特許第6474638号(P6474638)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6474638
(24)【登録日】2019年2月8日
(45)【発行日】2019年2月27日
(54)【発明の名称】脚用枕
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20190218BHJP
【FI】
   A61F5/02 N
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-37481(P2015-37481)
(22)【出願日】2015年2月26日
(65)【公開番号】特開2016-158678(P2016-158678A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2016年4月15日
【審判番号】不服2018-74(P2018-74/J1)
【審判請求日】2018年1月4日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示日 平成26年9月3日 平成26年 第78回 東京インターナショナル・ギフト・ショー 秋2014 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3−11−1)にて公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】594114363
【氏名又は名称】株式会社高嶌
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高嶌 久登
【合議体】
【審判長】 氏原 康宏
【審判官】 出口 昌哉
【審判官】 仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−34410(JP,A)
【文献】 実公平6−12747(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下腿の周囲を覆うクッションを含む脚被覆部と、
前記脚被覆部が下腿にフィットするように前記脚被覆部を締める強さである締付力を調節可能な第1の調節部と、
前記脚被覆部を引っ張ることにより前記締付力を調節可能な第2の調節部とを備え
前記第1の調節部は、脹脛が締め付けられるように前記脚被覆部が下腿にフィットする状態、および、前記脚被覆部が下腿に取り付けられた状態でユーザーが移動する場合に前記脚被覆部が下腿に保持される状態を形成できるように前記締付力を調節可能である
脚用枕。
【請求項2】
前記脚被覆部は下腿に巻き付け可能な帯状の形態を有し、
前記第1の調節部は、下腿の周囲に巻き付けられる前記脚被覆部の長さを調節することにより前記締付力を調節する
請求項1に記載の脚用枕。
【請求項3】
前記脚被覆部は、脹脛を支持する支持部、および、前記支持部の側部から伸びる帯状の巻付部を含み、
前記第2の調節部は、前記支持部の内面に取り付けられる第1の取付部、および、前記巻付部に形成される穴を通過して前記巻付部の外面に取り付けられる第2の取付部を備え、前記巻付部に対する前記第2の取付部の取り付け位置が調節可能である
請求項2に記載の脚用枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脚に取り付けて使用される脚用枕に関する。
【背景技術】
【0002】
就寝時に脚に取り付けて使用される脚用枕が知られている。非特許文献1はその一例を開示している。ユーザーが脚用枕を下腿に取り付けて就寝することにより、就寝時に下腿がむくみにくくなる。これは、脚用枕が下腿に取り付けられることにより踵が寝具から浮き上がること、および、脚用枕により脹脛が締め付けられることにより、筋ポンプ作用が向上し、血管からの血液の染み出しが抑制されることが関係していると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社高嶌、″レッグ・エンジェル″、[online]、[平成27年2月6日検索]、インターネット〈http://www.dr-smith.jp/item/leg-angel/color/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
身体をより好ましい状態に保つため、脚用枕により提供される効果を一層高めることが望まれる。
本発明の目的は脚のむくみの抑制効果をさらに高めた脚用枕を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔1〕本発明に従う脚用枕の一形態は、下腿の周囲を覆うクッションを含む脚被覆部と、前記脚被覆部が下腿にフィットするように前記脚被覆部を締める強さである締付力を調節可能な第1の調節部と、前記脚被覆部を引っ張ることにより前記締付力を調節可能な第2の調節部とを備える
【0006】
本願発明者は脚のむくみを抑える効果を向上させるための脚用枕の構造について検討した。その結果、ユーザー毎に異なる脚の形状に応じて、脚用枕を脚にしっかりとフィットさせることができれば、脚のむくみを抑える効果が高められることを確認した。上記脚用枕はこの検討の結果を踏まえ、調節部により締付力が調節可能な構造を備えるようにした。これにより、上記脚用枕が脚に取り付けられ、その脚の形状に応じて締付力が調節されるため、従来の脚用枕と比較してユーザーの脚にしっかりフィットする。このため、脚のむくみの抑制効果がさらに高められる。また、この脚用枕によれば、第1の調節部に加え第2の調節部によっても締付力を調節できる。このため、多様な脚の形状に応じて適切な締付力が脚に与えられやすくなることにより、脚のむくみの抑制効果が一層高められる。
【0007】
〔2〕前記脚用枕の一例によれば、前記脚被覆部は下腿に巻き付け可能な帯状の形態を有し、前記第1の調節部は、下腿の周囲に巻き付けられる前記脚被覆部の長さを調節することにより前記締付力を調節する。
【0008】
脚被覆部の形状が筒状に形成されている従来技術の場合、すなわち、脚被覆部が帯状に展開できない場合と比較して、この脚用枕によれば、脚に対する脚被覆部の取付状態を柔軟に調節できる。このため、脚に適切な締付力が与えられやすい。
【0010】
〕前記脚用枕の一例によれば、前記脚被覆部は、脹脛を支持する支持部、および、前記支持部の側部から伸びる帯状の巻付部を含み、前記第2の調節部は、前記支持部の内面に取り付けられる第1の取付部、および、前記巻付部に形成される穴を通過して前記巻付部の外面に取り付けられる第2の取付部を備え、前記巻付部に対する前記第2の取付部の取り付け位置が調節可能である。
【0011】
この脚用枕によれば、巻付部に対する第2の取付部の位置が調節されることにより、第1の取付部が支持部の内面に生じさせる張力が変化するため、脚被覆部の締付力が調節される。また、第2の取付部が巻付部の外面に取り付けられるため、ユーザーが第2の調節部により締付力を調節しやすい。
【発明の効果】
【0012】
上記脚用枕によれば、脚のむくみの抑制効果がさらに高められる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】は実施の形態の脚用枕の内面を示す展開図である。
図2】は図1のD2−D2線に沿う断面図である。
図3】は図1の脚用枕の外面を示す展開図である。
図4】は図3の弾力調節部を示す拡大図である。
図5】は起立した人の下腿に取り付けられた図1の脚用枕の側面図である。
図6】は図5の脚被覆部の締付力が強められた状態を示す側面図である。
図7】は就寝した人の下腿に取り付けられた図1の脚用枕の側面図である。
図8】は変形例の脚用枕の平面図である。
図9】は下腿に取り付けられた図8の脚用枕の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態)
図1に示されるとおり、脚用枕1は、下腿100(図5参照)に巻き付け可能な帯状の形態を有する脚被覆部10、ならびに、脚被覆部10が下腿100にフィットするように脚被覆部10を締める強さである締付力を調節可能な第1の調節部20および第2の調節部30(図3参照)を備える。
【0015】
脚被覆部10は、脹脛を支持するクッションである略円形状の支持部11、および、支持部11の側部から点対称状に伸びる帯状の一対の巻付部12を有している。複数の生地が互いに縫合されることにより脚被覆部10が構成される。生地の一例は備長炭をシート化した炭シートである。図1に示される脚用枕1の内面1A、および、図3に示される脚用枕1の外面1Bは炭シートにより形成される。図3に示される縫い目13は、炭シートの縫い目であり、脚被覆部10の長手方向の中心に形成される。
【0016】
支持部11は、その中央部分を構成する中央支持部11A、および、中央支持部11Aの周囲を取り囲む外周支持部11Bにより形成されている。内面1Aを形成する炭シートと外面1Bを形成する炭シートとが互いに縫合されることにより、クッションである支持部11に中央支持部11Aおよび外周支持部11Bが形成される。
【0017】
図2に示されるとおり、支持部11の内部に発泡ポリスチレン製のビーズ14が敷き詰められている。このため、脚被覆部10が下腿100(図5参照)に巻き付けられた場合、下腿100にソフトな接触感が与えられる。中央支持部11Aの外面1Bは中央支持部11Aの内面1Aよりも膨らんでいる。
【0018】
図1に示されるとおり、脚用枕1は2組の第1の調節部20を備える。第1の調節部20の一例は面ファスナーである。面ファスナーは、支持部11の外面1B(図3参照)に取り付けられるフック21(図3参照)、および、巻付部12の内面1Aに取り付けられるループ22により構成される。脚被覆部10の長手方向において縫い目13(図3参照)に対して互いに対称位置に存在するフック21およびループ22の組が1つの面ファスナーを構成する。フック21は、中央支持部11Aの外面1Bおよび外周支持部11Bの外面1Bにまたがって配置される。ループ22は、巻付部12の広い範囲に配置される。ループ22の素材の一例は、ソフトな接触感をユーザーに提供できる不織布である。
【0019】
フック21およびループ22が互いに貼り合わせられることにより、脚被覆部10が下腿100(図5参照)に巻き付けられた状態が保持される。フック21の長手方向においてフック21に対するループ22の貼付位置が調節されることにより、下腿100の周囲に巻き付けられる脚被覆部10の接触長さが調節される。脚被覆部10の接触長さが短くなるほど締付力が強くなる。
【0020】
図3に示されるとおり、脚用枕1は2組の第2の調節部30を備える。第2の調節部30は、弾性材料により形成される締付片31、および、締付片31が発生する力である弾力を調節する弾力調節部32により構成される。締付片31は、図1に示されるとおり束ねられた2枚のゴムであり、支持部11および巻付部12にまたがって配置される。
【0021】
巻付部12は締付片31が通過する穴12Aを備える。締付片31が穴12Aに通されることにより、図1に示されるとおり締付片31の一方の端部である第1の取付部31Aが支持部11の内面1A側に配置され、図3に示されるとおり締付片31の他方の端部である第2の取付部31Bが巻付部12の外面1B側に配置される。第1の取付部31Aは支持部11の内面1Aに縫合される。第2の取付部31Bは弾力調節部32により巻付部12に取り付けられる。
【0022】
図4に示されるとおり、締付片31は第2の取付部31Bから伸びる固定片31Cを備える。固定片31Cの端部は巻付部12の外面1Bと縫合される。このため、締付片31のうちの巻付部12の外面1B側に配置される部分が巻付部12に対して調節可能な最大範囲は、固定片31Cにより規制される。このため、締付片31の第2の取付部31Bは巻付部12の穴12Aを介して巻付部12の内面1A(図1参照)側に移動しにくい。
【0023】
弾力調節部32の一例は面ファスナーである。面ファスナーは、締付片31の第2の取付部31Bに取り付けられるフック33、ならびに、巻付部12の外面1Bおよび固定片31Cに取り付けられるループ34により構成される。ループ34は、巻付部12の長手方向に沿って配置される第1のループ34A、第1のループ34Aの周囲に配置される第2のループ34B、および、固定片31Cに配置される第3のループ34Cを含む。第2のループ34Bの素材の一例は、ソフトな接触感をユーザーに提供できる不織布である。第1のループ34Aとフック33との結合力、および、第3のループ34Cとフック33との結合力は、第2のループ34Bとフック33との結合力よりも強い。
【0024】
フック33およびループ34が互いに貼り合わせられることにより、締付片31の第2の取付部31Bが巻付部12の外面1Bに結合される。ループ34の長手方向においてループ34に対するフック33の貼付位置が調節されることにより、締付片31の弾力が調節される。ループ34に対するフック33の貼付位置は、締付片31が実質的に弾力を発生しない位置を含む。この位置は、例えばフック33が第3のループ34Cに貼り合せられる位置であり、支持部11(図3参照)の締付力を締付片31により増大させたくない場合に選択される。
【0025】
締付片31が弾力を発生するようにフック33がループ34に貼り合わせられた場合、締付片31の弾力により支持部11および巻付部12に締付片31の弾力が作用する。このため、締付片31の弾力が作用していない場合と比較して、支持部11の締付力が大きくなる。
【0026】
図5図7は脚用枕1の使用状態の一例を示す。
脚用枕1は典型的には次の手順を経て下腿100に取り付けられる。第1の手順では、脚用枕1が図1に示されるとおり展開される。第2の手順では、ユーザーが起立した状態または着座した状態において、展開された脚用枕1の内面1A(図1参照)が下腿100の周囲を覆うように脚被覆部10が下腿100に巻き付けられる。第3の手順では、一方の第1の調節部20のフック21(図3参照)およびループ22(図1参照)が互いに貼り合わせられる。第4の手順では、他方の第1の調節部20のフック21およびループ22が互いに貼り合わせられる。第3の手順および第4の手順によれば、適度な締付力が下腿100に与えられるようにフック21に対するループ22の貼付位置がユーザーにより調節される。第4の手順が終了することにより、図5に示されるとおり脚用枕1が下腿100の周囲に巻き付けられる。
【0027】
第5の手順では、一方の第2の調節部30のフック33およびループ34が互いに貼り合わせられる。第6の手順では、他方の第2の調節部30のフック33およびループ34が互いに貼り合わせられる。第5の手順および第6の手順によれば、適度な締付力が下腿100に与えられるように、または、第2の調節部30の締付力が実質的に発生しないようにループ34に対するフック33の貼付位置がユーザーにより調節される。第6の手順が終了することにより、脚用枕1が下腿100に取り付けられる。
【0028】
第3の手順および第4の手順において第1の調節部20により下腿100に適切な締付力が与えられている場合、第2の調節部30の締付力が実質的に発生しないように締付片31が緩んだ状態でフック33がループ34に貼り付けられる。一方、第1の調節部20により下腿100に与えられる締付力が不足している場合、締付力が増加するようにループ34に対するフック33の貼付位置が調節される。なお、図6は第2の調節部30により脚被覆部10の締付力が強められた状態を示す。
【0029】
締付片31が弾力を発生する場合、第1の取付部31A(図1参照)と結合された支持部11の内面1A(図1参照)、ならびに、フック33およびループ34により第2の取付部31Bと結合された巻付部12の外面1Bにその弾力が作用する。すなわち、脚被覆部10の締付力が増加する。このため、第1の調節部20による締付力の調節だけでは脚用枕1と下腿100との好ましいフィット感が得られない場合であっても、第2の調節部30によりその問題が解消される、または、問題の程度が弱められる。
【0030】
図7に示されるとおり、ユーザーが脚用枕1を下腿100に取り付けて就寝した場合、支持部11の内面1A(図1参照)が脹脛に接触し、支持部11の外面1Bが寝具200と接触する。下腿100が支持部11により支持されることにより、脚用枕1により脹脛が締め付けられた状態において踵が寝具200から浮き上がった状態が維持される。このため、筋ポンプ作用が向上し、血管からの血液の染み出しが抑制されることにより、就寝時に下腿がむくみにくくなる。
【0031】
上記実施の形態の脚用枕1によれば、以下の効果が得られる。
(1)技術開発の初期において、脚のむくみを抑える効果を向上させるための脚用枕の構造について検討した。その結果、ユーザー毎に異なる脚の形状に応じて、脚用枕を脚にしっかりとフィットさせることができれば、脚のむくみを抑える効果が高められることを確認した。脚用枕1はこの検討の結果を踏まえ、上記実施の形態では第1の調節部20により締付力が調節可能な構造を備えるようにした。これにより、脚用枕1が脚に取り付けられ、その脚の形状に応じて締付力が調節されるため、従来の脚用枕と比較してユーザーの脚にしっかりフィットする。このため、脚のむくみの抑制効果がさらに高められる。
【0032】
また、ユーザーが脚用枕1を下腿100に取り付けられた状態で移動する場合、脚用枕1が脚からずれにくい。このため、脚用枕1の位置を調節しなおす必要が生じにくく、脚用枕1の利便性が高められる。
【0033】
(2)脚被覆部の形状が筒状に形成されている従来技術の場合、すなわち、脚被覆部が帯状に展開できない場合と比較して、上記実施の形態の脚用枕1では下腿100に対する脚被覆部10の取付状態を柔軟に調節できる。このため、下腿100に適切な締付力が与えられやすい。
【0034】
(3)脚用枕1によれば、第1の調節部20に加え第2の調節部30によっても締付力を調節できる。このため、多様な脚の形状に応じて適切な締付力が脚に与えられやすくなることにより、脚のむくみの抑制効果が一層高められる。
【0035】
(4)脚用枕1によれば、ループ34の長手方向においてループ34に対するフック33の貼付位置が調節されることにより、第1の取付部31Aが支持部11の内面1Aに生じさせる張力が変化するため、脚被覆部10の締付力が調節される。また、第2の取付部31Bが巻付部12の外面1Bに取り付けられるため、ユーザーが第2の調節部30により締付力を調節しやすい。
【0036】
(5)締付片31は、第2の取付部31Bから伸びるように形成され、巻付部12の外面1Bと縫合される固定片31Cを備える。このため、締付片31の第2の取付部31Bは巻付部12の穴12Aを介して巻付部12の内面1A側に移動しにくい。したがって、第2の取付部31Bがそのように移動することにより、ユーザーがその第2の取付部31Bを再び穴12Aに通す必要が生じにくい。
【0037】
(6)ループ22がソフトな接触感をユーザーに提供できる素材により形成される。このため、脚用枕1が下腿100に取り付けられた場合にループ22が肌に触れたとしても、ループが硬い素材により形成される場合と比較してユーザーが不快感を覚えにくい。また、巻付部12の内面1Aに通常の硬さを有する面ファスナーのループが取り付けられる場合と比較しても、有意な効果が得られる。
【0038】
(7)脚用枕1は例えば介護に用いることができる。典型的には、脹脛および踵等に褥瘡が生じることを抑えるために脚用枕1が被介護者の下腿100に取り付けられる。脚用枕1によれば、介護者は脚被覆部10を展開した状態において被介護者の下腿100をその脚被覆部10に載せ、その後に第1の調節部20を結合することにより脚用枕1を下腿100に取り付ける。このため、脚被覆部の形状が筒状に形成されている場合と比較して、介護者が脚用枕1を被介護者の下腿100に取り付けやすい。
【0039】
(変形例)
実施の形態に関する説明は本発明に従う脚用枕が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う脚用枕は実施の形態以外に例えば以下に示される実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0040】
・変形例の弾力調節部32によれば、巻付部12の内面1Aにループ34が取り付けられる。この変形例によれば、締付片31の第2の取付部31Bはフック33およびループ34が互いに貼り合わせられることにより巻付部12の内面1Aに固定される。この脚用枕1は穴12Aが省略された構成を取り得る。
【0041】
・変形例の脚用枕1によれば、締付片31から固定片31Cが省略される。
・締付片31の第1の取付部31Aと支持部11との結合の関係は縫合に限られない。一例によれば、脚用枕1は第1の取付部31Aと支持部11とを結合する面ファスナーを備える。この脚用枕1は第2の取付部31Bと巻付部12とを結合する面ファスナーが省略された形態を取り得る。
【0042】
・締付片31を構成するゴムの枚数は任意の選択事項である。変形例の締付片31は1枚または3枚以上の枚数のゴムにより構成される。
・変形例の脚用枕1によれば、一方の巻付部12から第1の調節部20が省略される。
【0043】
・脚用枕1が備える巻付部12の数は任意の選択事項である。変形例の脚用枕1は1つまたは3つ以上の巻付部12を備える。脚用枕1が3つ以上の巻付部12を備える場合、そのうちの少なくとも1つに第1の調節部20が形成される。
【0044】
・第1の調節部20は面ファスナー以外の形態を取り得る。一例によれば、第1の調節部20がバックルにより構成される。
・脚用枕1が備える第2の調節部30の数は任意の選択事項である。変形例の脚用枕1は1組または3組以上の第2の調節部30を備える。
【0045】
・第2の調節部30の第2の取付部31Bは面ファスナー以外の形態を取り得る。一例によれば、第2の取付部31Bがバックルにより構成される。
・変形例の脚用枕1によれば、第1の調節部20および第2の調節部30の一方が省略される。
【0046】
・脚被覆部10の表面を形成する生地の素材は任意の選択事項である。変形例の脚用枕1によれば、不織布により脚被覆部10の表面が形成される。
図8に示される変形例の脚用枕50は、帯状の脚被覆部10に代わる筒状の脚被覆部51、および、第1の調節部20に代わる第3の調節部52を備える。脚被覆部51の内部には空間51Aが形成される。第3の調節部52は、脚被覆部51の周方向に沿って配置される帯53、および、帯53の一方の端部と脚被覆部51とを互いに結合する面ファスナー54を含む。帯53の他方の端部は脚被覆部51の外面に縫合される。
【0047】
面ファスナー54は、帯53の一方の端部に取り付けられるフック54A、および、脚被覆部51の外面に取り付けられるループ54Bにより構成される。ループ54Bは脚被覆部51の外周に沿って伸びるように配置される。フック54Aおよびループ54Bが互いに貼り合せられることにより、帯53の一方の端部が脚被覆部51に結合される。
【0048】
脚用枕50は典型的には次の手順を経て下腿100に取り付けられる。第1の手順では、図9に示されるとおり脚被覆部51の空間51A(図8参照)に下腿100が挿入される。第2の手順では、第3の調節部52のフック54Aおよびループ54Bが互いに貼り合せられる。第2の手順によれば、適度な締付力が下腿100に与えられるようにループ54Bに対するフック54Aの位置がユーザーにより調節される。第2の手順が終了することにより、脚用枕50が下腿100に取り付けられる。
【0049】
この変形例によれば、脚用枕50が脚に取り付けられ、その脚の形状に応じて締付力が調節されることにより、従来の脚用枕と比較してユーザーの脚にしっかりフィットする。このため、脚のむくみの抑制効果がさらに高められる。
【0050】
・脚用枕1の使用形態は実施の形態に例示された使用形態とは別の使用形態を含む。別の使用形態の一例によれば、脚用枕1が脚の大腿に取り付けられる。この場合、大腿のむくみを抑える効果が得られることがある。
【符号の説明】
【0051】
1 :脚用枕
1A :内面
1B :外面
10 :脚被覆部
11 :支持部
12 :巻付部
12A:穴
20 :第1の調節部
30 :第2の調節部
31A:第1の取付部
31B:第2の取付部
50 :脚用枕
51 :脚被覆部
52 :第3の調節部(調節部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9