(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記領域に対応する前記光変調層を、当該領域よりも前記側面からの距離が遠い前記領域に対応する前記光変調層の前記散乱制御時間の一部と時間的にオーバーラップさせて前記散乱状態に制御する場合、オーバーラップさせている間は、所定の間隔で前記散乱状態と前記透過状態とを交互に切り換える、
請求項1または2に記載の表示装置。
前記制御装置は、前記領域に対応する前記光変調層を、当該領域よりも前記側面からの距離が遠い前記領域に対応する前記光変調層の前記散乱制御時間の一部と時間的にオーバーラップさせて前記散乱状態に制御する場合、オーバーラップさせている間の前記領域に対応する前記光変調層の前記散乱状態の散乱度合が当該光変調層の前記散乱制御時間における前記散乱状態の散乱度合よりも低くなるように制御する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0008】
また、本明細書と各図面において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
[第1の実施形態]
第1の実施形態の表示装置について、
図1を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態の表示装置の構成例を示す図である。
【0009】
表示装置1は、画像表示パネル10と、光源装置20と、制御装置30を備える。
画像表示パネル10は、所定の画像を表示する。光源装置20は、画像表示パネル10に光を出射する。光源装置20は、光源21と、導光体22とを含む。光源21は、光を発光する。
【0010】
導光体22は、画像表示パネル10の背面に配置され、画像表示パネル10と対向する面の側面23から光源21が発光した光を入射し、画像表示パネル10に対して光を出射する。導光体22は、光の進行方向と交差する方向に分割された複数の領域(領域22a、22b、22c、22d、22e、22f)を有する。各領域は、光を透過する透過状態または光を散乱する散乱状態に制御可能な光変調層を含んでいる。
【0011】
光変調層は、例えば、高分子分散型液晶層であり、電場を発生させることで透過状態または散乱状態に制御される。したがって、領域に対応する光変調層が透過状態である場合には、光は、当該領域を透過し、隣の領域(光の進行方向)に進行する。一方、領域に対応する光変調層が散乱状態である場合には、光は、当該光変調層で散乱し、散乱した光の一部が当該領域から画像表示パネル10に対して出射される。
【0012】
制御装置30は、光源装置20を制御する。制御装置30は、各領域に対応する光変調層の散乱制御時間に各領域に対応する光変調層に電場を発生させて各領域に対応する光変調層を散乱状態に制御する。各領域に対応する光変調層の散乱制御時間は、時間的に重複しないように設定されている。すなわち、制御装置30は、各領域に対応する光変調層を、時間的に重複しないように散乱状態に(散乱状態の光変調層を含む領域が1箇所だけになるように)制御する。
【0013】
このように制御装置30が各領域に対応する光変調層の散乱制御時間に各領域に対応する光変調層を散乱状態に制御することで、光源装置20は、光変調層が散乱状態に制御された領域から順々に光を画像表示パネル10に対して出射する部分駆動で駆動する。
【0014】
ここで、制御装置30が、散乱制御時間に各領域に対応する光変調層を散乱状態に制御して、光源装置20が部分駆動する場合の具体例について説明する。例えば、制御装置30が領域22bに対応する光変調層に対して電場を発生させて散乱状態に制御する場合、光源21が発光した光は、側面23から導光体22に入射し、光変調層が透過状態に制御されている領域22a内を通過する。そして、光源21が発光した光は、散乱状態に制御された領域22bに対応する光変調層で散乱し、散乱した光のうち画像表示パネル10側に向かう光が領域22bから画像表示パネル10に対して出射される。
【0015】
一方、制御装置30が領域22eに対応する光変調層に対して電場を発生させて散乱状態に制御する場合、光源21が発光した光は、側面23から導光体22に入射し、光変調層が透過状態に制御されている領域22a、22b、22c、22d内を通過する。そして、光源21が発光した光は、散乱状態に制御された領域22eに対応する光変調層で散乱し、散乱した光のうち画像表示パネル10側に向かう光が領域22eから画像表示パネル10に対して出射される。
【0016】
このように、光源21が発光した光は、画像表示パネル10に対して光を出射する領域の側面23からの距離が遠くなればなるほど、導光体22から出射されるまでに通過する領域の数が多くなる。ところで、光は領域内を通過する際に強度が変化(減衰)する恐れがあることが知られている。光の強度は、例えば、光の輝度、明度等である。
【0017】
したがって、制御装置30が全領域を同じ駆動条件で光源装置20を部分駆動させると、導光体22から出射する光の強度が、領域毎にずれる恐れがある。そのため、制御装置30は、領域毎に制御態様を変化させることが望まれる。
【0018】
そこで、制御装置30は、各領域に対応する光変調層の散乱制御時間に各領域に対応する光変調層を散乱状態に制御する際に、当該光変調層を含む領域の側面23からの距離に応じた駆動パターンで光源装置20を制御する。制御装置30は、光源装置20の駆動パターンとして、光源21が発光する光の強度と、光変調層が散乱状態になる時間の長さと、光変調層の散乱状態における散乱度合とを制御する。
【0019】
例えば、制御装置30は、光源21が発光する光の強度と、光変調層が散乱状態になる時間の長さを全領域で同じ条件にし、散乱状態に制御する光変調層を含む領域の側面23からの距離に応じて、散乱状態に制御する際の電場の強さを変化させる。
【0020】
具体的には、制御装置30は、所定の強度の光を各領域から出射させる場合、散乱状態に制御する光変調層を含む領域が側面23から遠くなればなるほど、光変調層の散乱状態における散乱度合が高くなるように、電場の強さを制御する。このように、領域が側面23から遠くなればなるほど、光変調層の散乱状態における散乱度合を高くすると、領域が側面23から遠くなればなるほど光変調層で光がより散乱するようになり、領域に到達した光のうちの多くを出射させることが可能になる。
【0021】
または、制御装置30は、光変調層の散乱状態における散乱度合と、散乱状態になる時間の長さを全領域で同じ条件とし、散乱状態に制御する光変調層を含む領域の側面23からの距離に応じて、光源21が発光する光の強度を変化させる。
【0022】
具体的には、制御装置30は、所定の強度の光を各領域から出射させる場合、散乱状態に制御する光変調層を含む領域が側面23から遠くなればなるほど、光源21が発光する光の強度が強くなるように制御する。
【0023】
または、制御装置30は、光変調層の散乱状態における散乱度合と、光源21が発光する光の強度を全領域で同じ条件とし、散乱状態に制御する光変調層を含む領域の側面23からの距離に応じて、散乱状態に制御する電場を発生させる時間の長さを変化させる。具体的には、制御装置30は、所定の強度の光を各領域から出射させる場合、散乱状態に制御する光変調層を含む領域が側面23から遠くなればなるほど、光変調層が散乱状態になる時間が長くなるように、電場を発生させる時間の長さを制御する。
【0024】
このように光変調層を散乱状態に制御する際に、当該光変調層を含む領域の側面23からの距離に応じた駆動パターンで光源装置20を制御することで、制御装置30は、距離による光の強度の減衰を補正できる。
【0025】
これにより、制御装置30は、光源装置20を部分駆動させる場合に、各領域から出射する光の強度が所望の強度からずれるのを抑止できる。その結果、表示装置1は、画質の低下を低減できる。
【0026】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、第1の実施形態の表示装置をより具体的に説明する。
まず、第2の実施形態の表示装置のハードウェア構成例について
図2を用いて説明する。
図2は、第2の実施形態の表示装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0027】
表示装置100は、
図1に示した表示装置1の一実施形態であって、制御ユニット100aによって装置全体が制御されている。
制御ユニット100aは、CPU(Central Processing Unit)100a1と、RAM(Random Access Memory)100a2と、ROM(Read Only Memory)100a3と、複数の周辺機器とがバス100fを介して相互に信号を出入力可能に接続されている。
【0028】
CPU100a1は、ROM100a3に格納されるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラム、RAM100a2に展開される各種データに基づいて表示装置100全体の制御を行う。処理実行時にはRAM100a2に一時的に格納されたOSのプログラムやアプリケーションプログラムによって動作するとしてもよい。
【0029】
RAM100a2は、制御ユニット100aの主記憶装置として使用される。RAM100a2には、CPU100a1に実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM100a2には、CPU100a1による処理に必要な各種データが格納される。
【0030】
ROM100a3は、読み出し専用の半導体記憶装置で、OSのプログラムと、アプリケーションプログラム、書き替えをしない固定データが格納される。また、ROM100a3の代わり、あるいはROM100a3に加えて、二次記憶装置としてフラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0031】
バス100fに接続されている周辺機器としては、表示用ドライバIC(Integrated Circuit)100b、LED(Light Emitting Diode)ドライバIC100c、入出力インタフェース100d、通信インタフェース100eがある。
【0032】
表示用ドライバIC100bには、画像表示パネル200が接続されている。表示用ドライバIC100bは、画像表示パネル200に出力信号を出力することによって画像表示パネル200に画像を表示する。表示用ドライバIC100bは、後述する画像表示パネル駆動部の少なくとも一部の機能を実現することも可能である。
【0033】
LEDドライバIC100cには、面状光源装置300(第1の実施形態の光源装置20の一実施形態)が接続されている。LEDドライバIC100cは、後述する光源制御信号に応じて光源を駆動し、面状光源装置300の輝度を制御する。LEDドライバIC100cは、後述する面状光源装置駆動部(第1の実施形態の制御装置30の一実施形態)の少なくとも一部の機能を実現する。
【0034】
入出力インタフェース100dには、利用者の指示を入力する入力装置が接続される。例えば、キーボードや、ポインティングデバイスとして使用されるマウス、タッチパネル等の入力装置が接続される。入出力インタフェース100dは、入力装置から送られてくる信号をCPU100a1に送信する。
【0035】
通信インタフェース100eは、ネットワーク1000に接続されている。通信インタフェース100eは、ネットワーク1000を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
以上のようなハードウェア構成によって、本実施形態の処理機能を実現することができる。
【0036】
次に、面状光源装置300の構成例について、
図3〜
図6を用いて説明する。
図3は、第2の実施形態の面状光源装置の構成例を示す平面図であり、
図4は、第2の実施形態の面状光源装置の構成例を示す断面図である。
図5は、第2の実施形態の導光体の上部電極の構成例を示す平面図である。
図6は、第2の実施形態の導光体の下部電極の構成例を示す平面図である。
【0037】
面状光源装置300は、画像表示パネル200の背面側に配置されて、画像表示パネル200の背面で発光する。面状光源装置300は、導光体310と、導光体310の少なくとも一側面を入射面Eとして、この入射面Eに対向する位置に光源303a〜303jを配列したサイドライト光源302と、を備えている。
【0038】
サイドライト光源302の光源303a〜303jは、入射光(例えば、白色光)の発光ダイオード(LED)であり、個々に独立して電流またはPWM値(デューティ比等)が制御可能に構成されている。光源303a〜303j(
図3)は、導光体310の一側面に沿って並んでおり、光源303a〜303jが並ぶ方向を光源配列方向LYとしたとき、光源配列方向LYに直交する入射方向LXに向けて、入射面Eから導光体310へ光源303a〜303jからの入射光が入射する。光源303a〜303jは、発光ダイオードに限らず、半導体レーザーも用いることができる。
【0039】
導光体310は、その側面に配置したサイドライト光源302(光源303a〜303j)からの光を導光体310の上面に導くものである。導光体310は、面状光源装置300の上面側に配置される画像表示パネル200に対応した形状となっている。導光体310は、光の進行方向と交差する方向に分割された複数の領域からなる。なお、領域(1)〜(6)は、サイドライト光源302から近い順番に数字が割り当てられている。
【0040】
面状光源装置駆動部500は、サイドライト光源302(光源303a〜303j)及び導光体310に信号が送信可能に接続されている。面状光源装置駆動部500は、導光体310の領域(1)〜(6)の出射面(画像表示パネル200と対向する面)から順々に光を出射させる部分駆動で面状光源装置300を駆動する。部分駆動については、後で
図8を用いて詳細に説明する。
【0041】
ここで
図4を用いて面状光源装置300についてより具体的に説明する。面状光源装置300は、サイドライト光源302と、導光体310と、導光体310の下面(画像表示パネル200と対向する面と反対の面)に設けられた反射シート330とを含んで構成される。
【0042】
反射シート330は、導光体310の背面(
図4中下面)から漏れ出てきた光を導光体310側に戻すものであり、例えば、反射、拡散、散乱等の機能を有している。これにより、サイドライト光源302からの入射光を効率的に利用することができ、また、面状光源装置300の出射面の輝度の向上に寄与する。反射シート330は、例えば、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)や銀蒸着フィルム、多層膜反射フィルム、白色PET等を用いることができる。なお、
図4では、反射シート330は空気層を介して積層したものであり、光学的には密着していない。
【0043】
導光体310は、透明基板311と、上部電極312と、配向膜313と、光変調層314及びスペーサ315と、配向膜316と、下部電極317と、透明基板318が順に配置されたものである。
透明基板311、318は、光変調層314を支持するものであり、一般に、可視光に対して透明な基板、例えば、ガラス板や、プラスチックフィルムによって構成されている。
【0044】
上部電極312は、透明基板311に透明基板318と対向するように設けられた透明電極である。ここで上部電極312について
図5を用いて説明する。上部電極312は、例えば、
図5に示されるように、面内のそれぞれの領域に対応してサイドライト光源302の延在方向と平行な方向に延在する帯状の形状に設けられている。
【0045】
上部電極312は、領域(1)〜(6)に対応する上部電極312毎に異なる配線312aに接続する。上部電極312は、それぞれ接続した配線312aにより電気的に接続される。上部電極312は、配線312aの端部の接続端子312bに面状光源装置駆動部500からの信号に応じた電圧が印加される。その結果、上部電極312は、領域(1)〜(6)に対応する上部電極312毎に制御される。
図4に戻って説明を続ける。
【0046】
下部電極317は、透明基板318に透明基板311と対向するように設けられたものである。ここで下部電極317について
図6を用いて説明する。下部電極317は、
図6に示されるように、面内の領域と平行な方向であって、上部電極312と相対するように延在する帯状の形状となっている。下部電極317は、接続した配線317aにより電気的に接続されて、配線317aの端部の接続端子317bに面状光源装置駆動部500からの信号に応じた電圧が印加される。なお、各領域に対応する光変調層には、各領域に対応する上部電極312と下部電極317との電圧差(以下、電極間の電圧差)に対応する電場が発生する。なお、上部電極312及び下部電極317の形状は、領域毎に独立して領域に対応する光変調層に電場を発生できればよく、上記形状に限定されない。
図4に戻って説明を続ける。
【0047】
配向膜313、316は、例えば、光変調層314に用いられる液晶性分子314bを配向させるものである。配向膜の種類としては、例えば、垂直用配向膜及び水平用配向膜がある。
スペーサ315は、透明基板311、318の間隔を制御する。スペーサ315は、光を透過する透明な材料で形成される。スペーサ315は、上部電極312及び下部電極317と重ならない領域に形成される。スペーサ315は、透過状態の光変調層314よりもより光を透過する。したがって、スペーサ315を設けることで光変調層314を全面に設ける場合よりも、導光体310内を進行する光の減衰を抑止できる。なお、導光体310は、スペーサ315を備えていなくてもよい。
【0048】
光変調層314は、高分子分散型液晶層であって、液晶性モノマー314aと液晶性モノマー314a内に分散された複数の液晶性分子314bとを含んだ複合層により構成されている。液晶性モノマー314a及び液晶性分子314bは同じ光学異方性を有している。
【0049】
このような光変調層314の作用について
図7を用いて説明する。
図7は、第2の実施形態の光変調層の作用を説明する模式図である。なお、
図7(A),(B)に記載の光軸Ax1,Ax2は、偏光方向によらず屈折率が一つの値になるような光線の進行方向と平行な線であって、
図7(A),(B)中の液晶性モノマー314a及び液晶性分子314bにそれぞれ模式的に表している。
【0050】
まず、領域に対応する電極間に電圧差がなく当該領域の光変調層314に電場が発生しない場合について
図7(A)を用いて説明する。
この場合には、液晶性モノマー314aの光軸Ax1及び液晶性分子314bの光軸Ax2の向きが互いに一致する(平行となる)構造となっている(
図7(A))。また、光軸Ax1及び光軸Ax2の向きは常に互いに完全に一致している必要はなく、光軸Ax1の向きと光軸Ax2の向きとが、例えば、製造誤差等によって多少ずれていてもよい。
【0051】
また、
光変調層に電場を発生させていないときは、液晶性分子314bの光軸Ax2は透明基板311,318の表面と直交している。一方、液晶性モノマー314aは、
図7(A),(B)に示されるように、光変調層314の電場の有無に関わらず、液晶性モノマー314aの光軸Ax1は透明基板311,318の表面と直交するような構造となる。なお、光軸Ax2は常に透明基板311,318の表面と完全に直交している必要はなく、例えば、製造誤差等によって透明基板311,318の表面と90度以外の角度で交差していてもよい。また、光軸Ax1が常に透明基板311,318の表面と完全に直交している必要はなく、例えば、製造誤差等によって透明基板311,318の表面と90度以外の角度で交差していてもよい。
【0052】
ここで、液晶性モノマー314a及び液晶性分子314bの常光屈折率は互いに等しく、かつ、液晶性モノマー314a及び液晶性分子314bの異常光屈折率が互いに等しいことが好ましい。この場合に、例えば、電極間の電圧差がなく光変調層314に電場が発生していない時には、
図7(A)に示されるように、あらゆる方向において屈折率差がほとんどなく、高い透明性が得られる。これにより、例えば、正面(
図7中上部)方向に向かう光L1及び斜め(
図7中斜め上)方向に向かう光L2や光L3は、光変調層314内で散乱されることなく、光変調層314を透過する。
【0053】
次いで、光変調層314に関して、(出射面の任意の領域に対応する)電極間に電圧差により光変調層314に電場を発生させる場合について説明する。
この場合には、液晶性分子314bが電極間の電圧差により光変調層314に発生した電場により、光軸Ax2が傾斜するため、液晶性モノマー314aの光軸Ax1及び液晶性分子314bの光軸Ax2の向きが互いに異なる(交差する)構造となる(
図7(B))。また、液晶性分子314bは、例えば、電極間の電圧差により光変調層314に電場が発生している時に、液晶性分子314bの光軸Ax2が透明基板311,318の表面と90度以外の角度で交差するか、または、平行となるような構造となる。したがって、電極間の電圧差により光変調層314に電場が発生している時には、光変調層314では、あらゆる方向において屈折率差が大きくなり、高い散乱性が得られる。これにより、例えば、
図7(B)に示されるように、正面方向に向かう光L1及び斜め方向に向かう光L2や光L3は、光変調層314内で散乱される。
【0054】
なお、液晶性モノマー314a及び液晶性分子314bの常光屈折率は、例えば、製造誤差等により多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。また、液晶性モノマー314a及び液晶性分子314bの異常光屈折率も、例えば、製造誤差等によって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
【0055】
また、液晶性モノマー314aの屈折率差(Δn
0=異常光屈折率n
0−常光屈折率n
1)と、液晶性分子314bの屈折率差(Δn
1=異常光屈折率n
2−常光屈折率n
3)は、できるだけ大きいことが好ましく、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。液晶性モノマー314a及び液晶性分子314bの屈折率差が大きい場合には、光変調層314の散乱能が高くなり、導光体310の導光条件を容易に破壊することができ、導光体310から光を取り出しやすくなる。
【0056】
このような光変調層314に含まれる液晶性モノマー314aは、例えば、電場に対して応答しない筋状構造もしくは多孔質構造となっているか、または、液晶性分子314bの応答速度よりも遅い応答速度を有する棒状構造となっている。液晶性モノマー314aは、例えば、液晶性分子314bの配向方向または配向膜313,316の配向方向に沿って配向した、配向性及び重合性を有する材料(例えばモノマー)を熱及び光の少なくとも一方によって重合させることにより形成されている。一方、液晶性分子314bは、例えば、液晶材料を主に含んで構成されており、液晶性モノマー314aの応答速度よりも十分に早い応答速度を有している。
【0057】
配向性及び重合性を有するモノマーとしては、光学的に異方性を有しており、かつ液晶と複合する材料であればよく、特に、紫外線で硬化する低分子モノマーであることが好ましい。電場が発生していない状態で、液晶と、低分子モノマーを重合化した後のもの(高分子材料)との光学的異方性の方向が一致していることが好ましいので、紫外線硬化前において、液晶と低分子モノマーが同一方向に配向していることが好ましい。液晶性分子314bとして液晶が用いられる場合に、その液晶が棒状分子であるときには、使用するモノマー材料の形状も棒状であることが好ましい。以上のことから、モノマー材料としては重合性と液晶性を併せ持つ材料を用いることが好ましく、例えば、重合性官能基として、アクリロイルオキシ基と、メタクリロイルオキシ基と、ビニルエーテル基と、エポキシ基とからなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有することが好ましい。これらの官能基は、紫外線、赤外線または電子線を照射したり、加熱したりすることによって重合させることができる。紫外線照射時の配向度低下を抑制するために、多官能基をもつ液晶性材料を添加することもできる。また、配向膜313、316を用いない場合は、磁場や電場等の外場によってこれら材料を配向させた状態を一時的に作りだし、紫外線や熱等によってモノマーを硬化させることで、配向状態を作りだすこともできる。
【0058】
なお、電場によって
透過状態から散乱状態へと遷移するタイプ(ここでは「ノーマリー透明」とする)を示したが、電場によって散乱状態から
透過状態へと遷移するタイプ(ここでは「ノーマリー散乱」とする)でもよい。また、導光体310としては、サイドライト光源302から出射された光が面状内部から全体もしくは部分的に入射させる機能があればよく、透過・散乱だけではなく、回折、屈折などの光学現象を利用することができる。しかしながら、ディスプレイ用照明装置の応用を考えた場合では、入射された光を遠くまで導光させ、効率よく導光体310から発光させるという観点において、ノーマリー透明タイプの導光体が好ましい。以下、ノーマリー透明タイプの導光体を用いて説明する。
【0059】
次に部分駆動について説明する。
図8は、第2の実施形態の面状光源装置の部分駆動の一例を示す図であり、導光体310の領域(2)から光が出射するように面状光源装置300が面状光源装置駆動部500によって制御されている。
【0060】
導光体310の領域(1)に対応する光変調層320は、領域(1)に対応する電極間に電圧差が発生していない状態(電圧無印加状態)であり、
図7(A)に相当する透過状態である。
導光体310の領域(2)に対応する光変調層321は、領域(2)に対応する電極間に電圧差が発生している状態(電圧印加状態)であり、
図7(B)に相当する散乱状態である。
【0061】
サイドライト光源302から出射された光L4は、導光体310の側面から入射し、透明基板311と透明基板318との間で全反射を繰り返し、
図8の水平方向に進行する。
光変調層320は、電圧無印加状態であるため、液晶性モノマー314aと、液晶性分子314bの光軸の向きが互いに一致し、屈折率差がほとんどない。したがって、光変調層320に対応する領域(1)に入射した光L4は、散乱せずにそのまま透過し、水平方向(領域(2)側)に進行する。すなわち、電圧無印加状態に制御された光変調層320を含む領域(1)の出射面から、光が出射されない。
【0062】
光変調層321は、電圧印加状態であるため、液晶性モノマー314aと、液晶性分子314bの光軸の向きが異なり、屈折率差があらゆる方向で大きくなる。したがって、光変調層321に対応する領域(2)に入射した光L4は散乱される。そして散乱した光L4のうち画像表示パネル200側に向かう光の一部が導光体310から出射される。その結果、電圧印加状態に制御された光変調層321を含む領域(2)から画像表示パネル200に対して、光が出射される。また、散乱した光L4のうち反射シート330側に向かう光の一部は導光体310から出射し、反射シート330により反射され、導光体310内部に戻され、導光体310の画像表示パネル200側から出射する。したがって反射シート330を配置することで導光体310の出射面から出射する輝度を高めることができる。
【0063】
このように面状光源装置駆動部500は、各領域に対応する電極間の電圧差により光変調層に電場を発生させることで、各領域に対応する光変調層で光を散乱させ、導光体310の出射面の任意の領域から光を出射させることができる。
【0064】
次に、このような構成を含む表示装置100が備える機能構成例について、
図9を用いて説明する。
図9は、第2の実施形態の表示装置に含まれる機能構成例を示す図である。
表示装置100は、画像出力部110と、信号処理部120と、画像表示パネル200と、面状光源装置300と、画像表示パネル駆動部400と、面状光源装置駆動部500とを有する。
【0065】
画像出力部110は、画像信号を信号処理部120に出力する。画像信号には、画像表示パネル200の各画素201に対応する色情報(表示部に表示される画像の情報)が設定されている。
【0066】
信号処理部120は、画像表示パネル200を駆動する画像表示パネル駆動部400と、面状光源装置300を駆動する面状光源装置駆動部500とに接続する。信号処理部120は、画像信号に基づいて、画像表示パネル200に表示する表示用信号を生成し、画像表示パネル駆動部400へ出力する。また、信号処理部120は、画像信号に基づいて、面状光源装置300を駆動する光源制御信号を生成し、面状光源装置駆動部500へ出力する。
【0067】
画像表示パネル200は、表示面を分割した分割領域を表示単位として表示を行う。この表示単位を画素201とする。例えば、P×Q個の画素201が、マトリクス状に配列されて表示面を構成する。
【0068】
画素201は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3つの副画素で構成される。なお、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)は、一例であり、例えば白色を加えた4つの副画素で1画素を構成してもよいし、シアン、マゼンタ、イエロー等、他の色で構成してもよい。
【0069】
画像表示パネル駆動部400は、信号出力回路410と、走査回路420とを備え、画像表示パネル200を駆動する。画像表示パネル駆動部400は、走査回路420から順に表示用信号に基づく走査信号を出力することによって画素201を選択し、信号出力回路410から順に表示用信号に基づく映像信号を出力することによって、画素201の動作(光透過率)を制御する。
【0070】
面状光源装置300は、画像表示パネル200の背面に配置され、画像表示パネル200に向けて光を出射する。面状光源装置300は、画像表示パネル200の走査回路の走査方向(
図9の上から下に向かう方向)とサイドライト光源302の光の進行方向とが平行になるように配置される。すなわち、面状光源装置300は、画像表示パネル200の導光体310の領域(1)に対応する部分(画素201)から順々に映像信号による映像走査が行われる。
【0071】
面状光源装置駆動部500は、光源駆動回路510と、光変調駆動回路520とを備える。信号処理部120から出力される光源制御信号に基づいて、光源駆動回路510は面状光源装置300のサイドライト光源302が発光する光の出力を制御する。光変調駆動回路520は上部電極312と下部電極317の間に発生させる電場の強さや電場を発生させる時間の長さをそれぞれ制御する。これによって、面状光源装置駆動部500は、面状光源装置300(導光体310)の出射面における光の輝度を制御する。
【0072】
なお、信号処理部120の処理動作は、
図2に示した、表示用ドライバIC100b及びLEDドライバIC100c、またはCPU100a1によって実現される。表示用ドライバIC100bで実現する場合には、CPU100a1を介して入力信号が表示用ドライバIC100b及びLEDドライバIC100cに入力される。表示用ドライバIC100bは、表示用信号を生成し、画像表示パネル200を制御する。また、光源制御信号を生成し、バス100fを介してLEDドライバIC100cに出力する。
【0073】
CPU100a1によって実現する場合には、表示用ドライバIC100bには、CPU100a1から表示用信号が入力される。また、光源制御信号もCPU100a1によって生成され、バス100fを介してLEDドライバIC100cに出力される。
【0074】
次に、表示装置100の信号処理部120がさらに備える機能構成例について、
図10を用いて説明する。
図10は、第2の実施形態の表示装置に含まれる信号処理部の機能構成例を示す図である。
信号処理部120は、画像解析部121と、光源データ記憶部122と、駆動パターン決定部123と、画像処理部124と、タイミング生成部125とを有する。信号処理部120には、画像出力部110から画像信号が入力される。
【0075】
画像解析部121は、画像信号を解析して、画像表示パネル200に表示される画像に基づいた面状光源装置300の導光体310の各領域から出射する光の要求輝度値(以下、各領域の要求輝度値)を算出する。要求輝度値は、出射する光が要求される輝度値であり、面状光源装置300は、要求輝度値を満たすように制御される。
【0076】
画像解析部121は、1画像表示フレーム前の画像信号を解析して、1画像表示フレーム前の画像から、当該1画像表示フレームにおける導光体310の各領域の要求輝度値を算出する。例えば、画像解析部121は、1画像表示フレーム前の画像信号を解析して、出射面全面の要求輝度値を算出する。なお、出射面全面の要求輝度値は予め設定した固定値であってもよい。また、画像解析部121は、1画像表示フレーム前の各領域に対応する画像信号(画像表示パネル200の各領域に対応する部分に表示する画像を確定するために必要な信号)を解析して、領域毎の要求輝度値を算出してもよい。
【0077】
または、画像解析部121は、1画像表示フレームの各領域に対応する画像信号が入力される毎に、入力された各領域に対応する画像信号を解析して、各領域の光の要求輝度値を算出する。
なお、画像解析部121は、各領域を光の進行方向と平行に分割した2次元配列のブロック毎に要求輝度値を算出してもよい。
【0078】
光源データ記憶部122は、光源303a〜303j全てを所定の点灯パターンにし、各領域に対応する上部電極312及び下部電極317を所定の電圧印加パターンで制御した場合(所定の電場を所定時間発生させた場合)の輝度分布情報を記憶する。
【0079】
光源303a〜303j全てを所定の点灯量で点灯し、時分割で各領域に対応する光変調層に所定の強さの電場を所定時間発生させたときに、各領域から画像表示パネル200に向けて出射される光の輝度値を輝度分布情報として記憶する。光源データ記憶部122には、光の輝度値をテーブル形式で設定した輝度分布情報(光源ルックアップテーブル)が記憶される。
【0080】
光源ルックアップテーブルは、表示装置100に固有の情報であるので、事前に作成し、光源データ記憶部122に記憶しておく。なお、輝度分布情報として、画像表示パネル200の表示面(または面状光源装置300の出射面)をm×n(m、nは、1≦m≦P、1≦n≦Qを満たす任意の整数)の領域に分割し、分割領域毎に検出される面状光源装置300の輝度値を記憶してもよい。
【0081】
駆動パターン決定部123は、各領域の要求輝度値と、光源データ記憶部122に記憶される光源ルックアップテーブルに基づきサイドライト光源302の点灯パターンと上部電極312及び下部電極317への電圧印加パターンを決定する。
【0082】
駆動パターン決定部123は、各領域の要求輝度値と光源ルックアップテーブルに設定された各領域の輝度値との差分を、サイドライト光源302の発光出力を変化させて補正した点灯パターンと電圧印加パターンを決定する。
【0083】
駆動パターン決定部123は、各領域の要求輝度値と光源ルックアップテーブルに設定された各領域の輝度値との差分を、各領域に対応する光変調層を散乱状態に制御する(電場を発生させる)時間の長さを変化させて補正した点灯パターンと電圧印加パターンを決定する。
【0084】
駆動パターン決定部123は、各領域の要求輝度値と光源ルックアップテーブルに設定された各領域の輝度値との差分を、各領域に対応する光変調層の散乱状態における散乱度合(発生させる電場の強さ)を変化させて補正した点灯パターンと電圧印加パターンを決定する。
【0085】
なお、このような光源303a〜303jに対する点灯パターンと、導光体310の上部電極312及び下部電極317に対する印加パターンとを含む駆動パターンの一例については後述する。
【0086】
画像処理部124は、画像信号に基づいて、表示用信号を生成する。
タイミング生成部125は、面状光源装置駆動部500による面状光源装置300の各領域に対応する光変調層を散乱状態に制御する(以下、出射走査)タイミングを制御するタイミング信号を生成する。タイミング生成部125は、画像処理部124の表示用信号の出力タイミングに応じた、タイミング信号を生成する。
【0087】
次に、1画像表示フレーム前の画像信号を解析して、画像解析部121が出射面全面の要求輝度値を算出する場合の駆動パターンを
図11〜13を用いて説明する。
図11は、第2の実施形態のサイドライト光源の発光出力を変化させた駆動パターンを示す図である。
図12は、第2の実施形態の電場の強さを変化させた駆動パターンを示す図である。
図13は、第2の実施形態の電場を発生させる時間の長さを変化させた駆動パターンを示す図である。
【0088】
図11に示すように、t
1〜t
6は、1画像表示フレームにおいて面状光源装置300が各領域に対応する光変調層を散乱状態に駆動させ、各領域から光を出射させる期間である。t
1〜t
6は、例えば、1画像表示フレームを領域に合わせて分割して設定される。t
1は、領域(1)から光を出射させる期間である。t
2〜t
6も同様に、領域(2)〜(6)から光を出射させる期間である。LED電流は、サイドライト光源302の光源303a〜303jに供給される電流の値であり、LED電流の値が大きくなるとサイドライト光源302の発光出力が大きくなる。なお、光源303a〜303jには同一の電流が供給されている。
【0089】
通常、導光体310の側面に対してサイドライト光源302から入射光を単に入射すると、導光体310内を光が進行する(入射された側面側から離れる)につれて光の輝度が減衰する。そのため、全ての領域を同じ制御態様で制御すると、面状光源装置300の出射面全面から均一な輝度の光を発光することができない。つまり、所望の輝度の光を各領域から出射するためには、各領域の距離による光の減衰を計算に入れた制御対応で制御することが望ましい。
【0090】
そこで駆動パターン決定部123は、要求輝度値と、光源ルックアップテーブルとの差分を、サイドライト光源302の発光出力(LED電流の大きさ)で補正して、距離による光の減衰を計算に入れた駆動パターンを決定する。
【0091】
すなわち、駆動パターン決定部123は、電場を発生させる時間の長さ、及び電場の強さを全領域で固定し、LED電流の値(サイドライト光源302の発光出力)だけを変化させて駆動パターンを決定する。
【0092】
駆動パターン決定部123が決定した駆動パターンでは、例えば、期間t
1において領域(1)に対応する光変調層に期間を通して電極間の電圧差vに対応する電場が発生し、サイドライト光源302がLED電流i
1に相当する出力の光を発光する。
【0093】
また、期間t
2において領域(2)に対応する光変調層に期間を通して電極間の電圧差vに対応する電場が発生し、サイドライト光源302がLED電流i
2(>i
1)に相当する出力の光を発光する。同様に、期間t
2〜t
6において領域(2)〜(6)に対応する光変調層に期間を通して電極間の電圧差vに対応する電場が発生し、サイドライト光源302がLED電流i
2〜i
6(i
1<i
2<i
3<i
4<i
5<i
6)に相当する出力の光を発光する。
【0094】
このように領域のサイドライト光源302までの距離に応じてLED電流の大きさを制御することで、面状光源装置300は、距離に応じた光の減衰をサイドライト光源302の発光出力により補正できる。これにより、面状光源装置300は、各領域から出射する光の強度が、距離による光の減衰により要求された強度からずれるのを抑止して、各領域から画像表示パネル200に対して所望の輝度の光を出射することができる。
【0095】
または、
図12に示すように、駆動パターン決定部123は、要求輝度値と、光源ルックアップテーブルとの差分を、光変調層の散乱状態における散乱度合(電場の強さ)で補正した、距離による光の減衰を計算に入れた駆動パターンを決定することもできる。
【0096】
すなわち、駆動パターン決定部123は、電場を発生させる時間の長さ、及び光変調層が散乱状態中のサイドライト光源302の発光出力を全領域で固定し、電極間の電圧差(電場の強さ)だけを変化させて駆動パターンを決定する。
【0097】
駆動パターン決定部123が決定した駆動パターンでは、例えば、期間t
1において領域(1)に対応する光変調層314に期間を通して電極間の電圧差v
1に対応する電場が発生し、サイドライト光源302がLED電流iに相当する出力の光を発光する。また、期間t
2において領域(2)に対応する光変調層314に期間を通して電極間の電圧差v
2(>v
1)に対応する電場が発生し、サイドライト光源302がLED電流iに相当する出力の光を発光する。同様に、期間t
3〜t
6において領域(3)〜領域(6)に対応する光変調層に期間を通して電極間の電圧差v
3〜v
6(v
2<v
3<v
4<v
5<v
6)に対応する電場が発生し、サイドライト光源302がLED電流iに相当する出力の光を発光する。なお、電極間の電圧差が大きくなればなるほど発生する電場が強くなり、領域に対応する光変調層の散乱状態における散乱度合が高くなり、多くの光が取り出されるようになる。
【0098】
このように領域のサイドライト光源302までの距離に応じて当該領域に対応する電極間の電圧差の大きさを制御することで、面状光源装置300は、距離に応じた光の減衰を光変調層の散乱度合により補正できる。これにより、面状光源装置300は、各領域から出射する光の強度が、距離による光の減衰により要求された強度からずれるのを抑止して、出射面の各領域から画像表示パネル200に対して所望の輝度の光を発光することができる。
【0099】
または、
図13に示すように、駆動パターン決定部123は、要求輝度値と、光源ルックアップテーブルとの差分を、光変調層を散乱状態に制御する時間の長さにより補正した、距離による光の減衰を計算に入れた駆動パターンを決定することもできる。
【0100】
すなわち、駆動パターン決定部123は、電場の強さ、及び光変調層が散乱状態中のサイドライト光源302の発光出力を全領域で固定し、電場(電極間に電圧差)を発生させる時間の長さだけを変化させて駆動パターンを決定する。
【0101】
駆動パターン決定部123が決定した駆動パターンでは、例えば、期間t
1において領域(1)に対応する光変調層314に期間T
1の間、電極間に電圧差vに対応する電場が発生し、サイドライト光源302がLED電流iに相当する出力の光を発光する。また、期間t
2において領域(2)に対応する光変調層314に期間T
2(>T
1)の間、電極間の電圧差vに対応する電場が発生し、サイドライト光源302がLED電流iに相当する出力の光を発光する。同様に、期間t
3〜t
6において領域(3)〜(6)に対応する光変調層314に期間T
3〜T
6(T
2<T
3<T
4<T
5<T
6)の間、電極間の電圧差vに対応する電場が発生し、サイドライト光源302がLED電流iに相当する出力の光を発光する。なお、各領域に対応する光変調層314は、散乱状態である時間が長くなるほど、多くの光が取り出される。
【0102】
このように領域のサイドライト光源302までの距離に応じて当該領域に電極間に電圧差を生じさせる時間の長さを制御することで、面状光源装置300は、距離に応じた光の減衰を、光変調層を散乱状態に制御する時間の長さにより補正できる。
これにより、面状光源装置300は、各領域から出射する光の強度が、距離による光の減衰により要求された強度からずれるのを抑止して、出射面の各領域から画像表示パネル200に対して所望の輝度の光を発光することができる。
【0103】
なお、上記説明では、出射面全面から均一な光を出射する場合(画像解析部121が出射面全面の要求輝度値を算出する場合)について説明したが、領域毎に異なる輝度の光を出射する場合にも同様に適用できる。また、面状光源装置300が、光源303a〜303j毎に異なるLED電流を供給し、各領域を光の進行方向と平行に分割した2次元配列のブロック毎に輝度を制御して光を出射する場合にも同様に適用できる。
【0104】
なお、距離による光の減衰をサイドライト光源302の発光出力により補正した場合、距離による光の減衰を電場の強さにより補正した場合、距離による光の減衰を電場を発生させる時間の長さにより補正した場合を説明したが、それぞれを併用することもできる。
【0105】
次に、各領域に対応する光変調層を散乱状態に制御する出射走査と画像表示パネル200の各領域に対応する画素201の映像走査のタイミングについて
図14を用いて説明する。
図14は、第2の実施形態の出射走査と映像走査のタイミングを示す図であり、
図11の駆動パターンで面状光源装置300を動かす場合の出射走査と映像走査とのタイミングである。
【0106】
画像表示パネル200の映像走査は、開始からd
1経過すると画像表示パネル200の領域(1)に対応する画素(以下、画素(1))全てに対して終了し、d
2経過すると画像表示パネル200の領域(2)に対応する画素(以下、画素(2))全てに対して終了する。同様にして画像表示パネル200の映像走査は、d
3〜d
6経過すると画像表示パネル200の領域(3)〜領域(6)に対応する画素(以下、画素(3)〜(6))全てに対して終了する。そして、1画像表示フレームの画像表示パネル200の映像走査は、開始からd
6経過した時点で終了する。そして、V blank期間を経た後に、次の1画像表示フレームの映像走査が開始する。
【0107】
面状光源装置駆動部500は、タイミング信号に基づいて、各領域から光を出射させる時間が、当該領域に対応する画素に対する映像走査が全て終了した後になるように、出射走査(領域に対応する光変調層を散乱状態に制御する)を開始する。すなわち、面状光源装置駆動部500は、領域に対して映像走査が行われている間に、当該領域の出射走査を行わないように面状光源装置300を制御する。
【0108】
面状光源装置駆動部500は、例えば、1画像表示フレームの出射走査を当該1画像表示フレームにおける映像走査開始からd
1を経過した後に開始し、次の1画像表示フレームの映像走査開始からd
1経過後に終了し、次の1画像表示フレームの出射走査を開始する。
【0109】
具体的には、面状光源装置駆動部500は、1画像表示フレームにおける画素(1)全ての映像走査が終了した後、かつ次の1画像表示フレームにおける画素(1)の映像走査が開始する前に、当該1画像表示フレームにおける領域(1)に対する出射走査をする。
【0110】
面状光源装置駆動部500は、1画像表示フレームにおける画素(2)全ての映像走査が終了した後、かつ次の1画像表示フレームにおける画素(2)の映像走査が開始する前に、当該1画像表示フレームにおける領域(2)に対する出射走査をする。同様にして面状光源装置駆動部500は、当該1画像表示フレームにおける画素(3)〜(6)の映像走査が全て終了した後、かつ次の1画像表示フレームにおける画素(3)〜(6)の映像走査が開始する前に、当該1画像表示フレームにおける領域(3)〜(6)に対する出射走査をする。
【0111】
このような映像走査と出射走査のタイミングによれば、各領域の出射走査を、確実に、画像表示パネル200の各領域に対応する画素201の映像走査が終了した後にできる。したがって、表示装置100は、画像表示パネル200の画素201が映像走査されている間に、当該画素201に光が照射されることを抑止できる。これにより、表示装置100は、動画ボケを抑止できる。
【0112】
さらに、上記タイミングによれば、駆動パターン決定部123は、画像解析部121が1画像表示フレームの各領域に対応する画像信号が入力される毎に、入力された各領域に対応する画像信号を解析して算出した各領域の光の要求輝度値を用いて駆動パターンを決定することもできる。
【0113】
画像信号は順々に入力されるため、1画像表示フレームの映像走査開始時点では、当該1画像表示フレームにおける画像表示パネル200の各領域に対応する部分の画像は確定していない。そのため、1画像表示フレームの映像走査開始時点では、画像解析部121は、当該1画像表示フレームの各領域に対応する画像信号を解析して、各領域の要求輝度値を算出できない。
【0114】
しかしながら、1画像表示フレームにおける各領域の出射走査を、当該1画像表示フレームにおける画像表示パネル200の各領域に対応する画素201の映像走査が終了した後にすることで、画像解析部121には、各領域の出射走査前までに各領域に対応する画像信号が入力される。
【0115】
したがって、画像解析部121は、1画像表示フレームにおける各領域の出射走査前までには、当該1画像表示フレームの各領域に対応する画像信号を解析して、各領域の要求輝度値を算出できる。これにより、駆動パターン決定部123は、画像解析部121が各領域に対応する部分の画像を解析して算出した各領域の要求輝度値を出射走査前までに取得して、各領域の駆動パターンを決定できる。
【0116】
つまり、駆動パターン決定部123は、画像解析部121が1画像表示フレーム前の画像信号を解析して算出した各領域の要求輝度値よりも、当該1画像表示フレームで表示する画像に適した各領域の要求輝度値を用いて駆動パターンを決定できる。これにより、表示装置100は、画質を向上させることができる。
[第3の実施形態]
【0117】
次に、第3の実施形態の表示装置について説明する。第3の実施形態の表示装置では、面状光源装置駆動部は、画像解析部の画像信号の解析結果に基づいて、出射面の一部の領域から出射する光と、他の領域から出射する光との明暗の差(ダイナミックレンジ)を大きくする。
【0118】
例えば、画像解析部は、領域の要求輝度値が白表示時の値(最大輝度の値)であり、かつ、当該領域の周囲の領域の要求輝度値との輝度の差分が所定の値以上である場合に、当該領域の要求輝度値として、白表示時の値よりも高い輝度の値を要求する。
なお、第3の実施形態の表示装置の構成は、第2の実施形態の表示装置100と同様である。なお、第2の実施形態と同じものには同じ番号を付し、説明は省略する。
【0119】
面状光源装置300の出射面の一部の領域から出射する光と、他の領域から出射する光との明暗の差を大きくする場合の駆動パターンについて
図15、16を用いて説明する。
図15は、第3の実施形態の出射面の一部の領域から出射する光と、他の領域から出射する光との明暗の差を大きくする場合の駆動パターンを示す図であり、
図11において領域(3)から高い出射輝度の光を出射する場合を示す。
図16は、第3の実施形態のオーバーラップ部分における電極間の電圧差の態様の変形例である。
【0120】
駆動パターン決定部123は、期間t
1〜t
6を時分割で設定するとともに、領域(3)に電場を発生させる期間を、領域(4)に電場を発生させる期間t
4に期間t
Lだけオーバーラップさせた駆動パターンを決定する。
【0121】
駆動パターン決定部123が決定した駆動パターンでは、期間t
Lにおいてサイドライト光源302がLED電流I
Lに相当する出力の光を発光する。なお、LED電流I
Lの値は、領域(3)が要求されている輝度と期間t
3により充足される輝度との差分に相当する輝度を期間t
Lの間に満たすように駆動パターン決定部123によって決定される。例えば、駆動パターン決定部123は、LED電流I
LをLED電流i
1〜i
6のいずれの値よりも大きくなるように決定する。その結果、駆動パターン決定部123は、オーバーラップする期間t
Lを短くできる。
【0122】
駆動パターン決定部123が決定した駆動パターンでは、期間t
4のうち期間t
L経過後においてサイドライト光源302がLED電流I
4(>i
4(期間t
Lだけオーバーラップさせない場合の期間t
4におけるLED電流))に相当する出力の光を発光する。これは、期間t
Lにおいて領域(4)よりもサイドライト光源302側の領域(3)で光が出射してしまうため、期間t
Lは領域(4)の輝度にあまり貢献しないためである。
【0123】
このような駆動パターンで駆動すれば、面状光源装置300は、各領域の要求輝度値を満たしつつ、領域(3)から出射する光の輝度をより明るくでき、領域(3)から出射する光と、他の領域から出射する光との明暗の差(ダイナミックレンジ)を大きくできる。
【0124】
なお、距離による光の減衰をサイドライト光源302の発光出力により補正した場合を用いて説明したが、距離による光の減衰を電場の強さにより補正した場合、距離による光の減衰を電場を発生させる時間の長さにより補正した場合でも同様に実現できる。
【0125】
なお、駆動パターン決定部123は、
図16(a)に示すように、期間t
Lにおいて領域(3)に対応する電極間の電圧差v
Lを期間t
3の電極間の電圧差vよりも小さくする駆動パターンを決定してもよい。このような駆動パターンで駆動することで期間t
Lにおける光変調層の散乱度合は、期間t
3における光変調層の散乱度合よりも小さくなる。
このように領域(3)に対応する電極間の電圧差v
Lの値を制御することで、駆動パターン決定部123は、期間t
Lにおいて領域(4)から出射する光の輝度を制御できる。すなわち、駆動パターン決定部123は、領域(4)に対応する電極間の電圧差v
Lを電圧差vより小さくすることで、要求輝度値を満たすために流すLED電流I
4の値をより小さくすることができる。
【0126】
また、駆動パターン決定部123は、
図16(b)に示すように、期間t
Lにおいて領域(3)にPWM駆動で電極間に電圧差vを生じさせる駆動パターンを決定してもよい。このような駆動パターンで駆動することで、期間t
Lにおいて領域(3)に対応する光変調層の状態(散乱状態、透過状態)が所定の間隔で交互に切り換わる。このように領域(3)にPWM駆動で電極間に電圧差vを生じさせることで、駆動パターン決定部123は、期間t
Lにおいて領域(4)から出射する光の輝度を制御して、要求輝度値を満たすために流すLED電流I
4の値を小さくすることができる。なお、
図16(a)と
図16(b)の駆動パターンを併用することもできる。
【0127】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、表示装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶装置には、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD(Compact Disc)−ROM、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)等がある。
【0128】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0129】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムにしたがった処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムにしたがった処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムにしたがった処理を実行することもできる。
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現することもできる。
【0130】
本技術の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本技術の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本技術の要旨を備えている限り、本技術の範囲に含まれる。
【0131】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものついては、当然に本技術によりもたらされるものと解される。