(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0173】
本発明は毛髪の着色を取り扱う。種々の実施形態が、ケラチン繊維を処理する方法およびシステムに関し、特に、ただし排他的ではなく、ヒト毛髪などのケラチン繊維を処理するタブレット製剤に、ケラチン繊維から光学情報を得る光学読み取り器に、ケラチン繊維の処理操作の結果を予測し、その予測に従ってケラチン繊維を処理するための組成物を選択する装置および方法に、ならびに、毛髪および他のケラチン繊維のカスタム着色のシステムであって、タブレット製剤のいずれか、光学読み取り器、および予測装置および方法を、単独でまたはあらゆる組み合わせで利用するシステムに、関する。
【0174】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の記載で説明されるまたは実施例により例示される詳細に必ずしも限定されるものではないことを、理解すべきである。本発明は、他の実施形態が、または、他のやり方での実施もしくは実行が、可能である。
【0175】
本発明者らは、ケラチン繊維の処理(たとえば、着色)を行うための、新しいシステムおよび方法を考案し、成功裏に作成し実施した。これらの方法およびシステムは、ケラチン繊維を処理するためのすぐに使える組成物(たとえば、着色組成物)を提供するように、随意的に、所定の処理(たとえば、所定の着色作用、カスタマイズされた処理)に適するように設計された所定の組成物を提供するように構成された、分配装置を含む。
【0176】
この分配装置は、随意的に、処理すべきケラチン繊維の化学的および物理的特性を決定する光学読み取り器、ならびに、所定の組成物を提供するのに必要な、その成分および濃度を決定し、随意的にまたは代替的に、組成物中の種々の活性剤の適用についての比率、期間および温度を決定するための計算手段(コンピュータ実装手段またはユニット)の、1つまたは双方と連動してもよい。組み合わせて使用されるとき、光学読み取り器および計算手段は、組成物中の成分およびそれらの濃度を決定することが、処理すべきケラチン繊維の化学的および物理的特性を考慮してなされ、したがって、カスタマイズされた処理を提供するように設計される。
【0177】
したがって、本発明の実施形態は、処理(たとえば、着色処理)の結果の実際的な予測をすることを可能にするのに十分な、ケラチン繊維の特徴を得るための光学読み取り器に関する。光学読み取り器は、ケラチン繊維の光学特性を測定する手持ち式用具であってよく、その光学特性は、これらのパラメータに基づいて繊維の種々の特性を計算するのに使用される。これらのパラメータは、処理操作の立案と推奨を支持するため、または処理操作の結果を見積もるために、使用されてよい。
【0178】
本実施形態のいくつかは、予測にとってより有用で、繊維の状態についての情報が得られるようにし、最終的外観にも寄与する、より正確な測定結果を与えるので、測定中のケラチン繊維からの散乱および拡散光ならびに正反射を利用する光学読み取り器に向けられている。加えて、本実施形態は、繊維の異なる天然色素がより識別される、可視領域を超える光学読み取り結果を得てもよい。結果は、所与の処理のケラチン繊維への作用を正確に予測する能力の著しい改善をもたらす。
【0179】
光学読み取り器は、散乱および/または拡散光を利用し、多数の角度でのおよび/または多数の偏光での測定を行ってもよい。異なる角度および/または偏光での測定は、その後比較することが可能である。異なる時間、および/または測定する毛髪の全域にわたる異なる位置での、異なる照明特性での照明は、異なる角度での、および/または異なる波長での、および/または異なる偏光での読み取り結果を、識別することを可能にする。
【0180】
光学読み取り器は、その動作において、繊維の色および内部含有物に関する情報を与える、繊維幹の内部から散乱された光と、繊維の状態に関す情報を与える、幹外表面からの光とを、識別するように設計される。
【0181】
ケラチン繊維における水の相対量、または効果的な処理速度を検出することも、以下に述べるように、可能である。
【0182】
光学読み取り器のスペクトル範囲は可視を超え、IRスペクトルにおける読み取りが、可視波長でのメラニンの強い吸収を補うために、使用される。
【0183】
ユーメラニンおよびフェオメラニンの双方は、IRでは、可視におけるよりも、吸収する光がはるかに少ない。メラニンで飽和していながら、実際にはメラニン濃度が異なる2つの異なる繊維幹は、可視では非常に低い反射強度を与え、これは、システムノイズよりもあまり大きくなく、両者を識別することを困難にする。ところが、IRにおけるスペクトル強度は、はるかに際立っており、前記2つの幹に関して多大な情報が得られるのを可能にする。
【0184】
人工染料およびそれらの組み合わせのスペクトルは、可視領域において、メラニンから識別するのが困難なことが多いかも知れない。それでも、近IR領域においては、スペクトルは極めて顕著に異なる。
【0185】
散乱光は、繊維キューティクルの状態に関する情報を提供する。反射の量から、繊維半径の見積もりも得られる。
【0186】
光の偏光は、おそらくグレアを排除することで、SNRを改善し、また、染料および天然色素の相対量の検出を改善する。
【0187】
本発明のいくつかの実施形態は、さらに、ケラチン繊維の処理操作の結果を予測する、処理組成物(所定組成物)の所定のレシピを使用する方法に関する。
【0188】
本実施形態は、ケラチン繊維が処理される過程の化学速度を考慮する。速度は2つのレベル、すなわち、天然および人工色素の初期濃度を減少させる酸化剤の漂白作用、および、活性剤とケラチン繊維との相互作用、で考慮されてよい。これとは別に、最終的に到達されるスペクトルは、正反射の量を考慮するように修正される。
【0189】
上記の予測は、以下に詳細に説明するように、光学読み取り器から得られるデータに基づいて実行されてよい。
【0190】
本実施形態は、ケラチン繊維の処理の結果を実際的なやり方で予測する方法および装置を含む。色座標ではなくスペクトルを使用するシステムが採用されるが、処理操作の化学動力学が、光散乱および正反射の最終結果への影響と同様に、考慮に入れられる。光学読み取り器は、光散乱および/または正反射についてのデータを提供する。
【0191】
本発明の実施形態は、したがって、処理操作の結果を予測する方法であって、処理するケラチン繊維の初期スペクトルを測定することによって、ならびに、処理の成果の実際的な予測をするために繊維の十分な特徴を得、初期スペクトルからそれぞれの構成物の存在および濃度を決定し、レシピ中の化学剤の漂白作用を受けた構成物の変更後濃度を決定し、化学剤と繊維中の着色剤との相互作用を受けた構成物の最終濃度を決定し、最終濃度から、繊維の色を計算することができる、ケラチン繊維の最終スペクトルを予測することによって、実施される所定の組成物レシピを使用する方法に関する。好ましくは、これらの特徴および行為のすべてが実行されるが、本発明のいくつかの実施形態においては、結果の良好な予測のために、より少ない特徴で十分である。
【0192】
本発明の実施形態は、処理するケラチン繊維の化学的および物理的特徴を決定して、ケラチン繊維の処理のための組成物を提供するように構成された分配装置に関する。
【0193】
本発明の実施形態は、ケラチン繊維の所望の処理を与える組成物を計算により選択して、ケラチン繊維の処理のための組成物を提供するように構成された分配装置に関する。
【0194】
本発明の実施形態は、したがって、処理するケラチン繊維の化学的および物理的特徴を決定するスペクトル手段、ケラチン繊維の決定された特徴に基づいて、ケラチン繊維の所望の処理を与える組成物を選択する計算手段、および、計算手段に基づいて適切な(カスタマイズされた)組成物を提供する分配装置を利用する、システムおよび方法に関する。
【0195】
本発明者らは、さらに、ケラチン繊維の所望の処理(たとえば、着色)を与えるための、タブレットの形態の、特に、実質的に回転楕円体のタブレット(つまり、ビーズ)の形態の速崩壊固形製剤を設計し、成功裏に作成し実施した。
【0196】
本発明者らは、さらに、本明細書に開示のタブレット、および、ケラチン繊維を処理するための他のあらゆるタブレットを分配するのに適する分配装置を設計し、成功裏に実施した。このような分配器は、光学読み取り器、および、ケラチン繊維を処理するために適する組成物(処理のためのカスタマイズされた組成物)を決定する計算手段の、一方または両方と連動する。随意的に、分配装置は、カスタマイズされた組成物、または、光学読み取り器および/または計算手段(たとえば、本明細書に記載のもの)から受けた情報に応じた組成物を調製する。これらの組成物は、自動的に調製することができる。
【0197】
本明細書の全体にわたって使用される「ケラチン繊維」の用語は、ケラチン構造タンパクを含むすべての繊維を指し、毛髪、毛皮、ウールおよびシルクを含むが、これらに限られない。繊維は、生体、たとえばヒトもしくは動物、または非生体、たとえばかつら、ヘアピース、もしくは他の非生体ケラチン繊維の集合体、に位置する。いくつかの実施形態において、ケラチン繊維は毛髪であり、いくつかの実施形態において、繊維はヒトの毛髪である。
【0198】
本発明のいくつかの実施形態は毛髪との関連で記載されているが、これらの実施形態を、本明細書に記載のあらゆるケラチン繊維との関連で実施することも、考慮されていることに留意されたい。
【0199】
ここで使用される「ケラチン繊維の処理」は、着色、漂白、および、繊維の色の他のあらゆる変更を包含する。
【0200】
ここで、「着色」は、基質(たとえば、ケラチン繊維)の色の変更であって、着色した物質の基質への導入による変更を指す。着色した物質の例には、色素および染料が含まれる。「着色」の用語は、ここでは、「染色」も指す。
【0201】
ここで、「漂白」は、基質(たとえば、ケラチン繊維)の色の変更であって、基質中の着色した物質(たとえば、天然色素)の量を減少させることによる変更を指す。
【0202】
本発明のいくつかの実施形態は、着色および/または染色との関連で記載されているが、これらの実施形態を、本明細書に記載のケラチン繊維のあらゆる処理との関連で実施することも、考慮されていることに留意されたい。よって、たとえば、着色を行ってもよく、着色および漂白を行うことも可能であり、漂白のみを行うことも可能である。
【0203】
ここで、処理、組成物、組み合わせ、および他の表現に関しての「カスタマイズ」の用語は、所望の最終結果(ケラチン繊維の所望の効果、たとえば、所望の毛髪色)を達成するために、個人の仕様および/または好みに応じて変更または調整されることを表す意味である。
【0204】
システム:
本発明のいくつかの実施形態は、ケラチン繊維を処理する際に、繊維の化学的および物理的特性、ならびに処理により達成されるべき望ましい結果を考慮して、正確な着色結果を提供することを目標とするシステムに関する。
【0205】
いくつかの実施形態において、システムは、個々の対象の毛髪のための、カスタマイズされた着色組成物を提供するように構成される。
【0206】
このようなシステムは、
処理するケラチン繊維(たとえば、毛髪)からの正反射および/または散乱光を測定する光学読み取り器、
ケラチン繊維の処理の結果を予測する、および/または、所望の処理を達成する組成物のためのレシピを選択する、コンピュータ実装ユニットまたは手段(ここでは、計算ユニットまたは計算手段ともいう)、
ケラチン繊維の所望の処理を達成するのに適するとして選択された組成物、または、その組成物の調製において有用な製剤、ならびに、
選択された組成物もしくはその組成物を調製するための選択された製剤、またはその組成物を調製するための選択されたキットを、提供する分配装置、
の1つ以上を含んでよい。
【0207】
いくつかの実施形態において、システムは、さらに、上述のユニットのいくつかまたはすべてを操作するユニット、好ましくは、随意的に、手持ち式のユニットを含む。
【0208】
本発明のいくつかの実施形態によると、光学読み取り器および上述の計算ユニットを含むシステムであって、所定のレシピにより、ケラチン繊維の処理の成果を正確に予測するための、および/または、所望の効果(カスタマイズ処理)を達成するのに適する処理組成物を選択するための、使用に適するシステムが提供される。
【0209】
本発明のいくつかの実施形態によると、光学読み取り器、計算ユニット、および上述の分配装置を含むシステムであって、所望の効果(カスタマイズ組成物)を達成するのに適する処理組成物を選択するための、および、選択された組成物または選択された組成物を形成する薬剤を提供するための、使用に適するシステムが提供される。
【0210】
本発明のいくつかの実施形態によると、光学読み取り器、計算ユニット、ケラチン繊維を処理する選択された組成物を調製するのに使用可能な活性剤、および上述の分配装置を含むシステムであって、所望の効果を達成するのに適する処理組成物を選択するための、および、選択された組成物を提供するための、使用に適するシステムが提供される。
【0211】
本発明のいくつかの実施形態によると、ケラチン繊維を処理する組成物を調製するのに使用可能な活性剤、および上述の分配装置を含むシステムであって、ケラチン繊維を処理する選択された(カスタマイズされた)組成物を提供するのに適するシステムが提供される。
【0212】
これらのいずれの実施形態においても、ケラチン繊維の初期色を確立するために、光学読み取り器を含む色測定装置が使用されてよい。
【0213】
これらのいずれの実施形態においても、選択された組成物を調製するのに使用される活性剤の少なくとも一部は、固形のタブレット製剤の形態である。
【0214】
これらのいずれの実施形態においても、分配器は計算ユニットと連動し、そのアルゴリズムが、分配器によって選択されるべきタブレットの量を決定してよい。そのアルゴリズムは、本明細書に記載の、着色するケラチン繊維の個々の特性を考慮してよい。
【0215】
本発明のいくつかの実施形態によると、光学読み取り器を含む本明細書に記載のシステムのいずれの実施形態においても、光学読み取り器は本明細書に記載のものである。光学読み取り器は、本明細書では毛髪読み取り器とも呼ばれ、
図32A〜
図39Cに関連して説明される。
【0216】
いくつかの実施形態によると、計算ユニットを含む本明細書に記載のシステムのいずれの実施形態においても、計算ユニットは本明細書に記載のものである(また、計算手段、コンピュータ実装ユニットまたは手段とも呼ばれる)。
【0217】
計算ユニットおよび関連する予測アルゴリズムは、本明細書では
図18〜
図31に関連して説明される。
【0218】
いくつかの実施形態によると、ケラチン繊維を処理する組成物を含む本明細書に記載のシステムのいずれの実施形態においても、組成物は本明細書に記載のタブレットの形態の固形製剤で形成される。
【0219】
本発明のいくつかの実施形態によると、分配装置を含む本明細書に記載のシステムのいずれの実施形態においても、分配装置は、本明細書に記載の分配装置のように、タブレットを分配するように構成される。
【0220】
本発明のいくつかの実施形態において、少なくとも部分的に固形製剤から、タブレットの形態で作成される組成物を利用する本明細書に記載のいずれのシステムにおいても、システムは、さらに、タブレットの形態の固形製剤を分配するように構成された分配器を含む。
【0223】
本発明のいくつかの実施形態の特徴によると、ケラチン繊維の処理を行うシステムであって、
ケラチン繊維の初期スペクトルを測定する光学装置、
所定の処理を行った結果(たとえば、所定の着色組成物またはレシピでの毛髪の着色により達成される結果)を予測するコンピュータ実装ユニットであって、
前記初期スペクトルから、ケラチン繊維におけるそれぞれの構成物の存在および濃度を決定する構成物見積もりユニット、
a)レシピ中の化学剤の漂白作用を受けた構成物の変更後濃度を決定し、b)化学剤とケラチン繊維中の着色剤との相互作用を受けた前記構成物の最終濃度を決定する化学反応速度モデル化ユニット、および、
最終濃度を使用してケラチン繊維の最終スペクトルを予測するスペクトル予測ユニット
を含むユニット、
タブレットの形態の固形製剤であって、色付与剤、酸化剤およびアルカリ化剤で構成される群から選択される少なくとも1つの活性剤を含み、処理を行う組成物の調製において使用される製剤、ならびに、
タブレットの所定の組み合わせ、および、随意的に所定の濃度および/または量の液状媒体を分配し、コンピュータ実装ユニットと連動する分配装置であって、タブレットの前もっての組み合わせが、コンピュータ実装ユニットにより、ケラチン繊維の初期スペクトルおよび行われる処理を考慮して選択される分配装置
を含むシステムが提供される。
【0224】
いくつかの実施形態において、このようなシステムで利用される固形製剤は、さらに、水不溶性超崩壊剤を含み、これは、随意的に、本明細書に記載のように、水溶液との接触で膨潤する。
【0225】
いくつかの実施形態において、所望の処理を行うために有用な組成物は本明細書に記載の着色組成物である。
【0226】
本発明のいくつかの実施形態の特徴によると、ケラチン繊維の処理を行うシステムであって、
ケラチン繊維の初期スペクトルを測定する光学装置であって、
毛髪を照明する照明ユニット、および
照明ユニットにより照明がなされている間に、ケラチン繊維を光学的に測定する少なくとも1つのセンサーを含み、センサーおよび照明ユニットからの光束が測定中のケラチン繊維での光拡散角をそれぞれ規定し、これにより、センサーが、ケラチン繊維によって拡散または散乱された照明光束の光を主として測定することを確実にする測定ユニット
を含む光学装置、
初期スペクトルからケラチン繊維中のそれぞれの構成物の存在および濃度を決定するコンピュータ実装ユニット、
色付与剤、酸化剤、増粘剤およびアルカリ化剤で構成される群から選択される少なくとも1つの活性剤を含む組成物であって、活性剤の各々の量および濃度が、ケラチン繊維の処理に影響するように選択される組成物、ならびに、
選択された組成物を提供するように構成された分配装置であって、コンピュータ実装ユニットと連動し、活性剤の各々の所定量が、コンピュータ実装ユニットにより、ケラチン繊維の初期スペクトルおよび行われる所望の処理を考慮して選択される分配装置
を含むシステムが提供される。
【0227】
本発明のいくつかの実施形態の特徴によると、ケラチン繊維の処理を行うシステムであって、
ケラチン繊維の初期スペクトルを測定する光学装置、
選択された組成物での処理を受けた繊維の最終スペクトルを予測するコンピュータ実装ユニット、および、
選択された組成物を調製する混合器または分配装置
を含むシステムが提供される。
【0228】
いくつかの実施形態において、このようなシステムは、さらに、選択された組成物を調製する本明細書に記載の活性剤を含み、いくつかの実施形態において、活性剤の少なくとも一部はタブレットの形態である。これらの実施形態のいくつかにおいて、分配装置は、選択された組成物を提供するために、選択された量および種類のタブレットを分配する。これらの実施形態のいくつかにおいて、分配器は、さらに、選択された組成物を提供するために、タブレットまたは他のあらゆる形態の活性剤と混合されるべき、選択された量および濃度の液状媒体を分配する。
【0229】
方法:
本発明のいくつかの実施形態の特徴によると、ケラチン繊維を処理する方法であって、
処理するケラチン繊維を分析すること、
ケラチン繊維に所望の処理を施すのに適する組成物の成分(活性剤)および各成分の濃度を選択するために、および、随意的に、成分の各々および/または組成物全体を適用する期間、比率および/または温度を選択するために、処理する繊維の分析を計算処理すること、
選択された(カスタマイズされた)組成物を提供すること、ならびに、
選択された組成物をケラチン繊維に適用すること
の1つ以上を実行することによって実施される方法が提供される。
【0230】
選択された(カスタマイズされた)組成物は、成分を手動で混合することにより、または自動分配器により、提供することができる。
【0231】
選択された(カスタマイズされた)組成物は、タブレットの形態の固形製剤から調製するのが有利であり、本明細書に記載のように速やかにタブレットを崩壊させるのがより有利である。タブレットを分配する自動分配器が、この目的のために利用されるのが、有利である。
【0232】
さらに、本発明のいくつかの実施形態の特徴によると、所定の組成物を使用するケラチン繊維の処理(たとえば、毛髪着色操作)の結果を予測する方法であって、
ケラチン繊維の初期スペクトルを測定すること、
初期スペクトルからそれぞれの構成物の存在および濃度を決定すること、
組成物中の化学剤の漂白作用を受けた前記構成物の変更後濃度を決定すること、
化学剤と繊維中の着色剤との相互作用を受けた前記構成物の最終濃度を決定すること、
最終濃度から、繊維の処理を計算することができる、繊維の最終スペクトルを予測すること
を含む方法が提供される。
【0233】
さらに、本発明のいくつかの実施形態の特徴によると、所定の組成物(たとえば、毛髪着色レシピ)を使用するケラチン繊維の処理(たとえば、毛髪着色操作)の結果を予測する方法であって、
ケラチン繊維の初期スペクトルを測定すること、
繊維の天然因子の初期濃度からおよび所定の組成物から得られる因子から、処理後の繊維の最終スペクトルを予測すること、
最終スペクトルを正反射について補正すること、
正反射補正作用について補正された最終スペクトルを、光散乱作用についてのさらなる補正で、さらに補正すること
を含む方法が提供される。
【0234】
このような方法は、対象者が、予測結果を承認すること、もしくは、そうでなければ、処理に先だって、予測結果を望みどおりに変更することを可能にし、対象者が利用する組成物を決定することを可能にし、または、実施者が所望の結果のためにカスタマイズされた処理を選択することを可能にするために、ケラチン繊維を処理する方法と組み合わせることができる。
【0235】
さらに、本発明のいくつかの実施形態の特徴によると、ケラチン繊維(たとえば、毛髪)の光学測定値を得る方法であって、
前記繊維に照明源を適用すること、および、
前記繊維の照明を、照明源に対する拡散角から光学的に測定することを含み、
前記照明角が45°〜135°であり、これにより、主成分が繊維によって拡散または散乱された照明源からの光である測定値を得る方法が提供される。
【0236】
このような方法は、ケラチン繊維の初期スペクトルを光学的に測定するために、本明細書に記載のあらゆる方法と組み合わせることが可能である。
【0237】
本発明のいくつかの実施形態によると、ケラチン繊維または毛髪の光学測定を含む本明細書に記載の方法のいずれの実施形態においても、光学読み取り器は本明細書に記載のものである。
【0238】
いくつかの実施形態によると、計算での予測を含む本明細書に記載の方法のいずれの実施形態においても、予測は本明細書に記載のものである。
【0239】
いくつかの実施形態によると、ケラチン繊維を処理する組成物を含む本明細書に記載のシステムのいずれの実施形態においても、組成物は、本明細書に記載のタブレットの形態の固形製剤で形成される。
【0240】
いくつかの実施形態によると、選択されたまたは所定の組成物を提供することを含む本明細書に記載の方法のいずれの実施形態においても、選択され、カスタマイズされた組成物の成分の少なくとも一部を提供するために、計算ユニットと連動する分配装置が利用される。いくつかの実施形態において、分配装置は本明細書に記載のものである。
【0241】
以下は、本明細書に記載の方法およびシステムのいくつかの実施形態のより詳細な説明である。
【0242】
I.ケラチン繊維の処理の結果の予測:
ここで、所定の毛髪着色レシピ(所定の組成物)を使用する毛髪着色操作の結果を予測する例示的方法を表す
図18を参照する。このような方法は、あらゆるケラチン繊維のあらゆる処理の結果を予測するために、利用可能である。
【0243】
「レシピ」の用語は、本明細書において、所定の濃度の、着色剤、アルカリ化剤、増粘剤および/もしくは酸化剤などの、活性剤を有する、ならびに/または、これらの薬剤の各々もしくは組成物全体を適用する所定の条件を有する、着色組成物を規定するために使用される。
【0244】
ステージS1において、一般には分光器を使用して、対象者の毛髪の初期スペクトルを得る。
【0245】
ステージS2において、この方法は、初期スペクトルから、ケラチン、ユーメラニン、フェオメラニンの初期濃度に加えて、毛髪の表面成分から反射された光(正反射および拡散反射の双方)および毛髪の直径およびキューティクルの状態の見積もりを含む、初期サウンダーソン係数を計算する。
【0246】
ステージS3において、この方法は、レシピから、アルカリ化剤濃度、酸化剤濃度、温度、溶液の粘度、毛髪の直径、キューティクル状態および曝露期間についての、染色過程に関する因子を得る。
【0247】
これらの因子は、ケラチン、ユーメラニン、フェオメラニン、人工色素の変更後濃度、およびサウンダーソン係数の変更後の値を決定するために、化学反応速度式で使用される。毛髪の損傷も評価される。
【0248】
ステージS4において、色付与剤(たとえば、染料物質)濃度因子を提供するためにレシピが使用され、色付与剤物質濃度は、毛髪中の人工着色剤の最終濃度を決定するために、アルカリ化剤濃度、酸化剤(たとえば、過酸化水素)濃度、温度、粘度、毛髪の直径、毛髪の気孔率および曝露期間についての因子と共に使用される。
【0249】
ステージS5において、スペクトル計算過程および毛髪への損傷の評価を用いて、毛髪の最終スペクトルを予測するために、人工着色剤の最終濃度、および、ケラチン、ユーメラニン、フェオメラニン、人工色素の最終濃度、ならびに、サウンダーソン係数の最終値が、まとめて使用される。
【0250】
最終スペクトルは、そのまま使用され、あるいは、表面反射作用からの反射光(正反射および拡散反射の双方)について補正されてよい。
【0251】
同様に、存在する構成物を決定するための初期スペクトルの分析は、表面作用からの反射光(正反射および拡散反射の双方)について補正されてよい。
【0252】
各含有物の濃度の大きさ、ならびに吸収スペクトルおよび散乱スペクトルを有する反射スペクトルを近似する方法は、クベルカ−ムンク式を使用してよい。
【0253】
クベルカ−ムンクの近似は、
【数6】
の形であり、ここで、
R(λ)=波長における拡散反射率、
K(λ)
n=n番目の含有物の波長における吸収率、
S(λ)
n=n番目の含有物の波長における散乱率、
C
n=n番目の着色剤の濃度
である。
【0254】
波長における内部拡散反射率R(λ)は、以下に詳述するように、サウンダーソン補正式から求めてよい。
【0255】
ステージS5における最終スペクトルの予測は、さらに、表面反射作用からの反射光(正反射および拡散反射の双方)について補正することを含んでよい。
【0256】
同様に、存在する構成物を決定する初期スペクトルの分析は、表面反射作用からの反射光(正反射および拡散反射の双方)について補正されてよい。
【0257】
表面反射作用からの反射光(正反射および拡散反射の双方)について補正することは、空気と毛髪との境界および毛髪の外側領域と毛髪の内側領域との境界、ならびにキューティクル状態を考慮することを含んでよい。
【0258】
補正はサウンダーソン補正を適用することを含んでよく、たとえば、補正は、
【数7】
の形であり、ここで、
λ=波長、
α=スペクトルメーターに伝播する表面反射からの反射光(正反射および拡散反射の双方)の相対部分、
R(λ)=サウンダーソン式による補正後反射率、
F(λ)
ext=毛髪の外側からの外側フレネル反射からの反射率(表面からの反射光(正反射および拡散反射の双方))、
F(λ)
int=毛髪の内側媒体と毛髪境界領域との間の内側フレネル反射率
である。
【0259】
上述のように、サウンダーソン補正R(λ)による補正後反射率は、クベルカ−ムンク近似に挿入されてよい。
【0260】
ステージS3およびS4において、ケラチン、ユーメラニン、フェオメラニンおよび人工色素の最終濃度は、化学反応速度式を使用して計算してよい。
【0261】
最終濃度を計算することは、以下に詳述するように、前記化学反応から生じる中間生成物を考慮に入れてよい。
【0262】
混合装置は、最終結果(たとえば、色)が承認されたときに、レシピによる処理組成物を混合してよい。混合装置は、手動混合器または自動混合器であり得、随意的に、以下に詳述するように、色付与剤、酸化剤および/またはアルカリ化剤の、および随意的に増粘剤の、各々の計算された最終濃度を提供するように構成された、自動化分配装置の形態での自動混合器であり得る。自動化されると、混合装置は、好ましくは、本明細書に記載の計算を行うコンピュータ実装ユニットと連動する。
【0263】
ここで、アルゴリズム実行について詳細に考察する。この方法は、所与の初期毛髪(または、他のあらゆるケラチン繊維)についての毛髪処理の最適化されたレシピ、および所望の目的処理(たとえば、着色)の定義、を出力するコンピュータ化された過程によって実施されてよい。この計算は、毛髪着色剤の、それらの光学的特徴の観点での、先験的知識に加えて、異なる毛髪処理により、毛髪の天然成分に課せられた進化を利用する。これらの項目が規定され、初期毛髪着色が与えられると、システムは、複数の毛髪処理を考慮する。各処理について、システムは、物理式および化学式によって最終結果を近似する。最終的に、システムは、毛髪への損傷および処理時間を最小にしながら目的色(または、あらゆる他の処理)に最も適合する処理を選択する。毛髪のいくつかの場所に、異なる測定および異なる処理を必要とする人もいるかも知れない。たとえば、人は、天然着色を有する天然部分を、頭皮および毛根の近くに有し、既に着色された古い毛髪を、頭皮から遠くに有するかも知れない。システムは、2つの測定をそれぞれ取得して、各部分について別個の分析を実行する。しかし、各部分の着色の選択が、色統一の全体的特徴によって影響されるように、頭部の全体の色には、2つの部分間の色統一を考慮してもよい。
【0264】
初期毛髪は、少なくとも可視領域を含む分光光度計によって測定される。測定されたスペクトルの単位は、毛髪から反射された各波長の光の百分率という意味での、相対反射で与えられる。次いで、スペクトルと毛髪を構成する成分の濃度との関係が、サウンダーソン補正式と共に、無限厚さの物質の近似におけるクベルカ−ムンクの式によって分析される。反射測定は、2つの成分を含む:内部拡散反射および表面成分からの反射光(正反射および拡散反射の双方)である。拡散反射は、空間における各立体角に等強度で分散する光を含み、一方、表面から反射された光は、明確な扇形境界に沿って進行する光線を維持する正反射部分、および、主としてキューティクルからの拡散反射部分、の双方を含む。内部拡散成分は、クベルカ−ムンクの近似に従い、一方、表面から反射された光(正反射および拡散反射の双方)はサウンダーソン補正式によって取り扱われる。
【0265】
クベルカ−ムンク(無限厚さの物質の近似における):
【数8】
であり、ここで、
R(λ)=波長における内部拡散反射率、
K(λ)
n=n番目の含有物の波長における吸収率、
S(λ)
n=n番目の含有物の波長における散乱率、
C
n=n番目の着色剤の濃度
である。
【0266】
サウンダーソン補正:
上述のように、反射は、2つの種類:クベルカ−ムンクの式に従う内部拡散部分、および、表面(正および拡散の双方)からの反射光の部分、を含むと想定される。クベルカ−ムンクモデルは、表面からの反射光(正反射および拡散反射の双方)を考慮に入れず、これは境界作用と考えることができる。表面からの反射光(正反射および拡散反射の双方)は、空気との境界間、ならびに毛髪およびキューティクル状態における内部媒体間の屈折率の差異による。たとえば、毛髪試料と空気との境界における屈折率の差は、ある程度の正反射を生じさせ、一方、小さなキューティクルは、反射する光を拡散させる。この反射の大きさと角度は、試料の光沢、試料の構造幾何、および分光器の光学配置に依存する。補正は、2つの境界作用を取り扱い、一方は、外側(空気−毛髪)由来のものであり、他方は、内側(毛髪内部媒体い対する毛髪境界領域)由来のものである。光学配置もまた、分光器のセンサーに向かって伝播する正反射の相対部分を説明するために、考慮に入れられる。
【数9】
【0267】
R(λ)を分離することにより、
【数10】
が得られ、ここで、
λ=波長、
α=スペクトルメーターの検出器に伝播する表面反射からの反射光(正反射および拡散反射の双方)の相対部分、
R(λ)=サウンダーソン式による補正後反射率であり、これは実際には、拡散挙動のみに起因する反射率部分、
F(λ)
ext=毛髪の外側(空気−毛髪)からの外側フレネル反射率、
F(λ)
int=毛髪の内側媒体と境界(毛髪内側媒体への毛髪境界)との間の内側フレネル反射率
である。
【0268】
R(λ)は、サウンダーソン補正式によって近似されると、クベルカ−ムンクの式に挿入することができる。
【0269】
天然毛髪からの光学特性の抽出:
天然毛髪の反射曲線は、天然毛髪が含む異なる含有物によってほとんど決定される。各含有物は、その濃度に関して、それ自体の吸収曲線および散乱曲線に寄与する。照明スペクトルおよび反射曲線が与えられると、色座標への変換は、CIEのものなどの標準式を使用することによって、明らかである。
【0270】
含有物の光学特性は、異なる毛髪試料のスペクトルを分析すること、および、天然毛髪空間をサンプリングすることにより、計算することができる。含有物の量は、等式の数が変数の数よりも少なくない限り、分析の間、任意に選択することができる。おそらく天然毛髪には多くの異なる含有物が存在するが、吸収および散乱に大きく影響するのは、そのうちのいくつかのみである。したがって、最適化過程における最大許容可能誤差に関する決定が、毛髪中の含有物の数を選択するのに役立つ。含有物の数が少ないほど、計算誤差は大きくなり、その逆も成り立つ。
【0271】
3つの異なる含有物の選択が、低い差誤差で、測定への合致をもたらすことが判明した。これらの成分は、毛髪の既知の天然成分、つまり、ケラチン、ユーメラニン、フェオメラニンに強く関連している。ケラチンは、毛髪の鞘および鞘内の内部繊維を成すものである。ユーメラニンおよびフェオメラニンは、一般クラスの天然色素を提供するメラニン着色剤の2つの種類である。ユーメラニンは、ほとんどの毛髪における最も一般的な色素の暗褐色色素であり、一方、フェオメラニンは、一般にわずかな濃度で存在し、赤味がかった淡黄色に寄与する。
【0272】
毛髪着色のモデル:
異なる毛髪含有物からの吸収曲線および散乱曲線の選択は、有限セットの解を有する非同次方程式のセットを達成するために、全波長についての1つの含有物の1つの曲線についての、任意の正の非ゼロ定数値の設定を必要とする。たとえば、ケラチンの散乱曲線が全波長について1となるように選択してよい。
【0273】
毛髪着色の過程は、一方で、毛髪内への染料着色剤の挿入に、他方で、初期メラニンの低減に、関する。着色剤そのものは存在しない状態で、異なる天然毛髪試料が染料の化学物質に曝される実験が、天然毛髪の空間を超えて広がるスペクトルを示した。よって、拡張スペクトルを使用することが、着色剤についての追加の情報を明らかにするかも知れない。ユーメラニン濃度の低下に比例して濃度が上昇する、1つの追加の着色剤の出現に基づくアプローチが、頑強で信頼できることが判明した。
【0274】
毛髪着色の過程は、着色剤の濃度、温度、酸化剤(たとえば、過酸化水素)の濃度、および、溶液のpHレベルを決定する、アンモニアの割合または他のアルカリ化剤によって主として支配される。これらの大きさは、毛髪着色中の反応速度に強く影響する。
【0275】
毛髪染料に曝される間のメラニンの減少は、その初期濃度、アルカリ化剤の割合、酸化剤の割合、温度、溶液の粘度、毛髪の気孔率、および曝露期間に依存する。関数関係は、実験から経験的に
【数11】
と特徴付けられ、ここで、
f
KineticsMelanin=メラニンの速度関数、
C
i=初期メラニン濃度、
C
f=最終メラニン濃度、
C
A=溶液中のアルカリ化剤(たとえば、アンモニア)の濃度、
C
H=酸化剤(たとえば、過酸化水素)の濃度、
T=温度、
t=期間(処理への曝露時間)、
v=溶液の粘度、
p=毛髪の気孔率
である。
【0276】
関数f
KineticsMelaninは、温度(T)、アルカリ化剤の濃度(C
A)、酸化剤の濃度(C
H)、期間(t)および毛髪の気孔率(p)の増加に伴って、単調に増加する。この関数は、粘度(v)の増加に伴って、単調に減少する。
【0277】
この関数の係数は、パラメータの既知の異なる値にわたって、スペクトルの予測値とスペクトルの測定値との最良の一致結果を示すように、最適化される。
【0278】
ユーメラニンおよびフェオメラニンには、異なる速度関数が適用される。
【0279】
上記に代えて、解析関数が導入されず、代わりに、すべての次元にわたって複数の異なる値を有する測定の経験的グリッドが提供される。次いで、C
fの予測が、KNN(グリッド上のk個の最近隣点の平均化)によって見積もられる。
【0280】
上述の議論を要約すると、所与の毛髪スペクトルについて、次の数式
【数12】
が得られ、ここで、R
iはサウンダーソン式による補正後の初期反射率を表す。
【0281】
たとえば、N個の染料の特定の毛髪染色レシピで染色した後の最終スペクトルは、
【数13】
と予測することができる。
【0282】
次いで、1次スペクトル予測が、クベルカ−ムンク式
【数14】
により計算される。
【0283】
そして、毛髪スペクトルの最終適合が、最適化したサウンダーソン係数、α,F
extおよびF
intを考慮して、最終スペクトルについて、利用可能になる。
【数15】
【0284】
速度係数α
1,α
2,α
3,α
4、ならびに着色剤吸収率曲線K
1,K
2,K
3…K
Nおよび散乱率S
1,S
2…S
Nが、既知のレシピでの、および適当な統計サンプリングでの、着色の前および後の複数の毛髪測定を処理することにより、最適化される。最適化は、スペクトルの平方差の和を最小にするものである。
【0285】
反射スペクトルは、測定され、または予測されると、選択された所望の環境放射輝度スペクトルの下で、色座標に変換されてよい。変換は、標準CIE色空間に従う。スペクトルの色座標への変換は、スペクトル測定および色の技術分野を扱う者が、精通している。
【0286】
物体の色座標と目的の色座標との距離は、ベクトル距離
【数16】
によって与えられる。
【0287】
ここで、アルカリ化剤(たとえば、アンモニア)比率に対するユーメラニン濃度の動態を表す簡略化したグラフである
図19を参照する。期間、酸化剤および温度は、一定に保った。
【0288】
ここで、酸化剤(たとえば、過酸化水素)比率に対するユーメラニン濃度の動態を示す簡略化したグラフである
図20を参照する。アルカリ化剤(たとえば、アンモニア)比率、期間および温度は、一定に保った
【0289】
ここで、暴露期間に対するユーメラニン濃度の動態を示す簡略化したグラフである
図21を参照する。アルカリ化剤(たとえば、アンモニア)比率、酸化剤(たとえば、過酸化水素)比率および期間は、一定に保った。
【0290】
ここで、緑の曲線が、クベルカ−ムンク式およびサウンダーソン係数におけるユーメラニン濃度およびフェオメラニン濃度の最適化による、天然毛髪スペクトルの測定に対する最良の一致を表す、簡略化したグラフである
図22を参照する。
【0291】
ここで、緑の曲線が、既知の染料レシピでの天然毛髪の着色についてクベルカ−ムンクおよびサウンダーソン式によって計算した、赤の測定の曲線を適合させようとする適合曲線である、簡略化したグラフである
図23を参照する。
【0292】
ここで、最適化後のスペクトル平方差の分布を表す簡略化したグラフである
図24を参照する。最適化過程は、モデル係数を最適化することにより、予測と測定との平方スペクトル差の合計を最小にするものである。
【0293】
ここで、測定した666の毛髪試料間のスペクトル平方差の総合計を最小にするようにしたモデルについて最適化した係数を示す簡略化したグラフである
図25を参照する。色差の統計分布が次に計算される。
【0294】
当初から着色されている毛髪の着色を予測するためのアルゴリズムは、当初から着色されている毛髪から得られる測定値を必要とする。第1の代替において、着色剤の見積もりが、IR信号を用いてなされる。
【0295】
950nm付近のIR領域の信号は、メラニンの存在に対して感受性があり、着色剤に対して非常に不感である。したがって、天然毛髪含有物の濃度は、IR領域の信号を分析することによって抽出することができる。
【0296】
当初から着色されている毛髪において、内部の成分は、天然毛髪含有物および未知の濃度の未知の着色剤である。したがって、IR領域により各天然毛髪含有物の初期濃度を見積もり、毛髪中の着色剤への残留吸収または残留散乱の帰属する近似がなされる。
【0297】
第1段階において、Nの天然毛髪含有物の見積りが、各含有物の濃度をIRでの測定に(最小二乗最適化において)最適合化することにより、抽出される。
【数17】
【0298】
次いで、残余が、スペクトルの全体の領域について、
【数18】
と定義される。
【0299】
大きさはサウンダーソン補正後の反射に関係し、計算は波長増分ごとに個別に行われる。
【0300】
N個の染料のレシピに関して、当初から着色されている毛髪についての最終スペクトルの予測は、
【数19】
の式で表される。
【0301】
ここで、fは0〜1のスカラーを表す。
【0302】
天然毛髪含有物の最終濃度と初期濃度との関係は、速度式によって与えられる。
【0303】
天然毛髪の場合のように、残存係数f、速度係数、ならびに着色剤の吸収率曲線K
1,K
2,...,K
Nおよび散乱率曲線S
1,S
2,...,S
Nは、既知のレシピでの着色の前および後に、複数の毛髪測定により最適化される。
【0304】
ここで、測定した666の毛髪試料間のスペクトル平方差の総合計を最小にするようにした、当初から着色されている毛髪についてのモデルの係数の最適化を表す、簡略化したグラフである
図26を参照する。その後、色差の統計分布を計算することができる。
【0305】
ここで、過酸化水素および期間が固定のときの、アンモニアに対するユーメラニン濃度の動態を示す、簡略化したグラフである
図27を参照する。
【0306】
ここで、当初から着色されている毛髪のモデルの場合における、アンモニア濃度%に対するユーメラニン最終濃度の動態を示す、簡略化したグラフである
図28を参照する。期間および過酸化水素濃度は一定に保った。
【0307】
ここで、過酸化水素濃度に対するユーメラニン濃度の動態を示す簡略化したグラフである
図29を参照する。アンモニア濃度および期間は一定に保った。
【0308】
ここで、期間に対するユーメラニン濃度の動態を示す簡略化したグラフである
図30を参照する。アンモニアおよび過酸化水素濃度は一定に保った。
【0309】
ここで、天然毛髪着色因子を得るための、ならびに、毛髪処理レシピで一般に使用される製品についての含有物に関する含有物および因子を得るための過程を示す、簡略化したフローチャートである
図31を参照する。
天然毛髪の着色のモデルの取得:
【0310】
上記では、レシピ中の物質についての因子が既知であること、および、天然および他の毛髪因子が測定された毛髪スペクトルから導出され得ることを仮定した。以下は、上記で説明したアルゴリズムにより天然毛髪を着色するための、そのアルゴリズムが必要とするデータを提供する、システムの概要である。
【0311】
1.天然毛髪含有物:
ステージS6において、図
14のように、すべての色の天然毛髪の空間全体にわたる複数の天然毛髪のスペクトルを分析する。
【0312】
a.含有物の数。クベルカ−ムンクおよびサウンダーソン補正の仮定の下での、測定のスペクトルの最良適合化に必要な含有物の数、つまりMの値、を見出す。そこで、ステージS7で、値が初期化される。ステージS8で、全M個の含有物について、KおよびMの値が最適化される。
【0313】
ステージS9で、各スペクトルについて最適化が実行される。ステージS10において、一致度が決定され、これはステージS11で閾値と比較される。解はステージS12で保存される。
【0314】
b.クベルカ−ムンクの係数の保存。このステージは、各含有物についてのK(吸収)およびS(散乱)の係数を保持する。
【0315】
2.メラニン動態:
a.実験。すべての色の天然毛髪の空間全体にわたる複数の天然毛髪を、着色剤自体を除く染料中の材料に曝す実験を用意する。この処理には、異なる期間、温度、アルカリ化剤の濃度、粘度、および酸化剤の濃度が含まれる。処理の前および処理の後の両方で、実験におけるすべての毛髪のスペクトルを測定する。
【0316】
b.漂白性副産物として生じる新たな含有物を定義する。漂白後の毛髪中の新たな含有物の発生を抽出するために、データを分析し、漂白後の毛髪中のそれらの濃度とともに、それらのK(吸収率)およびS(散乱率)を計算する。
【0317】
c.速度関数を抽出する。各含有物の最終濃度をその初期濃度に関連付ける関数を定義するために、温度、粘度、pHレベル、期間、毛髪の直径、毛髪のキューティクル状態、および酸化剤の濃度などのパラメータに関して、データを分析する。この関数は、純粋に経験的でよく、または、適当な最適化係数を有する、拡散および反応速度式に従ってよい。
【0318】
3.染色速度および光学特性:
a.実験。すべての色の天然毛髪の空間全体にわたる複数の天然毛髪を、すべての染料およびそれらの混合物で着色する実験を用意する。毛髪染料は2種の着色剤を含み得る。それらの一方は、既に色を有し、毛髪中に移動する直接染料であり、他方の薬剤は、毛髪中に移動し、その後、酸化剤およびアルカリ化剤の仲介で化学的に相互作用して、毛髪中で着色剤分子を生成する、異なる染料前駆体および染料カプラーである。この処理は、異なる染料濃度、粘度、期間、温度、アルカリ化剤の濃度、および酸化剤の濃度を含む。
【0319】
処理前および処理後に、毛髪のすべてのスペクトルを測定する。
【0320】
b.着色剤の光学特性を定義する。着色剤の光学特性を、それらのk値およびs値の観点で、抽出する。着色剤の現像の間に生成され得るすべての組み合わせを、すべて含むように注意する。
【0321】
c.速度関数を抽出する。各着色剤の最終濃度を、その初期濃度、または、組み合わせて溶液に入れられる異なる染料前駆体および染料カプラーの濃度および反応性、に関連付ける関数を、温度、溶液の粘度、アルカリ化剤の濃度、期間、毛髪の直径、毛髪のキューティクル状態、および酸化剤の濃度などのパラメータに関して定義するために、データを分析する。
【数20】
【数21】
【0322】
ここで、
f
n(C
i,C
A,C
p,T,t,v,p)=n番目の「直接」着色剤の速度関数、
f
m(C
A,C
p,T,t,v,p、C
r1,…,C
rm)=m番目の着色剤の速度関数、
C
i=初期「直接」着色剤濃度、
【数22】
=最終「直接」着色剤濃度、
【数23】
=最終着色剤濃度、反応物質相互作用の産物、
【数24】
=染料前駆体の濃度、
【数25】
=染料カプラーの濃度、
C
A=溶液中のアルカリ化剤(たとえば、アンモニア)の濃度、
C
H=溶液中の酸化剤(たとえば、過酸化水素)の濃度、
T=温度、
t=期間(処理への曝露時間)、
v=溶液の粘度、
p=毛髪の気孔率
である。
【0323】
この関数は、純粋に経験的でよく、または、適当な最適化係数を有する、反応および拡散速度式に従ってよい。
【0324】
これに代えて、解析関数を導入せず、代わりに、すべての次元にわたる複数の異なる値について、測定セットの経験的グリッドを提供する。次いで、
【数22-1】
および
【数23-1】
の予測を、KNN(グリッド上のk個の最近隣点の平均化)によって見積もる。
【0325】
II.光学読み取り器
本発明のいくつかの実施形態の特徴によると、本明細書に規定のケラチン繊維の処理操作(たとえば、毛髪などのケラチン繊維の着色)の成果の実際的な予測をするために十分な、ケラチン繊維の特徴を測定する光学読み取り器が提供される。
【0326】
図面を参照すると、
図32Aは、ケラチン繊維(たとえば、毛髪)の光学測定のための、毛
髪を照明する照明ユニッ
トを含む装
置を表す。
【0327】
測定ユニット16(
図32Aには不図示)は、照明ユニットによる照明の間に、毛髪を光学的に測定する光学収集システムを含む。光学収集システムおよび照明ユニットからの光束は、それぞれ、測定中の毛髪における45°〜135°の光拡散角を規定し、よって、センサーが、キューティクルの外側からの、またはキューティクル−皮質界面からの直接反射(フレネル反射)とは対照的に、毛髪により拡散または散乱された光を主として測定するのを確実にする。換言すると、照明光束が毛髪に入射し、結果として生じる拡散光の光束が、照明光束に対して45
°〜135
°の角度にて収集される。
【0328】
図32Aにおいて、照明ユニットは、アジマスからの上方から毛髪を照明するように位置しており、センサーは、毛髪に対して垂直に位置している。照明ユニットは、それぞれ、毛髪の周りの複数の実質的にアジマス角から前記毛髪を照明するように構成された、複数の照明源を含んでよい。
【0329】
図32Bにおいては、逆の配置が使用されており、測定ユニットは、アジマスから上方の、毛髪の周りに位置する複数のセンサーを含んでいる。照明ユニットは、毛髪の平面に対して垂直に位置している。上記構成の双方においては、複数の照明角および収集角が使用されてよい。
【0330】
照明と収集のどちらも毛髪に対して垂直でない、第3の構成も有益であろう。このような構成は、たとえば、135°で使用される。
【0331】
他の可能な配置は、光学ビームスプリッター(たとえば、50:50)または偏光ビームスプリッターを使用することにより、たとえば毛髪に対してほぼ垂直の、同一の角度から照明および収集する。後者の可能性においては、交差偏光構成を選択することによって、反射の正反射成分も除去される。
【0332】
照明ユニットは、毛髪軸に沿って向かい合う、実質的に対向する2つの照明方向を含んでよい。各方向について測定が行われ、測定結果の差は、以下に詳述するように、毛髪キューティクルの状態の指標を提供する。
【0333】
照明ユニットは、それぞれ毛髪周りの異なるアジマス角からではあるが、毛髪軸に対して実際にまたは実質的に平行な光源を使用してよい。
【0334】
照明源は、異なる時間に、毛髪を照明してよい。センサーにおける一時的な開窓は、異な照明源からの照明が個別に測定されることを可能にする。これに代えて、照明源は、調査する毛髪の異なる領域を照明してよい。センサーにおいて空間的に分解することは、異なる照明源からの照明が個別に測定されることを可能にする。
【0335】
照明ユニットは、主広帯域照明源および副照明源を含んでよい。処理電子機器は、いずれかの照明源に対する毛髪の角度などの特定の種類の情報を得るために、異なる照明源を比較することによって、照明結果の差異を使用してよい。
【0336】
処理電子機器は、次いで、毛髪角を使用して、毛髪スペクトルを異なる照明角について補正してよい。
【0337】
処理電子機器は、加えて、照明結果の差異を使用して、各々が毛髪について異なる情報を与える、毛髪からの正反射光および拡散反射光を識別してよい。
【0338】
主照明源は分光に使用されてよく、副照明源は分光または角測定のどちらかに使用されてよい。
【0339】
以下に詳述するように、各々が検出軸に垂直な平面に対して同一の仰角に位置する、4つの照明源があってもよい。1つの例において、毛髪軸に対するアジマス角は、4つの照明源の2つについて30°であり、4つの照明源の第3および第4について150°である。
【0340】
センサーは、電磁気スペクトルの可視、近紫外、紫外、近赤外および赤外部分を検出してよい。説明するように、スペクトルの可視、赤外および近赤外部分にわたる全スペクトルは、メラニン系毛髪因子が識別されるのを可能にする情報を含む。非常に黒い毛髪について、メラニン濃度の計算に必要なデータの大部分は、NIRおよびIR内に存在する。対照的に、スペクトルの可視部分は、labまたは他のものなどの、あらゆる色空間において、毛髪色を規定することを可能にするが、メラニン濃度の計算を可能にはしない。
【0341】
感受性の一般的な範囲は、350〜1500nmの波長範囲、または350〜750nmの波長範囲、または400〜950nmの波長範囲である。
【0342】
以下に詳述するように、センサーは、毛髪により反射されていない校正光を光学系から真っ直ぐに受ける1つ以上の校正領域を含んでよい。校正光は、センサーを校正することを可能にする。
【0343】
偏光素子たとえば制御可能な偏光素子が、光学系の種々の場所に挿入されてよい。
【0344】
以下に説明するように、測定の位置に毛髪を保持するために、ヘアピンが提供されてもよい。
【0345】
使用に際し、光学装置は毛髪に対して照明源を適用し、次いで、一般に45°〜135°の拡散角から、照明を光学的に測定する。この角度を使用するのは、直接の反射ではなく、毛髪により拡散または散乱された光が主成分である測定値を得るためである。
【0346】
光学読み取り器は、毛髪(または何らかのケラチン繊維)の特徴を測定する、随意的に手持ち式の、道具である。毛髪の特性を計算することは、光学読み取り器の外で、たとえば計算ユニット上で、行われる。パラメータは、毛髪染色過程またはケラチン繊維の他の処理操作(たとえば、着色、漂白)を計画し、操作後の実際の毛髪色を見積もるのに、使用されてよい。
【0347】
吸収スペクトル、正反射スペクトル、または毛髪により拡散もしくは散乱された光のスペクトル、またはこれらの組み合わせなどの、種々の光学データを測定してよい。また、偏光特性または蛍光特性を測定してもよい。
【0348】
計算による毛髪特性には、可視範囲の毛髪色、毛髪中のメラニンの相対量、ユーメラニンの相対量、フェオメラニンの相対量、ユーメラニンおよびフェオメラニンの両方を合わせた相対量のほか、全染料量および特定の染料成分の量を含む毛髪中の毛髪染料の相対量、が含まれてよい。
【0349】
他の計算は、毛髪中の水の相対量、および、以下に詳述するように、キューティクル状態(開き度合い)、毛髪半径などの染色速度に影響を及ぼす毛髪の特徴の相対程度、に関連してよい。
【0350】
光学読み取り器は、あらゆる毛髪およびあらゆる毛髪代替物を測定するように設計されており、毛髪およびその代替物は、(天然のまたは染色した)ヒトの毛髪、(天然のまたは染色した)動物の毛、およびあらゆる種類の毛髪代替物、または、ウイッグ毛髪、クレアチニン繊維、衣装用毛髪などを含む人工毛髪、ならびに、毛髪カタログ用に作成された毛髪であり得る。
【0351】
毛髪は、頭髪またはその代替物に限らず、身体のあらゆる部分の毛およびその代替物である。
【0352】
光学機械式照明:
図32Aに関して既に説明したように、光学読み取り器は、照明モジュールおよび検出モジュールの、2つのモジュールを含む(計算、通信などの他のモジュールもある)。
【0353】
照明モジュール:
例示的照明モジュールは、次の波長範囲の4つのLEDを含む:
I: 単色または狭帯域400(390〜410nm)、
II: 白色または可視域(430〜750nm)、
III:単色または狭帯域850(820〜880nm)、
IV: 単色または狭帯域950(920〜980nm)。
【0354】
実施形態は、異なるLED、または、他の波長帯域で照明する他の光源を使用するかも知れない。
【0355】
変形例は、より少ないLEDまたはより多いLEDを使用し、たとえば、750〜820nm帯域で照明するLEDを備えて、上記の第2および第3のLEDの間の間隙を埋めてもよい。
【0356】
LED照明は、同時にではなく、行ってよい。分光を目的とする照明は、1つの測定毛髪範囲内に異なる波長が混在したものを得ないようにするために、1:2(最大照明レベルと最小照明レベルとの比)よりも小さい照明強度レベル範囲を使用してよい。
【0357】
次の照明計画を使用することができる:
− 各LEDが異なる時間に照明する、
− 最初の2つのLED(I.II)が、一時に照明し、他(III,IV)が後の時間に照明する。
【0358】
この照明計画は、LEDのデューティサイクルを構成してよい。
【0359】
LEDは、Perkin Elmerによって提供されるACULEDなどの、小さいパッケージに搭載してよい。このパッケージは、異なるLED間に非常に小さい距離をもたらし得て、各LEDから毛髪に当たる照明が、ケーラー様照明光学系を使用すれば、ほとんど同じ角度になる。
【0360】
LEDからの照明は、レンズを透過して進み、45°という一般的な角度で毛髪に当たる。希望に応じて、他の角度も使用可能であることに、留意されたい。
【0361】
照明モジュールは、指向性を有するように設計してよい。具体的には、光は毛髪に対して平行なアジマスとなるように向けられる。指向性の考えは、拡散光のみの観察を可能にするためである。広いNA照明または他のアジマス角では、正反射光と拡散光とが混合し易い。
【0362】
検出モジュール:
検出モジュールは、毛髪(または何らかのケラチン繊維)から散乱された光を測定する。これは、測定が、繊維皮質からの拡散反射、あらゆる種類の正反射、および吸収、のうちの少なくとも1つの影響を分離することを、意図したものである。
【0363】
ここで、検出に適する光学系の1つの可能な具現化を表す、簡略化したダイヤグラムである
図32Cを参照する。LEDからの照明は、毛髪100により散乱され、シリンドリカルレンズ110および狭いスリット120を通過する。スリットの後、光は、この例では直径3.2mmの開口である小さい開口130、および、さらにレンズ140を通過する。波長分離が、回折格子150を用いて行われる。
【0364】
回折格子150からの光は、ミラー160を用いて偏向され、3−レンズ収集光学系170を用いてセンサー180に集束される。
【0365】
センサー上で、異なる波長の光は、回折格子150の作用によって、異なる列に入り、したがって、全スペクトルが得られる。
【0366】
ここで、それぞれ照明および測定中の毛髪に対する光収集角を詳細に示す、模式的ブロックダイヤグラムである
図33Aおよび
図33Bを参照する。光学系の主軸は、毛髪に対して垂直であり、毛髪により、および照明角により規定される同一平面内に位置する。主たる照明は、狭いNAで斜めの仰角にて毛髪を照明する広帯域照明である。収集光学系は、スペクトルデータを生成するために、毛髪の上方に散乱された照明を収集する。
【0367】
検出器は、たとえば、Aptina MTM9001C125STMなどの、1240×1080の分解能を有する2次元のCMOS/CCDセンサー180である。センサーは400〜1000nmの範囲またはそれ以上にわたる光を検出し、したがって、全照明スペクトルを観測する。
【0368】
図33Aにおいては、光の収集は、毛髪に対して垂直であり、したがって、散乱光を捕捉する。
図33Bにおいては、光収集は、斜めの角度においてである。
図33Cは、上方からの照明および光収集を示す。
【0369】
広いスペクトルの使用:
光学読み取り器は、たとえば400nm〜950nmにわたる、IR領域を含む広い波長範囲の毛髪のスペクトルを生成するが、380nm〜1500nmのようにさらに広くてもよい。
【0370】
スペクトルは、
− 照明モジュールについて説明したような、1つ以上のLEDの組み合わせ、
− 範囲全体にわたって波長が分布するいくつかの単色レーザーの組み合わせ、
− キセノンランプなどの閃光ランプ、
− 調節可能なレーザー、
− 白色レーザー、または
− レーザー照明を複数の波長に分割する、または波長を広げて広帯域スペクトルとする非線形素子を有するレーザー
などの照明源によって達成されてよい。
【0371】
毛髪処理(たとえば、着色)操作の推奨に関係する主たるデータの1つは、毛髪中のメラニンの量に関する。本実施形態において、毛髪中のメラニンの相対量は、毛髪のスペクトルをメラニンのスペクトルに一致させることにより得られる。両方の種類のメラニンの相対量を得るために、一致させる過程において、両方のスペクトルの線形関数が用いられる。
【0372】
既に説明したように、メラニンは、可視波長に強い吸収を有する。したがって、可視データのみを使用して、その相対量、特に濃い毛髪中の相対量を決定することは困難である。この問題を克服するために、IRスペクトルが使用される。一致させる過程において、IR領域のスペクトルは、単独で、またはスペクトルのより短波長の部分よりも高い重み付けで、使用される。
【0373】
毛髪処理のためのもう1つのパラメータは、前回の毛髪染色処理または他の過程から残存する毛髪染料の相対量である。毛髪染料は主として可視領域に現れ、メラニンのスペクトルにより隠される。したがって、メラニンの相対量が判り次第、測定スペクトルからメラニンを差し引いて、毛髪染料のスペクトルを明らかにしてよい。
【0374】
メラニンを差し引いたスペクトルは、毛髪中の染料の相対量および各染料成分の各相対量を見積もるために、使用することができる。
【0375】
メラニンの相対量を計算することへのIR領域の寄与は、750nmにて、さらには、より短波長にて始まる。したがって、おおよそ750nmの領域が含まれる限り、作業実施形態は、あらゆるスペクトル領域を有用に利用し得る。
【0376】
ここで、2つの一般的な毛髪スペクトルを、350nm〜1550nmにわたる反射率として示す簡略化したグラフである
図36を参照する。太い実線は、当初の薄い色調の毛髪のスペクトルを表し、細い波線は、着色後で、より濃い色調になったその毛髪のスペクトルを表す。
【0377】
IR部分の範囲つまり長波長側において、着色した毛髪のスペクトルつまり破線は、より多い反射を示しており、これは、メラニンの相対量が少ないことを意味する。メラニンのレベルが低いは、染色過程の作用である。可視部分の範囲のスペクトルは、反射光がより少なく、色素が毛髪中に吸収されていることを意味する。
【0378】
図36が示すものは、可視および近IRを含む広い波長範囲を見ることは、メラニンおよび毛髪染料の双方の相対量を検出することが可能になる点で、利益をもたらすということである。
【0379】
さらにIR、1500nm付近を見ると、水はこの波付近に強い吸収を有するので、毛髪中の水の相対量が見積もられるかも知れない。
【0380】
毛髪中の水の相対量は、毛髪の処理過程に影響するかも知れない。たとえば、濡れた毛髪における染色速度は、乾いた毛髪の染色速度とは異なる。したがって、1500nmまでのスペクトル、さらにはこれを超えるスペクトルを観察することが、さらに有益である。
【0381】
上記は、メラニン、染料色、または水の相対量を、グラフを見ることによって、如何に検出するかを説明したものであり、曲線適合アルゴリズムについても言及した。スペクトルからこのような相対量の自動決定を可能にする他のアルゴリズムも存在することが、理解されるであろう。
【0382】
たとえば、既知の毛髪染料のスペクトルが、曲線適合アルゴリズムにおいても使用され、種々の可能なアルゴリズムが、スペクトル全体、スペクトル内の特定の点、またはスペクトルからの1点を使用して、それらの知見を生成するかも知れない。
【0383】
光学読み取り器は、可視およびIRの波長範囲のみを使用するものに限られない。UV、可視、近IR、中IR、遠IRの1つ以上の組み合わせなどの、あらゆる光学範囲を使用してよい。
【0384】
照明:
光学読み取り器は、毛髪(または、処理する他のケラチン繊維)に対して異なる角度の、複数の照明源を含んでよい。これらの照明源は、染色過程を計画するために使用される染色速度をより良く見積もるために、より多くの毛髪パラメータを集めることによって測定したデータの質を高めるために、使用されてよい。加えて、毛髪読み取り器は、毛髪と毛髪読み取り器との角度の見積もりを提供し、見積もった角度を用いて測定データを補正してよい。
【0385】
再び
図33Aを参照すると、主照明は、限られたNAで斜めの仰角にて毛髪を照明する広帯域照明である。収集光学系は、スペクトルデータを生成するために、毛髪の上方で散乱照明を収集する。
【0386】
毛髪キューティクルの検出:
ここで、斜め上方の対向する2方向からの毛髪の照明、および照明側における毛髪からの垂線での光の収集を示す、模式的ダイヤグラムである
図33Bを参照する。第1の広帯域照明は、
図33Aに見られるように、斜めの仰角からである。他の照明光束は、そのアジマスの反対方向で、ただし、同じ仰角で、毛髪に当たる。第2の方向からの散乱した照明は、毛髪キューティクルが対象ではないので、主照明の散乱した照明とは相違する。キューティクルは、一方向からの照明を、反対方向の照明とは異なるように散乱させる。散乱強度間の差異は、キューティクルの開き度合いに強く依存する。
図35Aは、右側からの照明について高い散乱強度が、左からの照明について低い散乱強度が期待される顕著なキューティクルを有する毛髪を示す。
図35Bにおいては、対照的に、キューティクルが平滑で、両側からの散乱は一般に同じである。
【0387】
したがって、主照明方向および反対の照明方向から測定される散乱された量の差は、キューティクルの開き度合いを見積もるのに使用することができる。開き度合いは毛髪速度に影響する。キューティクルが開くほど、染料はより速やかに毛髪に入る。
【0388】
第2の光源は、他の角度および高さにあってもよく、たとえば、主光源に対するアジマスが180°ではなく、かつ、同じ仰角ではない。2つの光源の散乱間の比が、キューティクルの開き度合いを見積もるために使用可能であるならば、いかなる角度でも十分である。
【0389】
毛髪半径:
毛髪の半径を見積もるために、垂直照明を使用してよく、毛髪の半径も染色速度に関係するパラメータである。
【0390】
毛髪の半径が増すほど、垂直照明源から反射される照明は増大する。
【0391】
半径測定光源の角度は、主光源に対するアジマスが厳密に90°である必要はなく、同じ仰角である必要もない。戻りの照明が毛髪半径を見積もるために使用することができるのであれば、いかなる角度でも十分である。
【0392】
測定角度および補正:
スペクトルデータは、毛髪とシステムの光学系との角度、つまり、毛髪と照明モジュールおよび検出モジュールとの角度、に強く依存する。
【0393】
光学読み取り器において、測定されるエネルギーのほとんどは、表面からの正反射光ではなく、毛髪本体および表面からの散乱光に由来する。正反射は、関連する測定データ(毛髪視感色、メラニンの相対量など)に対して、小さな影響を有するにすぎない。
【0394】
(高さまたはアジマスのいずれかにおいて)異なる照明角を使用することは、特定のデータにより多くの正反射光が入る結果になるかも知れない。
【0395】
ここで、異なる測定角でブロンド毛髪から測定した反射強度を表す簡略化したグラフである
図37を参照する。400〜700nmの波長間隔についての実線、700〜900nmの波長間隔についての破線、および、全400〜900nmの波長間隔についての点線、の3つの異なるグラフが示されている。予想されるように、垂直方向である90°および270°は最大の反射を与え、平行方向である0°および180°は最小の反射を与える。
【0396】
1つの実施形態は、毛髪の角度を測定して、それからスペクトルデータを補正するために、システムに対して異なる角度の複数の光源を使用する。
【0397】
ここで、本発明の実施形態による毛髪読み取り器
182の簡略化した側面図である
図34Aを参照する。
図34Bは、同毛髪読み取り器の上方から見た図である。
【0398】
収集光学系
184は毛髪
186に対して垂直に位置している。4つの光源、好ましくはLED(A,B,CおよびD)が、毛髪を(毛髪軸に対して30°、150°、210°および330°)のアジマス角で照明する。これらの光源は、センサーにおけるそれらの信号の分離を可能にするために、一時に1つ照明する。
【0399】
毛髪が光学系に対して正しく配置される通常の場合、キューティクル作用を除いて、各照明源から収集される光は等しく、キューティクル作用は反対の照明を用いて測定される。
【0400】
毛髪が誤ったアジマス角を有していると、光源Aからの戻り光はBとは異なり、光源Cからの戻り光はDとは異なる。さらに、毛髪が誤った仰角を有していると、光源Aからの戻り光はCとは異なり、光源Bからの戻り光はDとは異なる。それでも、校正したデータを使用することにより、毛髪の角度は4つの光源の比から見積もり得る。角度が妥当である限り、スペクトルデータは補正することができる。
【0401】
角度が大きすぎる場合、操作者は、測定における誤差について知らされ、読み取り器または毛髪を再配置する機会が与えられてよい。
【0402】
データを補正する1つの方法は、校正されたデータを使用することを含んでよい。校正されたデータは、異なる照明角およびアジマス角に関してスペクトル変化を含んでよい。データは、異なる角度での全スペクトル、または、線形の、放物線の、多項式の、もしくは他の見積もられた関数についての係数で、構成されてよい。
【0403】
校正されたデータは、無校正のデータから習得し得る限り、名目上の毛髪についての、または各毛髪種についての、または毛髪色についてのものであってよい。
【0404】
図34Aは、4つの照明源を表している。しかし、4つの照明源を使用することに代えて、より少ない照明源を使用してもよい。
【0405】
1つの実施形態においては、3つの照明源A,BおよびCが使用されるけれども、アジマスおよび仰角に関する変化が依然として対で照明源に影響するので、全機能が保持される。
【0406】
1つ以上の光源が、キューティクルまたは毛髪半径を測定するにの使用されてよい。
【0407】
2つの光源のみが、アジマスのみを見積もるのに必要であり(たとえばAおよびB)、または、高さのみを見積もるのに必要である(たとえばAおよびC)。
【0408】
他の実施形態において、多くの光源に代えて、毛髪の角度は、1つの照明光源および複数の検出器を使用して測定してよい。このような実施形態は、光を切り替えることを必要としない、という利点を有する。
【0409】
さらなる実施形態は、収集光を角度分解する単一のセンサーを使用する。
【0410】
さらなる実施形態は、複数の光源と複数の検出器との組み合わせを含む。
【0411】
光源は、説明したアジマス角以外のアジマス角に位置してよい。仰角は、制約または固定されず、各光源または光源の群ごとに変化してよい。
【0412】
さらなる実施形態において、上述の4つまたはそれよりも少ない照明源を使用することに代えて、より多くの照明源を使用してよい。より多くの照明源を使用することで、角度の見積もりがより正確になるという利点が生じる。
【0413】
照明源:
照明源は、各照明源が異なる時間に毛髪を照明する時系列の順序で駆動してよい。よって、各照明源についての散乱光は、各照明源の反射光を特定の時間ゲートで収集することにより、容易に分離することができる。
【0414】
1つの実施形態において、各照明源の駆動の時間差は約1/10秒であり、これがセンサーの実際のフレーム速度に一致するからである。したがって、9つのLEDの組が使用される場合、1秒当たり約1回の測定が行われる。1つの実施形態において、4つのLEDを含む主照明、および単一のLEDである対向照明がなされ、周囲の4つのLED A’〜D’が、9つの群を成す。
【0415】
対向照明および周囲の4つのLEDは、実際には、LED、LEDの群、レーザー、閃光ランプを含むランプなどの、どのような種類の照明であってもよい。
【0416】
照明源は、全エネルギーデータのみを与える狭帯域であっても、すべてのまたは部分的なスペクトルデータを与える広帯域であってもよい。
好ましい流れ:
【0417】
センサーは、短時間に多数の画像を得てよく、したがって、多重測定を行うことができる。使用者は、毛髪読み取り器を用いて毛髪を走査して、毛髪に沿う複数個所についてデータを得てよい。
【0418】
2次元センサーも、2つのダイナミックレンジを含めるための、特定の校正対象を有する2つの側方領域を使用して、その場での校正を可能にするかも知れない。これに代えて、同じことが、たとえば、電子機械的または電子光学的な切り替えにより、1次元センサーで達成されてもよい。
【0419】
したがって、毛髪は、毛根から毛端へと走査されてよい。毛髪の特徴、ならびに、したがって、必要とされる染色過程および/または結果の色は、異なる特徴を有するかも知れない、毛髪の異なる部位について計算され得る。
【0420】
各走査点について、LEDは所定の順序に従って照明する。この順序は、たとえば、
* 400nmLED(ACULED製)
* 暖白色LED(ACULED製)
* 850nmLED(ACULED製)
* 950nmLED(ACULED製)
* 反対方向LED(随意的)
* 垂直方向
* LED A
* LED B
* LED C
* LED D
であってよい。
【0421】
各LEDが照明するとき、センサーの関連部分が、波長に応じて、毛髪読み取り器の電子機器によってサンプリングされる。
【0422】
LEDからのデータは、リアルタイムで分析されてよい。リアルタイム分析が所与のLEDから不適切なデータ読み取り(たとえば、低すぎるまたは高すぎる読み取り)を検出したときは、LEDからの照明が繰り返される。
【0423】
1つの操作点からのデータは、前のまたは次の点の分析に使用されてよい。たとえば、より正確なデータを得るために、反対方向のLED、またはLED A〜Dからの信号が平均化されてよい。
【0424】
機械的設計:
ここで、本発明による毛髪読み取り器の実施形態の機械的設計特徴を表す、簡略化した模式的ダイヤグラムである
図38を参照する。
【0425】
機械的な特徴が、毛髪からよりよいスペクトル信号を得るために、毛髪読み取り器内に設置されてよい。光学読み取り器300は、光学系窓188の近くに、2つのグリッパー190を含む。グリッパーは、毛髪を照明に対して平行に向けて、信号を改善する。
【0426】
グリッパーに代えて、毛髪を正しい方向に向ける、櫛様要素などの、いかなる要素を使用してもよい。
【0427】
グリッパーは、毛髪をよりよく保持するために、中央に向かって傾けて、または丸めてよい。
【0428】
光学系窓
188は、毛髪走査方向に対して垂直で、したがって、複数の毛髪繊維からの読み取りの平均化を可能にしてよい。
【0429】
光源校正:
毛髪の正確なスペクトルを得るために、照明スペクトルは校正されてよい。実際のスペクトル測定は、種々のオフセット信号を差し引き、非線形補正を適用した後、各波長における校正されたデータで割った、検出器により検出された測定である。
【0430】
しかし、照明されたデータのスペクトルは、固定される必要はない。温度変化、わずかな機械的移動、経時的なLEDの強度変化、および他の理由が、出力スペクトルに影響するかも知れない。
【0431】
光学読み取り器は、したがって、分光器検出器のオンライン校正をサポートしてよい。
【0432】
ここで
図39Aを参照すると、検出器の一部が毛髪からの照明を得る一方で、検出器の一部が、毛髪から反射されることなく回折格子を経た照明モジュールからの信号を得る。照明モジュールからの直接の信号は、オンライン校正に使用されてよい。このような信号は、その場の標的から反射されるかも知れない。
【0433】
校正は、校正領域からの単一の列を取ることによって、または、校正領域のいくつかまたはすべての列を平均化することによって、達成されてよい。中央値、または、異常値を除いた平均値などの、他の公知の統計法を使用してもよい。
【0434】
校正したデータは、時間にわたって平均してよく、つまり、異なる時間での校正測定を用いてセンサーの校正を決定してよい。
【0435】
校正領域は、センサーの単一部分から、または複数の領域、
図39Aに示すように、校正領域1および校正領域2から構成されてよい。2つ以上の領域を規定することも可能である。
【0436】
照明は、回折格子と毛髪との間の照明モードのあらゆる部分から、サンプリングすることができる。サンプリングは、たとえば95/5%で、その5%が校正領域に与えられるものなどの、弱いスプリッターによって行うことができる。
【0437】
校正は、特定の時間ごとに、またはスペクトルの測定ごとに、行うことができる。
【0438】
偏光:
照明モジュールおよび検出モジュールは、信号対ノイズ比を高めるために、および、メラニン、ユーメラニン、フェオメラニン、毛髪染料、水などの毛髪中の物質の相対量の検出を改善するために、偏光した光を利用してもよい。
【0439】
照明モジュールは、毛髪を、
* 毛髪軸に平行な偏光、
* 毛髪軸に垂直な偏光、
* 毛髪軸に対して何らかの角度の偏光、
* 円偏光、
* 何らかの楕円偏光
のうちの1つ以上で照明してよい。
【0440】
光学読み取り器は、機械的/光学的または電子的式切り替えによって、照明モジュールの偏光の切り替えを可能にしてよい。変更は、自動的にまたは手動で決定され得る。たとえば、特定の毛髪色についてよりよい結果を与える異なる偏光があってよい。
【0441】
検出モジュールは、照明モジュールについて規定されたあらゆる偏光をフィルタリングするまたは透過させることによって、反射光を検出してよい。
【0442】
偏光の切り替えは、照明モジュールにて、またはセンサーにて、行うことができる。
【0443】
ここで
図39Bを参照すると、1つの偏光法は、毛髪を所与の偏光で照明し、その同じ偏光を検出モジュールで透過させるものである。
【0444】
ここで
図39Cを参照すると、もう1つの方法は、毛髪を所与の偏光で照明し、直交する偏光を検出モジュールで透過させるものである。いずれの場合も、偏光は、偏光を変化させるあらゆる素子、偏光子、波長板(λ/2およびλ/4を含む)、偏光回転プリズム、非線形素子などによって、制御することができる。
【0445】
照明モジュールの偏光素子は、照明源と毛髪との間のあらゆる場に配置することができる。偏光素子は、照明源そのものの一部であってもよい(たとえば、偏光した照明源を使用することによる)。
【0446】
検出モジュールの偏光素子は、同様に、毛髪とセンサーとの間のあらゆる場に配置することができる。それは、センサー検出器そのものの一部であってもよい。
【0447】
偏光子は、異なる波長に対して、同一のまたは異なる偏光作用を有する。
【0448】
照明モジュールおよび/または検出モジュールの偏光は、毛髪を走査する間に変えられてよい。1つの例は、直交する2つの偏光を用いてスペクトルを得るものであり、これは、毛髪中の物質の相対量を見積もるときに好都合かも知れない。
【0449】
偏光は、単一の照明源、すべての照明源、またはそれらのいずれかの部分に対して規定されてよい。
【0450】
1つ以上の検出器が存在する場合、偏光は単一の検出器、すべての検出器、またはそれらのいずれかの部分に対して規定されてよい。
【0451】
外光の抑制:
測定に影響するかも知れない他の問題は、毛髪に当たって分光検出器に達する外部光から信号を得ることである。
【0452】
外部光は、照明源の光とは違って、方向付けられず、また、方向付けられるか否かにかかわらず、外部光に起因する毛髪からの不所望の信号は検出器に達するかも知れない。
【0453】
1つの解決策は、毛髪読み取り器照明源を使用せずに、1つ以上のスペクトル測定値を得ることである。こうして得られるスペクトルは、次いで、内部照明源が使用されるときに、測定したスペクトルから差し引かれてよい。
【0454】
外部光を抑える測定を、毛髪走査の開始時に、終了時に、またはさらに走査中に、いずれかのまたはすべての照明パルスの後で行ってもよい。
【0455】
III.固形製剤:
ケラチン繊維の処理に適している固形製剤を、ここに説明する。本発明のいくつかの実施形態によると、固形製剤は、超崩壊剤を含むタブレットの形態を有し、超崩壊剤がタブレットに有益な特徴を与える。本明細書で説明する固形製剤は、さらに、色付与剤(染料前駆体、染料カプラーおよび直接染料など)を含み、アルカリ化剤、酸化剤などの、ケラチン繊維の処理のための他の薬剤と組み合わせて使用すること、または、ケラチン繊維の処理のための他の薬剤をさらに含むことが可能である。
【0456】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明する固形製剤は、速崩壊タブレットの形態の、一群の基本色調を提供する。よって、基本色調は、個別にタブレットとして製剤化され、最終使用者の手元で色のパレットを形成し、これは、色および色合いのほとんど無限の可能性を達成するために、さまざまに組み合わせることができる。
【0457】
タブレットの形態の固形製剤は、容易にかつ正確に測定することができ(たとえば、計数による)、したがって、所望の最終色処方が、適当な基本色調のタブレットの特定の量を、適切な媒体と、随意的に、アルカリ化剤および/もしくは酸化剤ならびに/またはケラチン繊維の着色に有用な他の薬剤と、混合することにより、再現可能に調製され得る。いくつかの実施形態において、着色過程で使用される他の活性剤(アルカリ化剤、漂白剤、酸化剤および増粘剤など)の一部または全部が、速崩壊タブレットという同じ形態で提供される。
【0458】
基本色調に含まれる色付与剤、ならびにそれと組み合わせるのに適する媒体および/または活性剤の種類は、求める処理の種類に依存する。
【0459】
たとえば、永続的着色については、色付与剤が繊維皮質に浸透し、基本色調タブレットは、必要ならば、主として、ただし排他的ではなく、染料前駆体および適するカプラー含む。永続的着色のための媒体は、一般に、アルカリ化剤および酸化剤を含み、これらは、別個の媒体で、および/または別個のタブレットで、および/または少なくとも使用される色付与タブレットの内部で、提供することができる。
【0460】
一時的着色については、色付与剤が繊維の表面に留まり、基本色調タブレット製剤は、主として、ただし排他的ではなく、直接染料を含み、酸化剤およびアルカリ化剤などの他の活性剤は一般に使用されない。
【0461】
半永続的(semi-permanent)および半永続的(demi-permanent)着色は、中間的な状況に相当し、基本色調は、すべての種類の色付与剤を含んでよく、その一部は繊維の表面に留まり、他の部分は繊維キューティクルに浸透し(半永続的(semi-permanent))、または繊維皮質にまで浸透する(半永続的(demi-permanent))。半永続的(semi-permanent)着色については、媒体は一般に、アルカリ化剤および酸化剤を含む場合には、低レベルでのみ含み、これは、別個の媒体で、および/もしくは別個のタブレットで、ならびに/または少なくとも使用される色付与タブレットの内部で、提供することができる。
【0462】
半永続的(demi-permanent)着色については、媒体は一般に、永続的着色よりも少ない量の酸化剤、およびアンモニア以外のアルカリ化剤を含み、どちらも、別個の媒体として、および/もしくは別個のタブレットで、ならびに/または少なくとも使用される色付与タブレットの内部で、提供することができる。
【0463】
ある直接染料は、酸化着色過程と共に使用されると、前駆体またはカプラーがない状態で、非一時的着色に使用するのに十分な退色抵抗性を有し、したがって、このような直接染料は、単独でまたは他の直接染料と混合して、本明細書で提供される基本色調タブレット中で、使用することが可能である。
【0464】
「基本色調」の用語は、色付与剤または色付与剤の組み合わせを指し、所望の最終色を形成するために、1つ以上の異なる「基本色調」または主たる着色色合いと組み合わせることが可能な、主たる着色色合いを提供する。「基本色調」は、パレットの基本的な着色構成物と考えることができる。「基本色調」の用語は、本明細書では、特定の色付与剤または色付与剤の組み合わせによって特徴付けられるタブレットの組も指す。
【0465】
本発明のいくつかの実施形態によると、ケラチン繊維を処理するための組成物の調製に使用するのに適する固形製剤であって、タブレットの形態であり、少なくとも1つの超崩壊剤、および、色付与剤、アルカリ化剤、酸化剤および増粘剤で構成される群から選択される少なくとも1つの活性剤を含む、固形製剤が提供される。
【0466】
いくつかの実施形態において、ケラチン繊維を処理する組成物は、ケラチン繊維を着色するための使用に適する(つまり有用な)着色組成物である。このような組成物は、本明細書に記載の色付与剤を含む組成物、および、限定されるわけではないが、本明細書に記載の他の活性剤を含む組成物などの、色付与剤との組み合わせで使用し得る組成物、の双方を含む。たとえば、ケラチン繊維中への色付与剤の導入を促進するかもしれないアルカリ化剤を含む組成物、染料中間体と反応して染料を生成するかもしれない酸化剤を含む組成物、および、色付与剤による着色を促進する稠度を提供する増粘剤を含む組成物が、ケラチン繊維を処理するための組成物であると、本明細書では考えられる。
【0467】
これらの実施形態のいくつかにおいて、活性剤は色付与剤を含む。
【0468】
「色付与剤」、「色付与化合物」、「色付与含有物」および「着色剤」の用語は、本明細書において交換可能に使用され、酸化染料前駆体、酸化染料カプラー、直接染料、およびこれらのあらゆる組み合わせを含むが、これらに限定されない、着色した物質(たとえば、染料、色素)を導入することによって色を付与するために使用されるあらゆる化号物を包含する。
【0469】
固形製剤は、本明細書に記載の、基本色調のタブレットを形成してよい色付与剤を含む。
【0470】
いくつかの実施形態において、固形製剤は、随意的に色付与剤に加えて、上述の他の活性剤のいずれかを含む。各活性剤は、同じ固形製剤の、異なる固形製剤内の、または何らかの他の別個の形態(たとえば、水溶液などの液状媒体)の、色付与剤と組み合わせたときに、着色組成物に含めるのに適している。
【0471】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの色付与剤は、たとえば、着色組成物により付与される色を形成するために、本明細書に記載の固形製剤中に、活性剤として存在する。
【0472】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのアルカリ化剤は、たとえば、ケラチン繊維を膨潤させ、これにより、繊維内への色付与剤の浸透を促進するために、本明細書に記載の固形製剤中に、活性剤として存在する。
【0473】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの酸化剤は、たとえば、着色組成物中の染料前駆体を酸化するために、および/またはケラチン繊維中の色(たとえば、天然色素)を漂白するために、本明細書に記載の固形製剤中に、活性剤として存在する。
【0474】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの増粘剤は、たとえば、着色すべき表面に適用され、ほとんどまたは全く流動せず、滴らずに、接触した状態で留まるのに非常に適する着色組成物稠度(たとえば、比較的高い稠度)を得るために、本明細書に記載の固形製剤中に、活性剤として存在する。
【0475】
いくつかの実施形態において、固形製剤のタブレット形態は、たとえば、粉末および/または粒子の圧縮によって、粉末および/または粒子から形成される。タブレット形態は、最終的に、(たとえば、液体と接触したときの)それらの崩壊速度に影響を及ぼす、さまざまな気孔率および結束性を有してよい。
【0476】
タブレット形態の固形製剤は、本明細書全体において、交換可能に、「タブレット製剤」、「固形製剤」および単に「タブレット」とも呼ばれる。
【0477】
いくつかの実施形態において、タブレットの最大幅は、2mm〜10mmの範囲内である。いくつかの実施形態において、タブレットの最大幅は、3mm〜7mmの範囲内である。いくつかの実施形態において、タブレットの最大幅は、4mm〜6mmの範囲内である。
【0478】
いくつかの実施形態において、タブレットの最大幅および最小幅は、各々、2mm〜10mmの範囲内である。いくつかの実施形態において、タブレットの最大幅および最小幅は、各々、3mm〜7mmの範囲内である。いくつかの実施形態において、タブレットの最大幅および最小幅は、各々、4mm〜6mmの範囲内である。
【0479】
いくつかの実施形態において、タブレットの平均直径は、2mm〜10mmの範囲内である。いくつかの実施形態において、タブレットの平均直径は、3mm〜7mmの範囲内である。いくつかの実施形態において、タブレットの平均直径は、4mm〜6mmの範囲内である。平均直径は、タブレットの幾何中心を通る直径に基づいて計算される。
【0480】
本明細書に記載のタブレット製剤の各々は、タブレットを個別に測定することができる限り、いかなる幾何形状を有してもよい。好適な形状には、たとえば、球、円柱、立方体、円盤、および楕円体、ならびに、類似の、回転楕円体、直方体、円盤状および楕円体状の形状が含まれる。回転楕円体、円柱状および円盤状の形状は、楕円形または円形の断面を有し得る。形状は、扁平でも細長くてもよく、円形の断面を有する回転楕円体の場合、タブレットの厚さが、タブレットの直径よりもそれぞれ小さいまたは大きいことを意味する。タブレットは、凹凸のまたは型押しされた紋章、商標または他の種類の記号もしくは標識を、有することができる。
【0481】
タブレットの形状の扁平さまたは細長さの程度は、タブレットの想定される分配態様に適合すべきである。いくつかの実施形態において、自動分配のためのタブレットは、わずかに扁平または細長く、概略対称的な形状を維持する。
【0482】
いくつかの実施形態において、タブレットは、膨らんだまたは丸みを帯びた外表面を有する。このようなタブレットは、平面的なまたはくぼんだ外表面を有するタブレットよりも、互いの上を流れ易いまたは転がり易いと期待される。互いの上を流れ易いまたは転がり易いタブレットは、(たとえば、本明細書に記載の装置での)分配を促進する。
【0483】
いくつかの実施形態において、固形製剤は、本明細書に記載の平均直径によって特徴付けられる、実質的に球状または回転楕円体状である。
【0484】
種々の化合物(一般に、崩壊剤と呼ばれる)が、崩壊の速度を高めるために、タブレットに含まれてよい。
【0485】
本発明のいくつかの実施形態によると、本明細書に開示されるタブレット製剤は、超崩壊剤を含む。このような製剤は、速崩壊タブレットとして一意に特徴付けられる。本明細書および当技術分野において、「超崩壊剤」は、固形製剤(たとえば、タブレット)の崩壊を誘導する点で特に効果的な含有物の種類を指す。多くの崩壊剤と対照的に、超崩壊剤は、一般に、低濃度で効果的である。実際、他の種類のほとんどの崩壊剤と対照的に、高濃度の超崩壊剤は、固形製剤の崩壊が遅くなる結果を招くかも知れない。
【0486】
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の固形製剤における超崩壊剤の濃度は、10重量%未満であり、たとえば、0.5〜10重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の固形製剤における超崩壊剤の濃度は、5重量%未満であり、たとえば、0.5〜5重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の固形製剤における超崩壊剤の濃度は、3重量%未満であり、たとえば、0.5〜3重量%の範囲内である。
【0487】
このように低濃度を使用することは、たとえば、低濃度でありながら、固形製剤の速やかな崩壊をもたらす薬剤は、着色組成物の他の含有物の機能に干渉し難いので、有利である。このような干渉は、たとえば、製剤中の他の薬剤との干渉であり得、これは、有毒なもしくは有害な化合物を形成し、および/またはそのような干渉を促進し、および/または製剤中の他の薬剤(たとえば、染料カプラーおよび染料前駆体)間の相互作用に干渉する、結果になるかも知れない。
【0488】
超崩壊剤は、媒体(たとえば、水性媒体)と接触したときに媒体から液体(たとえば、水)を吸収することによって作用する、吸湿性化合物として知られる。このような吸収には、超崩壊剤のかなりの膨潤を引き起こすことによる、および/または毛管作用を高めることによる、崩壊が含まれる。膨潤した超崩壊剤によって外方または半径方向に働く膨潤圧は、タブレットの破裂を引き起こし得る。
【0489】
本発明のいくつかの実施形態による好適な超崩壊剤には、少なくとも0.5の水吸収率によって特徴付けられる超崩壊剤が含まれるが、これに限られるものではない。水吸収率は、タブレットを湿らせた後の重量の変化を、乾燥タブレットの重量で除したものとして定義される。
【0490】
いくつかの実施形態において、超崩壊剤は、少なくとも0.6、少なくとも0.7、少なくとも0.8、および少なくとも0.9の水吸収率によって特徴付けられる。本発明の実施形態での使用に適する超崩壊剤は、1.0,1.2
,1.3,1.4,1.5の、および、たとえば2.0という、さらに高い水吸収率によって特徴付けられてもよい。
【0491】
いくつかの実施形態において、超崩壊剤は、約0.5〜約2の範囲の水吸収率によって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、超崩壊剤は、約0.5〜約1.5の範囲の水吸収率によって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、超崩壊剤は、約0.6〜約0.9の範囲の水吸収率によって特徴付けられる。これらの範囲内のあらゆる中間値が考慮されている。
【0492】
しかし、上述した超崩壊剤の吸湿性は、そのような超崩壊剤を、長い保存期間を持たせるように意図された製剤において特に、感湿性含有物との使用には不適合と考えられるものとする。
【0493】
驚くべきことに、本発明者らは、(一般に感湿性である)色付与剤とは不適合であると本来考えられる超崩壊剤が、本発明の実施形態による固形製剤に含めることに適することを明らかにした。超崩壊剤の吸湿性にかかわらず、本明細書に記載の固形製剤は、数秒(無被覆の場合)という望ましい崩壊速度を示しながら、適切に長い保存期間を示すことが、示された。
【0494】
本発明のいくつかの実施形態による超崩壊剤は、実質的に水に不溶であり、超崩壊剤は、(親水性溶媒を含む多くの媒体のみならず)水性媒体と接触させても、そのまま残る。そのまま残ることにより、超崩壊剤は、崩壊を誘発する能力を維持する。
【0495】
本明細書において、「水不溶」とは、水1kg(25℃、pH7)当たり10g未満の溶解度を指す。よって、いくつかの実施形態において、示された条件で、水に不溶の化合物は、水1kg当たり10g以上の濃度では、水に不溶と考えられる。
【0496】
いくつかの実施形態において、超崩壊剤の溶解度は、水1kg(25℃、pH7)当たり3g未満である。いくつかの実施形態において、超崩壊剤の溶解度は、水1kg(25℃、pH7)当たり1g未満である。いくつかの実施形態において、超崩壊剤の溶解度は、水1kg(25℃、pH7)当たり0.3g未満である。いくつかの実施形態において、超崩壊剤の溶解度は、水1kg(25℃、pH7)当たり0.1g未満である。
【0497】
このような水不溶性の超崩壊剤の例には、種々の架橋高分子が含まれる。いくつかの実施形態において、きわめて吸湿性の高分子(たとえば、イオン性高分子)は、水分子と非常に相互作用するが、架橋による立体障害のため、水に溶けない。
【0498】
超崩壊剤は、水への溶解性に関する以外は、他の目的に使用される高分子に化学的に類似してよいことに、留意されたい。たとえば、水に可能の多くの親水性高分子が、増粘剤として使用されるが、これは、このような高分子の溶解が、増粘すべき液状媒体全体にわたって高分子が広がることを、可能にするからである。
【0499】
好適な超崩壊剤には、クロスカルメロース(架橋カルボキシメチルセルロースであり、一般にナトリウム塩として使用される)などの架橋セルロース、たとえば、Ac−Di−Sol(登録商標)、Explocel(登録商標)、Nymcel ZSX(登録商標)、Pharmacel(登録商標)、XL,Primellose(登録商標)、Solutab(登録商標)、およびVivasol(登録商標)超崩壊剤、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、たとえば、Crospovidone M(登録商標)、Kollidon(登録商標)、およびPolyplasdone(登録商標)超崩壊剤、でんぷんグリコール酸ナトリウムなどの架橋でんぷん、たとえば、Explotab(登録商標)、Explotab(登録商標)CLV、Explosol(登録商標)、Primojel(登録商標)、Tablo(登録商標)、およびVivastar(登録商標)超崩壊剤、架橋アルギン酸、たとえば、Satialgine(登録商標)超崩壊剤、イオン交換樹脂などの架橋ポリアクリル化合物、たとえば、Indion(登録商標)414、Tulsion(登録商標)339、およびAmberlite(登録商標)IRP樹脂、大豆ポリサッカライドなどのいくつかのポリサッカライド、たとえば、Emcosoy(登録商標)超崩壊剤、が含まれる。
【0500】
例示的超崩壊剤には、クロスカルメロースナトリウム(たとえば、Ac−Di−Sol(登録商標))、クロスポビドン(たとえば、Polyplasdone(登録商標))およびでんぷんグリコール酸ナトリウム(たとえば、Primojel(登録商標)が含まれる。
【0501】
ケイ酸カルシウムは、非高分子超崩壊剤の例である。ケイ酸カルシウムは、高い水吸収性により特徴付けられる、比較的不活性の鉱物であり、たとえば20〜40重量%の範囲の、40重量%までの濃度で、固形製剤のいくつかの実施形態に含まれてよい。しかし、それは、一般に、低濃度では、架橋高分子超崩壊剤よりも作用が弱い。
【0502】
超崩壊剤に加えて、本明細書に記載の固形製剤のいくつかの実施形態に含まれる追加の材料(たとえば、添加剤)が、固形製剤の崩壊特性に寄与してよいが、これは、追加の材料の第1の機能ではないかも知れない。このような材料は、本明細書において、「崩壊助剤」と呼ばれる。
【0503】
いくつかの実施形態において、崩壊助剤は水に可溶である。このようないくつかの実施形態において、(親水性溶媒を含む多くの媒体のみならず)水性媒体への崩壊助剤の速やかな溶解は、固形製剤の崩壊を促進する。
【0504】
いくつかの実施形態において、崩壊助剤は、圧縮性および結束性が低いことにより特徴づけられ、これが、タブレット気孔率を高めて、毛管作用を介して、タブレット崩壊を促進する。たとえば、毛管作用は、周囲の水性媒体が気孔を通ってタブレットに浸透するのを可能にする。浸潤性媒体は、気孔を満たし、水溶性含有物(いくつかの実施形態においては崩壊助剤そのもの)を溶解させ、粒子間または粒子間の物理的結合を弱め、および/または超崩壊剤を膨潤させる。
【0505】
タブレットの高い気孔率に関連する水溶性の崩壊助剤は、たとえば、水溶性の薬剤の噴霧乾燥または凝集によって、達成することができる。このような崩壊助剤には、噴霧乾燥したラクトース1水和物(たとえば、SuperTab(登録商標)11SDおよびSuperTab(登録商標)14SD添加剤)が含まれ、噴霧乾燥したマンニトール(たとえば、Mannogem(登録商標)添加剤)、ならびに凝集したイソマルト(たとえば、galenIQ(登録商標)720、およびgalenIQ(登録商標)721添加剤)が含まれる。
【0506】
ケイ酸アルミニウムマグネシウムが、例示的崩壊助剤である。
【0507】
いくつかの実施形態において、無被覆のときのタブレットにおけるケイ酸アルミニウムマグネシウムの濃度は、5〜40重量%の範囲内である。例示的実施形態において、無被覆のときのタブレットにおけるケイ酸アルミニウムマグネシウムの濃度は、10〜22重量%の範囲内である。
【0508】
いくつかの実施形態において、崩壊助剤は、本来的崩壊特性を示す結合剤である。そのような結合剤の例には、でんぷんおよびセルロースが含まれる。
【0509】
本発明のいくつかの実施形態に含まれてよい他の種類の崩壊助剤には、発熱性薬剤(空気膨張)、非膨潤性薬剤(電気的反発力)、ガス放出薬剤および酵素システムが含まれる。
【0510】
いくつかの実施形態において、崩壊助剤の濃度は、(無被覆のときの)タブレットの、少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%である。このような薬剤のより高い濃度は、通常、より速やかな崩壊と相互関連する。
【0511】
いくつかの実施形態において、活性剤は、少なくとも1つの色付与剤を含む。いくつかの実施形態において、色付与剤は、ケラチン繊維を着色するのに適するように、選択される。いくつかの実施形態において、色付与剤は、ヒト毛髪を着色するのに適するように(たとえば、ヒトの頭部に適用したときに有毒でないように)、選択される。
【0512】
速崩壊タブレットは、色付与剤を含むタブレットに特に有益であることに、留意されたい。たとえば、速やかな崩壊は、着色組成物の調製において重要である、(たとえば、異なる種類のタブレット中の)異なる色付与剤の均一な態様での混合を促進する。加えて、速やかな崩壊は、すべての酸化染料中間体の酸化が同時に始まり、したがって、不所望の副産物、または、分子サイズが大きいため毛髪軸に浸透し得ない染料の形成が避けられることを確実にする。上述のように、色付与剤を含む速崩壊タブレット製剤を得ることは、自明の作業ではない。
【0513】
本明細書に記載の固形製剤に含まれてよい、適する種類の色付与剤の例には、直接染料、染料前駆体、および染料カプラーが含まれる。そのような薬剤は、本明細書でより詳細に説明するように、それらの組み合わせにおける固形製剤に含まれてよい。
【0514】
いくつかの実施形態において、染料前駆体は、固形製剤が、少なくとも1つの直接染料、および/または少なくとも1つの染料前駆体と少なくとも1つの染料カプラーとの組み合わせを含むように、染料カプラーとの組み合わせで含まれる。
【0515】
酸化染料中間体は、染料前駆体であるか染料カプラーであるかにかかわらず、一般に、芳香環誘導体または複素芳香環誘導体であり、ほとんどは、ジアミン、アミノフェノール、フェノールおよび/またはナフトールである。
【0516】
白色の毛髪に深い色調を与えることが可能な酸化染料中間体は、通常、染料前駆体として分類される。このような前駆体は、互いに対して選択された位置に、2つのアミノ基、および/または1つのアミノ基と1つの水酸基、を有する。染料前駆体は、一般に、アミノ基に対してオルトもしくはパラのアミノ基もしくは水酸基を有する芳香族ジアミン、ジアミノフェノールおよび/またはアミノフェノールである。ピリミジンおよび赤色のハイライトを有する色調を呈するために使用されるピラゾール誘導体(たとえば、置換ピリミジン、置換ピラゾール)もまた、一般に、染料前駆体と考えられる。
【0517】
ここで、「芳香族ジアミン」は、少なくとも2つのアミノ基で置換された芳香環を含む化合物を指す。
【0518】
ここで、「ジアミノフェノール」の用語は、置換フェノールのあらゆる化合物であって、フェノール環の少なくとも2つの置換基がアミノ基である化合物を包含する。
【0519】
ここで、「アミノフェノール」の用語は、置換フェノールのあらゆる化合物であって、フェノール環の少なくとも1つの置換基がアミノ基である化合物を包含する。
【0520】
染料カプラーは、それ自体は酸化により弱い着色を生じるにすぎないけれども、染料前駆体と組み合わせてより強い色調を生じることが可能な、酸化染料中間体である。染料カプラーの置換基であるアミノ基および/または水酸基は、互いに対してメタ位にあることが多い。染料カプラーには、m−フェニレン−ジアミン、m−アミノフェノール、ナフトール、レゾルシノール、ポリフェノール、ピラゾロン、およびこれらの誘導体が含まれる。
【0521】
ここで、「m−フェニレン−アミン」の用語は、置換または無置換のm−フェニレン−ジアミンを包含する。
【0522】
ここで、「m−アミノフェノール」の用語は、置換または無置換のm−アミノフェノールを包含する。
【0523】
ここで、「ナフトール」の用語は、置換または無置換の1−ナフトールおよび2−ナフトールを包含する。
【0524】
ここで、「レゾルシノール」の用語は、置換または無置換のレゾルシノール(ベンゼン−1,3−ジオール)を包含する。
【0525】
ここで、「ポリフェノール」の用語は、共有結合で連結されたフェノール基(つまり、少なくとも1つの水酸基で置換された芳香環)から大部分が成る化合物を包含する。いくつかの実施形態において、ポリフェノールは、分子量1000Da当たり、少なくとも5つの芳香環を有し、芳香環に結合した少なくとも12の水酸基を有する。いくつかの実施形態において、ポリフェノールの分子量は、少なくとも500Daである。
【0526】
着色組成物の調製における使用に適する、多種多様な染料前駆体および染料カプラーが、熟練者には判るであろう。
【0527】
染料前駆体および染料カプラーが(たとえば、固形製剤の活性剤として)組み合わせて使用されるとき、染料カプラーは使用される染料前駆体と適合すべきであり、つまり、両者は反応して着色剤を形成することができる。
【0528】
単独でまたは互いに混合して使用してよい、好適な酸化染料前駆体の例には、以下のものに限定されないが、1,3−ビス[(4−アミノフェニル)(2−ヒドロキエチル)アミノ]−2−プロパノール;1,4−ビス[(4−アミノフェニル)アミノ]ブタン;1,4−ジアミノ−2−(1−メチルエチル)ベンゼン;1,4−ジアミノ−2−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,4−ジアミノ−2−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン;1,4−ジアミノ−2−(ピリジン−3−イル)ベンゼン;1,4−ジアミノ−2−(チオフェン−2−イル)ベンゼン;1,4−ジアミノ−2−(チオフェン−3−イル)ベンゼン;1,4−ジアミノ−2,3−ジメチルベンゼン;1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルベンゼン;1,4−ジアミノ−2,6−ジメチルベンゼン;1,4−ジアミノ−2−アミノメチル−ベンゼン;1,4−ジアミノ−2−ヒドロキシメチル−ベンゼン;1,4−ジアミノ−2−メトキシメチル−ベンゼン;1,4−ジアミノ−3,5−ジエチルベンゼン;1,8−ビス(2,5−ジアミノフェノキシ)−3,6−ジオキサ−オクタン;1−[(4−クロロフェニル)メチル]−4,5−ジアミノ−1H−ピラゾール;1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール;2−(2−(アセチルアミノ)エトキシ)−1,4−ジアミノ−ベンゼン;2−プロピルアミノ−5−アミノピリジン;2,4,5,6−テトラアミノ−ピリミジン;2,5,6−トリアミノ−4−(1H)−ピリミドン;2,5−ジアミノ−ビフェニル;2,5−ジアミノピリジン;2−アミノ−5−エトキシフェノール;2−アミノ−5−メチルフェノール;2−アミノ−6−メチルフェノール;2−アミノフェノール;2−クロロ−1,4−ジアミノ−ベンゼン;2−クロロ−p−フェニレンジアミン;2−β−ヒドロキシ−エチル−p−フェニレンジアミン;4,5−ジアミノ−1−(1−メチルエチル)−1H−ピラゾール;4,5−ジアミノ−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピラゾール;4,5−ジアミノ−1−[(4−メチルフェニル)メチル]−1H−ピラゾール;4,5−ジアミノ−1−メチル−1H−ピラゾール;4−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]アニリン;4−[(2−メトキシエチル)アミノ]アニリン;4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]アニリン;4−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メチルアニリン;4−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]アニリン;4−[エチル(2−ヒドロキシエチル)アミノ]アニリン;4−アミノ−2−(2−ヒドロキシエチル)フェノール;4−アミノ−2−(アミノメチル)フェノール;4−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)フェノール;4−アミノ−2−(メトキシメチル)フェノール;4−アミノ−2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]メチルフェノール;4−アミノ−2−フルオロフェノール;4−アミノ−2−メチルフェノール;4−アミノ−3−(ヒドロキシメチル)フェノール;4−アミノ−3−フルオロフェノール;4−アミノ−m−クレゾール;4−ジエチル−アミノアニリン;4−ジメチルアミノアニリン;4−ジプロピルアミノアニリン;4−メチル−アミノフェノール;4−フェニルアミノアニリン;5−アミノサリチル酸;6−アミノ−m−クレゾール;ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン;ヒドロキシプロピル−ビス(ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン;N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン;N−フェニル−p−フェニレンジアミン;o−アミノフェノール;p−アミノフェノール;p−メチルアミノフェノール;p−フェニレンジアミン;トルエン−2,5−ジアミン;およびこれらの塩、が含まれる。
【0529】
例示的染料前駆体には、4−アミノ−m−クレゾール、p−アミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン(たとえば、硫酸塩として)、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール(たとえば、硫酸塩として)、およびトルエン−2,5−ジアミン(たとえば、硫酸塩として)、が含まれる。
【0530】
単独でまたは互いに混合して使用してよい、好適な染料カプラーの例には、以下のものに限定されないが、1−(2−アミノエトキシ)−2,4−ジアミノベンゼン;1,2,4−トリヒドロキシ−5−メチル−ベンゼン;1,2,4−トリヒドロキシベンゼン;1,2−ジクロロ−3,5−ジヒドロキシ−4−メチルベンゼン;1,3−ジ(2,4−ジアミノ−フェノキシ)プロパン;1,3−ジアミノ−2,4−ジメトキシベンゼン;1,3−ジアミノ−4−(2,3−ジヒドロキシ−プロピル)ベンゼン;1,3−ジアミノベンゼン;1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン;1,3−ジヒドロキシ−ベンゼン;1,5−ジクロロ−2,4−ジヒドロキシベンゼン;1,5−ジヒドロキシ−ナフタレン;1,5−ナフタレンジオール;1,7−ジヒドロキシナフタレン;1−アセトキシ−2−メチル−ナフタレン;1−クロロ−2,4−ジヒドロキシベンゼン;1−ナフトール;2−(4−アミノ−2−ヒドロキシフェノキシ)エタノール;2,3−ジアミノ−6−メトキシピリジン;2,3−ジヒドロキシナフタレン;2,3−インドリンジオン;2,4−ジ[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1,5−ジメトキシベンゼン;2,4−ジアミノ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)−5メチルベンゼン;2,4−ジアミノ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;2,4−ジアミノ−1,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;2,4−ジアミノ−1−エトキシ−5−メチルベンゼン;2,4−ジアミノ−1−フルオロ−5−メチルベンゼン;2,4−ジアミノ−1−メトキシ−5−メチルベンゼン;2,4−ジアミノフェノキシ酢酸;2,4−ジアミノフェノキシエタノール;2,6−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノトルエン;2,6−ジアミノ−3,5−ジメトキシピリジン;2,6−ジアミノピリジン;2,6−ジヒドロキシエチルアミノトルエン;2,6−ジメトキシ−3,5−ピリジンジアミン;2,7−ジヒドロキシ−ナフタレン;2−[(3−ヒドロキシフェニル)アミノ]アセタミド;2−アミノ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)−4−メチルアミノベンゼン;2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン;2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン;2−アミノ−4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]アニソール;2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノ−アニソール;2−クロロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン;2−メチル−1−ナフトール;2−メチル−1−ナフトール アセテート;2−メチル−1−ナフトール;2−メチル−5−ヒドロキシエチルアミノフェノール;2−メチルレゾルシノール;3,4−ジアミノ安息香酸;3,4−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−1,4(2H)−ベンゾキサジン;3,4−メチレンジオキシ−アニリン;3,4−メチレン−ジオキシフェノール;3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシ−ピリジン;3−[(2,3−ジヒドロキシ−プロピル)アミノ]−2−メチルフェノール;3−[(2−アミノエチル)アミノ]アニリン;3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メチルフェノール;3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]アニリン;3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−フェノール;3−[(2−メトキシエチル)アミノ]フェノール;3−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]アニリン;3−アミノ−2,4−ジクロロフェノール;3−アミノ−2−クロロ−6−メチルフェノール;3−アミノ−2−メチルフェノール;3−アミノ−6−メトキシ−2−(メチルアミノ)ピリジン;3−アミノフェノール;3−ジエチルアミノフェノール;3−ジメチルアミノフェノール;3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン;4−(2−ヒドロキシエチル−アミノ)−2−メチルフェノール;4−アミノ−2−ジ[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−エトキシベンゼン;4−アミノ−2−ヒドロキシトルエン;4−クロロレゾルシノール;4−ヒドロキシインドール;5,6−ジヒドロキシインドール;5,6−ジヒドロキシインドリン;5−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1,3−ベンゾジオキソール;5−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メチルフェノール;5−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]4−メトキシ−2−メチルフェノール;5−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−2−メチルフェノール;5−アミノ−2,4−ジクロロフェノール;5−アミノ−2−エチルフェノール;5−アミノ−2−メトキシフェノール;5−アミノ−2−メチルフェノール;5−アミノ−4−クロロ−2−メチルフェノール;5−アミノ−4−エトキシ−2−メチルフェノール;5−アミノ−4−フルオロ−2−メチルフェノール;5−アミノ−4−メトキシ−2−メチルフェノール;5−アミノ−6−クロロ−o−クレゾール;5−ヒドロキシインドール;5−メチル−2−(1−メチルエチル)フェノール;5−メチル−2−アミノフェノール;6−アミノ−3,4−ジヒドロール,4(2H)−ベンゾキサジン;6−ブロモ−1−ヒドロキシ−3,4−メチレンジオキシベンゼン;6−ヒドロキシインドール;7−ヒドロキシインドール;ジ(2,4−ジアミノフェノキシ)メタン;ハイドロキノン;ヒドロキシ−ベンゾモルホリン;ヒドロキシエチル−3,4−メチレンジオキシアニリン;m−アミノフェノール;m−フェニレン−ジアミン;N−(3−ジメチルアミノフェニル)尿素;レゾルシノール;およびこれらの塩、が含まれる。
【0531】
例示的染料カプラーには、4−アミノ−2−ヒドロキシトルエン、m−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール(たとえば、二塩酸塩として)、レゾルシノール、およびヒドロキシエチル−3,4−メチレンジオキシアニリン(たとえば、塩酸塩として)、が含まれる。
【0532】
ある色付与剤は、当技術分野において、染料前駆体または染料カプラーのどちらかであると考えられるかも知れない、ことに留意されたい。これは、特に、自己結合し得るいくつかの染料中間体(たとえば、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、2−アミノ−6−メチルフェノール、2−アミノ−5−エトキシフェノール、2−プロピルアミノ−5−アミノピリジン、および5−アミノフェノール)についての場合である。
【0533】
いくつかの実施形態において、染料前駆体(または染料前駆体の混合物)および染料カプラー(または染料カプラーの混合物)は、ほぼ当モルの量で使用され、つまり、染料前駆体のモル濃度(1つの染料前駆体または複数の染料前駆体の濃度の合計のいずれか)および染料カプラーのモル濃度(1つの染料カプラーまたは複数の染料カプラーの濃度の合計のいずれか)が、約1:1(たとえば、2:3〜3:2、4:5〜5:4)である。
【0534】
しかし、適切な結合部位の利用可能性に依存して、非当モル比も適切であるかも知れない。たとえば、ブロックされたカプラーは、1つの前駆体にのみ結合してよく、一方、レゾルシノールなどのブロックされないカプラーは、2分子の前駆体に結合してよい。
【0535】
よって、いくつかの実施形態において、染料前駆体と染料カプラーとのモル比は、2:1〜1:2の範囲内である。
【0536】
毛髪着色の技術分野の熟練者には公知であるように、染料前駆体は、結合しなければ、毒性作用を有するかも知れない。したがって、いくつかの実施形態において、そのような染料前駆体は、わずかにモル過剰の、たとえば2%過剰までの、少なくとも1つの適当な染料カプラーと組み合わされる。
【0537】
いくつかの実施形態において、酸化染料中間体(つまり、染料前駆体または染料カプラー)は、たとえば、中間体が自己結合するときに、単独で使用される。いくつかの実施形態において、染料前駆体は、染料カプラーなしで、色付与剤として使用される。
【0538】
より大きな着色分子(酸化染料)を形成する染料前駆体と染料カプラーとの組み合わせは、2つ以上の染料中間体を含んでよい。たとえば、(たとえば、ペアまたはトリオを形成する)染料中間体のペアまたはトリオは、1種類のカプラーのための1種類の前駆体、2種類のカプラーのための1種類の前駆体、および、1種類のカプラーのための2種類の前駆体、を含んでよい。
【0539】
前駆体およびカプラーの適切なペアまたはトリオは、着色の技術分野で知られており、各成分の化学構造に依存する。たとえば、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール;2−クロロ−p−フェニレンジアミン;2−β−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン;4−アミノ−m−クレゾール;ヒドロキシプロピル−ビス(ヒドロキシエチル)−p−フェニレン−ジアミン;N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン;N−フェニル−p−フェニレンジアミン;o−アミノフェノール;p−アミノフェノール;p−メチルアミノフェノール;p−フェニレンジアミン;トルエン−2,5−ジアミン;およびこれらの塩、で構成される群から選択される前駆体は、各々、1,5−ナフタレンジオール;1−ナフトール;2,4−ジアミノフェキシエタノール;2,6−ジアミノピリジン;2,6−ジメトキシ−3,5−ピリジンジアミン;2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン;2−アミノ−4−ヒドロキシ−エチルアミノ−アニソール;2−メチル−1−ナフトール;2−メチル−5−ヒドロキシエチルアミノフェノール;2−メチルレゾルシノール;3−アミノフェノール;4−(2−ヒドロキシエチル−アミノ)−2−メチルフェノール;4−アミノ−2−ヒドロキシトルエン;5−アミノ−6−クロロ−o−クレゾール;5−メチル−2−アミノフェノール;6−ヒドロキシインドール;ハイドロキノン;ヒドロキシベンゾモルホリン;ヒドロキシエチル−3,4−メチレンジオキシアニリン;m−アミノフェノール;レゾルシノール;およびこれらの塩で構成される群から選択されるカプラーと組み合わせることができる。
【0540】
例示的な前駆体−カプラーの組み合わせには、トルエン−2,5−ジアミン(たとえば、硫酸塩として)、m−アミノフェノールおよびレゾルシノール;1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール(たとえば、硫酸塩として)および4−アミノ−2−ヒドロキシトルエン;N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン(たとえば、硫酸塩として)および2−ヒドロキシ−トルエン;N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン(たとえば、硫酸塩として)および2,4−ジアミノ−フェノキシ−エタノール(たとえば、二塩酸塩として);4−アミノ−m−クレゾールおよび4−アミノヒドロキシトルエン;p−アミノフェノールおよび4−アミノヒドロキシトルエン;トルエン−2,5−ジアミン(たとえば、硫酸塩として)、2,4−ジアミノフェノキシエタノール(たとえば、二塩酸塩として)およびヒドロキシ−3,4−メチレンジオキシアニリン(たとえば、塩酸塩として);ならびに、トルエン−2,5−ジアミン(たとえば、硫酸塩として)およびヒドロキシ−3,4−メチレン−ジオキシアニリン(たとえば、塩酸塩として)、が含まれる。
【0541】
いくつかの実施形態において、固形製剤中の色付与剤は、少なくとも1つの染料前駆体と少なくとも1つの染料カプラー(たとえば、本明細書に記載のもの)との組み合わせを含む。
【0542】
いくつかの実施形態において、染料前駆体および/または染料カプラーは、異なるタブレット種の固形製剤に分割され、これらは、色組成物を形成するために、たとえば、適切なモル比(たとえば、本明細書に記載のもの)で、互いと組み合わせて使用されてよい。適切なモル比は、適当な数の各種類のタブレットを選択することによって得られてよい。
【0543】
本発明の実施形態による直接染料は、天然の直接染料(たとえば、ヘンナ)および/または合成の直接染料(たとえば、ニトロ−、アゾ−、アジン−およびアントラキノン−型の染料)であり得る。少なくとも1つの直接染料は、色付与剤のみとして、または、本明細書に記載の酸化染料中間体(たとえば、染料前駆体および/または染料カプラー)に加えて、本明細書に記載の固形製剤に含めることができる。
【0544】
いくつかの実施形態において、酸化染料中間体の使用から得られる色調、輝き、色強度、または着色の安定性(たとえば、永続的着色)を有利に変更するために、少なくとも1つの好適な直接染料が、酸化染料中間体を含む固形製剤に含まれる。
【0545】
酸化剤(たとえば、酸化染料中間体を酸化するのに使用される薬剤)と組み合わせて使用される直接染料は、十分な酸化耐性を有するように選択されるべきであることに、留意されたい。
【0546】
いくつかの実施形態において、直接染料は、固形製剤における唯一の色付与剤である。いくつかの実施形態において、このような固形製剤は、一時的な着色組成物を調製するのに適している。いくつかの実施形態において、このような固形製剤は、より長く持続する着色組成物(たとえば、半永続的(semi-permanent)色組成物および/または半永続的(demi-permanent)色組成物)を調製するのに適している。
【0547】
単独でまたは他の染料(たとえば、直接染料)と混合して使用してよい、好適な天然直接染料の例には、以下のものに限定されないが、アリザリン、アルカナン、アルカニン、アントシアニン、アイゲニン、アポカロテナール、アトロメンチン、アウォバミン、ベルベリン、ベタニン、ビキシン、紅茶エキス、ブラジル木、ブチン/ブテイン、カモミール、カンタキサンチン、カプサンチン、カラジュイリン、カロテン、カテキン、クロロフィルA/B、クロセチン、クルクミン、ダチセチン、デオキシサンタリン、ドラコロジン、アムラ(emblica)エキス、フィセチン、フクゲチン、ゴシペチン、緑茶エキス、ヘマチン、インディゴ、イソラムネチン、ユグロン、ケンフェロール、ラパコール、ローソン、ロッグウッドエキス、ルテオリン、リコピン、アカネ、マルクルリン、モリン、モリンダジオール、モリンダニグリン、ムンジスシチン(munjistin)、ナフタレン、オルセイン、プルプロキサンチン(purpuroxanthin)、クェルセチン、紫檀、ラムナジン、ラムネチン、ラムノシトリン、リボフラビン、ロットレリン、ルビアジン、ルビエチリック酸、ルチン、白茶エキス、キサントン、キサントフィル、およびザントラムニン、が含まれる。
【0548】
単独でまたは他の染料(たとえば、直接染料)と混合して使用してよい、好適な合成直接染料には、以下のものに限定されないが、陰イオン染料、陽イオン染料、芳香族ニトロ染料、アジン染料(インジュリンおよびニグロシンを含む)、アゾ染料、トリフェニルメタン染料、およびキノン染料が含まれる。
【0549】
好適な合成直接染料の例には、以下のものに限定されないが、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール;2−ヒドロキシエチル ピクラミン酸;2,6−ジアミノ−3−((ピリジン−3−イル)アゾ)ピリジン;3−ニトロ−p−ヒドロキシエチルアミノフェノール;4−アミノ−3−ニトロフェノール;4−ヒドロキシプロピルアミノ−3−ニトロフェノール;4−ニトロ−o−フェニレンジアミン;ヒドロキシエチル−2−ニトロ−p−トルイジン;N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−ニトロ−p−フェニレン−ジアミン;Acid Black 1;Acid Blue 1;Acid Blue 3;Acid Blue 62;Acid Blue 74;Acid Blue74 アルミニウムレーキ;Acid Blue 9;Acid Blue 9 アルミニウムレーキ;Acid Blue 9 アンモニウム塩;Acid Green 1;Acid Green 25;Acid Green 50;Acid Orange 6;Acid Orange 7;Acid Red 14;Acid Red14 アルミニウムレーキ;Acid Red 18;Acid Red 18 アルミニウムレーキ;Acid Red 184;Acid Red 27;Acid Red 27 アルミニウムレーキ;Acid Red 33;Acid Red 51;Acid Red 52;Acid Red 87;Acid Red 92;Acid Red 95;Acid Violet 43;Acid Violet 9;Acid Yellow 1;Acid Yellow 23;Acid Yellow 23 アルミニウムレーキ;Acid Yellow 3;Acid Yellow 3 アルミニウムレーキ;Acid Yellow 73;Acid Yellow 73 ナトリウム塩;Basic Blue 26;Basic Blue 99;Basic Brown 16;Basic Brown 17;Basic Orange 31;Basic Orange 69;Basic Red 1;Basic Red 1:1;Basic Red 51;Basic Red 76;Basic Violet 11:1;Basic Violet 14;Basic Violet 16;Basic Violet 2;Basic Yellow 40;Basic Yellow 57;Basic Yellow 87;Blue 1 レーキ;Brilliant Black 1;水酸化クロム・グリーン;酸化クロム・グリーン;curry red;Direct Blue86;Disperse Black 9;Disperse Blue 377;Disperse Red 17;Disperse Violet 1;Disperse Violet 15;Fast Green FCF;クエン酸第二鉄アンモニウム;HC Blue No.11;HC Blue No.12;HC Blue No.13;HC Blue No.14;HC Blue No.15;HC Blue No.16;HC Blue No.2;HC Blue No.7;HC Orange No.1;HC Orange No.2;HC Orange No.5;HC Red No.1;HC Red No.10;HC Red No.11;HC Red No.13;HC Red No.14;HC Red No.15;HC Red No.3;HC Red No.7;HC Violet No.1;HC Violet No.2;HC Yellow No.10;HC Yellow No.13;HC Yellow No.14;HC Yellow No.15;HC Yellow No.2;HC Yellow No.4;HC Yellow No.7;HC Yellow No.9;Pigment Blue 15;Pigment Green 7;Pigment Red 4;Pigment Red 5;Pigment Red 48;Pigment Red 57;Pigment Red 57:1;Pigment Red 63:1;Pigment Red 64:1;Pigment Red 88;Pigment Red 90:1 アルミニウムレーキ;Pigment Red 112;Pigment Red 190;Pigment Violet 19;Pigment Violet 23;Pigment Yellow 13;Solvent Green 3;Solvent Green 7;Solvent Orange 1;Solvent Red 23;Solvent Red 3;Solvent Red 43;Solvent Red 48;Solvent Red 72;Solvent Red 73;Solvent Violet 13;Solvent Yellow 172;Solvent Yellow 18;Solvent Yellow 29;Solvent Yellow 33;Solvent Yellow 85;Sunset Yellow;テトラアミノピリミジン硫酸塩;ウルトラマリン;Vat Red 1;およびこれらの塩、が含まれる。
【0550】
例示的な直接染料には、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、2,6−ジアミノ−3−((ピリジン−3−イル)アゾ)ピリジン、HC Blue No.15、HC Red No.10、HC Red No.11、およびHC Yellow No.13が含まれる。
【0551】
いくつかの実施形態において、固形製剤における色付与剤の濃度は、無被覆のときのタブレットの0.01〜40重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、前記濃度は、無被覆のときのタブレットの0.5〜25重量%の範囲内である。
【0552】
いくつかの実施形態において、固形製剤における全染料前駆体の濃度は、無被覆のときのタブレットの0.01〜25重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、前記濃度は、無被覆のときのタブレットの0.1〜15重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、前記濃度は、無被覆のときのタブレットの0.1〜5重量%の範囲内である。
【0553】
いくつかの実施形態において、固形製剤における全染料カプラーの濃度は、無被覆のときのタブレットの0.01〜15重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、前記濃度は、無被覆のときのタブレットの0.01〜10重量%の範囲内である。
【0554】
いくつかの実施形態において、染料カプラーに対する染料前駆体のモル比は、0.1〜10、0.5〜5、0.5〜1.5、0.5〜1または0.9〜1である。有害な化合物のあり得る形成を避けるために、1以下の比が望ましい。
【0555】
いくつかの実施形態において、前記濃度は、無被覆のときのタブレットの0.01〜15重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、固形製剤における直接染料の濃度は、無被覆のときのタブレットの0.01〜10重量%の範囲内である。ここで、「無被覆のときのタブレットの重量%」の用語は、固形製剤が被覆されたタブレットの形態である場合、成分(たとえば、染料前駆体)の重量%を計算するときに、タブレットの無被覆の部分のみが考慮されることを意味する。したがって、被覆中に存在するあらゆる色付与剤は、考慮されない。
【0556】
いくつかの実施形態において、固形製剤中の活性剤は、(たとえば、本明細書に記載の)色付与剤で構成され、つまり、製剤は本明細書に記載の他の種類の活性剤を含まない。
【0557】
いくつかの実施形態において、固形製剤中の活性剤は、少なくとも1つのアルカリ化剤を含む。
【0558】
いくつかの実施形態において、アルカリ化剤は、固形製剤において、本明細書に記載の他の活性剤(たとえば、色付与剤、増粘剤、酸化剤)と組み合わせてよい。
【0559】
いくつかの実施形態において、固形製剤中の活性剤はアルカリ化剤で構成され、つまり、製剤は本明細書に記載の他の種類の活性剤を含まない。
【0560】
好適なアルカリ化剤には、アンモニアおよびアンモニア誘導体(たとえば、アンモニウム塩)、有機アミン、アルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、カルバメート、アミノ酸、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0561】
本発明のいくつかの実施形態による使用に適するアルカリ化剤には、以下のものに限定されないが、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸、炭酸塩、カルバメート塩、水酸化物塩、ケイ酸塩、およびこれらのあらゆる組み合わせが含まれる。
【0562】
好適なアルカノールアミンの例には、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン、モノアルキル−モノアルカノール−アミン、モノアルキル−ジアルカノール−アミン、および、ジアルキル−モノアルカノール−アミンが含まれ、たとえば、C
1〜4アルカノールアミン、ジ(C
1〜4アルカノール)アミン、トリ(C
1〜4アルカノール)アミン、モノ(C
1〜4アルキル)−モノ(C
1〜4アルカノール)−アミン、モノ(C
1〜4アルキル)−ジ(C
1〜4アルカノール)−アミン、および、ジ(C
1〜4アルキル)−モノ(C
1〜4アルカノール)−アミン(たとえば、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジメチルMEA、アミノブタノール、アミノエチル プロパンジオール、アミノメチル プロパンジオール、ビス−ヒドロキシエチル トロメタミン、ジエチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジメチルアミノ メチルプロパノール、イソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、混合イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トロメタミン)がある。
【0563】
好適な水酸化物塩の例には、アルカリ金属の水酸化物(たとえば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)、アルカリ土類金属の水酸化物(たとえば、水酸化マグネシウムまたは水酸化カルシウム)、および水酸化アンモニウムが含まれる。
【0564】
好適な炭酸塩の例には、Na
2CO
3,NaHCO
3,K
2CO
3,KHCO
3,(NH
4)
2CO
3,NH
4HCO
3,CaCO
3およびCa(HCO
3)
2)などの、アンモニウム、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属の炭酸塩が含まれる。
【0565】
好適なカルバメート塩の例には、アンモニウムカルバメートが含まれる。
【0566】
好適なアミノ酸の例には、アルギニン、リジン、オキシリジンおよびヒスチジンが含まれる。塩基性アミノ酸を含み、全体として塩基性のオリゴペプチドも、含まれてよい。
【0567】
好適なケイ酸塩の例には、ケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸ナトリウムが含まれる。
【0568】
いくつかの実施形態において利用してよいアルカリ化剤の追加の例には、アンモニアならびにアルカリ性アンモニウム塩(たとえば、水酸化アンモニウム);アルキルアミン(モノアルキルアミン、ジアルキルアミンおよびトリアルキルアミンを含む)が含まれ、たとえば、C
1〜4アルキルアミン、ジ−(C
1〜4アルキル)アミン、トリ−(C
1〜4アルキル)アミン(たとえば、エチルアミン、トリエチルアミン、ジプロピルアミン);C
1〜4アルカンジアミン(たとえば、1,3−ジアミノプロパン)などのアルカンジアミン;前述のアルカンジアミンの二量体、三量体、四量体、多量体およびポリマーなどのポリアルキレン ポリアミン(たとえば、ジエチレントリアミン);ならびに複素環アミン(モルホリンなど)がある。
【0569】
いくつかの実施形態において、アルカリ化剤には、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、アルギニン、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化アンモニウム、またはこれらの混合物が含まれる。
【0570】
着色組成物の調製に採用するアルカリ化剤の量は、採用される特定のアルカリ化剤および求める着色の種類に応じて、広い範囲にわたり得る。
【0571】
いくつかの実施形態において、固形製剤中の活性剤は、少なくとも1つの酸化剤を含む。
【0572】
いくつかの実施形態において、酸化剤は、固形製剤において、本明細書に記載の他の活性剤(たとえば、色付与剤、増粘剤、アルカリ化剤)と組み合わせてよい。
【0573】
いくつかの実施形態において、固形製剤中の活性剤は酸化剤で構成され、つまり、固形製剤は本明細書に記載の他の種類の活性剤を含まない。
【0574】
いくつかの実施形態において、酸化剤は、染料(たとえば、酸化染料)を形成するために、染料中間体(たとえば、染料前駆体)との反応に適している。このような酸化剤は、酸化染料で着色するための着色組成物を調製するために、本明細書に記載の1つ以上の他の染料中間体と組み合わせて使用してよい。
【0575】
好適な酸化剤には、以下のものに限定されないが、過酸化物、過酸化水素およびその誘導体(たとえば、塩および錯体)(たとえば、過酸化ナトリウム、過酸化尿素、過酸化メラミン、ポリビニルピロリドン過酸化水素錯体)、アルキル過酸化物ならびにアリール過酸化物;過ヨード酸塩および過臭素酸塩などの無機金属過酸化物塩(たとえば、過ヨード酸ナトリウム、過臭素酸ナトリウム);過ホウ酸塩などの無機過酸基塩漂白剤(たとえば、過ホウ酸ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム)、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩(たとえば、過硫酸アンモニウム、カリウムまたはナトリウム)、ならびにパーカルバミド;ならびにこれらの混合物、が含まれる。
【0576】
いくつかの実施形態において、酸化剤は、ケラチン繊維、たとえばヒト毛髪を漂白するのに適している。漂白には、天然色素の漂白が含まれてよい。このような酸化剤(ここでは、「漂白剤」ともいう)は、漂白組成物である着色組成物、つまり、既存の色(たとえば、天然色素)を漂白することによって表面の色に作用するように意図された組成物、を調製するのに使用されてよい。
【0577】
漂白組成物を調製するのに使用される酸化剤は、一般に、色付与剤と組み合わせて使用されない。むしろ、漂白組成物は、たとえば、(たとえば、本明細書に記載の)漂白剤を含み色付与剤のないタブレットを用いて、少なくとも1つの漂白剤で調製される。
【0578】
よって、いくつかの実施形態において、固形製剤中の活性剤は少なくとも1つの漂白剤で構成される。
【0579】
好適な漂白剤には、以下のものに限定されないが、過硫酸塩(たとえば、過硫酸アンモニウム、カリウムまたはナトリウム)が含まれる。
【0580】
本発明の実施形態による製剤に適する酸化剤の量は、選択された特定の薬剤および特定の着色用途(たとえば、染料中間体の漂白および/または酸化)に依存する。
【0581】
いくつかの実施形態において、固形製剤中の活性剤は、少なくとも1つの増粘剤を含む。
【0582】
いくつかの実施形態において、増粘剤は、固形製剤において、本明細書に記載の他の活性剤(たとえば、色付与剤、酸化剤、アルカリ化剤)と組み合わせてよい。
【0583】
いくつかの実施形態において、固形製剤中の活性剤は増粘剤で構成され、つまり、固形製剤は本明細書に記載の他の種類の活性剤を含まない。
【0584】
当技術分野において公知の多くの化合物が、本明細書に記載の着色組成物のための増粘剤として機能するのに適するかも知れない。
【0585】
いくつかの実施形態において、増粘剤は、着色組成物に使用される溶媒に可溶である。着色組成物に好適な溶媒は、本明細書の他の部分に記載される。
【0586】
いくつかの実施形態において、増粘剤は、高分子(たとえば、水溶性高分子)である。
【0587】
本発明のいくつかの実施形態に含めるのに好適な増粘剤の例には、以下のものに限定されないが、アルギン酸塩;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、およびメチルセルロースなどのセルロース誘導体;寒天ガム、イナゴマメガム、カラギーンガム、ガッチ(ghatti)ガム、グアーガム、アラビアガム、カラヤガム、トラガカントガム、スクレログルカンガム、およびキサンタンガムなどの(変形した、または変形していない形態での)ガム;セチルアルコール、オレイルアルコール、およびセテアリルアルコールなどの脂肪アルコール;オレイン酸などの脂肪酸;ペクチン、でんぷん、アミロース、アミロペクチン、デキストリン;パラフィン油;ベントナイト;ケイ酸;フィロケイ酸マグネシウム;ポリアクリルアミド、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、アクリレートポリマー、ポリクオタニウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリオキシプロピレン トリデシル エーテル、ならびにポリオキシエチレントリ デシル エーテルが含まれる。
【0588】
本明細書における(上記の)多数の高分子の記載は、記載した2つおよび3つまたはそれ以上のあらゆるポリマーのコポリマーを包含することを意図していると、理解されたい。
【0589】
ここで、「ポリクオタニウム」は、化粧品原料の国際命名法(INCI)による命名の、あらゆる化合物(たとえば、多カチオンポリマー)である。
【0590】
ここで、アクリレートポリマーには、INCI命名法に従う、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらのエステル(たとえば、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)のポリマーならびにコポリマーが含まれる。
【0591】
いくつかの実施形態において、無被覆のときのタブレットにおける増粘剤の濃度は、80重量%を超えない。いくつかの実施形態において、無被覆のときのタブレットにおける増粘剤の濃度は、50重量%を超えない。いくつかの実施形態において、無被覆のときのタブレットにおける増粘剤の濃度は、20重量%を超えない。
【0592】
いくつかの実施形態において、固形製剤中の活性剤は、本明細書に記載の異なる種類の活性剤の組み合わせを含む。
【0593】
いくつかの実施形態において、活性剤は、少なくとも1つの色付与剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つのアルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む。
【0594】
いくつかの実施形態において、活性剤は、少なくとも1つの色付与剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つの増粘剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む。
【0595】
いくつかの実施形態において、活性剤は、少なくとも1つの色付与剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つの酸化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む。
【0596】
いくつかの実施形態において、活性剤は、少なくとも1つの酸化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つのアルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む。
【0597】
いくつかの実施形態において、活性剤は、少なくとも1つの酸化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つの増粘剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む。
【0598】
いくつかの実施形態において、活性剤は、少なくとも1つのアルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つの増粘剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む。
【0599】
いくつかの実施形態において、活性剤は、少なくとも1つの色付与剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、少なくとも1つの増粘剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つのアルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む。
【0600】
いくつかの実施形態において、活性剤は、少なくとも1つの色付与剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、少なくとも1つの酸化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つのアルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む。
【0601】
いくつかの実施形態において、活性剤は、少なくとも1つの色付与剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、少なくとも1つの酸化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つの増粘剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む。
【0602】
いくつかの実施形態において、活性剤は、少なくとも1つの増粘剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、少なくとも1つの酸化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つのアルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む。
【0603】
いくつかの実施形態において、活性剤は、本明細書に記載のあらゆる種類の活性剤、つまり、少なくとも1つの色付与剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、少なくとも1つの酸化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、少なくとも1つの増粘剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つのアルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む。
【0604】
着色組成物の調製における活性剤を提供する利益を増すために、いくつかの実施形態において、本明細書に記載のタブレット中の活性剤の量は、着色組成物におそらく必要とされる、活性剤の最小量にほぼ等しいか、またはそれよりも少なく(たとえば、1/2,1/3,1/4,1/5,1/10,1/20,1/50)、たとえば、一人の毛髪を処理(たとえば、着色)に適する量である。
【0605】
したがって、活性剤の適当な量は、このようなタブレットの積算数(たとえば、約2,3,4,5,10,20,50,100,150,または200タブレット)から得られるかも知れない。
【0606】
いくつかの実施形態において、タブレット中の活性剤の量は、着色組成物たとえば少なくとも一人の頭の毛髪を着色するのに十分な着色組成物を調製するために、色付与剤を含む100個のタブレットが必要とされる程度で、十分である。
【0607】
いくつかの実施形態において、タブレット中の活性剤の量は、着色組成物(たとえば、本明細書に記載のもの)を調製するために、色付与剤を含む150個以下のタブレットが必要とされる程度で、十分である。
【0608】
いくつかの実施形態において、タブレット中の活性剤の量は、着色組成物、たとえば、着色組成物中の全活性剤(たとえば、色付与剤、酸化剤、アルカリ化剤、および増粘剤)が本明細書に記載のタブレットに由来する着色組成物、を調製するために、本明細書に記載の活性剤を含む100個以下のタブレット(たとえば、色付与剤、酸化剤、アルカリ化剤、および/または増粘剤を含むタブレット)が必要とされる程度で、十分である。
【0609】
いくつかの実施形態において、タブレット中の活性剤の量は、着色組成物(たとえば、本明細書に記載のもの)を調製するために、本明細書に記載の活性剤を含む150個以下のタブレット(たとえば、色付与剤、酸化剤、アルカリ化剤、および/または増粘剤を含むタブレット)が必要とされる程度で、十分である。
【0610】
いくつかの実施形態において、固形製剤の水分含有量は、無被覆のときのタブレットの総重量の5重量%未満である。いくつかの実施形態において、固形製剤の水分含有量は、4重量%未満である。例示的な実施形態において、固形製剤の水分含有量は、3重量%未満である。例示的な実施形態において、固形製剤の水分含有量は、2重量%未満であり、例示的な実施形態において、固形製剤の水分含有量は、1.5重量%未満である。水分含有量は、随意的に、本明細書で実施形態において例示するように得られ、および/または決定されてよい。
【0611】
下記の実施例の節で示すように、本発明者らは、(たとえば、3重量%未満または2重量%未満という)少ない水分含有量を有する本明細書に記載の固形製剤は、いくつかの成分(たとえば、超崩壊剤)の吸湿性により、安定性が改善されていることによって、有利に特徴付けられることを発見した。
【0612】
いくつかの実施形態において、固形製剤は、さらに、たとえば、(本明細書に記載の活性剤および超崩壊剤に加えて)少なくとも1つの添加剤を含む。たとえば、結合剤および充填剤が、いくつかの実施形態に含まれる添加剤である。追加の添加剤には、抗粘着剤、フケ防止剤、消泡剤、抗酸化剤、結合剤、キレート剤、調整剤、柔軟剤、乳化剤、発熱性化合物、充填剤、芳香剤、フリーラジカル消去剤、流動促進剤、ヘアケア剤、保湿剤、滑沢剤、不快臭マスキング剤、乳白剤、パール化(pearlizing)剤、pH調整剤、植物エキス、保存剤、安定剤、界面活性剤、UV保護剤、ビタミン、ビタミン前駆体、および湿潤剤が含まれる。
【0613】
いくつかの実施形態において、添加剤は結合剤および/または充填剤を含む。いくつかの実施形態において、固形製剤中の添加剤のほとんど(>50重量%)は、結合剤および/または充填剤で構成される。
【0614】
いくつかの実施形態において、無被覆のときのタブレットにおける結合剤および/または充填剤の総濃度は、少なくとも50重量%である。いくつかの実施形態において、前記総濃度は、少なくとも60重量%である。いくつかの実施形態において、前記総濃度は、少なくとも70重量%である。いくつかの実施形態において、前記総濃度は、少なくとも80重量%である。
【0615】
多種多様な水溶性および水不溶性の結合剤が、本発明の実施形態によるタブレットに使用されてよい。
【0616】
好適な結合剤には、(ゼラチンなどの)タンパク;糖質、ならびに(蔗糖および乳糖などの)二糖類ならびに(キシリトール、ソルビトールおよびマルチトールなどの)糖アルコールを含む糖質の誘導体;多糖類ならびに多糖類の誘導体(たとえば、でんぷん、セルロースおよび/または変性セルロース);ポリビニルピロリドンおよびポリエチレン グリコール(PEG)などの合成高分子;アルギン酸塩;ならびにガム(たとえば、アカシアガム)が含まれる。好適な変性セルロースの例には、微結晶性セルロース、およびヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などのセルロースエーテルが含まれる。
【0617】
好適な充填剤には、リン酸カルシウム(たとえば、二塩基リン酸カルシウム)、炭酸カルシウム、サリチル酸、およびタルクが含まれるが、これらに限られない。
【0618】
特定の添加剤は、上述のカテゴリーの2つ以上に該当するかも知れないことに留意されたい。たとえば、いくつかの化合物は、タブレットの結束を確実にし機械的強度を高める結合剤として、および、一般により不活性で使い易い用量を提供する充填剤として、の両方に使用することができる。いくつかのこのような化合物は、当技術分野において、結合剤−充填剤とも呼ばれる。同様に、いくつかの化合物は、抗粘着剤(たとえば、粉末とタブレットパンチ表面との間の粘着を低減して、タブレットパンチへの粘着を防止する化合物)、または滑沢剤(たとえば、含有物が凝集するのを防止する化合物)と、考えられるかも知れない。同様に、いくつかの流動促進剤(たとえば、粒子間の摩擦および凝集を低減することによりタブレット含有物の流動性を向上させる化合物)は、抗粘着剤および/または滑沢剤、として作用するかも知れない。
【0619】
好適な抗粘着剤には、ステアリン酸マグネシウムが含まれるが、これに限られない。
【0620】
好適な流動促進剤には、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素(ヒュームドシリカおよびコロイド性二酸化ケイ素を含む)、およびタルク(コロイド性タルクを含む)が含まれるが、これらに限られない。
【0621】
好適な滑沢剤には、タルクまたはシリカなどの一般的鉱物、ならびに、野菜ステアリン、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸などの脂肪酸が含まれるが、これらに限られない。
【0622】
好適なフケ防止剤には、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオンおよびクリンバゾール(climbazole)が含まれる。
【0623】
好適な消泡剤には、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーンおよび水和シリカが含まれる。
【0624】
好適な抗酸化剤には、以下のもの限られないが、アスコルビン酸ならびにアスコルビン酸の塩および誘導体(アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ラウリル酸アスコルビルなど)、メルカプタン、ならびに、無機亜硫酸塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムおよびチオグリコール酸など)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、および亜ジチオン酸ナトリウム、が含まれる。このような抗酸化剤は、本発明のタブレットに、および/または適する媒体に、15重量%まで存在することが可能である。一般に、このような抗酸化剤は、本発明による最終着色製剤の5重量%までを占め得る。
【0625】
アスコルビン酸は例示的な添加剤である。何らかの特定の理論に縛られるわけではないが、アスコルビン酸は、本明細書に例示するように、崩壊時間を短縮しながら、本明細書に記載のタブレットにおいて、抗酸化剤として有利にかつ効果的に作用すると、考えられる。アスコルビン酸の例示的濃度は、1〜3重量%の範囲内である。
【0626】
好適な界面活性剤には、美容上許容可能な陰イオン性、陽イオン性、双性イオン性、および非イオン性の界面活性剤が含まれる。
【0627】
好適な陰イオン性界面活性剤には、リン酸アルキル、カルボン酸アルキル、硫酸アルキル、およびスルホン酸アルキル型の界面活性剤が含まれる。好適な陰イオン性界面活性剤の例には、α−オレフィンスルホン酸塩およびその塩、スルホコハク酸半エステルのアルカリ塩が含まれる。
【0628】
好適な陽イオン性界面活性剤の例には、長鎖四級アンモニウム化合物、たとえば、塩化べヘニルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルジメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジメチル二水素化獣脂アンモニウム、塩化ジメチルステアリルアンモニウム、塩化ジメチルステアリルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化トリメチルアセチルアンモニウム、および、リン酸トリス−(オリゴオキシ−エチル)アルキルアンモニウムが含まれる。
【0629】
好適な双性イオン性界面活性剤の例には、ベタイン(脂肪酸−アミドアルキルベタインおよびスルホベタインなど)、および長鎖アルキルアミノ酸(ココアミノ酢酸塩、ココアミノプロピオン酸塩、ココアミノプロピオン酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウムなど)が含まれる。
【0630】
好適な非イオン性界面活性剤の例には、ポリエトキシル化アルコール、ポリエトキシル化アルキルフェノール、ポリエトキシル化グリセリルエステル、および、脂肪酸由来のポリエトキシル化有機エーテルが含まれる。
【0631】
いくつかの実施形態において、このような界面活性剤の濃度は15重量%以下である。
【0632】
好適な乳化剤には、脂肪酸(ベヘン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびオレイン酸など)、陰イオン性、陽イオン性、双性イオン性および非イオン性の界面活性剤(たとえば、本明細書に記載のもの)が含まれるが、これらに限られない。
【0633】
いくつかの実施形態において、このような乳化剤の濃度は30重量%以下である。
【0634】
「pH調整剤」は、酸性化剤およびアルカリ化剤を指す。数多くの好適な酸性化が、製剤の技術分野において知られており、以下のものに限られないが、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、硝酸、リン酸、プロピオン酸、リン酸二水素ナトリウム、硫酸および酒石酸、が含まれる。好適なアルカリ化剤には、たとえば、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、およびトロラミンが含まれる。アラントイン、ビサボロール、ピロリドンカルボン酸およびその塩などの食品酸および食品塩基も、適する。
【0635】
アルカリ化剤は、本明細書に記載のpH調整剤として使用されるときは、本明細書に記載の活性剤として使用されるときよりも、大幅に低い濃度で使用されることに留意されたい。
【0636】
いくつかの実施形態において、このようなpH調整剤の濃度は、5重量%以下である。
【0637】
好適なキレート剤には、以下のものに限られないが、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)およびその(EDTA二ナトリウムなどの)塩、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)およびその塩、ニトリロ三酢酸(NTA)、β−アラニン二酢酸、ホスホン酸(エチドロン酸など)、ピロリン酸塩、およびゼオライトが含まれる。
【0638】
いくつかの実施形態において、このようなキレート剤の濃度は、5重量%以下である。
【0639】
好適な芳香剤には、天然または合成の源からのものが含まれる。天然芳香剤には、花、茎、葉、果実、根、木、ハーブ、草、樹脂、バルサム、および動物の生含有物(たとえば、アニシードベルガモット、カルダモン、ジャコウネコ、ミルラ、メース、パチョリ、マツ、バラ、サンダルウッド、およびタラゴン)に由来するエキスおよび精油が含まれる。合成芳香剤には、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、および炭化水素化合物(たとえば、酢酸ベンジル、ベンジルエチルエーテル、シトロネラル、メチルセドリルケトン、アネトール、およびテルペン)が含まれる。
【0640】
いくつかの実施形態において、このような芳香剤の濃度は5重量%以下である。
【0641】
好適な調整剤には、以下のものに限られないが、陽イオン性界面活性剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、陽イオン性高分子(たとえば、ポリクオタニウム)、シリコーン(たとえば、シリコーン油、陽イオン性シリコーン、シリコーンガム、高反射性シリコーン、およびシリコーン樹脂)、有機調整油(たとえば、炭化水素油、ポリオレフィン、および脂肪酸エステル)、アルキルアミドアミン、リン脂質(たとえば、大豆レシチン、卵レシチン、およびセファリン)、ならびに、四級化合物(たとえば、塩化セントリモニウム(centrimonium))が含まれる。
【0642】
いくつかの実施形態において、このような調整剤の濃度は、5重量%以下である。
【0643】
好適な保湿剤には、水溶性液状ポリオール(たとえば、グリセリン、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール)、ポリアルキレングリコール、尿素、およびこれらの混合物が含まれる。
【0644】
いくつかの実施形態において、このような保湿剤の濃度は、30重量%以下である。
【0645】
好適なヘアケア剤には、ベタイン、陽イオン性高分子(たとえば、本明細書に記載のもの)または樹脂、コレステロール、ラノリン誘導体、パントテン酸、およびビタミンが含まれるが、これらに限られない。
【0646】
好適なビタミンには、ビタミンA,B
3,B
5,B
6,C,E,FおよびH、ならびに、これらのプロビタミン(ビタミン先駆体)が含まれる。
【0647】
いくつかの実施形態において、このようなヘアケア剤の濃度は、5重量%以下である。
【0648】
好適なUV保護剤には、誘導体化ベンゾフェノン(ウビヌルなど)、ベンゾトリアゾール、桂皮酸誘導体、クマリン、p−アミノ安息香酸、サリチル酸、およびトリアジンが含まれるが、これらに限られない。
【0649】
いくつかの実施形態において、このようなUV保護剤の濃度は、5重量%以下である。
【0650】
(抗酸化剤に加えて)好適な保存剤には、細菌の生長を妨げおよび/または遅らせ、したがって、化粧製品を損じることから保護する、抗菌剤が含まれる。
【0651】
好適なパール化(pearlizing)剤には、一ステアリン酸エチレングリコールおよび二ステアリン酸エチレングリコール、ならびに二ステアリン酸PEG−3が含まれる。
【0652】
いくつかの実施形態において、このようなパール化剤の濃度は、10重量%以下である。
【0653】
「発熱性化合物」は、本明細書において、(たとえば、着色組成物を調製するために)タブレットが崩壊される媒体と接触すると、熱を放出する化合物を指す。固形製剤に含有するのに適する発熱性化合物の例には、塩化カルシウム、酸化カルシウム、酢酸ナトリウム、およびこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限られない。
【0654】
いくつかの実施形態において、タブレット崩壊は、発熱性化合物によって放出される熱によって増進される。このような実施形態において、発熱性化合物は、崩壊助剤と考えてよい。
【0655】
いくつかの実施形態において、固形製剤は、57〜70重量%の範囲内の濃度の微結晶性セルロースを含む。Avicel(登録商標)PH−200は例示的微結晶性セルロースである。
【0656】
いくつかの実施形態において、固形製剤は、21〜27重量%の範囲内の濃度の乳糖(たとえば、噴霧乾燥乳糖)を含む。SuperTab(登録商標)11SDは、例示的乳糖である。
【0657】
いくつかの実施形態において、固形製剤は、1.75〜3.25重量%の範囲内の濃度(たとえば、2重量%または3重量%)のクロスカルメロース(たとえば、クロスカルメロースナトリウム)を含む。AC−Di−Sol(登録商標)SD711は例示的クロスカルメロースである。
【0658】
いくつかの実施形態において、固形製剤は、0.75〜3.25重量%の範囲内の濃度(たとえば、1重量%または3重量%)のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0659】
いくつかの実施形態において、固形製剤は、0.75〜1.25重量%の範囲内の濃度のアスコルビン酸を含む。例示的な実施形態において、その濃度は約1重量%である。
【0660】
いくつかの実施形態において、固形製剤は、少なくとも色付与剤、ならびに、57〜70重量%の範囲内の濃度の微結晶性セルロース、21〜27重量%の範囲内の濃度の噴霧乾燥乳糖、1.75〜3.25重量%の範囲内の濃度のクロスカルメロース、0.75〜3.25重量%の範囲内の濃度のステアリン酸マグネシウム、および、0.75〜1.25重量%の範囲内の濃度のアスコルビン酸で構成される添加剤で構成される。
【0661】
いくつかの実施形態において、微結晶性セルロースおよび乳糖の濃度はほぼ相関し、微結晶性セルロースおよび乳糖の両者の濃度は、他の含有物の総濃度が比較的低いときに、比較的高く、逆も成り立つ。いくつかの実施形態において、乳糖の濃度は、微結晶性セルロースの濃度の35.0%〜39.0%である。いくつかの実施形態において、乳糖の濃度は、微結晶性セルロースの濃度の36.0%〜38.2%である。いくつかの実施形態において、乳糖の濃度は、微結晶性セルロースの濃度の37.6%〜38.1%である。
【0662】
いくつかの実施形態において、タブレット(たとえば、上述の添加剤を含むタブレット)中の色付与剤は、トルエン−2,5−ジアミン、m−アミノフェノール、およびレゾルシノールで構成され、「自然な」色調を与える。トルエン−2,5−ジアミン硫酸塩が、トルエン−2,5−ジアミンの例示的な形態である。例示的実施形態において、無被覆のときのタブレットにおけるトルエン−2,5−ジアミン(たとえば、トルエン−2,5−ジアミン硫酸塩)の濃度は約9.93重量%であり、m−アミノフェノールの濃度は約0.91であり、レゾルシノールの濃度は約4.05重量%である。
【0663】
いくつかの実施形態において、タブレット(たとえば、上述の添加剤を含むタブレット)中の色付与剤は、2−アミノ−6−クロロ−4−ナフトールで構成され、金色の色調を与える。例示的実施形態において、無被覆のときのタブレットにおける2−アミノ−6−クロロ−4−ナフトールの濃度は、約1.55重量%である。
【0664】
いくつかの実施形態において、タブレット(たとえば、上述の添加剤を含むタブレット)中の色付与剤は、4−アミノ−m−クレゾール、4−アミノ−2−ヒドロキシトルエン、および2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノールで構成され、橙色の色調を与える。例示的実施形態において、無被覆のときのタブレットにおける4−アミノ−m−クレゾールの濃度は約0.43重量%であり、4−アミノ−2−ヒドロキシトルエンの濃度は約0.43重量%であり、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノールの濃度は約11.7重量%である。
【0665】
いくつかの実施形態において、タブレット(たとえば、上述の添加剤を含むタブレット)中の色付与剤は、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール、4−アミノ−2−ヒドロキシトルエン、およびHC RED No.10および11で構成され、赤色の色調を与える。1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩が、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾールの例示的な形態である。例示的実施形態において、無被覆のときのタブレットにおける1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール(たとえば、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸塩)の濃度は約6.3重量%であり、4−アミノ−2−ヒドロキシトルエンの濃度は約3.3重量%であり、HC RED No.10および11の濃度は約0.075重量%である。
【0666】
いくつかの実施形態において、タブレット(たとえば、上述の添加剤を含むタブレット)中の色付与剤は、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミンおよび4−アミノ−2−ヒドロキシトルエンで構成され、紫色の色調を与える。N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン硫酸塩が、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミンの例示的な形態である。例示的実施形態において、無被覆のときのタブレットにおけるN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン(たとえば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン硫酸塩)の濃度は約9.25重量%であり、4−アミノ−2−ヒドロキシトルエンの濃度は約3.9重量%である。
【0667】
いくつかの実施形態において、タブレット(たとえば、上述の添加剤を含むタブレット)中の色付与剤は、トルエン−2,5−ジアミン、2,4−ジアミノ−フェノキシエタノール、およびヒドロキシエチル−3,4−メチレン−ジオキシアニリンで構成され、「灰」色の色調を与える。トルエン−2,5−ジアミン硫酸塩が、トルエン−2,5−ジアミンの例示的な形態である。2,4−ジアミノ−フェノキシエタノール二塩酸塩が、2,4−ジアミノ−フェノキシエタノールの例示的な形態である。ヒドロキシエチル−3,4−メチレン−ジオキシアニリン塩酸塩が、ヒドロキシエチル−3,4−メチレン−ジオキシアニリンの例示的な形態である。例示的実施形態において、無被覆のときのタブレットにおけるトルエン−2,5−ジアミン(たとえば、トルエン−2,5−ジアミン硫酸塩)の濃度は約0.24重量%であり、2,4−ジアミノ−フェノキシエタノール(たとえば、2,4−ジアミノ−フェノキシエタノール二塩酸塩)の濃度は約0.22重量%であり、ヒドロキシエチル−3,4−メチレン−ジオキシアニリン(たとえば、ヒドロキシエチル−3,4−メチレン−ジオキシアニリン塩酸塩)の濃度は約0.46重量%である。
【0668】
いくつかの実施形態において、タブレット(たとえば、上述の添加剤を含むタブレット)中の色付与剤は、p−アミノフェノール、および4−アミノ−2−ヒドロキシトルエンで構成され、バラ色の色調を与える。例示的実施形態において、無被覆のときのタブレットにおけるp−アミノフェノールの濃度は約0.35重量%であり、4−アミノ−2−ヒドロキシトルエンの濃度は約0.45重量%である。
【0669】
いくつかの実施形態において、タブレット(たとえば、上述の添加剤を含むタブレット)中の色付与剤は、トルエン−2,5−ジアミン、ヒドロキシエチル−3,4−メチレン−ジオキシアニリン、HC Yellow No.13,2,6−ジアミノ−3−((ピリジン−3−イル)アゾ)ピリジン、およびHC Blue No.15で構成され、緑色の色調を与える。トルエン−2,5−ジアミン硫酸塩が、トルエン−2,5−ジアミンの例示的な形態である。ヒドロキシエチル−3,4−メチレン−ジオキシアニリン塩酸塩が、ヒドロキシエチル−3,4−メチレン−ジオキシアニリンの例示的な形態である。例示的実施形態において、無被覆のときのタブレットにおけるトルエン−2,5−ジアミン(たとえば、トルエン−2,5−ジアミン硫酸塩)の濃度は約3.46重量%であり、ヒドロキシエチル−3,4−メチレン−ジオキシアニリン(たとえば、ヒドロキシエチル−3,4−メチレン−ジオキシアニリン塩酸塩)の濃度は約3.43重量%であり、HC Yellow No.13の濃度は約2重量%であり、2,6−ジアミノ−3−((ピリジン−3−イル)アゾ)ピリジンの濃度は約0.025重量%であり、HC Blue No.15の濃度は約0.025重量%である。
【0670】
いくつかの実施形態において、タブレット(たとえば、上述の添加剤を含むタブレット)中の色付与剤は、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノ−フェノキシエタノール、およびHC Blue No.15で構成され、青色の色調を与える。N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン硫酸塩が、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミンの例示的な形態である。2,4−ジアミノ−フェノキシエタノール二塩酸塩が、2,4−ジアミノ−フェノキシエタノールの例示的な形態である。例示的実施形態において、無被覆のときのタブレットにおけるN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン(たとえば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン硫酸塩)の濃度は約6.2重量%であり、2,4−ジアミノ−フェノキシエタノール(たとえば、2,4−ジアミノ−フェノキシエタノール二塩酸塩)の濃度は約5.05重量%であり、HC Blue No.15の濃度は約0.2重量%である。
【0671】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の着色の組成物、キット、装置および/または方法は、上述のタブレットのいくつかまたはすべてを利用し、上述の「自然な」、金色の、橙色の、赤色の、灰色の、バラ色の、緑色の、および/または青色の色調が、基本色調として役割を果たす。
【0672】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の固形製剤は、大気中の湿気への曝露を最小にするために、透水性の低い個別パッケージに包装される。
【0673】
被覆製剤:
いくつかの実施形態において、タブレットはさらに、被覆を含む。よって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の固形製剤は、被覆タブレットを含む。
【0674】
本明細書に例示するように、被覆はタブレットの崩壊速度を低下させるかも知れないが、被覆は、本明細書に記載の速崩壊タブレットにとって、驚くほど有益であるかも知れない。
【0675】
被覆は、必ずしもそうであるとは限らないが、タブレット含有物を保護する(たとえば、湿気、大気酸素および/もしくはUV光への曝露を低減または防止することによる)、ならびに/または、タブレットの機械的強度を向上させる(たとえば、脆さを低減し、および/またはその硬度を高めることによる)などの、有益な特性を有するかも知れない。
【0676】
よって、いくつかの実施形態において、被覆はタブレットの保存可能期間を増大させる。
【0677】
いくつかの実施形態において、被覆は埃の発生を低減する。埃の発生を低減することは、より安全な作業環境をもたらすかも知れない。
【0678】
好適な被覆は、随意的に、湿気に起因する早すぎる分解を防止しながら、崩壊を引き起こす(たとえば、水透過性)媒体の溶媒に対して、いくらかの透過性を維持するように選択される。
【0679】
好適な被覆材料には、以下のものに限定されないが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピル メチルセルロース(HPMC)、メチル ヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、これらのコポリマー(たとえば、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール(PVA:PEG)コポリマー)などの、ポリマーおよびコポリマーが含まれる。類似の特性を提供する、ある種の糖系被覆(たとえば、キサンチン:糖)も適している。
【0680】
例示的な被覆材料には、PEG,PVA,PVA:PEGコポリマー、HPMC、およびキサンチン:糖が含まれる。
【0681】
例示的実施形態において、被覆は、ポリビニルアルコールおよび色素(たとえば、合成色素)で構成される。Kollicoat(登録商標)IR被覆ポリマーが、例示的なポリビニルアルコールである。例示的な色素には、Pigment Green 7(CAS No.1328−45−6)およびPigment Yellow 73(CAS No.13515−40−7)が含まれる。被覆におけるポリビニルアルコールの例示的濃度は約80重量%であり、残余は色素である。
【0682】
例示的実施形態において、このような被覆は、約95重量%の水の中の被覆材料で構成される被覆溶液(たとえば、4重量%のポリビニルアルコール、および1重量%の色素)を用いて得られる。
【0683】
被覆は、本明細書に記載の少なくとも1つの添加剤を含んでもよい。被覆は、ある種の添加剤(たとえば、UV保護剤)にとって理にかなった場所であることに留意されたい。
【0684】
いくつかの実施形態において、被覆の厚さ(つまり、平均厚さ)は、1μm〜100μmの範囲内である。いくつかの実施形態において、被覆の平均厚さは、5μm〜50μmの範囲内である。いくつかの実施形態において、被覆の平均厚さは、10μm〜40μmの範囲内である。
【0685】
いくつかの実施形態において、タブレットの被覆の重量は、無被覆のときのタブレットの0.1〜10重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、タブレットの被覆の重量は、無被覆のときのタブレットの1〜5重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、タブレットの被覆の重量は、無被覆のときのタブレットの1.5〜3.5重量%の範囲内である。
【0686】
いくつかの実施形態において、被覆は、少なくとも1つの着色剤を含む。この着色剤は、本明細書に記載の色付与剤(たとえば、直接染料)、または、着色組成物を調製するのに特に適してはいない着色剤、であってよい。
【0687】
被覆は固形製剤の小さな割合にすぎないので、被覆中のこのような着色剤は、固形製剤を用いて形成される着色組成物によって与えられる色に、必ずしも影響を及ぼさないであろう。
【0688】
よって、たとえば、いくつかの実施形態において、被覆着色剤および/または被覆の色は、タブレットの色付与剤により付与される色とは、異なる色であってよい。
【0689】
いくつかの実施形態において、被覆着色剤(および/または、このような色付与剤で得られる被覆の色)は、存在する場合、タブレット中の色付与剤を示す。たとえば、被覆の色は、タブレット中の色付与剤により付与される色と、実質的に同じでよく、および/または、被覆の特定の色(たとえば、薄い色)が、色付与剤なしのタブレット(たとえば、漂白剤を含むタブレット)を示してよい。
【0690】
いくつかの実施形態において、タブレット被覆は、適切な媒体と接触するとタブレット崩壊が直ちに始まることを可能にする。
【0691】
いくつかの実施形態において、タブレット被覆は、たとえば、崩壊を遅延させることにより、崩壊のタイミングの制御を提供する。いくつかの実施形態において、このようなタブレットは、直ちに崩壊する少なくとも1つのタブレットとの組み合わせでの使用に適しており、両タブレットは所定の順序で崩壊し得る。たとえば、適切な被覆を選択することで、色付与剤および/または酸化剤を含むタブレットが媒体中で速やかに崩壊し、一方、アルカリ化剤および/または増粘剤を含むタブレットが同じ媒体中で後に崩壊する、ことが可能になる。
【0692】
他の実施形態において、媒体の増粘を遅らせることは、遅延崩壊アルカリ化タブレットを用いて後に「活性化」されて粘稠な形態になる非粘稠な予備形態の中に、粘度変更剤が放出される、増粘タブレットを使用することによって達成される。活性化は、着色過程のpHに加え、媒体の増粘に適するpHを提供することによってなされてよい。
【0693】
固形製剤の硬度は、破砕の圧縮圧として測定される機械的強度の程度であり、たとえば、標準の工業タブレット硬度試験機を使用して測定することができる。
【0694】
いくつかの実施形態において、固形製剤の硬度は、製剤の1つ以上の意図する目的に適するように選択され、その目的には、たとえば、a)被覆条件に耐えること、b)取り扱いおよび保存条件に耐えること、c)分配条件に耐えること、および/または、d)崩壊を可能にすることが含まれる。
【0695】
したがって、製造過程から最終使用までの間の後続の過程での硬度値の上昇または低下は、各過程での硬度がその過程の目的に役立ち、使用の時点でのタブレットの最終硬度が選択された条件(たとえば、分配条件)に適合する限り、許容可能であり得る。
【0696】
いくつかの実施形態において、不所望のタブレット破砕を防止し、(タブレットが被覆される場合は)被覆過程に耐えるに足る、無被覆のときのタブレットの硬度は、少なくとも1.0kgfである。いくつかの実施形態において、無被覆のタブレットの硬度は、1.0kgf〜6.0kgfの範囲内である。いくつかの実施形態において、無被覆のタブレットの硬度は、3.0kgf〜5.0kgfの範囲内である。
【0697】
何らかの特定の理論に縛られるわけではないが、無被覆のときのタブレットの過度に高い硬度は、低い気孔率に関連すると考えられ、低い気孔率はタブレット崩壊に有害であるかも知れない。
【0698】
いくつかの実施形態において、タブレットがさらに無被覆のとき、無被覆のタブレットの硬度は、後の取り扱い、保存および分配に適合すべきである。
【0699】
タブレットが被覆される実施形態において、被覆後の硬度は、被覆前のタブレットの硬度に関係し、たとえば、被覆の種類、被覆の厚さ、保存条件および保存期間、を含む種々の因子に依存する。
【0700】
いくつかの実施形態において、被覆されたタブレットの硬度は、2.0kgf〜8.0kgfの範囲内である。
【0701】
固形製剤特性:
本明細書に記載の固形製剤は、たとえば、脱イオン水および/または過酸化水素における崩壊時間が短いことで特徴付けられてよい。崩壊時間の測定は、実施例の節に記載するように行われてよい。
【0702】
いくつかの実施形態において、脱イオン水中の固形製剤の崩壊時間は3分以下である。いくつかの実施形態において、脱イオン水中の固形製剤の崩壊時間は2分以下である。いくつかの実施形態において、脱イオン水中の固形製剤の崩壊時間は1分以下であり、数秒(たとえば、3〜30秒)持続することさえできる。
【0703】
いくつかの実施形態において、過酸化水素の水溶液(9%)中の固形製剤の崩壊時間は、5分以下である。いくつかの実施形態において、過酸化水素の水溶液(9%)中の固形製剤の崩壊時間は、4分以下である。いくつかの実施形態において、過酸化水素の水溶液(9%)中の固形製剤の崩壊時間は、3分以下である。
【0704】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の例示的固形製剤は、過酸化水素の水溶液(6%)において数秒以内に崩壊する(
図9A〜
図9Bを参照)。
【0705】
いくつかの実施形態において、タブレットの脆さ(本明細書に記載のように決定される)は、0.5%以下である。いくつかの実施形態において、タブレットの脆さ(本明細書に記載のように決定される)は、0.37%以下である。
【0706】
ここで、タブレットの脆さは、実施例の節に記載するように、脆さ試験装置(たとえば、Thermonik Campbell Electronics FTA−20)を使用して、毎分25回転の速度で25回タブレットを回転させたときの、重量減少によって測定される。
【0707】
いくつかの実施形態において、タブレットは、52%の相対湿度および22.8℃の温度で、開放空気の下で1カ月保存したときに、3%未満の重量増加を示す。いくつかの実施形態において、タブレットは2%未満の重量増加を示す。
【0708】
いくつかの実施形態において、タブレットは被覆を含み、被覆は色(たとえば、白以外の色)を有し、被覆色は、直射日光を3カ月受けても、目に見えてあせることはない。いくつかの実施形態において、被覆色は、直射日光を6カ月受けても、目に見えてあせることはない。
【0709】
直射日光への曝露は、実施例の節に記載するようにして、行われてよい。所与の時間にわたる直射日光への曝露は、模倣されてよく、つまり、本明細書に例示するように、その時間にわたる直射日光と同等の光量への曝露でよいと、理解すべきである。
【0710】
ここで、「目に見えてあせる」とは、平均的な観察者が気づき得る退色を言う。
【0711】
本明細書において例示するように、本明細書に記載のタブレットは、適切な(ただし、特に苛酷ではない)条件(たとえば、乾燥条件)で保存されたとき、少なくとも3週間、少なくとも10週間、さらには少なくとも24週間、実質的に微生物汚染を受けないままである。
【0712】
よって、いくつかの実施形態において、固形製剤タブレットは、実質的に微生物汚染を受けず、たとえば、微生物汚染は、少なくとも製剤1グラム当たり10コロニー形成単位未満のレベルである。
【0713】
コロニー形成単位の数は、実施例の節に記載のように、決定してよい。
【0714】
いくつかの実施形態において、タブレットは、上述の特性(つまり、本明細書に記載の水中での崩壊時間、本明細書に記載の水性過酸化水素中での崩壊時間、本明細書に記載の脆さ、本明細書に記載の保存した際の重量増加、本明細書に記載の被覆色安定性、および/または、本明細書に記載の微生物汚染の非存在)のうちの、少なくとも2つを示す。いくつかの実施形態において、タブレットは、上述の特性のうちの、少なくとも3つを示す。いくつかの実施形態において、タブレットは、上述の特性のうちの、少なくとも4つを示す。いくつかの実施形態において、タブレットは、上述の特性のうちの、少なくとも5つを示す。いくつかの実施形態において、タブレットは、上述の特性のうちの、6つすべてを示す。
【0715】
たとえば、アルカリ化剤、酸化剤、および/または増粘剤を含む崩壊タブレットは、活性剤が適切な特性(たとえば、溶解性)を示す場合は、乾燥形態のそれらの活性剤で大部分が構成されてよい。よって、活性剤は、そのようなタブレットの、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、さらには100重量%を成す。
【0716】
いくつかの実施形態において、崩壊タブレットは、炭酸アンモニウムおよび/または重炭酸アンモニウム(アルカリ化剤)から調製される。
【0717】
いくつかの実施形態において、崩壊タブレットは、ケイ酸(増粘剤)から調製される。
【0718】
いくつかの実施形態において、崩壊タブレットは、過ヨード化物、過臭化物、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、および/またはパーカルバミド(酸化剤)などの、酸化剤塩から調製される。
【0719】
いくつかの実施形態において、固形製剤は、たとえば、ヒト毛髪の着色に適する着色組成物を調製するのに適することにより、ヒト毛髪の着色に用いるのに適する。
【0720】
このような製剤において、含有物は、少なくともこのような着色組成物に使用される量で、美容上許容可能であるように選択される。含有物の許容可能性は、化粧品の技術分野における熟練者によって、たとえば調整剤に基づいて、容易に決定され得、そのような情報は定期的に更新される。
【0721】
ヒトへの使用を意図するとき、色付与剤および組成物の他の含有物または添加物は、そのような化粧品に適用される安全要件を満たすべきである。特に、含有物は、相互の適合性を有するように、ならびに、毛髪および頭皮に対する毒性がないように、選択される。適用可能なとき、タブレットまたは媒体の構成物は、上掲の母化合物の塩または溶媒和誘導体であり得、たとえば、色付与剤は、美容上許容可能な母染料の塩または溶媒和誘導体の形態で使用されてよい。
【0722】
ここで使用される「美容上許容可能」とは、哺乳動物、特にヒトにおける局所的使用に安全かつ有効であり、しかも、所望の着色活性を有しまたは所望の着色活性に適合する、色付与剤、それらの塩および/または溶媒和物を含む構成含有物を指し、安全と考えられ、また、不当な毒性、炎症、アレルギー反応などを引き起こさない。このような調整情報は時々更新され、すぐに利用することができる。
【0723】
美容上許容可能な塩には、酸性または塩基性の群の塩が含まれる。美容上許容可能な酸付加塩には、以下のものに限られないが、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、ゲンチジン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカラート、蟻酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩が含まれる。本発明のある種の化合物は、種々のアミノ酸と、美容上許容可能な塩を形成し得る。好適な塩基性塩には、以下のものに限られないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、およびジエタノールアミンの塩が含まれる。美容上許容可能な溶媒和物には、以下のものに限られないが、エタノレートおよびメタノレートが含まれる。
【0724】
固形製剤は着色組成物を調製するのに適するべきなので、固形製剤の含有物は、全体として、所与の着色組成物、たとえば、特定の媒体(たとえば、溶媒、クリーム、ゲル)を含む組成物、を調製するのに適当であるべきである、ことに留意されたい。よって、いくつかの実施形態において、すべての含有物は、着色組成物と同一の媒体と組み合わせて使用するのに適するように、選択される。
【0725】
固形製剤の調製過程:
本明細書に記載の固形製剤は、圧縮技術によりタブレットの形態として調製されてよい。
【0726】
よって、本発明の実施形態の他の特徴によると、本明細書に記載の固形製剤を調製する方法が提供される。本方法は、固形製剤(たとえば、本明細書に記載のもの)に含めるべき少なくとも1つの超崩壊剤および少なくとも1つの活性剤を含む混合物を形成すること;ならびに、その混合物を圧縮して、これにより本明細書に記載のタブレットを形成することを含む。いくつかの実施形態において、混合物は、無被覆のときのタブレット(たとえば、本明細書に記載のもの)に含めるべきすべての含有物を含む。
【0727】
たとえば、直接圧縮タブレット形成では、測定した体積の混合物で金型を満たす。次いで、下部パンチおよび上部パンチで、金型内の混合物を一軸圧縮する。
【0728】
いくつかの実施形態において、含有物または含有物の一部分は、乾燥粉末として提供される。
【0729】
いくつかの実施形態において、含有物または含有物の一部分は、混合され圧縮されて本明細書に記載のタブレットを形成する前に、挽かれ、および/または粒状にされる。タブレット含有物は、当技術分野で公知のいかなる粒状化方法によって粒状にされてもよい。いくつかの実施形態において、粒状化は乾燥粒状化による。
【0730】
タブレット圧縮の技術分野において公知のように、タブレット形成過程における含有物の分離が避けられるように、すべての含有物はかさ密度がある程度均一であるのが有利である。含有物が同じような材料密度を有するとき、含有物粒子の大きさがほぼ均一であると、確実に、均一な濃度および用量が各タブレットに供給される。いくつかの実施形態において、そのような大きさの均一性は、(たとえば、フライス盤、ハンマーミルなどにより)挽くこと、および/または、ふるい分けすることによって得られる。
【0731】
いくつかの実施形態において、たとえば、タブレット重量を確実に均一にするために、含有物は流動性粉末として提供される。
【0732】
いくつかの実施形態において、混合物中の粒子の大きさは、一般に、200μm未満である。よって、いくつかの実施形態において、混合物中の粒子の少なくとも70重量%は、200μm以下の直径を有する。いくつかの実施形態において、混合物中の粒子の少なくとも80重量%は、200μm以下の直径を有する。いくつかの実施形態において、混合物中の粒子の少なくとも90重量%は、200μm以下の直径を有する。
【0733】
いくつかの実施形態において、混合物中の粒子の大きさは、一般に、20μm〜150μmの範囲内である。よって、いくつかの実施形態において、混合物中の粒子の少なくとも70重量%は、20μm〜150μmの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態において、混合物中の粒子の少なくとも80重量%は、20μm〜150μmの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態において、混合物中の粒子の少なくとも90重量%は、20μm〜150μmの範囲内の直径を有する。
【0734】
いくつかの実施形態において、混合物中の粒子の大きさは、一般に、40μm〜120μmの範囲内である。よって、いくつかの実施形態において、混合物中の粒子の少なくとも70重量%は、40μm〜120μmの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態において、混合物中の粒子の少なくとも80重量%は、40μm〜120μmの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態において、混合物中の粒子の少なくとも90重量%は、40μm〜120μmの範囲内の直径を有する。
【0735】
いくつかの実施形態において、混合物中の色付与剤の粒子の大きさは、一般に、200μm未満である。よって、いくつかの実施形態において、混合物中の色付与剤の粒子の少なくとも70重量%は、200μm以下の直径を有する。いくつかの実施形態において、混合物中の色付与剤の粒子の少なくとも80重量%は、200μm以下の直径を有する。いくつかの実施形態において、混合物中の色付与剤の粒子の少なくとも90重量%は、200μm以下の直径を有する。
【0736】
いくつかの実施形態において、混合物中の色付与剤の粒子の大きさは、一般に、20μm〜150μmの範囲内である。よって、いくつかの実施形態において、混合物中の色付与剤の粒子の少なくとも70重量%は、20μm〜150μmの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態において、混合物中の色付与剤の粒子の少なくとも80重量%は、20μm〜150μmの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態において、混合物中の色付与剤の粒子の少なくとも90重量%は、20μm〜150μmの範囲内の直径を有する。
【0737】
いくつかの実施形態において、混合物中の色付与剤の粒子の大きさは、一般に、40μm〜120μmの範囲内である。よって、いくつかの実施形態において、混合物中の色付与剤の粒子の少なくとも70重量%は、40μm〜120μmの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態において、混合物中の色付与剤の粒子の少なくとも80重量%は、40μm〜120μmの範囲内の直径を有する。いくつかの実施形態において、混合物中の色付与剤の粒子の少なくとも90重量%は、40μm〜120μmの範囲内の直径を有する。
【0738】
いくつかの含有物は、所望の大きさの範囲内の粒子として市販されているかも知れない。他は、随意的に、小さすぎるまたは大きすぎる粒子の量を減らすために、ふるい分けされてよい。必要に応じて、ある含有物は、随意的に、利用可能な適当な製粉機であらかじめ挽かれてよく、随意的に、さらに、所望の均一性を達成するために、ふるい分けされてよい。含有物は、挽かれるおよび/またはふるい分けされるか否かにかかわらず、次いで、随意的に、混合されて均一な製剤の製造に適する混合物を形成する。ある含有物は、安全規定に従うかも知れず、そのような含有物を採用するいかなる過程も、しかるべきすべての注意をもって行われるべきである。たとえば、いくつかの色付与剤は、吸入すると有毒であるかも知れず、粉塵形成を含むあらゆる過程に従って取り扱われるべきである。
【0739】
いくつかの実施形態において、本発明によるタブレットの調製に含まれる過程は、乾燥条件で行われる。いくつかの実施形態において、乾燥条件は20%未満の相対湿度を含む。いくつかの実施形態において、乾燥条件は10%未満の相対湿度を含む。いくつかの実施形態において、乾燥条件は5%未満の相対湿度を含む。いくつかの実施形態において、乾燥条件は2%未満の相対湿度を含む。
【0740】
一般に、圧縮中に加えられる圧力が大きいほど、生産されるタブレットは堅くなる。本明細書に記載のように、本明細書に記載のタブレットは、適当な媒体との接触により崩壊することを可能にするために十分な程度でありながら、たとえば、製造、保存、運搬および取り扱いの間、それらの完全性を保つのに必要な機械的強度を提供するために十分な程度に、硬くあるべきである。圧縮圧は、随意的に、たとえば、パンチ間の最終閉止距離により、制御されてよい。
【0741】
いくつかの実施形態において、圧縮は、(無被覆のタブレットについての)本明細書に記載の硬度を有するタブレットをもたらす条件(たとえば、圧縮圧)で行われる。
【0742】
タブレットの幾何は、パンチの形状、金型の容積、および圧縮中のパンチの相互位置によって定まる。
【0743】
いくつかの実施形態において、上述のパラメータは、本明細書に記載のタブレット幾何を提供するように選択される。
【0744】
いくつかの実施形態において、回転楕円体タブレット(たとえば、本明細書に記載のもの)は、曲凹パンチ形状を有する「変更ボール」タブレットパンチを使用する直接圧縮タブレット形成により、および、適切な圧縮力/圧を選択することにより、調製される。所与の圧縮圧において、球形状に近いタブレットのために、パンチ直径と同じようなタブレット厚さが達成される。
【0745】
低い圧縮圧が細長いカプセルの調製に適するであろうし、一方、高い圧縮圧が扁平なタブレットの調製に適するであろう。
【0746】
いくつかの実施形態において、前記過程は、さらに、圧縮により得られたタブレットを被覆すること(たとえば、本明細書に記載の被覆を得ること)を含む。
【0747】
いくつかの好適な、当技術分野において公知のタブレット被覆の方法、たとえば、乾燥被覆、膜被覆、流動床被覆、穿孔および非穿孔パン被覆、ワースター(Wurster)被覆、固体壁(solid wall)パン被覆、「糖衣」、および上塗り、がある。本明細書に記載の無被覆のタブレット(たとえば、本明細書に記載の硬度により特徴付けられる無被覆のタブレット)を被覆するために使用され、本明細書に記載のタブレット(たとえば、本明細書に記載の硬度により特徴付けられる被覆されたタブレット)をもたらす、あらゆる方法が適する。
【0748】
いくつかの実施形態において、被覆を形成する薬剤は、適する液体に懸濁または溶解される。好適な液体には、水、多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセリンなど)、酢酸エチル、メチレンジクロリド、油(植物油、パラフィンおよびシリコーン油などの天然または合成の油を含む)ならびにこれらの組み合わせが含まれる。被覆剤を懸濁または溶解させるのに適する溶媒の選択は、タブレット被覆の技術分野における熟練者の能力の範囲内である。
【0749】
いくつかの実施形態において、水は前記液体の主たる溶媒であり、また、使用される場合、他の溶媒(たとえば、アルコール、油)は、被覆剤の混和性を高めるに足る量で使用される。
【0750】
いくつかの実施形態において、低級脂肪アルコール(たとえば、メタノール、エタノールおよびプロパノール)およびケトン(たとえば、アセトンおよびブタノン)が、溶媒として使用される。
【0751】
本発明のタブレットのための例示的被覆方法は、穿孔パンスプレーコーターを使用するスプレーコーティングを含む。このような被覆方法においては、パンが回転する間に、スプレーガンが、被覆溶液の所望の流速および推進ガスのパターンにて、被覆をタブレットに向けて吹き付けて、確実にタブレットが一様に被覆されるようにする。
【0752】
いくつかの実施形態において、タブレットは、たとえば、パンの穿孔を通って出る上部ダクトからパンを通して吹く、熱せられたガス(通常、空気)によって、同時に乾燥される。
【0753】
熱せられたガスの温度は、随意的に、流入ガス温度制御器により制御される。温度は、随意的に、製品ベッドの下方の排気ダクトのレベルにて監視されてよい。いくつかの実施形態において、タブレットは、排気にて測定された温度とほぼ同じ温度であると、想定される。
【0754】
いくつかの実施形態において、被覆品質は、前述の被覆過程に先立つ、防塵および/またはタブレット予熱過程により改善される。
【0755】
何らかの特定の理論に縛られるわけではないが、本明細書に記載の穿孔パンスプレーコーティング法は、被覆溶液へのタブレットの曝露が短いことにより有利であり、これは被覆と乾燥が連続する結果である、と考えられる。曝露が短いことは、タブレットのコア、特にその中の反応性の高い含有物、の安定性を高めると考えられる。
【0756】
例示的実施形態において、前記過程は、さらに、タブレットを乾燥させることを含む。例示的実施形態において、乾燥は真空オーブン中で実施される。
【0757】
いくつかの実施形態において、乾燥は、30〜80℃(たとえば、40℃)の温度にて減圧下(たとえば、15mbar)で実施される。
【0758】
いくつかの実施形態において、乾燥は、少なくとも10時間(たとえば、約20時間)という期間にわたって実施される。
【0759】
タブレットは、随意的に、被覆されているとき、または無被覆のときに、乾燥されてよい。例示的な過程において、被覆されたタブレットが乾燥される。
【0760】
本明細書において例示するように、乾燥(たとえば、本明細書に記載のもの)は、タブレットの水分含有量を3重量%未満に、さらには2重量%未満または1重量%未満に低減する。
【0761】
いくつかの実施形態において、前記過程は、さらに、昇華(たとえば、タブレット含有物の凍結乾燥)を含み、これは、随意的に、溶解または崩壊を促進するかも知れない。
【0762】
組成物:
本明細書に記載の速崩壊タブレット(被覆したものおよび無被覆のものの両方)は、ケラチン繊維を処理するための組成物の形成に、有利に使用することができる。この組成物は、たとえば、着色組成物、または、本明細書に規定の、ケラチン繊維の着色処理に使用可能なあらゆる組成物であり得る。
【0763】
本発明の実施形態の他の特徴によると、ケラチン繊維の処理における使用に適する組成物が提供される。この組成物は、水性媒体、および、この水性媒体中で崩壊する本明細書に記載の少なくとも1つの固形製剤を含む。
【0764】
ここで、「水性媒体」の用語は、水、水溶液および水懸濁液を包含する。
【0765】
ここで、「水溶液」の用語は、溶媒の50重量%超が、水で構成される溶液を指す。溶媒の残余は、たとえば、水混和性の共溶媒であってよい。水溶液中の水混和性の共溶媒の例には、低級脂肪アルコール(たとえば、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノール)、多価アルコール(たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセリン)、ならびこれらの組み合わせが含まれる。
【0766】
ここで、「水懸濁液」の用語は、連続相が水または水溶液(本明細書に規定のもの)である懸濁液を指す。連続相の例には、水中油型乳濁液(たとえば、クリーム)、水性ゲル、および、界面活性剤の水性懸濁液(たとえば、水溶液中の界面活性剤ミセル)が含まれる。
【0767】
水性媒体(たとえば、水中油型乳濁液)に含めるのに適する油の例には、植物油、パラフィンおよびシリコーン油などの天然または合成の油、ならびにこれらの組み合わせが含まれる。
【0768】
水性媒体に含まれるかも知れない界面活性剤の例には、石鹸(たとえば、オレイン酸アンモニウムまたはカリウム)、および、オキシエチレン化非イオン性界面活性剤(ポリアルコキシル化またはポリグリセロール化脂肪酸など)が含まれる。
【0769】
水性媒体は、さらに、本明細書に記載の少なくとも1つの活性剤、つまり、タブレットの崩壊で生じるものではない活性剤、を含んでよい。
【0770】
いくつかの実施形態において、水性媒体は、少なくとも1つの酸化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含んでよく、この媒体が酸化媒体になる。
【0771】
いくつかの実施形態において、水性媒体は、少なくとも1つのアルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含んでよく、この媒体がアルカリ化媒体になる。
【0772】
いくつかの実施形態において、水性媒体は、少なくとも1つの増粘剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含んでよく、この媒体が増粘媒体になる。
【0773】
いくつかの実施形態において、水性媒体は、少なくとも1つの色付与剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含んでよく、この媒体が色付与媒体になる。
【0774】
いくつかの実施形態において、水性媒体は、少なくとも1つの酸化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つのアルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含んでよく、この媒体が酸化媒体およびアルカリ化媒体になる。
【0775】
いくつかの実施形態において、水性媒体は、少なくとも1つの酸化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つの増粘剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含んでよく、この媒体が酸化媒体および増粘媒体になる。
【0776】
いくつかの実施形態において、水性媒体は、少なくとも1つのアルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つの増粘剤を含んでよく、この媒体がアルカリ化媒体および増粘媒体になる。
【0777】
いくつかの実施形態において、水性媒体は、少なくとも1つの酸化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、少なくとも1つのアルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)、および、少なくとも1つの増粘剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含んでよい。
【0778】
いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも1つの色付与剤を含んでよい。このような組成物は、本明細書において、着色組成物と呼ばれる。色付与剤は、水性媒体(たとえば、色付与媒体)の成分、または固形製剤(たとえば、本明細書に記載のもの)の成分であってよい。
【0779】
いくつかの実施形態において、固形製剤は、活性剤として少なくとも1つの色付与剤(たとえば本明細書に記載のもの)を含んでよい。いくつかの実施形態において、組成物は、さらに、アルカリ化剤、酸化剤および/または増粘剤(たとえば、本明細書に記載のもの)である、少なくとも1つの活性剤を含んでよい。このアルカリ化剤、酸化剤および/または増粘剤は、水性媒体(たとえば、アルカリ化媒体、酸化媒体および/もしくは増粘媒体)の成分、ならびに/または固形製剤(たとえば、本明細書に記載のもの)の成分であってよい。
【0780】
いくつかの実施形態において、組成物は、アルカリ化剤、酸化剤および/または増粘剤(たとえば、本明細書に記載のアルカリ化媒体、酸化媒体および/または増粘媒体)である少なくとも1つの追加の活性剤を含む水性媒体中で崩壊する少なくとも1つの色付与剤を含む、少なくとも1つの固形製剤を含んでよい。
【0781】
いくつかの実施形態において、このような組成物は、ヒト毛髪の着色(たとえば、本明細書に記載のもの)における使用に適している。
【0782】
この組成物は本明細書に記載の崩壊性固形製剤を含むので、この組成物は、本明細書に記載の、実質的に固形製剤のすべての含有物(たとえば、添加剤、超崩壊剤、崩壊助剤)を含むであろう、ということに留意されたい。
【0783】
組成物は、たとえば、以下に説明するいずれかの方法に従って調製される組成物であってよい。
【0784】
組成物中の各活性剤は、その活性剤を含む固形製剤(たとえば、本明細書に記載の固形製剤)の崩壊で生じてもよいし、あるいは、固体(たとえば、粉末)、液状媒体(たとえば、本明細書に記載の媒体)などの異なる源から、その組成物に加えられてもよい。
【0785】
いくつかの実施形態において、組成物は、複数の崩壊したタブレット(たとえば、色付与剤を含むタブレット、酸化剤を含むタブレット、アルカリ化剤を含むタブレット、および/または増粘剤を含むタブレット)を含み、これら複数のタブレットは、個々の対象の毛髪の着色のためにカスタマイズされる。
【0786】
いくつかの実施形態において、水性媒体は、個々の対象の毛髪の着色のためにカスタマイズされる。たとえば、水性媒体中の活性剤の種類およびその濃度が、個体のためにカスタマイズされる。
【0787】
たとえば、タブレットおよび/または媒体は、天然色素、毛髪反射、前回の着色、および/または、毛髪の中または表面に存在する化学剤によって影響される、個体の初期毛髪色、ならびに、個体が望む最終色を考慮するように選択されてよい(たとえば、色付与剤は、個体の毛髪の種類(たとえば、ヨーロッパ人、アジア人、アフリカ人など;直毛、ウェーヴ毛、巻き毛、もしくは縮れ毛;細いもしくは硬い;乾燥、通常もしくは油っぽい);望まれる着色過程の種類、たとえば、永続的着色、半永続的(semi-permanent)着色、半永続的(demi-permanent)着色、一時的着色、および/もしくは脱色(たとえば、漂白);ならびに/または、個体の感受性(たとえば、個体がアレルギーを示すあるいは何らかの感受性を示す成分を避けるもしくは最小にする)を考慮して、初期色から始めて所望の色を達成するように選択される)。初期色および所望の色に基づいてカスタマイズすることは、本明細書に記載のように、初期色から所望の色へと如何に進むかについての分析に基づいて行われる(たとえば、セクションIを参照)。
【0788】
上述の種類の着色過程は、本明細書に記載の、他の種類の色付与剤(使用する場合)および/またはアルカリ化剤の量を使用してよい、ということに留意されたい。
【0789】
いくつかの実施形態において、組成物の粘度は、本明細書に記載のように、組成物と着色する繊維との十分な接触時間を提供するのに適している。
【0790】
粘度は、水性媒体中の成分および/または1つ以上の崩壊したタブレットの成分を含む、組成物中の多くの成分に依存するかも知れない。
【0791】
いくつかの実施形態において、粘度は増粘剤の量によって決定される。いくつかの実施形態において、増粘剤は崩壊タブレットから放出される。
【0792】
本発明の実施形態の種々の特徴(たとえば、本明細書に記載の方法、装置、キット)のいくつかの実施形態において、本明細書に記載の活性剤を含む崩壊タブレットは、必ずしも、本発明の実施形態による崩壊タブレット(たとえば、本明細書に記載の超崩壊剤を含むもの)ではない。
【0793】
本明細書に記載の着色組成物、または、本明細書に記載のケラチン繊維を処理する他のあらゆる組成物は、液状の最終形態(たとえば、水溶液)、クリーム、ゲル、ローション、乳化剤、ペースト、および、毛髪着色の技術分野で許容可能な他の形態、を有することが可能である。最終形態は、適する含有物(たとえば、増粘剤)およびその濃度を選択して、望みどおりに決定される。
キット:
【0794】
本明細書に記載の、タブレット形態の固形製剤は、ケラチン繊維を着色するために有用性が高く、着色に望ましい活性剤のいくつかまたはすべてを提供するために、たとえば、本明細書に記載の異なる固形製剤を使用することにより、本明細書に記載の異なる活性剤が組み合わせて使用されるときに特に、有用性が高い。
【0795】
加えて、本明細書に記載の、少なくとも1つの色付与剤を含むタブレット形態の固形製剤は、異なる色付与剤を有する固形製剤を含む組み合わせにおいて、特に有用である。このようなタブレットは、次いで、所望の着色組成物を提供するために、組み合わせることができる。
【0796】
よって、本発明の実施形態の他の特徴において、本明細書に記載の固形製剤の複数のセットを含む、ケラチン繊維を着色するキットが提供される。各セットは、活性剤の種類および/または活性剤の量が異なる実質的に同一のタブレットで構成される。このようなセットは、たとえば、少なくとも1つの色付与剤を含む1つ以上のセットのタブレット、少なくとも1つの酸化剤を含む1つ以上のセットのタブレット、少なくとも1つのアルカリ化剤を含む1つ以上のセットのタブレット、および/または、少なくとも1つの増粘剤を含む1つ以上のセットのタブレット、を含む1つ以上のセットのタブレットを含んでよい。
【0797】
いくつかの実施形態において、キット中のセットの少なくとも一部は、少なくとも1つの色付与剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む固形製剤で構成される。
【0798】
いくつかの実施形態において、キット中のセットの各々は、少なくとも1つの色付与剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む固形製剤で構成される。
【0799】
各セットの色付与剤は、本明細書に記載の「基本色調」を表す。
【0800】
いくつかの実施形態において、キットは少なくとも3つの基本色調を含む。いくつかの実施形態において、キットは少なくとも4つの基本色調を含む。いくつかの実施形態において、キットは少なくとも5つの基本色調を含む。いくつかの実施形態において、キットは少なくとも6つの基本色調を含む。いくつかの実施形態において、キットは少なくとも7つの基本色調を含む。いくつかの実施形態において、キットは少なくとも8つの基本色調を含む。いくつかの実施形態において、キットは少なくとも10の基本色調を含む。いくつかの実施形態において、キットは少なくとも15の基本色調を含む。いくつかの実施形態において、キットは少なくとも20の基本色調を含む。
【0801】
いくつかの実施形態において、キット中の基本色調の数は、3〜36の範囲内である。いくつかの実施形態において、キット中の基本色調の数は、3〜24の範囲内である。いくつかの実施形態において、キット中の基本色調の数は、6〜18の範囲内である。
【0802】
いくつかの実施形態において、キット中の異なる基本色調の色付与剤は、基本色調を異なる割合で組み合わせることにより多くの色調が可能になるように、互いに十分異なるように選択される。
【0803】
いくつかの実施形態において、キットは、さらに、(たとえば、基本色調に加えて)色付与剤を含まない少なくとも1つのセットの固形製剤を含む。このようなセットは、たとえば、色付与剤以外の少なくとも1つの活性剤(たとえば、アルカリ化剤、酸化剤、および/または増粘剤)を含んでよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのセットは、活性化剤としてアルカリ化剤を含む。いくつかの実施形態において、このセットは、本明細書に記載の基本色調の1つ以上のセットに加えて、アルカリ化剤を含む。
【0804】
いくつかの実施形態において、キット中の固形製剤のセットは、個々の対象の毛髪の着色のためにカスタマイズされる。キットは、個体により行われる特定の着色過程のために(たとえば、1回の毛髪着色のためのキット、もしくは同一の着色を複数回行うためのキット)に、および/または、個体によって行われてよい複数回の異なる着色過程のために(たとえば、複数回の毛髪着色のためのキット)、カスタマイズされる。
【0805】
たとえば、前記セットは、個体の初期毛髪色を考慮に入れるように選択されるとよく(たとえば、基本色調は、個体の毛髪色に近い色調において不十分であるかも知れない)、これは、天然色素、毛髪反射、前回の着色、および/または毛髪の中または表面に存在する他の化学剤;個体が望む最終色(たとえば、基本色調は、個体が好む色調に偏るかも知れない);個体の毛髪の種類(たとえば、ヨーロッパ人、アジア人、アフリカ人など;直毛、ウェーヴ毛、巻き毛、もしくは縮れ毛;細いもしくは硬い;乾燥、通常もしくは油っぽい);望まれる着色過程の種類(たとえば、永続的着色、半永続的(semi-permanent)着色、半永続的(demi-permanent)着色、一時的着色、および/もしくは漂白);ならびに/または、個体の感受性(たとえば、個体がアレルギーを示すあるいは何らかの感受性を示す成分を避けるもしくは最小にする)により、影響されるかも知れない。基本色調を初期色および所望の色に基づいてカスタマイズすることは、本明細書に記載のように、初期色から所望の色へと如何に進むかについての分析に基づいて行われてよい。
【0806】
いくつかの実施形態において、固形製剤のセットは、普遍的であるように選択され、つまり、それらは、必要とするものが異なる(たとえば、本明細書に記載の必要性)多種多様な人々にとって、できるだけ有用であるように意図されている。
【0807】
いくつかの実施形態において、キットには、所望の色を如何にして得るかを説明する記載または他の指示、たとえば、基本色調および/または他の活性剤を選択する方法、何個の各基本色調および/または他の活性剤を組成物に含めるか、基本色調を他の活性剤(たとえば、活性剤を含むタブレットおよび/または媒体)と混合する方法、ならびに、得られた着色組成物を適用する方法(たとえば、適用をどれだけの時間行うか)、が含まれる。
【0808】
このような指示は、色座標の形態とすることができ、または、個体の毛髪を分析し、分析結果を所望の色座標に変換して、個体に提供することができる。いくつかの実施形態において、分析は、本明細書に記載の光学読み取り器によってなされる。いくつかの実施形態において、着色組成物を決定することは、本明細書に記載のアルゴリズム法によってなされる。
【0809】
いくつかの実施形態において、キットは、さらに、着色組成物(たとえば、本明細書に記載のもの)を調製するのに適する媒体を含む。媒体は、随意的に、収容器に入れられて、キットに含まれてよい。いくつかの実施形態において、媒体は水性媒体である。
【0810】
いくつかの実施形態において、媒体は、酸化媒体(たとえば、本明細書に記載の酸化媒体)、つまり、酸化剤(たとえば、本明細書に記載の酸化剤)を含む媒体である。このような媒体は、たとえば、キットがこのような酸化剤を含む固形製剤を含まないときに、特に適する。
【0811】
いくつかの実施形態において、媒体は、アルカリ化媒体(たとえば、本明細書に記載のアルカリ化媒体)、つまり、アルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のアルカリ化剤)を含む媒体である。このような媒体は、たとえば、キットがこのようなアルカリ化剤を含む固形製剤を含まないときに、特に適する。
【0812】
いくつかの実施形態において、媒体は、色付与媒体(たとえば、本明細書に記載の色付与媒体)、つまり、少なくとも1つの色付与剤(たとえば、本明細書に記載の色付与剤)を含む媒体である。このような媒体は、たとえば、キットがこのような色付与剤を含む固形製剤を含まないときに、特に適する。
【0813】
いくつかの実施形態において、媒体は、担持媒体、つまり、相当量の酸化剤、色付与剤、またはアルカリ化剤を含まない媒体である。いくつかの実施形態において、担持媒体は、相当量の本明細書に記載のいずれの活性剤も含まない。いくつかの実施形態において、キットは、酸化剤、色付与剤およびアルカリ化剤を含む固形製剤を含む。
【0814】
いくつかの実施形態において、媒体は、キットのタブレット(たとえば、キット中のすべてのタブレット)の崩壊に適する。
【0815】
いくつかの実施形態において、媒体の粘度は、媒体中でタブレットが崩壊することにより、着色するための組成物を形成するのに適するように選択される。いくつかの実施形態において、キット中の水性媒体は、1ポアズ以下(温度25℃、せん断速度10s
−1にて測定)の粘度を有する。
【0816】
いくつかの実施形態において、キット中のアルカリ化媒体、色付与媒体および/または酸化媒体は、たとえば、所望の着色の種類に適合する活性剤の濃度に関して、すぐに使える形態である。
【0817】
いくつかの実施形態において、キット中のアルカリ化媒体、色付与媒体および/または酸化媒体は、適当量の担持媒体で所望の濃度に希釈されてよい、高濃度の備蓄として提供される。いくつかの実施形態において、このような希釈用の担持媒体は、キットに含まれる。いくつかの実施形態において、このような希釈用の担持媒体は、キットに含まれない(たとえば、希釈用の担持媒体が水であるとき)。
【0818】
本明細書に記載の速崩壊タブレットは、ケラチン繊維の処理のための(カスタマイズされた)組成物の調製に使用されるとき、本明細書に記載の所望の組成物を提供するために、測定され、望まれる場合は、適当な媒体と混合され得る。活性剤がタブレット固形製剤の形態であるか他の形態であるかにかかわらず、組成物中の各活性剤の種類および量を選択すること、および、所望の量を測定して望まれる場合に混合をすることは、手作業でまたは自動的に行うことができる。
【0819】
ほとんどの場合、タブレットのまたは単回使用のカスタム毛髪着色処方の所望のセットの、購入時または使用時における分配の自動化が、有利である。自動分配装置は、様々な利点を有する。たとえば、自動化された分配装置は、使用量決定の正確性および再現性の制御を向上させることができ、カスタマイズされた着色用調製物を速やかに調製することができ、また、着色のカスタマイズ化のためのコンピュータシステムの導入を容易にする。
【0820】
従来の湿潤形態に代えてタブレットを使用することは、保存スペースを少なくし、よりきれいな作業環境を可能にし、色付与剤の使用量の決定し易さ、したがって着色処方の正確性および再現性を向上させるので、一般に有利である。スペースの節約は、さらに、関連する媒体を速崩壊タブレットの形態とすることで、向上させ得る。
【0821】
被覆タブレットおよびそれらの流動性を使用することは、分配の間に、自動化またはて作業分配装置内で、それらを使用することを容易にする。被覆タブレットの使用は、着色剤と分配装置の内部との接触を著しく減少させ、そのような部分の、着色処方の正確性に影響し得る先に分配された着色タブレットによる汚染を、最小にする。
【0822】
IV.分配装置:
本発明者らは、所望のタブレット製剤を自動的に分配し、これにより、ケラチン繊維を処理するための組成物および/またはキットを提供する分配装置を設計した。
【0823】
タブレット分配器は、調剤の分野で公知であるが、カスタマイズ化に基づいて様々な種類のタブレットの特定量を混合することを意図した分配装置はなく、したがって、この特定の課題に対する取り組みは、従来なかった。
【0824】
いくつかの実施形態において、分配装置は、ケラチン繊維を処理するためのカスタマイズされた組成物を提供するのに適するように設計されており、いくつかの実施形態において、カスタマイズされた着色組成物(たとえば、毛髪着色組成物)を提供するのに適するように設計されている。装置は、本明細書に記載のものなどの、異なる組み合わせおよび量のタブレット製剤であって、随意的に、着色組成物を形成するための、本明細書に記載の追加の媒体および/または薬剤と組み合わせて使用することが可能な、タブレット製剤を分配することができる。装置は、さらに、カスタマイズされた着色組成物を形成するために、タブレット製剤および液状の媒体または製剤の双方を分配することができる。
【0825】
本発明のいくつかの実施形態の特徴によると、ケラチン繊維を処理するための本明細書に記載の組成物であって、複数のタブレットから形成される組成物、を調製する装置が提供される。装置は、複数の容器または区画を含み、少なくともいくつかの区画または容器が、タブレットの形態の固形製剤を分配するのに適する出口を有するように構成され、装置は、さらに、所定量のタブレットを分配するように構成された分配ユニットを含み、区画または容器および分配ユニットが相互に取り付け可能であるように構成される。
【0826】
「取り付け可能」とは、タブレットが容器から流れ出て、分配ユニットを通って分配されるように、容器および分配ユニットが連通することを意味する。分配ユニットはおよび容器および/または区画は、直接または間接に、相互に取り付けることができる。
【0827】
よって、本発明の実施形態による装置は、タブレットを分配するのに適するように構成され、随意的に、タブレット以外の形態(たとえば、粉末または粒子)の固形製剤を分配するように、および/または、タブレットを分配することに加えて、液状製剤(たとえば、水性媒体または溶液)を分配するように構成されてよい。
【0828】
いくつかの実施形態において、分配装置内の一部の容器のみが、タブレットを収容し分配するのに適する容器である。いくつかの実施形態において、分配装置内のすべての容器が、タブレットを収容し分配するのに適している。
【0829】
タブレットを収容し分配するのに適するように構成された容器は、本明細書において、タブレット容器と呼ばれる。
【0830】
以下の記載において、容器の用語は、他に文脈から明らかでない限り、個別に分離した容器、または複数区画に区分された容器の個々の区画を指してもよい。
【0831】
タブレット容器:
いくつかの実施形態において、分配装置内の各容器または区画は、底部、1つ以上の壁部、および上部を含む。以下に述べる各容器または個々の区画は、さらに、容器出口を含む。タブレット容器は、さらに、タブレットが容器から分配されることを可能にするように構成された出口を含む。出口は、分配手段(分配要素とも言う)に適する、容器上のあらゆる位置に配置することができる。分配が、容器内容物(たとえば、タブレット)の重力による置換を含む場合、タブレットが分配される出口は、好ましくは容器底部に位置する。
【0832】
一般に、容器の中心軸(底部から上部へ)は垂直であるが、垂直状態からの容器の選択された偏向角が、容器の底部から分配要素へのタブレットの容器内の流れに大きく影響しない限り、45°までの偏向が可能である。いくつかの実施形態において、一部の容器のみが、一般的な水平および垂直方向から偏向してよい。たとえば、壁部は本質的に垂直でありながら、容器の底部またはその一部は、(たとえば、容器出口に向かう流れをよくするように)傾斜し、したがって水平状態から外れてよい。
【0833】
容器の底部、壁部、および上部は、一体化した部分を形成してもよく、あるいは、分離可能なままでもよい。タブレット容器の壁部または上部の一部分は、容器にタブレットを再充填できるようにするために、移動可能または取り外し可能(たとえば、ヒンジで連結、ねじ止め、スライド可能、引き抜き可能など)にすることができる。この代替構成は、以下に記載するように、容器がプラットフォームに不可逆的に取り付けられるときに、特に適する。加えて、容器は、異なる透明度または不透明度の部分を含んでよい。たとえば、容器は、その表面の大部分が不透明であり、1つの透明な「窓」を上部または壁部に有して、容器の内容物およびその中のタブレットのレベルを監視できるようにすることができる。これに代えて、容器のほとんどの部分を透明にすることも可能である。
【0834】
本発明のいくつかの実施形態において、1つ以上のタブレット容器は、容器の内部環境の湿度を下げることを目的とする乾燥剤を含んでよい。いくつかの実施形態において、乾燥剤は、適当な筺体に包囲される。いくつかの実施形態において、乾燥剤は、乾燥の技術分野で標準的であるように、透過性の材料に封入され、または袋詰めされて、その作用を発揮する。
【0835】
乾燥剤は、乾燥剤の位置がタブレットの流れに影響しない限り、容器の内部に置いてもよいし、何らかの適当な手段で容器の上部および/または壁部に取り付けてもよい。
【0836】
これに代えてまたは加えて、乾燥剤の筺体の位置がタブレットの流れを妨げない限り、1つ以上の乾燥剤を、タブレットが湿気に曝される度合いを低減するのに適する装置の他の部分に、配置してもよい。乾燥剤を含む容器を
図6に示す。
【0837】
好適な乾燥剤には、以下のものに限られないが、シリカゲル、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、モンモリロナイトクレイ、活性アルミナ、および分子篩(アルミノケイ酸塩鉱物、クレイ、微小孔性木炭、ゼオライト、活性炭、または合成化合物など)、が含まれる。分配装置で使用される容器は、容器内でのタブレットの自由な動きを可能にする、あらゆる適切な形状を有することができる。容器の好適な水平断面には、円形、楕円形、正方形、長方形、長円形、三角形、または多角形などの規則的な形が含まれる。より規則的でない、または不規則な断面も、選択された分配要素に適し、分配手段への容器の取り付けに適合する限り、適する。たとえば、凸面を有し断面がほぼ三角形の容器は、パイの1切れのように適合して、共にほぼ円筒状の容器集団を形成することができるであろう。
【0838】
本発明のいくつかの実施形態による個々の容器の例を
図4〜
図6に示し、複数区画に分けられた容器を
図7に示す。
【0839】
図4A〜
図4Dは、非限定的な容器の例を示している。
図4Aおよび
図4Bはともに、その底部から上部に向かう軸に沿って同じ形状を有し、高さが異なる容器を表している。本発明の1つの例示的実施形態において、
図4Aおよび
図4Bに示した容器は、それぞれ、170
mmおよび320
mmの壁高を有する。
【0840】
図4Cおよび
図4Dはともに、その底部から上部に向かう軸に沿って異なる形状を有し、高さが異なる容器を表している。本発明の1つの例示的実施形態において、
図4Cおよび
図4Dに示した容器は、それぞれ、160
mmおよび310
mmの壁高を有する。
【0841】
図4Cおよび
図4Dに示した容器の壁部分の床は、このような容器に入れられた本質的にすべてのタブレットが確実に分配されるように、底部部分および分配要素に向かって傾いている。
【0842】
図7Aおよび
図7Bに示すように、複数区画に分けられた容器71は、水平表面積、ならびに、その水平表面積の合計にほぼ相当する全体的容積、および、その内部の個々の容器73の各々の容積、を有してよい。分離した個々の容器についての前述の代替的特徴は、隣接する内部容器が容器の全体の空洞を区画に分割する内壁75の一部を共有してよいという事実に、選択パラメータが適合することを条件に、複数区画に分けられた容器の内部の個々の容器に当てはまる。
【0843】
複数区画に分けられた容器71の内部区画または容器73は、
図7Aに模式的に表すように、同じ大きさを有してよい。これに代えて、内部容器は、
図7Bに示すように、異なる大きさを有してもよい。複数区画に分けられた容器の内部容器は、同一の底部および/または同一の上部部分を、互いに、および随意的に、同一のより大きい容器の内部区画と、共有してよい。個々の容器について、複数区画に分けられたより大きい容器の各内部容器は、
図7Aおよび
図7Bに破線の円77で模式的に示す出口を有する。明瞭化のために、出口は一部の内部容器のみに示してある。複数区画に分けられた容器は、その上部に、内部容器に共通の蓋を有することができる。これに代えて、各内部容器は、個別に密閉可能であり、一時に1つの容器を開くことを可能としてよい。
【0844】
分配装置の例示的実施形態において、すべてのタブレット容器は、以下に述べるように、同じ大きさを有し、各々が異なる種類のタブレットを収容する。ただし、ある種のタブレットは、着色組成物またはケラチン繊維を処理する他の組成物の調製において、より頻繁に使用されるかも知れず、あるいは、より多数使用されるかも知れないので、装置は、代替的に、そのようなタブレットをより多く収容するより大きい容積を有する1つ以上のタブレット容器を含むこともできる。この代替構成は、タブレットの再充填またはカートリッジの交換の割合を減少させることにより、利便性を高めることができるであろう。これに代えておよび/または加えて、このように頻繁に使用されるタブレットは、1つを超える容器に収容することも可能である。頻繁に使用される種類のタブレットの例は、自然な基本色調である。
【0845】
断面の幾何は、容器の同じ断面内で変化してもよい。たとえば、壁断面は、容器の把持を容易にし、および/または、容器の内容物を見るために、一部分において、より小さいおよび/または異なる形状を有してよい。
【0846】
容器の水平断面の表面積は、1cm
2〜250cm
2または約10cm
2〜約200cm
2であり、また、底部から上部に向かう軸に沿って、同じであるか相違することができる。
【0847】
容器または複数区画に分けられた容器の個々の区画の容積は、要望どおりにすることができ、一般に、250cm
3〜5,000cm
3である。例示的な容器は、約500cm
3、1,000cm
3、2,000cm
3、および4,000cm
3の容積を有し、ここで、「約」の用語は±10%を意味する。
【0848】
容器または区画は、約100グラム〜約3,000グラムの量のタブレットを収容してよく、容器の容積ならびにタブレットの形状および充填密度に応じて、より少量またはより多量であってもよい。50%の充填密度を仮定すると、例示的な容器は、約300グラム、約600グラム、約850グラムまたは約2000グラム±10%を収容する。
【0849】
複数区画に分けられた容器において、水平表面積および全容積は、個々の内部容器の各々の水平面積および容積の合計に概ね対応する。別個の個々の容器について説明したあらゆる特徴は、選択されたパラメータが、隣接する容器は、容器の全体の空洞を区画に分割する内壁の一部を共有してよいという事実に適合する限り、複数区画に分けられた容器の各区画に当てはまる。
【0850】
分配要素から取り外されるときにタブレットがこぼれ出すことなく容器を交換することを容易にするために、特に、分配要素が容器の上に位置しない場合、容器がその定位置から動かされるときに自動的に容器出口を閉じる、シャッター手段を使用してよい。
【0851】
図41および
図43は、そのようなシャッター手段の2つの例を示す。
図43に示した例において、2つの部分的に球状の殻240および242が使用されており、これらは、容器が分配器から外れているときに、ゴムバンド244により閉じられ、容器が分配器に挿入されるときに、開かれる。
【0852】
図41において、中央が穿孔されたゴムキャップ246が使用され、その穿孔は、容器からタブレットが落下するのを防止するに足るほど、十分に小さい。分配器248に挿入されると、穿孔は、穿孔を伸ばすように設計された剛体チューブ250により伸ばされて、ビーズが容器から穿孔を通って分配要素内に入り得る。
分配ユニット:
【0853】
分配装置の容器および/または区画の各々は、その内容物を分配するためのユニットに、直接または間接に接続される。したがって、この装置は、タブレット容器からのタブレットを分配する分配ユニットを含む。いくつかの実施形態において、装置は、タブレットを所定量で分配するユニットを含む。
【0854】
いくつかの実施形態において、分配ユニットおよびタブレット容器は、互いに対して取り付け可能である。
【0855】
分配ユニットは、測定可能かつ正確な態様で(たとえば、1つずつ)タブレットを分配することが可能な、あらゆるものであり得る。好適な手段には、タブレットを
秤量し、計数することが含まれる。
【0856】
よって、いくつかの実施形態において、分配ユニットは、タブレットを
秤量し、または計数して、タブレット容器の各々から分配されるタブレットの所定量を提供する手段を含む。
【0857】
計数は、電子機器(たとえば、電子センサー)の援助を受けて、または、機械装置(たとえば、回転するはめば歯車)を使用して、行うことができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の上記装置を組み合わせることが可能である。たとえば、タブレットは先ず機械システムで計数されて、タブレットの数が電子機器により確認され、あるいは、組み合わされた電子機械システムが使用される。
【0858】
電子センサーの例には、光学センサー、
容量センサーおよび音響センサーが含まれ、これは、タブレットの移送経路に沿うあらゆる位置に配置することができる。容器出口の高さに配置されるとき、各容器は少なくとも1つの光学センサーにより監視する必要があり、一方、音響センサーは1つ以上の容器を監視することができる。好ましくは、不正確な分配の場合に、修正動作を行い得る。
【0859】
正確性を高めるために、分配ユニットは、さらに、1つ以上のタブレットが一時に分配されるのを防止する、分離要素222を含む。はめば歯車の場合、分離要素は、タブレット容器出口と重なるはめば歯車の断面の上方に位置する。分離要素は、はめば空間が出口の上方に位置する限り、タブレットの分配元となるはめば空間に、タブレットがすぐに入るのを防止する。
【0860】
分離要素は、そのように望まれ、はめば220の回転により制御される場合、後続のはめば空間に位置するタブレットのみが分配されるのを確実にする。この目的を達成するために、分離要素222は、たとえば、はめば歯車の上方の高さに位置することが可能であり、単一のタブレットの通過を可能にする(つまり、はめば空間に入った1つのタブレットの厚さの僅かに上方)が、互いに「重なった」2つのタブレットの通過を防止する(つまり、一方がはめば空間の中に位置する2つのタブレットの厚さよりも低い)。正確な分配という目的に役立つ他のあらゆる配置が適する。
【0861】
分離器222は論理上は分配手段の要素であるが、実際には、いくつかの実施形態によると、分離器は容器の一部を形成することができ、なお、分配手段と連通する。本発明の実施形態において、分離要素は、容器内壁上の2点間に取り付けられた、随意的にビーズを貫通するワイヤー、またはロッドであり、前記ワイヤーまたはロッドは、容器出口の全長にわたって、はめばの上方を通る。はめば歯
車は、容器の底部に位置し、ワイヤーまたはロッドは、底部の内壁に取り付けることができる。代替的に、分離要素は、タブレット容器の内部に取り付けられた、または、タブレット容器の一部として容器内に成形された、プラスチックのリブであり得る。
【0862】
タブレットは、容器から順番に分配すること、つまり、1つの容器は前の容器が分配を終えた後に初めて分配を開始することができ、または、同時に分配すること、つまりすべての関連する容器がほぼ同時に分配することができる。
【0863】
分配ユニットは、好ましくは出口の上方に位置することにより、タブレットが制御された態様で容器出口に近付くように、容器内に位置することができる。これに代えて、分配手段は、タブレットが制御された態様で容器出口から出るように、容器の外に位置することができる。
【0864】
分配ユニットは、前述のように、プラットフォームの上方または下方に配置することが可能である。分配ユニットが1つ以上の部品を含む場合、いくつかの部品はプラットフォームの上方に、他の部品はプラットフォームの下方に、位置することができる。
【0865】
1つを超える部品を含む分配ユニットの例は、制御された態様で歯車を回転させるモーターを有するはめば歯車である。
【0866】
図5は、例示的な容器および分配手段の分解図および断面図を示す。明瞭化のために、一方の図に示されているすべての部品は、他方の図には必ずしも示されていない。
【0867】
図5には、例示的な円筒形のタブレット容
器が示されており、これは、容器壁31、上部33、容器底部35、および容器出口55を含む。容器底部35は、容器を随意的なプラットフォーム(ここでは説明または図示はされていないが、たとえば、
図1および
図2の要素17である)に、またはプラットフォームを通して接続することを可能にする開口37を有する。取り付けは、ばね付きピン39により固定することができる。容器底部開口は、ステップモーター43の軸が通るのを可能にする。モーター軸41は、軸頭45で終わり得る。
【0868】
分配要
素は、はめば歯車47で構成され、はめば49およびはめば空間51で個別に表されているように、多くのはめばおよびはめば間のはめば空間を含む。はめば歯車47は、軸頭に対応する形状および大きさのソケットを通して軸頭45に適合させることにより、モーター軸41に接続することができる。このようなソケットは、モーターに対向する面上のはめば歯車の下に配置されており、
図5には示されていない。
図5には、さらに、容器出口55の上方に位置するはめば空間に新たなタブレットが接近するのを防止する、分離要素53が示されている。
【0869】
図6は、容器および分配手段についての代替の実施形態の分解図および断面図を示す。明瞭化のために、一方の図に示されているすべての部品は、他方の図には必ずしも示されていない。容器上部33は、容器壁31の上部に挿入し得るプラグとして示されている。このプラグは、容器の内部への乾燥剤61の挿入を可能にする。前述の容器底部35、ばね付きピン39、軸頭45、はめば歯車47、および分離要素53(たとえば、
図5を参照)に加えて、この装置は内部漏斗63を含む。漏斗63の内側は、タブレットの重量の一部を支え、はめば歯車47に加わる圧力、および、はめば歯車の回転中に置き換えられ得るタブレットの高さ、を低減することができる。漏斗63の内側は、ステッパーモーター43(
図5を参照)および分配ユニット全体の耐用期間が長くなるのを推進し得る。漏斗63の内側は、好ましくは、容器の上部よりも底部、つまり下方を向いた漏斗の細い部分に近く位置する。ステップモーター、および、軸頭を介してはめば歯車に接続されるその軸は、示されていない。代替的に、内部漏斗は、容器出口と分配ユニット(はめば歯車)との間における、容器そのものの外部に、位置してよい。
【0870】
図8は、例示的なはめば歯車47をより詳細に示す上面図である。
図8において、容器出口55は、おおよその長さ59を有する灰色の形で表されている。はめば歯車を取り囲む円は、容器の底部の壁の投影であり得る。上記で示したように、分配手段は容器出口の下方に位置し得るので、容器出口を含む容器底部
におけるはめば歯車47の
大まかな位置は、図示のために
便宜上決めた位置にある。隣接する2つのはめば間に位置するはめば空間51の長さ57は、容器出口の長さ59よりも短い。はめば空間の長さ57は、唯1つのタブレットを分配することが可能なように選択され、分配されるタブレットの大きさに応じて設計することができる。容器出口55の長さ59は、歯車により(つまり、ステップモーターにより)回転されているタブレットの接線方向の速度を考慮して、歯車の制御された1回転当たりに唯1つのみのタブレットが通過し得るようにしながら、タブレットを速やかに分配することができるように選択される。一般に、容器出口の長さ59は、1つのはめば空間の長さ57および1つの隣接歯の長さの約2〜3倍に達する。
【0871】
タブレットが無制御に容器出口55を通るのを防止することは、容器出口55の全長に沿って容器の2点間に延びるワイヤーとして図
8に示す、分離要素53によっても達成される。
【0872】
分配ユニット(また
は分配要素)は、好ましくは出口の上方に位置することにより、容器出口へのタブレットの接近をもたらすように、容器の内部に位置することができる。これに代えて、分配手段は、好ましくは出口の下方に位置することにより、容器出口からのタブレットの制御された脱出をもたらすように、容器の外部に位置することができる。
【0873】
分配手段は、後述するように、プラットフォームの上方または下方に配置することが可能である。分配手段が2つ以上の部品を含む場合、いくつかの部品はプラットフォームの上方に配置し、他の部品はプラットフォームの下方に配置することができる。
【0874】
1つを超える部品を含む分配ユニットの例は、歯車を制御された態様で回転させるモーターを有するはめば歯車である。
【0875】
よって、いくつかの実施形態において、分配ユニットは、タブレットを
秤量または計数し、これにより、タブレット容器の各々から分配されるタブレットの所定量を提供する手段を含む。
【0876】
ここで、
図40のタブレット分配器200の可能な実施形態をより詳細に示す、
図42を参照する。
【0877】
図42は、タブレット容器底部215(
図40を参照)がそれぞれの分配機構203を含むタブレット分配器の実施形態を表しており、分配機構203は、はめば歯車を取り付けることが可能なプラットフォーム205の上方に位置する回転はめば歯車に基づき、一方、対応するステッパーモーター207はプラットフォーム205の下方に位置する。容器出口は、プラットフォーム開口の上方に位置しており、タブレットはプラットフォーム205の下方に位置する落とし樋209(
図40を参照)に分配されて、そこから、重力によりタブレット出口211に分配される。この例示的実施形態において、プラットフォームは、単一の脚によって支持されてよい。
【0878】
先の実施形態に関連して説明したように、分配されるタブレットの数は、ステッパーモーターにより制御されるはめば歯
車の回転の程度に比例する。この数は、回転の程度、はめば歯車の周、歯車上のはめばの数、はめば空間の長さなどに依存し、これらはすべて、所望の数のタブレットを分配するために、当技術分野における熟練者により容易に調整することが可能な因子である。はめば歯車が回転すると、タブレットは重力の下でタブレット容器の本体から落ちて、分配されたタブレットに取って代わり、後の分配のために、はめば歯車のはめば空間を充填する。たとえば、24個のはめば空間を有し、120RPMの最高速度で回転するはめば歯車については、1秒間に48個ものタブレットが分配され得る。1秒当たり約25〜35個のタブレットというさらに低い分配速度は、本発明の例示的実施形態による装置により、所望の着色の調製に必要なすべてのタブレットが10秒を超えない短時間に、提供されることを確実にする。このように速い過程は、有利なことに、濡れた色調の長時間にわたる組み合わせに代わる。
【0879】
ここで、例示的な容器および分配ユニットの分解図および断面図である
図44を参照する。明瞭化のために、一方の図に示されているすべての部品は、他方の図には必ずしも示されていない。
【0880】
図44は、容器筺体壁531、プラットフォーム205および容器出口を含む、例示的な円筒状のタブレット容器筺体511を示している。取り付けはばね付きピン539によって固定される。容器底部開口は、ステッパーモーター207の軸541が通るのを可能にする。モーター軸541は、軸頭545によって終わり得る。
【0881】
分配要素513ははめば歯車547で構成され、
図42において、はめば220およびはめば空
間で個別に表されているように、多くのはめばおよびはめば間のはめば空間を含む。はめば歯
車は、軸頭に対応する形状および大きさのソケットを通して軸頭545に適合させ、
図42に示すように、ゴム板230およびクラッチ232を使用することにより、モーター軸541に接続することができる。モーターに対向する面上のはめば歯車の下に配置されたこのようなソケットは、
図42に示されている。
図42には、さらに、容器出口の上方に位置するはめば空間に新たなタブレットが接近するのを防止する、分離要素222が示されている。
【0882】
図45は、
図40のタブレット分配器200の上面図であり、
図41の側面図に示すように、分配器の上に挿入されるプラグとして、容
器580を示している。
【0883】
図3A〜
図3Eは、本発明のいくつかの例示的実施形態による、分配装置のプラットフォーム上の容器の可能な組み合わせを示す。このような例示的な容器は、本発明の装置において、種々の可能な組み合わせで使用することができる。
図3A〜
図3Eは、非限定的な容器の可能な組み合わせを表す。
図3Aにおいて、すべての容器は同じ形状および大きさを有する。
図3Bにおいて、すべての容器は同じ形状を有し、異なる大きさを有する。
図3C、
図3Dおよび
図3Eにおいて、容器は形状および大きさが異なる。
【0884】
種々の組み合わせの容器が共通のプラットフォームに取り付けられるとき、装置は種々の末端の使用および使用者に適するように設計することができる。たとえば、大きさの小さい容器は、青色などの使用頻度の低い色調、または小さい美容室に使用されてよく、大きさの大きい容器は、使用頻度の高い色調、または美容品販売店に使用されてよい。
【0885】
タブレット分配器に戻ると、はめば歯車の輪郭は容器の壁部および底部の投影であってよい。容器出口を含む容器底部の上方のはめば歯
車の一般的な位置は、上述のように、分配手段が容器出口の下方に位置し得るので、図示のために任意である。隣接する2つのはめば549の間に位置するはめば空
間の長さ557は、容器出口の長さ未満である。はめば空間の長さ557は、唯1つのタブレットを分配することが可能であるように選択され、分配されるタブレットの大きさに応じて設計することができる。容器出口の長さは、歯車により(つまり、ステップモーターにより)回転されているタブレットの接線方向の速度を考慮して、歯車の制御された1回転当たりに唯1つのみのタブレットが通過し得るようにしながら、タブレットを速やかに分配することができるように選択される。一般に、容器出口の長さは、1つのはめば空間の長さ557および1つの
はめば549
の側面の長さの約2〜3倍に達する。
【0886】
タブレットが無制御に容器出口を通るのを防止することは、分離要素222によっても達成され、その代替構成を、容器出口55の全長に沿って容器の2点間に延びるワイヤーとして、図
8に示す。
【0887】
プラットフォーム:
上述のように、いくつかの実施形態において、分配ユニットは、さらに、容器および/または区画を取り付けるプラットフォームを含む。
【0888】
いくつかの実施形態において、容器/区画および分配ユニットは、たとえば、容器がプラットフォームの上方に位置し、分配手段がプラットフォームの下方に位置するように、プラットフォームを介して相互に取り付けることができる。
【0889】
いくつかの実施形態において、容器および分配手段の双方が、プラットフォームの上方に位置する。
【0890】
いくつかの実施形態において、タブレット容器および/または分配ユニットは、各々、プラットフォームに取り付け可能である。取り付けは、永続的である場合は、不可逆でよく、容器をプラットフォームに2回以上取り付け取り外すことができる場合は、可逆でよい。可逆的な取り付けは、たとえば、単回使用のカートリッジに、および/または保守のためのアクセスを可能にするのに、適している。単回使用のカートリッジは、目的のタブレット(基本色調または速崩壊媒体タブレット)が予め装填されている使い捨て容器である。
【0891】
プラットフォームへの取り付けは、適するあらゆる手段で、たとえば、プラットフォーム、容器、および分配手段内の適合開口で、行うことができる。たとえば、容器およびプラットフォームは、ばね付きピンおよびソケットにより取り付けることが可能である。これに代えてまたは加えて、取り付けは、プラットフォームを通して、プラットフォームの上方に位置する装置部品(たとえば、容器)とプラットフォームの下方に位置する装置部品(たとえば、そのように配置された場合の分配手段)とで、行うことができる。たとえば、モーターの軸は、分配要素を通して、モーターを対応する容器に接続し得るであろう。
【0892】
いくつかの実施形態において、プラットフォームは、それぞれの容器からタブレットが流れ通るのを可能にするように、穿孔されている。穿孔されたプラットフォームは、所与の形状および寸法の1種類の容器に適すること、または、これに代えて、2種類以上の容器に適合することが可能であり、よって、「共通の」プラットフォームとして機能する。
【0893】
プラットフォームは、水平と垂直の間の様々な角度をとってよく、水平の作業平面または垂直な壁に対して所望の角度にそれを支持する1つ以上の脚を含んでよい。支持脚は、装置の種々の部品の、プラットフォームおよび互いに対する適切な位置を可能にする。好ましくは、容器はプラットフォームの上方に位置し、プラットフォームは漏斗、チューブおよびタブレット出口よりも高い位置にある。プラットフォームが垂直の場合、容器の上部がプラットフォームよりも高い位置を占めて、タブレットが流れ落ちるように、容器は、プラットフォームに対して傾斜することにより、プラットフォームの上方に位置する。タブレット出口または装置出口は、装置を使用するときに、それらの下で受け器が容易に接近するのに適する態様で配置される。
【0894】
装置は、さらに、装置部品のいくつかまたはすべてを、部分的にまたは完全に包囲する装置筺体を含むことができる。代替の実施形態において、筺体はプラットフォームに支持を提供する。
【0895】
前述のように、本発明による装置のプラットフォームは、異なる大きさおよび形状の容器を収容し得る。前述のように、すべての容器は個別の分離した容器である。これに代えて、すべての容器は、複数区画に分けられた1つ以上の容器の一部であってよい。さらなる代替構成において、いくつかの容器は個別の容器であり、他の容器は、複数区画に分けられた1つ以上の容器の一部である。
【0896】
多様な組み合わせの容器が共通のプラットフォームに取り付けられるときにはいつも、装置は、様々な最終の使用および使用者に適するように、設計することができる。たとえば、青色などの使用頻度の低い色調または小さい美容室のための、大きさの小さい容器、および、使用頻度の高い色調または美容品販売店のための、大きさの大きい容器である。
【0897】
追加の部品および操作:
いくつかの実施形態において、装置は、タブレット容器に加えて、タブレット分配手段および随意のプラットフォーム、たとえば上述のプラットフォームを支持する脚を含む追加の部品、装置の少なくとも一部を包囲することが可能な上述の筺体、分配されたタブレットを1つ以上のタブレット出口に移送する1つ以上の漏斗および/またはチューブ、タブレットのカスタマイズされた組み合わせ、および、随意的に、装置から分配される追加のあらゆる媒体を収容することが可能な、または装置と連通している受け器のための、1つ以上のスタンド、ならびに、タブレットのカスタマイズされた組み合わせに関連する情報を提供しまたは読み出すことが可能なユーザインターフェイス、を含む。
【0898】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による例示的分配装置の分解図である。タブレット容器11は各々、その底部に、はめば歯車およびステッパーモーター15から成る分配ユニット13を含む。容器およびそれらのそれぞれの分配手段は、それらを取り付けることが可能なプラットフォーム17の上方に位置する。漏斗19が、プラットフォームの下方に位置し、その傾斜を介して、分配されたタブレットをタブレット出口21に案内する。受け器(
図1には不図示)が、タブレット出口の下の底部23に載置可能であり、分配されたタブレットを収集する。この例示的実施形態において、装置は、プラットフォーム(およびそれに取り付けられた部品)を支持し、漏斗を包囲する筺体25を含む。底部23は、筺体を部分的に封止し得る。
図1は、ユーザインターフェイス27が装置にどのように含まれるかを、模式的に表している。
【0899】
図2は、装置の代替の例示的実施形態を、分解図および斜視図で示す。明瞭化のために、一方の図に示されているすべての部品は、他方の図には必ずしも示されていない。この図において、タブレット容器11、および、はめば歯車に基づくそれらのそれぞれの分配手段13は、それらを取り付けることが可能なプラットフォーム17の上方に位置し、一方、対応するステッパーモーター15はプラットフォームの下方に位置する。容器出口は、プラットフォーム開口の上方に位置し、タブレットは、プラットフォームの下方の漏斗19に分配され、そこから重力によりタブレット出口21に分配される。この例示的実施形態において、プラットフォームは単一の脚29によって支持される。
【0900】
ここで、タブレット分配器200、媒体分配器210および受け器212を含む、本実施形態による分配装置全体の分解図を表す、
図40を参照する。
【0901】
いくつかの実施形態において、
媒体分配器210およびタブレット分配器200は、互いに取り付け可能である。
【0902】
分配ユニットは、測定可能かつ正確な態様で(たとえば、1つずつ)タブレットを分配することが可能な、あらゆるものであり得る。好適な手段には、本明細書に記載のように、タブレットを
秤量し計数することが含まれる。
【0903】
タブレット容器202は各々、はめば歯車およびステッパーモーター207を含むそれぞれの分配要素203に関連している。容器およびそれらのそれぞれの分配手段は、それらを取り付けることが可能なプラットフォーム205の上方に位置する。落とし樋209が、プラットフォームの下方に位置し、分配されたタブレットをその傾斜を介してタブレット出口211に案内する。受け器212が、タブレット出口211の下方に配置可能であり、分配されたタブレットを収集する。この例示的実施形態において、装置は、プラットフォーム(およびそれに取り付けられた部品)を支持し、漏斗を包囲する筺体213を含む。底部が、筺体を部分的に封止し得る。
【0904】
タブレット分配器200は、各々凸面204を有し断面がほぼ三角形の複数の容器202を含み、容器は、パイの1切れのように適合して、共にほぼ円筒状の容器配列を形成する。1つ以上の容器は、円筒状配列のほぼ中央を形成する空間208に置かれてよい。追加の容器も、凸面を有し断面がほぼ三角形であってよく、パイの切片のように適合して、外部の円筒状配列よりも小さい直径内に、共にほぼ円筒状の容器配列を形成してよい。これに代えて、追加の容器は、円筒形状のほぼ中心に形成される空間に適合する、三角形とは異なる形状を有してよい。
【0905】
加えて、容器
202は、1つ以上の内壁で適当に分割されて、2つ以上の個々の容器で構成される複数区画要素を形成するより大きな容器の、個々の分離した要素または部品であってよい。
【0906】
容器
202は、底部から上部に向かう軸に沿って幾何が変化してよい。たとえば、容器は、底部の近傍では円形の断面(たとえば、適当な幾何の分配器を収容することが可能)を有し、さらに離れた壁部では他の幾何(たとえば、長円形、長方形、正方形など)を有し、随意的に、上部ではさらに異なる形状(たとえば、蓋を収容し得る)を有する。
【0907】
いくつかの実施形態において、分配装置は、タブレット容器に加えて、タブレット分配機構、および、本明細書に記載の随意のプラットフォーム、ならびに、タブレット容器から分配されたタブレットを出口に導く1つ以上の漏斗および/またはチューブ、を含む。
【0908】
よって、いくつかの実施形態において、タブレットは、重力の下で、または機械的に、容器出口から直接または間接に1つ以上の漏斗に流れてよい。間接的な流れとは、適当な寸法のチューブが、容器出口と漏斗との間の中間位置に使用されてよいことを指す。漏斗は、自由に流れるタブレットを漏斗出口に導く、傾斜した壁を有することが可能である。1つ以上の漏斗が使用される場合、各漏斗は1つ以上の容器出口からのタブレットを個別に導いてよい。
【0909】
これに代えて、タブレットは、電動化された態様たとえば搬送ベルトで、分配ユニットから
受け器212に移送されてよい。これは、一般に、分配器の全体的な高さを低下させるであろう。
【0910】
タブレットは、漏斗を通って漏斗のそれぞれのタブレット出口に、直接または間接に(たとえば、重力の下で)流れる。間接的な流れとは、適当な寸法のチューブが、漏斗の出口と、適当な量および種類のタブレットが通って受け器に分配されるタブレット出口との間の、中間位置に使用されてよいことを指す。
【0911】
いくつかの実施形態において、装置は、さらに、タブレット出口と、装置出口を通る後続の接続された部品の入り口とを接続する、1つ以上のチューブを含んでよい。
【0912】
分配されるタブレットを移送するために、1つ以上の漏斗および/またはチューブが使用される場合、装置は、さらに、すべてのタブレット出口を単一の装置出口に導く、集束漏斗またはチューブを含んでよい。装置が単一の漏斗またはチューブを含む場合、単一のタブレット出口は代替的に装置出口と呼ばれる。
【0913】
装置のいずれかの要素の出口は、さらに、一方向弁を含んでよい。一方向弁は、制御可能であってもなくても、閉位置にあるときに、劣化をもたらす要因の接近を低減しながら、開位置にあるときに、タブレットが対応する装置要素から流れ出ることを可能にする。
【0914】
分配されたタブレットは、上述の通路および/またはチューブを通って、受け器に導かれ、ケラチン繊維を処理する本明細書に記載の組成物(たとえば、着色組成物)を提供するために、受け器にて水性媒体と混合される。
【0915】
装置は、分配されるタブレットの量を付加的に表示して、分配器の信頼性をさらに高める、
秤量ユニットを含んでよい。
【0916】
装置は、装置出口に受け器が存在しないことを検出して、タブレットを収集せずにタブレットを分配する可能性を低減する、検出ユニットを含んでよい。検出ユニットは、たとえば、光学的、容量的、電気的、磁気的および/または機械的に検出するものでよい。
【0917】
装置は、交換に適する特定の位置に容器を移動させることにより、特定の容器の交換(たとえば、容器が空になったとき)を容易にする、交換機構を含んでよい。再び
図45を参照すると、交換機構は、随意的にモーターにより駆動される、はめば歯車590を含んでよい。
【0918】
装置は、ある種の容器を誤った位置に誤って置く可能性を低減する、容器認識器を含んでよい。容器認識器は、たとえば、光学手段、RFID手段および機械手段であってよい。
【0919】
いくつかの実施形態において、装置は、所望のセットのタブレットを受け器に分配し、次いで、媒体が手作業で測定されて加えられる。
【0920】
これに代えて、装置は、さらに、1つ以上の媒体容器、および、随意的に、媒体容器から移送されつつある媒体の量を測定するように構成された、1つ以上の媒体分配要素を含むことができる。いくつかの実施形態において、装置は、さらに、分配された媒体を1つ以上の媒体出口に移送する、1つ以上の漏斗またはチューブを含む。媒体出口は媒体を、所望のセットのタブレットと同一の受け器に、または追加の媒体受け器に、分配することができる。
【0921】
いくつかの実施形態において、装置は、さらに、水溶液を含み、前記少なくとも活性剤を含む区画の少なくとも一部と連通する、少なくとも1つの追加の容器を含み、この装置は、ある種の前記タブレットを前記水溶液に接触させて、所定量の前記媒体を生成するように構成される。
【0922】
媒体容器の選択の案内および本発明による装置に適する分配の原理は、タブレット容器について先に述べたとおりであるが、関連する化学反応性および粘度の液体を、測定可能な態様で保存し分配するのに必要な適当な調整を伴う。たとえば、媒体はピストンシリンダーシステムまたはポンプを使用して分配することができる。いくつかの実施形態において、液状媒体は、乾燥したタブレット出口から離れた出口を通して配送される。いくつかの実施形態において、液状媒体は、タブレット出口を通して配送され、たとえば、タブレットが通って装置出口に至る1つ以上の漏斗またはチューブに、液状媒体が流れ通って注ぐ1つ以上のチューブまたは漏斗によって、配送される。
【0923】
いくつかの実施形態において、複数の容器は、1つのタブレット容器が1種類のタブレットを含むように別個に収容された、2つまたは3つのタブレットを含む。分配装置は、2つ以上のタブレットの特定の組み合わせが分配されるように操作され、これにより、ケラチン繊維を処理する組成物を形成するための所望の組み合わせを提供する。組成物は、各々異なる容器から分配される、所定かつ所望の組み合わせの2種以上のタブレットを含むであろう。
【0924】
いくつかの実施形態において、容器はすべて色付与剤を含み、これらは、色付与剤の所定のコレクションを提供するように分配される。
【0925】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの種類の、随意的にすべての種類のタブレットは、本明細書に記載の速崩壊タブレットである。
【0926】
いくつかの実施形態において、1つ以上の種類のタブレットは、酸化剤、アルカリ化剤および/または増粘剤を含む。
【0927】
このようなタブレットは、それ自体で(たとえば、漂白組成物の形成に)、または、色付与剤を含むタブレットもしくは何らかの他の形態の色付与剤と組み合わせて、使用することができる。
【0928】
上記タブレットのいずれも、水性媒体と共に分配する、またはそうでなければ混合することができ、この水性媒体は、単に水性希釈剤であり得、または所望の処理を行うための補完活性剤を含み得る。
【0929】
図46は、
図40の媒体分配器210および受け器212の部品を、より詳細に示す。媒体分配器210は、漏斗形状の媒体容器580を含み、分配機構582も有する。
【0930】
媒体分配器210は、媒体容器580の媒体を分配する分配機構582を含んでよい。分配機構582は、容器580から媒体を押し出すピストン(不図示)を含んでもよい。ピストンは、空気圧、電動モーターまたは電磁気もしくは磁気を用いて駆動されてよい。ピストンは、容器の一部であっても、なくてもよい。これに代えて、媒体は、ピストンに援助されてではなく、空気圧によって、または重力作用によって、容器から分配されてよい。
【0931】
媒体分配器は、また、媒体の分配を制御し、媒体容器に取り付けてよい媒体弁、および、空気圧操作の場合に容器が常に加圧されるように維持する一方向弁584、を含んでよい。電気的、空気圧的または電磁気的方法で媒体弁を駆動する弁駆動装置が使用されてよい。
【0932】
特定の媒体容器を媒体弁および/または弁駆動装置のごく近傍に運ぶ機構を組み込むことによって、単一の媒体弁および/または単一の弁駆動装置が、すべての容器から媒体を分配するために使用されてよい。一実施形態において、容器は、円状に配置されて、容器配列581(
図45を参照)を回転させる電動モーターを使用して、媒体弁および/または弁駆動装置のごく近傍に運ばれてよい。
【0933】
媒体容器580は、プラスチック、ガラス、金属または他の適する材料で構成されてよい。媒体容器580は、たとえば、大気ガスが容器内に浸透するのを妨げ、媒体ガスが容器から漏れるのを妨げ、容器および/またはクリームを容器と媒体との間に起きる化学反応から保護し、UV光を妨げ、媒体が容器内部に残留することを防止する、ことを可能にする、いくつかの材料層を含んでよい。加えて、分配動作を容易にし、媒体容器内で媒体が自由に流動して、容器内部に媒体が残留しないようにするために、媒体容器の内部は、油で、好ましくは濃化油で被覆されてよい。
【0934】
媒体分配器は、また、置換可能な容器が使用者によりその適正位置に正しく配置されていない場合に、その動作を妨げて、装置の誤動作を防止するための防止機構を含んでよい。
【0935】
媒体容器580は、容器から媒体を分配するための、当技術分野で公知の組み込み噴霧器機構、または、何らかの他の組み込み分配機構を含んでよい。
【0936】
媒体容器は、置換可能であってもよく、固定でもよい。置換可能な容器が使用される場合、特定の容器が正しくない位置に誤って配置される可能性を低減するために、容器認識手段が使用されてよい。容器認識手段は、たとえば、光学手段、RFID手段および幾何手段を含んでよい。
【0937】
媒体弁は、使用中の媒体に適する、当技術分野で公知のあらゆる種類の弁であってよい。好ましくは、弁は、噴霧器弁たとえば粘稠な材料に適する高配送弁、であってよい。
【0938】
装置は、また、分配された媒体の用量の正確性をさらに高めるために、評量ユニットを含んでよい。このようなユニットは、分配された媒体の用量のリアルタイムの閉ループ制御を可能にするかも知れない。
【0939】
装置は、また、装置を操作するための、キーボード、マウス、スクリーン、タッチスクリーンおよびプリンターなどの、当技術分野で公知の入力/出力装置を含んでよい。
【0940】
媒体分配器は、媒体弁に残った媒体残留物を除去する手段を含んでよい。このような手段は、媒体弁の周りに空気ジェットを生成する手段、たとえば、空気圧システムに接続された対向する2つの空気ノズル、であってよい。代替の構成は、媒体弁の近傍で動くことにより媒体残留物を除去するように配置された、張設ワイヤーを含む。
【0941】
媒体分配器は、分配機構を駆動するための、空気圧システムを含んでよい。空気圧システムは、ポンプ、圧縮機、電気制御空気弁、一方向(無逆流)空気弁、空気容器、空気チューブ、および圧力表示器を含んでよい。
【0942】
媒体分配器およびタブレット分配器は、上下に重ねて、横に並べて、または、他のあらゆる適する態様で、配置してよい。これらは、強固に接続し、緩く接続し、または完全に分離してよい。これらは、同一の物理位置の受け器を共有し、異なる物理位置の受け器を共有し、または受け器を共有しなくてよい。
【0943】
媒体および所望のセットのタブレットは、手作業で混合することが可能であり、あるいは、装置は、さらに、所望のセットのタブレットを、自動でまたは手作業で分配された媒体と機械的に混合することが可能な、混合手段を含むことができる。混合は、タブレットと媒体とを含む受け器内での羽根車の回転により、混合すべき処方を含む受け器に振動または揺動運動を加えることにより、または、他のあらゆる好適な混合法により、行うことができる。
【0944】
混合ユニットは、着色混合物に浸された羽根車を駆動する駆動ユニット含んでよい。これに代えて、駆動ユニットは、着色混合物を含む受け器を駆動してもよい。駆動ユニットは、電動モーター、磁力または電磁気力を含んでよい。電磁気力の使用は、駆動ユニットを羽根車および/または受け器に直接接触させることなく、混合動作を可能にし、したがって、混合ユニットを簡素にする。
【0945】
駆動ユニットは、羽根車および/または受け器が、その中心の周りに回転する回転動作を提供するユニットを含んでよい。駆動ユニットは、また、羽根車および/または受け器が、受け器の中心または他の中心の周りに回転する円運動を提供するユニットを含んでよい。駆動ユニットは、また、羽根車および/または受け器の直線運動、たとえば垂直運動を提供するユニットを含んでよい。
【0946】
混合ユニットは、また、必要な場合、媒体と組み合わせる前または後に、タブレットを破砕するまたは挽くためのユニットを含んでよい。
【0947】
羽根車は、必要な混合動作を達成するように特に設計することができる。調製される特定の着色混合物当たり、数種類の羽根車が使用されてよい。たとえば、羽根車は、着色混合物を毛髪に適用するのに使用される、適用用具(たとえば、ブラシ)を含んでよい。受け器は、着色混合物の手作業調製に現在広く使用されている容器に適合するように、設計されてよい。
【0948】
随意的に、本発明の種々の実施形態による装置は、さらに、媒体中でタブレットが崩壊する速度を高め得る温度に、タブレットおよび/または媒体を加熱し、したがって、混合時間を減少させる、加熱要素を含むことができる。
【0949】
随意的に、本発明の種々の実施形態による装置は、たとえば湿気、酸素およびUV光を含む分解因子への時期尚早の曝露を減少させまたは防止しながら、タブレットを分配することができる。
【0950】
装置およびその部品は、所望の目的に適する常套のあらゆる材料で作成することができる。たとえば、それらは、ガラス、たとえばアルミニウム、銅、鉄およびステンレス鋼などの金属または合金、ならびに、Teflon(登録商標)などのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をはじめとするハロゲン含有ポリマー、Perspex(登録商標)などのポリメチルメタクリレート(PMMA)をはじめとするポリアクリレート、Delrine(登録商標)などのポリオキシメチレン(POM)をはじめとするポリオキシレンアルキレン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルクロライド(PVC)、およびこれらの混合物などの可塑性ポリマー、などのあらゆる適する材料で作成することができる。
【0951】
タブレットを収容するまたはタブレットが通って分配される装置の部品(たとえば、容器、接続部品、チューブ、漏斗、出口など)は、さらに、酸素バリアを含むことができる。好適な酸素保護は、これらの部品の製造に、酸素の透過性が低いないしは皆無の材料を使用することにより、達成することが可能である。たとえば、金属およびガラスは、一般に、ガス透過性が低い。可塑性ポリマーについては、それらの結晶性、密度、重合および共重合のレベル、ならびに分子量が、それらのガス透過性に影響し得、これらのパラメータは、酸素の透過性の低減を達成するように選択することができる。これに代えてまたは加えて、材料は、同様に、湿気の透過性が低いないしは皆無であるように、もしくは、目的の因子に対して、他のあらゆる所望の透過性を有するように、または、それらを欠くように、選択してよい。
【0952】
これに代えてまたは加えて、タブレットの収容または配送に関わる装置の部品は、機密の態様で、相互に接続することが可能であり、容器ならびに/またはチューブならびに/または漏斗ならびに/または出口(タブレットおよび/もしくは装置)は、たとえば、随意的に制御された態様で、タブレットの実際の分配中にのみ開く、一方向弁で密封することができる。好適な一方向弁には、たとえば、逆止め弁、クラッパー弁(clapper valve)および洗浄弁(通常、閉位置にあるときに、関連する出口上に位置するレバー付きの(leverable)ボール状封止具)が含まれる。加えて、すべての前記部品、またはそれらの一部の間の接続は、外部から封止剤で固定してよい。随意的に、装置出口および受け器は、気密的取り付けおよびタブレット分配を可能する連結部を含み得る。
【0953】
他の実施形態において、容器およびタブレットの配送に関与する装置の部品は、光への曝露(たとえば、筺体に包囲され、または、UV遮断性もしくは遮光性または不透明の材料で作成される)から保護され、または、さらに、UV光遮断材を含む。上述の可塑性ポリマーの多くは、この問題に対処する等級を有する。たとえば、Perspex(登録商標)のVAおよびVE等級は、全UV放射の99%以上を遮断する。
【0954】
加えて、1つ以上の前述の保護は、組み合わせることが可能である。たとえば、容器(および、タブレットが通って配送される装置の関連部品)は、UV光遮断剤を含み湿気透過性が低く酸素不透過性の材料で作成され、さらにその本体内に乾燥剤を含んでよい。
【0955】
装置は、カスタム着色処方の調製に関与するパラメータの入力を可能にするユーザインターフェイス、所望の着色を得るのに必要な基本色調を含むタブレットの種類および数を評価するためのデータベースまたはアルゴリズム、ならびに、適当な各容器からのタブレットおよび/または媒体の分配を自動化するシステム、を含む1つ以上のコンピュータシステムを含むことができる。カスタム着色処方の調製に関与するパラメータには、たとえば、着色されるべき繊維の初期色に関する情報、望まれる最終色、繊維の個々の特徴、基本色調のタブレット当たりの色付与剤の濃度、適する媒体または対応する速崩壊媒体タブレットの強度などが含まれる。たとえば、ヒトの毛髪の場合、関連し得るケラチン繊維の個々の特徴には、毛髪の種類(たとえば、ヨーロッパ人、アジア人、アフリカ人など)、一般的な毛髪の風合い(たとえば、直毛、ウェーヴ毛、巻き毛、もしくは縮れ毛など)、および、個々の繊維の風合い(細いもしくは硬いなど)、毛髪が人工的に着色されていない(天然のままである)か、あるいは既に全体的にまたは部分的に着色されているか、ならびに、乾燥した、通常のもしくは油っぽいなどの毛髪の種類、ならびに、毛髪が傷んでいるかも知れないという事実、などの他のパラメータが含まれる。追加の関連情報は調製されるべき着色処方の量に関し、この量は個々の対象ごとに変動するかも知れない。たとえば、少ない量の処方は、長い毛髪よりも短い毛髪に、または、ヒトではないもののケラチン繊維(たとえば、動物の毛皮またはウール)の着色よりもヒトの毛髪の着色に、必要とされる。
【0956】
追加の選択肢は、容器中で調製された着色混合物を調べて、分配器の信頼性をさらに高める(たとえば、アルカリ化剤および/または酸化剤の用量が多すぎることを許容しない)PH試験機を備えることである。
【0957】
追加の選択肢は、容器中で調製された着色混合物を測定して、分配器の信頼性をさらに高める(たとえば、特定の着色タブレットが含まれていないことを許容しない)毛髪読み取りシステムまたは他の分光測定装置を備えることである。
【0958】
所望の着色を得るのに必要な基本色調タブレットの種類および数を評価することは、着色すべき繊維の初期色および最終色を、(たとえば、それらのそれぞれの反射スペクトルに基づいて)色座標表現に変換することによって行うことができる。色座標表現には、CIELAB, CIELUV, CIExyY, CIEXYZ, CMY, CMYK, HLS, HSI, HSV, HVC, LAb, LCC, NCS, PhotoYCC, RGB, Y'CbCr, Y'IQ, Y'PbPrおよびY'UVが含まれる。CIELABシステムは、Labシステムとも呼ばれ、毛髪着色において普通に使用されているが、存在するまたはこの目的のために開発されるかもしれない他のあらゆる色座標が、好適に使用し得る。各基本色調の1つのタブレットの色座標表現への正または負の寄与を知ることで、その寄与が直線的であるか非直線的であるかにかかわらず、初期の色座標から中間の座標表現への予測される色の変化を、計算することができる。このステップは、計算された中間の色座標表現と所望の色座標表現との差が最小になるまで、同じまたは異なる基本色調のタブレットについて繰り返される。換言すれば、計算過程の最後のステップは、計算した色と所望の色との「距離」を表すデルタ−E(dE)数が最小になったときに、到達される。5またはそれ以下のデルタ−Eが許容可能であると考えられ、1未満のデルタ−Eが、一般に、ヒトの目には気付かれないと考えられている。着色に酸化剤もしくは漂白剤または媒体の使用が含まれる場合、個々の対象の初期の色座標は、もしある場合には、天然色素が失われることを考慮して補正されるであろう。アルカリ化剤および増粘剤は、繊維の浸透性および脱色または着色の効果に影響するかも知れない。好ましくは、最終着色処方に存在するときの各活性剤の寄与が、上述の計算において考慮される。本方法は、タブレットの所望のセットを得るために、分配されるべき基本色調の量および組み合わせを提供することが可能である。
【0959】
初期色および最終色への色座標の割り当ては、最も近い可能な色の既知の座標の、適当なデータベースまたはカタログから視覚で選択することにより、手作業で行うことができる。これに代えて、初期色および最終色への色座標の割り当ては、自動的に行うこともできる。この目的のために、装置は、さらに、毛髪読み取りシステムとも呼ばれる、色測定システムを含むことが可能である。有利には、毛髪読み取りシステムは、着色する繊維の個々の特徴を考慮することができる。たとえば、より細い毛髪またはより薄い初期色調を有する個体は、より太い毛髪またはより濃い初期色調を有する個体よりも、必要とする色付与剤の量が少ないかも知れない。着色する繊維の個々の特徴を考慮するという随意的な能力は、望ましい色結果が得られる確からしさを増す。
【0960】
これに代えてまたは加えて、毛髪読み取りシステムは、着色すべき毛髪のスペクトル反射を測定することが可能であり、望ましい色結果が得られる確からしさをさらに増す。スペクトル範囲は200nm〜1300nm、好ましくは300nm〜1100nm、好ましくは380nm〜970nmであり得る。測定分解能は、1nm〜200nm、好ましくは2nm〜10nm、好ましくは4nmであり得る。
【0961】
装置は、さらに、容器のカートリッジの取り付けまたは充填から消費されたタブレットの量および/または媒体を監視することを可能にする、コンピュータシステムを含むことができる。このような監視システムは、所与の種類のタブレットの残量が、交換または最充填のための備蓄が利用可能であることを必要とする臨界レベルに達したときに、警告を発することを可能にする。臨界レベルは、タブレットの種類ごとに個別に(たとえば、着色処方における基本色調のタブレットの平均量の10倍に)設定することができ、または、すべてのタブレットについて一様に(たとえば、100タブレットまたは500タブレットなどに)設定することができる。
【0962】
装置は、さらに、望ましい情報を記憶しおよび/または伝達する、記憶および/または接続手段を含むことができる。たとえば、装置は、将来の使用のために、特定の顧客に望まれる着色処方を提供するタブレットのセットに関する情報を、記憶することができる。このような情報は、顧客が通う各美容室または小売店にて個別に、または、所在地にかかわらず各装置から接続可能な外部データベースにて集中的に、記憶することが可能である。特定の顧客に関する個別の所在地からのこのような接続性は、さらに、着色処方の再現性を向上させ、または、顧客が望む毛髪色が変わった場合に、所望の色結果が得られる可能性を高めることを可能にする。装置は、また、所望の情報を携帯式記憶システムに(たとえば、顧客のUSBキーまたはワイプカードに)記憶することができる。
【0963】
装置のコンピュータシステムの接続性は、美容室または小売店の「内部」のユニットに、または、前記所在地の外部のユニットに、接続可能であることであり得る。たとえば、消費/残存タブレットの量を監視するシステムは、内部の購買システムに接続して、警告を発し、および/または、新たな在庫品の供給者に直接発注する、ことができる。このような接続性(たとえば、受信機−送信機を介する)は、他のあらゆる目的に、たとえば料金請求の目的に、役立つ。
【0964】
本発明による装置は、また、装置の電子部品を支持し電気的に接続する少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)、および、従来のあらゆる部品(たとえば、送電網への接続器)を含んでよい。
【0965】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の装置は、上記で詳細に説明したように、計算ユニットに接続される。
【0966】
いくつかの実施形態において、装置は、上記で詳細に説明したように、光学読み取り器に接続される。
【0967】
タブレットの組み合わせの選択:
以下において、タブレットへの言及には、酸化剤およびアルカリ化剤の濃度、漂白時間および処理時間、ならびに着色処理の他のパラメータとともに、タブレットの組み合わせが含まれる。
【0968】
本明細書に記載のいずれの方法および装置においても、タブレットの組み合わせは、一般に、次のように実施され得る:初期色およびケラチン繊維(たとえば、毛髪)の状態を確立し、次いで、望まれるカスタマイズされた色、または個々の対象に適する他の処理を選択する。カスタマイズされた処理は、使用者が、最終色調のコレクションから、または望むとおりに、選択することができる。システムは、次に、顧客が望む繊維の処理に、組み合わせにおいて適するタブレットの量を決定することになる。
【0969】
前記初期色の確立には、初期反射スペクトルの測定が含まれてよい。カスタマイズされた色の選択には、カスタマイズされた色の反射スペクトルを決定することが含まれてよく、両反射スペクトルは個別に色座標表現に変換されてよい。
【0970】
使用するタブレットの量は、初期反射スペクトルに、1つの基本色調の1つのタブレットの正または負の寄与を加えて、中間の計算色座標表現を得ることによって決定してよい。次いで、中間の計算色と所望の色との色座標表現の差が最小になるまで、同じまたは異なる基本色調のタブレットについてその計算を繰り返してよい。
【0971】
決定は、アルカリ化剤、酸化剤または増粘剤などの活性剤の、計算色座標表現への、正および/または負の寄与を考慮して行ってよい。
【0972】
選択は、ケラチン繊維の個々の特徴の寄与に基づいてなされてよい。
【0973】
選択は、コンピュータ実装システムによって行われてよい。
【0974】
測定は、光学毛髪測定装置または毛髪読み取り器によって行われてよい。毛髪読み取り器は、毛髪を照明する照明ユニット、および、照明の間に毛髪を光学的に測定する少なくとも1つのセンサーを含む測定ユニットを含んでよい。センサーおよび照明ユニットからの光束は、測定中の毛髪での光拡散角をそれぞれ規定してよく、これにより、センサーは、確実に、毛髪によって拡散または散乱された光を主として測定する。
【0975】
毛髪読み取り器は、主照明源および副照明源、ならびに、種々の照明からの照明結果の差異を使用して、主照明源に対する毛髪の角度を決定する処理電子機器を含んでよい。
【0976】
主照明源は分光に使用されてよく、副照明源は角度測定に使用されてよい。
【0977】
センサーは、電磁波スペクトルの可視部分および近赤外部分に感度を有する。
【0978】
ここで、毛髪読み取り器が色予測部に入力を提供し、次に、色予測部が、分配器を制御して、所望の色を達成するために必要な染料を分配させる、実施形態を表す簡略化したダイヤグラムである
図47を参照する。
【0979】
図47において、毛髪読み取り器600は、光の正反射および散乱に特に注目して毛髪を読み取る。これは、前述のように、これらが毛髪の状態について広範な情報を提供するからである。さらに、前述のように、可視スペクトルを超えて情報が得られる。
【0980】
使用者は、ユーザ入力装置602を通じて、特定の最終結果、つまり所望の毛髪色を要求する。
【0981】
色予測システ
ムは、こうして、使用者の要求を受け、種々の波長での使用者の毛髪の状態についての詳細な情報を得る。これで、色予測システムは、異なる染料混合物が使用者の毛髪に適用された場合に、上述の方法を使用して、結果の色を予測することが可能になる。
【0982】
使用者の望む色を示す予測の染料混合物が見つかると、色予測モジュールは、分配器60
4に指示を出力して、必要なタブレットおよび媒体を分配し、その染料を調製させる。
【0983】
V.ケラチン繊維を処理する方法:
本発明の実施形態の他の特徴によると、本明細書に記載のケラチン繊維を処理する方法が提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つの活性剤(たとえば、本明細書に記載のタブレット)を含む少なくとも1つのタブレットを、水性媒体(たとえば、本明細書に記載の水性媒体)中で崩壊させ、これにより、少なくとも1つの色付与剤を含む組成物を得ること、および、この組成物をケラチン繊維に、所望の色を提供するのに適する時間にわたって、接触させることを含む。
【0984】
いくつかの実施形態において、本方法は、繊維の色を薄くするのに十分な時間、繊維を漂白媒体に接触させることを含む。いくつかの実施形態において、漂白媒体に接触させることは、たとえば、所望の色が着色組成物により付与されるのを妨げるかも知れない初期色(たとえば、天然色素)を低減または排除するために、着色組成物を繊維に接触させることに先だって行われる。
【0985】
漂白媒体は、随意的に、本明細書に記載の漂白剤を含んでよい。
【0986】
いくつかの実施形態において、漂白媒体は、漂白剤を含む少なくとも1つのタブレット(たとえば、本明細書に記載のタブレット)を、水性媒体(たとえば、本明細書に記載の水性媒体)中で崩壊させることにより、調製される。
【0987】
いくつかの実施形態において、本方法は、さらに、色付与剤を含むタブレットを、アルカリ化剤、酸化剤および増粘剤で構成される群から選択される少なくとも1つの活性剤、たとえば本明細書に記載の活性剤と、混合することを含む。このような混合は、色付与剤を含むタブレットを崩壊させる前、間、および/または後に行われてよい。
【0988】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのアルカリ化剤と混合することは、アルカリ化剤を含む少なくとも1つのタブレット(たとえば、本明細書に記載のタブレット)を、水性媒体(たとえば、本明細書に記載の水性媒体)中で崩壊させることにより、実施される。いくつかの実施形態において、水性媒体は、色付与剤を含むタブレットを崩壊させる媒体と同じ媒体である。
【0989】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの酸化剤と混合することは、酸化剤を含む少なくとも1つのタブレット(たとえば、本明細書に記載のタブレット)を、水性媒体(たとえば、本明細書に記載の水性媒体)中で崩壊させることにより、実施される。いくつかの実施形態において、水性媒体は、色付与剤を含むタブレットを崩壊させる媒体と同じ媒体である。
【0990】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの増粘剤と混合することは、増粘剤を含む少なくとも1つのタブレット(たとえば、本明細書に記載のタブレット)を、水性媒体(たとえば、本明細書に記載の水性媒体)中で崩壊させることにより、実施される。いくつかの実施形態において、水性媒体は、色付与剤を含むタブレットを崩壊させる媒体と同じ媒体である。
【0991】
いくつかの実施形態において、色付与剤を含むタブレットは、少なくとも1つのアルカリ化剤および適する担持体(たとえば、本明細書に記載の水性媒体)を含むアルカリ化媒体と混合される。アルカリ化媒体は、随意的に、本明細書に記載の少なくとも1つのタブレットを崩壊させることにより、調製されてよい。いくつかの実施形態において、アルカリ化媒体におけるアルカリ化剤の濃度は、0.1〜15重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、アルカリ化媒体は、色付与剤を含むタブレットを崩壊させる媒体と、本質的に同じある。
【0992】
いくつかの実施形態において、色付与剤を含むタブレットは、少なくとも1つの酸化剤および適する担持体(たとえば、本明細書に記載の水性媒体)を含む酸化媒体と混合される。酸化媒体は、随意的に、本明細書に記載の少なくとも1つのタブレットを崩壊させることにより、調製されてよい。いくつかの実施形態において、酸化媒体における酸化剤の濃度は、0.5〜25重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、酸化媒体は、色付与剤を含むタブレットを崩壊させる媒体と、本質的に同じある。
【0993】
いくつかの実施形態において、酸化媒体は、市販の過酸化水素溶液である。たとえば、3%,6%,9%,12%および24%の過酸化水素の溶液が市販されており、たとえば、本発明の実施形態による酸化媒体としての使用に適している。いくつかの実施形態において、酸化媒体は、前述の市販の過酸化水素溶液(たとえば、24%溶液)を、適当な量の担持媒体(たとえば、水)を用いて、所望の濃度に希釈することによって得られる。
【0994】
いくつかの実施形態において、色付与剤を含むタブレットは、少なくとも1つの増粘剤および適する担持体(たとえば、本明細書に記載の水性媒体)を含む増粘媒体と混合される。増粘媒体は、随意的に、本明細書に記載の少なくとも1つのタブレットを崩壊させることにより、調製されてよい。いくつかの実施形態において、増粘媒体は、色付与剤を含むタブレットを崩壊させる媒体と、本質的に同じある。
【0995】
本明細書に記載の、タブレットと適する媒体との混合は、色混合の技術分野において公知のあらゆる技術で、行われてよい。混合が手作業で行われる場合、この過程は、たとえば、へら、ブラシ、スプーンまたは他の適する用具で、行うことができる。混合が機械的に行われる場合、そのような混合は、たとえば、混合すべき媒体内で羽根車を回転されるにより、混合すべき組成物を収容した受け器に振動または揺動運動を加えることにより、または、他の適する方法により、行うことができる。
【0996】
いくつかの実施形態において、最終着色組成物は、適切な媒体へのタブレットの添加から10分以内に、繊維への適用に適する均一度にまで混合される。最終着色組成物は、適切な媒体へのタブレットの添加から5分以内に、繊維への適用に適する均一度にまで混合される。
【0997】
いくつかの実施形態において、色付与剤を含むタブレットは、少なくとも1つの酸化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)と混合され、得られた混合物は、次に、少なくとも1つのアルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)と混合される。
【0998】
いくつかの実施形態において、色付与剤を含むタブレットは、少なくとも1つのアルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)と混合される。いくつかの実施形態において、アルカリ化剤を含む得られた混合物は、次に、少なくとも1つの酸化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)と混合されて、アルカリ化剤および酸化剤を含む着色組成物が得られ得る。いくつかの実施形態において、前記得られた混合物は、次に、(たとえば、担持媒体と混合することにより)酸化剤を含まない着色組成物(たとえば、酸化染料なしでの着色のため)を調製するために使用される。
【0999】
いくつかの実施形態において、色付与剤を含むタブレットは、少なくとも1つの酸化剤および少なくとも1つのアルカリ化剤と、同時に混合される。たとえば、色付与剤を含むタブレットは、随意的に、酸化媒体(たとえば、本明細書に記載のもの)およびアルカリ化媒体の両方である媒体と、混合される。
【1000】
利便性のために、アルカリ化媒体および酸化媒体が使用されるいくつかの実施形態において、それぞれの媒体におけるアルカリ化剤および酸化剤の濃度は、1体積の酸化媒体が1体積のアルカリ化媒体との使用に適する濃度である。
【1001】
同様に、酸化媒体なしでアルカリ化媒体が使用される(たとえば、酸化剤が使用されないときの)いくつかの実施形態において、アルカリ化媒体におけるアルカリ化剤の濃度は、着色組成物におけるアルカリ化剤の所望の濃度を得るために担持媒体の添加を必要としない濃度であり、または、1体積のアルカリ化媒体に1体積の担持媒体を添加することによりそのような所望の濃度が得られる濃度である。
【1002】
媒体中の活性剤の濃度が適宜調整される限り、追加の体積比(たとえば、高い漂白が必要な場合、2体積の酸化媒体につき1体積のアルカリ化媒体)が使用されてよいことを理解されたい。
【1003】
いくつかの実施形態において、増粘剤は、他のすべての活性剤が混合された後に、組成物の他の含有物を混合される。いくつかの実施形態において、増粘剤は、少なくともいくつかの他の活性剤と同時に混合されるが、増粘剤が加えられた後に活性剤が加えられることはない。このような順番は、含有物の混合において過大な粘度による妨害が生じるのを避けるのに、有用であるかも知れない。
【1004】
いくつかの実施形態において、増粘剤は、適当な条件により引き起こされた後にのみ、実質的な増粘作用を示す。たとえば、いくつかの増粘剤は、適するpHにおいてのみ実質的な増粘作用を示す。そのような増粘剤の増粘作用は、したがって、pHを適切なpHに調整することによって、引き起こされる。
【1005】
いくつかの実施形態において、増粘剤はpH感受性であり、その増粘作用は、増粘剤を含む比較的粘稠でない組成物に、本明細書に記載のものなどのアルカリ化剤を加えること、たとえば、アルカリ化媒体(たとえば、本明細書に記載のもの)を加えることにより、および/または、アルカリ化剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含む1つ以上のタブレットを加えることにより、引き起こされる。アルカリ化剤の添加で、比較的粘稠な組成物となる。
【1006】
いくつかの実施形態において、増粘剤の増粘作用は、他のすべての活性剤が混合された後に引き起こされる。いくつかの実施形態において、増粘剤の増粘作用は、少なくともいくつかの他の活性剤と同時に引き起こされるが、増粘剤の増粘作用が引き起こされた後に活性剤が混合されることはない。引き起こしのこのようなタイミングは、含有物の混合において過大な粘度による妨害が生じるのを避けるのに、有用であるかも知れない。
【1007】
よって、引き起こしがアルカリ化剤によってなされるいくつかの実施形態において、アルカリ化剤は、他のすべての活性剤が混合された後に、組成物の他の含有物と混合され、および/または、少なくともいくつかの他の活性剤と同時に混合されるが、アルカリ化剤が加えられた後に活性剤が混合されることはない。
【1008】
いくつかの実施形態において、増粘剤を含む比較的粘稠でない(たとえば、引き起こし前の)組成物は、増粘剤が実質的な増粘作用を示さない程度に十分に酸性である。このような組成物は、本明細書に記載の媒体(たとえば、酸化媒体)の形態であってよい。いくつかの実施形態において、「十分に酸性」とは、6未満のpHである。いくつかの実施形態において、「十分に酸性」とは、5未満のpHである。いくつかの実施形態において、「十分に酸性」とは、4未満のpHである。いくつかの実施形態において、「十分に酸性」とは、3未満のpHである。
【1009】
いくつかの実施形態において、色付与剤、酸化剤および増粘剤を含む混合物を得るために、色付与剤を含むタブレットは、少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つの増粘剤、および適する担持体(たとえば、本明細書に記載の水性媒体)を含む酸化媒体と混合される(たとえば、その中で崩壊させられる)。この酸化媒体は、随意的に、本明細書に記載のように、酸化剤を含む少なくとも1つのタブレット、および/または、増粘剤を含む少なくとも1つのタブレット、を崩壊させることにより調製されてよい。いくつかの実施形態において、粉末および/または懸濁液(たとえば、水性懸濁液、非水性懸濁液)の形態の増粘剤が、本明細書に記載の酸化媒体に加えられる。
【1010】
いくつかの実施形態において、酸化媒体は、増粘剤が実質的な増粘作用を示さない程度に十分に酸性(たとえば、本明細書に記載のように)である。いくつかの実施形態において、色付与剤、酸化剤および増粘剤を含む混合物は、増粘剤が実質的な増粘作用を示さない程度に十分に酸性(たとえば、本明細書に記載のように)のままである。
【1011】
いくつかの実施形態において、アルカリ化剤は、他の活性剤を含む前述の混合物と混合されて、適切なpH、テクスチュアおよび粘度(たとえば、本明細書に記載のもの)を有する増粘された着色組成物が得られる。いくつかの実施形態において、アルカリ化剤の添加は、アルカリ化媒体(たとえば、本明細書に記載のもの)を前記混合物に加えることによりなされる。例示的な実施形態において、アルカリ化媒体は、注ぐことが可能な稠度を有する(たとえば、ローション、注ぎ得るクリーム)。
【1012】
例示的な実施形態において、アルカリ化媒体および酸化媒体における活性剤の濃度は、増粘剤を有するアルカリ化媒体および酸化媒体が、1:1の体積比で提供されるように選択される。
【1013】
いくつかの実施形態において、酸化媒体における増粘剤の濃度は、0.1〜10重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、酸化媒体における増粘剤の濃度は、0.2〜7重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、酸化媒体における増粘剤の濃度は、0.2〜5重量%の範囲内である。
【1014】
酸化媒体に含めるのに適する増粘剤の例には、以下のものに限定されないが、アクリレートポリマーおよびそのコポリマー、アクリレート誘導体ポリマーおよびそのコポリマー、ポリビニルピロリドンおよびそのコポリマー、ならびに、ポリビニルピロリドン誘導体およびそのコポリマーが、含まれる。「誘導体」には、アクリレートまたはPVP骨格ユニットの少なくとも一部が1つ以上の置換基で置換されたポリマーが包含される。
【1015】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの色付与剤を(たとえば、混合後に)含む組成物におけるアルカリ化剤の濃度は、10重量%以下である。
【1016】
いくつかの実施形態において、アルカリ化剤はアンモニウムを含み、組成物におけるアルカリ化剤の濃度は0.5〜5重量%の範囲内である。いくつかの実施形態において、前記濃度は1〜3重量%の範囲内である。
【1017】
いくつかの実施形態において、アルカリ化剤の量は、最終の着色組成物のpHが7.0〜11.5の範囲内であるように選択される。いくつかの実施形態において、前記pHは7.5〜10.0の範囲内である。
【1018】
着色組成物におけるアルカリ化剤の濃度、およびそのpHは、その組成物で得られる着色の永続性に影響するかも知れない。
【1019】
いくつかの実施形態において、アルカリ化剤の量は、最終の着色組成物のpHが7.0〜8.0の範囲内であるように選択され、この着色組成物は一時的な着色用である。
【1020】
いくつかの実施形態において、アルカリ化剤の量は、最終の着色組成物のpHが8.0〜9.0の範囲内であるように選択され、この着色組成物は半永続的(semi-permanent)および/または半永続的(demi-permanent)な着色用である。
【1021】
いくつかの実施形態において、アルカリ化剤の量は、最終の着色組成物のpHが9.0を超えるように選択され、この着色組成物は永続的な着色用である。
【1022】
組成物を繊維に適用した後に組成物のpHが変わるかも知れないので、本明細書に記載のpH値は適用前の組成物のpHを指す。
【1023】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの色付与剤を(たとえば、混合後に)含む組成物における酸化剤の濃度は、10重量%以下である。
【1024】
酸化剤が過酸化水素であるいくつかの実施形態において、組成物における酸化剤の濃度は、1〜6重量%の範囲内である。
【1025】
着色組成物における酸化剤の濃度は、所望の種類の着色に適するように選択されてよい。いくつかの実施形態において、一時的な着色用の組成物に酸化剤は使用されない。
【1026】
加えて、酸化剤の濃度は、初期色および所望の色に依存するかも知れない。たとえば、濃い色の繊維を薄い色で着色するときは、薄い色の繊維を濃い色で着色するときよりも、低い濃度が使用されるかも知れない。いくつかの実施形態において、濃い色の繊維を薄い色で着色するときは、酸化剤は使用されない(たとえば、色付与剤が酸化染料でないとき)。
【1027】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの色付与剤を含む組成物におけるアルカリ化剤の濃度および酸化剤の濃度は、各々、10重量%以下である。
【1028】
いくつかの実施形態において、混合される含有物およびその量は、得られる着色組成物が、組成物と繊維との接触時間を十分にするのに適する粘度により特徴づけられ、これにより着色が容易になるように、選択される。
【1029】
着色組成物の好適な粘度は、増粘剤の適する量(存在する場合)、固体状含有物に対する液状媒体の適する割合、および/または、組成物を調製するのに使用される1つ以上の媒体の適する粘度、を選択することにより得られるかも知れない。
【1030】
好適な粘度は、意図する着色の種類に依存するかも知れない。たとえば、効果的な永続的着色が、一般に、組成物が繊維に長時間接触し続けるような高い粘度を必要とするのに対し、一時的な着色用の組成物は、低い粘度(たとえば、「洗浄」という形態の組成物)で特徴付けられるかも知れない。
【1031】
いくつかの実施形態において、最終の着色組成物は、少なくとも50ポアズまたは少なくとも60ポアズ(温度25℃、せん断速度10s
−1にて測定)の粘度を有する。
【1032】
いくつかの実施形態において、一時的な着色用の組成物は、1ポアズ(温度25℃、せん断速度10にて測定)までの粘度を有する。
【1033】
組成物を調製するのに使用される異なる媒体(たとえば、アルカリ化媒体、酸化媒体および/または担持媒体)は、随意的に、各々、最終組成物の粘度に類似する粘度を有してよい。これに代えて、各媒体は、その媒体が混合可能で最終着色組成物の濃度が適する限り、明瞭に異なる粘度を有してよい。いくつかの実施形態において、アルカリ化媒体は酸化媒体よりも粘稠である。
【1034】
いくつかの実施形態において、本方法は崩壊性の少なくとも2つのタブレット(たとえば、本明細書に記載のタブレット)を含み、随意的に少なくとも3つの、随意的に少なくとも4つの、随意的に少なくとも5つの、随意的に少なくとも10の、随意的に少なくとも20の、随意的に少なくとも50の、随意的に少なくとも100の、随意的に少なくとも150の、および、随意的に少なくとも200のタブレットを含む。
【1035】
いくつかの実施形態において、本方法は、崩壊性の150を超えないタブレットを含み、これにより色付与剤が得られる。いくつかの実施形態において、本方法は、崩壊性の100を超えないタブレットを含み、これにより色付与剤が得られる。
【1036】
いくつかの実施形態において、本方法は、崩壊性の150を超えないタブレットを含み、これにより本明細書に記載のすべての望ましい活性剤(つまり、色付与剤、酸化剤、増粘剤、および/またはアルカリ化剤)が得られる。いくつかの実施形態において、本方法は、崩壊性の100を超えないタブレットを含み、これにより本明細書に記載のすべての望ましい活性剤が得られる。
【1037】
組成物を調製するのに使用される媒体(たとえば、本明細書に記載のアルカリ化媒体、酸化媒体および/または担持媒体)は、随意的に、さらに、追加の含有物、たとえば、フケ防止剤、消泡剤、抗酸化剤、キレート剤、調整剤、柔軟剤、乳化剤、芳香剤、フリーラジカル消去剤、ヘアケア剤、保湿剤、不快臭マスキング剤、乳白剤、パール化(pearlizing)剤、pH調整剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、ビタミン、ビタミン前駆体、および湿潤剤(たとえば、本明細書に記載のもの)を含んでよい。
【1038】
本明細書に記載のように調製される着色組成物は、随意的に、従来のあらゆる方法によって、たとえば、ブラシ、櫛、布、スポンジ、スクイーズボトル、または、着色処方のための受け器を含むアプリケータを含むアプリケータによって、毛髪に適用してよい。
【1039】
いくつかの実施形態において、ある種の一時的着色はより短い時間に達成されるが、着色組成物は、約5〜60分間、毛髪上に残される。
【1040】
着色組成物が繊維上に残される時間は、着色過程の速度に影響する温度に依存する、ということに留意されたい。いくつかの実施形態において、着色過程は、15℃〜45℃の範囲内の温度で実施されてよい。いくつかの実施形態において、ヒトの毛髪の着色過程は、室温にて10〜45分間持続する。
【1041】
タブレットの選択は次のことに基づいてよい:毛髪繊維の初期色を確立し、次いで、個々の対象に適する所望のカスタマイズされた色を選択する。カスタマイズされた色は、最終色調のコレクションから使用者が選択することができる。システムは、次に、繊維の色を顧客が望む色に変えるのに、組み合わせにおいて適するタブレットの量を決定することになる。
【1042】
前記初期色の確立には、初期反射スペクトルの測定が含まれてよい。カスタマイズされた色の選択には、カスタマイズされた色の反射スペクトルを決定することが含まれてよく、両反射スペクトルは個別に色座標表現に変換されてよい。
【1043】
使用するタブレットの量は、初期反射スペクトルに、1つの基本色調の1つのタブレットの正または負の寄与を加えて、中間の計算色座標表現を得ることによって決定してよい。次いで、中間の計算色と所望の色との色座標表現の差が最小になるまで、同じまたは異なる基本色調のタブレットについてその計算を繰り返してよい。
【1044】
決定は、アルカリ化剤、酸化剤または増粘剤などの活性剤の、計算色座標表現への、正および/または負の寄与を考慮して行ってよい。
【1045】
選択は、ケラチン繊維の個々の特徴の寄与に基づいてなされてよい。
【1046】
選択は、コンピュータ実装システムによって行われてよい。
【1047】
測定は、光学毛髪測定装置または毛髪読み取り器によって行われてよい。毛髪読み取り器は、毛髪を照明する照明ユニット、および、照明の間に毛髪を光学的に測定する少なくとも1つのセンサーを含む測定ユニットを含んでよい。センサーおよび照明ユニットからの光束は、測定中の毛髪での光拡散角をそれぞれ規定してよく、これにより、センサーは、確実に、毛髪によって拡散または散乱された光を主として測定する。
【1048】
毛髪読み取り器は、主照明源および副照明源、ならびに、種々の照明源からの照明結果の差異を使用して、主照明源に対する毛髪の角度を決定する処理電子機器を含んでよい。
【1049】
主照明源は分光に使用されてよく、副照明源は角度測定に使用されてよい。
【1050】
センサーは、電磁波スペクトルの可視部分および近赤外部分に感度を有してよい。
【1051】
いくつかの実施形態において、初期反射スペクトルを測定することは、本明細書に記載の光学読み取り器を使用して行われる。ただし、他のあらゆる毛髪読み取り器も考慮されている。
【1052】
本発明のいくつかの実施形態によると、ケラチン繊維のカスタマイズされた処理を行う方法は、
ケラチン繊維の光学的測定値を得ること;
所定の組み合わせの活性剤でケラチン繊維を処理した結果を予測し、予測に基づいて、ケラチン繊維の所望の処理を行うためのカスタマイズされた組み合わせの活性剤、および/または、活性剤を適用するカスタマイズされた条件、を選択すること;
カスタマイズされた組み合わせの活性剤を含む組成物を調製すること;および
ケラチン繊維を組成物に接触させること、によって実施される。
【1053】
いくつかの実施形態において、光学的測定値を得ることは、本明細書に記載の光学読み取り器を使用して行われる。ただし、他のあらゆる光学読み取り器も考慮されている。
【1054】
いくつかの実施形態において、予測することは、本明細書に記載の方法に従う。
【1055】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの活性剤は、タブレット(本明細書に記載のような固形製剤)として製剤され、組み合わせを選択することは、タブレットの組み合わせを選択することを含む。組み合わせを選択することは、さらに、本明細書に記載の、所望の組成物を提供するためにタブレットと混合される適切な媒体を選択することを含み得る。
【1056】
いくつかの実施形態によると、組成物を調製することは、タブレットの組み合わせを、本明細書に記載の分配装置から分配することにより行われる。
【1057】
いくつかの実施形態によると、分配装置はコンピュータ実装ユニットと連動する。
【1058】
本発明のいくつかの実施形態によると、分配装置は本明細書に記載のものである。
【1059】
これらのいずれかの実施形態において、活性剤には、本明細書に記載の色付与剤、増粘剤、酸化剤および/またはアルカリ化剤が含まれる。
【1060】
上記のいずれの特徴においても、選択することは、さらに、組成物をケラチン繊維に接触させる条件を選択することを含み、その条件には、本明細書に記載の割合、期間および温度が含まれるが、これらに限られない。
【1061】
いくつかの実施形態によると、本明細書に記載のいずれの方法も、本明細書に記載のいずれかのシステムを使用して実施される。
【1062】
本発明の一定の特徴は、明瞭化のために別個の実施形態の文脈で説明しているが、組み合わせて単一の実施形態で提供されてもよい。逆に、本発明の種々の特徴は、簡潔化のために単一の実施形態の文脈で説明しているが、別個に、または、適する下位の組み合わせ内で、もしくは、本発明の他に記載の何れかの実施形態内で、提供されてもよい。種々の実施形態の文脈に記載された一定の特徴は、その実施形態がこれらの要素なしでは動作しない場合を除いて、これらの実施形態の必須の特徴であると考えるべきではない。
【1063】
上記で説明し、および、特許請求の範囲で請求する本発明の特徴の種々の実施形態は、以下の実施例において実験的支持が見られる。
【実施例】
【1064】
ここで、以下の実施例を参照するが、実施例は上記の説明と併せて、本発明の実施形態を制限しない態様で表すものである。
【1065】
本明細書で参照する一定の商標は、慣習法または第三者の登録商標であるかも知れない。これらの商標の使用は、例示であって、本発明の範囲をその商標のみに関連する材料に限定または制限するものと解釈してはならない。
【1066】
実施例1
タブレット組成物
材料および方法
組み合わされてカスタム着色組成物を与え得る様々な基本色調を提供するために、タブレットを処方した。
【1067】
医薬品等級または化粧品等級の含有物を、適宜購入した。
【1068】
色付与剤は、一般に、Jarocolから購入した。
【1069】
タブレット含有物(色付与剤を含む)を混ぜ合わせた。
【1070】
混合に先立ち、随意的に、1つ以上のタブレット含有物を、切削ミル(Fritsch Pulverisette 19、250μmの挿入篩を有する)により操作条件下で挽いて、すべてのタブレット含有物について類似のサイズ分布とした。一般的な過程では、400グラムのバッチについて、含有物を2,000Wの電力で約2時間挽いたが、硬いバルク材料および/または大きな初期サイズの含有物については、より長い時間を使用することも可能であり、最終的には4時間まで挽いた。
【1071】
次いで、得られた粒子を、随意的に、212μm、150μm、および45μmの開口を有する網目(Retsch Vibratory Sieve Shaker,AS 200)での振動法により篩分けして、45μm〜150μmの範囲の大きさの粒子を主として得た。
【1072】
次いで、タブレット含有物を、挽いたか否かおよび/または篩分けしたか否かに関わらず、50℃に設定したオーブンに移して、粒子を一様に乾燥した。24時間後、タブレット含有物の所望の量の乾燥粒子を、電動V字状ミキサー(Model GHJ−10V, Jiangyin Longchang Machinery Manufacture Co.)を用いて、少なくとも20分間、徹底的に混合した。
【1073】
次に、得られた混合物を、手動または自動の打錠機のいずれかを用いて、タブレットにした。
【1074】
手動の打錠設定では、1.5Kgの混合物を、約25mmの内径を有するステンレス鋼AISI 316シリンダーに導入する。対応するピストンを粉末混合物の上に置き、得られるタブレットに25Nの圧力を加える手動空気圧縮機(Mazzola, W20)で圧縮して、得られたタブレットは約3mmの平均厚さを有していた。
【1075】
自動過程には、直径が4.5mmまたは5.0mmの変形ボール構成のツーリング(iHolland)を有する、10ステーション回転圧縮打錠機(TPC−10−B, Dynamic Exim Corp.)を使用した。この変形ボールパンチは、タブレット直径に類似する最大厚さを有するタブレットの生産、したがって、4.5mmまたは5.0mmの直径を有するほぼ球状のタブレットの生産ができるように、調節した。
【1076】
5.0mmの球状タブレットの平均重量は、一般に、使用する処方に応じて、約70mg〜約90mgにわたる。
【1077】
加えた圧力は、一般に、単一先端のパンチについて5kN〜7.5kNであり、一般に、3.0kgf〜5.0kgfの硬度が得られる(下記の実施例3に詳述する)。
タブレット製剤:
【1078】
上述の方法を使用して、種々のタブレットを調製した。下記の表1A〜表1Cは、タブレット組成物を、無被覆のタブレットの総重量における各成分の重量%として表す。表1Aは、色付与剤を欠く対照タブレット組成物を表し、対照タブレットは、本明細書においては、プラシーボタブレットとも言う。表1Bは、色付与剤を含む基本色調タブレットの組成物(これらは、4.5mmおよび5.0mmの両方のおおよその直径で調製した)の組成を表し、表1Cは、酸化剤(タブレット番号201〜204を参照)、増粘剤(タブレット番号205〜208を参照)、およびアルカリ化剤(タブレット番号209を参照)を含む、速崩壊媒体タブレットの組成物を表す。
【1079】
種々の等級のAvicel(登録商標)(FMC Corporation)およびComprecelは、種々の微結晶性セルロースに対応し;GalenIQ(商標)等級(Palatinit)およびIsomalt(商標)は、イソマルトの種々の調製物に対応し;LH−21およびLH−22(Shin Etsu)は、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の種類であり;Ludiflash(登録商標)(BASF)およびParteck(登録商標)MおよびODT等級は、マンニトールに基づき、一方、Parteck(登録商標)SI等級(Merck)は、ソルビトールに基づき;PEO N−10(DOW)は、ポリエチレンオキシドである。Ludiflash(登録商標)は、マンニトールに加えて、PVA,PVPおよびポリビドンを含む。SuperTab(登録商標)11SDは、乳糖の噴霧乾燥形態であり、Avicel(登録商標)からSuperTab(登録商標)までの前述のすべての含有物は、単独でまたは組み合わせで、バルク添加剤(たとえば、結合剤、充填剤)として機能し、それらのうちのいくつかは、補助崩壊剤とも考えられるかも知れない(たとえば、LH−21, LH−22, SuperTab(登録商標)11SD)。AC−Di−sol(登録商標)SD711は、クロスカルメロースナトリウムの一種であり、Polyplasdone(登録商標)等級(ISP)は、種々の架橋ポリビニルピロリドンに対応し、Primojel(登録商標)は、でんぷんグリコール酸ナトリウムを含む。後者の群の含有物は、超崩壊剤として働く。第3の一連の含有物は、抗酸化剤(アスコルビン酸)および滑沢剤/抗粘着剤/流動促進剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸フマル酸ナトリウムを含むAlubra(商標)、および、Merckの、それぞれステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸を含むParteck(登録商標)LUB CST, LUB MSTおよびLUB STA 50)などの、添加物として働く。
【1080】
滑沢剤なしで調製される製剤は、手作業で打錠する。このような製剤は、滑沢剤(たとえば、1%ステアリン酸マグネシウムまたは他の適する量の適当な含有物)を加え、バルク添加剤を同じ量だけ少なくすることによって、自動打錠に適合させる。
【1081】
いくつかの基本色調タブレットは、2とおりのバージョンで調製する:一方は、染料前駆体およびカプラーのみを含み、他方は、同じ前駆体およびカプラーを同じ量で直接染料と共に含み、この場合、バルク添加剤の量は相応に減らす。直接染料を含むバージョンを表1Bに示し、直接染料を含まないバージョンを、後ろにアポストロフィを付けた同一のタブレット番号で示す(たとえば、タブレット番号103は、0.08%のHC Red No.10および11を含む赤色調に相当し、一方、タブレット番号103’は、その直接染料を含まず、60.5%のAvicel(登録商標)PH−102を含む赤色調に相当する)。
【1082】
【表1A】
【1083】
【表1B】
【1084】
【表1C】
【1085】
表1Dおよび表1Eは、正確な着色および本明細書に記載のアルゴリズムシステムでの分析を可能にするために、1つの色付与剤を含めることによって、改善した例示的な製剤を表す。
【1086】
酸化染料前駆体のカプラーに対する比は、可能性のある有害化合物の形成を避けるために、(1未満であるように)細かく調整した。
【1087】
【表1D】
【1088】
【表1E】
【1089】
表1Dおよび表1Eは各々、種々の基本色調についての例示的な製剤の組み合わせを表し、これらは、多種多様な色調を形成するために組み合わせてよい。例示的な製剤は、色付与剤として、1つ以上の染料前駆体と1つ以上の染料カプラーとの組み合わせ、および/または、1つ以上の直接染料を含む。染料前駆体には、トルエン−2,5−ジアミン、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノ−ピラゾール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレン−ジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、およびp−アミノフェノールを含まれる。使用する染料カプラーには、4−アミノ−2−ヒドロキシトルエン、2,4−ジアミノ−フェノキシ−エタノール、m−アミノフェノール、レゾルシノール、およびヒドロキシエチル−3,4−メチレン−ジオキシアニリンを含まれる。使用する直接染料には、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、HC Red No.10および11、HC Yellow No.13、2,6−ジアミノ−3−((ピリジン−3−イル)アゾ)ピリジン、および、HC Blue No.15が含まれる。
【1090】
表1Eに示した製剤において、基本染料(染料前駆体)と染料カプラーとの比を、1.0を超えないように細かく設定した。
【1091】
実施例2
タブレット被覆
実施例1で説明したように調製したタブレットを、望ましいときには、たとえば、タブレット硬度を高め、不所望の酸素および/または湿気浸透を低減し、タブレットの保存期間を長くするために、さらに被覆した。
【1092】
電解研磨した全体穿孔パン2.5Lを有する穿孔パンスプレーコーター(Freund Vector, Laboratory LDCS Hi−Coaters(登録商標))を用いて、タブレットをスプレーコートした。被覆溶液は、一般に、Schlick ABCスプレーガンを用いて、被覆溶液の濃度、噴霧速度および所望の厚さに応じて、74〜77℃の平均吸気口温度および45〜50℃の平均排気口温度にて、最長105分間噴霧した。得られる被覆の厚さは、タブレットを切断し、生じる断面における被覆の厚さを光学顕微鏡(Olympus BX51)下で測定することにより、評価した。記載した平均厚さは、同じバッチの2つのタブレットについての4回の測定の平均である。これに代えて、被覆の厚さは、タブレットの被覆後の増加重量に基づいて、タブレットの形状を球に近似することにより、評価することもできる。被覆およびタブレットが同じ密度を有すると仮定することにより、タブレットの%重量増加ΔWは、次式Eq.1で与えられ、同式は、無被覆のときのタブレットの初期半径をr1、被覆したタブレットの最終半径をr2として、厚さr2−r1を評価することを可能にする。
【数26】
【1093】
表2Aに示す重量増加%は、タブレットの重量増加が施した被覆の重量に等しいとすることにより計算している。表2Bにおいて、重量増加%は、分析重量計(ML204/01, Mettler Toledo)を用いて、100個のタブレットを被覆の前後に測定することにより、計算している。
【1094】
被覆溶液は、一般に、プロペラー攪拌機(Ultra−Turrax(登録商標)T50 Basic with R 1402 Dissolver accessories, Ika Werke)によって形成される渦に粉末を絶え間なく加えることにより、対象とする被覆剤を脱イオン水に溶解させることによって調製した。すべての粉末を加えた後、プロペラー速度を2,000RPMから500RPMに下げ、これにより渦がほとんど無くなり、溶液をさらに30分間攪拌した。被覆剤は、色識別剤と適合するときは、医薬品等級または食料品等級のものを購入した。Opadry(登録商標)被覆をColorconから入手し、Kollicoat(登録商標)被覆をBASFから入手した。これらの被覆は、一般に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(PVA−PEG)、またはこれらの混合物に基づいている。蔗糖、PEGおよびキサンチンガムに基づくRapid Subcoat SD−9600を、Colorconから入手し、5%の濃度で使用した。一般に、約74℃の吸入温度を、蔗糖、HPMCおよびPVA−PEGコポリマー系被覆に使用し、約77℃の吸入温度を、PVA系被覆に使用した。
【1095】
所望のタブレットの1.2〜1.6kgのバッチを、2.5リットル穿孔パンに入れ、これを18RPMで回転した。パンの内容物を吸入熱気で加熱し、排気温度をタブレットの温度の指標として監視した。タブレットを約45〜50℃まで予熱した後、被覆溶液を所望の速度でシステムに蠕動ポンプ導入し、90〜100m
3/時の気流速度にて、700〜900mbarのスプレーガン噴霧圧力および1,000〜1,600mbarのパターン気流で、広く噴霧した。色付与剤を欠く対照タブレットを含めて、種々の被覆タブレットをこの方法により調製した。被覆溶液の組成物(被覆溶液の総重量の重量%で)、被覆溶液の噴霧速度(g/分で)、被覆の期間(分で)、被覆の最終固体寄与(無被覆のタブレットの重量%として)、ならびに、得られる被覆の測定厚さおよび計算厚さ(ミクロンで)、を表2Aおよび表2Bに示す。
【1096】
表2Aに示した被覆実験は、約4g/分の被覆速度で調製した被覆番号4,8および12を除いて、約7g/分の被覆速度で行った。表2Bに示した追加の実験においては、被覆溶液を9〜10g/分の速度で約45分間噴霧した。表2Aに示した被覆厚さは、光学顕微鏡を用いて測定し、表2Bにおいては、測定および計算の両方を前記の等式Eq1に従って行った。
【1097】
【表2A】
【1098】
【表2B】
【1099】
所与の製剤およびバッチのタブレットについて、被覆タブレットの平均重量の変動は最大で10%である。しかし、この変動性は、被覆過程に起因し、色付与剤または他の所望の活性含有物(たとえば、アルカリ化剤、酸化剤、漂白剤、増粘剤)を提供するコアタブレットは、各速崩壊タブレットまたは色調の平均重量からの偏差が非常に小さい(つまり、2%未満)ので、用量の正確性には影響しない。
【1100】
適する被覆色の数を増すために、および、UV光に対する被覆の高い安定性を得るために、代替の被覆過程を開発した。
【1101】
被覆には次の水性被覆処方を利用した:4%(w/w)ポリビニルアルコール(Kollicoat IR被覆ポリマー、BASF);1%(w/w)合成色素および95%水。ポリビニルアルコールおよび色素を粉末の形態で混ぜ合わせ、次いで、1402溶解具を備えたIKAT−50ホモジナイザーで攪拌した水に加えて、水性被覆溶液を得た。
【1102】
次いで、その水溶液を無被覆の(コア)タブレットに噴霧することにより、タブレットを被覆した。これらの過程で被覆されたタブレットの一般的な例を、
図10Aおよび
図10Bに示す。
【1103】
タブレット被覆の厚さは、実施例2に記載するように、光学顕微鏡およびカメラソフトウェア分析を用いて決定した。被覆タブレットの代表的な画像を
図11に示す。製剤番号14(表1Eを参照)の5個のタブレットをサンプリングし、各タブレットの10ヶ所で厚さを決定した。
【1104】
図12に示すように、被覆は13.12μmの平均厚さを示し、試験した10個のタブレットの各々についての平均厚さは、約11〜17μmの範囲内であった。
【1105】
これらの結果は、被覆過程が、かなり均一なタブレット被覆を与えることを示している。
【1106】
実施例3
タブレット特性
実施例1および2に記載したように調製した被覆したおよび無被覆のタブレットを、数多くの試験に付して一定の特性を評価した。
【1107】
機械的特性は、すべてThermonik Campbell Electronicsの、タブレット硬度試験機(HT−50P)、脆さ試験装置(FTA−20)、および崩壊試験機(TD−20S)を用いて測定した。これらの特性は、タブレット調製後の、種々の時点で評価した。
【1108】
タブレットの安定性は、通常の条件および加速条件で評価した。加速条件は、試験したタブレットを環境室(KBF115, Binder)でインキュベートすることにより提供した。異なる時間の後、タブレットを環境室から取り出して、それらの経時的性能を、打錠および/または被覆の直後(時点0)から確立した基準値と、比較した。他に示さない限り、環境室は、25℃の安定温度および65%の相対湿度(RH)を維持した。
【1109】
色付与剤の化学的安定性を、操作型分光計(Cary 300 UV−Vis Spectrophotometer, Agilent Technologies)により評価した。
【1110】
概して、少なくとも3個のタブレットを各試験に使用し、および/または試験を繰り返した。
【1111】
硬度を評価するために、1個のタブレットを、そのタブレットが崩壊するまで、試験機内に置いた。記載した値は、タブレットを壊すのに必要な力を示している。脆さを評価するために、10個のタブレットを試験室に入れ、試験室を25RPMの速度で25回回転させた。試験の前後のタブレットの重量を分析的に測定して比較し、損失重量の割合を脆さ値とした。
【1112】
崩壊を評価するために、タブレットを、約25℃の大気温度で、500mlの試験媒体を含むビーカー内にて一定速度で上下する穿孔バスケットに入れた。完全崩壊までの時間を測定した。崩壊は非粘稠媒体中で試験し、バスケット内にタブレットの眼に見える破片が残らなくなったときを、完全崩壊が生じたとした。粘稠媒体中で試験した場合は、膨潤したタブレットが、バスケットの網目を必ずしも同時に通り抜けることができず、そこで、膨潤したタブレットを操作者が静かに押して網目を通した後に、タブレットの破片がバスケットに残らなくなった(つまり、残存コアがない)ときに、完全崩壊が生じたとした。
【1113】
崩壊速度の試験に用いた媒体は、脱イオン水(pH7.0、粘度1cp)、または、市販の過酸化水素の乳濁液(6%H2O2、pH3.0、粘度0.5ポアズ未満)、または、過酸化水素の乳濁液(Welloxon 9%H
2O
2)を脱イオン水で30:70の重量比にて希釈したもの(最終粘度0.5ポアズ、pH4.0)、のいずれかである。崩壊時間は手作業の攪拌なしで評価したことに、留意しなければならない。したがって、下記の時間は、上限を表し、追加の攪拌で低下すると期待される。染料の化学的安定性を評価するために、1個のタブレットを250mlの脱イオン水に溶解し、2mlの試料を石英キュベットに入れて、分光光度計に移した。分解の体積は、最高でも約1の光学密度となるように選択した。
【1114】
第1のセットの実験において、70% Avicel(登録商標)PH 102微小結晶性セルロース、27% SuperTab(登録商標)11SD噴霧乾燥乳糖、2% Ac−Di−Sol(登録商標)SD−711クロスカルメロースナトリウムおよび1%ステアリン酸マグネシウムを含む対照タブレットを、被覆の前後に試験した。被覆溶液を、脱イオン水中5%濃度で調製し、4.1g/分で噴霧したB被覆を除いて、6.8g/分の類似速度で噴霧した。試験した被覆剤は、表3AのA,B,CおよびDにおいて、それぞれ、HPMCまたはPVAに基づく、Kollicoat(登録商標)Brilliant Blue、Kollicoat(登録商標)IR Brilliant Blue + Kollicoat(登録商標)Protect(1%+4%)、およびOpadry(登録商標)II被覆である。タブレットは、被覆後の105分まで15分ごとにサンプリングした。
【1115】
追加の実験を表3Bに示すが、タブレット番号は実施例1の表1Bで提供される情報を指し、被覆番号は実施例2に示す情報を指す。参考までに、これらのタブレットの無被覆のバージョンの水中での崩壊時間は、すべての基本色調タブレットについて、30秒未満であった。被覆した基本色調の脆さは時点0にて決定し、化学的安定性は予備環境室試験の間全体にわたって監視した。すべての基本色調は、少なくとも5日間試験した。
【1116】
表3Aおよび表3Bに、これらの方法で測定したタブレット特性を示す。時点は、場合によって、日、週または月単位で表す。硬度はkgfで示し、脆さは減少体重の%で、崩壊時間は秒(表3A)または分:秒(表3B)で表す。参考までに、示したタブレットの無被覆のバージョンは、2.0〜4.5kgfの基準硬度を有していた。適する場合、化学的安定性は0または1で与えられ、ここで、1は、スペクトルが基準スペクトルと同一またはほとんど同一であることを表し、0は、染料ピークの面積が低下し、および/または染料ピークが消失し、および/または染料ピークの位置がシフトし、および/または新たなピークが出現している、ことを表す。光学スペクトルに関しては、等級0とされる安定性は、残余染料が満足できるかも知れない程度に毛髪着色を達成し得ないことを、必ずしも意味するものではない。
【1117】
【表3A】
【1118】
【表3B】
【1119】
表3Aおよび表3Bの結果は、本発明のいくつかの実施形態に従って調製した被覆タブレットが、混合なしで速やかに崩壊することを示している。崩壊時間は、被覆の種類および厚さと相関するが、約25μmまでの厚さの被覆を有するプラシーボタブレットについては01:30〜04:25であった。これらの時間は、ただの水ではなく、過酸化水素を含む粘稠な媒体の中で達成されたことを、強調しなければならない。基本色調のタブレットは、様々な種類の被覆を有するが、同じ媒体中で、01:15〜03:00分の崩壊を達成した。比較のために、水に加えた同種の基本色調のタブレットは、少なくとも2倍速い崩壊(タブレット番号108を参照)、最大で7倍速い崩壊(タブレット番号103)を達成し、試験したすべての基本色調について平均で4.7倍速かった。
【1120】
H
2O
2乳濁液中で試験した様々な基本色調の崩壊時間の差異は、被覆の種類および厚さに起因するのかも知れないし、あるいは、コアタブレットの組成物に起因するのかも知れない。興味深いことに、アスコルビン酸が崩壊時間にプラスの影響を及ぼすことが判明した。59% Avicel(登録商標)PH−102、24.85% SuperTab(登録商標)SD−11、2% Ac−Di−Sol(登録商標)SD711、1% ステアリン酸マグネシウム、9.25% n,n−ビス(2−ヒドロキシ−エチル)−p−フェニレン−ジアミン硫酸塩、および、3.9% 4−アミノ−2−ヒドロキシトルエンを含むタブレット製剤は、H
2O
2乳濁液中で約04:30分の無被覆タブレット崩壊時間を示した。3%のSuperTab(登録商標)SD−11を3%のアスコルビン酸で置換した同様の製剤は、僅か約01:30分で、より速くタブレット崩壊に至った。これらのタブレットを、Kollicoat登録商標)IR Brilliant Blueの5%溶液で被覆した場合、アスコルビン酸を欠く製剤については、崩壊時間が約9分増加したが、一方、アスコルビン酸を含む製剤は、H
2O
2乳濁液中で、攪拌なしで、僅か3分で崩壊するタブレットとなった。
【1121】
製造後に測定したタブレットの機械的特性は、満足できるものであった。被覆したプラシーボタブレットおよび基本色調タブレットの硬度は、被覆の種類およびその厚さに応じて、3.90kgf〜7.53kgfであった。試験したタブレットは、最大で0.5%の脆さを有しており、被覆したプラシーボタブレットは0.44%未満の脆さ、基本色調は0.00%〜0.37%の脆さであった。
【1122】
タブレットの予備安定性試験は、加速条件下で硬度の低下を示した。硬度は、5日以内に、その初期値の約半分に低下した。この初期の減少の後、タブレットの硬度は、第5日と少なくとも第13日との間で、約2%という平均変動で、ほぼ一定であった。環境室試験の条件は、一見して温和な温度および65%という相対湿度で推奨されるものよりも厳しいことを、強調しなければならない。加速条件は、40℃および80%RHでの試験よりも、驚くほど厳しいと報告されている。加速保存条件で観察された硬度の低下の結果、被覆した基本色調の硬度は、少なくとも2kgf、試験した基本色調の平均で約2.5kgfとなった。このような値は、本明細書に記載の分配装置などの分配装置での使用に適している。
【1123】
重要なことに、タブレットの予備安定性試験は、試験期間全体にわたって色付与染料の化学的分解が観察されなかったことを示した。
【1124】
追加の試験において、表1Eに示したタブレット製剤を試験し、Brookfield粘計を用いて約25℃、50rpmにて測定した約1.4センチポアズの粘度を有する酸化媒体(3%過酸化水素、MAG Cosmetics)中で、崩壊を評価した。比較のために、崩壊時間を脱イオン水中でも評価した。これらの実験の結果を次の表3Cに示す。
【1125】
【表3C】
【1126】
図9Aおよび
図9Bは、表1Eでタブレット15として示したタブレット製剤の、過酸化水素の6%(w/w)溶液中での、t=0秒(
図9A)およびt=3秒(
図9B)における画像を表しており、この例示的タブレット製剤の速やかな崩壊を示している。
【1127】
追加の実験セットにおいて、被覆したタブレットのいくつかの条件での物理的および化学的安定性を、異なる時間間隔で物理パラメータを試験することにより、決定した。
【1128】
試験に用いた条件は、N
2雰囲気下;外気下(24℃で約50%の相対湿度);温度40℃でオーブン中;インキュベータ中(25℃で65%の相対湿度);および乾燥シリカゲル下で梱包(乾燥条件)、である。
【1129】
測定した物理パラメータは、硬度、重量、水中および25%H
2O
2を有する75%水中での崩壊時間、直径、脆さ、外観ならびに色である。
【1130】
一般的な実験において、被覆したタブレットをガラス製メスフラスコに入れ(つまり、外気下(52%相対湿度、22.8℃))、次の物理パラメータを2週間および1ヶ月の時間間隔で測定した。初期結果(T
0)および1ヶ月後に得られた結果(1m)を下記の表3Dに示し、ここで、1ヶ月後の結果は、初期結果に対する相対変化として表している。
【1131】
【表3D】
【1132】
表3Dに示すように、重量および直径の増加は比較的小さい。
【1133】
これらの結果は、大気から水をほとんど吸収しないことを示しており、したがって、保存における良好な安定性を示唆している。
【1134】
表3Dにさらに示すように、崩壊時間は比較的短く、時間の経過につれて減少する。
【1135】
これらの結果は、タブレットが、有利なことに保存時間にかかわらず、水中またはH
2O
2の水溶液中で速やかに崩壊することを示唆している。
【1136】
タブレット被覆の耐光安定性も試験した。全部で18の被覆溶液を調製して、次の処方を有するプラシーボタブレットに適用した:Avicel(登録商標)PH−102:68%; SuperTab登録商標)11SD:25%; AC−Di−sol登録商標)SD711:3%; ステアリン酸マグネシウム:1%;および、アスコルビン酸:3%。
【1137】
有機および無機色素を含む被覆溶液で、タブレットを被覆した。
【1138】
一般的な安定性試験において、被覆タブレットの数グラムを小さな容器に入れ、次いでATLAS装置下に置いた。照明されたビーズ上の直射日光(UV光)をシミュレーションする、SUNTEST CPS+/XLS+,ソフトウェア付随試料バージョン1.4を用いて分析を行った。1時間の照明が、厚さ3mmのガラス下での1ヶ月の直接照明に相当する。一般的な美容室における一般的なガラスの厚さは8mmなので、タブレットを厚さ5mmのガラスで覆って、厚さ8mmのガラスを模した。
【1139】
表3Eに、目視検査(眼による)で得られた結果を示す。
図13A〜
図13Fに、1年間の照明を受けた被覆タブレットの画像を示す。
【1140】
【表3E】
【1141】
表3Eに示すように、試験したすべてのタブレット製剤は、少なくとも6ヶ月間、安定であることを示した。
【1142】
これらの結果は、本明細書に記載の組成物および処理が、所望の特性を示すタブレット製剤をもたらすことを示している。
【1143】
実施例4
毛髪着色
実施形態1および実施形態2で説明したように調製したタブレットを適する媒体と混合して、毛髪着色処方を調製した。この処方を天然のヤクの毛に適用して、繊維の色の変化を評価した。
【1144】
第1の一連の実験において、酸化媒体およびアルカリ化媒体は、これらから得られる混合物が適切な粘度を有するように、通常どおり比較的粘性があった、または、酸化媒体は比較的高い粘性であり、アルカリ化媒体は比較的低い粘性であった。一般に、混合物用の150個までの単一の基本色調のタブレット、または300個までのタブレットを、製造元(MAG Cosmetics)からの提供時に50cps未満の粘度を有する市販の6%H
2O
2酸化媒体、または、前述の希釈したWelloxon(2.7% H
2O
2および粘度50cps)に加えた。タブレットを、最も数の多いタブレットについて最も長く約2分間、自発的に崩壊させた。次いで、崩壊したタブレットを、ブラシを用いる手作業で、酸化媒体と均一になるまで混合した。60gの市販のアンモニア系クリーム(300ポアズの粘度を有するWella Pure Cream、または、300ポアズを超える粘度を有するMAG Cosmetics 2% Ammonia Cream)を前述の混合物に加え、均一になるまでさらに混合した。一般的に、すべての混合工程は3分を要しなかった。
【1145】
第2の一連の実験において、速やかに崩壊または溶解して所望の媒体を形成し得るタブレットを用いて、いくつかの媒体を調製した。第1の実験では、水および本明細書に記載のように調製した速崩壊タブレットで、酸化媒体を作製した。表1Cのタブレット番号201による60個の速崩壊酸化タブレット、および60個の自然色調のタブレット(タブレット番号108を参照)を、60gの脱イオン水に加えて、上記のように崩壊させた。60gのPure Creamを加え、均一になるまでさらに混合した。第2の実験では、3gのタブレット番号204に従う酸化タブレットを10gの水に加えて、崩壊させ、次いで、10gのPure Creamと混合した。濃度2.3%の過酸化水素を有するこの製剤の脱色作用を、天然色素を有する濃いヒト毛髪の束で試験し、10gの6%H
2O
2Welloxonを10gのPure Creamと混合して調製した製剤と比較した。第3の実験では、17個のタブレット番号208に従う増粘タブレットを14gの水に加えて、崩壊させた。6個のタブレット番号209に従うアルカリ化タブレットを前述の溶液に加えて、クリーム状の製剤が形されるまで混合した。
【1146】
最終の毛髪着色調製物は、使用した酸化媒体およびアルカリ化媒体によらず適切な粘度を有しており、これらを、7.5cmの長さのヤク体毛(カタログ番号826401、Kerling International)の房を完全に覆うように、たっぷりと適用し徹底的に揉み込んだ。脱色作用を試験するときは、薄い色のヤクの毛の試料を、色素を有するヒト毛髪で置き換えた。他に示さない限り、着色製剤を30分間適用し、次いで洗い流して、毛髪を水中で徹底的にすすいで、環境温度で空気乾燥させた。
【1147】
乾燥した毛髪の着色を視覚で評価し、また、Lab色空間および380nm〜750nmの色スペクトルを測定する毛髪読み取り器(AvaMouse spectrophotometric measurement, Avantes)により参照座標を生成した。Lab Tool Ver.6を用いて、測定したデータを分析した。
【1148】
これらの実験の結果を表4Aおよび表4Bに示す。参考までに、タブレットを含まない、酸化媒体とアルカリ化媒体との混合物で処理したヤクの毛は、L:79.04,a:−0.52およびb:4.63のLabスペクトルに相当する基準色調を有している。着色しないかつ処理しないヤクの毛は、同様の結果を示した(L:77.13,a:−0.09およびb:7.09)。
【1149】
表4Aは、本実施例において試験したタブレットの種類を表しており、各種類には、便宜のために、処方番号を付してある(処方番号)。タブレット番号は、上記の実施例1の表1Bに表した、対応するタブレット番号についての、タブレットのコアの組成物を指す。被覆番号は、上記の実施例2の表2に表した、対応する被覆番号についての、タブレットの被覆を指す。
【1150】
表4Bは、上述の着色処方の調製に使用されるタブレットの各種類を表しており、まず、使用されるタブレットの番号を、その下に、結果のLab値(各セルにおいて、第1行は「L」、第2行は「a」、第3行は「b」である)を表している。記載したLab値は、着色した房の各試料について行った5回の測定の平均を表す。
【1151】
【表4A】
【1152】
【表4B】
【1153】
表4Bに示した結果は、色表現の明度成分Lが、タブレットの数が増すにつれて低下することを示している。色度成分「a」,「b」は、対抗色軸とも呼ばれ、試験する基本色調に応じてタブレットの数を増すことにより、異なる影響を受ける。参考までに、「a」成分は、おおまかに、赤色/マゼンタ色(正)と緑色(負)との間の色進行を表し、一方、「b」成分は、黄色(正)から青色(負)への変化を示す。この色表現法は眼の非線形な応答を模すことを意図しているので、異なる試験点におけるLab値の関係は線形であるとは限らない。乾燥した着色毛髪の房の視覚的評価は、良好な着色を示し、これは、各基本色調の薄い色調から濃い色調へのタブレットの数の増加に応じて変化した。上述の実験に対応する着色した房の写真を、
図15A〜
図15Iに示す。最終の処方で使用したタブレットの番号をヤクの毛の各束の基部に示し、色調および処方番号を各図に示す。
【1154】
別のセットの実験では、個々の含有物を秤量し、それらをタブレットの形態ではなく粉末の形態で媒体に取り入れることによって、処方9と同等な調製物を調製した。前述のように、着色を行って監視した。結果は、対応するタブレット製剤で得られる結果に類似しており、本明細書に記載のタブレット製剤が、それに含まれる色付与剤の着色効率に影響しないことを示した。
【1155】
異なる種類の基本色調の混合は、満足のいく着色となった。赤色(製剤番号3)と紫色(製剤番号5)との組み合わせは、ヤクの毛に適用したとき、より濃い紫色調となり、一方、青色(製剤番号6)と自然色(製剤番号8)との組み合わせは、より濃い青色調となった。5つまでの基本色調の混合物を調製して、それらのLab値を測定した。175個の自然色のタブレット、29個の橙色のタブレット、18個の金色のタブレット、10個の灰色のタブレット、および6個の紫色のタブレット(製剤番号10)を含み、最終体積120gの着色処方中に調製した第1の混合物は、L:19.01,A:7.38およびb:11.37を有する、栗色の着色をもたらした。130個の赤色のタブレット、115個の自然色のタブレット、43個の橙色のタブレット、10個の金色のタブレット、および6個の紫色のタブレット(製剤番号11)を含む第2の混合物は、L:19.53,a:17.53およびb:9.68を有する、暖赤褐色の着色をもたらした。105個の自然色のタブレット、100個の赤色のタブレット、11個の紫色のタブレット、および7個の橙色のタブレット(製剤番号12)を含む第3の混合物は、L:18.39,a:15.93およびb:6.09を有する、マホガニー色の着色をもたらした。
【1156】
媒体タブレットは、着色または脱色を所望のように行うことができる製剤の調製を可能にする。自然色調および酸化剤で速崩壊タブレットの形態で調製した着色製剤は、L:24.81,a:5.23およびb:11.74というLab値を有する、期待した自然な栗色の着色を与えた。これらの結果は、酸化剤が市販の過酸化水素乳濁液中で提供されるときの、同じ基本色調の65個のタブレットで得たLab値に匹敵する。
【1157】
調製した脱色タブレット製剤は、市販の酸化媒体およびアルカリ化媒体で作製した対照製剤に匹敵する態様で、見本のヒト毛髪の色調を薄くした。処理しないヒト毛髪は、L:20.84,a:3.49およびb:4.51という基準Lab値を示し、一方、対応するタブレット製剤で処理した毛髪は、L:23.48,a:6.97およびb:8.54というLab値を示し、また、市販の処方で処理した毛髪は、L:21.48,a:5.84およびb:7.65というLab値を示した。アルカリ化タブレットを加える前に崩壊させた増粘タブレットを含めて行った実験において、媒体の粘度は、本明細書に記載のタブレットを加えることにより、制御可能であることを示した。
【1158】
これらの結果は、本発明のいくつかの実施形態により調製した基本色調タブレットおよび媒体タブレットが、着色製剤の調製に役立ち得ることを示している。着色製剤は、所与の色調または基本色調の混合の多数のタブレットを含むか否かによらず、試験する繊維の色を効果的に変更することができた。これらの結果は、さらに、本明細書に記載の速崩壊タブレットが、水と組み合わせて使用されるとき、着色過程で使用される従来の媒体に代わり得ることを示している。
【1159】
毛髪の種類が毛髪着色に及ぼす影響を評価するためにさらなる実験を行った。
【1160】
一連の実験において、単色調の着色を、種類の異なる天然のヒトの実験毛髪、すなわち、ブロンド白色人毛髪、ダークブロンド白色人毛髪、およびブルネット白色人毛髪、に対して行った。各色調は、タブレットの量を変えて3回試験した。たとえば、自然色調は、60mlのアルカリ化媒体および60mlの酸化媒体中の1個、34個または67個のタブレットを用いて適用し、緑色調は、60mlのアルカリ化媒体および60mlの酸化媒体中の1個、101個または200個のタブレットを用いて適用した。
【1161】
他の一連の実験において、2つの色調の様々な割合での可能なすべての組み合わせを、異なる毛髪種類、すなわち、最も薄い白色人毛髪から最も濃いアジア人毛髪まで、およびヤクの毛、に適用した。例示的な組み合わせには、橙色調の1個のタブレットと紫色調の100個のタブレット;橙色調の100個のタブレットと紫色調の1個のタブレット;ならびに、橙色調の100個のタブレットと紫色調の100個のタブレットが含まれる。上述のタブレットの組み合わせの各々を、60mlの媒体および60mlの過酸化水素溶液に加えた。この過酸化物溶液および2%アンモニアクリーム媒体は、MAG Cosmeticsから入手した。各種類の毛髪について得られた結果の色は、天然色素および着色剤の濃度(つまり、使用したタブレットの数)の影響を示した。
【1162】
これらの実験のすべてにおいて、表1Dの3番(橙色)、8番(緑色)および5番(紫色)のタブレットを使用した。
【1163】
図16Aは、ダークブロンド白色人毛髪に適用したときの、緑色調の3とおりの濃度で得られた毛髪色を示す。
【1164】
図16Bに示すように、橙色調および紫色調の組み合わせの後、橙色調は、少量で適用したとき(試料1)には、ほとんど影響を及ぼさず、紫色調は、少量で適用したとき(試料2)には、ほとんど影響を及ぼさず、また、両色調は、同じような量で適用したとき(試料3)には、かなりの影響を及ぼした。
【1165】
図17に示すように、ヒト天然赤色毛髪を、Welloxon Hydrogen Peroxide 6%クリームと1:1で混合した市販のKoleston Perfectチューブ(赤銅色調)を使用して、赤銅色に着色した。Koleston色調での着色の後、さらに紫色調タブレットを適用すると、ボルドー色になった。
【1166】
これらの結果は、例示的なタブレットを用いて得られる色が、使用するタブレットの数、および、初期毛髪色(天然毛髪色素および、行っていた場合には、前回の着色に依存する)の関数であることを示している。
【1167】
実施例5
タブレットの乾燥
安定性および保存期間を向上させるために、タブレットを乾燥する過程を開発した。
【1168】
一般的な過程において、表1Eに表した処方を有し、Colorcon Opadry 200から購入したPVA被覆で被覆した被覆タブレットを、真空オーブンに20時間入れた。Sartorius湿度分析計MA 150を使用して、(各試料からの)タブレットの1gを手作業で挽くことにより、水分含有量を測定し、120℃、30mbarにて1時間、重量変化を測定した。
【1169】
次の表5Aに示すように、すべての基本色調のタブレットの水分含有量は、3%未満までに、さらには1%未満までに、減少した。
【1170】
【表5A】
【1171】
これらの結果は、本発明のいくつかの実施形態によるタブレットの水分含有量は、低いレベル(たとえば、3%未満)にまで減少させることが可能であり、これにより、吸湿性含有物が存在するにもかかわらず、タブレット安定性を高めることができることを示している。
【1172】
実施例6
タブレットの微生物的安定性
微生物汚染に対する例示的タブレットの安定性を試験するために、タブレットの試料を、比較的乾燥した条件(2%相対湿度、25℃)で、3〜24週間の範囲の期間にわたって保存した。すべてのタブレットは、表1Eに示す処方を有していた。各試料において、初期および最終のコロニー形成単位(CFU)の濃度は、10CFU/gであった。
【1173】
これらの結果は、本明細書に記載のタブレットが、特に比較的乾燥した条件下で、微生物的安定性を示すことを示している。
【1174】
実施例7
着色剤のHPLC分析
本明細書の実施例に記載の例示的な着色剤を繰り返し使用することに鑑みて、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いる、着色剤の量の分析感度での検出法を開発した。このような方法は、たとえば、着色剤を含有するタブレット(たとえば、本明細書に記載のタブレット)の化学的安定性を精密に定量化するのに有用である。
【1175】
Sepax(登録商標)クロマトグラフィーカラム(GP C718 4.6X250mm 5u; 120A)を、移動相としてのリン酸緩衝液(50mM、pH3.0)と共に、使用した。勾配流を表8Aに示す。
【1176】
【表8A】
【1177】
LaChrom HPLCシステム(Hitachi)を、L−7100溶媒ポンプ、L−7200自動サンプラー、L−7300カラムオーブン、およびDA−L7455フォトダイオード検出器と共に、使用した。流量は1.0ml/分であり、注入体積は10μlであり、検出は200〜400nmで行った。
【1178】
試料を、100mlメスフラスコ中の水または水/アセトン溶液に溶解した(通常、1mg/ml)。フラスコを振盪して着色剤を完全に溶解させ、適するフィルター(たとえば、PTFEフィルター)を用いて、注射バイアルを調製した。
【1179】
本明細書に記載の製剤で使用した例示的薬剤の保持時間を次の表8Bに示し、代表的なHPLCスペクトルを
図14に示す。
【1180】
【表7B】
【1181】
これらの結果は、例示的な薬剤の量が、定量的に精密に決定されることを示している。
【1182】
実施例8
例示的なアルカリ化媒体および酸化媒体
300センチポアズを超える粘度を有する市販の1%アンモニアクリーム(MAG Cosmetics)の10gを、手で連続的に攪拌しながら水をクリームに徐々に加えることにより、水で重量比1:2(クリーム:水)にて希釈した。注ぎ得るクリームの形態のアンモニア系アルカリ化媒体の30gを得た。
【1183】
次いで、30gの6%過酸化水素溶液(1%EDTA、リン酸でpHを2.8に調整)をバルクで、注ぎ得るクリームのアルカリ化媒体に加えて、手で激しく混合した。その結果、非常に希薄なローション稠度のクリームが得られ、これは、時間経過とともに僅かに粘度が増したが、完全に注ぎ得るままであった。
【1184】
さらなる実験において、0.9gのNovethix(商標)L−10ポリマー(Lubrizol、水性溶液中の30重量%の懸濁液)、アクリレート/ベヘネスー25 メタクリレートコポリマーを、29.1gの上述の6%過酸化水素溶液(pH2.8)に加えて、3重量%の増粘剤ポリマーを含む30gの酸化媒体を得た。この増粘剤は、陰イオン性ポリマーであり、ポリマーがプロトン化されて非イオン状態となる酸性条件下では、粘度にほとんど影響しない。よって、増粘剤の添加は、酸性酸化媒体の稠度を実質的に変化させない。増粘剤を加えたこの酸化媒体を、30gの上述のアルカリ化媒体に加えて、30秒間激しく混合した。混合物はすぐに粘稠化して、約2分後に粘稠なクリームになった。
【1185】
実施例9
例示的分配装置
図6に示す容器、および
図8に部分的に示す分配手段を有し、個別の容器に収容した一定量のタブレットを分配することが可能な装置を、
図2に模式的に示すように作製した。この装置は、全体で、345mm(幅)×345mm(奥行き)×525mm(高さ、容器を含む)を有する。装置は、ブロー成形により製造されたポリエチレンテレフタル酸(PET)製のほぼ円筒状の16の容器を有する。容器の直径は約60mmであり、その壁は約200mmの高さを有する。各容器は、
図43に示すように、タブレットがこぼれ出るのを防ぎながら容器の速やかかつ便利な置換を促進するシャッター機構を備えている。シャッター機構を構成する2つの部分的に球形の殻は、プラスチック製であり、射出成型により製造されている。射出成型により製造されたプラスチック製のはめば歯車は、容器の外側に位置する。各はめば歯車のタブレット出口の上方には、タブレットが誤って直接(つまり、はめば歯車機構によらずに)分配されるのを防止する、鋼ワイヤーが搭載されている。
【1186】
ステップモーターは、それらのそれぞれの容器の下に、プラスチックのラピッドプロトタイピングで作製された4−傾斜壁プラスチック漏斗への分配されたタブレットの自由な流動を可能にする態様で、ステンレス鋼のプラットフォームの下方に位置している。漏斗出口のシャッター機構が、装置からタブレットが分配される実際の時点を制御する。このシャッター機構は、電気機械的アクチュエータにより引き上げられるまで、漏斗出口を塞ぐゴムボールで構成されている。容器が定位置にない間に、装置からタブレットが外に分配されるのを防止するために、その存在を示すことを目的とする追加の2つの光学検出器が、受け器の付近に配置されている。ステップモーター(永久磁石ステップモーター4
3、15°のステップ角および800g.cmの保持トルクを有する)は、1分当たり2,880タブレットまでの速度での分配を可能にする(120RPMの最大回転で、24のはめば空間を有するはめば歯車を用いる)。一般的に、反復性試験は、約5mmの平均直径を有する回転楕円体のプラシーボタブレットを用いて、80RPMまで行った。
【1187】
装置は、各容器出口について、2つの光学センサー(Everlight Photodetector Transistor, PT204−6B)を含む。ステップモーターおよびそれらの対応するフォトダイオードは、容器の水平配列に適合する形状の単一のPCBに搭載されている。追加のPCBが、すべての制御電子部品とともに、分配装置の内部に装備されたパーソナルコンピュータへの接続手段を収容する。追加のPCBは、各特定の容器から望まれるタブレットの数の手作業入力を可能にするタッチスクリーンLCDを、制御するのに使用される。多数の実験を成功裏に行った。反復性試験は、分配されたタブレットの数を各回の試験ごとに手作業計数で確認したが、装置が正確で実現可能であることを確立した。
【1188】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明したが、多くの代替、変更、変形が本技術分野の熟練者にとって明らかであることは、自明である。したがって、添付の特許請求範囲の精神および広い範囲に入るそのようなすべての代替、変更、変形が、本発明に包含されることが意図されている。
【1189】
すべての出版物、本明細書で述べたすべての特許および特許出願は、個々の文献、特許および特許出願が具体的にかつ個別に、参照によって本明細書に組み込まれると示されているのと同じ程度に、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。加えて、本明細書におけるいかなる参照文献の引用または特定も、そのような参照文献が本発明に対する従来技術として利用可能である、と認められると解釈すべきではない。節の見出しが使用されている範囲で、節の見出しは必要な限定であると解釈すべきではない。