(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、地図情報表示装置が表示するビル名等の建物の注記情報が、実際の建物の外部に標示されておらず、ユーザが地図上の建物と実際の建物との対応関係を把握する上で注記情報が十分に機能しない場合があった。この場合、例えば、ユーザが現在位置を特定することも容易ではなくなる。そのため、表示する地図情報において、建物の注記情報と、実際の建物の外部に存在する看板等の標示物の記載とが一致する可能性を高めることのできる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、地図情報表示装置が提供される。この地図情報表示装置は、建物の位置および形状を含む地図画像を表す地図画像データと、前記建物の各階に対応づけられた入居者の属性を表す入居者属性を含む建物属性データとを記憶した記憶部と、前記建物属性データを参照し、前記入居者属性を前記地図画像上の建物の注記として使用される注記情報として選択する制御部と、前記記憶部に記憶された前記地図画像データと前記制御部により選択された前記注記情報とから前記建物の位置に前記注記情報が配置された注記地図画像を表示する表示部と、を備え、前記制御部は、前記入居者属性を選択する対象の建物の前記建物属性データにおいて、前記建物の階のうち、外部から出入りが可能な階である特定階に単数の前記入居者属性が対応づけられている場合は、該入居者属性を前記対象の建物の前記注記情報として選択し、前記特定階に複数の前記入居者属性が対応づけられている場合は、該複数の入居者属性のうち前記特定階とは異なる他の階にも対応づけられている前記入居者属性を前記対象の建物の前記注記情報として選択することを特徴としている。
この構成によれば、制御部は、建物の特定階の入居者が単数(一つ)の場合には、その入居者の入居者属性をその建物の注記情報として使用するため、建物の注記情報と、実際の建物の外部に存在する標示物の記載とが一致する可能性を高めることができる。また、この構成によれば、制御部は、建物の特定階の入居者が複数存在する場合には、特定階を含む複数階を利用する入居者の入居者属性をその建物の注記情報として使用するため、建物の特定階の入居者が複数存在する場合であっても、上記可能性を高めることができる。
【0007】
(2)上記形態の地図情報表示装置において、前記入居者属性は、前記地図画像に含まれる建物における前記入居者の占有割合を示す建物占有率に関する情報を含んでおり、前記制御部は、前記入居者属性を選択する対象の建物の前記建物属性データにおいて、前記他の階にも対応づけられている前記入居者属性が複数存在する場合には、該複数の入居者属性のうち前記対象の建物における前記建物占有率の最も高い前記入居者属性を前記対象の建物の前記注記情報として選択してもよい。
この構成によれば、制御部は、建物の特定階を含む複数階を利用する入居者が複数存在する場合には、建物占有率の最も高い入居者の入居者属性をその建物の注記情報として使用するため、この場合であっても、上記可能性を高めることができる。
【0008】
(3)上記形態の地図情報表示装置において、前記建物属性データはさらに、前記地図画像に含まれる建物の名称である建物名称を含んでおり、前記制御部は、前記対象の建物の前記建物属性データにおいて、前記対象の建物の前記特定階を含む複数階に存在する入所者属性が複数存在し、前記建物占有率の最も高い前記入居者属性が複数存在する場合には、前記対象の建物の建物名称を前記対象の建物の前記注記情報として選択してもよい。
この構成によれば、制御部は、建物占有率の最も高い入居者が複数存在する場合には、建物名称をその建物の注記情報として使用するため、この場合であっても、上記可能性を高めることができる。
【0009】
(4)上記形態の地図情報表示装置において、前記入居者属性は、さらに、前記地図画像に含まれる建物の各階の入居者が属する業種についての情報を含んでおり、前記制御部は、前記入居者属性を選択する対象の建物の前記建物属性データにおいて、前記他の階にも対応づけられている前記入居者属性が複数存在し、前記建物占有率の最も高い前記入居者属性が1つしか存在しない場合であっても、前記建物占有率の最も高い前記入居者属性の業種が、一般顧客の来店を期待する業種として予め設定されている特定の業種ではない場合には、前記建物占有率の最も高い入居者属性に代えて、前記建物名称を前記対象の建物の前記注記情報として選択してもよい。
この構成によれば、制御部は、建物占有率の最も高い入居者の業種が、一般顧客の来店を期待する業種ではない場合には、その入居者の入居者属性ではなく、建物名称をその建物の注記情報として使用するため、上記可能性をさらに高めることができる。
【0010】
(5)上記形態の地図情報表示装置において、前記建物属性データには、前記地図画像に含まれる建物の面積についての情報を含んでおり、前記制御部は、前記入居者属性を選択する対象の建物の前記建物属性データにおいて、前記建物の面積が所定値以上の場合は、前記建物名称および選択された前記入居者属性を前記対象の建物の前記注記情報として選択してもよい。
この構成によれば、制御部は、入居者の入居者属性と、建物名称をその建物の注記情報として使用するため、上記可能性をさらに高めることができる。
【0011】
(6)上記形態の地図情報表示装置において、前記表示部は、前記制御部にて選択された入居者属性の階数に対応する表記方法を用いて、前記注記情報を表示してもよい。
この構成によれば、制御部は、注記情報として使用される入居者属性の階数に応じて、注記情報の表記方法を変えるため、実際の建物の外部において、その入居者属性が標示されている場所をユーザが推定しやすくなる。これにより、ユーザが地図上の建物と実際の建物との対応関係を容易に把握することができる。
【0012】
(7)上記形態の地図情報表示装置において、前記表示部は、前記制御部にて選択された入居者属性の前記建物占有率に対応する表記方法を用いて、前記注記情報を表示してもよい。
この構成によれば、制御部は、注記情報として使用される入居者属性の建物占有率に応じて、注記情報の表記方法を変えるため、実際の建物の外部において、その入居者属性が標示されている場所をユーザが推定しやすくなる。これにより、ユーザが地図上の建物と実際の建物との対応関係を容易に把握することができる。
【0013】
(8)上記形態の地図情報表示装置において、前記記憶部は、前記地図画像に含まれる建物の形状を3次元表示するための3次元建物情報を表すデータを記憶しており、前記表示部は、前記対象の建物を3次元表示させるとともに、該建物における前記選択した入居者属性の階数に対応する位置に前記注記情報を表示させてもよい。
この構成によれば、制御部は、注記情報として使用される入居者属性の階数に対応する位置にその入居者属性を標示させるため、実際の建物の外部において、その入居者属性が標示されている場所をユーザが推定しやすくなる。これにより、ユーザが地図上の建物と実際の建物との対応関係を容易に把握することができる。
【0014】
なお、本発明は、地図情報表示装置としての態様以外にも、種々の態様で実現することが可能である。例えば、地図情報表示装置の制御方法や、地図情報表示装置を制御するコンピューターに使用されるコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムが記録された一次的でない有形の記録媒体等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態の地図情報表示装置200の概略構成を示す説明図である。地図情報表示装置200は、車両や歩行者の現在位置を示すナビゲーションシステムであり、例えば、自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムや、位置情報を表示するアプリケーションを備えたスマートフォンなどとして実現される。地図情報表示装置200は、現在位置検出部201と、表示部202と、音声出力部204と、入力部205と、記憶部206と、主制御部210とを備えている。
【0017】
現在位置検出部201は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)を構成する人工衛星から送信されるGPS信号を受信し、地図情報表示装置200の現在地情報を取得する。現在地情報には、例えば、緯度・経度情報や、建物の何階に位置するかを示す階層位置情報が含まれていてもよい。表示部202は、液晶ディスプレイと、その駆動回路とを備えている。音声出力部204は、ユーザへの案内時に音声を出力するスピーカと、その駆動回路とを備えている。入力部205は、方向入力キーや、その他の操作キーを備えている。なお、入力部205と表示部202は、画像を表示するとともに、ユーザの指や専用のペンが接触した位置座標を取得するタッチパネルとして構成されていてもよい。記憶部206は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカード等によって構成され、地図データベース207と、建物データベース209とが格納されている。記憶部206には、これらのデータベースの他に、地図情報表示装置200を動作させるための各種データが格納されていてもよい。例えば、記憶部206は、道路情報を表す道路データベースを含んでいてもよい。主制御部210は、図示しないCPUと、RAMやROM等の内部記憶装置とを含んでおり、地図情報表示装置200の各部を制御する。
【0018】
図2は、記憶部206に格納されたデータベースの内容を説明するための図である。
図2には、上述したデータベースの内容が概念的に示されている。地図データベース207には、背景情報としての地図画像を表すデータ(地図画像データ)がベクトルデータ形式で記憶されている。この地図画像データには、地形や建物、道路等の地物の形状を表す情報が含まれており、地図データベース207には、地図上の一部の領域である描画メッシュごとの地図画像データが格納されている。なお、地図画像データは、ビットマップ形式やJPEGデータ形式などのラスタデータ形式で格納されていてもよい。
【0019】
建物データベース209には、地図上の各建物についての建物属性情報を表す建物属性データが記憶されている。建物属性情報は、対応する建物の存在位置を示す建物ポイントBPに関連付けられおり、対応する建物の建物名称と、入居者属性(入居者情報)とを含んでいる。建物名称とは、建物自体の呼び名であり、例えば「xxビル」や「yyタワー」等が例示される。なお、建物属性情報は、建物位置を特定するための緯度・経度情報、建物形状を規定するポリゴン情報など上記以外の情報を含んでいてもよい。
【0020】
図3は、入居者属性の内容を説明するための図である。入居者属性は、建物の各入居者(占有者)の属性を示す情報であり、対応する建物の「階数」と、各階の入居者の「属性名」とを含んでいる。ここでの「属性名」としては、入居者の会社名や店舗名等が例示される。1つの階を複数の入居者が占有している場合には、その階数と各属性名がそれぞれ対応付けられる。
図3では、建物の1階を属性名が「αα」の入居者と、属性名が「ββ」の入居者の2つの入居者が占有しており、属性名が「αα」の入居者は、1階の一部と2階の一部を占有している状態が示されている。なお、入居者属性は、上記の他にも、例えば、入居者の業種や、建物の占有率、建物における占有面積などを含んでいてもよい。
【0021】
図4は、地図情報表示装置200の表示画面を例示した説明図である。地図情報表示装置200は、表示部202に現在位置PPを含む周辺の地図情報MIを表示させる。地図情報MIには、建物や道路等の地物の形状のほか、これらの地物の注記情報AIが含まれている。「注記情報」とは、地物を識別するための文字や記号等であり、例えば、地物の名称が含まれる。注記情報AIは、対象の地物を表す図形の内側、または、この図形に近接した位置に表示される。地図情報MIは、注記情報を含んだ地図画像であるため「注記地図画像」と呼ぶこともできる。本実施形態の地図情報表示装置200は、地図上の建物に対して、建物名称を注記情報AIとして表示させ、ユーザからの特定の入力を検出すると、後述する注記情報選択処理によって、上記の入居者属性に含まれる入居者の属性名、または、建物属性情報に含まれる建物名称のうちから選択された名称を注記情報AIとして表示させる。「注記情報選択処理」とは、上記の入居者の属性名、または、建物名称のうち、実際の建物の外部の標示物(看板、窓ガラスに貼られている企業名などのシール等、以後、「建物外部標示物」とも呼ぶ)に標示されている可能性が高いと予想される名称を選択する処理である。この処理によって選択された名称(属性名または建物名称)を注記情報AIとして表示することによって、ユーザは、地図上の建物と実際の建物との対応関係を容易に把握することができる。なお、上述の「ユーザによる特定の入力」として、ユーザによる任意の入力を採用することができる。例えば、
図4に示すように、地図情報表示装置200の表示部202に表示されている特定の建物をユーザが所定のユーザインターフェースを用いて選択したときの入力や、地図情報表示装置200が自動車に搭載されている状態か、または、歩行者に携行されている状態かを指定する入力等を例示できる。以下では、上述した注記情報選択処理を含む地図情報表示装置200の地図情報表示処理について説明する。
【0022】
図5は、地図情報表示処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、地図情報表示装置200が表示部202に地図情報MI(
図4)を表示させる手順について説明する。まず、主制御部210は、記憶部206から建物属性情報および背景情報を取得する(ステップS110)。ここでは、地図情報表示装置200のユーザの現在位置を含む描画メッシュに対応する地図画像データを背景情報として取得し、この描画メッシュに含まれる各建物についての建物属性情報(入居者属性および建物名称を含む)を取得する。これらの情報を取得した後、主制御部210は、まず、建物名称を注記情報AIとした地図情報MIを表示部202に表示させる(ステップS120)。すなわち、主制御部210は、描画メッシュに含まれる各建物の建物属性情報に基づいて、描画メッシュに含まれる建物に建物名称を注記表示した地図情報MIを表示部202に表示させる。そして、主制御部210は、ユーザからの特定の入力があるか否かの検出をおこなう(ステップS140)。ここでは、「ユーザからの特定の入力」として「地図情報表示装置200が歩行者に携行されていることを示す入力」が適用されているものとして説明する。なお、主制御部210は、ステップS120、S140を実行せずに、ステップS110の後にステップS150の処理を実行するように構成されていてもよい。この場合には後述するステップS160も省略される。
【0023】
ユーザからの特定の入力がなかった場合(ステップS140:NO)、処理を終了する。すなわち、主制御部210は、そのまま、建物名称を注記情報AIとした地図情報MIを表示部202に表示させる。なお、「ユーザからの特定の入力がなかった場合」には、地図情報表示装置200が自動車に搭載されていることを示す入力があった場合も含まれる。一方、ユーザからの特定の入力があった場合(ステップS140:YES)、注記情報選択処理をおこなう(ステップS150)。
【0024】
図6は、第1実施形態の注記情報選択処理の流れを示すフローチャートである。主制御部210は、注記情報を付す対象の建物の入居者属性を解析して(ステップS150)、まず、その建物の特定階に対応付けられている入居者属性が1つしか存在しないか否かの判定をおこなう(ステップS151)。「特定階」とは、建物の階のうち、外部から出入りが可能な階である。通常は一階である。主制御部210は、入居者属性(例えば、
図3)における特定階の属性名を抽出し、抽出した属性名の数が単数か複数かを判断することで、対象の建物における特定階に対応付けられている入居者属性が1つしか存在しないか否かの判定をおこなう。以後、このステップS151の判定を「第1判定」とも呼ぶ。特定階に対応付けられている入居者属性が1つしか存在しない場合には(ステップS151:YES)、その入居者属性に含まれる属性名をその建物の注記情報として選択する(ステップS152)。特定階を占有する入居者が1つしかない場合には、実際の建物の外部には、その入居者の属性名が記載された標示物が存在する可能性が高いためである。すなわち、建物の特定階部分は、一般顧客の利便性やアクセスの容易性を重視する店舗が利用しやすい。このことから、特定階部分の入居者は、集客のために建物の外部にも看板等を積極的に掲示している可能性が高いと考えられるためである。
【0025】
一方、特定階に対応付けられている入居者属性が2つ以上存在する場合(ステップS151:NO)、主制御部210は、建物の特定階に対応付けられている複数の入居者属性のうち、他の階にも対応付けられている入居者属性が1つしか存在しないか否かの判定をおこなう(ステップS153)。具体的には、主制御部210は、建物の一階に存在する複数の属性名のそれぞれについて他の階においても存在するか検索し、他の階においても存在する一階の属性名が1つしか存在しないか否かを判定する。
図3の場合、この建物の一階が特定階とすれば、建物の一階に存在する属性名は「αα」「ββ」であり、他の階においても存在する属性名は「αα」だけであるので、建物の一階に存在する複数の属性名のうち、他の階にも重複して存在する属性名が1つしか存在しないと判定される。なお、この判定において検索される属性名は完全一致でなくてもよく、店舗名や企業名による部分一致であってもよい。以後、このステップS153の判定を「第2判定」とも呼ぶ。
【0026】
特定階を含む複数階に対応付けられている入居者属性が1つしか存在しない場合には(ステップS153:YES)、その入居者属性に含まれる属性名をその建物の注記情報として選択する(ステップS152)。この場合、特定階を含む複数の階を使用している入居者の属性名が、建物の外部に標示されている可能性が高いためである。すなわち、この入居者は、一般顧客の利便性やアクセスの容易性を重視しつつ、複数階を使用する規模を有しているため、集客のために建物の外部にも看板等を積極的に掲示している可能性が高いと考えられるためである。一方、特定階を含む複数階に対応付けられている入居者属性が2つ以上存在する場合(ステップS153:NO)、主制御部210は、その建物において、建物占有率の最も高い入居者属性が1つしか存在しないか否かの判定をおこなう(ステップS154)。具体的には、主制御部210は、特定階を含む複数階に対応付けられている入居者属性のそれぞれについて建物占有率を算出し、建物占有率が最も高い属性名が1つしか存在しないか否かを判定する。なお、建物占有率の最も高い入居者属性が2つ以上存在するとは、最も高い建物占有率が2つ以上の入居者属性で同値または所定の近似値となる状態である。ここでの「建物占有率」とは、建物における入居者の占有割合を示すものであり、ここでは、1つの入居者が占有する階の合計数を、その建物の総階数で除したものである。1つの階を複数の入居者で使用している場合には、入居者数で割った値を加算する。例えば、
図3では、属性名「αα」の建物占有率は20%((0.5+0.5)/5)となる。なお、各入居者について、その建物における専有面積の合計を、建物の延べ床面積で除した値が入居者属性に含まれている場合には、その値を建物占有率として用いてもよい。
【0027】
建物占有率の最も高い入居者属性が1つの場合には(ステップS154:YES)、主制御部210はその入居者属性に含まれる属性名をその建物の注記情報として選択する(ステップS152)。この場合、建物占有率が最も高い入居者の属性名が、建物の外部に表示されている可能性が高いためである。建物占有率が高い入居者は、建物の外部において標示物を掲示可能な面積が他の入居者よりも大きいと考えられるためである。一方、建物占有率の最も高い入居者属性が2つ以上存在する場合(ステップS154:NO)、主制御部210は、建物名称をその建物の注記情報として選択する(ステップS155)。この場合には、入居者属性に含まれる入居者の属性名のうちの1つよりも、建物名称の方が建物の外部に標示されている可能性が高いためである。上記処理によって、主制御部210は、描画メッシュ上の各建物についての注記情報を選択する。
【0028】
図5に戻り、主制御部210は、上述の注記情報選択処理によって、各建物についての注記情報を選択すると、ステップS120において表示した注記情報としての建物名称を非表示にし(ステップS160)、注記情報選択処理によって選択した注記情報を地図情報と共に表示する(ステップS170)。すなわち、主制御部210は、選択した注記情報(入居者の属性名または建物名称)を表示した地図情報(注記地図画像)MIを表示部202に表示させる。
【0029】
以上説明した、本実施形態の地図情報表示装置200によれば、主制御部210は、建物の特定階の入居者が一つの場合には、その入居者の属性名をその建物の注記情報として使用するため、地図情報(注記地図画像)MIに含まれる建物の注記情報が、実際の建物の外部に存在する標示物の記載と一致する可能性を高めることができる。また、本実施形態によれは、主制御部210は、建物の特定階の入居者が複数存在する場合には、特定階を含む複数階を利用する入居者の属性名をその建物の注記情報として使用するため、建物の特定階の入居者が複数存在する場合であっても、上記可能性を高めることができる。
【0030】
B1.第2実施形態:
図7は、第2実施形態の入居者属性を例示した説明図である。第2実施形態の入居者属性は、第1実施形態の入居者属性(
図3)と比較すると、建物の入居者が属する業種についての情報(業種情報)を含んでいる点が異なる。
図7では、入居者の業種の一例として「オフィス」と「飲食」の2区分が示されている。なお、入居者属性に設定される業種としては上記に限定されない。例えば、「物販」、「医療」、「倉庫」など任意のものを設定することができる。第2実施形態では、地図情報(注記地図画像)MI(
図4)に含まれる建物の注記情報AIを実際の建物外部標示物の標示と一致させる可能性をより高めるために、注記情報選択処理において、建物入居者の業種を考慮して注記情報を選択するように構成されている。第2実施形態の地図情報表示装置のその他の構成は、第1実施形態の地図情報表示装置200(
図1)と同様である。
【0031】
図8は、第2実施形態の注記情報選択処理の流れを示すフローチャートである。第2実施形態の注記情報選択処理は、第1実施形態と同様に、地図情報表示処理(
図5)のステップS150において実行される。第2実施形態の注記情報選択処理は、第1実施形態の注記情報選択処理(
図6)と比較すると、ステップS156、S157、S158が追加されている点が異なる。ステップS156では、主制御部210は、第1判定(ステップS151)によって特定された属性名の入居者、すなわち、特定階を単独で占有している入居者の業種が、一般顧客の来店を期待する業種(特定業種)であるか否かの判定をおこなう。記憶部206には図示しない物件データベース211が記憶されている。物件データベース211は施設名称と業種とが記憶されており、施設名称は建物データベース209の属性名と関連づいている。主制御部210は属性名から物件データベース211の業種を特定し、その特定した業種が特定業種であるか否かの判定をおこなう。そして、その入居者の業種が、特定業種に該当する場合(ステップS156:YES)には、その入居者の属性名をその建物の注記情報として選択する(ステップS152)。一方、その入居者の業種が特定業種に該当しない場合(ステップS156:NO)には、第2判定をおこなう(ステップS153)。同様に、ステップS157では、主制御部210は、第2判定(ステップS153)によって、特定された属性名の入居者、すなわち、特定階を含む複数階を占有している唯一の入居者の業種が、特定業種であるか否かの判定をおこなう。そして、その入居者の業種が、特定業種に該当する場合には、その入居者の属性名をその建物の注記情報として選択し、その入居者の業種が特定業種に該当しない場合には、第3判定をおこなう。また、ステップS158では、主制御部210は、第3判定(ステップS154)によって、特定された属性名の入居者、すなわち、建物占有率の最も高い入居者の業種が、特定業種であるか否かの判定をおこなう。そして、その入居者の業種が、特定業種に該当する場合には、その入居者の属性名をその建物の注記情報として選択し、その入居者の業種が特定業種に該当しない場合には、建物名称をその建物の注記情報として選択する。
【0032】
このように、第2実施形態の注記情報選択処理では、各判定(第1〜第3判定)によって1つの入居者の属性名が特定された場合(各ステップ:YES)であっても、その入居者の業種が、特定業種以外の業種である場合には、この属性名を注記情報として選択しない。これは、特定業種以外の業種(例えば、オフィス)の入居者は、建物の特定階を占有していても、建物の外部に看板等の標示物を大きく表示する必要性が少ないため、この属性名を注記情報として表示しても、実際の建物の外部の標示物と一致する可能性が低くなるためである。なお、本実施形態では、「特定業種」として「飲食」が例示されているが、「特定業種」は「飲食」に限定されず、飲食業店舗、コンビニエンスストア、医療機関等、一般顧客の来店を期待する任意の業種を設定することができる。なお、特定業種は任意に変更することが可能である。
【0033】
図9は、第2実施形態の効果の一例を説明するための図である。
図9(A)に示す入居者属性を有する建物に対して、第1実施形態の注記情報選択処理(
図6)を実行した場合、第1判定(ステップS151)によって特定される1階の属性名「αα」がこの建物の注記情報として選択される。一方、
図9(B)に示すように、同じ建物に対して、第2実施形態の注記情報選択処理(
図8)を実行した場合では、第3判定(ステップS154)によって特定される3〜5階の属性名「γγ」がこの建物の注記情報として選択される。営業や接客をおこなうような特定業種の入居者は、一般顧客に目立ちやすくするために、看板等が掲示されている可能性が高い。第2実施形態では、このような特定業種の入居者の属性名を注記情報として選択するため、建物の注記情報を実際の建物外部標示物の記載と一致させる精度をより向上させることができる。
【0034】
B2.第2実施形態の変形例1:
図10は、第2実施形態の変形例1の注記情報選択処理の流れを示すフローチャートである。変形例1の注記情報選択処理は、第2実施形態の注記情報選択処理(
図8)と比較すると、ステップS156を備えていない点が異なる。この場合であっても、例えば、特定階を含む複数階を占有している唯一の入居者の業種が、特定業種に該当しない場合(ステップS157:NO)には、この入居者の属性名は注記情報として選択されず、第3判定(ステップS154)が実行される。変形例1の注記情報選択処理は、ステップS156を備えていないことで処理の高速化を図ることを目的としている。注記情報選択処理を行う場所は、特定業種の多い地域や少ない地域など様々である。特定業種の比較的少ない地域は一定以上の業種の判定が必要となるが、変形例1の注記情報選択処理であっても、特定業種ではない業種の入居者の属性名が注記情報として選択されにくくなり、特定業種の入居者の属性名を選択することが可能である。
【0035】
B3.第2実施形態の変形例2:
図11は、第2実施形態の変形例2の注記情報選択処理の流れを示すフローチャートである。変形例2の注記情報選択処理は、第2実施形態の注記情報選択処理(
図8)と比較すると、ステップS156およびステップS157を備えていない点が異なる。変形例2の注記情報選択処理は、ステップS156およびステップS157を備えていないことで、さらに処理の高速化を図ることを目的としている。特定業種の比較的多い地域は、業種の判定を行う必要性が少なく、ステップS156およびステップS157を備えていなかったとしても、特定業種ではない業種の入居者の属性名が注記情報として選択されにくくなり、特定業種の入居者の属性名を選択することが可能である。
【0036】
C.第3実施形態:
図12は、第3実施形態のデータベースの内容を説明するための図である。第3実施形態の地図情報表示装置は、第1実施形態の地図情報表示装置200(
図1)と比較すると、記憶部206に格納されたデータベースの内容、および、注記情報選択処理の内容が異なる。第3実施形態の記憶部206には、地図データベース207と建物データベース209のほか、さらに、用途地域データベース208が格納されている。用途地域データベース208には、用途地域情報を含む用途地域データが記憶されている。用途地域データは、対応する地図上の領域DAに関連付けられて記憶されている。第3実施形態の建物データベース209に含まれる入居者属性は、第2実施形態の入居者属性(
図7)と同様に、入居者の業種を含んでいる。第3実施形態の注記情報選択処理では、地図上の建物の注記情報を実際の建物外部標示物の記載と一致させる可能性をさらに高めるために、建物が存在する用途地域と、建物入居者の業種を考慮するように構成されている。
【0037】
図13は、用途地域情報の内容を説明するための図である。第3実施形態の記憶部206には、
図13(A)〜(C)に示すような、用途地域情報が格納されている。この用途地域情報は、「市区」と、「分類」と、「小分類」と、「建蔽率」と、「容積率」と、「作成年」とを含んでいる。「市区」は、対応する地図上の領域DAが属する市区の名称である。「分類」は、その領域DAが属する用途地域名である。「小分類」は、領域DA内において、さらに、地域の特性に応じて領域を区分したものであり、ここでは、
図13(A)に示すように、商業エリアを示す「商業」と、
図13(B)に示すように、ビジネスエリアを示す「ビジネス」のほか、
図13(C)に示すように、「分類」と同じ内容が設定される。商業エリアとビジネスエリアは、例えば、既述の図示しない物件データベース211を参照することで所定の領域内の属性名および業種を抽出し、全属性数に対する特定業種の属性数の割合で区分されてもよい。例えば、この割合が60パーセント以上であれば商業エリアと設定され、40パーセント未満であればビジネスエリアと設定されてもよい。ただし、この割合の値は任意に設定できる。領域DA内に含まれる区分は、上記に限定されない。なお、ここでは、「分類」として、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域が設定されている場合には、「小分類」に「商業」と「ビジネス」のいずれかが設定されている。上述した用途地域は、商業エリアとビジネスエリアとで地域の建物の外部の標示物の傾向が異なりやすい地域であり、以後、これらの用途地域を「区分適合用途地域」とも呼ぶ。一方、「分類」として、上述した区分適合用途地域以外の用途地域、すなわち、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、準工業地域、工業地域、および、工業専用地域が設定されている場合には、「小分類」には「分類」と同じ内容(用途地域)が記録されている。以後、これらの用途地域を「区分不適合用途地域」とも呼ぶ。「区分不適合用途地域」は、住宅地や工業地帯等であり、建物の入居者の属性名が建物の外部に標示されている可能性が低い地域ともいえる。なお、上記の「区分適合用途地域」と「区分不適合用途地域」に含まれる用途地域は例示であり、上記に限定されない。「建蔽率」は、その領域DAにおける法定の建蔽率であり、「容積率」は、その領域DAにおける法定の容積率である。「作成年」は、この用途地域情報の作成年である。なお。用途地域情報は、「建蔽率」「容積率」「作成年」を含んでいなくてもよい。
【0038】
図14は、第3実施形態の注記情報選択処理の流れを示すフローチャートである。第3実施形態の注記情報選択処理は、第1実施形態と同様に、地図情報表示処理(
図5)のステップS150において実行される。主制御部210は、記憶部206から用途地域情報を取得する(ステップS210)。ここでは、描画メッシュに対応する領域の用途地域情報を取得する。用途地域情報を取得すると、主制御部210は、描画メッシュ内の各建物のエリア属性を特定するためのエリア属性特定処理を実行する(ステップS220)。
【0039】
図15は、エリア属性特定処理の流れを示すフローチャートである。主制御部210は、まず、取得した用途地域情報の「分類」を参照して、各建物が位置する地域の用途地域を特定する(ステップS221)。次に、主制御部210は、特定した用途地域が、区分適合用途地域か否かの判定をおこなう(ステップS222)。建物の属する用途地域が区分適合用途地域に該当しない場合(ステップS222:NO)、主制御部210は、この建物のエリア属性を「なし」に設定する(ステップS223)。一方、建物の属する用途地域が区分適合用途地域に該当する場合(ステップS222:YES)、主制御部210は、その建物について、用途地域情報の「小分類」を特定し(ステップS224)、「小分類」に記載されたエリアをこの建物のエリア属性に設定する(ステップS225)。これにより、描画メッシュ内の各建物にエリア属性が設定される。
【0040】
図14に戻り、主制御部210は、エリア属性が「なし」の建物に対して、建物名称をその建物の注記情報として選択する(ステップS240)。すなわち、主制御部210は、建物の属する地域が、区分不適合用途地域に該当する場合、建物属性情報から建物の入居者の属性名を選択せず、建物名称を建物の注記情報として選択する。区分不適合用途地域は、住宅地や工業地帯等、建物の入居者の属性名が建物の外部に標示されている可能性が低い地域であるため、建物の入居者の属性名よりも、建物名称が建物の外部に掲示されている可能性が高い。そのため、建物名称を注記情報として選択することにより、建物の注記情報と、実際の建物の外部に存在する標示物の記載とが一致する可能性を高めることができる。
【0041】
一方、主制御部210は、建物のエリア属性が「商業」の場合、商業エリア注記情報選択処理を実行する(ステップS250)。商業エリア注記情報選択処理は、
図11の注記情報選択処理(第2実施形態の変形例2)と同じである。建物のエリア属性が「ビジネス」の場合、主制御部210は、ビジネスエリア注記情報選択処理を実行する(ステップS260)。ビジネスエリア注記情報選択処理は、
図10の注記情報選択処理(第2実施形態の変形例1)と同じである。このように、主制御部210は、同じ用途地域でも、商業エリアと、ビジネスエリアとで、選択する注記情報を異ならせることができる。具体的には、同じ用途地域であっても、ビジネスエリアでは、商業エリアよりも、より建物の入居者の属性名が注記情報として選択されにくく、建物名称が注記情報として選択されやすくすることができる。なお、商業エリア注記情報選択処理およびビジネスエリア注記情報選択処理は、
図8の注記情報選択処理(第2実施形態)と同じであってもよい。
【0042】
図16は、第3実施形態の効果の一例を説明するため図である。
図16(A)〜(D)に示すにように、「飲食」のような特定業種は、一般顧客の目に入りやすいように、建物の低層階(例えば、1〜3階)に位置している場合が多い。また、商業エリアの建物は、「飲食」のような特定業種の入居者の占有率が、ビジネスエリアの建物よりも高い傾向にある。
図16(A)および
図16(B)に示す入居者属性、および、建物名称を有する建物に対して、商業エリア注記情報選択処理として
図6および
図11を実行した場合、いずれの場合も、1〜3階の属性名「αα」がこの建物の注記情報として選択される。一方、
図16(C)および
図16(D)に示す入居者属性、および、建物名称を有する建物に対して、ビジネスエリア注記情報選択処理として
図8および
図10を実行した場合、いずれの場合も、建物名称がこの建物の注記情報として選択される。
【0043】
図17は、商業エリアとビジネスエリアを例示した説明図である。
図17(A)、(B)に示すように、同じ用途地域(ここでは、商業地域)であっても、商業エリアとビジネスエリアとで建物の外部の標示物の傾向が異なる。
図17(A)に示すような商業エリアの建物は、外部に入居者の属性名が標示されている場合が多い。これは、商業エリアでは、営業や接客をおこなう入居者が多く、これらの入居者は、一般顧客に目立ちやすくするために、看板等を積極的に掲示しているためである。一方、
図17(B)に示すようなビジネスエリアの建物は、建物外部の掲示物が少なく、外部に建物名称が標示されている場合が多い。よって、第3実施形態のように、ビジネスエリアでは、商業エリアよりも、より建物の入居者の属性名が注記情報として選択されにくく、建物名称が注記情報として選択されやすくすることによって、建物の注記情報と、実際の建物の外部に存在する標示物の記載とが一致する可能性をより高めることができる。
【0044】
D.第4実施形態:
図18は、第4実施形態の表示部202の表示画面を例示した説明図である。第4実施形態の地図情報表示装置は、第1実施形態の地図情報表示装置200(
図1)と比較すると、注記情報の表記方法がその内容等によって変化する点が異なる。ここでの「表記方法」とは、注記情報の、表示色、文字の大きさ、文字の太さ、フォント、および、地図画像に含まれる建物形状に対する相対的な位置を含んでいる。例えば、
図18(A)、(B)に示すように、第4実施形態の主制御部210は、注記情報として、入居者の属性名を表示する場合と、建物名称を表示する場合とで、表記方法を異ならせてもよい。また、例えば、主制御部210は、入居者の属性名を注記情報として表示する場合、文字の大きさを、その属性名の入居者の建物占有率に応じて変化させてもよい。また、
図18(B)に示すように、主制御部210は、注記情報選択処理(
図6)において選択された属性名が、第1判定、第2判定、第3判定のいずれの判定によって選択されたかが視覚的に判別できるように、文字の大きさやフォントを互いに異ならせてもよい。また、
図18(C)に示すように、主制御部210は、注記情報の記載位置をその属性名の入居者が利用する階数に対応させた位置としてもよい。この構成によれば、実際の建物の外部において、その属性名が標示されている場所をユーザが推定しやすくなる。これにより、ユーザが地図上の建物と実際の建物との対応関係を容易に把握することができる。
【0045】
E.第5実施形態:
図19は、第5実施形態の表示画面を例示した説明図である。第5実施形態の地図情報表示装置は、第1実施形態の地図情報表示装置200(
図1)と比較すると、データベースの内容、および、地図情報(注記地図画像)MIの表示内容が異なる。第5実施形態の記憶部206には、地図データベース207と建物データベース209のほか、さらに、3次元建物データベースが格納されている。3次元建物データベースには、地図画像に含まれる建物の形状を3次元表示するための3次元建物情報を表すデータが記憶されている。第5実施形態の主制御部210は、
図19(A)に示すように地図情報MIを2次元表示している状態で、ユーザから表示画面を切り替えるための入力を検出すると、
図19(B)に示すように、地図情報MIの建物を3次元表示させる。このとき、主制御部210は、入居者の属性名を注記情報として表示する場合には、3次元表示された建物において、その属性名の入居者が利用する階数に対応する位置に、その属性名を表示させる。このように構成した場合、実際の建物の外部において、その属性名が標示されている場所をユーザが推定しやすくなる。これにより、ユーザが地図上の建物と実際の建物との対応関係を容易に把握することができる。なお、主制御部210は、注記情報の文字の大きさを、その属性名の入居者の建物占有率に応じて変化させてもよい。
【0046】
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0047】
F−1.変形例1:
注記情報選択処理(
図6)は、第2判定(ステップS153)および第3判定(ステップS154)の少なくとも一方を備えていなくてもよい。この場合であっても、建物の特定階の入居者が一つの場合には、その入居者の属性名をその建物の注記情報として使用するため、建物の注記情報と、実際の建物の外部に存在する標示物の記載とが一致する可能性を高めることができる。
【0048】
F−2.変形例2:
注記情報選択処理(
図6)において、「建物占有率」とは、1つの入居者が占有する階の合計数を、その建物の総階数で除したものとした。しかし、建物の入居者属性に各入居者の建物占有率が含まれている場合には、主制御部210は、その値を使用して第3判定(ステップS154)をおこなってもよい。また、入居者の建物における床面積を記憶しておき、主制御部210が入居者の床面積を建物の延床面積で除した値を「建物占有率」としてもよい。
【0049】
F−3.変形例3:
注記情報選択処理は、ユーザの現在位置を考慮して注記情報を選択するように構成されていてもよい。例えば、注記情報選択処理は、ユーザの現在位置から遠い建物については、上位階数の属性を優先的に選択されるように構成されていてもよい。この構成の場合、ユーザが実際の建物の外部の標示物を容易に見つけることができる。
【0050】
F−4.変形例4
注記情報選択処理は、建物面積に応じて、選択する注記数を変化させてもよい。例えば、建物属性データには建物形状に基づき算出された建物面積が記憶されており、注記情報選択処理は、建物面積が所定閾値以上の場合、注目建物の建物名称および属性名を選択するように構成される。建物面積の大きな建物には注記情報を表示させるスペースが大きい。この構成の場合、建物面積の大きな建物には複数の注記情報が表示されるので、視認性を損なわずにユーザへ標示物に関する情報を提供できる。
【0051】
F−5.変形例5
上記実施形態では、注記情報選択処理において、注記情報として、入居者の属性名または建物名称を注記情報として選択するものとして説明した。しかし、注記情報選択処理では、入居者属性のうちの、入居者の属性名以外の情報が単独で、または入居者の属性名とともに注記情報として選択されてもよい。例えば、注記情報選択処理において、入居者の属性名とともに、入居者の階数や業種が選択されてもよい。すなわち、注記情報選択処理では、入居者属性のうちの少なくとも一部が選択されるように構成されていればよい。また、入居者属性には、上記実施形態で例示した情報以外の情報が含まれていてもよい。例えば、入居者属性には、入居者の代表者名や、入居者の特徴を示す説明文、入居者を示す図形や記号、従業員数などが含まれていてもよい。そして、これらの情報が注記情報として選択されてもよい。また、入居者の属性名は、文字に限定されず、その入居者を特定可能な図形や記号を含んでいてもよい。
【0052】
F−6.変形例6
上記実施形態では、描画メッシュに含まれるすべての建物に対して注記情報を表示させるものとして説明した。しかし、注記情報は描画メッシュに含まれる一部の建物のみに表示されるように構成されていてもよい。例えば、建物の図形上に注記情報が表示可能な大きさの建物にだけ注記情報が表示されるように構成されていてもよい。この場合、地図の拡大時には、建物の図形上に注記情報を表示できる建物の数が増えるので、注記情報が表示された建物の数も増える。一方、地図の縮小時には、建物の図形上に注記情報を表示できる建物の数が減るので、注記情報が表示された建物の数が減る。また、例えば、著名な建物にだけ注記情報が表示されるように構成されていてもよい。また、例えば、著名な建物には注記情報として建物名称を表示し、それ以外の建物(一部の建物)には、注記情報選択処理で選択された注記情報を表示させてもよい。著名な建物であれば、建物名称がよく知られているためである。