよい。また、蛋白質や脂肪、糖分などの摂取量を集計してもよい。このような集計を行う場合は、集計すべき情報を料理品目カードに表示しておけばよい。
【0060】
[食事用マットの評価]
本発明者らは、60歳以上のユーザーに、日常の生活の中で食事用マット10A/10Bをランチョンマットとして使用させ、食事用マット10A/10Bの上に料理を並べて食事させ、その効果をアンケートで確認した。その結果、以下のような評価が得られた。・食事用マットを使ってみて、自分がいかに塩分を取っていたかわかった。
・血糖値が高いので、食事に気をつけているが、食事用マットに置くことで再度見直しができる。
・食事用マットを使うことで、栄養の摂り方を意識することが多くなり、習慣になる。
・食事用マットを広げて食事をすれば、食生活のなかで不足している食材がわかる。
【0061】
このように、食事用マット10A/10Bの使用によって健康管理に対する意識が高められ、栄養バランスの良い食事を摂るために有効であったことが示唆された。また、食事用マット10A/10Bを実際に家庭で使用した結果、食事行動の改善効果がみられた。従って、日常の食生活で使用することで、健康寿命延伸に繋げることが期待できる。
【0062】
[食事シミュレーションシステム]
図8は、食事シミュレーションシステムの説明図であり、
図8(a)は食事シミュレーションシステムの概略構成図、
図8(b)は料理品目カードの説明図である。食事シミュレーションシステム100は、少なくとも、和食用の食事シミュレーションツール1Cと、端末200と、集計装置300を備える。食事シミュレーションツール1Cは、上述した和食用の食事用マット10Aと、料理品目カードセット20Cを備える。料理品目カードセット20Cは、多数枚の料理品目カードj、j・・・、k、k・・・、m、m・・・を備える。
【0063】
図8(b)に示すように、料理品目カードセット20Cは、各料理品目カードj(k、m・・・)の裏面に2次元コード101が表示されていることを除き、上記の和食用の料理品目カードセット20Aと同一の構成である。すなわち、各料理品目カードj(k、m・・・)は、表側の面に料理品目の画像が表示され、裏側の面に、料理名称17、カテゴ
リー情報18A、18B、栄養情報19、および2次元コード101が表示されている。2次元コードは、少なくとも、料理名称17、カテゴリー情報18A、および栄養情報19のデータを含む。
【0064】
食事シミュレーションシステム100は、洋食用の食事シミュレーションツールを含んでいてもよい。あるいは、和食用の食事シミュレーションツール1Cの代わりに、洋食用の食事シミュレーションツールのみを備えていてもよい。このような場合、洋食用の食事用マット10Aと、料理品目カードセット20Bの各カードに2次元コード101を追加表示したものを用いる。
【0065】
端末200は、2次元コード101の画像を撮像するCCDセンサーなどの撮像部201と、情報の入出力を行う通信部202と、制御部203と、操作部204などを備える。制御部203は、撮像した2次元コード101の画像データを料理名称17、カテゴリー情報18A、および栄養情報19などの情報に変換するデコード処理を行う。デコード処理は、制御部203が記憶するデコードプログラムに基づいて行う。通信部202は、制御部203からの命令に基づき、デコードした情報を集計装置300に出力する。端末200としては、2次元コードを読み取るために従来から用いられているハンディスキャナーや携帯電話などの機器を用いることができる。
【0066】
集計装置300は、通信部301と、制御部302と、出力部303と、操作部304等を備える。通信部301は、端末200から出力されたデータを受信して制御部302に受け渡す。制御部302は、2次元コード101をデコードしたデータを複数受け取ったとき、栄養情報19を集計する処理を行う。出力部303は、集計したデータを出力する。出力形態としては、紙に印刷して出力する、液晶画面に表示する、などの形態が可能である。集計データは、例えば、
図6(b)、
図7(b)に示した集計表のような形態で出力できる。集計装置300としては、例えば、汎用のパーソナルコンピューターを端末200と通信可能に設定し、集計プログラムをインストールしたものを用いることができる。
【0067】
このような食事シミュレーションシステム100を用いることで、上記の食事シミュレーションツールを用いた栄養バランス改善訓練をより簡単に行うことができる。すなわち、最初に
図6(a)、
図7(a)に示すようなシミュレーション工程を行う。しかる後に、
図6(b)、
図7(b)に示すように各料理品目カードを裏返し、端末200を用いて、これらの料理品目カードの2次元コード101を全て読み取る。読み取った情報は、デコードされた後に端末200から集計装置300に送信される。集計装置300は、端末200からデコードされたデータを受信する。そして、操作部304の操作に従って、栄養情報を集計する集計処理、および、集計結果を出力する処理を行う。
【0068】
集計装置300には、予め、全ての料理品目カードの料理品目についての情報を登録した料理品目データベースを記憶させておいてもよい。この場合には、2次元コード101は、料理名称や、料理品目カードを特定するためのカード番号などの情報のみを含むようにしてもよい。このようにすると、デコードしたデータに基づいて料理品目データベースから栄養情報を読み出し、読み出した情報を集計することができる。なお、2次元コードの代わりにバーコードの形態で情報を表示しておき、バーコードリーダーを用いてこれを読み取ってもよい。
【0069】
また、集計装置300に、栄養情報を集計する集計プログラムだけでなく、集計結果に基づいて栄養バランスを改善する方法を提案する栄養指導プログラムをインストールしておいてもよい。例えば、年齢、体重、身長、性別、生活状況、既往歴などを入力しておくと、1回の食事における適正な栄養量を求めることができ、求めた適正量と集計結果との
比較判定を行うことができる。また、適正量と集計データとのずれ量を算出し、ずれ量を修正可能な料理品目の候補を決定する処理を行うことができる。例えば、塩分量が多い場合に、最も塩分量が多い料理品目を、同じカテゴリーで塩分量が少ない料理品目に置き換えるための候補を決定する処理を行うようにしてもよい。
【0070】
あるいは、端末200として携帯電話を用いる場合には、この携帯電話の制御部203に集計プログラムをインストールして集計処理を行わせ、集計結果を携帯電話の画面に表示させる形態にしてもよい。このように、端末200と集計装置300とを一体化させた形態にすることもできる。また、携帯電話とネットワーク上のコンピューター(集計装置300)との間で通信を行い、このコンピューターで集計した集計結果を携帯電話で受信して、携帯電話の画面上で見ることができる形態にしてもよい。
【0071】
[作用効果]
以上のように、本例の食事用マット10A/10Bは、1回の食事を構成する複数の料理品目を載せるための複数の配置部(A、B、C1、C2、D1、D2/E、F、G、H1、H2)と、料理品目の組み合わせをどのような内容にすべきかを示唆する表示(配置部に表示された食器の画像、およびカテゴリーを示す文字情報)を備える。複数の配置部は、バランスよく組み合わされた料理が並んだ状態をイメージさせる。また、どのようなカテゴリーの料理を各配置部に載せるべきかが示唆されており、栄養バランスの良い食事を構成するための料理品目の選択の方向性が明確化されている。従って、この食事用マット10A/10Bを用いて食事をしたり、食事用マット10A/10Bの上に置くことをイメージしながら料理品目を決定することで、栄養バランスについての知識のない人でも、容易に、1回の食事の栄養バランスの適正化を図ることができる。また、このような食事用マット10A/10Bは各家庭で日常的に使用できるので、毎日の食事での使用を習慣化することが容易である。そして、食事用マット10A/10Bの使用を習慣化することで、栄養バランスが良い食事の習慣化に寄与できる。従って、健康寿命を延ばすための食生活の改善に有効である。
【0072】
本例では、配置部(A、B、C1、C2、D1、D2/E、F、G、H1、H2)に食器の画像が表示されているので、各配置部に載せるべき料理品目やその分量をより直感的にイメージできる。また、各配置部に載せるべき料理品目のカテゴリーに関する文字情報が表示されているので、各配置部に載せるべき料理品目を明確に示すことができる。従って、より効果的に、1回の食事の栄養バランスの適正化を図ることができる。
【0073】
また、本例では、食事用マット10A/10Bに、各種の参考情報(参考情報12A、13A/12B、13B)が表示されている。従って、栄養バランスが良く、かつ、飽きない食事を構成するための参考情報を豊富に与えることができる。
【0074】
また、本例の食事シミュレーションツール1A/1Bは、食事用マット10A/10Bと料理品目カードセット20A/20Bを備えているので、これらを用いて、1回の食事を構成する複数の料理品目の組み合わせを選択して食事のシミュレーションを行うことができる。食事用マット10A/10Bは実際の食事に使用できるものであるため、料理品目カードに料理の画像を表示することで、実際の食事に極めて近いイメージを確認できる。また、シミュレーションした食事内容(料理品目の組み合わせ)の栄養量を、料理品目カードに表示された情報を集計して確認できる。さらに、料理品目カードを選択して食事用マットに並べるだけでよいため、一人でも簡単にシミュレーションおよびその評価を行うことができる。従って、栄養バランスの知識のない人が、栄養バランスが良い食事を摂るための訓練を容易に行うことができる。
【0075】
料理品目カードセット20A/20Bを構成する多数の料理品目カードは、そのカード
に表示されている料理品目を置くべき配置部の形状に対応する形状をしている。具体的には、その料理品目を置くべき配置部に表示されている食器の画像に似た食器の形状をしている。従って、料理品目カードを見ただけで、置くべき配置部を直感的に把握できる。従って、栄養知識のない人でも、シミュレーションが容易である。
【0076】
また、本例の食事シミュレーションシステム100は、食事用マット10A/10Bと、料理品目カードセット20C(料理品目カードセット20A/20Bの各カードに2次元コード101を追加で表示したもの)を備えた食事シミュレーションツール1Cを有し、さらに、端末200と集計装置300を有している。端末200は、各カードから2次元コード101を読み取ってデコードし、デコード済みの情報を集計装置300に送信する。これにより、食事シミュレーションツール1Cを用いて1回の食事内容(料理品目カードの組み合わせ)を決定するシミュレーションを行ったとき、その栄養量の集計を正確に、且つ、簡単に行うことができる。従って、栄養バランスの知識のない人が、栄養バランスが良い食事を摂るための訓練を容易に行うことができる。
【0077】
さらに、食事シミュレーションシステム100の集計装置300は、シミュレーションした食事のかたち(料理品目の組み合わせ)の栄養量を集計した集計結果に基づき、理想的な栄養量とのずれ量の確認、および、評価したずれ量を修正する方法(料理品目の置き換えや分量調整)の提案を行うこともできる。このように、集計装置が栄養指導プログラムを備えていれば、栄養バランスが良い食事を摂るための訓練をより効果的に行うことができる。従って、健康寿命を延ばすための食生活の改善に有効である。なお、栄養指導プログラムを備えていれば、シミュレーションの評価だけでなく、実際の食事記録に基づいて食生活の評価および改善提案を行うこともできる。従って、栄養バランスの知識のない人が、栄養バランスが良い食事を摂るための訓練を容易に行うことができる。