特許第6474637号(P6474637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和ハウス工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6474637-戸袋構造 図000002
  • 特許6474637-戸袋構造 図000003
  • 特許6474637-戸袋構造 図000004
  • 特許6474637-戸袋構造 図000005
  • 特許6474637-戸袋構造 図000006
  • 特許6474637-戸袋構造 図000007
  • 特許6474637-戸袋構造 図000008
  • 特許6474637-戸袋構造 図000009
  • 特許6474637-戸袋構造 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474637
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】戸袋構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/46 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
   E06B3/46
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-36555(P2015-36555)
(22)【出願日】2015年2月26日
(65)【公開番号】特開2016-156251(P2016-156251A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2018年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 春美
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−207750(JP,A)
【文献】 特開2007−170082(JP,A)
【文献】 特開2005−139749(JP,A)
【文献】 実公平02−014623(JP,Y2)
【文献】 実開昭60−174786(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/46
E06B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鴨居材と敷居材または床材との間に設けられ、引戸を収納する戸袋構造であって、
前記鴨居材と前記敷居材または前記床材との間に配置され、縦フレームおよび横フレームを有する戸袋パネルと、
上端部が前記鴨居材に当接し、下端部が前記敷居材または前記床材に当接して、上下方向に延びる中方立と、
前記戸袋パネルの縦フレームを受け入れる形状を有し、前記中方立に固定されるフレーム受入具と、
前記敷居材または前記床材に対面する底壁を有し、前記中方立に固定される中方立固定具とを備え
前記フレーム受入具は、前記縦フレームを受け入れる断面コの字形状の壁を有し、
前記縦フレームは、断面矩形形状である、戸袋構造。
【請求項2】
前記フレーム受入具の高さ寸法は、前記縦フレームの高さ寸法と略同一であるか、前記縦フレームの高さ寸法よりも大きい、請求項に記載の戸袋構造。
【請求項3】
前記中方立固定具は、前記中方立に対面する立壁を含む、請求項1または2に記載の戸袋構造。
【請求項4】
前記フレーム受入具と前記中方立固定具とは、一体的に形成される、請求項1〜のいずれかに記載の戸袋構造。
【請求項5】
前記縦フレームは、木製材料で形成される縦材と、金属材料で形成され、前記縦材に重ね合わされる補強材とを含み、
前記補強材は、前記フレーム受入具に受け入れられる、請求項1〜のいずれかに記載の戸袋構造。
【請求項6】
前記中方立は、前記フレーム受入具を受け入れる断面矩形の溝を有している、請求項1〜5のいずれかに記載の戸袋構造。
【請求項7】
前記フレーム受入具は、前記中方立の溝の外へ突出する長さを有している、請求項に記載の戸袋構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、引戸を収納する戸袋構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の内部において、出入口を開閉するための建具として、鴨居材および敷居材に形成される溝やレールに沿って、出入口を開閉させる引戸が多用されている。この引戸を開けたときに、引戸を収納させる構造として、戸袋が知られている。
【0003】
このような戸袋は、たとえば、鴨居材と敷居材との間に垂直に設けられる中方立と、中方立に取り付けられる戸袋パネルとを備える。中方立の施工に際し、中方立は、固定箇所が少なく、床面に固定する際には技術を要することが知られている。
【0004】
一方で、特開2005−139749号公報(特許文献1)には、枠体の反りや変形を回避するために、ロの字断面形状またはコの字断面形状の補強金物を、枠体の間に接合一体化した戸袋パネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−139749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示される戸袋パネルは、枠体やパネルなど、取り付け精度を要する複数の部材を現場で取り付ける必要があるため、取り付け施工に時間がかかる。
【0007】
また、中方立の施工に際し、中方立は、固定箇所が少ないため技術を要するとともに、固定精度が低い。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、施工時間の短縮と施工精度の向上が可能な戸袋構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため本発明による戸袋構造は、鴨居材と敷居材または床材との間に設けられ、引戸を収納する戸袋構造であって、鴨居材と敷居材または床材との間に配置され、縦フレームおよび横フレームを有する戸袋パネルと、上端部が鴨居材に当接し、下端部が敷居材または床材に当接して、上下方向に延びる中方立と、戸袋パネルの縦フレームを受け入れる形状を有し、中方立に固定されるフレーム受入具と、敷居材に対面する底壁を有し、中方立に固定される中方立固定具とを備える。
【0010】
好ましくは、フレーム受入具は、縦フレームを受け入れる断面コの字形状の壁を有し、縦フレームは、断面矩形形状である。
【0011】
好ましくは、フレーム受入具の高さ寸法は、縦フレームの高さ寸法と略同一であるか、縦フレームの高さ寸法よりも大きい。
【0012】
好ましくは、中方立固定具は、中方立に対面する立壁を含む。
【0013】
好ましくは、フレーム受入具と中方立固定具とは、一体的に形成される。
【0014】
好ましくは、縦フレームは、木製材料で形成される縦材と、金属材料で形成され、縦材に重ね合わされる補強材とを含む。補強材は、フレーム受入具に受け入れられる。
【0015】
好ましくは、前記中方立は、前記フレーム受入具を受け入れる断面矩形の溝を有している。
【0016】
好ましくは、フレーム受入具は、中方立の溝の外へ突出する長さを有している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、施工時間の短縮と施工精度の向上が可能な戸袋構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係る戸袋構造を用いた片引戸を模式的に示す図である。
図2図1のII−II線に沿う断面図である。
図3図2のIII−III線に沿う正面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る戸袋構造の一部分を示す分解斜視図である。
図5図4のV−V線に沿う断面図である。
図6図4のVI−VI線に沿う側面図である。
図7】フレーム受入具と中方立固定具とを取り出して示す斜視図である。
図8図4の底面図である。
図9】本発明の実施の形態に係る戸袋構造を用いた引込戸を示す図2に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
本実施の形態に係る戸袋構造は、出入口が開けられるときに引戸が収納される構造であり、鴨居材と敷居材との間に設けられる。鴨居材は、天井に直接的に設けられる部材であってもよいし、別部材を介して間接的に天井に設けられる部材であってもよい。敷居材は、床材そのものであってもよいし、床材とは異なる部材であってもよい。
【0021】
以下に、図1を参照して、本実施の形態に係る戸袋構造1について詳細に説明する。本実施の形態では、図1において矢印A1で示す方向を左右方向とし、矢印A2で示す方向を上下方向とする。
【0022】
本実施の形態に係る戸袋構造1は、出入り口が開けられたときに片引戸2が収納される場所に形成される。戸袋構造1は、鴨居材3と敷居材4または床材との間に設けられる。鴨居材3および敷居材4との両端側には、鴨居材3を支持する1対の方立5が上下方向に設けられていてもよい。なお、敷居材4には、片引戸2が摺動可能に嵌合されるガイド溝6が形成されていてもよい。
【0023】
図2〜4を参照して、戸袋構造1は、戸袋パネル10と、戸袋パネル10を受け入れるフレーム受入具40および中方立固定具50と、フレーム受入具40および中方立固定具50が取り付けられる中方立20とを備える。戸袋構造1は、左側から、戸袋パネル10、フレーム受入具40および中方立固定具50、中方立20の順に並べられ、固定されている。つまり、戸袋パネル10は、フレーム受入具40および中方立固定具50を介して、中方立20に間接的に取り付けられている。なお、戸袋構造1の片引戸2を収納する側の全面には、板材15が取り付けられ、戸袋構造1の外側の全面には、化粧材14が取り付けられている。戸袋構造1は、たとえば、横幅L1は、600〜1500mm程度である。さらに、高さL2は、2700mm以下であり、望ましくは2400mm以下である。
【0024】
戸袋パネル10は、鴨居材3と敷居材4との間に配置され、戸袋パネル10の外枠を形成する1対の縦フレーム11および1対の横フレーム12を有する。縦フレーム11は、断面矩形形状であり、鴨居材3と敷居材4との間で上下方向に配置されている。横フレーム12は、木製材料で形成され、鴨居材3と敷居材4との間で左右方向に配置されている。ここでは、フレーム11,12の上端が、鴨居材3の上端と同じ高さである場合や、フレーム11,12の下端が、敷居材4と同じ高さである場合も含まれる。また、中方立20側に位置する縦フレーム11は、木製材料で形成される縦材13と、金属材料で形成され、縦材13に重ね合わされる補強材30とを含んでいることが望ましい。
【0025】
図5を参照して、補強材30は、上下方向に延びる矩形形状である。補強材30は、中空形状の鋼製スタッドであってもよい。補強材30のフレーム受入具40に対面する面と、縦材13に対面する面には、それぞれ断面矩形の溝が形成されていてもよい。なお、補強材30と縦材13とは、左右方向にネジ47が所定間隔で打ち込まれることにより、一体的に形成されていてもよい。
【0026】
図6〜8をさらに参照して、フレーム受入具40は、縦フレーム11を受け入れる断面コの字形状の壁を有する。具体的には、フレーム受入具40は、縦フレーム11の補強材30を受け入れる形状を有し、中方立20に固定される。フレーム受入具40の壁は、立壁41と、立壁41の両端から縦フレーム11を受け入れる方向に突出する突出壁42とを含む。このような構造とされることで、フレーム受入具40の断面略コの字形状の部分に補強材30が受け入れられる。なお、フレーム受入具40の突出壁42は、後述する中方立20の溝21の外へ突出する長さを有している。
【0027】
フレーム受入具40の高さ寸法は、縦フレーム11の高さ寸法と略同一であることが望ましく、補強材30や縦材13の高さ寸法よりも大きくてもよい。なお、補強材30は、フレーム受入具40に受け入れられるため、一対の突出壁42を合わせた厚さ分だけ縦材13よりも薄く形成されていてもよい。
【0028】
図7,8を特に参照して、中方立固定具50は、フレーム受入具40の下方端に設けられる。中方立固定具50は、側面視略L字形状であり、少なくとも敷居材4に対面する底壁52を含み、中方立20の溝21に対面する立壁51を含むことが望ましい。なお、中方立固定具50の立壁51が、フレーム受入具40の立壁41の下端部に取り付けられることで、フレーム受入具40と中方立固定具50とが一体的に形成されていることが望ましい。一体的に形成されたフレーム受入具40と中方立固定具50は、あらかじめ中方立20に固定されていることが望ましい。
【0029】
図3,4を特に参照して、中方立20は、上端部24が鴨居材3に当接し、下端部25が敷居材4に当接して上下方向に延びる。この場合、中方立20の上端部24が鴨居材3に当接するとは、中方立20の上端が鴨居材3に当接することだけではなく、中方立20の上端部の一方の側面が鴨居材3に接することも含む。
【0030】
中方立20は、木製材料で形成され、断面コの字形状のフレーム受入具40を受け入れる断面矩形の溝21を有することが望ましい。このような構造とされることで、中方立20の溝21に、フレーム受入具40の壁41,42がそれぞれ受け入れられる。
【0031】
次に、図4〜6を参照して、戸袋構造1の施工手順について説明する。中方立20には、一体成形されたフレーム受入具40および中方立固定具50が、あらかじめ所定間隔をあけてネジ45で固定されているものとして説明する。
【0032】
まず、床と天井に固定させた方立5に対し、鴨居材3を固定させる。次に、フレーム受入具40の立壁41の上方側から、鴨居材3に向かって水平方向(右側方向)にネジ44を打ち込んで、鴨居材3と中方立20の上端部24とを固定させる。さらに、中方立20と敷居材4とは、中方立固定具50の底壁52から敷居材4に向かって垂直方向(下方向)にネジ48が打ち込んで固定させる。
【0033】
これにより、中方立20は、鴨居材3と水平方向に向かうネジ44によって固定され、敷居材4と垂直方向に向かうネジ48によって固定される。したがって、フレーム受入具40および中方立固定具50を用いることで、高度な技術や、慎重な作業を行わずとも中方立20の固定精度を上げることができ、施工時間も短縮することができる。
【0034】
次に、図6に示すように、縦フレーム11の補強材30は、ネジ48上に置かれ、フレーム受入具40の壁41,42の間に挟まれる。フレーム受入具40の突出壁42は、中方立20の溝21の外へ突出している。そのため、フレーム受入具40と補強材30とは、中方立20から突出している突出壁42側から、所定間隔をあけてネジ46で固定される。
【0035】
これにより、戸袋パネル10と中方立20との固定は、縦フレーム11の補強材30をフレーム受入具40に差し込み、フレーム受入具40と水平方向に固定する、という簡単な作業ですむため、施工時間を短縮することができる。また、フレーム受入具40の突出壁42は、中方立20の溝21から外へ突出する長さを有するため、戸袋パネル10への面外方向からの力に対しても強度が増す。
【0036】
さらに、中方立20とフレーム受入具40と中方立固定具50とをあらかじめユニット化し、1対の縦フレーム11と1対の横フレーム12とをあらかじめ戸袋パネル10としてユニット化して現場に納入することで、現場での組み立て部材を減らし、施工時間の短縮を図ることができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、戸袋構造1を、片引戸2に用いることとしたが、これに限定されない。たとえば、図9に示すように、戸袋構造1Aを引込戸2Aに用いてもよい。本実施の形態との相違点のみ説明すると、戸袋構造1Aは、引込戸2Aを介して1対設けられる。中方立20Aは、断面略L字形状であり、引込戸2A側には、化粧材などの板材は設けられていない。
【0038】
また、フレーム受入具40と中方立固定具50とは、一体的に形成されている場合を説明したが、この構造に限られない。たとえば、中方立固定具50の底壁52を、フレーム受入具40の突出壁42の下端を掛け渡す箱型形状とし、フレーム受入具40の立壁41と中方立固定具50の立壁51とを同一面としてもよい。
【0039】
また、本実施の形態における中方立20は、コの字形状であるとしたが、溝21を有さない断面矩形形状であってもよい。この場合、フレーム受入具40は、中方立の平面に取り付けられる。
【0040】
さらに、縦フレーム11は、縦材13と補強材30とから構成され、補強材30がフレーム受入具40に受け入れられるとしたが、限定的ではない。縦フレーム11は、木製材料や金属材料の縦材13のみで形成され、縦材13がフレーム受入具40に受け入れられてもよい。
【0041】
上記の実施の形態において、引戸が1枚である場合を説明したが、これに限定されず、引戸は、複数枚設けられていてもよい。
【0042】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 戸袋構造、2 片引戸、2A 引込戸、3 鴨居材、4 敷居材、5 方立、6 ガイド溝、10 戸袋パネル、11 縦フレーム、12 横フレーム、13縦材、14 化粧材、15 板材、20 中方立、21 溝、24 上端部、25 下端部、30 補強材、40 フレーム受入具、41 立壁、42 突出壁、44〜48 ネジ、50 中方立固定具、51 立壁、52 底壁、100 片引戸、100A 引込戸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9