(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施の形態に係るタッチセンサを示す斜視図、
図2は本発明の一実施の形態に係る配線基板を示す平面図、
図3(a)は
図2のIIIa-IIIa線に沿った断面図、
図3(b)は
図2のIIIb-IIIb線に沿った断面図、
図4は
図2のIV部の拡大平面図、
図5は開口率を説明するための説明図、
図6は
図2のVI部の拡大平面図である。
【0023】
本実施形態の配線体4を備えるタッチセンサ1は、たとえば、静電容量方式等のタッチパネルやタッチパッドに用いられるタッチ入力装置である。
図1及び
図2に示すように、タッチセンサ1は、基材3及び配線体4を備える配線基板2と、当該配線基板2(配線体4)上に樹脂層8を介して積層された網目状電極層9及び引き出し配線層10と、を備えている。
【0024】
配線体4が備える網目状電極層6は、Y方向にそれぞれ延在する複数(本実施形態では、3つ)の検出電極であり、網目状電極層9は、網目状電極層6に対向して配置され、X方向にそれぞれ延在する複数(本実施形態では、4つ)の検出電極である。このタッチセンサ1では、網目状電極層6が引き出し配線層7を介して外部回路と接続されると共に、網目状電極層9が引き出し配線層10を介して外部回路と接続される。そして、網目状電極層6,9間に所定電圧を周期的に印加し、2つの網目状電極層6,9の交点毎の静電容量の変化に基づいて、タッチセンサ1における操作者の操作位置(接触位置)を判別する。
【0025】
なお、本実施形態では、樹脂層8は、接着層5と同様の構成を有しており、網目状電極層9は、網目状電極層6と同様の構成を有しており、引き出し配線層10は、引き出し配線層7と同様の構成を有している。したがって、本明細書において、以下の説明では、樹脂層8、網目状電極層9、及び、引き出し配線層10の詳細の説明を省略する。本実施形態における「配線基板2」が本発明における「配線基板」及び「タッチセンサ」の一例に相当する。
【0026】
基材3は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シリコーン樹脂(SI)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、グリーンシート、ガラス等の材料を例示できる。基材は、易接着層や光学調整層が形成されていてもよい。なお、配線基板2をタッチパネルの電極基板に用いる場合は、基材3を構成する材料としては、透明なものが選択される。本実施形態における「基材3」が本発明における「支持体」の一例に相当する。
【0027】
配線体4は、基材3の主面31上に形成されており、当該基材3により支持されている。この配線体4は、接着層5と、網目状電極層6と、引き出し配線層7と、を備えている。本実施形態における「配線体4」が本発明における「配線体」の一例に相当する。
【0028】
本実施形態における接着層5は、基材3と網目状電極層6とを相互に接着して固定する部材である。同様に、接着層5は、基材3と引き出し配線層7も相互に接着して固定する。このような接着層5を構成する材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等を例示することができる。本実施形態における接着層5は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、基材3の主面31上に略一定の厚さで設けられた平坦部51と、当該平坦部51上に形成された支持部52と、から構成されている。
【0029】
平坦部51は、基材3の主面31を覆うように一様に設けられており、当該平坦部51の主面511は、基材3の主面31と略平行な面となっている。支持部52は、平坦部51と網目状電極層6との間、及び、平坦部51と引き出し配線層7との間に形成されており、基材3から離れる方向(
図2中の+Z方向)に向かって突出するように形成されている。このため、支持部52が設けられている部分における接着層5の厚さ(高さ)は、平坦部51における接着層5の厚さ(高さ)よりも大きくなっている。
【0030】
この接着層5は、支持部52の上面である接触面522において、網目状電極層6(具体的には、接触面61(後述))や引き出し配線層7(具体的には、接触面71(後述))と接している。この支持部52は、短手方向断面視において、基材3から離れるにしたがって、相互に接近するように傾斜する直線状とされた2つの側面521,521を有している。
【0031】
網目状電極層6は、
図2に示すように、Y方向に延在するタッチセンサ1の検出電極であり、接着層5の支持部52上に積層され、+Z方向に向かって突出するように形成されている(
図3(a)参照)。本実施形態における「網目状電極層6」が本発明における「電極層」の一例に相当する。
【0032】
この網目状電極層6は、導電性粉末とバインダ樹脂とから構成されている。網目状電極層6では、バインダ樹脂中に導電性粉末が略均一に分散して存在しており、この導電性粉末同士が相互に接触することで、当該網目状電極層6に導電性が付与されている。このような網目状電極層6を構成する導電性粉末としては、銀、銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウムなどの金属や、グラファイト等を挙げることができる。なお、導電性粉末の他に、上述の金属の塩である金属塩を用いてもよい。
【0033】
網目状電極層6を構成するバインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等を例示することができる。なお、網目状電極層6を構成する材料からバインダ樹脂を省略してもよい。
【0034】
本実施形態の網目状電極層6は、
図2に示すように、導電性を有する複数の第4の導体線64a,64bを交差させて構成されており、その全体として、四角形状とされた網目65が繰り返し配列された形状を有している。本実施形態における「第4の導体線64a,64b」が本発明における「第4の導体線」の一例に相当し、本実施形態における「網目65」が本発明における「網目」の一例に相当する。なお、以下の説明では、必要に応じて「第4の導体線64a」及び「第4の導体線64b」を「第4の導体線64」と総称する。
【0035】
本実施形態の第4の導体線64の外形は、
図3(a)に示すように、接触面61と、頂面62と、2つの側面63,63と、から構成されている。接触面61は、接着層5(具体的には、接触面522)と接触している面である。本実施形態の網目状電極層6は、接着層5を介して基材3に支持されるものであるが、この場合、接触面61は、頂面62に対して基材3側に位置する面となる。また、接触面61は、短手方向断面において、微細な凹凸からなる凹凸状の面となっている。
【0036】
一方、頂面62は、接触面61の反対側の面であり、略平坦な面とされている。この頂面62は、基材3の主面31(或いは、主面31と対向する接着層5の面)と実質的に平行な面とされている。
【0037】
側面63,63は、短手方向断面視において、接着層5から離れるにしたがって、相互に接近するように傾斜する直線状とされた面である。また、本実施形態では、側面63,63は、短手方向断面視において、接触面522,61の界面とつながる部分で側面521,521と連続的につながっている。
【0038】
本実施形態における網目状電極層6(第4の導体線)の接触面61の面粗さは、当該網目状電極層6と接着層5とを強固に固定する観点から、頂面62の面粗さに対して相対的に粗いことが好ましい。具体的には、接触面61の面粗さRaが0.1〜3.0μm程度であるのに対し、頂面62の面粗さRaは0.001〜1.0μm程度となっていることが好ましく、当該頂面62の面粗さRaが0.001〜0.3μmであることがさらにより好ましい。なお、このような面粗さは、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))により測定することができる。
【0039】
本実施形態の網目状電極層6では、以下のように第4の導体線64を配設する。すなわち、
図2に示すように、第4の導体線64aは、X方向に対して+45°に傾斜した方向(以下、単に「第3の方向」との称する。)に沿って直線状に延在しており、当該複数の第4の導体線64aは、この第1の方向に対して実質的に直交する方向(以下、単に「第4の方向」とも称する。)に等ピッチP
1で並べられている。これに対し、第4の導体線64bは、第4の方向に沿って直線状に延在しており、当該複数の第4の導体線64bは、第3の方向に等ピッチP
2で並べられている。そして、これら第4の導体線64a,64bが相互に直交することで、四角形状(菱型状)の網目65が繰り返し配列された網目状電極層6が形成されている。
【0040】
なお、網目状電極層6の構成は、特に上述に限定されない。たとえば、本実施形態では、第4の導体線64aのピッチP
1と第4の導体線64bのピッチP
2とを実質的に同一としているが(P
1=P
2)、特にこれに限定されず、第4の導体線64aのピッチP
1と第4の導体線64bのピッチP
2とを異ならせてもよい(P
1≠P
2)。この場合、網目は、長方形状の外形を有する。
【0041】
また、本実施形態では、第4の導体線64aの延在方向である第3の方向は、X方向に対して+45°に傾斜した方向とされ、第4の導体線64bの延在方向である第4の方向は、第3の方向に対して実質的に直交する方向とされているが、第3及び第4の方向の延在方向(すなわち、X軸に対する第3の方向の角度やX軸に対する第4の方向の角度)は、任意とすることができる。
【0042】
また、網目状電極層6の網目65の形状は、幾何学模様であってもよい。すなわち、網目65の形状が、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形でもよいし、長方形、正方形、ひし形、平行四辺形、台形等の四角形でもよい。また、網目65の形状が、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形や、円、楕円、星型等でもよい。
【0043】
このように、網目状電極層6として、種々の図形単位を繰り返してえられる幾何学模様を、当該網目状電極層6の網目65の形状として用いることができる。また、本実施形態では、第4の導体線64は、直線状とされているが、特にこれに限定されず、たとえば、曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等にしてもよい。
【0044】
引き出し配線層7は、
図2に示すように、網目状電極層6に対応して設けられており、本実施形態では、3つの網目状電極層6に対して3つの引き出し配線層7が形成されている。この引き出し配線層7は、網目状電極層6における図中の−Y方向側に設けられた直線状の外縁部66から引き出されている。この引き出し配線層7は、上述した網目状電極層6と同様の材料によって一体的に形成されている。
【0045】
この「一体的に」とは、部材同士が分離しておらず、且つ、同一材料(同一粒径の導電性粒子、バインダ樹脂等)により一体の構造体として形成されていることを意味する。なお、網目状電極層6の外縁において、引き出し配線層7が設けられる位置は特に限定されない。また、配線体4の構成から外縁部66を省略してもよく、この場合には、引き出し配線層7と網目状電極層6とが直接接続される。
【0046】
本実施形態の引き出し配線層7(具体的には、第1の導体線741(後述))の外形は、
図3(b)に示すように、網目状電極層6と同様、接触面71と、頂面72と、2つの側面73,73と、から構成されている。接触面71は、接着層5と接触する面であり、短手方向断面において、微細な凹凸からなる凹凸状とされている。一方、頂面72は、接触面71の反対側に位置する略平坦な面であり、基材3の主面31と実質的に平行となるように延在している。
【0047】
側面73,73は、短手方向断面視において、接着層5から離れるにしたがって、相互に接近するように傾斜する直線状とされた面である。また、本実施形態では、側面73,73は、短手方向断面視において、接触面522,71の界面とつながる部分で側面521,521と連続的につながっている。
【0048】
本実施形態の引き出し配線層7は、上述の網目状電極層6と同様、当該引き出し配線層7と接着層5とを強固に固定する観点から、接触面71の面粗さが頂面72の面粗さに対して相対的に粗いことが好ましい。具体的には、接触面71の面粗さRaが0.1〜3.0μm程度であるのに対し、頂面72の面粗さRaは0.001〜1.0μm程度となっていることが好ましく、当該頂面72の面粗さRaが0.001〜0.3μmであることがさらにより好ましい。
【0049】
タッチセンサ1において、網目状電極層6は操作者による操作が検出可能な検出領域に形成される一方、引き出し配線層7は検出領域の外側に位置する外側領域(額縁領域)に形成される。この場合、引き出し配線層7は、検出領域内を通過しないように、外側領域内を屈曲させながら配設される(
図1参照)。
【0050】
本実施形態の引き出し配線層7は、
図4に示すように、第1の方向に沿って延在する第1の直線部74aと、第2の方向に沿って延在する第2の直線部74bと、当該第1及び第2の直線部74a,74bを相互に接続する屈曲部75を有している。また、本実施形態の引き出し配線層7では、第1の直線部74aの端部744aと、第2の直線部74bの端部744bとが、相互に離間して形成されている。
【0051】
本実施形態における「第1の直線部74a」が本発明における「第1の直線部」の一例に相当し、本実施形態における「第2の直線部74b」が本発明における「第2の直線部」の一例に相当し、本実施形態における「屈曲部75」が本発明における「屈曲部」の一例に相当する。
【0052】
本実施形態において、第1の方向は、X方向に対して実質的に平行な方向である。この第1の方向に延在する第1の直線部74aは、導電性を有する複数の第1の導体線741a,741bを交差させて構成されており、全体として、四角形状とされた第1の単位網目742が繰り返し配列された形状を有している。
【0053】
一方、第2の方向は、X方向に対して30°傾斜した方向である。この第2の方向に延在する第2の直線部74bは、上述の第1の直線部74aと同様、導電性を有する複数の第1の導体線741a,741bを交差させて構成されており、全体として、四角形状とされた第1の単位網目742が繰り返し配列された形状を有している。本実施形態では、第1の直線部74aを構成する第1の単位網目742と、第2の直線部74bを構成する第1の単位網目742とは、実質的に同一形状とされている。
【0054】
本実施形態における「第1の導体線741a,741b」が本発明における「第1の導体線」の一例に相当し、本実施形態における「第1の単位網目742」が本発明における「第1の単位網目」の一例に相当する。なお、以下の説明では、必要に応じて「第1の導体線741a」及び「第1の導体線741b」を「第1の導体線741」と総称する。
【0055】
第1の直線部74aでは、第1の導体線741aが第1の方向(すなわち、X方向)に対して−45°に傾斜した方向(すなわち、第4の方向)に沿って直線状に延在しており、当該複数の第1の導体線741aは、この第4の方向に対して実質的に直交する方向(すなわち、第3の方向)に等ピッチP
3で並べられている。これに対し、第1の導体線741bは、第3の方向に沿って直線状に延在しており、当該複数の第1の導体線741bは、第3の方向に等ピッチP
4で並べられている。
【0056】
このように、第1の直線部74aでは、第4の方向に延在する第1の導体線741aと、第3の方向に延在する第1の導体線741bとが相互に直交することで、実質的に同一形状とされた複数の四角形状の第1の単位網目742が形成される。ここでは、第4の方向に沿って延在する仮想直線と実質的に一致する方向を、第1の直線部74aにおける第1の単位網目742の配列方向とする。
【0057】
なお、第4の方向に沿って延在する仮想直線と実質的に一致する方向を、第1の直線部74aにおける第1の単位網目742の配列方向としたが、平面視において、複数の第1の単位網目742と交差する仮想直線であって、当該仮想直線の延在方向に並設されたすべての第1の単位網目742の面積を二等分割する直線と実質的に一致していれば、当該第1の単位網目742の配列方向は、特に上述に限定されない。たとえば、本実施形態の第1の直線部74aにおいて、第1の単位網目742の配列方向を、第3の方向に沿って延在する仮想直線と実質的に一致する方向としてもよい。或いは、第1の方向に対して直交する方向に延在する仮想直線と実質的に一致する方向としてもよい。
【0058】
一方、第2の直線部74bでは、第1の導体線741aが第2の方向に対して−45°に傾斜した方向(以下、単に「第5の方向」とも称する。)に沿って直線状に延在しており、当該複数の第1の導体線741aは、この第5の方向に対して実質的に直交する方向(以下、単に「第6の方向」とも称する。)に等ピッチP
3で並べられている。これに対し、第1の導体線741bは、第6の方向に沿って直線状に延在しており、当該複数の第1の導体線741bは、第5の方向に等ピッチP
4で並べられている。
【0059】
なお、本実施形態では、第1及び第2の直線部74a,74bにおいて、第1の単位網目742の形状を同一形状とするため、第1の直線部74aにおける複数の第1の導体線741a同士のピッチと、第2の直線部74bにおける複数の第1の導体線741a同士のピッチとを、実質的に等しいピッチP
3とする。同様に、第1の直線部74aにおける複数の第1の導体線741b同士のピッチと、第2の直線部74bにおける複数の第1の導体線741b同士のピッチとを、実質的に等しいピッチP
4とする。
【0060】
第2の直線部74bでは、第5の方向に延在する第1の導体線741aと、第6の方向に延在する第1の導体線741bとが相互に直交することで、実質的に同一形状とされた複数の四角形状の第1の単位網目742が形成される。そして、第5の方向に沿って延在する仮想直線と実質的に一致する方向を、第2の直線部74bにおける第1の単位網目742の配列方向とする。
【0061】
以上のように、本実施形態の引き出し配線層7は、下記(2)式が成立している。
α
1=α
2・・・(2)
但し、上記(2)式において、α
1は第1の直線部74aにおける第1の単位網目742の配列方向(第4の方向)に沿って延在する仮想直線と第1の方向に沿って延在する仮想直線とのなす角であり、α
2は第2の直線部74bにおける第1の単位網目742の配列方向(第5の方向)に沿って延在する仮想直線と第2の方向に沿って延在する仮想直線とのなす角である。
【0062】
上記(2)式が成立していることで、第1の直線部74aにおける第1の方向に対する第1の単位網目742の配列方向(第4の方向)と、第2の直線部74bにおける第2の方向に対する第1の単位網目742の配列方向(第5の方向)と、が実質的に一致する。これにより、第1及び第2の直線部74a,74bの一方が、当該第1及び第2の直線部74a,74bの他方に比べて導通経路が減少するのを抑止する。
【0063】
なお、第1及び第2の直線部74a,74bのそれぞれにおいて、第1の単位網目742の配列方向が複数存在する場合、引き出し配線層7の延在方向を基準として、第1の直線部74aにおける第1の単位網目742の配列方向に沿った隣り合う第1の単位網目742同士の位置関係と、第2の直線部74bにおける第1の単位網目742の配列方向に沿った隣り合う第1の単位網目742同士の位置関係と、が同一となる配列方向をそれぞれ選択する。「隣り合う第1の単位網目742同士の位置関係」とは、当該隣り合う第1の単位網目742の一方に対する、隣り合う第1の単位網目742の他方の配置のことを示す。
【0064】
さらに、本実施形態では、第1の直線部74aにおける配列方向に沿って並んだ第1の単位網目742a,742bについて、当該第1の単位網目742aの頂点743Aと、当該頂点743Aに対応する第1の単位網目742bの頂点743Bと、が第1の方向に沿って延在する仮想直線上に位置している。
【0065】
このように、本実施形態では、第1の方向において、複数の第1の単位網目742が周期的に繰り返して配列されるので、一の第1の単位網目742aに欠損が生じていなければ、他の第1の単位網目742bに新たな欠損は生じない。このため、第1の直線部74a全体において、第1の単位網目742の一部に欠損が生じるのを抑制することができる。また、第1の単位網目742の欠損発生を抑制することで、第1の直線部74a全体において導通が安定的に確保されると共に、配列される第1の単位網目742同士の接触部分が増加するので、導通経路の増加を図ることができる。なお、本実施形態では、第1の直線部74aにおいて、複数の第1の単位網目742の配列方向の1つが、当該第1の直線部74aの延在方向と実質的に一致しているため、上記関係が成立する。
【0066】
また、第2の直線部74bにおいても、第1の直線部74aと同様、配列方向に沿って並んだ複数の第1の単位網目742について、一の第1の単位網目742の頂点743と、当該頂点743に対応する他の第1の単位網目742の頂点743と、が第2の方向に沿って延在する仮想直線上に位置している。これにより、第2の直線部74b全体において、第1の単位網目742の一部に欠損が生じるのを抑制することができる。また、第1の単位網目742の欠損発生を抑制することで、第2の直線部74b全体において導通が安定的に確保されると共に、配列される第1の単位網目742同士の接触部分が増加するので、導通経路の増加を図ることができる。
【0067】
なお、引き出し配線層7の第1及び第2の直線部74a,74bの構成は、特に上述に限定されない。たとえば、本実施形態では、第1及び第2の直線部74a,74bにおいて、第1の導体線741aのピッチP
3と第1の導体線741bのピッチP
4とを実質的に同一としているが(P
3=P
4)、特にこれに限定されず、第1の導体線741aのピッチP
3と第1の導体線741bのピッチP
4とを異ならせてもよい(P
3≠P
4)。この場合、第1の単位網目は、長方形状の外形を有する。
【0068】
また、本実施形態では、第1の直線部74aにおいては、第1の導体線741aの延在方向は、X方向に対して−45°に傾斜した第4の方向とされ、第1の導体線741bの延在方向は、第4の方向に対して実質的に直交する第3の方向とされているが、第1の導体線741a,741bの延在方向(すなわち、X軸に対する角度)は、任意とすることができる。
【0069】
この場合、第2の直線部74bにおいて、第1の導体線741aの延在方向である第5の方向、及び、第1の導体線741bの延在方向である第6の方向は、当該第1の導体線741a,741bにより形成される第1の単位網目742の配列方向が上記(2)式を満たすように延在させる。
【0070】
また、第1の単位網目742の形状は、幾何学模様であってもよい。すなわち、第1の単位網目742の形状が、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形でもよいし、長方形、正方形、ひし形、平行四辺形、台形等の四角形でもよい。また、第1の単位網目742の形状が、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形や、円、楕円、星型等でもよい。さらに、複数の異なる形状を集合させた集合体を第1の単位網目742として採用することもできる。この場合、第1の単位網目742とされた上記集合体を、所定の配列方向に沿って繰り返し配列する。
【0071】
このように、引き出し配線層7の第1及び第2の直線部74a,74bとして、種々の図形単位を繰り返してえられる幾何学模様を、第1の単位網目742の形状として用いることができる。また、本実施形態では、第1の導体線741は、直線状とされているが、特にこれに限定されず、たとえば、曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等にしてもよい。
【0072】
なお、上記(2)式を満たすように引き出し配線層7を形成すると、
図2の下側拡大図に示すように、当該引き出し配線層7をY方向に沿って延在させる場合、第1の導体線741aが第3の方向に延在し、第1の導体線741bが第4の方向に延在する。
【0073】
本実施形態の屈曲部75は、
図4に示すように、端部744a,744b間に位置しており、当該端部744a,744bを相互に接続している。結果として、この屈曲部75では、第1の直線部74aの延在方向である第1の方向から、第2の直線部74bの延在方向である第2の方向へ、引き出し配線層7の延在方向が変化している。
【0074】
この屈曲部75は、離間する端部744a,744bを相互に接続する第2の導体線751を含む第2の単位網目752を有している。
【0075】
第2の導体線751は、第1及び第2の直線部74a,74bを構成する第1の導体線741と同一の組成を有する材料によって一体的に形成されている。この第2の導体線751は、第1の直線部74aを構成する第1の単位網目742の頂点743と、第2の直線部74bを構成する第1の単位網目742の頂点743と、を相互に接続する導体線である。
【0076】
第2の導体線751として、第1の直線部74aの頂点743及び第2の直線部74bの頂点743を接続する導体線を形成する場合、第1の直線部74aの端部744aから露出する頂点、及び、第2の直線部74bの端部744bから露出する頂点のそれぞれが、少なくとも一本の第2の導体線751と接続されていることが好ましい。また、このような第2の導体線751の数量は、第1の直線部74aの端部744aから露出する頂点の数量、或いは、第2の直線部74bの端部744bから露出する頂点の数量のうち多い側の数量以上であることが好ましい。これにより、屈曲部75において電気的抵抗値の増大の抑制を図ることができる。
【0077】
また、引き出し配線層7の可撓性を確保する観点から、この第2の導体線751は、第1及び第2の直線部74a,74bを構成する第1の導体線741と交差しないように形成することが好ましい。なお、このような第2の導体線751は、引き出し配線層7における電気的抵抗値の増大の抑制、及び、配線体4の視認性の低下の抑制の観点から、その幅が第1の導体線741の幅と実質的に等しいことが好ましい。
【0078】
なお、本実施形態の第2の導体線751は、第1及び第2の直線部74a,74bを構成する頂点743,743間を相互に接続しているが、特にこれに限定されず、第1の導体線741,741間を相互に接続してもよい。
【0079】
第2の単位網目752は、当該第2の単位網目752を構成する辺のうち、少なくとも一辺が第2の導体線751により構成されている。この第2の単位網目752は、第1の単位網目742とは、異なる外形とされている。
【0080】
このような第2の単位網目752の形状としては、種々の図形を用いることができる。屈曲部75に形成される複数の第2の単位網目752同士は、相互に異なる外形とされていてもよいが、当該第2の単位網目752の開口率が第1の単位網目742の開口率と略等しくなることが好ましい。
【0081】
第2の単位網目の開口率が、第1の単位網目の開口率に比べて極端に小さい場合、屈曲部において、引き出し配線層の可撓性が損なわれ、当該引き出し配線層が断線するおそれがある。一方、第2の単位網目の開口率が、第1の単位網目の開口率に比べて極端に大きい場合、屈曲部において導通経路が減少するので、引き出し配線層の電気的抵抗値の増大するおそれがある。
【0082】
因みに、本実施形態において、引き出し配線層7の開口率は50%以下となっていることが好ましい。さらに、この引き出し配線層7の開口率は、網目状電極層6と引き出し配線層7との剛性の差を縮小する観点や、引き出し配線層7における電気抵抗値の増大抑制効果を向上する観点から10%以上、50%以下であることがより好ましい。
【0083】
なお、「開口率」とは、下記(3)式で表される比率を言う(
図5参照)。
(開口率)=b×b/(a×a)・・・(3)
但し、上記(3)式において、aは任意の導体線20と、当該導体線20と隣り合う他の導体線20との間のピッチ(中心線CL間の距離)であり、bは任意の導体線20と、当該導体線20と隣り合う他の導体線20との間の距離を表す。
【0084】
図4に戻り、第1の直線部74aにおいて、引き出し配線層7の両方の側端部76,76は、第1の頂点743aと、第2の頂点743bと、これら第1及び第2の頂点743a,743b間を接続する第1の導体線741から構成されている。
【0085】
同様に、第2の直線部74bにおいて、引き出し配線層7の両方の側端部76,76は、第1の頂点743aと、第2の頂点743bと、これら第1及び第2の頂点743a,743b間を接続する第1の導体線741から構成されている。
【0086】
第1の頂点743aは、引き出し配線層7において最外側に位置する第1の単位網目742を構成する頂点743(
図1参照)の中で最も外側に位置する頂点である。第2の頂点743bは、引き出し配線層7において最外側に位置する第1の単位網目742を構成する頂点743であって、第1の頂点743aとは異なる当該引き出し配線層7の外側に露出した頂点である。第1の頂点743aでは、第1の導体線741a,741bが相互に接しているのに対し、第2の頂点743bでは、第1の導体線741a,741bが相互に交差している。
【0087】
本実施形態の側端部76において、隣り合う第1の頂点743a,743a同士は距離D
1で略均等に配置され、隣り合う第2の頂点743b,743b同士は距離D
2で略均等に配置されている。この側端部76では、引き出し配線層7の延在方向に沿って第1及び第2の頂点743a,743bは交互に連続しており、当該第1及び第2の頂点743a,743b間を第1の導体線741a,741bにより相互に接続している。結果として、側端部76は、引き出し配線層7の延在方向に沿って波形状とされている。
【0088】
また、側端部76は、第1の頂点743aを含んで構成されていることから、引き出し配線層7では、最外側に位置する第1の単位網目742が欠損しない状態で存在している。この場合、本実施形態の引き出し配線層7の幅は、当該引き出し配線層7の延在方向に対して実質的に垂直な方向において、一方の側端部76が含む第1の頂点743aと、他方の側端部76が含む第1の頂点743aと、の間の距離となる。このように、引き出し配線層7は、その幅L全体において、導通経路が確保されるので、当該引き出し配線層7の電気的抵抗値の増大が抑制される。
【0089】
屈曲部75における側端部76は、第1の直線部74aにおける側端部76を構成する第1の頂点743aと、第2の直線部74bにおける側端部76を構成する第1の頂点743aと、当該第1及び第2の直線部74a,74bの第1の頂点743a,743a間を接続する第2の導体線751と、を含んで構成されている。なお、屈曲部75における側端部76は、特に上述に限定されず、第2の頂点を含んで構成されていてもよい。或いは、第1の導体線を含んで構成されていてもよい。
【0090】
この屈曲部75では、引き出し配線層7の電気的抵抗値を低減する観点から、当該屈曲部75における引き出し配線層7の幅が、第1及び第2の直線部74a,74bにおける引き出し配線層7の幅と実質的に等しくなるように形成することが好ましい。
【0091】
引き出し配線層7は、
図1及び
図2に示すように、網目状電極層6と接続する側の端部と反対側の端部が、基材3の外縁に臨む位置に形成されている。この際、複数の引き出し配線層7を一括して外部回路と接続し易くするため、基材3の外縁近傍において、当該複数の引き出し配線層7を相互に接近させて配置するように集合させる。本実施形態では、集合された複数の引き出し配線層7は、Y方向に沿って相互に略平行に配設されている。
【0092】
この場合、
図6に示すように、引き出し配線層7の延在方向(すなわち、Y方向)において、相互に略平行に並設された複数の引き出し配線層7では、隣り合う引き出し配線層7の一方の第1の頂点743aと、隣り合う引き出し配線層7の他方の第1の頂点743aと、が距離Sずれて配置されている。
【0093】
つまり、引き出し配線層7は、その幅が両方の側端部76,76を構成する第1の頂点743a,743a間の距離とされた極大部77を有するが、隣り合う引き出し配線層7の一方の極大部77の位置と、隣り合う引き出し配線層7の他方の極大部77の位置と、が距離Sずれて配置されている。なお、距離Sは、引き出し配線層7の延在方向に沿った第1の頂点743a,743a間の距離D
1よりも小さい(S<D
1)。
【0094】
これにより、隣り合う引き出し配線層7間の空隙を極力小さくすることができ、高密度に引き出し配線層7を形成することが可能となる。また、隣り合う引き出し配線層7間に所定の空隙が確保されるので、当該隣り合う引き出し配線層7同士において、マイグレーションの発生を抑制することができる。
【0095】
本実施形態の配線体4では、上述で説明したように、網目状電極層6及び引き出し配線層7のいずれも、網目状(メッシュ状)に形成されている。この場合、引き出し配線層7の電気的抵抗値の増大を抑制する観点から、本実施形態の配線体4では、下記(4)式が成立していることが好ましい(
図3(a)及び
図3(b)参照)。
W
4≦W
1・・・(4)
但し、上記(4)式において、W
1は第1の導体線741の幅であり、W
4は第4の導体線64の幅である。
【0096】
なお、第1の導体線741の幅W
1は、断線箇所を削減する観点から、第4の導体線64の幅W
4の4倍以下(W
1≦4×W
4)であることがより好ましい。
【0097】
このような第4の導体線64の幅W
4の具体的な値としては、100nm〜100μmが好ましく、タッチセンサ1の視認性向上の観点から、500nm〜10μm以下であることさらに好ましく、500nm〜5μm以下であることがより好ましい。また、第1の導体線741の幅W
1の具体的な値としては、1μm〜500μmが好ましく、引き出し配線層7の電気的抵抗値の増大を抑制しつつ、配線体4の耐久性を向上させる観点から3μm〜100μmであることがより好ましく、5〜20μmであることがさらに好ましい。
【0098】
また、本実施形態における配線体4では、下記(5)式が成立していることが好ましい(
図2の拡大図参照)。
P
1,P
2>P
3,P
4・・・(5)
ただし、上記(5)式において、P
1は網目状電極層6において隣り合う第4の導体線64a同士の間のピッチ、P
2は網目状電極層6において隣り合う第4の導体線64b同士の間のピッチ、P
3は引き出し配線層7において隣り合う第1の導体線741a同士の間のピッチ、P
4は引き出し配線層7において隣り合う第1の導体線741b同士の間のピッチである。上記(5)式を満たすことで、引き出し配線層7の電気的抵抗値の増大が抑制される。
【0099】
次に、本実施形態における配線基板の製造方法について説明する。
図7(a)〜
図7(e)は、本発明の実施形態における配線基板の製造方法を示す断面図である。
【0100】
まず、
図7(a)に示すように、網目状電極層6の形状に対応する形状の第1の凹部111及び引き出し配線層7の形状に対応する形状の第2の凹部112が形成された凹版11を準備する。
【0101】
凹版11を構成する材料としては、ニッケル、シリコン、二酸化珪素などガラス類、有機シリカ類、グラッシーカーボン、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等を例示することができる。第1の凹部111の深さは、100nm〜100μmであることが好ましく、500nm〜10μmであることがさらに好ましく、1μm〜5μmであることがさらにより好ましい。一方、第2の凹部112の幅は、1μm〜500μmが好ましく、3μm〜100μmであることがより好ましく、5〜20μmであることがさらに好ましい。また、第2の凹部112の深さは、1μm〜500μmであることが好ましく、1μm〜100μmであることがより好ましく、5μm〜30μmであることがさらにより好ましい。本実施形態において第1及び第2の凹部111、112の断面形状は、底部に向かうにつれて幅狭となるテーパー形状が形成されている。
【0102】
なお、第1及び第2の凹部111、112の表面には、離型性を向上するために、黒鉛系材料、シリコーン系材料、フッ素系材料、セラミック系材料、アルミニウム系材料等からなる離型層(不図示)を予め形成することが好ましい。
【0103】
上記の凹版11の第1及び第2の凹部111、112に対し、導電性材料12を充填する。このような導電性材料12としては、導電性粉末若しくは金属塩、バインダ樹脂、水若しくは溶剤及び各種の添加剤を混合して構成される導電性ペーストや導電性インクを例示することができる。上記の導電性粉末としては、銀や銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウム等の金属や、グラファイト等を例示することができる。金属塩としては、上記金属の塩を挙げることができる。導電性材料12に含まれる導電性粒子としては、形成する導体パターンの幅に応じて、例えば、0.5μm以上2μm以下の直径φ(0.5μm≦φ≦2μm)を有する導電性粒子を用いることができる。なお、形成する導体パターンの幅の半分以下の平均直径φを有する導電性粒子を用いることが好ましい。
【0104】
導電性材料12に含まれるバインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。
【0105】
導電性材料12に含まれる溶剤としては、α-テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、1−デカノール、ブチルセルソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラデカン等を例示することができる。
【0106】
導電性材料12を凹版11の第1及び第2の凹部111、112に充填する方法としては、例えばディスペンス法、インクジェット法、スクリーン印刷法を挙げることができる。もしくはスリットコート法、バーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法での塗工の後に第1及び第2の凹部111、112以外に塗工された導電性材料をふき取るもしくは掻き取る、吸い取る、貼り取る、洗い流す、吹き飛ばす方法を挙げることができる。導電性材料の組成等、凹版の形状等に応じて適宜使い分けることができる。
【0107】
次に、
図7(b)に示すように、凹版11の第1及び第2の凹部111、112に充填された導電性材料12を加熱することにより網目状電極層6及び引き出し配線層7を形成する。導電性材料12の加熱条件は、導電性材料の組成等に応じて適宜設定することができる。この加熱処理により、導電性材料12が体積収縮し、当該導電性材料12のうち引き出し配線層7の表面121には湾曲形状が形成される。また、当該導電性材料12の表面121には、僅かに凹凸形状が形成されている。この際、導電性材料12の上面を除く外面は、第1及び第2の凹部111、112に沿った形状に形成される。
【0108】
なお、導電性材料12の処理方法は加熱に限定されない。赤外線、紫外線、レーザー光等のエネルギー線を照射しても良いし、乾燥のみでもよい。また、これらの2種以上の処理方法を組合せても良い。表面121の凹凸形状や湾曲形状の存在により、網目状電極層6及び引き出し配線層7と接着層5との接触面積が増大し、網目状電極層6及び引き出し配線層7をより強固に接着層5に固定することができる。
【0109】
続いて、
図7(c)に示すように、接着層5を形成するための接着材料13が基材3上に略均一に塗布されたものを用意する。このような接着材料13としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等を例示することができる。接着材料13を基材3上に塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法等を例示することができる。
【0110】
次いで、
図7(d)に示すように、当該接着材料13が凹版11の第1及び第2の凹部111、112に入り込むよう基材3及び接着材料13を凹版11上に配置して基材3を凹版11に押し付け、接着材料13を硬化させる。接着材料13を硬化させる方法としては、紫外線、赤外線レーザー光等のエネルギー線照射、加熱、加熱冷却、乾燥等を例示することができる。これにより、接着層5が形成されると共に、当該接着層5を介して基材3と網目状電極層6及び引き出し配線層7とが相互に接着され固定される。
【0111】
なお、接着層5の形成方法は特に上記に限定されない。例えば、網目状電極層6及び引き出し配線層7が形成された凹版11(
図7(b)に示す状態の凹版11)上に接着材料13を塗布し、当該接着材料13上に基材3を配置した後に、当該基材3を凹版11に配置して押し付けた状態で接着材料13を硬化させることにより接着層5を形成してもよい。なお、接着材料13として、熱可塑性材料を用いた場合には、熱等を加え溶融した後、冷却することにより、接着層5を形成することができる。
【0112】
続いて、
図7(e)に示すように、基材3、接着層5、網目状電極層6及び引き出し配線層7を凹版11から離型させ、配線体4を備えた配線基板2を得ることができる。
【0113】
なお、特に図示しないが、上記工程が実行された後、得られた配線基板2上に、網目状電極層6及び引き出し配線層7を覆うように樹脂材料を塗布して硬化させることで、樹脂層8が形成される。そして、形成された樹脂層8を介して網目状電極層6と対向するように網目状電極層9を形成する。また、網目状電極層9に接続される引き出し配線層10を形成する。以上により、配線体4を備えたタッチセンサ1を得ることができる。
【0114】
樹脂層8を形成する方法としては、接着層5の形成方法と同様の方法を例示することができる。網目状電極層9及び引き出し配線層10を形成する方法としては、網目状電極層6及び引き出し配線層7の形成方法と同様の方法により形成することができる。
【0115】
なお、網目状電極層9及び引き出し配線層10を形成する方法は、特に上述に限定されず、たとえば、樹脂層8を硬化させた後、当該樹脂層8上にスクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷等を用いて導電性材料を印刷することで形成してもよい。或いは、樹脂層8上に積層された金属層を網目状にパターニングすることで形成してもよい。或いは、スパッタリング法、真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法)、無電解めっき法、電解めっき法、或いはそれらを組み合わせた方法を用いて、樹脂層8上に形成してもよい。
【0116】
本実施形態における配線体4及び配線基板2は、以下の効果を奏する。
【0117】
本実施形態では、上記(2)式が成立していることで、第1の直線部74aにおける第1の方向に対する第1の単位網目742の配列方向と、第2の直線部74bにおける第2の方向に対する第1の単位網目742の配列方向と、が実質的に一致する。これにより、屈曲部75を介して相互に接続される第1及び第2の直線部74a,74bの一方が、当該第1及び第2の直線部74a,74bの他方に比べて導通経路が減少するのを抑止する。この結果、引き出し配線層7の電気的抵抗値の増大を抑制することができる。
【0118】
また、本実施形態では、第1の直線部74aの端部744aと、第2の直線部74bの端部744bと、は相互に離間され、当該端部744a,744b間を第2の導体線751により接続しているが、この際、第1の直線部74aの第1の単位網目742を構成する頂点743と、第2の直線部74bの第1の単位網目742を構成する頂点743と、を第2の導体線751により相互に接続することで、第1の単位網目742,742を構成する第1の導体線741,741同士を接続する場合に比べて、引き出し配線層7の導通経路を効率良く確保することができる。
【0119】
すなわち、第1の単位網目742や第2の単位網目752を構成する第1及び第2の導体線741,751を第1の単位網目742を構成する頂点743に接続することで、複数本の導体線が相互に導通を図ることが可能となる。したがって、第1及び第2の直線部74a,74bにおいて、複数の導体線が接する頂点743,743同士を第2の導体線751により接続することで、当該1本の第2の導体線751により複数の導通経路が確保される。なお、屈曲部75において、引き出し配線層7の導通経路を効率良く確保すると、当該引き出し配線層7の可撓性の向上を図ることができる。また、屈曲部75において、引き出し配線層7の導通を安定的に確保することができる。
【0120】
また、本実施形態では、第2の導体線751を第1及び第2の直線部74a,74bを構成する第1の導体線741と同一の組成を有する材料によって一体的に形成することで、第1の直線部74a及び屈曲部75間、並びに、第2の直線部74b及び屈曲部75間での導通を安定的に確保することができる。
【0121】
また、本実施形態では、第1の直線部74aにおける配列方向に沿って並んだ複数の第1の単位網目742について、一の第1の単位網目742aの頂点743Aと、当該頂点743Aに対応する他の第1の単位網目742bの頂点743Bと、が第1の方向に沿って延在する仮想直線上に位置している。これにより、第1の直線部74a全体において、当該第1の単位網目742の一部に欠損が生じるのを抑制することができる。また、第1の単位網目742の欠損発生を抑制することで、第1の直線部74a全体において導通が安定的に確保されると共に、配列される第1の単位網目742同士の接触部分が増加するので、導通経路の増加を図ることができる。なお、第2の直線部74bも、第1の直線部74aと同様の構成を有しているので、当該第2の直線部74b全体において導通が安定的に確保されると共に、配列される第1の単位網目742同士の接触部分が増加するので、導通経路の増加を図ることができる。
【0122】
また、従来では、単に引き出し配線層を網目状とすると、当該引き出し配線層の最外側に位置する単位網目の一部が欠損して、当該引き出し配線層を構成する導体線が外側に向かって突き出した状態で配置される場合がある。この場合、引き出し配線層の最外側に位置する突出した状態の導体線は、引き出し配線層の導通に実質的に寄与しない。このため、引き出し配線層のうち導通が図られる領域が狭まり、当該引き出し配線層の幅から想定される電気的抵抗値よりも大きい電気的抵抗値を有することとなる。
【0123】
これに対し、本実施形態における配線体4では、引き出し配線層7の両方の側端部76は、当該引き出し配線層7において最外側に位置する第1の単位網目742を構成する頂点743の中で最も外側に位置する第1の頂点743aを含んでおり、引き出し配線層7の幅Lは、引き出し配線層7の延在方向に対して実質的に垂直な方向において、一方の側端部76が含む第1の頂点743aと、他方の側端部76が含む第1の頂点743aと、の間の距離に相当する。
【0124】
このため、引き出し配線層7の幅方向の全体において、当該引き出し配線層7の導通を図ることができるので、網目状電極層6と引き出し配線層7との断線を防ぎつつ、当該引き出し配線層7の電気的抵抗値の増大を抑制することができると共に、タッチセンサ1の検出感度の向上を図ることができる。この効果は、引き出し配線層7の幅Lが小さくなるほど、当該幅Lに占める第1の単位網目742の幅の割合が増大するためより顕著となる。
【0125】
また、一般に、引き出し配線層の側端部が鋭利に突出していると、突出した部分において電界集中が起こり易くなるため、隣り合う配線との間でマイグレーションを引き起こす恐れが高まる。これに対し、本実施形態における配線体4では、引き出し配線層7の側端部76は、第1の頂点743aから構成され、当該第1の頂点743aは、第1の導体線741a、741bが相互に接する点であるため、鋭利に突出しておらず、隣り合う引き出し配線層7,7間でマイグレーションを引き起こすおそれを低減することができる。
【0126】
また、本実施形態では、相互に平行に並設された引き出し配線層7の延在方向において、隣り合う引き出し配線層7の一方の第1の頂点743aと、隣り合う引き出し配線層7の他方の第1の頂点743aとが、相互にずれているので、当該隣り合う引き出し配線層7,7間でマイグレーションを引き起こすおそれがさらに低減される。
【0127】
また、引き出し配線層7が網目状であることにより、配線基板2の製造時において、例えばドクターブレードを用いて凹版11に導電性材料12を充填する際の充填不良の発生を抑制することができる(
図7(a)参照)。すなわち、引き出し配線層が線状のベタパターンである場合には、導電性材料の充填時において、当該引き出し配線層に対応する凹版の凹部の底にドクターブレードの先端部が接近又は接触することにより、導電性材料の充填不良が発生する場合がある。
【0128】
この点、本実施形態では、引き出し配線層7が網目状であるため、凹版11の第2の凹部112の底にドクターブレードの先端部が接近又は接触するおそれを低減し、導電性材料12の充填不良の発生を抑制することができる。これに伴い、完成したタッチセンサ1における引き出し配線層7の導通不良の発生を抑制することができる。
【0129】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0130】
図8は本発明の一実施の形態に係る引き出し配線層の第1変形例を示す平面図、
図9(a)は本発明の一実施の形態に係る引き出し配線層の第2変形例を示す平面図、
図9(b)は屈曲部を説明するための図、
図10(a)及び
図10(b)は本発明の一実施の形態に係る引き出し配線層の第3変形例及び第4変形例をそれぞれ示す平面図である。
【0131】
たとえば、
図8に示すように、引き出し配線層7Bの第1の直線部74aBにおいて、第1の導体線741aBが第1の方向に対して角度θ1傾斜して延在すると共に、第1の導体線741bBが第1の方向に対して角度θ2傾斜して延在してもよい。この際、角度θ1、θ2の絶対値がいずれも45°よりも小さいことにより(−45°<θ
1,θ
2<45°)、第1の単位網目742Bのアスペクト比(引き出し配線層7Bの延在方向に対する幅方向に沿った第1の単位網目742の長さD
3に対する、引き出し配線層7Bの延在方向に沿った第1の単位網目742の長さD
4の比(D
3/D
4))を1より大きくすることができる。
【0132】
本例では、引き出し配線層7Bの第1の単位網目742Bの形状は、当該引き出し配線層7Bの延在方向に沿って引き伸ばされた形状となっている。上記の角度θ
1、θ
2は、10°以上であることが好ましく、第1の単位網目742のアスペクト比(D
3/D
4)は1より大きく、5以下(1<(D
3/D
4)≦5)であることが好ましい。
【0133】
なお、第2の直線部74bBでは、第1の導体線741aBが第2の方向に対して角度θ3傾斜して延在すると共に、第1の導体線741bBが第2の方向に対して角度θ4傾斜して延在している。この角度θ3、θ4の絶対値がいずれも45°よりも小さいことにより(−45°<θ
3,θ
4<45°)、第1の単位網目742Bのアスペクト比が1よりも大きくなるが、この場合においても、当該第2の直線部74bBの第1の単位網目742Bと、第1の直線部74aBの第1の単位網目742Bとが実質的に同一形状を有する。
【0134】
このように、第1の単位網目742Bのアスペクト比を1より大きくすることで、引き出し配線層7Bの延在方向に沿った所定距離の間に含まれる第1の導体線741Bの総距離を短くすることができるため、当該引き出し配線層7Bの電気的抵抗値の増大をさらに一層抑制することができる。
【0135】
また、第1の単位網目742Bのアスペクト比が1より大きいと、極大部77Bが鋭角形状ではなくなるため、隣り合う引き出し配線層7B,7B間でマイグレーションを引き起こすおそれをより低減することができる。
【0136】
なお、本例では、網目状電極6と引き出し配線層7の関係において、第1の単位網目742Bのアスペクト比が、網目65のアスペクト比(網目状電極層6の延在方向に対する幅方向に沿った網目の長さD
5に対する、網目状電極層6の延在方向に沿った網目65の長さD
6の比(D
6/D
5(
図1参照)))よりも大きくなっている。
【0137】
また、たとえば、
図9(a)に示すように、引き出し配線層7Cにおいて、第1の直線部74aCの端部744aCと、第2の直線部74bCの端部744bCとが相互に重複することで、屈曲部75Cが形成されていてもよい。本例では、第1の直線部74aCの幅に相当する幅を有し、第1の方向に延在すると共に第1の直線部74aCと同一の中心軸を有する第1の領域Z1と、第2の直線部74bCの幅に相当する幅を有し、第2の方向に延在すると共に第2の直線部74bCと同一の中心軸を有する第2の領域Z2と、の重複する領域が屈曲部75Cとなる(
図9(b)において、ハッチングした領域)。
【0138】
この屈曲部75Cでは、第1の単位網目742と、第2の単位網目752Cと、を含んで構成されている。本例では、第1の直線部74aCを構成する第1の導体線741と、第2の直線部74bCを構成する第1の導体線741とを相互に交差させることで、第1の単位網目742よりも小さい第2の単位網目752Cが複数形成される。
【0139】
このように、第1の単位網目742の配列に比べて、第2の単位網目752Cが緻密に配列されることで、屈曲部75Cにおいて引き出し配線層7Cに断線が生じるのを抑制している。なお、特に図示しないが、上述した例のように、第1及び第2の直線部を構成する第1の単位網目が、1よりも大きいアスペクト比を有する形成された場合においても、当該第1の直線部の一方端部と、第2の直線部の一方端部とを相互に重複することで、上述と同様の効果を奏することができる。
【0140】
また、たとえば、
図10(a)に示すように、引き出し配線層7Dは、第1の頂点743a同士を相互に連結する第3の導体線78を有していてもよい。本例の引き出し配線層7Dでは、この第3の導体線78により側端部76が構成される。このような第3の導体線78は、第1の導体線741と同一の組成を有する材料によって一体的に形成される。なお、
図10(a)では、第3の導体線78は直線状となっているが、特にこれに限定されず、
図10(b)に示すように、配線基板の製造時における導電性材料の充填性の観点から、第3の導体線78Bを曲線状としてもよい。なお、第3の導体線は、第1の導体線741と交差しないように形成することが好ましい。
【0141】
第3の導体線78の幅は、製造時における導電性材料の凹版への充填性の観点から、第1の導体線741の幅よりも小さいことが好ましい。また、
図10(a)及び
図10(b)の例では、引き出し配線層7D,7Eの両方の側端部76,76に第3の導体線78,78Bがそれぞれ設けられているが、引き出し配線層7D,7Eの側端部76の一方のみに当該第3の導体線78,78Bが設けられていてもよい。
【0142】
本例のように、引き出し配線層7Dが第3の導体線78を有していることで、当該引き出し配線層7Dの側端部76において、第1の頂点743a,743a間の導通を図ることができ、延いては、引き出し配線層7Dの電気的抵抗値の増大をより一層抑制することができる。また、第3の導体線78により、側端部76の形状が滑らかとなるため、隣り合う引き出し配線層7D,7D間において、マイグレーションの発生をより一層抑制することができる。本例における「第3の導体線78,78B」が本発明における「第3の導体線」の一例に相当する。
【0143】
また、たとえば、本実施形態の配線体4では、網目状とされた電極層である網目状電極6を用いたが、特にこれに限定されず、ベタパターンとされた電極層を用いてもよい。この場合、電極層を構成する材料としては、透明性を有するITO(酸化インジウム錫)や導電性高分子等を用いることができる。
【0144】
また、たとえば、配線基板2から基材3を省略してもよい。この場合において、たとえば、接着層5の下面に剥離シートを設け、実装時に当該剥離シートを剥がして実装対象(フィルム、表面ガラス、偏光板、ディスプレイ等)に接着して実装する形態として配線体又は配線基板を構成してもよい。なお、この形態では、「接着層5」が本発明の「第1の樹脂層」の一例に相当し、「実装対象」が本発明の「支持体」の一例に相当する。また、網目状導体層6を覆う樹脂層8を介して、上述の実装対象に接着して実装する形態として配線体又は配線基板を構成してもよい。この形態では、「樹脂層8」が本発明の「第2及び第3の樹脂層」の一例に相当し、「実装対象」が本発明の「支持体」の一例に該当する。また、上述の実施形態から接着層5を省略し、網目状電極層6及び引き出し配線層7を直接基材3上に設けることとしてもよい。なお、この場合基材3は樹脂から構成される。この形態では、「基材3」が本発明の「第1の樹脂層」の一例に相当する。
【0145】
また、接着層5の平坦部51を支持体として用いてもよい。この場合、接着層5の「支持部52」が本発明の「第1の樹脂層」の一例に相当し、接着層5の平坦部51が本発明の「支持体」の一例に相当する。
【0146】
また、上述の実施形態では、配線体は、タッチセンサに用いられるとして説明したが、配線体の用途は特にこれに限定されない。たとえば、配線体に通電して抵抗加熱等で発熱させることにより当該配線体をヒーターとして用いてもよい。また、配線体の導体部の一部を接地することにより当該配線体を電磁遮蔽シールドとして用いてもよい。また、配線体をアンテナとして用いてもよい。